(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167165
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】バッテリパック
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20231116BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20231116BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231116BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H01M10/48 301
H02J7/04 Q
H02J7/00 S
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078129
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】梅村 卓也
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CB11
5G503EA08
5H030AA01
5H030AS20
5H030BB10
5H030FF22
5H030FF43
(57)【要約】
【課題】温度を検出して出力するよう構成されたバッテリパックにおいて、バッテリの特性に応じて温度検出信号を変化させて、外部機器の制御を調整できるようにする。
【解決手段】バッテリパックは、第1温度検出回路を備える。第1温度検出回路は、第1端子から第2端子に至る第1電流経路を有し、第1電流経路上に、温度検出素子と第1抵抗器とを備え、所定電位の電源ラインに接続された抵抗を介して第1端子と第2端子との間に電圧が印加されることに応じて、バッテリの温度を示す温度検出信号を発生する。また、第1電流経路に並列に接続された第2電流経路と、第2電流経路上に設けられた第1スイッチを備え、制御回路は、バッテリの状態に応じて第1スイッチをオン状態又はオフ状態に切り替える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極とを備える充電可能なバッテリと、
前記正極に接続された第1端と、外部機器の正極端子に接続されるように構成された第2端とを有する第1電源端子と、
前記負極に接続された第1端と、前記外部機器の負極端子に接続されるように構成された第2端とを有する第2電源端子と、
第1端子と、第2端子と、前記第1端子から前記第2端子に至る第1電流経路とを有し、前記第1電流経路上に、前記バッテリの温度に応じて抵抗値が変化するよう構成された温度検出素子と、前記温度検出素子に接続された第1抵抗器とを備え、所定電位の電源ラインに接続された抵抗を介して前記第1端子と前記第2端子との間に電圧が印加されることに応じて、前記バッテリの前記温度を示す温度検出信号を発生するよう構成された第1温度検出回路と、
前記第1端子及び前記第2端子にそれぞれ接続され、前記温度検出信号を前記外部機器に出力するように構成された第1信号出力端子及び第2信号出力端子と、
前記第1電流経路に並列に接続された第2電流経路と、
前記第2電流経路上に設けられ、オン状態又はオフ状態に選択的に切り替わるように構成された第1スイッチであって、前記第1スイッチが前記オン状態又は前記オフ状態に切り替わることに応じて、前記第2電流経路が導通又は遮断されて、前記第1温度検出回路の抵抗値が変化する、第1スイッチと、
前記バッテリの状態に応じて前記第1スイッチを前記オン状態又は前記オフ状態に切り替えるよう構成された制御回路と、
を備えた、バッテリパック。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリパックであって、
前記第1温度検出回路とは別の第2温度検出回路であって、前記バッテリの前記温度を検出するよう構成された、第2温度検出回路を備え、
前記制御回路は、前記第2温度検出回路にて検出された前記温度、及び/又は、前記バッテリの電圧に応じて、前記第1スイッチを前記オン状態又は前記オフ状態に切り替えるように構成されている、バッテリパック。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のバッテリパックであって、
前記温度検出素子は、前記第1抵抗器と直列に接続され、
前記第2電流経路は、前記第1抵抗器と並列に接続されている、バッテリパック。
【請求項4】
請求項3に記載のバッテリパックであって、
前記外部機器は、充電器であり、
前記温度検出素子は、前記バッテリの前記温度が高いほど前記温度検出素子の前記抵抗値が低くなる負の温度特性を有し、
前記バッテリの前記温度が第1温度のときの前記温度検出素子の前記抵抗値と前記第1抵抗器の前記抵抗値との和は、前記充電器に対し充電を停止させる前記温度検出信号を発生する抵抗値に設定されており、
前記制御回路は、前記バッテリの前記温度が前記第1温度を超えているとき、前記第1スイッチを前記オン状態に切り替え、前記バッテリの前記温度が前記第1温度以下のとき、前記第1のスイッチを前記オフ状態に切り替えるように構成されている、バッテリパック。
【請求項5】
請求項4に記載のバッテリパックであって、
前記温度検出回路は、
第2抵抗器と、
オン状態とオフ状態とに選択的に切り替わるように構成された第2スイッチであって、前記オン状態の前記第2スイッチは、前記第2抵抗器を前記第1抵抗器と並列接続するように構成された第2スイッチと、
を備えている、バッテリパック。
【請求項6】
請求項5に記載のバッテリパックであって、
前記バッテリの前記温度が前記第1温度よりも高い第2温度で、前記第2スイッチが前記オン状態であるときの、前記温度検出素子、前記第1抵抗器、及び、前記第2抵抗器の合成抵抗値は、前記充電器に対し充電電流及び/又は充電電圧を低下させる前記温度検出信号を発生する抵抗値に設定されており、
前記制御回路は、前記バッテリの前記温度が前記第2温度を越えているとき、前記第1スイッチを前記オン状態、前記第2スイッチを前記オフ状態に切り替え、前記バッテリの前記温度が前記第2温度以下になると、前記第2スイッチを前記オン状態に切り替え、続いて、前記第1スイッチを前記オフ状態に切り替えるように構成されている、バッテリパック。
【請求項7】
請求項3に記載のバッテリパックであって、
前記外部機器は、充電器であり、
前記温度検出素子は、前記バッテリの前記温度が高いほど前記温度検出素子の前記抵抗値が低くなる負の温度特性を有し、
前記バッテリの前記温度が第3温度のときの前記温度検出素子の前記抵抗値と前記第1抵抗器の抵抗値との和は、前記充電器に対し充電電流及び/又は充電電圧を低下させる前記温度検出信号を発生する抵抗値に設定されており、
前記制御回路は、前記バッテリの温度が前記第3温度を越えているとき、前記第1のスイッチを前記オン状態にし、前記バッテリの温度が前記第3温度以下のとき、前記第1のスイッチを前記オフ状態に切り替えるように構成されている、バッテリパック。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載のバッテリパックであって、
前記第1スイッチが前記オン状態であるとき、前記第2電流経路を介して、前記第1経路上の前記温度検出素子と前記第1抵抗器との直列回路に並列に接続される第3抵抗器、を備えている、バッテリパック。
【請求項9】
請求項8に記載のバッテリパックであって、
前記外部機器は、充電器であり、
前記温度検出素子は、前記バッテリの前記温度が高いほど前記温度検出素子の前記抵抗値が低くなる負の温度特性を有し、
前記バッテリの前記温度が第4温度で、前記第1スイッチが前記オン状態であるときの、前記温度検出素子、前記第1抵抗器、及び、前記第3抵抗器の合成抵抗値は、前記充電器に対し前記バッテリの高温時に充電電流及び/又は充電電圧を低下させる前記温度検出信号を発生する抵抗値に設定されており、
前記制御回路は、前記バッテリの前記温度が前記第4温度以下であるとき、前記第1のスイッチを前記オフ状態に切り替え、前記バッテリの前記温度が前記第4温度を超えると、前記第1のスイッチを前記オン状態に切り替えて、前記充電器から前記バッテリへの充電レートを低減するよう構成されている、バッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、温度検出機能を有するバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、温度に応じて抵抗値が変化する温度検出素子と、温度検出素子に対し直列又は並列に接続された抵抗器とを含む温度検出回路を備えたバッテリパックが開示されている。このバッテリパックにおいては、温度検出回路の両端に抵抗器を介して電源電圧を印加し、温度検出回路の両端電圧を、バッテリパックの温度を表す温度検出信号として、外部機器に出力する。
【0003】
この外部機器は、バッテリパック内のバッテリを充電する充電器、若しくは、バッテリから電力供給を受けて動作する電動機器、である。そして、これらの外部機器は、バッテリパックから温度検出信号を取り込むことで、バッテリの温度を検知し、その検知したバッテリ温度に応じてバッテリに対する充電若しくは放電を制御する。このため、バッテリへの充電或いはバッテリからの放電を、バッテリを劣化させることのない適正温度範囲内で実施できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のバッテリパックにおいて、温度検出回路内で、温度検出素子に対し直列若しくは並列に接続される抵抗器の抵抗値は固定されている。このため、外部機器では、バッテリパックから出力される温度検出信号に基づきバッテリの温度を検知してバッテリに対する充・放電を良好に実施することはできるものの、バッテリパック側で外部機器による充・放電を制御することはできないという問題があった。
【0006】
つまり、バッテリパックに収納されるバッテリの性能は、バッテリの種類によって異なり、同一温度であっても、充・放電に適した電圧値や電流値が異なることがある。従って、バッテリパックによっては、例えば、外部機器側で設定された充電又は放電停止温度に達するまでの温度で、充電又は放電を停止させたいことがある。しかし、上記バッテリパックは、単に温度に応じた温度検出信号を出力するよう構成されているので、外部機器による充・放電の制御を、バッテリの特性に応じて、バッテリパック側から制御することはできなかった。
【0007】
本開示の一局面は、バッテリの温度を検出して出力するよう構成されたバッテリパックにおいて、バッテリの特性に応じて温度検出信号を変化させることで、外部機器での充・放電の制御を調整できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一局面のバッテリパックは、バッテリと、第1電源端子と、第2電源端子と、第1温度検出回路と、第1信号出力端子及び第2信号出力端子と、第2電流経路と、第1スイッチと、制御回路と、を備える。
【0009】
