(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167340
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】電子部品搭載装置及び電子部品搭載方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20231116BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H01L21/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078450
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜平 大
(72)【発明者】
【氏名】江本 康大
(72)【発明者】
【氏名】日下部 道規
(72)【発明者】
【氏名】窪田 雅大
【テーマコード(参考)】
5F044
5F047
【Fターム(参考)】
5F044KK01
5F044PP16
5F044PP17
5F044PP19
5F047AA17
5F047FA01
5F047FA02
5F047FA07
5F047FA31
5F047FA51
5F047FA73
5F047FA79
(57)【要約】
【課題】撮像ユニットの光学系を所望の冷却具合で冷却でき、撮像ユニットの光学系の熱変形により認識ずれが発生することを抑制でき、安定した部品実装を実現できる電子部品搭載装置を提供する。
【解決手段】電子部品搭載装置は、基板支持ユニットによって加熱しながら支持される基板に対して、部品搭載ヘッドによって部品を搭載する電子部品搭載装置であって、前記基板支持ユニットの上方に配置され、撮像対象を撮像する撮像ユニットと、撮像ユニットが撮像対象を認識するための光学ユニットと、所定の冷却条件で光学ユニットを冷却する冷却ユニットと、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持ユニットによって加熱しながら支持される基板に対して、部品搭載ヘッドによって部品を搭載する電子部品搭載装置であって、
前記基板支持ユニットの上方に配置され、撮像対象を撮像する撮像ユニットと、
前記撮像ユニットが前記撮像対象を認識するための光学ユニットと、
所定の冷却条件で前記光学ユニットを冷却する冷却ユニットと、
を有する電子部品搭載装置。
【請求項2】
前記光学ユニットは、前記基板支持ユニットと前記部品搭載ヘッドの間に配置され、前記基板に前記部品を搭載する作業位置に出し入れ可能に設けられる可動光学ユニットである、
請求項1に記載の電子部品搭載装置。
【請求項3】
エアーを発生させるためのエアー発生部をさらに有し、
前記冷却ユニットは、前記基板支持ユニットと前記可動光学ユニットとの間に配置され、
第1のカバー部材と、
前記第1のカバー部材の上方に離間して配置される第2のカバー部材と、
前記第1のカバー部材と前記第2のカバー部材の間に形成される前記エアーを流すためのエアー通路と、を少なくとも有し、
前記エアー通路の一方の端部は、前記エアー発生部と連通している、
請求項2に記載の電子部品搭載装置。
【請求項4】
前記エアーの物理量を前記所定の冷却条件で示された値になるよう調整する調整部、を更に備える、
請求項3に記載の電子部品搭載装置。
【請求項5】
前記所定の冷却条件は、前記エアーの物理量と、前記撮像ユニットの前記基板支持ユニットに対する相対的な位置と、前記光学ユニットの温度と、のうち少なくとも一つを関連付けて構成される、
請求項4に記載の電子部品搭載装置。
【請求項6】
基板支持ユニットによって加熱しながら支持される基板に対して、部品搭載ヘッドによって部品を搭載する電子部品搭載方法であって、
前記基板支持ユニットの上方に配置された撮像ユニットによって、撮像対象を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程において前記撮像対象を認識するための前記撮像ユニットの光学ユニットを所定の冷却条件で冷却する冷却工程と、
を有する電子部品搭載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品搭載装置及び電子部品搭載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フリップチップなどの電子部品を基板に搭載する電子部品搭載装置が知られている。このような電子部品搭載装置として、基板を載置して加熱するヒータブロックを備え水平方向に移動する基板ステージと、この基板ステージの上方にあって下面に電子部品を保持して熱圧着する圧着ヘッドと、この圧着ヘッドを昇降させる昇降手段と、前記圧着ヘッドと基板ステージの間の撮像位置に進出して前記基板及び前記圧着ヘッドに保持された電子部品を撮像する撮像手段と、この撮像手段の撮像データに基づいて前記基板に対する前記電子部品の位置ずれを補正する補正手段と、前記基板ステージの可動範囲の上方に設定され前記撮像手段を撮像位置から退避させる退避スペースと、この退避スペースの下方に設けられ前記ヒータブロックからの熱を遮断する遮熱板とを備える電子部品の熱圧着装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、この熱圧着装置では、プレートに冷却ファンが2個装着されており、遮熱板とプレートの間の空間に空気が送り込まれ、遮熱板の温度上昇を防止するようになっている。ヒータブロックによる熱影響は、まず輻射熱については遮熱板によって遮られ、また遮熱板上の空間は冷却ファンによって冷却され、ダクト内空間はエアブローにより常に冷却されている。したがってこの空間内を退避スペースとする光学ヘッドはヒータブロックの熱から保護される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の電子部品の熱圧着装置では、エアブローにより冷却することが記載されているが、エアブローの流量を制御することは想定されていない。したがって、撮像手段の温度や基板ステージの温度によって冷却具合を決定することが困難であり、過大又は過小な熱遮蔽が行われることで、撮像ユニットの光学系の温度が安定せず、撮像ユニットによる撮像位置が変化することで認識ずれが発生することで部品実装の精度が低下し得る。
【0006】
本開示は、撮像ユニットの光学系を所望の冷却具合で冷却でき、撮像ユニットの光学系の熱変形により認識ずれが発生することを抑制でき、安定した部品実装を実現できる電子部品搭載装置及び電子部品搭載方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、基板支持ユニットによって加熱しながら支持される基板に対して、部品搭載ヘッドによって部品を搭載する電子部品搭載装置であって、前記基板支持ユニットの上方に配置され、撮像対象を撮像する撮像ユニットと、前記撮像ユニットが前記撮像対象を認識するための光学ユニットと、所定の冷却条件で前記光学ユニットを冷却する冷却ユニットと、を有する、電子部品搭載装置である。
【0008】
本開示の一態様は、基板支持ユニットによって加熱しながら支持される基板に対して、部品搭載ヘッドによって部品を搭載する電子部品搭載方法であって、前記基板支持ユニットの上方に配置された撮像ユニットによって、撮像対象を撮像する撮像工程と、前記撮像工程において前記撮像対象を認識するための前記撮像ユニットの光学ユニットを所定の冷却条件で冷却する冷却工程と、を有する電子部品搭載方法である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、撮像ユニットの光学系を所望の冷却具合で冷却でき、撮像ユニットの光学系の熱変形により認識ずれが発生することを抑制でき、安定した部品実装を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態における電子部品搭載装置の斜視図
