(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167210
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】無人搬送システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20231116BHJP
【FI】
G05D1/02 P
G05D1/02 S
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078207
(22)【出願日】2022-05-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】長末 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】中尾 大樹
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD05
5H301DD15
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
5H301KK02
5H301KK04
5H301KK18
5H301LL08
5H301LL11
5H301LL14
5H301LL16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】無人搬送車を障害物と干渉する前に自動的に停車させつつ、その停車の原因となった障害物の移動作業を周囲の作業者が容易に且つ効率的に行えるようにする。
【解決手段】無人搬送システムは、物体検出センサと、物体検出センサにより検出された物体が、無人搬送車10の走行可能領域に配置された障害物5であるか否かを検出する障害物検出部と、走行予定経路に沿った無人搬送車10の通過予定領域Rを算出する通過領域算出部と、障害物5の位置情報と通過領域算出部により算出された無人搬送車10の通過予定領域Rとを基に、無人搬送車10が障害物5と干渉するか否かを予測する干渉予測部と、干渉予測部により干渉が発生すると予測された場合に、無人搬送車10の走行を停止させる走行制御部と、干渉に関連する干渉関連情報(テーブルT)を算出する干渉情報算出部と、干渉関連情報を報知する報知部62とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人搬送車と、該無人搬送車の走行予定経路を決定する走行経路決定部と、該走行経路決定部により決定された前記走行予定経路に沿って前記無人搬送車を走行させる走行制御部とを備えた無人搬送システムであって、
前記無人搬送車に搭載され、該無人搬送車から所定範囲内に存在する物体を検出するとともに当該物体の位置を特定可能な位置情報を出力する物体検出センサと、
前記物体検出センサにより検出された前記物体が、前記無人搬送車の走行可能領域に配置された障害物であるか否かを検出する障害物検出部と、
前記障害物検出部により前記物体が障害物であると検出された場合に、前記走行予定経路に沿った前記無人搬送車の通過予定領域を算出する通過領域算出部と、
前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサから出力される前記障害物の位置情報とを基に、当該無人搬送車が前記走行予定経路に沿って走行し続けた場合に前記障害物と干渉するか否かを予測する干渉予測部とを備え、
前記走行制御部は、前記干渉予測部により前記干渉が発生すると予測された場合に、前記無人搬送車を前記障害物と干渉する前に停車させるように構成され、
前記干渉予測部により前記干渉が発生すると予測された場合に、該干渉に関連する干渉関連情報を算出する干渉情報算出部と、
前記干渉情報算出部により算出された前記干渉関連情報を報知する報知部とをさらに備えていることを特徴とする無人搬送システム。
【請求項2】
無人搬送車と、該無人搬送車の走行予定経路を決定する走行経路決定部と、該走行経路決定部により決定された前記走行予定経路に沿って前記無人搬送車を走行させる走行制御部とを備えた無人搬送システムであって、
前記無人搬送車に搭載され、該無人搬送車から所定範囲内に存在する物体を検出するとともに当該物体の位置を特定可能な位置情報を出力する物体検出センサと、
前記物体検出センサにより検出された物体が、前記無人搬送車の走行可能領域に配置された障害物であるか否かを検出する障害物検出部と、
前記障害物検出部により前記物体が障害物であると検出された場合に、前記走行予定経路に沿った前記無人搬送車の通過予定領域を算出する通過領域算出部と、
前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報とを基に、前記無人搬送車が前記走行予定経路に沿って走行し続けた場合に前記障害物と干渉するか否かを予測する干渉予測部と、
前記干渉予測部により前記干渉が発生すると予測された場合に、該干渉に関連する干渉関連情報を算出する干渉情報算出部と、
前記干渉情報算出部により算出された前記干渉関連情報を報知する報知部とを備え、
前記走行経路決定部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物とが干渉すると予測された場合には、該干渉を回避し得る回避経路が存在するか否かを判定して、存在すると判定した場合には、現時点の走行予定経路を当該回避経路に更新するように構成され、
前記走行制御部は、前記走行経路決定部により前記干渉を回避し得る回避経路が存在しないと判定された場合には、前記無人搬送車を前記障害物と干渉する前に停車させるように構成され、
前記報知部は、前記走行経路決定部により前記干渉を回避し得る回避経路が存在しないと判定された場合に、前記干渉情報算出部により算出された前記干渉関連情報を報知するように構成されていることを特徴とする無人搬送システム。
【請求項3】
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報とを基に、前記無人搬送車と前記障害物との干渉を回避することが可能な当該障害物の移動方向と当該移動方向に沿った最小移動距離とを算出するように構成され、
前記干渉関連情報には、前記移動方向及び前記最小移動距離が含まれることを特徴とする請求項1又は2記載の無人搬送システム。
【請求項4】
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報とを基に、前記通過予定領域と前記障害物との平面視における重なり部分の面積を算出するように構成され、
前記干渉関連情報には、前記重なり部分の面積が含まれることを特徴とする請求項1又は2記載の無人搬送システム。
【請求項5】
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報とを基に、前記通過予定領域と前記障害物との平面視における重なり部分の所定方向の長さを算出するように構成され、
前記干渉関連情報には、前記重なり部分の前記所定方向の長さが含まれることを特徴とする請求項1又は2記載の無人搬送システム。
【請求項6】
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報を基に、前記走行制御部により当該無人搬送車の走行が停止された後の当該無人搬送車と、前記干渉が予測される前記障害物との相対位置情報を算出するように構成され、
前記干渉関連情報には、前記相対位置情報が含まれることを特徴とする請求項1又は2記載の無人搬送システム。
【請求項7】
