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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167378
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】空間浄化装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/12 20060101AFI20231116BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
A61L9/12
A61L9/01 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078526
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】山崎 嵩朗
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 泰典
(72)【発明者】
【氏名】横山 広大
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180CA06
4C180EA58X
4C180HH01
4C180HH05
4C180KK02
4C180KK10
4C180LL06
4C180LL11
(57)【要約】
【課題】不活化能力および所定空間内が不活化状態になったことを把握可能な空間浄化装置を提供する。
【解決手段】次亜塩素酸を生成する次亜塩素酸生成部5と、次亜塩素酸生成部5により生成された次亜塩素酸を所定空間に送風する送風部7と、次亜塩素酸生成部5と送風部7とを制御する制御部30と、次亜塩素酸濃度を検出する次亜塩素酸濃度検出部31と、少なくとも次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度と、送風部7による送風時間と、に基づいて所定空間における菌及び/又はウイルスを不活性化する能力である不活化能力を算出する不活化能力算出部34と、不活化能力算出部34により算出された所定空間の不活化能力が不活化閾値以上であれば、所定空間内が不活化状態との判定を行う判定部36と、を備える。これにより上記課題を解決するものである。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次亜塩素酸を生成する次亜塩素酸生成部と、
前記次亜塩素酸生成部により生成された前記次亜塩素酸を所定空間に送風する送風部と、
前記次亜塩素酸生成部と前記送風部とを制御する制御部と、
次亜塩素酸濃度を検出する次亜塩素酸濃度検出部と、
少なくとも前記次亜塩素酸濃度検出部により検出された次亜塩素酸濃度と、前記送風部による送風時間と、に基づいて前記所定空間における菌及び/又はウイルスを不活性化する能力である不活化能力を算出する不活化能力算出部と、
前記不活化能力算出部により算出された前記所定空間の前記不活化能力が不活化閾値以上であれば、前記所定空間内が不活化状態との判定を行う判定部と、を備える空間浄化装置。
【請求項2】
前記次亜塩素酸濃度検出部は、
前記所定空間の次亜塩素酸濃度を検出し、
前記不活化能力算出部は、
前記次亜塩素酸濃度検出部により検出された次亜塩素酸濃度と単位送風時間とを乗算することにより、単位送風時間あたりの前記不活化能力を算出し、
前記単位送風時間あたりの前記不活化能力を積算することで、前記所定空間の不活化能力を算出する請求項1記載の空間浄化装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記次亜塩素酸濃度検出部により検出された次亜塩素酸濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも小さければ、前記次亜塩素酸生成部による次亜塩素酸生成量の増加および前記送風部による送風量の増加の少なくとも一つを行い、
前記次亜塩素酸濃度検出部により検出された次亜塩素酸濃度が前記目標次亜塩素酸濃度よりも大きければ、前記次亜塩素酸生成部による次亜塩素酸生成量の減少および前記送風部による送風量の減少の少なくとも一つを行う請求項2に記載の空間浄化装置。
【請求項4】
前記送風部により送風される前記次亜塩素酸を前記所定空間に吹き出す吹出口を備え、
前記次亜塩素酸濃度検出部は、
前記吹出口から吹き出される次亜塩素酸濃度を検出し、
前記不活化能力算出部は、
前記次亜塩素酸濃度検出部により検出された次亜塩素酸濃度と、前記送風部による送風量と、単位送風時間と、を乗算することで単位送風時間あたりの次亜塩素酸放出量を算出し、
前記単位送風時間あたりの前記次亜塩素酸放出量を積算することで、積算次亜塩素酸放出量を算出し、
前記積算次亜塩素酸放出量と、前記所定空間の体積と、前記次亜塩素酸の分子量と、に基づいて前記所定空間の次亜塩素酸理論濃度を算出し、
前記次亜塩素酸理論濃度と、前記単位送風時間と、を乗算することで前記所定空間の単位送風時間あたりの前記不活化能力を算出し、
前記単位送風時間あたりの前記不活化能力を積算することで、前記所定空間の前記不活化能力を算出する請求項1に記載の空間浄化装置。
【請求項5】
前記不活化能力算出部は、
前記積算次亜塩素酸放出量を前記所定空間の体積で除算した除算値を算出し、
前記次亜塩素酸の分子量を標準状態における前記次亜塩素酸の気体の体積で除算した所定値にて前記除算値を除算することで前記次亜塩素酸理論濃度を算出する請求項4記載の空間浄化装置。
【請求項6】
前記不活化能力算出部は、
さらに前記所定空間の換気回数に基づいて前記所定空間の体積を補正する請求項4または5に記載の空間浄化装置。
【請求項7】
前記不活化能力算出部は、
前記所定空間の前記換気回数が多いほど、前記所定空間の体積を大きく補正する請求項6記載の空間浄化装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記不活化能力算出部により算出された前記次亜塩素酸理論濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも小さければ、前記次亜塩素酸生成部による次亜塩素酸生成量の増加および前記送風部による送風量の増加の少なくとも一つを行い、
前記不活化能力算出部により算出された前記次亜塩素酸理論が目標次亜塩素酸濃度よりも大きければ、前記次亜塩素酸生成部による次亜塩素酸生成量の減少および前記送風部による送風量の減少の少なくとも一つを行う請求項4から7のいずれかに記載の空間浄化装置。
【請求項9】
前記目標次亜塩素酸濃度を算出する目標次亜塩素酸濃度算出部を備え、
前記目標次亜塩素酸濃度算出部は、
前記不活化閾値を前記判定部により前記不活化状態との判定が行われるまでの目標時間である目標不活化完了時間で除算することで前記目標次亜塩素酸濃度を算出する請求項3または8に記載の空間浄化装置。
【請求項10】
ユーザが所望する前記目標不活化完了時間を受け付ける完了時間受付部を備え、
前記目標次亜塩素酸濃度算出部は、
前記不活化閾値を前記完了時間受付部に受け付けられた前記ユーザが所望する目標不活化完了時間で除算することで前記目標次亜塩素酸濃度を算出する請求項9に記載の空間浄化装置。
【請求項11】
ユーザが所望する前記目標次亜塩素酸濃度を受け付ける濃度受付部を備え、
前記制御部は、
前記濃度受付部に受け付けられた前記ユーザが所望する前記目標次亜塩素酸濃度を前記目標次亜塩素酸濃度とする請求項3または8に記載の空間浄化装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記判定部により前記不活化状態との判定が行われると、前記次亜塩素酸生成部による次亜塩素酸の生成および前記送風部による前記次亜塩素酸の送風を終了する請求項1から11のいずれかに記載の空間浄化装置。
【請求項13】
前記次亜塩素酸濃度検出部は、
塩素ガス濃度センサーであり、
前記塩素ガス濃度センサーが検出する塩素ガス濃度を前記次亜塩素酸濃度とする請求項1から12のいずれかに記載の空間浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
所定空間の病原体 (細菌、真菌、ウイルス等)を除菌するために、電気分解により次亜塩素酸を含む電解水を生成して放出する空間浄化装置としての空気浄化装置が知られている。従来の空気浄化装置は、吸気口と吹出口とを有する本体ケースに、空気浄化手段と、吸気口から空気浄化手段を介して吹出口までを連通する空気流路と、空気流路に吸気口から空気を送風する送風手段とを備える(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-174853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の空気浄化装置では、所定空間を除菌するために、所定空間に次亜塩素酸を含んだ空気を放出する。適切な除菌を実現するためには、所定空間に放出される次亜塩素酸による病原体を不活性化する能力である不活化能力が適切であることが重要である。不活化能力が適切とは、所定空間に放出される次亜塩素酸の量が適切ということである。
