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特開2023-167220電気工事用絶縁手袋および電気工事方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167220
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】電気工事用絶縁手袋および電気工事方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/015 20060101AFI20231116BHJP
   G01R 31/52 20200101ALI20231116BHJP
【FI】
A41D19/015 610Z
A41D19/015 130Z
G01R31/52
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078229
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000162593
【氏名又は名称】エクシオグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】田中 政彦
【テーマコード(参考)】
2G014
3B033
【Fターム(参考)】
2G014AA13
2G014AB62
2G014AC03
3B033AA24
3B033AB13
3B033AB14
3B033AC08
(57)【要約】
【課題】この発明が解決しようとする課題は、簡単かつ確実に通電状態のチェックを行えるようにし、これにより作業効率の低下を抑えつつ誤作業の発生を防止することである。
【解決手段】この発明の一態様は、手袋本体の異なる第1および第2の部位に、互いに対をなす第1および第2の導電パターンを配置し、作業者が前記手袋本体を装着した状態で、前記第1および第2の部位を工事対象設備の対象部位に接触させたときの前記第1および第2の導電パターン間の通電状態を検出回路により検出し、前記通電状態の検出結果を表す情報を前記作業者に向け報知回路により出力するようにしたものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気工事において使用される電気工事用絶縁手袋であって、
手袋本体の異なる第1および第2の部位に設置される、互いに対をなす第1および第2の導電パターンと、
作業者が前記手袋本体を装着した状態で、前記第1および第2の部位を工事対象設備の対象部位に接触させたときの前記第1および第2の導電パターン間の通電状態を検出する検出回路と、
前記通電状態の検出結果を表す情報を前記作業者に向け出力する報知回路と
を具備する電気工事用絶縁手袋。
【請求項2】
前記第1および第2の導電パターンは、前記手袋本体の右手側および左手側に分散配置され、
前記検出回路は、前記第1および第2の導電パターン間を接続する接続コードを介して前記通電状態を検出する、請求項1に記載の電気工事用絶縁手袋。
【請求項3】
前記検出回路は、
前記第1および第2の導電パターン間が電気的に短絡されたときに、前記第1および第2の導電パターン間を電気的に遮断する遮断回路と、
前記短絡の有無を表す検出信号を前記報知回路へ出力する検出信号出力回路と
を備える請求項1または2に記載の電気工事用絶縁手袋。
【請求項4】
前記検出回路による前記通電状態の検出結果に基づいて、前記工事対象設備の動作状態を判定する動作状態判定回路を、さらに具備し、
前記報知回路は、前記動作状態の判定結果を表す情報を生成し、生成した前記動作状態を表す情報を前記作業者に向け出力する、請求項1または2に記載の電気工事用絶縁手袋。
【請求項5】
前記報知回路は、前記通電状態の検出結果を表す情報を視覚、聴覚および触覚の少なくとも1つを用いて出力する、請求項1に記載の電気工事用絶縁手袋。
【請求項6】
請求項1に記載の電気工事用絶縁手袋を使用して前記工事対象設備に対する工事を実行する電気工事方法であって、
前記作業者の手に前記手袋本体を装着した状態で、前記第1および第2の導電パターンを前記工事対象設備の前記対象部位に接触させる工程と、
前記第1および第2の導電パターンを前記対象部位に接触させたときの前記第1および第2の導電パターン間の通電状態を検出回路により検出し、その検出結果を表す情報を報知回路により前記作業者に向け出力する工程と、
前記検出結果を表す情報により前記通電していないことを確認した後、前記手袋本体を装着した状態で前記対象部位に対し所定の工事を行なう工程と
を具備する電気工事方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の一態様は、例えば配電設備や蓄電設備、通信設備等の電気工事において使用される電気工事用絶縁手袋および電気工事方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気工事には電源を通電した状態で作業を行う工事がある。例えば、蓄電設備において、充電済の複数のセル間を接続して蓄電池ユニットを構成する工事等がそれに相当する。また、基地局等の通信設備の工事を行う場合にも、通信機能を維持する必要があることから、通信設備の電源を通電したまま工事を行うことがある。
【0003】
これらの工事を行う場合、感電防止のため作業者には絶縁手袋の装着が義務づけられている。しかし、作業者が例えば工事対象の端子を誤認識したり、無意識に活性端子と接地端との間に接触すると、スパーク等の短絡事故が発生して設備に損傷を与えるばかりでなく、場合によっては作業者が火傷を負うといった人身事故に繋がるおそれがある。
【0004】
