(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016735
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】閉塞装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/29 20060101AFI20230126BHJP
【FI】
A61B17/29
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022114530
(22)【出願日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】17/382434
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511305737
【氏名又は名称】バイタリテック インターナショナル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082049
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敬一
(74)【代理人】
【識別番号】100220711
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 朗
(72)【発明者】
【氏名】カリー・バーチュ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD03
4C160GG24
4C160KL03
4C160MM33
4C160NN01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】血管及び心血管の外科的処置、特に生体への最小侵襲設定量で移植処置を実施して、止血密封を行う装置と方法を提供する。
【解決手段】閉塞装置10は、細長い主軸12と、細長い主軸の遠位端から突出する下顎20と、下顎に対して回転可能に取り付けられる上顎18と、細長い主軸の近位端に設けられる制御装置とを備え、制御装置は、制御装置に連動する上顎を下顎に対し回転する。生体部閉塞法も開示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い主軸と、
細長い主軸の遠位端から延びる下顎と、
下顎に対し回転可能に取り付けられる上顎と、
細長い主軸の近位端に取り付けられる制御装置とを備え、
制御装置により上顎に連動する操作を行って、下顎に対し上顎を回転することを特徴とする閉塞装置。
【請求項2】
下顎は、引込位置と拡張位置との間で横方向に形態を変更し、
上顎は、横方向の拡張位置にある下顎の形状に対応する把持部材を構成する請求項1に記載の閉塞装置。
【請求項3】
上顎は、引込位置と拡張位置との間で横方向に形態を変更し、
上顎拡張位置は、下顎の拡張位置の形状に対応する請求項2に記載の閉塞装置。
【請求項4】
上顎は、少なくとも2つの要素を備え、
上顎の縦軸周りに回転される2つの要素の各々は、引込位置と拡張位置との間で移動する請求項3に記載の閉塞装置。
【請求項5】
少なくとも2つの要素は、近位端に設けられる歯車と、回転伝達部材とを備え、
回転伝達部材は、細長い軸を通じて配置されかつ細長い軸の近位端を回転して、引込位置と拡張位置との間で移動する上顎の位置を制御する請求項4に記載の閉塞装置。
【請求項6】
主軸の遠位端に設けられる顎箱組立体を更に備え、上顎は、顎箱組立体に回転可能に取り付けられる請求項1に記載の閉塞装置。
【請求項7】
上顎に接続されかつ顎箱組立体に対し移動可能な接続リンクと、細長い主軸に沿って軸方向に移動しかつ接続リンクに連結される引張杆とを更に備え、引張杆の軸方向移動により接続リンクを移動しかつ下顎に対し上顎を回転する請求項6に記載の閉塞装置。
【請求項8】
細長い主軸内に配置されかつ顎箱組立体内に延伸する引張杆を更に備え、
顎箱組立体内で引張杆を移動すると、接続リンクは、引張杆に沿って滑動して、下顎が操作される請求項7に記載の閉塞装置。
【請求項9】
顎箱組立体に軸着される操作梃子に横突軸で取り付けられる上顎は、接続リンクに接続される近位頭部を形成する請求項7に記載の閉塞装置。
【請求項10】
操作梃子の近位端は、操作梃子の本体に対し一定角度で傾斜しかつ開口を備え、接続リンクは、操作梃子の開口内に滑動可能に係止する軸を有する請求項9に記載の閉塞装置。
【請求項11】
細長い主軸に沿って軸方向に移動する引張杆は、接続リンクに接続され、接続リンクの軸方向運動により、上顎は、下顎に対して回転する請求項6に記載の閉塞装置。
【請求項12】
上顎は、顎箱組立体に回転運動可能に取り付けられる操作梃子を備え、操作梃子は、引張杆を接続する接続リンクの軸を回転可能に篏合する開口を有する請求項11に記載の閉塞装置。
【請求項13】
操作梃子の開口は、引張杆が貫通する近位方向の長円溝を形成する請求項12に記載の閉塞装置。
【請求項14】
下顎は、軸方向の中央溝を有する関節部と、下顎に滑動可能に設けられかつ下顎の遠位端に接続される制御杆とを備え、制御杆の近位方向運動により、下顎の遠位端は、近位方向に引張されかつ下顎は、拡張位置に移動される請求項1に記載の閉塞装置。