バッテリは、正極と負極とを備え充電可能である。第1電源端子は、バッテリの正極に接続された第1端と、外部機器の正極端子に接続されるように構成された第2端とを有する。第2電源端子は、バッテリの負極に接続された第1端と、外部機器の負極端子に接続されるように構成された第2端とを有する。
【0010】
また、第1温度検出回路は、第1端子と、第2端子と、第1端子から第2端子に至る第1電流経路とを有する。この第1電流経路上には、バッテリの温度に応じて抵抗値が変化するよう構成された温度検出素子と、温度検出素子に接続された第1抵抗器とが備えられている。そして、第1温度検出回路は、所定電位の電源ラインに接続された抵抗を介して第1端子と第2端子との間に電圧が印加されることに応じて、バッテリの温度を示す温度検出信号を発生する。
【0011】
第1信号出力端子及び第2信号出力端子は、第1温度検出回路の第1端子及び第2端子にそれぞれ接続され、温度検出信号を外部機器に出力する。また、第2電流経路は、第1温度検出回路の第1電流経路に並列に接続されている。
【0012】
第1スイッチは、第2電流経路上に設けられ、オン状態又はオフ状態に選択的に切り替わるように構成されている。そして、第1スイッチがオン状態又はオフ状態に切り替わることに応じて、第2電流経路が導通又は遮断されて、温度検出回路の抵抗値が変化する。
【0013】
制御回路は、バッテリの状態に応じて第1スイッチをオン状態又はオフ状態に切り替える。
このため、本開示のバッテリパックによれば、制御回路が、バッテリの状態に応じて第1のスイッチのオン・オフ状態を切り替えることで、温度検出回路の抵抗値を変化させて、温度検出回路から出力される温度検出信号の電圧値を変化させることができるようになる。
【0014】
よって、バッテリを充電する充電器やバッテリから電力供給を受けて動作する電気機器などの外部機器において、温度検出信号からバッテリの温度を検知して、バッテリの充・放電を制御する際の制御特性を、バッテリパック側から調整できるようになる。
【0015】
なお、バッテリパック側から調整し充・放電の制御特性としては、例えば、バッテリに対する充・放電を停止させる温度や、充電電流を低下させる切り替え温度、などを挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態のバッテリパックと充電器の構成を表すブロック図である。
【
図2】充電器におけるバッテリ温度に対する充電特性を表す説明図である。
【
図3】充電器にて実行される充電制御を表すフローチャートである。
【
図4】第1温度検出回路の抵抗値とバッテリ温度との関係を表す説明図である。
【
図5】第1スイッチの切り替えに伴う充電制御の変化を表す説明図である。
【
図6】第1スイッチの切り替え制御を表すフローチャートである。
【
図7】第1変形例の第1温度検出回路の抵抗値とバッテリ温度との関係を表す説明図である。
【
図8】第1変形例の第1スイッチの切り替えに伴う充電制御の変化を表す説明図である。
【
図9】第1変形例の第1スイッチの切り替え制御を表すフローチャートである。
【
図10】第2実施形態のバッテリパックの構成を表すブロック図である。
【
図11】第2実施形態の第1温度検出回路の抵抗値とバッテリ温度との関係を表す説明図である。
【
図12】第1,第2スイッチの切り替えに伴う充電制御の変化を表す説明図である。
【
図13】第1,第2スイッチの切り替え制御を表すフローチャートである。
【
図14】第2変形例の第1,第2スイッチの切り替え制御を表すフローチャートである。
【
図15】第3実施形態のバッテリパックの構成を表すブロック図である。
【
図16】第3実施形態の第1温度検出回路の抵抗値とバッテリ温度との関係を表す説明図である。
【
図17】第3実施形態の第1スイッチの切り替えに伴う充電制御の変化を表す説明図である。
【
図18】第3実施形態の第1スイッチの切り替え制御を表すフローチャートである。
【
図19】第3変形例のバッテリパックに接続される電動工具の構成を表すブロック図である。
【
図20】第3変形例の第1スイッチの切り替え制御を表すフローチャートである。
【
図21】参考例のバッテリパックの構成を表すブロック図である。
【
図22】参考例の充電器におけるバッテリ温度に対する充電特性を表す説明図である。
【
図23】参考例のスイッチの切り替え制御を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施形態の総括]
ある実施形態において、バッテリパックには、正極と負極とを備える充電可能なバッテリが備えられてもよい。また、バッテリパックには、前記正極に接続された第1端と、外部機器の正極端子に接続されるように構成された第2端とを有する第1電源端子が備えられてもよい。また、バッテリパックには、前記負極に接続された第1端と、前記外部機器の負極端子に接続されるように構成された第2端とを有する第2電源端子が備えられてもよい。
【0018】
加えて/或いは、バッテリパックには、第1端子と、第2端子と、前記第1端子から前記第2端子に至る第1電流経路とを有し、前記第1電流経路上に、前記バッテリの温度に応じて抵抗値が変化するよう構成された温度検出素子と、前記温度検出素子に接続された第1抵抗器とを備えた第1温度検出回路が備えられてもよい。
【0019】
この第1温度検出回路は、所定電位の電源ラインに接続された抵抗を介して前記第1端子と前記第2端子との間に電圧が印加されることに応じて、前記バッテリの前記温度を示す温度検出信号を発生するよう構成されてもよい。
【0020】
加えて/或いは、バッテリパックには、前記第1端子及び前記第2端子にそれぞれ接続され、前記温度検出信号を前記外部機器に出力するように構成された第1信号出力端子及び第2信号出力端子が備えられてもよい。
【0021】
加えて/或いは、バッテリパックには、前記第1電流経路に並列に接続された第2電流経路が備えられてもよい。また、この第2電流経路上には、オン状態又はオフ状態に選択的に切り替わるように構成された第1スイッチが備えられてもよい。
【0022】
この場合、前記第1スイッチが前記オン状態又は前記オフ状態に切り替わることに応じて、前記第2電流経路が導通又は遮断されて、前記温度検出回路の抵抗値が変化するようになる。
【0023】
加えて/或いは、バッテリパックには、前記バッテリの状態に応じて前記第1スイッチを前記オン状態又は前記オフ状態に切り替えるよう構成された制御回路が備えられてもよい。
【0024】
この場合、制御回路が、バッテリの状態に応じて第1のスイッチのオン・オフ状態を切り替えることで、温度検出回路の抵抗値を変化させて、温度検出回路から出力される温度検出信号の電圧値を変化させることができるようになる。
【0025】
加えて/或いは、バッテリパックには、前記第1温度検出回路とは別に、前記バッテリの前記温度を検出するよう構成された第2温度検出回路が備えられてもよい。
この場合、制御回路は、第2温度検出回路にて検出された前記温度、及び/又は、前記バッテリの電圧に応じて、前記第1スイッチを前記オン状態又は前記オフ状態に切り替えるように構成されていてもよい。
【0026】
このようにすれば、外部機器によるバッテリの充・放電に関する制御特性を、バッテリパック内のバッテリの温度や電圧に応じて変化させることができる。この結果、バッテリに対する充・放電を適正に実施させて、バッテリの劣化を抑制することができるようになる。
【0027】
加えて/或いは、前記温度検出素子は、前記第1抵抗器と直列に接続され、前記第2電流経路は、前記第1抵抗器と並列に接続されていてもよい。また、温度検出素子は、温度が高いほど抵抗値が低くなる負の温度特性を有するものであってもよい。また、外部機器は、充電器であってもよい。
【0028】
この場合、前記バッテリの前記温度が第1温度のときの前記温度検出素子の前記抵抗値と前記第1抵抗器の前記抵抗値との和は、前記充電器に対し充電を停止させる前記温度検出信号を発生する抵抗値に設定されていてもよい。
【0029】
また、前記制御回路は、前記バッテリの前記温度が前記第1温度を超えているとき、前記第1スイッチを前記オン状態に切り替え、前記バッテリの前記温度が前記第1温度以下のとき、前記第1のスイッチを前記オフ状態に切り替えるように構成されていてもよい。
【0030】
このようにすると、バッテリの温度が第1温度以下になったときに、温度検出回路の抵抗値を上昇させて、充電器による充電を停止させることができるようになる。
加えて/或いは、前記温度検出回路は、第2抵抗器と、オン状態とオフ状態とに選択的に切り替わるように構成された第2スイッチとを備えていてもよい。また第2スイッチは、オン状態に切り替えられているとき、前記第2抵抗器を前記第1抵抗器と並列接続するように構成されてもよい。
【0031】
この場合、前記バッテリの前記温度が前記第1温度よりも高い第2温度で、前記第2スイッチがオン状態であるときの、前記温度検出素子、前記第1抵抗器、及び、前記第2抵抗器の合成抵抗値は、前記充電器に対し充電電流及び/又は充電電圧を低下させる前記温度検出信号を発生する抵抗値に設定されてもよい。
【0032】
加えて/或いは、前記制御回路は、前記バッテリの温度が前記第2温度を越えているとき、前記第1スイッチを前記オン状態、前記第2スイッチを前記オフ状態に切り替え、前記バッテリの温度が前記第2温度以下になると、前記第2スイッチを前記オン状態に切り替え、続いて、前記第1スイッチを前記オフ状態に切り替えるように構成されてもよい。
【0033】
このようにすれば、バッテリの温度が第2温度以下になると、温度検出回路の抵抗値を上昇させて、前記温度検出信号により、前記充電器から前記バッテリへの充電電流及び/又は充電電圧を低下させることができるようになる。従って、バッテリの温度が第2温度以下になったときに、充電器による充電レートを低減させて、充電によりバッテリが劣化するのを抑制することができる。
【0034】
加えて/或いは、前記外部機器が充電器であり、前記温度検出素子が負の温度特性を有する場合、前記バッテリの温度が第3温度のときの前記温度検出素子の抵抗値と前記第1抵抗器の抵抗値との和は、前記充電器に対し充電電流及び/又は充電電圧を低下させる前記温度検出信号を発生する抵抗値に設定されていてもよい。
【0035】
この場合、前記制御回路は、前記バッテリの温度が前記第3温度を越えているとき、前記第1のスイッチをオン状態にし、前記バッテリの温度が前記第3温度以下のとき、前記第1のスイッチをオフ状態に切り替えるように構成されてもよい。
【0036】
このようにすれば、バッテリの温度が第3温度以下になると、温度検出回路の抵抗値を上昇させて、前記温度検出信号により、前記充電器から前記バッテリへの充電電流及び/又は充電電圧を低下させることができるようになる。従って、バッテリの温度が第3温度以下になったときに、充電器による充電レートを低減させて、充電によりバッテリが劣化するのを抑制することができる。
【0037】
加えて/或いは、バッテリパックは、前記第1スイッチがオン状態であるとき、前記第2電流経路を介して、前記第1経路上の前記温度検出素子と前記第1抵抗器との直列回路に並列に接続される第3抵抗器、を備えていてもよい。
【0038】
この場合、前記外部機器が充電器であり、前記温度検出素子が負の温度特性を有するものであれば、前記バッテリの前記温度が第4温度で、前記第1スイッチがオン状態であるときの、前記温度検出素子、前記第1抵抗器、及び、前記第3抵抗器の合成抵抗値は、前記充電器に対し前記バッテリの高温時に充電電流及び/又は充電電圧を低下させる前記温度検出信号を発生する抵抗値に設定されていてもよい。
