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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167307
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/52 20060101AFI20231116BHJP
   B65F 3/00 20060101ALI20231116BHJP
   B60Q 5/00 20060101ALI20231116BHJP
   B60Q 1/26 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B60Q1/52
B65F3/00 L
B60Q5/00 610D
B60Q5/00 630B
B60Q5/00 640Z
B60Q5/00 660Z
B60Q5/00 670A
B60Q1/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078381
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】岡野 啓一
【テーマコード(参考)】
3E024
3K339
【Fターム(参考)】
3E024AA04
3E024BA01
3E024CA04
3E024DA04
3E024DB03
3E024DC03
3E024EA02
3E024HA10
3E024HB03
3E024HB04
3E024HC01
3E024HE01
3K339AA43
3K339BA01
3K339BA03
3K339BA09
3K339BA30
3K339CA30
3K339EA03
3K339EA04
3K339EA05
3K339FA04
3K339GA01
3K339GB21
3K339GB22
3K339KA06
3K339KA27
3K339MA01
3K339MC01
3K339MC36
3K339MC77
(57)【要約】
【課題】人に危害が及ぶ事故の発生を抑制可能な安全性の高い塵芥収集車を提供する。
【解決手段】塵芥収集車1において、光照射装置を備え、塵芥を塵芥収容箱10内に移動させる積込動作の実行中、積込動作を実行するための準備動作の実行中、積込動作を実行するための操作中から選択される少なくとも一以上において、第一領域明示動作を実行する。第一領域明示動作は、光照射装置が地面又床面に光を照射し、地面上又は床面上の所定領域の少なくとも一部の位置を示す動作であり、所定領域は、塵芥投入箱の投入口の周囲に位置する領域であって積込動作の実行時及び/又は実行前に人が立ち入ることで危険が生じる領域である第一領域、又は、前記第一領域を含む領域とする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車台と、前記車台に取り付けられる塵芥収容箱と、前記塵芥収容箱の後側に設けられる塵芥投入箱と、前記塵芥投入箱内の塵芥を前記塵芥収容箱内に移動させる積込装置と、前記塵芥収容箱内の塵芥を外部へ排出させる排出装置を有する塵芥収集車であって、
光照射装置をさらに備え、
塵芥を前記塵芥収容箱内に移動させる積込動作の実行中、前記積込動作を実行するための準備動作の実行中、前記積込動作を実行するための操作中から選択される少なくとも一以上において、第一領域明示動作を実行するものであり、
前記第一領域明示動作は、前記光照射装置が地面又床面に光を照射し、地面上又は床面上の所定領域の少なくとも一部の位置を示す動作であり、前記所定領域は、前記塵芥投入箱の投入口の周囲に位置する領域であって前記積込動作の実行時及び/又は実行前に人が立ち入ることで危険が生じる領域である第一領域、又は、前記第一領域を含む領域であることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
車台と、前記車台に取り付けられる塵芥収容箱と、前記塵芥収容箱の後側に設けられる塵芥投入箱と、前記塵芥投入箱内の塵芥を前記塵芥収容箱内に移動させる積込装置と、前記塵芥収容箱内の塵芥を外部へ排出させる排出装置を有する塵芥収集車であって、
前記塵芥投入箱は、昇降することで前記塵芥収容箱の後方の開口部を開閉可能であり、前記開口部を閉塞する閉塞姿勢と前記開口部を開放する開放姿勢の間で姿勢変更可能であり、
光照射装置をさらに備え、
塵芥を外部へ排出させる排出動作の実行中、前記排出動作を実行するための準備動作の実行中、前記排出動作を実行するための操作中から選択される少なくとも一以上において、第二領域明示動作を実行するものであり、
前記第二領域明示動作は、前記光照射装置が地面又床面に光を照射し、地面上又は床面上の所定領域の少なくとも一部の位置を示す動作であり、前記所定領域は、前記開放姿勢への移行中又は移行後の前記塵芥投入箱と上下方向で重なる領域である第二領域、又は、前記第二領域を含む領域であることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項3】
車台と、前記車台に取り付けられる塵芥収容箱と、前記塵芥収容箱の後側に設けられる塵芥投入箱と、前記塵芥投入箱内の塵芥を前記塵芥収容箱内に移動させる積込装置と、前記塵芥収容箱内の塵芥を外部へ排出させる排出装置を有する塵芥収集車であって、
光照射装置と安全支援装置をさらに備え、
前記安全支援装置は、前記塵芥収容箱の周辺を撮像する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した画像に基づいて人の接近を検知する接近検知動作を実行する制御手段を有し、前記接近検知動作で人の接近が検知されたことを報知する報知動作を実行するものであり、
前記接近検知動作の実行中、及び/又は、前記報知動作の実行中に第三領域明示動作を実行するものであり、
前記第三領域明示動作は、前記光照射装置が地面又床面に光を照射し、地面上又は床面上の所定領域の少なくとも一部の位置を示す動作であり、前記所定領域は、前記塵芥投入箱の投入口の周囲に位置する領域であって人が立ち入ることで危険が生じる領域である第三領域、又は、前記第三領域を含む領域であることを特徴とする塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭や飲食店から出された生ごみ等を収集する収集業務で使用される車両として、塵芥収集車が広く知られている。この塵芥収集車は、塵芥収容箱と塵芥投入箱から構成された塵芥収集装置を有しており、車体に塵芥収集装置を取り付けて形成されている。
【0003】
このような塵芥収集車として、特許文献1に開示された塵芥収集車が知られている。
特許文献1に開示された塵芥収集車は、塵芥投入箱に塵芥を投入し、塵芥投入箱内から塵芥収容箱内へと送り込む積み込み動作が可能となっている。積み込み動作では、塵芥投入箱内で押込み板を揺動、昇降させることで、塵芥をすくって塵芥収容箱内へと押し入れる。
また、塵芥投入箱は、塵芥収容箱の蓋部材としても機能する部分であり、上部に設けられた支点を中心に回動することで、塵芥投入箱が塵芥収容箱の後部開口を覆う状態と、塵芥収容箱の後部開口を開放する状態とを切り替えることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-155201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、従来の塵芥収集車では、積み込み動作を実行する際に人が誤って塵芥投入箱の投入口に手を入れてしまうと、塵芥投入箱に手が巻き込まれてしまうという事故が発生するおそれがある。