そこで、一般的には、例えばテスタ等の計測器を使用して端子間の電圧チェックを行ったのち、端子の接続作業を行う工事方法が採用されている(例えば、特許文献1または特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-6848号公報
【特許文献2】特開2017-83179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、例えば接続対象箇所が複数ある場合に、その都度テスタ等の計測器を用いて電圧チェックを行うことは、作業に手間と時間を要することから、作業効率の低下を招く原因になる。この問題は、工事対象箇所が増えるにつれて無視できないものとなるため、対策が切望されていた。
【0007】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、一面では、簡単かつ確実に通電状態のチェックを行えるようにし、これにより作業効率の低下を抑えつつ誤作業の発生を防止できるようにする技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためにこの発明に係る電気工事用絶縁手袋の一態様は、手袋本体の異なる第1および第2の部位に、互いに対をなす第1および第2の導電パターンを配置し、作業者が前記手袋本体を装着した状態で、前記第1および第2の部位を工事対象設備の対象部位に接触させたときの前記第1および第2の導電パターン間の通電状態を検出回路により検出し、前記通電状態の検出結果を表す情報を前記作業者に向け報知回路により出力するように構成したものである。
【0009】
この発明の一態様によれば、作業者は手袋本体を装着した状態で、工事対象設備の対象部位に上記手袋本体の第1および第2の部位を接触させるだけで、上記対象部位の通電状態を確認することが可能となる。このため、例えば工事対象設備の対象部位に設けられた端子間を接続する工事を行う際に、事前の通電チェックにおいてテスタ等の計測器を使用する必要がなくなり、これにより接続作業に要する手間と時間を軽減して作業効率を高めることが可能となる。また、通電状態の確認作業を簡単かつ短時間に行えることで、例えば作業者が通電状態の確認作業を意図的に省くといった不正行為が行われにくくなり、これにより誤作業の発生を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
すなわちこの発明の一態様によれば、簡単かつ確実に通電状態のチェックを行えるようにし、これにより作業効率の低下を抑えつつ誤作業の発生を防止できるようにする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、この発明の第1の実施形態に係る電気工事用絶縁手袋の掌側の構成の一例を示す図である。
図2図2は、図1のA-A矢視断面の構造の一例とその他の例を示す図である。
図3図3は、この発明の第1の実施形態に係る電気工事用絶縁手袋の甲側の構成の一例を示す図である。
図4図4は、この発明の第1の実施形態に係る電気工事用絶縁手袋に設けられる、短絡検出回路および報知回路の回路構成の一例を示す図である。
図5図5は、蓄電設備に対する工事作業の一例としてバッテリセル間の接続作業を示すもので、接続が正しく行われた状態を示す図である。
図6図6は、蓄電設備に対する工事作業の一例としてバッテリセル間の接続作業を示すもので、想定される誤った接続の例を示す図である。
図7図7は、図5および図6に示したバッテリセル間の接続作業がすべて正しく行われた状態を示す図である。
図8図8は、この発明の第2の実施形態に係る電気工事用絶縁手袋に設けられる、短絡検出回路、動作状態判定回路および報知回路の回路構成の一例を示す図である。
図9図9は、図8に示した動作状態判定回路が実行する判定処理の手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
(構成例)
図1および図3は、この発明の第1の実施形態に係る電気工事用絶縁手袋の掌側および甲側の構成の一例を示す図である。
【0014】
電気工事用絶縁手袋は、対をなす左側手袋LHと右側手袋RHとを備え、この左側手袋LHと右側手袋RHとの間を接続コードWRにより接続したものとなっている。左側手袋LHおよび右側手袋RHの本体1L,1Rは、いずれも低圧絶縁ゴム材料により成形されている。接続コードWRは、上記左側手袋LHおよび右側手袋RH間を機械的に接続すると共に、後に述べるように電気的にも接続する。なお、図1および図3では、接続コードWRとしてカールコードを用いた場合を例示しているが、可撓性を有する直線コードであってもよい。
【0015】
ところで、上記左側手袋LHおよび右側手袋RHの掌側における5指に対応する部位には、それぞれ導電パターン2L,2Rが設けられている。導電パターン2L,2Rは、例えば複数の導電性ポリアセタール樹脂の集合体からなり、これにより十分な大きさの接触面を確保すると共に、手袋の可撓性を維持している。また、各導電パターン2L,2Rは、例えば手袋本体1L,1Rの裏面に形成された配線パターンを介して上記接続コードWRに電気的に接続されている。
【0016】
上記導電パターン2L,2Rは、例えば図2(a),(b)に示すように、手袋本体1L,1Rの表層部に埋設されるか、または手袋本体1L,1Rの表面に貼着或いは印刷することで、設けられる。なお、導電パターン2L,2Rの材料は、導電性を有する材料であれば他の樹脂や金属片または金属箔等が用いられてもよい。
【0017】
