IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホシデン株式会社の特許一覧

特開2023-167255レンズ、レンズと光ファイバのアッセンブリ及び光通信システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167255
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】レンズ、レンズと光ファイバのアッセンブリ及び光通信システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/32 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
G02B6/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078297
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104569
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 彰弘
(72)【発明者】
【氏名】坪田 秀平
(72)【発明者】
【氏名】笹田 浩介
(72)【発明者】
【氏名】近藤 快人
【テーマコード(参考)】
2H137
【Fターム(参考)】
2H137BA03
2H137BA04
2H137BA06
2H137BA15
2H137BC02
2H137BC03
2H137BC07
2H137BC08
2H137BC10
2H137CA12A
2H137CA13A
2H137CA63
2H137CA74
2H137CA75
2H137CC01
2H137CC02
2H137CC03
2H137CC11
2H137CD45
2H137CD47
(57)【要約】
【目的】 本発明は光通信特性の信頼性の劣化を抑制でき且つ光ファイバの取り付け作業性を向上させるレンズを提供する。
【構成】 レンズL1はレンズ本体100と支持台200を備える。レンズ本体100は、レンズ部110とこれのY’方向側に位置し且つY’方向に開放された保持穴120を有する。保持穴120の中心軸はレンズ部110の光軸AX1を通る仮想線α上に位置する。支持台200の支持台本体210はレンズ本体110に対してY’方向側に位置し且つ保持穴120に対して少なくとも部分的にZ’方向に位置する。光ファイバF1の第1部F1が保持穴120内に挿入保持された状態で、保持穴120の底面121aが第1部F1の端面F11に当接し、保持穴120の周面121bが第1部F11の外周面F12に部分的に当接し且つ支持台本体210が光ファイバF1の第2部F2をZ’方向側から支持する。
【選択図】 図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ本体と、
支持台とを備えており、
前記レンズ本体は、少なくとも一つのレンズ部と、少なくとも一つの保持穴とを有しており、
少なくとも一つのレンズ部は、前記少なくとも一つの保持穴に対して第1方向の一方側に位置するように前記レンズ本体に設けられており、
前記少なくとも一つの保持穴は、前記レンズ本体に設けられており、前記第1方向に延びており且つ前記第1方向の他方に開放された円柱状の有底穴であって、前記第1方向の一方側の底面と、前記底面から前記第1方向の他方に延びた円筒状の周面とを有しており、前記少なくとも一つの保持穴の中心軸は前記少なくとも一つのレンズ部の光軸を通って前記第1方向に延びた仮想線上に位置しており、前記少なくとも一つの保持穴の第2方向及び第3方向に沿った断面の直径は、少なくとも一つの光ファイバの前記第1方向の一方側の先端部である第1部の前記第2方向及び前記第3方向に沿った断面の外径と略同じであり、前記第1方向は、前記少なくとも一つの保持穴の前記中心軸の軸方向であり、前記第2方向は、前記第1方向に略直交しており、前記第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向に略直交しており、
前記支持台は、前記レンズ本体に固定された支持台本体を有しており、前記支持台本体は、前記レンズ本体に対して前記第1方向の他方側に位置すると共に、前記レンズ本体の前記少なくとも一つの保持穴に対して少なくとも部分的に前記第2方向の一方側に位置しており、
前記少なくとも一つの光ファイバの前記第1部が前記少なくとも一つの保持穴内に挿入保持された状態で、前記少なくとも一つの保持穴の前記底面が前記少なくとも一つの光ファイバの前記第1部の前記第1方向の一方側の端面に当接し、前記少なくとも一つの保持穴の前記周面が前記少なくとも一つの光ファイバの前記第1部の外周面に部分的に当接し且つ前記支持台本体が前記少なくとも一つの光ファイバの前記第1部に対して前記第1方向の他方側に位置する第2部を前記第2方向の一方側から支持するレンズ。
【請求項2】
請求項1記載のレンズにおいて、
前記支持台本体には、前記少なくとも一つの光ファイバの前記第1部を前記第1方向に沿って前記少なくとも一つの保持穴に案内するための少なくとも一つのガイド部が設けられており、
前記少なくとも一つのガイド部は、前記少なくとも一つの保持穴に対して前記第1方向の他方側に位置しており、
前記少なくとも一つの光ファイバの前記第1部が前記少なくとも一つの保持穴内に挿入保持された状態で、前記支持台本体の前記少なくとも一つのガイド部が、前記少なくとも一つの光ファイバの前記第2部を前記第2方向の一方側から支持し且つ前記第3方向においてガイドするレンズ。
【請求項3】
請求項2記載のレンズにおいて、
前記少なくとも一つのガイド部は、前記第1方向に延びた長溝であって、前記第2方向の他方側に開放されると共に、前記第1方向の他方側に開放されているレンズ。
【請求項4】
請求項2又は3記載のレンズにおいて、
前記少なくとも一つのガイド部の前記第1方向の寸法及び前記支持台本体の前記第1方向の寸法は、前記少なくとも一つの保持穴の前記第1方向の寸法よりも大きいレンズ。
【請求項5】
請求項2又は3記載のレンズにおいて、
前記少なくとも一つの保持穴は、前記底面及び前記周面を有する穴本体と、前記穴本体から前記第1方向の他方側に延びた円錐台状の誘い孔とを有しており、
前記少なくとも一つの保持穴の前記穴本体は、前記第2方向及び前記第3方向に沿った断面の直径が、前記少なくとも一つの光ファイバの前記第1部の前記第2方向及び前記第3方向に沿った断面の外径と略同じであり、
前記少なくとも一つの保持穴の前記誘い孔は、前記第2方向及び前記第3方向に沿った断面の直径が、前記第1方向の一方にいくにしたがって暫時縮径しているレンズ。
【請求項6】
請求項1~3の何れかに記載のレンズにおいて、
前記レンズ本体は、前記第1方向の一方側の第1面と、前記第1方向の他方側の第2面と、前記第2方向の一方側の第3面と、前記第2方向の他方側の第4面とを有しており、
前記支持台本体は、前記第1方向の一方側の第1面と、前記第1方向の他方側の第2面と、前記第2方向の他方側の第3面と、前記第2方向の一方側の第4面とを有しており、前記支持台本体は、前記レンズ本体と別体であり、
前記支持台は、前記支持台本体の前記第1面から前記第1方向の一方に延びた固定部を更に有しており、
前記固定部が前記レンズ本体の前記第4面に固定されており且つ前記支持台本体が前記レンズ本体の前記第2面に固定されているレンズ。
【請求項7】
請求項1~3の何れかに記載のレンズにおいて、
前記支持台本体は、前記レンズ本体と一体化されており且つ前記レンズ本体から前記第1方向の他方側に延びているレンズ。
【請求項8】
請求項1~3の何れかに記載のレンズにおいて、
前記レンズ本体は、樹脂によって構成されているレンズ。
【請求項9】
請求項2又は3に記載のレンズにおいて、
前記少なくとも一つのレンズ部、前記少なくとも一つの保持穴及び前記少なくとも一つのガイド部は、同数の複数であり、
前記複数のレンズ部は、前記第3方向に間隔をあけて配置されており、
前記複数の保持穴は、前記第3方向に間隔をあけて配置されており且つ前記複数のレンズ部に対して前記第1方向の他方側にそれぞれ位置しており、
前記複数のガイド部は、前記第3方向に間隔をあけて配置されており且つ前記複数の保持穴に対して前記第1方向の他方側にそれぞれ位置しているレンズ。
【請求項10】
請求項1記載のレンズと、
少なくとも一つの光ファイバと、
前記少なくとも一つの光ファイバを前記レンズの前記支持台本体に接着する接着部材とを備えており、
前記少なくとも一つの光ファイバは、第1部と、第2部とを有しており、
前記第1部は、前記少なくとも一つの光ファイバの前記第1方向の一方側の先端部であり、
前記第2部は、前記少なくとも一つの光ファイバの前記第1部に対して前記第1方向の他方側に位置する部分であり、
前記少なくとも一つの光ファイバの前記第1部が前記少なくとも一つの保持穴内に挿入保持された状態で、前記少なくとも一つの保持穴の前記底面が前記少なくとも一つの光ファイバの前記第1部の前記第1方向の一方側の端面に当接し、前記少なくとも一つの保持穴の前記周面が前記少なくとも一つの光ファイバの前記第1部の外周面に部分的に当接し且つ前記支持台本体が前記少なくとも一つの光ファイバの前記第2部を前記第2方向の一方側から支持するレンズと光ファイバのアッセンブリ。
【請求項11】
請求項2記載のレンズと、
少なくとも一つの光ファイバと、
前記少なくとも一つの光ファイバを前記レンズの前記支持台本体に接着する接着部材とを備えており、
前記少なくとも一つの光ファイバは、第1部と、第2部とを有しており、
前記第1部は、前記少なくとも一つの光ファイバの前記第1方向の一方側の先端部であり、
前記第2部は、前記少なくとも一つの光ファイバの前記第1部に対して前記第1方向の他方側に位置する部分であり、
前記少なくとも一つの光ファイバの前記第1部が前記少なくとも一つの保持穴内に挿入保持された状態で、前記支持台本体の前記少なくとも一つのガイド部が、前記少なくとも一つの光ファイバの前記第2部を前記第2方向の一方側から支持するレンズと光ファイバのアッセンブリ。
【請求項12】
請求項10又は11記載のレンズと光ファイバのアッセンブリにおいて、
前記レンズ本体は、前記第1方向の一方側の第1面と、前記第1方向の他方側の第2面と、前記第2方向の一方側の第3面と、前記第2方向の他方側の第4面とを有しており、
前記支持台本体は、前記第1方向の他方側の第2面と、前記第2方向の他方側の第3面と、前記第2方向の一方側の第4面とを有しており、
前記接着部材は、前記レンズ本体の前記第2面上、前記支持台本体の前記第3面上及び前記少なくとも一つの光ファイバの前記第2部上に設けられており、且つ前記少なくとも一つの光ファイバの前記第2部を前記支持台本体の前記第3面及び前記レンズ本体の前記第2面に接着しているレンズと光ファイバのアッセンブリ。
【請求項13】
請求項12記載のレンズと光ファイバのアッセンブリにおいて、
前記接着部材は、前記レンズ本体及び前記支持台の少なくとも一方の色と異なる色に着色されているレンズと光ファイバのアッセンブリ。
【請求項14】
請求項10又は11記載のレンズと光ファイバのアッセンブリである第1アッセンブリと、
請求項10又は11記載のレンズと光ファイバのアッセンブリである第2アッセンブリとを備えており、
前記第1アッセンブリの前記少なくとも一つのレンズ部と、前記第2アッセンブリの前記少なくとも一つのレンズ部とが互いに対向配置されている光通信システム。
【請求項15】
オス型コネクタと、メス型コネクタとを備えており、
前記オス型コネクタは、請求項10記載のレンズと光ファイバのアッセンブリである第1アッセンブリと、
少なくとも一つの第1端子とを備えており、
前記メス型コネクタは、請求項10記載のレンズと光ファイバのアッセンブリである第2アッセンブリと、
少なくとも一つの第2端子とを備えており、
