(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167215
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】アンカーボルト孔穿孔装置
(51)【国際特許分類】
B28D 1/14 20060101AFI20231116BHJP
B23B 45/14 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B28D1/14
B23B45/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078215
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊佐 洸
【テーマコード(参考)】
3C036
3C069
【Fターム(参考)】
3C036EE00
3C069AA04
3C069BA09
3C069BB03
3C069BC04
3C069CA10
3C069EA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数のアンカーボルト孔を、容易に且つ寸法精度よく効率的に穿孔すること。
【解決手段】ドリルカッターDcを穿孔対象物Fに垂直に保持しドリルDRの押し下げに応じて下へ移動する可動板13、可動板13を垂直移動可能に支持する支柱12a,12b、支柱に設けられる穿孔深さ確認目盛り12ag,12bg、支柱の任意位置で可動板13の下への移動を制限する支柱クランプ14a,14bを備えるドリル固定冶具10と、ドリル固定冶具を対象物Fの前後に直線移動可能にするレール21a,21b、レールに設けられる穿孔前後位置確認目盛り21ag,21bgを備える固定冶具レール20と、固定冶具レールを対象物Fの左右に平行移動可能にするスライダー31a,31b、スライダーに設けられる穿孔左右位置確認目盛り31ag,31bgを備えるレールスライダー30と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリルのドリルカッターを穿孔対象物の表面に対し垂直に保持すると共に、前記ドリルの押し下げに応じて垂直に下方向に移動する可動部と、
前記可動部を垂直に移動可能に支持する支柱と、
前記支柱の側面に設けられ前記可動部が垂直に移動する距離を示す垂直移動確認目盛りと、
前記可動部よりも下方であって、前記支柱に沿って垂直に移動可能に設けられ前記支柱に沿った任意の位置で前記可動部の下方向への移動を制限する支柱固定部と、を備えるドリル固定冶具と、
前記ドリル固定冶具を前記穿孔対象物の表面に沿って第1方向に直線移動可能にするレールと、
前記レールの表面に設けられ前記ドリル固定冶具が前記第1方向に直線移動する距離を示す第1方向位置確認目盛りと、を備える固定冶具レールと、
前記固定冶具レールを前記穿孔対象物の表面に沿って前記第1方向と直交する第2方向に平行移動可能にするスライダーと、
前記スライダーの表面に設けられ前記固定冶具レールが前記第2方向に平行移動する距離を示す第2方向位置確認目盛りと、を備えるレールスライダーと、
を備えるアンカーボルト孔穿孔装置。
【請求項2】
前記支柱に設けられ、前記可動部を前記支柱に沿って上方へ付勢し前記可動部の下方向への圧力に応じて伸縮する可動部支持ばねを備える請求項1に記載のアンカーボルト孔穿孔装置。
【請求項3】
前記ドリル固定冶具と前記固定冶具レールとに係合して設けられ、前記ドリル固定冶具が前記固定冶具レールに従い前記第1方向に移動する位置を任意の位置で固定する第1方向固定部と、
前記固定冶具レールと前記レールスライダーとに係合して設けられ、前記固定冶具レールが前記レールスライダーに従い前記第2方向に移動する位置を任意の位置で固定する第2方向固定部と、
を備える請求項1または請求項2に記載のアンカーボルト孔穿孔装置。
【請求項4】
