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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167350
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】室外機用冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 39/04 20060101AFI20231116BHJP
   F24F 11/87 20180101ALI20231116BHJP
   F24F 11/47 20180101ALI20231116BHJP
   B05B 1/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
F25B39/04 N
F24F11/87
F24F11/47
B05B1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078469
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】502391600
【氏名又は名称】株式会社テクノコア
(72)【発明者】
【氏名】替場 信一
(72)【発明者】
【氏名】辻 誠
【テーマコード(参考)】
3L260
4F033
【Fターム(参考)】
3L260BA41
3L260FB80
4F033AA05
4F033BA04
4F033DA03
4F033DA05
4F033EA01
4F033FA00
4F033LA04
4F033LA12
4F033NA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】空冷式冷房装置の室外機の冷却効果を高めて消費電力を低減させ、電気代の削減を図れる室外機用冷却装置を提供する。
【解決手段】空冷式冷房装置の室外機12の凝縮器12Aに水を散布して当該室外機12を冷却する室外機用冷却装置10であって、可撓性部材で形成されると共に前記水を凝縮器12Aに向けて散布する水散布用ノズル15と、この水散布用ノズル15による水の散布状態を制御する水散布制御手段とを備え、水散布用ノズル15を、供給される前記水の圧力により自励振動すると共に、その水が先端の水散布口から噴出可能な形状とし、水散布用ノズルに供給された水を、水散布口から平均直径が0.1mm~2.5mmの水粒子として間欠的に噴出させて散布させるように構成した。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空冷式冷房装置の室外機の凝縮器に水を直接散布して、当該室外機を冷却する室外機用冷却装置であって、
可撓性材料で構成された水散布用ノズルを備え、この水散布用ノズルは、先端に水散布口を有するフレキシブルチューブ部と、このフレキシブルチューブ部の後端に当該フレキシブルチューブ部と一体に形成され、かつ前記フレキシブルチューブ部から後端側に向かって平面形状が三角形となって張りだされたガイドフィン部と、このガイドフィン部と一体に形成され、かつ水供給源に接続される細径部と、を有する形状とし、
前記水散布用ノズルに供給された散布用の水により当該水散布用ノズルに自励振動を発生させると共に、その自励振動により水散布用ノズルの前記水散布口から平均直径が0.1mm~2.5mmの水粒子を間欠的に飛び出させ散布させることを特徴とする空冷式冷房装置の室外機冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の室外機用冷却装置において、
前記水散布用ノズルによる水の散布条件を制御する水散布制御手段を備え、
この水散布制御手段により、前記水散布口から散布される水粒子を、平均直径が0.1mm~2.5mmとなるように制御することを特徴とする空冷式冷房装置の室外機冷却装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の室外機用冷却装置において、
前記水散布用ノズルを、当該水散布用ノズルの前記水散布口が前記室外機の凝縮器に対し所要寸法離れた位置に配置されるように水供給源に繋がる給水用配管にノズル取付手段を介して接続し、
前記給水用配管を、前記室外機の凝縮器に平行に設けられた配管取付け用フレームに取付け支持させたことを特徴とする空冷式冷房装置の室外機冷却装置。
【請求項4】
請求項3に記載の室外機用冷却装置において、
前記水散布制御手段により、前記水散布用ノズルから噴出される水の散布条件を、前記給水用配管から前記水散布用ノズルへの水供給圧力を0.1~0.3MPa、散布される水の平均粒径を0.1mm~2.5mm、水の散布量を1mあたり90ml/min.~5,500ml/min.の値に、それぞれ制御可能となっていることを特徴とする室外機用冷却装置。
【請求項5】
請求項3に記載の室外機用冷却装置において、
前記水散布制御手段により、前記水散布用ノズルから噴出される水の散布条件を、前記給水用配管から前記水散布用ノズルへの水供給圧力を0.1~0.3MPa、散布される水の平均粒径を0.4mm~2.5mm、水の散布量を1mあたり90ml/min.~5,500ml/min.水粒子噴出速度0.5m/sec.以上の値に、それぞれ制御可能となっていることを特徴とする室外機用冷却装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の室外機用冷却装置において、
前記水散布用ノズルを、大きさの異なる前記室外機に対応する形状の複数種類で構成すると共に、これらの各水散布用ノズルを、それぞれのフレキシブルチューブ部の内径寸法および前記水散布口が異なった形状に形成し、