前記オス型コネクタが前記メス型コネクタに接続されており、前記オス型コネクタの前記第1アッセンブリの前記少なくとも一つのレンズ部と前記メス型コネクタの前記第2アッセンブリの前記少なくとも一つのレンズ部とが互いに対向しており、且つ、前記オス型コネクタの前記少なくとも一つの第1端子と前記メス型コネクタの前記少なくとも一つの第2端子とが互いに接触している光通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ、レンズと光ファイバのアッセンブリ及び光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、シングルモード光ファイバの先端部が取り付けられるレンズが開示されている。このレンズは、透明な樹脂で構成されている。レンズの先端面は非球面状にされている一方、レンズの後端面はフラットである。このレンズの後端面には、前方に延びており且つ後方に開口した円柱状の保持穴が設けられている。この保持穴に光ファイバの先端部が挿入保持されるようになっている。このように光ファイバの先端部が保持穴内に挿入保持された状態で、光ファイバの先端部がレンズに接着されることによって、光ファイバがレンズに固定される。
【0003】
下記特許文献2には、光ファイバ用の配列部材が開示されている。配列部材は、複数の第1光ファイバを位置決め保持するための複数の第1位置決め溝と、複数の第2光ファイバを位置決め保持するための複数の第2位置決め溝とを有している。複数の第1位置決め溝は、配列部材の面上に設けられており、第1光ファイバの長手方向に延びており且つ長手方向に略直交する直交方向に間隔をあけて配置されている。複数の第2位置決め溝は、配列部材の面上に設けられており、長手方向に延びており且つ直交方向において前記複数の第1位置決め溝と同間隔をあけて配置されている。複数の第1位置決め溝内に対応する第1光ファイバが挿入され且つ複数の第2位置決め溝内に対応する第2光ファイバが挿入された状態で、第1光ファイバの後端面と第2光ファイバの先端面とが第1方向で互いに対向するようになっている。この状態で、配列部材の面上に樹脂が塗布され、当該樹脂で、複数の第1光ファイバ及び複数の第2光ファイバが配列部材に固定される。なお、第1光ファイバは、ロッドレンズとして使用される複数のグレーデッドインデックス型光ファイバである。第2光ファイバは、シングルモード型光ファイバである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8―220377号公報
【特許文献2】特開2001-4863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のレンズは、光ファイバの先端部が保持穴に挿入保持される構成であるため、光ファイバの先端部が保持穴内に挿入された後から接着されるまでの間に、光ファイバが自重によって保持穴から抜け落ちたり、光ファイバの光軸が傾いたり、光ファイバの光軸がズレたりする可能性がある。このため、従来のレンズは、光ファイバの取り付け作業性が悪い。また、光ファイバの光軸が傾く又はズレることによって、従来のレンズを用いた光通信特性の信頼性が劣化する。
【0006】
従来の配列部材も、複数の第1位置決め溝に対応する第1光ファイバが挿入され且つ複数の第2位置決め溝に対応する第2光ファイバが挿入されているだけであるので、配列部材に接着されるまでの間に、配列部材に付与される振動等によって、複数の第1光ファイバが、複数の第1位置決め溝内でそれぞれ長手方向に移動したり、複数の第1位置決め溝から脱落したりする可能性があり、複数の第2光ファイバが、複数の第2位置決め溝内でそれぞれ長手方向に移動したり、複数の第2位置決め溝から脱落したりする可能性がある。このため、従来の配列部材も、光ファイバの取り付け作業性が悪い。
【0007】
本発明は、光通信特性の信頼性の劣化を抑制でき且つ光ファイバの取り付け作業性を向上させることができるレンズ、レンズと光ファイバのアッセンブリ及び光通信システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様のレンズは、レンズ本体と、支持台とを備えている。レンズ本体は、少なくとも一つのレンズ部と、少なくとも一つの保持穴とを有する。少なくとも一つのレンズ部は、少なくとも一つの保持穴に対して第1方向の一方側に位置するようにレンズ本体に設けられている。少なくとも一つの保持穴は、レンズ本体に設けられており、第1方向に延びており且つ第1方向の他方に開放された円柱状の有底穴である。少なくとも一つの保持穴は、第1方向の一方側の底面と、底面から第1方向の他方に延びた円筒状の周面とを有している。少なくとも一つの保持穴の中心軸は少なくとも一つのレンズ部の光軸を通って第1方向に延びた仮想線上に位置している。少なくとも一つの保持穴の第2方向及び第3方向に沿った断面の直径は、少なくとも一つの光ファイバの第1方向の一方側の先端部である第1部の第2方向及び第3方向に沿った断面の外径と略同じである。第1方向は、少なくとも一つの保持穴の中心軸の軸方向である。第2方向は、第1方向に略直交している。第3方向は、第1方向及び第2方向に略直交している。支持台は、レンズ本体に固定された支持台本体を有する。支持台本体は、レンズ本体に対して第1方向の他方側に位置すると共に、レンズ本体の少なくとも一つの保持穴に対して少なくとも部分的に第2方向の一方側に位置している。少なくとも一つの光ファイバの第1部が少なくとも一つの保持穴内に挿入保持された状態で、少なくとも一つの保持穴の底面が少なくとも一つの光ファイバの第1部の第1方向の一方側の端面に当接し、少なくとも一つの保持穴の周面が少なくとも一つの光ファイバの第1部の外周面に部分的に当接し且つ支持台本体が少なくとも一つの光ファイバの第1部に対して第1方向の他方側に位置する第2部を第2方向の一方側から支持する。
【0009】
このような態様のレンズによる場合、当該レンズに対する少なくとも一つの光ファイバの取り付け作業性が向上し且つ当該レンズを使用した光通信特性の信頼性の劣化を抑制することができる。その理由は以下のとおりである。少なくとも一つの保持穴の中心軸は少なくとも一つのレンズ部の光軸を通って第1方向に延びた仮想線上に位置している。少なくとも一つの光ファイバの第1部を少なくとも一つの保持穴内に挿入させて、少なくとも一つの光ファイバの第1部の第1方向の一方側の端面が少なくとも一つの保持穴の底面に当接させると、少なくとも一つの光ファイバの第1部の外周面が少なくとも一つの保持穴の周面に当接し且つ少なくとも一つの光ファイバの第2部が支持台本体によって第2方向の一方側から支持される。このため、少なくとも一つの光ファイバが自重によって少なくとも一つの保持穴から抜け落ちたり、少なくとも一つの光ファイバの光軸が傾いたりする可能性が低減され、尚且つ少なくとも一つの光ファイバが第1方向の一方に移動することも防止されるので、上記取り付け作業性が向上すると共に、少なくとも一つの光ファイバの光軸を少なくとも一つのレンズ部の光軸に容易に一致させることができるので、当該レンズを使用した光通信特性の信頼性の劣化を抑制できる。
【0010】
支持台本体には、少なくとも一つの光ファイバの第1部を第1方向に沿って少なくとも一つの保持穴に案内するための少なくとも一つのガイド部が設けられていてもよい。少なくとも一つのガイド部は、少なくとも一つの保持穴に対して第1方向の他方側に位置していてもよい。少なくとも一つの光ファイバの第1部が少なくとも一つの保持穴内に挿入保持された状態で、支持台本体の少なくとも一つのガイド部が、少なくとも一つの光ファイバの第2部を第2方向の一方側から支持するようになっているとよい。少なくとも一つの光ファイバの第1部が少なくとも一つの保持穴内に挿入保持された状態で、支持台本体の少なくとも一つのガイド部が、少なくとも一つの光ファイバの第2部を第3方向においてガイドするようになっていてもよい。
【0011】
少なくとも一つのガイド部は、第1方向に延びた長溝であって、第2方向の他方側に開放されると共に、第1方向の他方側に開放されていてもよい。長溝の第3方向の寸法は、少なくとも一つの保持穴の周縁の直径と略同じ又は小さくすることが可能である。又は、少なくとも一つのガイド部は、第1方向に延びた一対の突脈であって、その間の第3方向の間隔が、少なくとも一つの保持穴の周縁の直径と略同じとすることが可能である。
【0012】
少なくとも一つのガイド部の第1方向の寸法及び支持台本体の第1方向の寸法は、少なくとも一つの保持穴の第1方向の寸法よりも大きくすることが可能であるが、同じであってもよいし、小さくてもよい。
【0013】
なお、少なくとも一つのガイド部が省略される場合であっても、支持台本体の第1方向の寸法は、少なくとも一つの保持穴の第1方向の寸法よりも大きくすることが可能であるが、同じであってもよいし、小さくてもよい。
【0014】
少なくとも一つの保持穴は、底面及び周面を有する穴本体と、穴本体から第1方向の他方側に延びた円錐台状の誘い孔とを有する構成とすることが可能である。少なくとも一つの保持穴の穴本体は、第2方向及び第3方向に沿った断面の直径が、少なくとも一つの光ファイバの第1部の第2方向及び第3方向に沿った断面の外径と略同じとしてもよい。少なくとも一つの保持穴の誘い孔は、第2方向及び第3方向に沿った断面の直径が、第1方向の一方にいくにしたがって暫時縮径していてもよい。
【0015】
レンズ本体は、第1方向の一方側の第1面と、第1方向の他方側の第2面と、第2方向の一方側の第3面と、第2方向の他方側の第4面とを有していてもよい。
【0016】
支持台本体は、レンズ本体と別体とすることが可能である。この場合、支持台本体は、第1方向の一方側の第1面と、第1方向の他方側の第2面と、第2方向の他方側の第3面と、第2方向の一方側の第4面とを有していてもよい。
【0017】
支持台は、支持台本体の第1面から第1方向の一方に延びた固定部を更に有していてもよい。固定部がレンズ本体の第4面に固定されており且つ支持台本体がレンズ本体の第2面に固定されていてもよい。固定部は省略可能である。この場合、支持台本体がレンズ本体の第2面に固定されているとよい。
【0018】
支持台本体は、レンズ本体と一体化されて固定されていてもよい。この場合、支持台本体は、レンズ本体から第1方向の他方側に延びていてもよく、また、支持台本体第1面が省略されているとよい。
【0019】
レンズ本体は、樹脂によって構成されていてもよいが、ガラス等その他の素材で構成されていてもよい。
【0020】
少なくとも一つのレンズ部、少なくとも一つの保持穴及び少なくとも一つのガイド部は、同数の複数とすることが可能である。複数のレンズ部は、第3方向に間隔をあけて配置されているとよい。複数の保持穴は、第3方向に間隔をあけて配置されており且つ複数のレンズ部に対して第1方向の他方側にそれぞれ位置しているとよい。複数のガイド部は、第3方向に間隔をあけて配置されており且つ複数の保持穴に対して第1方向の他方側にそれぞれ位置しているとよい。
【0021】
本発明の一態様のアッセンブリは、上記した何れかの態様のレンズと、少なくとも一つの光ファイバと、接着部材とを備えた構成とすることが可能である。
【0022】
少なくとも一つの光ファイバは、第1部と、第2部とを有していてもよい。第1部は、少なくとも一つの光ファイバの第1方向の一方側の先端部であってもよく、第2部は、少なくとも一つの光ファイバの第1部に対して第1方向の他方側に位置する部分としてもよい。少なくとも一つの光ファイバの第1部が少なくとも一つの保持穴内に挿入保持された状態で、少なくとも一つの保持穴の底面が少なくとも一つの光ファイバの第1部の第1方向の一方側の端面に当接し、少なくとも一つの保持穴の周面が少なくとも一つの光ファイバの第1部の外周面に部分的に当接し且つ支持台本体が少なくとも一つの光ファイバの第2部を第2方向の一方側から支持するとよい。
【0023】
