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  • 特開-設備点検システム 図1
  • 特開-設備点検システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167222
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】設備点検システム
(51)【国際特許分類】
   B64C 13/18 20060101AFI20231116BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20231116BHJP
   G05D 1/10 20060101ALI20231116BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20231116BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20231116BHJP
   B64C 27/04 20060101ALI20231116BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20231116BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20231116BHJP
   G05B 23/02 20060101ALN20231116BHJP
【FI】
B64C13/18 Z
H04Q9/00 301Z
G05D1/10
B64D47/08
B64C39/02
B64C27/04
H04N5/222 100
H04N5/232 220
H04N5/232 300
G05B23/02 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078233
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉川 亜緒依
(72)【発明者】
【氏名】神戸 健吾
【テーマコード(参考)】
3C223
5C122
5H301
5K048
【Fターム(参考)】
3C223AA24
3C223BA03
3C223BB08
3C223BB12
3C223CC01
3C223DD01
3C223EB05
3C223FF14
3C223FF15
3C223GG01
3C223HH29
5C122DA03
5C122EA42
5C122EA58
5C122EA63
5C122GA01
5C122GA23
5C122GC13
5C122GD11
5C122HA01
5C122HA90
5H301AA06
5H301BB10
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD01
5H301GG07
5H301GG09
5K048AA05
5K048BA45
5K048BA48
5K048DC01
5K048EB02
5K048EB15
(57)【要約】
【課題】災害発生時に設置状況が正常なままの設備と、設置状況が正常でなくなった設備とを簡易に判別することができる設備点検システムを提供する。
【解決手段】飛行体10が、読取部13を作動させた状態で、予め設定されている経路データに沿って自律飛行し、読取部13により何れかのキュービクル1A、1B・・の二次元コード2A、2B・・を読み取ると撮像部12を作動させ、二次元コード2A、2B・・を読み取った地点についての所定の撮像時間にわたる映像を撮像データとして取得するとともに、二次元コード2A、2B・・に含まれる識別情報、二次元コード2A、2B・・を読み取った地点の位置情報、及び撮像データを管理装置20に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部を有する飛行体と、前記飛行体が通信可能な管理装置とにより、所定の設備を点検するための設備点検システムであって、
前記管理装置に、前記設備の識別情報に関連付けて、前記設備の初期の設置位置に係る位置情報が記憶されているとともに、
前記設備の外面に、当該設備に係る前記識別情報と前記管理装置に接続するためのアドレスとを含んだコードが表示されている一方、
前記飛行体に、自身の動作を制御する制御部と、前記コードを読み取るための読取部と、GPS信号にもとづいて位置情報を生成するためのGPS部とが設けられており、
前記飛行体は、前記読取部を作動させた状態で、予め設定されている経路データに沿って自律飛行し、
前記読取部により前記コードを読み取ると前記撮像部を作動させ、前記コードを読み取った地点についての画像及び/又は所定の撮像時間にわたる映像である撮像データを取得するとともに、
前記コードに含まれる識別情報、前記地点の位置情報、及び前記撮像データを前記管理装置に送信する一方、
前記管理装置は、受信した前記識別情報と予め記憶されている前記識別情報とを比較するとともに、一致する前記識別情報に関連付けて、前記地点の位置情報、及び前記撮像データを記憶することを特徴とする設備点検システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば高圧受電設備等のような設備の設置状況を飛行体で点検するための設備点検システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ドローン等の飛行体を利用して、送電線及び送電線を支持する鉄塔のような設備の設置状況を点検する設備点検システムとしては、たとえば特許文献1に記載されているようなものが考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-129713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の設備点検システムでは、たとえば地震や洪水等の災害が発生して設備が損壊してしまったり、設備の設置位置が大きくずれてしまったりする可能性がある状況において、設置状況が正常なままの設備と、設置状況が正常でなくなった設備とを判別するというような点検にはむいていない。