【0005】
しかしながら、従来の空気浄化装置では、不活化能力を把握できず、さらに、所定空間内の病原体が不活性化されて不活化状態になったことを把握することが困難であった。
【0006】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、不活化能力および所定空間内が不活化状態になったことを把握可能な空間浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る空間浄化装置は、次亜塩素酸を生成する次亜塩素酸生成部と、次亜塩素酸生成部により生成された次亜塩素酸を所定空間に送風する送風部と、次亜塩素酸生成部と送風部とを制御する制御部と、次亜塩素酸濃度を検出する次亜塩素酸濃度検出部と、少なくとも次亜塩素酸濃度検出部により検出された次亜塩素酸濃度と、送風部による送風時間と、に基づいて所定空間における菌及び/又はウイルスを不活性化する能力である不活化能力を算出する不活化能力算出部と、不活化能力算出部により算出された所定空間の不活化能力が不活化閾値以上であれば、所定空間内が不活化状態との判定を行う判定部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、不活化能力および所定空間内が不活化状態になったことを把握可能な空間浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る空間浄化装置の斜視図である。
図2】本実施の形態に係る空間浄化装置のパネルを開いた状態における斜視図である。
図3図2の空間浄化装置のA平面における断面図である。
図4図2の空間浄化装置のB平面における断面図である。
図5】本実施の形態に係る機能ブロック図である。
図6】実施の形態1に係る制御フローチャートである。
図7】実施の形態2に係る制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するために例示するものであって、本発明は以下のものに特定しない。特に実施の形態に記載されている材質、形状、構成要素、構成要素の配置及び相対的配置等は一例であって、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
(実施の形態1)
まず、本実施の形態である空間浄化装置Dについて説明する。空間浄化装置Dは、所定空間内に設置され、空間浄化装置Dが設置されている所定空間に存在する空気の浄化を行う装置である。空間浄化装置Dは、所定空間に次亜塩素酸を含んだ空気を放出することで、所定空間の病原体を不活性化することができる。所定空間に限定はないが、例えば居室である。
【0012】
図1は、空間浄化装置Dを前面側から見た斜視図である。図2は、図1のパネル3を開いた状態で空間浄化装置Dを前面側から見た斜視図である。
【0013】
図1および図2に示すように、空間浄化装置Dは、本体ケース1を備える。
【0014】
本体ケース1は、略箱形状の箱体であり、吸気口2、吹出口6、パネル3および入力部20を備える。
【0015】
吸気口2は、本体ケース1の両側面に設けられ、本体ケース1内に本体ケース1外の空気を取り入れる格子状の開口である。
【0016】
吹出口6は、本体ケース1の天面に設けられる。吹出口6は、吸気口2より本体ケース1内に取り入れられた空気を本体ケース1外に吹き出すための開閉式の開口である。図1図2では、吹出口6は閉じた状態である。
【0017】
パネル3は、本体ケース1の前面視において右側の側面である本体側面1Aに備えられる。パネル3は、開閉可能なカバーであり、主にプラスチック樹脂によって形成されている。パネル3における本体ケース1の前面側には二つの吸気口2のうちの一つを有している。パネル3の内側が開口領域4となる。開口領域4から、後述する貯水部14、タンク部材15、錠剤投入ケース18a等が取り出し可能に構成されている。
【0018】
入力部20は、本体ケース1の天面に備えられ、ユーザからの運転開始、運転停止等の命令を入力可能とする。入力部20に入力された命令は、制御部30に送られる。
【0019】
また、図2に示すように空間浄化装置Dは、制御部30を備える。制御部30は、空間浄化装置Dの制御を行うが、その制御内容については後述する。
【0020】
図3は、図2の空間浄化装置DのA平面における断面図で、空間浄化装置Dを正面視した場合の右側、つまりパネル3側から見た図である。図3では、電解水生成に関する周辺構成などを示している。
【0021】
図2図3に示すように、本体ケース1内に次亜塩素酸生成部5を備える。
【0022】
次亜塩素酸生成部5は、次亜塩素酸を生成する。次亜塩素酸生成部5は、貯水部14と、電極部17と、電解促進剤投入部18とを備える。
【0023】
貯水部14は、天面を開口した箱形状をしており、タンク部材15から供給される水を貯水できる構造となっている。貯水部14は、本体ケース1の下部に配置され、本体ケース1に対して水平方向にスライドすることで本体ケース1に着脱可能となっている。貯水部14は、タンク保持部14aを備える。
【0024】
タンク保持部14aは、貯水部14の底面に設けられる。そして、タンク保持部14aの上部にはタンク部材15が装着される。
【0025】
電極部17は、電極部材を備えており、この電極部材が貯水部14の水に浸漬するように設置される。電極部17は、この電極部材に通電することにより、貯水部14の塩化物イオンを含む水、即ち電解水を電気化学的に電気分解し、次亜塩素酸水を生成する。電極部17は、電気分解するために電極部材へ通電を行う通電時間と、通電停止後の時間、つまり通電を行っていない時間である非通電時間を一周期として、その一周期を複数回繰り返すことで、次亜塩素酸水を生成する。つまり、電極部材に対し非通電時間を設けることで、電極部材の寿命を延ばすことができる。なお、非通電時間に対して通電時間を長くすれば、一周期当たりにおいてより多くの量の次亜塩素酸が生成される。また通電時間に対して非通電時間を長くすれば、一周期当たりの次亜塩素酸の生成を抑えられる。さらに、通電時間における電力量を大きくすれば、より多くの次亜塩素酸が生成される。
【0026】
電解促進剤投入部18は、貯水部14に電解促進剤を投入する。電解促進剤投入部18は、錠剤投入ケース18aと、錠剤投入カバー18bとを備える。
【0027】
錠剤投入ケース18aは、貯水部14に投入するための電解促進剤である電解促進錠剤が格納されるケースであり、本体ケース1内から取り出し可能である。
【0028】
錠剤投入カバー18bは、錠剤投入ケース18aの上部に着脱自在に設けられたカバーである。ユーザは、錠剤投入カバー18bを外すことで、錠剤投入ケース18a内に電解促進錠剤を格納できる。
【0029】
電解促進剤投入部18は、電解促進錠剤を貯水部14へ投入する場合に、錠剤投入ケース18a内に設けた錠剤投入部材を回動させる。錠剤投入部材が回動すると、電解促進錠剤が錠剤投入ケース18aの底面の落下開口より貯水部14に落下する。電解促進剤投入部18は、錠剤投入ケース18aから貯水部14に落下された電解促進錠剤の個数をカウントし、錠剤投入ケース18aから貯水部14に電解促進錠剤が一錠落下したと判断すると、錠剤投入部材の回転を停止する。そして、電解促進錠剤が貯水部14の水に溶け込むことにより、塩化物イオンを含む水が生成される。つまり、貯水部14は、電解促進剤と水とを混合する。そして、電極部17が貯水部14にて混合された電解促進剤と水とから次亜塩素酸水を生成する。電解促進剤の一例としては、塩化ナトリウムが挙げられる。
【0030】
電解促進剤投入部18は、投入制御部41を備える。投入制御部41は、例えば錠剤投入ケース18aの底面の落下開口付近に設けられ、電解促進剤投入部18による電解促進剤の投入を制御する。制御部30より電解促進錠剤の投入指示があると、投入制御部41は錠剤投入部材の回動を開始する。そして、投入制御部41は、錠剤投入ケース18aから貯水部14に落下された電解促進錠剤の有無を判断し、錠剤投入ケース18aから貯水部14に電解促進錠剤が落下したと判断すると、錠剤投入部材の回動を停止する。
【0031】
なお、空間浄化装置Dは、電解促進剤投入部18を有していなくてもよい。この場合は、空間浄化装置Dが、ユーザに対して電解促進剤の投入を指示する報知、表示、発音等を行うことで、ユーザに電解促進剤を直接、貯水部14へ投入させるようにしてもよい。
