(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167356
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システム、二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/14 20060101AFI20231116BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20231116BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20231116BHJP
B01D 53/73 20060101ALI20231116BHJP
B01D 53/96 20060101ALI20231116BHJP
C07C 9/04 20060101ALI20231116BHJP
C07C 1/12 20060101ALI20231116BHJP
C01B 32/50 20170101ALN20231116BHJP
【FI】
B01D53/14 220
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
B01D53/73
B01D53/96
C07C9/04
C07C1/12
C01B32/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078486
(22)【出願日】2022-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】藤田 拳人
(72)【発明者】
【氏名】半田 優介
(72)【発明者】
【氏名】柴田 遼介
(72)【発明者】
【氏名】中上 尚美
(72)【発明者】
【氏名】長野 敬太
(72)【発明者】
【氏名】岩浅 清彦
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
4G146
4H006
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC01
4D002AC04
4D002AC10
4D002BA02
4D002CA07
4D002DA32
4D002EA05
4D002EA08
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB01
4D002GB20
4D020AA03
4D020BA16
4D020BB03
4D020BC01
4D020CB08
4D020CC09
4D020DA01
4D020DB01
4D020DB20
4G146JA02
4G146JB09
4G146JC08
4G146JC29
4G146JC35
4H006AA02
4H006AC11
4H006BD84
4H006BE20
4H006BE41
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素回収システムの外部からの熱エネルギの供給量を低減することができる二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システムを提供する。
【解決手段】実施の形態による二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システムは、再生塔から排出された二酸化炭素含有ガスからメタンを合成するメタン製造装置と、再生塔から排出された吸収液を加熱して再生塔に供給するメタンリボイラーと、を備えている。メタンリボイラーは、メタン製造装置において合成されたメタンを加熱媒体として吸収液を加熱する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素回収システムの再生塔内の吸収液を加熱するための吸収液加熱システムであって、
前記再生塔から排出された二酸化炭素含有ガスからメタンを合成するメタン製造装置と、
前記再生塔から排出された前記吸収液を加熱して前記再生塔に供給するメタンリボイラーと、を備え、
前記メタンリボイラーは、前記メタン製造装置において合成された前記メタンを加熱媒体として前記吸収液を加熱する、二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システム。
【請求項2】
前記再生塔から排出された前記吸収液を加熱して前記再生塔に供給する水蒸気リボイラーを更に備え、
前記水蒸気リボイラーは、前記二酸化炭素回収システムの外部から供給される水蒸気を加熱媒体として前記吸収液を加熱する、請求項1に記載の二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システム。
【請求項3】
前記メタンリボイラーおよび前記水蒸気リボイラーは、前記再生塔に並列に接続されている、請求項2に記載の二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システム。
【請求項4】
前記メタンリボイラーへの前記吸収液の供給を制御するメタンリボイラー弁を更に備えた、請求項3に記載の二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システム。
【請求項5】
前記メタンリボイラーおよび前記水蒸気リボイラーは、前記再生塔に直列に接続され、
前記メタンリボイラーは、前記水蒸気リボイラーの下流側に配置されている、請求項2に記載の二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システム。
【請求項6】
前記水蒸気リボイラーと前記メタンリボイラーは、三方弁を介して接続され、
前記三方弁は、前記水蒸気リボイラーから排出された前記吸収液の供給先を、前記メタンリボイラーおよび前記再生塔のいずれかに切り替え可能である、請求項5に記載の二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システム。
【請求項7】
前記二酸化炭素含有ガスを圧縮する圧縮部を更に備え、
前記メタン製造装置に、前記圧縮部を通った前記二酸化炭素含有ガスが供給される、請求項1に記載の二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システム。
【請求項8】
前記メタン製造装置から前記メタンを排出する第1メタンラインと、
前記メタン製造装置から排出された前記メタンを前記メタンリボイラーに供給する第2メタンラインと、
前記メタンリボイラーから排出された前記メタンを前記第1メタンラインに供給する第3メタンラインと、を更に備えた、請求項1に記載の二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システム。
【請求項9】
前記メタン製造装置に水素を供給する水素供給ラインを更に備え、
前記メタン製造装置は、前記二酸化炭素含有ガスと前記水素から前記メタンを合成する、請求項1に記載の二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システム。
【請求項10】
処理対象排ガスに含有される二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔と、
