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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167477
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】ガスエンジン
(51)【国際特許分類】
   F02M 21/02 20060101AFI20231116BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20231116BHJP
   F02D 41/34 20060101ALI20231116BHJP
   F02D 19/02 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
F02M21/02 V
F02D45/00 368S
F02D41/34
F02D45/00 368Z
F02M21/02 301J
F02D19/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078690
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 能成
(72)【発明者】
【氏名】近藤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】前田 義人
(72)【発明者】
【氏名】今村 司
(72)【発明者】
【氏名】橋本 大
(72)【発明者】
【氏名】阪本 智浩
(72)【発明者】
【氏名】今野 海航
【テーマコード(参考)】
3G092
3G301
3G384
【Fターム(参考)】
3G092AB06
3G092AC08
3G092AC10
3G092BB01
3G092BB10
3G092CA04
3G092EA14
3G092FA15
3G092HB01Z
3G092HE05Z
3G301HA06
3G301HA22
3G301HA27
3G301JA21
3G301LB01
3G301MA11
3G301MA24
3G301NA08
3G301PC01Z
3G301PE03Z
3G384AA14
3G384AA22
3G384AA26
3G384BA13
3G384DA42
3G384EB10
3G384ED07
3G384FA14Z
3G384FA29Z
3G384FA58Z
(57)【要約】
【課題】逆火の、逆火が発生した燃焼サイクル以降の燃焼サイクルへの影響及び逆火が発生したシリンダの他シリンダへの影響を抑えたガスエンジンの提供。
【解決手段】本ガスエンジン2では、制御器14は、センサ28からの圧力を基にした逆火が発生しているシリンダユニット32の検知と、逆火が発生しているシリンダユニット32以外のシリンダユニット32を対象とした停止シリンダユニットの決定と、逆火の検知後所定の期間にわたっての、逆火が発生しているシリンダユニット32に対する燃料噴射器18からの燃料噴射の停止及び前記停止シリンダユニットが存在するときはこの停止シリンダユニットに対する燃料噴射器18からの燃料噴射の停止と、を行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシリンダユニットと、前記複数のシリンダユニットにエアを供給するマニホールドと、制御器と、を備え、
前記複数のシリンダユニットのそれぞれが、シリンダと、前記シリンダに接続する吸気ポートと、前記シリンダと前記吸気ポートとの間に位置する吸気弁と、前記シリンダ内の圧力を計測するセンサと、燃料を噴射する燃料噴射器と、を備え、
前記制御器が、前記センサからの圧力を基にした逆火が発生しているシリンダユニットの検知と、
前記逆火が発生しているシリンダユニット以外のシリンダユニットを対象とした停止シリンダユニットの決定と、
前記逆火の検知後所定の期間にわたって、前記逆火が発生しているシリンダユニットに対する前記燃料噴射器からの燃料噴射の停止及び前記停止シリンダユニットが存在するときはこの停止シリンダユニットに対する前記燃料噴射器からの燃料噴射の停止と、を行うガスエンジン。
【請求項2】
前記複数のシリンダユニットが、前記マニホールドに沿って1列又は2列に並べられており、
前記制御器が、前記逆火が検知されたシリンダユニットよりも前記マニホールドでのエアの流れの下流側に位置しかつ前記逆火が検知されたシリンダユニットに隣接するシリンダユニットを前記停止シリンダユニットとする、請求項1に記載のガスエンジン。
【請求項3】
前記複数のシリンダユニットが、前記マニホールドに沿って2列に並べられ、一方の列のシリンダユニットのそれぞれが他方の列の対応するシリンダユニットと対向しており、 前記制御器が、前記逆火が検知されたシリンダユニットに対向するシリンダユニット、又は前記逆火が検知されたシリンダユニットに対向するシリンダユニットの前記マニホールドでのエアの流れの下流側に隣接するシリンダユニットを前記停止シリンダユニットとする、請求項1又は2に記載のガスエンジン。
