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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167214
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】フック検出ユニットおよびフック
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
A62B35/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078213
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000309
【氏名又は名称】IDEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103241
【弁理士】
【氏名又は名称】高崎 健一
(72)【発明者】
【氏名】大西 祥太
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 繁年
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184JA03
2E184KA11
2E184LA23
2E184LA34
2E184MA01
2E184MA09
(57)【要約】
【課題】墜落制止用器具において、ホルダにおけるフックの有無の検出を安定して確実に行えるフック検出ユニットを提供する。
【解決手段】墜落制止用器具1に設けられたフック14Hと、フック14Hを吊下げ可能に係止するホルダ2とを備え、ホルダ2におけるフック14Hの有無を検出するためのフック検出ユニットを構成する。ホルダ2がフック14Hの有無を検出するリードスイッチ22を有し、フック14Hが当該フック14Hに装着されるフックカバー4を有し、フックカバー4がホルダ2のリードスイッチ22により検出可能なマグネット5、5を有している。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
墜落制止用器具に設けられたフックと、前記フックを吊下げ可能に係止するホルダとを備え、前記ホルダにおける前記フックの有無を検出するためのフック検出ユニットであって、
前記ホルダが前記フックの有無を検出する検出部を有しており、
前記フックが、当該フックに装着されるフックカバーを有し、前記フックカバーが前記ホルダの前記検出部により検出可能な被検出部を有している、
ことを特徴とするフック検出ユニット。
【請求項2】
請求項1において、
前記フックカバーが、前記フックの鉤状部を外周側から覆う鉤状の部材であって、前記被検出部が当該フックカバーに固着されている、
ことを特徴とするフック検出ユニット。
【請求項3】
請求項2において、
前記被検出部が前記フックカバーの内側または内部に固定されている、
ことを特徴とするフック検出ユニット。
【請求項4】
請求項1において、
前記フックカバーが、前記ホルダのフック吊下げ用開口部内での前記フックの移動を規制する第1のフック移動規制部を有している、
ことを特徴とするフック検出ユニット。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1のフック移動規制部が、前記フックカバーの外面から外方に突出する凸部により構成されている、
ことを特徴とするフック検出ユニット。
【請求項6】
請求項1において、
前記ホルダが、当該ホルダのフック吊下げ用開口部内での前記フックの移動を規制する第2のフック移動規制部を有している、
ことを特徴とするフック検出ユニット。
【請求項7】
請求項6において、
前記第2のフック移動規制部が、前記ホルダのフック吊下げ部の上方に配設されており、当該第2のフック移動規制部および前記フック吊下げ部により、前記ホルダの前記フック吊下げ用開口部が限定されている、
ことを特徴とするフック検出ユニット。
【請求項8】
請求項7において、
前記検出部が前記第2のフック移動規制部に設けられている、
ことを特徴とするフック検出ユニット。
【請求項9】
請求項1において、
前記ホルダが、ベースと、前記ベースにスライド可能に設けられ、前記フックを吊下げ可能に係止し得るスライダとを備え、
前記スライダが、当該スライダのフック吊下げ用開口部内での前記フックの移動を規制する第2のフック移動規制部を有しており、前記第2のフック移動規制部が、前記スライダのフック吊下げ部の上方に配設されており、当該第2のフック移動規制部および前記フック吊下げ部により、前記スライダの前記フック吊下げ用開口部が限定されている、
ことを特徴とするフック検出ユニット。
【請求項10】
墜落制止用器具のためのフックであって、
前記墜落制止用器具が前記フックを吊下げ可能に係止するホルダを備え、前記ホルダが前記フックの有無を検出可能に設けられており、
前記フックが着脱可能なフックカバーを有し、前記フックカバーが前記ホルダにより検出可能な被検出部を有している、
ことを特徴とする墜落制止用器具のためのフック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、墜落制止用器具のためのフック検出ユニットおよびフックに関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場や工場等で高所作業を行う場合、墜落制止用器具(旧名称:安全帯)が用いられている。たとえばフルハーネス型の墜落制止用器具は、一般に、左右一対の肩ベルトと、これらの間に掛け渡される胸ベルトと、胴ベルトと、腿ベルト等とを備えるとともに、一端にフックを有しかつ他端が肩ベルトの背中側配設個所にショックアブソーバーを介して連結されたランヤードを備えている。