【0032】
また、本体ケース1内にはタンク部材15が備えられる。
【0033】
タンク部材15は、貯水部14の上部に配置され、貯水部14に水を供給する。タンク部材15は、貯水部14に着脱可能な構造となっており、本体ケース1内から取り出すことができる。タンク部材15は、タンク15aと、蓋15bを備える。
【0034】
タンク15aは、中空の容器であり水を貯水する。
【0035】
蓋15bは、タンク15aの下部に位置する開口に設けられる。蓋15bの中央には開閉部を有しており、開閉部が開くと、タンク15a内の水が、貯水部14へ供給される。具体的には、タンク15aの開口を下向きにして、タンク部材15を貯水部14のタンク保持部14aに取り付けると、タンク保持部14aによって開閉部が開く。つまり、タンク部材15に水を入れてタンク保持部14aに取り付けると、開閉部が開いて貯水部14に給水され、貯水部14内に水が溜まる。貯水部14内の水位が上昇して蓋15bの位置まで到達すると、タンク部材15の開口が水封されるので給水が停止し、タンク部材15の内部には水が残る。そして、貯水部14内の水位が下がった場合には都度、タンク15a内部の水が貯水部14に給水される。即ち、貯水部14内の水位は一定に保たれる。
【0036】
なお、空間浄化装置Dは、タンク部材15を有していなくてもよい。この場合は、空間浄化装置Dに対して、水を供給するラインを水道水より引き、貯水部14内の水位が下がった場合に、貯水部14内の水位が所定位置に上昇するまで、水道水を供給するようにしてもよい。
【0037】
図4は、図2の空間浄化装置DのB平面における断面図で、空間浄化装置Dを正面視した場合の右側、つまりパネル3側から見た図である。図4では、空間浄化装置Dの風路構成などを示している。
【0038】
図4に示すように、本体ケース1内には、浄化部19と、風路8とを備える。
【0039】
浄化部19は、貯水部14の次亜塩素酸水を用いて空間の浄化を行う。浄化部19は、送風部7と、フィルター部16とを備える。
【0040】
送風部7は、本体ケース1の中央部に設けられ、モータ部9と、ファン部10と、ケーシング部11とを備える。
【0041】
モータ部9は、例えばDCモータでありケーシング部11に固定される。
【0042】
ファン部10は、例えばシロッコファンであり、モータ部9の動力により回転する。ファン部10は、モータ部9から水平方向に延びた回転軸9aに固定される。モータ部9の回転軸9aは、本体ケース1内の前面側から背面側に延びている。
【0043】
ケーシング部11は、モータ部9とファン部10を囲んでおりスクロール形状である。ケーシング部11は、吸込口13と吐出口12とを備える。
【0044】
吸込口13は、ケーシング部11の本体ケース1における背面側に設けられており、吸気口2から本体ケース1内に取り込まれた空気をケーシング部11内に取り入れる開口である。
【0045】
吐出口12は、ケーシング部11の本体ケース1における上面側に設けられており、吸込口13よりケーシング部11内に取り入れられた空気をケーシング部11外へ吐き出すための開口である。
【0046】
フィルター部16は、貯水部14に貯留された次亜塩素酸水と、送風部7によって本体ケース1内に流入した空間の空気とを接触させる円筒状の部材である。フィルター部16は、気液接触フィルター16aを備える。
【0047】
気液接触フィルター16aは、フィルター部16の円周部分に配置され、空気が流通可能な孔が設けられる。
【0048】
フィルター部16は、その一端が貯水部14の次亜塩素酸水に浸漬され、保水されるように配置されている。フィルター部16は、気液接触フィルター16aの中心軸を回転中心として駆動部により回転され、次亜塩素酸水と空気を連続的に接触させる構造となっている。
【0049】
風路8は、吸気口2と吹出口6とを連通する。風路8は、吸気口2から下流側へ、フィルター部16、送風部7、吹出口6をこの順に備えている。制御部30が制御するモータ部9によってファン部10が回転すると、吸気口2から吸い込まれ風路8内に入った外部の空気は、順に、気液接触フィルター16a、送風部7、吹出口6を介して、空間浄化装置Dの外部へ吹き出される。これにより、貯水部14にて生成された次亜塩素酸水が外部へ放出される。即ち、送風部7は、次亜塩素酸生成部5により生成された次亜塩素酸を所定空間に送風する。吹出口6は、送風部7により送風される次亜塩素酸を所定空間に吹き出す。なお、空間浄化装置Dは、必ずしも次亜塩素酸水そのものを撒くものでなくてもよく、結果的に生成した次亜塩素酸水由来(揮発を含む)の次亜塩素酸を放出するものであってもよい。
【0050】
また、空間浄化装置Dは、次亜塩素酸濃度検出部31を備える。次亜塩素酸濃度検出部31は、次亜塩素酸濃度を検出する。実施の形態1では、次亜塩素酸濃度検出部31は、所定空間の次亜塩素酸濃度を検出する。次亜塩素酸濃度検出部31は、吹出口6から吹き出される次亜塩素酸を含む空気の影響を直接受けない場所、例えば本体ケース1の外側に設けられ、所定空間の次亜塩素酸濃度を検出し、検出した所定空間の次亜塩素酸濃度を制御部30に出力する。これにより、所定空間の次亜塩素酸濃度を正確に把握できる。次亜塩素酸濃度検出部31の設置場所は、所定空間の次亜塩素酸濃度を把握可能であればよく、例えば、本体ケース1の外側ではなく所定空間内の天井、壁等に設けられてもよい。この場合、次亜塩素酸濃度検出部31は無線通信等により検出した所定空間の次亜塩素酸濃度を制御部30に送信する。
【0051】
次亜塩素酸濃度検出部31の一例は、塩素ガス濃度センサーであり、塩素ガス濃度センサーが検出する塩素ガス濃度を次亜塩素酸濃度とする。
【0052】
塩素の還元反応と次亜塩素酸の還元反応とは、どちらも同量の電子が反応する還元反応である。そのため、所定量の塩素を塩素ガス濃度センサーにて検出させた場合の塩素ガス濃度と、同量の次亜塩素酸を塩素ガス濃度センサーにて検出させた場合の塩素ガス濃度とは近似した値が検出される。塩素ガス濃度センサーを用いることで低コストにて本発明を実現することができる。もちろん、次亜塩素酸濃度検出部31として、次亜塩素酸ガス濃度センサーを用いてもよい。
【0053】
次いで、図5を参照して本実施の形態に係る制御部30の各機能について説明する。図5は制御部30及び周辺部の概略機能ブロック図である。
【0054】
制御部30を、少なくとも次亜塩素酸生成部5及び送風部7を制御する。制御部30は、例えば、入力部20の裏側に設けられる。本実施の形態では、制御部30は、風量制御部39、生成制御部40、不活化能力算出部34、判定部36および記憶部35を備える。
【0055】
風量制御部39は、送風部7の送風量を制御する。
【0056】
生成制御部40は、次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸の生成を制御する。
【0057】
不活化能力算出部34は、次亜塩素酸が病原体を不活性化する(増殖できなくする)能力である不活化能力を算出する。不活化能力算出部34は、少なくとも次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度と、送風部7による送風時間と、に基づいて所定空間における菌及び/又はウイルスである病原体を不活性化する能力である不活化能力を算出する。実施の形態1では、不活化能力算出部34は、次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度と単位送風時間とを乗算することにより、単位送風時間あたりの不活化能力を算出し、単位送風時間あたりの不活化能力を積算することで、所定空間の不活化能力を算出する。
【0058】
判定部36は、不活化能力算出部34により算出された所定空間の不活化能力が不活化閾値以上であれば、所定空間内が不活化状態との判定を行う。不活化閾値は、所定空間内が不活化状態であるか判断するためのものである。不活化閾値は、予め実験等により決められた値であり、任意に設定可能である。判定部36により不活化状態との判定が行われると、生成制御部40は次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸の生成を終了し、風量制御部39は、送風部7による次亜塩素酸の送風を終了する。
【0059】
記憶部35は、不活化閾値および目標次亜塩素酸濃度を記憶しており、いわゆるメモリである。目標次亜塩素酸濃度は、目標とする次亜塩素酸濃度であり予め実験等により決められた値であり、任意に設定可能である。
【0060】
