(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167190
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】マットレス
(51)【国際特許分類】
A47C 27/15 20060101AFI20231116BHJP
A47C 27/12 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
A47C27/15 B
A47C27/12 E
A47C27/12 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078170
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】507358642
【氏名又は名称】株式会社ルービックJP
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】日野 淳一
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AB04
3B096AB07
3B096AD04
3B096AD07
3B096BA01
(57)【要約】
【課題】マットレスの寝心地を向上させること。
【解決手段】本発明では、横臥する人の身長方向となる前後方向、及び左右方向並びに上下方向に伸延するフィラメント三次元結合体からなるマットレス本体(3)を有するマットレス(1)において、マットレス本体(3)は、フィラメントの密度が異なる上部層(4)と下部層(5)とを設けるとともに、上部層(4)の下面又は/及び下部層の上面(5)を凹凸面又は凹面若しくは凸面とすることにした。また、前記マットレス本体(3)は、上部層(4)の下面又は/及び下部層(5)の上面を曲線的に連続して変化する湾曲状の凹凸面又は凹面若しくは凸面とすることにした。さらに、前記マットレス本体(3)は、上部層(4)の下面と下部層(5)の上面との間にフィラメントの密度を連続して変化させた境界層(6)を設けることにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横臥する人の身長方向となる前後方向、及び左右方向並びに上下方向に伸延するフィラメント三次元結合体からなるマットレス本体を有するマットレスにおいて、
マットレス本体は、フィラメントの密度が異なる上部層と下部層とを設けるとともに、上部層の下面又は/及び下部層の上面を凹凸面又は凹面若しくは凸面としたことを特徴とするマットレス。
【請求項2】
前記マットレス本体は、上部層の下面又は/及び下部層の上面を曲線的に連続して変化する湾曲状の凹凸面又は凹面若しくは凸面としたことを特徴とする請求項1に記載のマットレス。
【請求項3】
前記マットレス本体は、上部層の下面と下部層の上面との間にフィラメントの密度を連続して変化させた境界層を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマットレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横臥する人の身長方向となる前後方向、及び左右方向並びに上下方向に伸延するフィラメント三次元結合体からなるマットレス本体を有するマットレスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、マットレスの内部のクッション材として、横臥する人の身長方向となる前後方向、及び左右方向並びに上下方向に伸延するフィラメント三次元結合体からなるマットレス本体が用いられている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
この従来のマットレスでは、一定高さの下層側のマットレス本体と一定高さの上層側のマットレス本体とを上下に積層し、下層側のマットレス本体よりも上層側のマットレス本体のフィラメントの密度を低くした構成のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来のマットレスでは、横臥する人の身長方向となる前後方向やそれに直交する左右方向では、フィラメントの密度が一定となっている。
【0006】
マットレスに横臥する人は、マットレスの表面(横臥面)での体重分布が身長方向で異なっているにもかかわらず、上記従来のマットレスでは、マットレスの表面(横臥面)でのクッション性が前後方向及び左右方向で均等なものとなっているために、寝心地が良好なものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、横臥する人の身長方向となる前後方向、及び左右方向並びに上下方向に伸延するフィラメント三次元結合体からなるマットレス本体を有するマットレスにおいて、マットレス本体は、フィラメントの密度が異なる上部層と下部層とを設けるとともに、上部層の下面又は/及び下部層の上面を凹凸面又は凹面若しくは凸面とすることにした。
【0008】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記マットレス本体は、上部層の下面又は/及び下部層の上面を曲線的に連続して変化する湾曲状の凹凸面又は凹面若しくは凸面とすることにした。
【0009】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記マットレス本体は、上部層の下面と下部層の上面との間にフィラメントの密度を連続して変化させた境界層を設けることにした。
【発明の効果】
【0010】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0011】
すなわち、本発明では、横臥する人の身長方向となる前後方向、及び左右方向並びに上下方向に伸延するフィラメント三次元結合体からなるマットレス本体を有するマットレスにおいて、マットレス本体は、フィラメントの密度が異なる上部層と下部層とを設けるとともに、上部層の下面又は/及び下部層の上面を平坦面ではなく凹凸面又は凹面若しくは凸面とすることにしているために、マットレスの表面(横臥面)でのクッション性が横臥する人の身長方向で変化させることができ、寝心地を向上させることができる。
【0012】