【0039】
そして、前記制御回路は、前記バッテリの前記温度が前記第4温度以下であるとき、前記第1のスイッチをオフ状態に切り替え、前記バッテリの前記温度が前記第4温度を超えると、前記第1のスイッチを前記オン状態に切り替えて、前記充電器から前記バッテリへの充電レートを低減するよう構成されてもよい。このようにすれば、バッテリの温度が第4温度を超えているときに、充電器からバッテリへの充電レートを低減して、充電によりバッテリが劣化するのを抑制できるようになる。
【0040】
[特定の例示的な実施形態]
以下に、本開示の例示的な実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態のバッテリパック10は、バッテリ16を備え、外部機器としての充電器50を着脱自在に接続可能である。そして、バッテリパック10は、充電器50が接続されているとき、充電器50からバッテリ16に充電できる。
【0041】
また、バッテリパック10は、充電器50だけでなく、後述する電動工具80(
図19参照)など、バッテリパック10から電力供給を受けて動作する電気機器に対しても着脱自在に接続可能である。そして、バッテリパック10は、電気機器に接続されているとき、バッテリ16から電気機器に直流電力を供給する電源装置として機能する。
【0042】
バッテリパック10は、充電器50や電動工具80などの外部機器に装着されたときに、外部機器と機械的且つ電気的に接続される端子として、第1電源端子21と、第2電源端子22と、第1,第2電圧出力端子23,24と、信号出力端子25を備えている。
【0043】
一方、充電器50は、正極端子51と、負極端子52と、第1,第2電圧入力端子53,54と、信号入力端子55と、を備えている。
バッテリパック10が充電器50に装着されると、第1電源端子21と正極端子51、第2電源端子22と負極端子52が電気的に導通する。同様に、第1電圧出力端子23と第1電圧入力端子53、第2電圧出力端子24と第2電圧入力端子54、信号出力端子25と信号入力端子55も電気的に導通する。
【0044】
バッテリパック10は、バッテリ16に加えて、電源回路18と、制御回路30と、セル電圧検出回路32と、第2温度検出回路34と、電流検出回路36と、外部機器接続検出回路38と、第1温度検出回路40と、を備える。
【0045】
バッテリ16は、例えば、リチウムイオン電池であり、直列接続された複数の電池セルを有する。本実施形態では、バッテリ16は、バッテリ16の負局から正極に向けて順に直列接続された、第1セル11、第2セル12、及び第3セル13を備える。各セル11~13はいずれも同じ温度特性、同じ電気的特性を有する。
【0046】
バッテリ16の正極(即ち第3セル13の正極)は、第2端が充電器50の正極端子51に接続される第1電源端子21の第1端に接続されている。また、バッテリ16の正極は、電源回路18及びセル電圧検出回路32にも接続されている。
【0047】
バッテリ16の負極(即ち第1セル11の負極)は、第2端が充電器50の負極端子52に接続される第2電源端子22の第1端に接続されている。また、バッテリ16の負極は、電源回路18及びセル電圧検出回路32に接続されている。
【0048】
このため、バッテリ16から電気機器への放電は、第1電源端子21及び第2電源端子22を介して行われ、充電器50からバッテリ16への充電も、第1電源端子21及び第2電源端子22を介して行われる。
【0049】
また、第1セル11の正極は、抵抗器26を介して第1電圧出力端子23及びセル電圧検出回路32に接続され、第2セル12の正極は、抵抗器27を介して第2電圧出力端子24に接続されている。
【0050】
このため、第1電圧出力端子23からは、第1セル11のセル電圧を示す第1電圧信号が出力され、第2電圧出力端子24からは、第2セル12のセル電圧を示す第2電圧信号が出力される。
【0051】
電源回路18は、バッテリ16から供給される直流電力から、制御回路30などの電源電圧(直流定電圧)Vccを生成する。セル電圧検出回路32は、バッテリ16の両端電圧(即ちバッテリ電圧)及び各セル11~13の両端電圧(即ちセル電圧)を検出する。
【0052】
第2温度検出回路34は、バッテリ16の温度(以下「バッテリ温度」という)を検出するために設けられている。第2温度検出回路34は、例えば、温度検出素子であるサーミスタと抵抗との直列回路を備え、その一端が制御回路30に接続され、他端がバッテリ16の負極と同電位のグラウンドに接続されている。
【0053】
制御回路30は、電源回路18にて生成された電源電圧Vccを受けて動作するため、制御回路30の負極もバッテリパック10のグラウンドに接続されている。このため、制御回路30には、第2温度検出回路34から、バッテリ温度を表す電圧信号が入力されることになる。
【0054】
次に、電流検出回路36は、バッテリ16の負極と第2電源端子22とを接続して充・放電電流を流す通電経路上に設けられており、この通電経路を流れる充・放電電流を検出する。そして、電流検出回路36による検出結果は、電流検出信号として制御回路30に入力される。
【0055】
第1温度検出回路40は、第1端子40Aと、第2端子40Bと、第1電流経路40Cと、第2電流経路40Dと、温度検出素子42と、中間抵抗器43と、第1抵抗器44とを備える。
【0056】
第1電流経路40Cは、第1端子40Aと第2端子40Bとを接続している。温度検出素子42と第1抵抗器44は、温度検出素子42が第1端子40A側となるよう、第1電流経路40C上に直列に設けられている。第1電流経路40Cにおいて、温度検出素子42と第1抵抗器44との間には、中間抵抗器43が設けられている。
【0057】
つまり、第1端子40Aは、温度検出素子42に接続され、第2端子40Bは、第1抵抗器44に接続されている。また、第1端子40Aは、信号出力端子25に接続され、第2端子40Bは、第2電源端子22に接続されている。
【0058】
第2電流経路40Dは、第1抵抗器44に対し並列に接続されている。そして、第2電流経路40D上には、第1スイッチSW1が設けられている。第1スイッチSW1は、例えば、FETなどの半導体スイッチにて構成される。
【0059】
第1スイッチSW1がオフ状態であるとき、第2電流経路40Dは遮断される。このため、第1端子40Aと第2端子40Bとの間の抵抗値Rs(つまり第1温度検出回路40の抵抗値Rs)は、温度検出素子42の抵抗値Rmと、中間抵抗器43の抵抗値Raと、第1抵抗器44の抵抗値R1とを加算した抵抗値「Rm+Ra+R1」となる。
【0060】
これに対し、第1スイッチSW1がオン状態であるときには、第2電流経路40Dが導通するため、第1温度検出回路40の抵抗値Rsは、温度検出素子42の抵抗値Rmと、中間抵抗器43の抵抗値Raを加算した抵抗値「Rm+Ra」となる。
【0061】
一方、バッテリパック10に接続される外部機器には、
図1に示す充電器50のように、内部の電源電圧Vddを、プルアップ抵抗器58を介して信号入力端子55に印加するよう構成された検出信号入力回路57が備えられている。
【0062】
従って、バッテリパック10が外部機器に接続されているとき、第1温度検出回路40には、グラウンド電位に比べて電源電圧Vdd分だけ電位が高い外部機器の電源ラインから、抵抗(プルアップ抵抗器58など)を介して、電圧が印加されることになる。
【0063】
このため、充電器50などの外部機器側では、抵抗(プルアップ抵抗器58など)を介してバッテリパック10の第1温度検出回路40に電流を流し、第1温度検出回路40の抵抗値Rsに応じて電圧が変化する温度検出信号を取得することができる。
【0064】
このように第1温度検出回路40から充電器50に出力される温度検出信号の電圧値Vsは、プルアップ抵抗器58と第1温度検出回路40とにより電源電圧Vddを分圧した電圧値となる。従って、プルアップ抵抗器58の抵抗値をR0とすると、温度検出信号の電圧値Vsは、「Vs=Vdd×Rs/R0+Rs」となる。
【0065】
第1温度検出回路40の抵抗値Rsは、第1スイッチSW1がオフ状態であるとき、第1スイッチSWがオン状態にあるときに比べて大きくなることから、温度検出信号の電圧値Vsは、第1スイッチSW1がオン状態からオフ状態に切り替えられると上昇する。
【0066】
一方、第1温度検出回路40は、温度検出素子42として、負の温度特性を有するNTCサーミスタを備えている。従って、温度検出素子42の抵抗値Rm、換言すれば、第1温度検出回路40の抵抗値Rsは、バッテリ温度が高くなるほど小さくなる。
【0067】
このため、第1スイッチSW1がオン状態であるときに、第2スイッチSW2がオフ状態に切り替えられると、第1温度検出回路40の抵抗値Rs、延いては、温度検出信号の電圧値Vs、が上昇し、外部機器にて認識されるバッテリ温度は低下する。
【0068】
次に、制御回路30は、CPU,ROM,RAMなどを含むマイクロコントローラ(以下、マイコンという)を備える。制御回路30は、セル電圧検出回路32、第2温度検出回路34、及び、電流検出回路36からの検出信号に基づき、バッテリ状態を取得する。具体的は、バッテリ16の各セル11~13のセル電圧を含むバッテリ電圧、バッテリ温度、バッテリ16への充電時の充電電流、及び、バッテリ16からの放電時の放電電流を取得する。
【0069】
そして、制御回路30は、その取得したバッテリ状態に基づき、第1温度検出回路40の第1スイッチSW1をオン・オフさせることで、充電器50などの外部機器にて認識されるバッテリ温度を切り替える。
【0070】
なお、本実施形態では、制御回路30は、バッテリ温度が所定温度以上であるときには第1スイッチSW1をオン状態にし、バッテリ温度が所定温度未満であるときには、所定の切り替え条件に従い第1スイッチSW1をオフ状態に切り替える。この切り替えにより、外部機器にて認識されるバッテリ温度が低下する。なお、制御回路30の第1スイッチSW1の切り替え動作については、後述する。
【0071】
次に、外部機器接続検出回路38は、バッテリパック10に充電器50などの外部機器が接続されて、信号出力端子25に外部機器から電圧が印加されているときに、バッテリパック10が外部機器に接続されていることを検出する。
【0072】
そして、外部機器接続検出回路38は、バッテリパック10が外部機器に接続されていることを検出しているとき、電源回路18に検出信号を出力して、電源回路18を動作させ、電源電圧Vccを生成させる。
【0073】
このため、制御回路30は、バッテリパック10に充電器50などの外部機器が接続されて、信号出力端子25に外部機器から電圧が印加されているときに、電源回路18から電力供給を受けて動作することになる。
【0074】
なお、本実施形態においては、第1温度検出回路40の第1端子40A及び第2端子40Bは、それぞれ、信号出力端子25及び第2電源端子22に接続されて、この2つの信号出力端子25,22間をバッテリ温度に対応した抵抗値Rsに設定する。
【0075】