前記可動部は、
前記ドリルカッターを圧入して挿通させるカッター圧入孔を有し、前記カッター圧入孔に挿通させた前記ドリルカッターを軸として共に回転する、予め設定された円筒の長さの回転円筒部と、
前記回転円筒部を水平方向に回転自在に嵌合して支持する嵌合凹部と、
を備える請求項1または請求項2に記載のアンカーボルト孔穿孔装置。
【請求項5】
前記支柱固定部は、前記支柱に沿って垂直に移動可能に設けられ前記支柱に沿った任意の位置で固定される手動式の支柱クランプである請求項1または請求項2に記載のアンカーボルト孔穿孔装置。
【請求項6】
前記ドリル固定冶具の前記穿孔対象物と接する脚部は弾性の材料により構成される請求項1または請求項2に記載のアンカーボルト孔穿孔装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アンカーボルト孔穿孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、アクセスフロアは、その架台(盤架台)を床に固定して敷設されるが、一般に、盤架台の床への固定はアンカーボルトにより行われる。
【0003】
アンカーボルトは、コンクリートなどの床(穿孔対象物)の表面に穿孔したアンカーボルト孔にアンカー本体を打ち込み、打ち込んだアンカー本体に対して固定される。
【0004】
この際、アンカーボルト孔は、十分な固定強度を得るため、盤架台の例えば4本の脚の先端に各々設けられているボルト取り付け孔の位置に対応して、所定の穿孔深さで、寸法精度よく且つ垂直に穿孔する必要がある。
【0005】
通常、アンカーボルト孔は、ドリルを使用して穿孔されるが、従来は、孔の位置ずれを少なくし且つ真直性を保持するために、ドリルスタンドを用いることがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-122307号公報
【特許文献2】特開平11-216640号公報
【特許文献3】特開2014-237211号公報
【特許文献4】特開平05-016026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のドリルスタンドは、アンカーボルト孔を穿孔する穿孔対象物の位置毎に、当該ドリルスタンドをビスやマグネットなどの固定手段により仮固定して用いるものである。
【0008】
従って、穿孔を要する複数の位置に手軽にドリルスタンドを移動して作業することができないばかりでなく、穿孔を要する全ての位置の墨出し、ドリルカッターへのテープなどによる穿孔深さのマーキング、ドリルを操作する作業員とは別の作業員によるマークの目視確認と穿孔停止の指示(声掛け)は、ドリルスタンドを用いない場合と同様に旧来通り行なう必要がある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、複数のアンカーボルト孔を、容易に且つ寸法精度よく効率的に穿孔することが可能になるアンカーボルト孔穿孔装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態のアンカーボルト孔穿孔装置は、
ドリルのドリルカッターを穿孔対象物の表面に対し垂直に保持すると共に、前記ドリルの押し下げに応じて垂直に下方向に移動する可動部と、前記可動部を垂直に移動可能に支持する支柱と、前記支柱の側面に設けられ前記可動部が垂直に移動する距離を示す垂直移動確認目盛りと、前記可動部よりも下方であって、前記支柱に沿って垂直に移動可能に設けられ前記支柱に沿った任意の位置で前記可動部の下方向への移動を制限する支柱固定部と、を備えるドリル固定冶具と、
前記ドリル固定冶具を前記穿孔対象物の表面に沿って第1方向に直線移動可能にするレールと、前記レールの表面に設けられ前記ドリル固定冶具が前記第1方向に直線移動する距離を示す第1方向位置確認目盛りと、を備える固定冶具レールと、