前記報知部は、作業者が携帯するモバイル端末に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の無人搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人搬送車と、該無人搬送車の走行予定経路を決定する走行経路決定部と、該走行経路決定部により決定された走行予定経路に沿って前記無人搬送車を走行させる走行制御部とを備えた無人搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述した無人搬送システムの一例として、特開2004-042148号公報(下記特許文献1)に開示された無人搬送システムが知られている。この無人搬送システムは、環境地図が記憶された記憶部と、環境地図における自己位置から移動目的地までの走行予定経路を決定する走行経路決定部と、走行経路決定部により決定された走行予定経路に沿って無人搬送車を走行させる走行制御部と、障害物を検出する障害物検出部とを備えている。走行制御部は、障害物検出部により障害物が検出されると、無人搬送車を回避経路に沿って走行させる。そうして、障害物の検出と回避経路の探索とを繰り返しながら、無人搬送車が障害物を回避しつつ移動目的地まで走行する。一方、走行制御部により回避経路を見つけることができない場合には、無人搬送車は障害物付近で停車することとなる。
【0003】
特許文献1に示す無人搬送システムでは、無人搬送車は障害物を回避するための回避走行を行うように構成されているが、例えば、障害物検出部により障害物が検出された場合には回避経路を探索することなく無人搬送車を即時停車させるシステムも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の無人搬送システムにおいて、障害物が原因で無人搬送車が停車した場合には、作業者が当該障害物を無人搬送車と干渉しない位置まで移動させることで無人搬送車の走行を再開させることができる。しかし、例えば無人搬送車の周囲に障害物が複数存在する場合には、作業者はいずれの障害物が原因で無人搬送車が停車しているかを容易に判断することできず、障害物の移動作業を効率的に行うことができないという問題がある。また仮に、作業者が停車原因となっている障害物を特定できたとしても、特定した障害物をどの方向にどの程度移動させればよいかは作業者の感覚(勘)に依存している。このため、作業者が障害物を移動させる際に、その移動距離が長過ぎたり、一回の移動作業では足りずに複数回の移動作業を強いられたりする場合があり、この結果、作業効率の低下を招くという問題がある。
【0006】
また、従来の無人搬送システムでは、無人搬送車が停車している場合に、作業者は、その原因が無人搬送車の故障によるものか又は障害物の存在によるものかを判断することができず復旧作業に手間取るという問題がある。
【0007】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであって、無人搬送車を障害物と干渉する前に自動的に停車させつつ、その停車の原因となった障害物の移動作業を周囲の作業者が容易に且つ効率的に行えるようにすることを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明の一局面は、
無人搬送車と、該無人搬送車の走行予定経路を決定する走行経路決定部と、該走行経路決定部により決定された前記走行予定経路に沿って前記無人搬送車を走行させる走行制御部とを備えた無人搬送システムであって、
前記無人搬送車に搭載され、該無人搬送車から所定範囲内に存在する物体を検出するとともに当該物体の位置を特定可能な位置情報を出力する物体検出センサと、
前記物体検出センサにより検出された前記物体が、前記無人搬送車の走行可能領域に配置された障害物であるか否かを検出する障害物検出部と、
前記障害物検出部により前記物体が障害物であると検出された場合に、前記走行予定経路に沿った前記無人搬送車の通過予定領域を算出する通過領域算出部と、
前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサから出力される前記障害物の位置情報とを基に、当該無人搬送車が前記走行予定経路に沿って走行し続けた場合に前記障害物と干渉するか否かを予測する干渉予測部とを備え、
前記走行制御部は、前記干渉予測部により前記干渉が発生すると予測された場合に、前記無人搬送車を前記障害物と干渉する前に停車させるように構成され、
前記干渉予測部により前記干渉が発生すると予測された場合に、該干渉に関連する干渉関連情報を算出する干渉情報算出部と、
前記干渉情報算出部により算出された前記干渉関連情報を報知する報知部とをさらに備えている無人搬送システムに係る。
【0009】
この態様(第1の態様)の無人搬送システムによれば、無人搬送車に搭載された物体検出センサにより無人搬送車から所定範囲内にある物体が検出されると、障害物検出部にて当該物体が走行可能領域に配置された障害物であるか否かが判定され、障害物であると判定された場合には、通過領域算出部により無人搬送車の走行予定経路に沿った通過予定領域が算出される。そして、通過領域算出部により算出された無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサより出力された障害物の位置情報とを基に、無人搬送車が当該障害物と干渉するか否かが干渉予測部にて予測される。干渉予測部において無人搬送車が障害物と干渉すると予測された場合には、走行制御部による制御の下、無人搬送車が走行を停止するとともに、干渉情報算出部において、干渉予測部が予測した無人搬送車と障害物との干渉に関連する干渉関連情報が算出される。干渉情報算出部により算出された干渉関連情報は報知部により周囲の作業者に報知される。したがって、周囲の作業者は、報知部により報知された干渉関連情報を基に、無人搬送車の停車原因が故障等ではなく障害物であると認識できるとともに、無人搬送車の走行を再開させるための障害物の移動作業を効率良く行うことができる。
【0010】
本発明の他の局面は、
無人搬送車と、該無人搬送車の走行予定経路を決定する走行経路決定部と、該走行経路決定部により決定された前記走行予定経路に沿って前記無人搬送車を走行させる走行制御部とを備えた無人搬送システムであって、
前記無人搬送車に搭載され、該無人搬送車から所定範囲内に存在する物体を検出するとともに当該物体の位置を特定可能な位置情報を出力する物体検出センサと、
前記物体検出センサにより検出された物体が、前記無人搬送車の走行可能領域に配置された障害物であるか否かを検出する障害物検出部と、
前記障害物検出部により前記物体が障害物であると検出された場合に、前記走行予定経路に沿った前記無人搬送車の通過予定領域を算出する通過領域算出部と、
前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報とを基に、前記無人搬送車が前記走行予定経路に沿って走行し続けた場合に前記障害物と干渉するか否かを予測する干渉予測部と、
前記干渉予測部により前記干渉が発生すると予測された場合に、該干渉に関連する干渉関連情報を算出する干渉情報算出部と、
前記干渉情報算出部により算出された前記干渉関連情報を報知する報知部とを備え、
前記走行経路決定部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物とが干渉すると予測された場合には、該干渉を回避し得る回避経路が存在するか否かを判定して、存在すると判定した場合には、現時点の走行予定経路を当該回避経路に更新するように構成され、
前記走行制御部は、前記走行経路決定部により前記干渉を回避し得る回避経路が存在しないと判定された場合には、前記無人搬送車を前記障害物と干渉する前に停車させるように構成され、
前記報知部は、前記走行経路決定部により前記干渉を回避し得る回避経路が存在しないと判定された場合に、前記干渉情報算出部により算出された前記干渉関連情報を報知するように構成されている無人搬送システムに係る。
【0011】
