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  • 特開-スワップボデー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167211
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】スワップボデー
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/64 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
B60P1/64 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078209
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000229357
【氏名又は名称】日本トレクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】紀伊 秀一
(57)【要約】
【課題】フレームの長手方向の長さと強度を維持しつつ送風装置を搭載可能なスワップボデーを提供する。
【解決手段】トラック10のシャーシ12に脱着されるスワップボデー20は、上側に荷物室40が形成されるフレーム30と、フレームに対して回動することにより該フレームの下側に突出する複数の支持脚50と、を備え、フレームの長手方向の長さは、荷物室の長手方向の長さよりも長く、荷物室は、フレームの長手方向における後端に寄せて形成され、フレームの長手方向における前端から荷物室までの間に、該荷物室の内部に冷気を送風可能な冷凍機60を配置した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側に荷物室が形成されるフレームと、前記フレームに対して回動することにより該フレームの下側に突出する複数の支持脚と、を備え、トラックのシャーシに脱着されるスワップボデーであって、
前記フレームの長手方向の長さは、前記荷物室の長手方向の長さよりも長く、
前記荷物室は、前記フレームの長手方向における後端に寄せて形成され、
前記フレームの長手方向における前端から前記荷物室までの間に、該荷物室の内部に冷気を送風可能な送風装置を配置した、スワップボデー。
【請求項2】
請求項1に記載のスワップボデーにおいて、
前記複数の支持脚は、前記フレームの長手方向の前端に設けられる前脚と、該長手方向の中央部に設けられる中脚と、該長手方向の後端に設けられる後脚と、を含み、
前記荷物室の前壁は、前記前脚と前記中脚との間に形成される、スワップボデー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスワップボデーにおいて、
前記フレームの長手方向における前端から前記荷物室までの間に、遮蔽材を配置した、スワップボデー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上側に荷物室が形成されるフレームと、前記フレームに対して回動することにより該フレームの下側に突出する複数の支持脚と、を備え、トラックのシャーシに脱着されるスワップボデーに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなスワップボデーとして、特許文献1に示すものが知られている。このスワップボデーは、荷役作業をするときに、複数の支持脚をフレームの下側に突出させることにより自立する。そしてスワップボデーは、荷物を輸送するときに、トラックのシャーシに装着される。さらにスワップボデーは、輸送先で荷役作業をするときに、トラックのシャーシから分離されて、複数の支持脚をフレームの下側に突出させることにより自立する。
【0003】
このように、スワップボデーを使用すると、荷役作業時にはトラックや運転手が不要であるため、該トラックや運転手の稼働効率を高めることができるという利点を有する。この特許文献1に記載されたスワップボデーでは、フレームの長手方向の長さと、荷物室の長手方向の長さとは、同じである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-024431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