一方、上記左側手袋LHの甲側には、例えば図3に示すように短絡検出回路3および報知回路4が配置されている。短絡検出回路3は、上記導電パターン2L,2R間の通電状態として、短絡/非短絡を検出する機能を有する。報知回路4は、上記短絡検出回路3による短絡/非短絡の検出結果を作業者に報知するもので、例えばLED(Light Emitting Diode)を用いた2個の表示器41,42を備えている。
【0018】
なお、図3では、短絡検出回路3および報知回路4を左側手袋LHの甲側表面部に並べて配置した場合を例示したが、短絡検出回路3は報知回路4の裏面側に重ねて配置されてもよいし、報知回路4と1つの回路として一体的に構成されてもよい。また、短絡検出回路3および報知回路4は右側手袋RHに設けられてもよいし、接続コードWRに設置されていてもよい。
【0019】
図4は、短絡検出回路3および報知回路4の回路構成の一例を示す図である。
短絡検出回路3は、予め設定された定格電流値以上の短絡電流が流れた場合に電流路を遮断する遮断接点を備える遮断器31を備えている。
【0020】
報知回路4は、上記表示器41と警報接点45とからなる直列回路と、表示器42と警報接点46とからなる直列回路とを並列に接続し、この並列回路を抵抗47および電源スイッチ44を介して電池43に直列に接続したものとなっている。
【0021】
表示器41は、例えば緑色で発光することで非短絡状態を表示する。これに対し表示器42は、例えば赤色で発光することで短絡状態を表示する。警報接点45,46は、上記短絡検出回路3における遮断器31の遮断接点と連動するように構成されている。具体的には、遮断器が非動作状態、つまり遮断接点が閉状態のときに警報接点45がON、警報接点46がOFFとなり、反対に遮断器が動作して遮断接点が開放されたときに警報接点45がOFF、警報接点46がONとなる。なお、電池43は3V、抵抗47は100Ωである。
【0022】
(動作例)
次に、以上のように構成された電気工事用絶縁手袋の動作例を、電気工事の作業手順に従って説明する。ここでは、蓄電設備において充電済の複数のバッテリセルを直列に順次接続して蓄電池ユニットを構成する場合を例にとって説明する。図5乃至図7は、バッテリセルの接続状態の一例を示す図である。
【0023】
作業を行うに当たり、作業者は先ず電気工事用絶縁手袋の左側手袋LHおよび右側手袋RHをそれぞれの手に装着し、報知回路4の電源スイッチ44をオンにする。そして作業者は、接続対象となるバッテリセルを選択し、選択したバッテリセル間の+端子と-端子に対しそれぞれ左側手袋LHおよび右側手袋RHの各導電パターン2L,2Rを接触させる。
【0024】
このとき、例えば図5に示すように接続対象のバッテリセルBT8,BT9が正しく選択されていれば、上記導電パターン2L,2R間に短絡電流は流れない。従って、このとき短絡検出回路3の遮断器31は閉状態を維持し、その結果報知回路4の警報接点45,46はそれぞれON、OFFとなり、表示器41が緑色に点灯する。作業者は、上記表示器41が緑色に点灯していることを確認することで、選択したバッテリセルBT8,BT9の各端子は接続対象として正しいと認識し、これらのバッテリセルBT8,BT9の+端子と-端子との間を接続具CB8-9 により接続する。
【0025】
一方、作業者が、例えば図6に示すように接続対象としてバッテリセルBT8,BT1を選択し、その+端子および-端子に対しそれぞれ左側手袋LHおよび右側手袋RHの各導電パターン2L,2Rを接触させたとする。この場合、バッテリセルBT1~BT8間で閉回路が形成され、導電パターン2L,2R間に短絡電流が流れる。この結果、短絡検出回路3の遮断器31が動作して遮断接点が開放する。従って、短絡電流は遮断され、これによりバッテリセルBT1~BT8および作業者の安全は保持される。
【0026】
また、上記遮断接点の開放と連動して報知回路4の警報接点45,46がそれぞれOFF、ONとなり、これにより表示器42が赤色に点灯する。従って、作業者は接続対象のバッテリセルBT8,BT1の選択を誤ったと認識し、このバッテリセルBT8,BT1間の接続作業を中止する。このため、バッテリセルBT8,BT1間が接続具CB1-8 により誤接続されることは未然に防止される。
【0027】
図7は、すべてのバッテリセルBT1~BT24間の接続が正しく行われた状態を示す。なお、この例では、バッテリセルBT1~BT24間をすべて直列に接続した場合を示したが、例えばバッテリセルBT1~BT24を所定数のセルずつ直列接続し、この直列接続されたユニットを並列に接続するようにしてもよい。また、バッテリセルの数についても任意である。
【0028】
(効果)
以上詳述したように第1の実施形態では、電気工事用絶縁手袋の左側手袋LHおよび右側手袋RHの掌側の指に対応する部位にそれぞれ導電パターン2L,2Rを設け、上記左側手袋LHおよび右側手袋RHを接続対象となるバッテリセルの端子に接触したときの上記導電パターン2L,2R間の通電状態を短絡検出回路3により検出し、その検出結果を報知回路4の表示器41,42の点灯により作業者に報知するようにしている。
【0029】
従って、作業者はバッテリセル間の接続作業に先立ち、電気工事用絶縁手袋の左側手袋LHおよび右側手袋RHによりバッテリセルの端子に触れるだけで、接続対象となるバッテリセルの選択が正しいか否かを確認することができる。このため、通電チェックのために別途用意したテスタ等の計測具を使用する場合に比べ、簡単かつ短時間に通電チェックを行うことができ、これにより接続作業に係る作業効率を改善することが可能となる。この効果は、接続対象箇所の数が多くなるほど大きなものとなる。
【0030】
また、通電チェックを簡単かつ短時間に行えることで、例えば作業者が通電チェックを意図的に省くといった不正行為が行われにくくなり、これにより誤接続が行われることをより確実に防いで、バッテリセルへの損傷や作業者への人身事故の発生を未然に防止することが可能となる。