【0003】
ランヤード先端のフックは、ランヤードの使用時に作業現場の構造物に掛止するためのものであり、作業者は、高所作業を行う際、フックを作業現場の構造物に掛止することにより、ランヤードを命綱として作業を行っている。また、墜落制止用器具の肩ベルトには、ランヤードの非使用時にフックを作業者の体の側に吊り下げておくためのホルダが取り付けられている。ホルダは、作業者が高所の作業現場に向かう際にフックを吊り下げて持ち運ぶためのものである。
【0004】
墜落制止用器具のフックがホルダに吊り下げられているか否かを検出するための技術として、種々のものが提案されている。たとえば特開2022-15389号公報に記載のフック検出ユニットにおいては、フック(14H)に取り付けられたマグネット(14m)と、ホルダ(2)に設けられ、フック(14H)をホルダ(2)に吊り下げた際にフック(14H)のマグネット(14m)を検出するリードスイッチ(22)と、ホルダ(2)に設けられ、フック(14H)をホルダ(2)に吊り下げた際にフック(14H)の自重に起因した荷重を検出するマイクロスイッチ(23)とを備えている。
【0005】
上記公報に記載のものでは、フック(14H)をホルダ(2)に吊り下げたとき、ホルダ(2)のマイクロスイッチ(23)により、フック(14H)の自重に起因した荷重が検出されるとともに、ホルダ(2)のリードスイッチ(22)により、フック(14H)のマグネット(14m)が検出されるので、フック(14H)がホルダ(2)に吊り下げられて所定の係止位置に配置されていることが検出されるようになっている(段落[0066]、図9図20参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の構成では、マグネット(14m)をフック(14H)の先端側部の左右側面に接着等により後付けで取り付けるようにしており、そのため、フック(14H)に対するマグネット(14m)の位置にばらつきが生じるおそれがある。また、ホルダ(2)がフック(14H)を吊り下げるためのフック吊下げ用開口部(21a)を有しているが、フック吊下げ後、作業者の歩行時や作業時にフック(14H)がフック吊下げ用開口部(21a)内で上下または左右に移動したり傾動したりすることにより、リードスイッチ(22)がフック(14H)のマグネット(14m)の検出を安定して行えない場合が生じ得る。さらに、フック(14H)がホルダ(2)のスライダ(21)に吊り下げられるように構成されているため、フック吊下げ後、スライダ(21)が下方に移動してフック吊下げ用開口部(21a)が大きくなると、フック(14H)がフック吊下げ用開口部(21a)内でさらに移動しやすくなり、その結果、リードスイッチ(22)によるマグネット(14m)の検出が安定して行えなくなる場合が生じ得る。
【0007】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、墜落制止用器具において、ホルダにおけるフックの有無の検出を安定して確実に行えるフック検出ユニットを提供することにある。本発明はまた、フックがホルダの係止位置にあることを安定して確実に検出しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るフック検出ユニットは、墜落制止用器具に設けられたフックと、フックを吊下げ可能に係止するホルダとを備え、ホルダにおけるフックの有無を検出するためのものであって、ホルダがフックの有無を検出する検出部を有するとともに、フックが当該フックに装着されるフックカバーを有し、フックカバーがホルダの検出部により検出可能な被検出部を有している。
【0009】
本発明によれば、ホルダの検出部により検出可能な被検出部を有するフックカバーがフックに装着される。この場合、フックカバーが被検出部を有していることで、一旦フックカバーがフックに装着されると、フックに対して所定の位置に被検出部が配置されるようになる。これにより、フックに対する被検出部の位置にばらつきが生じるのを回避でき、その結果、ホルダにおけるフックの有無の検出を安定して確実に行えるようになる。また、それにともなって、フックがホルダの係止位置にあることが安定して確実に検出できる。
【0010】
本発明では、フックカバーが、フックの鉤状部を外周側から覆う鉤状の部材であって、被検出部がフックカバーに固着されている。
【0011】
本発明では、被検出部がフックカバーの内側または内部に固定されている。
【0012】
本発明では、フックカバーが、ホルダのフック吊下げ用開口部内でのフックの移動を規制する第1のフック移動規制部を有している。
【0013】
この場合には、第1のフック移動規制部により、ホルダのフック吊下げ用開口部内でのフックの移動を規制できるので、フックをフック吊下げ用開口部内の所定の位置に留めることができるようになって、ホルダの検出部によるフックカバーの被検出部の検出を安定して確実に行え、フックがホルダの係止位置にあることの検出を安定して確実に行えるようになる。
【0014】
本発明では、第1のフック移動規制部が、フックカバーの外面から外方に突出する凸部により構成されている。
【0015】
本発明では、ホルダが、当該ホルダのフック吊下げ用開口部内でのフックの移動を規制する第2のフック移動規制部を有している。
【0016】
この場合には、第2のフック移動規制部により、ホルダのフック吊下げ用開口部内でのフックの移動を規制できるので、フックをフック吊下げ用開口部内の所定の位置に留めることができるようになって、ホルダの検出部によるフックカバーの被検出部の検出を安定して確実に行え、フックがホルダの係止位置にあることの検出を安定して確実に行えるようになる。
【0017】
