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特開2023-16741TAMキナーゼおよびc-Metキナーゼの阻害剤の固体形態および製剤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016741
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】TAMキナーゼおよびc-Metキナーゼの阻害剤の固体形態および製剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20230126BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230126BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230126BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230126BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20230126BHJP
   C07D 401/06 20060101ALN20230126BHJP
【FI】
C07D471/04 106C
A61K31/506
A61K9/14
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/26
A61K47/02
A61K47/12
A61K9/20
A61K9/48
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K39/395 T
A61K31/4439
C07D401/06 CSP
【審査請求】未請求
【請求項の数】43
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022115285
(22)【出願日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】63/224467
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/232832
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/344671
(32)【優先日】2022-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】アルフレッド バーチェッリ
(72)【発明者】
【氏名】ウェズレー デウィット クラーク
(72)【発明者】
【氏名】コナー ジェイムズ カウドリー
(72)【発明者】
【氏名】アーロン キース グッドウィン
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニアン ハリハラン
(72)【発明者】
【氏名】スリイラム クリシュナスワミ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C065
4C076
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB03
4C063CC22
4C063DD12
4C063EE01
4C065AA04
4C065BB05
4C065CC01
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ03
4C065KK01
4C065LL07
4C065PP03
4C065PP14
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC27
4C076DD26
4C076DD29
4C076DD41C
4C076DD67
4C076EE31
4C076EE31A
4C076EE32B
4C076FF01
4C076FF04
4C076FF05
4C076FF06
4C076FF09
4C085AA14
4C085EE03
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC37
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA03
4C086NA05
4C086NA11
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】      (修正有)
【課題】がんなどの増殖性疾患の処置における非晶質固体分散物および医薬組成物を提供する。
【解決手段】(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(化合物1)および薬学的に許容できるポリマーを含む、非晶質固体分散物を提供する。
【選択図】図1-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物1
【化1】
および薬学的に許容できるポリマーを含む、非晶質固体分散物。
【請求項2】
薬学的に許容できるポリマーが、セルロースエーテル、セルロースエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、N-ビニルラクタムのホモポリマー、N-ビニルラクタムのコポリマー、ポリアクリルアミド、およびポリアルキレンオキシド、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の非晶質固体分散物。
【請求項3】
薬学的に許容できるポリマーが、メチルセルロース、エチルセルロース、(ヒドロキシアルキル)セルロース、および(ヒドロキシアルキル)アルキルセルロースからなる群から選択されるセルロースエーテルポリマーである、請求項2に記載の非晶質固体分散物。
【請求項4】
(ヒドロキシアルキル)アルキルセルロースが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である、請求項3に記載の非晶質固体分散物。
【請求項5】
薬学的に許容できるポリマーが、フタル酸セルロースまたはコハク酸セルロースから選択されるセルロースエステルポリマーである、請求項2に記載の非晶質固体分散物。
【請求項6】
セルロースエステルポリマーが、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)である、請求項5に記載の非晶質固体分散物。
【請求項7】
セルロースエステルポリマーが、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース-L(HPMCAS-L)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース-M(HPMCAS-M)、または酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース-H(HPMCAS-H)である、請求項6に記載の非晶質固体分散物。
【請求項8】
セルロースエステルポリマーが、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース-L(HPMCAS-L)である、請求項7に記載の非晶質固体分散物。
【請求項9】
薬学的に許容できるポリマーが、ポリビニルピロリドンおよび酢酸ビニル(PVP-VA)であるN-ビニルラクタムのコポリマーである、請求項2に記載の非晶質固体分散物。
【請求項10】
前記化合物1が非晶質固体分散物の約25重量%~50重量%の量で存在する、請求項1に記載の非晶質固体分散物。
【請求項11】
前記化合物1が非晶質固体分散物の約50重量%の量で存在する、請求項10に記載の非晶質固体分散物。
【請求項12】
前記ポリマーに対する前記化合物1の比率が約1:1~約1:3である、請求項1に記載の非晶質固体分散物。
【請求項13】
前記ポリマーに対する前記化合物1の比率が約1:1である、請求項12に記載の非晶質固体分散物。
【請求項14】
25℃/60%相対湿度または40℃/75%相対湿度で13週間保存した後に、構造
【化2】
を有する0.5重量%未満の化合物を含む、請求項1に記載の非晶質固体分散物。
【請求項15】
噴霧乾燥された分散物である、請求項1に記載の非晶質固体分散物。
【請求項16】
請求項1に記載の前記非晶質固体分散物および少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項17】
少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤が、結合剤、充填剤、崩壊剤、流動促進剤、および潤滑剤を含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
請求項17に記載の医薬組成物であって、
前記医薬組成物の総重量に対して、
(a)10重量%~75重量%の本発明の非晶質固体分散物、
(b)8重量%~50重量%の結合剤、
(c)0重量%~50重量%の充填剤、
(d)1重量%~6重量%の崩壊剤、
(e)0.1重量%~4重量%の流動促進剤、および
(f)0.25重量%~1.25重量%の潤滑剤
を含む、医薬組成物。
【請求項19】
結合剤が微晶質セルロースである、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
約21.25重量%の前記結合剤を含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項21】
充填剤がラクトース一水和物である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項22】
約21.25重量%の前記充填剤を含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項23】
崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムである、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項24】
約6重量%の前記崩壊剤を含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記流動促進剤が、コロイド状二酸化ケイ素またはリン酸三カルシウムである、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項26】
約1重量%の前記流動促進剤を含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項27】
潤滑剤がステアリン酸マグネシウムである、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項28】
約0.5%の前記潤滑剤を含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記組成物が経口投与のために製剤される、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記組成物が錠剤またはカプセルとして製剤される、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
無水結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態1)。
【請求項32】
水和物結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態4)。
【請求項33】
非晶質形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態3)。
【請求項34】
治療有効量の請求項16に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、がんを処置する方法。
【請求項35】
前記がんが、子宮頸がん、胃がん、食道がん、肝細胞癌、黒色腫(例えば、粘膜もしくは皮膚の)、メルケル細胞癌、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)腫瘍(例えば、MSI-H結腸直腸がん)、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、小細胞性肺がん(例えば非小細胞肺がん)、腎細胞癌、または尿路上皮癌である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
医薬組成物が、治療有効量の1つまたは複数の抗がん剤と組み合わせて投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
抗がん剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、およびササンリマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
PD-1阻害剤がササンリマブである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
抗がん剤がVEGF阻害剤である、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
抗がん剤が、アキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
医薬組成物が、治療有効量のPD-1阻害剤および治療有効量のVEGF阻害剤と組み合わせて投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
PD-1阻害剤がササンリマブであり、VEGF阻害剤がアキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
治療有効量の、
無水結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態1)、水和物結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態4)、および非晶質形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態3)からなる群から選択される化合物、
ササンリマブ、ならびに
アキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩
を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、がんを処置する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-シル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド、(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドの非晶質固体分散物、このような非晶質分散物を含む医薬組成物、および、がんなどの増殖性疾患の処置においてこのような固体形態および医薬組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化合物(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドは、TAM受容体チロシンキナーゼ(Tyro3、Axl、Mer)およびc-Metの強力な阻害剤であり、選択された進行したまたは転移性の充実性腫瘍を有する対象において現在試験中である。化合物1の遊離塩基(以下「化合物1」)は、以下に示す構造を有する。
【0003】
【化1】
【0004】
化合物1の遊離塩基(以降「化合物1(形態2)」と呼ばれる)の調製は、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる、国際特許公開第WO2020/047184の実施例72において開示されている。WO2020/047184において記載されている実施例72の方法はまた、以下の実施例1でも再現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2020/047184
【特許文献2】米国仮特許出願第63/224467号
【特許文献3】米国仮特許出願第63/232832号
【特許文献4】米国仮特許出願第63/344671号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Shaverら(Cancer Res.76(16):4850~4860、2016)
【非特許文献2】Seoら(Genome Res.22:2109~2119、2012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
化合物1(形態2)と比較して、向上した物理的および化学的安定性、好ましい溶解プロファイルおよび薬物動態学的プロファイルを有し、そして非吸湿性の、固体形態および投与形態の化合物1が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に記載される実施形態の各々は、本明細書において記載されるあらゆる他の実施形態と組み合わせることができ、後者は、それが組み合わされる実施形態と矛盾しないものである。
【0009】
一態様において、本発明は、化合物1
【0010】
【化2】
および薬学的に許容できるポリマーを含む非晶質固体分散物を提供する。
【0011】
一態様において、本発明は、化合物1を含む非晶質固体分散物であって、固体分散物中の化合物1の形態が非晶質の化合物1(形態3)である、非晶質固体分散物を提供する。
【0012】
一態様において、本発明は、化合物1およびポリマーを含む非晶質固体分散物であって、ポリマーが、セルロースエーテル、セルロースエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、N-ビニルラクタムのホモポリマー、N-ビニルラクタムのコポリマー、ポリアクリルアミド、およびポリアルキレンオキシド、およびこれらの混合物から選択される、非晶質固体分散物を提供する。
【0013】
一態様において、本発明は、化合物1を含む非晶質固体分散物であって、化合物1が非晶質固体分散物の約25重量%~50重量%の量で存在する、非晶質固体分散物を提供する。
【0014】
一態様において、本発明は、化合物1およびポリマーを含む非晶質固体分散物であって、固体分散物中のポリマーに対する化合物1の比率が約1:1~約1:3である、非晶質固体分散物を提供する。一部の実施形態において、固体分散物中のポリマーに対する化合物1の比率は、約1:1である。一部の実施形態において、固体分散物中のポリマーに対する化合物1の比率は、約1:3である。
【0015】
一態様において、本発明は、化合物1を含む非晶質固体分散物であって、25℃/60%相対湿度または40℃/75%相対湿度で13週間保存した後に、構造
【0016】
【化3】
を有するN-(4-((3-アミノ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドである0.5重量%未満の不純物を含む、非晶質固体分散物を提供する。
【0017】
一態様において、本発明は、化合物1を含む非晶質固体分散物であって、25℃/60%相対湿度または40℃/75%相対湿度で13週間保存した後に、構造
【0018】
【化4】
を有するN-(4-((3-アミノ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドである約0.20重量%~0.48重量%の間の不純物を含む、非晶質固体分散物を提供する。
【0019】
一態様において、本発明は、本発明に従った非晶質固体分散物および1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0020】
一態様において、本発明は、本発明に従った非晶質固体分散物、結合剤、充填剤、崩壊剤、流動促進剤、および潤滑剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0021】
一態様において、本発明は、
(a)10%~65%の本発明の非晶質固体分散物、
(b)14%~50%の結合剤、
(c)14%~50%の充填剤、
(d)1%~6%の崩壊剤、
(e)0.1%~1.25%の流動促進剤、および
(f)0.25%~1.25%の潤滑剤
を含む、医薬組成物を提供する。
【0022】
一態様において、本発明は、
(a)10%~75%の本発明の非晶質固体分散物、
(b)8%~50%の結合剤、
(c)0%~50%の充填剤、
(d)1%~6%の崩壊剤、
(e)0.1%~4%の流動促進剤、および
(f)0.25%~1.25%の潤滑剤
を含む、医薬組成物を提供する。
【0023】
一態様において、本発明は、固体形態の化合物1を提供する。
【0024】
一態様において、本発明は、無水結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態1)である、固体形態の化合物1を提供する。
【0025】
一態様において、本発明は、(a)-124.5および-113.8ppmから選択される少なくとも1つの共鳴値±0.2ppmを含む19F固体NMRスペクトル、または(b)5.2、10.0、14.9、18.8、および20.3度2シータ(±0.2度2シータ)での特徴的ピークを含むPXRDパターン、または(c)(a)および(b)の組み合わせ、を有することによって特徴付けされる、無水結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態1)を提供する。
【0026】
一態様において、本発明は、(a)-124.5および-113.8ppm±0.2ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトル、または(b)5.2、10.0、14.9、18.8、および20.3度2シータ(±0.2度2シータ)での特徴的ピークを含むPXRDパターン、または(c)(a)および(b)の組み合わせを有することによって特徴付けされる、無水結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態1)を提供する。
【0027】
一態様において、本発明は、水和物結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態4)である、固体形態の化合物1を提供する。
【0028】
一態様において、本発明は、(a)-114.3および-120.3ppmから選択される少なくとも1つの共鳴値±0.2ppmを含む19F固体NMRスペクトル、または(b)6.7、8.9、13.3、21.2、および23.6度2シータ(±0.2度2シータ)での特徴的ピークを含むPXRDパターン、または(c)(a)および(b)の組み合わせを有することによって特徴付けされる、水和物結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態4)を提供する。
【0029】
一態様において、本発明は、非晶質形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態3)である、固体形態の化合物1を提供する。
【0030】
一実施形態において、非晶質形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態3)は、-127.9および-112.7ppm±0.5ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルを有することによって特徴付けされる。
【0031】
一態様において、本発明は、無水結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態1)、および1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0032】
一態様において、本発明は、水和物結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態4)、および1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0033】
一態様において、本発明は、非晶質形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態3)、および1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0034】
一態様において、本発明は、それを必要とする対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、増殖性疾患を処置する方法を提供する。
【0035】
一態様において、本発明は、それを必要とする対象に治療有効量の無水結晶形態の化合物1(形態1)を投与することを含む、増殖性疾患を処置する方法を提供する。
【0036】
一態様において、本発明は、それを必要とする対象に治療有効量の非晶質の化合物1(形態3)を投与することを含む、増殖性疾患を処置する方法を提供する。
【0037】
一態様において、本発明は、それを必要とする対象に治療有効量の無水の化合物1(形態4)を投与することを含む、増殖性疾患を処置する方法を提供する。
【0038】
一態様において、本発明は、それを必要とする対象に、化合物1の非晶質固体分散物を含む治療有効量の医薬組成物を投与することを含む、増殖性疾患を処置する方法を提供する。
【0039】
一態様において、本発明は、それを必要とする対象に、無水の化合物1(形態1)を含む治療有効量の医薬組成物を投与することを含む、増殖性疾患を処置する方法を提供する。
【0040】
一態様において、本発明は、それを必要とする対象に、無水の化合物1(形態4)を含む治療有効量の医薬組成物を投与することを含む、増殖性疾患を処置する方法を提供する。
【0041】
一実施形態において、増殖性疾患は、TAMに関連するがんである。
【0042】
一実施形態において、増殖性疾患は、c-Metに関連するがんである。
【0043】
一実施形態において、増殖性疾患を処置する方法は、治療有効量の1つまたは複数のさらなる抗がん剤の投与をさらに含む。
【0044】
一実施形態において、さらなる抗がん剤は、VEGF阻害剤である。
【0045】
一実施形態において、VEGF阻害剤は、アキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩およびベバシズマブまたはそのバイオシミラーから選択される。
【0046】
一実施形態において、さらなる抗がん剤は、免疫療法剤である。
【0047】
一実施形態において、免疫療法剤は、PD-1阻害剤である。
【0048】
一実施形態において、PD-1阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、およびササンリマブ、およびこれらのバイオシミラーから選択される。
【0049】
一実施形態において、さらなる抗がん剤は、PD-1阻害剤およびVEGF阻害剤である。
【0050】
一実施形態において、さらなる抗がん剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、およびササンリマブ、およびこれらのバイオシミラーから選択されるPD-1阻害剤、ならびにアキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩およびベバシズマブまたはそのバイオシミラーから選択されるVEGF阻害剤である。
【0051】
一態様において、本発明は、それを必要とする対象に、無水結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態1)、水和物結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態4)、および非晶質形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態3)から選択される治療有効量の固体形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-シル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドを投与することを含む、増殖性疾患を処置する方法を提供する。
【0052】
一態様において、本発明は、それを必要とする対象に、治療有効量の固体形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-シル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(例えば、本明細書において開示されている固体形態のいずれか)またはその医薬組成物、ササンリマブであるPD-1阻害剤、ならびにアキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩およびベバシズマブまたはそのバイオシミラーから選択されるVEGF阻害剤を投与することを含む、増殖性疾患を処置する方法を提供する。
【0053】
一態様において、本発明は、それを必要とする対象に、治療有効量の固体形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-シル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(例えば、本明細書において開示されている固体形態のいずれか)またはその医薬組成物、ササンリマブまたはそのバイオシミラーであるPD-1阻害剤、およびアキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩であるVEGF阻害剤を投与することを含む、増殖性疾患を処置する方法を提供する。
【0054】
一態様において、本発明は、それを必要とする対象に、治療有効量の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-シル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドまたはその医薬組成物、ササンリマブまたはそのバイオシミラーであるPD-1阻害剤、およびベバシズマブまたはそのバイオシミラーであるVEGF阻害剤を投与することを含む、増殖性疾患を処置する方法を提供する。
【0055】
一態様において、本発明は、それを必要とする対象に、治療有効量の化合物1、PD-1阻害剤、およびVEGF阻害剤を、少なくとも1つの投与サイクルからなる投与スケジュールに従って投与することを含む、がんを処置するための方法であって、各投与サイクルが21日間の投与サイクルであり、前記化合物1が1日目から14日目に投与され、前記ササンリマブまたはそのバイオシミラーが1日目に投与され、そして前記VEGF阻害剤が1~21日目に投与される、方法を提供する。
【0056】
別の態様において、本発明は、がんの処置において使用するための、本明細書において記載される態様または実施形態に従った化合物1の非晶質固体分散物を含む医薬組成物を提供する。
【0057】
さらに別の態様において、本発明は、がんの処置のための薬剤の製造において使用するための、本明細書において記載される態様または実施形態に従った化合物1の非晶質固体分散物を含む医薬組成物を提供する。
【0058】
別の態様において、本発明は、がんの処置のための、本明細書において記載される態様または実施形態に従った化合物1の非晶質固体分散物を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0059】
この概要は、詳細な説明において以下でさらに記載される単純な形の概念の選択を導入するために提供される。この概要は、特許請求の範囲に記載の主題の重要な特徴または必須の特徴を同定することを意図したものでも、特許請求の範囲に記載の主題の範囲の決定における助けとして単独で使用されることを意図したものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1-1】図1Aは無水結晶形態の化合物1(形態1)のPXRDパターンを示す図である。
図1-2】図1Bはハッシュ(#)の印が付いているピークがスピニングサイドバンドを示す、無水結晶形態の化合物1(形態1)の19F ssNMRスペクトルを示す図である。
図2-1】図2Aは水和物結晶形態の化合物1(形態4)のPXRDパターンを示す図である。
図2-2】図2Bはハッシュ(#)の印が付いているピークがスピニングサイドバンドを示す、水和物結晶形態の化合物1(形態4)の19F ssNMRスペクトルを示す図である。
図3-1】図3Aは非晶質の化合物1(形態3)のPXRDパターンを示す図である。
図3-2】図3Bは非晶質の化合物1(形態3)の19F ssNMRスペクトルを示す図である。
図4】化合物1(形態2)のPXRDパターンを示す図である。
図5】化合物1(形態2)の19F ssNMRスペクトルを示す図である。
図6】非晶質固体分散物(1:1の化合物1:HPMCAS-L)のPXRDパターンを示す図である。
図7】非晶質固体分散物(1:1の化合物1:HPMCAS-L)の19F ssNMRスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明は、本明細書に含まれる以下の本発明の実施形態の詳細な説明および実施例を参照することによって、より容易に理解することができる。本明細書において使用される専門用語は、具体的な実施形態を説明することだけを目的としており、限定的であることを意図したものではないことが理解される。本明細書において具体的に定義されていない限り、本明細書において使用される専門用語は、関連する技術分野において公知のその従来の意味を有することがさらに理解される。
【0062】
本明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段の指示がない限り、複数形の言及を含む。
【0063】
本明細書において別段の定義がない限り、用語「約」は、パラメータを修飾するために使用される場合、当業者によって考慮された場合に、平均の許容される標準誤差内に入る値を有することを意味する。一実施形態において、用語「約」は、プラスまたはマイナス20%を意味する。一実施形態において、約という用語は、プラスまたはマイナス10%を意味する。一実施形態において、約という用語は、プラスまたはマイナス5%を意味する。
【0064】
本明細書において使用される場合、用語「実質的に同一」は、特定の方法に典型的なばらつきが考慮されることを意味する。例えば、X線回折のピーク位置に関する場合、用語「実質的に同一」は、ピークの位置および強度における典型的なばらつきが考慮されることを意味する。当業者には、ピーク位置(2シータ)が、ある程度のばらつき、典型的には±0.2°程度のばらつきを示すことが理解されよう。さらに、当業者には、相対的ピーク強度が、装置間のばらつき、ならびに、結晶性の程度、好ましい配向、調製されたサンプル表面、および当業者に公知の他の因子に起因するばらつきを示すこと、そして定性的測定としてのみ利用されるべきであることが理解されよう。同様に、19F固体NMRスペクトル(ppm)は、典型的には±0.2ppmまたは±0.5ppm程度のばらつきを示す。
