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特開2023-167268冷却装置、射出成形機、制御装置、および冷却システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167268
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】冷却装置、射出成形機、制御装置、および冷却システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20231116BHJP
   B29C 45/03 20060101ALI20231116BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20231116BHJP
   B29C 35/16 20060101ALI20231116BHJP
   B29C 45/78 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/03
H05K7/20 H
B29C35/16
B29C45/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078319
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩村 淳史
【テーマコード(参考)】
4F203
4F206
5E322
【Fターム(参考)】
4F203AK02
4F203DA04
4F203DC03
4F203DK08
4F203DM23
4F206AM14
4F206AM19
4F206AM22
4F206AP08
4F206AP10
4F206JA07
4F206JL07
4F206JP15
4F206JQ90
4F206JT32
5E322AB10
5E322BB03
5E322BB05
5E322EA11
(57)【要約】
【課題】冷却器の交換に関するユーザの負担を低減する。
【解決手段】冷却装置200は、第1サーボアンプ531を冷却する第1ファン541と、第2サーボアンプ532を冷却する第2ファン542と、制御装置40とを備える。制御装置40は、第1ファン541の劣化度が第2ファン542の劣化度よりも大きいことに基づく条件が成立したときに、第1ファン541と、第2ファン542とを入替えるための入替処理を実行する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1対象物を冷却する第1冷却器と、
第2対象物を冷却する第2冷却器と、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第1冷却器の劣化度が前記第2冷却器の劣化度よりも大きいことに基づく条件が成立したときに、前記第1冷却器と前記第2冷却器とを入替えるための入替処理を実行する、冷却装置。
【請求項2】
前記入替処理は、前記第1冷却器と前記第2冷却器とを入替えることをユーザに促進する処理である、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記冷却装置は、前記第1冷却器と前記第2冷却器とを入替える入替機構をさらに備え、
前記入替処理は、前記入替機構を制御することにより、前記第1冷却器と前記第2冷却器とを自動的に入替える処理である、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記条件は、前記第1冷却器の劣化度が前記第2冷却器の劣化度よりも先に第1値に到達するという条件を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記制御装置は、定期的に前記第1冷却器の劣化度と前記第2冷却器の劣化度とを比較し、
前記条件は、前記比較で、前記第1冷却器の劣化度が前記第2冷却器の劣化度よりも大きいという条件を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記条件は、前記制御装置がユーザ入力を受付けるという条件を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記入替処理を実行した後、前記第1冷却器の劣化度または前記第2冷却器の劣化度が第2値に到達した場合に、前記第1冷却器および前記第2冷却器を新たな冷却器に交換するための交換処理を実行する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記交換処理は、前記第1冷却器および前記第2冷却器を新たな冷却器に交換することをユーザに促進する処理である、請求項7に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記冷却装置は、第3対象物を冷却する第3冷却器をさらに備え、
前記条件が成立したときにおける前記第2冷却器の劣化度は、前記第3冷却器の劣化度よりも低い、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項10】
前記第1冷却器および前記第2冷却器は、ともに、ファンであり、
前記第1冷却器の劣化度および前記第2冷却器の劣化度は、前記ファンの総回転数または総回転時間を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項11】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の冷却装置と、
第1モータおよび第2モータと、
前記第1モータを駆動する第1サーボアンプと、
前記第2モータを駆動する第2サーボアンプとを備え、
前記第1対象物は、前記第1サーボアンプであり、
前記第2対象物は、前記第2サーボアンプである、射出成形機。
【請求項12】
第1対象物を冷却する第1冷却器の劣化度および第2対象物を冷却する第2冷却器の劣化度を取得するインターフェイスと、
プロセッサとを備え、
前記プロセッサは、前記第1冷却器の劣化度が前記第2冷却器の劣化度よりも大きいことに基づく条件が成立したときに、前記第1冷却器と前記第2冷却器とを入替えるための入替処理を実行する、制御装置。
【請求項13】
第1対象物を冷却する第1冷却器を有する第1装置と、