本発明では、第2のフック移動規制部が、ホルダのフック吊下げ部の上方に配設されており、当該第2のフック移動規制部およびフック吊下げ部により、ホルダのフック吊下げ用開口部が限定されている。
【0018】
この場合には、ホルダのフック吊下げ部の上方に配設された第2のフック移動規制部およびフック吊下げ部により、ホルダのフック吊下げ用開口部が限定されていることにより、フック吊下げ後においてもフック吊下げ用開口部を所定の大きさに維持でき、これにより、フック吊下げ用開口部内でのフックの移動を規制できる。
【0019】
本発明では、検出部が第2のフック移動規制部に設けられている。
【0020】
本発明では、ホルダが、ベースと、ベースにスライド可能に設けられ、フックを吊下げ可能に係止し得るスライダとを備えている。スライダは、当該スライダのフック吊下げ用開口部内でのフックの移動を規制する第2のフック移動規制部を有し、第2のフック移動規制部が、スライダのフック吊下げ部の上方に配設され、当該第2のフック移動規制部およびフック吊下げ部により、スライダのフック吊下げ用開口部が限定されている。
【0021】
本発明によれば、フックを吊下げ可能に係止し得るスライダが第2のフック移動規制部を有しているので、この第2のフック移動規制部により、スライダのスライド後においても、スライダのフック吊下げ用開口部内でのフックの移動を規制できる。これにより、フックをフック吊下げ用開口部内の所定の位置に留めることができるようになって、ホルダの検出部によるフックカバーの被検出部の検出を安定して行え、フックがスライダの係止位置にあることの検出を安定して確実に行えるようになる。
【0022】
本発明に係る墜落制止用器具のためのフックにおいては、墜落制止用器具がフックを吊下げ可能に係止するホルダを備え、ホルダがフックの有無を検出可能に設けられており、フックが着脱可能なフックカバーを有し、フックカバーがホルダにより検出可能な被検出部を有している。
【0023】
本発明によれば、ホルダにより検出可能な被検出部を有するフックカバーがフックに着脱可能になっている。この場合、フックカバーが被検出部を有していることで、一旦フックカバーがフックに装着されると、フックに対して所定の位置に被検出部が配置されることになる。これにより、フックに対する被検出部の位置にばらつきが生じるのを回避でき、その結果、ホルダにおけるフックの有無の検出を安定して確実に行えるようになる。また、それにともなって、フックがホルダの係止位置にあることが安定して確実に検出できる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明によれば、墜落制止用器具において、ホルダにおけるフックの有無の検出を安定して確実に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施例によるフック検出ユニットを備えたフルハーネス型墜落制止用器具を作業者が装着した状態を正面側から見た全体斜視図であって、左右のフックが各ホルダに吊り下げられた状態を示している。
図2】前記フルハーネス型墜落制止用器具(図1)を背面側から見た全体斜視図であって、左側のフックがホルダから外された状態を示している。
図3】前記フックおよびホルダ(図1)を正面側から見た全体斜視図である。
図4】前記フックおよびホルダ(図3)の正面図である。
図5】前記フックおよびホルダ(図3)の背面図である。
図6】前記フックおよびホルダ(図3)の側面図である。
図7】前記フックおよびホルダ(図3)においてフックカバーを透明にした状態を背面側から見た全体斜視図である。
図8】前記フックおよびホルダ(図3)においてフックカバーを透明にした状態を背面側から見た全体斜視図である。
図9】前記フックおよびホルダ(図7)を背面側上方から見た全体斜視図である。
図10】前記フックおよびホルダ(図7)の側面図である。
図11】前記ホルダ(図4)の背面図である。
図12】前記ホルダ(図11)の正面図であって内部構造を示している。
図13】前記フック(図3)のフックカバーの側面図である。
図14】前記フックカバー(図13)の平面図である。
図15】前記フックカバー(図13)の底面側斜視図である。
図16】前記フックカバー(図13)の底面図である。
図17】前記フック(図3)に前記フックカバー(図3)を装着する際の装着手順を説明するための図である。
図18】前記フック(図3)に前記フックカバー(図3)を装着する際の装着手順を説明するための図である。
図19】前記フック(図3)に前記フックカバー(図3)を装着する際の装着手順を説明するための図である。
図20】前記フックカバー(図5)に設けられる凸部(第1のフック移動規制部)の変形例を示す図である。
図21】前記ホルダ(図11)のフック吊下げ用開口部に設けられる第2のフック移動規制部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図19は、本発明の一実施例によるフック検出ユニットを説明するための図であって、図1および図2は、当該フック検出ユニットを採用したフルハーネス型の墜落制止用器具の全体斜視図、図3ないし図10はホルダにフックが吊り下げられた状態を示す外観図、図11および図12はホルダの背面図および正面図、図13ないし図16はフックカバーの外観図、図17ないし図19はフックカバーの装着手順を示す図である。
【0027】
図1および図2に示すように、墜落制止用器具1は、作業者Pの体に掛け渡される左右一対の肩ベルト10、10と、これらを連結する胸ベルト11と、胴ベルト12と、左右一対の腿ベルト13、13と、左右一対のランヤード14、14とを備えている。ここでは、2本のランヤードを有するダブルランヤード式のものを例にとる。
【0028】