【請求項15】
細長い主軸に滑動可能に取り付けられる引張管を更に備え、
引張管は、制御杆に接続されて、下顎の位置を制御する請求項14に記載の閉塞装置。
【請求項16】
下顎は、角度0度~60度で細長い主軸から傾斜する請求項1に記載の閉塞装置。
【請求項17】
下顎の角度範囲は、0度~45度である請求項16に記載の閉塞装置。
【請求項18】
下顎の角度範囲は、0度~30度である請求項17に記載の閉塞装置。
【請求項19】
細長い主軸は、可撓性である請求項1に記載の閉塞装置。
【請求項20】
閉塞装置に接続されて、閉塞装置の制御装置をプログラム制御するロボット操作装置を更に備える請求項1に記載の閉塞装置。
【請求項21】
細長い主軸と、細長い主軸の遠位端から突出する下顎と、下顎に対し回転可能に軸着される上顎と、細長い主軸の近位端に設けられて操作可能に上顎に接続される制御装置とを備える閉塞装置を生体部に接近させる接近過程と、
下顎と上顎との間に生体部を配置して、閉塞装置を位置決めする位置決め過程と、
制御装置を操作して、下顎に向かって上顎を回転して、下顎と上顎との間で生体部を閉塞する閉塞過程とを含むことを特徴とする生体部閉塞法。
【請求項22】
引込位置と拡張位置との間で横方向に形態を変更する下顎を準備する過程と、
横方向の拡張位置に下顎の形態を変更して、拡張位置での下顎の形状に対応する把持形状に上顎を変形する過程と、
閉塞装置を生体部に接近する間に下顎を引込位置に移動する過程と、
操作過程前に下顎を拡張位置に移動する過程とを含む請求項21に記載の生体部閉塞法。
【請求項23】
引込位置と拡張位置との間で横方向に形態を変更する上顎を準備する過程と、
上顎の拡張位置を下顎の拡張位置の形状に符号させる過程と、
生体への接近過程前に上顎の形態を引込位置に変更する過程と、
操作過程前に上顎の形態を拡張位置に変更する過程とを含む請求項21に記載の生体部閉塞法。
【請求項24】
生体部は、人体の大動脈の生体部である請求項21に記載の生体部閉塞法。
【請求項25】
生体部への接近過程は、腹壁を貫通して生体内に侵襲し、生体部の閉鎖側に下顎を通過させる過程とを含む請求項21に記載の生体部閉塞法。
【請求項26】
生体部の閉塞後に、細長い主軸を湾曲位置に方向変換する過程を含む請求項21に記載の生体部閉塞法。
【請求項27】
ロボット操作装置により、閉塞法の少なくとも一部を実行する過程を含む請求項21に記載の生体部閉塞法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管及び心血管の外科的処置、特に生体への最小侵襲設定量で移植処置を実施して、止血密封を行う装置と方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
血管及び心血管の移植治療は、通常選択する血管の完全な閉塞(閉鎖、遮蔽、吻合)又は少なくとも部分的な閉塞を必要とする。例えば、心血管の外科的治療分野での生体基部付近の吻合を含む冠状動脈(心臓)の副路又は短路(バイパス)移植(CABG)処置は、大動脈の全閉塞又は少なくとも部分的閉塞を必要とする。生体の基部付近を吻合する間に、静脈又は動脈の移植組織を大動脈に縫合して、患部又は他の損傷のある冠状動脈の血管再生が行われる。乳房内動脈、伏在静脈及び腕橈骨動脈は、副管を使用する移植組織の例である。医療用鉗子又はクランプにより、大動脈の閉塞が通常行われる。大動脈の種々の閉塞形態は、完全又は部分的な閉塞処置に慣用されている。心肺副路施術を含む処置に対し、完全な大動脈閉塞は、通常医療用鉗子の交差閉塞が要求され実行される。両心臓動脈副路組織移植又は無吸入心臓動脈副路組織移植に部分閉塞を使用して、生体の基部付近が吻合される。大動脈閉塞は、移植組織の目標側に流入する血流を阻止して、無血流領域を形成するので、大動脈への組織移植の外科医の縫合が可能となる。大動脈に一度移植組織を縫合すると、外科医は、鉗子(クランプ)を除去して、再び吻合部を通じて再血流を許容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8,080,023号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生体の吻合を行う一器具は、2011年12月20に許諾された特許文献1に開示される。この器具を有効に利用して、無血領域を達成できる。しかしながら、この器具の形態と動作力学は、閉塞側に重大な負荷を要求し、生体への最小限度の器具侵襲手順を十分に満足されない。本発明は、この必要性に対応する手段を開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する閉塞装置は、例えば、閉塞装置の機能を大幅に拡張する近位部での制御により、組織移植手術前に止血を達成して、信頼性のある生体部の閉塞を達成する。
【0006】
本明細書が開示する閉塞装置は、細長い主軸と、細長い主軸の遠位端から突出する下顎と、下顎に対し回転可能に軸着される上顎と、細長い主軸の近位端に設けられる制御装置とを備え、制御装置は、上顎に連動して、下顎に対し上顎を回転させる。
【0007】
