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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167421
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】ステータ構造
(51)【国際特許分類】
   H02K 24/00 20060101AFI20231116BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H02K24/00
H02K15/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078593
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】原 慎一
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP28
5H615SS16
5H615TT26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】溶着の際に溶けた樹脂によって不具合を生じることなく、溶着突起部を設けた保護カバーをステータに溶着可能なステータ構造を提供する。
【解決手段】径方向内向きに突出する複数のティースを有する円環状のステータと、複数のティースのそれぞれに巻回された複数のコイルと、ステータに溶着され、複数のコイルを保護する保護カバーと、を備え、保護カバーは、保護カバー本体部131と、保護カバー本体部131から軸方向に突出する溶着突起部133と、保護カバー本体部131において溶着突起部133の周囲に設けられた溝部134と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向内向きに突出する複数のティース(112)を有する円環状のステータ(110)と、
前記複数のティース(112)のそれぞれに巻回された複数のコイル(113)と、
前記ステータ(110)に溶着され、前記複数のコイル(113)を保護する保護カバー(130)と、を備え、
前記保護カバー(130)は、
保護カバー本体部(131)と、
前記保護カバー本体部(131)から軸方向に突出する溶着突起部(133)と、
前記保護カバー本体部(131)において前記溶着突起部(133)の周囲に設けられた溝部(134)と、を有する、
ステータ構造。
【請求項2】
前記溶着突起部(133)は、前記複数のコイル(113)の外周側に位置するように設けられ、
前記溝部(134)は、
前記溶着突起部(133)よりも内周側であって周方向の領域に設けられた内周方向溝部(134a)と、
前記溶着突起部(133)の周囲の径方向の領域に設けられた径方向溝部(134b,134c)と、
を有する、
請求項1に記載のステータ構造。
【請求項3】
前記溝部(134)は、前記溶着突起部よりも外周側であって周方向の領域に設けられた外周方向溝部(134d)を更に有する、
請求項2に記載のステータ構造。
【請求項4】
前記溝部(134)は、前記溶着突起部(133)の体積に等しい容積を有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のステータ構造。
【請求項5】
前記ステータ(110)は、レゾルバステータである、
請求項4に記載のステータ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ステータ構造に関し、特に、ステータに設けられたコイル及びその配線を保護する保護カバーを備えたステータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
レゾルバ等のステータは、円環状に構成され、径方向内向きに突出する複数のティースを有している。複数のティースのそれぞれには、励磁用または検出用のコイルが巻回されている。
【0003】
そして、コイル及びコイル周辺の電線を保護するため、樹脂製の保護カバーがステータに対して設けられている。この種のステータと保護カバーとについては、特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-113772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
保護カバーをステータに取り付ける手法として、保護カバーに設けた樹脂製の溶着突起部をステータに当接させ、保護カバーに超音波振動と押圧力とを与え、保護カバーをステータ側に溶着する超音波溶着が行われていた。