前記吸収塔から排出された前記吸収液から前記二酸化炭素を放出させる再生塔であって、前記二酸化炭素を含有する二酸化炭素含有ガスを排出するとともに前記吸収液を排出する再生塔と、
請求項1~9のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システムと、を備えた、二酸化炭素回収システム。
【請求項11】
二酸化炭素回収システムの再生塔内の吸収液を加熱するための吸収液加熱方法であって、
前記再生塔から排出された二酸化炭素含有ガスからメタンを合成する工程と、
合成された前記メタンを加熱媒体として、前記再生塔から排出された前記吸収液を加熱する工程と、
加熱された前記吸収液を前記再生塔に供給する工程と、を備えた、二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システム、二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化問題に対する有効な対策として、二酸化炭素(CO2)を回収して貯留する二酸化炭素回収貯留技術(CCS:Carbon Dioxide Capture and Storage)が注目されている。具体的には、各種プラントから排出されるプラント排ガス(処理対象排ガス)中の二酸化炭素を吸収液により回収する二酸化炭素回収システムが検討されている。プラントの例としては、火力発電プラント、製鉄プラント、清掃工場等のゴミ焼却プラント等が挙げられる。
【0003】
二酸化炭素回収貯留技術の一つとして、化学吸収法による二酸化炭素回収システムが知られている。二酸化炭素回収システムは、吸収塔と、再生塔と、を備えている。吸収塔において、プラント排ガスに含有されている二酸化炭素が、例えばアミン等の吸収液成分および水分を含有する吸収液に吸収される。このことにより、吸収液がリッチ液となる。吸収塔からは、二酸化炭素を放出したプラント排ガスが排出される。二酸化炭素を吸収したリッチ液は再生塔に供給される。再生塔に供給されたリッチ液は加熱されて二酸化炭素を放出し、リーン液となる。再生塔からは、放出された二酸化炭素が蒸気とともに排出される。このことにより、二酸化炭素を分離して回収することができる。リーン液は、吸収塔に戻されて、吸収塔において再び二酸化炭素を吸収してリッチ液となる。二酸化炭素回収システムにおいては、吸収液が吸収塔と再生塔とを循環し、プラント排ガスに含有される二酸化炭素が連続的に回収される。
【0004】
再生塔における吸収液の加熱に必要な熱量に応じて、種々の加熱方式から任意の加熱方式が選択される。一例として、発電所等の上位設備等から蒸気が供給されるリボイラーを用いて、吸収液を加熱する場合がある。他の例としては、ジュール熱により吸収液を加熱する電気ヒータが挙げられる。
【0005】
上述したリボイラーには、火力発電プラントにおいて発電に用いられる蒸気の一部が供給される場合がある。この場合、火力発電プラントにおける発電量が低下し得る。製鉄プラント等の他のプラントでは、敷地内の他の設備から熱を回収して吸収液の加熱に用いる場合があるが、熱の回収には困難を伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-48160号公報
【特許文献2】特開2004-237167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、二酸化炭素回収システムの外部からの熱エネルギの供給量を低減することができる二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システム、二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施の形態による二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システムは、二酸化炭素回収システムの再生塔内の吸収液を加熱するためのシステムである。吸収液加熱システムは、再生塔から排出された二酸化炭素含有ガスからメタンを合成するメタン製造装置と、再生塔から排出された吸収液を加熱して再生塔に供給するメタンリボイラーと、を備えている。メタンリボイラーは、メタン製造装置において合成されたメタンを加熱媒体として吸収液を加熱する。
【0009】
実施の形態による二酸化炭素回収システムは、処理対象排ガスに含有される二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔と、吸収塔から排出された吸収液から二酸化炭素を放出させる再生塔であって、二酸化炭素を含有する二酸化炭素含有ガスを排出するとともに吸収液を排出する再生塔と、上述の二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システムと、を備えている。
【0010】
実施の形態による二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱方法は、二酸化炭素回収システムの再生塔内の吸収液を加熱するための方法である。吸収液加熱方法は、再生塔から排出された二酸化炭素含有ガスからメタンを合成する工程と、合成されたメタンを加熱媒体として、再生塔から排出された吸収液を加熱する工程と、加熱された吸収液を再生塔に供給する工程と、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、二酸化炭素回収システムの外部からの熱エネルギの供給量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態による二酸化炭素回収システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1の二酸化炭素回収システムによる吸収液加熱システムの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第2の実施の形態による吸収液加熱システムの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第3の実施の形態による吸収液加熱システムの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す吸収液加熱システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態による二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システム、二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱方法について説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
【0015】
まず、本実施の形態による二酸化炭素回収システム10について、
図1を用いて説明する。二酸化炭素回収システム10は、プラント排ガスG1に含有されている二酸化炭素を回収するためのシステムである。プラント排ガスG1の例としては、火力発電プラントにおけるボイラから排出された排ガス等が挙げられるが、これに限られることはない。
【0016】