前記室外機の大きさに対応する水散布用ノズルを前記各水散布用ノズルのうちから選択すると共に、当該選択した水散布用ノズルを前記給水用配管に前記ノズル取付手段を介して取付けたことを特徴とする室外機用冷却装置。
【請求項7】
請求項3に記載の室外機用冷却装置において、
前記ノズル取付手段を、前記給水用配管に装着される配管用継手と、この配管用継手に着脱自在に装着されると共に前記水散布用ノズルを着脱自在に装着するノズル用継手とで構成したことを特徴とする室外機用冷却装置。
【請求項8】
請求項3に記載の室外機用冷却装置において、
前記配管取付用フレームを、前記室外機の高さに対応する支柱本体と、この支柱本体の上部に設けられると共に当該支柱本体を前記室外機の外側面部に固定する本体上部支持部と、前記支柱本体の下端部に設けられると共に当該支柱本体を前記室外機の設置床面部に固定する本体下部支持部材とを備えて構成し、
前記本体上部支持部を、前記室外機の外側面部側に向かって2方向に延びた水平部と、これらの水平部の先端に設けられ前記室外機の外側面部に固定される上部固定部材とで構成したことを特徴とする室外機用冷却装置。
【請求項9】
請求項8に記載の室外機用冷却装置において、
前記上部固定部材と本体下部支持部材とのそれぞれを磁石体で構成したことを特徴とする室外機用冷却装置。
【請求項10】
請求項1または2に記載の室外機用冷却装置において、
前記水散布用ノズルにより散布される水は中水であることを特徴とする室外機用冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は室外機用冷却装置に係り、より詳しくは、空冷式冷房装置における室外機の凝縮器に水を直接散布して、その凝縮器ひいては室外機を冷却する室外機用冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現代は、都市部はもとより、緑豊かな郊外にあっても、ビル屋上等に設置される空冷式冷房装置の室外機は、コンクリート壁などに囲まれて設置されているため、春から夏そして秋までの長期間において、厳しい灼熱環境に晒された状態で使用されている。
【0003】
ビル等に設置される空冷式冷房装置は、通常、室内には蒸発器(熱交換器)を備えた室内機が設置され、屋外には凝縮器(熱交換器)を備えた室外機が設置されている。
このような空冷式冷房装置では、室内機の蒸発器でガス状冷媒液を蒸発させ、その気化潜熱により空気の熱を奪うことで室内を冷却させる。そして、室内の熱を奪ったガス状冷媒液は室外機に送られ、その室外機に備えられた圧縮機によりさらに高温化され、室外機の凝縮器(熱交換器)において、その室外機に備えられたフィンによって大気を熱交換器に取入れ、ガス状冷媒液の熱(室内の熱)を大気へ放出させている。
【0004】
このような空冷式冷房装置の機能を最大限発揮させるためには、室外機の凝縮器(熱交換器)による大気への熱放出効率を向上させることが必要である。
そして、そのための方法としては次の2通りが考えられる。
すなわち、一つは空冷式冷房装置本体の効率向上であり、もう一つは室外機の熱交換器を冷却させることで、室外機の凝縮器(熱交換器)の冷却効率を向上させる方法である。
【0005】
このうち、室外機の熱交換器への水散布や噴霧による直接的冷却や、水の気化潜熱を利用して空冷式冷房装置の効率を向上させる技術が開示されている。
【0006】
例えば、外気温度が上昇しても、十分な冷却効率を確保することができるような、実用的な空気熱源式冷房装置を提供することを目的とした空気熱源式冷房装置およびこれを用いた冷房方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この空気熱源式冷房装置では、室外機の熱交換器の前方に、当該熱交換器の伝熱間表面に水を噴霧する水噴霧手段を配置し、この熱交換器の伝熱管表面における水の蒸発量を推定し、推定した蒸発量に基づいて噴霧水量を制御する噴霧水量制御手段を備えた構成となっている。
【0007】
また、空冷式冷房装置における室外機の凝縮器に散水する空冷式冷房装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
この空冷式冷房装置では、室外機に設けた凝縮器の熱交換能力を高め、かつそれを長時間維持することを目的とするもので、室外機に散水手段を設け、その散水手段に排水系統から室内機の排水を供給して凝縮器に散水する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-317821号公報
【特許文献2】特開2004-190877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前記特許文献1の空気熱源式冷房装置およびこれを用いた冷房方法では、水噴出手段として.噴霧ノズルが使用されているが、この場合、噴霧された平均水粒子径が0.005mm~0.08mm程度の微粒子のため、噴霧ノズルから室外機の凝縮器(熱交換器)のフィンに達するまでに大部分の水粒子が蒸発してしまい、水の気化潜熱を利用した冷却効果を十分に利用することができず、フィン周辺の温度を小さく下げる冷却効果しか得られなかった。そのため、室外機の十分な冷却効果を得ることができない、と言う課題がある。
【0010】
前記特許文献2の空冷式冷房装置では、室外機の凝縮器に、室内機の排水を散水手段から散水するように構成されているが、この場合、室内機の排水量が少ないため、十分な冷却効果が得られない、と言う課題がある。
【0011】
また、噴霧ノズルを用いた技術では、噴霧された平均水粒子径が0.005mm~0.08mm程度の微粒子のため、粒子の持つ運動エネルギーが小さく、東京における夏の平均風速3.2m/sec.により、噴霧された水粒子は目標の凝縮器のフィンを逸れてしまい、冷却効果も有効に利用できない、と言う課題がある。
【0012】
