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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167330
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】配線基板および物品
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
H05K1/02 F
H05K1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078429
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】小川 健一
(72)【発明者】
【氏名】三好 徹
(72)【発明者】
【氏名】坂田 麻紀子
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA01
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB63
5E338CC01
5E338CD05
5E338EE60
(57)【要約】
【課題】 人体への装着に適した伸縮性を有しつつ、振動による皮膚感覚を利用者に効率的にフィードバックすることが可能な配線基板および物品を提供する。
【解決手段】 配線基板の構成を、第1面及び第1面の反対側に位置する第2面を含む基材であって、第1面の面内方向に、弾性を有する伸縮部と、伸縮部と隣接し振動を伝搬する物性を有する振動伝搬部とを、を有する基材と、基材の第1面の側に位置する配線と、基材の振動伝搬部の第1面の側に位置し、配線に接続された接続用電極と、を備え、振動伝搬部が、第1面から第2面に達する厚みを有し、振動伝搬部の少なくとも一部が、第1面および第2面に露出する構成とする。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含む基材であって、前記第1面の面内方向に、弾性を有する伸縮部と、前記伸縮部と隣接し振動を伝搬する物性を有する振動伝搬部とを、を有する基材と、
前記基材の前記第1面の側に位置する配線と、
前記基材の前記振動伝搬部の前記第1面の側に位置し、前記配線に接続された接続用電極と、
を備え、
前記振動伝搬部が、前記第1面から前記第2面に達する厚みを有し、前記振動伝搬部の少なくとも一部が、前記第1面および前記第2面に露出する、配線基板。
【請求項2】
前記基材の厚み方向の断面において、前記振動伝搬部が、前記第1面と前記第2面との間における幅が前記第1面における幅および前記第2面における幅よりも大きな幅となる形態を有する、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記基材の厚み方向の断面において、前記振動伝搬部が、前記第1面における幅よりも前記第2面における幅が大きな幅となる形態を有する、請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記基材の厚み方向の断面において、前記振動伝搬部が、前記伸縮部と対向する側面に凹凸構造を有する、請求項1に記載の配線基板。
【請求項5】
前記振動伝搬部が、前記第2面の側に突起部を有し、前記突起部の頂部が前記第2面に露出する、請求項1に記載の配線基板。
【請求項6】
前記振動伝搬部が、前記第2面の側に突起部を有し、前記突起部が前記第2面から突出する、請求項1に記載の配線基板。
【請求項7】
前記振動伝搬部が、前記伸縮部よりも大きい音響インピーダンスを有する、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項8】
前記振動伝搬部が、前記伸縮部よりも大きい音響インピーダンスを有し、
前記振動伝搬部が、前記第1面に露出する第1面側振動伝搬部と、前記第2面に露出する第2面側振動伝搬部とを有し、
前記第2面側振動伝搬部の音響インピーダンスが、前記第1面側振動伝搬部の音響インピーダンスよりも小さい、請求項1に記載の配線基板。
【請求項9】
前記基材の厚み方向の断面において、前記第2面側振動伝搬部が、前記第1面の側における幅よりも前記第2面における幅が小さな幅となる形態を有する、請求項8に記載の配線基板。
【請求項10】
前記振動伝搬部が、前記第2面の側に複数の突起部を有し、前記複数の突起部が前記第2面から突出し、
前記振動伝搬部および前記複数の突起部が、前記伸縮部よりも大きい音響インピーダンスを有し、
前記複数の突起部のうち、前記伸縮部に近い位置に配置された突起部の音響インピーダンスが、前記伸縮部から遠い位置に配置された突起部の音響インピーダンスよりも小さい、請求項1に記載の配線基板。
【請求項11】
前記配線は、複数の導電性粒子を含む、請求項1に記載の配線基板。
【請求項12】
前記配線は、前記基材の厚み方向の断面において、山部及び谷部を含む蛇腹形状部を有する、請求項1に記載の配線基板。
【請求項13】
前記配線と前記基材の前記第1面との間に位置し、前記基材の前記伸縮部が有する弾性係数よりも大きい弾性係数を有し、前記配線を支持する支持基板を更に備える、請求項12に記載の配線基板。
【請求項14】
前記基材の前記第2面のうち前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅が、前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅よりも小さい、請求項13に記載の配線基板。
【請求項15】
前記基材の前記第2面のうち前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の周期が、前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の周期よりも大きい、請求項13に記載の配線基板。
【請求項16】
前記基材の前記第1面の面内方向に沿う引張応力が前記基材に加えられていない第1状態における前記配線の抵抗値を第1抵抗値と称し、前記基材に引張応力を加えて前記基材を前記第1面の面内方向において前記第1状態に比べて30%伸長させた第2状態における前記配線の抵抗値を第2抵抗値と称する場合、前記第1抵抗値に対する、前記第1抵抗値と前記第2抵抗値の差の絶対値の比率が、20%以下である、請求項13に記載の配線基板。
【請求項17】
前記基材の前記第1面の側に位置し、前記配線に、前記接続用電極を介して接続される電子部品を更に備える、請求項1に記載の配線基板。
【請求項18】
請求項1に記載の配線基板を有する、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、伸縮性を有する基材と配線とを備える配線基板、および該配線基板を有する物品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、伸縮性などの変形性を有する電子デバイスの研究がおこなわれている。例えば特許文献1は、基材と、基材に設けられた配線と、を備え、伸縮性を有する配線基板を開示している。特許文献1においては、予め伸長させた状態の基材に回路を設け、回路を形成した後に基材を弛緩させる、という製造方法を採用している。特許文献1は、基材の伸長状態及び弛緩状態のいずれにおいても基材上の薄膜トランジスタを良好に動作させることを意図している。
【0003】
このような伸縮性を有する配線基板は人体への装着に適しており、その用途として、例えばハプティクス技術の分野がある。ハプティクス技術とは、例えば、利用者の皮膚に力、振動、動き等を与えることで、皮膚感覚をフィードバックする技術である。ハプティクス技術は、触覚技術とも呼ばれる。ハプティクス技術の一例として、例えば、VR(Virtual Reality)での触覚フィードバックを実現するため、物を触った際の触感や、物体を把持した際の力覚などを、指や手首に対する振動によって疑似触覚として利用者に体感させる技術が研究されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-281406号公報
【特許文献2】国際公開第2018/092595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
振動によって皮膚感覚をフィードバックする場合、言い換えれば、振動によって疑似触覚を利用者に体感させる場合、ハプティクス素子としての振動子からの振動は、出来る限り減衰されずに、利用者の皮膚に効率的に伝搬されることが望ましい。
しかしながら、伸縮性を有する配線基板においては、その主たる構成がシリコーンゴム等の弾性を有する材料であり、通常、このような材料は、振動を吸収する特性を有している。
それゆえ、このような伸縮性を有する配線基板に搭載する電子部品として振動子を用いる場合、振動子からの振動が伸縮性を有する材料によって減衰してしまい、利用者に皮膚感覚を効率的にフィードバックすることが困難になるという課題があった。
【0006】
本開示の実施形態は、このような点を考慮してなされたものであり、人体への装着に適した伸縮性を有しつつ、振動による皮膚感覚を利用者に効率的にフィードバックすることが可能な配線基板および物品を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態は、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含む基材であって、前記第1面の面内方向に、弾性を有する伸縮部と、前記伸縮部と隣接し振動を伝搬する物性を有する振動伝搬部とを、を有する基材と、前記基材の前記第1面の側に位置する配線と、前記基材の前記振動伝搬部の前記第1面の側に位置し、前記配線に接続された接続用電極と、を備え、前記振動伝搬部が、前記第1面から前記第2面に達する厚みを有し、前記振動伝搬部の少なくとも一部が、前記第1面および前記第2面に露出する、配線基板である。
【0008】
本開示の一実施形態による配線基板は、前記基材の厚み方向の断面において、前記振動伝搬部が、前記第1面と前記第2面との間における幅が前記第1面における幅および前記第2面における幅よりも大きな幅となる形態を有していてもよい。
【0009】
本開示の一実施形態による配線基板は、前記基材の厚み方向の断面において、前記振動伝搬部が、前記第1面における幅よりも前記第2面における幅が大きな幅となる形態を有していてもよい。
【0010】
本開示の一実施形態による配線基板は、前記基材の厚み方向の断面において、前記振動伝搬部が、前記伸縮部と対向する側面に凹凸構造を有していてもよい。
【0011】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記振動伝搬部が、前記第2面の側に突起部を有し、前記突起部の頂部が前記第2面に露出していてもよい。
【0012】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記振動伝搬部が、前記第2面の側に突起部を有し、前記突起部が前記第2面から突出していてもよい。
【0013】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記振動伝搬部が、前記伸縮部よりも大きい音響インピーダンスを有していてもよい。
【0014】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記振動伝搬部が、前記伸縮部よりも大きい音響インピーダンスを有し、前記振動伝搬部が、前記第1面に露出する第1面側振動伝搬部と、前記第2面に露出する第2面側振動伝搬部とを有し、前記第2面側振動伝搬部の音響インピーダンスが、前記第1面側振動伝搬部の音響インピーダンスよりも小さくてもよい。
【0015】
本開示の一実施形態による配線基板は、前記基材の厚み方向の断面において、前記第2面側振動伝搬部が、前記第1面の側における幅よりも前記第2面における幅が小さな幅となる形態を有していてもよい。
【0016】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記振動伝搬部が、前記第2面の側に複数の突起部を有し、前記複数の突起部が前記第2面から突出し、前記振動伝搬部および前記複数の突起部が、前記伸縮部よりも大きい音響インピーダンスを有し、前記複数の突起部のうち、前記伸縮部に近い位置に配置された突起部の音響インピーダンスが、前記伸縮部から遠い位置に配置された突起部の音響インピーダンスよりも小さくてもよい。
【0017】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記配線は、複数の導電性粒子を含んでいてもよい。
【0018】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記配線は、前記基材の厚み方向の断面において、山部及び谷部を含む蛇腹形状部を有していてもよい。
【0019】
本開示の一実施形態による配線基板は、前記配線と前記基材の前記第1面との間に位置し、前記基材の前記伸縮部が有する弾性係数よりも大きい弾性係数を有し、前記配線を支持する支持基板を更に備えていてもよい。
【0020】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記基材の前記第2面のうち前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅が、前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅よりも小さくてもよい。
【0021】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記基材の前記第2面のうち前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の周期が、前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の周期よりも大きくてもよい。
【0022】
本開示の一実施形態による配線基板において、前記基材の前記第1面の面内方向に沿う引張応力が前記基材に加えられていない第1状態における前記配線の抵抗値を第1抵抗値と称し、前記基材に引張応力を加えて前記基材を前記第1面の面内方向において前記第1状態に比べて30%伸長させた第2状態における前記配線の抵抗値を第2抵抗値と称する場合、前記第1抵抗値に対する、前記第1抵抗値と前記第2抵抗値の差の絶対値の比率が、20%以下であるようにしてもよい。
【0023】
本開示の一実施形態による配線基板は、前記基材の前記第1面の側に位置し、前記配線に、前記接続用電極を介して接続される電子部品を更に備えていてもよい。
【0024】
本開示の一実施形態は、前記配線基板を有する、物品である。
【発明の効果】
【0025】
本開示の実施形態によれば、人体への装着に適した伸縮性を有しつつ、振動による皮膚感覚を利用者に効率的にフィードバックすることが可能な配線基板および物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本開示の第1の実施形態に係る配線基板の一例を示す平面図
図2】本開示の第1の実施形態に係る配線基板の一例を示す断面図
図3】本開示の第1の実施形態の第1の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図
図4】本開示の第1の実施形態の第2の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図
図5】本開示の第1の実施形態の第3の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図
