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特開2023-167451ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂組成物の製造方法、成形品及び成形品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167451
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂組成物の製造方法、成形品及び成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20231116BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20231116BHJP
   C08L 25/04 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
C08L77/00
C08L23/00
C08L25/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078640
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】森田 雅士
(72)【発明者】
【氏名】山田 飛将
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB05Y
4J002BB07Y
4J002BB21Y
4J002CL01W
4J002CL01X
4J002CL03W
4J002CL03X
4J002CL05W
4J002FD20Y
4J002GM00
4J002GN00
(57)【要約】
【課題】押出加工性、押出成形性、溶融時伸張性、並びに成形品としたときの柔軟性、耐薬品性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリアミド樹脂(A)及び、耐衝撃材(B)を含むポリアミド樹脂組成物であって、硫酸相対粘度が2.5以上であるポリアミド樹脂(A-1)及び、硫酸相対粘度が2.5未満であるポリアミド樹脂(A-2)を少なくとも含み、前記ポリアミド樹脂(A)の総計を100重量部としたときに、前記ポリアミド樹脂(A-1)および(A-2)をそれぞれ20重量部以上少なくとも含み、前記耐衝撃材(B)は前記ポリアミド樹脂(A)の末端アミン基に対する反応性を有する官能基を有することを特徴とし、前記ポリアミド樹脂(A)及び前記耐衝撃材(B)の合計を100重量部としたときに前記耐衝撃材(B)の含有量が10重量部以上50重量部以下であるポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド樹脂(A)及び耐衝撃材(B)を含むポリアミド樹脂組成物であって、
硫酸相対粘度が2.5以上であるポリアミド樹脂(A-1)及び、
硫酸相対粘度が2.5未満であるポリアミド樹脂(A-2)を少なくとも含み、
前記ポリアミド樹脂(A)の総計を100重量部としたときに、前記ポリアミド樹脂(A-1)および(A-2)をそれぞれ20重量部以上少なくとも含み、
前記耐衝撃材(B)は前記ポリアミド樹脂(A)の末端アミン基に対する反応性を有する官能基を有し、
前記ポリアミド樹脂(A)及び前記耐衝撃材(B)の合計を100重量部としたときに前記耐衝撃材(B)の含有量が10重量部以上50重量部以下である、ポリアミド樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリアミド樹脂(A)100質量部中、単量体単位あたりの炭素原子数が平均して8以上であるポリアミドを少なくとも80質量部以上含む、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリアミド樹脂(A-1)と前記ポリアミド樹脂(A-2)の末端アミノ基濃度の差が10mmol/kg以上ある、請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリアミド樹脂(A-1)および前記ポリアミド樹脂(A-2)をそれぞれ100重量部としたとき、炭素原子数6以上12以下のジアミンおよび、炭素原子数10以上12以下のジカルボン酸から合成されるポリアミド樹脂をそれぞれ50重量部以上含む、請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、
押出混錬工程において、前記ポリアミド樹脂(A)の一部をサイドフィード口から投入する、ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
押出混錬工程において、前記ポリアミド樹脂(A-1)をサイドフィード口から、前記ポリアミド樹脂(A-2)をトップフィード口から、それぞれ投入する、請求項5に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
押出混錬工程において、前記ポリアミド樹脂(A)を押出混錬した後の相対粘度が、押出混錬前の前記ポリアミド樹脂(A)の相対粘度に対して70%以上である、請求項5に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物を用いた成形品。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物を用いた成形品の製造方法であって、
押出成形工程またはブロー成形工程を備える、成形品の製造方法。
【請求項10】
前記成形品は自動車用材料部品である、請求項8に記載の成形品。
【請求項11】
前記成形品は、ブレーキ用ホース、エアコンホース、又は冷却パイプである、請求項8に記載の成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド樹脂組成物、ポリアミド樹脂組成物の製造方法、成形品及び成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂は機械的特性、熱的特性、耐薬品性に優れるなど、エンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有していることから、射出成形用を中心として機械部品及び自動車部品、各種電気・電子部品などの用途に広く使用されている。その中でも、今後急速に拡大が見込まれるEV(電気自動車)においては、バッテリーを冷却するための冷媒が通る冷却パイプとして、細径長尺の成形品が求められている。細径長尺の成形品としては、押出成形により得られる直管状の一次成形体を曲げ加工し、一部品として用いることが主流である。しかし、一般的にポリアミド樹脂は、溶融粘度・溶融時伸張性が低いために押出成形が困難である。また、可撓性が低いために曲げ加工にも不向きである。
【0003】
ポリアミド樹脂の耐薬品性を担保しつつ、可撓性・押出成形性を付与する手法として、ポリアミド6を主としたポリアミド樹脂混合物に無水マレイン酸変性エチレン-ブテン-共重合体を加えることで粘度を向上させる手法が知られている(特許文献1)。また、ポリアミド6及び/またはポリアミド12及び/またはポリアミド6/12に無水マレイン酸変性エチレン-ブテン-共重合体を加えた組成物は押出成形が可能で、可撓性、耐薬品性に優れていることが知られている(特許文献2)。また、ポリアミド12に無水マレイン酸グラフトエチレン-プロピレン共重合体または無水マレイン酸グラフトSEBSを加えたポリアミド樹脂が、押出成形が可能で可撓性、耐薬品性に優れていることも知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-206639号公報
【特許文献2】特許第6515538号公報
【特許文献3】特許第3850608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1~3に記載の組成物は押出成形が可能であり、その可撓性も十分である。しかしながら、押出成形時に求められる伸張性には改善の余地を残すところである。特に特許文献3に記載の組成物については高レートで成形をする際、成形品の内外に表面荒れが発生する点が問題となる。また、特許文献1に記載の組成物については、自動車用クーラント水(LLC)や塩化カルシウムに晒された際の耐久性には改善が望まれる。
【0006】
また、従来の押出成形可能なポリアミド組成物の製法では、押出混錬時にポリアミド樹脂の粘度の低下が発生するため、高い粘度をもつポリアミド樹脂を多く原料に使用する必要があった。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、押出加工性、押出成形性、溶融時伸張性、並びに成形品としたときの柔軟性、耐薬品性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1]ポリアミド樹脂(A)及び耐衝撃材(B)を含むポリアミド樹脂組成物であって、硫酸相対粘度が2.5以上であるポリアミド樹脂(A-1)及び、硫酸相対粘度が2.5未満であるポリアミド樹脂(A-2)を少なくとも含み、前記ポリアミド樹脂(A)の総計を100重量部としたときに、前記ポリアミド樹脂(A-1)および(A-2)をそれぞれ20重量部以上少なくとも含み、前記耐衝撃材(B)は前記ポリアミド樹脂(A)の末端アミン基に対する反応性を有する官能基を有し、前記ポリアミド樹脂(A)及び前記耐衝撃材(B)の合計を100重量部としたときに前記耐衝撃材(B)の含有量が10重量部以上50重量部以下である、ポリアミド樹脂組成物。
