(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167485
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】空気処理装置
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0073 20190101AFI20231116BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20231116BHJP
F24F 8/108 20210101ALI20231116BHJP
B01D 46/42 20060101ALI20231116BHJP
C09K 3/22 20060101ALI20231116BHJP
F24F 8/90 20210101ALI20231116BHJP
【FI】
F24F1/0073
F24F1/0007 401E
F24F8/108 210
B01D46/42 Z
C09K3/22
F24F8/90 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078714
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 渉
【テーマコード(参考)】
3L051
4D058
【Fターム(参考)】
3L051BA05
3L051BB01
3L051BC03
4D058JA12
4D058JB41
4D058JB50
4D058QA03
4D058QA21
4D058SA13
(57)【要約】
【課題】捕集部材及び光源を有するカセット型の空気処理装置について、捕集部材のメンテナンスを容易にする。
【解決手段】室内機11は、室内空間S1に向けて開口する下向きの吸込口(開口部)23が形成されているケーシング20と、ケーシング20内に収容された捕集部材40と、捕集部材40よりも吸込口23側でケーシング20内に収容され、捕集部材40に紫外線UVを照射する光源51と、光源51を、捕集部材40と対向する第1位置P1と、第1位置P1から外れた第2位置P2と、に変位可能に支持する支持手段52と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内空間(S1)に向けて開口する下向きの開口部(23)が形成されているケーシング(20)と、
前記ケーシング(20)内に収容された捕集部材(40)と、
前記捕集部材(40)よりも前記開口部(23)側で前記ケーシング(20)内に収容され、前記捕集部材(40)に紫外線(UV)を照射する光源(51)と、
前記光源(51)を、前記捕集部材(40)と対向する第1位置(P1)と、前記第1位置(P1)から外れた第2位置(P2)と、に変位可能に支持する支持手段(52)と、を備える空気処理装置(11)。
【請求項2】
前記ケーシング(20)内に収容され、前記開口部(23)から前記捕集部材(40)に流れる空気の流れを生じさせるファン(25)と、
前記第1位置(P1)及び前記第2位置(P2)に前記光源(51)を変位させる変位手段(53)と、をさらに備え、
前記空気処理装置(11)の運転時に、前記変位手段(53)が、前記光源(51)を前記第1位置(P1)に変位可能となる、請求項1に記載の空気処理装置(11)。
【請求項3】
前記変位手段(53)が、
前記光源(51)がオンのときに当該光源(51)を前記第1位置(P1)に変位させ、
前記光源(51)がオフのときに当該光源(51)を前記第2位置(P2)に変位させる、請求項2に記載の空気処理装置(11)。
【請求項4】
前記変位手段(53)が、
前記ファン(25)が運転し、かつ、前記光源(51)がオンのときに当該光源(51)を前記第1位置(P1)に変位させる、請求項3に記載の空気処理装置(11)。
【請求項5】
前記光源(51)がLEDであり、
前記光源(51)が前記第1位置(P1)に位置するときに、当該光源(51)の光軸(X)が前記捕集部材(40)と交差する、請求項1~4の何れか一項に記載の空気処理装置(11)。
【請求項6】