本発明の非限定的実施の形態では、下顎は、引込位置と突出位置との間で横方向に移動し、横方向の突出位置に下顎があるとき、上顎は、横方向突出位置にある下顎の形状に対応する把持部材を構成する。
【0008】
本発明の他の非限定的実施の形態では、上顎は、引込位置と突出位置との間で横方向に移動し、上顎の突出位置は、下顎の突出位置の形状に対応する。
【0009】
本発明の更に別の非限定的実施の形態では、上顎に設けられる少なくとも2つの要素は、縦軸周りの上顎の回転により引込位置と突出位置との間で移動する。
【0010】
本発明の更に他の非限定的実施の形態では、少なくとも2つの要素は、近位端に設けられる歯車と、主軸内に配置される回転力伝達部材とを備え、回転力伝達部材は、細長い主軸の近位端で回転して、引込位置と拡張位置との間で上顎の位置を制御する。
【0011】
本発明の更に他の非限定的実施の形態では、閉塞装置の顎箱は、主軸の遠位端に設けられ、上顎は、顎箱に対し回転可能に取り付けられる。
【0012】
本発明の他の非限定的実施の形態では、閉塞装置は、顎箱に対し移動しかつ上顎(20)に接続される接続リンクと、接続リンクに接続される引張杆とを備え、細長い主軸に沿う引張杆の軸方向移動により、接続リンクを移動して、下顎に対し上顎を回転する。
【0013】
本発明の他の非限定的実施の形態では、閉塞装置は、細長い主軸に設けられて顎箱内に配置される引張管を備え、引張管により、顎箱内で接続リンクを移動すると、引張管に沿って接続リンクが滑動して、下顎が操作される。
【0014】
本発明の別の非限定的実施の形態では、上顎は、操作梃子の横突軸で顎箱に軸着される操作梃子に取り付けられ、操作梃子は、接続リンクに軸着される近位頭部を有する。
【0015】
本発明の別の非限定的実施の形態では、操作梃子の本体に対し傾斜する近位頭部に形成される開口に滑動可能に係合する軸が接続リンクに設けられる。
【0016】
本発明の更に別の非限定的実施の形態では、細長い主軸に沿って軸方向に移動する引張杆は、上顎に軸着され、引張杆の軸方向運動により、上顎は、下顎に対し回転する。
【0017】
本発明の更に他の非限定的実施の形態では、上顎は、顎箱に対して回転可能に取り付けられる操作梃子を有し、操作梃子に形成される開口に、引張杆の遠位端が軸着される。
【0018】
本発明の更に別の非限定的実施の形態では、近位方向に向く操作梃子の開口には、引張杆の遠位端が貫通する。
【0019】
本発明の更に別の非限定的実施の形態では、下顎は、軸方向の中央溝を有する関節部を有し、下顎に滑動可能に設けられる制御杆は、下顎の遠位端に接続され、制御杆の近位方向運動により、下顎の遠位端を近位方向に引張して、下顎を拡張位置に移動する。
【0020】
本発明の更に別の非限定的実施の形態では、閉塞装置は、細長い主軸に滑動可能に設けられる引張管を備え、引張管は、制御杆に接続されて、下顎を制御する。
【0021】
本発明の更に別の非限定的実施の形態では、下顎は、主軸に対し、角度0度~60度傾斜して、細長い主軸から延伸する。
【0022】
本発明の更に別の非限定的実施の形態では、下顎は、主軸に対し角度0度~45度で傾斜して、細長い主軸から延伸する。
【0023】
本発明の更に別の非限定的実施の形態では、下顎は、主軸に対し、角度0度~30度で傾斜して、細長い主軸から延伸する。
【0024】
本発明の更に別の非限定的実施の形態では、主軸は、可撓性である。
【0025】
本発明の別の非限定的実施の形態では、閉塞装置は、閉塞装置に接続されるロボット装置を備え、ロボット装置は、閉塞装置の制御装置をプログラム操作する。
【0026】
本発明の他の実施の形態での生体部閉塞法は、細長い主軸と、細長い主軸の遠位端から突出する下顎と、下顎に対し回転可能に軸着される上顎と、細長い主軸の近位端に設けられる制御装置とを備え、上顎を操作可能に接続される制御装置により、下顎に対し上顎を回転する閉塞装置を生体部に接近させる過程と、下顎と上顎との間に生体部を配置して、閉塞装置を位置決めする過程と、制御装置を操作して、下顎に向かって上顎を回転して、下顎と上顎との間で生体部を閉塞する過程とを含む。
【0027】
本発明の他の非限定的実施の形態では、引込位置と拡張位置との間で横方向に下顎の形態を変更でき、下顎を横方向の拡張位置に配置するとき、下顎の拡張位置での形状に相当する把持部材に上顎を変形でき、閉塞装置を生体部に接近する間に下顎を引込位置に移動する過程と、操作過程前に下顎を拡張位置に形態を変更する過程とを含む。
【0028】
本発明の他の非限定的実施の形態では、引込位置と拡張位置との間で横方向に上顎の形態を変更でき、上顎の拡張位置は、下顎の拡張位置の形状に符号し、更に、接近過程前に上顎の形態を引込位置に変更する過程と、操作過程前に上顎の形態を拡張位置に変更する過程とを含む。
【0029】
本発明の他の非限定的実施の形態では、生体部は、人間の大動脈の生体部である。
【0030】
本発明の他の非限定的実施の形態では、閉塞装置を生体部に接近させる接近過程は、腹壁を貫通して、生体内に侵襲して、生体部の閉鎖側に下顎が通過する過程を含む。
【0031】
本発明の他の非限定的実施の形態では、本発明の生体部閉塞法は、生体部を閉塞した後、主軸を湾曲(回転)位置に方向変換(回転、傾斜)する過程を含む。
【0032】