この態様(第2の態様)の無人搬送システムによれば、干渉予測部により無人搬送車が障害物と干渉すると予測された場合には、走行経路決定部において該干渉を回避し得る回避経路が存在するか否かが判定され、回避経路が存在すると判定された場合には、現時点の走行予定経路が回避経路に更新され、走行制御部による制御の下、無人搬送車は更新された回避経路に沿って走行する。一方、走行経路決定部において無人搬送車と障害物との干渉を回避する回避経路が存在しないと判定された場合には、現時点の走行予定経路は更新されない。走行予定経路が更新されない場合には、干渉予測部において無人搬送車と障害物とが干渉するとの予測が確定する。この結果、走行制御部による制御の下、無人搬送車が走行を停止するとともに、干渉情報算出部において、干渉予測部が予測した無人搬送車と障害物との干渉に関連する干渉関連情報が算出される。干渉情報算出部により算出された干渉関連情報は、報知部により周囲の作業者に報知される。したがって、周囲の作業者は、報知部により報知された干渉関連情報を基に、無人搬送車の停車原因が故障等ではなく障害物であると認識できるとともに、無人搬送車の走行を再開させるための障害物の移動作業を効率良く行うことができる。
【0012】
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報とを基に、前記無人搬送車と前記障害物との干渉を回避することが可能な当該障害物の移動方向と当該移動方向に沿った最小移動距離とを算出するように構成され、前記干渉関連情報には、前記移動方向及び前記最小移動距離が含まれる態様(第3の態様)を採用することができる。
【0013】
第3の態様によれば、報知部により報知される干渉関連情報には、無人搬送車と障害物との干渉を回避することが可能な障害物の移動方向及び最小移動距離が含まれる。したがって、作業者は、この干渉関連情報を基に、干渉を回避するための障害物の移動方向及び移動距離を容易に認識して、障害物の移動作業を効率良く行うことができる。
【0014】
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報とを基に、前記通過予定領域と前記障害物との平面視における重なり部分の面積を算出するように構成され、前記干渉関連情報には、前記重なり部分の面積が含まれる態様(第4の態様)を採用することができる。
【0015】
第4の態様によれば、報知部により報知される干渉関連情報には、無人搬送車の通過予定領域と前記障害物との平面視における重なり部分の平面視の面積が含まれる。したがって、作業者は、報知部により報知された当該重なり部分の面積を基に、無人搬送車と障害物との干渉を回避するために必要な障害物の移動量を大まかに把握することができる。よって、作業者は障害物の移動作業を効率的に行うことができる。
【0016】
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報とを基に、前記通過予定領域と前記障害物との平面視における重なり部分の所定方向の長さを算出するように構成され、前記干渉関連情報には、前記重なり部分の前記所定方向の長さが含まれる態様(第5の態様)を採用することができる。
【0017】
第5の態様によれば、報知部により報知される干渉関連情報には、無人搬送車の通過予定領域と前記障害物との平面視における重なり部分の所定方向の長さが含まれる。この所定方向の一例として、干渉回避のための障害物の移動距離が最小となるような移動方向を採用することができる。また、所定方向の他の例として、例えば無人搬送車の進行方向に対して直交する方向を採用することができる。作業者は、報知部により報知された干渉関連情報に含まれる前記重なり部分の所定方向の長さを基に、必要とされる障害物の移動方向や移動距離を適切に判断して、障害物の移動作業を効率良く行うことができる。
【0018】
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報を基に、前記走行制御部により当該無人搬送車の走行が停止された後の当該無人搬送車と、前記干渉が予測される前記障害物との相対位置情報を算出するように構成され、前記干渉関連情報には、前記相対位置情報が含まれる態様(第6の態様)を採用することができる。
【0019】
第6の態様によれば、報知部により報知される干渉関連情報には、停車後の無人搬送車と、当該無人搬送車との間で干渉が生じると予測される障害物との相対位置情報が含まれる。したがって、例えば無人搬送車の周囲に障害物が複数存在していて、無人搬送車との干渉が予測される障害物を作業者が一目判断できない場合であっても、作業者は、報知部により報知された干渉関連情報に含まれる相対位置情報を基に、無人搬送車との干渉が予測される障害物を容易に特定することができる。したがって、作業者は、前記干渉を回避するための障害物の移動作業を効率良く行うことができる。
【0020】
前記報知部は、作業者が携帯するモバイル端末に設けられている態様(第7の態様)を採用することができる。
【0021】
第7の態様によれば、報知部は、作業者が携帯するモバイル端末に設けられている。したがって、干渉予測部により無人搬送車と障害物との干渉が発生すると予測される場合には、作業者はモバイル端末を介して報知される干渉関連情報を基に、状況を一早く認識して干渉回避のための作業を迅速に開始することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明に係る無人搬送システムによれば、無人搬送車がその走行可能領域に配置された障害物と干渉するか否かを予測し、干渉すると予測した場合には該干渉に関連する干渉関連情報を算出するとともに、前記無人搬送車の走行を停止し、算出した干渉関連情報を報知するようにしたことで、無人搬送車を障害物と干渉する前に自動的に停車させつつ、その停車の原因となった障害物の移動作業を周囲の作業者が容易に且つ効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態に係る無人搬送システムの概略構成及び動作例を説明するための説明図である。
【
図2】ロボットを搭載した無人搬送車を示す外観斜視図である。
【
図3】制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図4】モバイル端末の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】モバイル端末を示す概略図であって、ディスプレイに干渉関連情報を含む画像データが表示された状態を示す図である。
【
図6】車載制御装置と上位制御装置との協働により実行される障害物回避制御の一例を示すフローチャートである。
【
図7】他の実施形態に係る無人搬送システムの動作例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
《実施形態》
図1は、実施形態に係る無人搬送システム1の概略構成を説明するための説明図である。この無人搬送システム1は、無人搬送車10と、無人搬送車10の上部に搭載されたロボット20とを備えていて、後述するように、無人搬送車10が障害物5と干渉すると予測される場合には、無人搬送車10を停車させるとともに、干渉関連情報をモバイル端末60を通じて作業者に報知するように構成されている。尚、
図1では、障害物5の一例として、互いに離間して配置された直方体状の2つの障害物5a,5bを示しているが、障害物5の数、配置位置及び形状等は
図1の例に限定されない。
【0025】
無人搬送システム1は、無人搬送車10の搬送車本体11に収容された車載制御装置30(
図3参照)と、工場の建屋内に設置され、車載制御装置30との間で無線通信を行いながら無人搬送車10及びロボット20を制御する上位制御装置40とをさらに備えている。
【0026】
無人搬送車10は、上位制御装置40からの指令を受けた車載制御装置30による制御の下、建屋内に設置された各作業ステーション3a,3bに隣接する作業位置P1,P2を経由するように走行する。各作業ステーション3a,3bは、例えば工作機械等により構成される。ロボット20は、車載制御装置30による制御の下、無人搬送車10が各作業ステーション3a,3bの作業位置P1,P2に停車すると、ワークの着脱作業等の所定動作を実行する。尚、
図1に示す作業ステーション3は一例であり、その形状や数及び配置位置は
図1の例に限定されない。
【0027】