図1に示すように、二酸化炭素回収システム10は、吸収部21(充填層)を含む吸収塔20と、再生部31(充填層)を含む再生塔30と、を備えている。このうち吸収部21は、プラント排ガスG1に含有される二酸化炭素をリーン液L2(吸収液)に吸収させるように構成されている。再生部31は、吸収塔20から排出されたリッチ液L1(吸収液)から二酸化炭素を放出させるように構成されている。再生部31において、リッチ液L1がリーン液L2に再生される。吸収部21は、1つの充填層で構成されていてもよく、2つ以上の充填層で構成されていてもよい。再生部31も同様である。吸収部21および再生部31は、充填層の代わりに、図示しないトレイ等の反応部で構成されていてもよい。
【0017】
吸収塔20には、二酸化炭素を含有するプラント排ガスG1(処理対象排ガス)が、プラント排ガスライン22から供給される。プラント排ガスG1は、吸収塔20の下部に供給されて、吸収塔20の内部で吸収部21に向かって上昇する。一方、吸収塔20の上部には、後述するリーン液ライン42からリーン液L2が供給される。リーン液L2は、吸収塔20の内部で吸収部21に向かって分散落下する。吸収部21は、向流型気液接触装置として構成されており、吸収部21において、プラント排ガスG1とリーン液L2とが気液接触する。プラント排ガスG1に含有される二酸化炭素がリーン液L2に吸収され、これにより、リッチ液L1が生成される。リッチ液L1は、吸収塔20の底部に一旦貯留され、当該底部から、後述するリッチ液ライン41に排出される。プラント排ガスG1は、リーン液L2と気液接触することにより二酸化炭素が除去される。プラント排ガスG1は、吸収塔排ガスG2として吸収塔20の頂部から排出される。
【0018】
吸収塔20と再生塔30との間には、再生熱交換器40が設けられている。吸収塔20と再生塔30とは、リッチ液ライン41およびリーン液ライン42によって連結されている。リッチ液ライン41およびリーン液ライン42には再生熱交換器40が設けられている。リッチ液ライン41に、リッチ液ポンプ43が設けられている。吸収塔20から排出されたリッチ液L1は、リッチ液ポンプ43によって再生熱交換器40を介して再生塔30に供給される。再生熱交換器40は、リッチ液ライン41を流れるリッチ液L1を、リーン液ライン42を流れるリーン液L2と熱交換させる。リーン液L2が熱源となってリッチ液L1が加熱される。再生熱交換器40から排出されたリッチ液L1は、再生塔30に供給される。
【0019】
再生塔30の下部に、後述する水蒸気リボイラー51およびメタンリボイラー60から、吸収液蒸気S2が供給される。吸収液蒸気S2は、再生塔30の内部で再生部31に向かって上昇する。一方、再生塔30の上部には、リッチ液ライン41からリッチ液L1が供給される。リッチ液L1は、再生塔30の内部で再生部31に向かって分散落下する。再生部31は、向流型気液接触装置として構成されており、再生部31において、吸収液蒸気S2とリッチ液L1とが気液接触する。リッチ液L1は加熱され、リッチ液L1から二酸化炭素が放出され、これにより、リーン液L2が生成される。リーン液L2は、再生塔30の底部に一旦貯留され、当該底部からリーン液ライン42に排出される。吸収液蒸気S2は、リッチ液L1と気液接触することにより二酸化炭素を同伴して上昇する。吸収液蒸気S2は、二酸化炭素および水蒸気を含有する再生塔排ガスG3として、再生塔30の頂部から排出される。
【0020】
リーン液ライン42には、リーン液ポンプ44が設けられている。再生塔30から排出されたリーン液L2は、リーン液ポンプ44によって再生熱交換器40を介して吸収塔20に供給される。再生熱交換器40は、リーン液ライン42を流れるリーン液L2を、リッチ液ライン41を流れるリッチ液L1と熱交換させる。リーン液L2は、リッチ液L1によって冷却される。リーン液ライン42に、リーン液冷却器45が設けられている。リーン液L2は、リーン液冷却器45によって更に冷却される。リーン液冷却器45に、二酸化炭素回収システム10の外部から冷却水が供給され、リーン液L2を冷却する。冷却されたリーン液L2は、吸収塔20に供給される。
【0021】
このようにして、吸収液は、吸収塔20と再生塔30とを循環し、吸収塔20において二酸化炭素を吸収してリッチ液L1となり、再生塔30において二酸化炭素を放出してリーン液L2となる。なお、吸収液には、例えば、モノエタノールアミン(monoethanolamine)、ジエタノールアミン(diethanolamine)等のアミン化合物水溶液を好適に用いることができるが、このようなアミンの種類に限定されない。また、1種類以上のアミンを含有する水溶液で構成されていてもよい。
【0022】
図示しないが、吸収塔20は、1つ以上の洗浄部を有していてもよい。洗浄部は、吸収部21から排出されるプラント排ガスG1を洗浄水で洗浄して、プラント排ガスG1に同伴する吸収液成分を回収する。吸収塔20は、プラント排ガスG1を冷却する冷却部を有していてもよい。
【0023】
本実施の形態による二酸化炭素回収システム10は、再生塔30内のリッチ液L1を加熱するための吸収液加熱システム50を更に備えている。この吸収液加熱システム50について、
図2を用いて以下に説明する。
【0024】
図2に示すように、本実施の形態による吸収液加熱システム50は、水蒸気リボイラー51と、メタンリボイラー60と、メタン製造装置70と、制御装置80と、を備えている。
【0025】
水蒸気リボイラー51は、再生塔30から排出されたリーン液L2を加熱して再生塔30に供給するように構成されている。水蒸気リボイラー51は、二酸化炭素回収システム10の外部から供給される水蒸気S1を加熱媒体としてリーン液L2を加熱する。水蒸気リボイラー51においてリーン液L2と水蒸気S1とが熱交換する。このことにより、リーン液L2は加熱されて吸収液蒸気S2となる。水蒸気S1は冷却されて凝縮し、凝縮水Cとなる。水蒸気リボイラー51は、シェル&チューブ型の熱交換器として構成されていてもよく、またはケトル型の熱交換器として構成されていてもよく、水蒸気リボイラー51の構成は任意である。
【0026】
より具体的には、再生塔30の底部に第1水蒸気リボイラーライン52が接続されている。第1水蒸気リボイラーライン52に、水蒸気リボイラー51が接続されており、再生塔30から排出されたリーン液L2は、第1水蒸気リボイラーライン52を通って水蒸気リボイラー51に供給される。第1水蒸気リボイラーライン52は、リーン液ライン42を介して再生塔30に接続されていてもよい。第1水蒸気リボイラーライン52は、リーン液ライン42から分岐するように第1水蒸気リボイラーライン52に接続されていてもよい。第1水蒸気リボイラーライン52の分岐点P1は、上述したリーン液ポンプ44の上流側に配置されている。
【0027】
水蒸気リボイラー51に、第2水蒸気リボイラーライン53が接続されている。第2水蒸気リボイラーライン53は、再生塔30の下部に接続されており、水蒸気リボイラー51において生成された吸収液蒸気S2は、第2水蒸気リボイラーライン53を通って再生塔30に供給される。第2水蒸気リボイラーライン53と再生塔30との接続点は、リーン液ライン42と再生塔30との接続点よりも高い位置に配置されている。
【0028】