従って、信号出力端子25は、「実施形態の総括」に記載の第1信号出力端子の一例に相当し、第2電源端子22は、「実施形態の総括」に記載の第2信号出力端子の一例に相当する。つまり、本実施形態では、第2電源端子22が、「実施形態の総括」に記載の負極端子及び第2信号出力端子の共通端子として機能する。
【0076】
但し、第2端子40Bは、第2電源端子22ではなく、温度検出信号出力用の第2信号出力端子に接続され、信号出力端子25と第2信号出力端子とを介して、温度検出信号を出力するように構成されてもよい。
【0077】
次に、充電器50は、
図1に示すように、上述した検出信号入力回路57に加えて、電圧検出回路56と、制御回路60と、整流回路62と、充電用スイッチング電源回路64と、電源回路66と、を備える。
【0078】
電圧検出回路56は、バッテリパック10から正極端子51、第1電圧入力端子53、及び、第2電圧入力端子54を介して入力される電圧信号に基づいて、バッテリ電圧及び各セル11~13のセル電圧を検出し、制御回路60に入力する。
【0079】
また、検出信号入力回路57は、プルアップ抵抗器58とは別に、信号入力端子55の電圧を制御回路60に入力するフィルタ59を備える。このフィルタ59は、充電器50にバッテリパック10が接続されているときに、バッテリパック10の第1温度検出回路40から入力される温度検出信号から雑音成分(例えば所定周波数以上の高周波成分)を除去する、ノイズ除去フィルタである。
【0080】
一方、整流回路62は、外部の交流電源(一般に商用電源)から入力される交流電圧(例えば交流100V)を整流して直流に変換する。充電用スイッチング電源回路64は、整流回路62にて整流された電圧を降圧して、バッテリ16充電用の充電電圧を生成するスイッチングレギュレータを有する。そして、充電用スイッチング電源回路64にて生成された充電用電圧は、正極端子51からバッテリパック10に出力される。
【0081】
また、電源回路66は、整流回路62にて整流された電圧を降圧して、充電器50内の電源電圧(直流定電圧)Vddを生成する。そして、その生成された電源電圧Vddは、制御回路60や検出信号入力回路57など、充電器50の内部回路に供給される。
【0082】
また、制御回路60は、バッテリパック10の制御回路30と同様、CPU,ROM,RAMなどを含むマイコンを備える。そして、制御回路60は、検出信号入力回路57からの入力信号に基づき、充電器50にバッテリパック10が接続されたことを検知し、充電用スイッチング電源回路64を制御する。
【0083】
なお、電圧検出回路56、充電用スイッチング電源回路64、制御回路60、及び、電源回路66の負極は、負極端子52と同電位のグラウンドに接続されている。
次に、制御回路60は、検出信号入力回路57からの入力信号に基づき、バッテリ温度を検知し、その検知したバッテリ温度に応じて、予め設定された充電制御パターンに従い、充電用スイッチング電源回路64を制御する。
【0084】
この充電制御パターンは、
図2に示すように、例えば、バッテリ温度が0°Cから60°Cの範囲内でバッテリ16への充電を行い、バッテリ温度が0°C以下、或いは、60°C以上、であるとき、バッテリ16への充電を停止するように設定されている。これは、バッテリ16への充電を適正温度範囲内で実施するためであり、この制御によって、バッテリ16が充電により劣化するのを抑制できる。
【0085】
また、充電制御パターンは、バッテリ温度が10°Cから45°Cまでの通常温度領域では、充電電圧(詳しくは各セル11~13のセル電圧)が4.2V、充電電流が5Aとなるよう、充電用スイッチング電源回路64を制御するように設定されている。
【0086】
また、充電制御パターンは、バッテリ温度が0°Cから10°Cの低温領域、或いは、バッテリ温度が45°Cから60°Cの高温領域では、通常温度領域に比べて、充電電圧や充電電流が低くなるように設定されている。
【0087】
具体的には、
図2に示すように、冷温領域では、充電電圧が4.1V、充電電流が1.5Aとなるように充電条件が設定され、高温領域では、充電電圧が4.15V、充電電流が3Aとなるように充電条件が設定される。
【0088】
次に、充電器50の制御回路60において実行される、充電制御判定処理について説明する。なお、この充電制御判定処理は、充電器50にバッテリパック10が接続されているときに、制御回路60において実行される処理である。
【0089】
図3に示すように、この充電制御判定処理が開始されると、まず、S110にて、制御回路60の動作モードを充電待機モードに設定し、S120に移行する。S120では、電圧検出回路56からバッテリ16のセル電圧Vcelを取得すると共に、検出信号入力回路57から入力される温度検出信号からバッテリ16のセル温度Tcelを取得する。
【0090】
なお、セル電圧Vcelは、バッテリ16の各セル11~13の電圧であるが、バッテリ16の両端のバッテリ電圧を利用することもできる。また、セル温度Tcelは、第1温度検出回路40から入力される温度検出信号から得られるバッテリ温度である。
【0091】
次に、S130では、S120にて取得したセル電圧Vcelが、満充電判定用の閾値以上であるか否かを判定することで、セル電圧Vcelが充電領域に達しているか否かを判定する。そして、セル電圧Vcelがその充電領域に達していると判定されると、バッテリ16への充電は完了しているものと判定して、S135に移行し、制御回路60の動作モードを充電完了モードに設定する。
【0092】
なお、制御回路60は、動作モードが充電完了モードに設定されると、充電器50に接続されるバッテリパック10が交換されるまで、充電制御判定処理を停止し、バッテリパック10が交換されると、S110から充電制御判定処理を再開する。
【0093】
次に、S130にて、セル電圧Vcelは充電領域に達していないと判定されると、S140に移行して、S120にて取得したセル温度Tcelが、
図2に示したように予め設定されている60°C以上、或いは、0°C以下、であるか否かを判定する。
【0094】
S140にて、セル温度Tcelが60°C以上、或いは、0°C以下、であると判定されると、バッテリ16が充電可能な適正温度範囲から外れているので、S120に移行し、バッテリ16が適正温度範囲内になるのを待機する。
【0095】
次に、S140にて、バッテリ16が0°Cから60°Cまでの適正温度範囲内にあると判定されると、S150に移行して、制御回路60の動作モードを充電モードに設定する。そして、続くS160では、充電用スイッチング電源回路64からの充電電流の出力を許可(オン)し、充電用スイッチング電源回路64による充電制御を開始させる。
【0096】
なお、制御回路60は、充電モードであるとき、検出信号入力回路57からの入力信号に基づきバッテリ16のセル温度Tcelを監視し、充電用スイッチング電源回路64に対し、
図2に示した充電制御パターンに従い、充電電圧及び充電電流を制御させる。
【0097】
次に、S150,S160にて、充電用スイッチング電源回路64による充電制御を開始させると、S170に移行し、上述したS120と同様、バッテリ16のセル電圧Vcel及びセル温度Tcelを取得し、S180に移行する。
【0098】
S180では、上述したS140と同様、セル温度Tcelが60°C以上、或いは、0°C以下、であるか否かを判定する。そして、S180にて、セル温度Tcelが60°C以上、或いは、0°C以下、であると判定すると、バッテリ16への充電中にセル温度Tcelが適正温度範囲から外れたので、S185に移行し、制御回路60の動作モードを充電完了モードに設定する。
【0099】
この結果、上述したS135の処理実行時と同様、充電器50に接続されるバッテリパック10が交換されるまで、充電制御判定処理が停止される。従って、バッテリ16への充電が適正温度範囲外で実施されて、バッテリ16が劣化するのを抑制することができる。
【0100】
次に、S180にて、セル温度Tcelが0°Cから60°Cまでの適正温度範囲内にあると判定されると、S190に移行して、上述したS130と同様、セル電圧Vcelが充電領域に達しているか否かを判定する。
【0101】
そして、S190にて、セル電圧Vcelが充電領域に達していると判定されると、S200に移行して、制御回路60の動作モードを充電完了モードに設定する。また、この場合、バッテリ16が充電用スイッチング電源回路64からの充電により満充電状態になっているので、S210に移行して、充電用スイッチング電源回路64からの充電電流の出力を停止(オフ)させる。
【0102】
次に、続くS220では、バッテリパック10が充電器50から外され、バッテリパック10の接続が解除されたか否かを判定することにより、バッテリパック10が充電器50から外されるのを待機する。そして、S220にて、バッテリパック10が充電器50から外されたと判定されると、充電制御判定処理を終了する。
【0103】
上記のように、充電器50においては、信号入力端子55から入力される温度検出信号の電圧値Vsから、バッテリパック10内のバッテリ16のセル温度Tcelを検知し、そのセル温度Tcelに応じて、充電電圧及び充電電流を制御する。
【0104】
これに対し、バッテリパック10の第1温度検出回路40は、
図4に実線で示す、第1スイッチSW1がオン状態であるときの抵抗-温度特性が、充電器50におけるセル温度の検知特性と対応するように設定されている。
【0105】
また、第1抵抗器44の抵抗値R1は、第1スイッチSW1がオン状態からオフ状態に切り替えられると、第1温度検出回路40の抵抗値Rsが上昇して、第1温度検出回路40の抵抗-温度特性が、
図4に点線で示すように変化するよう設定されている。
【0106】
また、第1スイッチSW1がオフ状態であるときの第1温度検出回路40の抵抗-温度特性は、セル温度が10°C以下であるときの抵抗値Rsが、充電器50にて認識される適正温度範囲の下限温度:0°Cの抵抗値よりも大きくなるように設定されている。
【0107】
次に、バッテリパック10の制御回路30は、
図5に示すように、第2温度検出回路34にて検出されたセル温度Tcelが10°C以上である場合には、第1スイッチSW1をオン状態にするよう構成されている。
【0108】
また、制御回路30は、セル温度Tcelがバッテリ温度が10°Cよりも低く、且つ、セル電圧検出回路32にて検出されたセル電圧Vcelが3.9Vよりも高いときには、第1スイッチSW1をオフ状態に切り替えるように構成されている。
【0109】
従って、バッテリ16のセル温度Tcelが10°Cよりも低く、且つ、セル電圧検出回路32にて検出されたセル電圧Vcelが3.9Vよりも高い領域では、充電器50は、バッテリ温度が0°Cよりも低いと認識し、充電を停止することになる。
【0110】
このため、本実施形態のバッテリパック10によれば、バッテリ温度が0°Cから10°Cまでの低温領域にあるとき、セル電圧Vcelが3.9Vから4.1Vの電圧範囲内にあれば、充電器50による充電を強制的に停止させることができる。なお、本実施形態において、セル温度Tcelの10°Cは、「実施形態の総括」に記載の第1温度の一例に相当する。
【0111】
次に、第1スイッチSW1のオン・オフ状態を切り替えるために、バッテリパック10の制御回路30にて実行される第1スイッチの切り替え制御処理について、