[2]前記ポリアミド樹脂(A)100質量部中、単量体単位あたりの炭素原子数が平均して8以上であるポリアミドを少なくとも80質量部以上含む、[1]に記載のポリアミド樹脂組成物。
[3]前記ポリアミド樹脂(A-1)と前記ポリアミド樹脂(A-2)の末端アミノ基濃度の差が10mmol/kg以上ある、[1]又は[2]に記載のポリアミド樹脂組成物。
[4]前記ポリアミド樹脂(A-1)および前記ポリアミド樹脂(A-2)をそれぞれ100重量部としたとき、炭素原子数6以上12以下のジアミンおよび、炭素原子数10以上12以下のジカルボン酸から合成されるポリアミド樹脂をそれぞれ50重量部以上含む、[1]~[3]のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
[5][1]~[4]のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、押出混錬工程において、前記ポリアミド樹脂(A)の一部をサイドフィード口から投入する、ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
[6]押出混錬工程において、前記ポリアミド樹脂(A-1)をサイドフィード口から、前記ポリアミド樹脂(A-2)をトップフィード口から、それぞれ投入する、[5]に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
[7]押出混錬工程において、前記ポリアミド樹脂(A)を押出混錬した後の相対粘度が、押出混錬前の前記ポリアミド樹脂(A)の相対粘度に対して70%以上である、[5]又は[6]に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
[8][1]~[4]のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物を用いた成形品。
[9][1]~[4]のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物を用いた成形品の製造方法であって、押出成形工程またはブロー成形工程を備える、成形品の製造方法。
[10]前記成形品は自動車用材料部品である、[8]に記載の成形品。
[11]前記成形品は、ブレーキ用ホース、エアコンホース、又は冷却パイプである、[8]に記載の成形品。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、押出加工性、押出成形性、溶融時伸張性、並びに成形品としたときの柔軟性、耐薬品性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施することができる。
【0011】
なお、本明細書において、「ポリアミド」とは主鎖中にアミド(-NHCO-)基を有する重合体を意味する。
【0012】
<ポリアミド樹脂組成物>
本発明のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂として少なくとも、相対粘度が2.5以上であるポリアミド樹脂(A-1)および相対粘度が2.5未満であるポリアミド樹脂(A-2)を含有する。
【0013】
本発明のポリアミド樹脂組成物によれば、押出加工性、押出成形性、溶融時伸張性、並びに成形品としたときの柔軟性、耐薬品性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明のポリアミド樹脂組成物の各構成成分について、詳細を説明する。
【0014】
≪(A)ポリアミド樹脂≫
本発明のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂として少なくとも、ポリアミド樹脂(A-1)およびポリアミド樹脂(A-2)を含有する。以下、(A)ポリアミド樹脂を「(A)成分」と記載する場合がある。
【0015】
(ポリアミド樹脂の硫酸相対粘度)
(A-1)ポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は、2.5以上が好ましく、3.0以上がより好ましく、3.5以上がさらに好ましく、4.0以上が最も好ましい。硫酸相対粘度が前記下限値以上であることで、押出成形性により優れたポリアミド樹脂組成物が得られる傾向にある。
【0016】
また、(A-2)ポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は2.5未満である。硫酸相対粘度が前記上限値未満であることで、(B)耐衝撃材との反応で最もよく伸張性が向上する反応物が得られ、押出成形性により優れたポリアミド樹脂組成物が得られる。
【0017】
なお、(A)ポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は、JIS K 6920に準拠した方法により測定することができる。
硫酸相対粘度は、(A)ポリアミド樹脂の重合時の圧力を調整することや、造粒後に固相重合を行うことなどにより制御することができる。
【0018】
(A)ポリアミド樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジアミン及びジカルボン酸の縮合重合で得られるポリアミド樹脂、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド樹脂、アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド樹脂、及びこれらのポリアミド樹脂を構成する2種類以上の単量体の共重合で得られる共重合物等が挙げられる。これら(A)ポリアミド樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0019】
(A)ポリアミド樹脂の原料となる重合単量体について、以下に詳細を説明する。
【0020】
(ジアミン)
ジアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、芳香族ジアミン等が挙げられる。
【0021】
脂肪族ジアミンとしては、直鎖飽和脂肪族ジアミンであってもよく、分岐鎖状飽和脂肪族ジアミンであってもよい。分岐鎖状飽和脂肪族ジアミンとしては、例えば、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンが挙げられる。
【0022】
直鎖飽和脂肪族ジアミンは炭素数2以上20以下であるものが好ましく、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン等が挙げられる。
【0023】
分岐鎖状飽和脂肪族ジアミンは炭素数3以上20以下であるものが好ましく、2-メチルペンタメチレンジアミン(「2-メチル-1,5-ジアミノペンタン」とも記される)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-メチルオクタメチレンジアミン、2,4-ジメチルオクタメチレンジアミン等が挙げられる。
【0024】
脂環族ジアミン(脂環式ジアミンとも記される)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロペンタンジアミン等が挙げられる。
【0025】
芳香族ジアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、メタフェニレンジアミン、オルトフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。
【0026】
これらジアミンは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0027】
(ジカルボン酸)
ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0028】
脂肪族ジカルボン酸としては、直鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸であってもよく、分岐鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸であってもよく、炭素数3以上20以下のものが好ましい。このような脂肪族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、2,2-ジメチルコハク酸、2,3-ジメチルグルタル酸、2,2-ジエチルコハク酸、2,3-ジエチルグルタル酸、グルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2-メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、ジグリコール酸等が挙げられる。
【0029】
脂環族ジカルボン酸(脂環式ジカルボン酸とも記される)の脂環構造の炭素数は、特に限定されないが、得られる(A)成分の吸水性と結晶化度のバランスの観点から、3以上10以下が好ましく、5以上10以下がより好ましい。
【0030】
脂環族ジカルボン酸は、無置換でもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素数1以上4以下のアルキル基が好ましい。置換基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
【0031】
このような脂環族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸等が挙げられる。
【0032】
芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、無置換又は置換基で置換された炭素数8以上20以下の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。置換基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数6以上12以下のアリール基、炭素数7以上20以下のアリールアルキル基、ハロゲン基、炭素数3以上10以下のアルキルシリル基、スルホン酸基、スルホン酸塩を有する基等が挙げられる。ハロゲン基としては、例えば、クロロ基、ブロモ基等が挙げられる。スルホン酸塩を有する基を構成する塩としては、例えば、ナトリウム塩等が挙げられる。
【0033】
このような芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2-クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。
【0034】
これらジカルボン酸は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0035】
(ラクタム)
ラクタムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ブチロラクタム、ピバロラクタム、ε-カプロラクタム、カプリロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ラウロラクタム(ドデカンラクタム)等が挙げられる。中でも、重合生産の観点から、の観点から、ε-カプロラクタム、ウンデカンラクタム、又はラウロラクタム(ドデカンラクタム)が好ましい。
これらラクタムは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0036】
(アミノカルボン酸)
アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、上述したラクタムが開環した化合物、より具体的には、ω-アミノカルボン酸、α,ω-アミノカルボン酸等が挙げられる。
【0037】
アミノカルボン酸としては、脂肪族アミノカルボン酸であってもよく、芳香族アミノカルボン酸であってもよい。芳香族アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、パラアミノメチル安息香酸等が挙げられる。
【0038】
アミノカルボン酸としては、結晶化度を高める観点から、ω位がアミノ基で置換された、炭素数4以上14以下の直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族アミノカルボン酸であることが好ましい。好ましいアミノカルボン酸として具体的には、以下に限定されるものではないが、例えば、6-アミノカプロン酸、9ーアミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等が挙げられる。
【0039】
これらアミノカルボン酸は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0040】
(A)ポリアミド樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド610(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ポリアミド612(ポリヘキサメチレンドデカミド)、ポリアミド116(ポリウンデカメチレンアジパミド)、ポリアミド1010(ポリデカメチレンセカバミド)、ポリアミド1012(ポリデカメチレンドデカミド)、ポリアミドMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)、ポリアミド66/6I(ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリイソフタルアジパミド共重合体)、ポリアミド6I/6T(ポリイソフタルアジパミド/ポリテレフタルアジパミド共重合体)、ポリアミド6/11(カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体)、ポリアミド6/12(カプロラクタム/ラウロラクタム共重合体)、ポリアミド6/66/12(カプロラクタム/ポリヘキサメチレンアジパミド/ラウロラクタム共重合体)、ポリアミドTMHT(トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド2Me-5T(ポリ2-メチルペンタメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナメチレンテレフタルアミド)、2Me-8T(ポリ2-メチルオクタメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド6C(ポリヘキサメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、ポリアミド2Me-5C(ポリ2-メチルペンタメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、ポリアミド9C(ポリノナメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、2Me-8C(ポリ2-メチルオクタメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、ポリアミド10T(ポリデカメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド11T(ポリウンデカメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド12T(ポリドデカメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド10C(ポリデカメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、ポリアミド11C(ポリウンデカメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、ポリアミド12C(ポリドデカメチレンシクロヘキサンジカルボキサミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)等が挙げられる。中でも、(A)ポリアミド樹脂としては、柔軟性、耐薬品性の観点から、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド116、ポリアミド6/11、ポリアミド6/12、ポリアミド6/66/12、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド9T、ポリアミド2Me-8T、ポリアミド9C、2Me-8C、ポリアミド10T、ポリアミド11T、ポリアミド12T、ポリアミド10C、ポリアミド11C、ポリアミド12C、ポリアミド11、ポリアミド12が好ましく、溶融加工時の加工性の観点から、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド116、ポリアミド6/11、ポリアミド6/12、ポリアミド6/66/12、ポリアミド1010、ポリアミド1012が特に好ましい。
【0041】
また、後述する末端アミノ基濃度の調節を容易とし、耐薬品性、耐加水分解性を向上させる観点から、(A)ポリアミド樹脂は炭素原子数6以上12以下のジアミンおよび、炭素原子数10以上12以下のジカルボン酸から合成されるポリアミド樹脂を、ポリアミド樹脂(A-1)およびポリアミド樹脂(A-2)をそれぞれ100重量部中に50重量部以上含むことが好ましく、75重量部以上含むことがさらに好ましく、90重量部以上含むことが最も好ましい。
【0042】
より具体的には、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012を(A)ポリアミド樹脂100重量部中に50重量部以上含むことが好ましく、75重量部以上含むことがさらに好ましく、90重量部以上含むことが最も好ましい。
【0043】
(末端アミノ基濃度)
(A)ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度は、特に限定されないが、(B)耐衝撃材との反応が容易であることから、10μmol/g以上が好ましい。(A)ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度の上限値は特に限定されないが、例えば100μmol/gとすることができる。
【0044】
ポリアミド樹脂(A-1)と(A-2)について、これらの末端アミノ基濃度の差は、ポリアミド樹脂(A-1)とポリアミド樹脂(A-2)の末端アミノ基濃度の差が10μmol/g以上であることが好ましく、15μmol/g以上であることがより好ましく、20μmol/g以上であることがさらに好ましい。
【0045】
また、ポリアミド樹脂(A-1)と(A-2)の末端アミノ基濃度の大小関係については、(A-2)>(A-1)の関係にあることが好ましい。
(A-1)ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度はより耐衝撃材(B)との反応性を低下させる観点から、30μmol/g以下であることが好ましく、25μmol/g以下であることがさらに好ましく、20μmol/g以下であることが最も好ましい。