【0065】
本明細書において使用される用語「結晶性の」は、分子または外表面の、規則的に反復している配置を有することを意味する。結晶形態は、熱力学的安定性、物理的パラメータ、X線構造、および調製プロセスに関して異なり得る。
【0066】
一部の実施形態において、結晶形態の物質は、非晶質形態および/または他の結晶形態を実質的に有していなくてよい。本明細書において使用される場合、用語「非晶質形態を実質的に有さない」は、結晶形態の物質が重量ベースで約1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、35%未満、40%未満、45%未満、または50%未満の1つまたは複数の非晶質形態および/または他の結晶形態を含有し得ることを意味する。
【0067】
用語「非晶質の」は、材料が分子レベルで長距離秩序を欠いており、温度に依存して固体または液体の物理的特性を示し得る状態を指す。典型的には、このような材料は、独特のX線回折パターンを示さず、固体の特性を示しながらも、形態的に液体と記載されることが多い。加熱すると、固体特性から液体特性への変化が生じ、これは、状態の変化、典型的には二次転移(「ガラス転移」)によって特徴付けされる。ある特定の実施形態において、非晶質形態の物質は、結晶形態を実質的に有していなくてよい。本明細書において使用される場合、用語「結晶形態を実質的に有さない」は、非晶質形態の物質が重量ベースで約1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、35%未満、40%未満、45%未満、または50%未満の1つまたは複数の結晶形態を含有し得ることを意味する。
【0068】
本明細書において使用される用語「無水」は、その結晶格子の一部として化合物のみを含有する結晶形態を指す。
【0069】
用語「溶媒和物」は、化合物(例えば、薬物製品の活性薬学的成分(API))および化学量論量または非化学量論量の1つまたは複数の溶媒分子(例えば、水またはエタノール)を含む分子複合体を指す。溶媒が化合物に緊密に結合すると、得られた複合体は、湿度に依存しない、明確な化学量論を有する。しかし、溶媒が弱く結合している場合は、チャネル溶媒和物および吸湿性化合物におけるように、溶媒の含有量は湿度および乾燥条件に依存する。このようなケースでは、複合体は非化学量論であることが多い。
【0070】
用語「水和物」は、化合物および化学量論量または非化学量論量の水を含む溶媒和物を指す。「一水和物」は、化合物分子当たり1分子の水(すなわち、1:1の、化学量論の水と化合物)を含む水和物である。
【0071】
用語「実質的に純粋」は、特定の結晶形態が、10重量%未満、例えば5重量%未満、例えば3重量%未満、例えば1重量%未満のあらゆる他の物理的形態の化合物を含むことを意味する。
【0072】
用語「ポリマー」は、化学的共有結合によって結ばれた反復構造単位(モノマー)を含む化合物を指す。ポリマーはさらに、誘導体化、架橋、グラフト、または末端キャッピングをされ得る。ポリマーの非限定的な例としては、コポリマー、ターポリマー、第四級ポリマー、およびホモログが含まれる。
【0073】
用語「コポリマー」は、2つ以上の異なるタイプの反復構造単位(モノマー)から基本的になるポリマーを指す。
【0074】
用語「固体分散物」は、1つの構成要素が他の1つまたは複数の構成要素の全体に非常に等しく均質に分散している、少なくとも2つの構成要素を含む固体状態を指す。これとしては、固溶体またはガラス溶液が含まれ、すなわち、構成要素の分散が、組成物が化学的および物理的に均質な性質となるようになっている。一実施形態において、第1の構成要素は活性薬学的成分(API)(すなわち化合物1)であり、第2の構成要素はポリマーを含むマトリクスであり、ここで、APIは、マトリクス(ポリマー)内に非常に均等に分散している。限定はしないが、固体分散物は、共晶混合物、固溶体、ガラス溶液もしくは懸濁液、ガラス担体もしくは結晶担体中の非晶質沈殿、複合体、複合型形成物、または異なる系の組み合わせとして物理的に分類され得る。さらに、固体分散物は、当業者に公知の様々な技術を使用して、例えば、溶媒中でのAPI(すなわち化合物1)およびポリマーの共溶解、次いで、噴霧乾燥、噴霧凝結、蒸発、キュアリングまたはマイクロ派処理、混合および直接圧縮、上昇温度であるが融解温度ではない温度での機械的混和、湿式造粒、押出-スフェロニゼーション、融解融合、ホットメルト押出、ならびにそれに類するものによって調製され得る。
【0075】
用語「非晶質固体分散物」は、化合物1が非晶質形態である、本明細書において定義される固体分散物を指す。
【0076】
固体形態の化合物1
一態様において、本明細書において、結晶形態のおよび非晶質固体形態の化合物1が提供される。
【0077】
本明細書において記載される固体形態の化合物1は、以下の方法:(1)粉末X線回折(PXRD)(2シータ)、または(2)19F固体NMR分光法(ppm)、または方法(1)および(2)の組み合わせのいずれかによって特徴付けされ得る。
【0078】
PXRDによって特徴付けされる、本明細書における態様および実施形態の各々において、PXRDピークは、1.5418λでのCuKα線照射を使用して収集される。
【0079】
このような固体形態は、ラマン分光法、13C固体NMR分光法、示差走査熱量測定(DSC)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、熱重量分析(TGA)、または示差熱分析(DTA)などのさらなる技術によってさらに特徴付けされ得る。
【0080】
一実施形態において、本発明は、無水結晶形態の化合物1(形態1)である固体形態の化合物1を提供する。
【0081】
一実施形態において、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、実質的に純粋であり、別の形態を有さない。
【0082】
ある特定の実施形態において、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、95%を上回って実質的に純粋である。
【0083】
ある特定の実施形態において、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、97%を上回って実質的に純粋である。
【0084】
ある特定の実施形態において、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、99%を上回って実質的に純粋である。
【0085】
本明細書において記載されるように、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、PXRD、19F固体NMR分光法、またはPXRD、および19F固体NMR分光法によって特徴付けされる。このような結晶形態は、ラマン分光法、13C固体NMR分光法、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、または示差熱分析(DTA)などのさらなる技術によってさらに特徴付けされ得る。
【0086】
一実施形態において、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、その粉末X線回折(PXRD)パターンによって特徴付けされる。
【0087】
本発明の一実施形態において、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、その19F固体NMRスペクトルによって特徴付けされる。
【0088】
一実施形態において、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、その粉末X線回折(PXRD)パターンおよびその19F固体NMRスペクトルによって特徴付けされる。
【0089】
一実施形態において、本発明は、表1Aにおけるものと実質的に同一のPXRDピークのリストを含むPXRDパターン(角度2シータ(±0.2度2シータ))によって特徴付けされる無水結晶形態の化合物1(形態1)を提供する。
【0090】
【表1】
【0091】
一実施形態において、本発明は、表1Bにおいて示される特徴的なピークを含むPXRDパターン(角度2シータ(±0.2度2シータ))によって特徴付けされる無水結晶形態の化合物1(形態1)を提供する。
【0092】
【表2】
【0093】
一実施形態において、本明細書において、5.2、10.0、14.9、18.8、および20.3度2シータ(±0.2度2シータ)での特徴的ピークを含むPXRDパターンを有する無水結晶形態の化合物1(形態1)が提供される。
【0094】
一実施形態において、本発明は、図1に示すものと実質的に同一の2シータ値でのピークを含むPXRDパターンを有する無水結晶形態の化合物1(形態1)を提供する。
【0095】
別の実施形態において、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、
(a)角度2シータ(±0.2度2シータ)での表1Aのピーク、または
(b)角度2シータ(±0.2度2シータ)での表1Bのピーク、または
(d)図1Aに示すものと実質的に同一の2シータ値でのピーク
を含むPXRDパターンを有する。
【0096】
一実施形態において、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、表1C(ppm)から選択される少なくとも1つの共鳴値(ppm)±0.2ppmを含む19F固体NMRスペクトルを有する。
【0097】
【表3】
【0098】
一実施形態において、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、-124.5および-113.8ppmから選択される少なくとも1つの共鳴値±0.2ppmを含む19F固体NMRスペクトルを有する。
【0099】
別の実施形態において、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、-124.5ppm±0.2ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルを有する。
【0100】
別の実施形態において、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、-113.8ppm±0.2ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルを有する。
【0101】
別の実施形態において、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、-124.5および-113.8ppm±0.2ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルを有する。
【0102】
別の実施形態において、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、-110.0、-112.2、-113.8、-122.0、および-124.5ppm±0.2ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルを有する。
【0103】
別の実施形態において、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、図1Bに示すものと実質的に同一の共鳴(ppm)値を含む19F固体NMRスペクトルを有し、当該スペクトルにおいて、ハッシュ(#)の印が付いているピークは、スピニングサイドバンドである。
【0104】
一実施形態において、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、(a)5.2、10.0、14.9、18.8、および20.3度2シータ(±0.2度2シータ)での特徴的ピークを含むPXRDパターン、ならびに(b)-124.5および-113.8ppmから選択される少なくとも1つの共鳴値±0.2ppmを含む19F固体NMRスペクトルによって特徴付けされる。
【0105】
一実施形態において、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、(a)5.2、10.0、14.9、18.8、および20.3度2シータ(±0.2度2シータ)の2シータ値での特徴的ピークを含むPXRDパターン、ならびに(b)-124.5および-113.8ppm±0.2ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルによって特徴付けされる。
【0106】
一実施形態において、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、(a)5.2、10.0、14.9、18.8、および20.3度2シータ(±0.2度2シータ)の2シータ値での特徴的ピークを含むPXRDパターン、ならびに(b)-124.5ppm±0.2ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルによって特徴付けされる。
【0107】
一実施形態において、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、(a)5.2、10.0、14.9、18.8、および20.3度2シータ(±0.2度2シータ)の2シータ値でのピークを含むPXRDパターン、ならびに(b)-113.8ppm±0.2ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルによって特徴付けされる。
【0108】
一実施形態において、本発明は、水和物結晶形態の化合物1(形態4)である固体形態の化合物1を提供する。
【0109】
一実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、実質的に純粋であり、別の形態を有さない。
【0110】
ある特定の実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、95%を上回って実質的に純粋である。
【0111】
ある特定の実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、97%を上回って実質的に純粋である。
【0112】
ある特定の実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、99%を上回って実質的に純粋である。
【0113】
本明細書において記載されるように、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、PXRDおよび19F固体NMR分光法によって特徴付けされる。このような結晶形態は、ラマン分光法、13C固体NMR分光法、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、または示差熱分析(DTA)などのさらなる技術によってさらに特徴付けされ得る。
【0114】
一実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、そのPXRDパターンによって特徴付けされる。
【0115】
一実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、その19F固体NMRスペクトルによって特徴付けされる。
【0116】
一実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、そのPXRDパターンおよびその19F固体NMRスペクトルによって特徴付けされる。
【0117】
一実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、表2Aにおけるものと実質的に同一のPXRDピークのリストを含むPXRDパターン(角度2シータ(±0.2度2シータ))によって特徴付けされる。
【0118】
【表4-1】
【0119】
【表4-2】
【0120】
一実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、表2Bで示す特徴的ピーク(角度2シータ(±0.2度2シータ))を含む。
【0121】
【表5】
【0122】
一実施形態において、本明細書において、6.7、8.9、13.3、21.2、および23.6度2シータ(±0.2度2シータ)での特徴的ピークを含むPXRDパターンを有する水和物結晶形態の化合物1(形態4)が提供される。
【0123】
一実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、図2Aに示すものと実質的に同一の2シータ値でのピークを含むPXRDパターンを有する。
【0124】
別の実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、
(a)角度2シータ(±0.2度2シータ)での表2Aのピーク、
(b)角度2シータ(±0.2度2シータ)での表2Bのピーク、または
(c)図2Aに示すものと実質的に同一の2シータ値でのピーク
を含むPXRDパターン(2シータ)を有する。
【0125】
一実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、表2Cから選択される少なくとも1つの共鳴値(ppm)を含む19F固体NMRスペクトルを有する。
【0126】
【表6】
【0127】
一実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、-114.3および-120.3ppmから選択される少なくとも1つの共鳴値±0.2ppmを含む19F固体NMRスペクトルを有する。
【0128】
別の実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、-114.3ppm±0.2ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルを有する。
【0129】
別の実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、-120.3ppm±0.2ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルを有する。
【0130】
別の実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、-114.3および-120.3ppm±0.2ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルを有する。
【0131】
別の実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、図2Bに示すものと実質的に同一の19F固体NMRスペクトル共鳴(ppm)値を有し、当該スペクトルにおいて、ハッシュ(#)の印が付いているピークは、スピニングサイドバンドである。
【0132】
別の実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、(a)6.7、8.9、13.3、21.2、および23.6度2シータ(±0.2度2シータ)での特徴的ピークを含むPXRDパターン、ならびに(b)-114.3および-120.3ppmから選択される少なくとも1つの共鳴値±0.2ppmを含む19F固体NMRスペクトルによって特徴付けされる。
【0133】
別の実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、(a)6.7、8.9、13.3、21.2、および23.6度2シータ(±0.2度2シータ)の2シータ値でのピークを含むPXRDパターン、ならびに(b)-114.3および-120.3ppm±0.2ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルによって特徴付けされる。
【0134】
別の実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、(a)6.7、8.9、13.3、21.2、および23.6度2シータ(±0.2度2シータ)の2シータ値でのピークを含むPXRDパターン、ならびに(b)-114.3±0.2ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルによって特徴付けされる。
【0135】
別の実施形態において、水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、(a)6.7、8.9、13.3、21.2、および23.6度2シータ(±0.2度2シータ)の2シータ値でのピークを含むPXRDパターン、ならびに(b)-120.3ppm±0.2ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルによって特徴付けされる。
【0136】
一実施形態において、本発明は、非晶質形態の化合物1(形態3)である固体形態の化合物1を提供する。
【0137】
一実施形態において、非晶質形態の化合物1(形態3)は、実質的に純粋であり、別の形態を有さない。
【0138】
ある特定の実施形態において、非晶質形態の化合物1(形態3)は、95%を上回って実質的に純粋である。
【0139】
ある特定の実施形態において、非晶質形態の化合物1(形態3)は、97%を上回って実質的に純粋である。
【0140】
ある特定の実施形態において、非晶質形態の化合物1(形態3)は、99%を上回って実質的に純粋である。
【0141】
本明細書において記載されるように、非晶質形態の化合物1(形態3)は、PXRDおよび19F固体NMR分光法によって特徴付けされる。このような結晶形態は、ラマン分光法、13C固体NMR分光法、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、または示差熱分析(DTA)などのさらなる技術によってさらに特徴付けされ得る。
【0142】
一実施形態において、非晶質形態の化合物1(形態3)は、図3Aに示すものと実質的に同一のPXRDパターンを有する。
【0143】
別の実施形態において、非晶質形態の化合物1(形態3)は、-127.9および-112.7ppm±0.5ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルを有する。
【0144】
別の実施形態において、非晶質形態の化合物1(形態3)は、-127.9ppm±0.5ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルを有する。
【0145】
別の実施形態において、非晶質形態の化合物1(形態3)は、図3Bに示すものと実質的に同一の19F固体NMRスペクトル共鳴(ppm)値を有し、当該スペクトルにおいて、ハッシュ(#)の印が付いているピークは、スピニングサイドバンドである。
【0146】
無水結晶形態の化合物1(形態1)および水和物結晶形態の化合物1(形態4)の化学的安定性および吸湿性を試験し、実施例6において記載されているアッセイに従って、化合物1(形態2)と比較した。無水結晶形態の化合物1(形態1)および水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、化合物1(形態2)と比較して有利な特性を有することが分かった。
【0147】
無水結晶形態の化合物1(形態1)は178℃まで熱に安定であることが観察され、水和物結晶形態の化合物1(形態4)はおよそ123℃まで安定であることが観察された。逆に、化合物1(形態2)は、およそ28℃まで安定であるにすぎなかった。
【0148】
無水結晶形態の化合物1(形態1)および水和物結晶形態の化合物1(形態4)はまた、70℃および75%相対湿度(RH)で1週間行った加速安定性試験において、化合物1(形態2)よりも優れた安定性を証明した。無水結晶形態の化合物1(形態1)および水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、これらの条件下で化学的に安定なままであることが分かった。無水結晶形態の化合物1(形態1)および水和物結晶形態の化合物1(形態4)でそれぞれ、わずか約1.0%および0.3%の分解が観察された。逆に、約3.2%の分解が化合物1(形態2)で観察された。さらに、固体形態の化学的安定性サンプルを、この実験の最後に、PXRDで分析した。無水結晶形態の化合物1(形態1)および水和物結晶形態の化合物1(形態4)のサンプルは物理的に安定であり、PXRD分析によって変化を示さなかった。しかし、化合物1(形態2)のサンプルは物理的に不安定であり、70℃/75%RHで1週間後に、約4.2度2シータでのピークの喪失を示した。無水結晶形態の化合物1(形態1)および水和物結晶形態の化合物1(形態4)で見られた特性は、安定な物理的および化学的構造の両方を有することを含む、商品にとって望ましい特性と合致している。
【0149】
さらに、無水結晶形態の化合物1(形態1)および水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、非吸湿性である。本明細書において使用される場合、「非吸湿性」は、25℃および60%RHで120分後に2%未満の重量増加を示す化合物を指す(例えば実施例6を参照されたい)。しかし、化合物1(形態2)は吸湿性であり、25℃および60%RHでおよそ5%重量増加する。さらに、固体形態の無水結晶形態の化合物1(形態1)または水和物結晶形態の化合物1(形態4)における変化は、吸湿分析の終了後に検出されなかった。この傾向を考慮すると、化合物(形態2)の使用は、形態におけるこの変化が生じることを防ぐために、保存および製造の際に取扱いに十分注意することを必要とするが、その一方で、無水結晶形態の化合物1(形態1)は、APIの製造の際にこのような注意は不要である。湿度に対するこの安定性はまた、無水結晶形態の化合物1(形態1)を使用して調製されたあらゆる固体の経口投与製品に持ち越されることが予想される。
【0150】
非晶質固体分散物
一実施形態において、本発明は、化合物1および薬学的に許容できるポリマーを含む非晶質固体分散物を提供する。
【0151】
本明細書において提供される非晶質固体分散物は、本明細書において以下で記載されるように、化合物1(形態2)と比較して有利な生物学的利用能特徴を有する。
【0152】
対象の固体分散物において使用するための適切なポリマーとしては、限定はしないが、セルロースエステル;セルロースエーテル;ポリアクリレート;ポリメタクリレート;N-ビニルラクタムのホモポリマーおよびコポリマー;ポリアクリルアミド;酢酸ビニルポリマー;ポリエチレングリコール、ポリビニルカプロラクタム、およびポリ酢酸ビニルのグラフトコポリマー;ならびにポリアルキレンオキシド;ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0153】
一部の実施形態において、ポリマーは、セルロースエーテルポリマーである。例えば、ポリマーは、メチルセルロース、エチルセルロース、(ヒドロキシアルキル)セルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)もしくはヒドロキシプロピルセルロース(HPC))、または(ヒドロキシアルキル)アルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCもしくはヒプロメロース))から選択され得る。一部の実施形態において、ポリマーはメチルセルロースである。一部の実施形態において、ポリマーはエチルセルロースである。一部の実施形態において、ポリマーはHECである。一部の実施形態において、ポリマーはHPCである。一部の実施形態において、ポリマーはHPMCである。
【0154】
一部の実施形態において、ポリマーはセルロースエステルポリマーである。一部の実施形態において、セルロースエステルポリマーは、フタル酸セルロース(例えば、酢酸フタル酸セルロースもしくはヒプロメロースフタル酸エステル(HPMCP))またはコハク酸セルロース(例えば、ヒプロメロースコハク酸エステル(HPMCS)もしくはヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(HPMCAS))である。一部の実施形態において、セルロースエステルポリマーはHPMCPである。一部の実施形態において、セルロースエステルポリマーはHPMCASである。
【0155】
本明細書において記載されるセルロースエステルポリマーは、特定のグレードによってさらに規定され得る。例えば、HPMCポリマーは、HPMC E3、HPMC E5、HPMC E6、HPMC E15、HPMC K3、HPMC A4、またはHPMC A15から選択され得る。一部の実施形態において、HPMCASは、HPMCAS-L、HPMCAS-M、HPMCAS-H、HPMCAS-LF、HPMCAS-MF、HPMCAS-HF、HPMCAS-LG、HPMCAS-MG、またはHPMCAS-HGである。一実施形態において、HPMCPは、HPMCP 50またはHPMCP 55である。一実施形態において、セルロースエステルポリマーはHPMCPである。一実施形態において、セルロースエステルポリマーはHPMCP 50である。一実施形態において、セルロースエステルポリマーは、HPMCAS-L、HPMCAS-M、またはHPMCAS-Hである。一実施形態において、セルロースエステルポリマーはHPMCAS-Lである。一実施形態において、セルロースエステルポリマーはHPMCAS-LGである。
【0156】
一実施形態において、ポリマーは、ポリアクリレートまたはポリメタクリレートである。一実施形態において、ポリマーは、メタクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸/メタクリル酸メチルコポリマー、ブチルメタクリレート/2-ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ポリ(ヒドロキシアルキルアクリレート)、またはポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)である。適切なポリアクリレートまたはポリメタクリレートとしては、限定はしないが、Eudragit RS 100、Eudragit L 100、Eudragit L 100-55、およびEudragit S 100としてRohm GmbHの商標Eudragit(商標)で販売されているメタクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマー(1:1)、これに同等な他の製造者の製品、ならびにこれらの混合物が含まれる。一実施形態において、ポリマーは、Eudragit RS 100である。一実施形態において、ポリマーはEudragit S 100である。
【0157】
一実施形態において、ポリマーは、N-ビニルラクタムのホモポリマーまたはコポリマーである。一実施形態において、ポリマーは、N-ビニルピロリドンのホモポリマーまたはコポリマーである。一実施形態において、ポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVPもしくはポビドン)のホモポリマー、またはコポリマー(例えば、N-ビニルピロリドンおよび酢酸ビニル(コポビドン)またはN-ビニルピロリドンおよびプロピオン酸ビニルのモノマーを含むもの)である。適切なポビドンとしては、限定はしないが、K値(ポビドンの水溶液の粘度の尺度)が約12、約15、約17、約25、約30、または約90のもの、およびこれらの混合物が含まれる。一実施形態において、ポリマーは、ポリビニルピロリドンK30である。一実施形態において、ポリマーは、ポリ(1-ビニルピロリドン-co-酢酸ビニル)である。
【0158】
一実施形態において、ポリマーはポリアクリルアミドである。
【0159】
一実施形態において、ポリマーは酢酸ビニルポリマー(例えば、酢酸ビニルおよびクロトン酸のコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、または部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル)である。
【0160】
一実施形態において、ポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリビニルカプロラクタム、およびポリ酢酸ビニルのグラフトコポリマー(例えば、BASFのSOLUPLUS(商標)または同等の製品)である。一実施形態において、ポリマーは、オリゴ糖または多糖(例えば、カラギーナン、ガラクトマンナン、もしくはキサンタンガム)である。
【0161】
一実施形態において、ポリマーはポリアルキレンオキシドである。一実施形態において、ポリマーは高分子量のポリアルキレンオキシドである。一実施形態において、ポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEGもしくはPEO)、またはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマー(ポリオキサマー)である。適切なPEGとしては、限定はしないが、PEG400、PEG600、PEG1450、PEG3350、PEG4000、PEG6000、PEG8000、PEG20000、およびこれらの混合物が含まれる。適切なポリオキサマーとしては、限定はしないが、ポリオキサマー124、ポリオキサマー188、ポリオキサマー237、ポリオキサマー338、ポリオキサマー407、およびこれらの混合物が含まれる。一実施形態において、ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)メチルである。一実施形態において、ポリマーは、ポリエチレングリコール6000(PEG6000)である。
【0162】
一実施形態において、ポリマーは、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒプロメロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロースフタル酸エステル(HPMCP)、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(HPMCAS)、ポリエチレングリコールメチル、ポリエチレングリコール-酢酸ビニル-ビニルカプロラクタム(例えば、SOLUPLUS(商標))、ポリエチレングリコール6000(PEG6000)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニル(PVP-VA)、ポリ(アクリル酸エチル-co-メタクリル酸メチル-co-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)1:2:0.1(Eudragit RS 100)、メタクリル酸コポリマーB型(Eudragit S 100)、シュアテリック、プルロニックF-68、およびポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween80)から選択される。
【0163】