【0031】
さらに、第1の実施形態では、左側手袋LHおよび右側手袋RHにそれぞれ導電パターン2L,2Rを分散配置している。このため、接続対象となる端子間の距離によらず通電チェックを行うことができる。また、導電パターン2L,2Rを5指に漏れなく配置しているので、接続対象の端子に導電パターン2L,2Rを接触させるときの操作上の自由度を高く保つことができる。さらに、導電パターン2L,2Rを複数の導電素子の集合体により構成しているので、電気工事用絶縁手袋の可撓性を維持して作業性を高く維持することができる。
【0032】
[第2の実施形態]
この発明の第2の実施形態に係る電気工事用絶縁手袋は、短絡状態の検出表示機能に加え、工事対象設備の動作状態を判定してその結果を表示する機能を備えるようにしたものである。
【0033】
なお、電気工事用絶縁手袋の左側手袋LHおよび右側手袋RHの構成については、第1の実施形態と同一なので、ここでの説明は省略する。
【0034】
(構成例)
図8は、この発明の第2の実施形態に係る電気工事用絶縁手袋が備える、通電検出回路5、動作状態判定回路6および報知回路7の構成の一例を示すブロック図である。
【0035】
通電検出回路5、動作状態判定回路6および報知回路7は、例えば電気工事用絶縁手袋の左側手袋LHおよび右側手袋RHのいずれか一方に配置されるか、または接続コードWRの途中に配置される。
【0036】
報知回路7は、入力デバイス71および表示デバイス72を備える。入力デバイス71は、例えば、電源スイッチと、動作モードを指定するスイッチとを有する。表示デバイス72は、例えばテキストテータの表示が可能な液晶表示器からなる。
【0037】
通電検出回路5は、遮断器31に加えて電流検出回路を備える。電流検出回路は、導電パターン2L,2R間を流れる電流値を検出し、当該電流値の検出信号を動作状態判定回路6へ出力する。
【0038】
動作状態判定回路6は、中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)等のハードウェアプロセッサを使用した制御部61を備え、この制御部61にプログラム記憶部62およびデータ記憶部63を有する記憶ユニットと、入出力インタフェース(以後インタフェースをI/Fと称する)64を接続したものとなっている。
【0039】
入出力I/F64は、上記通電検出回路5から出力される電流値の検出信号を受け取ると共に、報知回路7との間で入力データおよび表示データの入出力を行う。
【0040】
プログラム記憶部62は、例えば、記憶媒体としてSSD(Solid State Drive)等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリを用いたもので、OS(Operating System)等のミドルウェアに加えて、各種制御処理を実行するために必要なアプリケーション・プログラムを格納する。なお、以後OSと各アプリケーション・プログラムとをまとめてプログラムと称する。
【0041】
データ記憶部63は、例えば、記憶媒体としてSSDおよびRAM(Random Access Memory)を用いたもので、その記憶領域に、判定しきい値記憶部631と、基本動作情報記憶部632とを備えている。判定しきい値記憶部631は、通電検出回路5から受け取った検出信号により表される電流値を判定するための複数のしきい値を記憶している。基本動作情報記憶部632は、対象設備の動作状態として想定される複数の基本動作状態を表す情報を記憶している。
【0042】
制御部61は、第2の実施形態を実施するために必要な処理機能として、通電状態判定処理部611と、動作状態判定処理部612と、判定情報出力処理部613とを備える。これらの処理部611~613は、何れもプログラム記憶部62に格納されたプログラムを制御部61のハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。なお、上記処理部611~613の一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0043】
通電状態判定処理部611は、上記通電検出回路5から電流値の検出信号を入出力I/F部64を介して取得する。そして、取得した上記検出信号を判定しきい値記憶部631に記憶された複数のしきい値と比較することにより、通電状態として、短絡/非短絡の判定と、電流値に応じた通電特性の判定を行う。通電状態判定処理部611は、上記短絡/非短絡の判定結果を判定情報出力処理部613へ出力し、また上記通電特性の判定結果を動作状態判定処理部612へ出力する。
【0044】
動作状態判定処理部612は、基本動作情報記憶部632に記憶された基本動作情報を参照することで、上記通電状態判定処理部611から出力される上記通電特性の判定結果に対応する、対象設備の動作状態を判定し、判定した上記動作状態を表す情報を判定情報出力処理部613へ出力する。
【0045】
判定情報出力処理部613は、上記通電状態判定処理部611から短絡/非短絡の判定結果を受け取った場合に、短絡/非短絡を表す表示メッセージを生成して、入出力I/F部64から報知回路7の表示デバイス72へ出力する。
【0046】
また判定情報出力処理部613は、上記動作状態判定処理部612から対象設備の動作状態を表す情報を受け取った場合に、当該動作状態を表す表示メッセージを生成して、入出力I/F部64から報知回路7の表示デバイス72へ出力する。
【0047】
(動作例)