この超音波溶着において、溶着突起部は溶けた状態の樹脂となって保護カバーとステータとの間に薄く広がる。この際に、溶けた樹脂の一部が保護カバーとステータとの間からはみ出してバリとなり、コイル及びコイル周辺の電線を傷つける恐れがあった。
また、溶けた樹脂が保護カバーとステータとの間に一定の厚みを持った状態で残存することで、保護カバーが浮いた状態になり、レゾルバ全体の寸法に狂いを生じるという問題もあった。
【0006】
上記特許文献1に開示されたレゾルバでは、保護カバーに溶着突起部を設けると共に、ステータ側に溶着突起部に対応した突起収容部を設けるようにしている。この構成によれば、溶けてはみ出した樹脂は突起収容部の中に収まるため、バリとなって配線を傷つける恐れはない。しかし、溶けた樹脂が保護カバーとステータとの間に一定の厚みを持った状態で残存する問題を解消することはできない。
【0007】
したがって、保護カバーをステータに溶着する際に、溶けた樹脂によるバリ発生及び保護カバーの浮きといった不具合を生じることなく、溶着突起部を設けた保護カバーをステータに溶着できることが望まれている。
【0008】
本発明は、溶着の際に溶けた樹脂によって不具合を生じることなく、溶着突起部を設けた保護カバーをステータに溶着可能なステータ構造を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るステータ構造は、径方向内向きに突出する複数のティースを有する円環状のステータと、複数のティースのそれぞれに巻回された複数のコイルと、ステータに溶着され、複数のコイルを保護する保護カバーと、を備え、保護カバーは、保護カバー本体部と、保護カバー本体部から軸方向に突出する溶着突起部と、保護カバー本体部において溶着突起部の周囲に設けられた溝部と、を有する。
【0010】
この発明に係るステータ構造において、溶着突起部は、複数のコイルの外周側に位置するように設けられ、溝部は、溶着突起部よりも内周側であって周方向の領域に設けられた内周方向溝部と、溶着突起部の周囲の径方向の領域に設けられた径方向溝部とを有する。
【0011】
この発明に係るステータ構造において、溝部は、溶着突起部よりも外周側であって周方向の領域に更に設けられた外周方向溝部を更に有する。
この発明に係るステータ構造において、溝部は、溶着突起部の体積に等しい容積を有する。
この発明に係るステータ構造において、ステータは、レゾルバステータである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、保護カバー本体部から軸方向に突出する溶着突起部の周囲に溝部が設けられ、保護カバーをステータに溶着する際に溶けた樹脂は溝部に収容されるため、溶着の際に溶けた樹脂によって不具合を生じることなく、溶着突起部を設けた保護カバーをステータに溶着可能なステータ構造を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1のステータ構造に含まれる保護カバーの溶着突起部側の平面図である。
図2】実施の形態1のステータ構造に含まれる保護カバーの主要部の部分拡大図及びその断面を示す断面図である。
図3】実施の形態1のステータ構造を有するレゾルバの平面図である。
図4】実施の形態1のステータ構造に含まれるステータの平面図である。
図5】比較例のステータ構造におけるステータと保護カバーの取り付けの様子を示す断面図である。
図6】実施の形態1のステータ構造におけるステータと保護カバーの取り付けの様子を示す断面図である。
図7】実施の形態2のステータ構造における保護カバーの主要部の部分拡大図及びその断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のステータ構造の実施の形態につき、図面を用いて説明する。なお、各図において、同一部分には同一符号を付している。
【0015】
実施の形態1.
まず、実施の形態1におけるステータ110が適用されるレゾルバ1について図3及び図4を参照して説明する。
図3は、実施の形態1のステータ構造を有するレゾルバ1の平面図である。図4は、実施の形態1のステータ構造に含まれるステータ110の平面図である。
ここで、図3及び図4の紙面垂直方向にステータ110の回転軸線が形成されており、この回転軸線に沿う方向を軸方向とする。円環状のステータ110及びロータ120の半径に沿う方向を径方向とする。回転可能に構成されたロータ120の回転方向に沿う方向を周方向とする。
【0016】
[レゾルバの構成]
図3に示すように、レゾルバ1は、ステータ110と、ロータ120と、保護カバー130とを有している。レゾルバ1は、ステータ110の径方向内方にロータ120を有するインナーロータ型に構成されている。保護カバー130は、ステータ110に溶着され、ステータ110に設けられるコイル等を保護するように設けられている。
【0017】