一実施形態において、ポリマーは、HPMC、HPMCAS-L、HPMCAS-M、HPMCAS-H、PVP-VA、Eudragit L 100、またはソルプラスから選択される。
【0164】
一実施形態において、ポリマーは、HPMCASグレードL(HPMCAS-L)、HPMCASグレードM(HPMCAS-M)、およびHPMCASグレードH(HPMCAS-H)から選択される。一実施形態において、ポリマーはHPMCAS-Lである。
【0165】
一実施形態において、化合物1は、非晶質固体分散物の1重量%~50重量%、例えば、非晶質固体分散物の1重量%~45重量%、1重量%~40重量%、1重量%~35重量%、1重量%~30重量%、5重量%~50重量%、5重量%~45重量%、5重量%~40重量%、5重量%~35重量%、5重量%~30重量%、10重量%~50重量%、10重量%~45重量%、10重量%~40重量%、10重量%~35重量%、10重量%~30重量%、15重量%~50重量%、15重量%~45重量%、15重量%~40重量%、15重量%~35重量%、15重量%~30重量%、20重量%~50重量%、20重量%~45重量%、20重量%~40重量%、20重量%~35重量%、20重量%~30重量%、22.5重量%~50重量%、22.5重量%~45重量%、22.5重量%~40重量%、22.5重量%~35重量%、22.5重量%~30重量%、22.5重量%~27.5重量%、25重量%~50重量%、25重量%~45重量%、25重量%~40重量%、25重量%~35重量%、25重量%~30重量%、または25重量%~27.5重量%の量で存在する。
【0166】
一実施形態において、化合物1は、非晶質固体分散物の15重量%~35重量%の量で存在する。一実施形態において、化合物1は、非晶質固体分散物の約22.5重量%~27.5重量%の量で存在する。一実施形態において、化合物1は、非晶質固体分散物の25重量%~50重量%の量で存在する。一実施形態において、化合物1は、非晶質固体分散物の約25重量%の量で存在する。一実施形態において、化合物1は、非晶質固体分散物の約50重量%の量で存在する。一実施形態において、化合物1は、非晶質固体分散物の25重量%の量で存在する。一実施形態において、化合物1は、非晶質固体分散物の50重量%の量で存在する。
【0167】
一実施形態において、ポリマーは、非晶質固体分散物の50重量%~80重量%、例えば、非晶質固体分散物の55重量%~80重量%、60重量%~80重量%、65重量%~80重量%、70重量%~80重量%、50重量%~77.5重量%、52.5重量%~77.5重量%、55重量%~77.5重量%、57.5重量%~77.5重量%、62.5重量%~77.5重量%、65重量%~77.5重量%、67.5重量%~77.5重量%、70重量%~77.5重量%、72.5重量%~77.5重量%、50重量%~75重量%、52.5重量%~75重量%、55重量%~75重量%、57.5重量%~75重量%、60重量%~75重量%、62.5重量%~75重量%、65重量%~75重量%、67.5~75重量%、70重量%~75重量%、または72.5重量%~75重量%の量で存在する。一実施形態において、ポリマーは非晶質固体分散物の約50重量%の量で存在する。一実施形態において、ポリマーは非晶質固体分散物の約75重量%の量で存在する。
【0168】
一実施形態において、非晶質固体分散物は、固体分散物の総重量に対して、
(a)22.5重量%~27.5重量%の化合物1、および
(b)72.5重量%~77.5重量%のHPMCAS
を含む。
【0169】
一実施形態において、非晶質固体分散物は、固体分散物の総重量に対して、
(a)25重量%~50重量%の化合物1、および
(b)50重量%~75重量%のHPMCAS
を含む。
【0170】
一実施形態において、非晶質固体分散物は、固体分散物の総重量に対して、
(a)25重量%の化合物1、および
(b)75重量%のHPMCAS
を含む。
【0171】
一実施形態において、非晶質固体分散物は、固体分散物の総重量に対して、
(a)50重量%の化合物1、および
(b)50重量%のHPMCAS
を含む。
【0172】
本明細書において開示されている非晶質固体分散物は、粉末X線回折(PXRD)、示差走査熱量測定(DSC)、変調示差走査熱量測定(mDSC)、走査型電子顕微鏡法(SEM)、カールフィッシャーの水滴定(KF)、残留溶媒、粒子サイズ、かさ密度、タップ密度、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、およびアキラルHPLCによって特徴付けされ得る。
【0173】
一実施形態において、本明細書において開示されている非晶質固体分散物は、PXRDによって特徴付けされた。一実施形態において、PXRD分析は、Cu放射線源を備えた、Bruker AXS D8 Endeavor回折計を使用して行われた。
【0174】
50%の化合物1:50%のHPMCAS-Lまたは50%の化合物1:50%のHPMCを含む本開示の非晶質固体分散物の純度ならびに化学的および物理的安定性は、例えば実施例7で記載されるように、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、SEM、およびPXRDによって評価され得る。
【0175】
一実施形態において、非晶質固体分散物は、非晶質固体分散物の5重量%未満の不純物、例えば2重量%未満の不純物、例えば1.5重量%未満の不純物、例えば1.0重量%未満の不純物、例えば0.5重量%未満の不純物を含む。一部の実施形態において、非晶質固体分散物は、非晶質固体分散物の約0.20重量%~1.1重量%の間の不純物を含む。一実施形態において、固体分散物は、25℃/60%相対湿度で13週間保存した後に、非晶質固体分散物の2重量%未満の不純物を含む。一実施形態において、不純物は、構造:
【0176】
【化5】
を有する、N-(4-((3-アミノ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドである。
【0177】
非晶質固体分散物の溶解能は、実施例8に記載するように、non-sink条件での胃から腸への(G-IB)移動の微量遠心溶解試験において試験することができる。胃から腸へのバッファー(G-IB)の移動の溶解試験は、空の胃を模倣するためにより低いpH値である培地にまず投与されたときの、原薬の溶解度を超える薬物(すなわち化合物1)の過飽和を測定するために使用される。胃様培地に30分間曝露した後、濃縮された疑似腸バッファー(SIB)を、リン酸緩衝溶液(PBS)中に疑似腸液(SIF)が0.5%という最終組成に達するまで添加する。この試験で測定された薬物濃度は、未結合の薬物(すなわち、溶媒和した薬物)、ミセル中の薬物、および薬物/ポリマーコロイド(ナノ凝集体)として溶液中に懸濁している薬物の混成である。各製剤に存在している溶解した薬物の種を決定するためには、超遠心機を使用しない薬物分析が使用される。この試験は、微量遠心試験の間の選択された時点で行われ、これは、遊離した溶解薬物およびミセル種中の薬物のみを残して、存在するあらゆるコロイド種を除去する、300000×gでの遠心分離ステップを含む。微量遠心のデータと組み合わせて、これは、遊離した溶解薬物およびコロイドの含有量を、両者を試験した時点で決定することを可能にする。胃様バッファー中の化合物1の最大濃度(Cmax GB)、90分間遠心分離した後の胃様バッファー中の化合物1の最大濃度(Cmax90 GB)、4分および90分の時点での胃からの移動後の曲線下面積(AUC4~90 IB)、90分間遠心分離した後の腸様バッファー中の濃度(C90)、および90分間超遠心分離した後の腸様バッファー中の濃度(Ultra90)を、溶解プロファイルから得ることができる。C90は、遊離薬物+薬物ミセル+薬物/ポリマーナノ凝集体の濃度を示し、Ultra90値は、遊離薬物+薬物ミセルの濃度を示す。それ故、薬物/ポリマーナノ凝集体の濃度は、C90値からUltra90値を差し引くことによって計算することができる。非晶質固体分散物の、薬物/ポリマーナノ凝集体を形成する能力は、薬物の経口吸収を向上させる。データを表4に示す。
【0178】
【表7】
【0179】
一実施形態において、本発明に従った非晶質固体分散物のAUCの増大は、化合物1(形態2)と比較して少なくとも2倍、例えば少なくとも3倍または少なくとも4倍であり、この場合、AUCの増大は、化合物1のAUC4~90に対する非晶質固体分散物のAUC4~90の比率を表している。
【0180】
本発明の非晶質固体分散物は、長期の化学的および物理的安定性を有するという利点を示す。具体的には、化合物1は、25℃/60%RHまたは40℃/75%RHで13週間保存した後に非晶質形態のままである。例えば、非晶質固体分散物の化学的安定性は、実施例7に記載されているように試験された。一実施形態において、非晶質固体分散物は、25℃/60%RHまたは40℃/75%RHで13週間保存した後に安定なままであった。一実施形態において、非晶質固体分散物は、25℃/60%RHまたは40℃/75%RHで少なくとも13週間保存した後に安定なままであった。
【0181】
一実施形態において、本明細書において開示されている非晶質固体分散物における化合物1の形態は、非晶質の化合物1(形態3)である。
【0182】
一実施形態において、化合物1およびHPMCAS-Lを1:1の比率で含む非晶質固体分散物における化合物1の形態は、非晶質の化合物1(形態3)である。したがって、一実施形態において、本明細書において、化合物1の形態3およびHPMCAS-Lを1:1の比率で含む非晶質固体分散物が提供される。
【0183】
一実施形態において、化合物1およびHPMCAS-Lを1:1の比率で含む非晶質固体分散物は、図6に示すものと実質的に同一のPXRDパターンを有する。
【0184】
一実施形態において、化合物1およびHPMCAS-Lを1:1の比率で含む非晶質固体分散物は、-127.8および-112.8ppm±0.5ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルを有する。
【0185】
一実施形態において、化合物1およびHPMCAS-Lを1:1の比率で含む固体分散物は、-127.8ppm±0.5ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルを有する。
【0186】
一実施形態において、化合物1およびHPMCAS-Lを1:1の比率で含む固体分散物は、図7に示すものと実質的に同一の19F固体NMRスペクトル共鳴(ppm)値を有し、当該スペクトルにおいて、ハッシュ(#)の印が付いているピークは、スピニングサイドバンドである。
【0187】
一実施形態において、本明細書において提供される非晶質固体分散物は、経口投与のための固体製剤における使用に適している。
【0188】
一実施形態において、非晶質固体分散物は、噴霧乾燥によって得られる。一実施形態において、固体分散物は、融解、溶媒蒸発、噴霧乾燥、融合、混練、同時粉砕、凍結乾燥、ホットメルト押出、融解アグロメレーション、または超臨界流体技術によって得られる。一実施形態において、非晶質固体分散物は、噴霧乾燥によって調製される。
【0189】
一実施形態において、本発明は、(a)溶媒中の化合物1およびポリマーの溶液を提供するステップ、ならびに(b)溶媒を除去して固体分散物を提供するステップを含む、本明細書において記載される非晶質固体分散物を調製するためのプロセスを提供する。一実施形態において、溶媒は、アセトンおよび水の混合物を含む。一実施形態において、溶媒はアセトンを含む。一実施形態において、溶媒は、最大10%の水を含む。一実施形態において、溶媒は、凍結蒸発または噴霧乾燥によって除去される。一実施形態において、溶媒は、噴霧乾燥によって除去される。プロセスは、箱型乾燥機内で固体分散物を乾燥させ、それによって残留溶媒を除去するステップをさらに含み得る。一実施形態において、化合物1の溶液は、無水結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態1)を使用して調製される。一実施形態において、化合物1の溶液は、水和物結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態4)を使用して調製される。
【0190】
一実施形態において、ステップ(a)は、化合物1を溶媒、例えばアセトンおよび水の混合物(例えば、9/1のアセトン/水)に添加すること、および得られた混合物を、化合物1が完全に溶解するまで、または澄明な溶液が得られるまで混合することを含む。ステップ(a)は、適切なポリマー(例えば、HPMCAS-L、HPMCAS-M、HPMC E3、またはPVP-PA)をアセトン/水混合物中の化合物1の溶液に添加し、その後混合することをさらに含み得る。一実施形態において、ステップ(b)における溶媒の除去は、溶媒中の化合物1およびポリマーの溶液を噴霧乾燥することを含む。噴霧乾燥は、任意の適切な乾燥機で行うことができる。一実施形態において、入口温度は、例えば90~160℃の間で上昇する。出口温度もまた、例えば30~70℃の間で上昇し得る。一実施形態において、乾燥用気体の流量は、約500g/分である。
【0191】
二次乾燥が、噴霧乾燥後に残っている残留溶媒を除去するために使用されていてもよい。二次乾燥は、箱型乾燥機での乾燥を含み得る。一実施形態において、固体分散物は、箱型乾燥機のトレイにおよそ1インチの深さまで入れられる。乾燥機の温度は、例えば30~50℃まで、例えば40℃に典型的には上昇する。一実施形態において、二次乾燥は、1~24時間、例えば6~18時間、または約15時間である。
【0192】
一実施形態において、本開示は、(a)溶媒中の式(I)の化合物およびポリマーの溶液を提供するステップ、ならびに(b)溶媒を除去して固体分散物を提供するステップを含む、本明細書において開示されている固体分散物を調製するためのプロセスを提供する。ポリマーは、本明細書において記載される任意の適切なポリマー、例えばHPMCAS、例えばHPMCAS-Lから選択され得る。溶媒は、任意の適切な溶媒から選択され得る。一実施形態において、溶媒は、アセトンおよび水の混合物である。一実施形態において、溶媒は、噴霧乾燥によって除去される。
【0193】
医薬組成物
一実施形態において、本明細書において、化合物1を送達するための医薬組成物が提供される。
【0194】
一実施形態において、医薬組成物は、(a)化合物1の非晶質固体分散物、および(b)1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む。一実施形態において、医薬組成物は、経口送達のために製剤される。
【0195】
一実施形態において、医薬組成物は、固体形態の化合物1、および(b)1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む。一実施形態において、医薬組成物は、(a)無水結晶形態の化合物1(形態1)、水和物結晶形態の化合物1(形態4)、または非晶質形態の化合物1(形態3)から選択される固体形態の化合物1、および(b)1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む。一実施形態において、医薬組成物は、経口送達のために製剤される。
【0196】
本開示の医薬組成物は、活性成分(例えば化合物1)と、限定はしないが、不活性の固体希釈剤および充填剤、結合剤、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤、被覆剤、無菌水溶液および様々な有機溶媒、浸透促進剤、可溶化剤、ならびにアジュバントを含む、1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤および/または担体とを典型的に含有する。本開示の化合物または固体分散物は、任意の適切な薬学的製剤中に製剤され得る。一部の実施形態において、1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤は、微晶質セルロース、ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウムから選択される。
【0197】
薬学的製剤は任意の適切な形態で提供され得、この形態は投与経路に依存し得る。一実施形態において、本明細書において開示されている医薬組成物は、対象に投与するための投与形態で製剤され得る。一実施形態において、医薬組成物は、経口投与、静脈内投与、動脈内投与、エアロゾル投与、非経口投与、口腔内投与、局所投与、経皮投与、直腸投与、筋肉内投与、皮下投与、骨内投与、鼻腔内投与、肺内投与、経粘膜投与、吸入投与、および/または腹腔内投与のために製剤される。一実施形態において、投与形態は、経口投与のために製剤される。例えば、医薬組成物は、ピル、錠剤、カプセル、吸入器、液体懸濁液、液体エマルジョン、ゲル、または粉末の形態で製剤され得る。一実施形態において、医薬組成物は、ピル、錠剤、またはカプセルの形態で製剤される。
【0198】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物は、カプセルまたは錠剤として製剤される。一実施形態において、医薬組成物は錠剤である。一実施形態において、医薬組成物はカプセルである。
【0199】
一実施形態において、1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤は、結合剤、充填剤、崩壊剤、流動促進剤、および潤滑剤を含む。一実施形態において、1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤は、被覆剤をさらに含む。一実施形態において、1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤は、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤、および被覆剤を含む。
【0200】
一態様において、本発明は、本発明に従った非晶質固体分散物および1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0201】
一態様において、本発明は、本発明に従った非晶質固体分散物、結合剤、充填剤、崩壊剤、流動促進剤、および潤滑剤を含む、医薬組成物を提供する。別の態様において、前記医薬組成物は、被覆剤をさらに含む。
【0202】
一態様において、本発明は、本発明に従った非晶質固体分散物、結合剤、充填剤、崩壊剤、流動促進剤、および潤滑剤からなる医薬組成物を提供する。別の態様において、前記医薬組成物は、被覆剤をさらに含む。
【0203】
一態様において、本発明の医薬組成物は、前記医薬組成物の総重量に対して約10重量%~65重量%の量で存在する、本発明に従った非晶質固体分散物を含む。一実施形態において、非晶質固体分散物は、前記医薬組成物の総重量に対して10重量%~65重量%の量で存在する。
【0204】
一態様において、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、約10重量%、20重量%、50重量%、または65重量%の非晶質固体分散物の量で存在する、本発明に従った非晶質固体分散物を含む。一実施形態において、非晶質固体分散物は、医薬組成物の総重量に対して10重量%、20重量%、50重量%、または65重量%の非晶質固体分散物の量で存在する。
【0205】
一態様において、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して約25重量%~約50重量%の量で存在する、本発明に従った非晶質固体分散物を含む。一実施形態において、非晶質固体分散物は、医薬組成物の総重量に対して25重量%~約50重量%の量で存在する。一実施形態において、非晶質固体分散物は、医薬組成物の総重量に対して約50重量%の量で存在する。
【0206】
一実施形態において、医薬組成物は、薬学的に許容できるポリマーを含む、化合物1の非晶質固体分散物を含む。一実施形態において、医薬組成物は、HPMCAS-Lである薬学的に許容できるポリマーを含む、化合物1の非晶質固体分散物を含む。一実施形態において、ポリマーは、医薬組成物の約50重量%~約75重量%の量で存在する。一実施形態において、ポリマーは、医薬組成物の50重量%~約75重量%の量で存在する。一実施形態において、ポリマーは、医薬組成物の50重量%の量で存在する。一実施形態において、ポリマーは、医薬組成物の75重量%の量で存在する。
【0207】
一実施形態において、化合物1は、医薬組成物の1重量%~15重量%の量で存在する。一実施形態において、医薬組成物は、約5mg~約100mgの化合物1、例えば約25mg~約100mgの化合物1を含む。
【0208】
一態様において、本発明は、約25mg、50mg、100mg、200mg、または300mgの化合物1を含む、本発明の医薬組成物を提供する。
【0209】
一態様において、本発明は、約25mgまたは約100mgの化合物1を含む、本発明の医薬組成物を提供する。一態様において、本発明は、25mgまたは100mgの化合物1を含む、本発明の医薬組成物を提供する。
【0210】
一態様において、本発明は、約25mgの化合物1を含む、本発明の医薬組成物を提供する。一態様において、本発明は、25mgの化合物1を含む、本発明の医薬組成物を提供する。
【0211】
一態様において、本発明は、約100mgの化合物1を含む、本発明の医薬組成物を提供する。一態様において、本発明は、100mgの化合物1を含む、本発明の医薬組成物を提供する。
【0212】
一態様において、本発明の医薬組成物は、結合剤を含む。一態様において、本発明の前記医薬組成物は、本発明に従った化合物1の非晶質固体分散物を含む。
【0213】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の約14重量%~約50重量%の量の結合剤を含む。適切な結合剤としては、微晶質セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成のガム、ポリビニルピロリドン、アルファデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。一実施形態において、結合剤は微晶質セルロースである。一態様において、本発明の前記医薬組成物は、本発明に従った化合物1の非晶質固体分散物を含む。
【0214】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、充填剤を含む。一態様において、本発明の前記医薬組成物は、本発明に従った化合物1の非晶質固体分散物を含む。
【0215】
一実施形態において、医薬組成物は、医薬組成物の約14重量%~約50重量%の量の充填剤を含む。適切な充填剤としては、ラクトース一水和物、マルトデキストリン、マンニトール、微晶質セルロース、アルファデンプン、およびショ糖エステルが含まれる。一実施形態において、充填剤はラクトース一水和物である。一態様において、本発明の前記医薬組成物は、本発明に従った化合物1の非晶質固体分散物を含む。
【0216】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、崩壊剤を含む。一態様において、本発明の前記医薬組成物は、本発明に従った化合物1の非晶質固体分散物を含む。
【0217】
一実施形態において、医薬組成物は、固体投与形態の約1.0重量%~約6.0重量%の量の崩壊剤を含む。適切な崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微晶質セルロース、低級アルキルで置換されたヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファデンプン、およびアルギン酸ナトリウムが含まれる。一実施形態において、崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。一態様において、本発明の前記医薬組成物は、本発明に従った化合物1の非晶質固体分散物を含む。
【0218】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、流動促進剤を含む。一態様において、本発明の前記医薬組成物は、本発明に従った化合物1の非晶質固体分散物を含む。
【0219】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の約0.1重量%~約1.25重量%の量の流動促進剤を含む。適切な流動促進剤としては、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸三カルシウム、およびタルクが含まれる。一実施形態において、流動促進剤はコロイド状二酸化ケイ素である。一態様において、本発明の前記医薬組成物は、本発明に従った化合物1の非晶質固体分散物を含む。
【0220】
一実施形態において、医薬組成物は潤滑剤を含む。一態様において、本発明の前記医薬組成物は、本発明に従った化合物1の非晶質固体分散物を含む。
【0221】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の0.25重量%~約1.25重量%の量の潤滑剤を含む。適切な潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物が含まれる。一実施形態において、潤滑剤はステアリン酸マグネシウムである。一態様において、本発明の前記医薬組成物は、本発明に従った化合物1の非晶質固体分散物を含む。
【0222】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、被覆剤を含む。一実施形態において、被覆剤は、HPMCまたはポリビニルアルコール(PVA)ベースのもの、例えば、オパドライホワイト、オパドライII、オパドライQX、またはオパドライTFである。医薬組成物は、医薬組成物の1重量%~5重量%、例えば約3重量%~約4重量%の量の被覆剤を含み得る。一実施形態において、医薬組成物は、医薬組成物の約4重量%の量の被覆剤を含む。
【0223】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、(a)約5~約300mgの化合物1を含む非晶質固体分散物、および(b)1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む。
【0224】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、(a)約25~約100mgの化合物1を含む非晶質固体分散物、および(b)1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む。
【0225】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、(a)約25mgの化合物1を含む非晶質固体分散物、および(b)1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む。一実施形態において、本発明の医薬組成物は、(a)25mgの化合物1を含む非晶質固体分散物、および(b)1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む。
【0226】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、(a)約100mgの化合物1を含む非晶質固体分散物、および(b)1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む。一実施形態において、本発明の医薬組成物は、(a)100mgの化合物1を含む非晶質固体分散物、および(b)1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む。
【0227】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、
(a)10重量%~65重量%の、化合物1およびポリマーを含む非晶質固体分散物、
(b)14重量%~50重量%の結合剤、
(c)14重量%~50重量%の充填剤、
(d)1重量%~6重量%の崩壊剤、
(e)0.1重量%~1.25重量%の流動促進剤、ならびに
(f)0.25重量%~1.25重量%の潤滑剤
を含み、ここで、組成物は、経口送達のために製剤される。一実施形態において、前記非晶質固体分散物における化合物1の形態は、非晶質の化合物1(形態3)である。
【0228】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、
(a)10重量%~75重量%の本発明の非晶質固体分散物、
(b)8重量%~50重量%の結合剤、
(c)0重量%~50重量%の充填剤、
(d)1重量%~6重量%の崩壊剤、
(e)0.1重量%~4重量%の流動促進剤、および
(f)0.25重量%~1.25重量%の潤滑剤
を含み、ここで、組成物は、経口送達のために製剤される。一実施形態において、前記非晶質固体分散物における化合物1の形態は、非晶質の化合物1(形態3)である。
【0229】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、
(a)10重量%~65重量%の、化合物1およびHPMCAS-Lを含む非晶質固体分散物、
(b)14重量%~50重量%の結合剤、
(c)14重量%~50重量%の充填剤、
(d)1重量%~6重量%の崩壊剤、
(e)0.1重量%~1.25重量%の流動促進剤、ならびに
(f)0.25重量%~1.25重量%の潤滑剤
を含む。一実施形態において、前記非晶質固体分散物における化合物1の形態は、非晶質の化合物1(形態3)である。
【0230】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、
(a)10重量%~75重量%の、化合物1およびHPMCAS-Lを含む非晶質固体分散物、
(b)8重量%~50重量%の結合剤、
(c)0重量%~50重量%の充填剤、
(d)1重量%~6重量%の崩壊剤、
(e)0.1重量%~4重量%の流動促進剤、ならびに
(f)0.25重量%~1.25重量%の潤滑剤
を含む。一実施形態において、前記非晶質固体分散物における化合物1の形態は、非晶質の化合物1(形態3)である。
【0231】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、
(a)10重量%~65重量%の、化合物1およびポリマーを含む非晶質固体分散物、
(b)14重量%~50重量%の微晶質セルロース、
(c)14重量%~50重量%のラクトース一水和物、
(d)1重量%~6重量のクロスカルメロースナトリウム、
(e)0.1重量%~1.25重量%のコロイド状二酸化ケイ素、ならびに
(f)0.25重量%~1.25重量%のステアリン酸マグネシウム
を含む。一実施形態において、前記非晶質固体分散物における化合物1の形態は、非晶質の化合物1(形態3)である。
【0232】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、
(a)10重量%~75重量%の、化合物1およびポリマーを含む非晶質固体分散物、
(b)8重量%~50重量%の微晶質セルロース、
(c)0重量%~50重量%のラクトース一水和物、
(d)1重量%~6重量%のクロスカルメロースナトリウム、
(e)0.1重量%~4重量%のコロイド状二酸化ケイ素、ならびに
(f)0.25重量%~1.25重量%のステアリン酸マグネシウム
を含む。一実施形態において、前記非晶質固体分散物における化合物1の形態は、非晶質の化合物1(形態3)である。
【0233】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、
(a)10重量%~65重量%の、化合物1およびHPMCAS-Lを含む非晶質固体分散物、
(b)14重量%~50重量%の微晶質セルロース、
(c)14重量%~50重量%のラクトース一水和物、
(d)1重量%~6重量%のクロスカルメロースナトリウム、
(e)0.1重量%~1.25重量%のコロイド状二酸化ケイ素、ならびに
(f)0.25重量%~1.25重量%のステアリン酸マグネシウム
を含む。一実施形態において、前記非晶質固体分散物における化合物1の形態は、非晶質の化合物1(形態3)である。
【0234】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、
(a)10重量%~75重量%の、化合物1およびHPMCAS-Lを含む非晶質固体分散物、
(b)8重量%~50重量%の微晶質セルロース、
(c)0重量%~50重量%のラクトース一水和物、
(d)1重量%~6重量%のクロスカルメロースナトリウム、
(e)0.1重量%~4重量%のコロイド状二酸化ケイ素、ならびに
(f)0.25重量%~1.25重量%のステアリン酸マグネシウム
を含む。一実施形態において、前記非晶質固体分散物における化合物1の形態は、非晶質の化合物1(形態3)である。
【0235】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、
(a)10重量%~65重量%の、HPMCAS-Lに対する化合物1の比率が約1:3~1:1である、化合物1およびHPMCAS-Lを含む非晶質固体分散物、
(b)14重量%~50重量%の微晶質セルロース、
(c)14重量%~50重量%のラクトース一水和物、
(d)1重量%~6重量%のクロスカルメロースナトリウム、
(e)0.1重量%~1.25重量%のコロイド状二酸化ケイ素、ならびに
(f)0.25重量%~1.25重量%のステアリン酸マグネシウム
を含む。一実施形態において、前記非晶質固体分散物における化合物1の形態は、非晶質の化合物1(形態3)である。
【0236】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の総重量に対して、
(a)10重量%~75重量%の、HPMCAS-Lに対する化合物1の比率が約1:3~1:1である、化合物1およびHPMCAS-Lを含む非晶質固体分散物、
(b)8重量%~50重量%の微晶質セルロース、
(c)0重量%~50重量%のラクトース一水和物、
(d)1重量%~6重量%のクロスカルメロースナトリウム、
(e)0.1重量%~4重量%のコロイド状二酸化ケイ素、ならびに
(f)0.25重量%~1.25重量%のステアリン酸マグネシウム
を含む。一実施形態において、前記非晶質固体分散物における化合物1の形態は、非晶質の化合物1(形態3)である。
【0237】
一実施形態において、化合物1を含む非晶質固体分散物を含む医薬組成物は、表5A、5B、5C、5D、5E、5F、5G、5H、5I、5J、および5Kで示される成分を含む錠剤処方から選択される。表5A、5B、5C、5D、5E、5F、5G、5H、5I、5J、および5Kで提供される錠剤処方の一実施形態において、前記非晶質固体分散物における化合物1の形態は、非晶質の化合物1(形態3)である。
【0238】
【表8】
【0239】
【表9】
【0240】
【表10】
【0241】
【表11】
【0242】
【表12】
【0243】
【表13】
【0244】
【表14】
【0245】
【表15】
【0246】
【表16】
【0247】
【表17】
【0248】
【表18】
【0249】
化合物1の非晶質固体分散物を含むいずれかの前記医薬組成物の一実施形態において、医薬組成物は被覆剤をさらに含む。