本発明の他の非限定的実施の形態では、本発明の生体部閉塞法は、少なくとも部分的にロボット装置により施行される。
【0033】
本明細書に特に明示がなくても、非排他的な種々の組合せにより、前記特徴と構成要素との組み合わせは可能であろう。前記特徴と構成要素のみならず、それらの作用は、下記の説明及び添付図面の表示から明らかとなろう。下記説明と図面は、単なる説明に過ぎず、本発明を限定する意図がない表示である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明の非限定的実施の形態を下記添付図面について、以下詳細に説明する。
【0035】
【
図1】本発明による最小侵襲量の生体閉塞装置を示す非限定的実施の形態の斜視図
【
図2】上顎を上昇位置に移動した
図1の閉塞装置の斜視図
【
図3】上顎と下顎とで生体組織層を把持する
図1の閉塞装置の斜視図
【
図4】上顎を下方位置に配置した
図1の閉塞装置の顎箱組立体の内部を示す斜視図
【
図5】上昇位置に上顎を配置した
図1の閉塞装置の顎箱組立体の内部を示す斜視図
【
図6】引込位置又は狭小外形位置に下顎を配置(上顎を除去)した
図1の閉塞装置の顎箱組立体の内部を示す斜視図
【
図7】拡張位置に下顎を移動した(上顎の無い)
図1の閉塞装置の内部を示す斜視図
【
図9】本発明の実施の形態に使用する接続リンクの斜視図
【
図11】本発明の実施の形態に使用する操作梃子の上面斜視図
【
図13】上顎の位置決めを制御する制御装置の非限定的実施の形態を示す
図1の閉塞装置の近位制御箱の内部を示す斜視図
【
図14】引込位置と拡張位置との間で下顎を移動する制御装置の非限定的実施の形態を示す
図1の閉塞装置の近位制御箱の内部を示す斜視図
【
図15】制御箱に接続される主軸の内部を示す別の実施の形態を示す断面斜視図
【
図16】主軸と制御箱の内部を示す別の実施の形態を示す断面斜視図
【
図17】引込位置と拡張位置との間で上顎の形態が変化する上顎組立体の別の非限定的実施の形態を示す斜視図
【
図19】上顎を回転する他の非限定的実施の形態の顎箱内部を示す斜視図
【
図23】制御杆と付加引張杆の端部とを接続する連結枠を示す側面図
【
図24】引張杆と操作梃子とを接続する接続リンクを示す断面図
【
図26】連結枠内の下端に端部が配置される付加引張杆を示す側面図
【
図27】連結枠内の中間に端部が配置される付加引張杆を示す側面図
【
図28】
図27の状態で引張杆を引張して、下方位置に回転される下顎を示す側面図
【
図29】閉塞装置の種々の動作を行うロボットアームを有するロボット操作装置の斜視図
【
図30】ロボットアームの端部に取り付けた閉塞装置を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、特に血管又は心血管の外科的処置の間に生体部の閉塞に使用する閉塞装置及び閉塞装置を使用する生体部閉塞法に関連する。
【0037】
図1に示す閉塞装置(10)は、細長い主軸(12)と、主軸(12)の一端に設けられる顎組立体(14)と、主軸(12)の他端に設けられる制御箱(制御ハウジング)又は制御組立体(16)とを備える。主軸(12)の遠位端に顎組立体(14)を設け、制御箱(16)を主軸(12)の近位端に設ける構造として本明細書に記載する。遠位端と近位端は、閉塞装置(10)の使用者に対する離間する位置と接近する位置とを考慮するものである。
【0038】
顎組立体(14)は、上顎(18)と下顎(20)とを有する。下記に詳記する上顎(18)は、解放位置(
図2)と把持位置(
図3)との間で下顎(20)に対し回転され、解放位置にある上顎(18)は、下顎(20)から上昇し又は離間して回転され、把持位置にある上顎(18)は、下顎(20)に対し下降又は接近する回転運動を行う。下記に詳記するように、上顎(18)と下顎(20)は、例えば、血管又は血管壁等の生体組織(T)若しくは人体部側に上顎(18)を配置して、処置する生体領域を人体部から隔離して、現場で外科手術を容易に行う。
【0039】
制御箱(16)は、上顎(18)と下顎(20)とに所望の運動を行わせるノブ(回転伝達部材)(22)、回転輪(回転伝達部材)(24)及び/又は縦転輪(26)等の操作者が操作する制御装置を備える。例えば、横転輪(24)及び/又は縦転輪(26)を回転して、下顎(20)に対し上顎(18)を回転すると共に、横転輪(24)を回転して、引込位置と突出位置との間で下顎(20)を回転する構造を、下記に詳述する。
【0040】
本発明の実施の形態では、例えば、制御箱(16)のノブ(22)、縦転輪(26)及び横転輪(24)は、細長い主軸(12)内に配置される引張杆(40)及び制御杆(50)を介して上顎(18)と下顎(20)に接続され、操作者が閉塞装置(10)のノブ(22)、横転輪(24)、縦転輪(26)を手動で操作すると、制御杆(50)又は引張杆(40)を押し又は引張して、上顎(18)と下顎(20)の所望形態の運動を発生する。後述するが、機械制御又は自動制御でも、これらの制御運動を操作することができる。
【0041】
主軸(12)の遠位端に顎組立体(14)を設けるので、生体本体壁を介して生体内に顎組立体(14)を配置して、操作者は、閉塞装置(10)の部品を全許容制御範囲で作動させかつ所望の施術を実施する他の器具又は道具を十分な広さの空間に配置して、最小量(例えば、2.54cm~5.08cm(1~2inch))の切開量で所望の閉塞を実施できる。