水蒸気リボイラー51に、水蒸気供給ライン54が接続されている。水蒸気供給ライン54は、二酸化炭素回収システム10の外部から水蒸気リボイラー51に水蒸気S1を供給するように構成されている。例えば、二酸化炭素回収システム10が火力発電プラントに設置されている場合、ボイラの蒸気発生器等から水蒸気S1が供給されてもよい。
【0029】
水蒸気供給ライン54に、水蒸気流量調節弁54Vが設けられていてもよい。水蒸気流量調節弁54Vは、水蒸気リボイラー51への水蒸気S1の供給流量を調節するための弁である。水蒸気流量調節弁54Vは電動操作弁であってもよく、水蒸気流量調節弁54Vの開度は制御装置80により制御されてもよい。制御装置80は、後述する第1ガス流量計71Fにより計測された流量に基づいて、水蒸気流量調節弁54Vの開度を制御してもよい。この場合、水蒸気リボイラー51に供給される水蒸気S1の流量が、所望の流量に調節される。水蒸気流量調節弁54Vは、再生塔排ガスG3の流量が少ない場合に開くようにしてもよい。例えば、メタンリボイラー60によってリーン液L2を加熱する運用を行っている間、再生塔排ガスG3の流量が目標流量に達していない場合に、水蒸気流量調節弁54Vを開くようにしてもよい。この場合、再生塔30への吸収液蒸気S2の供給量を増大させることができ、再生塔排ガスG3の流量を増大できる。このことにより、リッチ液L1からの二酸化炭素の放出効率を向上させることができる。
【0030】
水蒸気リボイラー51に、水蒸気排出ライン55が接続されている。水蒸気排出ライン55は、水蒸気リボイラー51において凝縮した凝縮水Cを、水蒸気リボイラー51から排出するように構成されている。凝縮水Cは、二酸化炭素回収システム10の外部に供給してもよい。
【0031】
メタンリボイラー60は、再生塔30から排出されたリーン液L2を加熱して再生塔30に供給するように構成されている。メタンリボイラー60は、メタン製造装置70において合成されたメタンM1を加熱媒体としてリーン液L2を加熱する。メタンM1は、後述するように、水蒸気を含有した高温のメタンガスであってもよい。メタンリボイラー60においてリーン液L2とメタンM1とが熱交換する。このことにより、リーン液L2は加熱されて吸収液蒸気S2となる。メタンM1は冷却される。このことにより、メタンM1に含有している水蒸気が凝縮した凝縮水を含むメタンガスとなって、メタンM2としてメタンリボイラー60から排出される。メタンリボイラー60は、シェル&チューブ型の熱交換器として構成されていてもよく、またはケトル型の熱交換器として構成されていてもよく、メタンリボイラー60の構成は任意である。
【0032】
本実施の形態においては、メタンリボイラー60および水蒸気リボイラー51は、再生塔30に並列に接続されている。
【0033】
より具体的には、メタンリボイラー60に、第1メタンリボイラーライン61が接続されている。第1メタンリボイラーライン61は、再生塔30から排出されたリーン液L2をメタンリボイラー60に供給する。第1メタンリボイラーライン61は、リーン液ライン42および第1水蒸気リボイラーライン52を介して再生塔30に接続されていてもよい。第1メタンリボイラーライン61は、第1水蒸気リボイラーライン52から分岐点P2で分岐するように、第1水蒸気リボイラーライン52に接続されていてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、第1メタンリボイラーライン61は、リーン液ライン42および第1水蒸気リボイラーライン52に接続されることなく、再生塔30に直接的に接続されていてもよい。
【0034】
第1メタンリボイラーライン61に、メタンリボイラー弁61Vが設けられていてもよい。メタンリボイラー弁61Vは、メタンリボイラー60へのリーン液L2の供給を制御するための弁である。メタンリボイラー弁61Vは、リーン液L2の供給のON/OFFを切り替える切替弁として構成されていてもよく、リーン液L2の供給量を調節する流量調節弁として構成されていてもよい。メタンリボイラー弁61Vは電動操作弁であってもよく、制御装置80により制御されてもよい。
【0035】
メタンリボイラー60に、第2メタンリボイラーライン62が接続されている。第2メタンリボイラーライン62は、再生塔30の下部に接続されており、メタンリボイラー60において生成された吸収液蒸気S2は、第2メタンリボイラーライン62を通って再生塔30に供給される。第2メタンリボイラーライン62は、第2水蒸気リボイラーライン53に接続されることなく、再生塔30に直接的に接続されていてもよい。第2メタンリボイラーライン62と再生塔30との接続点は、リーン液ライン42と再生塔30との接続点よりも高い位置に配置されている。しかしながら、このことに限られることはなく、第2メタンリボイラーライン62は、第2水蒸気リボイラーライン53と合流していてもよい。
【0036】
メタンリボイラー60に、後述する第2メタンライン77が接続されており、第2メタンライン77からメタンリボイラー60にメタンM1が供給される。メタンリボイラー60に、後述する第3メタンライン78が接続されており、メタンリボイラー60から第3メタンライン78にメタンM2が排出される。
【0037】
メタン製造装置70は、再生塔30から排出された再生塔排ガスG3(二酸化炭素含有ガス)からメタンM1を合成するように構成されている。メタン製造装置70に、再生塔30から排出された再生塔排ガスG3が供給される。
【0038】
より具体的には、再生塔30の頂部に第1ガスライン71が接続されている。第1ガスライン71に煙突(図示せず)が接続されており、再生塔排ガスG3は、第1ガスライン71を通って煙突に供給可能に構成されている。
【0039】
第1ガスライン71に、第1ガス圧力調節弁71Vが設けられていてもよい。第1ガス圧力調節弁71Vは、再生塔30の内部圧力を調節するための弁である。第1ガス圧力調節弁71Vは電動操作弁であってもよく、制御装置80により制御されてもよい。再生塔30に、再生塔圧力計30Pが設けられていてもよい。再生塔圧力計30Pは再生塔30の内部圧力を計測し、計測された圧力値は、制御装置80に送信される。制御装置80は、再生塔圧力計30Pにより計測された内部圧力に基づいて、第1ガス圧力調節弁71Vの開度を制御してもよい。このようにして、再生塔30の内部圧力が、所望の圧力に調節される。
【0040】
第1ガスライン71に、第1ガス流量計71Fが設けられていてもよい。第1ガス流量計71Fは、再生塔30から排出された再生塔排ガスG3の流量を計測し、計測された流量値は、制御装置80に送信される。第1ガス流量計71Fは、第1ガス圧力調節弁71Vの下流側に配置されていてもよいが、第1ガス圧力調節弁71Vの上流側に配置されていてもよい。
【0041】
第1ガスライン71に、煙突入口弁72が設けられていてもよい。煙突入口弁72は、煙突への再生塔排ガスG3の供給を制御するための弁である。煙突入口弁72は、再生塔排ガスG3の供給のON/OFFを切り替える切替弁として構成されていてもよく、再生塔排ガスG3の供給量を調節する流量調節弁として構成されていてもよい。メタン製造装置70を停止するとともに、二酸化炭素圧縮設備100への再生塔排ガスG3の供給を停止する場合、煙突入口弁72を開く。このことにより、再生塔排ガスG3を煙突に供給することができる。煙突入口弁72は、第1ガス流量計71Fの下流側に配置されていてもよい。煙突入口弁72は制御装置80により制御されない手動操作弁であってもよいが、制御装置80により制御される電動操作弁であってもよい。