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、災害発生時に設置状況が正常なままの設備と、設置状況が正常でなくなった設備とを簡易に判別することができる設備点検システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、撮像部を有する飛行体と、前記飛行体が通信可能な管理装置とにより、所定の設備を点検するための設備点検システムであって、前記管理装置に、前記設備の識別情報に関連付けて、前記設備の初期の設置位置に係る位置情報が記憶されているとともに、前記設備の外面に、当該設備に係る前記識別情報と前記管理装置に接続するためのアドレスとを含んだコードが表示されている一方、前記飛行体に、自身の動作を制御する制御部と、前記コードを読み取るための読取部と、GPS信号にもとづいて位置情報を生成するためのGPS部とが設けられており、前記飛行体は、前記読取部を作動させた状態で、予め設定されている経路データに沿って自律飛行し、前記読取部により前記コードを読み取ると前記撮像部を作動させ、前記コードを読み取った地点についての画像及び/又は所定の撮像時間にわたる映像である撮像データを取得するとともに、前記コードに含まれる識別情報、前記地点の位置情報、及び前記撮像データを前記管理装置に送信する一方、前記管理装置は、受信した前記識別情報と予め記憶されている前記識別情報とを比較するとともに、一致する前記識別情報に関連付けて、前記地点の位置情報、及び前記撮像データを記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、管理装置に、設備の識別情報に関連付けて、設備の初期の設置位置に係る位置情報が記憶されているとともに、設備の外面に、当該設備に係る識別情報と管理装置に接続するためのアドレスとを含んだコードが表示されている一方、飛行体に、自身の動作を制御する制御部と、コードを読み取るための読取部と、GPS信号にもとづいて位置情報を生成するためのGPS部とが設けられており、飛行体は、読取部を作動させた状態で、予め設定されている経路データに沿って自律飛行し、読取部によりコードを読み取ると撮像部を作動させ、コードを読み取った地点についての画像及び/又は所定の撮像時間にわたる映像である撮像データを取得するとともに、コードに含まれる識別情報、コードを読み取った地点の位置情報、及び撮像データを管理装置に送信する一方、管理装置は、受信した識別情報と予め記憶されている識別情報とを比較するとともに、一致する識別情報に関連付けて、コードを読み取った地点の位置情報、及び撮像データを記憶する。したがって、たとえば災害発生時に設置状況が正常なままの設備と、コードが読み取られなかったり、撮像データで異常が確認できたりする等、設置状況が正常でなくなった設備とを簡易に判別することができる設備点検システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】設備点検システムの概要を示した説明図である。
図2】飛行体のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる設備点検システムについて、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、設備点検システムの概要を示した説明図である。図2は、飛行体10のブロック構成図である。
【0011】
設備点検システムは、たとえば高圧受電設備等のような設備の一構成要素であるキュービクル1A、1B・・を点検対象とするもので、飛行体10、キュービクル1A、1B・・に係る各種データを記憶する管理装置20、及びユーザーが使用する端末装置(携帯端末30、端末コンピュータ40)等を備えてなる。そして、飛行体10と管理装置20とはインターネットNを介して接続可能とされ、携帯端末30や端末コンピュータ40と管理装置20とについても同様にインターネットNを介して接続可能とされている。また、各キュービクル1A、1B・・の天板の上面(外面)には、自身を識別するためのID(識別情報)と、管理装置20と通信可能に接続するためのアドレスとを含んだ二次元コード(たとえばQRコード(登録商標))2A、2B・・が付されている。
【0012】
飛行体10は、所謂ドローンであって、自身の動作を制御するための制御部11と、周囲を撮像するための撮像部12と、キュービクル1A、1B・・に付されている二次元コード2A、2B・・を読み取るための読取部13と、プロペラやモータ等から構成される駆動部14と、GPS信号を受信するためのGPS部15と、インターネットNを介して管理装置20と通信するための通信部16とを備えてなる。そして、飛行体10は、GPS衛星(図示せず)から受信するGPS信号にもとづいて生成する位置情報等を利用しながら、予め制御部11に設定されている飛行経路に係る経路データに沿って自律飛行する。
【0013】
管理装置20は、たとえばインターネットNに接続される1台のサーバ装置、あるいは協働して動作する複数のサーバ装置で構成されている。そして、該管理装置20には、各キュービクル1A、1B・・の位置情報(緯度及び経度)が識別情報に関連付けて記憶されている。また、後述するようにして飛行体10が撮像した撮像データについても、キュービクル1A、1B・・の識別情報に関連付けて記憶される。
【0014】
そして、上述したような設備点検システムでは、以下のようにして設備点検が実施される。