次に、以上のように構成された電気工事用絶縁手袋の動作例を説明する。図9は、動作状態判定回路6の制御部61が実行する制御手順とその処理内容の一例を示すフローチャートである。
【0048】
なお、第2の実施形態においても、複数のバッテリセル間を接続して蓄電池ユニットを構成する場合を例にとって説明する。
【0049】
作業を行うに当たり、作業者が電気工事用絶縁手袋の左側手袋LHおよび右側手袋RHをそれぞれ手に装着し、報知回路7の電源スイッチをオンにするところまでは、第1の実施形態と同様である。
【0050】
(1)バッテリセル間の端子の短絡確認
バッテリセル間で接続端子間の短絡確認を行う場合、作業者は報知回路7のモード指定スイッチを操作して短絡確認モードを入力する。
【0051】
動作状態判定回路6の制御部61は、ステップS10により短絡確認モードが指定入力されたか否かを監視する。この状態で、上記したようにモード指定スイッチが操作されて短絡確認モードを入力されると、制御部61は短絡確認モードにおける制御を以下のように実行する。
【0052】
すなわち、この状態で作業者が、接続対象となるバッテリセル間の+端子と-端子に対しそれぞれ左側手袋LHおよび右側手袋RHの各導電パターン2L,2Rを接触させたとする。そうすると、制御部61は通電状態判定処理部611の制御の下、先ずステップS11において、通電検出回路5から出力される電流値の検出信号を入出力I/F部64を介して取得する。そして、ステップS12において、取得した上記検出信号を判定しきい値記憶部631に記憶された短絡判定用のしきい値と比較することにより、短絡/非短絡の判定を行う。
【0053】
制御部61は、続いて判定情報出力処理部613の制御の下で、上記短絡/非短絡の判定結果を表す表示メッセージを生成して報知回路7へ出力する。例えば、上記短絡/非短絡の判定結果が「非短絡」であれば、判定情報出力処理部613はステップS13において「安全」であることを表す表示メッセージを生成する。そして、生成した上記表示メッセージを入出力I/F部64から報知回路7へ出力する。この結果、報知回路7の表示デバイス72には、上記「安全」であることを表すメッセージが表示される。
【0054】
これに対し、例えば上記短絡/非短絡の判定結果が「非短絡」であれば、判定情報出力処理部613はステップS14において「短絡」であることを表す表示メッセージを生成する。そして、生成した上記表示メッセージを入出力I/F部64から報知回路7へ出力する。この結果、報知回路7の表示デバイス72には、上記「短絡」であることを表すメッセージが表示される。
【0055】
従って、作業者は上記報知回路7に表示されたメッセージを見ることで、接続対象として選択したバッテリセルの端子が正しいか否かを確認することが可能となる。そして、「安全」を確認した上で、作業者は接続対象となるバッテリセルの端子間の接続作業を行う。
【0056】
(2)バッテリセルの動作状態の確認
バッテリセルの動作状態を確認する場合、作業者は報知回路7のモード指定スイッチを操作して動作確認モードを入力する。
【0057】
動作状態判定回路6の制御部61は、ステップS15により動作確認モードが入力されたか否かを監視する。この状態で、上記したようにモード指定スイッチが操作されて動作確認モードを入力されると、制御部61は動作確認モードにおける制御を以下のように実行する。
【0058】
すなわち、この状態で作業者が、確認対象のバッテリセルの+端子および-端子に対し、それぞれ左側手袋LHおよび右側手袋RHの各導電パターン2L,2Rを接触させたとする。そうすると、制御部61は通電状態判定処理部611の制御の下、先ずステップS16において、通電検出回路5から出力される電流値の検出信号を入出力I/F部64を介して取得する。そして、ステップS17において、取得した上記検出信号を判定しきい値記憶部631に記憶された複数のしきい値と比較することにより、電流値を複数段階で判定する。すなわち、バッテリセルの通電特性を判定する。
【0059】
制御部61は、次にステップS18において、動作状態判定処理部612の制御の下、基本動作情報記憶部632に記憶された基本動作情報を参照することで、上記通電状態判定処理部611により判定された上記通電特性に対応するバッテリセルの動作状態を判定する。例えば、バッテリセルの充電状態が十分であるか不十分であるか、バッテリセルの動作状態が正常であるか異常であるかを判定する。
【0060】
制御部61は、続いてステップS19において、判定情報出力処理部613の制御の下、上記動作状態の判定結果を表す表示メッセージを生成し、生成した上記表示メッセージを入出力I/F部64から報知回路7の表示デバイス72へ出力する。この結果、報知回路7の表示デバイス72には、上記確認対象のバッテリセルの動作状態の判定結果を表すメッセージが表示される。従って、作業者は表示された上記メッセージにより確認対象のバッテリセルの動作状態を確認することができ、動作状態が正常であることを確認した上でバッテリセル間の端子の接続作業を行うことができる。接続作業に先立ち、選択したバッテリセルの端子間の短絡確認を行うことは、上記(1)で述べた通りである。
【0061】
(効果)
以上詳述したように第2の実施形態によれば、バッテリセル間の端子の短絡確認に加え、確認対象のバッテリセルの+端子および-端子に対し電気工事用絶縁手袋の導電パターン2L,2Rを接触させるだけで、個々のバッテリセルの動作状態についても確認することが可能となる。
【0062】
[その他の実施形態]