図2は、ロボット20を搭載した無人搬送車10を示す外観斜視図である。以下の説明において、特に断らない限り、前側、後側は、車両前後方向の前側、後側を意味し、左側、右側は、車幅方向の左側、右側を意味するものとする。同図に示すように、無人搬送車10は、車両前後方向に長い直方体状の搬送車本体11を有している。搬送車本体11は、その内部に前記車載制御装置30を収容するとともに、上面に前記ロボット20を搭載している。搬送車本体11の下端部の四隅には、前後左右の4つの駆動輪12が取付けられている。4つの駆動輪12は、それぞれの車軸に連結された走行モータ13a(
図3参照)によって独立に回転駆動される。また、各駆動輪12は、鉛直に延びる操舵軸(図示省略)を有していて、該操舵軸に連結された操舵モータ13bによって鉛直軸回りに操舵可能に構成されている。無人搬送車10は、車載制御装置30による制御の下、操舵モータ13bにより各駆動輪12の操舵角を変更することで直進、横行又は旋回が可能になっている。以下の説明において、走行モータ13a及び操舵モータ13bを特に区別しない場合には走行用アクチュエータ13と称する。
【0028】
搬送車本体11の前側面には距離センサ14(物体検出センサの一例)が取付けられている。距離センサ14は、他の物体との距離を測定するためのセンサであって、例えばLIDAR(Light Detection and Ranging)装置により構成される。ここで、他の物体の一例として、例えば建屋内に設置された工作機械等の固定設置物や、無人搬送車10の走行可能領域(固定設置物を除く領域)に置かれた障害物5などが挙げられる。距離センサ14は、光出射部を有していて、該光出射部から出射されるレーザ光を上下方向及び水平方向に走査させることで無人搬送車10の前方の所定範囲内に存在する物体にレーザ光を照射する。そして、距離センサ14は、レーザ光が物体に反射して返って来るまでの時間を計測することで物体表面の光照射位置までの距離を計測し、計測した距離と該計測時の光の走査角の情報とを対応付けて距離データとして出力する。この距離データは、物体の位置を特定するための位置情報に相当し、車載制御装置30を介して上位制御装置40にリアルタイムで送信される。
【0029】
前記ロボット20は、搬送車本体11の上面における前側端部に搭載されている。搬送車本体11の上面におけるロボット20の後側には、加工前及び加工後のワークを保持するパレット4が積載されている。ロボット20は、第1アーム21、第2アーム22及び第3アーム23と、6つの軸A1~A6とを有する6軸の多関節ロボットであり、第3アーム23の先端部には作業用のハンド24が装着されている。ハンド24には、ロボット20による把持対象となるワークを撮像するためのハンド装着カメラ25が取付けられている。
【0030】
次に、
図3を参照して、無人搬送システム1を制御する制御システム100の説明を行う。この制御システム100は、前記車載制御装置30及び上位制御装置40を含んでいる。車載制御装置30及び上位制御装置40は互いに、通信回線50を介して無線により通信可能に構成されている。また、車載制御装置30及び上位制御装置40は、作業者が所持するモバイル端末60との間で、通信回線50を介して無線により通信可能に構成されている。通信回線50は、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)により構成される。各モバイル端末60は、例えばスマートフォンやノートパソコン等により構成される。
図3の例では、モバイル端末60が3つ設けられているが、モバイル端末60の数はこれに限定されない。
【0031】
車載制御装置30は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータであって、
図3に示すように、CPU31と、無線通信部32とを有している。
【0032】
無線通信部32は、送信回路と受信回路と送受信アンテナとを有している。無線通信部32は、CPU31からの指令を受けて、上位制御装置40との間で通信回線50を介した無線通信により各種信号及びデータの送受信を行う。このデータの一例として、例えば距離センサ14により検出した物体の距離データが挙げられる。
【0033】
CPU31は、走行用アクチュエータ13、距離センサ14、ロボット20、及びハンド装着カメラ25に信号の授受可能に接続されている。CPU31は、ROM等に記憶されたコンピュータプログラムを実行することで走行制御部31a及びロボット制御部31bとして機能する。
【0034】
走行制御部31aは、距離センサ14から出力される距離データを基に、無人搬送車10の現在位置を推定する。そして、走行制御部31aは、無人搬送車10の現在位置を推定しながら、後述する上位制御装置40の走行経路決定部41bにより算出される走行予定経路Vに沿って当該無人搬送車10が走行するように走行用アクチュエータ13を制御する。尚、無人搬送車10の現在位置の推定には、必ずしも距離センサ14を使用する必要はなく、例えばGPS(Global Positioning System)を採用するなどしてもよい。
【0035】
ロボット制御部31bは、無人搬送車10が各作業ステーション3a,3bの作業位置P1,P2に停車した状態で、ロボット20に所定動作(例えばワークの着脱作業等)を実行させる。ロボット制御部31bは、ロボット20に所定動作を実行させる際に、ハンド装着カメラ25による撮像画像を基に作業姿勢を補正することで、ワークに対するハンド24の位置補正を行うように構成されている。
【0036】
上位制御装置40は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータであって、CPU41と、無線通信部42と、マップデータ記憶部43とを有している。
【0037】
無線通信部42は、送信回路と受信回路と送受信アンテナとを有している。無線通信部42は、CPU41からの指令を受けて、車載制御装置30及び各モバイル端末60との間で、通信回線50を介した無線通信により各種信号及びデータの送受信を行う。
【0038】
マップデータ記憶部43は、マップデータを記憶する機能部であって、例えば磁気ディスク等の記憶媒体により構成されている。マップデータは、建屋内における無人搬送車10の走行可能領域の情報を含んでいる。走行可能領域とは、工作機械等の固定設置物を除く領域であって無人搬送車10が物理的に走行可能な領域である。本例では、このマップデータは、距離センサ14から出力される前記距離データを基に自動生成される。マップデータの生成方法はこれに限ったものではなく、例えば、作業者が無人搬送車10に設けられたタッチパネル等の操作盤(図示省略)を操作することで手動で生成するようにしてもよい。
【0039】
CPU41は、前記ROM等に記憶されたコンピュータプログラムを実行することでジョブ生成部41a、走行経路決定部41b、障害物検出部41c、通過領域算出部41d、干渉予測部41e、及び干渉情報算出部41fとして機能する。
【0040】
ジョブ生成部41aは、無人搬送車10における搬送物の積載状況、及び、各作業ステーション3おける搬送物の滞留状況を取得して、取得した状況を基に無人搬送車10の移動開始地及び移動目的地を決定する。
【0041】
走行経路決定部41bは、ジョブ生成部41aにより決定された移動開始地から移動目的地までの走行予定経路Vを決定(算出)する。この走行予定経路Vは、マップデータに規定された走行可能領域内において無人搬送車10の移動距離が最短になるように決定される。尚、移動距離が最短になるとの条件に限らず、例えば、消費電力が最小になるとの条件を採用するなどしてもよい。
【0042】
障害物検出部41cは、距離センサ14より出力された物体の距離データを車載制御装置30より受信し、受信した物体の距離データと、マップデータ記憶部43に記憶された前記マップデータとを基に、当該物体が、無人搬送車10の走行可能領域に配置された障害物5であるか否かを検出する。走行可能領域とは、上述したように、マップデータに示された工作機械等の固定設置物を除く領域である。障害物検出部41cは、この走行可能領域に配置された物体を障害物5として検出する。