図6】本開示の第1の実施形態の第4の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図
図7】本開示の第1の実施形態の第5の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図
図8】本開示の第1の実施形態の第6の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図
図9】本開示の第1の実施形態の第7の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図
図10】本開示の第1の実施形態の第8の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図
図11図2に示す配線基板の製造方法の一例を示す工程図
図12図11に続く図2に示す配線基板の製造方法の一例を示す工程図
図13図11に示す配線基板の製造方法の他の例を示す部分工程図
図14図3に示す配線基板の製造方法の一例について示す図
図15図4に示す配線基板の製造方法の一例について示す図
図16図5に示す配線基板の製造方法の一例について示す図
図17図6に示す配線基板の製造方法の一例について示す図
図18図7に示す配線基板の製造方法の一例について示す図
図19図7に示す配線基板の製造方法の他の例について示す図
図20図8に示す配線基板の製造方法の一例について示す図
図21図9に示す配線基板の製造方法の一例について示す図
図22図10に示す配線基板の製造方法の一例について示す図
図23図10に示す配線基板の製造方法の他の例について示す図
図24】本開示の第2の実施形態に係る配線基板の一例を示す平面図
図25】本開示の第2の実施形態に係る配線基板の一例を示す断面図
図26】本開示の第2の実施形態に係る配線基板の一例を示す断面図
図27図25に示す配線基板の製造方法の一例を示す工程図
図28】本開示の第2の実施形態の第1の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図
図29】本開示の第2の実施形態の第2の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図
図30】本開示の第2の実施形態の第3の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図
図31】本開示の第2の実施形態の第4の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図
図32】本開示の第2の実施形態の第5の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図
図33】本開示の第2の実施形態の第6の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図
図34】本開示の第2の実施形態の第7の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図
図35】本開示の第2の実施形態の第8の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図
図36】本開示の第3の実施形態に係る配線基板の一例を示す断面図
図37図36に示す配線基板の製造方法の一例を示す工程図
図38】本開示の第4の実施形態に係る配線基板の一例を示す断面図
図39】本開示の第5の実施形態に係る配線基板の一例を示す断面図
図40】本開示の第6の実施形態に係る配線基板の一例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示の実施形態に係る配線基板の構成及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本明細書において、「基板」、「基材」、「シート」や「フィルム」など用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「基材」は、基板、シートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。更に、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0028】
また、本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」、あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。また、本明細書において、ある部材の面に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
【0029】
以下、本開示の実施形態に係る配線基板の構成及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
<第1の実施形態>
(配線基板)
まず、本開示の第1の実施形態に係る配線基板について、図1図2を用いて説明する。
ここで、図1は、本開示の第1の実施形態に係る配線基板の一例を示す平面図であり、より詳しくは、配線基板10を基材20の第1面21側から見た配線基板10の平面形態の要部を示す平面図である。
また、図2は、本開示の第1の実施形態に係る配線基板の一例を示す断面図であり、より詳しくは、図2に示す断面図は、図1に示す配線基板10を線A-Aに沿って切断した場合の図である。
【0031】
図1および図2に示すように、配線基板10は、基材20、配線41、接続用電極42を備える。
基材20は、第1面21と、第1面21の反対側に位置する第2面22と、を含む。この基材20は、基材20の第1面21の面内方向に、弾性を有する伸縮部31と、伸縮部31と隣接し振動を伝搬する物性を有する振動伝搬部32と、を備えている。
配線41は、基材20の第1面21側に位置している。
接続用電極42は、基材20の振動伝搬部32の第1面21側に位置し、配線41に接続されている。配線41は、接続用電極42を介して、配線基板10に搭載される電子部品に接続される。配線基板10に搭載される電子部品には、ハプティクス素子としての振動子を含む。配線基板10は、ハプティクス素子としての振動子に加えて、他の電子部品を有していてもよい。
そして、振動伝搬部32は、基材20の第1面21から第2面22に達する厚みを有し、振動伝搬部32の少なくとも一部が、第1面21および第2面22に露出している。
【0032】
配線基板10が人体へ装着される際は、第2面22側が人体側となる。なお、配線基板10が人体へ装着される際は、基材20の第2面22が直接人体(例えば皮膚の表面)に接触する形態や、基材20の第2面22と人体との間に他の物質(布、樹脂等)を介する形態がある。
配線基板10においては、基材20の大部分が伸縮部31から構成されているため、人体への装着に適した伸縮性を有するものとなる。また、配線基板10においては、基材20を貫通して第1面21と第2面22に露出する振動伝搬部32を有するため、例えば、振動伝搬部32の第1面21側に、ハプティクス素子として振動子を配置することで、第1面21側から第2面22側への振動の伝搬が、より効率的になる。それゆえ、配線基板10によれば、人体への装着に適した伸縮性を有しつつ、振動による皮膚感覚を利用者に効率的にフィードバックすることが可能となる。
以下、配線基板10の各構成要素について説明する。
【0033】
[基材]
基材20は、伸縮性を有するよう構成された部材である。基材20は、第1面21と、第1面21の反対側に位置する第2面22と、を含む。この基材20は、基材20の第1面21の面内方向に、弾性を有する伸縮部31と、伸縮部31と隣接し振動を伝搬する物性を有する振動伝搬部32と、を備えている。
【0034】
基材20の伸縮部31と振動伝搬部32とは、接着剤等により接合されていてもよい。あるいは、平坦な面上に振動伝搬部32を置いて、伸縮部31となる液状の材料を流し込み、当該材料を振動伝搬部32と一体化させながら硬化させることで、基材20の伸縮部31と振動伝搬部32の構成を形成することもできる。この液状の材料を流し込むことにより、剛体である振動伝搬部32の断面形状がひし形や台形のような形状を有する場合にも、伸縮部31と振動伝搬部32を容易に形成することができる。
【0035】
基材20の厚みは、例えば10mm以下であり、より好ましくは1mm以下である。なお、基材20は、基材20の第1面21の面内方向に、伸縮部31と振動伝搬部32とを有するが、振動伝搬部32は基材20の必要な箇所にのみ設けるものであり、伸縮部31が基材20の大部分を占めることになる。それゆえ、本明細書において、基材20の厚みと言う場合は、特段の事情がない限り、伸縮部31の厚みとして扱うことができる。
【0036】
基材20の伸縮部31の厚みを小さくすることにより、基材20の伸縮に要する力を低減することができる。また、基材20の伸縮部31と振動伝搬部32の厚みを小さくすることにより、配線基板10を用いた製品全体の厚みを小さくすることができる。これにより、配線基板10の装着による違和感を低減することができる。なお、基材20の厚みは、10μm以上であってもよい。
【0037】
[基材の伸縮部]
基材20の伸縮部31は、自在に伸縮可能な弾性を有し、配線基板10の大部分を占める。これにより、配線基板10は人体への装着に適した伸縮性を有するものとなる。
基材20の伸縮部31の伸縮性を表すパラメータの例として、弾性係数を挙げることができる。伸縮部31の弾性係数は、例えば10MPa以下であり、より好ましくは1MPa以下である。このような弾性係数を有する伸縮部31を基材20に用いることにより、配線基板10全体に伸縮性を持たせることができる。以下の説明において、基材20の伸縮部31の弾性係数のことを、第1の弾性係数とも称する。基材20の伸縮部31の第1の弾性係数は、1kPa以上であってもよい。
【0038】
基材20の伸縮部31の第1の弾性係数を算出する方法としては、基材20の伸縮部31のサンプルを用いて、JIS K6251に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。また、基材20の伸縮部31のサンプルの弾性係数を、ISO14577に準拠してナノインデンテーション法によって測定するという方法を採用することもできる。ナノインデンテーション法において用いる測定器としては、ナノインデンターを用いることができる。基材20の伸縮部31のサンプルを準備する方法としては、配線基板10から基材20の伸縮部31の一部をサンプルとして取り出す方法や、配線基板10を構成する前の基材20の伸縮部Yの一部をサンプルとして取り出す方法が考えられる。その他にも、基材20の伸縮部31の第1の弾性係数を算出する方法として、基材20の伸縮部31を構成する材料を分析し、材料の既存のデータベースに基づいて基材20の伸縮部31の第1の弾性係数を算出するという方法を採用することもできる。なお、本願における弾性係数は、25℃の環境下における弾性係数である。
【0039】
基材20の伸縮部31の伸縮性を表すパラメータのその他の例として、基材20の伸縮部31の曲げ剛性を挙げることができる。曲げ剛性は、対象となる部材の断面二次モーメントと、対象となる部材を構成する材料の弾性係数との積であり、単位はN・m2又はPa・m4である。基材20の伸縮部31の断面二次モーメントは、配線基板10の伸縮方向に直交する平面によって、基材20の伸縮部31のうち配線41と重なっている部分を切断した場合の断面に基づいて算出される。以下の説明において、基材20の伸縮部31の曲げ剛性のことを、第1の曲げ剛性とも称する。
【0040】
基材20の伸縮部31を構成する材料の例としては、熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゲル、シリコンゲル等を挙げることができる。また、基材20の伸縮部31の材料として、例えば、織物、編物、不織布などの布を用いることもできる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレタン系エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、1,2-BR系熱可塑性エラストマフッ素系熱可塑性エラストマー等を用いることができる。機械的強度や耐磨耗性を考慮すると、ウレタン系エラストマーを用いることが好ましい。更に、シリコーンゴムは、耐熱性・耐薬品性・難燃性に優れており、基材20の伸縮部31の材料として好ましい。
【0041】
[基材の振動伝搬部]
基材20の振動伝搬部32は、配線基板10において、第1面21側から第2面22側への振動の伝搬がより効率的になるように設けられる部材である。本開示の配線基板においては、振動伝搬部32の第1面21側に、電子部品としてハプティクス素子の振動子が配置される。
【0042】
図2に示すように、振動伝搬部32は、基材20の第1面21から第2面22に達する厚みを有し、振動伝搬部32の少なくとも一部が、第1面21および第2面22に露出する。なお、図2に示す配線基板10においては、振動伝搬部32の厚みが伸縮部31の厚みと同じである形態を例示しているが、本開示の配線基板はこれに限定されない。振動伝搬部32は、基材20を貫通して第1面21および第2面22に露出する形態を有していればよく、振動伝搬部32の厚みは、必ずしも伸縮部31の厚みと同じでなくてもよい。
【0043】
振動伝搬部32が有する振動を伝搬する物性の例として、音響インピーダンスを挙げることができる。音響インピーダンスとは、物体(媒質)の音の伝搬のしやすさを数値で表したものであり、物体はそれぞれ固有の音響インピーダンスを有している。音響インピーダンス(Zo)は、下記のように、媒質の密度(ρ)と媒質中の音速(c)の積で求めることができる。

Zo=ρ×c
【0044】
配線基板10において、振動伝搬部32は伸縮部31よりも大きい音響インピーダンスを有する。振動伝搬部32の音響インピーダンスは、例えば2.0×106kg/m2・s以上であり、好ましくは2.5×106kg/m2・s以上である。振動伝搬部32の音響インピーダンスが、2.5×106kg/m2・sec以上であれば、多くの弾性体よりも大きい音響インピーダンスとなり、伸縮部31に比べて十分に高い効率で振動を伝搬することができる。これにより、配線基板10においては、振動による皮膚感覚を、利用者に効率的にフィードバックすることができる。
なお、振動伝搬部32の音響インピーダンスの値は大きいほどよく、上限値については特に制限されないが、例えば、50×106kg/m2・sとすることができる。音響インピーダンスが、50×106kg/m2・s以下であれば、多くの金属材料を含めることができ、金属材料は通常、振動を伝搬する効率が高い。
【0045】
基材20の振動伝搬部32の音響インピーダンスを算出する方法としては、例えば、アルキメデス法等により振動伝搬部32の密度を計測し、超音波音速計により振動伝搬部32の音速を計測して、その積により音響インピーダンスを求めることができる。その他の方法として、JIS A 1405-2に準拠して固定された2つのマイクロホンにより測定された2点間の伝達関数から、振動伝搬部32を構成する材料の音響インピーダンスを求めてもよい。また、振動伝搬部32を構成する材料に関する公知の数値(密度、音速)から算出してもよい。
【0046】
一方、配線基板10において、伸縮部31は伸縮性に応じた弾性を有しており、通常、弾性係数の小さい物質は音響インピーダンスも小さくなる。例えば、シリコーンゴムの音響インピーダンスは、約1.0×106kg/m2・sである。