さらに、通常、室外機はビルの屋上に設置されている。10階建てのビルの屋上に相当する地上30mの東京に夏の平均風速6.4m/sec.と、高くなればなるほど風速は大きくなるため、ビルの屋上に設置された室外機冷却用の噴霧ノズルを用いた従来技術では、空冷式冷房装置の消費電力量を大きく削減することはできない、と言う課題がある。
【0013】
一方、室外機の冷却に、高圧水噴射ノズルや高圧噴霧を用いることも考えられるが、この場合、使用水量も多くなり、室外機の凝縮器(熱交換器)のフィン表面に水の層が現出し、室外機の十分な冷却効果を得ることができない、と言う課題がある。
【0014】
さらに、上記のように、高圧水噴射ノズルや高圧噴霧を用いた場合、かなり大きな高圧仕様のポンプが必要となり、かつ噴射量、噴霧量が多いため、水散布装置として高額となり、かつ使用水量も多く、いわゆるイニシャルコスト・ランニングコストともに高額となっている。
【0015】
〔発明の目的〕
本発明の目的は、上記各問題点を解決するために提案されたものであり、空冷式冷房装置における室外機の冷却効果を高めて消費電力を低減させ、電気代の削減を図れるようになる室外機用冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するために、本発明は、空冷式冷房装置の室外機の凝縮器に水を直接散布して、当該室外機を冷却する室外機用冷却装置であって、可撓性材料で構成された水散布用ノズルを備え、この水散布用ノズルは、先端に水散布口を有するフレキシブルチューブ部と、このフレキシブルチューブ部の後端に当該フレキシブルチューブ部と一体に形成され、かつ前記フレキシブルチューブ部から後端側に向かって平面形状が三角形となって張りだされたガイドフィン部と、このガイドフィン部と一体に形成され、かつ水供給源に接続される細径部と、を有する形状とし、前記水散布用ノズルに供給された散布用の水により当該水散布用ノズルに自励振動を発生させると共に、その自励振動により水散布用ノズルの前記水散布口から平均直径が0.1mm~2.5mmの水粒子を間欠的に飛び出させ散布させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の室外機用冷却装置によれば、水散布用ノズルが可撓性材料で形成されているので、機械的剛性が低く、極めて小さな運動エネルギーを与えるだけで自励振動が発生する。これにより、空冷式冷房装置を構成する水ポンプ仕様等も小型化が可能となり、かつ供給する水量も少量化が可能となる。その結果、イニシャルコストおよびランニングコストを少なく抑えることができ、電気代の削減を図ることができる。
また、散布する水の平均直径が0.1mm~2.5mmとなるような水粒子として室外機の凝縮器に直接散布することができるので、水散布用ノズルから室外機の凝縮器のフィンに達するまでに水粒子が蒸発することもなく、水の気化潜熱による冷却効果を充分に得ることができる。その結果、空冷式冷房装置の室外機の冷却効果を高めることができ、これにより、消費電力を低減させ、電気代の削減を図れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る一実施形態の室外機用冷却装置を示す全体システム図である。
図2】前記実施形態の室外機の凝縮器開口部両面(空気取り入れ面)に対向配置された水散布用ノズルを示す側面図である。
図3図2におけるIII矢視図である。
図4】前記実施形態で使用される種類の異なる各種の水散布用ノズルの仕様と狙い等を示す一覧表である。
図5図4の水散布用ノズルのうちフレキシブルチューブ部の先端が標準型のノズルの全体を示す斜視図である。
図6図4の水散布用ノズルのうちフレキシブルチューブ部の先端が切欠き型のノズルの全体を示す斜視図である。
図7】一般的に使用される噴霧ノズルの仕様と構造とを示す図と表であり、図(A)は噴霧ノズルの全体斜視図、図(B)は図(A)のC-C線に沿った断面図、図(B)は図(C)のB矢視図である。
図8】前記実施形態の水散布用ノズルと一般的な噴霧ノズルとの比較例を示す表である。
図9】前記実施形態の給水用配管および配管継手とノズル取付手段および水散布用ノズルとの関係を示す分解図である。
図10図9の状態から水散布用ノズルが給水用配管に取付けられた状態を示す組立図である。
図11】前記実施形態の給水用配管を支持する配管取付用フレームと室外機とを示す側面図である。
図12図11におけるX11矢視図である。
図13】前記実施形態の配管取付用フレームの上端部取付構造を示す斜視図である。
図14】前記実施形態の配管取付用フレームの下端部取付構造を示す斜視図である。
図15】前記実施形態のタイプの異なる水散布用ノズルにより室外機を冷却した場合の電気代料金を含むトータル削減費を比較した表である。
図16】前記実施形態の室外機を冷却した場合と冷却しなかった場合との電気代料金を含むトータル削減費を比較した表である。
図17】前記実施形態において水散布用ノズルによる水散布量と平均水粒子径の関係を示す図である。
図18図17の各部の断面を示し、図18(A)は図17のA-A線、図18(B)は図17のB-B線、図18(C)は図17のC-C線、のそれぞれに沿った断面である。
図19】前記図18の理論に基づいて図17を再整理した説明図である。
図20】前記実施形態の水粒子速度と風の影響を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図を参照して本発明に係る室外機用冷却装置の一実施形態を説明する。
【0020】
図1には、空冷式冷房装置の室外機12の冷却システムの全体概略が示されている。
図1に示すように、本発明の室外機用冷却装置10は、室外機12の凝縮器12Aに向けて水散布用ノズル15から水を直接散布して凝縮器12A、ひいては室外機12を冷却する構成となっている。
【0021】