まず飛行体10には、キュービクル1A、1B・・が設置されているエリアに係る経路データが予め設定される。そして、飛行体10は、当該エリアにおいて経路データに沿って自律飛行することになるが、その際、常時読取部13を作動させておく。そして、自律飛行中の飛行体10は、何れかのキュービクル1A、1B・・に付されている二次元コード2A、2B・・を読み取ると、二次元コード2A、2B・・に含まれているアドレスにもとづき、インターネットNを介して管理装置20に接続する。また、飛行体10は、GPS信号にもとづいて二次元コード2A、2B・・を読み取った地点の位置情報を生成するとともに、生成した位置情報と、二次元コード2A、2B・・に含まれているキュービクルの識別情報とを管理装置20に送信する。さらに、飛行体10は、二次元コード2A、2B・・を読み取ると、撮像部12の作動を開始するとともに、所定の撮像時間(たとえば1分間)にわたって二次元コード2A、2B・・を読み取った地点で撮像部12による撮像を実行し、当該地点の周辺映像を撮像データとして取得する。そして、撮像時間が経過すると、撮像部12による撮像を停止し、撮像データに位置情報及び識別情報を関連付けて管理装置20へ送信した後、上記経路データに沿った自律飛行を再開する。なお、飛行体10は、撮像部12での撮像に係り、キュービクル全体が映り込むような高度から撮像する。
【0015】
一方、管理装置20には、キュービクル1A、1B・・の初期の位置情報が予め設定されている。そして、管理装置20は、飛行体10から位置情報及び識別情報を受信すると、受信した識別情報が予め登録されている識別情報と一致するか否かを判断し、一致する場合には、対応する識別情報に関連付けて受信した位置情報とその受信時刻とを記憶する。また、飛行体10から撮像データを受信すると、上記同様に識別情報の一致に係る判断を実行した後、対応する識別情報に関連付けて撮像データと受信時刻とを記憶する。
【0016】
また、ユーザーは、携帯端末30や端末コンピュータ40等を利用して管理装置20に接続する。そして、識別情報に関連付けて記憶されている位置情報や受信時刻、撮像データ等を携帯端末30や端末コンピュータ40の表示部に表示させることで、キュービクル1A、1B・・の現在位置やキュービクル1A、1B・・の周辺映像についての確認、すなわちキュービクル1A、1B・・に係る設備点検を行うことができる。
【0017】
なお、上述したような設備点検システムでは、飛行体10を利用してキュービクル1A、1B・・を維持管理する維持管理会社や、キュービクル1A、1B・・を運用する電力会社に加え、消防機関及び警察機関がユーザーとして想定される。また、飛行体10による二次元コード2A、2B・・の読み取りや撮像データの取得は、平常時での定期的な実施のみならず、水害や地震の発生等の非常時にも実施される。そして、特に非常時に飛行体10を自律飛行させ、キュービクル1A、1B・・の現在位置やキュービクル1A、1B・・の周辺映像を取得することで、たとえば位置がずれていたり傾いたりしているキュービクルが存在する、二次元コード2A、2B・・を読み取れない(すなわち、損壊してしまったり埋もれてしまったりする)キュービクルが存在する等、キュービクル1A、1B・・の被害状況を迅速に把握することができる。
【0018】
以上のような構成を有する設備点検システムによれば、管理装置20に、キュービクル1A、1B・・の識別情報と、当該識別情報に関連付けて、キュービクル1A、1B・・の初期の設置位置に係る位置情報とが記憶されている。また、各キュービクル1A、1B・・の天板の上面に、当該キュービクル1A、1B・・に係る識別情報と管理装置20に接続するためのアドレスとを含んだ二次元コード2A、2B・・が表示されている一方、飛行体10に、二次元コード2A、2B・・を読み取るための読取部13と、GPS信号にもとづいて位置情報を生成するためのGPS部15とが設けられており、飛行体10は、読取部13を作動させた状態で、予め設定されている経路データに沿って自律飛行し、読取部13により何れかのキュービクル1A、1B・・の二次元コード2A、2B・・を読み取ると撮像部12を作動させ、二次元コード2A、2B・・を読み取った地点についての所定の撮像時間にわたる映像を撮像データとして取得するとともに、二次元コード2A、2B・・に含まれる識別情報、二次元コード2A、2B・・を読み取った地点の位置情報、及び撮像データを管理装置20に送信する。一方、管理装置20は、受信した識別情報と予め記憶されている識別情報とを比較するとともに、一致する識別情報に関連付けて、二次元コード2A、2B・・を読み取った地点の位置情報、及び撮像データを記憶する。したがって、たとえば災害発生時に設置状況が正常なままのキュービクル1A、1B・・と、二次元コード2A、2B・・が読み取られなかったり、撮像データで異常が確認できたりする等、設置状況が正常でなくなったキュービクル1A、1B・・とを簡易に判別することができる設備点検システムを提供することができる。
【0019】
なお、本発明に係る設備点検システムは、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、設備点検システムの全体的な構成は勿論、撮像データの取得に係る構成等についても必要に応じて適宜変更することができる。
【0020】
たとえば、上記実施形態では、キュービクルを点検対象となる設備としているが、他の設備(たとえば柱上変圧器、街灯、屋外配電盤、蓄電池盤等の設備や、屋外の照明等の電気設備が考えられる)の点検についても本発明は好適に採用することができる。
また、上記実施形態では、設備に係るコードを読み取った地点における所定時間にわたる映像を撮像データとして取得するとしているが、映像ではなく画像を撮像データとして取得するように構成してもよいし、映像及び画像の両方を撮像データとして取得しても何ら問題はない。
さらに、上記実施形態では、設備に付するコードとして二次元コードを採用しているが、他のコード(たとえばバーコード)を採用することも当然可能である。
加えて、ユーザー毎に独自のIDやパスワードを設定しておき、ユーザーが管理装置に接続したり、管理装置に記憶されている各種データを更新したりする際には、それらIDやパスワードの入力を求めるように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0021】
1A、1B・・キュービクル(設備)、2A、2B・・二次元コード、10・・飛行体、11・・制御部、12・・撮像部、13・・読取部、15・・GPS部、16・・通信部、20・・管理装置。
図1
図2