【0042】
第1ガスライン71に、第2ガスライン73が接続されている。第2ガスライン73は、第1ガスライン71を介して再生塔30に接続されている。第2ガスライン73は、第1ガスライン71から分岐するように第1ガスライン71に接続されていてもよい。第2ガスライン73は、メタン製造装置70に接続されており、再生塔30から排出された再生塔排ガスG3は、第1ガスライン71および第2ガスライン73を通って、メタン製造装置70に供給される。第2ガスライン73の分岐点P3は、上述した第1ガス流量計71Fの下流側に配置されている。
【0043】
第2ガスライン73に、第2ガス流量調節弁73Vおよび第2ガス流量計73Fが設けられていてもよい。第2ガス流量調節弁73Vは、メタン製造装置70に供給される再生塔排ガスG3の流量を調節するための弁である。第2ガス流量調節弁73Vは電動操作弁であってもよく、制御装置80により制御されてもよい。第2ガス流量計73Fは、メタン製造装置70に供給される再生塔排ガスG3の流量を計測し、計測された流量値は制御装置80に送信される。制御装置80は、第2ガス流量計73Fにより計測された流量に基づいて、第2ガス流量調節弁73Vの開度を制御してもよい。このようにして、メタン製造装置70に供給される再生塔排ガスG3の流量が、所望の流量に調節される。第2ガス流量計73Fは、第2ガス流量調節弁73Vの下流側に配置されていてもよいが、第2ガス流量調節弁73Vの上流側に配置されていてもよい。第2ガス流量調節弁73Vを閉じることにより、メタン製造装置70への再生塔排ガスG3の供給を停止することができる。この場合、メタン製造装置70のメンテナンス等を行うことができる。
【0044】
第1ガスライン71に、第3ガスライン74が接続されている。第3ガスライン74は、第1ガスライン71を介して再生塔30に接続されている。第3ガスライン74は、第1ガスライン71から分岐するように第1ガスライン71に接続されていてもよい。第3ガスライン74は、再生塔排ガスG3を圧縮する二酸化炭素圧縮設備100(
図4参照)に接続されていてもよい。再生塔30から排出された再生塔排ガスG3は、第1ガスライン71および第3ガスライン74を通って、圧縮設備100に供給される。第3ガスライン74の分岐点P4は、第2ガスライン73の分岐点P3よりも下流側に配置されるとともに、煙突入口弁72よりも上流側に配置されている。
【0045】
第3ガスライン74に、第3ガス流量調節弁74Vおよび第3ガス流量計74Fが設けられていてもよい。第3ガス流量調節弁74Vは、二酸化炭素圧縮設備100に供給される再生塔排ガスG3の流量を調節するための弁である。第3ガス流量調節弁74Vは電動操作弁であってもよく、制御装置80により制御されてもよい。第3ガス流量計74Fは、二酸化炭素圧縮設備100に供給される再生塔排ガスG3の流量を計測し、計測された流量値は制御装置80に送信される。制御装置80は、第3ガス流量計74Fにより計測された流量に基づいて、第3ガス流量調節弁74Vの開度を制御してもよい。このようにして、二酸化炭素圧縮設備100に供給される再生塔排ガスG3の流量が、所望の流量に調節される。第3ガス流量計74Fは、第3ガス流量調節弁74Vの下流側に配置されていてもよいが、第3ガス流量調節弁74Vの上流側に配置されていてもよい。第3ガス流量調節弁74Vを閉じることにより、二酸化炭素圧縮設備100への再生塔排ガスG3の供給を停止することができる。この場合、二酸化炭素圧縮設備100のメンテナンス等を行うことができる。
【0046】
第1ガスライン71に、図示しない洗浄部が設けられていてもよい。洗浄部は、再生塔排ガスG3を洗浄水で洗浄して、再生塔排ガスG3に同伴する吸収液成分を回収する。洗浄部は、例えば、再生塔30と、第2ガスライン73の分岐点P3との間に配置されていてもよく、第2ガスライン73の分岐点P3と第3ガスライン74の分岐点P4との間に配置されていてもよい。あるいは、洗浄部は、第3ガスライン74の分岐点P4と煙突との間に配置されていてもよい。
【0047】
メタン製造装置70に、水素供給ライン75が接続されている。水素供給ライン75は、メタン製造装置70に水素を供給するように構成されている。水素供給ライン75は、水素を貯蔵する水素貯蔵設備(図示せず)に接続されていてもよく、水素を合成する水素製造装置(図示せず)に接続されていてもよい。水素供給ライン75に、メタン製造装置70に供給される水素の流量を調節するための水素流量調節弁(図示せず)が設けられていてもよい。水素流量調節弁は電動操作弁であってもよく、制御装置80により制御されてもよい。
【0048】
メタン製造装置70は、第2ガスライン73から供給される再生塔排ガスG3と、水素供給ライン75から供給される水素からメタンM1を合成する。例えば、以下に示すようなメタネーション反応で、メタンM1が合成されてもよい。この反応は発熱反応であり、合成されたメタンM1は、水蒸気を含有した高温のメタンガスとなっている。メタンガスの温度は、上述した水蒸気リボイラー51に供給される水蒸気の温度よりも高くてもよい。
CO2+4H2→CH4+2H2O
【0049】
メタン製造装置70に、第1メタンライン76が接続されている。第1メタンライン76は、メタン製造装置70からメタンM1を排出し、図示しないメタン下流設備に接続されていてもよい。メタン製造装置70において合成されたメタンM1は、メタン下流設備に供給される。メタン下流設備の例としては、メタン圧縮設備または発電設備等が挙げられるが、メタン下流設備は任意である。
【0050】
第1メタンライン76に、第1メタン流量調節弁76Vおよび第1メタン流量計76Fが設けられていてもよい。第1メタン流量調節弁76Vは、メタン下流設備に供給されるメタンM1の流量を調整するための弁である。第1メタン流量調節弁76Vは電動操作弁であってもよく、制御装置80により制御されてもよい。第1メタン流量計76Fは、メタン製造装置70から排出されるメタンM1の流量を計測し、計測された流量値は制御装置80に送信される。制御装置80は、第1メタン流量計76Fにより計測された流量に基づいて、第1メタン流量調節弁76Vの開度を制御してもよい。このようにして、メタン製造装置70からメタン下流設備に供給されるメタンM1の流量が、所望の流量に調節される。第1メタン流量計76Fは、第1メタン流量調節弁76Vの上流側に配置されていてもよい。
【0051】
第1メタンライン76に、第2メタンライン77が接続されている。第2メタンライン77は、メタンリボイラー60に接続されている。第2メタンライン77は、メタン製造装置70から排出されたメタンM1を、メタンリボイラー60に供給する。第2メタンライン77は、第1メタンライン76を介してメタン製造装置70に接続されている。第2メタンライン77は、第1メタンライン76から分岐するように、第1メタンライン76に接続されていてもよい。第2メタンライン77の分岐点P5は、第1メタン流量計76Fと第1メタン流量調節弁76Vとの間に配置されている。しかしながら、このことに限られることはなく、第2メタンライン77は、第1メタンライン76に接続されることなく、メタン製造装置70に直接的に接続されていてもよい。