図1に示すように、水供給源から供給された水は、電磁弁2、水フィルタ3、水ポンプ4、減圧弁5等を経由して、上記水散布用ノズル15に送られ、かつ、この水散布用ノズル15から室外機12の凝縮器12Aに向けて直接散布される。また、実施形態で使用される水としては、例えば、中水が使用されている。
水ポンプ4は、制御ボックス(水散布制御手段)6に接続されており、この水散布制御手段6により、水散布用ノズル15から噴出される水の散布状態が冷却に最適となるように制御されている。
なお、図1では、水散布用ノズル15から噴出される水が、室外機12の片面からのみ図示されているが、実施形態では、室外機12の両面から散布されるような構成となっている。
【0022】
また、水散布制御手段6では、装置の稼動に際しては、週間タイマーにより曜日と時間を散水する時間を指定し、外気温度が、例えば27℃を上回ったら散水を開始するように設定されている。また、散水・制御方法は、上述のように、中水道から供給される水を水ポンプ4と減圧弁5により圧力を一定にさせ、上記水散布用ノズル15から広範囲かつ小流量で室外機12に散水させるようになっている。
そして、外気温と雨滴によるセンサと、室外機12の起動電力を検出したら稼動するように設定されている。
【0023】
図2図3には、室外機用冷却装置10を構成する室外機12と、水供給源に接続されている給水用配管20にノズル取付手段23を介して取り付けられた第1ノズル15-A(水散布用ノズル15)とが示されている。
そして、このノズル取付手段23は、給水用配管20に装着される配管継手21と、この配管継手21に接続されると共に水散布用ノズル15を取付けるためのノズル用継手22(図8図9参照)とで構成されている。
【0024】
本実施形態では、図2に示すように、室外機12の厚さ方向の一面12aおよび他面12bの両面、つまり、凝縮器開口部両面(空気取り入れ面)の外方から室外機12の凝縮器12Aに向けて、水散布用ノズル15により水を直接散布できるように構成されている。なお、符号12Bは、室外機12の空冷用ファンである。
また、給水用配管20は、図2図11にも示すように、配管取付け用フレーム25に取付けられている。
なお、給水用配管20に変えて、例えば、樹脂製のホースを使用してもよい。
【0025】
本実施形態における水散布用ノズル15は、図4に示すように、全体形状、水噴出機能の違い等、種類の異なる複数の水散布用ノズル、すなわち、第1ノズル15-A、第2ノズル15-B、第3ノズル15-C、第4ノズル15-D、第5ノズル15-E、第6ノズル15-Fで構成されている。
これらの第1ノズル15-A等は、室外機12の大きさの違い等、各種の機種に対応できるように、ノズル取付手段23を介して、それぞれ取り替え自在に上記給水用配管20に取付けられるようになっている。そして、この給水用配管20は、上述のように、配管取付け用フレーム25に取付け支持されている。
【0026】
また、上記第1ノズル15-A~第6ノズル15-Fは、図2に第1ノズル15-Aの例で示すように、それぞれが複数個、例えば、室外機12の片面に対して4個ずつが給水用配管20に取付けられるようになっている。
そして、これらの各ノズル15-A等は、適用される室外機12の大きさに対応させて、いずれかのノズルを選択して用いる等、適宜使い分けされるようになっている。
【0027】
図4には、第1ノズル15-A~第6ノズル15-Fの仕様と狙いとが示されている。
第1ノズル15-A等で構成されている水散布用ノズル15は、前述のように、例えば、シリコーンゴム等の可撓性材料で形成されている。そのため、第1ノズル15-A等、各ノズルは、それぞれに供給された水により自励振動するようになっている。
【0028】
図4を参照して、各ノズルのうち第1ノズル15-Aの仕様と狙いについて述べる。
この第1ノズル15-Aでは、適用される室外機12に対して、小さな水粒子径で、散布量も小さく(少なく)てもよく、散布形状が略直方形形状となるような狙いの下に使用されるようになっている。
さらに詳しく説明すると、図5に示すように、第1ノズル15-Aのフレキシブルチューブ部15-Aaの内径(水路)寸法は、Φ0.5mm、外径寸法は、Φ1.0mmとなっている。また、第1ノズル15-Aのフレキシブルチューブ部15Aaの先端の水散布口15Aeの形状は、フレキシブルチューブ部15Aaの外形に対して直角に切断された標準型となっている。
そして、室外機12の冷却に際して、第1ノズル15-Aには0.1~0.3MPaの水圧で、水散布量として30~40ml/min.、平均散布水粒子径として0.1~0.4mm、また、平面略長方形の散布形状となり、水散布範囲が820×170mmとなるように設定されている。
【0029】
第1ノズル15-A以外の、第2ノズル15-B、第3ノズル15-C、第4ノズル15-D、第5ノズル15-E、第6ノズル15-Fについても、図4に示すように、それぞれ異なった狙いと仕様とが表示されている。
このうち、第1ノズル15-A、第3ノズル15-C、第4ノズル15-Dおよび第6ノズル15-Fのフレキシブルチューブ部15Aa(図5)の先端が上述した標準型となっており、これに対して、第2ノズル15-Bおよび第5ノズル15-Eのフレキシブルチューブ部15Ba(図6)の先端部は、先端から後端側に向けて斜めに切り欠かれた切り欠き型となっている。
【0030】
図5には、上記第1ノズル15-A、第3ノズル15-C、第4ノズル15-Dおよび第6ノズル15-Fのうち、代表して第1ノズル15-Aの全体が斜視図として示されている。
図5に示すように、第1ノズル15-Aは、先端に水散布口15-Aeを有するフレキシブルチューブ部15-Aaと、このフレキシブルチューブ部15-Aaの後端に当該フレキシブルチューブ部15-Aaと一体に形成され、かつそのフレキシブルチューブ部15-Aaから後端側に向かって平面形状が三角形となって張り出されたガイドフィン部15-Abと、このガイドフィン部15-Abと一体に形成され、かつ前記ノズル用継手22に挿入される細径部15-Acと、を有する形状となっている。