【0046】
(A-2)ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度は、耐衝撃材(B)との反応性をより向上させる観点から、30μmol以上であることが好ましく、35μmol以上であることがより好ましい。
末端アミノ基濃度が上記関係にあることで、溶融時伸張性、押出成形性により優れたポリアミド樹脂組成物が得られる。これは、より硫酸相対粘度が低く、分子量の小さい(A-2)ポリアミド樹脂と(B)耐衝撃材との反応が選択的に起こるためであると推察される。
【0047】
(A)ポリアミド樹脂の末端カルボキシ基濃度は、特に限定されないが、耐加水分解性、金属腐食に優れることから、100μmol/g以下が好ましい。(A)ポリアミド樹脂の末端カルボキシ基濃度の下限値は特に限定されないが、例えば10μmol/gとすることができる。
【0048】
なお、(A)ポリアミド樹脂の末端基濃度は、中和滴定により測定することができる。具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
【0049】
(単量体あたりの炭素原子数)
ポリアミド樹脂(A)100質量部中、単量体単位あたりの炭素原子数が平均して8以上であるポリアミドを少なくとも80質量部以上含むことが好ましく、90重量部以上含むことがさらに好ましく、95重量部以上含むことが最も好ましい。単量体単位あたりの炭素原子数8以上であるポリアミドの含有率が前記下限値以上であることで、成形品としたときの耐薬品性がより向上する傾向がある。
【0050】
また、ポリアミド樹脂(A)の単量体単位あたりの炭素原子数の上限値は10であることが好ましい。単量体単位あたりの炭素原子数が前記上限値以下であることで、ポリアミド樹脂組成物の結晶化温度及び溶融安定性が高くなり、組成物並びに成形体の生産性が向上する傾向がある。
【0051】
「単量体単位あたりの炭素原子の平均数(φ)」という用語は、使用されるモノマー中の炭素原子の総数を、使用したモノマー数で割ることにより計算される炭素原子数であると理解される。例えば、以下の例が挙げられる
PA6 φ 単量体単位あたり平均6個の炭素原子[6:1=6]
PA66 φ 単量体単位あたり平均6個の炭素原子[(6+6):2=6]
PA612 φ 単量体単位あたり平均9個の炭素原子[(6+12):2=9]
PA66/6I φ 単量体単位あたり平均6.5個の炭素原子[{(6+6)+(6+8)}:4=6.5]。
【0052】
(末端封止剤)
(A)ポリアミド樹脂の製造時において、重合単量体を重合させる際に、分子量調節のために末端封止剤をさらに添加することができる。この末端封止剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。
【0053】
末端封止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、酸無水物、モノイソシアネ-ト、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコ-ル類等が挙げられる。中でも、熱安定性の観点から、モノカルボン酸又はモノアミンが好ましい。これら末端封止剤を1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0054】
モノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであればよく、例えば、脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。
【0055】
脂肪族モノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸等が挙げられる。
【0056】
脂環族モノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、シクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。
【0057】
芳香族モノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、安息香酸、トルイル酸、α-ナフタレンカルボン酸、β-ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等が挙げられる。
【0058】
これらモノカルボン酸を1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0059】
モノアミンとしては、カルボキシ基との反応性を有するものであればよく、脂肪族モノアミン、脂環族モノアミン、芳香族モノアミン等が挙げられる。
【0060】
脂肪族モノアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等が挙げられる。
【0061】
脂環族モノアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
【0062】
芳香族モノアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等が挙げられる。
【0063】
これらモノアミンを1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0064】
酸無水物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水安息香酸、無水酢酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
これら酸無水物を1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0065】
モノイソシアネ-トとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、フェニルイソシアネ-ト、トリルイソシアネ-ト、ジメチルフェニルイソシアネ-ト、シクロヘキシルイソシアネ-ト、ブチルイソシアネ-ト、ナフチルイソシアネ-ト等が挙げられる。
これらモノイソシアネ-トを1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0066】
モノ酸ハロゲン化物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、安息香酸、ジフェニルメタンカルボン酸、ジフェニルスルホンカルボン酸、ジフェニルスルホキシドカルボン酸、ジフェニルスルフィドカルボン酸、ジフェニルエ-テルカルボン酸、ベンゾフェノンカルボン酸、ビフェニルカルボン酸、α-ナフタレンカルボン酸、β-ナフタレンカルボン酸、アントラセンカルボン酸等のモノカルボン酸のハロゲン置換モノカルボン酸が挙げられる。
これらモノ酸ハロゲン化物を1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0067】
モノエステル類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、グリセリンモノパルミテ-ト、グリセリンモノステアレ-ト、グリセリンモノベヘネ-ト、グリセリンモノモンタネ-ト、ペンタエリスリト-ルモノパルミテ-ト、ペンタエリスリト-ルモノステアレ-ト、ペンタエリスリト-ルモノベヘネ-ト、ペンタエリスリト-ルモノモンタネ-ト、ソルビタンモノパルミテ-ト、ソルビタンモノステアレ-ト、ソルビタンモノベヘネ-ト、ソルビタンモノモンタネ-ト、ソルビタンジモンタネ-ト、ソルビタントリモンタネ-ト、ソルビト-ルモノパルミテ-ト、ソルビト-ルモノステアレ-ト、ソルビト-ルモノベヘネ-ト、ソルビト-ルトリベヘネ-ト、ソルビト-ルモノモンタネ-ト、ソルビト-ルジモンタネ-ト等が挙げられる。
これらモノエステル類を1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0068】
モノアルコ-ル類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、プロパノ-ル、ブタノ-ル、ペンタノ-ル、ヘキサノ-ル、ヘプタノ-ル、オクタノ-ル、ノナノ-ル、デカノ-ル、ウンデカノ-ル、ドデカノ-ル、トリデカノ-ル、テトラデカノ-ル、ペンタデカノ-ル、ヘキサデカノ-ル、ヘプタデカノ-ル、オクタデカノ-ル、ノナデカノ-ル、エイコサノ-ル、ドコサノ-ル、トリコサノ-ル、テトラコサノ-ル、ヘキサコサノ-ル、ヘプタコサノ-ル、オクタコサノ-ル、トリアコンタノ-ル(以上のモルアルコ-ル類は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい)、オレイルアルコ-ル、ベヘニルアルコ-ル、フェノ-ル、クレゾ-ル(o-、m-、又はp-体)、ビフェノ-ル(o-、m-、又はp-体)、1-ナフト-ル、2-ナフト-ル等が挙げられる。
これらモノアルコ-ル類を1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0069】
≪(B)耐衝撃材≫
ポリアミド樹脂組成物は、可撓性や溶融時伸張性、機械的強度の向上の観点から、(A)ポリアミド樹脂に対する反応性をもつ官能基を有する耐衝撃材(B)を含む。
【0070】
(B)耐衝撃材としては、以下に限定されるものではないが、具体的には、ポリオレフィン、エチレン/α-オレフィン系共重合体、エチレン/α,β-不飽和カルボン酸系共重合体、スチレン系共重合体、を挙げることができる。これらは1種単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0071】