また、塵芥収容箱に収容した塵芥を外部に排出する場合等では、上記したように、塵芥収容箱の後部開口を開放するため、塵芥投入箱を上方に回動させることがある。そして、塵芥投入箱の傍に人がいることに気づかずに塵芥投入箱を回動させてしまうと、塵芥投入箱が人にぶつかる事故が発生するおそれがある。
さらに、塵芥収集車に塵芥を積み込む際や、塵芥収集車から塵芥を排出する際の他にも、塵芥収集車の傍に不用意に人が近づくと危険な場合がある。例えば、塵芥の収集作業を行う際、塵芥収集車が収集場所に到着してから作業を行った後に他の収集場所に向かうまでの間に、子供(人)が塵芥投入箱の投入口に近づく等することで、思わぬ事故が発生してしまう場合がある。
つまり、従来の塵芥収集車には、人に危害が及ぶ事故の発生を抑制し、運用時の安全性をより高くするという観点から改良の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、人に危害が及ぶ事故の発生を抑制可能な安全性の高い塵芥収集車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、車台と、前記車台に取り付けられる塵芥収容箱と、前記塵芥収容箱の後側に設けられる塵芥投入箱と、前記塵芥投入箱内の塵芥を前記塵芥収容箱内に移動させる積込装置と、前記塵芥収容箱内の塵芥を外部へ排出させる排出装置を有する塵芥収集車であって、光照射装置をさらに備え、塵芥を前記塵芥収容箱内に移動させる積込動作の実行中、前記積込動作を実行するための準備動作の実行中、前記積込動作を実行するための操作中から選択される少なくとも一以上において、第一領域明示動作を実行するものであり、前記第一領域明示動作は、前記光照射装置が地面又床面に光を照射し、地面上又は床面上の所定領域の少なくとも一部の位置を示す動作であり、前記所定領域は、前記塵芥投入箱の投入口の周囲に位置する領域であって前記積込動作の実行時及び/又は実行前に人が立ち入ることで危険が生じる領域である第一領域、又は、前記第一領域を含む領域であることを特徴とする塵芥収集車である。
【0008】
本様相の塵芥収集車によると、塵芥投入箱内から塵芥収容箱内へと送り込む積み込み動作をより安全に行うことが可能となる。
【0009】
本発明の他の様相は、車台と、前記車台に取り付けられる塵芥収容箱と、前記塵芥収容箱の後側に設けられる塵芥投入箱と、前記塵芥投入箱内の塵芥を前記塵芥収容箱内に移動させる積込装置と、前記塵芥収容箱内の塵芥を外部へ排出させる排出装置を有する塵芥収集車であって、前記塵芥投入箱は、昇降することで前記塵芥収容箱の後方の開口部を開閉可能であり、前記開口部を閉塞する閉塞姿勢と前記開口部を開放する開放姿勢の間で姿勢変更可能であり、光照射装置をさらに備え、塵芥を外部へ排出させる排出動作の実行中、前記排出動作を実行するための準備動作の実行中、前記排出動作を実行するための操作中から選択される少なくとも一以上において、第二領域明示動作を実行するものであり、前記第二領域明示動作は、前記光照射装置が地面又床面に光を照射し、地面上又は床面上の所定領域の少なくとも一部の位置を示す動作であり、前記所定領域は、前記開放姿勢への移行中又は移行後の前記塵芥投入箱と上下方向で重なる領域である第二領域、又は、前記第二領域を含む領域であることを特徴とする塵芥収集車である。
【0010】
本様相の塵芥収集車によると、塵芥収容箱内から外部に塵芥を排出する排出動作をより安全に実行可能となる。
【0011】
本発明のさらに他の様相は、車台と、前記車台に取り付けられる塵芥収容箱と、前記塵芥収容箱の後側に設けられる塵芥投入箱と、前記塵芥投入箱内の塵芥を前記塵芥収容箱内に移動させる積込装置と、前記塵芥収容箱内の塵芥を外部へ排出させる排出装置を有する塵芥収集車であって、光照射装置と安全支援装置をさらに備え、前記安全支援装置は、前記塵芥収容箱の周辺を撮像する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した画像に基づいて人の接近を検知する接近検知動作を実行する制御手段を有し、前記接近検知動作で人の接近が検知されたことを報知する報知動作を実行するものであり、前記接近検知動作の実行中、及び/又は、前記報知動作の実行中に第三領域明示動作を実行するものであり、前記第三領域明示動作は、前記光照射装置が地面又床面に光を照射し、地面上又は床面上の所定領域の少なくとも一部の位置を示す動作であり、前記所定領域は、前記塵芥投入箱の投入口の周囲に位置する領域であって人が立ち入ることで危険が生じる領域である第三領域、又は、前記第三領域を含む領域であることを特徴とする塵芥収集車である。
【0012】
本様相の塵芥収集車によると、塵芥の収集作業等の作業をより安全に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、安全性の高い塵芥収集車を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る塵芥収集車を示す図であり、(a)は側面図、(b)は背面図である。
図2図1で示す塵芥投入箱内の積込装置を示す説明図である。
図3図1で示す塵芥収集車が排出動作を実行している様子を示す説明図であり、(a)は塵芥投入箱を開放姿勢とした様子を示し、(b)は(a)の状態から塵芥収容箱をダンプさせた状態を示す。
図4図1(a)で示す安全支援装置の撮像部を示す斜視図である。
図5図1で示す塵芥収集車の運転室内に設けられた第一スイッチボックスを示す説明図である。
図6】安全支援動作時に撮像部が撮像した画像を模式的に示す説明図である。
図7図1で示す塵芥収集車が領域明示動作を実行している状態を模式的に示す平面図である。
図8図1で示す塵芥収集車を模式的に示す平面図であり、(a)は、積込時危険領域を点線で示し、(b)は、排出時危険領域を点線で示す。
図9図7で示す複合危険領域と、図8(a)で示す積込時危険領域と、図8(b)で示す排出時危険領域の位置関係を示す説明図である。
図10図7で示す領域明示動作とは異なる領域明示動作を実行している様子を模式的に示す説明図である。
図11図8(b)で示す排出時危険領域と、図8(b)で示す排出時危険領域とは異なる排出時危険領域の位置関係を示す説明図である。
図12図1で示す塵芥収集車とは異なる実施形態に係る塵芥収集車が排出動作を実行している様子を示す説明図であり、(a)、(b)の順に実行する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る塵芥収集車1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、前後方向は、運転席側を前側とし、その逆側を後側とする。また、上下方向、左右方向は、図1の姿勢を基準とし、図1(a)の手前側を左方とし、奥側を右方とする。
【0016】
本実施形態の塵芥収集車1は、図1(a)で示されるように、車両本体2(車体)に塵芥収集装置3を取り付けて形成されたものである。車両本体2は、運転室2aと、運転室2aの下部から後方へ延びる車体フレーム2b(車台)を有する。
【0017】
塵芥収集装置3は、塵芥を収容する塵芥収容箱10と、塵芥収容箱10の後側に連設された塵芥投入箱11と、光照射装置12と、安全支援装置13を備えている。
【0018】
塵芥収容箱10は、車体フレーム2b上に搭載され、運転室2aの後方に配されている。この塵芥収容箱10は、後端側が開口した箱体である。すなわち、後端側の部分に収容箱開口部20(図2図3参照)を有し、収容箱開口部20が形成された部分を除く5面が鋼板によって覆われた構造となっている。そして、内部に塵芥を収納する空間である収容箱内空間が形成されている。
なお、この塵芥収容箱10は、ヒンジ、ダンプシリンダ(図示しない)を介して車体フレーム2bに取り付けられている。このため、ダンプシリンダを伸長させることで塵芥収容箱10を後方へダンプ(傾動)させることが可能となっている(図3(b)参照)。