前記第2位置(P2)に位置する前記光源(51)から前記室内空間(S1)へ向かう紫外線(UV)を遮蔽する遮蔽部(55a)をさらに有する、請求項1~4の何れか一項に記載の空気処理装置(11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、開口部を有するケーシングと、前記開口部から前記ケーシングに流入する空気に含まれる塵埃等を捕集する捕集部材と、前記捕集部材に紫外線を照射する光源と、を備えた空気処理装置が知られている(特許文献1参照)。前記空気処理装置では、光源から捕集部材に紫外線を照射することによって、当該捕集部材及び捕集された塵埃を殺菌し、室内空間へ供給する空気を清浄化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記空気処理装置では、捕集部材へ紫外線を照射する光源を、保守点検用ドアとしても使用されるルーバ付きの前面パネルに設けている。この構成は、カセット型の形態を有する空気処理装置にこのまま適用することはできない。
【0005】
本開示は、捕集部材及び光源を有するカセット型の空気処理装置について、捕集部材のメンテナンスを容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の第1の観点の空気処理装置は、室内空間に向けて開口する下向きの開口部が形成されているケーシングと、前記ケーシング内に収容された捕集部材と、前記捕集部材よりも前記開口部側で前記ケーシング内に収容され、前記捕集部材に紫外線を照射する光源と、前記光源を、前記捕集部材と対向する第1位置と、前記第1位置から外れた第2位置と、に変位可能に支持する支持手段と、を備える。
【0007】
本開示の空気処理装置は、第1位置及び第2位置に光源を変位可能に構成することによって、光源から捕集部材に紫外線を照射するときには光源を第1位置に移動させるとともに、捕集部材をメンテナンスするときには光源を第2位置に移動させることが可能となる。これにより、捕集部材のメンテナンスを容易にすることができる。
【0008】
(2)本開示の第2の観点の空気処理装置は、前記第1の観点の空気処理装置であって、前記ケーシング内に収容され、前記開口部から前記捕集部材に流れる空気の流れを生じさせるファンと、前記第1位置及び前記第2位置に前記光源を変位させる変位手段と、をさらに備え、前記空気処理装置の運転時に、前記変位手段が、前記光源を前記第1位置に変位可能となると好ましい。
【0009】
この場合、空気処理装置の運転時に光源によって捕集部材に紫外線を照射することができる。
【0010】
(3)本開示の第3の観点の空気処理装置は、前記第2の観点の空気処理装置であって、前記変位手段が、前記光源がオンのときに当該光源を前記第1位置に変位させ、前記光源がオフのときに当該光源を前記第2位置に変位させると好ましい。
【0011】
この場合、光源がオンのときに当該光源を第1位置に位置させることで、光源から捕集部材に対する紫外線の照射を効率よく行うことが可能となる。光源がオフのときに当該光源を第2位置に位置させることで、紫外線による捕集部材の殺菌を行わないときには、開口部から捕集部材へ流れる空気の圧力損失の増大を抑制することができる。
【0012】
(4)本開示の第4の観点の空気処理装置は、前記第3の観点の空気処理装置であって、前記変位手段が、前記ファンが運転し、かつ、前記光源がオンのときに当該光源を前記第1位置に変位させると好ましい。
【0013】
この場合、ファンが運転し、かつ、光源がオンのときに当該光源を第1位置に位置させることで、捕集される塵埃が増えていく状態の捕集部材に紫外線を照射することができる。これにより、光源から捕集部材に対する紫外線の照射をより効率よく行うことが可能となる。
【0014】
(5)本開示の第5の観点の空気処理装置は、前記第1~第4の観点のうちの何れかの空気処理装置であって、前記光源がLEDであり、前記光源が前記第1位置に位置するときに、当該光源の光軸が前記捕集部材と交差すると好ましい。
【0015】
この場合、第1位置に位置する光源によって、捕集部材に紫外線を確実に照射することができる。
【0016】
(6)本開示の第6の観点の空気処理装置は、前記第1~第5の観点のうちの何れかの空気処理装置であって、前記第2位置に位置する前記光源から前記室内空間へ向かう紫外線を遮蔽する遮蔽部をさらに有すると好ましい。
【0017】
この場合、第2位置に光源がある場合に、室内空間に紫外線が照射されるのを確実に抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の空気処理装置を有する空気調和装置の概略的な構成図。
