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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167237
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/02 20060101AFI20231116BHJP
   E06B 1/36 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
E06B7/02
E06B1/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078264
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直輝
(72)【発明者】
【氏名】阿武 晃治
(72)【発明者】
【氏名】熊野 崇史
【テーマコード(参考)】
2E011
2E036
【Fターム(参考)】
2E011DA01
2E036JA06
2E036JC01
2E036KA06
2E036LA03
2E036MA09
(57)【要約】
【課題】FIX窓における換気の有無を適時に切り換えることができる建具を提供すること。
【解決手段】建物の開口部の四周に亘って設けられ、上枠、下枠及び左右の縦枠を枠組みしてなる窓枠と、窓枠の内側に納められる面材と、窓枠の4辺のうちの少なくとも1辺に設けられ、室外側に開口する室外側吸排気口と室内側に開口する室内側吸排気口とを連通する空気流路と、窓枠の内側に設けられ、見込み方向に移動することによって空気流路を開閉する開閉部材と、を有する、建具である。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部の四周に亘って設けられ、上枠、下枠及び左右の縦枠を枠組みしてなる窓枠と、
前記窓枠の内側に納められる面材と、
前記窓枠の4辺のうちの少なくとも1辺に設けられ、室外側に開口する室外側吸排気口と室内側に開口する室内側吸排気口とを連通する空気流路と、
前記窓枠の内側に設けられ、見込み方向に移動することによって前記空気流路を開閉する開閉部材と、を有する、建具。
【請求項2】
前記窓枠における前記空気流路を有する前記少なくとも1辺は、前記面材の縁部を収容する内枠と、前記内枠の外周側に離隔して配置される外枠と、によって構成され、
前記空気流路は、前記内枠と前記外枠との間の空間によって形成され、
前記開閉部材は、前記内枠の内周側に配置されて見込み方向に延びる内周側板部と、前記内枠と前記外枠との間に配置されて見込み方向に延びる外周側板部と、を有し、
前記開閉部材が最も室外側に移動した状態で、前記内周側板部及び前記外周側板部のいずれか一方もしくは両方が前記空気流路を閉鎖する、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記開閉部材と前記窓枠との少なくとも一方に、互いに接触する面積を低減する複数の突起部が設けられる、請求項1又は2に記載の建具。
【請求項4】
前記室内側吸排気口に、着脱可能なフィルタが設けられる、請求項1又は2に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、換気機能を有するFIX窓として、下枠に室内外に連通する空気流路を設け、空気流路の室内側の開口に、スリット等の通気部を有するカバー材を取り付けてなる嵌め殺し窓が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-52342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の換気機能を有するFIX窓では、換気を行いたくない場合、その都度、カバー材を通気不能なカバー材に交換する必要がある。そのため、生活環境等に合わせて換気の有無を適時に切り換えることができない。
【0005】