(ポリオレフィン)
ポリオレフィンとしては、エチレン及びまたはプロピレンを単量体とした重合体が挙げられる。これらは1種単独用いても、2種を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
(エチレン/α-オレフィン系共重合体)
エチレン/α-オレフィン系共重合体は、エチレンと炭素数3以上のα-オレフィンとを共重合した重合体である。
炭素数3以上のα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセン等が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。
【0073】
またエチレン/α-オレフィン系共重合体は、非共役ジエン等のポリエンを共重合したものであってもよい。非共役ジエンとしては、1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジェン、1,5-ヘキサジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、2-メチル-1,5-へキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペンル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,5-ノルボルナジエン等が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。
【0074】
(エチレン/α,β-不飽和カルボン酸系共重合体)
エチレン/α,β-不飽和カルボン酸系共重合体とは、エチレンとα,β-不飽和カルボン酸及び/又はα,β-不飽和カルボン酸エステル単量体とを共重合した重合体である。α,β-不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。α,β-不飽和カルボン酸エステル単量体としては、これらα,β-不飽和カルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。
【0075】
(スチレン系共重合体)
スチレン系共重合体は、スチレンモノマー(スチレン及びスチレン誘導体)、他のビニルモノマー及び共役ジエン化合物からなる群より選択される2種以上を共重合した共重合体である。
ビニルモノマーとしては、エチレン、プロピレン、イソプレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルなどが挙げられる。共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソブチレン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンおよび1,3-ペンタジエンなどが挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。
また、分岐を持つもの及び星形構造のものも用いることができる。これらは1種単独でも又は2種以上を組合せて用いてもよい。
【0076】
(ポリアミド樹脂に対する反応性基)
(B)耐衝撃材は、(Α)ポリアミド樹脂に対する反応性を有する官能基をその分子中に含む。
【0077】
(Α)ポリアミド樹脂に対する反応性をもつ官能基としては、カルボキシ基、酸無水物基、カルボン酸エルテル基、エポキシ基、オキサゾリン基、アミノ基、マレイミド基などが挙げられる。
【0078】
(B)耐衝撃材には、既知の手法を用いることでこれらの官能基を導入することができる。具体的には、重合時に、官能基を有する共重合可能な単量体を共重合する方法、重合時に末端封止材として官能基を有する単量体を導入する方法、(B)耐衝撃材、官能基を有する単量体、重合開始剤とを溶融混錬させることでグラフト化させる方法等が挙げられる。これらの導入方法は、単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。
【0079】
これらの官能基を含む単量体の例として、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-23ノカルボン酸及びこれらカルボン酸の金属塩、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸アミノエチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、無水マレイン酸、無水マレイン酸エステル、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ-[2,2,1-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物、マレイミド、N-エチルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル等が挙げられる。これらは1種単独でも又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0080】
(B)耐衝撃材は、(A)ポリアミド樹脂との反応性の観点から、無水マレイン酸基、無水マレイン酸エステル基及びグリシジル基からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。
【0081】
(B)耐衝撃材に含まれる反応性基の量は、好ましくは0.3%以上3.0%以下、より好ましくは0.4%以上2.0%以下、さらに好ましくは0.4%以上1.5%以下である。酸無水物基の含有量が前記下限値以上であることで、(A)ポリアミド樹脂との反応性が増し、十分にポリアミド組成物の粘度を向上させることができる。酸無水物基の含有量が前記上限値以内であることで、(B)耐衝撃材1分子あたりに過剰量の(A)ポリアミド樹脂が、反応することを避けることができ、押出成形性に優れる組成物が得られる傾向にある。
【0082】
(B)耐衝撃材は、ASTM D1238に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgで測定したMFRが0.5g/10min以上20g/10min以下であることが好ましい。前記範囲であると押出成形時に溶融樹脂のドローダウンが抑制され、成形体の厚みがより均一になる傾向があるほか、ポリアミド樹脂組成物中に(B)耐衝撃材が良好に分散する傾向にある。
【0083】
((B)耐衝撃材の含有量)
ポリアミド樹脂(A)及び耐衝撃材(B)の合計を100重量部としたときに耐衝撃材(B)の含有量は10重量部以上50重量部以下である。より好ましくは15重量部以上40重量部以下、さらに好ましくは20重量部以上40重量部以下である。耐衝撃材の量が前記範囲内にあることで、押出成形性に優れ、耐衝撃性、可撓性の高い樹脂組成物及びその成形体が得られる傾向にある。
【0084】
≪(C)着色料≫
ポリアミド樹脂組成物は、着色、外観の向上を目的として、着色剤を含んでもよい。
【0085】
(黒色染料)
黒色染料としては、ニグロシンやアニリンブラックが挙げられ、何れを使用しても同様の効果は得られるが、コスト及び成形性の観点から、ニグロシンが好ましい。ニグロシンは、特に限定されるものではないが、例えばC.I.SOLVENT BLACK 5やC.I.SOLVENT BLACK 7としてCOLORINDE Xに記載されている、黒色のトリフェナジンオキサジン、フェナジンアジンなどのアジン系縮合混合物が挙げられる。また、その一部が変性されていてもかまわない。市販されているニグロシンの例としては、ヌビアンブラックPA-9801、ヌビアンブラックPA-9800、ヌビアンブラックPA-0800等が例示できる。
【0086】
黒色染料の含有量は0.01~0.5部であることが好ましく、0.05~0.5部であることがより好ましく、0.1~0.5部であることがさらに好ましい。上記範囲より小さいと十分な着色効果が得られない傾向がある。上記範囲より大きくても、さらなる着色効果は得られない傾向がある。
【0087】
(カーボンブラック)
カーボンブラックは、ファーネス法により得られるファーネスブラック、チャネル法により得られるチャネルブラック、アセチレン法により得られるアセチレンブラック、サーマル法により得られるサーマルブラック、ランプブラックのいずれでも構わない。カーボンブラックは、平均一次粒径が10nm~40nmの範囲が好ましく、10~30nmがより好ましく、10~20nmが特に好ましい。組成物中への分散性の観点から10nm以上が好ましく、柔軟性、伸びの観点から40nm以下が好ましい。ここで、平均一次粒径とはASTM D3849規格(カーボンブラックの標準試験法-電子顕微鏡法による形態的特徴付け)に記載の手順によりアグリゲート拡大画像を取得し、このアグリゲート画像から単位構成粒子として3,000個の粒子径を測定し、算出した平均値を意味する。また、比表面積が50~300m/g(BET吸着法)の範囲、吸油量(ジブチルフタレートを用いた測定値)が50mL/100g~150mL/100gの範囲であるものが好ましく使用できる。
【0088】
カーボンブラックの含有量は0.05~0.5部であることが好ましく、0.1~0.5部であることが好ましい。前記範囲より小さいと十分な着色効果が得られない傾向がある。上記範囲より大きいと、柔軟性、引張伸度が低下する傾向がある。
【0089】