なお、符号Yは、供給される水によるガイドフィン部15-Abおよびフレキシブルチューブ部15-Aaの自励振動の向きを示す。
図5ではガイドフィン部15-Abの平面に対して垂直方向に自励振動するようになっているが、実施形態では、図2に示すように、ガイドフィン部15-Abの平面が垂直方向に向くように配置されている。つまり、図2の符号Yで示すように、自励振動の向きは垂直方向と直交する方向となっている。
【0031】
また、細径部15-Acからガイドフィン部15-Abを経て、フレキシブルチューブ部15-Aaの先端まで至る内部には水の流路(内径Φ2)15-Adが形成されており、給水用配管20からノズル取付手段23を介して供給される水が流れるようになっている。
そして、上記流路15-Adにおいてフレキシブルチューブ部15-Aaの先端が、内径寸法がΦ0.5mmの水散布口15-Aeとなっている。
【0032】
図6には、前記第2ノズル15-Bおよび第5ノズル15-Eのうち、代表して第2ノズル15-Bの全体が斜視図として示されている。
この第2ノズル15-Bでは、そのフレキシブルチューブ部15-Aaの先端部形状が、先端から後端側に向けて斜めに切り欠かれた切り欠き型となっている点が、上記第1ノズル15-Aと異なるのみであり、その他の形状は両者略同じである。そのため、フレキシブルチューブ部15-Aaの先端部の説明のみを行い、その他の部位には同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0033】
図7には、以上に述べたような第1ノズル15-A~第6ノズル15-Fに対して、一般的に使用される噴霧ノズルの使用と構造とが示されている。
噴霧ノズル35は、図7(C)に示すように、後部側で水供給部材40に接続される本体部材36と、この本体部材36の先端に接続される先端部材37とを備えて構成されており、本体部材36および先端部材37の内径中心に水の流路36aが形成されている。
先端部材37の最先端には、水を噴霧する噴霧口35aが形成されており、この噴霧口35aは、表にも記載されているように、0.4~1.0mmの口径となっている。
そして、0.6~2.0MPaの供給水圧により、0.005~0.08mmの平均粒子径となって水が噴霧されるようになっている。
【0034】
図8には、本実施形態の水散布用ノズルを構成する(第1ノズル15-A~第6ノズル15-F)と、比較例としての前記噴霧ノズル35との、平均散布(噴霧)粒径、水散布量、供給水圧の比較が示されている。
【0035】
この図8に示すように、一般的な噴霧ノズルが0.005~0.08mmの平均粒子径を得るために、0.6~2.0MPaの供給水圧を必要としているのに比べて、本実施形態の第1ノズル15-A~第6ノズル15-Fでは、0.1~0.3MPaの極めて小さな水圧で自励振動を発生させ、かつ室外機12の冷却に適した平均粒子径0.1~2.7mmの水粒子を散布できる。
その結果、低圧の水ポンプ4を使用することができるので、この点でも、イニシャルコストおよびランニングコストを少なく抑えることができ、電気代の削減を図ることができる。
しかも、一般的な噴霧ノズル35の水散布量が一定しているのに対して、第1ノズル15-A~第6ノズル15-Fを選択することで、適用される室外機12の大きさに対応させた水散布量を得ることができる。
【0036】
図9図10に示すように、第1ノズル15-A等からなる水散布用ノズル15の給水用配管20への取付けは、前記ノズル取付手段23を介して行われるようになっている。
すなわち、ノズル取付手段23は、前述のように、給水用配管20に装着された外径略T字型の配管継手21と、この配管継手21の本体から外方に突出した突出部21aにワンタッチで取付け可能なノズル用継手22とを備えて構成されている。
【0037】
そして、配管継手21の突出部21aに取付けられたノズル用継手22の挿入孔に、上記第1ノズル15-Aの細径部15-Acを差込むことで両者が連結され、これにより、図10に示すように、第1ノズル15-A等の水散布用ノズル15が給水用配管20に取付けられるようになっている。
ここで、予め配管継手21に取付けられているノズル用継手22に、水散布用ノズル15を差込んだとき初めて、給水用配管20からの水が第1ノズル15-A等に通じるようになっている。
【0038】
また、給水用配管20の上端部にはエンドプレート24が設けられており、このエンドプレート24が給水用配管20の蓋となっている。
そのため、前記水供給側から所定の圧力で供給された水は、給水用配管20内を満たすと共に、当該給水用配管20から所定の水散布用ノズル15、例えば、第1ノズル15-Aに連通し、かつ室外機12に向けて水を噴出し、散布できるようになっている。
なお、図9図10において、符号Yは、第1ノズル15-Aの自励振動の向きを示し、第1ノズル15-Aは、そのガイドフィン部15-Abおよびフレキシブルチューブ部15-Aaがガイドフィン部15-Abの平面部と直交する方向〔図面直交方向〕、つまり、重力方向に対して直交する方向に自励振動するように配置されている。
【0039】
図2図11に示すように、給水用配管20は、室外機12の凝縮器12Aの前方に配置される配管取付用フレーム25に結束部材28を介して取付け支持されている。
この結束部材28による固定は、給水用配管20の上下方向の、例えば配管継手21同士の略中間位置と、配管取付用フレーム25の上部位置および下部位置との5箇所で行われている。
また、給水用配管20の下端部は、図示しない水供給源側に延びており、水供給源側の図示しない所定のポンプに接続されている。そして、この給水用配管20は、例えば、塩ビ管で形成されている。
【0040】