【
図4】電子部品搭載装置の冷却系の構成を説明するための図
【
図5】電子部品搭載装置の制御系の構成を示すブロック図
【
図6】電子部品搭載装置のタッチパネルに表示された実験条件入力画面の一例の説明図
【
図7】電子部品搭載装置のタッチパネルに表示された実験用冷却条件出力画面の一例の説明図
【
図8】電子部品搭載装置のタッチパネルに表示された評価結果出力画面の一例の説明図
【
図9】電子部品搭載装置のタッチパネルに表示された計測結果表示画面の一例の説明図
【
図10】変形例における電子部品搭載装置の一部の構成の第1の状態を示す側面図
【
図11】変形例における電子部品搭載装置の一部の構成の第2の状態を示す側面図
【
図12A】第1の実施形態及び変形例における撮像ユニットによる認識ずれが無い状態を説明するための図
【
図12B】比較例における撮像ユニットによる認識ずれが無い状態を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る電子部品装置及び電子部品実装方法の構成及び作用を具体的に開示した実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
(第1の実施形態)
<電子部品搭載装置の構成>
先ず
図1、
図2、
図3を参照して、電子部品搭載装置1の構成を説明する。電子部品搭載装置1は、半導体チップ等の部品(例えばチップ)を基板の実装位置(例えばボンディング位置)に実装(例えば接合)する実装装置(例えばボンディング装置)としての機能を有する。
図1は、第1の実施形態に係る電子部品搭載装置1の斜視図である。
図2は、電子部品搭載装置1の側面図である。
図3は、電子部品搭載装置1の正面図である。
【0013】
なお、方向を示す矢印が記された図において、X軸は電子部品搭載装置1の右左方向、Y軸は電子部品搭載装置1の前後方向、Z軸は電子部品搭載装置1の上下方向を示す。X軸及びY軸は直交して水平面に含まれる。Z軸は鉛直面に含まれる。また、いずれか2つの軸の直交点に記される中黒円は矢線先端の正面を示し、中バツ円は矢線後端の背面を示す。電子部品搭載装置1は、部品供給部2、基板保持部3、実装機構4(例えばボンディング機構)及びこれらの各部を制御する制御部7(
図5参照)を備えている。
【0014】
部品供給部2は、実装対象(例えばボンディング対象)の部品を供給する機能を有する。
図2に示すように、部品供給部2は、第1のXYテーブル10の上面に配置された供給ステージ11を備えている。供給ステージ11の上面にはウェハシート13が展張状態で保持されており、ウェハシート13の上面には個片に分割された状態の部品14が、バンプが形成された能動面を上向きにした姿勢で貼着されている。第1のXYテーブル10の駆動により、供給ステージ11は、X方向及びY方向に移動し、取出対象の任意の部品14を取出し位置[P1]に位置させることができる。
【0015】
なお、部品14は例えばチップであるが、これに限られず他の電子部品であってもよい。本実施形態では、部品14がチップであることを主に例示する。
【0016】
図1に示すように、ピックアップヘッド駆動部16から延出したアーム部の先端にはピックアップヘッド15が結合されている。ピックアップヘッド駆動部16の駆動により、ピックアップヘッド15は、供給ステージ11の上方の部品14の取出し位置[P1]と実装機構4への受渡位置ピックアップ位置[P2]との間で移動する。部品14のピックアップにおいては、ウェハシート13の下面側に配置されたエジェクタ12の作動により、ピックアップ対象の部品14がウェハシート13から剥離される。剥離された部品14は、ピックアップヘッド15によって能動面を上向きにした姿勢で保持される。
【0017】
取出し位置[P1]にて部品14を保持したピックアップヘッド15は上昇して、実装機構4の部品実装ヘッド26によるピックアップ位置[P2]まで移動する(矢印c参照)。この移動途中でのピックアップヘッド15の上下反転(矢印d参照)により、ピックアップヘッド15は、ピックアップ位置[P2]にて部品14の能動面を下向きにした姿勢で部品14を保持した状態となる。ピックアップヘッド15及びピックアップヘッド駆動部16は、取出し位置[P1]にて部品供給部2から取り出した部品14を光学ヘッド30によるピックアップ位置[P2]に移送する部品移送部17を構成する。
【0018】
なお、部品実装ヘッド26は、ボンディングによって実装するボンディングヘッドであるが、これに限られず、他の方法で実装する部品実装ヘッドであってもよい。本実施形態では、ボンディングヘッドであることを主に例示する。
【0019】
基板保持部3の構成を説明する。
図1及び
図2に示すように、第2のXYテーブル20の上面には、実装対象の基板22を保持した基板ステージ21が配置されている。第2のXYテーブル20の駆動により、基板ステージ21は、X方向、Y方向に移動する。これにより、基板22に設定された実装位置22a(
図3参照)を作業位置[P3]に位置させることができる。このようにして作業位置[P3]に位置合わせされた実装位置22aに、実装機構4の実装ツール29(例えばボンディングツール)によって部品14が実装される。基板ステージ21は、基板22を支持する基板支持ステージの一例である。基板ステージ21は、例えば基板面が矩形でも円形でもよい。
【0020】
実装機構4の構成を説明する。
図1及び
図2に示すように、部品供給部2及び基板保持部3の上方には、Y軸フレーム23がY方向に水平に配置されている。Y軸フレーム23には2列のガイドレール25を備えたリニアモータ24が側面に沿って配置されている。ガイドレール25は基板ステージ21の上方で水平に延びている。ガイドレール25には、スライダ25a(
図3参照)を介して第1の移動ベース26aがガイドレール25に沿って移動可能に装着されている。ガイドレール25には、第1の移動ベース26aとは独立してガイドレール25に沿って移動可能な第2の移動ベース30aが装着されている。
【0021】
第1の移動ベース26aには部品実装ヘッド26が装着されている。部品実装ヘッド26は、実装ツール駆動部27により駆動される実装ツール保持部28によって、実装ツール29を保持した構成となっている。実装ツール29による部品14の保持状態での実装ツール駆動部27の駆動により、実装ツール29は、下降し、保持した部品14を基板22の実装位置22aに接合する。即ち、電子部品搭載装置1では、実装ツール29が部品14を保持し、部品14と対向するように基板22が載置された基板ステージ21の方向に実装ツール29を下降させて、部品14を基板22の実装位置22aに接合する。
【0022】
第2の移動ベース30aには、光源ボックス31が装着されている。
図2に示すように、光源ボックス31の下部から下方に延出したアーム部31aには、可動導光体である可動プリズム32aを内蔵した可動光学ユニット32が結合されている。ここで、アーム部31aは部品実装ヘッド26側へ屈曲して設けられており、可動プリズム32aは、光学ヘッド30の中心に対して部品実装ヘッド26側にオフセットした形態となっている。
【0023】