制御部30は、濃度受付部33を備えてもよい。濃度受付部33は、ユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度を受け付ける。一例として、本実施の形態では、入力部20はユーザが操作可能なユーザインターフェースを備え、ユーザは入力部20に目標次亜塩素酸濃度を入力可能とする。濃度受付部33は、入力部20を介してユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度を受け付ける。制御部30は、濃度受付部33に受け付けられたユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度を目標次亜塩素酸濃度とする。即ち、制御部30は、記憶部35に記憶されている目標次亜塩素酸濃度を濃度受付部33に受け付けられたユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度に変更する。
【0061】
制御部30は、目標次亜塩素酸濃度算出部37を備えてもよい。目標次亜塩素酸濃度算出部37は、目標次亜塩素酸濃度を算出する。一例として、記憶部35は、目標次亜塩素酸濃度の代わりに、判定部36により不活化状態との判定が行われるまでの目標時間である目標不活化完了時間を記憶する。目標次亜塩素酸濃度算出部37は、不活化閾値を目標不活化完了時間で除算することで目標次亜塩素酸濃度を算出する。
【0062】
さらに、制御部30は、完了時間受付部32を備えてもよい。完了時間受付部32は、ユーザが所望する目標不活化完了時間を受け付ける。一例として、本実施の形態では、入力部20はユーザが操作可能なユーザインターフェースを備え、ユーザは入力部20に目標不活化完了時間を入力可能とする。完了時間受付部32は、入力部20を介してユーザが所望する目標不活化完了時間を受け付ける。目標次亜塩素酸濃度算出部37は、不活化閾値を完了時間受付部32に受け付けられたユーザが所望する目標不活化完了時間で除算することで目標次亜塩素酸濃度を算出する。
【0063】
また、制御部30は、濃度比較部38を備える。濃度比較部38は、次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度と目標次亜塩素酸濃度を比較する。
【0064】
具体的には、濃度受付部33にユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度が受け付けられた場合、濃度比較部38は、次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度と濃度受付部33が受け付けた目標次亜塩素酸濃度を比較する。
【0065】
また、濃度受付部33にユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度が受け付けられていない場合、濃度比較部38は、次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度と記憶部35に記憶されている目標次亜塩素酸濃度を比較する。
【0066】
また、完了時間受付部32にユーザが所望する目標不活化完了時間が受け付けられた場合、目標次亜塩素酸濃度算出部37は、不活化閾値を完了時間受付部32に受け付けられたユーザが所望する目標不活化完了時間で除算することで目標次亜塩素酸濃度を算出し、濃度比較部38は、次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度と目標次亜塩素酸濃度算出部37により算出された目標次亜塩素酸濃度を比較する。
【0067】
また、完了時間受付部32にユーザが所望する目標不活化完了時間が受け付けられていない場合、目標次亜塩素酸濃度算出部37は、不活化閾値を記憶部35に記憶されている目標不活化完了時間で除算することで目標次亜塩素酸濃度を算出し、濃度比較部38は、次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度と目標次亜塩素酸濃度算出部37により算出された目標次亜塩素酸濃度を比較してもよい。
【0068】
濃度比較部38は、次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも小さければ、次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の増加および送風部7による送風量の増加の少なくとも一つを行うことを指示する。
【0069】
濃度比較部38により次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の増加を行うことを指示された場合、生成制御部40は、次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸の生成量を増加させる制御を行う。例えば、生成制御部40は、電極部材への通電時間における電力量を大きくする。
【0070】
濃度比較部38により送風部7による送風量の増加を行うことを指示された場合、風量制御部39は、送風部7による送風量を増加させる制御を行う。具体的には、風量制御部39は、モータ部9への印加電圧を増加させることで送風量を増加させる。モータ部9に流れる電流を増加させることで送風量を増加させてもよい。
【0071】
また、濃度比較部38は、次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも大きければ、次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の減少および送風部7による送風量の減少の少なくとも一つを行うことを指示する。
【0072】
濃度比較部38により次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の減少を行うことを指示された場合、生成制御部40は、次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸の生成量を減少させる制御を行う。例えば、生成制御部40は、電極部材への通電時間における電力量を小さくする。
【0073】
濃度比較部38により送風部7による送風量の減少を行うことを指示された場合、風量制御部39は、送風部7による送風量を減少させる制御を行う。具体的には、風量制御部39は、モータ部9への印加電圧を減少させることで送風量を減少させる。モータ部9に流れる電流を減少させることで送風量を減少させてもよい。
【0074】
制御部30の各機能ブロックは、ハードウェアとしては、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェアとしてはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによって様々な形で実現することができる。
【0075】
上記構成において、制御部30により実行される制御について図6のフローチャートを用いて説明する。図6は、実施の形態1に係る制御部30により実行される制御を示すフローチャートである。ここで、フローチャートではSを頭文字にして番号を割り振った。例えばS1などは処理ステップを指す。但し、処理ステップを示す数値の大小と処理順序は関係しない。
【0076】
空間浄化装置Dが運転を開始すると、制御部30は、完了時間受付部32にユーザが所望する目標不活化完了時間が受け付けられているか否かを確認する(S1)。
【0077】
完了時間受付部32にユーザが所望する目標不活化完了時間が受け付けられている場合、目標次亜塩素酸濃度算出部37は、下記(式1)により目標次亜塩素酸濃度を算出する(S1のYes→S2)。
【0078】
目標次亜塩素酸濃度[ppm]=不活化閾値[ppm・min]÷目標不活化完了時間[min] ・・・(式1)
不活化能力が330[ppm・min]以上であれば、適切な除菌状態を実現できるとの検討結果があるため、一例として不活化閾値は330(ppm・min)としてもよい。
【0079】
完了時間受付部32にユーザが所望する目標不活化完了時間が受け付けられていない場合、制御部30は、濃度受付部33にユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度が受け付けられているか否かを確認する(S1のNo→S3)。
【0080】
濃度受付部33にユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度が受け付けられている場合、制御部30は、濃度受付部33に受け付けられたユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度を目標次亜塩素酸濃度に設定する(S3のYes→S4)。