【請求項4】
前記制御器が、前記吸気弁の開期間内で前記シリンダの圧力が所定の閾値よりも大きくなるのを検知すること、又は圧縮行程において前記シリンダの圧力が所定の範囲から外れることを検知することで、逆火を検知する、請求項1又は2に記載のガスエンジン。
【請求項5】
前記制御器が、前記センサが検出した圧力を基にした弱火が発生しているシリンダユニットの検知と、前記弱火の検知後所定の期間にわたって前記弱火が発生しているシリンダユニットに対する前記燃料噴射器からの燃料噴射の停止と、をさらに行い、
前記制御器が、クランク角度が上死点より所定の角度θ前である圧縮行程における前記シリンダの圧力をP(-θ)とし、クランク角度が上死点より所定の角度θ後である燃焼行程における前記シリンダの圧力をP(θ)とした場合、差ΔP=P(θ)-P(-θ)が第1閾値T1以上で第2閾値T2以下であることを検知することで前記弱火の発生を検知する、請求項1又は2に記載のガスエンジン。
【請求項6】
複数のシリンダユニットと、前記複数のシリンダユニットにエアを供給するマニホールドと、制御器と、を備え、
前記複数のシリンダユニットのそれぞれが、シリンダと、前記シリンダに接続する吸気ポートと、前記シリンダと前記吸気ポートとの間に位置する吸気弁と、前記シリンダ内の圧力を計測するセンサと、燃料を噴射する燃料噴射器と、を備え、
前記制御器が、前記センサが検出した圧力を基にした弱火が発生しているシリンダユニットの検知と、前記弱火の検知後所定の期間にわたって前記弱火が発生しているシリンダユニットに対する前記燃料噴射器からの燃料噴射の停止と、を行い、
前記制御器が、クランク角度が上死点より所定の角度θ前である圧縮行程における前記シリンダの圧力をP(-θ)とし、クランク角度が上死点より所定の角度θ後である燃焼行程における前記シリンダの圧力をP(θ)とした場合、差ΔP=P(θ)-P(-θ)が第1閾値T1以上で第2閾値T2以下であることを検知することで前記弱火の発生を検知する、ガスエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスエンジンは、通常複数のシリンダを備えている。これらのシリンダは、吸気ポートを介して共通のマニホールドと接続され、マニホールドからエアがそれぞれの吸気ポートに送られる。一般にガス燃料は吸気ポートやシリンダで燃料噴器を介して供給される。エアと混合された燃料がシリンダ内で点火される。
【0003】
燃料混合ガスを吸気ポートからシリンダに移動する際に、燃料がシリンダの高温部に触れる等の理由で着火し、この燃焼がシリンダから吸気ポート内まで広がる「逆火(バックファイア)」が発生することがある。特に、天然ガスと比べて爆発限界濃度の範囲が広く着火エネルギーが小さい水素を燃料とするエンジンでは、逆火が発生し易い。逆火は安全で安定した燃焼の妨げとなりうる。逆火の検出及び処理についての検討が、特開2016-130473公報、特開2006-57596公報及び特開2006-527113公報で報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-130473公報
【特許文献2】特開2006-57596公報
【特許文献3】特開2006-527113公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
逆火の影響は、逆火が発生した燃焼サイクルだけでなく、この燃焼サイクル以降の燃焼サイクルにも及びうる。逆火が、逆火が発生した燃焼サイクル以降の燃焼サイクルでの不正燃焼を引き起こす、「逆火の連鎖」が発生する可能性が高い。また逆火が発生した吸気ポートは、マニホールドを介して他の吸気ポートと繋がっているため、逆火の影響が他のシリンダでの燃焼にも影響を及ぼしうる。逆火は、他のシリンダでの不正燃焼の要因にもなる可能性がある。逆火の連鎖、及び逆火が他のシリンダユニットでの不正燃焼の要因となることが抑えられた、ガスエンジンが望まれている。
【0006】
本発明者の意図するところは、逆火の連鎖、及び逆火が他のシリンダユニットでの不正燃焼の要因となることが抑えられた、ガスエンジンの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ガスエンジンは、複数のシリンダユニットと、前記複数のシリンダユニットにエアを供給するマニホールドと、制御器と、を備える。前記複数のシリンダユニットのそれぞれは、シリンダと、前記シリンダに接続する吸気ポートと、前記シリンダと前記吸気ポートとの間に位置する吸気弁と、前記シリンダ内の圧力を計測するセンサと、燃料を噴射する燃料噴射器と、を備える。前記制御器は、前記センサからの圧力を基にした逆火が発生しているシリンダユニットの検知と、前記逆火が発生しているシリンダユニット以外のシリンダユニットを対象とした停止シリンダユニットの決定と、前記逆火の検知後所定の期間にわたって、前記逆火が発生しているシリンダユニットに対する前記燃料噴射器からの燃料噴射の停止及び前記停止シリンダユニットが存在するときはこの停止シリンダユニットに対する前記燃料噴射器からの燃料噴射の停止と、を行う。