【0250】
化合物1の非晶質固体分散物を含むいずれかの前記医薬組成物の一実施形態において、医薬組成物は錠剤として製剤される。
【0251】
一態様において、本発明は、無水結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態1)、および1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0252】
一態様において、本発明は、水和物結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態4)、および1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0253】
一態様において、本発明は、非晶質形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態3)、および1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0254】
処置の方法
本発明はさらに、治療有効量の固体形態の化合物1またはその医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記対象における、がんなどの増殖性疾患を処置する方法を提供する。
【0255】
本発明はさらに、治療有効量の本明細書において記載される無水結晶性の化合物1(形態1)またはその医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記対象における、がんなどの増殖性疾患を処置する方法を提供する。
【0256】
本発明はさらに、治療有効量の本明細書において記載される非晶質の化合物1(形態3)またはその医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記対象における、がんなどの増殖性疾患を処置する方法を提供する。
【0257】
本発明はさらに、治療有効量の本明細書において記載される無水結晶性の化合物1(形態4)またはその医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記対象における、がんなどの増殖性疾患を処置する方法を提供する。
【0258】
本発明はさらに、治療有効量の本明細書において記載される非晶質の化合物1(形態2)またはその医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記対象における、がんなどの増殖性疾患を処置する方法を提供する。
【0259】
本発明はさらに、治療有効量の本明細書において記載される化合物1の非晶質固体分散物またはその医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記対象における、がんなどの増殖性疾患を処置する方法を提供する。
【0260】
一実施形態において、本明細書において記載される方法は、TAMに関連するがんおよび/またはc-Metに関連するがんの処置に有用である。処置されるTAMに関連するがんおよび/またはc-Metに関連するがんは、原発腫瘍または転移性腫瘍であり得る。
【0261】
本明細書において使用される用語「がん」は、未制御の細胞成長を典型的には特徴とする、哺乳動物における生理学的状態を指すかまたは記載する。
【0262】
本明細書において使用される用語「TAMに関連するがん」は、(例えば、コントロール、例えば、非がん性組織もしくは細胞、またはがんを有さないコントロール対象の対応する組織もしくは細胞と比較して)がん細胞もしくは免疫細胞におけるTAMキナーゼのうちの1つもしくは複数の発現および/もしくは活性の増大に関連する、または前記発現および/もしくは活性が増大している、がんを指す。TAMに関連するがんの非限定的な例は、本明細書において記載されている。一実施形態において、TAMに関連するがんは、TMEM87B-MERTK融合タンパク質(例えば、TMEM87Bのアミノ酸1~55およびMERTKのアミノ酸433~1000)またはAXL-MBIP融合タンパク質の発現を生じさせる染色体転座を有するがんである。TMEM87B-MERTK融合タンパク質の発現を生じさせる典型的な染色体転座の説明は、Shaverら(Cancer Res.76(16):4850~4860、2016)において提供されている。AXL-MBIP融合タンパク質の発現を生じさせる典型的染色体転座の説明は、Seoら(Genome Res.22:2109~2119、2012)において提供されている。染色体転座、またはその結果生じるTMEM87B-MERTKもしくはAXL-MBIP融合タンパク質の発現は、In Situハイブリダイゼーション(例えば、蛍光In Situハイブリダイゼーション(FISH))を使用して検出することができる。TMEM87B-MERTKまたはAXL-MBIPの発現を生じさせる染色体転座は、対象から得られるサンプル(例えば、対象から得られる血液、血漿、尿、脳脊髄液、唾液、喀痰、気管支肺胞洗浄液、胆汁、リンパ液、嚢胞液、便、腹水、または腫瘍生検)のDNAをシーケンシングすることによって検出することができる。DNAをシーケンシングするために使用され得る典型的な方法は当技術分野において公知であり、これとしては、例えば、次世代シーケンシング(NGS)、従来型のPCR、デジタルPCR、およびマイクロアレイ分析が含まれる。TMEM87B-MERTKもしくはAXL-MBIP融合タンパク質の発現、またはTMEM87B-MERTKもしくはAXL-MBIP融合タンパク質の発現を生じさせる染色体転座を検出するために使用され得るさらなる方法は、当技術分野において公知である。一実施形態において、TAMに関連するがんは、切除不能なまたは転移性のがんである。
【0263】
本明細書において使用される用語「c-Metに関連する疾患または障害」は、(例えば、コントロール、例えば、非がん性組織もしくは細胞、またはがんを有さないコントロール対象の対応する組織もしくは細胞と比較して)細胞(例えば、がん細胞または免疫細胞)におけるc-Metキナーゼの発現、レベル、および/もしくは活性の増大に関連する、または前記発現、レベル、および/もしくは活性が増大している、ならびに/または、非がん細胞において発現するc-Metキナーゼの活性化が疾患の原因となる、疾患または障害を指す。c-METに関連する疾患または障害の非限定的な例としては、例えば、がん(c-Metに関連するがん)、例えば、本明細書において記載される全てのがんが含まれる。一実施形態において、疾患は、少なくとも1つのさらなる抗がん剤(例えば、本明細書において記載されるあらゆるさらなる抗がん剤の1つまたは複数、例えば、本明細書において記載されるキナーゼ標的化治療剤および/または化学療法剤)での処置後にc-Metキナーゼを過剰発現するがんである。一実施形態において、疾患は、c-Metキナーゼのタンパク質レベルがより高い(例えば、哺乳動物細胞におけるc-METキナーゼのプロテアソーム分解の低下をもたらすMET遺伝子における突然変異に起因する)がんである。一実施形態において、疾患は、c-Met遺伝子における活性化突然変異(例えば、本明細書において記載されるc-Met遺伝子におけるあらゆる活性化突然変異)に起因してc-Metキナーゼ活性のレベルが高まっている、または哺乳動物細胞におけるc-Metキナーゼの発現が増大している、がんである。一実施形態において、疾患は、I型c-Met阻害剤に対して耐性の(例えば、野生型c-Metキナーゼと比較して少なくともある程度)c-Metキナーゼを発現するがんである。一実施形態において、c-METに関連するがんは、切除不能なまたは転移性のがんである。
【0264】
本明細書において記載される医薬組成物および方法は、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、退形成性グリオーマ、虫垂腺癌、星細胞腫、B細胞性急性リンパ芽球性白血病、B細胞性慢性骨髄性白血病(B-CLL)、B細胞性リンパ腫、B細胞性骨髄性白血病(B-CLL)、膀胱がん(尿路上皮癌を含む)、脳腫瘍、乳がん(例えば、HER2ポジティブ乳がん、トリプルネガティブ乳がん、および乳管腺癌)、子宮頸がん、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸直腸がん、線維形成性小円形細胞腫瘍、十二指腸腺癌、子宮内膜がん、赤白血病、食道がん、ユーイング肉腫、胃腸がん(消化管間質腫瘍(GIST)を含む)、膠芽腫、グリオーマ、頭頚部がん(頭頚部扁平上皮癌を含む)、心臓血管肉腫、ホジキンリンパ腫、侵襲性胸腺腫、カポジ肉腫、リンパ球または骨髄由来の白血病、肝臓がん(肝細胞癌(HCC)を含む)、肺がん(非小細胞肺がんおよび肺腺癌を含む)、マントル細胞リンパ腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)腫瘍(例えば、MSI-H結腸直腸がん)、NK細胞リンパ腫、乏突起膠腫、口腔扁平上皮癌、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん(膵管腺癌を含む)、腹膜漿液性癌、褐色細胞腫および複合型褐色細胞腫、下垂体腺腫、前立腺がん、腎細胞癌(遺伝性乳頭状腎臓癌(HPRC)および乳頭状腎臓癌を含む)、横紋筋肉腫、唾液腺癌、神経鞘腫、紡錘細胞肉腫、直腸の扁平上皮癌、頭頚部および子宮頚の扁平上皮癌、扁平上皮細胞皮膚がん、T細胞性急性リンパ性白血病、T細胞性リンパ腫、甲状腺がん(甲状腺髄様癌および甲状腺乳頭癌を含む)、尿路がん、ならびに子宮がん(子宮類内膜腺癌、子宮平滑筋肉腫、および子宮悪性ミュラー管混合腫瘍を含む)から選択される、TAMに関連するがんおよび/またはc-Metに関連するがんの処置に有用である。
【0265】
本明細書において記載される医薬組成物および方法は、対象における、例えばコントロールの非がん性組織またはコントロール細胞(例えば、同一のまたは異なる対象に由来する)と比較してAXL、MER、またはTYRO3、またはこれらの組み合わせを過剰発現する、TAMに関連するがんを処置するために有用である。一実施形態において、がんはAXLを過剰発現する。一実施形態において、がんはMERを過剰発現する。代替的な実施形態において、がんはMERを異所的に発現する。一実施形態において、TAMに関連するがんは、乳がん(例えば、HER2ポジティブ乳がんおよびトリプルネガティブ乳がん)、結腸がん、腎臓がん(例えば腎細胞癌)、皮膚がん(黒色腫を含む)、肺がん(肺腺癌を含む非小細胞肺がんを含む)、肝臓がん、胃がん、脳腫瘍(膠芽腫を含む)、卵巣がん、膵臓がん、膵管腺癌、前立腺がん、消化管間質腫瘍(GIST)、頭頚部がん、多形性膠芽腫、骨肉腫、甲状腺悪性腫瘍、横紋筋肉腫、急性骨髄性白血病(急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病、B細胞性骨髄性白血病(B-CLL)、B細胞性急性リンパ芽球性白血病、赤白血病、およびT細胞系急性リンパ芽球性白血病、T細胞性急性リンパ性白血病、B細胞性急性リンパ性白血病を含む)、神経鞘腫、マントル細胞リンパ腫、ならびに星細胞腫から選択される。
【0266】
一実施形態において、TAMに関連するがんは、乳がん、結腸直腸がん、腎臓がん(例えば腎細胞癌)、皮膚がん(例えば黒色腫)、肺がん(非小細胞肺がんを含む)、肝臓がん、胃がん、脳腫瘍(膠芽腫を含む)、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、多形性膠芽腫、骨肉腫、甲状腺悪性腫瘍、および横紋筋肉腫から選択される。
【0267】
本明細書において記載される方法は、例えば同一の対象または異なる対象における非がん性組織または細胞と比較してTAMキナーゼの過剰発現を有するがんである、TAMに関連するがんを処置するために有用であり得る。本明細書において記載されるいずれかの方法の一実施形態において、TAMに関連するがんは、TAMキナーゼの異所性の発現を有するがんである。
【0268】
本明細書において記載される方法は、AXLタンパク質の過剰発現または異所性の発現を有するがんである、TAMに関連するがんを処置するために有用であり得る。本明細書において記載されるいずれかの方法の一実施形態において、TAMに関連するがんは、1つまたは複数のアミノ酸置換を含むAXLの発現を生じさせる、AXLをコードする遺伝子における1つまたは複数の点突然変異を有する。本明細書において記載されるいずれかの方法の一実施形態において、TAMに関連するがんは、AXLのキナーゼドメインおよび融合パートナーを含む融合タンパク質の発現を生じさせる染色体転座を有する。AXLの過剰発現もしくは異所性の発現を有する、または、1つもしくは複数の点突然変異を有するAXLまたはAXL融合タンパク質の発現を生じさせるAXL遺伝子における突然変異を有する、TAMに関連するがんの非限定的な例としては、AML、CML、B-CLL、肺がん(例えば非小細胞肺がん)、膠芽腫、乳がん(例えば、HER2ポジティブ乳がんまたはトリプルネガティブ転移性乳がん)、結腸直腸がん、胃がん、膵臓がん、食道がん、黒色腫、扁平上皮細胞皮膚がん、前立腺がん、子宮内膜がん、卵巣がん、口腔扁平上皮癌、甲状腺がん、膀胱がん、腎臓がん、神経鞘腫、中皮腫、カポジ肉腫、骨肉腫、赤白血病、肝臓がん、および腎がん(例えば腎細胞癌)が含まれる。本明細書において記載されるいずれかの方法の一実施形態において、TAMに関連するがんは、MERタンパク質の過剰発現または異所性の発現を有するがんである。本明細書において記載されるいずれかの方法の一実施形態において、TAMに関連するがんは、1つまたは複数のアミノ酸置換を含むMERの発現を生じさせる、MERをコードする遺伝子における1つまたは複数の点突然変異を有する。本明細書において記載されるいずれかの方法の一実施形態において、TAMに関連するがんは、MERのキナーゼドメインおよび融合パートナーを含む融合タンパク質の発現を生じさせる染色体転座を有する。MERの過剰発現もしくは異所性の発現を有する、または、1つもしくは複数の点突然変異を有するMERまたはMER融合タンパク質の発現を生じさせるMER遺伝子における突然変異を有する、TAMに関連するがんの非限定的な例としては、AML、ALL(B-ALL、T-ALL)、肺がん、グリオーマ、黒色腫、前立腺がん、神経鞘腫、マントル細胞リンパ腫、横紋筋肉腫、膵臓がん、乳がん、胃がん、下垂体腺腫、尿路がん、腎がん、肝臓がん、結腸直腸がん、および乳がんが含まれる。
【0269】
本明細書において記載される方法は、限定はしないが、結節性硬化型古典的ホジキンリンパ腫(CHL)、混合細胞型CHL、リンパ球減少型CHL、リンパ球豊富型CHL、リンパ球優位型ホジキンリンパ腫、または結節性リンパ球優位型HLなどの、TAMに関連するホジキンリンパ腫に罹患している対象を処置するために有用であり得る。
【0270】
本明細書において記載される方法は、特定のTAMに関連するT細胞、B細胞、またはNK細胞ベースのリンパ腫、増殖障害、または異常に罹患している対象を処置するために有用であり得る。例えば、対象は、特定のTAMに関連するT細胞またはNK細胞性リンパ腫、例えば、限定はしないが、末梢性T細胞性リンパ腫、例えば、末梢性T細胞性リンパ腫および非特定型末梢性T細胞性リンパ腫(PTCL-NOS);退形成性大細胞リンパ腫、例えば、退形成性リンパ腫キナーゼ(ALK)陽性、ALK陰性の退形成性大細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、もしくは原発性皮膚退形成性大細胞リンパ腫;血管免疫芽球性リンパ腫;皮膚T細胞性リンパ腫、例えば、菌状息肉症、セザリー症候群、原発性皮膚退形成性大細胞リンパ腫、原発性皮膚CD30+T細胞性リンパ増殖性障害;原発性皮膚侵攻性表皮向性CD8+細胞傷害性T細胞性リンパ腫;原発性皮膚ガンマ-デルタT細胞性リンパ腫;原発性皮膚小/中細胞型CD4+T細胞性リンパ腫、およびリンパ腫様丘疹症;成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATLL);芽球性NK細胞リンパ腫;腸管症型T細胞性リンパ腫;肝脾ガンマ-デルタT細胞性リンパ腫;リンパ芽球性リンパ腫;鼻型NK/T細胞性リンパ腫;処置関連性のT細胞性リンパ腫;例えば、固形臓器もしくは骨髄移植の後に現れるリンパ腫;T細胞性前リンパ球性白血病;T細胞性大顆粒リンパ球性白血病;NK細胞の慢性的リンパ増殖性障害;侵攻性NK細胞性白血病;小児の全身性EBV+T細胞性リンパ増殖性疾患(慢性的活性EBV感染に関連する);種痘様水疱症様リンパ腫;成人T細胞白血病/リンパ腫;腸疾患関連性T細胞性リンパ腫;肝脾T細胞性リンパ腫;または皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫に罹患していてよい。
【0271】
本明細書において記載される方法は、限定はしないが、多発性骨髄腫;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫;濾胞性リンパ腫;粘膜関連リンパ組織リンパ腫(MALT);小細胞性リンパ球性リンパ腫;マントル細胞リンパ腫(MCL);バーキットリンパ腫;縦隔大細胞型B細胞リンパ腫;ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;節性辺縁帯B細胞性リンパ腫(NMZL);脾辺縁帯リンパ腫(SMZL);血管内大細胞型B細胞リンパ腫;原発性滲出性リンパ腫;もしくはリンパ腫様肉芽腫症;慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫;B細胞性前リンパ球性白血病;有毛細胞白血病;分類不能脾リンパ腫/白血病;脾びまん性赤脾髄小型B細胞リンパ腫;有毛細胞白血病亜型;リンパ形質細胞性リンパ腫;重鎖病、例えば、アルファ重鎖病、ガンマ重鎖病、ミュー重鎖病;形質細胞骨髄腫;骨の孤立性形質細胞腫;骨外性形質細胞腫;原発性皮膚濾胞中心リンパ腫;細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫;慢性炎症関連DLBCL;高齢者のエプスタインバーウイルス(EBV)+DLBCL;原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫;原発性皮膚DLBCL、下肢型;ALK+大細胞型B細胞リンパ腫;形質芽球性リンパ腫;HHV8関連多中心性で生じる大細胞型B細胞リンパ腫;キャッスルマン病;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫およびバーキットリンパ腫の中間の特徴を有する分類不能B細胞性リンパ腫;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫および古典型ホジキンリンパ腫の中間の特徴を有する分類不能B細胞性リンパ腫;結節性硬化型古典型ホジキンリンパ腫;リンパ球豊富型古典型ホジキンリンパ腫;混合細胞型古典型ホジキンリンパ腫;またはリンパ球減少型古典型ホジキンリンパ腫などの、TAMに関連するB細胞性リンパ腫または増殖性障害である、TAMに関連するがんに罹患している対象を処置するために有用であり得る。
【0272】
本明細書において記載される方法は、TAMに関連する白血病に罹患している対象を処置するために有用であり得る。例えば、対象は、限定はしないが、急性リンパ芽球性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML);慢性リンパ性白血病(CLL);慢性骨髄性白血病(CML);若年性骨髄単球性白血病(JMML);有毛細胞白血病(HCL);急性前骨髄球性白血病(AMLのサブタイプ);T細胞性前リンパ球性白血病(TPLL);大顆粒リンパ球性白血病;または成人T細胞性慢性白血病;大顆粒リンパ球性白血病(LGL)などの、急性または慢性のTAMに関連するリンパ球または骨髄由来の白血病に罹患していてよい。一実施形態において、対象は、急性骨髄性白血病、例えば、未分化型AML(MO);骨髄芽球性白血病(ML、最小細胞の成熟を伴う/伴わない);骨髄芽球性白血病(M2、細胞成熟を伴う);前骨髄球性白血病(M3もしくはM3亜型[M3V]);骨髄単球性白血病(好酸球増加症を伴うM4もしくはM4亜型[M4E]);単球性白血病(M5);赤白血病(M6);または巨核芽球性白血病(M7)に罹患している。
【0273】
本明細書において記載される方法は、消化管間質腫瘍(GIST)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、B細胞性慢性骨髄性白血病(B-CLL)、肺がん、膠芽腫、乳がん、結腸直腸がん、胃がん、グリオーマ、膵臓がん、食道がん、マントル細胞リンパ腫、黒色腫、扁平上皮細胞皮膚がん、前立腺がん、子宮内膜がん、卵巣がん、口腔扁平上皮癌、甲状腺がん、膀胱がん、腎臓がん(例えば、腎細胞癌)、神経鞘腫、中皮腫、カポジ肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、赤白血病、肝臓がん、腎細胞癌、下垂体腺腫、尿路がん、腎がん、頭頚部がん、脳腫瘍、および肺がん(例えば非小細胞肺がん)からなる群から選択される、TAMに関連するがんを処置するために有用であり得る。
【0274】
本明細書において記載される方法は、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、肺がん、黒色腫、前立腺がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、神経鞘腫、膵臓がん、および脳腫瘍からなる群から選択される、TAMに関連するがんを処置するために有用であり得る。
【0275】
本明細書において記載される方法は、子宮頸がん、胃がん、食道がん、肝細胞癌、黒色腫(例えば、粘膜または皮膚黒色腫)、メルケル細胞癌、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)腫瘍(例えば、MSI-H結腸直腸がん)、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、小細胞性肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、腎細胞癌、および尿路上皮癌から選択される、TAMに関連するがんを処置するために有用であり得る。一実施形態において、前記がんのいずれか一つは、切除不能なまたは転移性のがんである。一実施形態において、がんは腎細胞癌である。
【0276】
本明細書において記載される方法は、AXLタンパク質の過剰発現または異所性の発現を有するがんである、TAMに関連するがんを処置するために有用であり得る。一実施形態において、TAMに関連するがんは、切除不能なまたは転移性のがんである。一実施形態において、TAMに関連するがんは、消化管間質腫瘍(GIST)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、B細胞性慢性骨髄性白血病(B-CLL)、肺がん(例えば非小細胞肺がん)、膠芽腫、乳がん、結腸直腸がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、食道がん、黒色腫、扁平上皮細胞皮膚がん、子宮内膜がん、卵巣がん、口腔扁平上皮癌、甲状腺がん、膀胱がん、腎臓がん、神経鞘腫、中皮腫、骨肉腫、赤白血病、肝臓がん、腎細胞癌、腎がん、およびトリプルネガティブ転移性乳がんからなる群から選択される。
【0277】
本明細書において記載される方法は、TYRO3タンパク質の過剰発現または異所性の発現を有するがんである、TAMに関連するがんを処置するために有用であり得る。本明細書において記載されるいずれかの方法の一実施形態において、TAMに関連するがんは、1つまたは複数のアミノ酸置換を含むTYRO3の発現を生じさせる、TYRO3をコードする遺伝子における1つまたは複数の点突然変異を有する。本明細書において記載されるいずれかの方法の一実施形態において、TAMに関連するがんは、TYRO3のキナーゼドメインおよび融合パートナーを含む融合タンパク質の発現を生じさせる染色体転座を有する。TYRO3の過剰発現または異所性の発現を有する、または、1つもしくは複数の点突然変異を有するTYRO3またはTYRO3融合タンパク質の発現を生じさせるTYRO3遺伝子における突然変異を有する、TAMに関連するがんの非限定的な例としては、AML、多発性骨髄腫、肺がん、黒色腫、前立腺がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、神経鞘腫、膵臓がん、および脳腫瘍が含まれる。
【0278】
本明細書において記載される方法は、c-Metに関連するがんであるがんを処置するために有用であり得る。
【0279】
本明細書において記載される方法は、胃腸がん(GI)、胃がん、結腸直腸腺癌、結腸直腸癌(CRC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、肝細胞癌(HCC)、遺伝性乳頭状腎臓癌(HPRC)、乳頭状腎臓癌、黒色腫、胃腺癌、虫垂腺癌、十二指腸腺癌、膵臓腺癌、肺腺癌、甲状腺乳頭癌、甲状腺髄様癌、ユーイング肉腫、前立腺腺癌、頭頚部および子宮頚の扁平上皮癌、腎細胞癌、褐色細胞腫および複合型褐色細胞腫、卵巣漿液性癌、卵巣淡明細胞癌、卵巣混合癌、腹膜漿液性癌、乳管腺癌、子宮平滑筋肉腫、子宮類内膜腺癌、子宮悪性ミュラー管混合腫瘍、膠芽腫、退形成性グリオーマ、乏突起膠腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、直腸の扁平上皮癌、唾液腺癌、心臓血管肉腫、消化管間質腫瘍、侵襲性胸腺腫、ならびに紡錘細胞肉腫の群から選択される、c-Metに関連するがんを処置するために有用であり得る。一実施形態において、c-Metに関連するがんは、切除不能なまたは転移性のがんである。
【0280】
本発明はさらに、治療有効量の固体形態の化合物1(例えば、本明細書において開示されている固体形態のいずれか)またはその医薬組成物を、1つまたは複数のさらなる抗がん剤と組み合わせてそれを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。さらなる抗がん剤の非限定的な例としては、免疫療法剤を含む免疫標的剤、抗ウイルス剤、キナーゼ標的治療剤、抗ウイルスワクチン、抗ホルモン剤、シグナル伝達経路阻害剤、化学療法剤または他の抗がん剤、血管新生阻害剤、および放射線療法が含まれる。
【0281】
本発明はさらに、治療有効量の固体形態の化合物1(例えば、本明細書において開示されている固体形態のいずれか)またはその医薬組成物を、免疫標的剤と組み合わせてそれを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。
【0282】
用語「免疫標的剤」は、免疫系を調節する作用剤を指す。一実施形態において、免疫療法は、免疫系の調節因子の発現および/または活性を増大させ得、これとしては免疫療法剤が含まれる。一実施形態において、免疫療法剤は、免疫系の調節因子の発現および/または活性を低下させ得る。一実施形態において、免疫療法剤は、免疫細胞を動員し得るおよび/または免疫細胞の活性を増強させ得る。
【0283】
免疫療法剤の例としては、免疫チェックポイント阻害剤が含まれる。本明細書において使用される場合、用語「免疫チェックポイント阻害剤」または「チェックポイント阻害剤」は、1つまたは複数のチェックポイントタンパク質の発現および/または活性を全体的または部分的に低減させる、阻害する、これに干渉する、または調節する分子を指す。一実施形態において、免疫療法としては、1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が含まれる。一実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤(例えば、抗CTLA-4抗体)、PD-1阻害剤(例えば、抗PD-1モノクローナル抗体)、またはPD-L1阻害剤(例えば、抗PD-L1モノクローナル抗体)である。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、イピリムマブ(Yervoy(登録商標))またはトレメリムマブ(CP-675,206)である。一実施形態において、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、またはピディリズマブである。一実施形態において、抗PD-1モノクローナル抗体は、ニボルマブまたはペムブロリズマブまたはこれらのバイオシミラーである。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、ササンリマブ(RN888)、アテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標))、またはデュルバルマブ(Imfinzi(商標))、MEDI4736、またはMPDL3280A、またはこれらのバイオシミラーである。一実施形態において、チェックポイント阻害剤は、4-1BB(例えば、ウレルマブ(BMS-663513)およびPF-05082566(PF-2566))、CD27(例えば、バルリルマブ(CDX-1127)、CD40(例えば、CP-870,893)、OX40、TIM-3、ICOS、BTLA、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、IDO、KIR、LAG3、TIM-3、およびVISTAを標的化し得る。免疫チェックポイント阻害剤のさらなる非限定的な例としては、ウロクプルマブ、ウレルマブ、PF05082566、TRX518、バルリルマブ、CP870893、PDR001MEDI4736、アベルマブ、BMS986016、MGA271、IPH2201、エマクツズマブ、INCB024360、MEDI6469、ガルニセルチブ、BKT140、バビツキシマブ、リリルマブ、ベバシズマブ、MNRP1685A、ラムブロリズマブ、CC90002、BMS-936559、およびMGA271、およびこれらのバイオシミラーである。
【0284】
PD-1阻害剤の例としては、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、およびササンリマブ、およびこれらのバイオシミラーが含まれる。一実施形態において、PD-1阻害剤は、ニボルマブまたはそのバイオシミラーである。一実施形態において、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブまたはそのバイオシミラーである。一実施形態において、PD-1阻害剤は、ササンリマブまたはそのバイオシミラーである。
【0285】
アメリカ食品医薬品局(「FDA」)によって定義される用語「バイオシミラー」は、FDAによって承認された既存の参照製剤に非常に類似しており、前記参照製剤と臨床的に大きな違いを有さない、生物学的製剤を指す。一実施形態において、バイオシミラーは、参照抗体(例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、またはデュルバルマブ)と比較して同一の一次アミノ酸配列を有し、および、参照抗体(例えば、異なる糖型)と比較して翻訳後修飾(例えば、グリコシル化および/またはリン酸化)に検出可能な違いを場合によって有し得る、抗体または抗原結合断片である。
【0286】
抗体-薬物コンジュゲートの例としては、ゲムツズマブオゾガマイシン(Mylotarg(商標))、イノツズマブオゾガマイシン(Besponsa(登録商標))、ブレンツキシマブベドチン(Adcetris(登録商標))、ado-トラスツズマブエムタンシン(TDM-1、Kadcyla(登録商標))、ミルベツキシマブソラブタンシン(IMGN853)、またはアネツマブラブタンシンが含まれる。
【0287】
免疫療法剤の例としてはまた、ブリナツモマブ(AMG103、Blincyto(登録商標))またはミドスタウリン(ライダプト)が含まれる。
【0288】
免疫療法剤の例としてはまた、毒素、例えば、デニロイキン・ジフチトクス(Ontak(登録商標))が含まれる。
【0289】
サイトカイン療法の例としては、インターロイキン2(IL-2)療法(例えば、アルデスロイキン(Proleukin(登録商標)))、インターフェロンアルファ(IFNα)療法(例えば、IntronA(登録商標)(Roferon-A(登録商標)))、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)療法(例えば、フィルグラスチム(Neupogen(登録商標)))、インターロイキン12(IL-12)療法、インターロイキン15(IL-15)療法、インターロイキン7(IL-7)療法、エリスロポエチン-アルファ(EPO)療法が含まれる。
【0290】
免疫療法剤の例としてはまた、阻害性核酸ベースの免疫療法剤(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA(siRNA)、および短鎖ヘアピンRNA(shRNA)が含まれる。
【0291】
免疫療法剤の例としてはまた、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)療法が含まれる。
【0292】
免疫療法剤の例としてはまた、腫瘍溶解性ウイルス療法、例えば、タリモジン・ラヘルパレプベク(T-VEC、Imlygic(登録商標))が含まれる。
【0293】
免疫療法剤の例としてはまた、がんワクチン、例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(例えば、Gardasil(登録商標)、Gardasil9(登録商標)、もしくはCervarix(登録商標))、B型肝炎ウイルス(HBV)ワクチン(例えば、Engerix-B(登録商標)、Recombivax HB(登録商標)、もしくはGI-13020(Tarmogen(登録商標)))、Twinrix(登録商標)、Pediarix(登録商標)、BiovaxID(登録商標)、Oncophage(登録商標)、GVAX、ADXS11-001、ALVAC-CEA、PROSTVAC(登録商標)、Rindopepimut(登録商標)、CimaVax-EGF、ラプルーセル-T(APC8024、Neuvenge(商標))、GRNVAC1、GRNVAC2、GRN-1201、ヘプコルテスペンリシムト(hepcortespenlisimut)-L(Hepko-V5)、DCVAX(登録商標)、SCIB1、BMT CTN 1401、PrCa VBIR、PANVAC、ProstAtak(登録商標)、DPX-Survivac、またはビアゲンプマツセル(viagenpumatucel)-L(HS-110)が含まれる。
【0294】
免疫療法剤の例としてはまた、ペプチドワクチン、例えば、ネリペピムト-S(E75)(NeuVax(商標))、IMA901、SurVaxM(SVN53-67)、免疫原性パーソナルネオアンチゲンワクチン、RGSH4K、NEO-PV-01、またはDNAベースのワクチン(例えば、マンマグロビン-A DNAワクチン)が含まれる。
【0295】
免疫標的剤の例としてはまた、アルデスロイキン、インターフェロンアルファ-2b、イピリムマブ、ラムブロリズマブ、ニボルマブ、プレドニゾン、およびシプロイセル-Tが含まれる。
【0296】