図6にフローチャートに沿って説明する。
【0112】
図6に示す切り替え制御処理は、バッテリパック10が充電器50などの外部機器に接続されているときに、制御回路30において実行される処理である。
この切り替え制御処理が開始されると、まずS310にて、第1スイッチSW1をオン状態にして、S320に移行する。S320では、セル電圧検出回路32及び第2温度検出回路34を介して、セル電圧Vcel及びセル温度Tcelを検出する。そして、続くS330では、電流検出回路36からの検出信号に基づき、充電器50からバッテリパック10に充電電流が供給されているか否かを判定する。
【0113】
なお、電流検出回路36は、バッテリ16の負極と第2電源端子22との間の通電経路上に設けられており、バッテリ16からの放電電流も検出できる。このため、S330では、電流検出回路36により検出された電流の方向から、充電電流が流れているか否かを判定する。
【0114】
S330にて、充電電流は流れていない、つまり、充電器50からバッテリ16への充電中ではない、と判定されると、S320に移行することで、充電器50からバッテリ16への充電が開始されるのを待機する。
【0115】
一方、S330にて、充電電流は流れていると判定されると、S340に移行して、S320にて検出したセル温度Tcelが10°C未満であり、且つ、S320にて検出したセル電圧Vcelが3.9Vを越えているか否かを判定する。
【0116】
そして、S340にて、肯定判定された場合、つまり、Tcel<10°C、且つ、Vcel>3.9Vである場合には、S350に移行して、第1スイッチSW1をオフ状態に切り替え、切り替え制御処理を終了する。
【0117】
また、S340にて、否定判定された場合、つまり、セル温度Tcel≧10°Cであるか、或いは、Vcel≦3.9Vである場合には、S320に移行し、S320以降の処理を再度実行する。
【0118】
以上説明したように、本実施形態のバッテリパック10においては、Tcel<10°C、且つ、Vcel>3.9Vという切り替え条件が成立しているときに、第1スイッチSW1をオン状態からオフ状態に切り替える。
【0119】
第1スイッチSW1をオフ状態に切り替えたときに充電器50にて認識されるバッテリ温度は、
図4、
図5に示したように、0°Cよりも低い温度となることから、充電器50はバッテリ16への充電を停止する。
【0120】
従って、本実施形態のバッテリパック10によれば、Tcel<10°C、且つ、Vcel>3.9Vという切り替え条件下で、充電器50によるバッテリ温度に対する充電制御を強制的に停止させることができる。
【0121】
よって、本実施形態のバッテリパック10によれば、内蔵したバッテリ16の特性に応じて、充電器50がバッテリ16への充電を制御する際の制御特性を調整できるようになり、充電によりバッテリ16が劣化するのをより良好に抑制することができる。
【0122】
なお、本実施形態では、第1スイッチSW1をオン状態からオフ状態に切り替える切り替え条件として、セル温度Tcelとセル電圧Vcelを設定しているが、セル温度Tcelだけ、或いは、セル電圧Vcelだけを、切り替え条件として設定することもできる。
【0123】
[第1変形例]
上記第1実施形態においては、セル温度Tcelが10°C未満で、セル電圧Vcelが3.9Vを越えているときに、第1スイッチSW1をオン状態からオフ状態に切り替えて、充電器50に対し、バッテリ16への充電を停止させるものとして説明した。
【0124】
これに対し、本第1変形例では、
図7に示すように、第2温度検出回路34にて検出されたセル温度Tcelが10°C~15°Cの温度範囲内にあるとき、第1スイッチSW1をオフ状態にして、充電器50が認識するセル温度Tcelを低温領域に切り替える。
【0125】
この結果、充電器50は、
図8に示すように、セル温度Tcelが10°C~15°Cの温度範囲内にあるときには、セル温度Tcelが低温領域にあると認識して、バッテリ16への充電電圧及び充電電流を、通常温度領域に比べて低下させることになる。
【0126】
従って、第1変形例のバッテリパック10によれば、セル温度Tcelが通常温度領域にあっても、15°Cを下回ると、充電器50に対し、充電電圧及び充電電流を低下させて、バッテリ16への充電を緩やかに実施させることができる。
【0127】
よって、第1変形例のバッテリパック10においても、内蔵したバッテリ16の特性に応じて、充電器50がバッテリ16への充電を制御する際の制御特性を調整できるようになり、上述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0128】
なお、本第1変形例において、制御回路30は、
図9に示す手順で、切り替え制御処理を実行する。
すなわち、本第1変形例の切り替え制御処理においては、まずS410にて、第1スイッチSW1をオン状態にし、続くS420にて、第2温度検出回路34を介して、セル温度Tcelを検出する。
【0129】
そして、続くS430では、上記S330と同様、電流検出回路36からの検出信号に基づき、充電器50からバッテリパック10に充電電流が供給されているか否かを判定する。
【0130】
S430にて、充電電流は流れていないと判定されると、充電器50からバッテリ16への充電は実施されていないので、S420に移行して、充電器50からバッテリ16への充電が開始されるのを待機する。
【0131】
一方、S430にて、充電電流は流れていると判定されると、S440に移行して、S420にて検出したセル温度Tcelが10°C以上15°C未満の電圧範囲内にあるか否かを判定する。
【0132】
そして、S440にて、肯定判定された場合、つまり、10°C≦Tcel<15°Cである場合には、S450に移行して、第1スイッチSW1をオフ状態にして、S420に移行する。
【0133】
また、S440にて、否定判定された場合、つまり、Tcel<10°C、或いは、Tcel≧15°Cである場合には、第1スイッチSW1をオン状態にして、S420に移行する。
【0134】
従って、本第1変形例によれば、制御回路30が上記切り替え制御処理を実行することにより、セル温度Tcelが10°C~15°Cの範囲内にあるとき、第1スイッチSW1をオフ状態にして充電器50が認識するセル温度Tcelを低温領域にすることができる。なお、本第1変形例において、セル温度Tcelの10°C~15°Cは、「実施形態の総括」に記載の第3温度の一例に相当する。
【0135】
[第2実施形態]
本第2実施形態のバッテリパック10は、第1実施形態のバッテリパック10と基本構成は同じであり、第1実施形態と異なる点は、第1温度検出回路40の構成、及び、制御回路30にて実行される切り替え制御処理である。そこで、本第2実施形態では、この相違点について詳しく説明し、他の構成については説明を省略する。
【0136】
図10に示すように、本実施形態の第1温度検出回路40は、第1端子40Aと、第2端子40Bと、温度検出素子42と、第1抵抗器44と、を備える。温度検出素子42と第1抵抗器44とは、直列接続されており、その直列回路の両端に第1端子40A及び第2端子40Bがそれぞれ接続されている。
【0137】
第1温度検出回路40には、第1抵抗器44に対し並列接続された2つの電流経路、即ち、第2電流経路40D及び第3電流経路40Eが備えられている。そして、第2電流経路40D上には、第1実施形態と同様、第1スイッチSW1が設けられている。また、第3電流経路40E上には、第2抵抗器46と第2スイッチSW2が設けられている。なお、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は、例えば、FETなどの半導体スイッチにて構成される。
【0138】
第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオフ状態であるとき、第1,第2電流経路40D,40Eは、それぞれ遮断される。このため、第1端子40Aと第2端子40Bとの間の抵抗値Rs(換言すれば第1温度検出回路40の抵抗値Rs)は、温度検出素子42の抵抗値Rmと、第1抵抗器44の抵抗値R1とを加算した抵抗値「Rm+R1」となる。
【0139】
これに対し、第1スイッチSW1がオン状態、第2スイッチSW2がオフ状態であるときには、第2電流経路40Dが導通するため、第1温度検出回路40の抵抗値Rsは、温度検出素子42の抵抗値Rmとなる。従って、このときの第1温度検出回路40の抵抗値Rsは、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオフ状態であるときに比べて小さくなる。
【0140】
また、第1スイッチSW1がオフ状態、第2スイッチSW2がオン状態であるときには、第3電流経路40Eが導通するため、第1温度検出回路40の抵抗値Rsは、温度検出素子42と第1抵抗器44と第2抵抗器46との合成抵抗値となる。
【0141】
この合成抵抗値は、第2抵抗器46の抵抗値をR2とすると、Rs=Rm+R1・R2/(R1+R2)となる。従って、このときの第1温度検出回路40の抵抗値Rsは、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオフ状態であるときに比べて小さくなり、第1スイッチSW1がオン状態、第2スイッチSW2がオフ状態であるときに比べて大きくなる。
【0142】
このため、
図11に点線で示すように、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオフ状態であるときの第1温度検出回路40の抵抗-温度特性(以下、第3抵抗温度特性という)は、温度に対する抵抗値が最も大きくなる。
【0143】
また、第1スイッチSW1がオフ状態、第2スイッチSW2がオン状態であるときの第1温度検出回路40の抵抗-温度特性(以下、第2抵抗温度特性という)は、
図11に一点鎖線で示すように、第3抵抗温度特性に比べて、温度に対する抵抗値が小さくなる。
【0144】
また、第1スイッチSW1がオン状態であるときの第1温度検出回路40の抵抗-温度特性(以下、第1抵抗温度特性という)は、
図11に実線で示すように、第1スイッチSW1のオン・オフ状態にかかわらず、温度に対する抵抗値が最も小さくなる。
【0145】
これに対し、充電器50におけるセル温度の検知特性は、
図11に実線で示す、第1スイッチSW1がオン状態であるときの第1抵抗温度特性に対応して設定されている。このため、第1実施形態と同様、第1スイッチSW1がオン状態からオフ状態に切り替えられると、充電器50において認識されるバッテリ温度が低下する。
【0146】
また、第1スイッチSW1がオフ状態であるとき、第2スイッチSW2がオフ状態である場合には、第2スイッチSW2がオン状態である場合に比べて、充電器50において認識されるバッテリ温度は更に低下する。
【0147】
また、充電器50は、
図12に示すように、第1実施形態と同様の充電制御パターンに従い充電電圧及び充電電流を制御する。そして、制御回路30は、第2温度検出回路34にて検出されたバッテリ温度が、充電制御パターンに対応した充電可能温度範囲0°C~60°内にあるときには、原則として、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態にするよう構成されている。