ここで、本開示の配線基板においては、利用者に効率的にフィードバックする皮膚感覚に対してノイズ等の混入を回避するために、伸縮部31の音響インピーダンスは、振動伝搬部32の音響インピーダンスよりも小さいことが好ましい。このような理由から、伸縮部31の音響インピーダンスは、2.0×106kg/m2・s未満が好ましく、より好ましくは1.5×106kg/m2・s以下になる。上記のように、シリコーンゴムの音響インピーダンスは、約1.0×106kg/m2・sであることから、シリコーンゴムは伸縮部31の材料として好ましい。
なお、伸縮部31の音響インピーダンスの値は、上記のノイズ等の混入を回避するためには小さいほどよく、下限値については特に制限されないが、空気の音響インピーダンスが410kg/m2・sであることから、例えば、400kg/m2・sとすることができる。
【0047】
基材20の伸縮部31の音響インピーダンスを算出する方法としては、上述した振動伝搬部32の音響インピーダンスを算出する方法と同様の方法を用いることができる。
【0048】
なお、以下の説明において、基材20の伸縮部31の音響インピーダンスのことを、第1の音響インピーダンスとも称する。また、振動伝搬部32の音響インピーダンスのことを、第2の音響インピーダンスとも称する。
【0049】
上記のように、配線基板10において、振動伝搬部32は振動伝搬性に応じた音響インピーダンス(第2の音響インピーダンス)を有しており、通常、音響インピーダンスの大きい物質は、その弾性係数も大きな値となる。それゆえ、基材20の振動伝搬部32は、伸縮部31の第1の弾性係数よりも大きい弾性係数を有する。以下の説明において、基材20の振動伝搬部32の弾性係数のことを、第2の弾性係数とも称する。
【0050】
基材20の振動伝搬部32の弾性係数(第2の弾性係数)は、例えば1GPa以上であり、より好ましくは10GPa以上である。基材20の振動伝搬部32の第2の弾性係数は、基材20の伸縮部31の第1の弾性係数の100倍以上であってもよく、1000倍以上であってもよい。このような振動伝搬部32を基材20に設けることにより、基材20の振動伝搬部32が伸縮することを抑制することができる。これにより、基材20を、伸縮が生じやすい部分である伸縮部31と、伸縮が生じにくい部分である振動伝搬部32とに区画することができる。基材20の振動伝搬部32の第2の弾性係数は、500GPa以下であってもよい。また、基材20の振動伝搬部32の第2の弾性係数は、基材20の伸縮部31の第1の弾性係数の500000倍以下であってもよい。
【0051】
基材20の振動伝搬部32の第2の弾性係数を算出する方法は、基材20の振動伝搬部32の形態に応じて適宜定められる。例えば、基材20の振動伝搬部32の第2の弾性係数を算出する方法は、上述の基材20の伸縮部31の弾性係数を算出する方法と同様であってもよく、異なっていてもよい。例えば、基材20の振動伝搬部32の弾性係数を算出する方法として、基材20の振動伝搬部32のサンプルを用いて、ASTM D882に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。
【0052】
また、基材20の振動伝搬部32は、基材20の伸縮部31の第1の曲げ剛性よりも大きい曲げ剛性を有する。基材20の振動伝搬部32の曲げ剛性は、基材20の伸縮部31の第1の曲げ剛性の100倍以上であってもよく、1000倍以上であってもよい。以下の説明において、基材20の振動伝搬部32の曲げ剛性のことを、第2の曲げ剛性とも称する。
【0053】
基材20の振動伝搬部32を構成する材料の例としては、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含侵させたガラスエポキシ樹脂、紙基材にフェノール樹脂を含侵させた紙フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂や、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PI(ポリイミド)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等のフィルム、金属、セラミック、および、セラミックまたは金属を含有するゴム等を挙げることができる。
上記のガラスエポキシ樹脂としては、米国電機工業会(NEMA)規格のFR4以上に相当するものが、難燃性の点から好ましい。同様に、紙フェノール樹脂としては、米国電機工業会(NEMA)規格のFR1以上に相当するものが、難燃性の点から好ましい。
【0054】
[配線]
配線41は導電性を有する部材である。そして、配線41は、基材20の第1面21側に位置し、接続用電極42を介して、振動子等の電子部品に接続される。
【0055】
ここで、図2に示す配線基板10においては、配線41が基材20の第1面21に接する形態を例示しているが、本開示の配線基板はこれに限定されない。例えば、配線41は、基材20の第1面21と離間する形態で、基材20の第1面21側に設けられていてもよい。このような形態としては、例えば、配線41がワイヤー線の形態(糸状の形態)を挙げることができる。配線41が基材20の第1面21と離間する形態であれば、基材20が伸縮する場合も、配線41が直接その影響で変形(例えば厚みが変化)することを回避でき、断線や抵抗値変化を抑制することができる。
【0056】
一方、図2に示す配線基板10のように、配線41が基材20の第1面21に接する形態の場合、配線41を配線基板10と一体化することができ、人体に装着しての取り扱いがより良好なものとなる。ただし、配線41が基材20の第1面21に接する形態の場合は、基材20の伸縮により、配線41がその影響で変形(例えば厚みが変化)し、断線や抵抗値変化を生じてしまうおそれがある。
【0057】
この点を考慮し、配線基板10における配線41は、変形に対する耐性を有する構造を備えることが好ましい。例えば、配線41は、ベース材と、ベース材の中に分散された複数の導電性粒子とを有する。この場合、ベース材として、樹脂などの変形可能な材料を用いることにより、基材20の伸縮に応じて配線41も変形することができる。これにより、断線を抑制することができる。また、配線41に変形が生じた場合であっても複数の導電性粒子の間の接触が維持されるように導電性粒子の分布や形状を設定することにより、配線41の導電性を維持することができる。これにより、抵抗値変化を抑制することができる。
【0058】
配線41のベース材を構成する材料としては、例えば、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができ、例えば、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ポリクロロプレン等を用いることができる。中でも、ウレタン系、シリコーン系構造を含む樹脂やゴムが、その伸縮性や耐久性などの面から好ましく用いられる。また、配線41の導電性粒子を構成する材料としては、例えば銀、銅、金、ニッケル、パラジウム、白金、カーボン等の粒子を用いることができる。中でも、銀粒子が、価格と導電性の観点から好ましく用いられる。
【0059】
配線41の厚みは、例えば、50μm以下とすることができる。配線41の幅は、例えば50μm以上且つ10mm以下とすることができる。
【0060】
[接続用電極]
接続用電極42は、基材20の振動伝搬部32の第1面21側に位置し、配線41に接続されるそして、この接続用電極42を介して、配線41と振動子等の電子部品とが、接続される。
【0061】
ここで、接続用電極42は、例えば、電子部品を配線基板10に搭載する際に図示しない圧着治具により押圧される場合がある。この場合、接続用電極42は、基材20の剛性が高い部分である振動伝搬部32の第1面21側に配置されているため、基材20が押し込まれにくく変改しにくいことから、接続用電極42と配線41との間に断線が発生するのを抑制することができる。
【0062】
また、接続用電極42は、例えば、配線基板10から電子部品を脱着する時に引っ張られる場合がある。この場合、接続用電極42は、基材20の剛性が高い部分である振動伝搬部32の第1面21側に配置されているため、基材20が引っ張られにくく変改しにくいことから、接続用電極42と配線41との間に断線が発生するのを抑制することができる。
【0063】
接続用電極42に用いられる材料としては、導電性の高い材料が好ましく、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、白金、クロム等の金属や、これらの金属を含む合金が挙げられる。
接続用電極42は、振動伝搬部32の第1面21側に配置されるため、特に伸縮性を有する必要は無いが、製造容易とする点から、接続用電極42と配線41とは、同じ材料から構成されてもよい。
【0064】
次に、基材20の振動伝搬部32と電子部品との位置関係について説明する。配線基板10に搭載される電子部品には、ハプティクス素子としての振動子を含む。配線基板10は、ハプティクス素子としての振動子に加えて、他の電子部品を有していてもよい。
電子部品は基材20の振動伝搬部32の第1面21側に配置される。そして、基材20の振動伝搬部32は、基材20の伸縮部31に比べて変形しにくい。それゆえ、基材20に引張応力などの力を加えたときや、基材20から引張応力などの力を取り除いたときなどに、基材20の変形に起因する応力が電子部品に加わることを抑制することができ、電子部品が変形したり破損したりしてしまうことを抑制することができる。また、電子部品と配線41との間の電気接合部が破損してしまうことを抑制することができる。
【0065】
ハプティクス素子としての振動子に加えて搭載する電子部品の例としては、トランジスタ、LSI(Large-Scale Integration)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、リレー、LED、OLED、LCDなどの発光素子、センサ、ブザー等の発音部品、冷却発熱をコントロールするペルチェ素子や電熱線などの冷発熱部品、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、圧電素子、スイッチ、コネクタなどを挙げることができる。
上述の例のうち、センサとしては、例えば、温度センサ、圧力センサ、光センサ、光電センサ、近接センサ、せん断力センサ、生体センサ、レーザーセンサ、マイクロ波センサ、湿度センサ、歪みセンサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、変位センサ、磁気センサ、ガスセンサ、GPSセンサ、超音波センサ、臭いセンサ、脳波センサ、電流センサ、振動センサ、脈波センサ、心電センサ、光度センサ等を挙げることができる。
【0066】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
【0067】
(第1の変形例)
図3は本開示の第1の実施形態の第1の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。図3に示すように、配線基板10Aは、基材20A、配線41、接続用電極42を備える。そして、基材20Aは、第1面21の面内方向に、弾性を有する伸縮部31Aと、伸縮部31Aと隣接し振動を伝搬する物性を有する振動伝搬部32Aと、を備えている。
【0068】
さらに、図3に示すように、基材20Aの厚み方向の断面において、配線基板10Aの振動伝搬部32Aは、基材20Aの第1面21と第2面22との間における幅が第1面21における幅および第2面22における幅よりも大きな幅となる形態を有している。
【0069】
このような形態を有するため、配線基板10Aにおいては、振動伝搬部32Aが、基材20Aの第1面21の方向および第2面22の方向のいずれにも抜け落ちることを抑制できる。すなわち、振動伝搬部32Aが、基材20Aから分離してしまうことを抑制することができる。
また、図3に示すように、伸縮部31Aの側から振動伝搬部32Aの中央部(接続用電極42が位置する部分)に近づくにつれ、伸縮部31Aの厚みが徐々に小さくなる。
これにより、第1面21側の伸縮部31Aと振動伝搬部32Aとの境界近傍において、基材20Aの剛性が段階的に変化することになり、配線41が受ける応力が緩和されることになる。それゆえ、接続用電極42と配線41との間の電気接合部が破損してしまうことを抑制することができる。
また、図3に示す配線基板10Aは、第2面22側においても伸縮部31Aの側から振動伝搬部32Aの中央部に近づくにつれ、伸縮部31Aの厚みが徐々に小さくなるため、第2面22側において、振動伝搬部32Aの外縁側から中央に向かって音響インピーダンスが大きくなる。これにより、配線基板10Aを装着する利用者に自然なフィードバックを与えることができる。
【0070】
(第2の変形例)
図4は本開示の第1の実施形態の第2の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。図4に示すように、配線基板10Bは、基材20B、配線41、接続用電極42を備える。そして、基材20Bは、第1面21の面内方向に、弾性を有する伸縮部31Bと、伸縮部31Bと隣接し振動を伝搬する物性を有する振動伝搬部32Bと、を備えている。
【0071】
さらに、図4に示すように、基材20Bの厚み方向の断面において、配線基板10Bの振動伝搬部32Bは、基材20Bの第1面21における幅よりも第2面における幅が大きな幅となる形態を有している。
【0072】
このような形態を有するため、配線基板10Bにおいては、振動伝搬部32Bが、基材20Aの第1面21の方向に抜け落ちることを抑制できる。また、上述した配線基板10と同様に、配線基板10Bが人体へ装着される際も、基材20Bの第2面22と人体との間に他の物質(布、樹脂等)を介する形態がある。それゆえ、振動伝搬部32Bが、基材20Aの第2面22の方向に抜け落ちることも抑制可能である。すなわち、配線基板10Bにおいても、振動伝搬部32Bが、基材20Bから分離してしまうことを抑制することが可能である。
また、配線基板10Bにおいては、図4に示すように、伸縮部31Bの側から振動伝搬部32Bの中央部(接続用電極42が位置する部分)に近づくにつれ、伸縮部31Bの厚みが徐々に小さくなる。
これにより、第1面21側の伸縮部31Bと振動伝搬部32Bとの境界近傍において、基材20Bの剛性が段階的に変化することになり、配線41が受ける応力が緩和されることになる。それゆえ、配線基板10Bにおいても、接続用電極42と配線41との間の電気接合部が破損してしまうことを抑制することができる。
【0073】
(第3の変形例)
図5は本開示の第1の実施形態の第3の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。図5に示すように、配線基板10Cは、基材20C、配線41、接続用電極42を備える。そして、基材20Cは、第1面21の面内方向に、弾性を有する伸縮部31Cと、伸縮部31Cと隣接し振動を伝搬する物性を有する振動伝搬部32Cと、を備えている。
【0074】
さらに、図5に示すように、基材20Cの厚み方向の断面において、配線基板10Cの振動伝搬部32Cは、伸縮部31Cと対向する側面に凹凸構造を有している。
【0075】
このような形態を有するため、配線基板10Cにおいても、振動伝搬部32Cが、基材20Cの第1面21の方向および第2面22の方向のいずれにも抜け落ちることを抑制できる。すなわち、振動伝搬部32Cが、基材20Cから分離してしまうことを抑制することができる。
【0076】
(第4の変形例)
図6は本開示の第1の実施形態の第4の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。図6に示すように、配線基板10Dは、基材20D、配線41、接続用電極42を備える。そして、基材20Dは、第1面21の面内方向に、弾性を有する伸縮部31Dと、伸縮部31Dと隣接し振動を伝搬する物性を有する振動伝搬部32Dと、を備えている。
【0077】