本開示は、FIX窓における換気の有無を適時に切り換えることができる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、建物の開口部の四周に亘って設けられ、上枠、下枠及び左右の縦枠を枠組みしてなる窓枠と、前記窓枠の内側に納められる面材と、前記窓枠の4辺のうちの少なくとも1辺に設けられ、前記面材の室外側に開口する室外側吸排気口と前記面材の室内側に開口する室内側吸排気口とを連通する空気流路と、前記窓枠の内側に設けられ、見込み方向に移動することによって前記空気流路を開閉する開閉部材と、を有する建具である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の建具を室外側から見た正面図である。
図2】本開示の建具を室内側から見た斜視面図である。
図3図1中のA-A線に沿う縦断面図である。
図4図1中のB-B線に沿う横断面図である。
図5図1中のA-A線に沿って切断した建具を室内側から見た斜視図である。
図6】本開示の建具の窓枠における3辺に亘る内枠と下枠と縦側の一方の外枠とを室内側から見た斜視図である。
図7】本開示の建具の窓枠における3辺に亘る内枠と上枠の外枠と縦側の他方の外枠とを室内側から見た斜視図である。
図8】本開示の建具の開閉部材を室内側から見た斜視図である。
図9】本開示の建具の開閉部材を室外側から見た斜視図である。
図10】空気流路を開放した状態を示す建具の縦断面図である。
図11】空気流路を開放した状態を示す建具の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本開示の建具は、建物の開口部を開閉しないFIX窓1である。FIX窓1は、建物に矩形に開口する開口部に設けられる。
【0009】
図1及び図2に示すように、FIX窓1は、建物の開口部の四周に亘る窓枠2を有する。窓枠2は、それぞれ左右方向に延びる上枠3及び下枠4と、それぞれ上下方向に延びる左右の縦枠5と、を矩形に枠組みすることによって形成される。窓枠2の内周側には、面材6が納められる。本実施形態の面材6は、ペアガラスによって構成されるが、これに限定されない。窓枠2の室内側の端部には、四周に亘って矩形に枠組みされた額縁7が取り付けられている。窓枠2の内周側において、面材6の室内側且つ額縁7の室外側には、四周に亘る矩形枠状の開閉部材8が設けられる。
【0010】
ここで、各図中の矢印が示す方向について説明する。X1-X2方向は、FIX窓1の室内外方向を示す。X1方向は室外側であり、X2方向は室内側である。Y1-Y2方向は、FIX窓1の上下方向を示す。Y1方向は鉛直方向の上方であり、Y2方向は鉛直方向の下方である。X1-X2方向は、FIX窓1の見込み方向ともいう。この見込み方向に沿うように配置される面は、FIX窓1の見込み面である。見込み方向に直交し、室外側及び室内側に面して配置される面は、FIX窓1の見付け面である。図1は、FIX窓1を室外側から見た正面図である。FIX窓1において、左右方向は、見付け面に沿う横方向をいう。
【0011】
本実施形態のFIX窓1において、窓枠2の4辺のうち、上枠3及び左右の縦枠5の3辺は、それぞれ窓枠2の各辺の長さ方向に延びる板材からなる内枠31,51と外枠32,52とによって形成される二重構造を有する。
【0012】
図3図6及び図7に示すように、上枠3の内枠31は、面材6の上縁部を飲み込んで収容する面材収容部311と、面材収容部311から室内側に向けて見込み方向に延びる延長部312と、を有する。内枠31の面材収容部311と延長部312とは一体に形成されている。面材6の上縁部は、面材収容部311に収容されている。面材6は、室内側に配置される押縁313によって面材収容部311内に支持されている。面材6は、図6及び図7では省略されている。
【0013】
内枠31は、内枠31の室外側見付け面を形成する室外側壁部314を有する。室外側壁部314は、室外側に対面するように配置され、面材収容部311の外面311aよりも上方に突出している。室外側壁部314の上端部314aの室内側の面には、内枠31の長さ方向に亘って、ゴム等からなる封止材315が取り付けられている。
【0014】