【0043】
通過領域算出部41dは、障害物検出部41cにより障害物5が検出された場合には、走行経路決定部41bにより決定された走行予定経路Vに沿った無人搬送車10の通過予定領域Rを算出する。本例では、通過領域算出部41dは、無人搬送車10の平面形状が通過すると予測される領域を通過予定領域R(
図1参照)として算出する。尚、通過予定領域Rは、無人搬送車10の立体形状を考慮した三次元領域であってもよい。
【0044】
干渉予測部41eは、距離センサ14より出力された障害物5の距離データを車載制御装置30より受信し、受信した障害物5の距離データ(位置情報)と、通過領域算出部41dにより算出された無人搬送車10の通過予定領域Rとを基に、無人搬送車10が走行予定経路Vに沿って走行し続けた場合に当該障害物5と干渉するか否かを予測する。具体的には、干渉予測部41eは、距離センサ14より出力された障害物5の距離データを基に、当該障害物5のマップデータ上における座標位置を特定する。そして、干渉予測部41eは、障害物5の少なくとも一部が、平面視で前記通過予定領域Rと重なるか否かを判定し、重なると判定した場合には、無人搬送車10と障害物5とが今後干渉すると予測し、重ならないと判定した場合には両者の干渉は発生しないと予測する。
【0045】
干渉予測部41eによる干渉が発生するか否かの予測結果は、無線通信部42を介して車載制御装置30の走行制御部31aに送信される。走行制御部31aでは、干渉予測部41eにより無人搬送車10が障害物5と干渉すると予測された場合には、無人搬送車10の走行モータ13aの駆動を停止して無人搬送車10を停車させる。無人搬送車10を停車させるタイミングは、例えば、無人搬送車10と障害物5との離間距離が予め定めた距離以下(例えば1m以下)になったときとすることができる。
【0046】
また、干渉予測部41eによる干渉が発生するか否かの予測結果は、干渉情報算出部41fに送信される。干渉情報算出部41fでは、干渉予測部41eより無人搬送車10と障害物5とが干渉するとの予測結果を受信した場合には、距離センサ14から出力された当該障害物5の距離データ(位置情報)を基に当該障害物5のマップデータ上における座標位置を特定する。そして、干渉予測部41eは、特定した障害物5の座標位置と、通過領域算出部41dにより算出された無人搬送車10の通過予定領域Rとを基に、この干渉に関連する干渉関連情報を算出する。本例では、干渉情報算出部41fは、干渉関連情報として以下の3つの情報を算出する。
【0047】
第1の情報は、無人搬送車10と障害物5との干渉を回避するための障害物5の移動方向及び最小移動距離の情報である。本例では、干渉情報算出部41fは、この移動方向として、平面視で無人搬送車10の進行方向に直交する方向で且つ障害物5を通過予定領域Rの外側に移動可能な方向を算出する。そして、干渉情報算出部41fは、この算出した移動方向において、障害物5を通過予定領域Rの外側に移動させるために必要な最小の移動距離(最小移動距離)を算出する。
【0048】
第2の情報は、無人搬送車10の通過予定領域Rと、該無人搬送車10との干渉が予測される障害物5(
図1の例では、障害物5a)との平面視における重なり部分Cの面積の情報である。本例では、干渉情報算出部41fは、通過領域算出部41dにより算出された無人搬送車10の通過予定領域Rと、距離センサ14から出力される距離データを基に特定される障害物5の座標位置とを基に前記重なり部分Cの面積を算出する。
【0049】
第3の情報は、走行制御部31aにより無人搬送車10の走行が停止された後の当該無人搬送車10と、該無人搬送車10との干渉が予測される障害物5(
図1の例では障害物5a)との相対位置情報である。干渉情報算出部41fは、無人搬送車10との干渉が予測される障害物5について距離センサ14から出力される距離データを車載制御装置30より取得し、取得した距離データを基に当該障害物5aのマップデータ上における座標位置を特定する。そして、干渉情報算出部41fは、特定した当該障害物5の座標位置を基に、無人搬送車10に対する当該障害物5の相対位置情報を算出する。この相対位置情報は、本例では、無人搬送車10を基準とする障害物5が位置する方向の情報であり、
図1の例では、干渉情報算出部41fは、干渉が予測される障害物5aの相対位置情報を「左斜め前方」と算出する。尚、相対位置情報は、このように方向を指定する形式に限らず、例えば、無人搬送車10を基準とする座標値を指定する形式であってもよい。
【0050】
そして、干渉情報算出部41fは、算出した干渉関連情報を含む画像データ(後述する
図5参照)を生成し、生成した画像データを、上位制御装置40の無線通信部42から各モバイル端末60に向けて無線通信により送信する。
【0051】
図4に示すように、各モバイル端末60は、CPU61と、画像データを表示するディスプレイ62と、音声を出力可能なスピーカ63と、通信回線50を介した無線通信により上位制御装置40との間で各種信号及びデータの送受信を行う無線通信部64とを有している。
【0052】
CPU61は、ROM等に記憶されたコンピュータプログラムを実行することで表示制御部61a及び音声制御部61bとして機能する。表示制御部61aは、ディスプレイ62の表示画面を制御する機能部である。音声制御部61bは、スピーカ63による音声出力を制御する機能部である。
【0053】
表示制御部61aは、各モバイル端末60の無線通信部64を介して、干渉情報算出部41fが算出した干渉関連情報を含む画像データを受信し、受信した画像データをディスプレイ62に表示させる。
【0054】
図5は、各モバイル端末60のディスプレイ62に表示された干渉関連情報を含む画像データの一例である。ディスプレイ62には、干渉関連情報をまとめたテーブルTと、テーブルTに示された情報を視覚的に理解するための補助マップUとが表示されている。尚、
図5の補助マップUには、
図1との対応関係が分かるように符号を入れているが、これらの符号は実際の画面には表示されない。
【0055】
テーブルTは4行で構成されており、テーブルTの上から1行目には、干渉が予測される障害物5の無人搬送車10に対する相対位置情報(前記第3の情報)が表示され、2行目には、干渉を回避するための当該障害物5の移動方向の情報(前記第1の情報)が表示され、3行目には、当該移動方向において必要とされる障害物5の最小移動距離の情報(前記第1の情報)が表示され、4行目には、無人搬送車10と該無人搬送車10との干渉が予測される障害物5との平面視における重なり部分Cの面積の情報(前記第2の情報)が表示されている。
【0056】
また、補助マップUは、無人搬送車10と、無人搬送車10の走行可能領域に配置された障害物5と、無人搬送車10の通過予定領域Rとの位置関係を示した平面マップである。補助マップUは、上位制御装置40の干渉情報算出部41fにおいて、例えば、マップデータ記憶部43に記憶されたマップデータと、距離センサ14から出力される障害物5の距離データとを基に生成される。
【0057】
図5は、上位制御装置40と車載制御装置30との協働により実行される障害物回避制御の一例を示すフローチャートである。この障害物回避制御には、上述したモバイル端末60を介した干渉関連情報の報知処理が含まれる。
【0058】
ステップS1では、走行経路決定部41bが無人搬送車10の移動開始地から移動目的地までの走行予定経路Vを決定(算出)する。走行予定経路Vの決定に際しては、例えば遺伝的アルゴリズムを用いて多数の経路候補を生成し、生成した多数の経路候補の中から最短となる経路を走行予定経路Vとして算出する。
【0059】
ステップS2では、走行制御部31aが、ステップS1で決定された走行予定経路Vに沿って無人搬送車10の走行を開始させるべく走行用アクチュエータ13を制御する。
【0060】
