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  • 特開-ワーク搬送装置 図1
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  • 特開-ワーク搬送装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167244
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】ワーク搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/86 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
B65G47/86 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078279
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】390029090
【氏名又は名称】靜甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【弁理士】
【氏名又は名称】前野 房枝
(72)【発明者】
【氏名】佐野 智昌
(72)【発明者】
【氏名】藤田 悟司
(72)【発明者】
【氏名】鍋田 豊
【テーマコード(参考)】
3F072
【Fターム(参考)】
3F072AA07
3F072KC01
3F072KC07
(57)【要約】
【課題】
ワークの搬送に伴う、吸着ヘッドに負圧を供給するためのエアホースの取り回しを要せず、供給されるエアの消費を抑えることができるワーク搬送装置を提供する。
【解決手段】
無端状の循環経路をなすガイドレール2と、ガイドレール2上を移動する複数の移動子3と、各移動子3に配設され、吸着ヘッド7を有する吸着ユニット5と、ワークを吸着するための負圧を吸着ヘッド7に供給する負圧供給手段と、ガイドレール2内のワークの受取位置から搬出位置までのワーク搬送経路9に対応させて負圧空間11が形成された中空のエアレール12と、負圧空間11内に負圧を供給する負圧供給源と、各吸着ユニット5に配設され、前記負圧供給源と各吸着ヘッド7とを各移動子3のワーク搬送経路の移動中において連通させる負圧連通手段13とを備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状の循環経路をなすガイドレールと、前記ガイドレール上を移動する複数の移動子と、各移動子に配設され、吸着ヘッドを有する吸着ユニットと、ワークを吸着するための負圧を前記吸着ヘッドに供給する負圧供給手段とを備え、前記ガイドレール内にワークの受取位置から搬出位置までのワーク搬送経路が設けられるワーク搬送装置であって、
前記負圧供給手段は、
前記ワーク搬送経路に対応させて負圧空間が形成された中空のエアレールと、
前記負圧空間内に負圧を供給する負圧供給源と、
前記各吸着ユニットに配設され、前記負圧供給源と各吸着ヘッドとを各移動子の前記ワーク搬送経路の移動中において連通させる配管部材を備えた負圧連通手段とを有し、
前記エアレールの外壁面には、前記各移動子の移動に伴い、反吸着ヘッド側の配管部材の開放端部が通過する開口溝部が形成されており、
少なくとも、負圧空間が形成された領域においては、被覆部材が前記開口溝部を被い、かつ、開口溝部内を通過する前記配管部材の通過を許容するようにして配設されていることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
前記エアレールは、前記ガイドレールと相似形の無端状に形成されており、前記エアレール内は、前記第2配管部の開放端部を通過させる切欠きが形成された隔壁により、前記負圧空間と負圧が解除される非負圧空間とに区画可能とされていることを特徴とする請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記負圧連通手段は、各吸着ヘッドと連通させて配設される第1配管部と、前記エアレールの開口溝部内に開放端部を臨ませた第2配管部と、前記第1第配管部と第2配管部とを連繋する接続部とからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワーク搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填容器などのワークを吸着ヘッドに吸着・離脱させるためのエアの供給を効率的に行うためのエア