(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167242
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】背負い鞄
(51)【国際特許分類】
A45F 3/04 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
A45F3/04 300
A45F3/04 400B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078275
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】312016632
【氏名又は名称】株式会社オステオ
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】川原 剛正
【テーマコード(参考)】
2E181
3B045
【Fターム(参考)】
2E181AA08
2E181BA04
2E181BD02
2E181BD04
3B045AA24
3B045AA35
3B045GA03
3B045GB02
3B045LA10
3B045LB02
(57)【要約】
【課題】被着者の肩と腰への負担を小さくして、被着者の身体負担の軽減を図ることができる背負い鞄を得る。
【解決手段】袋状の本体部1と、本体部1の背面4の上部と下部に連結された左右一対の肩ベルト2とを備える背負い鞄において、背面4の左右方向に二分する中心線Pを挟む対称位置に、被着者の脊柱に対して荷物荷重を作用させるための左右一対の荷重パッド列11・11を形成する。各荷重パッド列11は、上下方向に所定間隔を置くとともに、上下方向に列設された複数個の弾性パッド10で構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状の本体部(1)と、本体部(1)の背面(4)の上部と下部に連結された左右一対の肩ベルト(2)とを備え、被着者に背負われて使用に供される背負い鞄であって、
背面(4)の左右方向に二分する中心線(P)を挟む対称位置に、被着者の脊柱に対して荷物荷重を作用させるための左右一対の荷重パッド列(11・11)が形成されていることを特徴とする背負い鞄。
【請求項2】
各荷重パッド列(11)は、上下方向に所定間隔を置くとともに、上下方向に列設された複数個の弾性パッド(10)で構成されており、
背負われた状態において、一対の荷重パッド列(11)が、被着者の脊柱の棘突起に接触することなく脊柱を挟む位置に配されるととともに、当該荷重パッド列(11)を構成する複数個の弾性パッド(10)が、脊柱を構成する第7頸椎から仙骨の上端の高さ位置の間に配列されるように構成されている、請求項1に記載の背負い鞄。
【請求項3】
本体部(1)の背面(4)の下部に腰ベルト(3)が連結されており、
肩ベルト(2)の上側の連結部から荷重パッド列(11)の上端までの上下方向の距離(D1)が、100mm以内に設定されており、
腰ベルト(3)の上下方向の幅方向の中心から荷重パッド列(11)の下端までの上下方向の距離(D2)が、150mm以内に設定されており、
中心線(P)から荷重パッド列(11)を構成する弾性パッド(10)の対向内縁までの左右方向の間隔距離(D3)が、5mm以上、50mm以下に設定されている、請求項2に記載の背負い鞄。
【請求項4】
各荷重パッド列(11)が5~20個の弾性パッド(10)で構成されている、請求項2または3に記載の背負い鞄。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着者の背中に接する背面部分が改良されたリュックサックなどの背負い鞄に関する。
【背景技術】
【0002】
袋状の本体部と、本体部の背面の上部と下部に連結された左右一対の肩ベルトとを備え、被着者に背負われて使用に供される背負い鞄において、背面にクッションを設けること自体は周知技術である。このように背負い鞄の背面にクッションが設けられていると、被着者の背中に背負い鞄の背面を柔らかくフィットさせることができるので、被着者は快適に背負い鞄を背負うことができる。クッションに凹凸が形成されていると、被着者の背中と背負い鞄の背面との間に適当な間隔を形成することができるので、空気の流通を良好にして背中が蒸れることを防ぐことができる。
【0003】