さらに、図6に示すように、配線基板10Dの振動伝搬部32Dは、基材20Dの第2面22側に突起部34を有し、突起部34の頂部が第2面22に露出する形態を有している。なお、本変形例において、突起部34は振動伝搬部32Dの一部であり、突起部34も含めた構造が振動伝搬部32Dである。
【0078】
このような形態を有するため、配線基板10Dにおいては頂部の面積が小さい突起部34が利用者の皮膚に振動を伝搬することになり、このような突起部の振動は皮膚において、より敏感に感じ取られることになる。それゆえ、配線基板10Dにおいては、 振動による皮膚感覚を、より効果的に、利用者にフィードバックすることができる。
【0079】
(第5の変形例)
図7は本開示の第1の実施形態の第5の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。図7に示すように、配線基板10Eは、基材20E、配線41、接続用電極42を備える。そして、基材20Eは、第1面21の面内方向に、弾性を有する伸縮部31Eと、伸縮部31Eと隣接し振動を伝搬する物性を有する振動伝搬部32Eと、を備えている。
【0080】
さらに、図7に示すように、配線基板10Eの振動伝搬部32Eは、基材20Eの第2面22側に突起部35を有し、突起部35が第2面22から突出する形態を有している。なお、本変形例において、突起部35は振動伝搬部32Eの一部であり、突起部35も含めた構造が振動伝搬部32Eである。
【0081】
このような形態を有するため、配線基板10Eにおいては頂部の面積が小さい突起部35が利用者の皮膚に振動を伝搬することになり、このような突起部の振動は皮膚において、より敏感に感じ取られることになる。
さらに、突起部35は基材20Eの第2面22から突出するため、突起部35の頂部は基材20Eの第2面22の面方向に揺れる動きも制限されずにできることになる。すなわち、突起部35は、基材20Eの厚み方向の振動のみならず、基材20Eの第2面22の面方向にも振動を伝えることができる。それゆえ、配線基板10Eにおいては、 振動による皮膚感覚を、さらに効果的に、利用者にフィードバックすることができる。
【0082】
(第6の変形例)
図8は本開示の第1の実施形態の第6の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。図8に示すように、配線基板10Fは、基材20F、配線41、接続用電極42を備える。そして、基材20Fは、第1面21の面内方向に、弾性を有する伸縮部31Fと、伸縮部31Fと隣接し振動を伝搬する物性を有する振動伝搬部32Fと、を備えている。
【0083】
さらに、図8に示すように、配線基板10Fの振動伝搬部32Fは、基材20Fの第1面21に露出する第1面側振動伝搬部32F1と、基材20Fの第2面22に露出する第2面側振動伝搬部32F2とを有している。そして、第2面側振動伝搬部32F2の音響インピーダンスは、第1面側振動伝搬部32F1の音響インピーダンスよりも小さい。なお、本変形例においては、第1面側振動伝搬部32F1と第2面側振動伝搬部32F2とを含めた構造が振動伝搬部32Fである。
【0084】
既述したように、通常、音響インピーダンスの大きい物質は、その弾性係数も大きな値となる。逆に、音響インピーダンスの小さい物質は、通常、その弾性係数も小さな値となる。それゆえ、配線基板10Fの第2面側振動伝搬部32F2の弾性係数は、第1面側振動伝搬部32F1の弾性係数よりも小さいものとなる。すなわち、第2面側振動伝搬部32F2は、第1面側振動伝搬部32F1よりも軟らかいものとなる。
それゆえ、配線基板10Fにおいては、配線基板10Fを装着する利用者にとって触感が、より良好になり、長時間の装着も苦にならなくなる。
なお、振動伝搬部32Fは伸縮部31Fよりも音響インピーダンスが大きい。それゆえ、振動伝搬部32Fを構成する第2面側振動伝搬部32F2も、伸縮部31Fより音響インピーダンスが大きい。従って、振動伝搬部32Fは第2面側振動伝搬部32F2を有していても、伸縮部31に比べて十分に高い効率で振動を伝搬することができる。
【0085】
(第7の変形例)
図9は本開示の第1の実施形態の第7の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。図9に示すように、配線基板10Gは、基材20G、配線41、接続用電極42を備える。そして、基材20Gは、第1面21の面内方向に、弾性を有する伸縮部31Gと、伸縮部31Gと隣接し振動を伝搬する物性を有する振動伝搬部32Gと、を備えている。
【0086】
さらに配線基板10Gの振動伝搬部32Gは、図9に示すように、基材20Gの第1面21に露出する第1面側振動伝搬部32G1と、基材20Gの第2面22に露出する第2面側振動伝搬部32G2とを有している。そして、第2面側振動伝搬部32G2の音響インピーダンスは、第1面側振動伝搬部32G1の音響インピーダンスよりも小さい。さらに、基材20Gの厚み方向の断面において、第2面側振動伝搬部32G2は、第1面21側における幅よりも第2面22における幅が小さな幅となる形態を有している。より詳しくは、第2面側振動伝搬部32G2は、第2面22側の中央部が基材20Gの第2面22に露出しており、第2面22に露出していない第2面側振動伝搬部32G2の外縁部は伸縮部31Gに覆われている。また、第2面側振動伝搬部32G2の外縁部においては、中央部から外縁に向かうにつれて、伸縮部31Gの厚みが大きくなっている。なお、本変形例においては、第1面側振動伝搬部32G1と第2面側振動伝搬部32G2とを含めた構造が振動伝搬部32Gである。
【0087】
このような形態を有するため、配線基板10Gは、基材20Gの第2面22側において伸縮部31Gの側から第2面側振動伝搬部32G2の中央部に近づくにつれ、伸縮部31Gの厚みが徐々に小さくなるため、第2面22側において、第2面側振動伝搬部32G2の外縁側から中央に向かって音響インピーダンスが大きくなる。これにより、配線基板10Gを装着する利用者に自然なフィードバックを与えることができる。
【0088】
(第8の変形例)
図10は本開示の第1の実施形態の第8の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。図10に示すように、配線基板10Hは、基材20H、配線41、接続用電極42を備える。そして、基材20Hは、第1面21の面内方向に、弾性を有する伸縮部31Hと、伸縮部31Hと隣接し振動を伝搬する物性を有する振動伝搬部32Hと、を備えている。
【0089】
さらに、配線基板10Hの振動伝搬部32Hは、図10に示すように、基材20Hの第2面22側に複数の突起部35H1および複数の突起部35H2を有し、複数の突起部35H1および複数の突起部35H2が第2面22から突出する形態を有している。そして、振動伝搬部32Hは、伸縮部31Hよりも大きい音響インピーダンスを有している。なお、本変形例において、突起部35H1および突起部35H2は振動伝搬部32Hの一部であり、突起部35H1および突起部35H2も含めた構造が振動伝搬部32Hである。
ここで、複数の突起部35H2は、複数の突起部35H1よりも伸縮部31Hに近い位置に配置されており、複数の突起部35H2の音響インピーダンスは、突起部35H1の音響インピーダンスよりも小さい。
【0090】
このような形態を有するため、配線基板10Hにおいては頂部の面積が小さい突起部35H1および突起部35H2が利用者の皮膚に振動を伝搬することになり、このような突起部の振動は皮膚において、より敏感に感じ取られることになる。
さらに、突起部35H1および突起部35H2は基材20Hの第2面22から突出するため、突起部35H1および突起部35H2の頂部は基材20Hの第2面22の面方向に揺れる動きも制限されずにできることになる。すなわち、突起部35H1および突起部35H2は、基材20Hの厚み方向の振動のみならず、基材20Hの第2面22の面方向にも振動を伝えることができる。それゆえ、配線基板10Hにおいては、 振動による皮膚感覚を、さらに効果的に、利用者にフィードバックすることができる。
さらに、配線基板10Hでは、突起部35H1および突起部35H2のうち、伸縮部31Hに近い位置に配置された突起部35H2の音響インピーダンスが、伸縮部31Hから遠い位置に配置された突起部35H1の音響インピーダンスよりも小さい。それゆえ、配線基板10Hでは、基材20Hの第2面22側において、伸縮部31Hと振動伝搬部32Hとの境界から振動伝搬部32Hの中央部に近づくにつれ、音響インピーダンスが大きくなる。これにより、配線基板10Hを装着する利用者に自然なフィードバックを与えることができる。
【0091】
(配線基板の製造方法)
次に、本開示の第1の実施形態に係る配線基板の製造方法について、図11から図13を用いて説明する。
ここで、図11図2に示す配線基板10の製造方法の一例を示す工程図であり、図12図11に続く図2に示す配線基板の製造方法の一例を示す工程図である。また、図13は、図11に示す配線基板の製造方法の他の例を示す部分工程図である。
【0092】
以下、まずは図11および図12を用いて、配線基板10の製造方法の一例について説明する。
図2に示す配線基板10を製造するには、まず、図11(a)に示すように、土台51として平板(ガラス板等)を準備し、この土台51の上に、離型剤を塗布等して離型層52を形成する。
【0093】
次に、図11(b)に示すように、離型層52の上に振動伝搬部32となる部材を配置する。ここで、上記の振動伝搬部32となる部材の配置は、基材20における振動伝搬部32の第1面21側が離型層52と接する側となり、第2面22側が天側となるように配置することが好ましい。上記のように配置することで、基材20における伸縮部31の第1面21と振動伝搬部32の第1面21とは、離型層52の天側の面に沿って形成されることから、伸縮部31と振動伝搬部32との境界で段差の無い同一面として形成されることが可能になる。これにより、例えば、配線41の形成に際して、伸縮部31と振動伝搬部32との境界で配線41の厚さが変化してしまう不具合や、極端な場合に伸縮部31と振動伝搬部32との境界の段差によって配線が断線してしまうことを抑制できる。
【0094】
次に、図11(c)に示すように、伸縮部31となる液状の材料(若しくは流動性を有する材料)を流し込んだ際に、所望の領域からの流出をせき止めるための構造物(いわゆる堰)として枠53を配置し、続いて、図11(d)に示すように、伸縮部31となる材料を流し込む。
【0095】
その後、伸縮部31となる材料を硬化させ、図11(e)に示すように、伸縮部31と振動伝搬部32とが一体化した基材20を取り出す。なお、図11(e)においては、離型層52を介して枠53を備えた土台51から、基材20が取り出されている形態を例示しているが、これに限らず、まず、土台51の上に設けられた離型層52から、枠53と基材20とを一体として分離し、次いで、枠53から基材20を取り出してもよい。
【0096】
次に、取り出した基材20を天地反転させて、図12(f)に示すように、第1面21側が天側に、第2面22側が地側になるようにして、図12(g)に示すように、配線41を形成し、さらに接続用電極42を配置して、図12(h)に示すように、配線基板10を得る。
【0097】
なお、図12では、配線41を形成した後に接続用電極42を配置して配線基板10を得る工程を例示したが、本開示の配線基板の製造方法はこれに限定されない。例えば、配線41と接続用電極42とを同一工程で形成してもよい。配線41と接続用電極42を形成する方法としては、例えば、ベース材及び導電性粒子を含む導電性ペーストを基材20の第1面21に印刷する方法を挙げることができる。
【0098】
また、例えば、配線41がワイヤー線の形態(糸状の形態)である場合のように、配線41が基材20の第1面21と離間する形態で、基材20の第1面21側に設けられる場合には、先に接続用電極42を配置し、次いで、配線41を接続用電極42に接続して、配線41を基材20の第1面21側に設けてもよい。
【0099】
次に、図13を用いて、配線基板10の製造方法の他の例について説明する。
既述したように、基材20の伸縮部31と振動伝搬部32とは、接着剤等により接合されていてもよい。このような場合は、上記の図11(b)と図11(c)の工程の間に、図13(b-2)から図13(b-4)の工程を施せばよい。なお、図11(b)と図13(b-1)とは、製造工程中の同じ状態の図である。
【0100】
基材20の伸縮部31と振動伝搬部32とを、接着剤により接合する場合には、図13(b-1)に示すように、離型層52の上に振動伝搬部32となる部材を配置し、次に、図13(b-2)に示すようにマスク61を配置する。ここで、マスク61を配置する際には、振動伝搬部32の第2面22の面方向の周囲に、隙間62が形成されるように配置する。マスク61は、図13(b-2)に示す振動伝搬部32の第2面22の法線方向から見た場合に、振動伝搬部32となる部材よりも大きな開口を有し、この差分が図13(b-2)に示す隙間62となる。マスク61は、例えば、上記の開口を有する樹脂フィルムである。
【0101】
次に、図13(b-3)に示すように、隙間62に接着剤63を充填し、その後、図13(b-4)に示すように、マスク61を除去する。この後の工程は、上記の図11(c)以降と同様の工程とすることができる。
【0102】
(第1の変形例に係る配線基板の製造方法)
次に、本開示の第1の実施形態の第1の変形例に係る配線基板について、その製造方法を説明する。なお、以降の説明において、上記の本開示の第1の実施形態に係る配線基板の製造方法でした説明と重複する事項については説明を省略する。
【0103】
図14は、図3に示す配線基板10Aの製造方法の一例について示す図である。
例えば、図3に示す配線基板10Aを製造するには、図11および図12を用いて説明した配線基板10の製造方法における振動伝搬部32となる部材に替えて、振動伝搬部32Aとなる部材を用いて、同様の工程を施せばよい。より具体的には、図11(b)の工程に替えて、図14に示すように、離型層52の上に振動伝搬部32Aとなる部材を配置すればよい。ここで、図14においても、図11(b)の場合と同様に、上記の振動伝搬部32Aとなる部材の配置は、基材20Aにおける振動伝搬部32Aの第1面21側が離型層52と接する側となり、第2面22側が天側となるように配置することが好ましい。この後の工程は、上記の図11(c)以降と同様の工程とすることができる。
【0104】
(第2の変形例に係る配線基板の製造方法)
次に、本開示の第1の実施形態の第2の変形例に係る配線基板について、その製造方法を説明する。
【0105】
図15は、図4に示す配線基板10Bの製造方法の一例について示す図である。
例えば、図4に示す配線基板10Bを製造するには、図11および図12を用いて説明した配線基板10の製造方法における振動伝搬部32となる部材に替えて、振動伝搬部32Bとなる部材を用いて、同様の工程を施せばよい。より具体的には、図11(b)の工程に替えて、図15に示すように、離型層52の上に振動伝搬部32Bとなる部材を配置すればよい。ここで、図15においても、図11(b)の場合と同様に、上記の振動伝搬部32Bとなる部材の配置は、基材20Bにおける振動伝搬部32Bの第1面21側が離型層52と接する側となり、第2面22側が天側となるように配置することが好ましい。この後の工程は、上記の図11(c)以降と同様の工程とすることができる。
【0106】
(第3の変形例に係る配線基板の製造方法)
次に、本開示の第1の実施形態の第3の変形例に係る配線基板について、その製造方法を説明する。
【0107】
図16は、図5に示す配線基板10Cの製造方法の一例について示す図である。