荷物を冷凍・冷蔵状態で輸送することが多く求められる近時では、このようなスワップボデーに、冷凍機などの送風装置を搭載することが求められる。この場合において、従来のトラックと着脱可能なように、スワップボデーにおいて、フレームの長手方向の長さと強度を維持しつつ、送風装置を搭載可能とする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスワップボデーは、上側に荷物室が形成されるフレームと、前記フレームに対して回動することにより該フレームの下側に突出する複数の支持脚と、を備え、トラックのシャーシに脱着されるスワップボデーであって、前記フレームの長手方向の長さは、前記荷物室の長手方向の長さよりも長く、前記荷物室は、前記フレームの長手方向における後端に寄せて形成され、前記フレームの長手方向における前端から前記荷物室までの間に、該荷物室の内部に冷気を送風可能な送風装置を配置した。
【発明の効果】
【0007】
本発明のスワップボデーによれば、フレームの長手方向の長さと強度を維持しつつ、送風装置を搭載できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】自立したスワップボデーとトラックとを模式的に示す斜視図である。
図2】スワップボデーの底面図である。
図3】スワップボデーの右側面図である。
図4】化粧板を配置したスワップボデーを示す右側面図である。
図5】化粧板を配置したスワップボデーを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。ここで、図2図4において、左側を「前側」、右側を「後ろ側」と称する。つまり、トラック10において、運転席11側が「前側」である。また、トラック10において、車長方向を「長手方向」、車幅方向を「短手方向」と称する。
【0010】
図1に示すように、トラック10は、前側に運転席11を有し、後ろ側にシャーシ12を有する。このシャーシ12の上面に、スワップボデー20が装着される。スワップボデー20は、フレーム30と、荷物室40と、複数の支持脚50とを備える。
【0011】
図2に示すように、フレーム30は、複数の縦桁31と、複数の横桁32とを有する。複数の縦桁31は、長手方向に亘って設けられ、各々が短手方向で平行である。複数の横桁32は、短手方向に亘って設けられ、各々が長手方向で平行である。これら縦桁31と横桁32とは、直交して井桁状を呈する。
【0012】
図1に示すように、フレーム30の上側に、荷物室40が形成される。荷物室40は、直方体の箱型(バンタイプ)であり、前側に前壁41、後ろ側に後壁42、前側から見て右側に右側壁43、前側から見て左側に左側壁44、上側に天井45、下側に床板46を有する。後壁42には、荷物室40の室内に入るための扉42aが設けられる。右側壁43にも、荷物室40の室内に入るための扉43aが設けられる。
【0013】
図1及び図2に示すように、フレーム30に、複数の支持脚50が設けられる。複数の支持脚50は、フレーム30に対して回動することにより、水平状態から垂直状態となって、該フレーム30の下側に突出する。本例では、フレーム30の短手方向両端において、長手方向の前端に支持脚50,50(以下、「前脚」とも言う)、長手方向の中央部に支持脚50,50(以下、「中脚」とも言う)、長手方向の後端に支持脚50,50(以下、「後脚」とも言う)の、6本の支持脚50が設けられる。
【0014】
支持脚50の各々は、その上端が、水平軸51に固定されている。水平軸51は、短手方向に延びており、その中心軸回りで回動可能なように、フレーム30の下面に支持されている。
【0015】
図1を参照して、スワップボデー20とシャーシ12との脱着について説明する。まず、荷積みの荷役作業をするときには、スワップボデー20が自立するように、複数の支持脚50が、水平軸51と共に回動されて、垂直状態とされている。この垂直状態では、支持脚50による圧痕が荷役場につかないように、該支持脚50は、脚台板52の上で立てられる。
【0016】
次に、荷物を輸送するときには、トラック10のエアサスペンションの空気を抜くことによりシャーシ12の高さを下げて、トラック10を後退させ、該シャーシ12をスワップボデー20の下に位置させる。この状態で、トラック10のエアサスペンションに空気を入れることによりシャーシ12の高さを上げると、シャーシ12の上面とフレーム30の下面とが接触して、複数の支持脚50の下端が脚台板52から浮くので、シャーシ12とフレーム30とをロックボルトで締結する。そして、複数の支持脚50を、水平軸51と共に回動させて、水平状態とする。水平状態の支持脚50は、短手方向の内側に移動可能であり、該移動することにより、フレーム30の幅から張り出さないように構成されている。このようにして、シャーシ12にスワップボデー20が装着され、トラック10のエアサスペンションを下げることにより、スワップボデー20が装着されたトラック10が走行可能となる。
【0017】