内枠31は、内枠31の室内側見付け面を形成する室内側壁部316を有する。室内側壁部316は、延長部312の室内側の端部から下方に向けて突出している。図3に示すように、室内側壁部316の下端面316aの位置は、面材収容部311における最も下端の位置である下端面311bの位置よりもやや上方に配置されている。
【0015】
内枠31の延長部312には、図6及び図7に示すように、複数の貫通穴317が設けられている。貫通穴317は、図6に示すように、延長部312の見込み方向の長さの略全長に亘る長さを有する長穴状に形成され、内枠31の長さ方向に間隔をおいて配列されている。
【0016】
上枠3の外枠32は、窓枠2の上方の外面を構成する板材からなる。外枠32の左右方向の長さは、内枠31の左右方向の長さよりもやや長い。外枠32の見込み方向の長さは、内枠31の見込み方向の長さよりも長い。外枠32は、内枠31よりも室外側及び室内側に向けてそれぞれ見込み方向に延びている。
【0017】
外枠32の内周面32aには、外枠32の長さ方向である左右方向に沿って直線状に延びる複数の突起部321が設けられている。複数の突起部321は、見込み方向に一定の間隔をおいて、互いに平行に配置されている。
【0018】
外枠32の外周面32bには、上方に向けて突出するフランジ部322が設けられている。窓枠2の見込み方向に沿うフランジ部322の位置は、窓枠2の見込み方向に沿う面材6の室外側の表面の位置に略等しい。フランジ部322は、窓枠2の上枠3を建物躯体に取り付ける取付部位であり、図3に示すように、フランジ部322を貫通する固定ねじSC1によって、建物の室外側の躯体表面に固定される。
【0019】
外枠32は、内枠31の外周側である上方に、一定の間隔をあけて平行に配置されている。内枠31において最も上方に突出する部位である室外側壁部314の上端部314aは、外枠32の内周面32aよりも下方に離隔して配置されている。内枠31と外枠32との間の空間によって、窓枠2の上部の空気流路F1が形成される。
【0020】
空気流路F1の室外側の端部は、窓枠2の室外側見付け面に配置されて室外側に開口する室外側吸排気口F1aを介して、室外側に連通する。室外側吸排気口F1aは、内枠31の室外側壁部314の上端部314aと外枠32の内周面32aとの間によって、横長のスリット状に形成される。空気流路F1の室内側の端部は、内枠31の延長部312に設けられた複数の貫通穴317を介して、室内側に連通する。貫通穴317は、上枠3の内周側見込み面に配置され、面材6の室内側において窓枠2の内側に開口する。この貫通穴317は、空気流路F1の室内側吸排気口F1bを構成する。
【0021】
内枠31の延長部312には、全ての室内側吸排気口F1bを窓枠2の内側から覆うフィルタ318が設けられている。これによって、空気流路F1を通って室内側に粉塵、花粉、虫等が侵入することが防止される。室内側壁部316の下端面316aは、フィルタ318よりも下方に突出している。フィルタ318は、着脱可能であり、清掃及び交換することができる。フィルタ318は、図6及び図7では省略されている。
【0022】
図4図6及び図7に示すように、左右の縦枠5の内枠51は、面材6の左右の側縁部を飲み込んで収容する面材収容部511と、面材収容部511から室内側に向けて見込み方向に延びる延長部512と、を有する。内枠51の面材収容部511と延長部512とは一体に形成されている。面材6の左右の側縁部は、面材収容部511に収容されている。面材6は、室内側に配置される押縁513によって面材収容部511内に支持されている。
【0023】
内枠51は、内枠51の室外側見付け面を形成する室外側壁部514を有する。室外側壁部514は、面材収容部511の内端面511aよりも左右の外側方に突出している。窓枠2の見込み方向における縦枠5の室外側壁部514の位置は、上枠3の室外側壁部314の位置に等しい。室外側壁部514の左右の外端部514aの室内側の面には、内枠51の長さ方向に亘って、ゴム等からなる封止材515が取り付けられている。
【0024】
内枠51は、内枠51の室内側見付け面を形成する室内側壁部516を有する。室内側壁部516は、延長部512の室内側の端部から内方に向けて突出している。図4に示すように、室内側壁部516の内端面516aの位置は、面材収容部511における最も内端の位置である内端面511bの位置よりもやや外側方に配置されている。