分配機構を備えるワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワークをエア吸着させる吸着ヘッドを備え、ワークをその吸着ヘッドに保持した状態で所望の位置へ搬送し、受け渡しや振り分けを行うワーク搬送装置が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されたワーク搬送装置は、無端状のガイドレールと、このガイドレールに沿って循環して移動させるとともに物品を吸着保持する複数の吸着ヘッドと、各吸着ヘッドを昇降させる昇降機構と、各吸着ヘッドをガイドレールに沿って個別に循環して移動させるリニア搬送手段と、リニア搬送手段の作動を制御する制御装置とを備えており、第2コンベヤが搬送する物品の移動に追従して吸着ヘッドを移動させながら該吸着ヘッドにより物品を保持させ、該物品を保持した吸着ヘッドを第1コンベヤ側の受け渡し区間まで移動させるとともに、該受け渡し区間において第1コンベヤが搬送する箱の移動に合わせて吸着ヘッドによる物品の保持状態を解除させて、第1コンベヤが搬送する1つの箱内に複数の吸着ヘッドにより複数の物品を規則的に受け渡すように構成されている。
【0004】
また、特許文献2に開示されたワーク搬送装置は、無端状の移動経路を移動可能な複数の移動体と、各移動体に取り付けられた吸着ヘッドと、吸着ヘッドに負圧を供給する負圧供給手段と、.移動体を移動させるガイドレールとを備えており、負圧供給手段は、物品を吸着する第1位置から吸着を解除する第2位置まで配設された、多数の負圧供給孔が形成された有孔プレートと、各移動体に設けられ、有孔プレートの表面に集接して各負圧供給孔と連通する開口が形成されたカップ状部材と、カップ状部材と吸着ヘッドとを接続する可撓性導管並びに中空シャフトから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-56002号公報
【特許文献2】特開2019-151477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のワーク搬送装置のように吸着ヘッドにエアホースを介して負圧を供給してワークを吸着する構成の吸着ヘッドにおいては、吸着ヘッドの移動に伴う長尺なエアホースの取り回しが必要であり、そのための広い空間も要する。
【0007】
特許文献2に記載のワーク搬送装置の場合は、吸着ヘッドの移動に伴う長尺なエアホースの取り回しは不要となっても、開放されている負圧供給孔からのエアの消費量が大きいという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、ワークの搬送に伴う、吸着ヘッドに負圧を供給するためのエアホースの取り回しを要せず、供給されるエアの消費を抑えることができるワーク搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するため、本発明は、無端状の循環経路をなすガイドレールと、前記ガイドレール上を移動する複数の移動子と、各移動子に配設され、吸着ヘッドを有する吸着ユニットと、ワークを吸着するための負圧を前記吸着ヘッドに供給する負圧供給手段とを備え、前記ガイドレール内にワークの受取位置から搬出位置までのワーク搬送経路が設けられるワーク搬送装置であって、前記負圧供給手段は、前記ワーク搬送経路に対応させて負圧空間が形成された中空のエアレールと、前記負圧空間内に負圧を供給する負圧供給源と、前記各吸着ユニットに配設され、前記負圧供給源と各吸着ヘッドとを各移動子の前記ワーク搬送経路の移動中において連通させる配管部材を備えた負圧連通手段とを有し、前記エアレールの外壁面には、前記各移動子の移動に伴い、反吸着ヘッド側の配管部材の開放端部が通過する開口溝部が形成されており、少なくとも、負圧空間が形成された領域においては、被覆部材が前記開口溝部を被い、かつ、開口溝部内を通過する前記配管部材の通過を許容するようにして配設されていることを特徴とする。
【0010】
そして、前記エアレールは、前記ガイドレールと相似形の無端状に形成されており、前記エアレール内は、前記第2配管部の開放端部を通過させる切欠きが形成された隔壁により、前記負圧空間と負圧が解除される非負圧空間とに区画可能とされていることを特徴とする。
【0011】
前記負圧連通手段は、各吸着ヘッドと連通させて配設される第1配管部と、前記エアレールの開口溝部内に開放端部を臨ませた第2配管部と、前記第1第配管部と第2配管部とを連繋する接続部とからなることを特徴とする。
【0012】