第2対象物を冷却する第2冷却器を有する第2装置と、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第1冷却器の劣化度が前記第2冷却器の劣化度よりも大きいことに基づく条件が成立したときに、前記第1冷却器と前記第2冷却器とを入替えるための入替処理を実行する、冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却装置、射出成形機、制御装置、および冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2011-222808号公報(特許文献1)には、射出成形機に用いられるサーボアンプを冷却するための冷却器が開示されている。冷却器は、発熱するサーボアンプを冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-222808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、冷却器の交換について鑑みられていなかった。したがって、冷却器の交換に関するユーザの負担が増大する問題が生じ得る。
【0005】
この発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、冷却器の交換に関するユーザの負担を低減する冷却装置、射出成形機、制御装置、および冷却システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態による冷却装置、射出成形機、制御装置、および冷却システムは、第1冷却器の劣化度が第2冷却器の劣化度よりも大きいことに基づく条件が成立したときに、第1冷却器と第2冷却器とを入替えるための入替処理を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、冷却器の交換に関するユーザの負担を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の射出成形機の構成図である。
図2】射出成形機の概略ブロック図である。
図3】冷却装置等の機能ブロック図である。
図4】回転数センサが出力するパルス信号の一例である。
図5】ファンDBの一例である。
図6】各ファンの総回転数の時間的推移等を示す図である。
図7】入替画面の一例である。
図8】一斉交換通知の交換画面の一例である。
図9】制御装置のフローチャートである。
図10】比較例の各ファンの総回転数の時間的推移等を示す図である。
図11】第2実施形態の冷却装置等の機能ブロック図である。
図12】第3実施形態の各ファンの総回転数の時間的推移等を示す図である。
図13】射出成形システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0010】
[第1実施形態]
<射出成形機>
図1は、本実施形態の射出成形機100の構成図である。射出成形機100は、射出成形機構50と、表示装置30と、制御装置40等を備える。射出成形機構50は、射出成形処理を実行する。射出成形機構50は、金型を型締めする型締装置10と、射出材料を溶融して射出する射出装置20とを有する。
【0011】
射出成形機100は、XY平面上に載置されている。XY平面に垂直な方向をZ軸方向とする。図1におけるZ軸の正方向を上面側または上方、負方向を下面側または下方と称する場合がある。
【0012】
型締装置10は、ベッド11と、固定盤12と、型締ハウジング13と、可動盤14と、タイバー15と、型締機構16と、金型17と、金型18と、ボールねじ51とを備える。ベッド11は、固定盤12、型締ハウジング13、可動盤14等の型締装置10が備える構成を支持する。固定盤12は、ベッド11に固定されている。型締ハウジング13は、ベッド11上をX軸方向にスライド可能であるように構成されている。同様に、可動盤14は、ベッド11上をX軸方向にスライド可能であるように構成されている。
【0013】
タイバー15は、固定盤12と型締ハウジング13との間に配置され、固定盤12と型締ハウジング13とを連結する。タイバー15は、複数のバーを含む。図1に示した射出成形機100は、4本のバーを含むタイバー15が備えられている。なお、タイバー15は、5本以上のバーを含んでもよい。
【0014】
可動盤14は、固定盤12と型締ハウジング13との間でX軸方向にスライド可能であるように構成される。型締機構16は、型締ハウジング13と可動盤14との間に設けられる。第1実施形態における型締ハウジング13は、トグル機構を含んで構成される。
【0015】
金型17および金型18は、固定盤12と可動盤14との間に設けられる。金型17および金型18は、型締機構16によって開閉されるように構成されている。ボールねじ51は、モータ60の回転運動を直線運動に変換することにより、型締機構16を開閉させる。なお、型締機構16は、直圧式の型締機構を含んで構成されてもよい。直圧式の型締機構とは、すなわち型締シリンダを意味する。
【0016】
射出装置20は、基台21と、加熱シリンダ22と、スクリュ23と、駆動機構24と、ホッパ25と、射出ノズル26と、ノズルタッチ装置27と、センサ55とを備える。基台21は、ベッド11のX軸の正方向側に配置され、駆動機構24等を支持する。スクリュ23は、加熱シリンダ22の内部に配置される。駆動機構24は、X軸方向を中心軸としてスクリュ23を回転させ、スクリュ23自体をX軸方向にスライドするように駆動させる。
【0017】
ホッパ25は、加熱シリンダ22のZ軸の正方向側に設けられる。射出ノズル26は、加熱シリンダ22のX軸の負方向側の端部に設けられる。ノズルタッチ装置27は、射出装置20をX軸方向にスライドさせて、射出ノズル26を金型18のスプルーブッシュに接触させる。ノズルタッチ装置27は、たとえば油圧シリンダを用いた機構、あるいは、ボールねじを用いた機構によって構成されている。ノズルタッチ装置27は、駆動機構24と、型締装置10の固定盤12とを連結する。ノズルタッチ装置27がボールねじを用いた機構によって構成されている場合には、ノズルタッチ装置27は、駆動機構24のサーボモータによって駆動され、駆動機構24および加熱シリンダ22をX軸方向に移動させる。なお、ノズルタッチ機構の構成については、上記のように固定盤12と駆動機構24との間に配置されたボールねじによって射出装置全体を移動させる構成には限らず、他の構成であってもよい。たとえば、装置フレームと加熱シリンダ後部の固定部材とをボールねじを用いて連結し、加熱シリンダ自体を金型方向へ移動させる構成であってもよい。あるいは、射出装置が搭載されたスライドベースと装置フレームとをボールねじを用いて連結し、スライドベースとともに射出装置を移動させて射出ノズルを金型へ接触させる構成であってもよい。センサ55は、一例では、射出ノズル26の近傍に配置される熱電対である。熱電対は、配置された箇所の温度を検出する温度センサである。なお、センサ55は、熱電対ではない他の温度センサであってもよい。
【0018】
基台21は、内部に制御装置40と、コンバータ153と、N個のサーボアンプ53n(n=1,...,N)と、N個の冷却用のファン54nとを備える。ただし、Nは2以上の整数であり、たとえば、N=18である。
【0019】