【0025】
内枠51の延長部512には、図6及び図7に示すように、複数の貫通穴517が設けられている。貫通穴517は、延長部512の見込み方向の長さの略全長に亘る長さを有する長穴状に形成され、内枠51の長さ方向に間隔をおいて配列されている。
【0026】
左右の縦枠5の外枠52は、窓枠2の左右側方の外面を構成する板材からなる。外枠52の上下方向の長さは、内枠51の上下方向の長さよりもやや長い。外枠52の見込み方向の長さは、内枠51の見込み方向の長さよりも長い。外枠52は、内枠51よりも室外側及び室内側に向けてそれぞれ見込み方向に延びている。
【0027】
外枠52の内周面52aには、外枠52の長さ方向である上下方向に沿って直線状に延びる複数の突起部521が設けられている。複数の突起部521は、見込み方向に一定の間隔をおいて、互いに平行に配置されている。
【0028】
外枠52の外周面52bには、外側方に向けて突出するフランジ部522が設けられている。窓枠2の見込み方向に沿うフランジ部522の位置は、窓枠2の見込み方向に沿う面材6の室外側の表面の位置に略等しい。フランジ部522は、窓枠2の縦枠5を建物躯体に取り付ける取付部位であり、図4に示すように、フランジ部522を貫通する固定ねじSC3によって、建物の室外側の躯体表面に固定される。
【0029】
外枠52は、内枠51の外周側である左右の外側方に、一定の間隔をあけて平行に配置されている。内枠51において最も外方に突出する部位である室外側壁部514の外端部514aは、外枠52の内周面52aよりも内方に離隔して配置されている。内枠51と外枠52との間の空間によって、窓枠2の左右側部の空気流路F2が形成される。
【0030】
空気流路F2の室外側の端部は、窓枠2の室外側見付け面に配置されて室外側に開口する室外側吸排気口F2aを介して、室外側に連通する。室外側吸排気口F2aは、内枠51の室外側壁部514の外端部514aと外枠52の内周面52aとの間によって、縦長のスリット状に形成される。空気流路F2の室内側の端部は、内枠51の延長部512に設けられた複数の貫通穴517を介して、室内側に連通する。貫通穴517は、縦枠5の内周側見込み面に配置され、面材6の室内側において窓枠2の内側に開口する。この貫通穴517は、空気流路F2の室内側吸排気口F2bを構成する。
【0031】
内枠51の延長部512には、全ての室内側吸排気口F2bを内側から覆うフィルタ518が設けられる。これによって、空気流路F2を通って室内側に粉塵、花粉、虫等が侵入することが防止される。室内側壁部516の内端面516aは、フィルタ518よりも内側方に突出している。フィルタ518は着脱可能であり、必要に応じて清掃及び交換することができる。フィルタ518は、図6及び図7では省略されている。
【0032】
窓枠2の下枠4は、内枠及び空気流路を有しておらず、単独で窓枠2の下方の外面を構成する。下枠4の左右方向の長さは、上枠3の外枠32の左右方向の長さに等しい。下枠4の見込み方向の長さは、上枠3及び左右の縦枠5における外枠32,52の見込み方向の長さに等しい。
【0033】
図3図5及び図6に示すように、下枠4は、面材6の下縁部を飲み込んで収容する面材収容部41を有する。面材6の下縁部は、面材収容部41に収容されている。面材6は、室内側に配置される押縁42によって面材収容部41内に支持されている。下枠4は、面材収容部41から室外側及び室内側に向けてそれぞれ見込み方向に延びている。
【0034】
下枠4において室外側見付け面を形成する室外側壁部43は、室外側に対面するように配置されている。窓枠2の見込み方向に沿う室外側壁部43の位置は、窓枠2の見込み方向に沿う上枠3及び縦枠5の室外側壁部314,514の位置に等しい。
【0035】
下枠4の内周面4aには、下枠4の長さ方向である左右方向に沿って直線状に延びる複数の突起部44が設けられている。複数の突起部44は、見込み方向に一定の間隔をおいて、互いに平行に配置されている。
【0036】