支持台本体に少なくとも一つのガイド部が設けられている場合、少なくとも一つの光ファイバの第1部が少なくとも一つの保持穴内に挿入保持された状態で、支持台本体の少なくとも一つのガイド部が、少なくとも一つの光ファイバの第2部を第2方向の一方側から支持するとよい。
【0024】
接着部材は、少なくとも一つの光ファイバの第2部を支持台本体に接着していればよい。例えば、接着部材は、支持台本体の第3面上及び少なくとも一つの光ファイバの第2部上に設けられており、且つ少なくとも一つの光ファイバの第2部を支持台本体の第3面に接着していてもよい。接着部材は、レンズ本体の第2面上にも設けられており、且つ少なくとも一つの光ファイバの第2部を支持台本体の第3面だけでなく、レンズ本体の第2面に接着していてもよい。この場合、接着部材は、少なくとも一つの保持穴の周面とこれに挿入保持された少なくとも一つの光ファイバの第1部の外周面との間の間隙に入り込み、両者を接着していてもよい。支持台本体に少なくとも一つのガイド部が設けられている場合、接着部材は、少なくとも一つのガイド部にも接着していてもよい。
【0025】
接着部材は、レンズ本体及び支持台の少なくとも一方の色と異なる色に着色されていてもよいが、三者が同じ色であってもよい。
【0026】
本発明の一態様の光通信システムは、上記した何れかの態様のアッセンブリである第1アッセンブリと、上記した何れかの態様のアッセンブリである第2アッセンブリとを備えている。第1アッセンブリの少なくとも一つのレンズ部と、第2アッセンブリの少なくとも一つのレンズ部とが互いに対向配置されている。
【0027】
本発明の一態様の光通信システムは、オス型コネクタと、メス型コネクタとを備えていてもよい。オス型コネクタは、上記した何れかの態様のアッセンブリである第1アッセンブリと、少なくとも一つの第1端子とを備えているとよい。メス型コネクタは、上記した何れかの態様のアッセンブリである第2アッセンブリと、少なくとも一つの第2端子とを備えているとよい。オス型コネクタがメス型コネクタに接続されており、オス型コネクタの第1アッセンブリの少なくとも一つのレンズ部とメス型コネクタの第2アッセンブリの少なくとも一つのレンズ部とが互いに対向しており、且つ、オス型コネクタの少なくとも一つの第1端子とメス型コネクタの少なくとも一つの第2端子とが互いに接触しているとよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A】本発明の実施例1に係るレンズと光ファイバのアッセンブリの正面、平面及び右側面から表した斜視図である。
図1B】前記アッセンブリの背面、底面及び左側面から表した斜視図である。
図2A】前記アッセンブリの図1A中の2A-2A部分拡大断面図である。
図2B】前記アッセンブリの図1A中の2B-2B部分拡大断面図である。
図2C】前記アッセンブリの図1A中の2C-2C拡大断面図である。
図2D】前記アッセンブリの図1A中の2D-2D拡大断面図である。
図3A】前記アッセンブリのレンズの背面、平面及び右側面から表した拡大斜視図である。
図3B】前記アッセンブリの前記レンズの拡大背面である。
図4A】前記アッセンブリの正面、平面及び右側面から表した分解斜視図である。
図4B】前記アッセンブリの背面、底面及び左側面から表した分解斜視図である。
図5A】前記アッセンブリの前記レンズの第1設計変形例の拡大背面図である。
図5B】前記アッセンブリの前記レンズの第2設計変形例の拡大背面図である。
図5C】前記アッセンブリの前記レンズの第3設計変形例の拡大背面図である。
図6A】本発明の実施例2に係るレンズと光ファイバのアッセンブリの正面、平面及び右側面から表した斜視図である。
図6B】前記アッセンブリの背面、底面及び左側面から表した斜視図である。
図7A】前記アッセンブリの図1A中の2A-2A部分拡大断面図である。
図7B】前記アッセンブリの図1A中の2B-2B部分拡大断面図である。
図7C】前記アッセンブリの図1A中の2C-2C拡大断面図である。
図7D】前記アッセンブリの図1A中の2D-2D拡大断面図である。
図8A】前記アッセンブリの正面、平面及び左側面から表した分解斜視図である。
図8B】前記アッセンブリの背面、底面及び右側面から表した分解斜視図である。
図9】本発明の実施例に係る光通信システムを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施例1、2及びその設計変形例を含む複数の実施例について説明する。なお、後述する実施例及び設計変更例の各構成要素は、互いに矛盾しない限り、相互に組み合わせることが可能であることに留意されたい。また、後述する実施例の各態様及び設計変形例における各構成要素を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能であることにも留意されたい。
【実施例0030】
以下、本発明の実施例1及びその設計変形例を含む複数の実施例に係るレンズと光ファイバのアッセンブリA1について、図1A図5Cを参照しつつ説明する。図1A図4Bには、実施例1のアッセンブリA1が示されている。図5Aには、実施例1のアッセンブリA1のレンズL1の第1設計変形例が示され、図5Bには、実施例1のアッセンブリA1のレンズL1の第2設計変形例が示され、且つ、図5Cには、実施例1のアッセンブリA1のレンズL1の第3設計変形例が示されている。図1A図2B図3A及び図4A図4Bには、Y-Y’方向(第1方向)が示されている。Y-Y’方向は、Y方向(第1方向の一方)及びY’方向(第1方向の他方)を含む。図1A図1B図2B図3A図4B及び図5A図5Cには、Z-Z’方向(第2方向)が示されている。Z-Z’方向は、Z’方向(第2方向の一方)及びZ方向(第2方向の他方)を含む。図1A図2A図3A図4B及び図5A図5Cには、X-X’方向(第3方向)が示されている。X-X’方向は、X方向(第3方向の一方)及びX’方向(第3方向の他方)を含む。
【0031】
アッセンブリA1は、複数の光ファイバFと、レンズL1とを備えている。
【0032】
複数の光ファイバFは、シングルモードファイバ又はマルチモード光ファイバ(例えば、ステップインデックス型光ファイバ若しくはグレーデッドインデックス型光ファイバ等)である。
【0033】
複数の光ファイバFは、円柱状のコア10と、コア10を覆う円筒状のクラッド20とを有する。コア10は、光信号に対して光透過性を有する(例えば、透明又は半透明である)ガラス、シリコン樹脂又はアクリル樹脂等で構成されている。クラッド20は、光信号に対して光透過性を有する(例えば、透明又は半透明である)ガラス、シリコン樹脂、又はアクリル樹脂で構成されている。クラッド20の屈折率は、コア10よりも屈折率が低い(例えば、1%前後低い)。コア10及びクラッド20の屈折率の差によって、コア10内を光信号が伝播するようになっている。なお、前述のガラスとしては、石英ガラスや多成分ガラス等である。アクリル樹脂は、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等である。なお、複数の光ファイバFの光軸AX1(中心軸)が、図2A及び図2Bにおいて破線で示締めされているが、図2Aでは、図示の便宜上、光軸AX1は一つだけ図示されている。
【0034】
複数の光ファイバFは、円筒状の被覆部30を更に有していてもよい。被覆部30は、樹脂等で構成されており且つクラッド20を覆っている。
【0035】
複数の光ファイバFは、第1部F1と、第2部F2とを有している。第1部F1は、複数の光ファイバFのY方向側の先端部である。第1部F1は、Y方向側の端面F11と、外周面F12とを有する。第2部F2は、複数の光ファイバFの第1部F1に対してY’方向側の部分であって、第1部F1に連続している。第2部F2は、外周面F22を有する。第2部F2の外周面F22は、第1部F1の外周面F12からY’方向に延びている。第1部F1及び第2部F2は、被覆部30に覆われていない構成とすることも可能である。換言すると、第1部F1は、コア10及びクラッド20のY方向側の先端部であり、第2部F2は、コア10及びクラッド20の先端部に対してY’方向側の部分としてもよい(図1A図2D及び図4A図4B参照)が、第1部F1は、コア10、クラッド20及び被覆部30のY方向側の先端部であり、第2部F2は、コア10、クラッド20及び被覆部30の先端部に対してY’方向側の部分としてもよい(図示なし)。なお、複数の被覆部30は省略可能である。
【0036】
レンズL1は、レンズ本体100を備えている。レンズ本体100は、複数の光ファイバFによってそれぞれ伝播される光信号を透過する透光性を有する(例えば、透明又は半透明である)樹脂やガラス等で構成されている。レンズ本体100は、樹脂又はガラスを成形したものであってもよいし、樹脂又はガラスを機械加工等によって作成されたものであってもよい。レンズ本体100は、Y方向側の第1面101a、Y’方向側の第2面101b、Z方向側の第3面101c及びZ’方向側の第4面101dを有している。
【0037】
レンズ本体100は、複数のレンズ部110と、複数の保持穴120とを有している。複数のレンズ部110は、複数の光ファイバFの数と同数であってもよい。複数の保持穴120は複数のレンズ部110と同数である。
【0038】
複数のレンズ部110は、複数の保持穴120に対してY方向側に位置するように、レンズ本体100に設けられている。例えば、複数のレンズ部110は、レンズ本体100の第1面101aに設けられていてもよい(図1A図4B参照)し、レンズ本体100の第1面101aにY方向に開放された一又は複数の第1凹部が設けられている場合、複数のレンズ部110は、レンズ本体100の一又は複数の第1凹部の底面に設けられていてもよい(図示なし)。また、複数のレンズ部110は、そのY’方向側の端面が、対応する保持穴120の底面121aを兼ねるように、レンズ本体100に設けられていてもよい(図示なし)。
【0039】
複数のレンズ部110は、Y方向に凸の非球面状(図1A図4B参照)又はY方向に凸の球面状の平凸レンズである。各レンズ部110は、Y’方向から各レンズ部110に入射する光信号を所定の焦点距離で収束し且つY方向から各レンズ部110に入射する光信号を所定の焦点距離で収束する。各レンズ部110は、各レンズ部110に対してY方向側の第1焦点と、各レンズ部110に対してY’方向側の第2焦点とを有する。各レンズ部110の光軸AX2は、各レンズ部110の略中心、第1焦点及び第2焦点を通っている(図2A及び図2B参照)。各レンズ部110は、第2焦点が各レンズ部110に対してY’方向側の保持穴120の底面121a上に位置するように、各レンズ部110の非球面又は球面の形状が設定されていてもよいが、これに限定されるものではない。
【0040】
何れの場合も、説明の便宜上、複数のレンズ部110の光軸AX2をそれぞれ通って仮想線αがY-Y’方向に延びている(図2A及び図2B参照)。なお、図2A及び図2Bにおいて、各レンズ部110の光軸AX2及びこれを通る仮想線αは、互いに重なるため、図示の便宜上、同じ破線で示されている。図2Aでは、図示の便宜上、前述の破線は一つだけ図示されている。
【0041】
複数のレンズ部110は、X-X’方向に間隔をあけて配置されており且つ複数の保持穴120に対してそれぞれY方向側に位置する。複数のレンズ部110が3以上である場合、3以上のレンズ部110は、隣り合う二つのレンズ部110を二組以上含む。二組以上の隣り合う二つのレンズ部110の間隔は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0042】