【発明の効果】
【0008】
本ガスエンジンでは、制御器は、逆火が発生しているシリンダユニット以外のシリンダユニットを対象として停止シリンダユニットを決定し、逆火が発生しているシリンダユニット及びこの停止シリンダユニットに対して、燃料噴射を停止する。これにより、逆火が他のシリンダユニットでの不正燃焼の要因となることが、抑制されている。さらに制御器は、この際の燃料噴射の停止を、所定の期間にわたって行う。これにより、逆火の連鎖が防止されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係るガスエンジンが示された、模式図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った断面を示す模式図である。
図3図3は、図1の制御器の処理フローである。
図4図4Aは逆火の検知の様子が示されたグラフであり、図4Bは高圧失火及び低圧失火の検知の様子が示されたグラフである。
図5図5は、弱火の検知の様子が示されたグラフである。
図6図6A及び図6Bは、図1のガスエンジンにおいて、停止シリンダユニットの例が示された模式図である。
図7図7A及び図7Bは、他の実施形態のガスエンジンにおいて、停止シリンダユニットの例が示された模式図である。
図8図8A及び図8Bは、さらに他の実施形態のガスエンジンにおいて、停止シリンダユニットの例が示された模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態が詳細に説明される。
【0011】
図1は、ガスエンジン2が示された模式図である。このガスエンジン2は、ガス燃料とエアとの混合気を燃焼させる。この実施形態では、ガス燃料は水素である。ガス燃料が、天然ガスであってもよく、その他の可燃性ガスであってもよい。このガスエンジン2は、発電機等の主に定常運転される装置に使用されてもよく、船舶用の推進器等の負荷が頻繁に変化する装置に使用されてもよい。図1に示されるように、このガスエンジン2は、圧縮器4、吸気路6、マニホールド8、シリンダ10、排気路12及び制御器14を備えている。
【0012】
圧縮器4は、エアを取り込み、圧縮して吸気路6に送りだす。吸気路6は、マニホールド8に接続している。圧縮器4からのエアは、吸気路6を通してマニホールド8に送られる。図1に示されるように、この実施形態では、吸気路6は、マニホールド8の中央に接続している。
【0013】
複数のシリンダ10が、マニホールド8に沿って並べられている。この実施形態では、シリンダ10は、2列で並んでいる。一方の列のシリンダ10のそれぞれは、他方の列の対応するシリンダ10と対向している。このガスエンジン2は、V型の12気筒エンジンである。圧縮器4からのエアは、マニホールド8を介して、それぞれのシリンダ10に送られる。
【0014】
図2は、図1のII-II線に沿った断面の一部が示された、模式図である。図1及び2で示されるように、このガスエンジン2は、それぞれのシリンダ10に対応する、吸気ポート16、燃料噴射器18、吸気弁20、点火器22、排気ポート24、排気弁26、圧力センサ28及びピストン30をさらに備えている。この明細書では、一組のシリンダ10、吸気ポート16、燃料噴射器18、吸気弁20、点火器22、排気ポート24、排気弁26、圧力センサ28及びピストン30は、併せて「シリンダユニット32」と称される。すなわち、このガスエンジン2は、12個のシリンダユニット32を備えている。このガスエンジン2では、6個のシリンダユニット32を有する列が、マニホールド8に沿って2列並べられている。
【0015】
なお、シリンダユニット32において、マニホールド8側を内側とし、マニホールド8の反対側を外側としたとき、図2では、吸気ポート16、点火器22及び排気ポート24は、内側から外側に向けて、この順に並んでいる。吸気ポート16、点火器22及び排気ポート24が、この順に、マニホールド8が延びる方向と平行な方向に並んでいてもよい。すなわち、シリンダユニット32が、図2に対して、90°回転した状態で、マニホールド8と接続されていてもよい。またマニホールド8は1列でも2列でもよい。
【0016】