リニアモータ24の駆動により、第1の移動ベース26a及び第2の移動ベース30aは、ガイドレール25に沿って移動し、これにより部品実装ヘッド26及び光学ヘッド30はY方向に移動する。したがって、リニアモータ24及びガイドレール25は、部品実装ヘッド26及び光学ヘッド30を移動させる移動手段となっている。
【0024】
即ち、この移動手段は、部品実装ヘッド26を、実装ツール29が部品14をピックアップするピックアップ位置[P2]と、部品14の実装(例えばボンディング)を行う作業位置[P3]と、の間で移動させる。また、この移動手段は、可動プリズム32aを内蔵した可動光学ユニット32を作業位置[P3]に出し入れさせるために、光学ヘッド30を移動させる。
【0025】
そして光学ヘッド30の移動により、実装位置22aの上方に位置する部品14と基板22との間の空間に、可動光学ユニット32に内蔵された可動導光体である可動プリズム32aを進退させる機能を有している。このように、部品実装ヘッド26及び光学ヘッド30を同一の移動手段によって動作させる構成とすることにより、実装装置の機構を簡素化して設備コストを低減することが可能となっている。
【0026】
図3に示すように、Y軸フレーム23及びリニアモータ24の下面には、撮像ユニット34が、撮像ユニット34の移動手段である撮像ユニット移動機構35のアーム部35aを介してX方向及びY方向に移動自在に装着されている。撮像ユニット34は、例えば、カメラを個別に備えた4つの撮像部を有している。撮像ユニット34は、例えば、可動光学ユニット32の上方に位置する部品14と、可動光学ユニット32の下方に位置する基板22とを撮像する。撮像ユニット34は、例えば、部品14と基板22とを同時に撮像可能な上下認識カメラユニットである。上下認識カメラユニットは、同時に上下方向を撮像することで、上方に配置された部品実装ヘッド26及び部品14と、下方に配置された基板ステージ21及び基板22と、を同時に認識可能である。
【0027】
さらに、リニアモータ24の下面には、上左プリズム、上右プリズム、下左プリズム、下右プリズムを内蔵した固定光学ユニット33が配置されている。可動光学ユニット32は、部品14と基板22との間で進退する。本実施形態では、撮像ユニット34と固定光学ユニット33及び可動光学ユニット32とを組み合わせることにより、部品14と基板22とを撮像ユニット34によって撮像するようにしている。このように可動光学ユニット32と固定光学ユニット33とが撮像ユニット34の光学系(撮像ユニット34のための光学系)として機能する。
【0028】
図2及び
図3に示すように、Y軸フレーム23の上部には、作業位置[P3]を両側から挟む配置で1対のスポット照明36が配置されている。スポット照明36は、Y軸フレーム23から延出した保持ブラケット36aの先端部に保持されて、照射方向を作業位置[P3]に位置する可動光学ユニット32に向けた姿勢で配置されている。スポット照明36から照射された照明光は、可動光学ユニット32内の可動プリズム32aに入射し、基板22の実装位置22aに照射される。即ち、スポット照明36は、上方から基板22に照明用の光を照射する照明手段となっている。
【0029】
また、
図2に示すように、電子部品搭載装置1は、可動光学ユニット32の下側(Z軸負側)つまり撮像ユニット34の下側に、冷却ユニット50を備える。冷却ユニット50は、第1のカバー部材51、第2のカバー部材52、及び冷却エアー配管53を含む。具体的には、可動光学ユニット32の下面に第2のカバー部材52が設けられ、第2のカバー部材52の下面に所定のスペーサを介して第1のカバー部材51が設けられ、第2のカバー部材52と第1のカバー部材51との間に冷却エアーをY軸負側(例えばY軸矢印の根本側)からY軸正側(例えばY軸矢印の先端側)へ流すための空間53Aが設けられ、空間53Aにおける冷却エアーの流れの上流側(空間53AにおけるY軸負側端部)に冷却エアー配管53が接続される。冷却エアー配管53は、冷却エアー発生部64(
図5参照)に接続される。
【0030】
図4は、電子部品搭載装置1の冷却系の構成を説明するための図である。
【0031】
電子部品搭載装置1は、熱源を有する基板ステージ21と可動光学ユニット32との間に、冷却ユニット50を備える。冷却ユニット50では、第2のカバー部材52及び第1のカバー部材51の間に、冷却エアーが通過する空間53Aが設けられ、空間53Aにおける冷却エアーの流れの上流側(空間53AにおけるY軸負側端部)に冷却エアー配管53が接続される。一方、第2のカバー部材52と撮像ユニット34との間には、冷却エアーが通過しない空気断熱層が設けられる。冷却エアー配管53の一端は、冷却エアー発生部64(
図5参照)に連通し、冷却エアーの供給を受ける。また、冷却ユニット50は、スペーサ54、第1の反射膜55、及び第2の反射膜56を備えてよい。
【0032】
第1のカバー部材51は、例えば、光源ボックス31に接続されたアーム部31aに接続される。第1のカバー部材51の基板ステージ21側の面には、鏡面加工が施されて電磁反射率が高くされ、又は、電磁反射率が高い第1の反射膜55が設けられる。この第1の反射膜55は、例えばアルニウム、金、又は銅で形成され、膜厚は、例えば250nm以上である。第1のカバー部材51の基板ステージ21側の面に、鏡面加工が施され、又は、電磁反射率が高い第1の反射膜55が設けられることで、熱輻射が抑制され得る。なお、第1のカバー部材51は、撮像ユニット移動機構35のアーム部35aに接続されてもよい。
【0033】
第2のカバー部材52は、第1のカバー部材51又はアーム部31aからスペーサ54を介して保持される。スペーサ54は、熱伝導係数の低い部材(例えば断熱材)で形成され、例えば、ポリイミド、セルロース、又はセラミックで形成される。第2のカバー部材52には、例えば、輻射率が低いアルミニウム等の材質が用いられる。この場合、第2のカバー部材52の基板ステージ21側の面には、鏡面加工が施されることが望ましいが、必須ではない。
【0034】
第1のカバー部材51と可動光学ユニット32とは、線膨張係数や線膨張係数の低い部材を介して保持される。つまり、第1のカバー部材51と可動光学ユニット32とを接続するアーム部31bは、熱膨張係数や線膨張係数の低い材質で形成される。これにより、第1のカバー部材51の熱が第2の移動ベース30a及び光源ボックス31及びアーム部31aに伝達されて第2の移動ベース30a及び光源ボックス31及びアーム部31aが熱変形(例えば膨張)し、可動光学ユニット32が意図しない位置に移動することを抑制できる。また、可動光学ユニット32まで熱が伝達されて可動光学ユニット32の可動プリズム32aが熱変形して光学系の位置関係が変化し、撮像ユニット34の光軸中心の位置変化が起因して撮像位置が変化することを抑制できる。
【0035】
可動光学ユニット32の下面には、鏡面加工が施されて電磁反射率が高くされ、又は、アルミニウム又は金等の電磁反射率が高い第2の反射膜56が設けられることが望ましい。第2の反射膜56の膜厚は、例えば250nm以上である。なお、第2の反射膜56が設けられることは必須ではない。
【0036】
また、第1のカバー部材51及び第2のカバー部材52に関するクリアランスは下記の通りである。基板ステージ21と第1のカバー部材51との間の距離は、例えば1.5mm以上である。第1のカバー部材51と第2のカバー部材52との間の距離は、例えば1.5mm以上である。第2のカバー部材52と第2の反射膜56との間の距離は、例えば0.7mm以上である。
【0037】