【0081】
濃度受付部33にユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度が受け付けられていない場合、制御部30は、記憶部35に記憶されている目標次亜塩素酸濃度を目標次亜塩素酸濃度に設定する(S3のNo→S5)。つまり、ステップS2、ステップS4、ステップS5のいずれかにより、目標次亜塩素酸濃度が決定される。
【0082】
次に、生成制御部40は電極部17への通電を行い、風量制御部39は送風部7からの送風を行う(S6)。単位送風時間T[min]経過後、不活化能力算出部34は、次亜塩素酸濃度検出部31により検出された所定空間の次亜塩素酸濃度を取得する(S7)。
【0083】
不活化能力算出部34は、下記(式2)により単位送風時間Tあたりの不活化能力を算出する。単位送風時間Tの一例は1[min]である。
【0084】
単位送風時間Tあたりの不活化能力[ppm・min]=次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度[ppm]×単位送風時間T[min] ・・・(式2)
不活化能力算出部34は、算出した単位送風時間Tあたりの不活化能力を積算不活化能力に加算する(S8)。積算不活化能力の初期値はゼロである。積算不活化能力が所定空間の不活化能力であり、これにより不活化能力を把握することができる。
【0085】
判定部36は、不活化能力算出部34により算出された所定空間の不活化能力である積算不活化能力が不活化閾値以上か否か確認する(S9)。
【0086】
不活化能力算出部34により算出された所定空間の不活化能力が不活化閾値以上であれば、判定部36は、所定空間内が不活化状態との判定を行う。これにより、所定空間が不活化状態になったことを把握することができる。判定部36により不活化状態との判定が行われると、生成制御部40は次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸の生成(電極部17への通電)を終了し、風量制御部39は送風部7による送風を終了する(S9のYes→S10)。これにより、過剰な空間浄化運転を行わずにすむ。即ち、省エネルギー運転を行うことができる。
【0087】
不活化能力算出部34により算出された所定空間の不活化能力が不活化閾値以上でなければ、判定部36は所定空間内が不活化状態ではないとの判定を行う。判定部36により不活化状態ではないとの判定が行われると、濃度比較部38は、次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも小さいか否かを確認する(S9のNo→S11)。
【0088】
濃度比較部38は、次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも小さければ、次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の増加および送風部7による送風量の増加の少なくとも一つを行うことを指示する(S11のYes→S13)。そして、濃度比較部38により次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の増加を行うことを指示された場合、生成制御部40は次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸の生成量を増加させる制御を行い、濃度比較部38により送風部7による送風量の増加を行うことを指示された場合、風量制御部39は送風部7による送風量を増加させる制御を行う。一例として、本実施の形態では、濃度比較部38は、次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも小さければ、次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の増加および送風部7による送風量の増加の両方を行うことを指示するものとする。これにより、所定空間の次亜塩素酸濃度を上昇させ、目標次亜塩素酸濃度に近づけることができる。
【0089】
濃度比較部38は、次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも小さくなければ、次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも大きいか否かを確認する(S11のNo→S12)
濃度比較部38は、次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも大きければ、次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の減少および送風部7による送風量の減少の少なくとも一つを行うことを指示する(S12のYes→S14)。そして、濃度比較部38により次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の減少を行うことを指示された場合、生成制御部40は次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸の生成量を減少させる制御を行い、濃度比較部38により送風部7による送風量の減少を行うことを指示された場合、風量制御部39は送風部7による送風量を減少させる制御を行う。一例として、本実施の形態では、濃度比較部38は、次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも大きければ、次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の減少および送風部7による送風量の減少の両方を行うことを指示するものとする。これにより、所定空間の次亜塩素酸濃度を減少させ、目標次亜塩素酸濃度に近づけることができる。
【0090】
濃度比較部38は、次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも大きくなければ、次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の変更および送風部7による送風量の変更を行うことを指示しない(S12のNo→S15)。即ち、次亜塩素酸生成量および送風量を維持する。これにより、所定空間の次亜塩素酸濃度を目標次亜塩素酸濃度に維持することができる。
【0091】
ステップS13、ステップ14、ステップ15のいずれかを実施後、制御部30は、ステップS6~ステップ9を再度実施する。制御部30は、ステップS9にて判定部36により不活化状態との判定が行われるまでステップS11~S15およびステップS6~S9を繰り返す。つまり、不活化能力が不活化閾値以上になるまで繰り返される。不活化能力が不活化閾値以上になることで所定空間内が不活化状態になったことを把握できる。そして、所定空間に放出される次亜塩素酸の量が適切となり、所定空間内の病原体の不活性化を実現することができる。
【0092】
また、完了時間受付部32にユーザが所望する目標不活化完了時間が受け付けられている場合、ユーザが所望する目標不活化完了時間近傍の時間にて、所定空間内の病原体の不活性化を実現することができる。
【0093】
また、濃度受付部33にユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度が受け付けられている場合、所定空間の次亜塩素酸濃度をユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度にすることができる。
【0094】
また、濃度受付部33にユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度が受け付けられていない場合でも、所定空間の次亜塩素酸濃度を記憶部35に記憶されている目標次亜塩素酸濃度にすることができる。
【0095】
(実施の形態2)
実施の形態2では実施の形態1との差異を中心に説明する。実施の形態1の次亜塩素酸濃度検出部31は、吹出口6から吹き出される次亜塩素酸を含む空気の影響を直接受けない場所に設けられ、所定空間の次亜塩素酸濃度を検出していたが、実施の形態2の次亜塩素酸濃度検出部31は、吹出口6から吹き出される次亜塩素酸濃度を検出する。実施の形態2の次亜塩素酸濃度検出部31は、例えば、風路8における送風部7の下流であって、吹出口6の上流に設けられる。
【0096】
次いで、実施の形態2に係る制御部30の各機能について説明する。制御部30及び周辺部の概略機能ブロック図は実施の形態1と同じであるが、制御内容が一部異なる。
【0097】