図11~14に示すように、配管取付用フレーム25は、室外機12の高さに対応可能な支柱本体25Aと、この支柱本体25Aの上部に当該支柱本体25Aと直交して設けられ、室外機12の一方の面部12a、および他方の面部12bのそれぞれに向けて2方向に分かれて形成された本体上部支持部25Bと、上記支柱本体25Aの下端部に当該支柱本体25Aと一体的に設けられ、室外機12の設置床面部29と当接し、かつ当該設置床面部29固定される下端固定部材25Cとで構成されている。
【0041】
本体上部支持部25Bの2方向に分かれた一方および他方の水平部25b、25bの室内機12側の先端には、室外機12の一方の面部12a、および他方の面部12bのそれぞれと当接しかつ固定される上部固定部材26,26がそれぞれ設けられている。
上部固定部材26は、図13に示すように、ブラケット27を介して一方および他方の水平部25a,25bの先端に取付けられている。
【0042】
上部固定部材26,26と下端固定部材25Cとは、それぞれ磁石体で構成されており、この磁石体により、配管取付用フレーム25を、スチール製の室外機12の一方の面部12a、他方の面部12b、およびスチール製の設置床面部29に、容易に着脱自在に取り付けられるようになっている。
なお、配管取付用フレーム25は、例えば所定外径の丸パイプ部材で形成されている。
【0043】
次に、図1の水散布制御手段6による第1ノズル15-Aからの水の散布制御は、まず、室外機12の起動電流を検出して起動準備を行い、その後、既定の外気温度になったら散布開始となる。また、雨滴センサを使用し、雨天時は散水を行わないように設定されている。
【0044】
以上のような構成の室外機用冷却装置10を使用し、図4及び図7に示した各種ノズルを試験した結果を、図15図16の表を基に説明する。
【0045】
まず、図15には、実施形態で使用された第1ノズル15-A、第2ノズル15-B、第3ノズル15-C、第4ノズル15-D、第5ノズル15-E、および第6ノズル15-Fを、それぞれ使用した場合の電気料金等の比較が示されている。
【0046】
図15に示すように、第1ノズル15-Aにより水を散布した場合、室外機12にかかった1シーズン辺りの削減電気料金(-40385円)から、装置ランニングコスト(電気+水)の1シーズン稼動時の費用(4380円)を引いたトータル削減費は、(-40385円)-(4380円)=-36005円となる。
つまり、第1ノズル15-Aを使用して1台の室外機12に、1シーズンにわたって水を散布した場合、電力料金を-36005円も削減することができた。
【0047】
第2ノズル15-Bを使用した場合、上記と同じような計算式により電力料金を算出すると、電力料金を-34369円削減することができた。
また、第3ノズル15-Cを使用した場合、電力料金を-33225円、第4ノズル15-Dを使用した場合、電力料金を-34950円、第5ノズル15-Eを使用した場合、電力料金を-37672円の電力料金をそれぞれ削減することができた。
なお、第6ノズル15-Fを使用した場合の電力料金は-2456円の削減となっている。
【0048】
この表に示すように、総合的に判断した場合、第5ノズル15-Eを使用した場合に、最も電力費の節約が可能となっている。
なお、表の最下段に判定の欄があり、○、△、結果が示されているが、それぞれのノズルは室外機の大きさ等に対応させて使用されているものであるため、これらの○、△印は、優劣を表すものではない。
【0049】
次に、図16には、室外機12の冷却に、一般的な噴霧ノズルを用いた場合と、室外機12を冷却しなかった場合とにおいて、電気料金等の比較が示されている。
この図16に示すように、噴霧ノズルを用いた場合に、室外機12に掛かった1シーズン辺りの削減電気料金について、上記のような電気料金の削減を求める数式に沿って計算すると、1シーズン辺りの削減電気料金(-5940円)から、装置ランニングコスト(電気+水)の1シーズン稼動時の費用(1798円)を引いたトータル削減費は、(-5940円)-(1798円)=-4312円となる。
上述のように、本実施例ノズル(第1ノズル15-Aから第5ノズル15-Eまで)は、従来の噴霧ノズルを用いた場合に比較し、室外機冷却効果が極めて大きいことにより、冷房装置の消費電力量を低減させ、電気料金の削減を図ることができた。
【0050】
次に、水散布量と散布した水の粒子径と空冷式冷房装置の消費電力料金削減効果の関係を図17に整理したので以下に説明する。
図17において、●は、消費電力量削減効果が大きいもの、×は、消費電力量削減効果が小さいものを示している。また、横軸は1m当りの水散布量(ml/min.)を表し、縦軸は散布した平均水粒子径(mm)を表す。この図より、冷却効果が大きく消費電力料金の削減量が大きい本実施例ノズル(第1ノズル15-Aから第5ノズル15-Eまで)は、比較例の噴霧ノズルに比較し散布される平均水粒子径が5~100倍大きく、散布量も2~50倍多いことが分かった。
すなわち、本実施例ノズルを用いる場合は、散布水粒子径を0.1mm~2.5mmかつ散布量を1m当り90ml/min.~5,500ml/min.に制御することにより室外機冷却効果が充分あり、その結果、空冷式冷房装置の消費電力料金削減が大きかった。
【0051】
次に、上述のような効果が得られた理由を図18にて説明する。
図18は、室外機凝縮器の冷却状態を示しており、熱の移動量ΔTが大きいほど凝縮器の冷却効果が高いといえる。
ここで、図18(A)は、室外機の凝縮器が水冷状態における熱の移動量ΔT1を、図18(B)は、室外機の凝縮器が水の気化潜熱を利用した冷却状態における熱の移動量ΔT2を、図18(C)は、室外機の凝縮器が空冷状態における熱の移動量ΔT3を表している。そして、図18(A)~(C)の関係は、凝縮器のフィンの熱伝導率は同じなので、フィンの外気側の表面状態により変化する。
(A)水冷状態の熱伝達率=(2.3~5.8)×10[w/m・℃]