吸気ポート16は、マニホールド8とシリンダ10とを接続する。燃料噴射器18は、ガス燃料を吸気ポート16内に噴射する。燃料噴射器18は、ガス燃料をシリンダ10に噴射してもよい。マニホールド8からのエアがガス燃料と混合され、混合気としてシリンダ10内に送られる。点火器22は、シリンダ10内で混合気に点火する。点火器22は、典型的には点火プラグである。燃料によっては、点火器22がパイロット噴射弁であってもよい。混合気が燃焼し、これによりピストン30が上下に動作する。ピストン30の下端は、クランクシャフト(図示されず)と接続している。ピストン30の上下運動が、クランクシャフトの回転運動に変換される。燃焼後のガスは、排気ポート24から排出される。図1では省略されているが、それぞれの排気ポート24は、排気路12と接続している。それぞれのシリンダ10からの排気は、排気路12を通して圧縮器4に戻される。圧力センサ28は、シリンダ10の内圧を、継続的に計測している。
【0017】
このガスエンジン2は、4ストロークエンジンである。すなわち、それぞれのシリンダユニット32では、吸気行程、圧縮行程、燃焼行程及び排気行程が繰り返される。吸気行程、圧縮行程、燃焼行程及び排気行程のセットは、燃焼サイクルを構成する。一回の燃焼サイクルにおいて、クランクシャフトは2回転する。ここでは、それぞれのシリンダユニット32において、ピストン30の位置は、上死点でのクランク角度を基準とした、クランク角度で表される。ピストン30が燃焼行程における上死点に位置するとき、クランク角度が0°とされる。例えば、ピストン30が吸気行程における上死点に位置するとき、クランク角度は360°となる。
【0018】
制御器14には、図1の矢印Pで表されるように、それぞれのシリンダユニット32の圧力センサ28が接続されている。制御器14には、それぞれの圧力センサ28が計測したシリンダ10の内圧が、継続して入力される。制御器14には、図1の矢印Cで表されるように、それぞれのシリンダユニット32の燃料噴射器18が接続されている。制御器14は、それぞれの燃料噴射器18について燃料の噴射及び停止の制御をすることができる。さらに制御器14には、クランク角度センサからの出力が入力され、制御器14はこれを用いてそれぞれのシリンダユニット32の任意の工程を基準としたクランク角度((例)-360°~+360°)を計算する。制御器14は、これらの機能を使用して、それぞれのシリンダユニット32について、逆火の検出及び抑制の処理を実施する。この実施形態では、制御器14は、プロセッサ及びこのプロセッサを動作させるプログラムで構成されている。制御器14の一部又は全部が、専用の回路で構成されていてもよい。
【0019】
図3には、制御器14の処理フローが示されている。図3で示されるように、制御器14の処理は、S1からS6のステップを含む。
【0020】
ステップS1では、制御器14は、それぞれのシリンダユニット32から、シリンダ10の内圧及びこの内圧に対応するクランク角度を取得する。それぞれのシリンダユニット32について、クランク角度の推移に対応した、内圧の推移が取得される。
【0021】
ステップS2では、制御器14は、逆火が発生しているか否か、及び逆火の予兆が発生しているか否かの判断を行う。具体的には制御器14は、それぞれのシリンダユニット32に対して、「逆火検知」、「高圧失火検知」、「低圧失火検知」及び「弱火検知」を行う。
【0022】
「逆火検知」では、制御器14は、直接逆火を検知する。図4Aに、逆火検知の方法が示されている。図4Aにおいて、横軸はクランク角度であり、縦軸はシリンダ10の内圧を表す。符号IVOは吸気弁20が開いたときのクランク角度を表し、符号IVCは吸気弁20が閉じたときのクランク角度を表す。逆火は、吸気行程において燃料が着火し、この燃焼が吸気ポート16内まで広がる現象である。通常、吸気行程ではシリンダ10の内圧はほぼ吸気圧であるが、逆火が発生すると、吸気行程においてシリンダ10の内圧が上昇する。図4Aの実線Lbは、逆火発生時の内圧の推移の例である。
【0023】
制御器14は、吸気弁20が開いている期間において、シリンダ10の内圧Pが、所定の閾値Tb以上となる場合があるか否かを検知する。内圧Pが閾値Tb以上となる場合が検知されたとき、制御器14は、逆火の発生を検知したと判断する。図4Aの例では、区間Iで逆火の発生が検知されている。閾値Tbは、シリンダ10の内圧より推定した吸気圧又はマニホールド8の内圧より決定する。
【0024】
「低圧失火検知」では、制御器14は、逆火が発生した際に発生する可能性がある「低圧失火」を検知する。図4Bに、低圧失火の検知の方法が示されている。図4Bにおいて、横軸はクランク角度であり、縦軸はシリンダ10の内圧を表す。符号TDCは燃焼行程での上死点を表し、符号Bxは点火時のクランク角度を表す。破線Aは、平均内圧Paの推移を表す。平均内圧Paは、それぞれのクランク角度における、直近の所定数の燃焼サイクルでの内圧を平均した値である。平均内圧Paは、後述するステップ6で計算される。逆火が発生すると、燃焼したガスがシリンダ10内に吸気されることで、圧縮行程で内圧が正常時よりも低くなり、かつ失火状態を示すことがある。これが「低圧失火」である。図4Bの実線Llは、低圧失火発生時の内圧の推移の例である。失火状態の判定は、次の図5に示すクランク角度が-θ°におけるシリンダ10の内圧と、クランク角度がθ°におけるシリンダ10の内圧との差が、所定の範囲内であるかを判定することで行う。