前記固定冶具レールを前記穿孔対象物の表面に沿って前記第1方向と直交する第2方向に平行移動可能にするスライダーと、前記スライダーの表面に設けられ前記固定冶具レールが前記第2方向に平行移動する距離を示す第2方向位置確認目盛りと、を備えるレールスライダーと、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態のアンカーボルト孔穿孔装置1の外観構成を示す斜視図。
【
図2】アンカーボルト孔穿孔装置1のドリル固定冶具10を抜き出して示す斜視図。
【
図3】アンカーボルト孔穿孔装置1によりドリル固定冶具10に固定した電動ドリルDRのドリルカッターDcの先端を穿孔対象物Fの初期穿孔位置P0に当接させた状態での当該ドリル固定冶具10を抜き出して示す斜視図。
【
図4】
図3に対応するアンカーボルト孔穿孔装置1の状態を示す右側面図。
【
図5】
図3および
図4に対応するアンカーボルト孔穿孔装置1の状態でのドリル固定冶具10を抜き出して示す前面図。
【
図6】
図3に対応するアンカーボルト孔穿孔装置1の状態から電動ドリルDRにより所定の穿孔深さHDのアンカーボルト孔(H1)を穿孔した状態でのドリル固定冶具10を抜き出して示す斜視図。
【
図7】
図6に対応するアンカーボルト孔穿孔装置1の状態を示す右側面図。
【
図8】
図6および
図7に対応するアンカーボルト孔穿孔装置1の状態でのドリル固定冶具10を抜き出して示す前面図。
【
図9】アンカーボルト孔穿孔装置1により複数のアンカーボルト孔(Hn)を穿孔する過程での固定冶具レール20およびレールスライダー30によるドリル固定冶具10の移動状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態のアンカーボルト孔穿孔装置について、図面を参照して説明する。
【0013】
(アンカーボルト孔穿孔装置1の構成)
図1は、実施形態のアンカーボルト孔穿孔装置1の外観構成を示す斜視図である。
【0014】
図2は、アンカーボルト孔穿孔装置1のドリル固定冶具10を抜き出して示す斜視図である。
【0015】
図1および
図2において、説明の便宜上、図示右側から見た状態を穿孔装置1の前面、図示奥側から見た状態を穿孔装置1の左側面、図示正面から見た状態を穿孔装置1の右側面、図示左側から見た状態を穿孔装置1の後面と仮定する。
【0016】
実施形態のアンカーボルト孔穿孔装置1は、電動ドリルDRのドリルカッターDcを穿孔対象物Fの表面に対し垂直に保持しその水平方向の位置を固定するためのドリル固定冶具10、ドリル固定冶具10を穿孔対象物Fの表面に沿って前後方向(X/-X)(第1方向)に直線移動させるための固定冶具レール20、固定冶具レール20を穿孔対象物Fの表面に沿って左右方向(Y/-Y)(第2方向)に平行移動させるためのレールスライダー30を備える。
【0017】
ここで、穿孔対象物Fは、例えば盤架台の固定の対象となるコンクリート製の床などである。
【0018】
ドリル固定冶具10は、固定冶具レール20が備える前後方向に長い左右一対の平行なレール21a,21bに対し、当該レール21a,21bに直交する方向(左右方向)に跨いで組み合わされるコの字状の冶具基台11を備える。冶具基台11には、その天板11tの左右の端部にそれぞれ垂直に一対の支柱12a,12bを立設し、支柱12a,12bには、当該支柱12a,12bを挿通させる挿通孔13a,13bを有し、同支柱12a,12bに沿って上下に移動可能な可動板13(可動部)を組み合わせて設ける。
【0019】
また、支柱12a,12bには、可動板13よりも下になる位置に蝶ねじ式(手動式)の支柱クランプ14a,14b(支柱固定部)を取り付け、支柱クランプ14a,14bと可動板13との間には、当該可動板13を水平な状態で支柱12a,12bに沿って上方に付勢し、同可動板13に加わる下方向(Z)への押し下げ圧力に応じて伸縮する可動板支持ばね15a,15b(可動部支持ばね)を設ける。
【0020】