複数の保持穴120は、Y-Y’方向に延び、Y’方向に開放された円柱状の有底穴であって、レンズ本体100に設けられている。例えば、複数の保持穴120は、レンズ本体100の第2面101bに設けられていてもよい(図1A図4B参照)し、レンズ本体100の第2面101bにY’方向に開放された一又は複数の第2凹部が設けられている場合、複数の保持穴120は、レンズ本体100の一又は複数の第2凹部の底面に設けられていてもよい(図示なし)。なお、Y-Y’方向は、複数の保持穴120の中心軸AX3の軸方向に相当する。
【0043】
複数の保持穴120は、Y方向側の底面121aと、上記底面121aからY’方向に延びた円筒状の周面121bを有する。複数の保持穴120の底面121aは、Z-Z’方向及びX-X’方向に沿って延びたフラット面であってもよい(図1A図4B参照)し、Y方向又はY’方向に凹の曲面状(例えば、Y方向又はY’方向に凹の円錐状であってもよい(図示なし))。複数の保持穴120のリング状の周縁122bは、周面121bのY’方向のリング状の端である。
【0044】
複数の保持穴120は、複数のレンズ部110に対してそれぞれY方向側に位置しており且つ複数の保持穴120の中心軸AX3は、複数の仮想線α上にそれぞれ位置している(図2A及び図2B参照)。
【0045】
複数の保持穴120のZ-Z’方向及びX-X’方向に沿った断面の直径が、複数の光ファイバFの第1部F1のZ-Z’方向及びX-X’方向に沿った断面の外径と略同じである。より具体的には、複数の保持穴120内に複数の光ファイバFの第1部F1がY’方向からそれぞれ挿入されるように、複数の保持穴120のZ-Z’方向及びX-X’方向に沿った断面の直径が、複数の光ファイバFの第1部F1の外径よりも若干大きい(例えば、20~40μm大きい)。複数の保持穴120内に複数の光ファイバFの第1部F1がそれぞれ挿入保持された状態(以下、「挿入保持状態」とも称する。)で、複数の保持穴120の底面121aに複数の光ファイバFの第1部F1の端面F11がそれぞれ当接する。また、複数の保持穴120のZ-Z’方向及びX-X’方向に沿った断面の直径が、複数の光ファイバFの第1部F1の外径よりも若干大きいため、収容保持状態で、複数の保持穴120の周面121bと複数の光ファイバFの第1部F1の外周面F12との間には、若干の間隙が生じているが、複数の光ファイバFの自重によって、複数の保持穴120の周面121bが複数の光ファイバFの第1部F1の外周面F12にそれぞれ部分的に当接する。このような収容保持状態で、複数の光ファイバFの光軸AX1が仮想線α上に位置する(図2A及び図2B参照)。なお、図2A及び図2Bにおいて、各レンズ部110の光軸AX2、これを通る仮想線α及び仮想線α上に位置する光ファイバFの光軸AX1は、互いに重なるため、図示の便宜上、同じの破線で示されている。
【0046】
複数の保持穴120は、穴本体121と、誘い孔122とを有していてもよい。穴本体121は、Y-Y’方向に延びた円柱状の有底穴であって、底面121a及び周面121bを有する。穴本体121のZ-Z’方向及びX-X’方向に沿った断面の直径が、複数の光ファイバFの第1部F1の外径にそれぞれ対応している(略同じである(図2C参照))。誘い孔122は、穴本体121からY’方向に延び且つY’方向に開放された円錐台状の孔であって、周面122aを有している。誘い孔122は、Z-Z’方向及びX-X’方向に沿った断面の直径がY方向にいくにしたがって漸次縮径している。すなわち、誘い孔122の周面122aはテーパー面となっている。この場合、レンズ本体100の複数の保持穴120の周縁122bは、周面121bのY’方向のリング状の端ではなく、誘い孔122の周面122aのY’方向側のリング状の端となる。
【0047】
複数の光ファイバFの第1部F1が誘い孔122から穴本体121内にそれぞれ挿入されるようになっている。この挿入時に、複数の光ファイバFの第1部F1が誘い孔122の周面122aによって、穴本体121内にそれぞれ案内される。穴本体121内に複数の光ファイバFの第1部F1がそれぞれ挿入保持された状態で、穴本体121内の底面121aが複数の光ファイバFの第1部F1の端面F11にそれぞれ当接し且つ穴本体121内の周面121bが複数の光ファイバFの第1部F1の外周面F12にそれぞれ当接する。なお、複数の保持穴120は、穴本体121及び誘い孔122を有するものに限定されず、上記底面121a及び円筒状の周面121bのみを有する有底穴とすることが可能であることに留意されたい。
【0048】
レンズL1は、支持台200を更に備えている。支持台200は、支持台本体210を有している。支持台本体210は、レンズ本体100と同じ素材又は異なる樹脂等で構成されている。支持台本体210は、レンズ本体100と別体とすることが可能である。この場合、支持台本体210は、Y’方向側の第1面210a、Y’方向側の第2面210b、Z方向側の第3面210c及びZ’方向側の第4面210dを有しており、また、支持台200は、固定部220を更に有していてもよい。
【0049】
固定部220は、支持台本体210と同じ素材で構成されており且つ支持台本体210の第1面210aのZ’方向側の部分からY方向に延びた板である。固定部220のY-Y’方向の寸法、X-X’方向の寸法は、レンズ本体100のY-Y’方向の寸法、X-X’方向の寸法と同じとすることが可能であるが、相違していても構わない。固定部220は、Y’方向側の第1面220a、Y’方向側の第2面220b、Z方向側の第3面220c及びZ’方向側の第4面220dを有している。固定部220の第3面220cがレンズ本体100の第4面101dに接着又は溶着等によって固定されており且つ支持台本体210の第1面210aのZ方向側の部分がレンズ本体100の第2面101bに接着又は溶着等によって固定されている。このように固定されることによって、支持台本体210は、レンズ本体100に対してY’方向側に位置している。
【0050】
固定部220の第4面220dは、支持台本体210の第4面210dとZ-Z’方向において同一高さとしてもよい(図2B参照)が、固定部220の第4面220dは、支持台本体210の第4面210dに対してZ方向又はZ’方向側に位置していてもよい(図示なし)。なお、固定部220は省略可能である。この場合、支持台本体210の第1面210aがレンズ本体100の第2面101bに接着又は溶着等によって固定されている。このように固定されることによっても、支持台本体210は、レンズ本体100に対してY’方向側に位置している。
【0051】
支持台本体210は、レンズ本体100の複数の保持穴120に対して少なくとも部分的にZ’方向側に位置している。例えば、支持台本体210は、(1)第3面210cが、レンズ本体100の第3面101cよりもZ’方向側に位置し且つ複数の保持穴120の周縁122bのZ’方向の端よりもZ方向側に位置するようにレンズ本体100に設けられていてもよいし、(2)第3面210cが複数の保持穴120の周縁122bのZ’方向の端とZ-Z’方向において同一高さとなるようにレンズ本体100に設けられていてもよい。
【0052】
支持台本体210には、複数のガイド部211が設けられていてもよい。複数のガイド部211は複数の保持穴120と同数である。複数のガイド部211は、支持台本体210の上に設けられており且つ複数の保持穴120に対してそれぞれY’方向側に位置している。なお、以下、説明の便宜上、各ガイド部211に対してY’方向側の保持穴120を、「対応する保持穴120」とも称し、対応する保持穴120に挿入保持される光ファイバを、「対応する光ファイバF」とも称する。
【0053】
(3)支持台本体210が上記(1)の構成を有する場合、各ガイド部211は、支持台本体210の第3面210c上に設けられ、対応する保持穴120からY’方向に延びた長溝であって、Z方向に開放されると共に、Y’方向に開放されている。各ガイド部211のZ-Z’方向及びX-X’方向に沿った断面は、円弧状(図2D及び図3A図4B参照)、V字状(図5A参照)又は略U字状(角丸のU字状(図5B参照)又は凹字状(角張った略U字状(図5C参照)))とすることが可能である。各ガイド部211のY-Y’方向の寸法M2及び支持台本体210のY-Y’方向の寸法M3(支持台本体210の第1面210aから第2面210bまでのY-Y’方向の直線距離)は、対応する保持穴120のY-Y’方向の寸法M1よりも大きくすることが可能であるが、同じであってもよいし、小さくてもよい。
【0054】
(3-1)各ガイド部211が、前記断面が円弧状の溝である場合、各ガイド部211は、各溝の底面211aを有し、この底面211aが、Y’方向から見て、対応する保持穴120の周縁122bのZ’方向側の部分に沿って湾曲している。換言すると、各ガイド部211の前記断面に示される円弧状の曲線が、対応する保持穴120の周縁122bのZ’方向側の部分に沿って延びている(図2C図2D及び図3A図3B参照)。各ガイド部211の前記断面に示される曲線の弧長が1/2以下の円弧状(図2D図3図4A及び図4Bでは、各ガイド部211の前記断面は、その弧長が周縁122bの全円弧長に対して1/2の円弧状(半円弧状))である。各ガイド部211は、底面211aのX方向側及びZ方向側の第1エッジ211a1と、底面211aのX’方向側及びZ方向側の第2エッジ211a2とを更に有している。
【0055】
各ガイド部211のX-X’方向の寸法は、対応する保持穴120の周縁122bのX-X’方向の寸法(直径)と略同じとすることが可能である。この場合、対応する保持穴120の周縁122bは、対応する保持穴120の周面121bのY’方向のリング状の端であってもよいし、対応する保持穴120の誘い孔122の周面122aのY’方向側のリング状の端であってもよい。各ガイド部211の底面211aは、Y’方向側から見て、対応する保持穴120の周縁122bのZ’方向側の部分に重なるように湾曲しており、各ガイド部211の第1エッジ211a1は、Y’方向側から見て、対応する保持穴120の周縁122bのX方向側の第1点122b1上に位置し、且つ各ガイド部211の第2エッジ211a2は、Y’方向側から見て、対応する保持穴120の周縁122bのX’方向側の第2点122b2上に位置する(図3A及び図3B参照)。
【0056】
又は、各ガイド部211のX-X’方向の寸法は、対応する保持穴120の周縁122bのX-X’方向の寸法(直径)よりも小さくすることが可能である。この場合、対応する保持穴120の周縁122bは、対応する保持穴120の誘い孔122の周面122aのY’方向側のリング状の端である。各ガイド部211の底面211aは、Y’方向側から見て、対応する保持穴120の周縁122bと対応する保持穴120の周面121bとの間に位置し、各ガイド部211の第1エッジ211a1は、Y’方向側から見て、対応する保持穴120の周縁122bよりもX’方向側に位置し且つ対応する保持穴120の周面121bよりもX方向側に位置し、且つ各ガイド部211の第2エッジ211a2のY方向側の端は、対応する保持穴120の周縁122bよりもX方向側に位置し且つ対応する保持穴120の周面121bよりもX’方向側に位置する。
【0057】
何れの態様の場合も、各ガイド部211内に対応する光ファイバFの第1部F1が挿入され、対応する光ファイバFの第1部F1が各ガイド部211の底面211aにZ’方向側、X方向側及びX’方向側から当接されつつ、対応する光ファイバFの第1部F1が各ガイド部211によってY-Y’方向に沿って対応する保持穴120に案内される。また、対応する光ファイバFの第1部F1が対応する保持穴120内に挿入保持された状態で、対応する光ファイバFの第2部F2が各ガイド部211内に挿入される。これにより、各ガイド部211の底面211aが、対応する光ファイバFの第2部F2に対してZ’方向側から当接して支持すると共に、各ガイド部211の底面211aが対応する光ファイバFの第2部F2に対してX方向側及びX’方向側に間隙を有して配置されることによって、対応する光ファイバFの第2部F2に対してX方向側及びX’方向側から位置規制する。
【0058】