ステップS3では、障害物検出部41cにて障害物5が検出されたか否かを判定し、この判定がNOである場合にはリターンする一方、YESである場合にはステップS4に進む。
【0061】
ステップS4では、通過領域算出部41dが、ステップS1で算出された走行予定経路Vに沿った無人搬送車10の通過予定領域Rを算出する。
【0062】
ステップS5では、干渉予測部41eが、ステップS4で算出された無人搬送車10の通過予定領域Rと、距離センサ14から出力された前記障害物5の距離データとを基に、無人搬送車10が走行予定経路Vに沿って走行し続けた場合に当該障害物5と干渉するか否かを予測する。この判定がNOである場合にはリターンする一方、YESである場合にはステップS6に進む。
【0063】
ステップS6では、走行制御部31aが、距離センサ14から出力される障害物5の距離データを基に、無人搬送車10と障害物5との距離が所定距離以下(例えば1m以下)であるか否かを判定し、この判定がNOである場合にはリターンする一方、YESである場合にはステップS7に進む。
【0064】
ステップS7では、走行制御部31aが無人搬送車10を停車させるべく走行モータ13aの駆動を停止する。
【0065】
ステップS8では、干渉情報算出部41fが、ステップS5にて干渉予測部41eにより予測された無人搬送車10と障害物5との干渉に関連する干渉関連情報を算出する。
【0066】
ステップS9では、干渉情報算出部41fが、ステップS8で算出した干渉関連情報を含む画像データを、無線通信により各モバイル端末60に送信する。本ステップS9の終了後は、ステップS1に戻る。
【0067】
尚、本例では、無人搬送車10の停車後に干渉情報算出部41fによる干渉関連情報の算出を行うようにしているが、これに限ったものではなく、例えば無人搬送車10の停車前又は停車と同時に干渉関連情報の算出を行うようにしてもよい。
【0068】
以上のように構成された無人搬送システム1の動作例を、
図1を参照しながら説明する。
図1は、無人搬送車10の移動開始地が、第1の作業ステーション3aに対して設定された作業位置P1であり、移動目的地が、第2の作業ステーション3bに対して設定された作業位置P2である例を示している。
図1の例では、無人搬送車10の走行可能領域に2つの障害物5a,5bが互いに離間して配置されている。
【0069】
無人搬送車10の走行制御においては、先ず、走行経路決定部41b(
図3参照)により、移動開始地である作業位置P1から移動目的地である作業位置P2までの走行予定経路Vが算出され、次いで、走行制御部31aによる制御の下、無人搬送車10が走行予定経路Vに沿って走行を開始する。
【0070】
無人搬送車10の走行開始後、障害物検出部41cにより障害物5a,5bが検出されると、通過領域算出部41dにより無人搬送車10の通過予定領域Rが算出され、次いで、干渉予測部41eにおいて、通過領域算出部41dが算出した通過予定領域Rと距離センサ14から出力される各障害物5a,5bの距離データとを基に、無人搬送車10が走行予定経路Vに沿って走行し続けた場合に各障害物5a,5bと干渉するか否かが予測される。
図1の例では、無人搬送車10の左斜め前方に位置する障害物5aは、無人搬送車10の通過予定領域Rと重なっているので、干渉予測部41eにおいて、当該障害物5aと無人搬送車10との干渉が発生すると予測される。一方、無人搬送車10の右斜め前方に位置する障害物5bは、無人搬送車10の通過予定領域Rの外側に位置しているので、干渉予測部41eにおいて、当該障害物5bと無人搬送車10との干渉は発生しないと予測される。そして、この干渉予測部41eによる予測結果は車載制御装置30の走行制御部31aに送信される。
【0071】
走行制御部31aでは、無人搬送車10の左斜め前方に位置する障害物5aが無人搬送車10と干渉するとの予測結果を受けて、走行用アクチュエータ13の駆動を停止する。これにより、無人搬送車10は障害物5aと干渉する前に停車する。
【0072】
無人搬送車10の停車後は、干渉情報算出部41fによって、上述の干渉関連情報が算出されるとともに、該干渉関連情報を含む画像データが生成される。この干渉関連情報を含む画像データは、上位制御装置40の無線通信部42を介して作業者が所持する各モバイル端末60に送信されてディスプレイ62(
図5参照)に表示される。
【0073】
したがって、作業者は、ディスプレイ62に表示された画像データに含まれる干渉関連情報(テーブルT)を見て、無人搬送車10と干渉すると予測される障害物5を容易に特定することができる。すなわち、
図5の例では、テーブルTの上から1行目に表示された障害物5の相対位置情報の欄に「左斜め前方」と表示されているので、作業者はこれを見て、2つの障害物5a,5bのうち無人搬送車10の左斜め前方に位置する障害物5aが、無人搬送車10との干渉を生じさせる障害物5であると認識することができる。
【0074】
また、作業者は、干渉関連情報であるテーブルTの上から2行目及び3行目にそれぞれ表示された移動方向及び最小移動距離の情報を基に、障害物5aとの干渉を回避するために必要な作業を容易に認識することができる。すなわち、
図5の例では、テーブルTにおける移動方向の欄に「左方向」と表示され、最小移動距離の欄に「50cm」と表示されているので、これを見た作業者は、障害物5aを無人搬送車10の左方向に少なくとも50cmだけ移動させることで、障害物5aと無人搬送車10との干渉を回避可能であると認識することができる。これにより、作業者は、障害物5aの移動作業に必要な人員や機器(ジャッキ等)を的確に決定して、当該作業を効率良く行うことができる。
【0075】
また、作業者は、干渉関連情報であるテーブルTの上から4行目に表示された前記重なり部分Cの面積を基に、無人搬送車10と障害物5aとの干渉を回避するために必要な障害物5aの移動量を大まかに把握することができる。よって、作業者は障害物5aの移動作業を効率的に行うことができる。
【0076】
また、干渉関連情報は、作業者が携帯するモバイル端末60のディスプレイ62を介して作業者に報知される。これによれば、無人搬送車10から遠くに離れた作業者であっても干渉関連情報を一早く取得して、干渉を回避するための作業を迅速に開始することができる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態では、無人搬送車10が障害物5と干渉すると予測される場合には、無人搬送車10を停車させるとともに、該干渉に関連する干渉関連情報(
図5のテーブルT参照)を算出して、算出した干渉関連情報を作業者に報知するようにしたことで、無人搬送車10を障害物5と干渉する前に自動で停車させつつ、無人搬送車10の停車の原因となった障害物5の移動作業を周囲の作業者が容易に且つ効率的に行うことができる。
【0078】
《他の実施形態》
前記実施形態では、干渉関連情報は、上述した第1~第3の情報を含んでいるが、これに限ったものではなく、例えば第4の情報をさらに含んでいてもよい。第4の情報として、例えば、通過領域算出部41dにより算出された無人搬送車10の通過予定領域Rと障害物5との平面視における重なり部分Cの所定方向の長さの情報を採用することができる。この所定方向の一例として、例えば、干渉回避のための障害物5の移動距離が最小となるような移動方向を採用することができる。障害物5の移動距離が最小となる移動方向は、例えば障害物5をマップデータ上で全方向に移動させる疑似演算を行うことにより算出することができる。
【0079】
また、干渉関連情報は、第1~4の情報の全てを含んでいる必要はなく、第1~第4の情報のうち少なくとも1つの情報を含むものであってもよい。
【0080】