クッションには種々の形態があり、例えば特許文献1には、被着者の背中と背負い鞄(バックパック)の背面との間の通気性の向上を目的として、該背面に多数の突起部を有するスペーサー部材を設けることが開示されている。スペーサー部材は、上下方向に5つの領域に区分されており、そのうち少なくとも一番上の第1領域と一番下の第5領域とに突起部が設けられる。第1領域の下の第2領域と、その下の第3領域にも突起部が設けられており、さらにその下の第4領域に、突起部が設けられない通気領域が形成されている。このように通気領域を形成することにより、被着者の背中の下部の通気性を高めて、不快な汗蒸れを軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば登山では、より重い荷物を背負って長時間歩くことが必要となる。このため、登山用の背負い鞄では長時間背負ったときにも疲れにくいように、種々の工夫がなされており、上記のように背面にクッション性や通気性を持たせることも、工夫の一つであると言える。但し、従前の工夫は、より被着者の身体負担の軽減を図るという、背負い鞄の根本課題の解決に寄与するものではなく、その点に改良の余地があった。つまり、従来の背負い鞄では、荷物荷重は、基本的に肩と腰で支えるという考えの下で設計されているため、これら肩や腰の負担を小さくして被着者の身体負担の軽減を図ることはできず、その点に改良の余地があった。
【0006】
本発明の目的は、被着者の肩と腰への負担を小さくして、被着者の身体負担の軽減を図ることができる背負い鞄を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、被着者の脊柱に対して背負い鞄の荷物荷重を積極的に作用させるようにして、被着者の脊柱に荷物荷重を負わせれば、被着者の肩や腰への負担を小さくして、被着者の身体負担の軽減を図ることができるとの知見に基づいて、本願発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、袋状の本体部1と、本体部1の背面4の上部と下部に連結された左右一対の肩ベルト2とを備え、被着者に背負われて使用に供される背負い鞄を対象とする。そして、背面4の左右方向に二分する中心線Pを挟む対称位置に、被着者の脊柱に対して荷物荷重を作用させるための左右一対の荷重パッド列11・11が形成されていることを特徴とする。
【0009】
具体的には、各荷重パッド列11は、上下方向に所定間隔を置くとともに、上下方向に列設された複数個の弾性パッド10で構成されており、背負われた状態において、一対の荷重パッド列11が、被着者の脊柱の棘突起に接触することなく脊柱を挟む位置に配されるととともに、当該荷重パッド列11を構成する複数個の弾性パッド10が、脊柱を構成する第7頸椎から仙骨の上端の高さ位置の間に配列されるように構成されている。
【0010】
より具体的には、本体部1の背面4の下部に腰ベルト3が連結されており、肩ベルト2の上側の連結部から荷重パッド列11の上端までの上下方向の距離D1が、100mm以内に設定されており、腰ベルト3の上下方向の幅方向の中心から荷重パッド列11の下端までの上下方向の距離D2が、150mm以内に設定されており、中心線Pから荷重パッド列11を構成する弾性パッド10の対向内縁までの左右方向の間隔距離D3が、5mm以上、50mm以下に設定されている構成を採ることが望ましい。
【0011】
各荷重パッド列11は、5~20個の弾性パッド10で構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のように、背面4の左右方向に二分する中心線Pを挟む対称位置に、被着者の脊柱に対して荷物荷重を作用させるための左右一対の荷重パッド列11・11が形成されていると(換言すれば、被着者の脊柱に対して荷物荷重を作用させることを目的として、左右一対の荷重パッド列11・11が形成されていると)、荷重パッド列11・11を介して被着者の脊柱に積極的に荷物荷重を負わせることができるので、被着者の肩や腰への負担を相対的に小さくして身体負担を抑えることができる。つまり、従前においては、「背負子」や「背中で背負う」といったように、背負って荷物を運搬する動作では、背中全体で荷物荷重を受け止めるという概念はあったものの、実際には荷物荷重の大部分は、肩と腰で受け止められているものである。これに対して、本願発明のように、背負い鞄の背面4に、被着者の脊柱に対して荷物荷重を作用させるための荷重パッド列11・11を形成して、脊柱に対して荷物荷重を積極的に作用させて、脊柱への負荷を大きくしていると、その分だけ肩や腰に作用する荷物荷重を小さくして、肩や腰への負荷を小さくすることができる。また、肩や腰だけでなく脊柱でも荷物荷重を負うことになるため、肩や腰への局所的な負担を軽くして、全体として身体負担を抑えることができる。肩や腰だけでなく脊柱でも荷物荷重を負うため、より大きな荷物荷重を背負うことも可能となる。より長時間に亘って荷物を背負うことも可能となる。
【0013】
各荷重パッド列11を、上下方向に所定間隔を置くとともに、上下方向に列設された複数個の弾性パッド10で構成していると、被着者の脊柱の湾曲状態に追従して各弾性パッド10の姿勢を変化させて、荷重パッド列11を被着者の脊柱に沿わせることができる。これにより、被着者の脊柱の湾曲状態が変化したときにも、安定的に荷重パッド列11を被着者の脊柱の近傍に配置させることができるので、より適切に荷物荷重を被着者の脊柱で支持させて、被着者の肩や腰の負担を小さくすることができる。