【0042】
図1は、顎箱組立体(28)からいずれも突出する上顎(18)と下顎(20)とを備える顎組立体(14)を示す。図示の顎箱組立体(28)は、主軸(12)の複数の制御部品と上顎(18)及び下顎(20)との間を連結する接続リンク(42)を包囲する顎箱(30)を備える。
図4は、顎箱(30)の一部を除去した一実施の形態による顎組立体(14)の内部を示す斜視図である。顎箱(30)に軸着される操作梃子(32)に上顎(18)が取り付けられる。顎箱(30)に軸着される操作梃子(32)は、顎箱(30)に回転可能に取り付けられる。例えば、制御箱(16)から操作される操作梃子(32)の中心軸でありかつ上顎(18)が回転する中心軸である横突軸(34) (更に後述して図示する)を操作梃子(32)に設けると共に、横突軸(34) を顎箱(30)の内部構造に係合させる。別法として、操作梃子(32)に設けられる丸孔等の適切な受部に篏合される横突軸を顎箱(30)に設けてもよい。
【0043】
本発明の実施の形態では、横方向に分離しかつ夫々開口(38)を有する2枚の板材により、操作梃子(32)の近位頭部(36)が構成される。引張杆(40)(破線で略示する)は、主軸(12)に沿って配置されて、接続リンク(42)に接続される。操作梃子(32)の開口(38)には、接続リンク(42)の突起(44)が滑動可能に篏合される。例えば、制御箱(16)でノブ(22)を回転する制御操作により、主軸(12)に対し、引張杆(40)を軸方向に移動できる。即ち、
図4及び
図5に示す矢印(41)方向に引張杆(40)を軸方向に移動すると、引張杆(40)に接続される接続リンク(42)も軸方向に移動し、接続リンク(42)の軸方向運動は、接続リンク(42)を介して操作梃子(32)に伝達される。引張杆(40)を軸方向に押すと、接続リンク(42)は、
図4に示す位置から
図5に示す遠位方向に移動する。従って、操作梃子(32)は、横突軸(34)周りに時計方向に回転し、上顎(18)は、
図5に示すように、下顎(20)から離間して上昇し、顎組立体(14)が解放状態になる。
【0044】
一部を除去して、顎箱(30)の内部構成を示す
図6と
図7は、下顎(20)の操作状態を示す。本実施の形態では、下顎(20)の遠位先端(48)には達しない軸方向の中央溝(46)が下顎(20)のカテーテル管に形成される。引張管(52)内に配置される制御杆(50)に沿って配置される下顎(20)には、遠位先端(48)が連結され、引張管(52)も、主軸(12)に沿って配置される。本実施の形態では、
図6及び
図7の矢印で示す引張管(52)の近位運動により、制御杆(50)を近位側に引張するが、下顎(20)は、顎箱(30)に固定されるので、制御杆(50)が、遠位先端(48)を引張するとき、下顎(20)の関節部(54)は、互いに横方向に離間しながら、中央溝(46)の各側で、横方向に拡張される。主軸(12)内に配置される引張管(52)の近位部は、制御箱(16)内の構造体(58)に接続され、構造体(58)は、横転輪(24)に係合する。例えば、横転輪(24)の回転等制御装置を操作すると、主軸(12)に沿って軸方向に引張管(52)が移動して、下顎(20)の関節部(54)を引込位置(
図6)と横方向拡張位置(
図7)との間で任意に湾曲変形できる。
【0045】
図8~
図10は、顎箱(30)と接続リンク(42)の形状を更に示す。
図8は、
図1に示す分割線に沿う顎箱(30)の内部断面を示す。本実施の形態では、顎箱(30)は、2部分割型構造で形成される。本発明の技術的範囲内で、この構造を勿論変更できる。取り敢えず、2部分割型構造の一方側を除去した他方側の内部構造を
図8に示すが、2部分割型構造の一方側と他方側は、互いに対称(鏡像)構造で形成される。
図8は、顎箱(30)に係止する接続リンク(42)を示し、
図9は、顎箱(30)から取り外した接続リンク(42)を示し、
図10は、接続リンク(42)を除去した異なる角度からの顎箱(30)の構造を示す。
【0046】
本実施の形態では、顎箱(30)の近位側(
図8の右側)に主軸篏合部(43)が設けられ、主軸篏合部(43)には、径方向の凹部(45)が形成され、主軸篏合部(43)の凹部(45)に係止される径方向軸(固定部材)(図示せず)は、主軸(12)を径方向に貫通する孔(図示せず)に係止されて、主軸(12)は、顎箱(30)に取り付けられる。本発明の実施の形態では、顎箱(30)に設けられる長円溝(47)は、顎箱(30)の側壁を貫通しない内側溝として形成される。接続リンク(42)の両突起(44)が篏合される対向する2つの長円溝(47)は、顎箱(30)に対する2つの長円溝(47)に沿う所望の滑動運動を接続リンク(42)に付与する。逆の構造として、顎箱(30)に内側突出構造を設けると共に、接続リンク(42)の外面に溝又は開口を設けて、顎箱(30)に対する接続リンク(42)の篏合と滑動運動を行う構造も勿論可能である。
【0047】
顎箱(30)の遠位側(
図8の左側)に設けられる開口(49)には、操作梃子(32)の横突軸(34)(
図4及び