ランヤード14は、先端にフック14Hが取り付けられたストラップ14Sから構成されており、同様に、ランヤード14は、先端にフック14Hが取り付けられたストラップ14Sから構成されている。墜落制止用器具1の背面側において(図2参照)、各肩ベルト10、10の交差個所には、D環15が固定されており、D環15にはショックアブソーバー16が係止している。各ランヤード14、14の基端は、それぞれショックアブソーバー16に取り付けられている。
【0029】
墜落制止用器具1の正面側において(図1参照)、左右の肩ベルト10、10には、ホルダ2、3がそれぞれ取り付けられている。ホルダ2は、ランヤード14の先端のフック14Hを吊下げ可能に係止するためのものであり、同様に、ホルダ3は、ランヤード14の先端のフック14Hを吊下げ可能に係止するためのものである。各フック14H、14Hには、それぞれフックカバー4が着脱可能に装着されている(図2参照)。
【0030】
フック14H、ホルダ2およびフックカバー4について、図3ないし図16を用いて説明する。図3ないし図10はホルダ2にフック14Hが吊り下げられた状態を、図11および図12はホルダ単体を、図13ないし図16はフックカバー単体をそれぞれ示している。なお、フック14Hおよびホルダ3は、それぞれフック14Hおよびホルダ2と同様の構成を示しており、ここでは、フック14Hおよびホルダ2についてのみ説明する。
【0031】
ホルダ2は、図3ないし図12に示すように、ベース20と、ベース20に上下方向スライド可能に設けられ、フック14Hを吊下げ可能に係止し得るスライダ21とを有している。ベース20は、図示しない係止具を介して肩ベルト10図1図2)に取付け可能になっている。
【0032】
ベース20は、正面側に開口する箱状のベース本体20Aと、ベース本体20Aの開口部を覆う蓋体20Bとを有している。ベース本体20Aは、図12に示すように、同図紙面奥側に配置された正面視概略矩形状の背面壁部20bと、背面壁部20bの外周縁部に沿って正面側(同図紙面手前側)に突出しつつ概略矩形状に連設された側壁部20w、20w、20wおよび20wを有している。なお、図12は、ベース20のベース本体20Aから蓋体20Bを取り外した状態を示している。
【0033】
各側壁部20w、20w、20w、20wで囲繞された内部空間には、マイクロスイッチ23が収容されている。マイクロスイッチ23は、スライダ21におけるフック14Hの有無を検出するためのものであって、ここでは、上下に回動するヒンジレバー型のアクチュエータ23sを有するものを例にとる。また、左右の側壁部20w、20wには、上下方向(図12上下方向)に延びる切欠き20nがそれぞれ形成されている。
【0034】
スライダ21は、図12に示すように、各々上下方向に延びる左右一対の柱部21Aと、各柱部21Aの上部から各柱部21Aと直交する方向に延設され、側壁部20w、20wの各切欠き20nを挿通する左右一対の延設部21kとを有している。切欠き20nは、延設部21kに対して、スライダ21の上下方向のスライド移動を許容するための上下方向のクリアランスを有している。一方、ベース本体20Aには、各々上下方向に配設された圧縮ばね24が左右に配置されており、各圧縮ばね24の下端はベース本体20Aの下側の側壁部20wに圧接し、上端はスライダ21の各延設部21kに圧接している。この構成により、スライダ21は、常時上方に付勢されている。また、スライダ21にフック14Hが吊下げられると、その荷重により、スライダ21は、圧縮ばね24の弾性反発力に抗しつつ下方にスライド移動するようになっている(図10図5参照)。
【0035】
スライダ21は、左右双方の延設部21kを連結する壁部である被検出バー21gを有している。被検出バー21gには、マイクロスイッチ23のアクチュエータ23sの先端が当接している。スライダ21にフック14Hが吊り下げられていないとき(図12参照)、マイクロスイッチ23はたとえばON状態にあり、スライダ21にフック14Hが吊り下げられると、フック14Hの自重でスライダ21が下方に移動してアクチュエータ23sが下方に回動することにより、マイクロスイッチ23はたとえばOFF状態に移行するようになっており、これにより、フック14Hの自重に起因した荷重が検出されるようになっている。
【0036】
スライダ21は、図11および図12に示すように、各柱部21Aの各下端からそれぞれ斜め内方に傾斜する左右一対の傾斜部21Cと、各傾斜部21Cの各下端を連結する底部(フック吊下げ部)21Bと、各柱部21Aの長手方向略中央部において、各柱部21Aを左右に連結する連結バー(第2のフック移動規制部)21Dとを有している。これら柱部21A、傾斜部21C、底部21Bおよび連結バー21Dで囲繞された六角形状の空間がフック吊下げ用開口部21aを形成しており、フック14Hの移動可能な範囲を限定している。とくに、底部21Bおよび連結バー21Dは、スライダ21の上下方向へのスライド移動の状況に係わらず、フック吊下げ用開口部21aを限定している。なお、図11中の一点鎖線部分については後述する。
【0037】
連結バー21Dには、リードスイッチ(検出部)22が設けられている。リードスイッチ22は、スライダ21(つまりホルダ2)におけるフック14Hの有無を検出するためのものであって、2本の強磁性体リードを所定の接点間隔を介して対向配置させてガラス管の中に封入することにより構成されている。フック14Hがスライダ21の底部21Bに吊り下げられていないとき、リードスイッチ22はたとえばOFF状態にあり、フック14Hがスライダ21の底部21Bに吊り下げられて係止されると、フック14Hに装着されたフックカバー4のマグネット(被検出部)5、5(詳細は後述)を検出することにより、リードスイッチ22はたとえばON状態に移行するようになっており、これにより、フック14Hが所定の係止位置にあることが検出されるようになっている。このように、ホルダ2のリードスイッチ22およびフックカバー4のマグネット5、5により、本実施例によるフック検出ユニットが構成されている。