【0148】
また、制御回路30は、バッテリ温度が10°C~15°Cの温度範囲内で、セル電圧検出回路32にて検出されたセル電圧Vcelが3.9Vを越えている場合には、第1スイッチSW1をオフ状態、第2スイッチSW2をオン状態に切り替える。
【0149】
この結果、バッテリ温度が10°C~15°Cの温度範囲内にある、かつセル電圧検出回路32にて検出されたセル電圧Vcelが3.9Vを越えているときには、第1温度検出回路40の抵抗-温度特性が第2抵抗温度特性に切り替えられる。そして、この第2抵抗温度特性は、バッテリ温度が10°C~15°Cの温度範囲内にあるとき、充電器50は、バッテリ温度が0°C~10°Cの低温領域にあると認識するように設定されている。
【0150】
従って、バッテリ温度が10°C~15°Cの温度範囲内にある、かつセル電圧検出回路32にて検出されたセル電圧Vcelが3.9Vを越えているとき、制御回路30が第1スイッチSW1をオフ状態、第2スイッチSW2をオン状態に切り替えることにより、充電器50は、バッテリ16への充電電圧及び充電電流を低下させるようになる。
【0151】
よって、本第2実施形態のバッテリパック10によれば、セル温度Tcelが通常温度領域にあっても、15°Cを下回る、かつセル電圧検出回路32にて検出されたセル電圧Vcelが3.9Vを上回ると、充電器50に対し、充電電圧及び充電電流を低下させて、バッテリ16への充電を緩やかに実施させることができるようになる。
【0152】
また、制御回路30は、バッテリ温度が5°C未満で、セル電圧検出回路32にて検出されたセル電圧Vcelが3.9Vを越えている場合には、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の両方をオフ状態に切り替える。この結果、第1温度検出回路40の抵抗-温度特性は、第3抵抗温度特性に切り替えられる。
【0153】
この第3抵抗温度特性は、バッテリ温度が5°C未満であるとき、充電器50は、バッテリ温度が0°未満の充電停止温度領域にあると認識するように設定されている。従って、バッテリ温度が5°C未満でセル電圧Vcelが3.9Vを越えているときには、充電器50は、バッテリ16への充電を停止するようになる。
【0154】
よって、本第2実施形態のバッテリパック10によれば、セル温度Tcelが、充電器50が低温領域と認識する温度範囲内にあっても、5°Cを下回ると、充電器50に対し充電を停止させることができるようになる。
【0155】
このため、本第2実施形態のバッテリパック10によれば、上述した第1変形例及び第2実施形態のバッテリパック10と同様の効果を得ることができる。
なお、本第2実施形態において、制御回路30は、
図13に示す手順で、切り替え制御処理を実行する。
【0156】
すなわち、本第2実施形態の切り替え制御処理においては、まずS510にて、第1スイッチSW1をオン状態、第2スイッチSW2をオフ状態にし、S520に移行する。S520では、セル電圧検出回路32及び第2温度検出回路34を介して、セル電圧Vcel及びセル温度Tcelを検出する。そして、続くS530では、電流検出回路36からの検出信号に基づき、充電器50からバッテリパック10に充電電流が供給されているか否かを判定する。
【0157】
S530にて、充電電流は流れていないと判定されると、充電器50からバッテリ16への充電は実施されていないので、S520に移行して、充電器50からバッテリ16への充電が開始されるのを待機する。
【0158】
次に、S530にて、充電電流は流れていると判定されると、S540に移行して、S520にて検出したセル温度Tcelが10°C~15°Cの範囲内であり、且つ、S520にて検出したセル電圧Vcelが3.9Vを越えているか否かを判定する。
【0159】
そして、S540にて、肯定判定された場合、つまり、10°C≦Tcel<15°C、且つ、Vcel>3.9Vである場合には、S550に移行して、第1スイッチSW1をオフ状態、第2スイッチSW2をオン状態に切り替え、S520に移行する。
【0160】
なお、S550では、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2とが同時にオフ状態になることのないよう、第2スイッチSW2をオン状態に切り替えた後、第1スイッチSW1をオフ状態に切り替える。
【0161】
また、S540にて、否定判定された場合、つまり、セル温度Tcelが10°C~15°Cの温度範囲外にある場合、或いは、セル電圧Vcelが3.9V以下である場合、には、S560に移行する。
【0162】
そして、S560では、S520にて検出したセル温度Tcelが5°C未満であり、且つ、S520にて検出したセル電圧Vcelが3.9Vを越えているか否かを判定する。S560にて、肯定判定された場合、つまり、Tcel<5°C、且つ、Vcel>3.9Vである場合には、S570に移行して、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の両方をオフ状態に切り替え、S520に移行する。
【0163】
また、S560にて、否定判定された場合、つまり、セル温度Tcelが5°以上である場合、或いは、セル電圧Vcelが3.9V以下である場合には、S580に移行する。そして、S580では、第1スイッチSW1をオン状態、第2スイッチSW2をオフ状態に切り替え、S520に移行する。この場合も第1スイッチSW1と第2スイッチSW2とが同時にオフ状態になることのないよう、SW1をオン状態に切り替えた後、第2スイッチSW1をオフ状態に切り替える。
【0164】
なお、本実施形態において、セル温度Tcelの5°Cは、「実施形態の総括」に記載の第1温度の一例に相当し、セル温度Tcelの10°C~15°Cは、「実施形態の総括」に記載の第2温度の一例に相当する。
【0165】
[第2変形例]
上記第2実施形態では、制御回路30にて実行される
図13の切り替え制御処理において、S540及びS560の判定処理にて、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の切り替え判定を行うものとして説明した。
【0166】
これに対し、本第2変形例の切り替え制御処理においては、
図14に示すように、S530にて、充電電流は流れていると判定されると、S532に移行し、S520にて検出したセル温度Tcelが15°C以上であるか否かを判定する。
【0167】
そして、S532にて、セル温度Tcelが15°C以上であると判定されると、S534に移行して、第1スイッチSW1をオン状態、第2スイッチSW2をオフ状態に切り替えて、S520に移行する。
【0168】
一方、S532にて、セル温度Tcelが15°C未満であると判定されると、S540に移行して、
図13に示した第2実施形態の切り替え制御処理と同様に、S540以降の処理を実行する。
【0169】
本第2変形例によれば、制御回路30が実行する切り替え制御処理によって、セル温度Tcelが15°C以上であるときに、第1スイッチSW1を速やかにオン状態に切り替え、第1温度検出回路40の抵抗-温度特性を第1抵抗温度特性に戻すことができる。
【0170】
[第3実施形態]
本第3実施形態のバッテリパック10は、第1,第2実施形態のバッテリパック10と基本構成は同じであり、第1,第2実施形態と異なる点は、第1温度検出回路40の構成、及び、制御回路30にて実行される切り替え制御処理である。そこで、本第3実施形態では、この相違点について詳しく説明し、他の構成については説明を省略する。
【0171】
図15に示すように、本実施形態の第1温度検出回路40は、第1端子40Aと、第2端子40Bと、第1電流経路40Cと、第2電流経路40Dと、温度検出素子42と、第1抵抗器44と、第3抵抗器48と、を備える。
【0172】
第1電流経路40C及び第2電流経路40Dは、それぞれ、第1端子40Aと第2端子40Bとを接続するよう、互いに並列に接続されている。そして、第1電流経路40C上には、温度検出素子42と第1抵抗器44が直列に設けられ、第2電流経路40D上には、第3抵抗器48と第1スイッチSW1が直列に設けられている。
【0173】
このため、第1スイッチSW1がオフ状態であるとき、第2電流経路40Dは遮断され、第1温度検出回路40の抵抗値Rsは、温度検出素子42の抵抗値Rmと第1抵抗器44の抵抗値R1とを加算した抵抗値「Rm+R1」となる。
【0174】
これに対し、第1スイッチSW1がオン状態であるときには、第2電流経路40Dが導通するため、第1温度検出回路40の抵抗値Rsは、温度検出素子42と第1抵抗器44と第3抵抗器48との合成抵抗値となる。
【0175】
この合成抵抗値は、第3抵抗器48の抵抗値をR3とすると、Rs=R3・(Rm+R1)/(R3+Rm+R1)となる。従って、このときの第1温度検出回路40の抵抗値Rsは、第1スイッチSW1がオフ状態であるときに比べて小さくなる。
【0176】
このため、
図16に示すように、第1スイッチSW1がオン状態であるときの第1温度検出回路40の抵抗-温度特性は、第1スイッチSW1がオフ状態であるときの抵抗-温度特性に比べ、温度に対する抵抗値が小さくなる。
【0177】
一方、充電器50におけるセル温度の検知特性は、
図16に実線で示す、第1スイッチSW1がオフ状態であるときの抵抗-温度特性に対応して設定されている。このため、第1スイッチSW1がオフ状態からオン状態に切り替えられると、第1温度検出回路40の抵抗値Rsが低下し、充電器50において認識されるバッテリ温度が上昇する。
【0178】
また、充電器50は、
図17に示すように、第1,第2実施形態と同様の充電制御パターンに従い充電電圧及び充電電流を制御する。
そして、本第3実施形態では、バッテリパック10の制御回路30は、通常、第1スイッチSW1をオフ状態に制御する。また、制御回路30は、第2温度検出回路34にて検出されたバッテリ温度が40°C~45°Cの温度範囲内であるとき、第1スイッチSW1をオン状に切り替える。
【0179】
この結果、バッテリ温度が40°C~45°Cの温度範囲内にあるときには、第1温度検出回路40の抵抗-温度特性が、温度に対する抵抗値が小さい、
図16に点線で示す抵抗-温度特性に切り替えられる。
【0180】
この抵抗-温度特性は、バッテリ温度が40°C~45°Cの温度範囲内にあるとき、充電器50は、バッテリ温度が45°C~60°Cの高温領域にあると認識するように設定されている。
【0181】
従って、バッテリ温度が40°C~45°Cの温度範囲内にあるとき、制御回路30が第1スイッチSW1をオフ状態からオン状態に切り替えることにより、充電器50は、バッテリ16への充電電圧及び充電電流を低下させるようになる。
【0182】
よって、本第3実施形態のバッテリパック10によれば、セル温度Tcelが通常温度領域にあっても、40°Cを越えると、充電器50に対し、充電電圧及び充電電流を低下させて、バッテリ16への充電を緩やかに実施させることができるようになる。
【0183】
このため、本実施形態のバッテリパック10においても、上述した第1,第2実施形態のバッテリパック10と同様、内蔵したバッテリ16の特性に応じて、充電器50がバッテリ16への充電を制御する際の制御特性を調整できるようになる。