最後に、輸送先で荷下ろしの荷役作業をするときには、トラック10のエアサスペンションを上げ、水平状態の支持脚50を、短手方向の外側に移動して、フレーム30の幅から張り出し、複数の支持脚50を回動することにより垂直状態として、シャーシ12とフレーム30とを締結しているロックボルトを外す。この状態で、トラック10のエアサスペンションを下げると、支持脚50が接地することによりスワップボデー20が自立して、シャーシ12とスワップボデー20とが分離し、該スワップボデー20を荷役場所に残して、トラック10が走行可能となる。
【0018】
図1及び図3に示すように、本実施形態のスワップボデー20では、フレーム30の長手方向の長さが、荷物室40の長さよりも長い。この荷物室40は、フレーム30の長手方向における後端に寄せて形成されている。そして該フレーム30の長手方向における前端から荷物室40までの間に、冷凍機60を配置している。
【0019】
以下、荷物室40が形成されている部分のフレーム30を、荷物室設置部30bと称する。また、フレーム30の長手方向における前端から荷物室40までの間、即ち荷物室40が形成されていない部分のフレーム30を、冷凍機設置部30aと称する。冷凍機設置部30aの長さは、冷凍機60の前後方向の長さよりも若干長ければよい。換言すれば、荷物室40の前壁41は、前記前脚と前記中脚との間に形成される。これにより、荷物室設置部30bの長さ、即ち荷物室40の前後方向の長さを、最大限にすることができる。
【0020】
冷凍機60は送風装置の一例であって、荷物室40の内部に冷気を送風可能なものである。冷凍機60は、荷物室40の前壁41の上部に形成された孔に、荷物室40の内外に亘って配置され、コンデンサ60aが室外、エバポレータ60bが室内に位置する。
【0021】
特許文献1に記載されたような、フレームの長手方向の長さと荷物室の長手方向の長さとが同じであるスワップボデーにおいて、荷物室の前端から前側に張り出すように冷凍機を配置すると、スワップボデーの自立時に、該冷凍機の重さによって前脚にかかる回転モーメントが過大となって、スワップボデーの姿勢が不安定になるという問題がある。
【0022】
しかし、本実施形態のスワップボデー20では、フレーム30の長手方向の長さが、荷物室40の長さよりも長く、荷物室40が、フレーム30の長手方向における後端に寄せて形成され、冷凍機60が、該フレーム30の長手方向における前端から荷物室40までの間に配置されるので、冷凍機60の重さによって前脚にかかる回転モーメントが過大となることはなく、スワップボデー20の姿勢が不安定になることもない。
【0023】
そして、フレーム30の長手方向の長さを、従来のスワップボデーにおけるフレームの長手方向の長さと同じにすれば、従来のトラックに着脱可能なので、互換性が保てる。また、フレーム30の長手方向の長さを、従来のスワップボデーにおけるフレームの長手方向の長さと同じにすれば、冷凍機60を搭載しても、スワップボデー20の強度を維持できる。さらに、荷物室40の前壁41が、前記前脚と前記中脚との間に形成される(即ち、前壁41よりも前に前脚が設けられる)ので、冷凍機60を安定的に配置できる。
【0024】
図4及び図5に示すように、フレーム30の冷凍機設置部30aには、梯子61aを有する梯子ユニット61や、燃料タンク63や、バッテリ64などを配置することができる。そして、梯子ユニット61の短手方向両側に、化粧板62、62を配置することができ、梯子ユニット61の正面にも、化粧板62、62を配置することができる。これら化粧板62を配置することにより、冷凍機設置部30aに配置された燃料タンク63やバッテリ64を視認できないように遮蔽することができ、荷物室40と一体感のある外観にすることができるので、美観を向上できる。
【0025】
この化粧板62は遮蔽材の一例であって、樹脂、金属、木、あるいはそれらの複合で構成することができる。化粧板62の高さは、冷凍機設置部30aに配置された燃料タンク63やバッテリ64を視認できない高さであるが、特に限定はされない。
【0026】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、荷物室40の右側壁43に、扉43aを設けなくてもよい。また、支持脚50の本数は、6本ではなく、4本でもよい。この支持脚50が4本の場合は、前端の前脚と後端の後脚であり、荷物室40の前壁41は、前脚と後脚との間に形成される。
【0027】
また、冷凍機60は、冷凍機設置部30aの範囲内に全体が配置されていなくてもよく、一部が冷凍機設置部30aの範囲外に位置してもよい。また、送風装置は、冷凍機60ではなく、冷蔵機でもよい。また、梯子ユニット61や化粧板62は、一部又は全部を省略してもよい。
【符号の説明】
【0028】
10…トラック
12…シャーシ
20…スワップボデー
30…フレーム
40…荷物室
50…支持脚
60…冷凍機
62…化粧板
図1
図2
図3
図4
図5