【0014】
背負い鞄が背負われた状態において、一対の荷重パッド列11が、被着者の脊柱の棘突起に接触することなく脊柱を挟む位置に配されるようにしていると、荷物荷重が脊柱や棘突起に直接作用して、脊柱が損傷することを防ぐことができる。
【0015】
本発明者は、脊柱を構成する第7頸椎から胸椎、腰椎を経て仙骨までが、本発明の背負い鞄を構成する荷重パッド列11を介して荷物荷重が作用されるべき部位であると考えている。このため、荷重パッド列11を構成する複数個の弾性パッド10が、脊柱を構成する第7頸椎から仙骨の上端の高さ位置の間に配列されるように構成されていると、これら部位に対して適切に荷物荷重を作用させて、荷物荷重を被着者の脊柱で支持させることができる。
【0016】
一般に被着者は、自身の背丈に合った背負い鞄を選択する。具体的には
図3に示すように、肩ベルト2の上側の連結部から腰ベルト3の幅方向の中心までの上下長さで規定される背面長Lが、被着者の脊柱の第7頸椎C7から仙骨Sの上端までの上下長さに一致する背負い鞄を選択する。そのため、肩ベルト2の上側の連結部から荷重パッド列11の上端までの上下方向の距離D1を100mm以内に設定し、腰ベルト3の幅方向の中心から荷重パッド列11の下端までの上下方向の距離D2を150mm以内に設定すると、脊柱の第7頸椎C7から仙骨Sまでの略全長にわたって荷重パッド列11を配することができるので、より適切に荷物荷重を被着者の脊柱で支持させて、被着者の肩や腰の負担を小さくすることができる。
【0017】
中心線Pから荷重パッド列11を構成する弾性パッド10の対向内縁までの左右方向の間隔距離D3が、5mm以上、50mm以下に設定されていると、被着者の脊柱の中心にある棘突起から荷重パッド列11までの距離の最適化を図って、被着者の脊柱に荷物荷重を作用させるという荷重パッド列11の機能をより適正に発揮させることができる。D3が5mmを下回ると、棘突起に接触するおそれがある。D3が50mmを超えると、適正に被着者の脊柱に荷物荷重を作用させることができなくなる。
【0018】
各荷重パッド列11が、5~20個の弾性パッド10で構成されていると、脊柱の湾曲状態に追従して、各弾性パッド10の姿勢状態を変化させることができるので、より安定的に弾性パッド10を被着者の背中へ密着させることができる。弾性パッド10が5個を下回ると、脊柱の湾曲状態に応じて荷重パッド列11を追従させることができない。20個を超えると、各弾性パッド10が小さくなり、接触面積が小さくなるため、荷物荷重を被着者の脊柱に適正に作用させることが困難となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係るリュックサック(背負い鞄)の背面図である。
【
図3】被着者の脊柱とリュックサックの背面長との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態) 本発明の背負い鞄をリュックサックに適用した実施形態を
図1ないし
図5に示す。このリュックサックは、荷物などを収納する袋状の本体部1と、左右一対の背負い用の肩ベルト2と、被着者の腰に巻かれる腰ベルト3などを備えており、各ベルト2・3は本体部1の背面4(被着者の背中側の面)に連結されている。具体的には、各肩ベルト2の一端は、本体部1の背面4の上部に縫い付けられており、他端は該背面4の下部の左右端寄りに縫い付けられている。腰ベルト3は、略同一長さの左ベルト5と右ベルト6で構成される。左右の各ベルト5・6の一端は、本体部1の背面4の下部の左右中央寄りに縫い付けられており、他端には互いに弾性係合可能なバックル7・7が連結されている。被着者は、各肩ベルト2に腕を通すと本体部1を背負うことができ、その後に自身の正面でバックル7・7どうしを係合させると、腰ベルト3を巻き付けることができる。
【0021】
被着者は、自身の背丈に合ったリュックサックを選択することが望ましい。具体的には、
図3に示すように、本体部1の背面4の上下方向の長さすなわち背面長Lが、被着者の脊柱の第7頸椎C7から仙骨Sの上端までの上下長さに一致することが望ましい。本実施形態において本体部1の背面長Lは、肩ベルト2の上側の付け根(連結部)から、腰ベルト3の幅方向(上下方向)の中心までの上下長さで規定される。
【0022】