【
図3】化粧パネルを外した状態の空気処理装置を示す底面図。
【
図7】第1実施形態に係る紫外線照射部の概略的な構成図。
【
図9】本開示の空気処理装置の動作フローを示す図。
【
図10】第2実施形態に係る紫外線照射部の概略的な構成図。
【
図11】第3実施形態に係る紫外線照射部の概略的な構成図。
【
図12】第4実施形態に係る紫外線照射部の概略的な構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(空気調和装置の概要)
図1は、空気処理装置を有する空気調和装置の概略的な構成図である。
図1に示す空気調和装置10は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことによって、建物Bの内部に構築された室内空間S1の冷房及び暖房を行うことが可能な装置である。空気調和装置10は、室内機11、室外機12、冷媒配管13、及びリモコン14を備えている。冷媒配管13は、液管13L及びガス管13Gを含んでいる。空気調和装置10を構成する室内機11は、本開示の空気処理装置の一実施形態である。
【0020】
空気調和装置10では、冷媒配管13によって室内機11及び室外機12を接続することで冷媒回路が構成されている。室内機11及びリモコン14は、室内空間S1に配置されており、室外機12は、室外空間S2に配置されている。なお、本説明における室外空間S2には、建物B内における室内空間S1の外側の空間も含まれるが、本実施形態では、室外機12が室外空間S2のうちの建物Bの外部に配置されている。
【0021】
(室内機の構成)
図2は、本開示の空気処理装置を示す斜視図である。
図3は、化粧パネルを外した状態の空気処理装置を示す斜視図である。
図4は、
図3におけるI-I線断面矢視図である。
図1~
図4に示すように、室内機11は、所謂カセット型の形態を有し、室内空間S1の上部(例えば、天井面)に設定される。
図2に示すように、室内機11は、ケーシング20及び化粧パネル30を備えている。
【0022】
図3及び
図4に示すように、室内機11は、さらに、捕集部材40及び紫外線照射部50を備えている。紫外線照射部50は、光源51及び支持手段52を備えている。光源51は、捕集部材40に対して紫外線(以下、紫外線UVとも称する)を照射する。なお、本実施形態で例示する空気処理装置は、冷媒回路に冷媒を循環させて冷房及び暖房を行う空気調和装置10を構成する室内機11であるが、本開示の空気処理装置は、熱源装置から供給される冷水及び温水を循環させて冷房及び暖房を行う空気調和装置を構成する室内機(所謂ファンコイルユニット)であってもよい。なお、本実施形態では空気調和装置10を構成する室内機11を空気処理装置として例示しているが、本開示の空気処理装置は空気調和装置の一部を構成する室内機に限定されず、捕集部材、光源及び支持手段を有し単独で使用可能なカセット型の装置(例えば、空気清浄機)であってもよい。
【0023】
図2及び
図3に示すように、ケーシング20は底面視において略矩形の形態を有している。
図2~
図4に示すように、ケーシング20は、上部側に配置される第1ケーシング21と、下部側に配置される第2ケーシング22とを含んでいる。
図4に示すように、ケーシング20の内部には、室内ファン25、熱交換器26、捕集部材40、紫外線照射部50等を収容する空間Aが形成されている。空間Aは、ケーシング20内における空気の流路を兼ねている。
図3及び
図4に示すように、ケーシング20の下端部には、矩形の中央部分に吸込口(開口部)23が形成されるとともに、吸込口23を囲んで4か所の給気口24が形成されている。吸込口23及び給気口24は、空間Aの下端に形成された開口部である。なお、吸込口23には、図示しない保護部材が配置されていてもよい。通常の使用状態における室内機11では、第2ケーシング22の下端部は、化粧パネル30で覆われている(
図2参照)。
【0024】
図2に示すように、化粧パネル30は底面視において略矩形の形態を有しており、矩形の中央部分に配置された吸込みグリル31と、吸込みグリル31を囲んで配置された4か所の吹出口32を備えている。吸込みグリル31には、スリット状の開口部33が形成されている。開口部33は、吸込口23(
図3参照)を介して空間A(