なお、図示する可動板支持ばね15a,15bは、支柱クランプ14a,14bにより下端を支持し、支柱12a,12bの外周面に沿って螺旋状に上方へと設けているが、支柱12a,12bに内蔵させて可動板13を下から付勢することで、可動板13を支柱クランプ14a,14bに当接するまで押し下げ可能な構成としてもよい。
【0021】
また、支柱12a,12bの側面には、可動板13が移動する上下方向に対応させて、可動板13が上下に移動する移動距離、すなわち、後述するアンカーボルト孔の穿孔操作に伴い電動ドリルDRにより可動板13を下方向(Z)に押し下げる距離(穿孔深さ)を確認するための穿孔深さ確認目盛り12ag,12bg(垂直移動確認目盛り)を設ける。
【0022】
図示する穿孔深さ確認目盛り12ag,12bには、図示の煩雑化を避けるための便宜上、目盛りの数字を記していない。
【0023】
可動板13は、その表面の中央に円筒形の嵌合凹部13hを有し、当該嵌合凹部13hには、ドリルカッターDcを垂直に支持し、当該ドリルカッターDcと共に回転する回転円筒部16を水平方向に回転自在に嵌合支持して設ける。
【0024】
回転円筒部16は、少なくともその表面が例えばテフロン(登録商標)により形成され、可動板13の嵌合凹部13hを台座として少ない摩擦で滑って回転する。
【0025】
回転円筒部16において、ドリルカッターDcを支持する当該円筒部16の中央部分は、ドリルカッターDcを圧入して挿通させるためのカッター圧入孔16Rhを有する弾性材(ゴムなど)のカッター支持部材16Rにより構成する。
【0026】
すなわち、可動板13の回転円筒部16は、その円筒部16の中心軸に対応するカッター圧入孔16Rhに電動ドリルDRのドリルカッターDcを、当該ドリルカッターDcの取付基部cbが当接するまで圧入して挿通させることで、ドリルカッターDcを垂直に支持し且つドリルカッターDcと共に回転する。
【0027】
なお、回転円筒部16の円筒の長さは、ドリルカッターDcの垂直を維持することが可能な長さに予め設定されるのは勿論である。また、回転円筒部16を嵌合する嵌合凹部13hの中央に、ドリルカッターDcを挿通させるための挿通孔が、例えばカッター支持部材16Rの直径以上の孔径で形成されるのは勿論である。
【0028】
冶具基台11の穿孔対象物Fと接する脚部11a,11bは、穿孔対象物Fに対する振動を吸収し易い弾性の材料(ゴムなど)を用いて構成する。
【0029】
冶具基台11は、その天板11tの支柱12a,12b間に矩形に開けた開口11hを有し、当該開口11hの左右の縁をそれぞれ冶具基台11が跨る左右のレール21a,21bのレールスリット21as,21bsの縁に係合させて固定するための蝶ねじ式(手動式)のコの字クランプ17a,17b(第1方向固定部)を備える。
【0030】
固定冶具レール20が備える左右のレール21a,21bは、ドリル固定冶具10の冶具基台11が跨る幅に対応して平行に離間し、その前端部と後端部の各々において、当該レール21a,21bが下方向(Z)に直角に曲折するように設けたレール支持板22a,22bにより一体化して支持する。
【0031】
レール21a,21bは、前述した冶具基台11の開口11hの左右の縁に対応する位置で、当該レール21a,21bの長さ方向、すなわち本装置1の前後方向(X/-X)に直線状に形成したレールスリット21as,21bsを有する。
【0032】
また、レール21a,21bの表面には、そのレールスリット21as,21bsに沿って、ドリル固定冶具10が前後方向(X/-X)に平行移動する移動距離、すなわち、後述するアンカーボルト孔の穿孔操作に伴い、例えば、現在の穿孔対象位置を起点とする次の穿孔対象位置に対応して、ドリル固定冶具10を前後方向(X/-X)に平行移動させる距離(穿孔前後位置)を確認するための穿孔前後位置確認目盛り21ag,21bg(第1方向位置確認目盛り)を設ける。
【0033】