本発明のワーク搬送装置によれば、各移動子が前記ワーク搬送経路を移動し、各移動子に配設されている吸着ユニットの第2配管部の開放端部が、被覆部材の合わせ目などから開口溝部に挿入され、負圧供給源の駆動により負圧が供給されたエアレール内の負圧空間に臨むことで、エアノズルを介して負圧が供給された各吸着ヘッドによってワークを吸着し、また、第2配管部の開放端部が、エアレール内の負圧空間を脱することで、各吸着ヘッドによるワークの吸着を解除することができる。
【0013】
このように、本発明のワーク搬送装置は負圧供給源からエアレール内の負圧空間との間の負圧供給路は常設とすることができ、ワークの搬送に伴う、長尺なエアホースの取り回しを要しない。また、負圧空間の開放箇所を被覆部材で被覆することにより、供給される負圧のロスを少なく抑えることができる。
【0014】
そして、本発明のワーク搬送装置によれば、ワーク搬送経路の長さや位置に合わせて前記負圧空間の長さや位置を適宜調整することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
このように、本発明のワーク搬送装置によれば、移動子の吸着ヘッドに配設された吸着ヘッドに対する負圧の供給を長尺なエアホースを引き回し、追随させて行う必要がなく、ワークの搬送経路に対応する負圧空間を設ける初期設定のみで供給された負圧を有効に分配することができ、安定してワークの吸着搬送を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態におけるガイドレールとワーク搬送経路、エアレールと負圧空間の位置的関係を説明する概略平面図
図2】本発明に係るワーク搬送装置の要部断面図
図3図2のワーク搬送装置の負圧供給手段の構成を説明する概略断面図
図4】本発明に係るワーク搬送装置の他の実施例を示す要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るワーク搬送装置1の一実施形態について、図1乃至図3を参照して説明する。
【0018】
本実施形態のワーク搬送装置1は、公知の構成のリニア搬送装置を採用し、ワークとしての容器Bを、無端状の循環経路におけるワークの受取位置P1で吸着保持し、搬出位置P2まで搬送し、その吸着を解除することで、容器Bを次工程へ送り出すように構成されている(以下、前記循環経路内の容器Bの受取位置P1から搬出位置P2までの範囲をワーク搬送経路9という)。
【0019】
具体的には、ワーク搬送装置1は、無端状の循環経路をなすガイドレール2と、このガイドレール2に沿って移動される複数の移動子3と、それぞれの移動子3に取り付けられた吸着ユニット5と、移動子3をガイドレール2に沿って移動させるリニアモータ(不図示)とを備えている。
【0020】
前記リニアモータは、それぞれの移動子3に固定される永久磁石(不図示)と、ガイドレール2の長手方向に沿って等ピッチで配置された多数の電磁コイル(不図示)とを備え、前記各電磁コイルへの電流の供給と停止を制御部(不図示)で制御することにより、各移動子3の移動と停止を個別に制御可能とされている。
【0021】
本実施形態において、ガイドレール2は、図1に示すように、平面視でオーバルのトラック形状に形成されており、容器Bの受取位置P1の近傍には、供給コンベヤ(不図示)上に供給される容器Bを把持して吸着ヘッド3に正立状態で受け渡す操作をするロボット(不図示)が配置されている。また、容器Bの搬出位置P2には搬送コンベア(不図示)が配置され、正立状態で搬送され、吸着から開放される容器Bを搬送コンベア上に起立させ、次工程へ向けて搬送するように構成されている。
【0022】
図2に示すように、各移動子3には、ガイドレール2の平面視における外側に吸着ユニット5が配設されており、吸着ユニット5を構成する板状のユニット本体6のガイドレール2の循環経路外方向へ指向する面(以下、この面をワーク吸着面として説明する)には、容器Bを吸着させるための吸着ヘッド7が2個、容器Bの軸方向、すなわち、鉛直方向に、容器Bの胴部を吸着可能な距離を以て配設されている。
【0023】
なお、本実施形態において、吸着ヘッド7は容器Bの胴部の太さや重さを勘案して直径30mmの多段ベローズパッドを用いるが、使用する吸着ヘッド7の種類やサイズはこれに限るものではなく、その配設数や配設位置もワークに合わせて変更可能とする。
【0024】
そして、本実施形態のワーク搬送装置1は、容器Bを吸着するための負圧を吸着ヘッド7に供給する負圧供給手段10を備えている。負圧供給手段10は、ワーク搬送経路9に対応させて負圧空間11が形成された中空のエアレール12と、負圧空間11内に負圧を供給する負圧供給源(不図示)と、各吸着ユニット5に配設され、前記負圧供給源と各吸着ヘッド7とを各移動子3のワーク搬送経路9の移動中において連通させる負圧連通手段13とを有して構成されている。