図4参照)に連通している。化粧パネル30の吹出口32は、給気口24(
図3参照)を介して空間A(
図4参照)に連通している。室内機11は、吸込みグリル31及び吸込口23から室内空間S1(
図1参照)の空気をケーシング20内に吸い込むとともに、ケーシング20内に吸い込んだ空気を給気口24及び吹出口32から室内空間S1に給気する。
【0025】
図4に示すように、室内機11は、ケーシング20の内部(空間A)に、室内ファン25及び熱交換器26を備えている。室内ファン25は、室内空間S1(
図1参照)内の空気を循環させるためのファンである。熱交換器26は、前記冷媒回路の一部を構成しており、冷媒配管13によって室外機12との間で冷媒が循環される(
図1参照)。室内機11は、室内ファン25を駆動することで、室内空間S1(
図1参照)の空気(還気RA)を吸込みグリル31(
図2参照)及び吸込口23からケーシング20内に吸い込むとともに熱交換器26を通過させ、冷却又は加熱した空気(給気SA)を給気口24及び吹出口32(
図2参照)から室内空間S1へ供給する。
【0026】
(捕集部材)
図5は、捕集部材を示す斜視模式図である。
図3及び
図4に示すように、室内機11は、ケーシング20の内部において、捕集部材40を備えている。捕集部材40は、室内空間S1(
図1参照)の空気(還気RA)に含まれる塵埃を捕集するための部材である。
図4及び
図5に示すように、捕集部材40は、第1の捕集部材40である第1フィルタ41と、第2の捕集部材40である第2フィルタ42とを含んでいる。第2フィルタ42は、第1フィルタ41では捕集しきれない(より微細な)塵埃を捕集するためのフィルタであり、第1フィルタ41に比べて目が細かく、より高い捕集効率(60~95%程度)を有している。言い換えると、第1フィルタ41は、第2フィルタ42に比べて目が粗い。なお、本実施形態では、第2の捕集部材40がフィルタである場合を例示しているが、電気集塵器であってもよい。
【0027】
図5に示すように、第1フィルタ41は、空気の流れ方向において、第2フィルタ42の上流側に配置される。以下の説明では、第1フィルタ41の空気の流れ方向における上流側の面を捕集部材40の下面40aと称する。なお、本実施形態で示した捕集部材40は、第1フィルタ41及び第2フィルタ42を含んでいるが、本開示の室内機における捕集部材は、第1フィルタ及び第2フィルタの何れか一方のみ備える構成であってもよい。
【0028】
図4に示すように、室内機11では、吸込みグリル31(
図2参照)及び吸込口23からケーシング20内に吸い込まれた空気(還気RA)が捕集部材40を通過する。このとき、還気RAに含まれる塵埃が、第1フィルタ41及び第2フィルタ42によって捕集される。室内機11では、捕集部材40の下面40a(第1フィルタ41)に、有害成分や臭気成分のもととなる塵埃が付着する。
【0029】
(第1位置及び第2位置について)
図3~
図5に示すように、本説明では、室内機11に第1位置P1及び第2位置P2を設定している。第1位置P1は、空間Aのうちの空気の流れ方向における捕集部材40の上流側で、かつ、捕集部材40の直下の位置である。第2位置P2は、空間Aのうちの空気の流れ方向における捕集部材40の上流側で、かつ、捕集部材40の直下から外れた位置である。なお、第2位置P2は、空間Aの外側の部分を含んでいてもよい。
【0030】
(紫外線照射部)
図3及び
図4に示すように、室内機11は、紫外線照射部50を備えている。紫外線照射部50は、捕集部材40の下面40aに紫外線UVを照射するための部位であり、光源51、支持手段52、及び変位手段53を備えている。なお、
図3及び
図4では、後で説明する第1実施形態に係る紫外線照射部50(以下、第1紫外線照射部50Aとも称する、
図7参照)を示している。なお、本説明で単に「紫外線照射部50」と称する場合は、各実施形態の紫外線照射部50に共通する構成を説明している。
【0031】
光源51は、通電することによって紫外線UVを発するLED素子を備えている。光源51には図示しないレンズが装着されており、光源51で発せられた紫外線UVが、当該レンズによって下面40aの略全面に拡散される。
【0032】
図3及び
図4に示すように、支持手段52は、光源51を第1位置P1及び第2位置P2に変位可能に支持する手段である。第1紫外線照射部50Aは、第1実施形態に係る支持手段52(以下、第1支持手段52Aとも称する)を備えている。なお、本説明で単に「支持手段52」と称する場合は、各実施形態の支持手段52に共通する構成を説明している。