図示する穿孔前後位置確認目盛り21ag,21bgには、図示の煩雑化を避けるための便宜上、目盛りの数字を記していない。
【0034】
レール支持板22a,22bは、それぞれそのレール支持板22a,22bの長さ方向、すなわち本装置1の左右方向(Y/-Y)に直線状に形成したレール支持スリット22as,22bsを有する。
【0035】
固定冶具レール20は、レール支持板22a,22bそれぞれのレール支持スリット22as,22bsを介して、当該レール支持板22a,22bをレールスライダー30が備える前後一対のスライダー31a,31bそれぞれのスライダースリット31as,31bsに係合させて固定するための蝶ねじ式(手動式)の平行クランプ23a,23b(第2方向固定部)を備える。
【0036】
レールスライダー30が備える前後一対のスライダー31a,31bは、固定冶具レール20が備える前後のレール支持板22a,22bの内壁に沿うように左右方向(Y/-Y)に長く設けられ、レール支持板22a,22bのレール支持スリット22as,22bsに平行なスライダースリット31as,31bsを備える。
【0037】
スライダー31a,31bの表面には、そのスライダー31a,31bの長さ方向に沿って、固定冶具レール20が左右方向(Y/-Y)に平行移動する移動距離、すなわち、後述するアンカーボルト孔の穿孔操作に伴い、例えば、現在の穿孔対象位置を起点とする次の穿孔対象位置に対応して、固定冶具レール20に組み合わされたドリル固定冶具10を左右方向(Y/-Y)に平行移動させる距離(穿孔左右位置)を確認するための穿孔左右位置確認目盛り31ag,31bg(第2方向位置確認目盛り)を設ける。
【0038】
図示する穿孔左右位置確認目盛り31ag,31bgには、図示の煩雑化を避けるための便宜上、目盛りの数字を記していない。
【0039】
実施形態のアンカーボルト孔穿孔装置1は、例えば、平面(前後左右)の広さが500mm×500mmのアクセスフロアの盤架台を対象として、アンカーボルト孔の穿孔に使用することを仮定し、前後方向(X/-X)の幅(固定冶具レール20の長さ)および左右方向(Y/-Y)の幅(レールスライダー30の長さ)ともに1,000mm程度に構成する。
【0040】
また、例えば、穿孔深さが最大100mmのアンカーボルト孔の穿孔に使用することを仮定し、少なくともドリルカッターDcの先端が穿孔対象物Fの表面に垂直に当接した状態から電動ドリルDRにより可動板13を下方向(Z)に押し下げ可能な距離(穿孔深さ確認目盛り12ag,12bg含む)を100mm以上とし、ドリル固定冶具10の高さを500mm程度に構成する。
【0041】
なお、図示する電動ドリルDRの本体の大きさは、実際は図示の2倍程度あるが、図示の便宜上小さく描いている。
【0042】
(アンカーボルト孔穿孔装置1の動作)
次に、実施形態のアンカーボルト孔穿孔装置1の動作について説明する。
【0043】
図3は、アンカーボルト孔穿孔装置1によりドリル固定冶具10に固定した電動ドリルDRのドリルカッターDcの先端を穿孔対象物Fの初期穿孔位置P0に当接させた状態での当該ドリル固定冶具10を抜き出して示す斜視図である。
【0044】
図4は、
図3に対応するアンカーボルト孔穿孔装置1の状態を示す右側面図である。
【0045】
図5は、
図3および
図4に対応するアンカーボルト孔穿孔装置1の状態でのドリル固定冶具10を抜き出して示す前面図である。
【0046】
図6は、
図3に対応するアンカーボルト孔穿孔装置1の状態から電動ドリルDRにより所定の穿孔深さHDのアンカーボルト孔(H1)を穿孔した状態でのドリル固定冶具10を抜き出して示す斜視図である。
【0047】
図7は、
図6に対応するアンカーボルト孔穿孔装置1の状態を示す右側面図である。
【0048】
図8は、
図6および
図7に対応するアンカーボルト孔穿孔装置1の状態でのドリル固定冶具10を抜き出して示す前面図である。
【0049】
