(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167241
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】FFC/FPC用コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/79 20110101AFI20231116BHJP
【FI】
H01R12/79
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078273
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】砂田 悟志
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB08
5E223AB15
5E223AB34
5E223BA04
5E223BA07
5E223BA08
5E223BB12
5E223CA15
5E223CB22
5E223CB39
5E223CC15
5E223CD01
5E223CD02
5E223DA05
5E223DB11
5E223DB14
5E223DB23
5E223DB25
5E223EA02
(57)【要約】
【課題】電子部品の実装領域を拡大でき、かつ、カバーハウジングの強度を保証できるFFC/FPC用コネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、電子部品Epを実装面Sfに実装したプリント基板1pとFFC8fを電気的に接続できる。コネクタ10は、FFC8fが挿入される凹部11を有するハウジング1、凹部11を開閉自在に覆うカバーハウジング2、及び、ハウジング1の内部に並設配置されたコンタクト3を備える。プリント基板1pは、カバーハウジング2を開いた状態で、カバーハウジング2を先頭に実装面Sf側からハウジング1を挿通できる挿通開口を有する。ハウジング1に対してカバーハウジング2を傾倒した開状態では、ハウジング1の幅を超えない範囲でカバーハウジング2をハウジング1に係止している。挿通開口の幅を狭くすることで、電子部品Epの実装領域を拡大できる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を実装面に実装したプリント基板とFFCを電気的に接続するFFC/FPC用コネクタであって、
FFCが挿入される凹部を一方の端部に形成した直方体状のハウジングと、
前記凹部を開閉自在に覆う矩形板状のカバーハウジングと、
前記ハウジングの内部に並設配置されたコンタクトと、を備え、
前記プリント基板は、前記カバーハウジングを開いた状態で、前記カバーハウジングを先頭に前記実装面側から前記ハウジングを挿通可能な矩形の挿通開口を有し、
前記ハウジングに対して前記カバーハウジングを傾倒した開状態では、前記ハウジングの幅を超えない範囲で前記カバーハウジングを前記ハウジングに係止している、FFC/FPC用コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングに対して前記カバーハウジングの開状態を維持できる係止構造を有している、請求項1記載のFFC/FPC用コネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングに対して前記カバーハウジングを閉じた状態では、前記カバーハウジングは、前記プリント基板と略平行に前記実装面と反対側の反実装面側に延出している、請求項1又は2記載のFFC/FPC用コネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記凹部の前方に対向配置し、前記FFCの両側部を案内する一対の案内溝を有し、
前記案内溝は、
前記FFCの端縁が当接する上り傾斜面と、
前記FFCの端縁が当接する下り傾斜面と、を形成し、
前記下り傾斜面は、前記FFCを前記凹部に導入容易にしている、請求項1又は2記載のFFC/FPC用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FFC/FPC用コネクタに関する。特に、FFC(Flexible Flat Cable)又はFPC(Flexible Printed Circuit)などの平形柔軟ケーブルと硬質のプリント基板とを電気的に接続するFFC/FPC用コネクタに関する。本明細書は、平形柔軟ケーブルを総称してFFCと呼称することとし、本発明は、特に、FFCの挿抜時にほとんど力を必要としない、いわゆるZIF(Zero Insertion Force)タイプのFFC/FPC用コネクタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を実装したプリント基板の実装面から、プリント基板に開口した挿通開口を介して、実装面と反対側の反実装面に直方体状のコネクタ本体を突出し、反実装面側でFFCが挿抜されるFFC/FPC用コネクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図15は、従来技術によるFFC/FPC用コネクタの構成を示す縦断面図であり、カバーハウジングを閉じた状態図である。なお、本願の