制御装置40は、制御基板52を含む。制御基板52には、CPU(Central Processing Unit)およびメモリ等が搭載される。制御装置40は、後述の回転数センサ等の各種センサの検出値等を取得し、射出成形機100を統括的に制御する。各種センサの検出値は、たとえば、ファン54nの回転数、加熱シリンダ22の温度情報、または、型締機構16、金型17および金型18、射出ノズル26等の各種可動部品の位置情報等を含む。
【0020】
コンバータ153は、3相交流電力を直流電力に変換して、サーボアンプ53nに供給する。N個のサーボアンプ53nの各々は、対応するN個のモータ(後述の図2のモータ24n)に対して三相交流電力を供給するインバータを含む。ファン54nは、サーボアンプ53nが過熱しないように、サーボアンプ53nに対して送風することによりサーボアンプ53nを冷却する。N個のモータは、たとえば、射出成形機構50を駆動する。
【0021】
表示装置30は、射出成形機100のY軸の負方向側に設けられている。表示装置30は、ディスプレイ31と入力装置32とを備える。入力装置32は、たとえば、複数のボタンを含んで構成される。ある局面では、表示装置30は、複数のディスプレイおよびスピーカー等を備えてもよい。また、ディスプレイ31と入力装置32とは、タッチパネルとして一体的に設けられてもよい。
【0022】
<射出成形機の概略ブロック図>
図2は、射出成形機100の概略ブロック図である。制御装置40は、記憶部44と制御基板52とを備える。記憶部44は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Flash Solid State Drive)等を含んで構成され得る。制御基板52は、演算部41と、入力インターフェイス42と、出力インターフェイス43とが搭載されている。演算部41は、CPU41aとメモリ41bとを備える。
【0023】
メモリ41bは、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含み、CPU41aにより実行されるプログラム等を記憶する。CPU41aは、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。
【0024】
なお、演算部41は、専用のハードウェア回路により構成されてもよい。すなわち、演算部41は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等により実現され得る。また、演算部41は、プロセッサおよびメモリ、ASIC、FPGA等を適宜組み合わせて実現してもよい。
【0025】
図2の例では、駆動機構24は、N個のモータ24nを含む。N個のサーボアンプ53nの各々は、対応するN個のモータ24nに対して三相交流電力を供給する。また、サーボアンプ53nのそれぞれには、温度センサ59nが配置されている。温度センサ59nは、対応するサーボアンプ53nの温度を検出する。温度センサ59nのそれぞれにより検出されたN個の温度は、入力インターフェイス42に入力される。
【0026】
ファン54nは、それぞれ、対応するサーボアンプ53nに対して送風することにより、サーボアンプ53nを冷却する。図2等の太矢印は、送風を示す。制御装置40は、サーボアンプ53nの温度が設定温度となるように、所定のパラメータに基づいて、ファン54nをフィードバック制御する。本実施形態では、所定のパラメータは、温度センサ59nにより検出されるサーボアンプ53nの温度である。また、設定温度は、ユーザ等により設定される。なお、所定のパラメータは、他のパラメータとしてもよく、たとえば、サーボアンプ53nに入力される電流値としてもよい。この場合には、各サーボアンプ53nに、該電流値を検出する電流センサが配置される。
【0027】
つまり、制御装置40は、サーボアンプ53nの温度(温度センサ59nにより検出される温度)が高いほど、ファン54nによる冷却度合いを高めるようにファン54nを制御する。ファン54nによる冷却度合いは、ファン54nのプロペラの回転速度(以下、「ファン54nの回転速度」とも称される。)である。制御装置40がファン54nに対して、所定のパラメータに基づいたフィードバック制御を実行することにより、サーボアンプ53nの温度を設定温度に維持できる。したがって、制御装置40は、射出成形機構50を良好に駆動させることができる。
【0028】
また、N個のサーボアンプ53nについてはモータ24nの駆動量が異なる。したがって、N個のサーボアンプ53nの発熱量が異なる。よって、サーボアンプ53nに対応するファン54nの回転速度が異なる。よって、ファン54nの劣化の進行度合いが異なる。本実施形態では、「劣化の進行度合い」は、「劣化度」とも称される。
【0029】
また、回転数センサ55nは、対応するファン54nの回転(たとえば、1回転)を検出する。回転数センサ55nは、ファン54nの回転を検出する毎にパルス信号(図4参照)を制御装置40に送信する。制御装置40の入力インターフェイス42には、該パルス信号が入力される。制御装置40は、該パルス信号に基づいて、各ファン54nの総回転数を記憶する。総回転数は、たとえば、各ファン54nの回転数が0であるとき(たとえば、射出成形機100が工場出荷された)以降の合計回転数である。
【0030】
<冷却装置>
図3は、射出成形機100の冷却装置200等の機能ブロック図である。図3に示されるように、N個のモータが、第1モータ241、第2モータ242、第3モータ243,...,第Nモータ24Nとして示されている。また、N個のサーボアンプが、第1サーボアンプ531、第2サーボアンプ532、第3サーボアンプ533,...,第Nサーボアンプ53Nとして示されている。また、N個のファンが、第1ファン541、第2ファン542、第3ファン543,...,第Nファン54Nとして示されている。また、N個の回転数センサが、第1回転数センサ551、第2回転数センサ552、第3回転数センサ553,...,第N回転数センサ55Nとして示されている。
【0031】
本実施形態では、第1サーボアンプ531、第2サーボアンプ532、および第3サーボアンプ533は、それぞれ、本開示の第1対象物、第2対象物、および第3対象物に対応する。第1ファン541、第2ファン542、および第3ファン543は、それぞれ、第1冷却器、第2冷却器、および第3冷却器に対応する。
【0032】
本開示では、1,...,Nについては、まとめて、「n」とも称される。つまり、N個のモータは、モータ24nとも称され、N個のサーボアンプは、サーボアンプ53nとも称され、N個のファンは、ファン54nとも称され、N個の回転数センサは、回転数センサ55nとも称される。つまり、ファン54nは、サーボアンプ53nを冷却する。また、回転数センサ55nは、ファン54nの回転数を測定する。また、本実施形態では、回転数センサ55nは、ファン54nに取付けられている。また、本実施形態の冷却装置200は、ファン54n(N個のファン)と、回転数センサ55n(N個の回転数センサ)と、制御装置40とを備える。