【0184】
なお、本第3実施形態において、制御回路30は、
図18に示す手順で、切り替え制御処理を実行する。
すなわち、本第3実施形態の切り替え制御処理においては、まずS610にて、第1スイッチSW1をオフ状態にし、S620に移行する。
【0185】
次に、S620では、第2温度検出回路34を介してセル温度Tcelを検出し、続くS630にて、電流検出回路36からの検出信号に基づき、充電器50からバッテリパック10に充電電流が供給されているか否かを判定する。
【0186】
S630にて、充電電流は流れていないと判定されると、充電器50からバッテリ16への充電は実施されていないので、S620に移行して、充電器50からバッテリ16への充電が開始されるのを待機する。
【0187】
次に、S630にて、充電電流は流れていると判定されると、S640に移行して、S620にて検出したセル温度Tcelが40°C~45°Cの範囲内であるか否かを判定する。S640にて、肯定判定された場合、つまり、10°C≦Tcel<15°Cである場合には、S650に移行して、第1スイッチSW1をオン状態に切り替え、S620に移行する。
【0188】
また、S640にて、否定判定された場合、つまり、セル温度Tcelが10°C~15°Cの温度範囲外にある場合には、S660に移行する。そして、S660では、第1スイッチSW1をオン状態に切り替え、S620に移行する。
【0189】
なお、本実施形態において、セル温度Tcelの40°C~45°Cは、「実施形態の総括」に記載の第4温度の一例に相当する。
[第3変形例]
上記第1実施形態~第3実施形態では、バッテリパック10が充電器50に接続されているとき、第1スイッチSW1若しくは第2スイッチSW2のオン・オフ状態を切り替えることで、充電器50による充電の制御特性を調整できるようにした。
【0190】
これに対し、バッテリパック10が電動工具などの電気機器に接続されているときに、第1スイッチSW1若しくは第2スイッチSW2のオン・オフ状態を切り替えることで、バッテリパック10から電気機器への放電特性を調整できるようにすることもできる。
【0191】
そこで、本第3変形例では、
図15に示した第3実施形態のバッテリパック10に、外部機器として電動工具80が接続された際に、制御回路30が第1スイッチSW1のオン・オフ状態を切り替えて、外部機器への放電特性を調整する場合について説明する。
【0192】
バッテリパック10に接続される電動工具80は、例えば、
図19に示すように構成される。すなわち、電動工具80は、正極端子81と、負極端子82と、信号入力端子85と、を備えている。バッテリパック10が電動工具80に装着されると、第1電源端子21と正極端子81、第2電源端子22と負極端子82、信号出力端子25と信号入力端子85、が電気的に導通する。
【0193】
また、電動工具80は、トリガスイッチ86と、モータ88と、通電制御スイッチ89と、制御回路90と、電圧検出回路91と、検出信号入力回路92と、スイッチ検出回路95と、電源回路96と、スイッチ制御回路98と、を備える。
【0194】
トリガスイッチ86は、正極端子81からモータ88を経て負極端子72に至る通電経路において、モータ88の上流側に設けられている。また、この通電経路において、モータ88の下流側には、通電制御スイッチ89が設けられている。トリガスイッチ86は、電動工具の使用者により操作されるスイッチである。通電制御スイッチ89は、例えば、FETなどの半導体スイッチにて構成される。
【0195】
電動工具80にバッテリパック10が接続されている状態で、トリガスイッチ86がオンされると、バッテリ16の電圧(バッテリ電圧)がトリガスイッチ86を介して電源回路96及びスイッチ検出回路95に入力される。
【0196】
電源回路96は、バッテリ電圧を降圧して、電動工具80内の電源電圧(直流定電圧)Vddを生成する。そして、その生成された電源電圧Vddは、制御回路90や検出信号入力回路92など、電動工具80の内部回路に供給される。また、スイッチ検出回路95は、バッテリ電圧が入力されることにより、トリガスイッチ86の操作状態を検出し、その検出結果を示す信号を制御回路90へ出力する。
【0197】
次に、電圧検出回路91は、正極端子81に接続されている。電圧検出回路91は、バッテリパック10から正極端子81に入力されたバッテリ電圧を検出し、そのバッテリ電圧を示す信号を制御回路90へ出力する。
【0198】
検出信号入力回路92は、充電器50の検出信号入力回路57と同様、第2抵抗器としてプルアップ抵抗器93と、フィルタ94とを備える。プルアップ抵抗器93は、電源電圧Vddを信号入力端子85に印加することで、バッテリパック10内の第1温度検出回路40から温度検出信号を入力する。また、フィルタ84は、温度検出信号から雑音成分を除去して、制御回路90に出力する。
【0199】
制御回路90は、バッテリパック10の制御回路30と同様、CPU,ROM,RAMなどを含むマイコンを備える。制御回路90は、スイッチ検出回路95からの入力信号によりトリガスイッチ86がオンされたことを検出すると、モータ88を所定回転速度にて回転させるべく、駆動指令をスイッチ制御回路98へ出力する。
【0200】
駆動指令は、デューティ比を示す指令である。スイッチ制御回路98は、制御回路90から駆動指令が入力されると、その駆動指令が示すデューティ比にて通電制御スイッチ89をオン・オフさせることで、モータ88を駆動する。
【0201】
なお、スイッチ制御回路98から通電制御スイッチ89に至る駆動信号の出力経路には、入力抵抗器99が設けられている。また、モータ88は、本実施形態ではブラシ付き直流モータであるが、これはあくまでも一例である。
【0202】
モータ88が回転すると、その回転駆動力によって、図示しない工具要素が動作し、これにより電動工具80としての機能が発揮される。トリガスイッチ86がオフされると、制御回路90は駆動指令の出力を停止し、これにより通電制御スイッチ89がオフ状態となって、モータ88が停止する。
【0203】
また、制御回路90は、トリガスイッチ86がオンされてモータ88を駆動させている間、即ちバッテリ16からモータ88へ電力が供給されてモータ88が駆動されている間、温度保護制御を実行する。
【0204】
つまり、制御回路90は、検出信号入力回路92から入力される温度検出信号の電圧値Vsが予め設定されたモータ停止電圧閾値以下となった場合に、通電制御スイッチ89をオフさせて、バッテリ16からモータ88への放電を強制的に停止させる。
【0205】
そして、電動工具80のモータ停止電圧閾値は、バッテリ16の種類とは無関係に設定されている。つまり、電動工具80の制御回路90は、温度検出信号の電圧値Vsに基づき、バッテリ16の種類を識別することなく、温度保護制御を実行する。
【0206】
また、制御回路90は、電圧検出回路91にて検出されたバッテリ電圧に基づいて、バッテリ16の種類とは無関係に、過放電保護制御を実行する。つまり、制御回路80は、モータ88の駆動中に、バッテリ電圧が過放電判定用の所定電圧以下になると、バッテリパック10が過放電状態になったと判定して、通電制御スイッチ89をオフさせる、過放電保護制御を実行する。
【0207】
一方、バッテリパック10の制御回路30は、バッテリ16から電動工具80への放電が開始されると、バッテリ16の状態を監視し、バッテリ16の状態が予め設定された過放電状態に達すると、第1スイッチSW1をオフ状態からオン状態に切り換える。
【0208】
すなわち、本第3変形例において、制御回路30は、例えば、
図20に示す手順で、切り替え制御処理を実行する。
図20に示す切り替え制御処理においては、まずS710にて、第1スイッチSW1をオフ状態にし、S720に移行する。S720では、セル電圧検出回路32を介してセル電圧Vcelを検出する。
【0209】
次に、S730では、電流検出回路36からの検出信号に基づき、バッテリ16から外部機器に向けて放電電流が流れているか否かを判定する。つまり、S730では、バッテリパック10に接続された電動工具80のモータ88が駆動されて、バッテリ16からモータ88に放電電流が流れているか否かを判定する。
【0210】
S730にて、放電電流は流れていないと判定されると、電動工具80のモータ88は駆動されていないので、S720に移行して、モータ88の駆動が開始されるのを待機する。
【0211】
一方、S730にて、放電電流は流れていると判定されると、S740に移行し、S720にて検出したセル電圧Vcelが、予め設定された過放電判定用の電圧値、例えば3V未満であるか否かを判定する。そして、セル電圧Vcelが3V以上であれば、S720に移行し、セル電圧Vcelが3V未満であれば、S750にて、第1スイッチSW1をオン状態に切り替え、切り替え制御処理を終了する。
【0212】
S750にて、第1スイッチSW1をオン状態に切り換えると、第1温度検出回路40の抵抗値Rs、延いては電圧検出信号の電圧値Vsが低下するため、電動工具80側で認識されるバッテリ温度が上昇して、モータ88への放電が強制的に停止される。
【0213】
よって、本第3変形例のバッテリパック10によれば、バッテリ16から電動工具80に放電電流が流れているとき、電動工具80にて認識される電圧及び温度が放電を継続可能であっても、内蔵したバッテリ16の特性に応じて、放電を強制的に停止させることができる。
【0214】
つまり、本第3変形例では、バッテリ16からの放電時にセル電圧Vsが所定電圧まで低下すると、バッテリパック10の制御回路30が、バッテリ16からの放電を強制的に停止させる。従って、バッテリ電圧が電動工具80側の過放電判定閾値よりも高い場合であっても、バッテリパック10は、バッテリ16の特性に応じて、過放電保護制御を実施することができる。
【0215】
なお、制御回路30は、バッテリ16のセル温度Vcelや放電電流の電流値が所定の閾値を越えたときに、第1スイッチSW1をオン状態に切り替えて、放電を強制的に停止させるように構成されてもよい。
【0216】
[参考例]
上記第1~第3実施形態及び第1~第3変形例に記載のバッテリパック10によれば、第1温度検出回路40内の第1スイッチSW1や第2スイッチSW2のオン・オフ状態を切り替えることで、第1温度検出回路40の抵抗値Rsを変化させることができる。
【0217】
そして、その抵抗値Rsを変化させることで、充電器50や電動工具80などの外部機器にて認識されるバッテリ温度(セル温度Vcel)を変化させて、バッテリパック10内のバッテリ16の特性に応じて、外部機器による保護機能を働かせることができる。
【0218】
従って、第1温度検出回路40は、第2温度検出回路34にて検出されたセル温度Tcel、或いは、セル電圧検出回路32にて検出されたセル電圧Vcelに応じて、抵抗値Rsを変化させるようにしても、外部機器による保護機能を働かせることが可能となる。
【0219】
そこで、本開示の参考例として、第1温度検出回路40を、4つの抵抗器71,72,73,74と、3つのスイッチSW1,SW2,SW3にて構成したバッテリパック10について説明する。
【0220】