図4に示すように、ステータ110は、円環状のステータ本体部111と、ステータ本体部111から径方向内向きに突出する複数のティース112とを有している。ここでは、等角度間隔に14本のティース112が設けられている具体例を示している。
複数のティース112のそれぞれには、絶縁のためのインシュレータを介して、コイル113が巻回されている。コイル113を構成する電線は、端子部116を通して、外部の励磁回路及び信号処理回路に接続されている。ステータ本体部111において、コイル113より外周側の数カ所に、保護カバー130を溶着により取り付けるための被溶着部115が設けられている。
【0018】
[保護カバーの説明]
以下、実施の形態1のステータ構造に含まれる保護カバー130について、図1及び図2を参照して説明する。図1は実施の形態1のステータ構造に含まれる保護カバー130の溶着突起部側の平面図である。図2は実施の形態1のステータ構造に含まれる保護カバー130の主要部の部分拡大図及びその断面を示す断面図である。
【0019】
図1において、保護カバー130は、保護カバー本体部131と、複数の溶着ベース部132とを有している。
保護カバー本体部131は、ステータ110において径方向内向きに突出するティース112に設けられたコイル113を保護するように、円環状に構成されている。なお、保護カバー本体部131は、ステータ110の端子部116をも保護するように、円環から突出した領域を含んでいる。
そして、保護カバー130には、保護カバー本体部131の外周側に、ステータ本体部111の被溶着部115に対応するように、複数の溶着ベース部132が設けられている。図1図4に示す例では、合計で9個の溶着ベース部132と9個の被溶着部115とが設けられている。
【0020】
図1中の円aで囲んでいる溶着ベース部132について、図2を用いて詳細に説明する。図2の(a)に示す溶着ベース部132について、IIb-IIb切断線による断面を図2の(b)に示し、IIc-IIc切断線による断面を図2の(c)に示す。
図2の(b)及び(c)に示すように、断面を三角形状として半径方向に伸びる2列の樹脂製リブによる溶着突起部133が、溶着ベース部132に設けられている。溶着突起部133は、超音波振動により溶融し、保護カバー130をステータ110に溶着するものである。なお、溶着突起部133は、図示した2列のリブによる突起以外に、1または3以上の列のリブによる突起、円柱、角柱、円錐、または角錐といった複数の突起などの各種の変形が可能である。
【0021】
溝部134は、溶着突起部133の周囲に設けられている。具体的には、溝部134は、溶着突起部133よりも内周側であって周方向の領域に内周方向溝部134a(図2の(c)を参照)が設けられ、溶着突起部133の周囲の径方向の領域に径方向溝部134b及び134c(図2の(b)を参照)が設けられ、溶着突起部133を三方から「コ」字状(図2の(a)参照)に囲むように構成されている。なお、溝部134を「コ」字状であると説明したが、外周方向に開口を有する各種形状、例えば、「U」字状、半円形、半楕円形、4本以上の線の組み合わせなど、各種の形状で構成されてもよい。そして、溝部134は、溶着突起部133の体積に等しい容積を有するように構成される。
【0022】
以下、比較例と実施形態1とにおける溶着の違いを説明する。
次に、図5図6とを参照して、溶着実行時に溶着突起部133が溶ける様子を説明する。図5は、比較例のステータ構造におけるステータ110と保護カバー130の取り付けの様子を示す断面図である。図6は、実施の形態1のステータ構造におけるステータ110と保護カバー130の取り付けの様子を示す断面図である。
図5及び図6において、ステータ本体部111は、磁性体のステータコア111aとその周囲を覆う絶縁体のインシュレータ111bとにより構成されている。ステータ本体部111において、溶着突起部133と接触する領域が被溶着部115である。
【0023】
[比較例における溶着]
図5の(a)は比較例のステータ構造における溶着実行前の様子を示しており、図5の(b)は比較例のステータ構造における溶着実行後の様子を示している。
溶着ベース部132は、超音波振動を与えられつつ被溶着部115に押しつけられる。これにより、溶着突起部133は溶けた状態の樹脂となって、溶着ベース部132と被溶着部115との間に薄く広がる。これにより、溶着ベース部132と被溶着部115とは固着する。
【0024】
溶けた樹脂が溶着ベース部132と被溶着部115との間に広がる際に、図5の(b)に示すように、一定の厚みを持った残存樹脂141となって溶着ベース部132と被溶着部115との間に存在する。この残存樹脂141の影響により、保護カバー130の取り付け位置が軸方向に変化する。この結果、レゾルバ1としての大きさが予め定められた値から外れる可能性がある。