このように、電子部品搭載装置1は、上記のような冷却ユニット50を有することで、部品実装ヘッド26と基板ステージ21との間の距離を短くした上で、熱源を有する基板ステージ21による熱影響を抑制できる。また、電子部品搭載装置1は、熱伝導、対流、又は熱輻射等を抑制でき、可動光学ユニット32や可動プリズム32aへの熱伝達を遮断できる。この結果、電子部品搭載装置1は、可動プリズム32aの熱変形による撮像ユニット34の光軸中心の位置(撮像範囲)の変化に起因する、基板22のY方向もしくはX方向の位置の認識ばらつきや部品14のY方向もしくはX方向の位置の認識ばらつきを半分に低下できる。
【0038】
なお、部品実装ヘッド26の先端が熱源を有することもあり、可動光学ユニット32の上面においても、上述と同様に、鏡面加工され、又は反射膜が設けられてもよい。なお、この熱源の発熱量は基板ステージ21の熱源の発熱量よりもはるかに小さい。そのため、部品実装ヘッド26の熱源は無視されてよい。
【0039】
次に、電子部品搭載装置1の制御系の構成について説明する。
図5は、電子部品搭載装置1の制御系の構成例を示すブロック図である。
【0040】
電子部品搭載装置1は、可動光学ユニット32、撮像ユニット34、可動光学ユニット温度計61、基板ステージ21、基板ステージ加熱部62、基板ステージ温度計63、部品実装ヘッド26、冷却エアー発生部64、冷却エアー計測部65、タッチパネル66、及び調整部67を備える。
【0041】
可動光学ユニット温度計61は、可動光学ユニット32の温度を計測する。計測された可動光学ユニット温度の情報は、後述する計測結果情報83に含めて記憶部8に記憶される。基板ステージ加熱部62は、例えば基板22が保持される基板ステージ21に内蔵され、基板ステージ21を加熱する熱源である。基板ステージ加熱部62は、電子部品搭載装置1の動作時(例えば部品実装時)には常に基板ステージ21を加熱していてよい。基板ステージ温度計63は、基板ステージ21の温度を計測する。計測された基板ステージ温度の情報は、後述する計測結果情報83に含めて記憶部8に記憶される。冷却エアー発生部64は、例えばエアコンプレッサーであり、空気を冷却して冷却エアーを生成する(発生させる)。
【0042】
冷却エアー計測部65は、冷却対象であるエアー(冷却エアー)の各種物理量(例えば流量、圧力、又は温度)を計測する。計測されたエアーの物理量の情報は、後述する計測結果情報83に含めて記憶部8に記憶される。タッチパネル66は、操作部と表示部を兼ねており、各種入力操作を受け付け、各種データ又は情報等を表示する。タッチパネル66は、例えば、各種の実験条件の入力や評価結果の表示等に用いられる。調整部67は、冷却ユニット50の冷却エアー配管53に流れるエアーの物理量を調整するものであり、例えば、電磁弁又は電圧レギュレータである。
【0043】
電子部品搭載装置1は、制御部7を備える。制御部7は、例えばプロセッサにより構成され、MPU(Micro processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)等を含んでよい。プロセッサは、各種集積回路(例えばLSI(Large Scale Integration)又はFPGA(Field Programmable Gate Array))により構成されてもよい。制御部7は、記憶部8に記憶されたプログラムを実行することで、電子部品搭載装置1の各部を統括的に制御し、各種処理を行う。
【0044】
例えば、制御部7は、可動光学ユニット32、撮像ユニット34、可動光学ユニット温度計61、基板ステージ21、基板ステージ加熱部62、基板ステージ温度計63、部品実装ヘッド26、冷却エアー発生部64、冷却エアー計測部65、タッチパネル66、及び調整部67との間でデータ又は情報等を送受したり、各種制御を行ったりする。
【0045】
制御部7は、記憶部8、認識位置取得部71、実験用冷却条件作成部72、実験処理部73、評価結果算出部74、冷却条件作成部75、表示処理部76、及び冷却エアー調整部77を含む。
【0046】
記憶部8は、一次記憶装置(例えばRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory))を含む。記憶部8は、二次記憶装置又は三次記憶装置等を含んでよいし、取り外し可能な記憶媒体を含んでもよい。記憶部8は、各種データ又は情報等を記憶する。記憶部8は、例えば、冷却条件情報81、実験情報82、計測結果情報83、実験用冷却条件情報84、及び評価結果情報85を含む。
【0047】
冷却条件情報81は、部品実装時の冷却ユニット50による冷却に関する条件(冷却条件)の情報を含む。冷却条件は、エアーの物理量(例えば圧力、流量、及び温度のうちの少なくとも一つ)を含んでよい。エアー圧力は、例えば冷却エアー発生部64により供給されるエアーの圧力でよい。冷却条件は、可動光学ユニット32の基板ステージ21に対する相対的な位置を含んでよい。冷却条件は、可動光学ユニット32の温度や基板ステージ21の温度を含んでよい。冷却条件は、上記のエアーの物理量、上記の相対的な位置、及び上記の可動光学ユニット32の温度のうち少なくとも1つを紐づけて構成されてもよい。冷却条件は、例えば、部品実装時の状態として目標となる設定値であり、冷却前に定められる。冷却条件は、実験計画法又は最適探索法等に従って導出される。
【0048】
実験情報82は、冷却条件を導出する実験に関する情報である。実験情報82は、所定の冷却条件(例えば量産時の冷却条件)を導出するための実験で使用する実験用冷却条件を構成する情報を含む。例えば、実験情報82は、実験用冷却条件を構成する情報を含む。実験用冷却条件は、エアーの物理量、基板ステージ21に対する可動光学ユニット32の相対的な位置、基板ステージ21の温度や可動光学ユニット32の温度、等を含んでよい。
【0049】
また、実験情報82は、実験による評価結果に対して影響を及ぼす実験因子と、実験因子が取り得る値の範囲と、実験因子がこの範囲から選択できる水準数と、を含んでよい。この評価結果は、「認識ずれ」の評価を含んでよい。この認識ずれは、熱変形により撮像ユニットの撮像位置(撮像範囲)が変化する(撮像ユニットの光軸中心がずれる)ことに起因して、設定された撮像対象(例えば基板22又は部品14)の位置(つまり目標位置)と、撮像画像に基づいて認識された撮像対象の位置(認識位置)とがずれることであってよい。撮像対象の目標位置は、例えば生産データに含まれて取得されてよい。実験因子は、例えば、エアー圧力、エアー流量、エアー圧力、エアー温度、可動光学ユニット32の温度、基板ステージ21の温度、を含んでよい。実験情報82を用いた実験により、認識ずれが小さくなるような冷却条件が探索可能である。
【0050】
なお、可動光学ユニット32の基板ステージ21に対する相対的な位置は、可動光学ユニット32をXY面に沿う投影面に投影した面積と、基板ステージ21をXY面に沿う投影面に投影した面積と、の重なり部分である共有面積に影響する。この共有面積が大きい場合には、XY方向において可動光学ユニット32と基板ステージ21とが近いので基板ステージ21の熱が可動光学ユニット32に伝達され易い状態である。この共有面積が小さい場合には、XY方向において撮像ユニット34と基板ステージ21とが遠いので基板ステージ21の熱が可動光学ユニット32に伝達され難い状態である。冷却条件は、例えば最適な冷却ブロー条件であり、実験計画法又は最適探索法等を用いて導出可能である。
【0051】