【0033】
変位手段53は、支持手段52に支持された光源51を第1位置P1及び第2位置P2の間で変位させる手段である。変位手段53には、支持手段52を回転させる手段、支持手段52を伸縮させる手段、支持手段52を変形させる手段、等が含まれる。第1紫外線照射部50Aは、第1実施形態に係る変位手段53(以下、第1変位手段53Aとも称する)を備えている。なお、本説明で単に「変位手段53」と称する場合は、各実施形態の変位手段53に共通する構成を説明している。
【0034】
なお、室内機11では、変位手段53を省略してもよい。この場合、通常の室内機11の運転時には、支持手段52により支持された光源51を第1位置P1に位置させておき、捕集部材40のメンテナンスを行う際には、ユーザの手動操作によって、光源51を第1位置P1から第2位置P2に変位させると好ましい。
【0035】
図4に示すように、光源51が第1位置P1にある場合、捕集部材40及び光源51が、上下方向について対面する。光源51が第1位置P1にある場合、当該光源51の光軸Xが捕集部材40と交差する。なお、LED素子を有する光源51の「光軸」は、光源51から照射される紫外線UVの指向角の中心軸である。指向角(半値角とも称される)は、中心軸における紫外線UVの明るさを基準として、紫外線UVの明るさが基準の1/2以内となる範囲を示す角度である。
【0036】
このため、光源51が第1位置P1にある場合には、光源51から捕集部材40に対して効率よく紫外線UVを照射することができる。光源51が第2位置P2にある場合、光源51が、捕集部材40の直下から外れた位置に配置される。このため、光源51が第2位置P2にある場合には、捕集部材40を下方からメンテナンスする際に、光源51が邪魔になることがない。なお、室内機11では、光源51が第2位置P2にある場合には、光源51を支持する支持手段52も第2位置P2に配置されるように構成している。なお、光源51の向きは、光軸Xが捕集部材40の下面40aと交差しない向きであってもよく、捕集部材40に対して紫外線UVを照射できる向きであればよい。光源51の向きは、例えば、光源51の指向角の範囲に下面40aが位置する向きであってもよい。
【0037】
(制御部について)
図6は、本開示の空気処理装置のブロック図である。
図1及び
図6に示すように、空気調和装置10は、当該空気調和装置10の動作を制御する室内制御部11a及び室外制御部12aを備えている。室内制御部11a及び室外制御部12aは、配線(図示せず)によって相互に通信可能に接続されている。
【0038】
室内制御部11aは、室内機11の動作を制御する装置であり、例えば、CPU等のプロセッサ、RAM、ROM等のメモリを備えたマイクロコンピュータにより構成される。室内制御部11aは、LSI、ASIC、FPGA等を用いてハードウェアとして実現されるものであってもよい。室内制御部11aは、メモリにインストールされたプログラムをプロセッサが実行することによって、所定の機能を発揮する。室内制御部11aには、リモコン14、室内ファン25、光源51、及び変位手段53が接続される。
【0039】
室外制御部12aは、室外機12の動作を制御する装置であり、例えば、CPU等のプロセッサ、RAM、ROM等のメモリを備えたマイクロコンピュータにより構成される。室外制御部12aは、LSI、ASIC、FPGA等を用いてハードウェアとして実現されるものであってもよい。室外制御部12aは、メモリにインストールされたプログラムをプロセッサが実行することによって、所定の機能を発揮する。
【0040】
空気調和装置10は、ユーザはリモコン14を操作することによって、当該空気調和装置10の運転・停止が行われる。空気調和装置10では、室内制御部11aによって、室内ファン25、光源51、及び変位手段53の動作が制御される。なお、室内機11は、運転中に室内空間S1に空調負荷がない(温度調整の要求がない)場合、所謂サーモオフの状態となる。室内機11は、サーモオフの状態となった場合、室内制御部11aによって、サーモオフの間も室内ファン25の運転が継続されてもよいし、サーモオフの間だけ室内ファン25が停止されてもよい。なお、光源51及び変位手段53の動作の制御は、室内制御部11a以外が行ってもよく、例えば、室外制御部12a、光源51及び変位手段53の動作を制御するために別途追加された制御装置(図示せず)、空気調和装置10に接続された中央監視装置(図示せず)等が行ってもよい。