図15は、特許文献1の
図5Aに相当している。
【0005】
図15を参照すると、従来技術によるFFC/FPC用コネクタ(以下、コネクタと略称する)9は、直方体状のハウジング91、平板状のカバーハウジング92、及び、ハウジング91の内部に並設配置したコンタクト93を備えている。
【0006】
図15を参照すると、コネクタ9は、電子部品を実装したプリント基板9pの実装面Sfから、プリント基板9pに開口した矩形の挿通開口(図示せず)を介して、実装面Sfと反対側の反実装面Bfに、複数のコンタクト93付きハウジング91を突出している。
【0007】
図15を参照すると、ハウジング91は、図示しないFFCが挿入可能な凹部91dを有している。カバーハウジング92は、凹部91dを開閉自在に覆っている。コンタクト93は、凹部91dに臨んで配置された弾性アーム931と固定アーム932を有している。弾性アーム931と固定アーム932は、略平行に延出している。
【0008】
図15を参照して、カバーハウジング92を開いた状態では、FFCの端末を弾性アーム931と固定アーム932との間に導入できる。カバーハウジング92を閉じた状態では、カバーハウジング92の基端部側がFFCを介して、弾性アーム931を押圧するので、FFCの端末に形成した導体パターンと弾性アーム931の接点を電気的に接続できる。
【0009】
図15を参照すると、コンタクト93は、相反する向きに延出した一対のリード部93r・93rを上部側に形成している。一対のリード部93r・93rの板厚面が、挿通開口の周囲に形成した複数のランドにハンダ接合されることで、コネクタ9をプリント基板9pに固定できる。
【0010】
特許文献1によるコネクタ9は、一対のリード部93r・93rの板厚面が、挿通開口の周囲に形成した複数のランドにハンダ接合されることで、複数の補強タブを用いることなく、コネクタ9をプリント基板9pに強固に固定でき、かつ、コネクタの構成を簡素化できる、としている。
【0011】
図15を参照すると、コネクタ9は、自動実装機を用いて、カバーハウジング92を閉じた状態で、プリント基板9pに実装される。つまり、コネクタ9は、プリント基板9pの実装面Sfから挿通開口に挿通される。このため、挿通開口の幅W3は、ハウジング91の幅W4より大きく形成している。
【0012】
図15を参照すると、プリント基板9pには、多数の点灯用の電子部品を実装する場合がある。多数の点灯用の電子部品を実装するプリント基板では、挿通開口の開口面積を小さくすることが好ましい。
【0013】
コネクタ9の外形サイズを小さくすることで、挿通開口の開口面積を小さくできるが、カバーハウジング92の幅を短くする必要がある。多極のコネクタでは、カバーハウジング92の幅を短くすると、カバーハウジング92を閉じた状態では、弾性アーム931の反力でカバーハウジング92の中央部が撓む心配がある。カバーハウジング92は、その長手方向の両端部がハウジング92に回転支持されているからである。
【0014】
プリント基板に設けた挿通開口に没入可能なFFC/FPC用コネクタであって、電子部品の実装領域を拡大でき、かつ、カバーハウジングの強度を保証できるFFC/FPC用コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0015】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、電子部品の実装領域を拡大でき、かつ、カバーハウジングの強度を保証できるFFC/FPC用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、ハウジングに対してカバーハウジングを開いた状態に維持できる係止構造を採用することで、カバーハウジングを開いた状態では、コネクタの幅を狭くでき、挿通開口の幅を狭くでき、ハウジングに対してカバーハウジングを閉じた状態では、挿通開口の幅を超えてカバーハウジングの幅を大きくするように、FFC/FPC用コネクタを構成することで、電子部品の実装領域を拡大でき、かつ、カバーハウジングの強度を保証できると考え、これにより、以下のような新たなFFC/FPC用コネクタを発明するに至った。
【0017】
(1)本発明によるFFC/FPC用コネクタは、電子部品を実装面に実装したプリント基板とFFCを電気的に接続するFFC/FPC用コネクタであって、FFCが挿入される凹部を一方の端部に形成した直方体状のハウジングと、前記凹部を開閉自在に覆う矩形板状のカバーハウジングと、前記ハウジングの内部に並設配置されたコンタクトと、を備え、前記プリント基板は、前記カバーハウジングを開いた状態で、前記カバーハウジングを先頭に前記実装面側から前記ハウジングを挿通可能な矩形の挿通開口を有し、前記ハウジングに対して前記カバーハウジングを傾倒した開状態では、前記ハウジングの幅を超えない範囲で前記カバーハウジングを前記ハウジングに係止している。
【0018】