前記実施形態では、干渉予測部41eにより無人搬送車10が障害物5と干渉すると予測される場合には、回避経路を探索することなく無人搬送車10を停車させるようにしているが、これに限ったものではなく、例えば、走行経路決定部41bにて、無人搬送車10と障害物5との干渉を回避するための回避経路が存在するか否かを判定して、回避経路が存在すると判定した場合には、現時点の走行予定経路Vを当該回避経路に更新する一方、回避経路が存在しないと判定した場合には、現時点の走行予定経路Vを更新しないようにしてもよい。これによれば、障害物検出部41cにより障害物5が検出された後、走行経路決定部41bにて障害物5を回避する回避経路が存在しないと判定されて初めて無人搬送車10が停車し、それに伴い、干渉情報算出部41fにより干渉関連情報が算出され、算出された干渉関連情報がモバイル端末60のディスプレイ62に表示される。
【0081】
このような無人搬送システム1によれば、例えば、
図7に示すように2つの障害物5c,5dが無人搬送車10の走行路を形成する左右の側壁から交互に突出して配置されている場合に、無人搬送車10は、両障害物5c,5dの間を縫って走行することが可能になる。このとき、
図7の実線で示すように、無人搬送車10が2つの障害物5c,5dの間で停車してしまうと、従来の無人搬送システムでは、2つの障害物5c,5dのうちいずれが原因で無人搬送車10が停車したかを周囲の作業者が認識することができないという問題があった。これに対して、本発明の無人搬送システム1では、無人搬送車10が2つの障害物5c,5dの間で停車した場合であっても、作業者はモバイル端末60のディスプレイ62に表示される干渉関連情報を基に、無人搬送車10の停車原因となった障害物5、つまり無人搬送車10と干渉すると予測される障害物5(
図7の例では障害物5c)を容易に特定することができる。そして、作業者は、モバイル端末60のディスプレイ62に表示された干渉関連情報を基に、この障害物5cの移動作業を効率良く行うことができる。
【0082】
前記実施形態では、干渉関連情報を報知する報知部は、モバイル端末60に設けられたディスプレイ62により構成されているが、これに限ったものではなく、例えば、無人搬送車10に設けられたディスプレイ(図示省略)により構成されていてもよい。また、報知部は、ディスプレイ62のように視覚を通じて情報を報知する機器に限らず、例えば、スピーカのように音声を通じて情報を報知する機器で構成されていてもよい。この場合、報知部として、例えばモバイル端末60に設けられたスピーカ63を採用することができる。
【0083】
前記実施形態では、無人搬送車10は、無軌道で自律走行するように構成されているが、これに限ったものではない。無人搬送車10は、例えば、磁気テープや光反射テープなどの誘導体に沿って有軌道で走行するように構成されていてもよい。
【0084】
前記実施形態では、制御システム100は、上位制御装置40と車載制御装置30とで構成されているが、これに限ったものではなく、例えば、上位制御装置40の各機能部を車載制御装置30に集約してもよいし、これとは逆に、車載制御装置30の各機能部を上位制御装置40に集約して無人搬送車10をリモート制御するようにしてもよい。
【0085】
前記実施形態では、距離センサ14は、レーザ光を水平方向及び上下方向に走査させるように構成されているが、これに限ったものではなく、例えば水平方向にのみ走査させるように構成されていてもよい。この場合であっても、距離センサ14より出力される距離データを基に障害物5の平面的な位置を特定して前記干渉関連情報を算出することは可能である。
【0086】
前記実施形態では、距離センサ14により無人搬送車10の前側の所定範囲内に存在する物体を検出するようにしているが、これに限ったものではなく、例えば無人搬送車10の左側、右側又は後側の所定範囲内に存在する物体を検出するようにしてもよい。
【0087】
前記実施形態では、物体検出センサは距離センサ14とされているが、これに限ったものではなく、例えば画像センサであってもよい。この場合、画像センサから出力される各画素の座標位置及びそれぞれの輝度値が、物体の位置を特定するための位置情報として機能する。
【0088】
前記実施形態では、無人搬送車10にロボット20が搭載されている例を説明したが、これに限ったものではなく、ロボット20を廃止してもよい。この場合、無人搬送車10へのワークの積卸し作業は、床面に設置された他のロボットや作業者が行うようにすればよい。
【0089】
尚、上述した実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1 無人搬送システム
5 障害物
5a 障害物
5b 障害物
5c 障害物
5d 障害物
10 無人搬送車
31a 走行制御部
41b 走行経路決定部
41c 障害物検出部
41d 通過領域算出部
41e 干渉予測部
41f 干渉情報算出部
60 モバイル端末
62 ディスプレイ(報知部)
C 重なり部分
R 通過予定領域
V 走行予定経路
【手続補正書】
【提出日】2022-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人搬送車と、該無人搬送車の走行予定経路を決定する走行経路決定部と、該走行経路決定部により決定された前記走行予定経路に沿って前記無人搬送車を走行させる走行制御部とを備えた無人搬送システムであって、
前記無人搬送車に搭載され、該無人搬送車から所定範囲内に存在する物体を検出するとともに当該物体の位置を特定可能な位置情報を出力する物体検出センサと、
前記物体検出センサにより検出された前記物体が、前記無人搬送車の走行可能領域に配置された障害物であるか否かを検出する障害物検出部と、
前記障害物検出部により前記物体が障害物であると検出された場合に、前記走行予定経路に沿った前記無人搬送車の通過予定領域を算出する通過領域算出部と、
前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサから出力される前記障害物の位置情報とを基に、当該無人搬送車が前記走行予定経路に沿って走行し続けた場合に前記障害物と干渉するか否かを予測する干渉予測部とを備え、
前記干渉予測部により前記干渉が発生すると予測された場合に、該干渉に関連する干渉関連情報を算出する干渉情報算出部と、
前記干渉情報算出部により算出された前記干渉関連情報を報知する報知部とをさらに備え、
前記干渉関連情報が、前記無人搬送車と前記障害物との干渉を回避することが可能となる、作業者が障害物を移動させるべき方向又は距離に関連する情報であることを特徴とする無人搬送システム。
【請求項2】
前記走行制御部は、前記干渉予測部により前記干渉が発生すると予測された場合に、前記無人搬送車を前記障害物と干渉する前に停車させるように構成された請求項1記載の無人搬送システム。
【請求項3】
前記走行経路決定部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物とが干渉すると予測された場合には、該干渉を回避し得る回避経路が存在するか否かを判定して、存在すると判定した場合には、現時点の走行予定経路を当該回避経路に更新するように構成され、
前記走行制御部は、前記走行経路決定部により前記干渉を回避し得る回避経路が存在しないと判定された場合には、前記無人搬送車を前記障害物と干渉する前に停車させるように構成され、
前記報知部は、前記走行経路決定部により前記干渉を回避し得る回避経路が存在しないと判定された場合に、前記干渉情報算出部により算出された前記干渉関連情報を報知するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の無人搬送システム。
【請求項4】
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報とを基に、前記無人搬送車と前記障害物との干渉を回避することが可能な当該障害物の移動方向と当該移動方向に沿った最小移動距離とを算出するように構成され、
前記干渉関連情報には、前記移動方向及び前記最小移動距離が含まれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の無人搬送システム。
【請求項5】
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報とを基に、前記通過予定領域と前記障害物との平面視における重なり部分の面積を算出するように構成され、