【0041】
(紫外線照射のタイミングについて)
室内機11では、光源51は、室内制御部11aに予め設定されているタイミングで、当該室内制御部11aによって、ON-OFFが切り換えられる。例えば、室内機11では、室内制御部11aによって、例えば、空気調和装置10の運転開始直後の所定期間だけ、光源51がONとされる。例えば、室内機11では、室内制御部11aによって、空気調和装置10の運転停止時に、所定時間の残留運転を行い、この残留運転中に光源51がONとされる。
【0042】
室内機11で採用している光源51はLEDである。このため光源51は、照射時間の増大とともに、照射強度が低下する特性を有している。室内機11では、室内制御部11aによって、室内機11の運転中において予め設定された期間だけ光源51がONとされる。これにより、室内機11が製品寿命を迎えるまでの間に、先に光源51が寿命を迎えるのを抑止できる。
【0043】
(第1紫外線照射部について)
図7は、第1実施形態に係る紫外線照射部の概略的な構成図である。
図4及び
図7に示すように、第1紫外線照射部50Aが有する第1支持手段52Aは、略棒状の支持部材60を有しており、支持部材60の一端部61に光源51が設けられるとともに、他端部62が第1変位手段53Aによって支持されている。第1変位手段53Aは、鉛直方向に延びた回転軸63と、回転軸63を回転駆動する駆動源(モータ)64を有している。回転軸63は、回転角度が90度の範囲で正転及び逆転することができるように構成されている。第1変位手段53Aでは、駆動源64をONとした場合に、支持部材60が回動されると共に光源51が第1位置P1に配置され、駆動源64をOFFとした場合に、支持部材60が回動されると共に光源51及び支持部材60が第2位置P2に配置される。
【0044】
(遮蔽部材)
図8は、遮蔽部を示す部分拡大断面図である。
図8に示すように、紫外線照射部50は、さらに遮蔽部材55を備えている。遮蔽部材55は、光源51から照射される紫外線UVの照射範囲を制限するための部材である。遮蔽部材55は金属製であり、遮蔽部55a及び開口部55bを有している。なお、遮蔽部材55は、金属以外の素材(例えば樹脂)を用いて構成してもよい。
【0045】
遮蔽部55aは、第2位置P2で光源51が紫外線UVを照射した場合に、室内空間S1へ向かう紫外線UVを遮蔽する部位である。換言すると、遮蔽部55aは、第2位置P2にある光源51と室内空間S1との間に配置されている。
【0046】
開口部55bは、遮蔽部材55の一部を切り欠いた部位であり、変位手段53によって、光源51を第1位置P1及び第2位置P2の間で変位させる際に、光源51及び支持手段52が通る経路上に開口されている。
【0047】
室内機11では、紫外線照射部50が遮蔽部55aを有していることにより、第2位置P2で光源51が紫外線UVを照射した場合に、紫外線UVが室内空間S1へ向けて照射されることを確実に抑止することができる。光源51が第2位置P2にある場合、支持部材60(及び、後で説明する支持部材70,80,90)の構造によっては、光源51の光軸Xが捕集部材40の方向に向いていない場合がある。紫外線照射部50は、遮蔽部材55を備えることにより、このような場合であっても、紫外線UVが室内空間S1へ向けて照射されることを確実に抑止することができる。
【0048】
(変位手段の動作について)
図9は、本開示の空気処理装置の動作フローを示す図である。空気調和装置10では、ユーザがリモコン14(
図1参照)を操作することによって、室内機11の運転が開始される。室内機11では、当該室内機11の運転が開始されたときに、変位手段53が作動可能な状態となり、変位手段53の制御が開始される。室内機11では、運転が停止されているとき、光源51及び支持手段52が第2位置P2に位置している。
【0049】
図9に示すように、変位手段53の制御が開始されると、室内制御部11aが、ステップ(S01)を実行する。ステップ(S01)では、室内制御部11aが、光源51の作動状態についての判定を実行する。ステップ(S01)において、光源51がONであると室内制御部11aが判定した場合(Yesの場合)、次のステップ(S02)を実行する。ステップ(S01)において、光源51がONでない(OFFである)と室内制御部11aが判定した場合(Noの場合)、光源51がONになるまでステップ(S01)を繰り返し実行する。