残存樹脂141の一部は、溶着ベース部132及び被溶着部115からはみ出してバリ142となり、複数のコイル113間を繋ぐ渡り線114を傷つける可能性がある。
【0025】
[実施形態1における溶着]
図6の(a)は実施の形態1のステータ構造における溶着実行前の様子を示しており、図6の(b)は実施の形態1のステータ構造における溶着実行後の様子を示している。
溶着ベース部132は、超音波振動を与えられつつ被溶着部115に押しつけられる。これにより、溶着突起部133は溶けた状態の樹脂となって、溶着ベース部132と被溶着部115との間に薄く広がる。これにより、溶着ベース部132と被溶着部115とは固着する。
溶けた樹脂が溶着ベース部132と被溶着部115との間に広がる際に、図6の(b)に示すように、溶けた状態で余分な樹脂は溝部134に入り込む。溝部134は溶着突起部133の体積に等しい容積を有しているため、比較例において残存樹脂となっていたものを収容することができる。
【0026】
このため、溶着ベース部132と被溶着部115との間に、一定の厚みを有する残存樹脂は存在しない。従って、保護カバー130の取り付け位置が軸方向に変化することはない。また、溶着ベース部132及び被溶着部115から残存樹脂の一部がはみ出してバリを形成することもない。よって、渡り線114を傷つける恐れもない。
すなわち、溶着の際に溶けた樹脂によって不具合を生じることなく、溶着突起部133を設けた保護カバー130をステータ110に溶着可能なステータ構造を実現することが可能になる。
【0027】
[溝部の説明]
実施形態1において、溝部134は、「コ」字状(図2の(a)参照)に形成され、かつ、溶着突起部133の体積に等しい容積を有することで、比較例において残存樹脂となっていたものを収容することができ、保護カバー130の取り付け位置が軸方向に変化することを防止しつつ、バリ142(図5の(b))の形成を防止することができる。
【0028】
[実施の形態1の効果]
実施形態1に係るステータ構造は、径方向内向きに突出する複数のティース112を有する円環状のステータ110と、複数のティース112のそれぞれに巻回された複数のコイル113と、複数のコイル113を保護する保護カバー130と、を備えており、保護カバー130は、保護カバー本体部131と、保護カバー本体部131から軸方向に突出する溶着突起部133と、保護カバー本体部131において溶着突起部の周囲に設けられた溝部134と、を有し、溶着突起部133は、ステータ110に溶着される。超音波振動を与えられた溶着突起部133が溶けた状態の樹脂となって、溶着ベース部132と被溶着部115との間に広がる際に、溶けた状態で余分な樹脂は溝部134に入り込む。この結果、溶着ベース部132及び被溶着部115の間に残存樹脂が存在しなくなる。これにより、保護カバー130の取り付け位置の軸方向の変化、及び残存樹脂のはみだしによるバリの発生を防止することができる。よって、溶着の際に溶けた樹脂によって不具合を生じることなく、溶着突起部133を設けた保護カバー130をステータ110に溶着可能なステータ構造を実現できる。
【0029】
実施の形態1に係るステータ構造において、溶着突起部133は、複数のコイル113の外周側に位置するように設けられ、溝部134は、溶着突起部133よりも内周側であって周方向の領域に設けられた内周方向溝部134aと、溶着突起部133の周囲の径方向の領域に設けられた径方向溝部134b及び134cとに設けられることが望ましい。これにより、溝部134は「コ」字状に形成される。この結果、溶けた状態で余分な樹脂は、溶着突起部133よりも内周側の周方向の領域と、溶着突起部133の周囲の径方向の領域とに設けられた溝部134に入り込むため、余分な樹脂がバリ142となることはなく、配線を傷つけることもない。
【0030】
実施の形態1に係るステータ構造において、溝部134は、溶着突起部133の体積に等しい容積を有することが望ましい。溝部134は、溶着突起部133の体積に等しい容積を有することで、従来において残存樹脂となっていたものを漏れなく収容することができる。この結果、保護カバー130の取り付け位置が軸方向に変化することを防止しつつ、内周側のバリ142の形成を防止すると共に、外周側のバリの形成をも防止することができる。
【0031】
実施の形態1に係るステータ構造において、ステータ110は、レゾルバステータであることが望ましい。これにより、レゾルバステータにおいて、コイル113を保護する保護カバー130を設ける際に、溶着の際に溶けた樹脂によってコイル113及び渡り線114を傷つけるといった不具合を生じることなく、溶着突起部133を設けた保護カバー130をステータ110に溶着可能なステータ構造を実現できる。
【0032】
実施形態2.