本発明はさらに、治療有効量の固体形態の化合物1またはその医薬組成物を、キナーゼ標的治療剤である治療有効量の抗がん剤と組み合わせてそれを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。
【0297】
本発明はさらに、治療有効量の固体形態の化合物1またはその医薬組成物を、VEGF阻害剤、例えば、アキシチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ、ダサチニブ、レゴラフェニブ、カボザンチニブ、レンバチニブ、ポナチニブ、チボザニブ、またはバンデタニブ、またはこれらの薬学的に許容できる塩、ベバシズマブ(もしくはそのバイオシミラー)、またはラムシルマブ(もしくはそのバイオシミラー)である治療有効量の抗がん剤と組み合わせてそれを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。
【0298】
本発明はさらに、治療有効量の固体形態の化合物1またはその医薬組成物を、治療有効量のチェックポイント阻害剤および治療有効量のキナーゼ標的治療剤と組み合わせてそれを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。
【0299】
本発明はさらに、治療有効量の固体形態の化合物1またはその医薬組成物を、治療有効量のPD-1阻害剤およびVEGF阻害剤と組み合わせてそれを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。一実施形態において、がんは、METエキソン14突然変異を有するがんである。一実施形態において、がんは、腎細胞癌、非小細胞肺がん、結腸直腸がん、および胃がんから選択される。一実施形態において、がんは腎細胞癌である。一実施形態において、がんは結腸直腸がんである。一実施形態において、結腸直腸がんは、マイクロサテライト安定な結腸直腸がんである。一実施形態において、がんは胃がんである。一実施形態において、胃がんはPD-L1陽性胃がんである。
【0300】
本発明はさらに、治療有効量の固体形態の化合物1またはその医薬組成物を、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、およびササンリマブ、およびこれらのバイオシミラーから選択される治療有効量のPD-1阻害剤、ならびに治療有効量のVEGF阻害剤と組み合わせてそれを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。一実施形態において、がんは、METエキソン14突然変異を有するがんである。一実施形態において、がんは、腎細胞癌、非小細胞肺がん、結腸直腸がん、および胃がんから選択される。一実施形態において、がんは腎細胞癌である。一実施形態において、がんは結腸直腸がんである。一実施形態において、結腸直腸がんは、マイクロサテライト安定な結腸直腸がんである。一実施形態において、がんは胃がんである。一実施形態において、胃がんはPD-L1陽性胃がんである。
【0301】
本発明はさらに、治療有効量の固体形態の化合物1またはその医薬組成物を、治療有効量のPD-1阻害剤、および、アキシチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ、ダサチニブ、レゴラフェニブ、カボザンチニブ、レンバチニブ、ポナチニブ、チボザニブ、またはバンデタニブ、またはこれらの薬学的に許容できる塩、ベバシズマブ(もしくはそのバイオシミラー)、またはラムシルマブ(もしくはそのバイオシミラー)から選択される治療有効量のVEGF阻害剤と組み合わせてそれを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。一実施形態において、がんは、METエキソン14突然変異を有するがんである。一実施形態において、がんは、腎細胞癌、非小細胞肺がん、結腸直腸がん、および胃がんから選択される。一実施形態において、がんは腎細胞癌である。一実施形態において、がんは結腸直腸がんである。一実施形態において、結腸直腸がんは、マイクロサテライト安定な結腸直腸がんである。一実施形態において、がんは胃がんである。一実施形態において、胃がんはPD-L1陽性胃がんである。
【0302】
本発明はさらに、治療有効量の固体形態の化合物1またはその医薬組成物を、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、およびササンリマブ、およびこれらのバイオシミラーから選択される治療有効量のPD-1阻害剤、ならびに、アキシチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ、ダサチニブ、レゴラフェニブ、カボザンチニブ、レンバチニブ、ポナチニブ、チボザニブ、またはバンデタニブ、またはこれらの薬学的に許容できる塩、ベバシズマブ(もしくはそのバイオシミラー)、またはラムシルマブ(もしくはそのバイオシミラー)から選択される治療有効量のVEGF阻害剤と組み合わせてそれを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。一実施形態において、固体形態の化合物1は、無水結晶形態の化合物1(形態1)、水和物結晶形態の化合物1(形態4)、非晶質形態の化合物1(形態3)、および化合物1(形態2)から選択される。前記方法の一実施形態において、がんは、METエキソン14突然変異を有するがんである。一実施形態において、がんは腎細胞癌である。前記方法の一実施形態において、がんは非小細胞肺がんである。前記方法の一実施形態において、がんは結腸直腸がんである。前記方法の一実施形態において、がんは、マイクロサテライト安定な結腸直腸がんである。前記方法の一実施形態において、がんは胃がんである。前記方法の一実施形態において、がんはPD-L1陽性胃がんである。
【0303】
本発明はさらに、治療有効量の固体形態の化合物1またはその医薬組成物を、ササンリマブまたはそのバイオシミラーから選択されるPD-1阻害剤、およびアキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩である治療有効量のVEGF阻害剤と組み合わせてそれを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。一実施形態において、固体形態の化合物1は、無水結晶形態の化合物1(形態1)、水和物結晶形態の化合物1(形態4)、非晶質形態の化合物1(形態3)、および化合物1(形態2)から選択される。前記方法の一実施形態において、がんは、METエキソン14突然変異を有するがんである。前記方法の一実施形態において、がんは腎細胞癌である。前記方法の一実施形態において、がんは非小細胞肺がんである。前記方法の一実施形態において、がんは結腸直腸がんである。前記方法の一実施形態において、がんは、マイクロサテライト安定な結腸直腸がんである。前記方法の一実施形態において、がんは胃がんである。前記方法の一実施形態において、がんはPD-L1陽性胃がんである。
【0304】
一態様において、本発明は、治療有効量の固体形態の化合物1(例えば、本明細書において開示されている固体形態のいずれか)、ササンリマブまたはそのバイオシミラー、およびVEGF阻害剤を、少なくとも1つの投与サイクルからなる投与スケジュールに従って、それを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置するための方法であって、各投与サイクルが21日間の投与サイクルであり、前記化合物1が1日目から14日目に投与され、前記ササンリマブまたはそのバイオシミラーが1日目に投与され、そして前記VEGF阻害剤が1~21日目に投与される、方法を提供する。前記方法の一実施形態において、がんは、METエキソン14突然変異を有するがんである。前記方法の一実施形態において、がんは腎細胞癌である。一実施形態において、がんは非小細胞肺がんである。前記方法の一実施形態において、がんは結腸直腸がんである。前記方法の一実施形態において、がんは、マイクロサテライト安定な結腸直腸がんである。前記方法の一実施形態において、がんは胃がんである。前記方法の一実施形態において、がんはPD-L1陽性胃がんである。
【0305】
一態様において、本発明は、治療有効量の固体形態の化合物1(例えば、本明細書において開示されている固体形態のいずれか)、ササンリマブまたはそのバイオシミラー、およびVEGF阻害剤を、少なくとも1つの投与サイクルからなる投与スケジュールに従って、それを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置するための方法であって、各投与サイクルが21日間の投与サイクルであり、前記化合物1が1日目から14日目に1日に1回投与され、前記ササンリマブまたはそのバイオシミラーが1日目に投与され、そして前記VEGF阻害剤が1~21日目に1日に2回投与される、方法を提供する。前記方法の一実施形態において、がんは、METエキソン14突然変異を有するがんである。前記方法の一実施形態において、がんは、結腸直腸がん(マイクロサテライト安定な結腸直腸がんを含む)、子宮頸がん、胃がん(PD-L1陽性胃がんを含む)、食道がん、子宮内膜がん、肝細胞癌(HCC)、黒色腫(粘膜または皮膚の)、メルケル細胞癌、高レベルのマイクロサテライト不安定性を有するがん(MSI H腫瘍、例えばMSI-H結腸直腸がん)、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)、小細胞性肺がん(SCLC)、腎細胞癌(RCC)、および尿路上皮がんから選択される。前記方法の一実施形態において、がんは腎細胞癌である。一実施形態において、がんは非小細胞肺がんである。前記方法の一実施形態において、がんは結腸直腸がんである。前記方法の一実施形態において、がんは、マイクロサテライト安定な結腸直腸がんである。前記方法の一実施形態において、がんは胃がんである。前記方法の一実施形態において、がんはPD-L1陽性胃がんである。
【0306】
一態様において、本発明は、治療有効量の固体形態の化合物1(例えば、本明細書において開示されている固体形態のいずれか)、ササンリマブまたはそのバイオシミラー、およびVEGF阻害剤を、少なくとも1つの投与サイクルからなる投与スケジュールに従って、それを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置するための方法であって、各投与サイクルが21日間の投与サイクルであり、前記化合物1が1日目から14日目に1日に1回経口投与され、前記ササンリマブまたはそのバイオシミラーが1日目に皮下投与され、そして前記VEGF阻害剤が1~21日目に1日に2回経口投与される、方法を提供する。前記方法の一実施形態において、がんは、METエキソン14突然変異を有するがんである。前記方法の一実施形態において、がんは、結腸直腸がん(マイクロサテライト安定な結腸直腸がんを含む)、子宮頸がん、胃がん(PD-L1陽性胃がんを含む)、食道がん、子宮内膜がん、肝細胞癌(HCC)、黒色腫(粘膜または皮膚の)、メルケル細胞癌、高レベルのマイクロサテライト不安定性を有するがん(MSI-H腫瘍、例えばMSI-H結腸直腸がん)、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)、小細胞性肺がん(SCLC)、腎細胞癌(RCC)、および尿路上皮がんから選択される。前記方法の一実施形態において、がんは腎細胞癌である。一実施形態において、がんは非小細胞肺がんである。前記方法の一実施形態において、がんは結腸直腸がんである。前記方法の一実施形態において、がんは、マイクロサテライト安定な結腸直腸がんである。前記方法の一実施形態において、がんは胃がんである。前記方法の一実施形態において、がんはPD-L1陽性胃がんである。
【0307】
一態様において、本発明は、治療有効量の固体形態の化合物1(例えば、本明細書において開示されている固体形態のいずれか)、ササンリマブまたはそのバイオシミラー、およびVEGF阻害剤を、少なくとも1つの投与サイクルからなる投与スケジュールに従って、それを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置するための方法であって、各投与サイクルが21日間の投与サイクルであり、前記化合物1が1日目から14日目に1日に1回経口投与され、前記ササンリマブまたはそのバイオシミラーが1日目に225mgの用量で皮下投与され、そして前記VEGF阻害剤が1~21日目に1日に2回経口投与され、前記VEGF阻害剤の各用量が5mgを含む、方法を提供する。一実施形態において、第2の用量の前記VEGF阻害剤は、前記VEGF阻害剤の初回投与の約12時間後に投与される。前記方法の一実施形態において、がんは、METエキソン14突然変異を有するがんである。前記方法の一実施形態において、がんは、結腸直腸がん(マイクロサテライト安定な結腸直腸がんを含む)、子宮頸がん、胃がん(PD-L1陽性胃がんを含む)、食道がん、子宮内膜がん、肝細胞癌(HCC)、黒色腫(粘膜または皮膚の)、メルケル細胞癌、高レベルのマイクロサテライト不安定性を有するがん(MSI-H腫瘍、例えばMSI-H結腸直腸がん)、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)、小細胞性肺がん(SCLC)、腎細胞癌(RCC)、および尿路上皮がんから選択される。前記方法の一実施形態において、がんは腎細胞癌である。一実施形態において、がんは非小細胞肺がんである。前記方法の一実施形態において、がんは結腸直腸がんである。前記方法の一実施形態において、がんは、マイクロサテライト安定な結腸直腸がんである。前記方法の一実施形態において、がんは胃がんである。前記方法の一実施形態において、がんはPD-L1陽性胃がんである。
【0308】
一態様において、本発明は、治療有効量の固体形態の化合物1(例えば、本明細書において開示されている固体形態のいずれか)、ササンリマブまたはそのバイオシミラー、およびVEGF阻害剤を、少なくとも1つの投与サイクルからなる投与スケジュールに従って、それを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置するための方法であって、各投与サイクルが21日間の投与サイクルであり、前記固体形態の化合物1が1日目から14日目に1日に1回経口投与され、前記固体形態の化合物1の各用量が25mg、50mg、100mg、200mg、または300mgの前記固体形態の化合物1を含み、前記ササンリマブまたはそのバイオシミラーが1日目に225mgの用量で皮下投与され、そして前記VEGF阻害剤が1~21日目に1日に2回経口投与され、前記VEGF阻害剤の各用量が5mgを含む、方法を提供する。
【0309】
一態様において、本発明は、治療有効量の固体形態の化合物1(例えば、本明細書において開示されている固体形態のいずれか)、ササンリマブ、およびアキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩であるVEGF阻害剤を、少なくとも1つの投与サイクルからなる投与スケジュールに従って、それを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置するための方法であって、各投与サイクルが21日間の投与サイクルであり、前記固体形態の化合物1が1日目から14日目に1日に1回経口投与され、前記固体形態の化合物1の各用量が25mg、50mg、100mg、200mg、または300mgの前記固体形態の化合物1を含み、前記ササンリマブが1日目に225mgの用量で皮下投与され、そして前記アキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩が1~21日目に1日に2回経口投与され、前記アキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩の各用量が、遊離塩基として計算された5mgのアキシチニブを含む、方法を提供する。
【0310】
治療有効量の固体形態の化合物1(例えば、本明細書において開示されている固体形態のいずれか)、ササンリマブ、およびVEGF阻害剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置するための、本明細書において開示されているいずれかの方法の一実施形態において、第2の用量の前記VEGF阻害剤は、前記VEGF阻害剤の初回投与の約12時間後に投与される。前記方法の一実施形態において、がんは、METエキソン14突然変異を有するがんである。前記方法の一実施形態において、がんは、結腸直腸がん(マイクロサテライト安定な結腸直腸がんを含む)、子宮頸がん、胃がん(PD-L1陽性胃がんを含む)、食道がん、子宮内膜がん、肝細胞癌(HCC)、黒色腫(粘膜または皮膚の)、メルケル細胞癌、高レベルのマイクロサテライト不安定性を有するがん(MSI-H腫瘍、例えばMSI-H結腸直腸がん)、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌(HNSCC)、小細胞性肺がん(SCLC)、腎細胞癌(RCC)、および尿路上皮がんから選択される。前記方法の一実施形態において、がんは腎細胞癌である。一実施形態において、がんは非小細胞肺がんである。前記方法の一実施形態において、がんは結腸直腸がんである。本明細書において開示されているいずれかの方法の一実施形態において、がんは、マイクロサテライト安定な結腸直腸がんである。本明細書において開示されているいずれかの方法の一実施形態において、がんは胃がんである。本明細書において開示されているいずれかの方法の一実施形態において、がんはPD-L1陽性胃がんである。
【0311】
本発明はさらに、本明細書において記載される治療有効量の非晶質固体分散物または本明細書において記載されるその医薬組成物、および治療有効量の1つまたは複数の抗がん剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。
【0312】
本発明はさらに、本明細書において記載される治療有効量の非晶質固体分散物または本明細書において記載されるその医薬組成物、および治療有効量のPD-1阻害剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。
【0313】
本発明はさらに、本明細書において記載される治療有効量の非晶質固体分散物または本明細書において記載されるその医薬組成物、ならびに、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、およびササンリマブ、またはこれらのバイオシミラーから選択される治療有効量のPD-1阻害剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。
【0314】
本発明はさらに、本明細書において記載される治療有効量の非晶質固体分散物または本明細書において記載されるその医薬組成物、および治療有効量のVEGF阻害剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。
【0315】
本発明はさらに、本明細書において記載される治療有効量の非晶質固体分散物または本明細書において記載されるその医薬組成物、および、アキシチニブもしくはその薬学的に許容できる塩、またはベバシズマブもしくはそのバイオシミラーから選択される治療有効量のVEGF阻害剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。
【0316】
本発明はさらに、本明細書において記載される治療有効量の非晶質固体分散物または本明細書において記載されるその医薬組成物、治療有効量のPD-1阻害剤、および治療有効量のVEGF阻害剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。
【0317】
本発明はさらに、本明細書において記載される治療有効量の非晶質固体分散物または本明細書において記載されるその医薬組成物、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、またはササンリマブ、またはこれらのバイオシミラーから選択される治療有効量のPD-1阻害剤、ならびに、アキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩およびベバシズマブまたはそのバイオシミラーから選択される治療有効量のVEGF阻害剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。
【0318】
本発明はさらに、本明細書において記載される治療有効量の非晶質固体分散物または本明細書において記載されるその医薬組成物、ササンリマブまたはそのバイオシミラーから選択される治療有効量のPD-1阻害剤、およびアキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩である治療有効量のVEGF阻害剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。
【0319】
本発明はさらに、本明細書において記載される治療有効量の非晶質固体分散物または本明細書において記載されるその医薬組成物、治療有効量のササンリマブ、および治療有効量のアキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩を、それを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法を提供する。
【0320】
本発明はさらに、がんの処置において使用するための、本明細書において記載される態様または実施形態に従った化合物1の非晶質固体分散物を含む医薬組成物を提供する。
【0321】
本発明はさらに、がんの処置において使用するための、本明細書において記載される態様または実施形態に従った化合物1の非晶質固体分散物を含む医薬組成物であって、化合物1の固体分散物がPD-1阻害剤と組み合わせて使用される、医薬組成物を提供する。一実施形態において、PD-1阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、またはササンリマブ、またはこれらのバイオシミラーから選択される。一実施形態において、PD-1阻害剤はササンリマブである。一実施形態において、PD-1阻害剤はペムブロリズマブである。
【0322】
本発明はさらに、がんの処置において使用するための、本明細書において記載される態様または実施形態に従った化合物1の非晶質固体分散物を含む医薬組成物であって、化合物1の固体分散物がPD-1阻害剤およびVEGF阻害剤と組み合わせて使用される、医薬組成物を提供する。一実施形態において、PD-1阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、またはササンリマブ、またはこれらのバイオシミラーから選択される。一実施形態において、PD-1阻害剤はササンリマブである。一実施形態において、PD-1阻害剤はペムブロリズマブである。一実施形態において、VEGF阻害剤は、アキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩およびベバシズマブまたはそのバイオシミラーから選択される。一実施形態において、VEGF阻害剤は、アキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩である。一実施形態において、PD-1阻害剤はササンリマブであり、VEGF阻害剤はアキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩である。
【0323】
本発明はさらに、がんの処置のための薬剤の製造において使用するための、本明細書において記載される態様または実施形態に従った化合物1の非晶質固体分散物を含む医薬組成物を提供する。
【0324】
本発明はさらに、がんの処置のための、本明細書において記載される態様または実施形態に従った化合物1の非晶質固体分散物を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0325】
本発明はさらに、がんの処置において使用するための、本明細書において記載される態様または実施形態に従った固体形態の化合物1を提供する。
【0326】
本発明はさらに、がんの処置において使用するための、PD-1阻害剤と組み合わせて使用される、本明細書において記載される態様または実施形態に従った固体形態の化合物1を提供する。一実施形態において、PD-1阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、またはササンリマブ、またはこれらのバイオシミラーから選択される。一実施形態において、PD-1阻害剤はササンリマブである。一実施形態において、PD-1阻害剤はペムブロリズマブである。
【0327】
本発明はさらに、がんの処置において使用するための、PD-1阻害剤およびVEGF阻害剤と組み合わせて使用される、本明細書において記載される態様または実施形態に従った固体形態の化合物1を含む医薬組成物を提供する。一実施形態において、PD-1阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、またはササンリマブ、またはこれらのバイオシミラーから選択される。一実施形態において、PD-1阻害剤はササンリマブである。一実施形態において、PD-1阻害剤はペムブロリズマブである。一実施形態において、VEGF阻害剤は、アキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩およびベバシズマブまたはそのバイオシミラーから選択される。一実施形態において、VEGF阻害剤は、アキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩である。一実施形態において、PD-1阻害剤はササンリマブであり、VEGF阻害剤はアキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩である。
【0328】
本発明はさらに、がんの処置のための薬剤の製造において使用するための、本明細書において記載される態様または実施形態に従った固体形態を提供する。
【0329】
本発明はさらに、がんの処置のための、本明細書において記載される態様または実施形態に従った固体形態の使用を提供する。
【0330】
本明細書において使用される用語「処置すること(treating)」は、別段の指示がない限り、このような用語が適用される障害もしくは状態、またはこのような障害もしくは状態の1つもしくは複数の症候を逆転させること、軽減させること、これらの進行を阻害すること、これらの進行を遅延させること、これらの発病を遅延させること、または予防することを意味する。本明細書において使用される用語「処置(treatment)」は、別段の指示がない限り、直前で定義した「処置すること(treating)」の行為を指す。用語「処置(treating)」としてはまた、対象のアジュバントおよびネオアジュバント処置も含まれる。
【0331】
本明細書において使用される場合、用語「処置すること」は、例えばがんの処置に言及する場合、絶対的な用語であることを意図したものではない。例えば、臨床状況で使用される「がんの処置」および「がんを処置すること」は、有利なまたは所望の臨床結果を得ることを含むことを意図しており、がんを有する対象の状態の改善を含み得る。有利なまたは所望の臨床結果としては、限定はしないが、以下の1つまたは複数が含まれる:新生細胞またはがん細胞の増殖の低減(または破壊)、新生細胞の転移の阻害、対象における転移の減少、腫瘍のサイズの縮小または減少、対象における1つまたは複数の腫瘍の成長速度の減少、対象での寛解期間の増大(例えば、処置を受けていないもしくは異なる処置を受けている類似のがんを有する対象における1つもしくは複数の基準と比較して、または処置前の同一の対象における1つもしくは複数の基準と比較して)、疾患の結果生じる症候の減少、疾患に罹患している患者のクオリティーオブライフの上昇(例えば、FACT-GまたはEORTC-QLQC30を使用して評価される)、疾患を処置するために必要な他の薬剤の用量の減少、疾患の進行の遅延、および/または疾患を有する対象の生存の延長。「処置」はまた、処置を受けていない場合に予想される生存と比較した生存の延長、例えば、本明細書において記載される処置を受けていない対象と比較した全生存期間(OS)の増大、および/または本明細書において記載される処置を受けていない対象と比較した無進行生存(PFS)の増大も意味し得る。
【0332】
本明細書において使用される用語「対象」としては、あらゆる恒温動物、例えば限定はしないが、ヒト、サル、または他の下等霊長類、ウマ、イヌ、ウサギ、モルモット、またはマウスが含まれる。一実施形態において、対象はヒトである。一実施形態において、対象は成人対象である。一実施形態において、対象は小児対象である。医療分野の当業者は、がんに罹患している対象および処置を必要としている対象を容易に同定することができる。
【0333】
本明細書において使用される用語「小児対象」は、診断または処置の時点で16歳未満の対象を指す。用語「小児」は、新生児(誕生から1カ月齢)、乳児(1カ月から2歳まで)、児童(2歳から12歳まで)、および青年(12歳から21歳(21歳まで、しかし22歳の誕生日は含まない))を含む様々な亜集団にさらに分けることができる。
【0334】
「改善」は、処置を投与されていない場合と比較した1つまたは複数の症候の低下または向上を意味する。「改善」としてはまた、症候の期間の短縮または低減も含まれる。
【0335】
本明細書において使用される場合、薬物、化合物、または医薬組成物の「有効投与量」または「有効量」または「治療有効量」は、あらゆる1つまたは複数の有利なまたは所望の結果をもたらすために十分な量である。予防的使用では、有利なまたは所望の結果としては、リスクの排除もしくは低減、重症度の低下、または、疾患の生化学的、組織学的、および/もしくは行動的症候、その合併症、ならびに疾患の発生の際に現れる中間の病理学的表現型を含む、疾患の発生の遅延が含まれる。治療的使用では、有利なまたは所望の結果としては、様々な疾患もしくは状態(例えばがんなど)の1つもしくは複数の症候の発生の低減もしくは改善、疾患を処置するために必要な他の薬剤の用量の減少、別の薬剤の効果の増強、および/または疾患の進行の遅延などの臨床結果が含まれる。有効投与量は、1回または複数回の投与で投与され得る。本発明の目的では、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投与量は、直接的または間接的に予防的または治療的処置を達成するために十分な量である。臨床的背景において理解されているように、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投与量は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と組み合わせて達成され得る。
【0336】
当業者であれば、既知の方法に従って、対象に投与するための、本発明の組み合わせにおいて使用される各化合物の適切な量、用量、または投与量を、年齢、体重、全体的健康、投与される化合物、投与経路、処置が必要ながんの性質および進行度、ならびに他の薬剤の存在などの要素を考慮して決定することができる。
【0337】
本発明の典型的で具体的な実施形態
実施形態1.化合物1:
【0338】
【化6】
および薬学的に許容できるポリマーを含む、非晶質固体分散物。
【0339】
実施形態2.薬学的に許容できるポリマーが、セルロースエーテル、セルロースエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、N-ビニルラクタムのホモポリマー、N-ビニルラクタムのコポリマー、ポリアクリルアミド、およびポリアルキレンオキシド、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、実施形態1に記載の非晶質固体分散物。
【0340】
実施形態3.薬学的に許容できるポリマーがセルロースエーテルポリマーである、実施形態2に記載の非晶質固体分散物。
【0341】
実施形態4.セルロースエーテルポリマーが、メチルセルロース、エチルセルロース、(ヒドロキシアルキル)セルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)またはヒドロキシプロピルセルロース(HPC))、および(ヒドロキシアルキル)アルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCまたはヒプロメロース)からなる群から選択される、実施形態3に記載の非晶質固体分散物。
【0342】
実施形態5.セルロースエーテルポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である、実施形態4に記載の非晶質固体分散物。
【0343】
実施形態6.ポリマーがセルロースエステルポリマーである、実施形態2に記載の非晶質固体分散物。
【0344】
実施形態7.セルロースエステルポリマーが、フタル酸セルロースまたはコハク酸セルロースである、実施形態6に記載の非晶質固体分散物。
【0345】
実施形態8.セルロースエステルポリマーが、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)である、実施形態7に記載の非晶質固体分散物。
【0346】
実施形態9.セルロースエステルポリマーが、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース-L(HPMCAS-L)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース-M(HPMCAS-M)、または酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース-H(HPMCAS-H)である、実施形態8に記載の非晶質固体分散物。
【0347】
実施形態10.セルロースエステルポリマーが、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース-L(HPMCAS-L)である、実施形態9に記載の非晶質固体分散物。
【0348】
実施形態11.薬学的に許容できるポリマーが、ポリアクリレートまたはポリメタクリレートである、実施形態2に記載の非晶質固体分散物。
【0349】
実施形態12.ポリアクリレートまたはポリメタクリレートが、メタクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸/メタクリル酸メチルコポリマー、ブチルメタクリレート/2-ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸ヒドロキシアルキル)、およびポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)からなる群から選択される、実施形態11に記載の非晶質固体分散物。
【0350】
実施形態13.ポリアクリレートまたはポリメタクリレートが、メタクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマー(1:1)である、実施形態12に記載の非晶質固体分散物。
【0351】