【0038】
連結バー21Dを底部21Bの上方に配設したことにより(図11図12参照)、スライダ21が上下方向にスライド移動した場合でも、フック吊下げ用開口部21aの大きさが変わることはなく、連結バー21の設置により、フック吊下げ用開口部21a内でのフック14Hの上下方向の可動範囲が限定されており(図4図5参照)、フック吊下げ用開口部21a内でのフック14Hの上方への移動が規制されている。
【0039】
フック14Hは、図6に示すように、鉤状または円弧状の先端部(鉤状部/円弧状部)を有しており、これに装着されるフックカバー4は、フック14Hの鉤状または円弧状の先端部を外周側から覆う鉤状または円弧状の部材である。
【0040】
フックカバー4の詳細について、図3ないし図10を参照しつつ、図13ないし図16を用いて説明する。
図13および図14に示すように、フックカバー4は、フック14H(図10)の上面に沿って湾曲しつつ延びる上壁部40と、上壁部40にそれぞれ連設されるとともに、フック14Hの左右に配置されて各々弧状に延びる左右一対の側壁部41とを有しており、図15および図16に示すように、横断面略コ字状の部材であって、フックカバー4の下面側には、フック14Hを収容するための内部空間が形成されている。フックカバー4は、たとえば金属、樹脂またはラバー等の弾性体から形成されている。ここで、フック14Hとして、市販品を用いた場合、メーカーによってその形状や大きさにばらつきが生じるが、フックカバー4を弾性体から構成することによりフックカバー4が弾性変形できるので、フックの形状や大きさに多少のばらつきがあっても、フックカバー4をフックに対して容易に後付けできるようになる。
【0041】
フックカバー4の上壁部40には、凸部(第1のフック移動規制部)40aが形成されている。凸部40aは、上壁部40の外周面から外方(半径方向外方)に突出しつつ当該外周面に沿って周方向に長く延びている。この例では、凸部40aは、略矩形状の横断面形状を有しており、上壁部40の外周面に沿って周方向に延びる頂上面40aと、前端側(図13左側)に形成された傾斜面40aと、後端側(同図右側)に形成された傾斜面40aと有している。図示例では、傾斜面40aは、上壁部40の外周面上において、傾斜面40aよりも傾斜角が大きく(つまり相対的に急峻に)なっている。凸部40aは、後述するように、フックカバー4を装着したフック14Hをホルダ2のスライダ21に吊り下げた際に、フック吊下げ用開口部21aでのフック14Hの前方(つまり作業者Pの体に向かう方向)への移動を規制するためのものである。
【0042】
図13図15および図16に示すように、側壁部41の前端には、たとえばワイヤーを略コ字状に折り曲げてなる掛止具45の端部が取り付けられている。掛止具45は、後述するように、フックカバー4をフック14Hに取り付ける際にフック14Hに掛止するためのものである。フックカバー4の略コ字状の掛止具45と、フックカバー4の横断面略コ字状の上壁部40および両側壁部41とにより限定された矩形状空間は、好ましくは、フックカバー4の装着位置におけるフック14Hの略矩形状の外周形状に一致または対応した所定の形状および大きさを有している。
【0043】
図15および図16に示すように、フックカバー4の各側壁部41の内側面には、各々左右一対のマグネット5、5が取り付けられている。各側壁部41の内側面において、フックカバー4の前後方向略中央位置には、各内側面との間で凹状のポケット部41sがそれぞれ形成されており、各マグネット5は、対応する各ポケット部41sにそれぞれ収容され、接着剤等によって固着されている。同様に、各側壁部41の内側面において、フックカバー4の前端側の位置には、各内側面との間で凹状のポケット部41sがそれぞれ形成されており、各マグネット5は、対応する各ポケット部41sにそれぞれ収容され、接着剤等によって固着されている。これにより、マグネット5は、フックカバー4の前後方向略中央の所定位置に配置され、マグネット5は、フックカバー4の前端側の所定位置に配置されている。
【0044】
フックカバー4の各側壁部41の下側縁部(内周側縁部)41a(図13)は、フックカバー4をフック14Hに装着したとき、図6に示すように、フック14Hの内周側縁部14Haの位置までは延設されておらず、フック14Hの内周側縁部14Haは、フックカバー4の各側壁部41の下側縁部41aから露出して下方に延設されている。
【0045】
次に、フックカバー4をフック14Hに装着する際の手順について、図17ないし図19を用いて説明する。なお、フック14H側のフックカバー4の装着手順についても同様であって、ここでは、フック14H側についてのみ説明する。
【0046】
この場合には、図17に示すように、まず、フックカバー4の前端に設けられた略コ字状の掛止具45にフック14Hの先端を挿入する。フック14Hは、同図に示すように、先端側に向かうに従って先細の形状(つまりテーパー形状)を有しており、先端側から上方に向かうに従い徐々に横断面形状が大きくなっている。
【0047】
次に、図18に示すように、フックカバー4の掛止具45をフック14Hに沿って上方(図17中の矢印a方向)に移動させる。このとき、フックカバー4の略コ字状の掛止具45と、断面略コ字状の上壁部40および両側壁部41とにより限定される矩形状空間が所定の形状および大きさを有しており、当該矩形状空間がフック14Hの矩形状の外周形状と一致または対応する位置まで掛止具45が移動すると、掛止具45はこれ以上移動することができず、そのとき、掛止具45がフック14Hに対する係止位置に到達したことになる。なお、この場合、フック14H上において掛止具45の所定の係止位置に予め合いマークを記しておき、当該合いマークの位置まで掛止具45を移動させるようにしてもよい。