(2)前記ハウジングに対して前記カバーハウジングの開状態を維持できる係止構造を有していることが好ましい。
【0019】
(3)前記ハウジングに対して前記カバーハウジングを閉じた状態では、前記カバーハウジングは、前記プリント基板と略平行に前記実装面と反対側の反実装面側に延出していることが好ましい。
【0020】
(4)前記ハウジングは、前記凹部の前方に対向配置し、前記FFCの両側部を案内する一対の案内溝を有し、前記案内溝は、前記FFCの端縁が当接する上り傾斜面と、前記FFCの端縁が当接する下り傾斜面と、を形成し、前記下り傾斜面は、前記FFCを前記凹部に導入容易にしている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によるFFC/FPC用コネクタは、ハウジングに対してカバーハウジングを開いた状態に維持できる係止構造を採用することで、カバーハウジングを開いた状態では、コネクタの幅を狭くでき、挿通開口の幅を狭くでき、ハウジングに対してカバーハウジングを閉じた状態では、挿通開口の幅を超えてカバーハウジングの幅を大きくするように構成しているので、電子部品の実装領域を拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態によるFFC/FPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、プリント基板の実装面側から観た状態図である。
【
図2】前記実施形態によるFFC/FPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、プリント基板の反実装面側から観た状態図である。
【
図3】前記実施形態によるFFC/FPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、ハウジングに対してカバーハウジングを開いた状態図である。
【
図4】前記実施形態によるFFC/FPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、ハウジングに対してカバーハウジングを閉じた状態図である。
【
図5】前記実施形態によるFFC/FPC用コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
【
図6】前記実施形態によるFFC/FPC用コネクタの構成を示す下面図であり、FFCを挿入した状態でハウジングに対してカバーハウジングを閉じた状態図である。
【
図7】前記実施形態によるFFC/FPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、ハウジングに対してカバーハウジングを閉じた状態図である。
【
図8】前記実施形態によるFFC/FPC用コネクタの構成を示す縦断面図であり、FFCを挿入した状態でハウジングに対してカバーハウジングを開いた状態図である。
【
図9】前記実施形態によるFFC/FPC用コネクタの構成を示す縦断面図であり、FFCを挿入した状態でハウジングに対してカバーハウジングを閉じた状態図である。
【
図10】前記実施形態によるFFC/FPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、ハウジングに対してカバーハウジングを開いた状態図である。
【
図11】前記実施形態によるFFC/FPC用コネクタの構成を示す縦断面図であり、
図11(A)は、FFCをハウジングの凹部に挿入する前の状態図、
図11(B)は、
図11(A)に示した状態から、FFCをハウジングの凹部に挿入した状態図、
図11(C)は、
図11(B)に示した状態から、ハウジングに対してカバーハウジングを閉じた状態図である。
【
図12】前記実施形態によるFFC/FPC用コネクタの要部を拡大した斜視図であり、FFCをハウジングの凹部に挿入してハウジングに対してカバーハウジングを閉じた状態図である。
【
図13】前記実施形態によるFFC/FPC用コネクタの要部を拡大した下面図であり、FFCをハウジングの凹部に挿入する前の状態図である。
【
図14】前記実施形態によるFFC/FPC用コネクタの要部を拡大した縦断面図であり、
図14(A)は、FFCをハウジングの凹部に挿入した状態図、
図14(B)は、
図14(A)に示した状態から、FFCをハウジングの凹部に更に挿入した状態図、
図14(C)は、
図14(B)に示した状態から、FFCをハウジングの凹部に更に挿入して、FFCに形成した凹部が凸部に仮保持された状態図である。
【
図15】従来技術によるFFC/FPC用コネクタの構成を示す縦断面図であり、カバーハウジングを閉じた状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0024】
[FFC/FPC用コネクタの構成]
(全体構成)
最初に、本発明によるFFC/FPC用コネクタの全体構成を説明する。
図1から