実施形態14.薬学的に許容できるポリマーが、N-ビニルラクタムのホモポリマーまたはコポリマーである、実施形態2に記載の非晶質固体分散物。
【0352】
実施形態15.薬学的に許容できるポリマーが、N-ビニルピロリドンのホモポリマーまたはコポリマーである、実施形態14の非晶質固体分散物。
【0353】
実施形態16.薬学的に許容できるポリマーが、ポリビニルピロリドンおよび酢酸ビニル(PVP-VA)のコポリマーである、実施形態15の非晶質固体分散物。
【0354】
実施形態17.薬学的に許容できるポリマーがポリアクリルアミドである、実施形態2に記載の非晶質固体分散物。
【0355】
実施形態18.薬学的に許容できるポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリビニルカプロラクタム、およびポリ酢酸ビニルのグラフトコポリマーである、実施形態2に記載の非晶質固体分散物。
【0356】
実施形態19.薬学的に許容できるポリマーがポリアルキレンオキシドである、実施形態2に記載の非晶質固体分散物。
【0357】
実施形態20.薬学的に許容できるポリマーが、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース-L(HPMCAS-L)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース-M(HPMCAS-M)、または酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース-H(HPMCAS-H)、ポリビニルピロリドンおよび酢酸ビニルのコポリマー(PVP-VA)、メタクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマー(1:1)、またはポリビニルカプロラクタムおよびポリ酢酸ビニル(ソルプラス)である、実施形態1の非晶質固体分散物。
【0358】
実施形態21.前記化合物1が、非晶質固体分散物の約25重量%~50重量%の量で存在する、実施形態1~20のいずれか一つに記載の非晶質固体分散物。
【0359】
実施形態22.前記化合物1が、非晶質固体分散物の約50重量%の量で存在する、実施形態21に記載の非晶質固体分散物。
【0360】
実施形態23.前記ポリマーに対する前記化合物1の比率が約1:1~約1:3である、実施形態1~22のいずれか一つに記載の非晶質固体分散物。
【0361】
実施形態24.前記ポリマーに対する前記化合物1の比率が約1:1である、実施形態23に記載の非晶質固体分散物。
【0362】
実施形態25.非晶質固体分散物が、25℃/60%相対湿度または40℃/75%相対湿度で13週間保存した後に、構造
【0363】
【化7】
を有する0.5重量%未満の化合物を含む、実施形態1~24のいずれか一つに記載の非晶質固体分散物。
【0364】
実施形態26.前記固体分散物が、噴霧乾燥された分散物である、実施形態1~25のいずれか一つに記載の非晶質固体分散物。
【0365】
実施形態27.実施形態1~26のいずれか一つに記載の前記非晶質固体分散物および少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤を含む、医薬組成物。
【0366】
実施形態28.少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤が、結合剤、充填剤、崩壊剤、流動促進剤、および潤滑剤を含む、実施形態27に記載の医薬組成物。
【0367】
実施形態29.前記医薬品組成物の総重量に対して:
(a)10重量%~65重量%の前記非晶質固体分散物、
(b)14重量%~50重量%の結合剤、
(c)14重量%~50重量%の充填剤、
(d)1重量%~6重量%の崩壊剤、
(e)0.1重量%~1.25重量%の流動促進剤、および
(f)0.25重量%~1.25重量%の潤滑剤
を含む、実施形態28に記載の医薬組成物。
【0368】
実施形態30.前記医薬品組成物の総重量に対して、
(a)10重量%~75重量%の本発明の非晶質固体分散物、
(b)8重量%~50重量%の結合剤、
(c)0重量%~50重量%の充填剤、
(d)1重量%~6重量%の崩壊剤、
(e)0.1重量%~4重量%の流動促進剤、および
(f)0.25重量%~1.25重量%の潤滑剤
を含む、実施形態28に記載の医薬組成物。
【0369】
実施形態31.前記医薬組成物の総重量に対して10重量%、20重量%、50重量%、または65重量%の前記非晶質固体分散物を含む、実施形態28~30のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0370】
実施形態32.前記結合剤が、微晶質セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成のガム、ポリビニルピロリドン、アルファデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される、実施形態28~31のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0371】
実施形態33.結合剤が微晶質セルロースである、実施形態28~32のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0372】
実施形態34.約21.25重量%の前記結合剤を含む、実施形態28~33のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0373】
実施形態35.充填剤が、ラクトース一水和物、マルトデキストリン、マンニトール、微晶質セルロース、アルファデンプン、およびショ糖エステルからなる群から選択される、実施形態28~34のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0374】
実施形態36.充填剤がラクトース一水和物である、実施形態28~35のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0375】
実施形態37.約21.25重量%の前記充填剤を含む、実施形態28~36のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0376】
実施形態38.崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微晶質セルロース、低級アルキルで置換されたヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファデンプン、およびアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される、実施形態28~37のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0377】
実施形態39.崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムである、実施形態28~38のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0378】
実施形態40.約6重量%の前記崩壊剤を含む、実施形態28~39のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0379】
実施形態41.流動促進剤が、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸三カルシウム、およびタルクからなる群から選択される、実施形態28~40のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0380】
実施形態42.前記流動促進剤が、コロイド状二酸化ケイ素またはリン酸三カルシウムである、実施形態28~41のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0381】
実施形態43.約1重量%の前記流動促進剤を含む、実施形態28~42のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0382】
実施形態44.潤滑剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物からなる群から選択される、実施形態28~43のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0383】
実施形態45.潤滑剤がステアリン酸マグネシウムである、実施形態28~44のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0384】
実施形態46.約0.5%の前記潤滑剤を含む、実施形態28~45のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0385】
実施形態47.前記医薬組成物の総重量に対して約50重量%の前記非晶質固体分散物を含む、実施形態28~46のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0386】
実施形態48.被覆剤をさらに含む、実施形態28~47のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0387】
実施形態49.前記組成物が経口投与のために製剤される、実施形態28~48のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0388】
実施形態50.前記組成物が、錠剤またはカプセルとして製剤される、実施形態28~49のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0389】
実施形態51. 25mg、50mg、100mg、200mg、または300mgの化合物1を含む、実施形態28~50のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【0390】
実施形態52. 25mgまたは100mgの化合物1を含む、実施形態51に記載の医薬組成物。
【0391】
実施形態53.無水結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態1)。
【0392】
実施形態54. -124.5および-113.8ppmから選択される少なくとも1つの共鳴値±0.2ppmを含む19F固体NMRスペクトルを有する、実施形態53に記載の無水結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態1)。
【0393】
実施形態55. -124.5および-113.8ppm±0.2ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルを有する、実施形態53に記載の無水結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態1)。
【0394】
実施形態56. 5.2、10.0、14.9、18.8、および20.3度2シータ±0.2度2シータでの特徴的ピークを含むPXRDパターンを有する、実施形態53~55のいずれか一つに記載の無水結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態1)。
【0395】
実施形態57.水和物結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態4)。
【0396】
実施形態58. -114.3および-120.3ppmから選択される少なくとも1つの共鳴値±0.2ppmを含む19F固体NMRスペクトルを有する、実施形態57に記載の水和物結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態4)。
【0397】
実施形態59. -114.3および-120.3ppm±0.2ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルを有する、実施形態58に記載の水和物結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態4)。
【0398】
実施形態60. 6.7、8.9、13.3、21.2、および23.6度2シータ±0.2度2シータでの特徴的ピークを含むPXRDパターンを有する、実施形態57~59のいずれか一つに記載の水和物結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態4)。
【0399】
実施形態61.非晶質形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態3)。
【0400】
実施形態62. -127.9および-112.7ppm±0.5ppmの共鳴値を含む19F固体NMRスペクトルを有する、実施形態61に記載の非晶質形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態3)。
【0401】
実施形態63.実施形態53~62のいずれか一つに記載のある形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド、および1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む、医薬組成物。
【0402】
実施形態64.実施形態27~52および63のいずれか一つに記載の治療有効量の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、がんを処置する方法。
【0403】
実施形態65.前記がんが、TAMに関連するがんである、実施形態64に記載の方法。
【0404】
実施形態66.前記がんが、c-Metに関連するがんである、実施形態64に記載の方法。
【0405】
実施形態67.前記がんが、子宮頸がん、胃がん、食道がん、肝細胞癌、黒色腫(例えば、粘膜または皮膚の)、メルケル細胞癌、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)腫瘍(例えば、MSI-H結腸直腸がん)、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、小細胞性肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、腎細胞癌、または尿路上皮癌である、実施形態64に記載の方法。
【0406】
実施形態68.前記がんが、切除不能または転移性である、実施形態64~67のいずれか一つに記載の方法。
【0407】
実施形態69.医薬組成物が、治療有効量の1つまたは複数の抗がん剤と組み合わせて投与される、実施形態64~68のいずれか一つに記載の方法。
【0408】
実施形態70.抗がん剤が免疫療法剤である、実施形態69に記載の方法。
【0409】
実施形態71.免疫療法剤がPD-1阻害剤である、実施形態70に記載の方法。
【0410】
実施形態72.PD-1阻害剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、およびササンリマブからなる群から選択される、実施形態71に記載の方法。
【0411】
実施形態73.PD-1阻害剤がササンリマブである、実施形態72に記載の方法。
【0412】
実施形態74.抗がん剤がVEGF阻害剤である、実施形態70に記載の方法。
【0413】
実施形態75.抗がん剤が、アキシチニブもしくはその薬学的に許容できる塩、またはベバシズマブである、実施形態74に記載の方法。
【0414】
実施形態76.抗がん剤が、アキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩である、実施形態75に記載の方法。
【0415】
実施形態77.医薬組成物が、治療有効量のPD-1阻害剤および治療有効量のVEGF阻害剤と組み合わせて投与される、実施形態69に記載の方法。
【0416】
実施形態78.医薬組成物が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、およびササンリマブからなる群から選択される、治療有効量のPD-1阻害剤、ならびにアキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩、およびベバシズマブからなる群から選択される、治療有効量のVEGF阻害剤と組み合わせて投与される、実施形態77に記載の方法。
【0417】
実施形態79.医薬組成物が、ササンリマブである治療有効量のPD-1阻害剤、およびアキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩である治療有効量のVEGF阻害剤と組み合わせて投与される、実施形態78に記載の方法。
【0418】
実施形態80.前記医薬組成物、前記ササンリマブ、および前記VEGF阻害剤が、少なくとも1つの投与サイクルからなる投与スケジュールに従って投与され、各投与サイクルが21日間の投与サイクルであり、前記医薬組成物が1日目から14日目に投与され、前記ササンリマブが1日目に投与され、そして前記VEGF阻害剤が1~21日目に投与される、実施形態79に記載の方法。
【0419】
実施形態81.実施形態53~62のいずれか一つに記載の治療有効量の化合物、ササンリマブであるPD-1阻害剤、ならびにアキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩およびベバシズマブからなる群から選択されるVEGF阻害剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、がんを処置する方法。
【0420】
実施形態82.VEGF阻害剤が、アキシチニブまたはその薬学的に許容できる塩である、実施形態61に記載の方法。
【0421】
83.VEGF阻害剤がベバシズマブである、実施形態81に記載の方法。
【0422】
実施形態84.前記形態の化合物1、前記ササンリマブ、および前記VEGF阻害剤が、少なくとも1つの投与サイクルからなる投与スケジュールに従って投与され、各投与サイクルが21日間の投与サイクルであり、前記化合物1が1日目から14日目に投与され、前記ササンリマブが1日目に投与され、そして前記VEGF阻害剤が1~21日目に投与される、実施形態81~83のいずれか一つに記載の方法。
【0423】
実施形態85.前記形態の化合物1が、1日目から14日目に1日に1回経口投与される、実施形態84に記載の方法。
【0424】
実施形態86.前記形態の化合物1の各用量が、25mg、50mg、100mg、200mg、または300mgの前記形態の化合物1を含む、実施形態85に記載の方法。
【0425】
実施形態87.前記ササンリマブが1日目に皮下投与される、実施形態84~86のいずれか一つに記載の方法。
【0426】
実施形態88.ササンリマブの前記用量が225mgのササンリマブを含む、実施形態87に記載の方法。
【0427】
実施形態89.前記VEGF阻害剤が1~21日目に1日に2回経口投与される、実施形態84~88のいずれか一つに記載の方法。
【0428】
実施形態90.前記VEGF阻害剤の各用量が、5mgの前記VEGF阻害剤を含む、実施形態89に記載の方法。
【0429】
実施形態91.がんが、METエキソン14突然変異を有するがんである、実施形態84~90のいずれか一つに記載の方法。
【0430】
実施形態92.がんが、子宮頸がん、胃がん、食道がん、肝細胞癌、黒色腫(例えば、粘膜もしくは皮膚の)、メルケル細胞癌、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)腫瘍(例えば、MSI-H結腸直腸がん)、非小細胞肺がん、頭頚部扁平上皮癌、小細胞性肺がん(例えば非小細胞肺がん)、腎細胞癌、または尿路上皮癌である、実施形態84~90のいずれか一つに記載の方法。
【0431】
実施形態93.がんが、腎細胞癌、非小細胞肺がん、結腸直腸がん、または胃がんである、実施形態84~90のいずれか一つに記載の方法。
【0432】
実施形態94.対象がヒトである、実施形態64~93のいずれか一つに記載の方法。
【0433】
実施形態95.がんの処置のための、実施形態27~52のいずれか一つに記載の、化合物1の非晶質固体分散物を含む医薬組成物の使用。
【0434】
実施形態96.がんの処置のための薬剤の製造において使用するための、実施形態27~52のいずれか一つに記載の、化合物1の非晶質固体分散物を含む医薬組成物。
【実施例0435】
以下で提供される実施例および調製物は、本発明の特定の実施形態をさらに説明し、例示する。本発明の範囲は以下の実施例の範囲によって限定されないことが理解される。
【0436】
本発明を説明する、以下で示す非限定的な実施例および調製物において、以下の略記、定義、および分析手順は、以下の通り参照され得る。
【0437】
【表19-1】
【0438】
【表19-2】
【0439】
一般的方法
一般的方法1
特徴的ピークの決定のための粉末X線回折(PXRD)方法
粉末X線回折分析を、Cu放射線源を備えたBruker AXS D8 Endeavor回折計を使用して行った。発散スリットを、15mmの連続照明に設定した。回折される放射線をPSD-Lynx Eye検出器によって検出し、検出器PSDの開口部を4.123度に設定した。X線管の電圧およびアンペア数を、それぞれ40kVおよび40mAに設定した。データを、シータ-シータゴニオメーターにおいて、0.01度のステップサイズおよび1.0秒のステップ時間を使用して、3.0~40.0度2シータのCu波長(CuKα=1.5418λ)で収集した。散乱線除去スクリーンを、1.5mmの一定距離に設置した。サンプルは、データ収集の間、回転させた。サンプルは、これらをシリコン製の低バックグラウンドサンプルホルダー内に置くことによって調製し、収集の間に回転させた。データをBruker DIFFRAC Plusソフトウェアを使用して収集し、分析を、EVA diffract plusソフトウェアによって行った。PXRDデータファイルは、ピーク検索の前には処理しなかった。EVAソフトウェアのピーク検索アルゴリズムを使用して、閾値1で選択されたピークを使用して、予備のピーク指定を行った。妥当性を確実にするために、調整は手動で行った。自動指定のアウトプットは視覚的にチェックし、ピーク位置はピーク最大値に調整した。≧3%の相対強度を有するピークを一般に選択した。典型的には、分離されていないまたはノイズと一致するピークは選択しなかった。PXRDから得られるピーク位置に関連する典型的な誤差は、USPにおいて、最大+/-0.2度2シータであると言及された(USP-941)。
【0440】
一般的方法2
19F固体NMR(ssNMR)分光法:
固体NMR(ssNMR)分析を、Bruker-BioSpin Avance III 500MHz(H周波数)NMR分光器内に置かれたCPMASプローブで行った。材料を、4mmのZrOローターに詰めた。Oリングドライブキャップを、無水結晶形態の化合物1(形態1)に使用した。標準的なVespelドライブキャップを、化合物1(形態2)、水和物結晶形態の化合物1(形態4)、および非晶質の化合物1(形態3)に使用した。15.0kHzのマジックアングルスピニング速度を、全ての固体形態に使用した。
【0441】
19F ssNMRスペクトルは、プロトンデカップリングマジックアングルスピニング(MAS)実験を使用して収集した。80~100kHzの位相変調プロトンデカップリング磁場を、スペクトル取得の際に適用した。スペクトルは、無水結晶形態の化合物1(形態1)、化合物1(形態2)、水和物結晶形態の化合物1(形態4)、および非晶質の化合物1(形態3)でそれぞれ3.5秒、18秒、18秒、および3.5秒の待ち時間(recycle delay)で収集した。スキャンの数は、適切な信号ノイズ比を得るように調整した。19F化学シフトのスケールを、トリフルオロ酢酸(HO中で50%/50%v/v)の外部標準で19F MAS実験を使用して参照し、その共鳴を-76.54ppmに設定した。
【0442】
自動ピークピックを、Bruker-BioSpin TopSpinバージョン3.6ソフトウェアを使用して行った。全般的に、5%相対強度の閾値を予備のピーク選択に使用した。自動ピークピックの出力を視覚的にチェックして妥当性を確実にし、必要であれば、調整を手動で行った。具体的な固体NMRピーク値がここで報告されているが、これらのピーク値には範囲があり、それは、機器、サンプル、およびサンプル調製物の差異が理由である。これは、ピーク位置に固有のばらつきを理由として、固体NMRの技術分野においてよくあることである。19Fの化学シフトのx軸値の典型的なばらつきは、結晶固体ではおよそプラスまたはマイナス0.2ppmであり、非晶質の固体ではプラスまたはマイナス0.5ppmである。ここで報告されている固体NMRピークの高さは、相対強度である。固体NMRの強度は、実験パラメータの実際の設定およびサンプルの熱履歴に応じて変化し得る。
【0443】
(比較例1)
(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態2)の合成および特徴付け
化合物1を、WO2020/047184の実施例72において記載されているように、また、PCT公開第WO2020/047184の実施例72において記載されている調製物1および調製物65において記載されている合成中間体を使用して、調製した。これらのプロセスの説明を以下に再掲する。
【0444】
ステップA: DMF(300mL)中の1-(4-メトキシベンジル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-オール(23.5g、92.1mmol)、1,2-ジフルオロ-4-ニトロベンゼン(14.6g、92.1mmol)、および炭酸セシウム(30.0g、92.1mmol)の混合物を、100℃まで1時間加熱した。室温まで冷却した後、反応混合物を水中(750mL)に注ぎ、EtOAc(750mL)で希釈した。有機層を分離した。水性相をEtOAc(1×300mL、1×100mL)で再抽出した。組み合わされた有機相を水(2×300mL)およびブライン(300mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮して、4-(2-フルオロ-4-ニトロフェノキシ)-1-(4-メトキシベンジル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(36.4g、100%)を得た。
【0445】
ステップB: TFA(250mL)中の4-(2-フルオロ-4-ニトロフェノキシ)-1-(4-メトキシベンジル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(36g、91.3mmol)の撹拌混合物を、付属の還流コンデンサーで、N下で、60℃まで18時間加熱した。室温まで冷却した後、反応混合物を真空中で濃縮した。トルエン(3×75mL)を利用して、残留TFAを共沸した。暗色の混合物を、撹拌しながら、水性NaHCO(全部で150mL)で慎重に処理した。二相の混合物をDCM(50mL)で希釈した。黄褐色の懸濁液が得られ、これを10分間撹拌した。懸濁液を次いで濾過した。固体(生成物)を水(50mL)で、次いでDCM(25mL)で洗浄した。固体中の残留水分を、60℃での回転蒸発(3×100mL)によるトルエン共沸によって除去して、4-(2-フルオロ-4-ニトロフェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(23g、88%)を得た。
【0446】
ステップC: DMF(250mL)中の4-(2-フルオロ-4-ニトロフェノキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(22g、80mmol)およびKOH(14g、241mmol)の撹拌混合物(乳鉢および乳棒によって粉砕した)に、I(41g、160mmol)を添加した。得られた混合物を60℃まで1時間、N下で加熱した。反応混合物をチオ硫酸ナトリウム(100mL)の飽和水溶液に注いだ。混合物をEtOAc(1×250mL、2×50mL)で抽出した。組み合わされた有機相を10%のLiCl(2×250mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮して、粗4-(2-フルオロ-4-ニトロフェノキシ)-3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(29g、70%)を得た。
【0447】
ステップD: DMF(250mL)中の4-(2-フルオロ-4-ニトロフェノキシ)-3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(29g、72.5mmol)および1-(クロロメチル)-4-メトキシベンゼン(13.6g、87.0mmol)の撹拌混合物に、KCO(12.0g、87.0mmol)を添加した。反応混合物を18時間撹拌し、次いでEtOAc(500mL)に注ぎ、そして水(500mL)で希釈した。相を分離し、水性相をEtOAc(2×250mL)で抽出した。組み合わされた有機相を水(250mL)およびブライン(250mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。暗褐色の油をシリカゲル上で精製して(ヘキサン中で30%のEtOAc)、4-(2-フルオロ-4-ニトロフェノキシ)-3-ヨード-1-(4-メトキシベンジル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(24.2g、61%)を得た。
【0448】
ステップE: EtOH(500mL)中の4-(2-フルオロ-4-ニトロフェノキシ)-3-ヨード-1-(4-メトキシベンジル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(30g、57.7mmol)の撹拌混合物に、SnCl-2HO(59.9g、288mmol)を添加した。混合物を65℃まで1時間、N下で加熱した。室温まで冷却した後、混合物を濃縮した。濃厚な混合物をDCM(500mL)で希釈し、固体が溶解するまで撹拌し、次いで、5Nの水性NaOH(100mL)で塩基性化した。得られた懸濁液を、Celite(登録商標)を通して濾過し、DCM(3×50mL)ですすいだ。ろ液を分液漏斗に移し、相を分離した。水性相をDCM(50mL)で再抽出した。組み合わされた有機相をNaSO上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮して、3-フルオロ-4-(3-ヨード-1-(4-メトキシベンジル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イルオキシ)アニリン(26.9g、90%)を黄色の固体として得た。
【0449】
ステップF:室温のDMF(10mL)中の3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボン酸(500mg、1.71mmol)およびHATU(0.887g、2.33mmol)の撹拌溶液に、DIEA(813μL、4.67mmol)を、次いで、3-フルオロ-4-((3-ヨード-1-(4-メトキシベンジル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)アニリン(762mg、1.56mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、水(30mL)とEtOAc(30mL)との間で分け、そして水性層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。組み合わされた有機相を水(5×10mL)およびブライン(10mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。残渣をシリカゲル上で精製して(ヘキサン中に30~100%のEtOAc)、N-(3-フルオロ-4-((3-ヨード-1-(4-メトキシベンジル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(1.13g、95%)を得た。
【0450】
ステップG: N-(3-フルオロ-4-((3-ヨード-1-(4-メトキシベンジル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(200mg、0.26mmol)、D-アラニノール(61μL、0.785mmol)、KCO(289mg、2.09mmol)、およびピロール-2-カルボン酸(0.0145g、0.131mmol)をDMSO(5mL)中に懸濁し、混合物をAr(g)で5分間、脱気した。ヨウ化Cu(I)を添加し、混合物を、密閉した試験管内で60℃まで一晩加熱し、次いで、室温まで冷却した。冷却した混合物を水(10mL)とEtOAc(10mL)との間で分け、水性層をEtOAc(2×10mL)で抽出した。組み合わされた有機相を水(5×10mL)およびブライン(10mL)で洗浄し、次いで、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。残渣をシリカゲル上で精製して(DCM中に0~5%のMeOH)、(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1-(4-メトキシベンジル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(98mg、53重量%)を白色の固体として得た。
【0451】
ステップH: DCM(2mL)中の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1-(4-メトキシベンジル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(98mg、0.14mmol)溶液に、TFA(4mL)を添加した。混合物を35℃で一晩撹拌した。混合物を濃縮し、真空中で乾燥させた。残渣をMeOH/DCM中に溶解し、KCO(57mg、0.41mmol)で処理し、そしてRTで4時間撹拌した。混合物を濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲル上で精製して(DCM中に0~7.5%のMeOH)、非晶質の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態2)(68mg、83%)を固体として得た。質量スペクトル:m/z=592.2(M+H)。1H NMR (CDCl3) δ 11.00 (s, 1H), 8.69 (s, 1H), 8.16 (d, 1H), 7.90 (dd, 1H), 7.30 (m,
1H), 7.27 (s, 2H), 7.25 (s, 2H), 7.22 (d, 1H), 6.12 (d, 1H), 4.98 (m, 1H), 4.02
(m, 1H), 3.83 (dd, 1H), 3.71 (dd, 1H), 1.51 (d, 6H), 1.34 (d, 3H).