なお、生産データは、部品14が実装された基板22の生産に使用されるデータである。生産データは、例えば、基板22の種類(基板名)毎に、基板22における部品14の実装位置(XY座標)(実装目標位置)、部品実装ヘッド26により部品14を基板22に実装する量産時の各種条件を含む。なお、生産データは、実際の部品実装時と実験時とで異なっていてもよい。つまり、実験用生産データが生産データとは別に用意されてもよい。実験用生産データは、生産データと同様のデータを含む。ここでは、部品実装時と実験時とで同じ生産データを用いることを例示するが、これに限られない。
【0052】
計測結果情報83は、各種の計測部により計測された計測結果(計測値)の情報を含む。計測部は、例えば、可動光学ユニット温度計61、基板ステージ温度計63、及び冷却エアー計測部65を含む。計測結果は、例えば実験の冷却の際に得られる計測値を含んでよい。計測結果は、例えば実験の後に実際に冷却される際に得られる計測値を含んでよい。
【0053】
実験用冷却条件情報84は、冷却条件を導出する実験で使用する実験用の冷却条件の情報を含む。実験用冷却条件情報84は、例えば、認識ずれを導出するための複数の条件の情報を含んでよい。実験用冷却条件情報84は、実験情報82に基づいて作成されてよい。実験用冷却条件は、エアーの物理量、基板ステージ21に対する可動光学ユニット32の相対的な位置、基板ステージ21の温度や可動光学ユニット32の温度、等を含んでよい。なお、実験情報は、実験を行う際の冷却条件の項目の情報を含むことに対し、実験用冷却条件情報は、実験を行う際の冷却条件の項目毎の具体的な値等の情報を含む。
【0054】
評価結果情報85は、評価結果算出部74による実験の評価結果の情報を含む。評価結果は、上記の認識ずれの情報を含む。また、評価結果は、その他の評価結果(例えば実験)を含んでもよい。評価結果は、基板ステージ21に対する可動光学ユニット32の相対的な位置(実装位置、実装領域)毎に得られてよい。評価結果は、同じ相対的な位置における異なる実験用冷却条件毎に得られてもよい。
【0055】
認識位置取得部71は、撮像ユニット34により撮像された画像に基づいて、基板22に対する部品14の位置を認識し、撮像ユニット34による認識位置として取得する。認識位置の情報は、計測結果情報83に含めて記憶部8に記憶される。なお、所定の実装位置(予め設定された実装位置)と認識された実装位置(撮像ユニット34による認識位置)との位置ずれが、認識ずれとして評価される。
【0056】
実験用冷却条件作成部72は、実験情報82に基づいて、実験用冷却条件情報84を作成する。作成された実験用冷却条件情報84は、記憶部8に記憶される。
【0057】
実験処理部73は、実験情報82に基づいて、実験計画法又は最適探索法等に従って冷却条件を導出する実験(シミュレーション)を実行する。実験処理部73は、生産データ又は実験用生産データに基づいて部品実装ヘッド26を制御して、実験用冷却条件を変更しながら、基板22の実装位置に部品14を実装することをシミュレーションする。
【0058】
また、実験処理部73は、各実装位置に各部品14を実装することに要する合計時間を算出してよい。この場合、実験処理部73は、各実験用冷却条件で指定された繰り返し回数だけ部品14を基板22に実装する作業に要する時間、各実験用冷却条件を満たすために基板ステージ21の温度や実装ツール29の温度の変更に要する時間、などをそれぞれ予測して、合計時間を算出してよい。また、各部品14の実装が完了するまでの合計時間ではなく、各部品14の撮像が完了するまでの合計時間であってもよい。また、上記の実験の繰り返しは、同じ実装領域(実装位置)で、作成された実験用冷却条件に従って複数回実験することであってもよいし、異なる実装領域を、作成された実験用冷却条件に従って順番に実験することであってもよい。好適な冷却条件である場合には、実験に要する合計時間が短く、認識ずれが少ないことが想定される。
【0059】
評価結果算出部74は、各実験用冷却条件に従った実験において撮像ユニット34により撮像された画像に基づいて、評価結果(認識ずれ)を算出する。
【0060】
冷却条件作成部75は、評価結果算出部74により導出された評価結果に基づいて、実際に用いられる所定の冷却条件(例えば量産時の冷却条件)を作成する。例えば、冷却条件作成部75は、複数の実験用冷却条件の中で認識ずれが小さくなる冷却条件を作成する。ここで、認識ずれが小さくなる冷却条件とは、例えば、認識ずれが所定のずれ量よりも小さくなる冷却条件、又は、導出された複数の認識ずれのうち認識ずれが最小である冷却条件、を含んでよい。
【0061】
また、基板ステージ21及び可動光学ユニット32は、いずれも移動自在である。つまり、熱源を有する基板ステージ21と熱の影響を受ける可動光学ユニット32との共有面積は、可変である。よって、冷却条件作成部75は、この共有面積に基づいて冷却条件を決定してよい。つまり、冷却条件作成部75は、基板ステージ21に対する可動光学ユニット32の位置に基づいて、冷却条件を決定してよい。また、可動光学ユニット32の温度に依存して、認識ずれの影響度合いが異なる。よって、冷却条件作成部75は、可動光学ユニット温度計61により計測された可動光学ユニット32の温度や基板ステージ温度計63により計測された基板ステージ21の温度に基づいて、冷却条件を決定してよい。
【0062】
表示処理部76は、認識位置取得部71により取得された認識位置、又は評価結果算出部74により計測された評価結果等を、タッチパネル66等の表示部に表示させる。
【0063】
冷却エアー調整部77は、調整部67を制御し、作成された冷却条件に従って、冷却エアー発生部64により発生されるエアーの物理量を制御する。つまり、制御部7は、エアーの発生量を制御することで熱制御し、撮像ユニット34の冷却具合を調整する。ここでのエアーの物理量は、例えば、エアーの圧力、流量、及び温度のうちの少なくとも1つを含んでよい。例えば、冷却エアー調整部77は、冷却条件に基づき、部品実装時の冷却エアーの物理量を制御してよい。冷却エアー調整部77は、実験用冷却条件に基づき、実験用の冷却エアーの物理量を制御してよい。冷却エアー調整部77は、エアー(空気)の物理量が冷却条件又は実験用冷却条件で示された値になるように調整してよい。
【0064】
また、冷却エアー調整部77は、冷却対象の基板ステージ21の位置に応じて、冷却エアー発生部64により発生されるエアーの物理量を切り替えてよい。
【0065】
制御部7の実装制御部(不図示)は、冷却エアー発生部64及び調整部67により冷却ユニット50を冷却して、生産データに基づいて部品実装ヘッド26を制御して、基板22の実装位置に部品14を実装(装着、搭載)する。
【0066】
次に、冷却条件を導出する実験について、タッチパネル66に表示される各画面を用いながら説明する。
【0067】
図6は、電子部品搭載装置1のタッチパネル66に表示された実験条件入力画面G1の一例の説明図である。
図7は、電子部品搭載装置1のタッチパネル66に表示された実験用冷却条件出力画面G2の一例の説明図である。
図8は、電子部品搭載装置1のタッチパネル66に表示された評価結果出力画面G3の一例の説明図である。
図9は、電子部品搭載装置1のタッチパネル66に表示された計測結果表示画面G4の一例の説明図である。
【0068】
まず、表示処理部76は、実験用冷却条件情報84を作成するための実験条件を入力する実験条件入力画面G1をタッチパネル66に表示させる。実験条件入力画面G1には、実験条件入力枠W1、「戻る」ボタンB11、「次へ」ボタンB12が表示されている。実験条件入力枠W1には、実験条件として、実験情報82に含まれる実験因子、水準数、及び実験因子が取り得る値の範囲が表示されている。
【0069】