図10を参照すると、本発明の一実施形態によるFFC/FPC用コネクタ(以下、コネクタと略称する)10は、電子部品Epを実装面Sfに実装したプリント基板1pとFFC8fを電気的に接続できる。コネクタ10は、直方体状のハウジング1、矩形板状のカバーハウジング2、及び、複数のコンタクト3を備えている。又、コネクタ10は、一対の軸受金具4・4を備えている(
図5参照)。
【0025】
図1又は
図2を参照すると、コネクタ10は、電子部品Epを実装したプリント基板1pの実装面Sfから、プリント基板1pに開口した矩形の挿通開口を介して、実装面Sfと反対側の反実装面Bfに、複数のコンタクト3付きハウジング1を突出している。
【0026】
図8又は
図9及び
図11(A)を参照すると、ハウジング1は、FFC8fが挿入される凹部11を一方に端部に形成している。カバーハウジング2は、ハウジング1の凹部11を開閉自在に覆っている(
図4又は
図8及び
図9参照)。コンタクト3は、ハウジング1の内部に並設配置されている(
図1は
図5及び
図7参照)。
【0027】
図1を参照すると、プリント基板1pは、LEDチップなどの電子部品Epを実装面Sfに縦横に配列している。コネクタ10が実装される挿通開口の開口面積を小さくすることで、電子部品Epの実装領域を相対的に拡大できる。
【0028】
図1から
図10を参照すると、プリント基板1pは、カバーハウジング2を開いた状態で、カバーハウジング2を先頭に実装面Sf側からハウジング1を挿通可能な矩形の挿通開口を有している。ハウジング1に対してカバーハウジング2を傾倒した開状態では(
図3又は
図8参照)、ハウジング1の幅W2が挿通開口の幅W1を超えない範囲で、カバーハウジング2をハウジング1に係止している。これによりコネクタ10が実装される挿通開口の開口面積を小さくできる。
【0029】
(ハウジングの構成)
次に、実施形態によるハウジング1の構成を説明する。
図3から
図5を参照すると、ハウジング1は、絶縁性を有する合成樹脂からなり、絶縁性を有する合成樹脂を成形して、直方体状のハウジング1を得ることができる。
【0030】
図3から
図5及び
図7を参照すると、ハウジング1は、一対の鍔部11f・11fを有している。一対の鍔部11f・11fは、ハウジング1の長手方向の両端部に形成されている。ハウジング1をプリント基板1pの挿通開口に挿入すると、一対の鍔部11f・11fがプリント基板1pの実装面Sfに当接することで、ハウジング1の押し込み深さを規定できる。
【0031】
又、
図7から
図9を参照すると、ハウジング1は、コンタクト3を圧入できる櫛の歯状に形成した複数の係止溝を上面側から穿設している。
【0032】
図10又は
図14を参照すると、ハウジング1は、FFC8fの両側部を案内する一対の案内溝12d・12dを有している。一対の案内溝12d・12dは、凹部11の前方に対向配置されている。
【0033】
図8又は
図9を参照すると、案内溝12dは、上り傾斜面121と下り傾斜面122を形成している。
図14を参照して、FFC8fをハウジング1の開口側から挿入すると、FFC8fの端縁が上り傾斜面121に当接することで、FFC8fの端縁を下り傾斜面122に向かって進行できる。FFC8fを更に挿入すると、FC8fの端縁が下り傾斜面122に当接することで、FFC8fを凹部11に容易に導入できる。
【0034】
図14を参照すると、ハウジング1は、一対の凸部12t・12tを有している。凸部12tは、上り傾斜面121の頂上に形成されている。一対の凸部12t・12tがFFC8fの両側部に切り欠いた溝部8s(
図5参照)に係止することで、FFC8fがコネクタ10から脱落することを抑制できる。
【0035】
又、
図5を参照すると、ハウジング1は、一対の軸受金具4・4を圧入可能な一対のスリット開口11d・11dを前面側に開口している。一対の軸受金具4・4を一対のスリット開口11d・11dに圧入することで、一対の軸受金具4・4は、カバーハウジング2の両端部から突出した軸部2sを強固に支持できる。なお、軸受金具4は、ハウジング1に圧入可能な圧入片4sを形成している(
図5参照)。
【0036】
(カバーハウジングの構成)
次に、実施形態によるカバーハウジング2の構成を説明する。
図3から
図5又は
図8から
図11を参照すると、カバーハウジング2は、絶縁性を有する合成樹脂からなり、絶縁性を有する合成樹脂を成形して、矩形板状のカバーハウジング2を得ることができる。
【0037】
図5を参照すると、カバーハウジング2は、一対の円柱状の軸部2s・2sを長手方向の両端部から突出している。これらの軸部2s・2sは、軸受金具4を介して、ハウジング1に回転支持されている。
【0038】
図3又は
図8及び
図14を参照して、ハウジング1に対してカバーハウジング2を開いた状態では、ハウジング1の凹部11にFFC8fを導入できる。FFC8fをハウジング1の凹部11に導入して、ハウジング1に対してカバーハウジング2を閉じた状態では(
図4又は
図9参照)、カバーハウジング2の基端部がFFC8fを押圧するので、FFC8fの端末に設けた導体パターンと弾性アーム31を電気的に接続できる。
【0039】
図5又は
図13を参照すると、カバーハウジング2は、三角体状の山部21cを側面から突出している。一対の山部21c・21cは、相反する向きに配置されている。一方、