【0025】
制御器14は、圧縮行程の所定のクランク角度αにおいて、シリンダ10の内圧Pと平均内圧Paとの差(P-Pa)が、所定の閾値TL(負の値)以下であるか否かを判定する。差(P-Pa)が閾値TL以下であり、かつ失火状態を示すとき、制御器14は、低圧失火の発生を検知したと判断する。図4Bの実線Llの例では、低圧失火の発生が検知されている。
【0026】
「高圧失火検知」では、制御器14は、逆火が発生した際に発生する可能性がある「高圧失火」を検知する。図4Bに、高圧失火の検知の方法が示されている。逆火が発生するとシリンダ10が高温となり、圧縮行程において自着火が発生し内圧が正常時よりも高くなり、かつ失火状態を示すことがある。これが「高圧失火」である。図4Bの直線Lhは、高圧失火発生時のシリンダ10の内圧の推移の例である。
【0027】
制御器14は、圧縮行程の所定のクランク角度βにおいて、シリンダ10の内圧Pと平均内圧Paとの差(P-Pa)が、所定の閾値Th以上であるか否かを判定する。差(P-Pa)が閾値Th以上であり、かつ失火状態を示すとき、制御器14は、高圧失火の発生を検知したと判断する。図4Bの実線Lhの例では、高圧失火の発生が検知されている。なお図4Bの例では、クランク角度αとβとは同じである。クランク角度αとβとが異なっていてもよい。
【0028】
「弱火検知」では、制御器14は、逆火の予兆となる現象である「弱火」を検知する。図5に、弱火検知の方法が示されている。弱火は、圧縮行程ではシリンダ10の内圧は正常であるが、点火後の燃焼行程において、シリンダ10の内圧が、正常燃焼の場合より小さく、完全な失火の場合より大きくなる現象である。弱火が発生すると、燃料が十分に燃焼せずに残存しつつシリンダ10が排気行程で高温になることから、次の燃焼サイクルの吸気行程において、逆火が発生し易くなる。図5の実線Lwは、弱火の発生時のシリンダ10内圧の推移の例である。破線Aは、平均内圧Paの推移を表す。「失火時」と記載された破線は、失火したときの、典型的な内圧の推移を表す。
【0029】
図5において、符号P(-θ)は、クランク角度が上死点より角度θ前である圧縮行程におけるシリンダ10の圧力を表す。符号P(θ)は、クランク角度が上死点より角度θ後におけるシリンダ10の圧力を表す。制御器14は、これらの差ΔP(P(θ)-P(-θ))が、所定の第1閾値T1以上でかつ所定の第2閾値T2以下であるか否かを判定する。差ΔP(P(θ)-P(-θ))が第1閾値T1以上で第2閾値T2以下であるとき、弱火の発生を検知したと判断する。図5の実線Lwの例では、弱火の発生が検知されている。
【0030】
ステップS2において、逆火、高圧失火及び低圧失火のいずれかが検知された場合、ステップS3が実行される。ステップS2において弱火が検知された場合、ステップS5が実行される。ステップS2において、逆火、高圧失火、低圧失火及び弱火のいずれも検知されなかった場合、ステップS6が実行される。
【0031】
ステップS3では、制御器14は、逆火、高圧失火又は低圧失火のいずれかが検出されたシリンダユニット32(逆火検出ユニットと称される)以外のシリンダユニット32を対象として、逆火の影響を受ける可能性が高いとして停止をするシリンダユニット32(停止シリンダユニットと称される)を決定する。この実施形態では、制御器14は、以下のシリンダユニット32を停止シリンダユニットとする。
(i)逆火検出ユニットと対向するシリンダユニット32(対向ユニットと称される)
(ii)逆火検出ユニットと、マニホールド8でのエアの流れの下流側に隣接するシリンダユニット32(下流隣接ユニットと称される)
(iii)対向ユニットと、マニホールド8でのエアの流れの下流側に隣接するシリンダユニット32(対向-下流隣接ユニットと称される)
【0032】
図6Aに、停止シリンダユニットの例が示されている。図6Aには、マニホールド8とシリンダユニット32のみが、簡略化されて示されている。図6Aにおいて符号Ioは、吸気路6からのエアの入口を表す。矢印は、マニホールド8内でのエアの流れを表す。図6Aにおいて、ハッチを付したシリンダユニット32が逆火検出ユニットである。二重枠で表されたシリンダユニット32が、停止シリンダユニットである。図6Aの例では、(i)対向ユニット、(ii)下流隣接ユニット及び(iii)対向-下流隣接ユニットの、合計3つのシリンダユニット32が、停止シリンダユニットとされる。
【0033】
図6Bに、停止シリンダユニットの他の例が示されている。この図では、逆火検出ユニットは、マニホールド8でのエアの流れの最も下流に位置している。従って、下流隣接ユニット及び対向-下流隣接ユニットは存在しない。この場合では、(i)対向ユニットのみが、停止シリンダユニットとされる。
【0034】