タッチパネル66が実験条件入力枠W1内の実験因子のドロップダウンボタンの操作を受け付けると、実験用冷却条件作成部72は、冷却に関する実験因子が表示される。ここでの実験因子には、例えば、エアー圧力、エアー流量、エアー温度、可動光学ユニット温度、及び基板ステージ温度(ステージ温度)が含まれる。実験用冷却条件作成部72は、タッチパネル66を介してオペレータの操作を受け、表示された実験因子の中から実験に使用する実験因子を選択する。また、実験用冷却条件作成部72は、タッチパネル66を介してオペレータの操作を受け、実験因子毎に、実験条件入力枠W1内の水準数のドロップダウンボタンを操作して、水準数を入力する。また、実験用冷却条件作成部72は、タッチパネル66を介してオペレータの操作を受け、実験因子毎に、実験条件入力枠W1内の範囲の入力枠において実験因子の上限値と下限値を入力する。なお、実験条件入力枠W1で実験因子が選択されると、タッチパネル66は、範囲の入力枠に、選択された実験因子に対応する単位(例えばMPa、L/min)を表示してよい。
【0070】
図6において、「戻る」ボタンB11が操作されると、実験条件入力画面G1に遷移する前の画面に遷移する。「次へ」ボタンB12が操作されると、次の実験用冷却条件出力画面G2に遷移する。実験条件入力画面G1において「次へ」ボタンB12が操作されると、実験用冷却条件作成部72は、入力された実験因子と水準数と範囲とに基づいて、実験計画法等を用いて実験用冷却条件を決定する。即ち、実験用冷却条件作成部72は、実験因子を選択して実験用冷却条件情報84を作成する。また、実験用冷却条件では、実験の繰り返し回数も定められてよい。
【0071】
実験条件入力画面G1において「次へ」ボタンB12が操作されると、表示処理部76は、実験用冷却条件情報84を作成するための実験用冷却条件出力画面G2をタッチパネル66に表示させる。実験用冷却条件出力画面G2には、実験用冷却条件表示枠W2と、実装点表示枠W3と、「戻る」ボタンB21と、「次へ」ボタンB22と、が表示されている。
【0072】
実験用冷却条件表示枠W2には、実験因子毎に1つ以上の条件が表示される。ここで表示される実験因子は、例えば実験条件入力画面G1で選択された実験因子である。実験用冷却条件表示枠W2には、条件番号(ここでは条件1~5)毎に、エアー圧力、エアー流量、可動光学ユニット温度、及びステージ温度が表示されている。
【0073】
例えば、実験用冷却条件作成部72は、単位は省略するが、エアー圧力の範囲0.00~0.20を水準数(
図6では「5」)で等分して、0.00~0.04、0.04~0.08、0.08~0.12、0.12~0.16、0.16~0.20の5つの範囲に区分し、それぞれの範囲に含まれる任意の値を、エアー圧力の実験値(実験で用いる設定値、条件値)として作成してよい。エアー流量についても同様の方法で作成してよい。可動光学ユニット温度とステージ温度とは、例えば固定の実験値(例えば100℃、120℃)で作成してよい。
【0074】
実装点表示枠W3には、基板ステージ21に基板22が保持された場合における基板22上での各部品14の各実装領域(各実装位置)に対応して、基板ステージ21の各実装領域(各実装点ともいう)が格子状に区分されて表示されている。また、基板22への部品14の実装時には、可動光学ユニット32が部品14に対向する位置に配置されることから、各実装点は、基板ステージ21に対する可動光学ユニット32の相対的な位置とも言える。
図7では、a軸方向(縦方向)にA,B,C,…に区分されており、b軸方向(横方向)に1,2,3,…に区分されている。よって、基板ステージ21の各実装点は、例えば、実装領域A1,A2,A3,…、B1,B2,B3,…、C1,C2,C3,…のように示される。基板ステージ21の実装点毎に、評価結果が導出可能であり、冷却条件が作成可能である。各実装点で同じ冷却条件が作成されてもよい。
図7では、例えば、基板ステージ21の実装点毎に、実験用冷却条件として条件1~5が設定される。
【0075】
図7において、「戻る」ボタンB21が操作されると、前の実験条件入力画面G1に移行する。「次へ」ボタンB22が操作されると、実験用冷却条件作成部72は、例えば実装点毎に作成された各条件1~5で実験用冷却条件を確定し、確定された実験用冷却条件に基づいて、実験用冷却条件情報84を作成して記憶部8に記憶させる。
【0076】
実験処理部73は、基板ステージ21上の各実装領域について、各実験因子が各実験用冷却条件を満たした状態で、つまり各実験用冷却条件に従ってシミュレーションを実施し、評価結果算出部74を介して、各実装領域における認識ずれを導出(算出)する。また、実験処理部73は、実装点毎に条件1~5の実験用冷却条件で冷却ユニット50による冷却を行うので、基板ステージ21上の実装点の数だけ、この実験用冷却条件での冷却を繰り返す。また、実験処理部73は、決定された実験用冷却条件84に基づいて部品14を基板22に実装することに要する合計時間を算出する。
【0077】
実験処理部73は、実装点毎に、条件1~条件5を当てはめて、順番にシミュレーションを行ってよい。この場合、隣の実装点を順番にずらしながら、各条件でシミュレーションしてよい。この場合、冷却エアー調整部77が実験用冷却条件を変更しながら、実験処理部73が各実装点且つ各条件でシミュレーションする。例えば、実験処理部73は、エアー温度をなるべく変更せずに、エアー流量の変更頻度を高くして、シミュレーションしてよい。エアー流量の変更は、エアー温度の変更よりも容易であるためである。つまり、実験処理部73は、徐々に流量を大きくしたり小さくしたりしながら、各実装点についてシミュレーションしてよい。また、実験処理部73は、例えば、実験用冷却条件を変更する際に基板ステージ21の温度を変更する場合、ステージ温度が低い実験用冷却条件から実験用冷却条件が高い実験用冷却条件に順次変更されるように、シミュレーションを行ってよい。このように、ステージ温度を順次上げる方が、ステージ温度を順次下げる場合よりも、上記の合計時間が短くなることが期待できる。
【0078】
評価結果算出部74は、各実験用冷却条件情報84に基づいて部品14を実装した各基板22について、撮像ユニット34の認識状態を評価し、評価結果(認識ずれ)を算出する。表示処理部76は、基板22に搭載された部品Dの評価結果を表示する評価結果出力画面G3をタッチパネル66に表示させる。
【0079】
評価結果出力画面G3には、評価結果表示枠W4と、「戻る」ボタンB31と、「次へ」ボタンB32と、が表示されている。評価結果表示枠W4には、実装点毎に、条件番号と、評価結果を表示するための複数の表示欄が表示されている。評価結果出力画面G3の各条件番号と各実装点とは、実験用冷却条件出力画面G2における実験用冷却条件表示枠W2の各条件番号と、実装点表示枠W3の各実装点と、に対応している。評価結果算出部74は、導出された評価結果を、評価結果表示枠W4における実装点と条件とに対応する評価結果の表示位置に表示させる。また、評価結果として、上記の実験に要した合計時間も表示されてもよい。
【0080】
図8において、「戻る」ボタンB31が操作されると、前の実験用冷却条件出力画面G2に遷移する。「次へ」ボタンB32が操作されると、評価結果算出部74は、各実装点での各条件に対応する評価結果を示す評価結果情報85を記憶部8に記憶させる。また、冷却条件作成部75は、評価結果情報85に基づき、冷却条件情報81を作成する。例えば、1つ以上の実験用冷却条件のうち、評価結果が最大である(例えば認識ずれが最小である)実験用冷却条件を、冷却条件に決定する。また、冷却条件作成部75は、導出された評価結果に基づいて、応答曲面法等の統計処理を実行して、最適な冷却条件を決定してよい。冷却条件作成部75は、決定された冷却条件を示す冷却条件情報81を記憶部8に記憶させる。