(1)第1の実施形態では、バッテリセル間の端子に導電パターン2L,2Rが接触していない状態でも、報知回路4の表示器41が常時点灯するように構成した。しかし、バッテリセル間の端子に導電パターン2L,2Rが接触していない状態では、報知回路4の表示器41を非点灯状態とし、バッテリセルの端子に導電パターン2L,2Rが接触したときに、そのときの通電状態に応じて表示器41,42のいずれかが点灯するように構成してもよい。これは、例えば、バッテリセルの端子に対する導電パターン2L,2Rの接触を接触センサにより検出し、この接触センサにより接触が検出された状態で報知回路4の電源スイッチ44がオンされるように構成することで実現できる。
【0063】
(2)第1および第2の実施形態では、導電パターン2L,2Rを左側手袋LHおよび右側手袋RHに分散配置した場合を例にとって説明した。しかし、それに限らず、導電パターン2L,2Rを、左側手袋LHおよび右側手袋RHのいずれか一方の異なる2箇所、例えば親指と小指に配置するようにしてもよい。この場合でも、接続対象となる端子間の距離が片手の範囲で届く距離であれば問題なく通電チェックを行うことができる。また、導電パターン2L,2Rを一方の手袋に配置することで、左右の手袋間を接続する接続コードWRを不要にして構成を簡素化することができ、さらには左右の手袋の操作上の自由度を高めることが可能となる。
【0064】
(3)前記第1および第2の実施形態では、報知回路4,7における判定結果の報知を表示器41,42または表示デバイス72を用いて視覚表示する場合を例にとって説明した。しかし、それに限るものではなく、鳴音や音声メッセージを用いて聴覚的に報知するようにしてもよいし、振動を用いて触覚的に報知するようにしてもよい。また、視覚的報知、聴覚的報知、触覚的報知を適宜組み合わせて報知を行うようにしてもよい。その他、報知の形態や報知メッセージの内容等については様々な形態を使用できる。
【0065】
(4)その他、手袋本体の材質や形状、導電パターンの材料や構成、配置位置、検出回路および報知回路の構成とその機能等については、この発明の要所逸脱しない範囲種々変形して実施可能である。
【0066】
以上、この発明の実施形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点においてこの発明の例示に過ぎない。この発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、この発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0067】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0068】
RH…右手側の手袋
LH…左手側の手袋
WR…接続コード
1…手袋本体
2…導電パターン
3…短絡検出回路
4,7…報知回路
5…通電検出回路
6…動作状態判定回路
61…制御部
62…プログラム記憶部
63…データ記憶部
64…入出力I/F部
611…通電状態判定処理部
612…動作状態判定処理部
613…判定情報出力処理部
631…判定しきい値記憶部
632…基本動作情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-02-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が手袋本体を装着した状態で工事対象設備に対し所定の接続工事を行うために使用する電気工事用絶縁手袋であって、
手袋本体の可撓性を維持可能な片状または箔状をなす導電性材料からなり、前記手袋本体の異なる第1および第2の部位に設置される、互いに対をなす第1および第2の導電パターンと、
作業者が前記手袋本体を装着した状態で、前記第1および第2の部位を前記工事対象設備の対象部位に接触させたときの前記第1および第2の導電パターン間の通電状態を検出する検出回路と、
前記通電状態の検出結果を表す情報を前記作業者に向け出力する報知回路と
を具備する電気工事用絶縁手袋。
【請求項2】
作業者が手袋本体を装着した状態でバッテリセル間の接続工事を行うために使用する電気工事用絶縁手袋であって、
手袋本体の可撓性を維持可能な片状または箔状をなす導電性材料からなり、前記手袋本体の異なる第1および第2の部位に設置される、互いに対をなす第1および第2の導電パターンと、
作業者が前記手袋本体を装着した状態で、前記第1および第2の部位を工事対象となる前記バッテリセルの第1の端子および第2の端子に接触させたときの前記第1および第2の導電パターン間の通電状態を検出する検出回路と、
前記検出回路による前記通電状態の検出結果に基づいて、前記工事対象となる前記バッテリセル間の短絡/非短絡の状態を判定すると共に、前記バッテリセルの通電特性を判定する動作状態判定回路と、
前記動作状態判定回路の判定結果を表す情報を前記作業者に向け出力する報知回路と
を具備し、
前記動作状態判定回路は、
短絡確認モードが指定された状態で、前記検出回路から出力される電流値の検出信号を予め記憶された短絡判定用のしきい値と比較することにより、前記バッテリセルの前記第1の端子と前記第2の端子との間の接続状態が短絡状態か非短絡状態かを判定する処理部と、
動作確認モードが指定された状態で、前記検出回路から出力される電流値の検出信号を予め記憶された通電特性判定用の複数のしきい値と比較することにより、前記バッテリセルの充電状態が十分であるか不十分であるか、または前記バッテリセルの動作状態が正常であるか異常であるかを判定する処理部と
を備える電気工事用絶縁手袋。
【請求項3】
前記報知回路は、
前記短絡状態または非短絡状態であることを表す第1の表示メッセージを生成し、生成した前記第1の表示メッセージを表示デバイスに表示する処理部と、
前記バッテリセルの充電状態が十分であるか不十分であるか、または前記バッテリセルの動作状態が正常であるか異常であるかを表す第2の表示メッセージを生成し、生成した前記第2の表示メッセージを前記表示デバイスに表示する処理部と