図5)が篏合され、開口(49)への横突軸(34)の篏合により、顎箱(30)の操作梃子(32)を回転可能に装着する所望の軸着構造が形成される。逆の軸着構造として、顎箱(30)に内側軸を設けると共に、操作梃子(32)に開口又は他の受部を設ける所望の軸着構造も形成できる。
【0048】
例えば、直径の大きい入口開口と、入口開口の奥で同軸に形成される奥空洞とを有する顎受(51)を
図8に示す顎箱(30)に設け、顎受(51)に径方向の横孔(53)を形成して、
図6の下顎(20)の近位端を顎受(51)に装着して、横孔(53)と下顎(20)の径方向開口(図示省略)とに係止軸(固定部材)(図示省略)を篏合し又は他の手段を利用して、下顎(20)を顎箱(30)に固定できる。本発明の実施の形態では、下顎(20)の運動を制御する制御杆(50)に引張管(52)(
図6及び
図7)を連結できる。また、前記のように、
図8及び
図10に示す本発明の実施の形態では、顎箱(30)に形成される主軸篏合部(43)に主軸(12)が取り付けられ、顎箱(30)の中央部には、型領域(55)が設けられ、引張管(52)(
図6及び
図7)を介して制御杆(50)を移動すると、
図6に示す引込位置と、
図7に示す拡張位置との両位置間で、下顎(20)の関節部(54)を湾曲変形できる。
【0049】
図9は、本実施の形態に使用する接続リンク(42)を示す。図示の接続リンク(42)は、引張管(40)の端部を篏合する開口(57)と、顎箱(30)の長円溝(47)内に装着する複数の突起(44)とを有する。接続リンク(42)に設けられる開口(57)と、接続リンク(42)の頂部に設けられる開口(59)とに引張杆(40)の折曲端部を装着(
図4~
図7)して、角度を付けて引張杆(40)を引張管(52)の上方に配置すると、接続リンク(42)に対する引張杆(40)の適切な係合を目視確認できる。
図9は、接続リンク(42)の下端の湾曲溝(61)も示す。引張管(52)の外形と相補的形状を有する湾曲溝(61)内での引張管(52)の安定な滑動が可能である。
【0050】
図11と
図12は、本発明の実施の形態に使用する操作梃子(操作レバー)(32)の良好な付加的形態を示す。図示の操作梃子(32)は、一定間隔離間する2つの近位突起(63)で形成される近位頭部(36)を備え、各近位突起(63)は、接続リンク(42)の突起(44)を篏合する開口(38)を備える。本実施の形態の近位突起(63)は、接続リンク(42)と顎箱(30)との間に配置され、開口(38)を貫通する突起(44)を顎箱(30)の長円溝(47)内に篏合できる。これにより、両近位突起(63)間に少なくとも部分的に接続リンク(42)を配置し係合できる。上顎(18)の針金状腕部が篏合され配置される開口部(67)は、操作梃子(32)の外被(65)の遠位部に形成され、上顎(18)の針金状腕部は、外被(65)により把持される。下顎(20)に対して上顎(18)を
図3に示す閉鎖位置に回転するとき、上顎(18)の閉鎖位置への適正配置を支援する外被(65)の遠位部を下方に傾斜させる。後述の本発明の実施の形態では、針金状腕部を構成する上顎(18)の一部は、
図12に示す開口部(67)内に篏合され配置される。操作梃子(32)を閉鎖位置に回転するとき、下顎(20)は、外被(65)の底面に設けられる丸い切欠(69)(
図12)に篏合される。特に、手術中に生体組織に接近する下顎(20)は、丸い切欠(69)に篏合されて、閉塞装置(10)を安定して使用できる。
【0051】
図13と
図14は、上蓋を除去した制御箱(16)の内部構成を示す。図示の制御箱(16)内に配置される引張杆(40)は、ねじ連結部(56)に接続される。ねじ連結部(56)の他端は、ノブ(22)と縦転輪(26)とを手動で回転可能に配置され、ノブ(22)と縦転輪(26)とを手動で回転すると、引張杆(40)が主軸(12)に沿って軸方向に移動する(
図4及び
図5)ので、下顎(20)に対し上顎(18)を回転できる。
図16に示す引張管(52)は、主軸(12)より近位方向に延伸して、横転輪(24)に取り付けられる構造体(58)に係合する(
図14)ので、制御箱(16)に対する横転輪(24)の回転により、固定される顎箱(30)に対し引張管(52)を軸方向に移動できる。引張管(52)の軸方向運動は、引張管(52)により制御杆(50)に伝達され(
図6及び
図7)(
図13と
図14に図示せず)るので、引張管(52)の軸方向運動は、制御杆(50)の遠位端(48)の軸方向運動を発生し、遠位先端(48)の近位運動により、下顎(20)の関節部(54)が拡張される。
【0052】
図13と
図14は、制御箱(16)内の多くの内部構造の付加的形態を開示する。例えば、図示の実施の形態での引張杆(40)を支持する支持部材(60)は、例えば、構造体(58)の正確な表面の一部として形成され又は他の実施の形態では別の位置に配置できる。支持部材(60)は、主軸(12)内の引張杆(40)の安定な軸方向移動と移動制御とを必要に応じて支援する。
【0053】
次に、
図15は、貫通内路(80, 81)を構成する分離延長部を支持する充填材(79)を有する主軸(12)の他の実施の形態示し、
図16は、引張杆(40)と引張管(52)とを支持する主軸(12)の更に他の実施の形態を示す。
【0054】