黒色染料とカーボンブラックの合計量は0.06~1.0部であることが好ましく、0.1~1.0部がさらに好ましく、0.2~1.0部であることがさらに好ましい。前記範囲より小さいと成形品を水に浸漬した時の退色性が十分ではない傾向がある。前記範囲より大きくても、さらなる退色効果は得られず、柔軟性、伸度が低下する傾向がある。
【0090】
また、上記黒色染顔料に限らず、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、その他(C)成分を更に含有することができる。
【0091】
≪(D)その他成分≫
本発明のポリアミド樹脂組成物は、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、(D)その他成分を更に含有することができる。
【0092】
(D)その他成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、耐熱剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光劣化防止剤、可塑剤、滑剤、離型剤、核剤、難燃剤、他の熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0093】
前記(D)その他の成分は、それぞれ性質が大きく異なるため、各成分についての、本発明の効果をほとんど損なわない好適な含有量は様々である。そして、当業者であれば、前記したその他の成分ごとの好適な含有量を容易に設定可能である。
【0094】
<ポリアミド樹脂組成物の製造方法>
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法としては、(A)ポリアミド樹脂と、(B)耐衝撃材と、必要に応じて、前記(C)及び/又は(D)成分を含む原料成分を溶融混練する工程を含む製造方法であれば、特に限定されるものではない。
【0095】
(A)ポリアミド樹脂と、(B)耐衝撃材と、必要に応じて、前記(C)及び/又は(D)成分を含む原料成分を溶融混錬する方法としては、具体的には以下の(i)又は(ii)の製造方法が挙げられる。
【0096】
(i)(A)、(B)成分、並びに、必要に応じて、前記(C)及び/又は(D)の各成分を、ヘンシェルミキサ-、タンブラーミキサー等を用いて混合し、当該混合物を溶融混錬機に供給し、溶融混練する方法。
【0097】
(ii)単軸又は2軸押出機で、(A)成分のうち一部、(B)成分、並びに、必要に応じて、前記(C)及び/又は(D)の各成分を、予めヘンシェルミキサ-、タンブラーミキサー等を用いて混合して当該混合物を単軸又は2軸押出機のトップフィード口に、(A)、(B)成分、並びに、必要に応じて、前記(C)及び/又は(D)の各成分のうち前記混合物に混合しなかったものを予めヘンシェルミキサ-、タンブラーミキサー等を用いて混合してサイドフィード口に供給し、溶融混錬する方法。
【0098】
これらの中でも、(ii)の製法が好ましい。ポリアミド樹脂の一部をサイドフィード口から供給することで、潜熱により溶融混錬時のポリアミド樹脂組成物の温度を下げることができ、樹脂の熱分解を抑制できるほか、温度低下に伴いポリアミド樹脂組成物の剪断粘度を向上させ、各成分の分散性を向上することで、機械物性、成形体の外観向上、成形性の向上ができる傾向にある。
【0099】
サイドフィード口から供給する成分の割合としては、原料成分全体を100重量部としたときに、20重量部以上50重量部以下が好ましく、25重量部以上50重量部以下がより好ましく、30重量部以上50重量部以下が最も好ましい。サイドフィード口から供給する成分の割合が前記下限値以上であることで、より溶融混錬時のポリアミド樹脂の温度を下げることができ、熱分解を抑制されるほか、温度低下に伴いポリアミド樹脂組成物の剪断粘度を向上させ、より各成分の分散性が向上することで、機械物性、成形体の外観向上、成形性の向上ができる傾向にある。サイドフィード口から供給する成分の割合が前記上限値以下であることで、加熱不足に起因する未溶融成分の発生を防ぐことができ、各成分の分散性が向上することで、機械物性、成形体の外観向上、成形性の向上ができる傾向にある。
【0100】
また、(A)ポリアミド樹脂成分の供給位置について、トップフィード口から供給する成分を前記(A-2)成分、サイドフィード口から供給する樹脂成分を、前記(A-1)成分とすることが好ましい。前記の供給位置関係とすることで、より溶融時伸張性、押出成形性により優れたポリアミド樹脂組成物が得られる。これは、より硫酸相対粘度が低く、分子量の小さい(A-2)ポリアミド樹脂と(B)耐衝撃材との反応が選択的に起こり、適度な架橋による粘度向上ができること、及び/又は、より硫酸相対粘度が高く、分子量が大きい(A-1)ポリアミド樹脂の熱分解を防ぎ、組成物の伸張性を向上させることができることによるものと考えられる。
【0101】
溶融混練の温度は、(A)ポリアミド樹脂の融点より1℃以上100℃以下程度高い温度が好ましく、(A)ポリアミド樹脂の融点より10℃以上70℃以下程度高い温度がより好ましい。
【0102】
混練機での剪断速度は100sec-1以上程度が好ましい。また、混練時の平均滞留時間は0.5分間以上5分間以下程度が好ましい。
【0103】
溶融混練を行う装置としては、公知の装置であればよく、例えば、単軸又は2軸押出機、バンバリーミキサー、溶融混練機(ミキシングロ-ル等)等が好ましく用いられ、2軸押出機が最も好ましい。
【0104】
本発明のポリアミド樹脂組成物を製造する際の各成分の配合量は、上述したポリアミド樹脂組成物における各成分の含有量と同様である。
【0105】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、押出成形して成形品を得ることが可能である。成形形状としては、例えば、ペレット状、板状、繊維状、ストランド状、フィルムまたはシート状、中空状の形状が挙げられ、中空形状の押出成形品として好ましく用いられる。中空形状を有する成形品としては、以下に限定されるものではないが、例えば、自動車用、機械工業用、電気及び電子用、産業資材用、工業材料用、日用及び家庭品用等の各種用途の材料部品などとして好適に用いることができる。中でも、本発明の成形品は、自動車部品に好適に用いられる。
【0106】
自動車部品としては、特に限定されるものではないが、例えば、吸気系部品、ブレーキ系部品、ウィンドウウォッシャー系部品、冷却系部品、及び燃料系部品等が挙げられる。
【0107】
自動車吸気系部品としては、特に限定されるものではないが、例えば、エアインテークマニホールド、インタークーラーインレット、等が挙げられる。
自動車ブレーキ系部品としては、エアブレーキホース、(ブレーキフルード用)ブレーキホースなどが挙げられる。
自動車ウィンドウウォッシャー系部品としては、ウォッシャーホース、ウォッシャータンク、ウォッシャーノズルなどが挙げられる。
自動車冷却系部品としては、特に限定されるものではないが、例えば、アウトレットパイプ、エアコンホース、バッテリー冷却パイプ等が挙げられる。
自動車燃料系部品では、特に限定されるものではないが、例えば、燃料タンク、燃料ポンプ、燃料チューブ及びガソリンタンクケース等が挙げられる。
【0108】
押出用途としては、特に限定されるものではないが、例えば、チューブ、ホース、棒、及び中空成形品等に用いられる。
【実施例0109】
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0110】
以下、本実施例及び比較例に用いたポリアミド樹脂組成物の各構成成分について説明する。
【0111】
<構成成分>
((A)ポリアミド樹脂)
(A-1)-1:ポリアミド6/66/12(PA6/66/12)(宇部興産社製、融点188℃、型番:6434B、硫酸相対粘度4.1、末端アミノ基濃度30μmol/g
(A-1)-2:ポリアミド6(PA6)(宇部興産社製、融点220℃、型番:1030B、硫酸相対粘度4.0、末端アミノ基濃度32μmol/g
(A-1)-3:ポリアミド610(PA610)(旭化成社製、融点225℃、型番:レオナ3400、硫酸相対粘度3.7、末端アミノ基濃度15μmol/g
(A-1)-4:ポリアミド612(PA612)(旭化成社製、融点215℃、型番:レオナ4400、硫酸相対粘度3.6、アミノ基末端濃度14μmol/g)
(A-1)-5:ポリアミド6(PA6)(宇部興産社製、融点220℃、型番:1022B、硫酸相対粘度3.6、末端アミノ基濃度40μmol/g)
(A-1)-6:ポリアミド612(PA612)(融点225℃、硫酸相対粘度3.5、アミノ基末端濃度31μmol/g)
(A-1)-7:ポリアミド612(PA612)(融点225℃、硫酸相対粘度3.4、アミノ基末端濃度22μmol/g)
(A-1)-8:ポリアミド6(PA6)(融点220℃、硫酸相対粘度2.50、末端アミノ基濃度90μmol/g)
(A-2)-1:ポリアミド610(PA610)(旭化成社製、融点215℃、型番:レオナ3100、硫酸相対粘度2.3、末端アミノ基濃度36μmol/g)
(A-2)-2:ポリアミド12(PA12)(宇部興産社製、融点175℃、型番:3030U、硫酸相対粘度2.27、末端アミノ基濃度22μmol/g)
(A-2)-3:ポリアミド612(PA612)(旭化成製、融点225℃、型番:4100、硫酸相対粘度:2.1、末端アミノ基濃度40μmol/g)
(A-2)-4:ポリアミド(PA6T/6I)(EMS-Grivory社製、融点:観測されず、型番:G21、硫酸相対粘度:2.0、末端アミノ基濃度38μmol/g)
(A-2)-5:ポリアミド12(PA12)(宇部興産社製、融点175℃、型番:3020U、硫酸相対粘度:1.9、末端アミノ基濃度34μmol/g)