図9又は
図13を参照すると、ハウジング1は、一対の三角体状の山部12c・12cを内壁から突出している。一対の山部12c・12cは、対向配置されている。
【0040】
図4に示すように、ハウジング1に対してカバーハウジング2を閉じた状態から、カバーハウジング2を回動すると、カバーハウジング2の山部21cがハウジング1の山部12cを乗り越えることで、カバーハウジング2の開状態を維持できる。なお、山部21cの頂点は、ハウジング1の内壁に当接している。
【0041】
このように、コネクタ10は、ハウジング1に対してカバーハウジング2の開状態を維持できる係止構造を有している。
【0042】
(コンタクトの構成)
次に、実施形態によるコンタクト3の構成を説明する。
図8又は
図9及び
図11を参照すると、コンタクト3は、導電性を有する金属板からなり、導電性を有する金属板を打ち抜き加工して、板状のコンタクト3を得ることができる。コンタクト3は、例えば、銅合金を用いることができるが、銅合金に限定されない。
【0043】
図8又は
図9及び
図11を参照すると、コンタクト3は、相反する向きに延出した一対のリード部3r・3rを上部側に形成している。一対のリード部3r・3rの底部の板厚面が、挿通開口の周囲に形成した複数のランドにハンダ接合されることで、コネクタ10をプリント基板1pに固定できる。
【0044】
図8又は
図9及び
図11を参照すると、コンタクト3は、弾性アーム31と固定アーム32を有している。弾性アーム31と固定アーム32は、凹部11に臨んで配置されている。又、弾性アーム31と固定アーム32は、コンタクト3の基端部から略平行に延出している。
【0045】
図11(A)を参照して、カバーハウジング2を開いた状態では、FFC8fの端末を弾性アーム31と固定アーム32との間に導入できる(
図11(B)参照)。
図11(B)に示した状態から、カバーハウジング2を時計方向に回動して、カバーハウジング2を閉じた状態では、カバーハウジング2の基端部側がFFC8fを介して、弾性アーム31を押圧するので、FFC8fの端末に形成した導体パターンと弾性アーム31の接点を電気的に接続できる(
図11(C)参照)。
【0046】
図11(C)に示した状態から、カバーハウジング2を反時計方向に回動すると、弾性アーム31の押圧が解除されるので、弾性アーム31は、
図11(B)に示した状態に復帰でき、弾性アーム31と固定アーム32との間からFFC8fを引き抜くことができる。なお、FFC8fの挿抜は、プリント基板1pの反実装面Bf側で実施されている。
【0047】
[FFC/FPC用コネクタの作用]
次に、コネクタ10の動作を説明しながら、コネクタ10の作用及び効果を説明する。
【0048】
図11(A)又は
図14(A)を参照して、カバーハウジング2が開いた状態では、弾性アーム31と固定アーム32との対向距離がFFC8fの端末の板厚より大きく設定されているので、コネクタ10は、FFC8fの挿抜時にほとんど力を必要としない、ZIF構造を実現している。
【0049】
図14(A)に示した状態から、FFC8fを凹部11に挿入すると、一対の凸部12t・12tがFFC8fの両側部に切り欠いた溝部8s(
図5参照)に係止することで、FFC8fがコネクタ10から脱落することを抑制できる(
図14(C)参照)。
【0050】
図1から
図10を参照すると、実施形態によるコネクタ10は、ハウジング1に対してカバーハウジング2を開いた状態に維持できる係止構造を採用することで、カバーハウジング2を開いた状態では、コネクタ10の幅を狭くでき、挿通開口の幅を狭くできる。これにより、電子部品Epの実装領域を拡大できる(
図1参照)。又、コネクタ10は、挿通開口の幅を超えてカバーハウジング2の幅を大きくするように構成しているので、コンタクト3の極数が多いコネクタ10では、カバーハウジング2の中央部の撓み強度を強化できる。
【0051】
コネクタ10は、吸着具を備えた自動実装機を用いて、カバーハウジング2を開いた状態で、プリント基板1pに実装される。コネクタ10は、プリント基板1pの実装面Sfから挿通開口に挿通される。このため、挿通開口の幅W1は、ハウジング1の幅W2より小さく形成できる(
図9参照)。なお、
図1を参照して、コネクタ10は、ハウジング1の上面を吸着領域としている。
【0052】
図4又は
図13を参照して、ハウジング1に対してカバーハウジング2を閉じた状態から、カバーハウジング2を回動すると、カバーハウジング2の山部21cがハウジング1の山部12cを乗り越えることで、カバーハウジング2の開状態を維持できる。
【0053】
図14を参照すると、カバーハウジング2が傾倒した開状態では、コネクタ10は、カバーハウジング2の屈曲した外面がハウジング1の段差に当接するので、カバーハウジング2の開き過ぎを抑制できる。
【符号の説明】
【0054】
1 ハウジング
1p プリント基板
2 カバーハウジング
3 コンタクト
8f FFC
10 コネクタ(FFC/FPC用コネクタ)
11 凹部
Ep 電子部品
Sf 実装面
Bf 反実装面