【0019】
塵芥投入箱11は、塵芥収容箱10にヒンジを介して取り付けられており、上部の支点を中心に回動可能となっている(図1(a)、図3(a)参照)。そして、塵芥投入箱11が回動して昇降することで、塵芥収容箱10の収容箱開口部20を開閉する開閉動作が可能となっている。
すなわち、塵芥投入箱11が収容箱開口部20を覆って閉塞する閉塞姿勢(図1(a)参照)から上方回動することで、塵芥収容箱10の内部から塵芥を排出できるように収容箱開口部20を開放する開放姿勢(図3(a)参照)へ移行する。反対に、塵芥投入箱11が開放姿勢となった状態から下方回動することで閉塞姿勢へ移行する。
具体的には、塵芥収集装置3は、左右両端に配置された一対のスイングシリンダ(油圧シリンダであり、図示しない)を有し、それぞれのスイングシリンダの上側が塵芥収容箱10に取り付けられ、下側が塵芥投入箱11に取り付けられている。このため、これらのスイングシリンダを伸長動作させると塵芥投入箱11が上方回動し、収縮作動させると塵芥投入箱11が下方回動する構造となっている。
【0020】
塵芥投入箱11には、図1(b)で示されるように、後部に塵芥が投入される塵芥投入口25が形成され、この塵芥投入口25を開閉する蓋部材26が設けられている。すなわち、蓋部材26を開状態とすることで塵芥投入口25が開放された状態となり、蓋部材26を閉状態とすることで塵芥投入口25が閉塞された状態となる。そして、塵芥投入口25を開放することで、塵芥投入口25を介して塵芥投入箱11の内外が連通した状態となり、外部から塵芥投入箱11内に塵芥の投入が可能となる。
【0021】
塵芥投入箱11の前方には、図2で示されるように、内部空間と外部とを連通する前側開口部30が設けられている。前側開口部30は、塵芥投入箱11の内部空間と外部を連通する開口部分であり、塵芥投入箱11を閉塞姿勢とした状態では、塵芥投入箱11の内部空間と塵芥収容箱10の内部空間が連通する。このことから、塵芥投入箱11の内部空間から塵芥収容箱10の内部空間に塵芥を移動させることができる。
【0022】
さらに、塵芥投入箱11の内部には、積込装置33が設けられている。
積込装置33は、塵芥投入箱11の内部に投入された塵芥を当該内部の底部分から前方上部にかき上げ、塵芥収容箱10の内部へ押し込む動作が可能なものである。
【0023】
積込装置33は、詳細には、回転板34と、押込板35と、油圧モータ36と、プッシュシリンダ37を有する。
回転板34は、左右方向に延びた軸回りに回転可能な板状体であり、油圧モータ36からの動力の供給によって回転する(図2の時計回りに回転する)。
押込板35は、左右方向に延びた支持軸回りに前後揺動可能に取り付けられている。また、塵芥投入箱11の内壁部分と押込板35の基端側部分(上側部分)の間にプッシュシリンダ37が介装されている。そして、プッシュシリンダ37を伸縮させることで、押込板35の先端側部分(下方側部分)が塵芥収容箱10から離れた後方位置と、塵芥収容箱10に近い前方位置の間で揺動する。
つまり、積込装置33は、回転板34と押込板35とが協働することで、上記した塵芥投入箱11内の塵芥を塵芥収容箱10内に移動させる積込動作を実行する装置となっている。
【0024】
塵芥投入箱11は、図1で示されるように、後方下側の角部分を保護するコーナーバンパ40を有している。コーナーバンパ40は、塵芥投入箱11を閉塞姿勢としたとき、塵芥投入口25の下方となる位置に設けられ、左方と右方のそれぞれにおいて、塵芥投入箱11の側方から後方に至るまでの部分で延びている。
そして、コーナーバンパ40の下側に光照射装置12が配される。
【0025】
光照射装置12は、図示しない取付部材を介して塵芥投入箱11に取り付けられており、所定の位置(詳しくは後述する)に光を照射することが可能な発光器具である。
本実施形態では、光照射装置12として、光が照射される面上に線状の光を生成可能であり、所定の色(例えば、赤、青、緑等)の光の線分を生成可能なLED照明装置(発光器具)を採用している。なお、ここでいう「線状の光」は、線分状の光に限らず、平面視でL字状となる(略L字状となる)光であってもよい。すなわち、2つの線分(直線)状の光がL字状に連続する光であってもよい。この他、四角環状の光(2つのL字状のとなる光の組み合わせ)であってもよい。つまり、「線状の光」は、2以上の線分を組み合わせて描画可能な形状を含む。
この光照射装置12は、1つの照明装置(発光器具)に限らず、複数の照明装置によって構成されていてもよい。また、複数の照明装置のうち、光を照射する照明装置を切り替えることで、同じ位置に同じ形状で異なる色の光を形成してもよい。例えば、所定の位置に青い光の線を生成している状態から、同じ位置に赤い光の線を生成している状態に切り替えるといった具合である。
【0026】
本実施形態の光照射装置12は、塵芥収集車1が停車している場所の地面や床(以下、地面等とする)に光を照射することで、境界明示部80を形成する(詳しくは後述する、図7参照)。本実施形態では、複数色の境界明示部80を形成可能であり、形成した境界明示部80の色の切り替えが可能となっている。具体的には、緑色、黄色、赤色の境界明示部80をそれぞれ形成可能であり、例えば、所定の位置に緑色の境界明示部80を形成している状態から、同じ位置に黄色の境界明示部80を形成している状態に切り替えることが可能である。
【0027】
安全支援装置13は、撮像部45と、安全支援動作(詳しくは後述する)を制御する制御部(制御手段、図示しない)を有する。
【0028】
撮像部45は、図4で示されるように、カメラ50(撮像手段)と、報知手段51と、支持台部52を有する。
【0029】
カメラ50は、レンズと、レンズを通じて所定領域を撮像する撮像素子を有する。本実施形態のカメラ50は、動画の撮像を行うものであり、予め規定された塵芥投入口25の周囲に位置する領域を撮影する。
【0030】
報知手段51は、それぞれの発光色が異なる複数のランプ(第一ランプ51a、第二ランプ51b、第三ランプ51c)によって構成されている。なお、本実施形態では、第一ランプ51aが緑色に発光するランプとし、第二ランプ51bが黄色に発光するランプとし、第三ランプ51cが赤色に発光するランプとしている。
【0031】
支持台部52は、カメラ50及び報知手段51を塵芥投入箱11に取り付ける取付用部材である。
【0032】
ここで、本実施形態の塵芥収集車1は、操作装置を有しており、操作装置を操作することで積込動作や後述する排出動作等の各種動作が実行される。
この操作装置は、運転室2a内に設けられた第一スイッチボックス56(図5参照)と、塵芥投入箱11に設けられた第二スイッチボックス57、第三スイッチボックス58(図1(b)参照)を有している。
【0033】
第一スイッチボックス56には、図5で示されるように、PTOスイッチ60と、メインスイッチ61と、投入箱スイッチ62と、排出スイッチ63が設けられている。
【0034】
PTOスイッチ60は、動力取出装置であるPTO(パワーテイクオフ)の遮断状態と接続状態を切り替えるスイッチである。
本実施形態の塵芥収集車1は、詳細な説明を省略するが、塵芥収集装置3の各種油圧機器に供給する油圧を制御する油圧回路(油圧装置)を有しており、この油圧回路が油圧ポンプと、電磁制御弁を備えている。そして、PTOスイッチ60を「遮断」状態(OFF状態)から「駆動」状態(ON状態)とすることで、塵芥収集車1のエンジン(走行駆動源)の駆動力がPTOを介して油圧ポンプに伝達され、エンジンからの動力によって油圧ポンプが駆動を開始する。このように、PTOスイッチ60は、塵芥収集車1のエンジン(走行駆動源)からの動力が油圧ポンプに伝わらないようにする遮断状態と、エンジンからの動力を油圧ポンプに伝達する接続状態を切り替えるスイッチである。
【0035】