を備える請求項2に記載の電気工事用絶縁手袋。
【請求項4】
請求項1に記載の電気工事用絶縁手袋を作業者の手に装着して前記工事対象設備に対する接続工事を実行する電気工事方法であって、
前記作業者の手に前記手袋本体を装着した状態で、前記第1および第2の導電パターンを前記工事対象設備の前記対象部位に接触させる工程と、
前記第1および第2の導電パターンを前記対象部位に接触させたときの前記第1および第2の導電パターン間の通電状態を検出回路により検出し、その検出結果を表す情報を報知回路により前記作業者に向け出力する工程と、
前記検出結果を表す情報により前記通電していないことを確認した後、前記手袋本体を装着した状態で前記対象部位に対し所定の接続工事を行なう工程と
を具備する電気工事方法。
【請求項5】
請求項1に記載の電気工事用絶縁手袋を使用して前記バッテリセル間の接続工事を実行する電気工事方法であって、
前記作業者の手に前記手袋本体を装着した状態で、前記第1および第2の導電パターンを前記工事対象となる前記バッテリセルの第1の端子および第2の端子に接触させる第1の工程と、
前記第1および第2の導電パターンを前記第1の端子および第2の端子に接触させたときの前記第1および第2の導電パターン間の通電状態を検出回路により検出する第2の工程と、
前記検出回路による前記通電状態の検出結果に基づいて、前記工事対象となる前記バッテリセル間の短絡/非短絡の状態を判定すると共に、前記バッテリセルの通電特性を判定する第3の工程と、
前記判定結果を表す情報を報知回路により前記作業者に向け出力する第4の工程と、
前記判定結果を表す情報を確認した後、前記手袋本体を装着した状態で前記バッテリセル間の接続工事を行なう第5の工程と
を具備し、
前記第3の工程は、
短絡確認モードが指定された状態で、前記検出回路から出力される電流値の検出信号を予め記憶された短絡判定用のしきい値と比較することにより、前記バッテリセルの前記第1の端子と前記第2の端子との間の接続状態が短絡状態か非短絡状態かを判定する工程と、
動作確認モードが指定された状態で、前記検出回路から出力される電流値の検出信号を予め記憶された通電特性判定用の複数のしきい値と比較することにより、前記バッテリセルの充電状態が十分であるか不十分であるか、または前記バッテリセルの動作状態が正常であるか異常であるかを判定する工程と
を備える電気工事方法。
【請求項6】
前記第4の工程は、
前記短絡状態または非短絡状態であることを表す第1の表示メッセージを生成し、生成した前記第1の表示メッセージを表示デバイスに表示する工程と、
前記バッテリセルの充電状態が十分であるか不十分であるか、または前記バッテリセルの動作状態が正常であるか異常であるかを表す第2の表示メッセージを生成し、生成した前記第2の表示メッセージを前記表示デバイスに表示する工程と
を備える請求項5に記載の電気工事方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記課題を解決するためにこの発明に係る電気工事用絶縁手袋の一態様は、作業者が手袋本体を装着した状態で工事対象設備に対し接続工事を行うために使用する電気工事用絶縁手袋であって、前記手袋本体の異なる第1および第2の部位に、前記手袋本体の可撓性を維持可能な片状または箔状をなす導電性材料からなる互いに対をなす第1および第2の導電パターンを配し、作業者が前記手袋本体を装着した状態で、前記第1および第2の部位を工事対象設備の対象部位に接触させたときの前記第1および第2の導電パターン間の通電状態を検出回路により検出し、前記通電状態の検出結果を表す情報を前記作業者に向け報知回路により出力するように構成したものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
これに対し、例えば上記短絡/非短絡の判定結果が「短絡」であれば、判定情報出力処理部613はステップS14において「短絡」であることを表す表示メッセージを生成する。そして、生成した上記表示メッセージを入出力I/F部64から報知回路7へ出力する。この結果、報知回路7の表示デバイス72には、上記「短絡」であることを表すメッセージが表示される。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が左右の手にそれぞれ左側手袋および右側手袋からなる手袋本体を装着した状態で工事対象設備に対し所定の接続工事を行うために使用する電気工事用絶縁手袋であって、
前記左側手袋および前記右側手袋の少なくとも一方の掌側における複数の指に対応する部位に設けられる、互いに対をなす第1および第2の導電パターンと、
前記作業者が前記手袋本体を装着した状態で、前記第1および第2の部位を前記工事対象設備の対象部位に接触させたときの前記第1および第2の導電パターン間の通電状態を検出する検出回路と、
前記通電状態の検出結果を表す情報を前記作業者に向け出力する報知回路と
を具備し、
前記第1および第2の導電パターンは、前記掌側における複数の指に対応する部位の表層部への埋設または表面への貼着或いは印刷により設けられる、片状または箔状をなす複数の導電性材料の集合体からなる
電気工事用絶縁手袋。
【請求項2】
作業者が左右の手にそれぞれ左側手袋および右側手袋からなる手袋本体を装着した状態でバッテリセル間の接続工事を行うために使用する電気工事用絶縁手袋であって、
前記左側手袋および前記右側手袋の少なくとも一方の掌側における複数の指に対応する部位に設けられる、互いに対をなす第1および第2の導電パターンと、