ステップS4では、制御器14は、逆火検出ユニット及び停止シリンダユニットに対して、燃料噴射を停止する。この実施形態では、逆火が検出された燃焼サイクルと、次の燃焼サイクルの、合計2燃焼サイクルに渡って、逆火検出ユニット及び停止シリンダユニットでの燃料噴射が停止される。その後の燃焼サイクルでは、燃料噴射は再開される。逆火検出ユニット及び停止シリンダユニットでの燃料噴射が、3燃焼サイクルに渡って停止されてもよく、4燃焼サイクル以上に渡って停止されてもよい。逆火検出ユニット及び停止シリンダユニットでの燃料噴射が、逆火が検出された燃焼サイクルのみで停止されてもよい。ステップS4が終了すると、処理はステップS1に戻る。
【0035】
ステップS5では、制御器14は、弱火が検出されたシリンダユニット32に対し、次の燃焼サイクルでの燃料噴射を停止する。その後の燃焼サイクルでは、燃料噴射が再開される。弱火が検出されたユニット32での燃料噴射が、その後数燃焼サイクルに渡って停止されてもよい。ステップS5が終了すると、処理はステップS1に戻る。
【0036】
ステップS6では、制御器14は、ステップS1で取得したシリンダ10の内圧を使用して、直近の所定数の燃焼サイクルでの、このクランク角度での平均内圧を計算する。例えば、直近の10燃焼サイクルでの、このクランク角度での平均内圧が計算される。計算結果は記憶され、後にステップS2での判定に使用される。
【0037】
この実施形態では、図3に示された制御器14の処理は、ガスエンジン2が起動すると開始され、ガスエンジン2の停止等の割り込み処理で終了する。
【0038】
以下では、本実施形態の作用効果が説明される。
【0039】
本ガスエンジン2では、制御器14は、逆火検出ユニット以外のシリンダユニット32を対象として、停止シリンダユニットを決定する。制御器14は、逆火検出ユニットだけでなく、停止シリンダユニットに対して、燃料噴射を停止する。これにより、逆火が他のシリンダユニット32での不正燃焼の要因となることが、抑制されている。
【0040】
この実施形態では、逆火検出ユニット及び停止シリンダユニットに対して、2燃焼サイクルに渡って燃料噴射が停止される。逆火の影響は、1燃焼サイクルを超えて残ることが起こりうる。複数の燃焼サイクルに渡って燃料噴射を停止することで、逆火が発生した燃焼サイクル以降の燃焼サイクルにおいて、逆火検出ユニット及び停止シリンダユニットでの不正燃焼が、効果的に抑えられている。この実施形態では、逆火が、逆火が発生した燃焼サイクル以降の燃焼サイクルでの不正燃焼を引き起こす、「逆火の連鎖」が抑えられている。
【0041】
この実施形態では、対向ユニットが停止シリンダユニットとされる。逆火の影響は、逆火が発生したシリンダユニット32と対向するシリンダユニット32に及び易い。対向ユニットを停止シリンダユニットとすることで、このシリンダユニット32での不正燃焼が抑えられている。
【0042】
この実施形態では、下流隣接ユニットが停止シリンダユニットとされる。逆火検出ユニットのエアの流れの下流に隣接するシリンダユニット32は、逆火の影響を受けやすい。下流隣接ユニットを停止シリンダユニットとすることで、このシリンダユニット32での不正燃焼が抑えられている。
【0043】
この実施形態では、対向-下流隣接ユニットが停止シリンダユニットとされている。対向-下流隣接ユニットは、対向ユニットと下流側に隣接し、下流隣接ユニットと対向している。対向-下流隣接ユニットも、逆火の影響を受けやすい。このシリンダユニット32を停止シリンダユニットとすることで、このシリンダユニット32での不正燃焼が抑えられている。
【0044】
対向ユニットのみが停止シリンダユニットとされてもよく、下流隣接ユニットのみが停止シリンダユニットとされてもよい。対向ユニット及び下流隣接ユニットのみが、停止シリンダユニットとされてもよい。燃料噴射を停止するシリンダユニット32の数を減らすことで、ガスエンジン2の出力の低下を抑えることができる。
【0045】
この実施形態では、逆火検出ユニット及び停止シリンダユニット以外のシリンダユニット32では、燃料噴射は停止されない。逆火検出ユニットと、この逆火の影響を受け易いシリンダユニット32のみに対して燃料噴射を停止することで、不正燃焼の発生を抑えつつ、ガスエンジン2の出力の低下が抑制されている。
【0046】
この実施形態では、制御装置は、逆火の現象を直接検知するだけでなく、低圧失火及び高圧失火を検知することで、逆火の発生を検知する。これにより、逆火の発生の検出漏れが、効果的に抑制されている。
【0047】
この実施形態では、制御装置は、逆火の予兆となる弱火を検知し、弱火が検出されたシリンダユニット32の燃料噴射を停止する。弱火は、他のシリンダユニット32での不正燃焼の原因となる可能性は小さい。弱火が発生したシリンダユニット32以外のシリンダユニット32に対して、燃料噴射を停止する必要性は少ない。また、弱火では、複数の燃焼サイクルに渡って燃料噴射を停止する必要性も少ない。弱火を検知して逆火の発生を未然に防止することで、逆火が発生した場合と比較して、燃料噴射を停止するシリンダユニット32の数及び燃焼サイクルの数を、少なくできる。このガスエンジン2は、出力の低下が抑えられている。