下枠4の外周面4bには、下方に向けて突出するフランジ部45が設けられている。窓枠2の見込み方向に沿うフランジ部45の位置は、窓枠2の見込み方向に沿う面材6の室外側の表面の位置に略等しい。フランジ部45は、窓枠2の下枠4を建物躯体に取り付ける取付部位であり、図3に示すように、フランジ部45を貫通する固定ねじSC2によって、建物の室外側の躯体表面に固定される。
【0037】
上枠3、下枠4及び左右の縦枠5の長さ方向の両端部は、それぞれ45°の角度で切断されている。上枠3、下枠4及び左右の縦枠5は、隣り合う枠の端部同士を突き合わせて接続することによって矩形に枠組みされる。詳しくは、上枠3の外枠32、下枠4及び左右の縦枠5の外枠52の端部同士が接続されるとともに、上枠3の内枠31及び左右の縦枠5の内枠51の端部同士が接続される。接続によって門型をなす内枠31,51は、左右の内枠51の下端部において下枠4の内周面4aに固定される。これによって、上枠3の空気流路F1と左右の縦枠5の空気流路F2とが、窓枠2の周方向に連通し、上枠3の室外側吸排気口F1aと左右の縦枠5の室外側吸排気口F2aとが、窓枠2の周方向に連通する。上枠3の外枠32の突起部321、左右の縦枠5の外枠52の突起部521、及び下枠4の突起部44は、それぞれ窓枠2の周方向に連続する。
【0038】
額縁7は、窓枠2の室内側の端部に取り付けられている。額縁7は、それぞれ中空の角型材からなる上額縁部材71、下額縁部材72及び左右の縦額縁部材73を矩形に枠組みすることによって形成される。上額縁部材71は、上枠3の内枠31に対して室内側に離隔し、外枠32の内周面32aにおける室内側の端部に取り付けられている。下額縁部材72は、下枠4の内周面4aにおける室内側の端部に取り付けられている。左右の縦額縁部材73は、縦枠5の内枠51に対して室内側に離隔し、外枠52の内周面52aにおける室内側の端部に取り付けられている。
【0039】
上額縁部材71の下面71aは、面材収容部311の下端面311bの位置よりもやや上方に配置されている。下額縁部材72の上面72aは、面材収容部41の上端面41aの位置よりもやや下方に配置されている。縦額縁部材73の内側面73aは、面材収容部511の内端面511bの位置よりもやや外側方に配置されている。
【0040】
上額縁部材71の下面71a、下額縁部材72の上面72a及び左右の縦額縁部材73の内側面73aのそれぞれの室内側には、内側方に向けて突出する段部71b,72b,73bを介して、フランジ部711,721,731が一体に設けられている。フランジ部711,721,731は、額縁7の室内側に向けて突出している。
【0041】
開閉部材8は、窓枠2の見込み方向に沿って移動することによって、窓枠2の3辺に亘る空気流路F1,F2を同時に開閉する部材である。本実施形態の開閉部材8は、図8及び図9に示すように、窓枠2の四周に亘る矩形状の可動枠からなり、窓枠2の内周側且つ面材6の室内側に配置されている。開閉部材8は、内周側板部81と、内周側板部81の上面及び左右の外側面に設けられる外周側板部82と、内周側板部81の下面に設けられる角枠部83と、によって構成される。開閉部材8は、例えば、樹脂材料を用いて射出成形することによって一体成形可能である。
【0042】
開閉部材8の内周側板部81は、上内周側板811、下内周側板812、及び左右の縦内周側板813によって角筒状に構成される。内周側板部81の内周側の開口面積は、上枠3の面材収容部311の下端面311b、下枠4の面材収容部41の上端面41a、及び縦枠5の面材収容部511の内端面511aによって矩形に形成される面材6の開口面積(面材6を光が透過する面積)と同一面積である。
【0043】
内周側板部81は、図3及び図4に示すように、面材6よりも室内側且つ額縁7の内周側に配置される。内周側板部81は、面材6から額縁7に亘って見込み方向に沿って延びている。内周側板部81と額縁7のフランジ部711,721,731とは、見込み方向に沿って同一面を形成している。
【0044】