メインスイッチ61は、「積込」状態と、「OFF」状態と、「排出」状態とを切り変えるスイッチであり、棒状の操作体を各状態に対応する位置に保持させることが可能である。例えば、操作体を「積込」状態に対応する位置に保持せることで、「積込」状態となり、「排出」状態に対応する位置に保持せることで、「排出」状態となる、といった具合である。そして、「積込」状態とすることで、積込動作が可能となり、「排出」状態とすることで、排出動作が可能となる。
【0036】
投入箱スイッチ62は、「上」に操作すると塵芥投入箱11が上昇し、「下」に操作すると塵芥投入箱11が下降する。また、手を離すと「OFF」の中立位置に戻るスイッチである。
排出スイッチ63は、「排出」に操作するとダンプシリンダが伸長して塵芥収容箱10が後方に傾動し、「戻り」に操作するとダンプシリンダが収縮して塵芥収容箱10が傾動前の位置(初期位置)に戻る。そして、手を離すと「OFF」の中立位置に戻るスイッチである。
【0037】
第二スイッチボックス57は、図1(b)で示されるように、塵芥投入箱11の左右方向(車幅方向)で離れた位置にそれぞれ形成される側壁部分のうち、一方の側壁側に設けられている。この第二スイッチボックス57は、積込動作を開始させる積込スイッチと、積込動作を停止させる積込停止スイッチを含む複数のスイッチが設けられている。
第三スイッチボックス58は、塵芥投入箱11の左右方向(車幅方向)で離れた位置にそれぞれ形成される側壁部分のうち、他方の側壁側に設けられている。この第三スイッチボックス58にもまた、積込動作を停止させる積込停止スイッチが設けられている。
【0038】
ここで、本実施形態の塵芥収集車1は、上記した積込動作の他、塵芥収容箱10内の塵芥を外部に排出動作を実行可能である。
排出動作は、図3で示されるように、塵芥投入箱11を開放姿勢とし、且つ、塵芥収容箱10を傾動させる(後方側に向かって下り勾配となるように傾斜させた姿勢とする)ことで、塵芥収容箱10内の塵芥を外部に排出する動作である。すなわち、本実施形態の塵芥収集車1は、ダンプ式の排出装置を有しており、この排出装置は、塵芥収容箱10を傾動させるダンプシリンダ、塵芥収容箱10を回動させるスイングシリンダ等の排出動作を実行させる機構によって構成されている。
【0039】
また、本実施形態の塵芥収集車1は、安全支援装置13による安全支援動作を実行する。安全支援動作は、塵芥の収集作業時等に実行する動作であり、撮像部45が撮像した画像に基づいて実行される動作である。詳細に説明すると、安全支援動作では、塵芥収集車1を使用した塵芥投入口25の周辺の領域をカメラ50によって撮像する。そして、図6で示されるように、撮像によって得られた画像(動画)内に境界ライン70を設定する。
【0040】
境界ライン70は、少なくとも一つが危険エリアと他のエリアの境界又は境界近傍に設定される。なお、危険エリアは、塵芥投入口25の周辺(近傍)に位置する領域であり、作業員等に積込装置33に起因する危険の及ぶ可能性がある領域である。本実施形態では、警告ライン71と危険ライン72からなる二種類の境界ライン70を設定している。
警告ライン71は、画像において危険ライン72の上側(危険ライン72よりも積込装置33から遠い位置)に設定されている。
警告ライン71は、作業者等が危険エリア(危険ライン72)に接近していることを検知するためのラインであり、塵芥投入口25からの距離が危険ライン72よりも遠い位置に設定される。
危険ライン72は、作業者等が危険エリア(危険ライン72)に侵入していることを検知するためのラインであり、危険エリアの境界(又は該境界に沿った境界領域)を示す線状のラインである。
【0041】
また、画像内に人物が映っていた場合、安全支援装置13は人物が映っていることを特定し、画像内の人物像を幾何学形状の枠(以下、人物特定枠78と称す)で囲んで特定する。そして、人物特定枠78で囲まれた人物像が画像内を移動すると、この人物像の移動に伴って人物特定枠78も移動する。また、画像内に複数の人物が映っていた場合、人物特定枠78が複数形成される。この人物特定枠78は、画像内の人物の姿勢の変化等によって適宜その形状を変更してもよい。
【0042】
そして、安全支援動作が開始されると、危険エリアに人が接近しているか否か、また、接近している場合にどの程度接近しているかを検知する接近検知動作が実行される。
接近検知動作では、人物特定枠78が警告ライン71、危険ライン72を危険エリア側(塵芥投入口25側)に越えたか否かをそれぞれ判別する。本実施形態では、人物特定枠78の少なくとも一部が警告ライン71、危険ライン72を危険エリア側に越えたときにそれぞれのラインを越えたものと判別し、その旨を報知する報知動作を実行する。また、本実施形態の報知動作では、いずれのラインも越えていない場合もその旨を報知する。
【0043】
具体的には、人物特定枠78が警告ライン71、危険ライン72の双方を危険エリア側に越えていない場合、人物が安全エリア(積込装置33等への巻き込み事故が発生し難いエリア)にいると判断し、第一ランプ51aを緑色に発光させる動作を実行する。すなわち、人が危険エリアに接近していないと判別し、その旨を報知する報知動作を実行する。
【0044】
対して、人物特定枠78が警告ライン71を危険エリア側(図6では下側)に越え、危険ライン72を危険エリア側に越えていない場合、人物が危険エリアに接近したと判別し、第二ランプ51bを黄色に発光させる動作を実行する。すなわち、人が危険エリアに接近しているものの、危険エリアに侵入はしていないと判別し、その旨を報知する報知動作を実行する。
【0045】
そして、人物特定枠78が危険ライン72を危険エリア側に越えたとき、人物が危険エリアに侵入したと判別し、第三ランプ51cを赤色に発光させる動作を実行する。すなわち、人が塵芥投入口25に近い危険な位置にいると判別し、その旨を報知する報知動作を実行する。本実施形態では、人物が危険エリアに侵入したと判別されたときに積込装置33が稼働している場合、積込装置33を緊急停止させる動作を実行している。
【0046】
なお、報知動作は、上記した第一ランプ51a乃至第三ランプ51cを発光させる動作に替わって又は加えて音(音声又はブザー音等)を出力する動作を実行してもよい。
ここで、上記した第二ランプ51bを黄色に発光させる報知動作と、第三ランプ51cを赤色に発光させる報知動作は、人が危険エリアに近づかないように警告する警告動作でもある。したがって、第二ランプ51bを黄色に発光させる動作(第一の警告動作)に比べ、第三ランプ51cを赤色に発光させる動作(第二の警告動作)は、より強い警告を行う動作となっている。本実施形態では、第二の警告動作は、第一の警告動作よりも、より人の注意を引きやすい色でランプを発光させている。
【0047】
以上のように、安全支援装置13による安全支援動作では、人の塵芥投入口25への接近(危険エリアのうちで塵芥投入口25の周辺に位置する領域への接近)を段階的に検知する接近検知動作を実行する。そして、この接近検知動作の結果に応じてその旨を報知する報知動作を実行する。この報知動作は、接近の度合に応じて人に塵芥投入口25側に近づかないように警告する警告動作でもある。
【0048】
本実施形態の塵芥収集車1は、積込動作を実行する際、排出動作を実行する際、安全支援動作を実行する際のそれぞれで、図7で示されるように、複合領域明示動作(第一領域明示動作、第二領域明示動作、第三領域明示動作)を実行する。
この複合領域明示動作は、塵芥収容箱10が初期位置(傾動前の位置)に配され、且つ、塵芥投入箱11が閉塞姿勢となる状態で、光照射装置12から地面等に光を照射し、境界明示部80を形成する動作である。すなわち、境界明示部80を形成することで、人が近寄ると危険な領域である複合危険領域81の位置を示す動作である。
【0049】