【0052】
第2メタンライン77に、第2メタン流量調節弁77Vおよび第2メタン流量計77Fが設けられていてもよい。第2メタン流量調節弁77Vは、メタンリボイラー60に供給されるメタンM1の流量を調整するための弁である。第2メタン流量調節弁77Vは電動操作弁であって、制御装置80により制御されてもよい。第2メタン流量計77Fは、メタンリボイラー60に供給されるメタンM1の流量を計測し、計測された流量値は制御装置80に送信される。制御装置80は、第2メタン流量計77Fにより計測された流量に基づいて、第2メタン流量調節弁77Vの開度を制御してもよい。このようにして、メタン製造装置70からメタンリボイラー60に供給されるメタンM1の流量が、所望の流量に調節される。第2メタン流量計77Fは、第2メタン流量調節弁77Vの下流側に配置されていてもよいが、第2メタン流量調節弁77Vの上流側に配置されていてもよい。第2メタン流量調節弁77Vを閉じることにより、メタンリボイラー60へのメタンM1の供給を停止することができる。この場合、メタンリボイラー60のメンテナンス等を行うことができる。また、この場合、メタン製造装置70から排出されたメタンM1は、第1メタンライン76を通ってメタン下流設備に供給することができ、メタン製造装置70によるメタンM1の合成を継続することができる。
【0053】
メタンリボイラー60に、第3メタンライン78が接続されている。第3メタンライン78は、メタンリボイラー60にも接続されている。第3メタンライン78は、メタンリボイラー60において生成された凝縮水を含有するメタンM2を、メタンリボイラー60から排出して、第1メタンライン76に供給するように構成されている。第3メタンライン78は、第1メタンライン76に合流して、メタンM2をメタン下流設備に供給するようにしもよい。第3メタンライン78の合流点P6は、第1メタン流量調節弁76Vの下流側に配置されていてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、第3メタンライン78は、第1メタンライン76に接続することなく、メタン下流設備に直接的に接続されていてもよい。
【0054】
制御装置80は、上述したように、水蒸気流量調節弁54V、第1ガス圧力調節弁71V、第2ガス流量調節弁73V、第3ガス流量調節弁74V、メタンリボイラー弁61V、第1メタン流量調節弁76Vおよび第2メタン流量調節弁77Vを制御する制御装置80は、二酸化炭素回収システム10を制御する制御装置(図示せず)とは別体に構成されていてもよいが、二酸化炭素回収システム10を制御する制御装置と一体に構成されていてもよい。
【0055】
次に、本実施の形態による二酸化炭素回収システムにおける二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱方法について説明する。
【0056】
二酸化炭素回収システム10の通常運転時、再生塔30から排出されたリーン液L2の一部は、第1水蒸気リボイラーライン52を通って水蒸気リボイラー51に供給される。一方、水蒸気流量調節弁54Vを開くことにより、水蒸気リボイラー51に、水蒸気S1が供給される。このことにより、リーン液L2は水蒸気S1と熱交換し、水蒸気S1を加熱媒体として加熱される。加熱されたリーン液L2は、吸収液蒸気S2となって、水蒸気リボイラー51から排出される。吸収液蒸気S2は、第2水蒸気リボイラーライン53を通って再生塔30に供給される。水蒸気S1は冷却されて凝縮し、凝縮水Cが生成される。凝縮水Cは、水蒸気排出ライン55に排出される。
【0057】
水蒸気リボイラー51から再生塔30に供給された吸収液蒸気S2は、再生塔30内のリッチ液L1を加熱する。このことにより、リッチ液L1の温度が上昇し、リッチ液L1から二酸化炭素が放出される。
【0058】
第1ガス圧力調節弁71Vを開くことにより、再生塔30から、二酸化炭素および水蒸気を含有する再生塔排ガスG3が第1ガスライン71に排出される。本実施の形態による吸収液加熱方法においては、再生塔30から排出された再生塔排ガスG3からメタンM1を合成する工程と、メタンM1を加熱媒体として、再生塔30から排出されたリーン液L2を加熱する工程と、加熱された吸収液蒸気S2を再生塔30に供給する工程、とが行われる。
【0059】
より具体的には、第2ガス流量調節弁73Vを開くことにより、第1ガスライン71に排出された再生塔排ガスG3が、第2ガスライン73を通ってメタン製造装置70に供給される。再生塔排ガスG3に含有される二酸化炭素と、水素供給ライン75から供給された水素とから、メタンM1が合成される。
【0060】
第2メタン流量調節弁77Vを開くことにより、メタン製造装置70において合成されたメタンM1は、メタン製造装置70から排出される。メタンM1は、第1メタンライン76および第2メタンライン77を通って、メタンリボイラー60に供給される。
【0061】
メタンリボイラー弁61Vを開くことにより、再生塔30から排出されたリーン液L2の一部は、メタンリボイラー60にも供給される。メタンリボイラー60に供給されたリーン液L2は、第2メタンライン77から供給されたメタンM1と熱交換し、メタンM1を加熱媒体として加熱される。メタンM1は冷却されてメタンM2となる。メタンM2は、第3メタンライン78に排出されて、メタン下流設備に供給される。
【0062】
メタンリボイラー60において加熱されたリーン液L2は、吸収液蒸気S2となって、メタンリボイラー60から排出される。吸収液蒸気S2は、第2メタンリボイラーライン62を通って再生塔30に供給される。
【0063】
上述したように、メタンリボイラー60に供給されるメタンM1の温度は、水蒸気リボイラー51に供給される水蒸気よりも高い。このことにより、メタンリボイラー60から再生塔30に供給された吸収液蒸気S2の温度は、水蒸気リボイラー51から再生塔30に供給された吸収液蒸気S2の温度よりも高い。このため、再生塔30内のリッチ液L1の温度を高めることができ、二酸化炭素の放出効率を向上させることができる。
【0064】
このように本実施の形態によれば、メタン製造装置70において、再生塔30から排出された二酸化炭素を含有する再生塔排ガスG3からメタンM1が合成される。メタンリボイラー60において、合成されたメタンM1を加熱媒体として、再生塔30から排出されたリーン液L2が加熱されて、再生塔30に供給される。このことにより、リーン液L2を加熱するために、再生塔排ガスG3を用いて合成されたメタンM1が有する熱エネルギを用いることができる。このため、二酸化炭素回収システム10の外部から加熱媒体として水蒸気リボイラー51に供給される水蒸気の供給量を低減することができる、または水蒸気の供給を不要とすることができる。この結果、二酸化炭素回収システム10の外部からの熱エネルギの供給量を低減することができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、水蒸気リボイラー51において、二酸化炭素回収システム10の外部から供給される水蒸気を加熱媒体として、再生塔30から排出されたリーン液L2が加熱されて、再生塔30に供給される。このことにより、リーン液L2を加熱するための熱エネルギを増大させることができる。