【0048】
次に、図17中の矢印bに示すように、フックカバー4を掛止具45の回りに回転させると、図18に示すように、フックカバー4の鉤状または円弧状の先端部がフック14Hの対応する鉤状または円弧状の先端部に装着される。このようにフックカバー4は、フック14Hに対してワンタッチで取り付け可能になっている。この状態から、図19に示すように、締結具48を用いてフックカバー4の後端側をフック14Hに固着する。締結具48としては、たとえば樹脂製または金属製等のファスナーやケーブルタイ、バンド、または面ファスナー等が用いられるが、フックカバー4およびフック14Hの周りに巻き付けて締め付けることができるものであれば、これらには限定されない。さらに、締結具としては、フックカバー4をフック14Hに直接または間接的にねじ止め可能なねじであってもよい。
【0049】
図19に示すように、フック14Hにフックカバー4が装着された状態において、フックカバー4内のマグネット5は、フック14Hの鉤状部または円弧状部の中央位置または略中央位置に配置されており、マグネット5は、フック14Hの先端近傍位置に配置されている。また、フックカバー4の凸部40aの前側の傾斜面40aは、マグネット5の近傍位置に配置されている。
【0050】
このように、フックカバー4を介してフック14Hに間接的にマグネット5、5を取り付けるようにしたことにより、フック14Hの形状や大きさ、材質等により、マグネット5、5を直接取り付ける(つまり直付けする)ことができないタイプのフックの場合であっても、マグネットの取付けが可能になる。さらに、フックカバー4を用いてフック14Hにマグネット5、5を取り付けるようにしたことにより、フック14Hにマグネット5、5を後付けで直接取り付ける場合に比べて、マグネット5、5の取付位置にばらつきが生じるのを防止できる。また、各マグネット5、5は、フックカバー4の各側壁部41の下側縁部(内周側縁部)41aよりも上方の位置に配置されており、作業時にフック14Hを構造物に係止した際にマグネット5、5が構造物と干渉しないようになっている。なお、マグネット5は、凸部40aとオーバーラップする位置に配置されるようにしてもよい。
【0051】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
上述したように、マグネット5はフックカバー4の前後方向略中央の所定位置に配置され、マグネット5はフックカバー4の前端側の所定位置に配置されるので(図10参照)、フック14Hにフックカバー4を装着し(図19参照)、同様にフック14Hにフックカバー4を装着した状態においては、各フックカバー4内のマグネット5はフック14H、14Hの各鉤状部(または各円弧状部)の中央位置(または略中央位置)にそれぞれ配置され、マグネット5はフック14H、14Hの各先端近傍位置にそれぞれ配置される。これにより、フック14H、14Hに対する各マグネット5、5の相対的位置が定まり、両者の位置関係にばらつきが生じるのを回避できる。
【0052】
その結果、フック14H、14Hをそれぞれホルダ2、3に係止したとき、フック14H、14Hの各マグネット5、5は、ホルダ2、3に対して所定位置に配置されることになり、ホルダ2、3に対する各マグネット5、5の相対的位置が定まる。すなわち、図3図10に示すように、フック14Hがホルダ2のスライダ21の底部21Bに吊り下げられて係止されたとき、フック14Hのマグネット5がスライダ21の連結バー21Dの下方位置に配置されるとともに、フック14Hのマグネット5が連結バー21Dの前方に配置される。
【0053】
フック14Hのマグネット5が連結バー21Dの下方位置に配置されることにより、マグネット5は、連結バー21Dに取り付けられたリードスイッチ22の下方位置に配置されており(図3図7参照)、リードスイッチ22に対するマグネット5の相対的位置が定まる。これにより、マグネット5をリードスイッチ22により安定して確実に検出できるようになるので、ホルダ2におけるフック14Hの有無の検出、より詳細には、フック14Hがホルダ2に係止されて係止位置におかれていることの検出を安定して確実に行える。
【0054】
しかも、このとき、図3および図4に示すように、フックカバー4の凸部40aの前側の傾斜面40aがスライダ21の連結バー21Dと対向する位置に配置されているので、フック14Hがスライダ21の底部21Bに吊り下げられて係止された状態から、作業者の姿勢の変化等によりフック14Hが前方(作業者の体に向かう方向つまり図4紙面奥側)に移動しようとすると、凸部40aがスライダ21の連結バー21Dと干渉する。これにより、ホルダ2のフック吊下げ用開口部21a内でのフック14Hの前方への移動を規制でき、フック14Hをフック吊下げ用開口部21a内の所定の位置に留めることができる。その結果、ホルダ2のリードスイッチ22によるフック14Hのマグネット5の検出を常時安定して確実に行え、フック14Hがホルダ2の係止位置にあることの検出を安定して確実に行えるようになる。
【0055】
また、フック14Hがスライダ21の底部21Bに吊り下げられて係止された状態から、作業者の姿勢の変化(たとえば前かがみになる)等によりフック14Hが後方に移動すると、フックカバー4の先端側のマグネット5がスライダ21の連結バー21Dの下方位置またはその近傍位置に配置されるので、マグネット5をリードスイッチ22により検出できる。これにより、作業者の姿勢の変化に係わらず、リードスイッチ22による検出を安定して確実に行え、フック14Hがホルダ2に係止されていることの検出を安定して確実に行えるようになる。なお、この例では、フックカバー4において各マグネット5、5間の中間部位がスライダ21の連結バー21Dの下方位置に配置されている場合でも、マグネット5、5のうちのいずれかまたは双方のマグネットがリードスイッチ22により検出される。したがって、リードスイッチ22によるフックカバー4の検出エリアは、各マグネット5、5で挟まれた領域、つまり各マグネット5、5の位置およびこれらの間の中間領域である。