【0033】
回転数センサ55nは、パルス信号を制御装置40に対して出力する。取得部102は、回転数センサ55nからのパルス信号を取得する。該取得されたパルス信号は、処理部104に出力される。取得部102は、入力インターフェイス42に対応する。
【0034】
また、記憶部44には、ファンDB(Date Base)が記憶されている。ファンDBについては後述の図5で説明する。処理部104は、ファンDBで規定されている各ファンの総回転数、後述の第1~第3閾値、および限界値に基づいた処理を実行する。また、制御部106は、処理部104の処理結果に基づいた画像を表示装置30に表示させる。処理部104および制御部106の処理の詳細については後述する。
【0035】
図4は、回転数センサ55nが出力するパルス信号の一例である。図4の例では、パルス信号の電圧レベルが、ハイレベルVHおよびローレベルVLである例が示されている。図4の例では、ファン54nのプロペラが半回転した場合に1つのパルス信号が回転数センサ55nから出力される。図4では、区間T1~T4が示されている。区間T1は、1回目のパルス信号の出力区間である。区間T2は、1回目のパルス信号と2回目のパルス信号との区間である。区間T3は、2回目のパルス信号の出力区間である。区間T4は、2回目のパルス信号と次の回転の1回目のパルス信号との区間である。また、回転数センサ55nが出力する。
【0036】
なお、図4の例では、1つのパルス信号は、ファンのプロペラが半回転したことを示す信号であるが、1つのパルス信号が示す回転数は、他の値としてもよい。たとえば、1つのパルス信号は、ファンのプロペラが1回転を示す信号としてもよい。
【0037】
図5は、ファンDBの一例である。本実施形態では、全てのファン54nの各々にファンを識別するための情報が付加されている。該情報は、ファンID(identification)とも称される。
【0038】
図5の例では、ファンID毎に、該ファンIDにより示されるファンの総回転数が対応付けられている。ファンの総回転数は、ファンが射出成形機100に取付けられたときからの回転数の合計値である。なお、図5の例では、ファンIDとして、ファンの図3で示される参照符号が規定されている。
【0039】
一般的にファンが、総回転数が多いほど劣化する。そこで、本実施形態では、総回転数を本開示の「劣化度」とみなす。
【0040】
処理部104は、パルス信号の出力元の回転数センサ対応するファンを特定できるようになっている。たとえば、制御装置40は、N個の回転数センサ55nのそれぞれが接続されるN個の入力ポートを有する。そして、該入力ポートに基づいて、パルス信号の出力元の回転数センサ対応するファンを特定する構成が採用される。また、回転数センサが、該回転数センサに対応するファンのファンIDと、パルス信号とを出力する構成が採用されてもよい。
【0041】
処理部104は、パルス信号を取得する度に、該パルス信号の出力元の回転数センサに対応するファンの総回転数を増加させる。本実施形態では、2つのパルス信号が1回転に対応する。したがって、処理部104は、2つのパルス信号を取得する度に、該パルス信号に含まれるファンIDのファンの総回転数を1だけ増加させる。制御装置40は、ファンDBを有することにより、全てのファンの総回転数を特定できる。
【0042】
図5の例では、ファンIDが541であるファン(つまり、第1ファン541)の総回転数R1であり、ファンIDが542であるファン(つまり、第2ファン542)の総回転数R2である。また、ファンIDが543であるファン(つまり、第3ファン543)の総回転数R3であり、ファンIDが54Nであるファン(つまり、第Nファン54N)の総回転数RNである。
【0043】
また、上述のように、制御装置40は、サーボアンプ53nの温度(温度センサ59nにより検出される温度)が高いほど、ファン54nによる冷却度合いを高めるようにファン54nを制御する。また、負荷が高いサーボアンプ53は高温になる傾向にあることから、該サーボアンプ53に対しては大きく冷却される。つまり、負荷が高いサーボアンプ53に対応するファンの総回転数は多くなる傾向にある。
【0044】
また、全てのファン54nの各々の総回転数について限界値が規定されている。ファンの総回転数が限界値に到達したときに、該ファンは寿命に到達したと判断される。また、全てのファン54nは同一のファンである。したがって、全てのファン54nの限界値は同一である。よって、負荷が高いサーボアンプ53に対応するファンの総回転数は他のファンの総回転数よりも早く限界値に到達する。
【0045】
以下では、説明を簡単にするために、N=3とする。また、射出成形機100の工場出荷後に、第1サーボアンプ531が最も負荷が高く、第1ファン541の総回転数が最も多くなるとする。また、第3サーボアンプ533が2番目に負荷が高く、第3ファン543の総回転数が2番目に多くなるとする。第2サーボアンプ532が最も負荷が低く、第2ファン542の総回転数が最も少くなるとする。
【0046】
このような場合、冷却装置200は、所定の入替条件が成立したときに、第1ファン541と第2ファン542とを入替えるための入替処理を実行する。本実施形態の入替処理は、第1ファン541と第2ファン542とを入替えることをユーザに対して促進することである。本実施形態の通知は、ディスプレイ31に該通知の画面を表示することである。しかしながら、該通知は、他の手法としてもよい。他の手法は、たとえば、ユーザが保持する情報処理装置(たとえば、スマートフォン、およびタブレット等)に該画面を表示するという手法を含んでいてもよい。また、他の手法は、音声により該通知を実行するという手法を含んでいてもよい。該通知は、「入替通知」とも称される。
【0047】
また、各ファン54nは、ユーザが容易に入替可能であるように配置されている。たとえば、各ファン54nは固定手段(たとえば、ネジ)により固定されている。該固定手段は、ユーザにより解除可能となっている。
【0048】
また、各ファン54nのIDを、ユーザが認識可能な構成となっている。たとえば、各ファン54nには、該ファンのファンIDのラベルが付加されており、ユーザが、該ラベルを視認することにより、ファンIDを認識することができる。
【0049】
<ファンの入替条件について>
ここで、ファンの入替条件について説明する。なお、以下の説明では適宜図2が参照される。入替条件は、第1ファン541の劣化度(総回転数)が第2ファン542の劣化度(総回転数)よりも大きいことに基づく条件である。具体的には、総回転数について閾値として、第1閾値、第2閾値、および第3閾値が規定されている。第1閾値、第2閾値、および第3閾値は、まとめて「段階閾値」とも称される。また、第1閾値は、本開示の「第1値」に対応する。また、限界値は、本開示の「第2値」に対応する。段階閾値の数は、ファンの数と同値としてもよく、ファンの数と異なる値としてもよい。本実施形態では、ファンの数は、3つであることから、段階閾値の数も3つとなる。したがって、3つの段階閾値として、第1閾値、第2閾値、および第3閾値が規定されている。