(3-2)各ガイド部211が、前記断面がV字状の溝である場合(図5A参照)、各ガイド部211は、各溝の第1底面211b1及び第2底面211b2を有し、第1底面211b1と第2底面211b2は、第1底面211b1及び第2底面211b2のX-X’方向の間隔が第1底面211b1及び第2底面211b2のZ’方向の端から第1底面211b1及び第2底面211b2のZ方向の端にかけてZ方向にいくにしたがって漸次拡大するように傾斜している。各ガイド部211の第1底面211b1及び第2底面211b2は、Z’方向側の端と、Z方向側の端と、Z’方向側の端とZ方向側の端との間の中間地点を有する。各ガイド部211の第1底面211b1及び第2底面211b2のZ’方向側の端が、互いに接しており、且つ対応する保持穴120の周縁122bのZ’方向の端よりもZ’方向側に位置している(図5A参照)又はZ-Z’方向において同じ高さ位置に位置している。各ガイド部211のZ-Z’方向の寸法(溝の深さ寸法)は、対応する保持穴120の周縁122bのZ-Z’方向の寸法(直径)の1/2未満である。
【0059】
各ガイド部211の第1底面211b1は、Y’方向側から見て、Z方向側の端が対応する保持穴120の周縁122bに対してX方向側に位置し且つ第1底面211b1の中間地点が対応する保持穴120の周縁122bのX方向側の第1点122b1上に位置するようにX方向及びZ方向の成分を含む第1斜め方向に延びており、且つ各ガイド部211の第2底面211b2は、Y’方向側から見て、Z方向側の端が対応する保持穴120の周縁122bに対してX’方向側に位置し且つ第2底面211b2の中間地点が対応する保持穴120の周縁122bのX’方向側の第2点122b2上に位置するようにX’方向及びZ方向の成分を含む第2斜め方向に延びていてもよい。又は、各ガイド部211の第1底面211b1は、Z方向側の端が対応する保持穴120の周縁122bの第1点122b1上に位置するように前記第1斜め方向に延びており、各ガイド部211の第2底面211b2は、Z方向側の端が対応する保持穴120の周縁122bの第2点122b2上に位置するように前記第2斜め方向に延びていてもよい。何れの場合も、対応する保持穴120の周縁122bは、対応する保持穴120の周面121bのY’方向のリング状の端であってもよいし、対応する保持穴120の誘い孔122の周面122aのY’方向側のリング状の端であってもよい。
【0060】
又は、各ガイド部211の第1底面211b1は、Z方向側の端が対応する保持穴120の周縁122bよりもX’方向側に位置し且つ対応する保持穴120の周面121bよりもX方向側に位置するように前記第1斜め方向に延びており、且つ各ガイド部211の第2底面211b2は、Z方向側の端が対応する保持穴120の周縁122bよりもX方向側に位置し且つ対応する保持穴120の周面121bよりもX’方向側に位置するように前記第2斜め方向に延びていてもよい。この場合、対応する保持穴120の周縁122bは、対応する保持穴120の誘い孔122の周面122aのY’方向側のリング状の端である。
【0061】
何れの態様の場合も、各ガイド部211内に対応する光ファイバFの第1部F1が挿入され、対応する光ファイバFの第1部F1が各ガイド部211の第1底面211b1にZ’方向側及びX方向側から当接され且つ対応する光ファイバFの第1部F1が各ガイド部211の第2底面211b2にZ’方向側及びX’方向側から当接されつつ、対応する光ファイバFの第1部F1が各ガイド部211によってY-Y’方向に沿って対応する保持穴120に案内される。また、対応する光ファイバFの第1部F1が対応する保持穴120内に挿入保持された状態で、対応する光ファイバFの第2部F2が各ガイド部211内に挿入される。これにより、各ガイド部211の第1底面211b1が対応する光ファイバFの第2部F2に対してZ’方向側及びX方向側から当接し且つ各ガイド部211の第2底面211b2が対応する光ファイバFの第2部F2に対してZ’方向側及びX’方向側から当接することによって、各ガイド部211が光ファイバFの第2部F2を支持すると共に、対応する光ファイバFの第2部F2に対してX方向側及びX’方向側から位置規制する。
【0062】
(3-3)各ガイド部211が、前記断面が略U字状(図5B及び図5C参照)溝である場合、各ガイド部211は、各溝のX方向側の第1側面211c1と、各溝のX方向側の第2側面211c2と、各溝の底面211aを有している。各ガイド部211の第1側面211c1及び第2側面211c2のZ-Z’方向の寸法(溝の深さ寸法)が、対応する保持穴120の周縁122bのZ-Z’方向の寸法(直径)以下である(図5B及び図5Cでは、各ガイド部211の第1側面211c1及び第2側面211c2のZ-Z’方向の寸法(溝の深さ寸法)は、対応する保持穴120の周縁122bのZ-Z’方向の寸法(直径)の1/2である。)。
【0063】
各ガイド部211のX-X’方向の寸法は、対応する保持穴120の周縁122bのX-X’方向の寸法(直径)と略同じであり、且つ各ガイド部211の底面211aが、対応する保持穴120の周縁122bのZ’方向の端とZ-Z’方向において同一高さに位置することが可能である。この場合、対応する保持穴120の周縁122bは、対応する保持穴120の周面121bのY’方向のリング状の端であってもよいし、対応する保持穴120の誘い孔122の周面122aのY’方向側のリング状の端であってもよい。各ガイド部211の第1側面211c1は、Y’方向側から見て、その一部(例えば、第1側面211c1のZ方向側の端や第1側面211c1のZ方向側の端とZ’方向側の端の間の中間部)が対応する保持穴120の周縁122bのX方向側の端上に位置するようにZ方向に延びており、且つ各ガイド部211の第2側面211c2は、Y’方向側から見て、その一部(例えば、第2側面211c2のZ方向側の端や第2側面211c2のZ方向側の端とZ’方向側の端の間の中間部)が対応する保持穴120の周縁122bのX’方向側の端上に位置するようにZ方向に延びている。
【0064】
又は、各ガイド部211のX-X’方向の寸法は、対応する保持穴120の周縁122bのX-X’方向の寸法(直径)よりも小さく、且つ各ガイド部211の底面211aが、対応する保持穴120の周縁122bのZ’方向の端よりもZ方向側に位置することが可能である。この場合、対応する保持穴120の周縁122bは、対応する保持穴120の誘い孔122の周面122aのY’方向側のリング状の端である。各ガイド部211の第1側面211c1は、Y’方向側から見て、その一部(例えば、第1側面211c1のZ方向側の端や第1側面211c1のZ方向側の端とZ’方向側の端の間の中間部)が対応する保持穴120の周縁122bよりもX’方向側に位置し且つ対応する保持穴120の周面121bよりもX方向側に位置するようにZ方向に延びており、各ガイド部211の第2側面211c2は、Y’方向側から見て、その一部(例えば、第1側面211c1のZ方向側の端や第1側面211c1のZ方向側の端とZ’方向側の端の間の中間部)が対応する保持穴120の周縁122bよりもX方向側に位置し且つ対応する保持穴120の周面121bよりもX’方向側に位置するようにZ方向に延びており、且つ各ガイド部211の底面211aは、Y’方向側から見て、対応する保持穴120の周縁122bのZ’方向側の端よりもZ方向側に位置し且つ対応する保持穴120の周面121bのZ’方向側の端よりもZ’方向側に位置している。
【0065】
何れの態様の場合も、各ガイド部211内に対応する光ファイバFの第1部F1が挿入され、対応する光ファイバFの第1部F1が各ガイド部211の底面211aにZ’方向側から当接され、対応する光ファイバFの第1部F1が各ガイド部211の第1側面211c1にX方向側から当接され且つ対応する光ファイバFの第1部F1が各ガイド部211の第2側面211c2にX’方向側から当接されつつ、対応する光ファイバFの第1部F1が各ガイド部211によってY-Y’方向に沿って対応する保持穴120に案内される。また、対応する光ファイバFの第1部F1が対応する保持穴120内に挿入保持された状態で、対応する光ファイバFの第2部F2が各ガイド部211内に挿入される。これにより、各ガイド部211の底面211aが対応する光ファイバFの第2部F2に対してZ’方向側から当接して支持すると共に、各ガイド部211の第1側面211c1が対応する光ファイバFの第2部F2に対してX方向側に間隙を有して配置され且つ各ガイド部211の第2側面211c2が対応する光ファイバFの第2部F2に対してX’方向側に間隙を有して配置されることによって、対応する光ファイバFの第2部F2に対してX方向側及びX’方向側から位置規制する。
【0066】
(4)支持台本体210が上記(2)の構成を有する場合、各ガイド部211は、支持台本体210の第3面210c上に設けられており且つY-Y’方向に延びた一対の突脈(X方向側の突脈及びX’方向側の突脈)と、一対の突脈間の底面とを有している(図示なし)。各ガイド部211の一対の突脈は、レンズ本体100の第2面101bに接触している。各ガイド部211の一対の突脈のZ-Z’方向の寸法が、対応する保持穴120の周縁122bのZ-Z’方向の寸法(直径)以下である。各ガイド部211のY-Y’方向の寸法M2(一対の突脈のY-Y’方向の寸法)は、対応する保持穴120のY-Y’方向の寸法M1よりも大きくすることが可能であるが、同じであってもよいし、小さくてもよい。
【0067】
各ガイド部211の一対の突脈の間のX-X’方向の距離は、対応する保持穴120の周縁122bのX-X’方向の寸法(直径)と略同じであり、且つ各ガイド部211の底面が、対応する保持穴120の周縁122bのZ’方向の端とZ-Z’方向において同一高さに位置することが可能である。この場合、対応する保持穴120の周縁122bは、対応する保持穴120の周面121bのY’方向のリング状の端であってもよいし、対応する保持穴120の誘い孔122の周面122aのY’方向側のリング状の端であってもよい。各ガイド部211のX方向側の突脈は、Y’方向側から見て、そのX’方向側の内壁面が対応する保持穴120の周縁122bのX方向側の端とX-X’方向において同じ位置に位置するようにZ方向に延びており、各ガイド部211のX’方向側の突脈は、Y’方向側から見て、そのX方向側の内壁面が対応する保持穴120の周縁122bのX’方向側の端とX-X’方向において同じ位置に位置するようにZ方向に延びており、且つ各ガイド部211の底面は、Y’方向側から見て、対応する保持穴120の周縁122bのZ’方向側の端とZ-Z’方向において同じ位置に位置している。
【0068】
又は、各ガイド部211の一対の突脈の間のX-X’方向の距離は、対応する保持穴120の周縁122bのX-X’方向の寸法(直径)よりも小さく、且つ各ガイド部211の底面が、対応する保持穴120の周縁122bのZ’方向の端よりもZ方向側に位置することが可能である。この場合、対応する保持穴120の周縁122bは、対応する保持穴120の誘い孔122の周面122aのY’方向側のリング状の端である。各ガイド部211のX方向側の突脈は、Y’方向側から見て、そのX’方向側の内壁面の一部(例えば、内壁面のZ方向側の端や内壁面のZ方向側の端とZ’方向側の端の間の中間部)が対応する保持穴120の周縁122bよりもX’方向側に位置し且つ対応する保持穴120の周面121bよりもX方向側に位置するようにZ方向に延びており、各ガイド部211のX方向側の突脈は、Y’方向側から見て、そのX’方向側の内壁面の一部(例えば、内壁面のZ方向側の端や内壁面のZ方向側の端とZ’方向側の端の間の中間部)が対応する保持穴120の周縁122bよりもX方向側に位置し且つ対応する保持穴120の周面121bよりもX’方向側に位置するようにZ方向に延びており、且つ各ガイド部211の底面は、Y’方向側から見て、対応する保持穴120の周縁122bのZ’方向側の端よりもZ方向側に位置し且つ対応する保持穴120の周面121bのZ’方向側の端よりもZ’方向側に位置している。