制御部30は、風量制御部39、生成制御部40、不活化能力算出部34、判定部36、記憶部35、および濃度比較部38を備える。
【0098】
風量制御部39、生成制御部40および判定部36の制御内容は実施の形態1と同じである。
【0099】
記憶部35は、不活化閾値および目標次亜塩素酸濃度に加えて、後述する送風量、所定空間の体積、次亜塩素酸の分子量等の各種値を記憶している。
【0100】
不活化能力算出部34は、所定空間の次亜塩素酸理論濃度および不活化能力を算出する。
所定空間の次亜塩素酸理論濃度とは、所定空間の次亜塩素酸濃度を次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度を基に算出したものである。次亜塩素酸理論濃度は、一時間所定空間の空間浄化を行った際の所定空間の次亜塩素酸濃度の目安値となる。不活化能力の算出方法は実施の形態1と異なる。所定空間の次亜塩素酸理論濃度および不活化能力の算出方法についての詳細は後述する。
【0101】
制御部30は、実施の形態1と同じように濃度受付部33、目標次亜塩素酸濃度算出部37および完了時間受付部32を備えてもよい。
【0102】
濃度比較部38は、不活化能力算出部34により算出された次亜塩素酸理論濃度と目標次亜塩素酸濃度を比較する。
【0103】
具体的には、濃度受付部33にユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度が受け付けられた場合、濃度比較部38は、不活化能力算出部34により算出された次亜塩素酸理論濃度と濃度受付部33が受け付けた目標次亜塩素酸濃度を比較する。
【0104】
また、濃度受付部33にユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度が受け付けられていない場合、濃度比較部38は、不活化能力算出部34により算出された次亜塩素酸理論濃度と記憶部35に記憶されている目標次亜塩素酸濃度を比較する。
【0105】
また、完了時間受付部32にユーザが所望する目標不活化完了時間が受け付けられた場合、目標次亜塩素酸濃度算出部37は、不活化閾値を完了時間受付部32に受け付けられたユーザが所望する目標不活化完了時間で除算することで目標次亜塩素酸濃度を算出し、濃度比較部38は、不活化能力算出部34により算出された次亜塩素酸理論濃度と目標次亜塩素酸濃度算出部37により算出された目標次亜塩素酸濃度を比較する。
【0106】
また、完了時間受付部32にユーザが所望する目標不活化完了時間が受け付けられていない場合、目標次亜塩素酸濃度算出部37は、不活化閾値を記憶部35に記憶されている目標不活化完了時間で除算することで目標次亜塩素酸濃度を算出し、濃度比較部38は、不活化能力算出部34により算出された次亜塩素酸理論濃度と目標次亜塩素酸濃度算出部37により算出された目標次亜塩素酸濃度を比較してもよい。
【0107】
濃度比較部38は、不活化能力算出部34により算出された次亜塩素酸理論濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも小さければ、次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の増加および送風部7による送風量の増加の少なくとも一つを行うことを指示する。
【0108】
濃度比較部38により次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の増加を行うことを指示された場合、生成制御部40は、次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸の生成量を増加させる制御を行う。例えば、生成制御部40は、電極部材への通電時間における電力量を大きくする。
【0109】
濃度比較部38により送風部7による送風量の増加を行うことを指示された場合、風量制御部39は、送風部7による送風量を増加させる制御を行う。具体的には、風量制御部39は、モータ部9への印加電圧を増加させることで送風量を増加させる。モータ部9に流れる電流を増加させることで送風量を増加させてもよい。
【0110】
また、濃度比較部38は、不活化能力算出部34により算出された次亜塩素酸理論濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも大きければ、次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の減少および送風部7による送風量の減少の少なくとも一つを行うことを指示する。
【0111】
濃度比較部38により次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の減少を行うことを指示された場合、生成制御部40は、次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸の生成量を減少させる制御を行う。例えば、生成制御部40は、電極部材への通電時間における電力量を小さくする。
【0112】
濃度比較部38により送風部7による送風量の減少を行うことを指示された場合、風量制御部39は、送風部7による送風量を減少させる制御を行う。具体的には、風量制御部39は、モータ部9への印加電圧を減少させることで送風量を減少させる。モータ部9に流れる電流を減少させることで送風量を減少させてもよい。
【0113】
上記構成において、制御部30により実行される制御について図7のフローチャートを用いて説明する。図7は、実施の形態2に係る制御部30により実行される制御を示すフローチャートである。
【0114】
ステップS1~ステップS6は実施の形態1と同じである。単位送風時間T[min]経過後、不活化能力算出部34は、次亜塩素酸濃度検出部31により検出された吹出口6から吹き出される次亜塩素酸濃度を取得する(S27)。
【0115】
不活化能力算出部34は、次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度と、送風部7による送風量と、単位送風時間Tと、を乗算することで単位送風時間Tあたりの次亜塩素酸放出量を算出する。算出式は下記(式3)である。
【0116】
単位送風時間Tあたりの次亜塩素酸放出量[mg]=次亜塩素酸濃度検出部31により検出された次亜塩素酸濃度[ppm]×送風量[m^3/min]×単位送風時間T[min] ・・・(式3)
本実施の形態では、例えば送風部7による送風量を風量制御部39により複数設定できる。そして、風量制御部39により設定可能な各送風量設定に対応する送風量を予め実験などにより測定を行い、記憶部35に格納している。不活化能力算出部34は、単位送風時間あたりの次亜塩素酸放出量を算出する際の送風量設定に対応する送風量を記憶部35より取得して式3に入力する。また、単位送風時間Tの一例は1[min]である。
【0117】
次に、不活化能力算出部34は、単位送風時間Tあたりの次亜塩素酸放出量を積算することで、積算次亜塩素酸放出量を算出する。具体的には、不活化能力算出部34は、算出した単位送風時間Tあたりの次亜塩素酸放出量を積算次亜塩素酸放出量に加算する(S28)。積算次亜塩素酸放出量の初期値はゼロである。積算次亜塩素酸放出量が所定空間に放出された次亜塩素酸総放出量であり、これにより次亜塩素酸総放出量を把握することができる。
【0118】
次に、不活化能力算出部34は、積算次亜塩素酸放出量と、所定空間の体積と、次亜塩素酸の分子量と、に基づいて所定空間の次亜塩素酸理論濃度を算出する(S29)。具体的には、不活化能力算出部34は、積算次亜塩素酸放出量を所定空間の体積で除算した除算値を算出し、次亜塩素酸の分子量を標準状態における次亜塩素酸の気体の体積で除算した所定値にて除算値を除算することで所定空間の次亜塩素酸理論濃度を算出する。即ち、算出式は下記(式4)である。
【0119】
所定空間の次亜塩素酸理論濃度[ppm]=積算次亜塩素酸放出量[mg]÷所定空間の体積[m^3]÷所定値 ・・・(式4)
所定空間の体積はあらかじめ記憶部35に記憶されており、記憶部35に記憶されている所定空間の体積を用いる。また、ユーザが入力部20に所定空間の体積を入力可能とし、不活化能力算出部34が、入力部20を介して所定空間の体積を取得してもよい。即ち、不活化能力算出部34は、入力部20を介して取得した所定空間の体積を式4に入力してもよい。
【0120】
所定値は、次亜塩素酸の分子量を標準状態における次亜塩素酸の気体の体積で除算した値である。次亜塩素酸の分子量および標準状態における次亜塩素酸の気体の体積はあらかじめ記憶部35に記憶されている。次亜塩素酸の分子量は52.46であり、標準状態とは1013hPaおよび0℃であり、標準状態における次亜塩素酸の気体の体積は22.4[L]である。つまり、所定値は、