【0452】
ステップHで単離された化合物を粉末X線回折によって特徴付けし、化合物1(形態2)と指定した。
【0453】
粉末X線回折分析を、Cu放射線源を備えたRigaku MiniFlex 6G回折計を使用して行った。回折した放射線照射をD/teX Ultra2検出器によって検出した。X線管の電圧およびアンペア数を、それぞれ40kVおよび15mAに設定した。データは、MiniFlexゴニオメーターにおいて、0.01°のステップ幅および5.00°/分のステップ速度を使用して、3.0~45.0°2シータのCu波長で収集した。入射スリットボックスを1.25°に設定し、長さ制限スリットを10mmに設定した。サンプルは収集の間には回転させなかった。サンプルは、これらをシリコン製の低バックグラウンドサンプルホルダー内に置くことによって準備した。
【0454】
データを、SmartLab Studio II(バージョン4.3.147.0)ソフトウェアを使用して収集し、分析した。PXRDデータファイル内のピークを自動的に同定したこのソフトウェアは、二次導関数法と、それに続く手動のピーク選択を使用していた。全般的に、≧3%の相対強度を有するピークを選択した。図4は、N-{3-フルオロ-4-[(3-{[(2R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル]アミノ}-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ]フェニル}-3-(4-フルオロフェニル)-2,4-ジオキソ-1-(プロパン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態2)のPXRDパターンを示している。表6は、角度2シータ(±0.2度2シータ)でのN-{3-フルオロ-4-[(3-{[(2R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル]アミノ}-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ]フェニル}-3-(4-フルオロフェニル)-2,4-ジオキソ-1-(プロパン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態2)のPXRDピークを示している。
【0455】
【表20】
【0456】
図5は、-115.3ppm(100%の相対強度)および-125.8ppm(52%の相対強度)±0.5ppmでの特徴的ピークを有する、化合物1(形態2)の19F ssNMRスペクトルを示している(#はスピニングサイドバンドを示す)。
【0457】
(比較例2)
(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドヒドロクロリドの調製
(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(14.4g、24.3mmol)を、ジクロロメタン(200mL)中の10%のMeOHに溶解し、塩化水素(4.87mL、24.3mmol)(イソプロピルアルコール中に5~6M)を添加した。混合物を10分間撹拌し、次いで、EtO(1.2L)に撹拌しながらゆっくりと添加した。混合物を20分間撹拌し、得られた固体を濾過によって単離し、そして高真空で一晩乾燥させて、非晶質の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドヒドロクロリド(11.9g、18.9mmol、77.8%の収量)を黄色の固体として得た。
【0458】
(実施例3)
無水結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態1)の調製および特徴付け
(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドのHCl塩(5g)およびジクロロメタン(45容積)を室温で組み合わせた。得られた混合物のpHを、2%の炭酸水素ナトリウム溶液(2容積)で約pH5~6に調整した。pHを次いで、個別のバッファー溶液(炭酸水素ナトリウム溶液、10容積)で約pH7.2に調整した。有機相を分離し、40℃で約5~10容積まで濃縮した。アセトン(30容積)を次いでチャージし、混合物を約5~10容積に濃縮した。さらなるアセトン(20容積)を添加し、混合物を25~30℃で24時間撹拌した。混合物を次いで約10容積に濃縮し、約3℃まで冷却した。白色の固体を回収し、窒素下で乾燥させて、82%の収量の無水結晶形態の化合物1(形態1)を得た。
【0459】
無水結晶形態の化合物1(形態1)のPXRDパターンが図1Aに示されている。無水結晶形態の化合物1(形態1)のPXRDピークのリストおよび相対強度のデータは、表1Aで示されている。無水結晶形態の化合物1(形態1)の特徴的なPXRDピークのリストおよび相対強度のデータは、表1Bに示されている。無水結晶形態の化合物1(形態1)の19F ssNMRスペクトルは、図1Bに示されている。19F ssNMRのピークは表1Cに示されている。
【0460】
(実施例4)
水和物結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態4)の調製および特徴付け
(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(化合物1)を、メタノール(9.4mL)および水(0.600mL)と組み合わせた。混合物を室温で6日間撹拌した。得られた白色の固体を回収し、MeOH(2×0.5mL)で洗浄し、そして周囲空気中で乾燥させて、水和物結晶形態の化合物1(形態4)を得た。収量:431mg、87%。
【0461】
水和物結晶化合物1(形態4)のPXRDパターンを図2Aに示す。水和物結晶化合物1(形態4)のPXRDピークのリストおよび相対強度のデータを表2Aに示す。水和物結晶化合物1(形態4)の特徴的なPXRDピークのリストおよび相対強度のデータを表2Bに示す。水和物結晶化合物1(形態4)の19F ssNMRスペクトルを図2Bに示す。19F ssNMRのピークを表2Cに示す。
【0462】
(実施例5)
非晶質形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態3)の調製および特徴付け
(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドを、予熱したホットプレートの上にあるアルミニウムパンに添加した。ホットプレートは中に設定し、温度設定はなかった。アルミニウムパン上におよそ5秒間載せた後、混合物は、わずかに赤みのある黄色の油に融解した。混合物は液体窒素中ですぐに冷却した。材料の偏光顕微鏡(PLM)分析は、非晶質固体と一致していた。形態3のPXRDパターンを図3Bに示す。
【0463】
(実施例6)
(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(化合物1)の形態1、2、および4の間での比較分析
吸湿性
水の収着および脱離をDVS-Resolutionで分析した。微量天秤を、毎月、100mgの基準分銅で較正する。約8mgのAPI(形態1、形態2、または形態4)をサンプルパンに添加し、DVS-ResolutionのチャンバAの中に置いた。相対湿度(RH)%は0%で1時間保持し、そして10%きざみで90%まで増大させ、次いで、10%きざみで0%まで低下させた。ステップは、<0.001%のdm/dt変化が最短30分で見られた場合、または120分間の最大ステップ時間に達した場合に、完了したとみなした。DVS分析の後に残っている粉末材料をPXRDおよび偏光顕微鏡(PLM)によって分析して、回折パターンの変化が観察されるかを判定した。
【0464】
DSC
サンプルは、TA instrumentsによって、DSC2500を使用して分析した。参照パンおよび蓋(Tzeroアルミニウム)を秤量し、オートサンプラーを介して機器に入れた。約2mgの試験化合物を、重量が分かっているアルミニウムパン(Tzero)に添加し、重量が分かっているTzeroアルミニウム製の蓋を使用して非気密的に密閉した。圧着したサンプルパンを、オートサンプラーを介して機器に入れた。この機器での方法は、0℃から280℃まで10℃/分の傾斜に調整され、細胞は、定期的な乾燥窒素パージ下にあった。データは、市販されているソフトウェアであるTRIOSを使用して分析した。
【0465】
クロマトグラフィー法
化合物1のアッセイおよび不純物を判定するための方法は、以下で記載する条件を伴う勾配逆相HPLC法であった。特定されたおよび特定されていない不純物の定量は、面積パーセントによって行われる。HPLCは、DAD検出器を用いるAgilent 1290 Infinity II UPLCを使用して行った。データは、Agilent OpenLab CDS ChemStation(バージョン3.0.32)を使用して分析した。
【0466】
【表21】
【0467】
安定性の判定のためのおよび吸湿後のPXRD法
粉末X線回折分析を、Cu放射線源を備えたRigaku MiniFlex 6G回折計を使用して行った。回折した放射線照射をD/teX Ultra2検出器によって検出した。X線管の電圧およびアンペア数を、それぞれ40kVおよび15mAに設定した。データを、MiniFlexゴニオメーターにおいて、0.02度のステップ幅および2.00度/分のステップ速度を使用して、3.0~45.0度2シータのCu波長で収集した。入射スリットボックスを1.25度に設定し、長さ制限スリットを10mmに設定した。サンプルは収集の間には回転させなかった。サンプルは、これらをシリコン製の低バックグラウンドサンプルホルダー内に置くことによって調製した。データを、SmartLab Studio II(バージョン4.3.147.0)ソフトウェアを使用して収集し、EVA diffract plusソフトウェアを使用して分析した。
【0468】
熱安定性
熱安定性のデータを、示差走査熱量測定を使用して得た。DSCスキャンに基づくと、無水結晶性化合物1(形態1)は178℃まで安定であり、水和物結晶化合物1(形態4)はおよそ123℃まで安定であった。化合物1(形態2)はおよそ28℃まで安定であった。
【0469】
吸湿性のデータ
吸湿性のデータを、吸湿分析を使用して得た(表7)。この分析に基づくと、無水結晶形態の化合物1(形態1)および水和物結晶形態の化合物1(形態4)は、非吸湿性である。しかし、化合物1(形態2)は吸湿性であり、25℃および60%RHでおよそ5%の重量増加を伴う。
【0470】
全ての吸湿分析の最後の固体形態をPXRDで分析し、そしてこれは、PXRDによると、入ってくる形態と一致しており、すなわち、固体形態の変化は、無水結晶形態の化合物1(形態1)、化合物1(形態2)、または水和物結晶形態の化合物1(形態4)では検出されなかった。
【0471】
【表22】
【0472】
化学的安定性のデータ
無水結晶形態の化合物1(形態1)、化合物1(形態2)、および水和物結晶形態の化合物1(形態4)のサンプルの純度を、HPLCを使用して測定することによって、化学的安定性を評価した。形態1、形態2、および形態4(5℃で1週間保存した)の各々のコントロールサンプルの化学的純度を、70℃および75%相対湿度(RH)の湿度チャンバ内で1週間保存した形態1、形態2、および形態4の各々の化学的安定性と比較した。結果を表8に示す。形態2は、70℃および75%RHで1週間での最大の分解を示した。形態1および4は、形態2よりも著しく低い分解を示した。形態4は、形態1および2と比較して最少の量の分解を示した。
【0473】
固体形態の化学的安定性サンプルを、実験の最後にPXRDで分析した。形態1および形態4のサンプルは、PXRD分析によって変化を示さなかった。形態2のコントロールサンプルもまた、いかなる変化も示さなかった。しかし、形態2のサンプルは、70℃/75%RHで1週間後に、約4.2度2シータでのピークの低下を示した。
【0474】
【表23】
【0475】
(実施例7)
化合物1の非晶質固体分散物の化学的および物理的安定性
化合物1の非晶質固体分散物の化学的および物理的安定性を評価するために、50%の化合物1:50%のHPMCAS-Lまたは50%の化合物1:50%のHPMCのいずれかを含む、化合物1の非晶質固体分散物を、開放されたおよび閉鎖された容器内で25℃/60%RHで、ならびに開放されたおよび閉鎖された容器内で40℃/75%RHで、13週間保存した。これらの非晶質固体分散物を次いで、非晶質の物理的状態の変化についてPXRDによって、化学的純度についてHPLCによって、および粒子形態学についてSEMによって評価した。
【0476】
表9は、総不純物と、記載された条件下で最大の成長を示し、以下の構造:
【0477】
【化8】
を有する、0.96分の相対保持時間(RRT)を有する不純物の面積%とを示している。
【0478】
いくつかの他の<LOQ(0.05%)の低レベルの不純物もまた観察された。
【0479】
【表24】
【0480】
13週間後の安定性試験のサンプルは、G-IB non-sink試験において溶解についても(実施例8)、ならびに物理的安定性、外見、および結晶性についても評価した。mDSCによると、Tgにおいて顕著な変化は見られなかった。SEM画像は、固体分散物が、表面が滑らかな崩壊した球状粒子からなることを明らかにし、PXRD、19F ssNMR、およびSEMによって明らかにされたところによると、結晶性の兆候はなかった。化合物1の形態は、非晶質形態の化合物1(形態3)と一致することが観察された。図6は、化合物1およびHPMCAS-Lを1:1の比率で含む非晶質固体分散物のPXRDパターンを示す。図7は、化合物1およびHPMCAS-Lを1:1の比率で含む非晶質固体分散物の19F ssNMRスペクトルを示す。
【0481】
(実施例8)
(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(化合物1)の非晶質固体分散物のnon-sink溶解分析
このアッセイは、(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(化合物1)の非晶質固体分散物のインビトロでの溶解能を、サンプルを胃バッファー(GB)から腸バッファー(IB)に移動させる溶解試験を使用して判定するために使用される手順を記載している。胃から腸へのバッファー(G-IB)移動の溶解試験を使用して、空の胃を模倣するためにより低いpH値である培地にまず投与されたときの原薬の溶解度を超える薬物(すなわち化合物1)の過飽和を測定する。遊離薬物およびミセル中の薬物の組み合わせ濃度を、種を単離するための超遠心分離および濃度を測定するための高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して決定した。このアッセイにおいて試験した非晶質固体分散物は、以下の組成を有していた:25:75の化合物1:HPMCAS-M、25:75の化合物1:PVP-PA、50:50の化合物1:HPMC、50:50の化合物1:PVP-PA、および50:50の化合物1:HPMCAS-L。このアッセイのデータを表4に示す。
【0482】
A.溶液の調製-一般的手順(容積は必要に応じて大きくまたは小さくすることができる)
1. 2×リン酸緩衝溶液(2×PBS)、pH6.55
フラスコに、2.4gのNaCl、2.68gのNaHPO・7HOおよび3.18gのKHPOを添加した。水(250mL)をフラスコに添加し、混合物を、全ての固体が溶解するまで撹拌した。pHを次いで、10NのNaOHで6.55に調整した。
【0483】
2.胃バッファー(GB)受容溶液:水中に0.01NのHCl。
適切な容器において、1NのHCLを99mLの精製水と混合した。溶液のpHが2.0±0.05であることを確認したか、または必要に応じて調整した。この調製物を、温度制御された箱の中で、37℃で保存した。
【0484】
3.腸バッファー(IB)受容溶液:1%のSIF粉末(Biorelevant、London、UK;FaSSIF(飢餓状態疑似腸液)、FeSSIF(満腹状態疑似腸液)、およびFaSSGF(飢餓状態疑似胃液)を含有する)を含有する2×PBS、pH6.55。
適切な量の2×PBSを37℃まで温めた。SIF粉末(1%(w/v))を2×PBSに添加し、混合物を、固体が溶解するまで撹拌した。この調製物を温度制御されたチャンバにおいて37℃で保存し、これを調製した日と同日に使用した。
【0485】
B.標準調製物
1. 100%の標準試薬
化合物1(参照標準)を、20mLのシンチレーションバイアル内で秤量した(試験標的用量/6)。
10mLの希釈剤(5:1のアセトニトリル:水)を添加した。
約10分間超音波処理して、固体材料を溶解させた。
固体材料が溶解したことを視覚的に確認し、必要であればさらに超音波処理した。
溶液を室温まで冷却した。
【0486】
2. 50%の標準試薬
3mLの100%の標準試薬を20mLのシンチレーションバイアルにピペットで移した。
3mLの希釈剤をホールピペットによって添加し、良く混合した。
【0487】
3. 25%の標準試薬
1mLの100%の標準試薬を20mLのシンチレーションバイアルにピペットで移した。
3mLの希釈剤をホールピペットによって添加し、良く混合した。
【0488】
4. 10%の標準試薬
1mLの100%の標準試薬を20mLのシンチレーションバイアルにピペットで移した。
9mLの希釈剤をホールピペットに添加し、良く混合した。
【0489】
5. 1%の標準試薬
1mLの10%の標準試薬を20mLのシンチレーションバイアルにピペットで移した。
9mLの希釈剤をホールピペットによって添加し、良く混合した。
【0490】
C.胃から腸へのバッファーの微量遠心溶解の手順
この試験は、特注の加熱/撹拌ブロック(100rpmの撹拌)を有するpIONμDiss装置において37℃で行った。
【0491】
C1.非晶質固体分散物サンプルの調製(典型的には、濃度は200~2000μgA/mLである)
2組、適切な量(±5%)の非晶質固体分散物を秤量し、撹拌棒を有する25mLのガラス容器に移した。
【0492】
C2. GBの微量遠心溶解
時点は5分および25分であった。サンプリング手順は、各サンプリング時点の2分前に開始した。
ステップ1: 10mLに事前に較正された10mLのPipetmanを使用して、10mLのGBを各容器に添加した。
ステップ2:タイマーをスタートさせた。
ステップ3:タイマーが3分になったら、250μLのアリコートを各容器から取り出し、2mLの微量遠心管に添加した。サンプル管を15800RCF(Sorvall Legend Micro 21遠心分離機では13000RPM)で1分間、遠心分離した。
ステップ4:事前に較正された250μLのPipetmanを使用して、250μLの希釈剤(5:1のアセトニトリル:水)を、1分間の遠心分離の間の各サンプリング時点に対応するHPLCバイアルに添加した。
ステップ5: 5分の時に、事前に較正された50μLのPipetmanを使用して、50μLの上清を各サンプル管から抽出し、250μLの希釈剤を含有し、各サンプリング時点に対応する、HPLCバイアルに添加した。
ステップ6:各バイアルをセプタムですぐに密封し、キャップを圧着した。
ステップ7:密封されたバイアルを2回反転させて混合した。
ステップ8:タイマーが23分になったら(25分の時点で)、ステップ3~8を反復した。
【0493】
C3. IBの微量遠心溶解
時点は4、90、および180分であった。サンプリング手順は、各サンプリング時点の2分前に開始した。
ステップ1: 30分の時に、10mLに事前に較正された10mLのPipetmanを使用して、10mLのIBをガラス容器に添加した(パートC2、ステップ8)。得られた溶液は、PBS中に0.5重量%のSIFであり、pH6.5で、全部で20mLの流体であった。
ステップ2:タイマーを停止し、クリアし、そして再びスタートした。
ステップ3:タイマーが2分になったら、250μLのアリコートを各容器から取り出し、2mLの微量遠心管に添加した。サンプル管を15800RCFで1分間、遠心分離した。
ステップ4:事前に較正された250μLのPipetmanを使用して、250μLの希釈剤(5:1のアセトニトリル:水)を、1分間の遠心分離の間の各サンプリング時点に対応するHPLCバイアルに添加した。
ステップ5: 4分の時に、事前に較正された50μLのPipetmanを使用して、50μLの上清を各サンプル管から抽出し、これを、250μLの希釈剤を含有し、各サンプリング時点に対応する、HPLCバイアルに添加した。
ステップ6:各バイアルをセプタムですぐに密封し、キャップを圧着した。
ステップ7:密封されたバイアルを2回反転させて混合した。
ステップ8:タイマーが18分になったら(20分の時点で)、タイマーが88分になったら(90分の時点で)、そしてタイマーが178分になったら(180分の時点で)、ステップ3~7を反復した。
ステップ9:ステップ8の前に、90分および180分の時点の後、トランスファーピペットを使用して、上清を各サンプル管からBeckman超遠心管にピペットで移した。これらのサンプルを、超遠心試験についてのセクションC4で記載されている作業のために保持した。
ステップ10:試験した各化合物についての逆相効力方法を使用して、サンプルをHPLCによって分析した。
【0494】
C4.遊離薬物+ミセル濃度中の薬物を判定するための超遠心試験手順
超遠心機での分析は、試験の間中のあらゆる上清で行うことができたが、微量遠心試験の90分および180分のサンプルで典型的には行った。
ステップ1:セクションC3で記載した試験手順をステップ9までなぞった。
ステップ2:トランスファーピペットを使用して、上清を各サンプル管からBeckman超遠心管にピペットで移した。
ステップ3:サンプルを、超遠心機において365900RCF(Beckman Optima Maxでは80000RPM)で8分間、37℃で遠心分離した。
ステップ4:事前に較正された250μLのPipetmanを使用して、250μLの希釈剤(5:1のアセトニトリル:水)をHPLCバイアルに添加した。
ステップ5:上清(50μL)を、事前に較正された50μLのPipetmanを使用して各超遠心サンプルから抽出して、250μLの希釈剤を含有するHPLCバイアルに添加した。
ステップ6:各バイアルをセプタムですぐに密封し、キャップを圧着した。
ステップ7:密封されたバイアルを2回反転させて混合した。
ステップ8:試験した各化合物についての逆相効力方法を使用して、サンプルをHPLCによって分析した。
【0495】
C5. HPLCパラメータ
【0496】
【表25】
【0497】
非晶質固体分散物の、薬物/ポリマーナノ凝集体を形成する能力は、薬物の経口吸収を向上させる。データは上の表4に示されている。
【0498】
(実施例9)
非晶質固体分散物の調製
表10、表11、および表12に示すパラメータに従って、90/10のアセトン/水から、化合物1のいくつかの噴霧乾燥された非晶質固体分散物を調製し、噴霧乾燥したが、ここで、噴霧乾燥された非晶質固体分散物は、表に示すように、無水結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態1)または水和物結晶形態の(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(形態4)を使用して調製される。