例えば、図5に示す配線基板10Cを製造するには、図11および図12を用いて説明した配線基板10の製造方法における振動伝搬部32となる部材に替えて、振動伝搬部32Cとなる部材を用いて、同様の工程を施せばよい。より具体的には、図11(b)の工程に替えて、図16に示すように、離型層52の上に振動伝搬部32Cとなる部材を配置すればよい。ここで、図16においても、図11(b)の場合と同様に、上記の振動伝搬部32Cとなる部材の配置は、基材20Cにおける振動伝搬部32Cの第1面21側が離型層52と接する側となり、第2面22側が天側となるように配置することが好ましい。この後の工程は、上記の図11(c)以降と同様の工程とすることができる。
【0108】
(第4の変形例に係る配線基板の製造方法)
次に、本開示の第1の実施形態の第4の変形例に係る配線基板について、その製造方法を説明する。
【0109】
図17は、図6に示す配線基板10Dの製造方法の一例について示す図である。
例えば、図6に示す配線基板10Dを製造するには、図11および図12を用いて説明した配線基板10の製造方法における振動伝搬部32となる部材に替えて、振動伝搬部32Dとなる部材を用いて、同様の工程を施せばよい。より具体的には、図11(b)の工程に替えて、図17(a)に示すように、離型層52の上に振動伝搬部32Dとなる部材を配置すればよい。ここで、図17(a)においても、図11(b)の場合と同様に、上記の振動伝搬部32Dとなる部材の配置は、基材20Dにおける振動伝搬部32Dの第1面21側が離型層52と接する側となり、第2面22側が天側となるように配置することが好ましい。この後の工程は、上記の図11(c)以降と同様の工程とすることができる。
【0110】
ただし、図6に示す配線基板10Dにおいては、振動伝搬部32Dの突起部34の頂部は第2面22に露出するが、隣り合う突起部34の間は伸縮部31Dを構成する材料で充填されている。それゆえ、配線基板10Dの製造方法においては、図11(d)に相当する工程の状態が、図17(b)に示すように、振動伝搬部32Dの突起部34の頂部は第2面22に露出するが、隣り合う突起部34の間は伸縮部31Dを構成する材料で充填されている状態となるように留意する。
【0111】
(第5の変形例に係る配線基板の製造方法)
次に、本開示の第1の実施形態の第5の変形例に係る配線基板について、その製造方法を説明する。
【0112】
図18は、図7に示す配線基板10Eの製造方法の一例について示す図である。
例えば、図7に示す配線基板10Eを製造するには、図11および図12を用いて説明した配線基板10の製造方法における振動伝搬部32となる部材に替えて、振動伝搬部32Eとなる部材を用いて、同様の工程を施せばよい。より具体的には、図11(b)の工程に替えて、図18(a)に示すように、離型層52の上に振動伝搬部32Eとなる部材を配置すればよい。ここで、本変形例では、図18(a)に示す工程において、上記の振動伝搬部32Eとなる部材の配置は、基材20Eにおける振動伝搬部32Eの第1面21側が離型層52と接する側となり、第2面22側が天側となるように配置する。この後の工程は、上記の図11(c)以降と同様の工程とすることができる。
【0113】
ただし、図7に示す配線基板10Eにおいては、振動伝搬部32Eの突起部35が基材20Eの第2面22から突出する形態を有している。それゆえ、図18(a)に示すように、離型層52の上に振動伝搬部32Eとなる部材を配置する場合は、図11(d)に相当する工程の状態が、図18(b)に示すように、振動伝搬部32Eの突起部35が第2面22から突出する状態となるように留意する。
【0114】
また、この第5の変形例に係る配線基板は、上記とは異なる製造方法によって製造してもよい。図19は、図7に示す配線基板10Eの製造方法の他の例について示す図である。
この製造方法では、まず、図11(a)から図11(e)に示す工程により、図19(a)に示す基材20を製造する。なお、図19(a)に示す基材20は、図11(e)に示す基材20と同じものである。
【0115】
次に、図19(b)に示すように、基材20の振動伝搬部32の第2面22に、突起部35を形成して、基材20Eを得る。突起部35を形成する方法としては、例えば、突起部35となる部材を、接着剤を用いて振動伝搬部32の第2面22に接着する方法が挙げられる。また、突起部35となる液状の材料(若しくは流動性を有する材料)を用いて基材20の振動伝搬部32の第2面22にスクリーン印刷し、その後硬化させて突起部35を形成してもよい。
【0116】
突起部35を形成した後は、基材20Eを天地反転させて、図19(c)に示すように、第1面21側が天側に、第2面22側が地側になるようにし、その後は、図12(g)から図12(h)に示す工程と同様にして、図7に示す配線基板10Eを得ることができる。
【0117】
(第6の変形例に係る配線基板の製造方法)
次に、本開示の第1の実施形態の第6の変形例に係る配線基板について、その製造方法を説明する。
【0118】
図20は、図8に示す配線基板10Fの製造方法の一例について示す図である。
例えば、図8に示す配線基板10Fを製造するには、図11および図12を用いて説明した配線基板10の製造方法における振動伝搬部32となる部材に替えて、振動伝搬部32Fとなる部材を用いて、同様の工程を施せばよい。より具体的には、図11(b)の工程に替えて、図20(a)に示すように、離型層52の上に振動伝搬部32Fとなる部材を配置すればよい。ここで、本変形例では、図20(a)に示す工程において、上記の振動伝搬部32Fとなる部材の配置は、基材20Fにおける振動伝搬部32Fの第1面21側が離型層52と接する側となり、第2面22側が天側となるように配置する。この後の工程は、上記の図11(c)以降と同様の工程とすることができる。
【0119】
なお、図8に示す配線基板10Fにおいては、第2面側振動伝搬部32F2が、基材20Fの第2面22に露出する形態を有している。それゆえ、配線基板10Fの製造方法においては、図11(d)に相当する工程の状態が、図20(b)に示すように、振動伝搬部32Fの第2面側振動伝搬部32F2が、第2面22に露出する状態となるように留意する。
【0120】
(第7の変形例に係る配線基板の製造方法)
次に、本開示の第1の実施形態の第7の変形例に係る配線基板について、その製造方法を説明する。
【0121】
図21は、図9に示す配線基板10Gの製造方法の一例について示す図である。
例えば、図9に示す配線基板10Gを製造するには、図11および図12を用いて説明した配線基板10の製造方法における振動伝搬部32となる部材に替えて、振動伝搬部32Gとなる部材を用いて、同様の工程を施せばよい。より具体的には、図11(b)の工程に替えて、図21(a)に示すように、離型層52の上に振動伝搬部32Gとなる部材を配置すればよい。ここで、本変形例では、図21(a)に示す工程において、上記の振動伝搬部32Gとなる部材の配置は、基材20Gにおける振動伝搬部32Gの第1面21側が離型層52と接する側となるように配置する。この後の工程は、上記の図11(c)以降と同様の工程とすることができる。
【0122】
なお、図9に示す配線基板10Gにおいては、第2面側振動伝搬部32G2の第2面22側の中央部が基材20Fの第2面22に露出しており、第2面22に露出していない第2面側振動伝搬部32G2の外縁部は伸縮部31Gに覆われている。また、第2面側振動伝搬部32G2の外縁部においては、中央部から外縁に向かうにつれて、伸縮部31Gの厚みが大きくなっている。
それゆえ、配線基板10Gの製造方法においては、図11(d)に相当する工程の状態が、図21(b)に示すように、振動伝搬部32Gの第2面側振動伝搬部32G2の第2面22側の中央部が基材20Gの第2面22に露出し、第2面22に露出していない第2面側振動伝搬部32G2の外縁部は伸縮部31Gに覆われ、第2面側振動伝搬部32G2の外縁部においては、中央部から外縁に向かうにつれて、伸縮部31Gの厚みが大きくなっている状態となるように留意する。
【0123】
(第8の変形例に係る配線基板の製造方法)
次に、本開示の第1の実施形態の第8の変形例に係る配線基板について、その製造方法を説明する。
【0124】
図22は、図10に示す配線基板10Hの製造方法の一例について示す図である。
例えば、図10に示す配線基板10Hを製造するには、図11および図12を用いて説明した配線基板10の製造方法における振動伝搬部32となる部材に替えて、振動伝搬部32Hとなる部材を用いて、同様の工程を施せばよい。より具体的には、図11(b)の工程に替えて、図22(a)に示すように、離型層52の上に振動伝搬部32Hとなる部材を配置すればよい。ここで、本変形例では、図22(a)に示す工程において、上記の振動伝搬部32Hとなる部材の配置は、基材20Hにおける振動伝搬部32Hの第1面21側が離型層52と接する側となり、第2面22側が天側となるように配置する。この後の工程は、上記の図11(c)以降と同様の工程とすることができる。
【0125】
ただし、図10に示す配線基板10Hにおいては、振動伝搬部32Hの突起部35H1および突起部35H2が基材20Hの第2面22から突出する形態を有している。それゆえ、図22(a)に示すように、離型層52の上に振動伝搬部32Hとなる部材を配置する場合は、図11(d)に相当する工程の状態が、図22(b)に示すように、振動伝搬部32Hの突起部35H1および突起部35H2が第2面22から突出する状態となるように留意する。
【0126】
また、この第8の変形例に係る配線基板は、上記とは異なる製造方法によって製造してもよい。図23は、図10に示す配線基板10Hの製造方法の他の例について示す図である。
この製造方法では、まず、図11(a)から図11(e)に示す工程により、図20(a)に示す基材20を製造する。なお、図20(a)に示す基材20は、図11(e)に示す基材20と同じものである。
【0127】
次に、図23(b)に示すように、基材20の振動伝搬部32の第2面22に、突起部35H1および突起部35H2を形成して、基材20Hを得る。突起部35H1および突起部35H2を形成する方法としては、例えば、突起部35H1および突起部35H2となる部材を、接着剤を用いて振動伝搬部32の第2面22に接着する方法が挙げられる。また、突起部35H1および突起部35H2となる液状の材料(若しくは流動性を有する材料)を用いて基材20の振動伝搬部32の第2面22にスクリーン印刷し、その後硬化させて突起部35H1および突起部35H2を形成してもよい。
【0128】
(←図19
突起部35H1および突起部35H2を形成した後は、基材20Hを天地反転させて、図23(c)に示すように、第1面21側が天側に、第2面22側が地側になるようにし、その後は、図12(g)から図12(h)に示す工程と同様にして、図7に示す配線基板10Eを得ることができる。
【0129】
<第2の実施形態>
(配線基板)
次に、本開示の第2の実施形態に係る配線基板について、図24から図26を用いて説明する。
ここで、図24は、本開示の第2の実施形態に係る配線基板の一例を示す平面図であり、より詳しくは、配線基板100を支持基板120の第1面121側から見た配線基板100の平面形態の要部を示す平面図である。なお、図24において、振動伝搬部32は点線で表されている。
また、図25および図26は、本開示の第2の実施形態に係る配線基板の一例を示す断面図であり、より詳しくは、図25および図26に示す断面図は、図24に示す配線基板100を線A-Aに沿って切断した場合の図である。
ここで、図25は、主に配線基板100の断面構成と、振幅Sa、振幅Sbについて説明するための図であり、図26は、主に配線基板100の断面構成と、周期Fa、周期Fbについて説明するための図である。
【0130】
図24から図26に示すように、配線基板100は、基材20、接着層110、支持基板120、配線141、接続用電極42を備える。例えば、配線基板100は、上述した第1の実施形態に係る配線基板10の配線41と基材20の第1面21との間に、配線141を支持する支持基板120を更に備える構成と表現することができる。ただし、配線基板100においては、図25および図26に示すように、配線141は、基材20の厚み方向の断面において、山部Ma及び谷部Vaを含む蛇腹形状部130を有している。
【0131】
配線基板100においても、上述した配線基板10と同様に、基材20の大部分が伸縮部31から構成されているため、人体への装着に適した伸縮性を有するものとなる。
一方、配線基板100においては、接続用電極42と振動伝搬部32との間に、支持基板120と接着層110が介在する(すなわち、接続用電極42と接続される電子部品と振動伝搬部32との間に、支持基板120と接着層110が介在する)が、支持基板120は、伸縮部31に比べて十分に高い効率で振動を伝搬することができ、かつ、支持基板120および接着層110の厚みは、基材20の厚みに比べて十分小さくできる。それゆえ、配線基板100においても、振動による皮膚感覚を、利用者に効率的にフィードバックすることができる。
【0132】
さらに、配線基板100においては、配線141が蛇腹形状部130を有しているため、基材20が伸張する際、配線141は、蛇腹形状部130の起伏を低減するように変形することによって、すなわち蛇腹形状を解消することによって、基材20の伸張に追従することができる。このため、基材20の伸張に伴って配線141の全長が増加することや、配線141の断面積が減少することを抑制することができる。このことにより、配線基板100の伸張に起因して配線141の抵抗値が増加することを抑制することができる。また、配線141にクラックなどの破損が生じてしまうことを抑制することができる。
【0133】
以下、配線基板100の各構成要素について説明する。なお、上述した第1の実施形態と同様に構成され得る部分については、重複する説明を省略する。
【0134】
[支持基板]
支持基板120は、基材20の伸縮部31よりも低い伸縮性を有するよう構成された板状の部材である。支持基板120は、基材20側に位置する第2面122と、第2面122の反対側に位置する第1面121と、を含む。図25および図26に示す例において、支持基板120は、その第1面121側において接続用電極42及び配線141を支持している。また、支持基板120は、その第2面122側において基材20の第1面21に接合されている。例えば、基材20と支持基板120との間に、接着剤を含む接着層110が設けられていてもよい。接着層110を構成する材料としては、例えばアクリル系接着剤、シリコーン系接着剤等を用いることができる。接着層110の厚みは、例えば5μm以上且つ200μm以下である。
【0135】
後述するように、支持基板120に接合された基材20から引張応力が取り除かれて基材20が収縮するとき、支持基板120には蛇腹形状部が形成される。支持基板120の特性や寸法は、このような蛇腹形状部が形成され易くなるよう設定されている。例えば、支持基板120は、基材20の伸縮部31の第1の弾性係数よりも大きい弾性係数を有する。以下の説明において、支持基板120の弾性係数のことを、第3の弾性係数とも称する。
【0136】
支持基板120の第3の弾性係数は、例えば100MPa以上であり、より好ましくは1GPa以上である。支持基板120の第3の弾性係数は、基材20の伸縮部31の第1の弾性係数の100倍以上であってもよく、1000倍以上であってもよい。また、支持基板120の厚みは、例えば10μm以下であり、より好ましくは5μm以下である。支持基板120の弾性係数を高くしたり、支持基板120の厚みを小さくしたりすることにより、基材20の伸縮部31の収縮に伴って支持基板120に蛇腹形状部が形成され易くなる。支持基板120を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタラート等を用いることができる。
【0137】
支持基板120の第3の弾性係数は、基材20の伸縮部31の第1の弾性係数の100倍以下であってもよい。支持基板120の第3の弾性係数を算出する方法は、基材20の伸縮部31の場合と同様である。また、支持基板120の厚みは、500nm以上であってもよい。