(A-2)-6:ポリアミド12(PA12)(宇部興産社製、融点175℃、型番:3014、硫酸相対粘度:1.68、末端アミノ基濃度32μmol/g)
【0112】
各ポリアミド樹脂の融点は、JIS-K7121に準じて、PERKIN-ELMER社製のDiamond DSCを用いて測定した。
【0113】
各ポリアミド樹脂の96%硫酸相対粘度は、JIS-K6920に従って測定した。
【0114】
各ポリアミド樹脂のアミノ基末端濃度は、中和滴定により以下のとおり測定した。
まず、得られたポリアミド3.0gを90質量%フェノ-ル水溶液100mLに溶解した。次いで、得られた溶液を用い、0.025Nの塩酸で滴定を行い、アミノ基末端濃度(μmol/g)を求めた。終点はpH計の指示値から決定した。
【0115】
各ポリアミド樹脂のカルボキシ基末端濃度は、中和滴定により以下のとおり測定した。
まず、得られたポリアミド4.0gをベンジルアルコ-ル50mLに溶解した。次いで、得られた溶液を用い、0.1NのNaOHで滴定を行い、カルボキシ基末端濃度(μmol/g)を求めた。終点はフェノ-ルフタレイン指示薬の変色から決定した。
【0116】
((B)耐衝撃材)
B-1:無水マレイン酸グラフトエチレン-ブテン共重合体(三井化学社製、商品名「TafmerMD715」、酸変性率0.75重量%)
B-2:無水マレイン酸グラフトエチレン-ブテン共重合体(三井化学社製、商品名「TafmerMH5020」、酸変性率1.0重量%)
B-3:無水マレイン酸グラフトエチレン-ブテン共重合体(三井化学社製、商品名「TafmerMH5010」、酸変性率0.5重量%)
B-4:メタクリル酸グリシジル-エチレン-アクリル酸ブチル三共重合体(DUPONT社製、商品名「Elvaloy PTW」)
B-5:無水マレイン酸グラフトエチレン-プロピレン共重合体(三井化学社製、商品名「TafmerMP0620」、酸変性率1.0重量%)
B-6:エチレン-ブテン共重合体(三井化学社製、商品名「TafmerDF710」)
【0117】
((C)着色料)
C-1:ニグロシン(オリエント化学工業社製、商品名「ヌビアンブラックTN-870」)
C-2:一次粒子径が13nmのカーボンブラック
【0118】
(合成例)
次に、ポリアミド樹脂(A-1)-6、(A-1)-7、(A-1)-8の製造方法について説明する。
【0119】
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
((A-1)-6:ポリアミド612)
アジピン酸765gとドデカンジアミンの等モル塩735gを蒸留水1800gに溶解させ、原料モノマーの均一水溶液を作製した。この水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブに仕込み、窒素置換した。
110~150℃の温度下で撹拌しながら、溶液濃度70質量%まで水蒸気を徐々に抜いて濃縮した。その後、内部温度を220℃に昇温した。このとき、オートクレーブは1.8MPaまで昇圧した。そのまま1時間、内部温度が245℃になるまで、水蒸気を徐々に抜いて圧力を1.8MPaに保ちながら1時間反応させた。
次に、1時間30分かけて圧力を降圧した。その後、オートクレーブ内を真空装置で650torrの減圧下に10分維持した。このとき、重合の最終内部温度は265℃であった。
その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、100℃、窒素雰囲気下で12時間乾燥し、硫酸相対粘度3.5、アミノ基末端濃度31μmol/gのポリアミド612を得た。
【0120】
((A-1)-7:ポリアミド612)
アジピン酸とドデカンジアミンの等モル塩1500gを蒸留水1800gに溶解させ、原料モノマーの均一水溶液を作製した。この水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブに仕込み、窒素置換した。
110~150℃の温度下で撹拌しながら、溶液濃度70質量%まで水蒸気を徐々に抜いて濃縮した。その後、内部温度を220℃に昇温した。このとき、オートクレーブは1.8MPaまで昇圧した。そのまま1時間、内部温度が245℃になるまで、水蒸気を徐々に抜いて圧力を1.8MPaに保ちながら1時間反応させた。
次に、1時間30分かけて圧力を降圧した。その後、オートクレーブ内を真空装置で650torrの減圧下に10分維持した。このとき、重合の最終内部温度は265℃であった。
その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、100℃、窒素雰囲気下で12時間乾燥し、硫酸相対粘度3.4、アミノ基末端濃度22μmol/gのポリアミド612を得た。
【0121】
((A-1)-8:ポリアミド6)
内容積5.4Lのオートクレーブに、カプロラクタム1.5kg、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン3g、蒸留水80mLを投入し、原料モノマーの水溶液を作製した。
重合槽内を窒素置換した後、180℃まで加熱し、この温度で反応系内が均一な状態となるよう攪拌した。その後、重合槽内温度を270℃まで昇温させた。このとき、オートクレーブは3.0MPaまで昇圧した。そのまま2時間攪拌下に重合した。その後、約2時間かけて常圧に放圧し、次いで、53kPaまで減圧し、減圧下において5時間重合を行なった。次に、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、減圧乾燥することで、相対粘度2.50、末端アミノ基濃度90μmol/g、カルボキシ基末端濃度45μmol/gのポリアミド6を得た。
【0122】
<成形品の物性及び評価方法>
(多目的試験片の製造)
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを減圧雰囲気下、80℃で8時間乾燥させ、ポリアミド樹脂組成物中の水分量を500ppm以下にした。次いで、水分量を調整した各ポリアミド樹脂組成物のペレットを、射出成形機(NEX‐50IV、日精樹脂株式会社製)を用いて、ISO3167に準拠して、多目的試験片(A型、ダンベル形引張試験片)を成形品として成形した。なお、多目的試験片の寸法は、全長≧170mm、タブ部間距離109.3±3.2mm、平行部の長さ80±2mm、肩部の半径24±1mm、端部の幅20±0.2mm、中央の平行部の幅10±0.2mm、厚さ4±0.2mmである。具体的な射出成形時の条件としては、射出及び保圧の時間:25秒、冷却時間:15秒、金型温度:80℃、シリンダ-温度:280℃とした。
【0123】
(パイプ成形体の製造)
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物を減圧雰囲気下、80℃で8時間乾燥させ、ポリアミド樹脂組成物中の水分量を500ppm以下にした。次いで、水分量を調整した各ポリアミド樹脂組成物のペレットを、押出成形機(BELLAFORM社製、BH45-25D)を用いて、外径16mm、内径13mmのパイプに成形した。具体的な押出成形時の条件としては、シリンダー温度240℃、引取速度5.0~12.0m/minに設定して成形を行った。
【0124】
[評価1]押出加工性
芝浦機械社製、二軸押出機TEM26SXを用いた。この押出機は、上流側から1番目のバレルにトップフィード口を有し、かつ、12番目までのバレルにサイドフィード口を有するものである。(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)となっている。
(A)成分のうち一部、(B)成分、並びに、必要に応じて、前記(C)及び/又は(D)の各成分を、予めヘンシェルミキサ-、タンブラーミキサー等を用いて混合してトップフィード口から、(A)、(B)成分、並びに、必要に応じて、前記(C)及び/又は(D)の各成分のうち前記混合物に混合しなかったものを予めヘンシェルミキサ-、タンブラーミキサー等を用いて混合してサイドフィード口から、供給し、次いで、ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状とした。ストランドを室温の水に2.0m浸漬することで冷却し、ペレタイザーでペレタイズして、ポリアミド樹脂組成物を得た。前記ポリアミドの製造工程において、押出加工性を以下の評価項目について、評価した。
【0125】
(ストランド切れ回数)
二軸押出機の設定温度を280℃、吐出量25kg/hrとした条件でポリアミド樹脂組成物を10kg製造し、押出加工時のストランド切れの回数を測定し、以下の評価基準に従い、評価した。ストランド切れが0回であると、押出加工性に優れる。
【0126】
(評価基準)
○:ストランド切れがない
△:ストランド切れの回数が1回
×:ストランド切れの回数が2回以上
【0127】
[評価2]押出成形性
前記パイプ成形体の製造方法に従い、シリンダー温度240℃、引取速度10.0m/minで成形したパイプ1mの内表面または外表面に生じた直径1mm以上の突起・凹みの数を測定した。より突起・凹みの数が少ないほど、押出成形性に優れる。
【0128】
(評価基準)
◎:直径1mm以上の突起・凹みがない
〇:直径1mm以上の突起・凹みが1箇所以上2箇所以内
△:直径1mm以上の突起・凹みが2箇所以上5箇所以内
×:直径1mm以上の突起・凹みが5箇所以上
【0129】
[評価3]引張弾性率
多目的試験片(A型)を用いて、ISO527に準拠して引張試験を行い、引張弾性率を測定した。引張速度は50mm/minとした。曲げ弾性率が0.5GPa以上1.6GPa以下であることで、耐圧性と可撓性・二次加工性のバランスに優れた成形体が得られる。