【0050】
図6は、各ファンの総回転数の時間的推移等を示す図である。図6の横軸は、時間軸を示し、縦軸は、総回転数を示す。図6の例では、第1閾値<第2閾値<第3閾値<限界値であるとする。そして、上記の入替条件は、第1ファン541の劣化度(総回転数)が第2ファン542の劣化度(総回転数)よりも先に第1所定値に到達するという条件(つまり、図6のタイミングt1に到達するという条件)を含む。
【0051】
図6の例では、タイミングt1で、第1ファン541の総回転数が、他のファン(第2ファン542および第3ファン543)の総回転数よりも先に第1閾値に到達している。タイミングt1で、処理部104が、第1ファン541の総回転数が、他のファンの総回転数よりも先に第1閾値に到達したと判断した場合には、該判断を示す第1情報と、総回転数が最も低いファン(第2ファン542)を示す第2情報とを制御部106に送信する。
【0052】
制御部106は、第1情報に示されるファン(つまり、総回転数が第1閾値に先に到達した第1ファン541)と、第2情報に示されるファン(つまり、総回転数が最少の第2ファン542)とを入替える入替画面を表示装置30のディスプレイ31に表示させる。
【0053】
図7は、入替画面の一例である。図7の例では、「第1ファンと第2ファンとを交換してください」という文字画像が表示されている。ユーザは、この入替画面を視認することにより、「第1ファンと第2ファンとを交換することが好ましい」ことを認識する。
【0054】
図6のタイミングt1で、図7の入替画面が表示され、かつ、ユーザにより第1ファン541と第2ファン542とが交換されたとする。したがって、第2ファン542が、最も負荷が高い第1サーボアンプ531を冷却することになる。
【0055】
そして、射出成形機100が処理を継続し、第2ファン542の総回転数が、他のファン(第1ファン541および第3ファン543)の総回転数よりも先に第2閾値に到達したとする。この到達のタイミングは、図6の例では、タイミングt2として示されている。このタイミングt2で、処理部104は、第2ファン542の総回転数が、他のファンの総回転数よりも先に第2閾値に到達したと判断した場合には、該判断を示す第1情報と、総回転数が最も低いファン(第3ファン543)を示す第2情報とを制御部106に送信する。
【0056】
制御部106は、第1情報に示されるファン(つまり、総回転数が第2閾値に先に到達した第2ファン542)と、第2情報に示されるファン(つまり、総回転数が最少の第3ファン543)とを入替える入替画面を表示装置30のディスプレイ31に表示させる。
【0057】
そして、射出成形機100が処理を継続し、第3ファン543の総回転数が、他のファン(第1ファン541および第2ファン542)の総回転数よりも先に第3閾値に到達したとする。この到達のタイミングは、図6の例では、タイミングt3として示されている。このタイミングt3で、処理部104は、第3ファン543の総回転数が、他のファンの総回転数よりも先に第3閾値に到達したと判断した場合には、該判断を示す第1情報と、総回転数が最も低いファン(第1ファン541)を示す第2情報とを制御部106に送信する。
【0058】
制御部106は、第1情報に示されるファン(つまり、総回転数が第3閾値に先に到達した第3ファン543)と、第2情報に示されるファン(つまり、総回転数が最少の第1ファン541)とを入替える入替画面を表示装置30のディスプレイ31に表示させる。
【0059】
そして、いずれかのファン(図6の例では、第1ファン541)の総回転数が限界値に到達したとする。図6の例では、総回転数が限界値に到達したタイミングとしてタイミングt4が示されている。
【0060】
この場合には、他のファンの総回転数は、限界値に到達していないものの、限界値に近い値であることが想定される。したがって、本実施形態では、いずれかのファンの総回転数が限界値に到達したと、処理部104が判断した場合には、一斉交換通知を実行する。一斉交換通知は、全てのファンを新たなファンに交換することをユーザに促進する通知である。ここで、新たなファンとは、たとえば、「冷却装置200に備えられているファンとは別のファン」である。
【0061】
図8は、一斉交換通知で表示される交換画面の一例である。図8の例では、「全てのファンを新たなファンと交換してください」という文字画像が表示されている。ユーザは、この交換画面を視認することにより、「全てのファンを新たなファンと交換することが好ましいこと」を認識する。
【0062】
このように、制御装置40は、1回以上の入替処理(本実施形態では、3回の入替通知)を実行した後、いずれかのファンの総回転数が、限界値に到達したときに一斉交換通知を実行する。
【0063】
<ファンの入替処理の流れ>
次に、ファンの入替処理の流れを説明する。図9は、制御装置40のフローチャートである。図9のフローチャートは、制御装置40が所定期間(たとえば、0.1秒)毎に実行する処理である。また、図9の処理とは並行して、制御装置40は、ファンDB(図5参照)の総回転数を、パルス信号に応じて増加させる処理を実行する。
【0064】
また、図9の例では、段階閾値は、第m閾値とも称される。図6の例では、m=1~3である。後述するステップS12で、mは“1”に初期化される。また、制御装置40を含む射出成形機100の工場出荷時にもmは“1”に初期化されている。
【0065】
まず、ステップS2で、制御装置40は、全てのファン54nのうちいずれかのファンの総回転数が限界値(図6参照)に到達したか否かを判断する。ステップS2でファンの総回転数が限界値に到達していない場合(ステップS2でNO)、ステップS4で、制御装置40は、いずれかのファンの回転数が第m閾値に到達したか否かを判断する。
【0066】
ステップS4で、いずれかのファンの総回転数が第m閾値に到達していない場合には(ステップS4でNO)、処理は終了する。また、ステップS4で、いずれかのファンの総回転数が第m閾値に到達した場合には(ステップS4でYES)、処理はステップS6に進む。
【0067】
ステップS6で制御装置40は、総回転数が第m閾値に到達したファンと、総回転数が最少であるファンとを入替通知(図7参照)を実行する。次に、ステップS8で、制御装置40は、mを1インクリメントする。そして、処理は終了する。
【0068】
また、ステップS2でファンの総回転数が限界値に到達した場合(ステップS2でYES)、ステップS10で、制御装置40は、一斉交換通知(図8参照)を実行する。次に、ステップS12で、制御装置40は、mを1に初期化する。そして、処理は終了する。