【0138】
支持基板120の弾性係数(第3の弾性係数)を算出する方法は、上述の基材20の振動伝搬部32の弾性係数(第2の弾性係数)を算出する方法と同様であってよい。例えば、支持基板120の弾性係数を算出する方法として、支持基板120のサンプルを用いて、ASTM D882に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。
【0139】
上述したように、支持基板120は、基材20の伸縮部31よりも大きい弾性係数を有しており、通常、弾性係数の大きい物質は音響インピーダンスも大きくなる。そして、支持基板120の第3の弾性係数は、例えば、基材20の伸縮部31の第1の弾性係数の100倍以上であってもよく、1000倍以上であってもよい。それゆえ、支持基板120は、伸縮部31に比べて十分に高い効率で振動を伝搬することができる。また、支持基板120および接着層110の厚みは、基材20の厚みに比べて十分小さくできる。
それゆえ、配線基板100は、その断面構成において、接続用電極42と振動伝搬部32との間に、支持基板120と接着層110が介在する(すなわち、接続用電極42と接続される電子部品と振動伝搬部32との間に、支持基板120と接着層110が介在する)が、支持基板120と接着層110が介在することによる振動伝搬性の低下は、十分に抑制できる。従って、配線基板100においても、振動による皮膚感覚を、利用者に効率的にフィードバックすることができる。
【0140】
[配線および蛇腹形状部]
配線基板100において、配線141は支持基板120の第1面121側に位置し、同じく支持基板120の第1面121側に位置する接続用電極42に接続されている。そして、図25および図26に示す配線141は、支持基板120の第1面121の法線方向に沿って見た場合に、支持基板120の第1面121の面内方向に沿って並ぶ複数の山部Ma及び谷部Vaを含む蛇腹形状部130を有する。
蛇腹形状部130は、例えば、伸長させた状態の基材20に配線141を設けた後、基材20を弛緩させることで生じる。このような場合、図25および図26に示すように、支持基板120や基材20にも、配線141と同様の蛇腹形状部が形成され得る。
【0141】
山部Ma及び谷部Vaは、支持基板120の第1面121の法線方向に沿って見た場合に、基材20の伸縮部31と重なる領域において、支持基板120の第1面121の面内方向に沿って繰り返し現れる。
【0142】
図25において、符号Saは、配線141の蛇腹形状部130に重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅を表す。すなわち、符号Saは、配線141の表面における蛇腹形状部130の振幅を表す。振幅Saは、例えば1μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。振幅Saを10μm以上とすることにより、基材20の伸張に追従して配線141が変形し易くなる。また、振幅Saは、例えば500μm以下であってもよい。
【0143】
振幅Saは、例えば、配線141の長さ方向における一定の範囲にわたって、隣り合う山部Maと谷部Vaとの間の、第1面121の法線方向における距離を測定し、それらの平均を求めることにより算出される。「配線141の長さ方向における一定の範囲」は、例えば10mmである。隣り合う山部Maと谷部Vaとの間の距離を測定する測定器としては、レーザー顕微鏡などを用いた非接触式の測定器を用いてもよく、接触式の測定器を用いてもよい。また、断面写真などの画像に基づいて、隣り合う山部Maと谷部Vaとの間の距離を測定してもよい。後述する振幅Sbの算出方法も同様である。
【0144】
図26に示す配線基板100において、山部Ma及び谷部Vaが繰り返し現れる周期Faは、例えば10μm以上且つ100mm以下である。なお、図26においては、蛇腹形状部130の複数の山部及び谷部が一定の周期で並ぶ例が示されているが、これに限られることはない。図示はしないが、蛇腹形状部130の複数の山部Ma及び谷部Vaは、第1面121の面内方向に沿って不規則に並んでいてもよい。例えば、第1面121の面内方向において隣り合う2つの山部の間の間隔が一定でなくてもよい。
【0145】
周期Faは、例えば、配線141の長さ方向における一定の範囲にわたって、隣り合う山部Maと谷部Vaとの間の、第1面121の面内方向における距離を測定し、それらの平均を求めることにより算出される。「配線141の長さ方向における一定の範囲」は、例えば10mmである。隣り合う山部Maと谷部Vaとの間の距離を測定する測定器としては、レーザー顕微鏡などを用いた非接触式の測定器を用いてもよく、接触式の測定器を用いてもよい。また、断面写真などの画像に基づいて、隣り合う山部Maと谷部Vaとの間の距離を測定してもよい。後述する周期Fbの算出方法も同様である。
【0146】
図25および図26に示すように、基材20の伸縮部31の第2面22にも蛇腹形状部が形成されていてもよい。基材20の第2面22における蛇腹形状部は、複数の山部Mb及び谷部Vbを含む。
なお、上述した、配線141の支持基板120の第1面121の面内方向に沿って並ぶ山部Ma及び谷部Vaは、支持基板120の第1面121側から見て山頂となる形状を有する部位が山部Maであり、支持基板120の第1面121側から見て谷底となる形状を有する部位が谷部Vaであった。
一方、基材20の第2面22における蛇腹形状部は、基材20の第2面22側から見て山頂となる形状を有する部位が山部Mbであり、基材20の第2面22側から見て谷底となる形状を有する部位が谷部Vbである。
【0147】
山部Mb及び谷部Vbは、基材20の第2面22の法線方向に沿って見た場合に、基材20の伸縮部31と重なる領域において、基材20の第2面22の面内方向に沿って繰り返し現れる。
なお、基材20の第2面22における蛇腹形状部130の複数の山部Mb及び谷部Vbは第2面22の面内方向に沿って一定の周期で並んでいてもよく、不規則に並んでいてもよい。例えば、第2面22の面内方向において隣り合う2つの山部の間の間隔は、一定であってもよく、一定でなくてもよい。
【0148】
図25において、符号Sbは、基材20の第2面22のうち蛇腹形状部130に重なる部分に現れる山部Mb及び谷部Vbの振幅を表す。
基材20の第2面22のうち蛇腹形状部130に重なる部分に現れる山部Mb及び谷部Vbの振幅Sbは配線141の蛇腹形状部130に重なる部分に現れる山部Ma及び谷部Vaの振幅Saと同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、振幅Sbは振幅Saよりも小さくてもよい。振幅Sbが振幅Saよりも小さい場合、振幅Sbは振幅Saの0.9倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよく、0.6倍以下であってもよい。また、振幅Sbは、振幅Saの0.1倍以上であってもよく、0.2倍以上であってもよい。基材20の伸縮部31の厚みが小さい場合、振幅Saに対する振幅Sbの比率が大きくなり易い。
なお、「基材20の第2面22のうち蛇腹形状部130に重なる部分に現れる山部Mb及び谷部Vbの振幅Sbが、配線141の蛇腹形状部130に重なる部分に現れる山部Ma及び谷部Vaの振幅Saよりも小さい」とは、基材20の伸縮部31の第2面22に山部及び谷部が現れない場合を含む概念である。
【0149】
図26において、符号Fbは、基材20の第2面22のうち蛇腹形状部130に重なる部分に現れる山部Mb及び谷部Vbの周期を表す。
基材20の第2面22のうち蛇腹形状部130に重なる部分に現れる山部Mb及び谷部Vbの周期Fbは、配線141の蛇腹形状部130に重なる部分に現れる山部Ma及び谷部Vaの周期Faと同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、周期Fbは周期Faよりも大きくてもよい。周期Fbが周期Faよりも大きい場合、周期Fbは周期Faの1.1倍以上であってもよく、1.2倍以上であってもよく、1.5倍以上であってもよく、2.0倍以上であってもよい。
なお、「基材20の第2面22のうち蛇腹形状部130に重なる部分に現れる山部Mb及び谷部Vbの周期Fbが、配線141の蛇腹形状部130に重なる部分に現れる山部Ma及び谷部Vaの周期Faよりも大きい」とは、基材20の伸縮部31の第2面22に山部及び谷部が現れない場合を含む概念である。
【0150】
ここで、蛇腹形状部130が配線141に形成されていることの利点について説明する。上述のように、基材20の伸縮部31は、10MPa以下の弾性係数を有する。このため、配線基板10に引張応力を加えた場合、基材20の伸縮部31は、弾性変形によって伸長することができる。ここで、仮に配線141も同様に弾性変形によって伸長すると、配線141の全長が増加し、配線141の断面積が減少するので、配線141の抵抗値が増加してしまう。また、配線141の弾性変形に起因して配線141にクラックなどの破損が生じてしまうことも考えられる。
【0151】
これに対して、本実施の形態においては、配線141が蛇腹形状部130を有している。このため、基材20が伸張する際、配線141は、蛇腹形状部130の起伏を低減するように変形することによって、すなわち蛇腹形状を解消することによって、基材20の伸張に追従することができる。このため、基材20の伸張に伴って配線141の全長が増加することや、配線141の断面積が減少することを抑制することができる。このことにより、配線基板100の伸張に起因して配線141の抵抗値が増加することを抑制することができる。また、配線141にクラックなどの破損が生じてしまうことを抑制することができる。
【0152】
なお、配線141に求められることは、蛇腹形状部130の解消及び生成を利用して基材20の伸縮部31の伸張及び収縮に追従することである。この点を考慮すると、配線141の材料としては、それ自体が変形性や伸縮性を有しているものだけでなく、それ自体は変形性や伸縮性を有していないものも採用可能である。
配線141に用いられ得る、それ自体は伸縮性を有さない材料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、白金、クロム等の金属や、これらの金属を含む合金が挙げられる。
配線141の材料自体が伸縮性を有さない場合、配線141としては、金属膜を用いることができる。
【0153】
配線141の厚みは、例えば50μm以下である。配線141の幅は、例えば50μm以上且つ10mm以下である。
【0154】
(配線基板の製造方法)
次に、本開示の第2の実施形態に係る配線基板の製造方法について、図27を用いて説明する。ここで、図27は配線基板100の製造方法の一例を示す工程図である。
【0155】
まず、基材20を準備する基材準備工程を実施する。本実施の形態においては、基材準備工程において、図27(a)に示すように、第1面21及び第1面21の反対側に位置する第2面22を含む基材20であって、第1面21の面内方向に、弾性を有する伸縮部31と、伸縮部31と隣接し、振動を伝搬する物性を有する振動伝搬部32と、を有する基材20を準備する。
【0156】
また、支持基板120を準備する支持基板準備工程を実施する。本実施の形態においては、支持基板準備工程において、図27(b)に示すように、支持基板120の第1面121に配線141及び接続用電極42を設ける。配線141及び接続用電極42を設ける方法としては、例えば、ベース材及び導電性粒子を含む導電性ペーストを支持基板120の第1面121に印刷する方法を採用することができる。
【0157】
続いて、伸縮部31と振動伝搬部32とを備えた基材20に引張応力Tを加えて基材20を伸長させる第1工程を実施する。基材20の伸縮部31の伸張率は、例えば10%以上且つ200%以下である。第1工程は、基材20を加熱した状態で実施してもよく、常温で実施してもよい。基材20を加熱する場合、基材20の温度は例えば50℃以上且つ100℃以下である。
【0158】
続いて、図27(c)に示すように、引張応力Tによって伸長した状態の基材20の第1面21側に、配線141及び接続用電極42が設けられた支持基板120を、支持基板120の第2面122側から接合させる、第2工程を実施する。この際、基材20と支持基板120との間に接着層110を設けてもよい。
【0159】
その後、基材20から引張応力Tを取り除く第3工程を実施する。これにより、図27(d)において矢印Cで示すように、基材20が収縮し、基材20に接合されている支持基板120及び配線141にも変形が生じる。支持基板120の第3の弾性係数は、基材20の伸縮部31の第1の弾性係数よりも大きい。このため、支持基板120及び配線141の変形を、蛇腹形状部130の生成として生じさせることができる。
【0160】
また、本開示の配線基板においては、振動伝搬部32の第1面21側に、電子部品としてハプティクス素子の振動子が配置される。このため、第1工程において基材20のうち電子部品と重なる部分が伸張することを抑制することができる。従って、第3工程において基材20のうち電子部品と重なる部分が収縮することを抑制することができる。このことにより、基材20の変形に起因する応力が電子部品に加わることを抑制することができ、電子部品が変形したり破損したりしてしまうことを抑制することができる。また、電子部品と配線141との間の電気接合部が破損してしまうことを抑制することができる。このように、本実施の形態によれば、基材20に生じる変形を位置に応じて制御することにより、電子部品の実装のし易さや電子部品及び配線141の信頼性を高めることができる。
【0161】
次に、配線141の蛇腹形状部130によって得られる、配線141の抵抗値に関する効果の一例について説明する。ここでは、基材20の第1面21の面内方向に沿う引張応力が基材20に加えられていない第1状態における配線141の抵抗値を、第1抵抗値と称する。また、基材20に引張応力を加えて基材20を第1面21の面内方向において第1状態に比べて30%伸長させた第2状態における配線141の抵抗値を、第2抵抗値と称する。本実施の形態によれば、配線141に蛇腹形状部130を形成することにより、第1抵抗値に対する、第1抵抗値と第2抵抗値の差の絶対値の比率を、20%以下にすることができ、より好ましくは10%以下にすることができ、更に好ましくは5%以下にすることができる。
【0162】
上述した第1の実施形態と同様に、本実施形態に対しても様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
【0163】
(第1の変形例)
図28は本開示の第2の実施形態の第1の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。図28に示すように、配線基板100Aは、基材20A、接着層110、支持基板120、配線141、接続用電極42を備えている。そして、基材20Aは伸縮部31Aと振動伝搬部32Aとを備えている。
すなわち、図28に示す配線基板100Aは、図3に示す配線基板10Aの配線41及び接続用電極42と、基材20Aの第1面21との間に、支持基板120を更に備える構成と表現することができる。
【0164】
このような構成を有するため、配線基板100Aにおいては、上述した図3に示す配線基板10Aにおける振動伝搬部32Aに係る効果に加えて、本実施形態の配線基板における蛇腹形状部130が配線141に形成されていることの利点に係る効果についても、有することができる。
【0165】
図28に示す配線基板100Aを製造するには、図27を用いて説明した配線基板100の製造方法における基材20に替えて、図3に示す配線基板10Aを構成する基材20Aを用いて、同様の工程を施せばよい。より具体的には、上述した配線基板10Aの製造方法に従って基材20Aを作製し、図27(a)に示す基材準備工程における基材20に替えて、作製した基材20Aを用い、その後の工程については、図27(b)から図27(d)と同様の工程を施せばよい。