【0048】
図7A及び7Bは、他の実施形態に係るガスエンジン40、46が示された、模式図である。図7A及び7Bには、マニホールド42、48及びシリンダユニット44、50のみが、簡略化されて示されている。このガスエンジン40、46では、シリンダユニット44、50は、マニホールド42、48に沿って、2列に並んでいる。このガスエンジン40、46は、V型の18気筒エンジンである。図7A及び7Bにおいて符号Ioは、吸気路からのエアの入口を表す。矢印は、マニホールド42、48内でのエアの流れを表す。図7A及び7Bにおいて、ハッチを付したシリンダユニット44、50が逆火検出ユニットである。
【0049】
図7Aに示された実施形態では、吸気路からのエアの入口Ioは、マニホールド42の中央に位置している。この例では、マニホールド42が延びる方向の座標をx座標としたとき、x座標において、入口Ioが占める範囲と、逆火検出ユニットの吸気ポートが占める範囲とは、重なりを有している。図7Aでは、逆火検出ユニットの両側に隣接するシリンダユニット44は、いずれも逆火検出ユニットに対して、エアの流れの下流側に位置している。逆火検出ユニットの両側に隣接するシリンダユニット44は、いずれも下流隣接ユニットとなる。この例では、(i)対向ユニット、(ii)2つの下流隣接ユニット、及び(iii)2つの対向-下流隣接ユニットの、合計5つのシリンダユニット44が、停止シリンダユニットとされる。図7Aにおいて、二重枠で表されたシリンダユニット44が、停止シリンダユニットである。
【0050】
図7Bに示された実施形態では、吸気路からのエアの入口Ioが、マニホールド48の端に設けられている。入口Ioからのエアは、マニホールド48の一方の端から、他方の端に向けて流れる。図7Bで示されるとおり、この例では、(i)対向ユニット、(ii)下流隣接ユニット及び(iii)対向-下流隣接ユニットの、合計3つのシリンダユニット50が、停止シリンダユニットとされる。図7Bにおいて、二重枠で表されたシリンダユニット50が停止シリンダユニットである。
【0051】
図8A及び8Bは、さらに他の実施形態に係るガスエンジン52、58が示された、模式図である。このガスエンジン52、58では、シリンダユニット56、62は、マニホールド54、60に沿って、1行9列に並んでいる。このガスエンジン52、58は、直列型の9気筒エンジンである。このガスエンジン52、58では、互いに対向するシリンダユニットは存在しない。図8A及び8Bにおいて符号Ioは、吸気路からのエアの入口を表す。矢印は、マニホールド54、60内でのエアの流れを表す。図8A及び8Bにおいて、ハッチを付したシリンダユニット56、62が、逆火検出ユニットである。
【0052】
図8Aに示された実施形態では、吸気路からのエアの入口Ioは、マニホールド54の中央に位置している。図8Aで示されるとおり、この例では、(ii)2つの下流隣接ユニットが、停止シリンダユニットとされる。図8Aにおいて、二重枠で表されたシリンダユニット56が停止シリンダユニットである。
【0053】
図8Bに示された実施形態では、入口Ioが、マニホールド60の端に設けられている。入口Ioからのエアは、マニホールド60の一方の端から、他方の端に向けて流れる。図8Bで示されるとおり、この例では、逆火検出ユニットは、エアの流れの最も下流に位置している。従って、下流隣接ユニットは存在しない。この実施形態では、停止シリンダユニットは、存在しない。この実施形態では、逆火検出ユニットのみに対して、燃料噴射が停止される。
【0054】
以上説明された実施形態では、制御装置は、逆火の検出及び逆火の予兆となる弱火の検出を行った。制御装置が、弱火の検出を行わず、逆火の検出のみを行ってもよい。制御装置が、逆火の検出を行わず、弱火の検出のみを行ってもよい。
【0055】
以上説明されたとおり、ガスエンジンでは、逆火が発生したシリンダ以外のシリンダでの、逆火の影響による不正燃焼の発生が抑えられている。このことから、本ガスエンジンの優位性は明らかである。
【0056】
本明細書で開示する制御器の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路又は手段、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路は、列挙された機能を実行するハードウエアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウエアである。ハードウエアは、本明細書に開示されているハードウエアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウエアであってもよい。ハードウエアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路又は手段はハードウエアとソフトウエアの組み合わせであり、ソフトウエアはハードウエアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