【0069】
<作用・効果>
次に、本実施形態の冷却装置200の作用・効果を説明する。まず、比較例の冷却装置を説明する。図10は、比較例の各ファンの総回転数の時間的推移等を示す図である。比較例の冷却装置として、「限界値に到達したファンを新たなファンに交換する旨」をユーザに通知する構成が考えられる。図10の例では、タイミングt5で、第1ファンが限界値に到達していることが示されている。つまり、比較例の冷却装置では、タイミングt5で、「第1ファンと新たなファンとを交換してください」といった通知が実行されることになる。
【0070】
しかしながら、このような構成では、ユーザは通知を受ける毎に、該通知で示されているファン(総回転数が限界値に到達した第1ファン)を新たなファンに交換する必要がある。したがって、ユーザは、たとえば、新たなファンを発注する必要があり、この新たなファンがユーザに届くまで、射出成形機100を使用できない。また、ユーザが新たなファンをストックすることも考えられるが、該新たなファンをストックするスペースが必要となる。このように、比較例の冷却装置では、ファンの交換に関するユーザの負担が増大する問題が生じ得る。
【0071】
また、図10の例では、第2ファンが限界値に到達した場合には、「第2ファンと新たなファンとを交換してください」といった通知が実行される。また、第3ファンが限界値に到達した場合には、「第3ファンと新たなファンとを交換してください」といった通知が実行される。ユーザはこれらの通知が実行される度に、該通知されたファンを新たなファンに交換する必要がある。
【0072】
そこで、本実施形態の冷却装置200は、このような問題を解決すべく、図6等で説明したように、第1ファン541の劣化度が第2ファン542の劣化度よりも大きいことに基づく入替条件が成立したときに、第1ファン541と第2ファン542とを入替えるための入替処理を実行する。これにより、冷却装置200は、第1ファン541が限界値に到達する前に、熱負荷が高い第1サーボアンプ531を第2ファン542が冷却するようにできる。したがって、ファンを頻繁に新たなファンに交換する必要がなく、ファンの交換に関するユーザの負担を抑制できる。
【0073】
また、一般的にファンの総回転数には、限界値が規定されている。しかしながら、熱負荷が高いサーボアンプに対して連続してファンに冷却させ続けると、ファンの構造等によっては、ファンの総回転数が限界値に到達する前にファンの寿命に基づく故障が生じるという問題が生じ得る。しかしながら、本実施形態の冷却装置200では、熱負荷が高いサーボアンプに対して連続してファンに冷却させ続けることを抑制できることから、このような問題が生じることを抑制できる。
【0074】
また、本実施形態では、入替処理は、第1ファン541と第2ファン542とを入替えることをユーザに促進する処理である。本実施形態では、冷却装置200は、図7のような画面を表示する。したがって、第1ファン541と第2ファン542とを入替えることをユーザに認識させることができる。
【0075】
また、本実施形態では、入替条件は、第1ファン541の総回転数が第2ファン542の総回転数よりも先に第1値(第1閾値)に到達するという条件を含む。したがって、冷却装置200は、各ファンの総回転数と、第1値との比較という簡易な処理により、第1ファン541と第2ファン542との入替タイミングを特定することができる。
【0076】
また、本実施形態では、冷却装置200は、1回以上(図6の例では、3回)の入替処理を実行した後、第1ファン541~第3ファン543のいずれかの総回転数が限界値に到達した場合には、冷却装置200は、一斉交換処理を実行する。したがって、冷却装置200は、複数のファン54nについて、新たなファンと交換する状況を1回にすることができることから、ファンの交換に関するユーザの負担を抑制できる。
【0077】
また、一斉交換処理は、第1ファン541~第3ファン543の全てを新たなファンに交換することをユーザに促進する処理である。本実施形態では、冷却装置200は、図8のような画面を表示する。したがって、第1ファン541~第3ファン543の全てを新たなファンに交換することをユーザに認識させることができる。
【0078】
また、入替条件が成立したとき(たとえば、図6に示すようにタイミングt1で段階閾値に到達したとき)、冷却装置200は、総回転数が段階閾値に到達したファンと、全てのファンの中で総回転数が最も低いファンとの入替をユーザに促進する。換言すると、入替条件が成立したとき(タイミングt1)、第2ファン542の総回転数は、第3ファン543の総回転数よりも少ない。したがって、ファンの総回転数が段階閾値に今回到達したとき(つまりタイミングt1)から、次の段階閾値に到達するまで(つまりタイミングt2)までの期間を長くすることができる。
【0079】
また、本実施形態の冷却器はファンであり、ファンの劣化度は、ファンの総回転数である。したがって、冷却装置200は、回転数センサ55nという比較的簡易な装置で、ファン54nの劣化度を検出できる。
【0080】
[第2実施形態]
第1実施形態では、入替処理は、ファン同士を入替えることをユーザに促進する処理である構成が説明された。第2実施形態では、入替処理は、ユーザに入替させることなくファン同士を自動的に入替える処理である構成を説明する。
【0081】
図11は、第2実施形態の射出成形機100Aの冷却装置200A等の機能ブロック図である。図3図11とを対比すると、図3の冷却装置200は、表示装置30を含むが、図11の冷却装置200Aは、表示装置30を含まずに入替機構270を含む。また、冷却装置200Aは、制御装置40Aを含む。
【0082】
また、第2実施形態では、ファン54nはスライド機構により移動可能となっている。入替機構270は、ファン54nを移動させる機構である。入替機構270は、たとえば、ファン54nを移動させるモータ等により構成される。また、制御装置40の制御部106の制御対象は、表示装置30である一方、制御装置40Aの制御部106の制御対象は、入替機構270である。
【0083】
たとえば、制御部106は、タイミングt1(図6参照)では、入替機構270を制御することにより、第1ファン541と第2ファン542とを入替える。また、第2実施形態の制御装置40のフローチャートを図9を用いて説明する。第2実施形態では、ステップS6の括弧書きに示すように、制御装置40Aは、総回転数が第m閾値に到達したファンと、総回転数が最少であるファンとを自動的に入替える。該自動的に入替える手法は、上述のように入替機構270を制御することにより実現される。
【0084】
また、入替機構270は、他の構成としてもよい。入替機構270は、たとえば、ロボットとしてもよい。このような構成の場合には、制御部106は、入替機構270であるロボットにファンの入替処理を実行させる。
【0085】