【0056】
ところで、フック14Hをホルダ2に係止する際、フック14Hを斜めに傾けた状態でホルダ2のフック吊下げ用開口部21aに挿入した場合、もしフックカバー4の凸部40aが周方向長さの短い単なる突起であるとすると、凸部40aが連結バー21Dと干渉せずに前方に移動して、移動後にフック14Hが斜めの状態から正立の状態に戻り、そのとき、検出対象であるマグネットがリードスイッチ22による検出エリアの範囲外まで移動していることにより、フック14Hを安定して確実に検出することができない事態が起こり得る。これに対して、本実施例では、上述したように、凸部40aが周方向長さの長い突起であるため、フック14Hを斜めに傾けた状態でホルダ2のフック吊下げ用開口部21aに挿入した場合、フック14Hが前方に移動しても、フックカバー4の凸部40aがスライダ21の連結バー21Dと干渉することにより、フック14Hが斜めに傾いた状態から正立の状態に戻らず、斜めの状態が維持される。これにより、作業者は、フック14Hが適正な位置に配置されていないということに気付くことができるようになり、その結果、フック14Hを適正な位置に戻すことができる。
【0057】
さらに、この場合には、上述したように、スライダ21に連結バー21Dが設けられるので、フック吊下げ用開口部21a内でのフック14Hの移動を連結バー21Dにより規制できる。これにより、フック14Hをフック吊下げ用開口部21a内の所定の位置に留めることができるようになって、ホルダ2のリードスイッチ22によるフック14Hのマグネット5、5の検出を安定して確実に行え、フック14Hがホルダ2の係止位置にあることの検出を安定して確実に行えるようになる。
【0058】
また、この場合、スライダ21において底部21Bの上方に連結バー21Dが設けられていて、底部21Bおよび連結バー21Dによりフック吊下げ用開口部21aが限定されているので、フック14Hをホルダ2のスライダ21に吊り下げた際にスライダ21が下方に移動しても(図4図5参照)、スライダ21のフック吊下げ用開口部21aを所定の大きさに維持でき、これにより、フック吊下げ用開口部21a内でのフック14Hの移動を規制できる。
【0059】
なお、図6に示すように、フックカバー4をフック14Hに装着したとき、フックカバー4の各側壁部41の下側縁部(内周側縁部)41aは、フック14Hの内周側縁部14Haの位置まで延設されておらず、フック14Hの内周側縁部14Haは、フックカバー4の各側壁部41の下側縁部41aから下方に露出しているので、作業時にフック14Hを構造物に係止した際に、フックカバー4の下側縁部41aが当該構造物と接触するのを回避できる。
【0060】
また、上述したように、スライダ21にフック14Hが吊り下げられていないとき、マイクロスイッチ23はたとえばON状態にあり(図12参照)、スライダ21にフック14Hが吊り下げられると、フック14Hの自重により、各圧縮ばね24の弾性反発力に抗してスライダ21が下方に移動することにより、マイクロスイッチ23はたとえばOFF状態に移行するようになっており、これにより、フック14Hの自重に起因した荷重が検出されるようになっている。
【0061】
〔第1の変形例〕
前記実施例では、マグネット5、5がフックカバー4の内側面に設けられたポケット部41s、41sにそれぞれ収容されることで、マグネット5、5がフックカバー4の内側に取り付けられた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。マグネット5、5は、フックカバー4の側壁部41の内部の所定位置にたとえばインサート成形等で固着されるようにしてもよい。
【0062】
〔第2の変形例〕
前記実施例では、フックカバー4に2つのマグネット5、5を設置することにより、作業者の姿勢変化等に起因したフック14Hのフック吊下げ用開口部21a内での移動や位置ずれに対応するようにした例を示したが、設置するマグネットの個数はこれに限定されず、たとえば3個以上でもよい。
【0063】
〔第3の変形例〕
前記実施例では、フックカバー4の凸部40aがフックカバー4の上壁部40にのみ設けられた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。第1のフック移動規制部としての凸部は、フックカバー4の側壁部41に設けられていてもよく、上壁部40および側壁部41の双方に設けられていてもよい。凸部を側壁部41に設けることにより、フックカバー4を装着したフック14Hをホルダ2のスライダ21に吊り下げた際に、スライダ21のフック吊下げ用開口部21a内でのフック14Hの左右方向の移動を規制できるとともに、フック14Hを横に倒した状態でフック吊下げ用開口部21a内に挿入して係止するような誤操作(このとき、リードスイッチ22によってマグネット5、5が検出されない恐れあり)を排除できる。
【0064】
図20は、本発明の第3の変形例を示しており、同図中、前記実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。図20はフックカバー4を正面側から見た図であって、同図に示すように、この第3の変形例による第1のフック移動規制部は、フックカバー4の上壁部40に設けられた凸部40a’と、フックカバー4の両側壁部41に設けられた左右の凸部40bとから構成されている。これにより、フック14Hをスライダ21に吊り下げた際に、フック吊下げ用開口部21a内でのフック14Hの上下方向および左右方向ならびに斜め方向の移動(したがって、全方位の移動)を規制できる。その結果、作業時等においてフック14Hの検出を安定して確実に行える。