【0025】
ワーク搬送経路9に対応させて形成された中空のエアレール12内の負圧空間11と、容器の受取位置P1並びに容器の搬出位置P2との関係についてさらに説明すると、図1に示すように、受取位置P1は負圧空間11の内における移動子の移動方向上流側に位置し、搬出位置P2は移動子の移動方向における負圧空間11の直下流側に位置するように形成されている。
【0026】
本実施形態において、負圧連通手段13は、各吸着ヘッド7と連通させて配設される第1配管部14と、エアレール12の後述する開口溝部20内に開放端部を臨ませた第2配管部15と、第1第配管部14と第2配管部15とを連繋する接続部16とから構成されている。
【0027】
図3に示すように、接続部16は前記負圧供給源から第2配管部15を介して供給される負圧を一次的に貯留する空間16aを有し、この接続部16の空間16aに第1配管部14としての可撓性のエアチューブ14の基端が接続されている。エアチューブ14の先端は各吸着ヘッド7に接続されている。また、接続部16には、エアレール12の開口溝部20内に開放端部を臨ませた第2配管部15としてのエアノズル15の基端が接続されている。エアノズル15は、反吸着ヘッド側となる先端を、各移動子3の前記ワーク搬送経路9の移動中において負圧空間11内に臨ませて、ユニット本体6のガイドレール2の上方へ延出させた反ワーク吸着面に支持されている。
【0028】
ここで、本実施形態において、エアレール12は中空の配管状で、平面視においてガイドレール2のトラック形状と相似形の無端状に形成され、ガイドレール2の上方に配設されている。エアレール12内はワーク搬送経路9に対応させた領域をその他の領域と隔壁17を以て区画されている。
【0029】
なお、隔壁17には、エアノズル15をエアレール12内において通過させる切欠き(不図示)が形成されているものとする。
【0030】
エアレール12は、複数の配管部材を連接させて構成し、隔壁17を適切な位置に介装させることにより、ワーク搬送経路9に対応させた領域を負圧空間11として区画可能に構成することができる。そして、負圧空間11を構成するエアレール12には、負圧空間11と負圧供給源とを連繋して負圧空間11に負圧を供給する負圧供給配管18が配設されている。
【0031】
そして、エアレール12の外壁面には、各移動子3の移動に伴ってエアノズル15が通過する開口溝部20が、ワーク搬送経路9に沿って無端状に形成されている。
【0032】
開口溝部20は、被覆部材21がその開口部分を被うように配設されており、エアノズル15は、開口溝部20内を通過する際に、被覆部材21を捲り、一旦、開口させながら通過するように構成されている。
【0033】
本実施形態において、被覆部材21は薄板状のラバー部材を採用し、図3に示すように、開口溝部20の幅方向両側からそれぞれの開放端辺を合掌状に合わせて配設されている。
【0034】
被覆部材21は、少なくとも、負圧空間11が形成された領域において配設されていればよい。つまり、非負圧空間の領域においては、必ずしも、被覆部材21の配設は必要ではなく、開口溝部20は開放された儘の状態で、エアノズル15の通過を許容する構成であってもよい。
【0035】
続いて、本実施形態のワーク搬送装置1の作用を説明する。
本実施形態のワーク搬送装置1においては、前記負圧供給源を駆動させ、エアレール12内の負圧空間11に負圧供給配管18を介して負圧を供給しておく。
【0036】
この状態で、前記制御部の制御によりワーク搬送経路9に配設された移動子3を、ガイドレール2の上部で、負圧空間11の内部上流側の受取位置P1へ移動させる。その際、各移動子に配設された吸着ユニット5のエアノズル15は、被覆部材21の合わせ目を、通過時のみ、押し広げながら開口溝部20を移動し、隔壁17の切欠きを通過して負圧空間11に至る。
【0037】
このとき、負圧空間11の開口溝部が被覆部材21で被われていることにより、負圧空気が無駄に流出することを防止できる。本実施形態においては、特に、被覆部材21を開口溝部20の幅方向両側からそれぞれの開放端辺を合掌状に合わせて配設した薄板状のラバー部材とすることにより、負圧空間11の負圧によってラバー部材の開放端を密着させた状態で負圧空間内方向へ引き寄せ、負圧空間からのエア漏れを防ぐことができる。なお、隔壁17に形成された切欠きにも、その切欠き部分を覆うとともに、エアノズル15の通過を許容する被覆部材21を配設することが望ましい。