所定値
=次亜塩素酸の分子量÷標準状態における次亜塩素酸の気体の体積
=52.46÷22.4
=2.34
である。以上により、所定空間の次亜塩素酸理論濃度を把握することができる。
【0121】
ところで、所定空間の次亜塩素酸理論濃度の算出精度は高いことが望ましい。そこで、実施の形態2の不活化能力算出部34は、さらに所定空間の換気回数に基づいて所定空間の体積を補正する。一例として、所定空間の換気回数が多いほど、所定空間の体積を大きく補正してもよい。所定空間の次亜塩素酸理論濃度は所定空間の換気回数の影響を受ける。そのため、一時間当たりの換気回数N[回/h]に合わせて所定空間の体積を補正できる。例えば、一時間当たりの換気回数がN[回/h]であれば、換気ロス分も考慮して補正後の所定空間の体積を(1+換気回数N)倍して計算できる。一回の換気で、補正前の所定空間の体積だけ換気されるので、換気量は(式5)で算出できる。
【0122】
換気量=補正前の所定空間の体積×換気回数N ・・・(式5)
補正後の所定空間の体積は(式6)で算出できる。
【0123】
補正後の所定空間の体積=補正前の所定空間の体積+換気量=補正前の所定空間の体積×(1+換気回数N) ・・・(式6)
(式4)の所定空間の体積を補正後の所定空間の体積に置換することで、所定空間の次亜塩素酸理論濃度の算出精度を高くすることができる。結果として、不活化能力の算出精度も高くすることができる。
【0124】
次に、不活化能力算出部34は、所定空間の次亜塩素酸理論濃度と、単位送風時間Tと、を乗算することで所定空間の単位送風時間Tあたりの不活化能力を算出する。不活化能力算出部34は、下記(式7)により単位送風時間Tあたりの不活化能力を算出する。
【0125】
単位送風時間Tあたりの不活化能力[ppm・min]=所定空間の次亜塩素酸理論濃度[ppm]×単位送風時間T[min] ・・・(式7)
次に、不活化能力算出部34は、単位送風時間Tあたりの不活化能力を積算することで、所定空間の不活化能力を算出する。具体的には、不活化能力算出部34は、算出した単位送風時間Tあたりの不活化能力を積算不活化能力に加算する(S30)。積算不活化能力の初期値はゼロである。積算不活化能力が所定空間の不活化能力であり、これにより不活化能力を把握することができる。
【0126】
判定部36は、不活化能力算出部34により算出された所定空間の不活化能力である積算不活化能力が不活化閾値以上か否か確認する(S31)。
【0127】
不活化能力算出部34により算出された所定空間の不活化能力が不活化閾値以上であれば、判定部36は、所定空間内が不活化状態との判定を行う。これにより、所定空間内が不活化状態になったことを把握することができる。判定部36により不活化状態との判定が行われると、生成制御部40は次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸の生成(電極部17への通電)を終了し、風量制御部39は送風部7による送風を終了する(S31のYes→S32)。これにより、過剰な空間浄化運転を行わずにすむ。即ち、省エネルギー運転を行うことができる。
【0128】
不活化能力算出部34により算出された所定空間の不活化能力が不活化閾値以上でなければ、判定部36は所定空間内が不活化状態ではないとの判定を行う。判定部36により不活化状態ではないとの判定が行われると、濃度比較部38は、不活化能力算出部34により算出された次亜塩素酸理論濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも小さいか否かを確認する(S31のNo→S33)。
【0129】
濃度比較部38は、不活化能力算出部34により算出された次亜塩素酸理論濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも小さければ、次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の増加および送風部7による送風量の増加の少なくとも一つを行うことを指示する(S33のYes→S35)。そして、濃度比較部38により次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の増加を行うことを指示された場合、生成制御部40は次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸の生成量を増加させる制御を行い、濃度比較部38により送風部7による送風量の増加を行うことを指示された場合、風量制御部39は送風部7による送風量を増加させる制御を行う。一例として、本実施の形態では、濃度比較部38は、不活化能力算出部34により算出された次亜塩素酸理論濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも小さければ、次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の増加および送風部7による送風量の増加の両方を行うことを指示するものとする。これにより、所定空間の次亜塩素酸濃度を上昇させ、次亜塩素酸理論濃度を目標次亜塩素酸濃度に近づけることができる。
【0130】
濃度比較部38は、不活化能力算出部34により算出された次亜塩素酸理論濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも小さくなければ、不活化能力算出部34により算出された次亜塩素酸理論濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも大きいか否かを確認する(S33のNo→S34)
濃度比較部38は、不活化能力算出部34により算出された次亜塩素酸理論濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも大きければ、次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の減少および送風部7による送風量の減少の少なくとも一つを行うことを指示する(S34のYes→S36)。そして、濃度比較部38により次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の減少を行うことを指示された場合、生成制御部40は次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸の生成量を減少させる制御を行い、濃度比較部38により送風部7による送風量の減少を行うことを指示された場合、風量制御部39は送風部7による送風量を減少させる制御を行う。一例として、本実施の形態では、濃度比較部38は、不活化能力算出部34により算出された次亜塩素酸理論濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも大きければ、次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の減少および送風部7による送風量の減少の両方を行うことを指示するものとする。これにより、所定空間の次亜塩素酸濃度を減少させ、次亜塩素酸理論濃度を目標次亜塩素酸濃度に近づけることができる。
【0131】
濃度比較部38は、不活化能力算出部34により算出された次亜塩素酸理論濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも大きくなければ、次亜塩素酸生成部5による次亜塩素酸生成量の変更および送風部7による送風量の変更を行うことを指示しない(S34のNo→S37)。即ち、次亜塩素酸生成量および送風量を維持する。これにより、所定空間の次亜塩素酸濃度を維持し、次亜塩素酸理論濃度を目標次亜塩素酸濃度に維持することができる。
【0132】
ステップS35、ステップ36、ステップ37のいずれかを実施後、制御部30は、ステップS6およびステップS27~ステップ31を再度実施する。制御部30は、ステップS31にて判定部36により不活化状態との判定が行われるまでステップS33~S37、ステップS6、およびステップS27~S31を繰り返す。つまり、不活化能力が不活化閾値以上になるまで繰り返される。不活化能力が不活化閾値以上になることで所定空間内が不活化状態になったことを把握できる。そして、所定空間に放出される次亜塩素酸の量が適切となり、所定空間内の病原体の不活性化を実現することができる。
【0133】
また、完了時間受付部32にユーザが所望する目標不活化完了時間が受け付けられている場合、ユーザが所望する目標不活化完了時間近傍の時間にて、所定空間内の病原体の不活性化を実現することができる。
【0134】