前記作業者が前記手袋本体を装着した状態で、前記第1および第2の部位を工事対象となる前記バッテリセルの第1の端子および第2の端子に接触させたときの前記第1および第2の導電パターン間の通電状態を検出する検出回路と、
前記検出回路による前記通電状態の検出結果に基づいて、前記工事対象となる前記バッテリセル間の短絡/非短絡の状態を判定すると共に、前記バッテリセルの通電特性を判定する動作状態判定回路と、
前記動作状態判定回路の判定結果を表す情報を前記作業者に向け出力する報知回路と
を具備し、
前記第1および第2の導電パターンは、前記掌側における複数の指に対応する部位の表層部への埋設または表面への貼着或いは印刷により設けられる、片状または箔状をなす複数の導電性材料の集合体からなり、
前記動作状態判定回路は、
短絡確認モードが指定された状態で、前記検出回路から出力される電流値の検出信号を予め記憶された短絡判定用のしきい値と比較することにより、前記バッテリセルの前記第1の端子と前記第2の端子との間の接続状態が短絡状態か非短絡状態かを判定する処理部と、
動作確認モードが指定された状態で、前記検出回路から出力される電流値の検出信号を予め記憶された通電特性判定用の複数のしきい値と比較することにより、前記バッテリセルの充電状態が十分であるか不十分であるか、または前記バッテリセルの動作状態が正常であるか異常であるかを判定する処理部と
を備える電気工事用絶縁手袋。
【請求項3】
前記報知回路は、
前記短絡状態または非短絡状態であることを表す第1の表示メッセージを生成し、生成した前記第1の表示メッセージを表示デバイスに表示する処理部と、
前記バッテリセルの充電状態が十分であるか不十分であるか、または前記バッテリセルの動作状態が正常であるか異常であるかを表す第2の表示メッセージを生成し、生成した前記第2の表示メッセージを前記表示デバイスに表示する処理部と
を備える請求項2に記載の電気工事用絶縁手袋。
【請求項4】
請求項1に記載の電気工事用絶縁手袋を作業者の手に装着して前記工事対象設備に対する接続工事を実行する電気工事方法であって、
前記作業者の左右の手にそれぞれ前記左側手袋および前記右側手袋を装着した状態で、前記第1および第2の導電パターンを前記工事対象設備の前記対象部位に接触させる工程と、
前記第1および第2の導電パターンを前記対象部位に接触させたときの前記第1および第2の導電パターン間の通電状態を検出回路により検出し、その検出結果を表す情報を報知回路により前記作業者に向け出力する工程と、
前記検出結果を表す情報により前記通電していないことを確認した後、前記手袋本体を装着した状態で前記対象部位に対し所定の接続工事を行なう工程と
を具備する電気工事方法。
【請求項5】
請求項に記載の電気工事用絶縁手袋を使用して前記バッテリセル間の接続工事を実行する電気工事方法であって、
前記作業者の左右の手にそれぞれ前記左側手袋および前記右側手袋を装着した状態で、前記第1および第2の導電パターンを前記工事対象となる前記バッテリセルの第1の端子および第2の端子に接触させる第1の工程と、
前記第1および第2の導電パターンを前記第1の端子および第2の端子に接触させたときの前記第1および第2の導電パターン間の通電状態を検出回路により検出する第2の工程と、
前記検出回路による前記通電状態の検出結果に基づいて、前記工事対象となる前記バッテリセル間の短絡/非短絡の状態を判定すると共に、前記バッテリセルの通電特性を判定する第3の工程と、
前記判定結果を表す情報を報知回路により前記作業者に向け出力する第4の工程と、
前記判定結果を表す情報を確認した後、前記手袋本体を装着した状態で前記バッテリセル間の接続工事を行なう第5の工程と
を具備し、
前記第3の工程は、
短絡確認モードが指定された状態で、前記検出回路から出力される電流値の検出信号を予め記憶された短絡判定用のしきい値と比較することにより、前記バッテリセルの前記第1の端子と前記第2の端子との間の接続状態が短絡状態か非短絡状態かを判定する工程と、
動作確認モードが指定された状態で、前記検出回路から出力される電流値の検出信号を予め記憶された通電特性判定用の複数のしきい値と比較することにより、前記バッテリセルの充電状態が十分であるか不十分であるか、または前記バッテリセルの動作状態が正常であるか異常であるかを判定する工程と
を備える電気工事方法。
【請求項6】
前記第4の工程は、
前記短絡状態または非短絡状態であることを表す第1の表示メッセージを生成し、生成した前記第1の表示メッセージを表示デバイスに表示する工程と、
前記バッテリセルの充電状態が十分であるか不十分であるか、または前記バッテリセルの動作状態が正常であるか異常であるかを表す第2の表示メッセージを生成し、生成した前記第2の表示メッセージを前記表示デバイスに表示する工程と
を備える請求項5に記載の電気工事方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記課題を解決するためにこの発明に係る電気工事用絶縁手袋の一態様は、作業者が左右の手にそれぞれ左側手袋および右側手袋からなる手袋本体を装着した状態で工事対象設備に対し接続工事を行うために使用する電気工事用絶縁手袋であって、前記左側手袋および前記右側手袋の少なくとも一方の掌側における複数の指に対応する部位には、その表層部への埋設または表面への貼着或いは印刷により、片状または箔状をなす複数の導電性材料の集合体からなる第1および第2の導電パターンが設けられ、作業者が前記手袋本体を装着した状態で、前記第1および第2の導電パターンを工事対象設備の対象部位に接触させたときの前記第1および第2の導電パターン間の通電状態を検出回路により検出し、前記通電状態の検出結果を表す情報を前記作業者に向け報知回路により出力するように構成したものである。