ここで、積込動作の実行時と排出動作の実行時では、人が近寄ると危険な領域が異なる。
そこで、本実施形態の塵芥収集車1は、積込動作時に人が近寄ると危険な領域を積込時危険領域90(第一領域、図8(a)参照)とし、積込動作を実行する際に積込時危険領域90の位置、又は積込時危険領域90を含む領域の位置を示す第一領域明示動作を実行する。
さらに、排出動作時に人が近寄ると危険な領域を排出時危険領域91(第二領域、図8(b)参照)とし、排出動作を実行する際に排出時危険領域91の位置、又は排出時危険領域91を含む領域の位置を示す第二領域明示動作を実行する。
さらに、上記した安全支援動作の実行時に人が近寄ると危険な領域を支援時危険領域とし、安全支援動作を実行する際に支援時危険領域(第三領域)の位置、又は支援時危険領域を含む領域の位置を示す第三領域明示動作を実行する。なお、この支援時危険領域は、例えば、上記した危険エリアと同じ領域であってもよい。また、上記した警告ライン71で区画される領域(警告ライン71よりも塵芥投入口25側に位置する領域であって危険エリアを含む領域)であってもよい。本実施形態では、支援時危険領域を積込時危険領域90と同じ領域(同じ位置で同じ範囲の領域)としている。
【0050】
本実施形態では、図9で示されるように、複合危険領域81を積込時危険領域90の全域と、排出時危険領域91の全域を含む領域としている。ここで、本実施形態では、支援時危険領域と積込時危険領域90が同じ領域であるので、複合危険領域81は、積込時危険領域90の全域と、排出時危険領域91の全域と、支援時危険領域の全域を含む領域となっている。
そして、第一領域明示動作、第二領域明示動作、第三領域明示動作のそれぞれで、上記した複合危険領域81の位置を示す複合領域明示動作を実行する。つまり、本実施形態の複合領域明示動作は、第一領域明示動作、第二領域明示動作、第三領域明示動作を兼ねる動作である。
【0051】
詳細に説明すると、積込動作を実行する際に人が塵芥投入口25の近くに不用意に近づくと、人の手が塵芥投入口25に誤って入り込んでしまい、人が巻き込まれてしまう事故が生じてしまうおそれがある。
そこで、積込時危険領域90は、領域内外の境界部分の各部の位置が塵芥投入口25から平面視で規定長さL1以上離れた位置となる領域とし、この規定長さL1を通常の成人(成人男性)の腕の長さに応じて設定された定数(例えば80cm)としている。
【0052】
本実施形態の積込時危険領域90は、図8(a)で示されるように、略四角環状に連続する境界部分に囲まれた領域としている。すなわち、積込時危険領域90は、後方側の境界となる後方境界部90aと、車幅方向(左右方向)の片側端部、他方側端部の境界となる左方境界部90b及び右方境界部90cと、前方側の境界部となる前方境界部90dによって囲まれた領域である。なお、前方境界部90dは、左右方向(図8(a)では上下方向)に沿って断続しつつ直線状に延びており、詳細には、平面視で塵芥収集車1(塵芥投入箱11)と重なる部分が欠落しつつ延びている。また、積込時危険領域90は、車幅方向(左右方向)の長さが塵芥収集車1の同方向の長さよりも長くなっている。
【0053】
また、排出動作を実行する際、回動する塵芥投入箱11に人がぶつかる事故が発生してしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、図3(a)、図8で示されるように、車両本体2の後方側に位置する地面等のうち、塵芥投入箱11の移動範囲(回動範囲)と平面視で重なる領域を排出時危険領域91としている。なお、この「塵芥投入箱11の移動範囲」は、塵芥収容箱10を初期位置に配した状態で塵芥投入箱11を閉塞姿勢と開放姿勢との間で姿勢変更させる際(図1(a)、図3(a)参照)の塵芥投入箱11の移動(回動)軌跡が略丁度収まる(含まれる)空間である。
【0054】
ここで、塵芥投入箱11を閉塞姿勢と開放姿勢との間で姿勢変更させる際に塵芥投入箱11が回動していくと、塵芥投入箱11の姿勢が変化していく。そして、地面等のうちで塵芥投入箱11と平面視で重なる領域は、塵芥投入箱11の姿勢の変化に伴ってその大きさが変化していく。例えば、開放姿勢への移行が開始された直後では、塵芥投入箱11がわずかに開いた状態(図示しない)であるため、地面等のうちで塵芥投入箱11と平面視で重なる領域の面積が比較的小さくなる。これに対し、開放姿勢への移行が完了すると、塵芥投入箱11が大きく開いた状態(図3(a)参照)となるので、地面等のうちで塵芥投入箱11と平面視で重なる領域の面積が比較的大きくなる。このように、地面等のうちで塵芥投入箱11と平面視で重なる領域は、塵芥投入箱11の回動に伴ってその大きさが変化していく。
【0055】
そして、上記した排出時危険領域91は、この変化していく領域のうちで面積が最大となる領域でもある。つまり、閉塞姿勢と開放姿勢の間で姿勢変更が開始されてから完了するまでの間において、地面等のうちで塵芥投入箱11と平面視で重なる領域のうち、面積が最大となる領域でもある。
本実施形態では、閉塞姿勢と開放姿勢の間で姿勢変更が開始されてから完了するまでの間のうち、塵芥投入箱11が開放姿勢となる(図3(a)参照)際に、地面等のうちで塵芥投入箱11と平面視で重なる領域の面積が最大となる。つまり、本実施形態の排出時危険領域91は、地面等のうちで開放姿勢となった塵芥投入箱11と平面視で重なる領域でもある。
【0056】
本実施形態の排出時危険領域91は、図8(b)で示されるように、平面視形状が略コ字状となる境界部分に囲まれた領域としている。すなわち、排出時危険領域91は、後方側の境界となる後方境界部91aと、車幅方向(左右方向)の片側端部、他方側端部の境界となる左方境界部91b及び右方境界部91cによって囲まれた領域である。
【0057】
複合危険領域81は、上記したように、積込時危険領域90の全域と、排出時危険領域91の全域を全て含む領域である。そして、図9で示されるように、後方側の境界となる後方境界部81aと、車幅方向(左右方向)の片側端部、他方側端部の境界となる左方境界部81b及び右方境界部81cと、前方側の境界部となる前方境界部81dによって囲まれた領域となっている。なお、前方境界部81dは、左右方向(図9では上下方向)に沿って断続しつつ直線状に延びており、詳細には、平面視で塵芥収集車1(塵芥投入箱11)と重なる部分が欠落しつつ延びている。
【0058】
ここで、図9で示されるように、排出時危険領域91の後方境界部91aは、積込時危険領域90の後方境界部90aよりも後方に位置している。このことから、複合危険領域81の後方境界部81aは、排出時危険領域91の後方境界部91aと前後方向の位置を同じ位置としている。
そして、積込時危険領域90の左方境界部90b、右方境界部90cは、排出時危険領域91の左方境界部91b、右方境界部91cのそれぞれよりも左右方向で外側に位置する。このため、複合危険領域81の左方境界部81bは、積込時危険領域90の左方境界部90bと左右方向の位置を同じ位置としており、複合危険領域81の右方境界部81cは、積込時危険領域90の右方境界部90cと左右方向の位置を同じ位置としている。
また、複合危険領域81の前方境界部81dは、積込時危険領域90の前方境界部90dと前後方向の位置を同じ位置としている。
【0059】
このように、複合危険領域81の境界部分の後端(後方境界部81a)の位置は、積込時危険領域90(支援時危険領域)、排出時危険領域91のそれぞれの境界部分の後端のうちで最も後側に後端と同一の位置としている。そして、このことは、四方それぞれの方向(水平方向におけるいずれの方向)でも同様である。つまり、各方向における複合危険領域81の境界部分の端部の位置は、積込時危険領域90(支援時危険領域)、排出時危険領域91のそれぞれの境界部分の各方向における端部の位置のうちで、最もその方向の端部側となる位置と同一となっている。