また、濃度受付部33にユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度が受け付けられている場合、所定空間の次亜塩素酸濃度をユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度にすることができる。
【0135】
また、濃度受付部33にユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度が受け付けられていない場合でも、所定空間の次亜塩素酸濃度を記憶部35に記憶されている目標次亜塩素酸濃度にすることができる。
【0136】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0137】
例えば、制御部30は、不活化閾値受付部を備えてもよい。不活化閾値受付部は、ユーザが所望する不活化閾値を受け付ける。一例として、入力部20はユーザが操作可能なユーザインターフェースを備え、ユーザは入力部20に不活化閾値を入力可能とする。不活化閾値受付部は、入力部20を介してユーザが所望する不活化閾値を受け付ける。制御部30は、不活化閾値受付部に受け付けられたユーザが所望する不活化閾値を不活化閾値とする。即ち、制御部30は、記憶部35に記憶されている不活化閾値を不活化閾値受付部に受け付けられたユーザが所望する不活化閾値に変更する。これにより、ユーザが所望する不活化閾値を設定することができる。
【0138】
(発明の概要)
本発明に係る空間浄化装置は、次亜塩素酸を生成する次亜塩素酸生成部と、次亜塩素酸生成部により生成された次亜塩素酸を所定空間に送風する送風部と、次亜塩素酸生成部と送風部とを制御する制御部と、次亜塩素酸濃度を検出する次亜塩素酸濃度検出部と、少なくとも次亜塩素酸濃度検出部により検出された次亜塩素酸濃度と、送風部による送風時間と、に基づいて所定空間における菌及び/又はウイルスを不活性化する能力である不活化能力を算出する不活化能力算出部と、不活化能力算出部により算出された所定空間の前記不活化能力が不活化閾値以上であれば、所定空間内が不活化状態との判定を行う判定部と、を備える。これにより、不活化能力および所定空間が不活化状態になったことを把握することができる。
【0139】
また、次亜塩素酸濃度検出部は、所定空間の次亜塩素酸濃度を検出し、不活化能力算出部は、次亜塩素酸濃度検出部により検出された次亜塩素酸濃度と単位送風時間とを乗算することにより、単位送風時間あたりの不活化能力を算出し、単位送風時間あたりの不活化能力を積算することで、所定空間の不活化能力を算出してもよい。これにより、次亜塩素酸濃度検出部が所定空間の次亜塩素酸濃度を検出する場合における不活化能力を把握することができる。
【0140】
また、制御部は、次亜塩素酸濃度検出部により検出された次亜塩素酸濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも小さければ、次亜塩素酸生成部による次亜塩素酸生成量の増加および送風部による送風量の増加の少なくとも一つを行い、次亜塩素酸濃度検出部により検出された次亜塩素酸濃度が前記目標次亜塩素酸濃度よりも大きければ、次亜塩素酸生成部による次亜塩素酸生成量の減少および前記送風部による送風量の減少の少なくとも一つを行ってもよい。これにより、次亜塩素酸濃度検出部により検出された所定空間の次亜塩素酸濃度を目標次亜塩素酸濃度に近づけることができる。
【0141】
また、送風部により送風される次亜塩素酸を前記所定空間に吹き出す吹出口を備え、次亜塩素酸濃度検出部は、吹出口から吹き出される次亜塩素酸濃度を検出し、不活化能力算出部は、次亜塩素酸濃度検出部により検出された次亜塩素酸濃度と、送風部による送風量と、送風時間と、を乗算することで単位送風時間あたりの次亜塩素酸放出量を算出し、単位送風時間あたりの次亜塩素酸放出量を積算することで、積算次亜塩素酸放出量を算出し、積算次亜塩素酸放出量と、所定空間の体積と、次亜塩素酸の分子量と、に基づいて所定空間の次亜塩素酸理論濃度を算出し、次亜塩素酸理論濃度と、単位送風時間と、を乗算することで所定空間の単位送風時間あたりの不活化能力を算出し、単位送風時間あたりの不活化能力を積算することで、所定空間の不活化能力を算出してもよい。これにより、次亜塩素酸濃度検出部が吹出口から吹き出される次亜塩素酸濃度を検出する場合における不活化能力を把握することができる。
【0142】
また、不活化能力算出部は、積算次亜塩素酸放出量を所定空間の体積で除算した除算値を算出し、次亜塩素酸の分子量を標準状態における次亜塩素酸の気体の体積で除算した所定値にて除算値を除算することで次亜塩素酸理論濃度を算出してもよい。これにより、不活化能力を把握することができる。
【0143】
また、不活化能力算出部は、さらに所定空間の換気回数に基づいて所定空間の体積を補正してもよい。これにより、次亜塩素酸理論濃度の算出精度を高くすることができる。結果として、不活化能力の算出精度も高くすることができる。
【0144】
また、不活化能力算出部は、所定空間の換気回数が多いほど、所定空間の体積を大きく補正してもよい。これにより、次亜塩素酸理論濃度の算出精度を高くすることができる。結果として、不活化能力の算出精度も高くすることができる。
【0145】
また、制御部は、不活化能力算出部により算出された次亜塩素酸理論濃度が目標次亜塩素酸濃度よりも小さければ、次亜塩素酸生成部による次亜塩素酸生成量の増加および送風部による送風量の増加の少なくとも一つを行い、不活化能力算出部により算出された次亜塩素酸理論が目標次亜塩素酸濃度よりも大きければ、次亜塩素酸生成部による次亜塩素酸生成量の減少および送風部による送風量の減少の少なくとも一つを行ってもよい。これにより、所定空間の次亜塩素酸濃度を変更させることができ、結果として次亜塩素酸理論濃度を目標次亜塩素酸濃度に近づけることができる。
【0146】
また、目標次亜塩素酸濃度を算出する目標次亜塩素酸濃度算出部を備え、目標次亜塩素酸濃度算出部は、不活化閾値を判定部により不活化状態との判定が行われるまでの目標時間である目標不活化完了時間で除算することで目標次亜塩素酸濃度を算出してもよい。これにより、目標不活化完了時間近傍で所定空間を不活化状態にすることができる。
【0147】
また、ユーザが所望する目標不活化完了時間を受け付ける完了時間受付部を備え、目標次亜塩素酸濃度算出部は、不活化閾値を完了時間受付部に受け付けられたユーザが所望する目標不活化完了時間で除算することで目標次亜塩素酸濃度を算出してもよい。これにより、ユーザが所望する目標不活化完了時間近傍で所定空間を不活化状態にすることができる。
【0148】
また、ユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度を受け付ける濃度受付部を備え、制御部は、濃度受付部に受け付けられたユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度を目標次亜塩素酸濃度としてもよい。これにより、所定空間の目標次亜塩素酸濃度をユーザが所望する目標次亜塩素酸濃度にすることができる。
【0149】
また、制御部は、判定部により不活化状態との判定が行われると、次亜塩素酸生成部による次亜塩素酸の生成および送風部による次亜塩素酸の送風を終了してもよい。これにより、過剰な空間浄化運転を行わずにすむ。即ち、省エネルギー運転を行うことができる。
【0150】
また、次亜塩素酸濃度検出部は、塩素ガス濃度センサーであり、塩素ガス濃度センサーが検出する塩素ガス濃度を次亜塩素酸濃度としてもよい。これにより、低コストにて本発明を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明は、空気中の病原体(細菌、真菌、ウイルス等)の除去(不活性化)を行う空間浄化装置として有用である。
【符号の説明】
【0152】
D 空間浄化装置
1 本体ケース
1A 本体側面
2 吸気口
3 パネル
4 開口領域
5 次亜塩素酸生成部
6 吹出口
7 送風部
8 風路
9 モータ部
9a 回転軸
10 ファン部
11 ケーシング部
12 吐出口
13 吸込口
14 貯水部
14a タンク保持部
15 タンク部材
15a タンク
15b 蓋
16 フィルター部
16a 気液接触フィルター
17 電極部
18 電解促進剤投入部
18a 錠剤投入ケース
18b 錠剤投入カバー
19 浄化部
20 入力部
30 制御部
31 次亜塩素酸濃度検出部
32 完了時間受付部
33 濃度受付部
34 不活化能力算出部
35 記憶部
36 判定部
37 目標次亜塩素酸濃度算出部
38 濃度比較部
39 風量制御部
40 生成制御部
41 投入制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7