本体部1の背面4には、複数個の弾性パッド10からなる左右一対の荷重パッド列11が設けられている。これら荷重パッド列11は、背面4を左右に二分する中心線Pと平行に、該中心線Pに対して左右対称に配置されている。本実施形態では、各荷重パッド列11を上下方向に並ぶ5個の弾性パッド10で構成した。各弾性パッド10は、クッション性に優れるポリウレタンなどを素材として四角板(直方体)状に形成されて、背面4に接着固定されている。背面4に直交する方向における各弾性パッド10の厚み寸法Tは略同一であり、自由状態において5mm以上、100mm以下の範囲内に設定することが望ましく、10mm以上、70mm以下の範囲内に設定することがより望ましい。本実施形態では厚み寸法Tを20mmに設定した。各荷重パッド列11において、上下に隣接する弾性パッド10の間の隙間は、15mm程度に設定される。
【0023】
さらに背面4には、全ての弾性パッド10を覆うカバー13が縫い付けられている。カバー13は、布などを素材として縦長の長方形状に形成されており、その周縁に沿って縫い目14が形成されている。この縫い目14に囲まれる背面4とカバー13の間の空間は、上下方向および左右方向に伸びる縫い目15で複数個の小室16に区分けされており、各小室16に弾性パッド10が1個ずつ収容されている。なお本発明においてカバー13は必須ではなく、必要に応じて省略することができる。
【0024】
各荷重パッド列11は、本体部1の背面長Lの範囲内、すなわち肩ベルト2の上側の付け根から腰ベルト3の幅方向の中心までの間に配置される。肩ベルト2の上側の付け根から荷重パッド列11の上端までの上下方向の距離D1は、100mm以内に設定することが望ましく、50mm以内に設定することがより望ましい。腰ベルト3の幅方向の中心から荷重パッド列11の下端までの上下方向の距離D2は、150mm以内に設定することが望ましく、50mm以内に設定することがより望ましい。また、本体部1の背面4の中心線Pから荷重パッド列11を構成する弾性パッド10の対向内縁までの左右方向の間隔距離D3は、5~100mm(5mm以上100mm以下)の範囲内に設定することが望ましく、5~50mm(5mm以上50mm以下)の範囲内に設定することがより望ましい。本実施形態では、距離D1を50mm、距離D2を100mm、距離D3を30mmにそれぞれ設定した。
【0025】
以上の寸法に設定される荷重パッド列11は、リュックサックを背負った被着者の背中、具体的には被着者の脊柱を構成する第7頸椎C7から仙骨Sの上端の左右両側に弾性的に当接する。これにより、リュックサックの本体部1の荷重の一部を被着者の脊柱で支持させることができ、該荷重が被着者の肩や腰に集中するのを避けることができる。加えて荷重パッド列11によれば、本体部1の背面4の全体が被着者の背中に密着しないようにして、背中の通気性を高めることができる。
【0026】
本実施形態のように、背面4の左右方向に二分する中心線Pを挟む対称位置に、被着者の脊柱に対して荷物荷重を作用させるための左右一対の荷重パッド列11・11が形成されていると(換言すれば、被着者の脊柱に対して荷物荷重を作用させることを目的として、左右一対の荷重パッド列11・11が形成されていると)、荷重パッド列11・11を介して被着者の脊柱に積極的に荷物荷重を負わせることができるので、被着者の肩や腰への負担を相対的に小さくして身体負担を抑えることができる。
【0027】
各荷重パッド列11を、上下方向に所定間隔を置くとともに、上下方向に列設された複数個の弾性パッド10で構成していると、被着者の脊柱の湾曲状態に追従して各弾性パッド10の姿勢を変化させて、荷重パッド列11を被着者の脊柱に沿わせることができる。これにより、被着者の脊柱の湾曲状態が変化したときにも、安定的に荷重パッド列11を被着者の脊柱の近傍に配置させることができるので、より適切に荷物荷重を被着者の脊柱で支持させて、被着者の肩や腰の負担を小さくすることができる。
【0028】
リュックサックが背負われた状態において、一対の荷重パッド列11が、被着者の脊柱の棘突起に接触することなく脊柱を挟む位置に配されるようにしていると、荷物荷重が脊柱や棘突起に直接作用して、脊柱が損傷することを防ぐことができる。
【0029】
本発明者は、脊柱を構成する第7頸椎から胸椎、腰椎を経て仙骨までが、本発明のリュックサックを構成する荷重パッド列11を介して荷物荷重が作用されるべき部位であると考えている。このため、荷重パッド列11を構成する複数個の弾性パッド10が、脊柱を構成する第7頸椎から仙骨の上端の高さ位置の間に配列されるように構成されていると、これら部位に対して適切に荷物荷重を作用させて、荷物荷重を被着者の脊柱で支持させることができる。
【0030】
肩ベルト2の上側の連結部から荷重パッド列11の上端までの上下方向の距離D1を100mm以内に設定し、腰ベルト3の幅方向の中心から荷重パッド列11の下端までの上下方向の距離D2を150mm以内に設定すると、脊柱の第7頸椎C7から仙骨Sまでの略全長にわたって荷重パッド列11を配することができるので、より適切に荷物荷重を被着者の脊柱で支持させて、被着者の肩や腰の負担を小さくすることができる。
【0031】