このため、再生塔30内のリッチ液L1の温度を高めることができ、二酸化炭素の放出効率を向上させることができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、メタンリボイラー60および水蒸気リボイラー51は、再生塔30に並列に接続されている。このことにより、再生塔30から排出されたリーン液L2を、メタンリボイラー60および水蒸気リボイラー51のいずれかで加熱することができる。このため、メタンリボイラー60またはメタン製造装置70の異常発生時であっても、二酸化炭素回収システム10の運用を継続することができ、メタンリボイラー60および水蒸気リボイラー51のいずれか一方を停止することができる。この結果、二酸化炭素回収システム10の運用の柔軟性を向上させることができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、メタンリボイラー60へのリーン液L2の供給が、メタンリボイラー弁61Vによって制御される。このことにより、メタン製造装置70からメタンリボイラー60にメタンM1が供給される場合に、メタンリボイラー弁61Vを開いて、メタンリボイラー60にリーン液L2を供給することができる。一方、メタン製造装置70からメタンリボイラー60にメタンM1が供給されない場合、メタンリボイラー弁61Vを閉じて、メタンリボイラー60へのリーン液L2の供給を停止することができる。また、メタンリボイラー60またはメタン製造装置70の異常発生時に、メタンリボイラー弁61Vを閉じることにより、メタンリボイラー60へのリーン液L2の供給を停止することができる。メタンリボイラー60へのリーン液L2の供給を停止した場合、リーン液L2を水蒸気リボイラー51に供給することにより、二酸化炭素回収システム10の運用を継続することができる。このため、二酸化炭素回収システム10の運用の柔軟性を向上させることができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、メタン製造装置70から第1メタンライン76にメタンM1が排出されるとともに、メタン製造装置70から第2メタンライン77を通ってメタンリボイラー60にメタンM1が供給される。メタンリボイラー60から排出されたメタンM2は、第3メタンライン78を通って、第1メタンライン76に供給される。このことにより、メタン製造装置70において合成されたメタンM1を、メタンリボイラー60に供給するか否かを選択することができる。このため、メタンリボイラー60の異常発生時に、メタン製造装置70から排出されたメタンM1がメタンリボイラー60に供給されることを回避でき、二酸化炭素回収システム10の運用の柔軟性を向上させることができる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、メタン製造装置70に、水素供給ライン75から水素が供給される。このことにより、メタン製造装置70において、水素供給ライン75から供給された水素と、二酸化炭素を含有する再生塔排ガスG3からメタンM1を合成することができる。このため、メタン製造装置70において、メタネーション反応を用いてメタンM1を合成することができる。メタネーション反応は、発熱反応であるため、合成されたメタンM1の温度を高くすることができる。この結果、メタンM1が有する熱エネルギを増大させることができ、再生塔30内のリッチ液L1の温度を高めることができる。
【0070】
なお、上述した本実施の形態においては、第1メタンライン76に、第1メタン流量調節弁76Vおよび第1メタン流量計76Fが設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、メタン製造装置70に、メタン製造装置70の内部圧力を計測する圧力計(図示せず)が設けられるとともに、第1メタンライン76に、メタン圧力調節弁(図示せず)が設けられていてもよい。メタン圧力調節弁は、メタン製造装置70の内部圧力を調節するための弁としてもよい。メタン圧力計は、計測された圧力値を制御装置80に送信し、制御装置80は、メタン圧力計により計測された内部圧力に基づいて、メタン圧力調節弁の開度を制御してもよい。この場合、メタン製造装置70の内部圧力が、所望の圧力に調節される。
【0071】
(第2の実施の形態)
次に、
図3を用いて、本発明の第2の実施の形態による二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システム、二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱方法について説明する。
【0072】
図3に示す第2の実施の形態においては、メタンリボイラーおよび水蒸気リボイラーが、再生塔に直列に接続されている点が主に異なり、他の構成は、
図1および
図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図3において、
図1および
図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0073】
図3に示すように、本実施の形態においては、メタンリボイラー60および水蒸気リボイラー51は、再生塔30に直列に接続されている。メタンリボイラー60は、水蒸気リボイラー51の下流側に配置されている。
【0074】
より具体的には、第2水蒸気リボイラーライン53に、第1メタンリボイラーライン61が接続されている。水蒸気リボイラー51から第2水蒸気リボイラーライン53に排出されたリーン液L2は、第1メタンリボイラーライン61を通ってメタンリボイラー60に供給可能になっている。
【0075】
水蒸気リボイラー51ラインとメタンリボイラー60ラインは、三方弁90を介して接続されていてもよい。三方弁90は、水蒸気リボイラー51から排出されたリーン液L2の供給先を、メタンリボイラー60および再生塔30のいずれかに切り替え可能に構成されている。
【0076】
より具体的には三方弁90は、第3水蒸気リボイラーライン91を介して再生塔30に接続されている。すなわち、三方弁90は、第2水蒸気リボイラーライン53と、第1メタンリボイラーライン61と、第3水蒸気リボイラーライン91に接続されている。三方弁90は、第2水蒸気リボイラーライン53と第3水蒸気リボイラーライン91を連通する状態と、第2水蒸気リボイラーライン53と第1メタンリボイラーライン61を連通する状態とに、切り替え可能に構成されている。
【0077】
第2メタンリボイラーライン62および第3水蒸気リボイラーライン91は、互いに接続されることなく、再生塔30に直接的に接続されている。第3水蒸気リボイラーライン91と再生塔30との接続点は、リーン液ライン42と再生塔30との接続点よりも高い位置に配置されている。しかしながら、このことに限られることはなく、第2メタンリボイラーライン62は、第3水蒸気リボイラーライン91と合流していてもよい。
【0078】
このように本実施の形態によれば、メタンリボイラー60および水蒸気リボイラー51は、再生塔30に直列に接続され、メタンリボイラー60は、水蒸気リボイラー51の下流側に配置されている。このことにより、再生塔30から排出されたリーン液L2を、水蒸気リボイラー51おおびメタンリボイラー60にこの順番で供給して加熱することができる。このため、水蒸気リボイラー51で加熱されたリーン液L2を、メタンリボイラー60で更に加熱することができ、リーン液L2の温度をより一層高めることができる。この結果、再生塔30内のリッチ液L1の温度を高めることができ、二酸化炭素の放出効率を向上させることができる。