【0069】
何れの態様の場合も、各ガイド部211の一対の突脈間に対応する光ファイバFの第1部F1が挿入され、対応する光ファイバFの第1部F1が各ガイド部211の底面にZ’方向側から当接され、対応する光ファイバFの第1部F1が各ガイド部211のX方向側の突脈にX方向側から当接され且つ対応する光ファイバFの第1部F1が各ガイド部211のX’方向側の突脈にX’方向側から当接されつつ、対応する光ファイバFの第1部F1が各ガイド部211の一対の突脈間によってY-Y’方向に沿って対応する保持穴120に案内される。また、対応する光ファイバFの第1部F1が対応する保持穴120内に挿入保持された状態で、対応する光ファイバFの第2部F2が各ガイド部211内に挿入される。これにより、各ガイド部211の底面が対応する光ファイバFの第2部F2に対してZ’方向側から当接すると共に、各ガイド部211のX方向側の突脈が対応する光ファイバFの第2部F2に対してX方向側に間隙を有して配置され且つ各ガイド部211のX’方向側の突脈が対応する光ファイバFの第2部F2に対してX’方向側に間隙を有して配置されることによって、対応する光ファイバFの第2部F2に対してX方向側及びX’方向側から位置規制する。
【0070】
複数のガイド部211は省略可能である(図示なし)。この場合、支持台本体210は、上記(2)の構成を有する。対応する光ファイバFの第1部F1が対応する保持穴120内に挿入保持された状態で、支持台本体210の第3面210cが対応する光ファイバFの第2部F2をZ’方向側から支持する。支持台本体210のY-Y’方向の寸法M3は、対応する保持穴120のY-Y’方向の寸法M1よりも大きくすることが可能であるが、同じであってもよいし、小さくてもよい。
【0071】
アッセンブリA1は、上記した何れかの態様の複数の光ファイバFのうちの少なくとも一つ備えていればよい。光ファイバFが一つである場合、アッセンブリA1のレンズL1のレンズ本体100は、一の光ファイバFの第1部F1を挿入保持する上記した何れかの態様の一の保持穴120と、この一の保持穴120に対してY方向側に位置する上記した何れかの態様の一のレンズ部110とを有していればよい。アッセンブリA1のレンズL1のレンズ本体100は、一の保持穴120に対してY方向側に位置する上記した何れかの態様の一のガイド部211を更に有する構成とすることも可能である。この一のガイド部211は省略可能である。
【0072】
アッセンブリA1は、接着部材300を更に備えていてもよい。接着部材300は、熱硬化型の接着剤、光硬化型の接着剤又は常温硬化するその他の接着剤が硬化したものである。一又は複数の光ファイバFの第1部F1が一又は保持穴120に挿入保持された状態(以下、これも、「挿入保持状態」とも称する。)で、接着部材300は、一又は複数の光ファイバFの第2部F2を支持台本体210に接着する。
【0073】
上記挿入保持状態で、接着部材300は、一又は複数の光ファイバFの第2部F2上及び支持台本体210の第3面210c上に設けられている。この場合、接着部材300は、一又は複数の光ファイバFの第2部F2を支持台本体210の第3面210cに接着している。
【0074】
一又は複数のガイド部211が設けられている場合、上記挿入保持状態で、接着部材300は、一又は複数のガイド部211上にも設けられているとよい。例えば、一又は複数のガイド部211が上記(3-1)の溝である場合、接着部材300の一部が、一又は複数のガイド部211の底面211a、と一又は複数の光ファイバFの第2部F2との間に介在している。一又は複数のガイド部211が上記(3-2)の溝である場合、接着部材300の一部が、一又は複数のガイド部211の第1底面211b1及び第2底面211b2、と一又は複数の光ファイバFの第2部F2との間に介在している。一又は複数のガイド部211が上記(3-3)の溝である場合、接着部材300の一部が、一又は複数のガイド部211の底面211a、第1側面211c1及び第2側面211c2と一又は複数の光ファイバFの第2部F2との間に介在している。一又は複数のガイド部211が上記(4)の一対の突脈を有する場合、接着部材300の一部が、一又は複数のガイド部211の一対の突脈間の底面及び一対の突脈の内壁面と一又は複数の光ファイバFの第2部F2との間に介在している。何れの場合も、接着部材300は、一又は複数の光ファイバFの第2部F2を支持台本体210の第3面210cだけでなく、一又は複数の光ファイバFの第2部F2を一又は複数のガイド部211にも接着している。
【0075】
上記挿入保持状態で、接着部材300は、一又は複数の光ファイバFの第2部F2上及び支持台本体210の第3面210c上、又は、一又は複数の光ファイバFの第2部F2上、一又は複数のガイド部211上及び支持台本体210の第3面210c上に加えて、レンズ本体100の第2面101b上に設けられていてもよい。この場合、接着部材300は、レンズ本体100の第2面101bにも接着している。更に、接着部材300の別の一部は、一又は複数の光ファイバFの第1部F1の外周面F12と一又は保持穴120の周面121bとの間に入り込んで、一又は複数の光ファイバFの第1部F1の外周面F12と一又は保持穴120の周面121bとを接着していてもよい。
【0076】
接着部材300のY-Y’方向の寸法は、支持台本体210のY-Y’方向の寸法M2と同じ又は小さくするとよいが、これに限定されるものではない。接着部材300のX-X’方向の寸法は、支持台本体210のX-X’方向の寸法と同じ又は小さくするとよいが、これに限定されるものではない。接着部材300のZ方向側の端面は、レンズ本体100の第3面101cとZ-Z’方向において同じ高さ位置又はレンズ本体100の第3面101cに対してZ’方向側に位置しているとよいが、これに限定されるものではない。
【0077】
接着部材300は、レンズ本体100及び支持台200の少なくとも一方の色と異なる色に着色されていてもよいが、レンズ本体100及び支持台200と同じ色であっても構わない。
【0078】
以下、上記したアッセンブリA1の製造方法について詳しく説明する。
【0079】
まず、レンズ本体100と別体の支持台200を用意する。レンズ本体100には、一又は複数のレンズ部110及び一又は複数の保持穴120が設けられており、且つ支持台200の支持台本体210には一又は複数のガイド部211が設けられている。一又は複数のガイド部211が一又は複数の保持穴120に対してY’方向側に位置するように位置合わせをしつつ、支持台200の固定部220の第3面220cをレンズ本体100の第4面101dに接着又は溶着等によって固定させると共に、支持台200の支持台本体210の第1面210aのZ方向側の部分をレンズ本体100の第2面101bに接着又は溶着等によって固定させる。これにより、支持台本体210が、レンズ本体100に対してY’方向側に配置される。このように互いに固定されたレンズ本体100及び支持台200を専用の搬送用治具に固定する。
【0080】
なお、レンズ本体100に支持台200を固定せずに、支持台200の固定部220の第3面220c及び支持台200の支持台本体210の第1面210aのZ方向側の部分に接着剤を塗布し、一又は複数のガイド部211が一又は複数の保持穴120に対してY’方向側に位置するように位置合わせをしつつ、支持台200の固定部220の第3面220cをレンズ本体100の第4面101dに接着剤を介して接触させると共に、支持台200の支持台本体210の第1面210aのZ方向側の部分をレンズ本体100の第2面101bに接着剤を介して接触させる。このように固定されていない状態でレンズ本体100及び支持台200を専用の搬送用治具に固定してもよい。
【0081】
一又は複数の光ファイバFを用意する。一又は複数の光ファイバFの第1部F1を、Y’方向側から一又は複数のガイド部211内に挿入してY-Y’方向に移動させる。これにより、一又は複数の光ファイバFの第1部F1が、一又は複数のガイド部211によって、一又は複数の保持穴120に案内され、一又は複数の保持穴120に挿入される。この挿入時、一又は複数の光ファイバFに対してZ方向側から図示しない当て具を押し当ててもよい。すなわち、挿入時に一又は複数の光ファイバFが一又は複数のガイド部211と当て具とでZ-Z’方向において挟持される。一又は複数の光ファイバFの第1部F1が、一又は複数の保持穴120に挿入されると、一又は複数の光ファイバFの第1部F1の端面F11が、一又は複数の保持穴120の底面121aに当接し且つ一又は複数の光ファイバFの第1部F1の外周面F12が、一又は複数の保持穴120の周面121bに部分的に当接し、これにより、一又は複数の光ファイバFの第1部F1が一又は複数の保持穴120に保持される。これと共に、一又は複数の光ファイバFの第2部F2が、一又は複数のガイド部211内に挿入されて上記何れかのとおりに支持される。この状態で、一又は複数の光ファイバFを光軸AX2に沿って延びるように上記搬送用治具に固定する。一又は複数の保持穴120が誘い孔122を有する場合、一又は複数の光ファイバFが上記搬送用治具に固定されることによって、一又は複数の光ファイバFの第2部F2と一又は複数のガイド部211との間に間隙が生じるが、一又は複数の保持穴120が誘い孔122を有さない場合、一又は複数の光ファイバFが上記搬送用治具に固定されることによって、一又は複数の光ファイバFの第2部F2が一又は複数のガイド部211の底面に当接した状態が維持される。
【0082】
なお、一又は複数のガイド部211が省略される場合、一又は複数の光ファイバFの第1部F1が一又は複数のガイド部211にガイドされる工程が省略され、且つ、一又は複数の光ファイバFの第1部F1の端面F11が、一又は複数の保持穴120の底面121aに当接し、且つ一又は複数の光ファイバFの第1部F1の外周面F12が、一又は複数の保持穴120の周面121bに当接したときに、一又は複数の光ファイバFの第2部F2が、一又は複数のガイド部211内に挿入される代わりに、支持台本体210の第3面210cに支持される。上記挿入時、一又は複数の光ファイバFに対してZ方向側から図示しない当て具を押し当てる場合、一又は複数の光ファイバFが支持台本体210と当て具とでZ-Z’方向において挟持されることになる。一又は複数の保持穴120が誘い孔122を有する場合、一又は複数の光ファイバFが上記搬送用治具に固定されることによって、一又は複数の光ファイバFの第2部F2と支持台本体210の第3面210cとの間に間隙が生じるが、一又は複数の保持穴120が誘い孔122を有さない場合、一又は複数の光ファイバFが上記搬送用治具に固定されることによって、一又は複数の光ファイバFの第2部F2が支持台本体210の第3面210cに当接した状態が維持される。
【0083】
一又は複数の光ファイバFを上記搬送用治具に固定された状態で、レンズL1の一又は複数のレンズ部110に対して光信号を送信してレンズLの不良を排除する検査を行うことも可能である。
【0084】
その後、上記した何れかの接着剤を用意する。その後、接着剤をレンズ本体100の第2面101b及び支持台本体210の第3面210cで区画される空間に塗布する。換言すると、接着剤をレンズ本体100の第2面101b上、支持台本体210の第3面210c上、一又は複数の光ファイバFの第2部F2上及び一又は複数のガイド部211上に塗布する。このとき、一又は複数の保持穴120が誘い孔122を有する場合、接着剤の一部は、一又は複数のガイド部211と一又は複数の光ファイバFの第2部F2との間に入り込み、接着剤の別の一部は、一又は複数の保持穴120の誘い孔122との間から入り込み、一又は複数の光ファイバFの第1部F1の外周面F12とレンズ本体100の第2面101bの一又は複数の保持穴120の穴本体121との間の間隙に毛細管現象にって更に入り込む。一又は複数の保持穴120が誘い孔122を有しない場合、接着剤の一部は、一又は複数のガイド部211と一又は複数の光ファイバFの第2部F2との間に入り込み、接着剤の別の一部は、一又は複数の光ファイバFの第1部F1の外周面F12とレンズ本体100の第2面101bの一又は複数の保持穴120との間の間隙に毛細管現象によって入り込む。