(B)水蒸発中(水の気化潜熱を利用した冷却)の熱伝達率=(1.2~2.3)×10[w/m・℃]
(C)空冷状態の熱伝達率=(0.5~3.2)×10[w/m・℃]
以上より、水の気化潜熱を利用した冷却の熱伝達が最も大きいので、△T>△T>△Tとなる。
【0052】
図19は、上述の考え方を図17にあてはめて再整理したものである。
図19において、実施例ノズル(第1ノズル15-Aから第5ノズル15-Eまで)を使用した条件、すなわち、粒子径0.1mm~2.5mm、散布量が1m当り90ml/min.~5,500ml/min.が、図18(B)の水の気化潜熱を利用した冷却状態に合致するものと考えられ、実施例ノズル(第1ノズル15-Aから第5ノズル15-Eまで)の冷却効果が大きく、消費電力料金が極めて大きく削減されたものである。
また、実施例ノズル(第7ノズル15-F)を使用した条件、すなわち、粒子径が2.6mm以上、散布量が5,600ml/min.以上の領域は、水粒子も大きく、かつ散布量も多いため室外機の凝縮器(フィン)表面に水の層が形成され、すなわち、図18(A)に合致するものと考えられ、冷却効果は比較例の噴霧ノズルより大きかったが、水料金が大きかったためトータルで効果が少なかったものと考えられる。
一方、図19の比較例の噴霧ノズルを使用した条件、すなわち、粒子径が0.08mm以下、噴霧量が1m当り90ml/min.未満のため凝縮器に水として接触する前に蒸発し、ほぼ空冷領域、すなわち、図18(C)に合致するものと考えられ、消費電力料金の削減が小さかったものである。
ただし、上述では便宜上3つの領域にて説明しているが、実際は各領域が混合しているものと推察される。
【0053】
図20には、水粒子径と水粒子散布速度と風との関係が示されている。
この図には、実施例ノズルにおける水粒子速度のばらつきが2本の曲線で示されている。
すなわち、第1の曲線C1は速度が早い側の上限ライン(供給水圧0.3MPa)であり、第2の曲線C2は速度が遅い側の下限ライン(供給水圧0.1MPa)である。
【0054】
図20に示すように、水粒子径;0.4mm以上で、かつ水粒子速度;0、5m/sec.以上であれば、散布された水粒子の運動エネルギーが大きいため(粒子の運動エネルギーを求める式E=1/2MV、つまり、エネルギー値は、重量と速度の2乗に比例する)、水粒子の散布方向に対する風の影響が小さい。
すなわち、水粒子の散布方向である室外機12の凝縮器12Aからのズレが少ない。
夏季の平均風速以上の風のある日には、水粒子径0.4mm以上がより好ましい。しかしながら、風のない日であれば、水粒子径0.1mm以上あればよい。
【0055】
以上のような本実施形態では、水散布用の水散布用の水として中水道から供給される中水が利用されている。
中水とは、飲むことはできないが人体に影響を及ぼさない形で再利用される水のことを言い、例えば、次の3つの原水が挙げられる。
1)雨水;大型施設では水洗トイレように使用されるケースが多い。
2)雑排水;し尿、厨房排水を含まない排水(工業用排水など)。
3)厨房排水;厨房排水除外施設を設け、その処理水を利用。
なお、散布用の水として上水道を利用してもよい。
【0056】
(本実施形態の効果)
以上のような構成の実施形態のノズル10によれば、次のような効果が得られる。
(1)水散布用ノズル15を構成する6種類のノズル、つまり、第1ノズル15-A、第2ノズル15-B、第3ノズル15-C、第4ノズル15-D、第5ノズル15-E、および第6ノズル15-Fのそれぞれがシリコーンゴム等の可撓性材料で形成されており、これらの第1ノズル15-A等は、機械的剛性が低く、極めて小さな運動エネルギーを与えるだけで自励振動が発生する。そして、水散布制御手段6により、供給する水の圧力を調整することで噴出する水の振れ幅や噴出速度も自在に変更できるので、室外機12の凝縮器12Aに効率よく水を直接散布することができる。
その結果、空冷式冷房装置10の室外機12の冷却効果を高めることができ、これにより、消費電力を低減させ、電気代の削減を図ることができる。
【0057】
(2)水散布用ノズル15を構成する第1ノズル15-A等が可撓性材料で形成されており、極めて小さな運動エネルギーを与えるだけで自励振動が発生するので、空冷式冷房装置10を構成する水ポンプ4等の仕様も小型化が可能となり、かつ供給する水量も少量化が可能となる。その結果、イニシャルコストおよびランニングコストを少なく抑えることができ、これにより、消費電力を低減させ、電気代の削減を図ることができる。
【0058】
(3)給水用配管20には、配管用継手21が装着されており、この配管用継手21にはノズル用継手22が取付けられるようになっている。そして、このノズル用継手22には、水散布用ノズル15を構成する種類の異なる第1ノズル15-A~第6ノズル15-Fのそれぞれが着脱自在に取付けられるようになっている。そのため、各ノズルのうちから、冷却の対象となる室外機の大きさに対応する、例えば、第1ノズル15-Aを選択すると共に、その第1ノズル15-Aを、予め配管用継手21に接続されているノズル用継手22に取付けて、給水用配管20から供給される水を室外機に向けて散布することができる。
その結果、複数種類の水散布用ノズルの中から室外機の大きさに対応するものを選択してノズル用継手22に取付ければよいので、どのような大きさ、タイプの室外機にも対応することができ、確実に冷却することができる。
【0059】
(4)室外機12の凝縮器12Aに直接散布する水を、水散布制御手段6により、散布する水の平均直径が0.1mm~2.5mmとなるような水粒子として室外機12の凝縮器12Aに直接散布することができるので、水散布用ノズル15から室外機12の凝縮の12Aのフィンに達するまでに水粒子が蒸発することもなくなり、フィンの表面で水の気化潜熱を利用した冷却効果を充分に得ることができる。