ここで、実施形態2における溝部134の構成例について、図7を用いて説明する。図7は、実施の形態2のステータ構造の変形例における保護カバー130の主要部の部分拡大図及びその断面を示す断面図である。
溝部134には、実施の形態1として図2の(a)~(c)に示したものに加えて、溶着突起部133よりも外周側であって周方向の領域に外周方向溝部134dが設けられている。図7において、溝部134は、内周方向溝部134a、径方向溝部134b及び134c、並びに外周方向溝部134dにより、溶着突起部133の周囲を連続して囲むように「ロ」字状に構成されている。
また、溝部134は溶着突起部133の周囲に存在していればよく、矩形の形状に限られず、円形、楕円形、多角形、円の一部と多角形の組み合わせなど、各種の形状を含んで構成されてもよい。
【0033】
[溝部の説明]
実施形態2において、溝部134は、「ロ」字状(図7の(a)参照)に形成され、かつ、溶着突起部133の体積に等しい容積を有することで、比較例において残存樹脂となっていたものを漏れなく収容することができ、保護カバー130の取り付け位置が軸方向に変化することを防止しつつ、内周側のバリ142(図5の(b))の形成を防止すると共に、図示しない外周側のバリの形成をも防止することができる。
【0034】
[実施の形態2の効果]
実施の形態2に係るステータ構造において、溝部134は、実施の形態1に説明した
内周方向溝部134a、径方向溝部134b及び134cに加えて、溶着突起部133よりも外周側であって周方向の領域に設けられた外周方向溝部134dを更に有することが望ましい。これにより、溝部134は、溶着突起部133の周囲を囲むように「ロ」字状に形成される。この結果、保護カバー130の取り付け位置が軸方向に変化することを防止しつつ、内周側のバリ142の形成を防止すると共に、外周側のバリの形成をも防止することができる。
【0035】
実施の形態2に係るステータ構造において、溝部134は、溶着突起部133の体積に等しい容積を有することが望ましい。溝部134は、溶着突起部133の体積に等しい容積を有することで、従来において残存樹脂となっていたものを漏れなく収容することができる。この結果、保護カバー130の取り付け位置が軸方向に変化することを防止しつつ、内周側のバリ142の形成を防止すると共に、外周側のバリの形成をも防止することができる。
【0036】
実施の形態2に係るステータ構造において、ステータ110は、レゾルバステータであることが望ましい。これにより、レゾルバステータにおいて、コイル113を保護する保護カバー130を設ける際に、溶着の際に溶けた樹脂によってコイル113及び渡り線114を傷つけるといった不具合を生じることなく、溶着突起部133を設けた保護カバー130をステータ110に溶着可能なステータ構造を実現できる。
【0037】
[その他の実施形態]
溝部134は、実施の形態1の図2及び実施の形態2の図7に示した形状に限定されず、それ以外の形状に構成することが可能である。例えば、溶着突起部133が2列のリブによる突起である場合、突起の周囲及び中央に溝を設け、溝部134を「日」字状に形成することが可能である。また、溶着突起部133を円柱、角柱、円錐、または角錐などの複数の突起により構成した場合、溝部134を「田」字状に形成することが可能である。
【0038】
実施形態1及び2のステータ構造は、レゾルバ1に適用されるステータ110と保護カバー130であると説明したが、レゾルバ以外に適用することが可能である。例えば、モータまたは発電機のコイルを保護するステータ構造とすることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 レゾルバ、110 ステータ、111 ステータ本体部、111a ステータコア、111b インシュレータ、112 ティース、113 コイル、114 渡り線、115 被溶着部、116 端子部、120 ロータ、130 保護カバー、131 保護カバー本体部、132 溶着ベース部、133 溶着突起部、134 溝部、134a 内周方向溝部、134b,134c 径方向溝部、134d 外周方向溝部、141 残存樹脂、142 バリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7