上内周側板811は、上枠3における内枠31の延長部312の下方に配置される。上内周側板811の室外側の端部には、上方に向けて突出した開位置規制凸部811aが設けられている。開位置規制凸部811aは、延長部312に設けられたフィルタ318よりも下方、且つ内枠31の室内側壁部316と面材6との間に挟まれるように配置されている。図3に示すように、開閉部材8が最も室外側に移動した状態において、開位置規制凸部811aは、面材6の室内側の表面に近接している。上内周側板811は、内枠31の延長部312の全体を下方から覆い隠している。上内周側板811の室内側の端部は、上額縁部材71の下面71aに重なるように配置されている。
【0045】
下内周側板812は、下枠4の上方に配置される。下内周側板812の室外側の端部には、下方に向けて突出する中空状の角枠部83が一体に設けられている。角枠部83は、下額縁部材72と略同一の高さを有する。角枠部83は、下枠4の内周面4aに接して配置されている。角枠部83の位置に対応する下内周側板812の上面には、開閉部材8を操作するための手掛け凹部814が設けられている。手掛け凹部814は、下内周側板812に凹設されるため、面材6の開口面積を狭くすることはなく、室内側から目立ちにくい。下内周側板812の室内側の端部は、下額縁部材72の上面72aに重なるように配置されている。
【0046】
縦内周側板813は、縦枠5における内枠51の延長部512の内方に配置される。縦内周側板813の室外側の端部には、外側方に向けて突出した開位置規制凸部813aが設けられている。開位置規制凸部813aは、延長部512に設けられたフィルタ518よりも内方、且つ内枠51の室内側壁部516と面材6との間に挟まれるように配置されている。開閉部材8が最も室外側に移動した状態において、開位置規制凸部813aは、面材6の室内側の表面に近接している。縦内周側板813は、内枠51の延長部512の全体を内方から覆い隠している。縦内周側板813の室内側の端部は、縦額縁部材73の内側面73aに重なるように配置されている。
【0047】
開閉部材8の外周側板部82は、内周側板部81における上内周側板811と左右の縦内周側板813とに亘って設けられている。外周側板部82は、上外周側板821及び左右の縦外周側板823によって構成される。
【0048】
上外周側板821は、内周側板部81における上内周側板811の上面に設けられている。上外周側板821は、上内周側板811の上面において、上枠3における内枠31の延長部312と上額縁部材71との間から上方に突出するとともに、内枠31と外枠32との間の空気流路F1内を室外側に向けて略L型に延びている。上外周側板821は、上枠3の外枠32の内周面32aに接して配置されている。
【0049】
上外周側板821の室外側の端部には、下方に向けて突出した流路閉鎖凸部821aが設けられている。上外周側板821の室内側の端部は、内枠31の延長部312と上額縁部材71との間に配置される接続壁部821bによって、上内周側板811に接続されている。図3に示すように、開閉部材8が最も室外側に移動した状態において、流路閉鎖凸部821aは、内枠31の封止材315に当接している。接続壁部821bは、内枠31の室内側壁部316に対して室内側から当接している。
【0050】
縦外周側板823は、内周側板部81における縦内周側板813の外側面に設けられている。縦外周側板823は、縦内周側板813の外側面において、縦枠5における内枠51の延長部512と縦額縁部材73との間から外側方に突出するとともに、内枠51と外枠52との間の空気流路F2内を室外側に向けて略L型に延びている。縦外周側板823は、縦枠5の外枠52の内周面52aに接して配置されている。
【0051】
縦外周側板823の室外側の端部には、内方に向けて突出した流路閉鎖凸部823aが設けられている。縦外周側板823の室内側の端部には、内枠51の延長部512と縦額縁部材73との間に配置される接続壁部823bによって、縦内周側板813に接続されている。図4に示すように、開閉部材8が最も室外側に移動した状態において、流路閉鎖凸部823aは、内枠51の封止材515に当接している。接続壁部823bは、内枠51の室内側壁部516に対して室内側から当接している。
【0052】