本参考例のバッテリパック10は、上記実施形態のバッテリパック10と基本構成は同じであり、上記実施形態と異なる点は、第1温度検出回路40の構成、及び、制御回路30にて実行される切り替え制御処理である。
【0221】
図21に示すように、第1温度検出回路40の第1端子40Aと第2端子40Bとの間には、4つの抵抗器71,72,73,74がそれぞれ並列に接続されている。そして、抵抗器74の両端は、通電経路を介して第1端子40Aと第2端子40Bとに直接接続されている。これに対し、抵抗器74に並列接続される抵抗器71,72,73の通電経路上には、それぞれ、スイッチSW1,SW2,SW3が設けられている。
【0222】
抵抗器71,72,73,74の抵抗値は、R1,R2,R3,R4であり、各抵抗値R1~R4は、次のように設定されている。
すなわち、抵抗器R4の抵抗値R4は、3つのスイッチSW1~SW3が全てオフ状態であるとき、第1温度検出回路40の抵抗値Rsが、温度検出信号から充電器50が認識する温度が5°Cとなるように設定されている。
【0223】
また、抵抗器R1の抵抗値R1は、スイッチSW1がオン状態、他のスイッチSW2,SW3がオフ状態であるとき、第1温度検出回路40の抵抗値Rsが、温度検出信号から充電器50が認識する温度が30°Cとなるように設定されている。
【0224】
また、抵抗器R2の抵抗値R2は、スイッチSW2がオン状態、他のスイッチSW1,SW3がオフ状態であるとき、第1温度検出回路40の抵抗値Rsが、温度検出信号から充電器50が認識する温度が50°Cとなるように設定されている。
【0225】
また、抵抗器R3の抵抗値R3は、スイッチSW3がオン状態、他のスイッチSW1,SW2がオフ状態であるとき、第1温度検出回路40の抵抗値Rsが、温度検出信号から充電器50が認識する温度が70°Cとなるように設定されている。
【0226】
なお、スイッチSW1,SW2,SW3は、例えば、FETなどの半導体スイッチにて構成されていて、制御回路30が各スイッチSW1,SW2,SW3のオン・オフ状態を個々に切り替え可能である。
【0227】
次に、本参考例のバッテリパック10に接続される充電器50は、第1実施形態に記載のものと同様に構成され、制御回路60は、温度検出信号に基づき検知したバッテリ温度に応じて、
図22に示す充電制御パターンにて充電制御を実行するものとする。
【0228】
この充電制御パターンは、バッテリ温度が-5°Cから65°Cの範囲内でバッテリ16への充電を行い、バッテリ温度が-5°Cよりも低い、或いは、65°Cよりも高いときには、バッテリ16への充電を停止するように設定されている。
【0229】
また、充電制御パターンは、バッテリ温度が5°Cから50°Cまでの通常温度領域では、バッテリ16のセル電圧Vcelが4.2V、充電電流が5Aとなるよう、充電用スイッチング電源回路64を制御するように設定されている。
【0230】
また、充電制御パターンは、バッテリ温度が-5°Cから5°Cまでの低温領域、或いは、バッテリ温度が50°Cから65°Cまでの高温領域にあるときには、通常温度領域に比べて、充電電圧や充電電流が低くなるように設定されている。
【0231】
例えば、冷温領域では、充電電圧が4.1V、充電電流が1.5Aとなるように充電条件が設定され、高温領域では、充電電圧が4.15V、充電電流が3Aとなるように充電条件が設定されている。
【0232】
本参考例のバッテリパック10においては、充電制御パターンが上記のように設定された充電器50が接続されると、制御回路30が、
図23に示す手順で、切り替え制御処理を実行する。
【0233】
すなわち、本参考例の切り替え制御処理においては、まずS810にて、第2温度検出回路34を介して、バッテリ16のセル温度Tcelを検出し、S820に移行する。そして、S820では、S810にて検出したセル温度Tcelが、-5°Cよりも低い、或いは、65°Cよりも高い、充電停止領域にあるか否かを判定する。
【0234】
S820にて、セル温度Tcelは、充電停止領域にあると判定されると、S830に移行し、第1温度検出回路40内のスイッチSW3をオン状態にし、他のスイッチSW1,SW2をオフ状態にして、S810に移行する。この結果、第1温度検出回路40の抵抗値Rsは、温度検出信号により充電器50にて認識される温度が70°Cとなり、充電器50は、バッテリ16への充電を停止する。
【0235】
次に、S820にて、セル温度Tcelは充電停止領域にはないと判定されると、S840に移行して、セル温度Tcelは、5°C未満であるか否かを判定する。S840にて、セル温度Tcelが5°C未満であると判定されると、S850に移行して、第1温度検出回路40内の3つのスイッチSW1~SW3を全てオフ状態にし、S810に移行する。
【0236】
つまり、S840にて、セル温度Tcelが5°C未満であると判定された場合、セル温度Tcelは-5°Cから5°Cの低温領域にある。このため、S850では、3つのスイッチSW1~SW3を全てオフ状態にすることで、充電器50にて認識される温度が5°Cとなるように、第1温度検出回路40の抵抗値Rsを設定する。この結果、充電器50は、バッテリ16のセル温度Tcelは低温領域にあると認識して、バッテリ16への充電制御を実施する。
【0237】
次に、S840にて、セル温度Tcelは5°C未満ではないと判定されると、S860に移行して、セル温度Tcelが50°C未満であるか否かを判定する。そして、S860にて、セル温度Tcelは50°C未満であると判定されると、S870に移行して、第1温度検出回路40内のスイッチSW1をオン状態、他のスイッチSW2,SW3をオフ状態にし、S810に移行する。
【0238】
つまり、S860にて、セル温度Tcelが50°C未満であると判定された場合、セル温度Tcelは5°Cから50°Cまでの通常温度領域にある。このため、S870では、スイッチSW1をオン状態、他のスイッチSW2,SW3をオフ状態にすることで、充電器50にて認識される温度が30°Cとなるように、第1温度検出回路40の抵抗値Rsを設定する。この結果、充電器50は、バッテリ16のセル温度Tcelは通常温度領域にあると認識して、バッテリ16への充電制御を実施する。
【0239】
次に、S860にて、セル温度Tcelは50°C未満ではないと判定されると、S880に移行して、第1温度検出回路40内のスイッチSW2をオン状態、他のスイッチSW1,SW3をオフ状態にする。
【0240】
つまり、S860にて、セル温度Tcelが50°C未満ではないと判定された場合、セル温度Tcelは50°Cから65°Cまでの高温領域にある。このため、S880では、スイッチSW2をオン状態、他のスイッチSW1,SW3をオフ状態にすることで、充電器50にて認識される温度が50°Cとなるように、第1温度検出回路40の抵抗値Rsを設定する。この結果、充電器50は、バッテリ16のセル温度Tcelは高温領域にあると認識して、バッテリ16への充電制御を実施する。
【0241】
以上説明したように、本参考例のバッテリパック10においては、制御回路30が、第2温度検出回路34にて検出されたセル温度Tcelに応じて、第1温度検出回路40の抵抗値Rsを切り替えることで、充電器50にて認識されるセル温度Tcelを設定する。
【0242】
従って、本参考例のバッテリパック10においても、上述した第1~第3実施形態のバッテリパック10と同様、内蔵したバッテリ16の特性に応じて、充電器50がバッテリ16への充・放電を制御する際の制御特性を調整できるようになる。また、第1温度検出回路40の抵抗値Rsを切り替えることで、バッテリ16から電動工具80などの外部機器に流れる放電電流についても調整することができるようになる。
【0243】
なお、本参考例では、3つのスイッチSW1~SW3のいずれかひとつをオン状態にすることで、第1温度検出回路40の抵抗値Rsを切り替えるものとしたが、ふたつ以上のスイッチをオン状態にするようにしてもよい。つまり、オン状態にするスイッチの組み合わせにより、第1温度検出回路40の抵抗値Rsを切り替えるようにしても、充電器50にて認識されるセル温度Tcelを任意に設定することができる。
【0244】
[他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。
【0245】
例えば、上記実施形態のバッテリパック10に設けられた第1温度検出回路40の構成は一例であり、第1温度検出回路40内の電流経路、抵抗器、スイッチの数は適宜変更できる。例えば、
図1に示した第1実施形態の第1温度検出回路40において、中間抵抗器43は必ずしも設ける必要はなく、削除されてもよい。
【0246】
また、第1温度検出回路40には、充電器50や電動工具80などの外部機器において、グラウンド電位よりも電源電圧Vdd分だけ電位が高くなる電源ラインに接続されたプルアップ抵抗器58、93を介して、電圧が印加されるものとして説明した。
【0247】
しかし、第1温度検出回路40には、グラウンド電位よりも電源電圧Vcc分だけ電位が高くなるバッテリパック10内の電源ラインから、プルアップ抵抗器を介して電圧が印加されるようにしてもよい。つまり、このようにしても、第1温度検出回路40から外部機器に対し、温度検出信号を出力させることができる。
【0248】
また、第1温度検出回路40から外部機器に温度検出信号を出力させるには、バッテリパック10又は外部機器において負の電源ラインとなるグラウンドに接続されたプルダウン抵抗器を介して、第1温度検出回路4に電圧を印加するようにしてもよい。
【0249】
つまり、第1温度検出回路40の第1端子40Aを、バッテリパック10又は外部機器において電源電圧Vcc又はVddが印加される正の電源ラインに接続し、第2端子40Bには、抵抗(プルダウン抵抗器)を介してグラウンドに接続する。そして、バッテリパック10には、第1温度検出回路40の第2端子40Bに接続された第2信号出力端子を設ける。
【0250】
このようにバッテリパック10を構成しても、充電器50や電動工具80などの外部機器には、第2信号出力端子と、第1信号出力端子である信号出力端子25との間の電圧を、温度検出信号として出力することができるようになる。
【0251】
また、上記各実施形態、変形例或いは参考例において説明した充電器50の充電制御パターンは一例であり、バッテリ温度(セル温度Tcel)に対する充電電圧や充電電流の制御パターンは、任意に設定できる。
【0252】
そして、この場合、バッテリパック10は、充電器50が充電制御パターンに応じて充電制御を実施する際に、第1温度検出回路40からの温度検出信号により認識する温度を、第1温度検出回路40の抵抗値Rsにより調整できるように構成すればよい。
【0253】
また、上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、「実施形態の総括」に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0254】
10…バッテリパック、16…バッテリ、21…第1電源端子、22…第2電源端子、25…信号出力端子、30…制御回路、40…第1温度検出回路、40A…第1端子、40B…第2端子、40C…第1電流経路、40D…第2電流経路、42…温度検出素子、44…第1抵抗器、SW1…第1スイッチ、SW2…第2スイッチ。