前記干渉関連情報には、前記重なり部分の面積が含まれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の無人搬送システム。
【請求項6】
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報とを基に、前記通過予定領域と前記障害物との平面視における重なり部分の所定方向の長さを算出するように構成され、
前記干渉関連情報には、前記重なり部分の前記所定方向の長さが含まれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の無人搬送システム。
【請求項7】
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報を基に、前記走行制御部により当該無人搬送車の走行が停止された後の当該無人搬送車と、前記干渉が予測される前記障害物との相対位置情報を算出するように構成され、
前記干渉関連情報には、前記相対位置情報が含まれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の無人搬送システム。
【請求項8】
前記報知部は、作業者が携帯するモバイル端末に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の無人搬送システム。
【請求項9】
無人搬送車と、該無人搬送車の走行予定経路を決定する走行経路決定部と、該走行経路決定部により決定された前記走行予定経路に沿って前記無人搬送車を走行させる走行制御部とを備えた無人搬送システムであって、
前記無人搬送車に搭載され、該無人搬送車から所定範囲内に存在する物体を検出するとともに当該物体の位置を特定可能な位置情報を出力する物体検出センサと、
前記物体検出センサにより検出された前記物体が、前記無人搬送車の走行可能領域に配置された障害物であるか否かを検出する障害物検出部と、
前記障害物検出部により前記物体が障害物であると検出された場合に、前記走行予定経路に沿った前記無人搬送車の通過予定領域を算出する通過領域算出部と、
前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサから出力される前記障害物の位置情報とを基に、当該無人搬送車が前記走行予定経路に沿って走行し続けた場合に前記障害物と干渉するか否かを予測する干渉予測部とを備え、
前記走行制御部は、前記干渉予測部により前記干渉が発生すると予測された場合に、前記無人搬送車を前記障害物と干渉する前に停車させるように構成され、
前記干渉予測部により前記干渉が発生すると予測された場合に、該干渉に関連する干渉関連情報を算出する干渉情報算出部と、
前記干渉情報算出部により算出された前記干渉関連情報を報知する報知部とをさらに備えており、
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報とを基に、前記無人搬送車と前記障害物との干渉を回避することが可能な当該障害物の移動方向と当該移動方向に沿った最小移動距離とを算出するように構成され、前記干渉関連情報には、前記移動方向及び前記最小移動距離が含まれることを特徴とする、又は、
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報とを基に、前記通過予定領域と前記障害物との平面視における重なり部分の面積を算出するように構成され、前記干渉関連情報には、前記重なり部分の面積が含まれることを特徴とする、又は、
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報とを基に、前記通過予定領域と前記障害物との平面視における重なり部分の所定方向の長さを算出するように構成され、前記干渉関連情報には、前記重なり部分の前記所定方向の長さが含まれることを特徴とする、又は、
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報を基に、前記走行制御部により当該無人搬送車の走行が停止された後の当該無人搬送車と、前記干渉が予測される前記障害物との相対位置情報を算出するように構成され、前記干渉関連情報には、前記相対位置情報が含まれることを特徴とする無人搬送システム。
【請求項10】
無人搬送車と、該無人搬送車の走行予定経路を決定する走行経路決定部と、該走行経路決定部により決定された前記走行予定経路に沿って前記無人搬送車を走行させる走行制御部とを備えた無人搬送システムであって、
前記無人搬送車に搭載され、該無人搬送車から所定範囲内に存在する物体を検出するとともに当該物体の位置を特定可能な位置情報を出力する物体検出センサと、
前記物体検出センサにより検出された物体が、前記無人搬送車の走行可能領域に配置された障害物であるか否かを検出する障害物検出部と、
前記障害物検出部により前記物体が障害物であると検出された場合に、前記走行予定経路に沿った前記無人搬送車の通過予定領域を算出する通過領域算出部と、
前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報とを基に、前記無人搬送車が前記走行予定経路に沿って走行し続けた場合に前記障害物と干渉するか否かを予測する干渉予測部と、
前記干渉予測部により前記干渉が発生すると予測された場合に、該干渉に関連する干渉関連情報を算出する干渉情報算出部と、
前記干渉情報算出部により算出された前記干渉関連情報を報知する報知部とを備え、
前記走行経路決定部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物とが干渉すると予測された場合には、該干渉を回避し得る回避経路が存在するか否かを判定して、存在すると判定した場合には、現時点の走行予定経路を当該回避経路に更新するように構成され、
前記走行制御部は、前記走行経路決定部により前記干渉を回避し得る回避経路が存在しないと判定された場合には、前記無人搬送車を前記障害物と干渉する前に停車させるように構成され、
前記報知部は、前記走行経路決定部により前記干渉を回避し得る回避経路が存在しないと判定された場合に、前記干渉情報算出部により算出された前記干渉関連情報を報知するように構成されており、
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報とを基に、前記無人搬送車と前記障害物との干渉を回避することが可能な当該障害物の移動方向と当該移動方向に沿った最小移動距離とを算出するように構成され、前記干渉関連情報には、前記移動方向及び前記最小移動距離が含まれることを特徴とする、又は、
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報とを基に、前記通過予定領域と前記障害物との平面視における重なり部分の面積を算出するように構成され、前記干渉関連情報には、前記重なり部分の面積が含まれることを特徴とする、又は、
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記通過領域算出部により算出された前記無人搬送車の通過予定領域と、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報とを基に、前記通過予定領域と前記障害物との平面視における重なり部分の所定方向の長さを算出するように構成され、前記干渉関連情報には、前記重なり部分の前記所定方向の長さが含まれることを特徴とする、又は、
前記干渉情報算出部は、前記干渉予測部により前記無人搬送車と前記障害物との干渉が発生すると予測される場合には、前記物体検出センサより出力された前記障害物の位置情報を基に、前記走行制御部により当該無人搬送車の走行が停止された後の当該無人搬送車と、前記干渉が予測される前記障害物との相対位置情報を算出するように構成され、前記干渉関連情報には、前記相対位置情報が含まれることを特徴とする無人搬送システム。