【0130】
[評価4]溶融時伸長性
芝浦機械社製、二軸押出機TEM26SXを用いた。この押出機は、上流側から1番目のバレルにトップフィード口を有し、かつ、12番目までのバレルにサイドフィード口を有するものである。(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)となっている。
スクリュー回転数45rpm、吐出量3kg/hとし、ポリアミド組成物をサイドフィード口より供給した。バレル温度を230~250℃の間で調節することで、樹脂温度を260℃に調節したポリアミド樹脂組成物の溶融物をストランド状に押出した。Gottfert社製Rheotensを用いて、このストランドを下方の張力検出用プーリーの円形ガイドを通過させて72mm/sの引き取り速度で巻き取り、検出される張力を安定させた。安定した後に、24m/minの加速度で引取速度を加速させながら巻き取り、ストランドが破断した時点での引き取り速度を破断時引き取り速度とした。
より破断時引き取り速度が大きいほど、高生産レートでの押出成形性に優れる。
【0131】
[評価5]塩化カルシウム水溶液耐性
前記パイプ成形体の製造方法に従い成形したパイプをΦ16mm×100mmの試験片に切り出した。切り出した試験片を、40wt%塩化カルシウム溶液(無水塩化カルシウムを、水:エタノール=1:1の混合溶媒に溶かし、40wt%としたもの)に浸漬した。15分後に試験片を取り出し、水洗後、風乾した試験片の外観を目視で評価した。試験片の白化部分の面積が小さいほど塩化カルシウム耐性に優れる。
【0132】
(評価基準)
◎:試験片の白化した部分の面積が25%以下
○:試験片の白化した部分の面積が25%超50%以下
△:試験片の白化した部分の面積が50%超75%以下
×:試験片の白化した部分の面積が75%以上
【0133】
<ポリアミド樹脂組成物の製造>
[実施例1]
(ポリアミド樹脂組成物P-a1の製造)
芝浦機械社製、二軸押出機TEM26SXを用いた。この押出機は、上流側から1番目のバレルにトップフィード口を有し、かつ、12番目までのバレルにサイドフィード口を有するものである。(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)となっている。
トップフィ-ド口より、(A-2)ポリアミド樹脂、(B)耐衝撃材を予めブレンドしたものと、を供給した。次いで、サイドフィード口より、(A-1)ポリアミド樹脂を供給した。ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズして、ポリアミド樹脂組成物P-a1のペレットを得た。各構成成分の種類及び含有量は表1に記載のとおりとした。
【0134】
[実施例2~12]
(ポリアミド樹脂組成物P-a2~P-a12の製造)
各構成成分の種類及び含有量を表に記載のとおりとした以外は、実施例1と同様の方法を用いて、ポリアミド樹脂組成物P-a2~P-a12のペレットを得た。
【0135】
[実施例13]
(ポリアミド樹脂組成物P-a13の製造)
芝浦機械社製、二軸押出機TEM26SXを用いた。この押出機は、上流側から1番目のバレルにトップフィード口を有し、かつ、12番目までのバレルにサイドフィード口を有するものである。(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)となっている。
トップフィ-ド口より、(A-1)ポリアミド樹脂、(A-2)ポリアミド樹脂および、(B)耐衝撃材を予めブレンドしたものと、を供給した。ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズして、ポリアミド樹脂組成物P-a13のペレットを得た。各構成成分の種類及び含有量は表1に記載のとおりとした。
【0136】
[実施例14]
(ポリアミド樹脂組成物P-a14の製造)
芝浦機械社製、二軸押出機TEM26SXを用いた。この押出機は、上流側から1番目のバレルにトップフィード口を有し、かつ、12番目までのバレルにサイドフィード口を有するものである。(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)となっている。
トップフィ-ド口より、(A-2)ポリアミド樹脂、(B)耐衝撃材、および(C)着色料を予めブレンドしたものを供給した。次いで、サイドフィード口より、(A-1)ポリアミド樹脂を供給した。ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズして、ポリアミド樹脂組成物P-a14のペレットを得た。各構成成分の種類及び含有量は表1に記載のとおりとした。
【0137】
[比較例1~3]
(ポリアミド樹脂組成物P-b1~P-b3の製造)
各構成成分の種類及び含有量を表に記載のとおりとした以外は、実施例13と同様の方法を用いて、ポリアミド樹脂組成物P-b1~P-b3のペレットを得た。
【0138】
[比較例6]
(ポリアミド樹脂組成物P-b4の製造)
芝浦機械社製、二軸押出機TEM26SXを用いた。この押出機は、上流側から1番目のバレルにトップフィード口を有し、かつ、12番目までのバレルにサイドフィード口を有するものである。(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)となっている。
【0139】
トップフィ-ド口より、(A-2)ポリアミド樹脂30重量部、(B)耐衝撃材40重量部を予めブレンドしたものを供給した。次いで、サイドフィード口より、(A-2)ポリアミド樹脂30重量部を供給した。ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズして、ポリアミド樹脂組成物P-b4のペレットを得た。各構成成分の種類及び含有量は表1に記載のとおりとした。
【0140】
[比較例7]
(ポリアミド樹脂組成物P-b5の製造)
芝浦機械社製、二軸押出機TEM26SXを用いた。この押出機は、上流側から1番目のバレルにトップフィード口を有し、かつ、12番目までのバレルにサイドフィード口を有するものである。(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)となっている。
トップフィ-ド口より、(A-2)ポリアミド樹脂30重量部、(B)耐衝撃材40重量部を予めブレンドしたものを供給した。次いで、サイドフィード口より、(A-2)ポリアミド樹脂30重量部を供給した。ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズして、ポリアミド樹脂組成物P-b5のペレットを得た。各構成成分の種類及び含有量は表1に記載のとおりとした。
【0141】
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを用いて、前記方法により成形品を製造し、各種物性及び評価を行った。評価結果を下記表に示す。
【0142】
【表1】
【0143】
【表2】
【0144】
【表3】
【0145】
【表4】
【0146】
【表5】
【0147】
【表6】
【0148】
表から、ポリアミド樹脂組成物P-a1~P-a14(実施例1~14)は、押出加工性、押出成形性、可撓性、溶融時伸張性、並びに成形品としたときの耐薬品性に優れることがわかった。
【0149】
ポリアミド樹脂組成物P-b1は、溶融時伸張性が不十分であり、押出成形性を試験したところ、表面荒れが観測された。耐薬品性、可撓性にも問題がある。また、押出加工後の硫酸相対粘度の保持率も低い。
【0150】
ポリアミド樹脂組成物P-b2は、可撓性は十分であったが、溶融時伸張性が不十分であり、押出成形性を試験したところ、表面荒れが観測された。耐薬品性、押出加工後の硫酸相対粘度の保持率にも改善の余地がある。
【0151】
ポリアミド樹脂組成物P-b3は、可撓性は十分であったが、押出加工性、溶融時伸張性が不十分であり、押出成形性を試験したところ、表面荒れが観測された。耐薬品性にも改善の余地がある。
【0152】
ポリアミド樹脂組成物P-b4は、P-a5と比較して(A-1)成分を使用せず、相当する量の(A-2)成分をサイドフィード口から供給したものであるが、溶融時伸張性が不十分であり、押出成形性にも問題がある。
【0153】
ポリアミド樹脂組成物P-b5は、P-a5と比較して(A-2)成分を使用せず、相当する量の(A-1)成分をサイドフィード口から供給したものであるが、溶融時伸張性が不十分であり、押出成形性にも問題がある。
【0154】
したがって、請求項1に係る選択された比例量で全4種の必須成分を有するポリアミド成形材料から成る、本発明に係る安定した組成物のみが、押出加工性、押出成形性、可撓性、溶融時伸張性、耐薬品性のいずれにおいても規定された目的を満たすことができる。
【0155】
一方、ポリアミド樹脂組成物P-b1~P-b5(比較例1~5)は、押出加工性、押出成形性、可撓性、溶融時伸張性、耐薬品性全てについて優れるものは得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明のポリアミド樹脂組成物によれば、押出加工性、押出成形性、溶融時伸張性、並びに成形品としたときの柔軟性、耐薬品性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供することができる。本発明の成形品は、前記ポリアミド組成物を用いたものであり、得られる成形品は、自動車用、機械工業用、電気・電子用、産業資材用、工業材料用、日用及び家庭品用等の各種部品の材料として利用することができる。