【0085】
接着剤が熱硬化型である場合、レンズ本体100、支持台200、一又は複数の光ファイバF、接着剤及び搬送用治具を加熱装置内に移動させてレンズ本体100、支持台200、一又は複数の光ファイバF、接着剤及び搬送用治具を所定温度で加熱して接着剤を熱硬化させる。これにより、接着剤が接着部材300となって、レンズ本体100の第2面101b、支持台本体210の第3面210c、一又は複数のガイド部211及び一又は複数の光ファイバFの第2部F2に固定され、且つ、一又は複数の光ファイバFの第2部F2をレンズ本体100の第2面101b、支持台本体210の第3面210c及び一又は複数のガイド部211に接着する。これと共に、接着部材300の上記の通りに入り込んだ部分が、一又は複数の光ファイバFの第1部F1の外周面F12と一又は複数の保持穴120の周面121bとを接着する。なお、接着剤が、光硬化型の接着剤である場合、レンズ本体100、支持台200、一又は複数の光ファイバF、接着剤及び搬送用治具を加熱装置ではなく、光照射装置内に移動させて接着剤にUV光等の光を照射させて硬化させて接着剤を接着部材300としてもよい。その他の接着剤も、周知の方法で硬化させて接着部材300としてもとよい。
【0086】
なお、固定されていない状態でレンズ本体100及び支持台200が専用の搬送用治具に固定されている場合、支持台200の固定部220の第3面220cをレンズ本体100の第4面101dに接着させる接着剤と、接着部材300となる支持台200の支持台本体210の第1面210aのZ方向側の部分をレンズ本体100の第2面101bに接着させる接着剤とを、接着部材300となる接着剤と共に、上記何れかの通りに硬化させるとよい。
【0087】
一又は複数のガイド部211が省略される場合、接着剤を塗布する際に、接着剤を、レンズ本体100の第2面101b、支持台本体210の第3面210c及び一又は複数の光ファイバFの第2部F2上に塗布するとよい。接着部材300が、レンズ本体100の第2面101bに固定されない場合、接着剤を塗布する際に、接着剤がレンズ本体100の第2面101bに付着しないようにすればよい。この場合、接着剤の別の一部は、一又は複数の光ファイバFの第1部F1の外周面F12とレンズ本体100の第2面101bの一又は複数の保持穴120との間の間隙に入り込まない。
【0088】
接着剤を硬化させる前に、接着剤中の気泡を除去するために、レンズ本体100、支持台200、一又は複数の光ファイバF、接着剤及び搬送用治具を真空装置に入れて接着剤に対する脱泡処理を行ってもよいが、これに限定されるものではない。
【0089】
以上のようなアッセンブリA1及びレンズL1は、以下の技術的特徴及び効果を奏する。
「第1技術的特徴及び効果」
一又は複数の光ファイバFのレンズL1に対する取り付け作業性が向上する。その理由は以下のとおりである。第1に、レンズL1の一又は複数の保持穴120の中心軸が、レンズL1の一又は複数のレンズ部110の光軸AX2を通ってY-Y’方向に延びた仮想線α上に位置している。一又は複数のガイド部211が設けられている場合、一又は複数の光ファイバFの第1部F1をレンズL1の一又は複数の保持穴120内に挿入保持された状態で、一又は複数の光ファイバFの第1部F1の端面F11が一又は複数の保持穴120の底面121aに当接し、一又は複数の光ファイバFの第1部F1の外周面F22が一又は複数の保持穴120の周面121bに当接し且つ一又は複数の光ファイバFの第2部F2が、上記(3-1)、(3-2)、(3-3)又は(4)のとおりに、各ガイド部211によって支持すると共に、X方向側及びX’方向側から位置規制する。一又は複数のガイド部211が設けられていない場合、一又は複数の光ファイバFの第1部F1をレンズL1の一又は複数の保持穴120内に挿入保持された状態で、一又は複数の光ファイバFの第1部F1の端面F11が一又は複数の保持穴120の底面121aに当接し、一又は複数の光ファイバFの第1部F1の外周面F22が一又は複数の保持穴120の周面121bに当接し且つ支持台本体210の第3面210cによってZ’方向側から支持される。何れの場合も、接着剤を硬化させる前に、一又は複数の光ファイバFが自重によって一又は複数の保持穴120から抜け落ちたり、一又は複数の光ファイバFの光軸AX1が傾いたり、一又は複数の光ファイバFの光軸AX1が一又は複数の保持穴120の中心軸からズレたりする可能性が低減されるので、その結果として、一又は複数の光ファイバFの光軸AX1をレンズL1の一又は複数のレンズ部110の光軸AX2に一致させ易くなる。第2に、一又は複数の光ファイバFの第1部F1がレンズL1の一又は複数の保持穴120内に挿入保持された状態で、一又は複数の光ファイバFの第1部F1の端面F11が一又は複数の保持穴120の底面121aに当接して位置決めできるので、接着剤を硬化させる前に、レンズL1に振動等が付与されたとしても、一又は複数の光ファイバFがY方向に移動しない。以上のことから、一又は複数の光ファイバFのレンズL1に対する取り付け作業性が向上する。
【0090】
「第2技術的特徴及び効果」
アッセンブリA1及びレンズL1を使用した光通信特性の信頼性の劣化を抑制することができる。その理由は以下の通りである。上記第1技術的特徴及び効果に記載したとおり、一又は複数の光ファイバFの光軸AX1をレンズL1の一又は複数のレンズ部110の光軸AX2に容易に一致させることができ、接着剤を硬化させる前に、一又は複数の光ファイバFが自重によって一又は複数の保持穴120から抜け落ちたり、一又は複数の光ファイバFの光軸AX1が傾いたり、一又は複数の光ファイバFの光軸AX1が一又は複数の保持穴120の中心軸からズレたりする可能性が低減される。また、一又は複数のレンズ部110の第2焦点が一又は複数の保持穴120の底面121a上に位置している場合、上記第1技術的特徴及び効果に記載したとおり、一又は複数の光ファイバFの第1部F1がレンズL1の一又は複数の保持穴120内に挿入保持された状態で、一又は複数の光ファイバFがY方向に移動しないので、一又は複数の光ファイバFがY方向に移動して、一又は複数の光ファイバFの端面F11が一又は複数の保持穴120の底面121a上の一又は複数のレンズ部110の第2焦点から位置ずれすることを要因として、アッセンブリA1及びレンズL1を使用した光通信時の光量損失が生じる可能性が軽減される。
【0091】
「第3技術的特徴及び効果」
一又は複数のガイド部211が設けられており、且つ一又は複数のガイド部211のY-Y’方向の寸法M2及び支持台本体210のY-Y’方向の寸法M3が、一又は複数の保持穴120のY-Y’方向の寸法M1よりも大きい場合、一又は複数の光ファイバFの第1部F1がレンズL1の一又は複数の保持穴120内に挿入保持された状態で、一又は複数の光ファイバFの第2部F2が一又は複数のガイド部211にZ’方向、X方向、X’方向側からより安定的に支持される。一又は複数のガイド部211が設けられておらず且つ支持台本体210のY-Y’方向の寸法M3は、一又は複数の保持穴120のY-Y’方向の寸法M1よりも大きい場合、一又は複数の光ファイバFの第2部F2が支持台本体210にZ’方向側からより安定的に支持される。何れの場合も、一又は複数の光ファイバFの第2部F2が安定的に支持されることによって、一又は複数の光ファイバFが自重によって一又は複数の保持穴120から抜け落ちたり、一又は複数の光ファイバFの光軸AX1が傾いたり、一又は複数の光ファイバFの光軸AX1が一又は複数の保持穴120の中心軸からズレたりする可能性がより低減される。その結果として、一又は複数の光ファイバFの光軸AX1をレンズL1の一又は複数のレンズ部110の光軸AX2により一致させ易くなる。しかも、支持台本体210のY-Y’方向の寸法M3が、一又は複数の保持穴120のY-Y’方向の寸法M1よりも大きくすることによって、支持台本体210の第3面210cの面積(すなわち、接着代の面積)を増大させることができるので、接着部材300に対する接着強度が向上する。
【0092】
「第4技術的特徴及び効果」
接着部材300が一又は複数の光ファイバFの第2部F2上及び支持台本体210の第3面210cだけでなく、レンズ本体100の第2面101bにも接着している場合、接着部材300の接着強度が向上する。
【0093】
「第5技術的特徴及び効果」
接着部材300がレンズ本体100及び支持台200の少なくとも一方の色と異なる色に着色されている場合、アッセンブリA1を電子機器のハウジング内に組み込むときに、誤ってアッセンブリA1をZ-Z’方向において逆向きでハウジングに組み込んでしまうことを抑制できる。アッセンブリA1が複数のレンズ部110を有している場合、誤ってアッセンブリA1をZ-Z’方向において逆向きでハウジングに組み込んでしまうことによる誤接続も抑制できる。
【0094】
「第6技術的特徴及び効果」
一又は複数の光ファイバFの第1部F1及び第2部F2が被覆部30に覆われていない場合、一又は複数の光ファイバFの第1部F1の外径の寸法精度は、第1部F1及び第2部F2が被覆部30に覆われている場合の第1部F1の外径の寸法精度よりも高い。このため、被覆部30に覆われていない一又は複数の光ファイバFの第1部F1が一又は複数の保持穴120に挿入保持されることで、一又は複数の光ファイバFの光軸AX1をレンズL1の一又は複数のレンズ部110の光軸AX2に一致させる精度を向上させることができる。
【0095】
「第7技術的特徴及び効果」
接着部材300のY-Y’方向の寸法が、支持台本体210のY-Y’方向の寸法M2と同じ又は小さく、接着部材300のX-X’方向の寸法は、支持台本体210のX-X’方向の寸法と同じ又は小さく且つ接着部材300のZ方向側の端面が、レンズ本体100の第3面101cとZ-Z’方向において同じ高さ位置又はレンズ本体100の第3面101cに対してZ’方向側に位置している場合、接着部材300が、レンズ本体100の第2面101bと支持台本体210の第3面210cによって区画される空間内に収まるように配置されているので、アッセンブリA1を電子機器のハウジング内に組み込むときに、レンズ本体100の外面及び/又は支持台本体210の外面を位置基準面としてハウジング内に組み込むことができる。
【0096】
「第8技術的特徴及び効果」
支持台200がレンズ本体100と別体である場合、外形が異なる複数種類の支持台200を予め用意しておき、複数種類の支持台200のうちの一つをレンズ本体100に上記した何れかのとおりに固定することによって、レンズ本体100の一又は複数のレンズ部110の光軸AX2と一又は複数の保持穴120の中心軸との位置合わせを行うことなく、レンズL1の外形を変更することが可能になる。
【実施例0097】
以下、本発明の実施例2及びその設計変形例を含む複数の実施例に係るレンズと光ファイバのアッセンブリA2について、図6A図8Bを参照しつつ説明する。図6A図8Bには、実施例2のアッセンブリA2が示されている。図6A図7B及び図8A図8Bには、アッセンブリA1と同様に、Y-Y’方向が示されている。図6A図6B図7B及び図8A図8Bには、アッセンブリA1と同様に、Z-Z’方向が示されている。図6A図7A及び図8A図8Bには、アッセンブリA1と同様に、X-X’方向が示されている。
【0098】
アッセンブリA2は、レンズL2の支持台200’の支持台本体210’がレンズ本体100と一体化されることによって支持台本体210’がレンズ本体100に固定されている点で、アッセンブリA1と相違する以外、アッセンブリA1と略同じ構成とすることが可能である。以下、その相違点についてのみ詳しく説明し、アッセンブリA1の説明と重複する説明は省略する。