【0038】
容器Bの受取位置P1においては、負圧空間11と連接されたエアノズル15、接続部16、エアチューブ14を介して負圧が供給されている吸着ユニット5の吸着ヘッド7に対し、前記ロボットにより把持した容器Bを押しつけ、吸着させる。
【0039】
続いて、吸着ヘッド7に容器Bを吸着した吸着ユニット5を支承する移動子3を負圧空間11の外部上流側の容器Bの搬出位置P2へ向けて走行させる。
【0040】
搬出位置P2においては、吸着ヘッド7内の負圧を開放して容器Bの吸着を開放させ、容器Bを正立状態のまま前記搬送コンベア上に移載する。
【0041】
容器Bの吸着を解除した移動子3はまたガイドレール2を走行し、再び、容器Bの受取位置P1へ戻る。
【0042】
このように構成されたワーク搬送装置1であれば、長尺のエアホースを移動子に追随させて引き回しながらの負圧エアの供給を要せず、静音で、負圧エアの無駄な放出を抑止して、安定したワークの吸着搬送を実行でき、さらには、搬送距離が長いとか、または、搬送経路が複雑であるといった条件下における駆動にも適したものとなる。
【0043】
なお、本発明のワーク搬送装置は前述した実施の形態に限定されるものではない。本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。以下、その変更の例を挙げる。
【0044】
例えば、吸着ユニット5の吸着対象のワークは容器Bに限られない。
【0045】
さらには、ワーク搬送装置1も上述の構成に限らない。例えば、上述の搬送装置と同様にリニア式の搬送装置を採用し、図4に示すように、移動子3にステイ4を介して配設された吸着ユニット5に、ワークとしての容器Bを傾斜させて保持させ、搬送するような構成も採用可能であるし、さらには、ワークの姿勢を横転状態から正立状態に替える搬送装置であってもよい。また、階(高さ)を異ならせたり、壁を隔てるようなガイドレール2を用いた搬送であっても、移動子3に吸着ユニット5を備え、負圧供給手段10を設けることで、ワークの吸着搬送を実行することが可能となる。いずれの場合であっても、エアホースを移動子に追随させて引き回しながらの負圧エアの供給を要せず、コンパクトな構成で、安定したワークの吸着搬送を行うことが可能となる(図4参照)。
【0046】
また、エアレール12と前記負圧供給源とを結ぶ負圧供給配管は1本に限らず、複数本を予め設けておき、負圧空間11に負圧を供給可能な負圧供給配管18のみを開状態として通気可能とするように構成してもよい。
【0047】
そして、本実施形態においては、ガイドレール2とエアレール12とを対応させて配置するとともに、前記ワーク搬送経路9と負圧空間11とを対応させて容器Bを吸着搬送することとしたが、エアレール12を前記ワーク搬送経路9に対応する位置にのみ配設し、エアレール12内全域を負圧空間11としてもよい。その場合、容器Bの搬送方向におけるエアレール12の両端に位置する壁面に、エアノズル15を通過させる切り欠きを形成する。
【0048】
なお、ガイドレール2とエアレール12とを対応させて配置するとの意味は、本実施形態のように、ガイドレール2の上方にエアレール12を配置する場合に限らず、ガイドレール2を走行する移動子3に配設された第2配管部(エアノズル)15の開放端の移動軌跡に沿ってエアレール12が配設されることを意味する。
【0049】
負圧連通手段13を構成する第1配管部14や第2配管部15の接続やその構成も、本実施形態の構成に限るものではない。例えば、第2配管部(エアノズル)15は、エアレール12の配設位置に合わせて、板状のユニット本体6と並行に延出するように構成される場合も想定内である。
【0050】
被覆部材21は、本実施形態のように、開口溝部20の幅方向にそれぞれ配設された2枚のラバー部材を合掌状に合わせて配設することに限らず、例えば、それらの2枚のラバー部材の端部を重ねたり、付き合わせることで配設されていてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 ワーク搬送装置
2 ガイドレール
3 移動子
4 ステイ
5 吸着ユニット
6 ユニット本体
7 吸着ヘッド
9 ワーク搬送経路
10 負圧供給手段
11 負圧空間
12 エアレール
13 負圧連通手段
14 第1配管部(エアチューブ)
15 第2配管部(エアノズル)
16 接続部
16a 空間
17 隔壁
18 負圧供給配管
20 開口溝部
21 被覆部材
B 容器(ワーク)
P1 (ワークの)受取位置
P2 (ワークの)搬出位置
図1
図2
図3
図4