【0166】
(第2の変形例)
図29は本開示の第2の実施形態の第2の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。図29に示すように、配線基板100Bは、基材20B、接着層110、支持基板120、配線141、接続用電極42を備えている。そして、基材20Bは伸縮部31Bと振動伝搬部32Bとを備えている。
すなわち、図29に示す配線基板100Bは、図4に示す配線基板10Bの配線41及び接続用電極42と、基材20Bの第1面21との間に、支持基板120を更に備える構成と表現することができる。
【0167】
このような構成を有するため、配線基板100Bにおいては、上述した図4に示す配線基板10Bにおける振動伝搬部32Bに係る効果に加えて、本実施形態の配線基板における蛇腹形状部130が配線141に形成されていることの利点に係る効果についても、有することができる。
【0168】
図29に示す配線基板100Bを製造するには、図27を用いて説明した配線基板100の製造方法における基材20に替えて、図4に示す配線基板10Bを構成する基材20Bを用いて、同様の工程を施せばよい。より具体的には、上述した配線基板10Bの製造方法に従って基材20Bを作製し、図27(a)に示す基材準備工程における基材20に替えて、作製した基材20Bを用い、その後の工程については、図27(b)から図27(d)と同様の工程を施せばよい。
【0169】
(第3の変形例)
図30は本開示の第2の実施形態の第3の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。図30に示すように、配線基板100Cは、基材20C、接着層110、支持基板120、配線141、接続用電極42を備えている。そして、基材20Cは伸縮部31Cと振動伝搬部32Cとを備えている。
すなわち、図30に示す配線基板100Cは、図5に示す配線基板10Cの配線41及び接続用電極42と、基材20Cの第1面21との間に、支持基板120を更に備える構成と表現することができる。
【0170】
このような構成を有するため、配線基板100Cにおいては、上述した図5に示す配線基板10Cにおける振動伝搬部32Cに係る効果に加えて、本実施形態の配線基板における蛇腹形状部130が配線141に形成されていることの利点に係る効果についても、有することができる。
【0171】
図30に示す配線基板100Cを製造するには、図27を用いて説明した配線基板100の製造方法における基材20に替えて、図5に示す配線基板10Cを構成する基材20Cを用いて、同様の工程を施せばよい。より具体的には、上述した配線基板10Cの製造方法に従って基材20Cを作製し、図27(a)に示す基材準備工程における基材20に替えて、作製した基材20Cを用い、その後の工程については、図27(b)から図27(d)と同様の工程を施せばよい。
【0172】
(第4の変形例)
図31は本開示の第2の実施形態の第4の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。図31に示すように、配線基板100Dは、基材20D、接着層110、支持基板120、配線141、接続用電極42を備えている。そして、基材20Dは伸縮部31Dと振動伝搬部32Dとを備えている。
すなわち、図31に示す配線基板100Dは、図6に示す配線基板10Dの配線41及び接続用電極42と、基材20Dの第1面21との間に、支持基板120を更に備える構成と表現することができる。
【0173】
このような構成を有するため、配線基板100Dにおいては、上述した図6に示す配線基板10Dにおける振動伝搬部32Dに係る効果に加えて、本実施形態の配線基板における蛇腹形状部130が配線141に形成されていることの利点に係る効果についても、有することができる。
【0174】
図31に示す配線基板100Dを製造するには、図27を用いて説明した配線基板100の製造方法における基材20に替えて、図6に示す配線基板10Dを構成する基材20Dを用いて、同様の工程を施せばよい。より具体的には、上述した配線基板10Dの製造方法に従って基材20Dを作製し、図27(a)に示す基材準備工程における基材20に替えて、作製した基材20Dを用い、その後の工程については、図27(b)から図27(d)と同様の工程を施せばよい。
【0175】
(第5の変形例)
図32は本開示の第2の実施形態の第5の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。図32に示すように、配線基板100Eは、基材20E、接着層110、支持基板120、配線141、接続用電極42を備えている。そして、基材20Eは伸縮部31Eと振動伝搬部32Eとを備えている。
すなわち、図32に示す配線基板100Eは、図7に示す配線基板10Eの配線41及び接続用電極42と、基材20Eの第1面21との間に、支持基板120を更に備える構成と表現することができる。
【0176】
このような構成を有するため、配線基板100Eにおいては、上述した図7に示す配線基板10Eにおける振動伝搬部32Eに係る効果に加えて、本実施形態の配線基板における蛇腹形状部130が配線141に形成されていることの利点に係る効果についても、有することができる。
【0177】
図32に示す配線基板100Eを製造するには、図27を用いて説明した配線基板100の製造方法における基材20に替えて、図7に示す配線基板10Eを構成する基材20Eを用いて、同様の工程を施せばよい。より具体的には、上述した配線基板10Eの製造方法に従って基材20Eを作製し、図27(a)に示す基材準備工程における基材20に替えて、作製した基材20Eを用い、その後の工程については、図27(b)から図27(d)と同様の工程を施せばよい。
【0178】
(第6の変形例)
図33は本開示の第2の実施形態の第6の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。図33に示すように、配線基板100Fは、基材20F、接着層110、支持基板120、配線141、接続用電極42を備えている。そして、基材20Fは伸縮部31Fと振動伝搬部32Fとを備えている。
すなわち、図33に示す配線基板100Fは、図8に示す配線基板10Fの配線41及び接続用電極42と、基材20Fの第1面21との間に、支持基板120を更に備える構成と表現することができる。
【0179】
このような構成を有するため、配線基板100Fにおいては、上述した図8に示す配線基板10Fにおける振動伝搬部32Fに係る効果に加えて、本実施形態の配線基板における蛇腹形状部130が配線141に形成されていることの利点に係る効果についても、有することができる。
【0180】
図33に示す配線基板100Fを製造するには、図27を用いて説明した配線基板100の製造方法における基材20に替えて、図8に示す配線基板10Fを構成する基材20Fを用いて、同様の工程を施せばよい。より具体的には、上述した配線基板10Fの製造方法に従って基材20Fを作製し、図27(a)に示す基材準備工程における基材20に替えて、作製した基材20Fを用い、その後の工程については、図27(b)から図27(d)と同様の工程を施せばよい。
【0181】
(第7の変形例)
図34は本開示の第2の実施形態の第7の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。図34に示すように、配線基板100Gは、基材20G、接着層110、支持基板120、配線141、接続用電極42を備えている。そして、基材20Gは伸縮部31Gと振動伝搬部32Gとを備えている。
すなわち、図34に示す配線基板100Gは、図9に示す配線基板10Gの配線41及び接続用電極42と、基材20Gの第1面21との間に、支持基板120を更に備える構成と表現することができる。
【0182】
このような構成を有するため、配線基板100Gにおいては、上述した図9に示す配線基板10Gにおける振動伝搬部32Gに係る効果に加えて、本実施形態の配線基板における蛇腹形状部130が配線141に形成されていることの利点に係る効果についても、有することができる。
【0183】
図34に示す配線基板100Gを製造するには、図27を用いて説明した配線基板100の製造方法における基材20に替えて、図9に示す配線基板10Gを構成する基材20Gを用いて、同様の工程を施せばよい。より具体的には、上述した配線基板10Gの製造方法に従って基材20Gを作製し、図27(a)に示す基材準備工程における基材20に替えて、作製した基材20Gを用い、その後の工程については、図27(b)から図27(d)と同様の工程を施せばよい。
【0184】
(第8の変形例)
図35は本開示の第2の実施形態の第8の変形例に係る配線基板の一例を示す断面図である。図35に示すように、配線基板100Hは、基材20H、接着層110、支持基板120、配線141、接続用電極42を備えている。そして、基材20Hは伸縮部31Hと振動伝搬部32Hとを備えている。
すなわち、図35に示す配線基板100Hは、図10に示す配線基板10Hの配線41及び接続用電極42と、基材20Hの第1面21との間に、支持基板120を更に備える構成と表現することができる。
【0185】
このような構成を有するため、配線基板100Hにおいては、上述した図10に示す配線基板10Hにおける振動伝搬部32Hに係る効果に加えて、本実施形態の配線基板における蛇腹形状部130が配線141に形成されていることの利点に係る効果についても、有することができる。
【0186】
図35に示す配線基板100Hを製造するには、図27を用いて説明した配線基板100の製造方法における基材20に替えて、図10に示す配線基板10Hを構成する基材20Hを用いて、同様の工程を施せばよい。より具体的には、上述した配線基板10Hの製造方法に従って基材20Hを作製し、図27(a)に示す基材準備工程における基材20に替えて、作製した基材20Hを用い、その後の工程については、図27(b)から図27(d)と同様の工程を施せばよい。
【0187】
<第3の実施形態>
(配線基板)
次に、本開示の第3の実施形態に係る配線基板について、図36を用いて説明する。図36は、本開示の第3の実施形態に係る配線基板の一例を示す断面図である。
上述の第2の実施形態においては、配線141及び接続用電極42が、支持基板120によって支持される例を示したが、本開示の配線基板は、これに限られることはない。例えば、図36に示す配線基板101のように、配線141及び接続用電極42は、基材20の第1面21に設けられていてもよい。
【0188】
配線基板101においても、上述した配線基板10と同様に、基材20の大部分が伸縮部31から構成されているため、人体への装着に適した伸縮性を有するものとなる。また、配線基板101においても、基材20を貫通して第1面21と第2面22に露出する振動伝搬部32を有するため、例えば、振動伝搬部32の第1面21側に、ハプティクス素子として振動子を配置することで、第1面21側から第2面22側への振動の伝搬が、より効率的になる。それゆえ、配線基板101によれば、人体への装着に適した伸縮性を有しつつ、振動による皮膚感覚を利用者に効率的にフィードバックすることが可能となる。
【0189】
さらに、配線基板101においても、配線141が蛇腹形状部130を有しているため、基材20が伸張する際、配線141は、蛇腹形状部130の起伏を低減するように変形することによって、すなわち蛇腹形状を解消することによって、基材20の伸張に追従することができる。このため、基材20の伸張に伴って配線141の全長が増加することや、配線141の断面積が減少することを抑制することができる。このことにより、配線基板101の伸張に起因して配線141の抵抗値が増加することを抑制することができる。また、配線141にクラックなどの破損が生じてしまうことを抑制することができる。
【0190】
(配線基板の製造方法)
次に、本開示の第3の実施形態に係る配線基板の製造方法について、図37を用いて説明する。ここで、図37は配線基板101の製造方法の一例を示す工程図である。
【0191】
まず、図37(a)に示すように、基材20を準備する基材準備工程を実施する。
【0192】
続いて、図37(b)に示すように、基材20に引張応力Tを加えて基材20を伸長させる第1工程を実施する。続いて、図37(c)に示すように、引張応力Tによって伸長した状態の基材20の第1面21に、配線141及び接続用電極42を設ける第2工程を実施する。配線141及び接続用電極42を設ける方法としては、例えば、ベース材及び導電性粒子を含む導電性ペーストを支持基板120の第1面121に印刷する方法を採用することができる。
【0193】
その後、基材20から引張応力Tを取り除く第3工程を実施する。これにより、図37(d)において矢印Cで示すように、基材20の伸縮部31が収縮し、基材20に設けられている配線141にも変形が生じる。配線141の弾性係数は、基材20の伸縮部31の弾性係数よりも大きい。このため、配線141の変形を、蛇腹形状部130の生成として生じさせることができる。
【0194】
また、本開示の配線基板においては、振動伝搬部32の第1面21側に、電子部品としてハプティクス素子の振動子が配置される。このため、第1工程において基材20のうち電子部品と重なる部分が伸張することを抑制することができる。従って、第3工程において基材20のうち電子部品と重なる部分が収縮することを抑制することができる。このことにより、基材20の変形に起因する応力が電子部品に加わることを抑制することができ、電子部品が変形したり破損したりしてしまうことを抑制することができる。また、電子部品と配線141との間の電気接合部が破損してしまうことを抑制することができる。
【0195】
本開示の第3の実施形態に係る配線基板に対しても、上述した第2の実施形態と同様に、様々な変更を加えることが可能である。例えば、図37(a)の基材準備工程で、基材20に替えて、上述した基材20Aから基材20Hを用いて、第3の実施形態に係る配線基板を製造してもよい。得られた配線基板においては、用いた各基材の振動伝搬部に係る効果に加えて、本実施形態の配線基板における蛇腹形状部130が配線141に形成されていることの利点に係る効果についても奏することができる。
【0196】
<第4の実施形態>
次に、本開示の第4の実施形態に係る配線基板について、図38を用いて説明する。図38は、本開示の第4の実施形態に係る配線基板の一例を示す断面図である。
図38に示すように、配線基板200は、基材20、配線41、接続用電極42、電子部品210を備える。すなわち、図38に示す配線基板200は、図2に示す配線基板10が有する構成に加えて、電子部品210を更に備える構成を有している。
配線基板200において、電子部品210は、基材20の振動伝搬部32の第1面21側に位置し、配線41に、接続用電極42を介して接続されている。配線基板200において、電子部品210はハプティクス素子としての振動子である。
【0197】
なお、図38に示す例において、電子部品210は、接続用電極42の上に、接続用電極42と重なるように配置されているが、本開示の配線基板は、これに限定されない。電子部品210は、基材20の振動伝搬部32の第1面21側に位置し、かつ、接続用電極42を介して配線41と接続されていればよく、例えば、基材20の第1面21側から見て、電子部品210は、その一部が接続用電極42と重なるように配置されていてもよい。
また、図示はしないが、配線基板200は、ハプティクス素子としての振動子に加えて、他の電子部品を有していてもよい。
【0198】