【0060】
境界明示部80は、図7で示されるように、地面等に光を照射することで形成される所定形状の光であり、本実施形態では、平面視形状が略四角形状をなす光としている。言い換えると、境界明示部80は、平面視形状が略環状に連続する形状(略枠状)となっている。
すなわち、境界明示部80は、後方明示部80a、左方明示部80b、右方明示部80c、前方明示部80dによって構成されている。後方明示部80a、左方明示部80b、右方明示部80c、前方明示部80dは、いずれも直線状に延びた光である。詳細には、後方明示部80aは、左右方向に沿って延びる線分状の光であり、前方明示部80dは、左右方向に沿って一部が断続しつつ延びる線状の光である。また、左方明示部80b、右方明示部80cは、前後方向に沿って延びる線分状の光である。そして、これら後方明示部80a、左方明示部80b、右方明示部80c、前方明示部80dが略四角環状に連続している。
【0061】
後方明示部80aは、一部が複合危険領域81の後方境界部81aと同一の位置(後方境界部81aと重なる位置)に形成される部分であり、後方境界部81aの位置を示す部分である。本実施形態では、後方明示部80aの幅方向の中心近傍が後方境界部81aと重なる位置となる。左方明示部80b、右方明示部80c、前方明示部80dも同様に、一部が複合危険領域81の左方境界部81b、右方境界部81cと、前方境界部81dと同一の位置に形成され、これらの位置を示す部分となっている。
【0062】
続いて、第一領域明示動作(複合領域明示動作)につき、積込動作が実行される際の具体的な手順と共に詳細に説明する。
【0063】
積込動作を実行する際には、まず、PTOスイッチ60を「駆動」状態(ON状態)とする(図5参照)。本実施形態では、PTOスイッチ60を「駆動」状態としたことを条件として、第一領域明示動作(複合領域明示動作)が開始される。すなわち、上記したように、光照射装置12から地面等に光が照射されて境界明示部80が形成される。
そして、メインスイッチ61を「積込」状態とし、メインスイッチ61を「積込」状態とした状態で第二スイッチボックス57の積込スイッチを操作する(ON状態とする)。このことにより、積込装置33が動作を開始し、積込動作が実行される(この積込動作の実行開始から終了までが「積込動作の実行中」となる)。
【0064】
すなわち、積込動作が実行される際には、積込動作を実行するための操作として、PTOスイッチ60の操作、メインスイッチ61の操作、積込スイッチの操作が実行される(これらの操作が開始されてから完了するまでが「積込動作を実行するための操作中」となる)。
また、PTOスイッチ60を「駆動」状態とすることで、上記したように、油圧ポンプが駆動を開始し、メインスイッチ61が操作されることで、油圧回路の電磁制御弁が稼動する。すなわち、積込動作を実行するための準備動作として、油圧ポンプが駆動し、電磁制御弁が稼働する動作が実行される。
【0065】
本実施形態では、積込動作を実行するための複数の操作のうち、初めになされる操作であるPTOスイッチ60の操作が実行されたことを条件として第一領域明示動作が実行される。このため、積込動作を実行するための操作中、積込動作を実行するための準備動作の実行中、積込動作の実行中のそれぞれで第一領域明示動作(複合領域明示動作)が実行される。
【0066】
続いて、第二領域明示動作(複合領域明示動作)につき、排出動作が実行される際の具体的な手順と共に詳細に説明する。
【0067】
排出動作を実行する際には、まず、PTOスイッチ60を「駆動」状態(ON状態)とする(図5参照)。本実施形態では、PTOスイッチ60を「駆動」状態としたことを条件として、第二領域明示動作(複合領域明示動作)が開始される。すなわち、上記したように、光照射装置12から地面等に光が照射されて境界明示部80が形成される。
そして、メインスイッチ61を「排出」状態とする。また、メインスイッチ61を「排出」状態とした状態で、投入箱スイッチ62を「上」に操作し、排出スイッチ63を「排出」に操作する(図5参照)。このことにより、塵芥投入箱11が開放姿勢となり、塵芥収容箱10がダンプ(傾動)して排出動作が実行される。投入箱スイッチ62、排出スイッチ63の操作により、排出装置(ダンプシリンダ、スイングシリンダ等)が動作して、排出動作が実行される(この排出動作の実行開始から終了までが「排出動作の実行中」となる)。
なお、本実施形態の第二領域明示動作(複合領域明示動作)は、排出動作の開始直前までの間に実行される動作としている。すなわち、塵芥投入箱11の回動と、塵芥収容箱10の傾動の少なくとも一方が開始されたことを条件として終了する動作としている。
【0068】
排出動作が実行される際には、排出動作を実行するための操作として、PTOスイッチ60の操作、メインスイッチ61の操作、投入箱スイッチ62の操作、排出スイッチ63の操作が実行される(これらの操作が開始されてから完了するまでが「排出動作を実行するための操作中」となる)。
また、PTOスイッチ60、メインスイッチ61が操作されることで、積込動作の際と同様に、排出動作を実行するための準備動作として、油圧ポンプが駆動し、電磁制御弁が稼働する動作が実行される。
【0069】
本実施形態では、排出動作を実行するための複数の操作のうち、初めになされる操作であるPTOスイッチ60の操作が実行されたことを条件として第二領域明示動作が実行される。このため、排出動作を実行するための操作中、排出動作を実行するための準備動作の実行中、排出動作の実行中のそれぞれで第二領域明示動作(複合領域明示動作)が実行される。
【0070】
続いて、第三領域明示動作(複合領域明示動作)について詳細に説明する。
本実施形態では、塵芥収集車1が停車し、PTOスイッチ60を「駆動」状態としたことを条件として、上記した安全支援動作と、第三領域明示動作(複合領域明示動作)が実行される。
ここで、安全支援動作では、上記したように、第一ランプ51aを緑色に発光させる動作(報知動作)を実行する。また、接近検知動作の結果に応じて、第二ランプ51bを黄色に発光させる動作(報知動作、第一の警告動作)、第三ランプ51cを赤色に発光させる動作(報知動作、第二の警告動作)を実行する。
安全支援動作と共に実行する第三領域明示動作(複合領域明示動作)では、形成される境界明示部80の色を報知手段51の発光色と同じ色又は近い色としてもよい。例えば、報知手段51が第一ランプ51aを緑色に発光させる動作を実行している際には、境界明示部80の色を緑色とし、第二ランプ51bを黄色に発光させる動作を実行している際には、境界明示部80の色を黄色とする、といった具合である。なお、ここでいう「近い色」とは、色相が近い色であり、例えば、24色相環で近い位置にある色(3つ以上離れていない色)である。
すなわち、第三領域明示動作(複合領域明示動作)で形成する境界明示部80の色は、報知手段51による発光動作の発光色に応じた色としてもよく、報知手段51による発光動作の色の変更に応じて色を変更してもよい。
【0071】
上記した実施形態では、積込動作を実行するための操作のうち、初めの操作がなされたことを条件として、第一領域明示動作を実行した。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。積込動作を実行するための操作のうち、他の操作がなされたことを条件に第一領域明示動作を実行してもよい。例えば、メインスイッチ61が操作されて「積込」状態となったことを条件として、第一領域明示動作を実行してもよい。