【0499】
【表26】
【0500】
表10の製剤に対応する各噴霧溶液は、2重量%の化合物1を有する90/10のアセトン/水中に調製した。これによって、標的溶媒中に化合物1を完全に可溶化することが可能となった。これらの製剤の各々を120psiの標的溶液圧力で噴霧した。これは、30g/分のおおよその溶液流量と等しかった。これらの製剤の各々を、溶解率、熱特性、結晶性、残留溶媒、および形態学について評価した。
【0501】
表10で調製された各SDD製剤の粒子形態学を、SEMで評価した。全てのサンプルは、ほぼ完全なおよび崩壊した球体を示し、結晶または粒子が溶解している痕跡はなかった。
【0502】
各SDDをPXRDによって分析して、物理的状態を調べた。全てのサンプルは非晶質のハローを示し、結晶形態の化合物1の痕跡はなかった。
【0503】
【表27】
【0504】
表11の製剤に対応する各噴霧溶液は、2重量%の化合物1を有する90/10のアセトン/水中に調製した。これによって、標的溶媒中に化合物1を完全に可溶化することが可能となった。これらの製剤の各々を120psiの標的溶液圧力で噴霧した。これは、30g/分のおおよその溶液流量と等しかった。これらの製剤の各々を、溶解率、熱特性、結晶性、残留溶媒、および形態学について評価した。
【0505】
表11に示す各SDD製剤の粒子形態学を、SEMで評価した。全てのサンプルは、ほぼ完全なおよび崩壊した球体を示し、結晶または粒子が溶解している痕跡はなかった。
【0506】
各SDDをPXRDによって分析して、物理的状態を調べた。全てのサンプルは非晶質のハローを示し、結晶形態の化合物1の痕跡はなかった。
【0507】
【表28】
【0508】
表12の製剤に対応する各噴霧溶液は、2.75重量%または5重量%の化合物1を有する90/10のアセトン/水中に調製した。これによって、標的溶媒中に化合物1を完全に可溶化することが可能となった。製剤を、溶解率、熱特性、結晶性、残留溶媒、および形態学について評価した。
【0509】
表12で調製された各SDD製剤の粒子形態学を、SEMで評価した。全てのサンプルは、ほぼ完全なおよび崩壊した球体を示し、結晶または粒子が溶解している痕跡はなかった。
【0510】
各SDDをPXRDによって分析して、物理的状態を調べた。サンプルは非晶質のハローを示し、結晶形態の化合物1の痕跡はなかった。
【0511】
噴霧乾燥プロセスのために、化合物1/HPMCAS-Lを有する90/10アセトン水噴霧溶液を45℃に予め加熱しておくことによって、より多くの固体含有量を達成することができる。
【0512】
(実施例10)
進行したまたは転移性の充実性腫瘍を有する対象における、単剤療法としてのおよび組み合わせでの化合物1の、ファーストインヒューマンの薬物動態学、安全性、および忍容性の研究
論理的根拠
このファーストインヒューマン(FIH)研究の目的は、選択された進行したまたは転移性の充実性腫瘍を有する対象における、非晶質の噴霧乾燥された分散物としての化合物1の安全性、忍容性、PK、および予備的活性を評価することである。用量設定がされると、相のパート1では単剤の化合物1で、パート2ではササンリマブとの組み合わせで、そしてパート3ではササンリマブおよびアキシチニブとの組み合わせで、安全性およびPKのデータが得られ、治験依頼者が、パート4において、単剤療法としてのおよび各組み合わせにおける化合物1の利用性を調査する(用量拡大)。
【0513】
目標およびエンドポイント
化合物1の用量漸増(パート1は単剤療法、パート2はダブレット、およびパート3はトリプレットの用量漸増)
【0514】
【表29-1】
【0515】
【表29-2】
【0516】
化合物1の用量拡大(パート4、コホート1~4)
【0517】
【表30】
【0518】
研究設計
全体的な設計
これは、選択された進行したまたは転移性の充実性腫瘍を有する成人参加者(対象)のコホートにおける、化合物1の、第1相、オープンラベル、多施設、複数用量、用量漸増、安全性、PK、バイオマーカー、および予備的有効性の研究である。参加者は、パート1の単剤療法の用量漸増コホート、パート2のササンリマブを伴うダブレットの用量漸増コホート、パート3のササンリマブおよびアキシチニブを伴うトリプレットの用量漸増コホート、およびパート4の用量拡大コホートに登録される。
【0519】
研究介入での処置は、疾患の進行、参加者の拒否、または許容できない毒性の発生のいずれかが生じるまで継続され、これらのうちのどれが最初に生じても適用される。
【0520】
各サイクルは21日間の期間であり、最初は、14日間のスケジュール(1日目~14日目)での化合物1の経口的なQD投与であり、次いで、7日間の無投与(15日目~21日目、すなわち、2週間のオン/1週間のオフ)である。化合物1の代替的な用量、頻度(例えば、BID投与、サイクル当たりの異なる投与日数、異なるサイクル期間)、およびPKの時点が、得られたデータに基づいて探求され得、オリジナルのレジメンから決定された同等な週間総用量で開始され(あらゆる代替的な投与レジメンがBLRM EWOC基準を満たす)、研究施設に明確に伝えられる(PACLを介して)が、即時のプロトコルの修正は必要としない。この臨床研究は、用量漸増(パート1~3)および用量拡大(パート4、コホート1~4)を含む、4つのパートを含む。パート1~3は、漸増用量の化合物1を単剤療法として(パート1)、または組み合わせで(パート2および3)投与された参加者の連続コホートにおけるEWOC原理を用いるBLRMを使用して、化合物1のMTD/RP2Dを推定する。パート4は、単剤療法としての(コホート1)、ササンリマブと組み合わせた(コホート2および3)、ならびにサンリマブおよびアキシチニブと組み合わせた(コホート4)化合物1を調べる。用量漸増の決定のため、パート1~4の間の移行のため、および、調査対象の選択された用量レベルの妥当性を、利用可能な得られたデータを含む全ての利用可能な安全情報に基づいて確認するための、新たなコホートの開設のために、DLRMが利用される。
【0521】
パート1:化合物1での単剤療法の用量漸増
パート1は、選択された進行したまたは転移性の充実性腫瘍を有するおよそ27人の参加者における用量漸増コホートにおいて、単剤の化合物1のMTD/RP2D(MTD/RP2D)を推定する。
【0522】
パート1のバイオマーカーコホート:化合物1での単剤療法の用量漸増
MTD/RP2Dが、利用可能な安全性/忍容性、有効性、PK、およびPDのデータの評価によって治験依頼者によって決定された単剤療法について取り組まれるため、治験依頼者は、所要の処置前および処置中の腫瘍生検(医学的に実行不可能でない限りであり、これは、スクリーニングの間/処置開始前に決定されるべきである)のために、最大で追加のおよそ12人の参加者(2つの個別のバイオマーカーコホートの各々におよそ6人の参加者)を登録することができる。バイオマーカー研究が、研究対象の作用剤のインビボでの作用メカニズムおよび耐性の潜在的メカニズムの理解を助けるために使用される。これらの研究は、単剤としてのまたは他の化合物と組み合わせた化合物1の将来的な開発の助けとなり得、また、研究介入に応答し得る腫瘍サブタイプについての情報を提供し得る。
【0523】
パート2:ササンリマブと組み合わせた、化合物1の用量漸増
パート2は、およそ6~12人の参加者における、225mgの一定用量のSC Q3Wのササンリマブと組み合わせた化合物1のMTD/RP2D(MTD/RP2D)を推定する。
【0524】
パート3:ササンリマブおよびアキシチニブと組み合わせた、化合物1の用量漸増
パート3は、MTD/RP2D(ササンリマブと組み合わせた化合物1)が決定された後に開始され、およそ6~12人の参加者における、225mgの一定用量のSQ Q3Wのササンリマブおよび5mgの開始用量のPO BIDのアキシチニブと組み合わせた化合物1のMTD/RP2D(MTD/RP2D)を推定する。
【0525】
単剤モデルおよび組み合わせモデルの両方のBLRMを使用して、化合物1での単剤療法の(パート1)、ササンリマブと組み合わせて投与された場合の(パート2)、ならびに、ササンリマブおよびアキシチニブと組み合わせて投与された場合の(パート3)DLTの関係をモデリングする。EWOC原理に従ったBLRMは、各コホートのDLTの観察期間が完了した後、MTD/RP2Dを決定するまでの、化合物1の用量漸増を導く。コホートにおける全ての参加者がDLTの観察期間を完了した後、治験依頼者および治験責任医師によってDLRMが予定される。DLTは、安全性、PK、および他の関連するデータと共に、詳細に再調査され、次のコホートのための用量についての決定がなされる。最低でも3人の評価可能な参加者からなるコホートが、MTD/RP2Dが決定されるまで、各用量レベルの化合物1で処理される。MTD/RP2Dコホートの拡張によってRP2Dが決定/確認され、最低でも6人の参加者がMTD/RP2Dで処置されることが期待される。
【0526】
毒性は、第1のサイクル(例えば、21日間、サイクル1)のDLTウィンドウ内で生じる場合には、DLTであるとみなされる。しかし、全体的な安全性およびPKのデータがMTD/RP2Dの決定のために評価され、サイクル1の後に生じる、DLTの定義を満たし得るAEが再調査される。MTDよりも低い用量がRP2Dのために検討されている場合には、安全性およびバイオマーカー/PKのデータを十分な数の参加者において評価することを確実にするために、さらなる参加者に、この潜在的RP2Dでの投与が行われ得る。
【0527】
パート4:化合物1の用量拡大(コホート1~4)
パート1~3において化合物1のMTD/RP2Dが同定された後、単剤療法としての(コホート1)、ササンリマブと組み合わせた(コホート2~3)、ならびにササンリマブおよびアキシチニブと組み合わせた(コホート4)化合物1の安全性および予備的有効性をさらに評価するために、およそ80人の参加者が4つの拡大コホートに登録される。
【0528】
パート1においてMTD/RP2Dが同定された後、少なくとも1つの全身治療で事前に処置されたMETex14-突然変異NSCLCを有するおよそ20人の参加者がコホート1に登録され得、決定されたMTD/RP2Dでの化合物1単剤療法で処置される。
【0529】
パート2においてMTD/RP2Dが同定された後、TMBが中間の(次世代標的パネル[パネルTMB]または全エキソームシーケンシング[WES]のいずれかに基づいて≧6および<16の突然変異/Mb)進行した/転移性のMSS CRCを有し、許容できる代替治療選択肢がない、およそ20人の参加者が、コホート2に登録され得、決定されたMTD/RP2Dでの化合物1およびササンリマブで処置され得る。
【0530】
パート2においてMTD/RP2Dが同定された後、少なくとも2回、しかし3回以下の全身治療レジメンで事前に処置された、PD-L1陽性の(例えば、28-8 pharmDxまたは同等物を使用して≧1のCPS)、PD-(L)1ナイーブの、進行したまたは転移性の胃がんを有するおよそ20人の参加者が、コホート3に登録され得、決定されたMTD/RP2Dでの化合物1およびササンリマブで処置され得る。
【0531】
パート3においてMTD/RP2Dが同定された後、全身治療ナイーブの進行したまたは転移性のRCCを有するおよそ20人の参加者が、コホート4に登録され得、決定されたMTD/RP2Dでの化合物1およびササンリマブおよびアキシチニブで処置され得る。パート4、コホート4でのトリプレット組み合わせにおけるアキシチニブの開始用量は、5mg未満のBIDであり得る。しかし、パート4、コホート4を前に進めるためには、この低用量のトリプレット組み合わせにおけるアキシチニブの期待される曝露量は、5mg BIDでのアキシチニブの単剤療法での曝露量(製品ラベルによる奨励)と同様でなければならない。
【0532】
臨床応答は各拡大コホートにおいて連続的にモニタリングされ、不十分な臨床的利益が見られる場合(例えば、最初の10人の評価可能な参加者のうち0人または1人の応答)には、それぞれのコホートにおいて登録は中止され得る。
【0533】
開始用量
化合物1
パート1において、化合物1の開始用量は、2週間オン/1週間オフのスケジュールの21日サイクルにおいてQDで投与される、25mgである。
【0534】
この研究における開始用量の論理的根拠は、異種移植片マウスモデルにおけるDMPK、薬力学、有効性、ならびに、ラットおよびイヌで見られる毒性を含む、全ての利用可能な非臨床データに基づく。開始用量を選択する目的は、薬理学的効果を有することが期待され、妥当な使用安全性がある用量を同定し、そして曝露を治療量以下用量まで最小にすることであった。
【0535】
計画された開始用量については、ICH S9に従う。このガイダンスでは、齧歯動物におけるSTD10の1/10の用量に設定することが推奨されている。非齧歯動物が最適な種である場合には、HNSTDの1/6が適切な開始用量であるとみなされる。HNSTDは、致死性、命に関わる毒性、または不可逆的所見の形跡を生じさせない最大用量レベルとして定義される。STD10の枠組みが適用される場合、ラットの28日間のGLP研究で得られたSTD10は30mg/kg(180mg/m、HED=292mg)であり、これは、FIH研究における約29.2mgの開始用量をサポートする。イヌにおけるHNSTDおよびNOAELは15mg/kg(300mg/m、HED=486mg)であり、これは、FIH研究における約81mgの開始用量をサポートする。PK/ADMEのデータは最も関連のある種としてイヌを選択することをサポートするが、ラットでのFIH開始用量に基づくことは、安全性の観点から、より保守的なアプローチを示す。この研究における25mgの開始用量は、STD10の約10分の1である。
【0536】
化合物1の経口でのヒトPKの予測を、4つの非臨床種(マウス、ミニブタ、ラット、およびイヌのIVおよび用量漸増POのデータ)から得られたインビトロでのDMPKのデータおよびPKに基づいて行った。曝露量の比較は、血漿中の種依存性の遊離画分に基づく。最も感受性の高い28日の毒性学種における化合物1の定常状態でのAUC0~24値およびCmax値(30mg/kg用量群のラットのSTD10)は、25mg QDのヒトコホートでの対応する予測値よりも10倍超大きい。STD10値と同程度の曝露量に近づけるために、計画された臨床的用量漸増スキームの最大用量レベルのみが予測される。200mg QD投与後の、予測されたヒトの定常状態トラフ濃度は、12.5mg/kg BIDの有効な同系マウスTGIモデルにおける推定されたトラフ濃度と同程度である。したがって、ヒトPKの予測は、未結合の化合物1の曝露比較に基づいて、安全な開始用量としての25mg QDをサポートし、約100~200mg QDは、ヒトにおいて潜在的有効性を生じさせるための十分な標的適用範囲をもたらすことが予想される。
【0537】
全体として、これらのデータは、がんを有する参加者における、提案された用量での化合物1の最初の評価をサポートする。
【0538】
パート2において、ササンリマブと組み合わせた化合物1の開始用量は、パート1においてBLRMによって安全であることが事前に判定された最大の単剤療法用量よりも高くはない。開始用量はまた、パート1で得られたDLTのデータ、ササンリマブについての過去のデータ、および2つの研究薬物の間の最小DDIの仮定を組み込むことによって誘導される、組み合わせBLRMにおけるEWOC基準を満たさなくてはならない。
【0539】
パート3において、ササンリマブおよびアキシチニブと組み合わせた化合物1の開始用量は、パート2において決定されたMTD/RP2Dよりも高くはない。開始用量はまた、パート1で得られたDLTのデータ、ササンリマブおよびアキシチニブについての過去のデータ、ならびに3つの研究薬物の間の最小DDIの仮定を組み込むことによって誘導される、組み合わせBLRMにおけるEWOC基準を満たさなくてはならない。
【0540】
パート4において、化合物1の用量は、コホート1のパート1で決定されたRP2D、コホート2および3でササンリマブと組み合わせてパート2において決定されたRP2D、ならびに、コホート4でササンリマブおよびアキシチニブと組み合わせてパート3において決定されたRP2Dとなる。
【0541】
ササンリマブ
パート2および3では、ササンリマブの用量は、各21日サイクルの1日目に、225mg SC Q3Wである。225mg SC Q3Wの用量では、12週間にわたる300mg SC Q4Wの用量強度と同一の用量強度が得られる。300mg SC Q4W用量を反復した後の、ササンリマブへの定常状態での曝露量は、1mg/kgおよび3mg/kg Q3WでのIV投与の後に観察された曝露量の範囲内にあった。化合物1またはアキシチニブでの著しいDDIのリスクは低いと予測される。12週間の同一の用量強度を維持する代替的なササンリマブ投薬レジメンが、得られたデータに基づいて探求され得る。
【0542】
アキシチニブ
パート3では、アキシチニブの暫定的な開始用量は、5mg PO BIDの承認用量となる。化合物1またはササンリマブでの著しいDDIのリスクは低いと予測される。5mgが忍容されないかまたはBRLM EWOC基準を満たさない場合には、5mg PO BIDの用量に加えて、3mgおよび2mgの2つのより低用量のアキシチニブが用量漸増の際に利用可能である。
【0543】
投与された研究介入
【0544】
【表31】
【0545】
化合物1の用量レベルおよびスケジュール
【0546】
【表32】
【0547】
採用基準
以下の腫瘍タイプおよび前治療の要件を有する参加者:
パート1および2:
a.切除不能なまたは転移性の子宮頸がん、胃がん、食道がん、子宮内膜がん、HCC、黒色腫(粘膜もしくは皮膚の)、メルケル細胞癌、MSI-H/dMMR腫瘍、NSCLC、HNSCC、SCLC、RCC、または尿路上皮癌の組織学的または細胞学的診断を有する参加者が適格である。説得力のある臨床的論理的根拠が治験責任医師によって提供され、治験依頼者によって承認される場合には、他の腫瘍タイプも許容され得る。前処置後に進行しており、利用可能な標準治療がない、または、参加者および彼らの処置担当医師による、標準治療が適切ではない旨の意見がある、もしくは標準治療を拒否している。
【0548】
パート3:
a.淡明細胞成分を伴う切除不能な局所的に進行したまたは転移性の腎細胞癌が組織学的または細胞学的に確認された参加者。
b.前処置後に進行しており、利用可能な標準治療がない。
【0549】
パート4、コホート1:
a. CLIAまたは同様の認可をされた研究所における臨床ケアの通常の過程の間に判定されたところ、血漿および/または組織におけるMETex14スキップ改変を有し、既知の同時発生的な発がん性ドライバーの改変を有さない、組織学的または細胞学的に確認された、進行した(局所的に進行したまたは転移性の)NSCLC(扁平上皮型および肉腫型を含む全てのタイプ)。
b. PD-(L)1療法を併用しないもしくは併用するプラチナベースの化学療法、PD-(L)1療法単独、または1型MET阻害剤(例えば、クリゾチニブ、サボリチニブ、カプマチニブ、テポチニブ)の少なくとも1つを含む前処置後に進行している。
i.第一選択の化学療法後に行われる維持療法を開始する前に応答または安定な疾患が記録された患者に、当該維持療法が投与される場合には、当該維持療法は、同じ第一選択の治療法の一部であるとみなされる。
ii.処置の最後にまたは処置の最後から12カ月以内に進行が生じた場合には、ネオアジュバント/アジュバントでの全身処置は前治療であるとみなされる。
【0550】
パート4、コホート2:
a. CLIAまたは同様の認可をされた研究所における臨床ケアの通常の過程の間に判定されたところ(例えば、IHC、PCR、または次世代シーケンシングによる)、組織学的または細胞学的に確認された、切除不能なまたは転移性のMSS(MSI-highでもdMMRでもない)CRC。
b. CLIAまたは同様の認可をされた研究所における臨床ケアの通常の過程の間に判定されたところ(例えば、次世代シーケンシングによる)、組織中に6以上および16未満の突然変異/Mbの中間のTMB。
c.前処置後に進行しており、納得のいく代替治療選択肢がない。
d.抗PD-(L)1療法での前処置を受けていない。
【0551】
パート4、コホート3:
a. CLIAまたは同様の認可をされた研究所における臨床ケアの通常の過程の間に判定されたところ、組織学的または細胞学的に確認された、組織におけるPD-L1陽性の(CPS≧1)切除不能なまたは転移性の胃がんまたはGEJ腺癌。
b.フルオロピリミジンおよびプラチナダブレット(処置する治験責任医師の意見において、患者がプラチナ、5-FU、またはカペシタビンの使用に対していかなる禁忌も有さない限り、ある選択の治療法またはアジュバント処置のいずれかの一部として)を含む少なくとも2回、しかし3回以下の化学療法レジメンで進行した、またはこれらレジメンに対して不耐容であった。
i. HER2陽性であることが分かっている場合には、前処置レジメンは、抗HER2剤(例えばトラスツズマブ)を含んでいなければならない。
ii.処置の最後にまたは処置の最後から6カ月以内に進行が生じた場合には、周術期のネオアジュバントまたはアジュバントでの全身処置は前処置であるとみなされる。
c.抗PD-(L)1療法での前処置を受けていない。
【0552】
パート4、コホート4:
a.組織学的または細胞学的に確認された、淡明細胞成分を伴う切除不能なまたは転移性の腎細胞癌。
b.中程度のIMDCおよび高リスク。
c.転移性疾患について事前の全身治療なし。
i. VEGF/VEGFRまたはT細胞共刺激/チェックポイント経路を標的化する作用剤を含んでいない限り、および最後の投与の少なくとも6カ月後に再発が生じた場合には、完全に切除されたRCCのための事前のアジュバント/ネオアジュバントでの全身治療は認められない。
【0553】
1. RECISTバージョン1.1によって規定されたところ、事前に放射線照射を受けていない、少なくとも1つの測定可能な(パート1~4)または測定不可能な病変(パート1~3)を有する参加者。
【0554】
2. ECOG PSが0または1。説得力のある臨床的論理的根拠が治験責任医師によって提供され、治験依頼者によって承認される場合には、根底にあるがんに起因するECOG 2が認められ得る。
【0555】
略語
【0556】
【表33-1】
【0557】
【表33-2】
【表33-3】
【0558】
特許、特許出願、書類、テキストブック、およびそれに類するものを含む、本明細書において引用される全ての参考文献、ならびにこれらにおいて引用される参考文献は、これらがまだそうでない限りにおいて、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。限定はしないが、定義された用語、用語の用法、記載されている技術、またはそれに類するものを含む、組み込まれた文献および類似の材料の1つまたは複数が本願と異なるまたは矛盾する場合には、本願が優先される。
【0559】
米国仮特許出願第63/224467号(2021年7月22日出願)、米国仮特許出願第63/232832号(2021年8月13日出願)、および米国仮特許出願第63/344671号(2022年5月23日出願)の内容は、全ての目的で、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】