配線基板200においても、上述した配線基板10と同様に、基材20の大部分が伸縮部31から構成されているため、人体への装着に適した伸縮性を有するものとなる。また、配線基板200においては、基材20を貫通して第1面21と第2面22に露出する振動伝搬部32の第1面21側に、ハプティクス素子としての振動子である電子部品210を有するため、電子部品210の振動が、振動伝搬部32の第1面21側から第2面22側へ効率的に伝搬する。それゆえ、配線基板200によれば、人体への装着に適した伸縮性を有しつつ、振動による皮膚感覚を利用者に効率的にフィードバックすることが可能となる。
【0199】
配線基板200の製造方法としては、例えば、まず、上述した配線基板10を準備し、配線基板10の基材20の振動伝搬部32の第1面21に、電子部品210を、接着剤により接着する方法が挙げられる。
例えば、基材20の第1面21側から見て、電子部品210の一部(接続端子部が設けられている部位)を接続用電極42と重なるように配置し、電子部品210の接続用電極42と重ならない部位を接着剤で振動伝搬部32の第1面21に接着する。
【0200】
また、電子部品210を、接続用電極42と接続するには、例えば、電子部品210の接続端子部が接続用電極42と重なるように、電子部品210を配置し、圧着治具により押圧して接続する方法を挙げることができる。他に、はんだ付けの方法により接続してもよい。
圧着治具により押圧して接続する場合、接続用電極42は、基材20の剛性が高い部分である振動伝搬部32の第1面21側に配置されているため、基材20が押し込まれにくく変改しにくいことから、接続用電極42と配線41との間に断線が発生するのを抑制することができる。
【0201】
本開示の第4の実施形態に係る配線基板に対しても、上述した第1の実施形態と同様に、様々な変更を加えることが可能である。例えば、配線基板10に替えて、上述した配線基板10Aから配線基板10Hを用いて、第4の実施形態に係る配線基板を製造してもよい。
得られた第4の実施形態に係る配線基板においては、用いた第1の実施形態に係る配線基板に応じて、上述した第1の実施形態に係る配線基板の各変形例に係る効果を奏することができる。
【0202】
<第5の実施形態>
(配線基板)
次に、本開示の第5の実施形態に係る配線基板について、図39を用いて説明する。図39は、本開示の第5の実施形態に係る配線基板の一例を示す断面図である。
図39に示すように、配線基板201は、基材20、接着層110、支持基板120、配線141、接続用電極42、電子部品210を備える。すなわち、図39に示す配線基板201は、図25に示す配線基板100が有する構成に加えて、電子部品210を更に備える構成を有している。
配線基板201において、電子部品210は、基材20の振動伝搬部32の第1面21側に位置し、配線141に、接続用電極42を介して接続されている。配線基板201において、電子部品210はハプティクス素子としての振動子である。
【0203】
なお、図39に示す例においても、電子部品210は、接続用電極42の上に、接続用電極42と重なるように配置されているが、本開示の配線基板は、これに限定されない。電子部品210は、基材20の振動伝搬部32の第1面21側に位置し、かつ、接続用電極42を介して配線141と接続されていればよく、例えば、支持基板120の第1面121の法線方向に沿って見た場合に、電子部品210は、基材20の振動伝搬部32と重なる領域における支持基板120の第1面121に位置し、電子部品210の一部が接続用電極42と重なるように配置されていてもよい。
また、図示はしないが、配線基板201も、ハプティクス素子としての振動子に加えて、他の電子部品を有していてもよい。
【0204】
配線基板201においても、上述した配線基板10と同様に、基材20の大部分が伸縮部31から構成されているため、人体への装着に適した伸縮性を有するものとなる。また、配線基板200においても、基材20を貫通して第1面21と第2面22に露出する振動伝搬部32の第1面21側に、ハプティクス素子としての振動子である電子部品210を有するため、電子部品210の振動が、振動伝搬部32の第1面21側から第2面22側へ効率的に伝搬する。それゆえ、配線基板200によれば、人体への装着に適した伸縮性を有しつつ、振動による皮膚感覚を利用者に効率的にフィードバックすることが可能となる。
なお、配線基板201においては、接続用電極42と振動伝搬部32との間に、支持基板120と接着層110が介在するが、支持基板120は、伸縮部31に比べて十分に高い効率で振動を伝搬することができ、かつ、支持基板120および接着層110の厚みは、基材20の厚みに比べて十分小さくできる。それゆえ、配線基板201においても、振動による皮膚感覚を、利用者に効率的にフィードバックすることができる。
【0205】
さらに、配線基板201においては、配線141が蛇腹形状部130を有しているため、基材20が伸張する際、配線141は、蛇腹形状部130の起伏を低減するように変形することによって、すなわち蛇腹形状を解消することによって、基材20の伸張に追従することができる。このため、基材20の伸張に伴って配線141の全長が増加することや、配線141の断面積が減少することを抑制することができる。このことにより、配線基板201の伸張に起因して配線141の抵抗値が増加することを抑制することができる。また、配線141にクラックなどの破損が生じてしまうことを抑制することができる。
【0206】
配線基板201の製造方法としては、例えば、まず、上述した配線基板100を準備し、支持基板120の第1面121の法線方向に沿って見た場合に基材20の振動伝搬部32と重なる領域における支持基板120の第1面121に、電子部品210を、接着剤により接着する方法が挙げられる。
例えば、支持基板120の第1面121側から見て、電子部品210の一部(接続端子部が設けられている部位)が接続用電極42と重なるように電子部品210を配置し、電子部品210の接続用電極42と重ならない部位を、支持基板120の第1面121の所定の位置に接着剤で接着する。上記の「支持基板120の第1面121の所定の位置」とは、支持基板120の第1面121の領域であって、支持基板120の第1面121の法線方向に沿って見た場合に基材20の振動伝搬部32と重なる位置である。
【0207】
また、電子部品210を、接続用電極42と接続するには、例えば、電子部品210の接続端子部が接続用電極42と重なるように、電子部品210を配置し、圧着治具により押圧して接続する方法を挙げることができる。他に、はんだ付けの方法により接続してもよい。
圧着治具により押圧して接続する場合、接続用電極42は、基材20の剛性が高い部分である振動伝搬部32の第1面21側に配置されているため、基材20が押し込まれにくく変改しにくいことから、接続用電極42と配線41との間に断線が発生するのを抑制することができる。
【0208】
本開示の第5の実施形態に係る配線基板に対しても、上述した第2の実施形態と同様に、様々な変更を加えることが可能である。例えば、配線基板100に替えて、上述した配線基板100Aから配線基板100Hを用いて、第5の実施形態に係る配線基板を製造してもよい。
得られた第5の実施形態に係る配線基板においては、用いた第2の実施形態に係る配線基板に応じて、上述した第2の実施形態に係る配線基板の各変形例に係る効果を奏することができる。
【0209】
<第6の実施形態>
(配線基板)
次に、本開示の第6の実施形態に係る配線基板について、図40を用いて説明する。図40は、本開示の第6の実施形態に係る配線基板の一例を示す断面図である。
図40に示すように、配線基板202は、基材20、配線141、接続用電極42、電子部品210を備える。すなわち、図40に示す配線基板202は、図36に示す配線基板101が有する構成に加えて、電子部品210を更に備える構成を有している。
配線基板202において、電子部品210は、基材20の振動伝搬部32の第1面21側に位置し、配線141に、接続用電極42を介して接続されている。配線基板202において、電子部品210はハプティクス素子としての振動子である。
【0210】
なお、図40に示す例においても、電子部品210は、接続用電極42の上に、接続用電極42と重なるように配置されているが、本開示の配線基板は、これに限定されない。電子部品210は、基材20の振動伝搬部32の第1面21側に位置し、かつ、接続用電極42を介して配線141と接続されていればよく、例えば、基材20の第1面21側から見て、電子部品210は、その一部が接続用電極42と重なるように配置されていてもよい。
また、図示はしないが、配線基板200は、ハプティクス素子としての振動子に加えて、他の電子部品を有していてもよい。
【0211】
配線基板202においても、上述した配線基板101と同様に、基材20の大部分が伸縮部31から構成されているため、人体への装着に適した伸縮性を有するものとなる。また、配線基板202においては、基材20を貫通して第1面21と第2面22に露出する振動伝搬部32の第1面21側に、ハプティクス素子としての振動子である電子部品210を有するため、電子部品210の振動が、振動伝搬部32の第1面21側から第2面22側へ効率的に伝搬する。それゆえ、配線基板202によれば、人体への装着に適した伸縮性を有しつつ、振動による皮膚感覚を利用者に効率的にフィードバックすることが可能となる。
【0212】
さらに、配線基板202においても、配線141が蛇腹形状部130を有しているため、基材20が伸張する際、配線141は、蛇腹形状部130の起伏を低減するように変形することによって、すなわち蛇腹形状を解消することによって、基材20の伸張に追従することができる。このため、基材20の伸張に伴って配線141の全長が増加することや、配線141の断面積が減少することを抑制することができる。このことにより、配線基板201の伸張に起因して配線141の抵抗値が増加することを抑制することができる。また、配線141にクラックなどの破損が生じてしまうことを抑制することができる。
【0213】
配線基板202の製造方法としては、例えば、まず、上述した配線基板101を準備し、配線基板101の基材20の振動伝搬部32の第1面21に、電子部品210を、接着剤により接着する方法が挙げられる。
例えば、基材20の第1面21側から見て、電子部品210の一部(接続端子部が設けられている部位)を接続用電極42と重なるように配置し、電子部品210の接続用電極42と重ならない部位を接着剤で振動伝搬部32の第1面21に接着する。
【0214】
また、電子部品210を、接続用電極42と接続するには、例えば、電子部品210の接続端子部が接続用電極42と重なるように、電子部品210を配置し、圧着治具により押圧して接続する方法を挙げることができる。他に、はんだ付けの方法により接続してもよい。
圧着治具により押圧して接続する場合、接続用電極42は、基材20の剛性が高い部分である振動伝搬部32の第1面21側に配置されているため、基材20が押し込まれにくく変改しにくいことから、接続用電極42と配線41との間に断線が発生するのを抑制することができる。
【0215】
本開示の第6の実施形態に係る配線基板に対しても、上述した第3の実施形態と同様に、様々な変更を加えることが可能である。例えば、配線基板202の基材20に替えて、上述した基材20Aから基材20Hを用いて、第6の実施形態に係る配線基板を製造してもよい。得られた第6の実施形態に係る配線基板においては、用いた各基材に応じて、上述した第3の実施形態に係る配線基板の各変形例に係る効果を奏することができる。
【0216】
<用途>
本開示の配線基板は、伸縮性を有することから、曲面に適用することができ、かつ、変形に追従することができる。本開示の配線基板は、振動伝搬部を有すことから、利用者に力、振動、動き等を効率的に伝達することができる。このような利点から、本開示の配線基板は、各種の物品に適用できる。例えば、ウェアラブルデバイス、ハプティクスデバイス、医療機器等に用いることができる。
【0217】
本開示の配線基板は、例えば、人の皮膚に貼付して用いてもよく、ウェアラブルデバイスに装着して用いてもよい。例えば、人の腕などの身体の一部に取り付ける製品の少なくとも一部として、本開示の配線基板を用いることができる。本開示の配線基板は伸張することができるので、例えば配線基板を伸長させた状態で身体に取り付けることにより、配線基板を身体の一部により密着させることができる。このため、良好な着用感を実現することができる。また、配線基板は伸長することができるので、曲面や立体形状に沿わせて設置することが可能である。また、振動伝搬部を有すことから、利用者に力、振動、動き等を伝達し、被着対象者の操作、動きに応じ適切なフィードバックを与えることが可能である。
【0218】
また、本開示の配線基板が設置される物品としては、例えば、靴、インソール、マスク、靴下、ストッキング、リストバンド、服、はちまき、手袋、インナーウェア、スポーツウェア、おむつ、帽子、マフラー、耳あて、カバン(例えばリュックサック、ウエストポーチ、ハンドバッグ、スポーツバッグ、スーツケース)、メガネ、補聴器、イヤリング、ピアス、ネックレス、ブレスレット、アンクレット、ベルト、ヘアアクセサリー、ヘアバンド、カチューシャ、時計、首輪、指輪、付け爪、ベビーカー、車椅子、水着、家具(例えば、ソファ、椅子、机、照明、ドア、手すり、ベッド、マットレス、敷布団、座布団、かけ布団、毛布・シーツ、ランチョンマット)、絆創膏、包帯、薬液パック、チューブ、薬液浸透美容マスク、湿布、ガーゼ、歯ブラシ、カテーテル、義手、義足、義眼、コンタクトレンズ、サポーター、ボール、ラケット、自動車内装シート、インパネ、旗、ノート、書籍、ロボハンド、ロボットの外装、バイタルセンサ、ディスポーザブル生体電極、リード、個人ID認識デバイス、ヘルメット等を挙げることができる。
【0219】
また、本開示の配線基板が設置される物品の他の例としては、ヘルスケア製品、スポーツ製品、アミューズメント製品、振動アクチュエーターデバイス等のハプティクス製品、家電製品、カーペット、ソファ等の家具や家具装飾品、座布団やマットレス等の寝具製品、ペットボトルやラップ等のパッケージ製品、書籍やペン等の文具製品、自動車内装やシート等のモビリティ関連製品等を挙げることができる。本開示においては、これらのいずれかの物品であって、上述した配線基板を有する物品を提供することができる。
【0220】
以上、本開示に係る配線基板および物品について、それぞれの実施形態を説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本開示の技術的思想と実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本開示の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0221】
10、10A、10B、10C、10D 配線基板
10E、10F、10G、10H 配線基板
20、20A、20B、20C、20D 基材
20E、20F、20G、20H 基材
21 第1面
22 第2面
31、31A、31B、31C、31D 伸縮部
31E、31F、31G、31H 伸縮部
32、32A、32B、32C、32D 振動伝搬部
32E、32F、32G、32H 振動伝搬部
32F1、32G1 第1面側振動伝搬部
32F2、32G2 第2面側振動伝搬部
33 凹凸構造
34、35、35H1、35H2 突起部
41 配線
42 接続用電極
51 土台
52 離型層
53 枠
61 マスク
62 隙間
63 接着剤
100、100A、100B、100C、100D 配線基板
100E、100F、100G、100H 配線基板
101 配線基板
110 接着層
120 支持基板
121 第1面
122 第2面
130 蛇腹形状部
141 配線
200、201、202 配線基板
210 電子部品
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