図8及び図9に示すように、開閉部材8の四周に亘る外周面、詳しくは、上外周側板821の上面821c、角枠部83の下面83c、及び縦外周側板823の外側面823cには、複数の突起部84がそれぞれ設けられている。突起部84は、開閉部材8の移動方向である見込み方向に沿って直線状に延びている。複数の突起部84は、開閉部材8の周方向に一定の間隔をおいて、互いに平行に配置されている。開閉部材8の複数の突起部84は、上枠3、下枠4及び左右の縦枠5にそれぞれ設けられた複数の突起部321,44,521と接触している。
【0053】
次に、図3図5図10及び図11を参照して、FIX窓1の換気動作について説明する。図3図5は、開閉部材8が最も室外側に移動した状態を示している。このとき、上枠3における内枠31の封止材315に、開閉部材8における上外周側板821の流路閉鎖凸部821aが当接し、左右の縦枠5における内枠51の封止材515に、開閉部材8における縦外周側板823の流路閉鎖凸部823aが当接している。開閉部材8の内周側板部81における上内周側板811及び縦内周側板813は、延長部312,512を覆っている。これによって、開閉部材8の閉鎖位置が規制される。このとき、上外周側板821の流路閉鎖凸部821aが封止材315に当接することで、上枠3の空気流路F1の室外側吸排気口F1aは閉鎖される。縦外周側板823の流路閉鎖凸部823aが封止材515に当接することで、左右の縦枠5の空気流路F2の室外側吸排気口F2aは閉鎖される。そのため、FIX窓1を通じた室内外方向の空気の流れは遮断されている。
【0054】
この状態から、操作者が室内側から開閉部材8の手掛け凹部814に手を掛け、開閉部材8を室内側に向けて引き寄せるように移動させると、図10及び図11に示すように、開閉部材8の流路閉鎖凸部821a,823aが封止材315,515から室内側に離隔し、上枠3の空気流路F1の室外側吸排気口F1a及び左右の縦枠5の空気流路F2の室外側吸排気口F2aをそれぞれ開放する。これと同時に、開閉部材8の内周側板部81が面材6から室内側に離隔し、上枠3の空気流路F1の室内側吸排気口F1b及び左右の縦枠5の空気流路F2の室内側吸排気口F2bをそれぞれ開放する。これによって、FIX窓1は、室外側と室内側との間で空気流路F1,F2を介して通気可能となり、換気を行うことができる。
【0055】
開閉部材8に設けられる突起部84の延び方向と、上枠3及び左右の縦枠5に設けられる突起部321,44,521の延び方向とは、互いに交差している。互いに接触する突起部84と突起部321,44,521とは、点接触に近くなるため、開閉部材8と上枠3、下枠4及び左右の縦枠5との接触面積は低減される。これによって、開閉部材8の移動時の摺動抵抗が低減され、開閉部材8を楽に移動させることができる。
【0056】
図10及び図11に示すように、開閉部材8を室内側に向けて最も移動させると、開閉部材8の上内周側板811及び縦内周側板813の開位置規制凸部811a,813aが、上枠3及び左右の縦枠5の内枠31,51の室内側壁部316,516に対して室外側から当接する。これによって、開閉部材8の最大開放位置が規制される。このとき、室内側吸排気口F1b,F2bは最も大きく開放されるため、FIX窓1は最大限の換気を行うことができる。開閉部材8の内周側板部81における上内周側板811、下内周側板812、及び左右の縦内周側板813の室内側の端部は、額縁7の内周面を摺動し、段部71b,72b,73bに対して室外側から当接する。
【0057】
開閉部材8は、最も室外側に移動したときに、内周側板部81によって、空気流路F1,F2の室内側吸排気口F1b,F2bを閉鎖するようにしてもよい。この場合は、例えば、内周側板部81の開位置規制凸部811a,813aと内枠31,51との間、もしくは内周側板部81の開位置規制凸部811a,813aと押縁313,513との間を封止材によって封止すればよい。開閉部材8は、外周側板部82と内周側板部81との両方によって、空気流路F1,F2の室外側吸排気口F1a,F2aと室内側吸排気口F1b,F2bとの両方を同時に閉鎖するようにしてもよい。
【0058】
本実施形態に係る建具であるFIX窓1によれば、以下の効果を奏する。
【0059】