【0081】
また、表示処理部76は、記憶部8に記憶された実験用冷却条件情報84と計測結果情報83とに基づいて、タッチパネル66に、実験用冷却条件と、実験用冷却条件毎の実験因子について各計測部によって計測された実測値(計測値)と、を表示する計測結果表示画面G4を表示させる。実験因子には、エアー圧力、エアー流量、可動光学ユニット温度、及びステージ温度等が含まれる。
【0082】
図9において、計測結果表示画面G4には、計測結果表示枠W5、「戻る」ボタンB41、「次へ」ボタンB42が表示されている。計測結果表示枠W5には、実験用冷却条件の各条件番号、各条件番号における各実験因子の条件値、及び同じ各実験因子の実測値である。つまり、計測結果表示枠W5には、条件番号毎に、計測された項目、実験用冷却条件に設定されている条件値及び計測値が表示されている。なお、各条件且つ各実装点で繰り返し計測が行われ、計測値が得られ、各回の計測値が表示されてもよい。
【0083】
このように、各実験用冷却条件での各実験因子の条件値と計測結果とが一覧で表示されることで、オペレータは、計測結果が正常か否かを容易に判断できる。なお、「戻る」ボタンB41が操作されると前の評価結果出力画面G3に遷移し、「次へ」ボタンB42が操作されると、次の画面に遷移する。
【0084】
このように、本実施形態の電子部品搭載装置1によれば、基板ステージ21と可動光学ユニット32との間に配置される冷却ユニット50に送る冷却エアーの冷却条件を決定できる。電子部品搭載装置1は、基板ステージ21の実装点毎に最適な冷却条件で冷却することで、各実装点への部品実装に係る認識ずれを低減でき、実装精度を向上できる。
【0085】
また、電子部品搭載装置1は、部品14を保持する部品実装ヘッド26と基板22が載る基板ステージ21との間に挿入された可動光学ユニット32によって、撮像ユニット34は、部品14と基板22とを同時に認識する。よって、電子部品搭載装置1は、部品14の実装位置を補正でき、部品14を基板22に精度良く実装できる。
【0086】
また、電子部品搭載装置1は、基板22や部品14を加熱して実装する際に、探索された冷却条件で可動光学ユニット32を冷却することで、加熱によって可動光学ユニット32の可動プリズム32aが熱影響(例えば熱収縮)を起こし、認識ずれや実装ずれが生じることを抑制できる。
【0087】
また、高生産性を実現するために部品実装ヘッド26の上下移動距離を短くするため、部品実装ヘッド26と基板ステージ21とのギャップを(距離)を小さくする場合でも、電子部品搭載装置1は、調整された冷却条件で冷却された冷却ユニット50により可動光学ユニット32を好適な温度に維持でき、認識ずれや実装ずれが生じることを抑制できる。
【0088】
また、電子部品搭載装置1は、基板ステージ21上の実装点に依存した温度の違いを加味することで、基板ステージ21から可動光学ユニット32が受ける熱量が実装点毎に異なる場合でも、実装点毎に冷却エアーの物理量を変更することで、可動光学ユニット32の光学系の熱収縮のばらつきを抑制でき、認識ずれや実装ずれが生じることを抑制できる。
【0089】
また、電子部品搭載装置1は、基板ステージ21を加熱する熱源で発生する熱を、冷却エアー配管53を通過する冷却エアーにより冷却することで、冷却エアー配管53又は空間53Aを介して熱源と反対側に位置する可動光学ユニット32に、熱源で発生した熱が伝達されることを抑制できる。よって、電子部品搭載装置1は、可動光学ユニット32の可動プリズム32aに熱が伝達されることを抑制でき、光学系の位置がずれることに応じて、撮像ユニット34により撮像された画像に基づく認識ずれが発生することを低減できる。電子部品搭載装置1は、断熱、滞留、又は輻射熱等を抑制可能である。
【0090】
なお、
図4で説明した各部材の材質やサイズ(膜厚等)は必須ではない。この材料やサイズではなくても、冷却ユニット50における冷却状態を調整することで、可動光学ユニット32を好適に冷却することは可能である。さらに、
図4で説明した各部材の材料やサイズを備えることで、可動光学ユニット32を一層好適に冷却可能である。
【0091】
(変形例)
図10は、変形例における電子部品搭載装置1Aの一部の構成の第1の状態を示す側面図である。
図11は、変形例における電子部品搭載装置1Aの一部の構成の第2の状態を示す側面図である。
図10及び
図11において、
図4の構成と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0092】
電子部品搭載装置1Aでは、基板ステージ21として、2つの基板ステージ21A,22Bを含む。2つの基板ステージ21A,22Bは、Y方向に隣り合って配置されている。
図10及び
図11に示すように、基板ステージ21Aが、基板ステージ21BよりもY方向負側に配置される。
【0093】
図10は、部品実装ヘッド26及び可動光学ユニット32が基板ステージ21Aに対向する位置に配置された状態を示す。
図11は、部品実装ヘッド26及び可動光学ユニット32が基板ステージ21Bに対向する位置に配置された状態を示す。また、可動光学ユニット32は、可動光学ユニット32のY軸方向に沿う部分34bの全体において、可動プリズム32a等の光学部材を含む。よって、可動光学ユニット32は、熱源を有する基板ステージ21A,21Bに対向する位置にある期間にわたって、熱源からの熱の影響を受ける。なお、基板ステージ21Aに部品14が実装される場合も基板ステージ21Bに部品14が実装される場合も、各基板ステージ21A,21Bの熱源は熱を発生している。
【0094】
図10に示すように、部品実装ヘッド26及び可動光学ユニット32が基板ステージ21Aに対向する位置に配置された場合、可動光学ユニット32と基板ステージ21Bとは対向しない。よって、可動光学ユニット32は、基板ステージ21Aの熱源からのみ熱の影響を受ける。そのため、冷却エアー調整部77は、エアーの流量fr1でエアーを発生させ、冷却エアー配管53に冷却エアーを送り出して、冷却ユニット50を冷却することで、可動プリズム32a等の光学部材を含む可動光学ユニット32を冷却する。
【0095】
一方、
図11に示すように、部品実装ヘッド26及び可動光学ユニット32が基板ステージ21Bに対向する位置に配置された場合、可動光学ユニット32と基板ステージ21Bとも対向する。よって、可動光学ユニット32は、基板ステージ21A及び基板ステージ21Bの双方の熱源から熱の影響を受ける。そのため、冷却エアー調整部77は、流量f1よりも多いエアーの流量f2でエアーを発生させ、冷却エアー配管53に冷却エアーを送り出して、冷却ユニット50を冷却することで、可動プリズム32a等の光学部材を含む可動光学ユニット32を冷却する。
【0096】
複数の基板ステージ21A,21Bに対する可動光学ユニット32の位置に応じて、複数の基板ステージ21A,21Bの複数の熱源から受ける熱の影響が異なる。これに対し、電子部品搭載装置1Aは、複数の基板ステージ21A,21Bのうちいずれの基板ステージ21A,21Bに実装するかに応じて、エアー流量を調整する。よって、電子部品搭載装置1Aは、複数の基板ステージ21A,21Bのうちいずれに実装するかによらず、可動光学ユニット32に伝達され得る熱量を均等に削減できる。
【0097】
図12Aは、第1の実施形態及び変形例における撮像ユニットによる認識ずれが無い状態を説明するための図である。