図17と
図18は、2個の針金状上顎(62)により上顎(18)を形成する他の非限定的形態を示す。複数の上顎(62)は、縦軸(A)周りに回転可能に設けられる。
図17に示す引込位置と、上顎(18)形態に類似する
図1に示す横方向拡張位置との間で、上顎(62)を回転できる。歯車(66)を有する各回転軸(64)に各上顎(62)を接続して、主軸(12)を介して制御箱(16)の回転運動を伝達して複数の上顎(62)を回転するので、複数の上顎(62)に所望の有利な回転を考慮できる。互いに噛み合う複数の歯車(66)の駆動により、両上顎(62)の所望の逆方向回転が可能であることは、理解されよう。
【0055】
図19~
図22は、接続リンク(42)を使用せずに、操作梃子(32)に引張杆(40)を直接接続する他の実施の形態を示す。本実施の形態では、
図21に明示するノブ型又は他の拡張型の頭部(73)を引張杆(40)に設け、頭部(73)を回転自在に篏合する溝型篏合部として、受口(75)が、操作梃子(32)の近位頭部(36)に形成される。本実施の形態では、引張杆(40)の端部に形成される頭部(73)を受口(75)内に篏合し又は配置して、近位頭部(36)の溝(77)に引張杆(40)の軸部を篏合して、引張杆(40)の軸方向運動間に、近位頭部(36)と操作梃子(32)に対し操作梃子(32)を回転できる。本実施の形態では、先の実施の形態で使用する接続リンク(42)を必要とせずに、簡素で信頼性のある複数部品の連結構造を見込むことができる。
図19と
図20に示す複数の上顎(62)は、例えば、
図17と
図18に示す実施の形態で可能な上方回転位置にある。両上顎(62)を回転できるか否かに関わらず、実施可能な
図19と
図20の実施の形態では、上顎(62)に回転は、要求されない。
【0056】
図23~
図25は、下顎(20)を操作する異なる構造の実施の形態を示す。
図6の制御杆(50)は、下顎(20)内に滑動可能に配置される。しかしながら、本実施の形態では、引張管(52)により制御杆(50)を移動又は作動できない代わりに、制御箱(16)で制御する付加引張杆(70)に、連結枠(68)を介して制御杆(50)を接続して、制御杆(50)は、主軸(12)を介して滑動可能に配置される。本実施の形態の連結枠(68)は、引張管(52)の端部を篏合する内部空間を形成すると共に、付加引張杆(70)を回転可能に篏合する略U字状形状を備える。付加引張杆(70)の近位頭部(72)の水平軸(74)は、連結枠(68)に対し回転可能な篏合接続構造を形成する。この篏合接続構造では、連結枠(68)に形成される溝(76)内に軸(74)が滑動可能に取り付けられ、溝(76)に軸(74)に嵌合して、引張杆(70)及び/又は軸(74)の両方を連結枠(68)に対し回転することにより、連結枠(68)に対し引張杆(70)及び/又は軸(74)を垂直に移動できる。また、
図25に明示する顎箱(30)に形成される縦溝(78)に沿って軸(74)を安定して移動できる。
【0057】
本実施の形態では、漏洩に対する止血有効性を監視して、動脈切開を行う前に優れた密閉法があるか否かを操作者(外科医)が判断する場合に、閉塞装置(10)の近位端に戻る通路を形成する有用な機能が引張管(52)に残されるが、別法として、閉塞装置(10)の作動に引張管(52)を使用せずに、本実施の形態では、引張管(52)は、引張管としてではなく、第一に管として機能する。
【0058】
主軸(12)に沿い近位方向に付加制御杆(70)を軸方向に移動すると、付加制御杆(70)と共に軸(74)も軸方向に移動するので、溝(78)に沿って連結枠(68)が引張され(
図25)、連結枠(68)の軸方向移動間に、付加制御杆(70)と一体の軸(74)は、上方の近位方向に移動される。制御杆(50)に接続される連結枠(68)(
図23及び
図24)は、下顎(20)の遠位先端(48)を近位方向に引張する(
図6及び
図7)ので、前記のように、下顎(20)は、拡張位置に移動される。
図26~
図28は、下顎(20)を引張する前の
図26の遠位位置から、下顎(20)を拡張する
図27の近位位置に移動する連結枠(68)の軸方向移動の経時変化位置を示す。
図28は、引張杆(40)の近位移動により、下顎(20)に向かい閉鎖位置に上顎(18)を回転する本発明の閉塞装置(10)の構造を使用する方法の次過程を示す。
【0059】
図24は、引張杆(40)の遠位端に形成する屈曲部を接続リンク(42)に係止して、引張杆(40)を接続リンク(42)に接続する連結部の実施の形態の断面図を示す。本発明の広義の技術的範囲では、接続リンク(42)に引張杆(40)を連結する他の方法を勿論利用できる。
【0060】
主軸(12)に対し、
図1に示す顎組立体(14)を傾斜して取付けられることは理解されよう。特に、図示の実施の形態は、顎箱組立体(28)から非直線状延長部に設けられる顎組立体(14)を示す。主軸(12)から直線状に顎組立体(14)を延長させることが好適な実施の形態も設けられる。このように、主軸(12)に対する顎組立体(14)の傾斜角度を0度と60度との間に設定でき、0度と45度との間で設定してもよい。他の非限定的実施の形態では、傾斜角度を0度と30度の間に設定でき、更に他の非限定的実施の形態では、角度を実質的に0度として、主軸(12)に対し顎組立体(14)を実質的に直線状に形成できる。