特に、前記マットレス本体の上部層の下面又は/及び下部層の上面を曲線的に連続して変化する湾曲状の凹凸面又は凹面若しくは凸面とすることにした場合には、横臥する人の身体形状に適したクッション性の変化を現出させることができるために、これによっても、より一層寝心地を向上させることができる。
【0013】
また、前記マットレス本体の上部層の下面と下部層の上面との間にフィラメントの密度を連続して変化させた境界層を設けることにした場合には、クッション性の変化が緩和されるために、より一層寝心地を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】マットレス本体の断面説明図(前後方向の断面(a)、前後端部及び背部の左右方向の断面(b)、頭部の左右方向の断面(c)、腰部の左右方向断面(d))。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係るマットレスの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1~
図3に示すように、マットレス1は、矩形箱型袋状の外装材2の内部にマットレス本体3を収容している。
【0017】
マットレス本体3は、フィラメント三次元結合体によって、横臥する人の身長方向となる前後方向(
図1では左右方向)とそれに直交する左右方向及び上下方向に伸延する矩形板形状に形成されている。ここで、フィラメント三次元結合体は、溶融状態にある複数の熱可塑性樹脂繊維からなるフィラメント同士を立体的なネット状に融着させた後に冷却することで形成される。フィラメントとしては、ポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂材料が用いられる。
【0018】
このマットレス本体3は、上部側に形成される上部層4と下部側に形成される下部層5とを有し、上部層4と下部層5との間に境界層6を一体的に形成している。
【0019】
上部層4は、フィラメント三次元結合体におけるフィラメントの密度が下部層5よりも低くして、上下方向の伸縮率が下部層5よりも高くて柔らかくなるようにしている。
【0020】
また、上部層4は、上面を高さが均一な平坦面とする一方、下面(上部層4の境界面)を平坦面ではなく凹凸面として、前後方向において厚みが異なる形状となっている。
【0021】
下部層5は、フィラメント三次元結合体におけるフィラメントの密度が上部層4よりも高くして、上下方向の伸縮率が上部層4よりも低くて硬くなるようにしている。
【0022】
また、下部層5は、下面を高さが均一な平坦面とする一方、上面(下部層5の境界面)を平坦面ではなく凹凸面として、前後方向において厚みが異なる形状となっている。
【0023】
境界層6は、上面が上部層4の下面(境界面)と同一形状となっており、上部層4の下面と一体的に結合しており、下面が下部層5の上面(境界面)と同一形状となっており、下部層5の上面と一体的に結合している。
【0024】
この境界層6では、上面が上部層4のフィラメントの密度と同一(比較的低密度)となっており、下面が下部層5のフィラメントの密度と同一(比較的高密度)となっていて、上面から下面までの間においてフィラメントの密度を漸次連続的に変化(増加)させている。
【0025】
上記マットレス本体1では、上部層4の下面及び下部層5の上面の形状を横臥する人の身体形状に合わせており、
図3(a)に示すように、下部層5の厚みが、前後端部及び横臥する人の背中に対応する部分で最も厚くし(
図3(b))、横臥する人の背中に対応する部分よりも頭に対応する部分を薄くし(
図3(c))、頭に対応する部分よりも腰に対応する部分を薄くしている(
図3(d))。
【0026】
このように、上記マットレス本体1では、上部層4の下面と下部層5の上面とを同一形状の凹凸面としているが、これに限られず、上部層4の下面と下部層5の上面の形状を異ならせてもよく、また、上部層4の下面や下部層5の上面を凹凸面ではなく凹面や凸面としてもよい。そして、上部層4の下面や下部層5の上面は、側面視で曲線的に連続して変化する湾曲状の凹凸面や凹面や凸面に限られず、側面視で直線的に不連続に変化する平面状の凹凸面や凹面や凸面としてもよい。
【0027】
また、上部層4の下面及び下部層5の上面が平坦面でなければよく、
図4(a)に示すように、上部層4の下面が凹凸面や凹面や凸面で下部層5の上面が平坦面であってもよく、
図4(b)に示すように、上部層4の下面が平坦面で下部層5の上面が凹凸面や凹面や凸面であってもよい。この場合のように、上部層4の下面と下部層5の上面の形状を異ならせ、それに応じて境界層6の厚みを異ならせてもよい。
【0028】
また、上部層4の下面や下部層5の上面を前後方向だけ高さが異なるようにしているが、これに限られず、左右方向にも高さが異なる湾曲面としてもよい。
【0029】
さらに、上部層4の下面と下部層5の上面を同一形状にして上部層4と下部層5とを直接一体的に結合して境界層6を形成しなくてもよい。
【0030】
以上に説明したように、上記マットレス1は、横臥する人の身長方向となる前後方向、及び左右方向並びに上下方向に伸延するフィラメント三次元結合体からなるマットレス本体3を有しており、マットレス本体3は、フィラメントの密度が異なる上部層4と下部層5とを設けるとともに、上部層4の下面又は/及び下部層5の上面を平坦面ではなく凹凸面又は凹面若しくは凸面とする構成となっている。
【0031】
そのため、上記構成のマットレス1では、マットレス1の表面(横臥面)でのクッション性が横臥する人の身長方向で変化させることができ、寝心地を向上させることができる。
【0032】
また、上記マットレス1は、マットレス本体3の上部層4の下面又は/及び下部層5の上面を曲線的に連続して変化する湾曲状の凹凸面又は凹面若しくは凸面とする構成となっている。
【0033】
そのため、上記構成のマットレス1では、横臥する人の身体形状に適したクッション性の変化を現出させることができるために、これによっても、より一層寝心地を向上させることができる。
【0034】
また、上記マットレス1は、マットレス本体3の上部層4の下面と下部層5の上面との間にフィラメントの密度を連続して変化させた境界層6を設けた構成となっている。
【0035】
そのため、上記構成のマットレス1では、境界層6によってクッション性の変化が緩和されるために、より一層寝心地を向上させることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 マットレス
2 外装材
3 マットレス本体
4 上部層
5 下部層
6 境界層