【0065】
この第3の変形例では、各凸部40a’、40bは連設されていて一体に形成されており、第1のフック移動規制部は、フックカバー4の周りにフランジ状または略鍔状に設けられた正面視コ字状の部材である。なお、側壁部41の側の凸部40bの下側縁部は、フック14Hの下側縁部14Ha(図19)の位置までは延設されておらず、これにより、フック14Hを構造物に係止した際に、フックカバー4の凸部40bが構造物と干渉するのが防止されている。
【0066】
〔第4の変形例〕
前記実施例では、スライダ21のフック吊下げ用開口部21a内でのフック14Hの上方への移動を規制するために、第2のフック移動規制部として、スライダ21において底部21Bの上方に連結バー21Dを設けた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0067】
図11中の一点鎖線で示すように、スライダ21のフック吊下げ用開口部21a内でのフック14Hの左右方向への移動をさらに規制するために、第2のフック移動規制部として、各柱部21Aの内方において、各々上下方向に延びる左右一対の柱部21a、21aを設けるようにしてもよい。
【0068】
この場合には、各柱部21a、21aにより、フック吊下げ用開口部21aが前記実施例におけるものよりも幅狭になっており、フック14Hをスライダ21に吊り下げた際に、フック吊下げ用開口部21a内でのフック14Hの上下方向の移動のみならず、左右方向および斜め方向の移動(したがって、全方位の移動)をさらに規制できる。その結果、フック14Hの検出を安定して確実に行える。また、この場合、フック吊下げ用開口部21aが幅狭になることで、フック14Hを横に倒した状態でフック吊下げ用開口部21a内に挿入するような誤操作を排除できる。
【0069】
〔第5の変形例〕
前記実施例では、スライダ21のフック吊下げ用開口部21a内でのフック14Hの上方への移動を規制するために、第2のフック移動規制部として、スライダ21において底部21Bの上方に連結バー21Dを設けた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0070】
図21は、本発明の第5の変形例を示しており、同図中、前記実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。図21はスライダ21のフック吊下げ用開口部21aを正面側から見た図であって、この変形例による第2のフック移動規制部は、同図中の斜線領域に示すように、スライダ21(図11)の連結バー21Dに沿って配設された斜線領域21dと、スライダ21(図11)の各柱部21Aに沿って配設された斜線領域21a’、21a’と、スライダ21(図11)の各傾斜部21Cに配設された斜線領域21c、21cと、スライダ21(図11)の底部21Bに沿って配設された斜線領域21bとを有しており、これにより、フック吊下げ用開口部21a’が正面視逆凸状に形成されている。
【0071】
この場合には、各斜線領域からなる第2のフック移動規制部によりフック吊下げ用開口部21a’が囲繞されているので、フック吊下げ用開口部21a’内でのフック14Hの上下方向および左右方向ならびに斜め方向の移動(したがって、全方位の移動)をさらに規制でき、これにより、作業者の姿勢等によってフック14Hがスライダ21から抜け落ちたりするのを確実に防止できる。その結果、作業時等においてフック14Hの検出を安定して確実に行える。
【0072】
〔第6の変形例〕
前記実施例では、最も好ましい態様として、リードスイッチ22が連結バー21Dに設けられた例を示したが(図7参照)、リードスイッチ22は、スライダ21の柱部21A、底部21Bまたは傾斜部21Cに配置するようにしてもよい。
【0073】
〔その他の変形例〕
上述した実施例および各変形例はあらゆる点で本発明の単なる例示としてのみみなされるべきものであって、限定的なものではない。本発明が関連する分野の当業者は、本明細書中に明示の記載はなくても、上述の教示内容を考慮するとき、本発明の精神および本質的な特徴部分から外れることなく、本発明の原理を採用する種々の変形例やその他の実施例を構築し得る。
【0074】
〔他の適用例〕
前記実施例では、本発明が、フルハーネス型の墜落制止用器具に適用された例を示したが、本発明は、胴ベルト型の墜落制止用器具にも適用可能である。また、前記実施例では、本発明が、2本のランヤードを有するダブルランヤード式の墜落制止用器具に適用された例を示したが、本発明は、1本のランヤードを有するシングルランヤード式の墜落制止用器具にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、墜落制止用器具のためのフック検出ユニットおよびフックに有用である。
【符号の説明】
【0076】
1: 墜落制止用器具

2、3: ホルダ

4: フックカバー

、5: マグネット(被検出部)

14H、14H: フック
20: ベース
21: スライダ

21a: フック吊下げ用開口部
21B: 底部(フック吊下げ部)
21D: バー(第2のフック移動規制部)
22: リードスイッチ(検出部)

40a: 凸部(第1のフック移動規制部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2022-15389号公報(段落[0066]、図9図20参照)
図1
図2
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