【0061】
使用の際に、閉塞装置(10)を使用して、下記の外科手術の準備で所望の閉塞領域を閉塞できる。
【0062】
また、使用の際に、本発明の閉塞装置(10)を5.08cm~7.62cm(2~3inch)だけ生体切開部に挿入して、例えば、他の意図する器具と空間を共有して、本発明の閉塞装置(10)を一旦配備する所望の外科手術を行うことができる。別法として、例えば、13mm~15mmの大型排管(カニューレ)を介して又は本発明の閉塞装置(10)を便利に配備する処置に適する他の方法で本発明の閉塞装置(10)を配備できる。
【0063】
本発明の閉塞装置(10)を使用して、大動脈領域の止血を行って決定される自由血流領域に外科医がその後の処置に集中できる使用法もある。この使用法は、血管又は動脈移植組織を大動脈に縫合して、病巣、疾患部又は他の損傷した心臓動脈の血管を再生する処置を含む。本発明の閉塞装置(10)は、大動脈領域の外科的処置への準備を行うものである。閉塞装置(10)を使用して大動脈に接近して、外科的処置を開始し、次に、下顎(18)と上顎(20)との間に身体部、例えば、大動脈部を配置して閉塞装置(10)の作業位置を決定する。これにより、処置すべき大動脈領域を特定し、次に、その領域に下顎挿入用の僅かな切開部を形成し、続いて、切開部を通じて下顎(18)を生体内に挿入して、閉塞すべき生体領域の下方に下顎(18)を配置する。制御装置の操作により、一旦所望の位置に下顎(18)が到達すると、操作者は、延長位置に下顎(18)を配置し、その後、下顎(18)に向かって上顎(20)を回転し、下顎(18)と上顎(20)との間に身体部を閉塞する。下顎(18)の拡張部間に、前記とは異なる膜組織を配置し、従来の装置と同様に、下顎(18)と上顎(20)との間に把持する膜組織に所望の止血部を形成する点に留意すべきである。このように、前記方法で一度閉塞装置(10)を配備すれば、引張管を流れる血液の漏洩を発生させずに、外科医は、所望の組織移植等を進行する準備を行うことができる。
【0064】
医療処置の完了時に、前記と逆手順により、閉塞装置(10)を除去することができる。
【0065】
前記の通り、本発明の閉塞装置(10)は、僅かな切開部を通じて身体内に配備し又は特定の環境下で好ましくは、大型の排管を介して身体内に配備することができる。
【0066】
図1に戻り、本明細書に開示する閉塞装置(10)は、所望の止血を達成すれば、制御箱(16)を備える主軸(12)を目視障害のない場所に移動して、外科医がより良好に患部に接近し目視を行う主軸(12)を設ける本発明の他の実施の形態となろう。可撓性材料又は可撓性構造で主軸(12)を形成しかつ主軸(12)内に配置する可撓性の引張杆(40)等の使用により、他の実施の形態を達成できる。当業者に公知の手段でもこれを達成できよう。可撓性主軸(12)の変形例を
図1の矢印Aで表示する。
【0067】
本発明の別の実施の形態では、ロボット又は他の自動機械作動により、本発明の閉塞装置(10)を配備しかつ作動することができる。
図29及び
図30は、この作動形態を示す。
図29は、プログラム制御又は操作者の遠隔操作により、複数のロボットアーム(102)を作動して、種々の動作を行う代表的なロボット操作装置(100)を示す。単一又は複数のアーム(102)を装備した閉塞装置(10)の制御装置に指令信号を付与する適切なプログラムを有する制御装置を閉塞装置(10)に設けて、必要に応じて、閉塞装置(10)を位置決めし操作することができる。所望の処置を講ずる付加的工具又は装置を他のアーム(102)に設けることも勿論可能である。
【0068】
前記説明は、特殊な処置過程と処置順を示し、記載しかつ請求項に記載するが、特に表示しない限り、如何なる順序でも、分離しても又は組み合わせても、前記処置過程を実施でき、本発明による利益を得ることができる。
【0069】
前記説明は、例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。種々の非限定的実施の形態を本明細書に記載するが、当業者は、本明細書に開示する技術の修正例と変更例は、添付の特許請求の範囲に包含される。従って、本明細書に記載がなくても、添付の特許請求の範囲に該当する開示内容を実施できる。従って、特許請求の範囲は、開示する特定の実施例の詳細な事項により限定されず、請求項は、発明の充分かつ合理的な範囲を限定するものである。
【0070】
(10)・・閉塞装置、 (12)・・細長い主軸、 (14)・・顎組立体、 (16)・・制御箱、 (18)・・下顎、 (20)・・上顎、 (22)・・ノブ、 (24)・・横転輪、 (26)・・縦転輪、 (28)・・顎箱組立体、 (30)・・顎箱、 (32)・・操作梃子、 (34)・・横突軸、 (36)・・近位頭部、 (38)・・開口、 (40)・・引張杆、 (42)・・接続リンク、 (44)・・軸、 (46)・・中央溝、 (48)・・遠位端、 (50)・・制御杆、 (52)・・引張管、 (54)・・関節部、 (62)・・要素(歯車、回転伝達部材)、 (68)・・連結枠、 (70)・・付加引張杆、 (100)・・ロボット操作装置、
【外国語明細書】