その結果、空冷式冷房装置10の室外機12の冷却効果を高めることができ、これにより、消費電力を低減させ、電気代の削減を図ることができる。
【0060】
(5)室外機12の凝縮器12Aに直接散布する水を、水散布制御手段6により、水散布用ノズル15からの水の散布条件を、給水用配管20から水散布用ノズル15への水供給圧力を0.1~0.3MPa、散布される水の平均粒径を0.1mm~2.5mm、水の散布量を1mあたり90ml/min.~5,500ml/min.の値に、それぞれ制御した場合、フィンの表面で水の気化潜熱を利用した冷却効果を得ることで、室外機12の凝縮器12Aを最適の状態で冷却することができる。その結果、消費電力を低減させ、電気代の削減を図ることができる。
【0061】
(6)室外機12の凝縮器12Aに直接散布する水を、水散布制御手段6により、水散布用ノズル15からの水の散布条件を、給水用配管20から水散布用ノズル15への水供給圧力を0.1~0.3MPa、散布される水の平均粒径を0.4mm~2.5mm、水の散布量を1mあたり90ml/min.~5,500ml/min.水粒子噴出速度0.5m/sec.以上の値に、それぞれ制御した場合、風の影響を受けることなく、フィンの表面で水の気化潜熱を利用した冷却効果を得ることで室外機12の凝縮器12Aを最適の状態で冷却することができる。
その結果、消費電力を低減させ、電気代の削減を図ることができる。
【0062】
(7)1台の室外機12を一般的な噴霧ノズルで冷却して1シーズン稼動させた場合、室外機12を冷却しなかった場合に比べて-4312円の電力料金の削減を得られた、という実施結果に対して、混合領域MEを得られるように、水の散布条件を満たして第1ノズル15-A~第6ノズル15-Fの各ノズルを個別に使用して冷却した場合、第6ノズル15-Fを除いて、第1ノズル15-A~第5ノズル15-Eまで、順に、それぞれ、-36,005円、-34,369円、-33,225円、-34,950円、-37,672円の電力料金の削減を得られた。その結果、一般的な噴霧ノズルで冷却した場合と比べても、空冷式冷房装置の消費電力を低減させることができ、電気代が大幅に削減されている。
1台の室外機12で、上記のように電気代の大幅な削減が可能となっているので、例えば、室外機を10台併設した場合、電気代のさらに大幅な削減が可能となって大幅な経費節減が可能となる。
【0063】
(8)配管取付用フレーム25の上部固定部材26と下端固定部材25Cとは、それぞれ磁石体で構成されているので、この磁石体の吸着作用により、配管取付用フレーム25を、室外機12の一方の面部12a、他方の面部12b、および設置床面部29に、容易に着脱自在に取り付けることができる。その結果、給水用配管20および配管取付用フレーム25の設置作業が容易となる。
【0064】
(9)水散布用ノズル15により水を直接室外機12に散布するので、室外機12だけでなくその室外機12の周辺も冷却されるので、これにより、室外機12の冷却効率をアップさせることができる他、暑さの厳しい夏季など、室外機12のメンテ作業などを比較的楽に実行することができ。さらに、室外機12だけでなくその室外機の周辺にも水が飛び散るので、周辺散水による防塵効果および洗浄効果を得ることができる。
【0065】
(10)水散布用ノズル15から室外機12に散布する水として、中水道からの水が利用されているので、上水道を利用する場合に比較して費用が安くてすむので、この点でも、装置全体のランニングコストを抑えることができ、結果的に、電気代の削減を図れるようになる。
【0066】
以上、前記実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
【0067】
例えば、前記実施形態では、室外機12に水散布用ノズル15により水を散布する場合、室外機12の互いに反対側の一面12aと他面12bとの2面に散布するものであったが、これに限らない。室外機の大きさ、形式等の機種によっては、一方の面のみに水を直接散布する構成の室外機用冷却装置としてもよい。
【0068】
また、前記実施形態では、空冷式冷房装置の室外機12は1台設置されたものであったが、これに限らない。図15に基づいて説明したように、1台の室外機12を冷却した場合でも電気代の大幅な削減が可能となっている。そのため、室外機を複数台、例えば、10台併設した場合、電気代のさらに大幅な削減が可能となり、大幅な経費節減が可能となる。
【0069】
さらに、前記実施形態では、水散布用ノズル15により室外機12に散布する水として、中水道から供給される中水が使用されているが、これに限らず、水道水を使用してもよい。
この場合、水道水の供給水圧は0.2~0.25MPaであるが、本実施形態の第1ノズル15-A~第5ノズル15-Eのそれぞれが、シリコーンゴム等の可撓性材料で構成されているので、これらを水道直結の構成とすることで、各ノズル15-A等を自励振動させることができる。その結果、4~5台の業務用エアコンの室外機冷却用であれば、水ポンプが不要となる、と言う効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、空冷式冷房装置の、例えばビル等の屋上に配置された室外機を冷却する際に利用できる。
【符号の説明】
【0071】
6 水散布制御手段(制御ボックス)
10 室外機用冷却装置
12 室外機
12A 凝縮器
15 水散布用ノズル
15-A 第1ノズル
15-Ae 水散布口
15-B 第2ノズル
15-C 第3ノズル
15-D 第4ノズル
15-E 第5ノズル
15-F 第6ノズル
20 給水用配管
21 配管継手
22 ノズル取付手段
23 ノズル取付手段
25 配管取付用フレーム
25A 本体部
25B 本体上部支持部
26 上部固定部材
25C 本体下部固定部材
28 結束部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20