中心線Pから荷重パッド列11を構成する弾性パッド10の対向内縁までの左右方向の間隔距離D3が、5mm以上、50mm以下に設定されていると、被着者の脊柱の中心にある棘突起から荷重パッド列11までの距離の最適化を図って、被着者の脊柱に荷物荷重を作用させるという荷重パッド列11の機能をより適正に発揮させることができる。D3が5mmを下回ると、棘突起に接触するおそれがある。D3が50mmを超えると、適正に被着者の脊柱に荷物荷重を作用させることができなくなる。
【0032】
各荷重パッド列11が、5~20個の弾性パッド10で構成されていると、脊柱の湾曲状態に追従して、各弾性パッド10の姿勢状態を変化させることができるので、より安定的に弾性パッド10を被着者の背中へ密着させることができる。弾性パッド10が5個を下回ると、脊柱の湾曲状態に応じて荷重パッド列11を追従させることができない。20個を超えると、各弾性パッド10が小さくなり、接触面積が小さくなるため、荷物荷重を被着者の脊柱に適正に作用させることが困難となる。
【0033】
上記以外に、弾性パッド10は円板(円柱)状や多角板(多角柱)状などに形成することができる。荷重パッド列11を構成する弾性パッド10の個数は5個に限られない。荷重パッド列11は、本体部1の背面4の中心線Pに対して傾斜していてもよく、屈曲あるいは湾曲していてもよい。中心線Pの左右両側にそれぞれ2列以上の荷重パッド列11を形成することもできる。本発明は、上記のリュックサック以外に、ランドセルなど他の形態の背負い鞄にも適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 本体部
2 肩ベルト
3 腰ベルト
4 背面
10 弾性パッド
11 荷重パッド列
【手続補正書】
【提出日】2022-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
すなわち本発明は、袋状の本体部1と、本体部1の背面4の上部と下部に連結された左右一対の肩ベルト2とを備え、被着者に背負われて使用に供される背負い鞄を対象とする。背面4に形成されて、背負われた状態において被着者の背中に接するパッドが、被着者の脊柱に対して荷物荷重を作用させるための左右一対の荷重パッド列11・11のみで構成されている。各荷重パッド列11は、上下方向に所定間隔を置くとともに、上下方向に列設された複数個の弾性パッド10で構成されている。左右一対の荷重パッド列11・11は、背面4の左右方向に二分する中心線Pを挟む対称位置に形成されており、背負われた状態において、左右一対の荷重パッド列11・11が、被着者の脊柱の棘突起に接触することなく脊柱を挟む位置に配されるように構成されていることを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
具体的には、荷重パッド列11を構成する複数個の弾性パッド10が、脊柱を構成する第7頸椎から仙骨の上端の高さ位置の間に配列されるように構成されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状の本体部(1)と、本体部(1)の背面(4)の上部と下部に連結された左右一対の肩ベルト(2)とを備え、被着者に背負われて使用に供される背負い鞄であって、
背面(4)に形成されて、背負われた状態において被着者の背中に接するパッドが、被着者の脊柱に対して荷物荷重を作用させるための左右一対の荷重パッド列(11・11)のみで構成されており、
各荷重パッド列(11)が、上下方向に所定間隔を置くとともに、上下方向に列設された複数個の弾性パッド(10)で構成されており、
左右一対の荷重パッド列(11・11)は、背面(4)の左右方向に二分する中心線(P)を挟む対称位置に形成されており、背負われた状態において、左右一対の荷重パッド列(11・11)が、被着者の脊柱の棘突起に接触することなく脊柱を挟む位置に配されるように構成されていることを特徴とする背負い鞄。
【請求項2】
荷重パッド列(11)を構成する複数個の弾性パッド(10)が、脊柱を構成する第7頸椎から仙骨の上端の高さ位置の間に配列されるように構成されている、請求項1に記載の背負い鞄。
【請求項3】
本体部(1)の背面(4)の下部に腰ベルト(3)が連結されており、
肩ベルト(2)の上側の連結部から荷重パッド列(11)の上端までの上下方向の距離(D1)が、100mm以内に設定されており、
腰ベルト(3)の上下方向の幅方向の中心から荷重パッド列(11)の下端までの上下方向の距離(D2)が、150mm以内に設定されており、
中心線(P)から荷重パッド列(11)を構成する弾性パッド(10)の対向内縁までの左右方向の間隔距離(D3)が、5mm以上、50mm以下に設定されている、請求項2に記載の背負い鞄。
【請求項4】
各荷重パッド列(11)が5~20個の弾性パッド(10)で構成されている、請求項2または3に記載の背負い鞄。