【0079】
また、本実施の形態によれば、水蒸気リボイラー51とメタンリボイラー60は、三方弁90を介して接続されている。三方弁90は、水蒸気リボイラー51から排出されたリーン液L2の供給先を、メタンリボイラー60および再生塔30のいずれかに切り替え可能になっている。このことにより、水蒸気リボイラー51から排出されたリーン液L2を、メタンリボイラー60に供給することなく、再生塔30に供給することができる。このため、二酸化炭素回収システム10の運用を継続しながら、メタンリボイラー60を停止することができ、二酸化炭素回収システム10の運用の柔軟性を向上させることができる。
【0080】
(第3の実施の形態)
次に、
図4および
図5を用いて、本発明の第3の実施の形態による二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱システム、二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システム用の吸収液加熱方法について説明する。
【0081】
図4および
図5に示す第3の実施の形態においては、メタン製造装置に、圧縮された再生塔排ガスが供給される点が主に異なり、他の構成は、
図1および
図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図4および
図5において、
図1および
図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0082】
図4に示すように、本実施の形態による吸収液加熱システム50は、再生塔排ガスG3を圧縮する二酸化炭素圧縮設備100(圧縮部)を備えている。メタン製造装置70に、二酸化炭素圧縮設備100を通った再生塔排ガスG3が供給される。
【0083】
より具体的には、第3ガスライン74に、二酸化炭素圧縮設備100が接続されている。第2ガスライン73は、二酸化炭素圧縮設備100に接続されている。第3ガスライン74に供給された再生塔排ガスG3は、二酸化炭素圧縮設備100に供給されて圧縮される。圧縮された再生塔排ガスG3は、二酸化炭素圧縮設備100から排出される。
【0084】
本実施の形態による第2ガスライン73は、第1ガスライン71ではなく、二酸化炭素圧縮設備100に接続されている。二酸化炭素圧縮設備100から排出された再生塔排ガスG3は、第2ガスライン73を通ってメタン製造装置70に供給される。
【0085】
図2に示す形態と同様にして、第2ガスライン73に、第2ガス流量調節弁73Vおよび第2ガス流量計73Fが設けられていてもよい。第2ガス流量調節弁73Vは、二酸化炭素圧縮設備100からメタン製造装置70に供給される再生塔排ガスG3の流量を調節するための弁である。第2ガス流量計73Fは、二酸化炭素圧縮設備100からメタン製造装置70に供給される再生塔排ガスG3の流量を計測し、計測された流量値は制御装置80に送信される。制御装置80は、第2ガス流量計73Fにより計測された流量に基づいて、第2ガス流量調節弁73Vの開度を制御してもよい。このようにして、二酸化炭素圧縮設備100からメタン製造装置70に供給される再生塔排ガスG3の流量が、所望の流量に調節される。第2ガス流量計73Fは、第2ガス流量調節弁73Vの下流側に配置されていてもよいが、第2ガス流量調節弁73Vの上流側に配置されていてもよい。第2ガス流量調節弁73Vを閉じることにより、メタン製造装置70への再生塔排ガスG3の供給を停止することができる。この場合、メタン製造装置70のメンテナンス等を行うことができる。
【0086】
第2ガスライン73に、第4ガスライン101が接続されている。第4ガスライン101は、第2ガスライン73から分岐するように第2ガスライン73に接続されていてもよい。第4ガスライン101は、図示しない貯蔵設備に接続されており、二酸化炭素圧縮設備100で圧縮された再生塔排ガスG3は、第4ガスライン101を通って貯蔵設備に供給される。第4ガスライン101の分岐点P7は、上述した第2ガス流量調節弁73Vの上流側に配置されている。
【0087】
第4ガスライン101に、第4ガス流量調節弁101Vおよび第4ガス流量計101Fが設けられていてもよい。第4ガス流量調節弁101Vは、上述した貯蔵設備に供給される再生塔排ガスG3の流量を調節するための弁である。第4ガス流量調節弁101Vは電動操作弁であってもよく、制御装置80により制御されてもよい。第4ガス流量計101Fは、貯蔵設備に供給される再生塔排ガスG3の流量を計測し、計測された流量値は、制御装置80に送信される。制御装置80は、第4ガス流量計101Fにより計測された流量に基づいて、第4ガス流量調節弁101Vの開度を制御してもよい。このようにして、貯蔵設備に供給される再生塔排ガスG3の流量が、所望の流量に調節される。第4ガス流量計101Fは、第4ガス流量調節弁101Vの下流側に配置されていてもよいが、第4ガス流量調節弁101Vの上流側に配置されていてもよい。第4ガス流量調節弁101Vを閉じることにより、貯蔵設備への再生塔排ガスG3の供給を停止することができる。
【0088】
このように本実施の形態によれば、メタン製造装置70に、二酸化炭素圧縮設備100を通って圧縮された再生塔排ガスG3が供給される。このことにより、メタン製造装置70への再生塔排ガスG3の供給量を増大させることができ、メタン製造装置70におけるメタンM1の合成量を増大させることができる。このため、メタンリボイラー60へのメタンM1の供給量を増大でき、リーン液L2の温度をより一層高めることができる。この結果、再生塔30内のリッチ液L1の温度を高めることができ、二酸化炭素の放出効率を向上させることができる。
【0089】
なお、上述した本実施の形態においては、メタンリボイラー60および水蒸気リボイラー51が、
図2に示す形態と同様にして再生塔30に並列に接続されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、メタンリボイラー60および水蒸気リボイラー51は、
図3に示す形態と同様にして再生塔30に直列に接続されていてもよい。この場合、
図3に示す形態と同様にして、水蒸気リボイラー51ラインとメタンリボイラー60ラインは、三方弁90を介して接続されていてもよい。
【0090】
以上述べた実施の形態によれば、二酸化炭素回収システムの外部からの熱エネルギの供給量を低減することができる。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0092】
10:二酸化炭素回収システム、20:吸収塔、30:再生塔、50:吸収液加熱システム、51:水蒸気リボイラー、60:メタンリボイラー、61V:メタンリボイラー弁、
70:メタン製造装置、75:水素供給ライン、76:第1メタンライン、77:第2メタンライン、78:第3メタンライン、90:三方弁、100:二酸化炭素圧縮設備、G1:プラント排ガス、G3:再生塔排ガス、L1:リッチ液、L2:リーン液、M1、M2:メタン、S1:水蒸気、