また、図9のステップS10で示した一斉交換通知について、ファンを新たなファンに交換する作業をユーザに実行させずに、入替機構270に実行させるようにしてもよい。ステップS2で、YESと判断された場合には、ステップS10で、制御部106は、入替機構270であるロボットに新たなN個のファンを発注させる。そして、ロボットは、該新たなファンが届くと、古いN個のファンを、該新たなN個のファンに交換する。
【0086】
以上、第2実施形態の冷却装置200Aによれば、ファンの入替およびファンの交換をユーザに実行させずに、入替機構270を用いて自動で行う。したがって、ファンの入替およびファンの交換について、ユーザの負担を軽減できる。
【0087】
[第3実施形態]
第1実施形態および第2実施形態で入替処理を実行する入替条件は、第1ファン541の劣化度が第2ファン542の劣化度よりも先に第1値に到達するという条件(以下、「第1条件」とも称される。)である構成を説明した。しかしながら、入替条件は、他の条件としてもよい。以下、該他の条件を説明する。
【0088】
制御装置40は、全てのファン54nの総回転数の大小を定期的に判断する。ここで、定期的とは、「冷却装置200(射出成形機100)が稼働している稼働状態中の所定時間毎」をいう。本実施形態の入替条件は、総回転数の大小の前回の判断から当該所定時間が経過して、全てのファン54nの総回転数の大小を判断し、たとえば、第1ファンの総回転数が第2ファンの総回転数よりも大きいという条件(以下、「第2条件」とも称される。)である。なお、所定時間は、たとえば、24時間等とされる。
【0089】
図12は、第3実施形態の各ファンの総回転数の時間的推移等を示す図である。図12により示されているt11、t12、およびt13が、全てのファン54nの総回転数の大小を定期的に判断しているタイミングである。たとえば、タイミングt11で、制御装置40は、第1ファン541の総回転数が最多であり、第3ファン543の総回転数が2番目に多く、第2ファン542の総回転数が最少と判断する。この場合には、制御装置40は、総回転数が最多である第1ファン541と、総回転数が最少である第2ファン542とを入替えるための入替処理(たとえば、図7の画面を表示する処理)を実行する。
【0090】
以上、第3実施形態のような構成が採用された制御装置であっても、上述の第1実施形態および第2実施形態で説明した効果と同様の効果を奏する。
【0091】
[第4実施形態]
第4実施形態の入替条件は、たとえば、制御装置40がユーザ入力を受付けるという条件(以下、「第3条件」とも称される。)を含む。たとえば、ユーザが入力装置32に対して所定操作を行うことにより、入力装置32から所定信号が制御装置40に対して送信される。制御装置40は、該所定信号を受信すると、全てのファン54nの総回転数の大小を判断する。
【0092】
たとえば、図12のタイミングt11で、ユーザが入力装置32に対して所定操作を行ったとする。この場合には、制御装置40は、総回転数が最多である第1ファン541と、総回転数が最少である第2ファン542とを入替えるための入替処理(たとえば、図7の画面を表示する処理)を実行する。
【0093】
以上、第4実施形態のような構成が採用された冷却装置では、ユーザの所望のタイミングでファンの入替処理を実行することができる。なお、入替条件は、上述の第1条件~第3条件のうちの少なくとも2つの条件を含むようにしてもよい。
[第5実施形態]
上述の第1~第4実施形態では、1つの射出成形機100に本開示の思想が適用される構成を説明した。しかしながら、本開示の思想は、複数の射出成形機を有する射出成形システムに適用されてもよい。
【0094】
図13は、射出成形システム1000の構成例を示す図である。射出成形システム1000は、P(Pは2以上の整数)個の射出成形機100pと、ネットワーク250と、制御装置40と、表示装置30とを有する。図13では、射出成形機100pは、第1射出成形機1001、第2射出成形機1002,...,第P射出成形機100Pとして示されている。つまり、p=1,...,Pと示す。
【0095】
また、射出成形機100pは、第pモータ24pと、第pサーボアンプ53pと、第pファン54pと、第p回転数センサ55pとを含む。なお、第p射出成形機100pは、第pモータ24pと、第pサーボアンプ53pと、第pファン54pと、第p回転数センサ55pとの組合せを1以上含む。
【0096】
図13に示すように、第1射出成形機1001は、第1モータ241と、第1サーボアンプ531と、第1ファン541と、第1回転数センサ551とを含む。また、第2射出成形機1002は、第2モータ242と、第2サーボアンプ532と、第2ファン542と、第2回転数センサ552とを含む。また、第5実施形態の冷却システム210は、第p射出成形機100pと、制御装置40と、表示装置30とを備える。
【0097】
また、P個の射出成形機100pと、制御装置40とは、ネットワーク250で接続されている。ネットワーク250は、有線ネットワークおよび無線ネットワークのいずれでもよい。このネットワーク接続により、制御装置40は、P個の射出成形機100pが有する全ての回転数センサ55pからのパルス信号を取得できる。したがって、制御装置40は、P個の射出成形機100pが有する全てのファンの総回転数を特定できる。
【0098】
そして、制御装置40は、上述の入替条件が成立したときに、たとえば、第1ファン541と第2ファン542とを入替えるための入替処理を実行する。入替処理は、上述の通り、図7に示す画像を表示する処理である。つまり、この入替処理は、第1射出成形機1001の第1ファン541と、第2射出成形機1002の第2ファン542とを入替えることをユーザに促進する処理である。
【0099】
以上、本実施形態の冷却システム210によれば、異なる射出成形機(図13の例では、第1射出成形機1001および第2射出成形機1002)であっても、第1ファン541と第542との入替処理を実行することができる。
[その他の実施形態]
(1) 上述の実施形態では、冷却装置は、ファンである構成が説明された。しかしながら、冷却装置は、対象物を冷却できる装置であれば、他の装置であってもよい。他の装置は、たとえば、チラー等としてもよい。
【0100】
また、ファンの劣化度は、該ファンの総回転数である構成が説明された。しかしながら、ファンの劣化度は、他のパラメータとしてもよい。ファンの劣化度は、たとえば、ファンの総回転時間としてもよい。ここで、総回転時間とは、たとえば、射出成形機100が工場出荷された以降の各ファン54nの回転時間の合計値である。
【0101】
(2) 上述の冷却装置および冷却システムは、射出成形機に適用される構成が説明された。しかしながら、上述の冷却装置および冷却システムは、他の装置(たとえば、産業機械または工作機械等)に適用されてもよい。
【0102】