【0099】
レンズL2の支持台本体210’は、レンズ本体100と同じ素材で構成されており且つレンズ本体100の第2面101bからY’方向に延びている。支持台本体210’は、Y’方向側の第2面210b、Z方向側の第3面210c及びZ’方向側の第4面210dを有している。
【0100】
支持台本体210’の第4面210dは、レンズ本体100の第4面101dとZ-Z’方向において同一高さとしてもよい(図7B参照)が、レンズ本体100の第4面101dに対してZ方向又はZ’方向側に位置していてもよい(図示なし)。
【0101】
レンズL2の支持台本体210’には、レンズL1の支持台本体210と同様に、一又は複数のガイド部211が設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。なお、一又は複数のガイド部211が上記(4)の一対の突脈を有する場合、一対の突脈は、レンズL2のレンズ本体100の第2面101bからY’方向に延びている。これ以外の一対の突脈の構成は、上記(4)に記載したとおりである。
【0102】
上記したアッセンブリA2の製造方法は、レンズ本体100に一体化された支持台200’の支持台本体210’を用意するので、上記したアッセンブリA1の製造方法における支持台200の支持台本体210をレンズ本体100に固定する構成が省略される。これ以外については、アッセンブリA2の製造方法は、アッセンブリA1の製造方法と同じである。
【0103】
以上のようなアッセンブリA2は、アッセンブリA1の第1~第7技術的特徴及び効果と同様の技術的特徴及び効果を奏する。
【0104】
「光通信システム」
以下、本発明の実施例に係る光通信システムSについて、図9を参照しつつ説明する。
【0105】
光通信システムSは、オス型コネクタC1と、メス型コネクタC2とを備えている。オス型コネクタC1は、アッセンブリA1又はアッセンブリA2(以下、「第1アッセンブリA1 or A2」と称する。)を備えている。メス型コネクタC2は、アッセンブリA1又はアッセンブリA2(以下、「第2アッセンブリA1 or A2」と称する。)を備えている。
【0106】
オス型コネクタC1の第1アッセンブリA1 or A2のレンズ本体100に接続凸部が設けられていてもよいし、オス型コネクタC1が、レンズ本体100を保持する絶縁樹脂製の第1ボディ(図示なし)を更に備えており、第1ボディに接続凸部が設けられていてもよい。メス型コネクタC2の第2アッセンブリA1 or A2のレンズ本体100に接続凹部が設けられていてもよいし、メス型コネクタC2が、レンズ本体100を保持する絶縁樹脂製の第2ボディ(図示なし)を更に備えており、第2ボディに接続凹部が設けられていてもよい。
【0107】
オス型コネクタC1の接続凸部がメス型コネクタC2の接続凹部に嵌合して両者が接続されている。この接続状態で、オス型コネクタC1の第1アッセンブリA1 or A2の一又は複数のレンズ部110と、メス型コネクタC2の第2アッセンブリA1 or A2の一又は複数のレンズ部110とが互いに対向している。これにより、オス型コネクタC1の第1アッセンブリA1 or A2と、メス型コネクタC2の第2アッセンブリA1 or A2との間で光通信を行うことが可能になっている。
【0108】
オス型コネクタC1は、少なくとも一つの第1端子T1を更に備えていてもよい。少なくとも一つの第1端子T1は、一又は複数である。一又は複数の第1端子T1は、その先端部が接続凸部から突出又は露出するように、オス型コネクタC1のレンズ本体100又は第1ボディに保持されている。メス型コネクタC2は、少なくとも一つの第2端子T2を更に備えていてもよい。少なくとも一つの第2端子T2は、一又は複数である。一又は複数の第2端子T2は、その先端部が接続凹部から突出又は露出するように、メス型コネクタC2のレンズ本体100又は第2ボディに保持されている。
【0109】
上記接続状態で、オス型コネクタC1の一又は複数の第1端子T1が、メス型コネクタC2の一又は複数の第2端子T2に接触して電気的に接続される。この場合、オス型コネクタC1と、メス型コネクタC2とは、光通信だけではなく、電気通信も行うことができる。
【0110】
光通信システムSは、オス型コネクタC1及びメス型コネクタC2を備えておらず、上記第1アッセンブリA1 or A2と、第2アッセンブリA1 or A2とを備えた構成とすることが可能である。第1アッセンブリA1 or A2の一又は複数のレンズ部110と、第2アッセンブリA1 or A2の一又は複数のレンズ部110とが互いに対向している。これにより、第1アッセンブリA1 or A2と、第2アッセンブリA1 or A2との間で光通信を行うことが可能になっている。
【0111】
なお、上記したアッセンブリ及びレンズは、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
【0112】
支持台200、200’の支持台本体210、210’の少なくとも一つのガイド部211が上記(3-1)、(3-2)及び(3-3)のうちの何れかの溝である場合、少なくとも一つのガイド部211は、少なくとも一つの保持穴120に対してY-Y’方向に間隔をあけて配置されていてもよい。支持台本体210、210’の少なくとも一つのガイド部211と少なくとも一つの保持穴120との間のY-Y’方向の寸法は、少なくとも一つの光ファイバFの第1部F1の寸法より小さい。支持台本体210、210’の少なくとも一つのガイド部211と少なくとも一つの保持穴120との間には、少なくとも一つのガイド部211によって少なくとも一つの光ファイバFの第1部F1が案内されるときに、少なくとも一つの光ファイバFの第1部F1との干渉をさけるための凹部(図示せず)が設けられているとよい。また、少なくとも一つのガイド部211のZ-Z’方向の寸法(溝の深さ寸法)は、少なくとも一つの光ファイバFの第1部F1をX-X’方向でガイドすることができない極浅い寸法としてもかまわない。
【0113】
支持台200、200’の支持台本体210、210’の少なくとも一つのガイド部211が上記(4)の一対の突脈を有する場合、少なくとも一つのガイド部211の一対の突脈は、レンズ本体100の第2面101bに対してY-Y’方向に間隔をあけて配置されていてもよい。少なくとも一つのガイド部211の一対の突脈とレンズ本体100の第2面101bとの間のY-Y’方向の寸法は、対応する光ファイバFの第1部F1の寸法より小さい。
【0114】
上記した何れかの態様のレンズL1又はL2は、使用時に、少なくとも一つのレンズ部110が光電変換素子や電光変換素子等の電子部品に対向し且つ当該電子部品に光接続するように配置してもよいし、ミラー等に対向するように配置してもよい。
【0115】
上記した何れかの実施例又は設計変形例において、少なくとも一つの光ファイバFが一つであり且つレンズL1又はレンズL2のレンズ本体100の少なくとも一つのレンズ部110及び少なくとも一つの保持穴120が複数であってもよい。複数の保持穴120のうちの一の保持穴120に一の光ファイバFの第1部F1が挿入保持される。少なくとも一つのガイド部211が一又は複数の保持穴120と同数の複数設けられている場合、一の光ファイバFの第1部F1が、一のガイド部211内又は複数のガイド部211のうちの一のガイド部211内に挿入されて、一の保持穴120に案内される。複数の保持穴120のうちの一の保持穴120に一の光ファイバFの第1部F1が挿入保持された状態で、一の光ファイバFの第2部F2が、上記(3-1)、(3-2)、(3-3)又は(4)のとおり、一のガイド部211内又は複数のガイド部211のうちの一のガイド部211によってZ’方向側から支持されると共に、X方向側及びX’方向側から位置規制される又はZ’方向側、X方向側及びX’方向側から支持される。この場合も、一のガイド部211又は複数のガイド部211は省略可能である。
【0116】
上記した何れかの実施例又は設計変形例において、少なくとも一つの光ファイバFが複数であり且つレンズL1又はレンズL2のレンズ本体100の少なくとも一つのレンズ部110及び少なくとも一つの保持穴120が複数の光ファイバFよりも多い数の複数であってもよい。全ての保持穴120のうちの複数(全ての保持穴120の数よりも少なく且つ複数の光ファイバFと同数の複数)の保持穴120に、複数の光ファイバFの第1部F1がそれぞれ挿入保持される。少なくとも一つのガイド部211が複数の保持穴120と同数の複数設けられている場合、複数の光ファイバFの第1部F1が、全てのガイド部211のうちの複数(全ての保持穴120の数よりも少なく且つ複数の光ファイバFと同数の複数)のガイド部211内にそれぞれ挿入されて、全ての保持穴120のうちの複数(全ての保持穴120の数よりも少なく且つ複数の光ファイバFと同数の複数)の保持穴120にそれぞれ案内される。全ての保持穴120のうちの複数(全ての保持穴120の数よりも少なく且つ複数の光ファイバFと同数の複数)の保持穴120に、複数の光ファイバFの第1部F1がそれぞれ挿入保持された状態で、複数の光ファイバFの第2部F2が、上記(3-1)、(3-2)、(3-3)又は(4)のとおり、全てのガイド部211のうちの複数(全ての保持穴120の数よりも少なく且つ複数の光ファイバFと同数の複数)のガイド部211によってZ’方向側からそれぞれ支持されると共に、X方向側及びX’方向側からそれぞれ位置規制される又はZ’方向側、X方向側及びX’方向側からそれぞれ支持される。この場合も、複数のガイド部211は省略可能である。
【0117】
上記したアッセンブリA1又はA2は、一又は複数の光ファイバFのY方向側の第1部F1及び第2部F2に一又は複数のレンズL1又はL2が取り付けられた構成に限定されるものではなく、Y’方向側の第1部F1及び第2部F2にも一又は複数のレンズL1又はL2が取り付けられた構成とすることが可能である。アッセンブリA1又はA2は、一又は複数の光ファイバFのY方向側の第1部F1及び第2部F2に取り付けられたレンズL1又はL2の数と、アッセンブリA1又はA2は、一又は複数の光ファイバFのY’方向側の第1部F1及び第2部F2に取り付けられたレンズL1又はL2の数とが一致していてもよいし、相違していてもよい。なお、Y’方向側の第1部F1は、一又は複数の光ファイバFのY’方向側の端面F11を有する以外、Y方向側の第1部F1と同様の構成であり、Y’方向側の第2部F2は、一又は複数の光ファイバFのY’方向側の第1部F1に対してY方向側に位置する部分である以外、Y方向側の第2部F2と同様の構成である。
【符号の説明】
【0118】
A1、A2:アッセンブリ
F:光ファイバ
10:コア 20:クラッド 30:被覆部 F1:第1部 F11:端面 F12:外周面 F2:第2部 F22:外周面 AX1:光ファイバの光軸
L1、L2:レンズ
100:レンズ本体 101a:第1面 101b:第2面 101c:第3面 101d :第4面 110:レンズ部 120:保持穴 121:穴本体 121a:底面 121b:周面 122:誘い孔 122a:誘い孔の周面 122b:周縁 AX2:レンズ部の光軸
200、200’:支持台 210、210’:支持台本体 210a:第1面 210b:第2面 210c:第3面 210d:第4面 211:ガイド部 220:固定部 220a:第1面 220b:第2面 220c:第3面 220d:第4面
300:接着部材
α:仮想線
S:光通信システム
C1:オス型コネクタ C2:メス型コネクタ
A1 or A2:第1アッセンブリ又は第2アッセンブリ
T1:第1端子 T2:第2端子
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9