図9は、アンカーボルト孔穿孔装置1により複数のアンカーボルト孔(Hn)を穿孔する過程での固定冶具レール20およびレールスライダー30によるドリル固定冶具10の移動状態を示す図である。
【0050】
なお、
図9では図示の煩雑化を防ぐ便宜上、ドリル固定冶具10、固定冶具レール20およびレールスライダー30を、穿孔前後位置確認目盛り21ag,21bgおよび穿孔左右位置確認目盛り31ag,31bgを主体として等価的に示している。
図9に示すLx,Lyは、初期穿孔位置P0を明示するための墨出し線である。
【0051】
ここでは、実施形態のアンカーボルト孔穿孔装置1により、例えばアクセスフロアの盤架台を対象として、穿孔対象物(床)Fの表面に複数のアンカーボルト孔(Hn)を穿孔して行く場合を仮定する。
【0052】
(1)穿孔対象物(床)Fの表面に対して、例えば
図1、
図3および
図9に示すように、最初のアンカーボルト孔(H1)を穿孔する位置(初期穿孔位置)P0を墨出しし、アンカーボルト孔穿孔装置1を、最初の盤架台を設置する範囲を含むようにその固定冶具レール20とレールスライダー30とが盤架台の配列方向(墨出し方向Lx,Ly)と平行になるように配置する。
【0053】
(2)ドリル固定冶具10に固定した電動ドリルDRのドリルカッターDcの先端が、穿孔対象物(床)Fの初期穿孔位置P0に一致するようにレールスライダー30に対する固定冶具レール20の左右方向(Y/-Y)の移動位置および固定冶具レール20に対するドリル固定冶具10の前後方向(X/-X)の移動位置を調整し、ドリル固定冶具10と固定冶具レール20とをコの字クランプ17a,17bにより固定すると共に、固定冶具レール20とレールスライダー30とを平行クランプ23a,23bにより固定する。
【0054】
この際、電動ドリルDRのドリルカッターDcは、可動板13の回転円筒部16のカッター支持部材16Rにより垂直に支持された状態で保持されると共に、ドリル固定冶具10は、固定冶具レール20およびレールスライダー30により盤架台の配列方向(墨出し方向)と平行な前後方向(X/-X)および左右方向(Y/-Y)に移動されるので、容易且つ速やかに、ドリルカッターDcを垂直に支持した状態で穿孔対象物(床)Fの初期穿孔位置P0に合わせて固定できる。
【0055】
(3)ドリル固定冶具10に固定した電動ドリルDRのドリルカッターDcの先端が、例えば
図1および
図3~
図5に示すように、穿孔対象物(床)Fの初期穿孔位置P0に当接するまで、電動ドリルDRにより可動板13を押し下げた状態で、アンカーボルト孔(H1)の所定の穿孔深さに応じて、支柱12a,12bの穿孔深さ確認目盛り12ag,12bgに従い支柱クランプ14a,14bを固定し、可動板13が下方向(Z)へ押し下げられる距離を予め制限する。
【0056】
実施形態のドリル固定冶具10では、穿孔深さ確認目盛り12ag,12bgにおいて、例えば、可動板13の表面に対応する位置の目盛りの数値に対して、下方向(Z)へ何れも既知である、可動板13の厚みと、可動板支持ばね15a,15bの圧縮状態での厚みと、支柱クランプ14a,14bの厚み(高さ)とに、所定の穿孔深さを加えた数値の目盛りの位置に、支柱クランプ14a,14bの下端を一致させるように同支柱クランプ14a,14bを固定する。
【0057】
(4)
図6~
図8に示すように、電動ドリルDRにより可動板13を可動板支持ばね15a,15bのばね力に抗して下方向(Z)へ押し下げながら、当該可動板13の移動が、圧縮されたばね15a,15bを介して固定された支柱クランプ14a,14bにより停止されるまで初期穿孔位置P0のアンカーボルト孔(H1)を穿孔する。
【0058】
この際、電動ドリルDRのドリルカッターDcは、可動板13の回転円筒部16のカッター支持部材16Rによりその垂直が支持されたままの状態で、支柱12a,12bにより垂直に案内される可動板13と共に下方向(Z)に押し下げられるので、穿孔対象物(床)Fの表面に対し垂直且つ真直に所定の穿孔深さHDのアンカーボルト孔(H1)を容易に穿孔できる。