図12Bは比較例における撮像ユニットによる認識ずれがある状態を説明するための図である。
【0098】
図12A及び
図12Bに示すように、表示処理部76は、撮像ユニット34により基板22が撮像された画像G11,G12を取得し、タッチパネル66に表示させる。
図12A及び
図12Bは、部品実装ヘッド26に保持された部品14と、基板22の部品マーク22mを示したものである。
図12A及び
図12Bには、部品実装ヘッド26に保持される部品14の4つの角部のうちの2つの角部が示され、基板22には、実装位置を示す部品マーク22mが示されている。また、
図12Bには、画像G12において表示されるべき位置にあるはずの部品14Aの4つの角部のうち2つの角部が示され、基板22には表示されるべき位置にあるはずの部品マーク22mAが示されている。なお、
図12Aでは、部品14を保持した部品実装ヘッド26の先端26Eが示されている。部品実装ヘッド26に保持される部品14を認識することで部品実装ヘッド26と部品14との相対的位置関係が一定となる。それにもかかわらず、部品14が位置ずれして表示されることは、可動光学ユニット32が熱影響を受けることで光軸中心がずれていることを示している。
【0099】
比較例では、所望の冷却条件で冷却されていない状態で部品実装される基板22を撮像するので、可動光学ユニット32の光学系等に熱変形がある状態で撮像ユニット34が基板22を撮像する。そのため、比較例の画像G12では、可動光学ユニット32の光学系等の熱変形に伴う撮像ユニット34の光学中心のずれに起因して部品14が表示されるべき位置(破線で示される部品14Aの位置)に表示されておらず、また、部品マーク22mが表示されるべき位置(破線で示される部品マーク22mAの位置)に表示されておらず、認識ずれしていることを示している。
【0100】
一方、本実施形態では、所望の冷却条件で冷却された状態で部品実装される基板22を撮像するので、可動光学ユニット32の光学系等の熱変形が抑制された状態で撮像ユニット34が基板22を撮像する。そのため、本実施形態の画像G11は、撮像ユニット34の光学系等の熱変形等が生じていないため撮像ユニット34の光学中心のずれは発生せず、部品14が表示されるべき位置に表示され、また、部品マーク22mが表示されるべき位置に表示され認識ずれしていないことを示している。
【0101】
なお、今まで可動光学ユニット32に関して主に述べてきたが、固定光学ユニット33についても冷却ユニット50を設けて固定光学ユニット33の光学系である上左プリズム、上右プリズム、下左プリズム、下右プリズムへの熱影響を低減するようにしても良い。また、固定光学ユニット33には、冷却ユニット50の代わりに、基板ステージ21を加熱する熱源の影響を低減するカバーを設けるようにしても良い。
【0102】
以上のように、本実施形態の電子部品搭載装置1は、基板ステージ21(基板支持ユニットの一例)によって加熱しながら支持される基板22に対して、部品実装ヘッド26(部品搭載ヘッドの一例)によって部品14を搭載する。電子部品搭載装置1は、基板ステージ21の上方に配置され、撮像対象(例えば基板22、実装位置を示す部品マーク22m)を撮像する撮像ユニット34と、撮像ユニット34が撮像対象を認識するための可動光学ユニット32(光学ユニットの一例)と、所定の冷却条件で可動光学ユニット32を冷却する冷却ユニット50と、を有する。
【0103】
これにより、電子部品搭載装置1は、基板22を加熱して部品14を実装する際に、所定の冷却条件で可動光学ユニット32を冷却することで、可動光学ユニット32を所望の冷却具合で冷却でき、可動光学ユニット32の温度を安定化できる。よって、電子部品搭載装置1は、加熱によって可動光学ユニット32(撮像ユニット34の光学系の一例)が熱収縮を起こし、認識ずれや実装ずれが生じることを抑制できる。
【0104】
また、光学ユニットは、基板ステージ21と部品実装ヘッド26の間に配置され、基板22に部品14を搭載する作業位置に出し入れ可能に設けられる可動光学ユニット32でよい。これにより、電子部品搭載装置1は、位置が可変の可動光学ユニット32を用いる場合であっても、加熱によって可動光学ユニット32が熱収縮を起こし、認識ずれや実装ずれが生じることを抑制できる。
【0105】
また、電子部品搭載装置1は、冷却エアー(エアー)を発生させるための冷却エアー発生部64(エアー発生部の一例)を有してよい。冷却ユニット50は、基板ステージ21と可動光学ユニット32との間に配置されてよい。冷却ユニット50は、基板ステージ21の上方に配置される第1のカバー部材51と、第1のカバー部材51の上方に離間して配置される第2のカバー部材52と、第1のカバー部材51と第2のカバー部材52との間に形成されるエアーを流すための冷却エアー配管53または空間53A(エアー通路の一例)と、を少なくとも有してよい。冷却エアー配管53の一方の端部は、冷却エアー発生部64と連通していてよい。
【0106】
これにより、電子部品搭載装置1は、基板ステージ21と可動光学ユニット32との間に配置された冷却ユニット50に冷却エアーを流すことで、基板ステージ21に支持される基板22と可動光学ユニット32の双方を冷却できる。また、基板ステージ21と可動光学ユニット32との間に冷却ユニット50が配置されることで、加熱される基板ステージ21から可動光学ユニット32への熱伝達が抑制可能である。
【0107】
また、電子部品搭載装置1は、エアーの物理量を所定の冷却条件で示された値になるよう調整する調整部67を備えてよい。これにより、電子部品搭載装置1は、好適な冷却条件で可動光学ユニット32を冷却できる。
【0108】
また、所定の冷却条件は、エアーの物理量と、可動光学ユニット32の基板ステージ21に対する相対的な位置と、可動光学ユニット32の温度と、のうち少なくとも一つを関連付けて構成されてよい。上記の相対的な位置は、例えば、
図7における実装領域A1、A2などであり、基板22における部品14の実装位置に相当する。エアー物理量は、例えば圧力、流量、及び温度のうちの少なくとも一つを含んでよい。
【0109】
これにより、電子部品搭載装置1は、基板22上の実装位置毎に、エアーの物理量が設定された所望の条件となるように、冷却ユニット50により冷却できる。よって、各部品が各実装領域に実装される際に、各実装領域を撮像するために可動光学ユニット32が実装領域の近傍に移動するが、この場合でも基板22からの熱が可動光学ユニット32に伝達されることを抑制できる。
【0110】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本開示は、撮像ユニットの光学系を所望の冷却具合で冷却でき、撮像ユニットの光学系の熱変形により認識ずれが発生することを抑制でき、安定した部品実装を実現できる電子部品搭載装置及び電子部品搭載方法等に有用である。
【符号の説明】
【0112】
1 電子部品搭載装置
7 制御部
8 記憶部
14 部品
21,21A,21B 基板ステージ
22 基板
22m 部品マーク
26 部品実装ヘッド
34 撮像ユニット
61 可動光学ユニット温度計
62 基板ステージ加熱部
63 基板ステージ温度計
64 冷却エアー発生部
65 冷却エアー計測部
66 タッチパネル
67 調整部
71 認識位置取得部
72 実験用冷却条件作成部
73 実験処理部
74 評価結果算出部
75 冷却条件作成部
76 表示処理部
77 冷却エアー調整部
81 冷却条件情報
82 実験情報
83 計測結果情報
84 実験用冷却条件情報
85 評価結果情報