また、センサ等によって積込動作を実行するための準備動作が実行されたこと(実行開始されたことや実行完了したこと)を検知し、準備動作が実行されたことを条件として第一領域明示動作を実行してもよい。例えば、PTOスイッチ60が操作された後、PTOが接続状態に切り替わったことがセンサで検知されたことを条件として、第一領域明示動作を実行してもよい。すなわち、準備動作の一つであるPTOが接続状態に切り替わる動作が完了したことを条件として、第一領域明示動作を実行してもよい。
さらにまた、積込動作が開始された(積込装置33が動作を開始した)ことがセンサによって検知されたことを条件として第一領域明示動作を実行してもよい。なお、第一領域明示動作は、積込動作が終了したことを条件として終了してもよい。
【0072】
同様に、上記した実施形態では、排出動作を実行するための操作のうち、初めの操作がなされたことを条件として第二領域明示動作を実行したが、本発明はこれに限るものではない。排出動作を実行するための操作のうち、他の操作がなされたことを条件に第二領域明示動作を実行してもよい。例えば、メインスイッチ61が操作されて「排出」状態となったことを条件として、第二領域明示動作を実行してもよい。
また、センサ等によって排出動作を実行するための準備動作が実行されたこと(実行開始されたことや実行完了したこと)を検知し、準備動作が実行されたことを条件として、第二領域明示動作を実行してもよい。例えば、PTOスイッチ60が操作された後、PTOが接続状態に切り替わったことがセンサで検知されたことを条件として、第二領域明示動作を実行してもよい。すなわち、準備動作の一つであるPTOが接続状態に切り替わる動作が完了したことを条件として、第二領域明示動作を実行してもよい。
さらにまた、排出動作が開始された(排出装置を構成するいずれかの機器が動作を開始した)ことがセンサによって検知されたことを条件として第二領域明示動作を実行してもよい。なお、第二領域明示動作は、排出動作が終了したことを条件として終了してもよい。
【0073】
上記した実施形態では、第一領域明示動作、第二領域明示動作、第三領域明示動作のいずれもが同じ条件で開始される動作、すなわち、PTOスイッチ60が操作されたことを条件として開始される動作とした。すなわち、積込動作、排出動作、安全支援動作のいずれが実行される際にも行われる操作であり、それぞれの動作が実行される際の初めの操作であるPTOスイッチ60の操作が実行されたことを条件として、第一領域明示動作、第二領域明示動作、第三領域明示動作を開始した。
しかしながら、本発明はこれに限るものではない。第一領域明示動作、第二領域明示動作、第三領域明示動作は別々の条件で開始される動作であってもよい。この他、2つの動作を共通の条件で開始される動作とし、他の一つが他とは異なる条件で開始される動作としてもよい。
例えば、積込動作が開始されたことを条件として第一領域明示動作を実行する一方で、排出動作を実行するための準備動作が開始されたことを条件として第二領域明示動作を実行してもよい。また、上記した安全支援動作は、塵芥収集車1が停車している間に常時実行される動作であってもよい。この場合、第三領域明示動作は、塵芥収集車1が停車したことを条件として開始し、塵芥収集車1が走行を開始したことを条件として終了する動作であってもよい。
【0074】
上記した実施形態では、第一領域明示動作、第二領域明示動作、第三領域明示動作のそれぞれで同じ境界明示部80を形成したが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、第一領域明示動作の実行時には、上記した複合危険領域81に沿う形状ではなく、積込時危険領域90に沿う形状の境界明示部を形成し、第二領域明示動作の実行時には、排出時危険領域91に沿う形状の境界明示部を形成してもよい。また、上記したように、積込時危険領域90と支援時危険領域は、別の領域としてもよく、この場合、第三領域明示動作の実行時に支援時危険領域に沿う形状であり、積込時危険領域90や排出時危険領域91に沿う形状とは異なる形状の境界明示部を形成してもよい。
【0075】
つまり、第一領域明示動作、第二領域明示動作、第三領域明示動作は、2以上の動作で共通の境界明示部を形成してもよい。すなわち、2つの動作で同じ境界明示部を形成し、他の1つの動作で別の境界明示部を形成してもよく、上記したように、すべて共通の境界明示部80を形成してもよい。また、それぞれ別の境界明示部を形成してもよい。
なお、それぞれ別の境界明示部を形成する場合、それぞれの境界明示部ごとに異なる色で形成してもよい。
しかしながら、上記したように、第一領域明示動作、第二領域明示動作、第三領域明示動作で共通の境界明示部80を形成する構成とすると、発光器具の数を少なくする等、光照射装置12の構造を簡易化できる。このことから、製造コストの低減を図ることが可能となるので、好ましい。
【0076】
上記した実施形態の領域明示動作で形成する境界明示部80は、複合危険領域81の境界部分に沿う形状とした。すなわち、複合危険領域81の境界部分の位置を示すことで、複合危険領域81の位置を示した。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。
領域明示動作では、複合危険領域81の全体に光を照射し、複合危険領域81の全体の上に重なる(複合危険領域81の全体を覆う)明示部を形成してもよい。すなわち、領域明示動作では、位置を示す対象となる領域の全体に光を照射する構成としてもよい。また、光の照射によって地面等の表面に形成される明示部は、領域の境界部分を示す上記した境界明示部に限らず、領域の少なくとも一部の位置を示す明示部であればよい。すなわち、複合危険領域81が丁度収まる範囲、複合危険領域81の全体が含まれる範囲の全体に光を照射して明示部を形成し、複合危険領域81の位置を示してもよい。
【0077】
上記した複合領域明示動作は、図10で示されるように、複合危険領域81に文字を表示する動作であってもよい。この場合、光照射装置12は、境界明示部80を形成するLED照明装置に加え、路面描画用ランプを有する構成としてもよい。また、文字の他、数字、記号、図形、グラフ、表、絵柄、又はその他の符号を表示する動作でもよく、文字やこれらを組み合わせて表示する動作であってもよい。また、複合危険領域81に文字等を表示する他、複合危険領域81の外側に近接する位置に文字等を表示してもよい。
【0078】
上記した実施形態では、塵芥収容箱10を初期位置に配した状態での塵芥投入箱11の移動範囲と平面視で重なる領域を排出時危険領域91とした。すなわち、閉塞姿勢と開放姿勢の間で姿勢変更していく際のそれぞれの姿勢の塵芥投入箱11と平面視で重なる領域のうち、面積が最大となる領域を排出時危険領域91とした。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。
例えば、排出時危険領域191(第二領域)は、図3(b)、図11のように、車両本体2の後方側に位置する地面等のうち、排出動作の開始から完了までの間の塵芥収集装置3(塵芥収容箱10、塵芥投入箱11)の移動範囲と平面視で重なる領域としてもよい。
すなわち、排出動作の開始から完了までの間に塵芥収容箱10、塵芥投入箱11が姿勢変更していく際、それぞれの姿勢の塵芥収容箱10及び塵芥投入箱11と平面視で重なる領域のうち、面積が最大となる領域を排出時危険領域191としてもよい。
【0079】
図11で示されるように、この排出時危険領域191の後方境界部191aは、上記した排出時危険領域91の後方境界部91aよりも後方に位置する。また、この排出時危険領域191の左方境界部191b、右方境界部191cの左右方向の位置は、それぞれ、上記した排出時危険領域91の左方境界部91b、右方境界部91cの左右方向の位置と同じ位置となる。したがって、この排出時危険領域191は、上記した排出時危険領域91よりも、より後方側に延びた領域となる。
【0080】