【0059】
(5)最初のアンカーボルト孔(H1)を穿孔した後は、例えば
図9(A)(B)に示すように、初期穿孔位置P0から次のアンカーボルト孔(H2)の穿孔位置までの左右方向(Y/-Y)の距離Y1に応じて、レールスライダー30(31a,31b)の穿孔左右位置確認目盛り31ag,31bgに従い固定冶具レール20を平行移動させるだけで、墨出しを要さずに、ドリル固定冶具10に固定した電動ドリルDRのドリルカッターDcの先端を、容易に次のアンカーボルト孔(H2)の穿孔位置に位置させることができる。そして、アンカーボルト孔(H2)も、前述した(4)の動作と同様に、垂直且つ真直に所定の穿孔深さHDで容易に穿孔できる。
【0060】
アンカーボルト孔(H2)を穿孔した後は、例えば
図9(C)に示すように、アンカーボルト孔(H2)から次のアンカーボルト孔(H3)の穿孔位置までの前後方向(X/-X)の距離X1に応じて、固定冶具レール20(21a,21b)の穿孔前後位置確認目盛り21ag,21bgに従いドリル固定冶具10を直線移動させるだけで、墨出しを要さずに、ドリル固定冶具10に固定した電動ドリルDRのドリルカッターDcの先端を、容易に次のアンカーボルト孔(H3)の穿孔位置に位置させることができる。そして、アンカーボルト孔(H3)も、前述した(4)の動作と同様に、垂直且つ真直に所定の穿孔深さHDで容易に穿孔できる。
【0061】
この後も同様に、アンカーボルト孔(H3)を穿孔した後は、アンカーボルト孔(H3)から次のアンカーボルト孔(H4)の穿孔位置までの左右方向(Y/-Y)の距離Y2(=Y1)に応じて、レールスライダー30(31a,31b)の穿孔左右位置確認目盛り31ag,31bgに従い固定冶具レール20を平行移動させるだけで、墨出しを要さずに、ドリル固定冶具10に固定した電動ドリルDRのドリルカッターDcの先端を、容易に次のアンカーボルト孔(H4)の穿孔位置に位置させることができる。そして、アンカーボルト孔(H4)も同様に、垂直且つ真直に所定の穿孔深さHDで容易に穿孔できる。
【0062】
(実施形態のまとめ)
実施形態のアンカーボルト孔穿孔装置1によれば、従来必要とした、穿孔を要する全ての位置の墨出し、ドリルカッターDcへのテープなどによる穿孔深さのマーキング、電動ドリルDRを操作する作業員とは別の作業員によるマークの目視確認と穿孔停止の指示(声掛け)など、面倒な作業を一切行なうことなく、初期穿孔位置P0を墨出しするだけで、複数のアンカーボルト孔(Hn)を、容易に且つ寸法精度よく効率的に穿孔することが可能になる。
【0063】
なお、実施形態のアンカーボルト孔穿孔装置1により穿孔の対象とするアンカーボルト孔は、盤架台を固定するためのアンカーボルト孔に限らないのは勿論である。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1…アンカーボルト孔穿孔装置、10…ドリル固定冶具、DR…電動ドリル、Dc…ドリルカッター、11…冶具基台、11a,11b…脚部、12a,12b…支柱、12ag,12bg…穿孔深さ確認目盛り(垂直移動確認目盛り)、13…可動板(可動部)、13h…嵌合凹部、14a,14b…支柱クランプ(支柱固定部)、15a,15b…可動板支持ばね(可動部支持ばね)、16…回転円筒部、16R…カッター支持部材、16Rh…カッター圧入孔、17a,17b…コの字クランプ(第1方向固定部)、20…固定冶具レール、21a,21b…レール、21ag,21bg…穿孔前後位置確認目盛り(第1方向位置確認目盛り)、22a,22b…レール支持板、23a,23b…平行クランプ(第2方向固定部)、30…レールスライダー、31a,31b…スライダー、31ag,31bg…穿孔左右位置確認目盛り(第2方向位置確認目盛り)、F…穿孔対象物(床)、P0…初期穿孔位置、Hn…アンカーボルト孔、HD…穿孔深さ、Lx,Ly…墨出し線。