【0057】
[開示項目]
以下の項目は、好ましい実施形態の開示である。
【0058】
[項目1]
複数のシリンダユニットと、前記複数のシリンダユニットにエアを供給するマニホールドと、制御器と、を備え、
前記複数のシリンダユニットのそれぞれが、シリンダと、前記シリンダに接続する吸気ポートと、前記シリンダと前記吸気ポートとの間に位置する吸気弁と、前記シリンダ内の圧力を計測するセンサと、燃料を噴射する燃料噴射器と、を備え、
前記制御器が、前記センサからの圧力を基にした逆火が発生しているシリンダユニットの検知と、
前記逆火が発生しているシリンダユニット以外のシリンダユニットを対象とした停止シリンダユニットの決定と、
前記逆火の検知後所定の期間にわたって、前記逆火が発生しているシリンダユニットに対する前記燃料噴射器からの燃料噴射の停止及び前記停止シリンダユニットが存在するときはこの停止シリンダユニットに対する前記燃料噴射器からの燃料噴射の停止と、を行うガスエンジン。
【0059】
[項目2]
前記複数のシリンダユニットが、前記マニホールドに沿って1列又は2列に並べられており、
前記制御器が、前記逆火が検知されたシリンダユニットよりも前記マニホールドでのエアの流れの下流側に位置しかつ前記逆火が検知されたシリンダユニットに隣接するシリンダユニットを前記停止シリンダユニットとする、項目1に記載のガスエンジン。
【0060】
[項目3]
前記複数のシリンダユニットが、前記マニホールドに沿って2列に並べられ、一方の列のシリンダユニットのそれぞれが他方の列の対応するシリンダユニットと対向しており、 前記制御器が、前記逆火が検知されたシリンダユニットに対向するシリンダユニット、又は前記逆火が検知されたシリンダユニットに対向するシリンダユニットの前記マニホールドでのエアの流れの下流側に隣接するシリンダユニットを前記停止シリンダユニットとする、項目1又は2に記載のガスエンジン。
【0061】
[項目4]
前記制御器が、前記吸気弁の開期間内で前記シリンダの圧力が所定の閾値よりも大きくなるのを検知すること、又は圧縮行程において前記シリンダの圧力が所定の範囲から外れることを検知することで、逆火を検知する、項目1から3のいずれかに記載のガスエンジン。
【0062】
[項目5]
前記制御器が、前記センサが検出した圧力を基にした弱火が発生しているシリンダユニットの検知と、前記弱火の検知後所定の期間にわたって前記弱火が発生しているシリンダユニットに対する前記燃料噴射器からの燃料噴射の停止と、をさらに行い、
前記制御器が、クランク角度が上死点より所定の角度θ前である圧縮行程における前記シリンダの圧力をP(-θ)とし、クランク角度が上死点より所定の角度θ後である燃焼行程における前記シリンダの圧力をP(θ)とした場合、差ΔP=P(θ)-P(-θ)が第1閾値T1以上で第2閾値T2以下であることを検知することで前記弱火の発生を検知する、項目1から4いずれかに記載のガスエンジン。
【0063】
[項目6]
複数のシリンダユニットと、前記複数のシリンダユニットにエアを供給するマニホールドと、制御器と、を備え、
前記複数のシリンダユニットのそれぞれが、シリンダと、前記シリンダに接続する吸気ポートと、前記シリンダと前記吸気ポートとの間に位置する吸気弁と、前記シリンダ内の圧力を計測するセンサと、燃料を噴射する燃料噴射器と、を備え、
前記制御器が、前記センサが検出した圧力を基にした弱火が発生しているシリンダユニットの検知と、前記弱火の検知後所定の期間にわたって前記弱火が発生しているシリンダユニットに対する前記燃料噴射器からの燃料噴射の停止と、を行い、
前記制御器が、クランク角度が上死点より所定の角度θ前である圧縮行程における前記シリンダの圧力をP(-θ)とし、クランク角度が上死点より所定の角度θ後である燃焼行程における前記シリンダの圧力をP(θ)とした場合、差ΔP=P(θ)-P(-θ)が第1閾値T1以上で第2閾値T2以下であることを検知することで前記弱火の発生を検知する、ガスエンジン。
【符号の説明】
【0064】
2、40、46、52、58・・・ガスエンジン
4・・・圧縮機
6・・・吸気路
8、42、48、54、60・・・マニホールド
10・・・シリンダ
12・・・排気路
14・・・制御器
16・・・吸気ポート
18・・・燃料噴射機
20・・・吸気弁
22・・・点火器
28・・・圧力センサ
30・・・ピストン
32、44、50、56、62・・・シリンダユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8