(1) FIX窓1は、建物の開口部の四周に亘って設けられ、上枠3、下枠4及び左右の縦枠5を枠組みしてなる窓枠2と、窓枠2の内側に納められる面材6と、窓枠2の4辺のうちの3辺に設けられ、室外側に開口する室外側吸排気口F1a,F2aと室内側に開口する室内側吸排気口F1b,F2bとを連通する空気流路F1,F2と、窓枠2の内側に設けられ、見込み方向に移動することによって空気流路F1,F2を開閉する開閉部材8と、を有する。
【0060】
これによれば、室内側から開閉部材8を見込み方向に移動操作するだけで、空気流路F1,F2を開閉し、適時且つ容易に換気の有無を切り換えることができる。開閉部材8の見込み方向の位置を調節することによって、空気流路F1,F2の大きさを調節することができるため、換気の程度を任意に調整することができる。開閉部材8は見込み方向に移動するため、開閉操作に伴って面材6の開口面積が狭くなることがない。
【0061】
(2) 上記(1)に記載のFIX窓1において、窓枠2における空気流路F1,F2を有する辺は、面材6の縁部を収容する内枠31,51と、内枠31,51の外周側に離隔して配置される外枠32,52と、によって構成され、空気流路F1,F2は、内枠31,51と外枠32,52との間の空間によって形成され、開閉部材8は、内枠31,51の内周側に配置されて見込み方向に延びる内周側板部81と、内枠31,51と外枠32,52との間に配置されて見込み方向に延びる外周側板部82と、を有し、開閉部材8が最も室外側に移動した状態で、内周側板部81及び外周側板部82のいずれか一方もしくは両方が空気流路F1,F2を閉鎖する。
【0062】
これによれば、開閉部材8を室外側に向けて移動操作するだけで、内周側板部81及び外周側板部82のいずれか一方もしくは両方によって空気流路F1,F2を容易に閉鎖することができる。
【0063】
(3) 上記(1)又は(2)に記載のFIX窓1において、開閉部材8と窓枠2とに、互いに接触する面積を低減する複数の突起部84、321,44,521が設けられてる。
【0064】
これによれば、開閉部材8と窓枠2との接触面積が低減されるため、開閉部材8の移動時の摺動抵抗が低減され、開閉部材8を楽に移動させることができる。
【0065】
(4) 上記(1)~(3)のいずれか1つに記載のFIX窓1において、室内側吸排気口F1b,F2bに、着脱可能なフィルタ318,518が設けられる。
【0066】
これによれば、空気流路F1,F2を通って室内側への粉塵、花粉、虫等の侵入を防止することができる。フィルタ318,518は、着脱可能であるため、取り外して清掃及び交換することができる。
【0067】
以上、本開示の建具の一実施形態について説明したが、本開示の建具はこれに限らない。例えば、本実施形態では、上枠3及び左右の縦枠5に空気流路F1,F2を形成したが、空気流路は、窓枠2の四周における少なくとも1辺に設けられていればよい。但し、窓枠2の四周における少なくとも1辺には、窓枠2の耐風圧を高める観点から、空気流路を設けないようにすることが望ましい。
【0068】
空気流路は、窓枠2の1辺の長さ方向の全長に亘って設けられるものに限らない。空気流路は、窓枠2の1辺の長さ方向の少なくとも一部に設けられていればよい。
【0069】
本実施形態では、窓枠2における上枠3及び左右の縦枠5にそれぞれ複数の突起部321,44,521を設けるとともに、開閉部材8に複数の突起部84を設けたが、これに限らない。突起部は、窓枠2と開閉部材8との少なくともいずれか一方だけに設けられてもよい。窓枠2と開閉部材8とのいずれか一方のみに突起部を設ける場合、突起部は、直線状の突起部に限らず、例えば半球状等の点状の突起部であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 FIX窓(建具)、 2 窓枠、 3 上枠、 4 下枠、 5 縦枠、 6 面材、 8 開閉部材、 31,51 内枠、 32,52 外枠、 81 内周側板部、 82 外周側板部、 321,44,521,84 突起部、 318,518 フィルタ、 F1,F2 空気流路、 F1a,F2a 室外側吸排気口、 F1b,F2b 室内側吸排気口
図1
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