(3) 上述の入替処理では、総回転数が第m閾値に到達したファンと、入替対象のファンとの入替処理を実行する構成が説明された。たとえば、第1実施形態では、入替対象のファンは、「総回転数が最少値であるファン」である構成が説明された。しかしながら、入替対象のファンは、他のファンであってもよい。たとえば、制御装置40は、総回転数が第m閾値に到達したファンとは、異なるファン(つまり、N-1個のファン)を、総回転数についてS(Sは2以上の整数)個のグループに分ける。該グループには、少なくとも2つのファンが属する。
【0103】
たとえば、S=3とした場合には、第1グループが総回転数が最も多いグループであり、第2グループが総回転数が2番目に多いグループであり、第3グループが総回転数が最も少ないグループである。制御装置40は、このようなグループ分けを行った後に、総回転数が最も少ないグループ(つまり、第3グループ)から任意のファンを選択する。そして、制御装置40は、該選択したファンを「入替対象のファン」とする。このような構成が採用された冷却装置であっても、上述の実施形態と同様の効果を奏する。
【0104】
(4) 入替条件は、上述の例に限られず、他の条件を含んでいてもよい。入替条件は、最多である総回転数と、2番目に多い総回転数との差分が所定の閾値に到達する条件としてもよい。このような構成が採用された場合には、制御装置40は、最多である総回転数のファンと、2番目に多い総回転数のファンとの入替処理を実行する。
【0105】
[付記]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0106】
(第1項) 一態様に係る冷却装置は、第1対象物を冷却する第1冷却器と、第2対象物を冷却する第2冷却器と、制御装置とを備える。制御装置は、第1冷却器の劣化度が第2冷却器の劣化度よりも大きいことに基づく条件が成立したときに、第1冷却器と第2冷却器とを入替えるための入替処理を実行する。
【0107】
(第2項) 第1項に記載の冷却装置であって、入替処理は、第1冷却器と第2冷却器とを入替えることをユーザに促進する処理である。
【0108】
(第3項) 第1項に記載の冷却装置であって、冷却装置は、第1冷却器と第2冷却器とを入替える入替機構をさらに備える。入替処理は、入替機構を制御することにより、第1冷却器と第2冷却器とを自動的に入替える処理である。
【0109】
(第4項) 第1項~第3項のいずれか1項に記載の冷却装置であって、条件は、第1冷却器の劣化度が第2冷却器の劣化度よりも先に第1値に到達するという条件を含む。
【0110】
(第5項) 第1項~第4項のいずれか1項に記載の冷却装置であって、制御装置は、定期的に第1冷却器の劣化度と第2冷却器の劣化度とを比較する。条件は、該比較で第1冷却器の劣化度が第2冷却器の劣化度よりも大きいという条件を含む。
【0111】
(第6項) 第1項~第5項のいずれか1項に記載の冷却装置であって、条件は、制御装置がユーザ入力を受付けるという条件を含む。
【0112】
(第7項) 第1項~第6項のいずれか1項に記載の冷却装置であって、制御装置は、入替処理を実行した後、第1冷却器の劣化度または第2冷却器の劣化度が第2値に到達した場合に、第1冷却器および第2冷却器を新たな冷却器に交換するための交換処理を実行する。
【0113】
(第8項) 第7項に記載の冷却装置であって、交換処理は、第1冷却器および第2冷却器を新たな冷却器に交換することをユーザに促進する処理である。
【0114】
(第9項) 第1項~第8項のいずれか1項に記載の冷却装置であって、冷却装置は、第3対象物を冷却する第3冷却器をさらに備える。条件が成立したときにおける第2冷却器の劣化度は、第3冷却器の劣化度よりも低い。
【0115】
(第10項) 第1項~第9項のいずれか1項に記載の冷却装置であって、第1冷却器および第2冷却器は、ともに、ファンである。第1冷却器の劣化度および第2冷却器の劣化度は、ファンの総回転数または総回転時間を含む。
【0116】
(第11項) 一態様に係る射出成形機は、第1項~第10項のいずれか1項に記載の冷却装置と、第1モータおよび第2モータと、第1モータを駆動する第1サーボアンプと、第2モータを駆動する第2サーボアンプとを備える。第1対象物は、第1サーボアンプである。第2対象物は、第2サーボアンプである。
【0117】
(第12項) 一態様に係る制御装置は、第1対象物を冷却する第1冷却器の劣化度および第2対象物を冷却する第2冷却器の劣化度を取得するインターフェイスと、プロセッサとを備える。プロセッサは、第1冷却器の劣化度が第2冷却器の劣化度よりも大きいことに基づく条件が成立したときに、第1冷却器と第2冷却器とを入替えるための入替処理を実行する。
【0118】
(第13項) 一態様に係る冷却システムは、第1対象物を冷却する第1冷却器を有する第1装置と、第2対象物を冷却する第2冷却器を有する第2装置と、制御装置とを備える。制御装置は、第1冷却器の劣化度が第2冷却器の劣化度よりも大きいことに基づく条件が成立したときに、第1冷却器と第2冷却器とを入替えるための入替処理を実行する。
【0119】
なお、上述した実施形態および変更例について、明細書内で言及されていない組み合わせを含めて、不都合または矛盾が生じない範囲内で、実施形態で説明された構成を適宜組み合わせることは出願当初から予定されている。
【0120】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0121】
10 型締装置、11 ベッド、12 固定盤、13 型締ハウジング、14 可動盤、15 タイバー、16 型締機構、17,18 金型、20 射出装置、21 基台、22 加熱シリンダ、23 スクリュ、24 駆動機構、24n モータ、25 ホッパ、26 射出ノズル、27 ノズルタッチ装置、30 表示装置、31 ディスプレイ、32 入力装置、40,40A 制御装置、41 演算部、41b メモリ、42 入力インターフェイス、43 出力インターフェイス、44 記憶部、50 射出成形機構、51 ボールねじ、52 制御基板、53n サーボアンプ、54n ファン、55 センサ、55n 回転数センサ、59n 温度センサ、100,100A 射出成形機、102 取得部、104 処理部、106 制御部、153 コンバータ、200,200A 冷却装置、210 冷却システム、241 第1モータ、242 第2モータ、243 第3モータ、250 ネットワーク、531 第1サーボアンプ、532 第2サーボアンプ、533 第3サーボアンプ、541 第1ファン、542 第2ファン、543 第3ファン、551 第1回転数センサ、552 第2回転数センサ、553 第3回転数センサ、1000 射出成形システム、1001 第1射出成形機、1002 第2射出成形機。
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