ここで、第二領域明示動作は、この排出時危険領域191と、上記した排出時危険領域91のそれぞれを示す境界明示部を形成する動作であってもよい。すなわち、上記したそれぞれの領域明示動作(第一領域明示動作、第二領域明示動作、第三領域明示動作、複合領域明示動作)では、一部重複する又は離れた位置にある2以上の別領域をそれぞれ示す2以上の境界明示部を形成してもよい。
【0081】
例えば、第一領域明示動作は、上記した積込時危険領域90の境界部分を示す第一の境界明示部に加え、積込時危険領域90の塵芥投入口25側の一部と重複する領域を示す第二の境界明示部を形成してもよい。つまり、塵芥投入口25に近い領域と、塵芥投入口25から遠い領域(塵芥投入口25からより離れた位置に広がりを有する領域)のそれぞれを示す境界明示部を形成してもよい。この他、第三領域明示動作では、上記した危険エリアを示す領域を示す境界明示部と、上記した警告ライン71で区画される領域を示す境界明示部のそれぞれを形成してもよい。
【0082】
上記した実施形態では、規定長さL1を通常の成人の腕の長さに応じて設定された定数としたが、これに限らず、通常の成人の脚の長さに応じて設定された定数としてもよい。このとき、積込時危険領域90は、境界部分の平面視形状が略四角環状となる領域に限らず、同平面視形状が略円形状となる領域であってもよく、略楕円状となる領域であってもよい。したがって、積込時危険領域90は、塵芥投入口25から通常の成人の腕の長さの範囲内となる領域としてもよく、この領域が含まれる領域であってより塵芥投入口25から離れた位置まで広がる領域としてもよい。同様に、積込時危険領域90は、塵芥投入口25から通常の成人の脚の長さの範囲内となる領域としてもよく、この領域が含まれる領域であってより塵芥投入口25から離れた位置まで広がる領域としてもよい。
【0083】
上記した実施形態の複合領域明示動作(第一領域明示動作、第二領域明示動作、第三領域明示動作)では、後方明示部80a、左方明示部80b、右方明示部80c、前方明示部80dによって構成される境界明示部80を形成した。そして、複合危険領域81の後方境界部81a、左方境界部81b、右方境界部81c、前方境界部81dの位置を示した。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。
例えば、境界明示部は、左方明示部80b、右方明示部80c、前方明示部80dを有さず、後方明示部80aによって構成されてもよい。すなわち、左右方向に延びる一つの線分状の光によって構成されてもよい。そして、第一領域明示動作、第二領域明示動作、第三領域明示動作は、立ち入ることで危険が生じる領域の後方側の境界の位置を示す一方で、前方の境界の位置、左右方向それぞれの境界の位置を示さない動作であってもよい。すなわち、それぞれの領域明示動作は、立ち入ることで危険が生じる領域の一部(後方側の部分)の位置を示す動作でもよい。
したがって、上記した第二領域明示動作で排出時危険領域191の位置を示すとき、第二領域明示動作で形成する境界明示部は、一部が後方境界部191aと重なるように左右方向に延びる一つの線分状の光によって構成されていてもよい。
【0084】
上記した実施形態では、塵芥投入箱11に光照射装置12を設ける構成とした。また、第二領域明示動作(複合領域明示動作)は、排出動作の開始直前まで実行される動作とした。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。
例えば、光照射装置12は、塵芥収容箱10の後方部分や車体フレーム2b後方部分に取り付け、塵芥収容箱10の傾動、塵芥投入箱11の回動が開始された後も第二領域明示動作(境界明示部を形成する動作)を実行してもよい。すなわち、塵芥収容箱10の傾動、塵芥投入箱11の回動の実行中、及び/又は、これらの動作の終了後に第二領域明示動作を実行してもよい。
【0085】
上記した実施形態の塵芥収集車1は、ダンプ式の排出装置を有する構成としたが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、図12で示されるように、排出板式の排出装置を有する塵芥収集車201であってもよい。本実施形態の塵芥収集車201は、塵芥収集装置203の構造が上記した実施形態の塵芥収集装置3の構造と異なり、塵芥収容箱210がダンプ(傾動)しない。その一方で、塵芥収容箱210の内部に、排出板233と、排出板233を前後方向に移動させる押圧シリンダを有している。すなわち、排出板233、押圧シリンダによって構成される排出装置を有し、この排出装置を稼働させるための油圧回路を有する。なお、油圧回路は、油圧ポンプ、電磁弁を備えている。
塵芥収集車201は、排出板233が前方に位置した状態で、上記と同様に積込動作によって塵芥を塵芥収容箱210内に収納していく。また、塵芥収集車201の排出動作は、塵芥投入箱11を開放姿勢とし(図12(a)参照)、排出板233を後方に移動させることで(図12(b)参照)、収容箱開口部20から外部に塵芥を排出する。この排出動作は、油圧ポンプが駆動する動作等の排出動作を実行するための準備動作の後に実行される。なお、この塵芥収集車201においても、排出時危険領域91を塵芥投入箱11の移動範囲(回動範囲)と平面視で重なる領域としてもよい。
【0086】
上記した実施形態の安全支援動作では、報知動作として、第一ランプ51aを緑色に発光させる動作、第二ランプ51bを黄色に発光させる動作、第三ランプ51cを赤色に発光させる動作を接近検知動作の結果に応じて選択的に実行した。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。
例えば、報知手段に属する複数のランプは、それぞれが複数色での発光が可能なものでもよい。この場合、上記したように人物が安全エリアにいると判断されたとき、報知手段に属する複数のランプがいずれも緑色に発光する動作を実行してもよい。同様に、人物が危険エリアに接近したと判別されたとき、複数のランプがいずれも黄色に発光する動作を実行してもよい。そして、人物が危険エリアに侵入と判別されたとき、複数のランプがいずれも赤色に発光する動作を実行してもよい。
さらに、上記した実施形態では、それぞれの状況で発光させる際の色を緑、黄、赤としたが、それぞれの状況で発光させる際の色は適宜変更してもよい。それぞれの状況で異なる色であればよい。
【0087】
上記した実施形態の第一領域明示動作、第二領域明示動作、第三領域明示動作では、境界明示部を形成する際、立ち入ると危険が生じる領域の境界部分の全体又は一部と重なるように形成し、領域の境界部分の全体又は一部の位置を示した。詳細には、略環状の境界部分において、前方側、左方側、右方側、後方側といった各方向の端部の位置を示した。
しかしながら、本発明はこれに限るものではない。
例えば、境界明示部の線分状の部分を形成するとき、上記したように一部が境界部分と重なるように形成する他、境界明示部の線分状の部分を境界部分の外側に隣接する位置に形成してもよい。また、境界明示部の線分状の部分を境界部分の外側に近接する位置に形成してもよい。なお、ここでいう「境界部分の外側に近接する位置」は、境界部分から微細な間隔(数cm程度の間隔)を空けて外側に離れた位置である。すなわち、それぞれの領域明示動作は、形成された光を視認することで、立ち入ると危険が生じる領域の正確な位置又は大まかな位置を把握できればよい。
【符号の説明】
【0088】
1,201 塵芥収集車
2b 車体フレーム(車台)
10,210 塵芥収容箱
11 塵芥投入箱
12 光照射装置
13 安全支援装置
33 積込装置
50 カメラ(撮像手段)
90 積込時危険領域(第一領域)
91,191 排出時危険領域(第二領域)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12