【0050】
ステップ(S02)では、室内制御部11aが、室内ファン25の運転状態についての判定を実行する。ステップ(S02)において、室内ファン25が運転していると室内制御部11aが判定した場合(Yesの場合)、次のステップ(S03)を実行する。ステップ(S02)において、室内ファン25が停止していると室内制御部11aが判定した場合(Noの場合)、ステップ(S01)に戻る。
【0051】
ステップ(S03)では、室内制御部11aが、変位手段53をONとする。このとき、支持手段52により支持されている光源51が、第2位置P2から第1位置P1に変位される。空気調和装置10では、光源51が第1位置P1に配置された後、ステップ(S04)を実行する。このように、室内機11では、変位手段53が、光源51がONのときに当該光源51を第1位置P1に変位させ、光源51がOFFのときに当該光源51を第2位置P2に変位させる。
【0052】
さらに、室内機11では、室内ファン25が運転し、かつ、光源51がONのときに当該光源51を第1位置P1に位置させる。このような構成の室内機11では、捕集される塵埃が増えていく状態の捕集部材40に紫外線UVを照射することができる。これにより、光源51から捕集部材40に対する紫外線UVの照射をより効率よく行うことが可能となる。なお、室内機11では、ステップ(S02)を省略してもよい。換言すると、室内機11では、室内ファン25の停止中であっても、光源51がONの場合に、変位手段53によって、当該光源51を第1位置P1に変位させてもよい。
【0053】
ステップ(S04)では、室内制御部11aが、室内ファン25の運転状態についての判定を実行する。ステップ(S04)において、室内ファン25がONであると室内制御部11aが判定した場合(Yesの場合)、次のステップ(S05)を実行する。ステップ(S04)において、室内ファン25がONでない(OFFである)と室内制御部11aが判定した場合(Noの場合)、ステップ(S06)を実行する。なお、ステップ(S02)を省略する構成の室内機11では、ステップ(S04)を省略する。
【0054】
ステップ(S05)では、室内制御部11aが、光源51の作動状態についての判定を実行する。ステップ(S05)において、光源51がONであると室内制御部11aが判定した場合(Yesの場合)、ステップ(S04)に戻る。ステップ(S05)において、光源51がONでない(OFFである)と室内制御部11aが判定した場合(Noの場合)、ステップ(S06)を実行する。
【0055】
ステップ(S06)では、室内制御部11aが、変位手段53をOFFとする。このとき、支持手段52により支持されている光源51が、変位手段53によって、第1位置P1から第2位置P2に変位される。室内機11では、ステップ(S06)の実行により光源51が第2位置P2に配置された後、ステップ(S01)を実行する。室内機11では、当該室内機11の運転中において、上記ステップ(S01)~(S06)を繰り返し実行して、光源51のON-OFFに合わせて変位手段53の動作を制御する。なお、室内機11では、上述した通り、室内ファン25のON-OFFに合わせて変位手段53の動作を制御してもよい。
【0056】
(変位手段の動作の変形例について)
空気調和装置10では、変位手段53の動作を、
図9に示す動作フローに沿って制御するのではなく、以下の手順で制御してもよい。空気調和装置10では、リモコン14から運転開始の指示があった時点で、室内制御部11aが変位手段53をONとし、光源51を第2位置P2から第1位置P1に移動させる。空気調和装置10の運転中は、変位手段53をONのままとし、光源51が第1位置P1にある状態を維持する。空気調和装置10の運転中、光源51は、室内制御部11aに予め設定されているタイミングで、適宜ON-OFFが切り換えられる。空気調和装置10では、リモコン14から運転停止の指示があった時点で、室内制御部11aが変位手段53をOFFとし、光源51を第1位置P1から第2位置P2に移動させる。
【0057】
(第2紫外線照射部について)
図10は、第2実施形態に係る紫外線照射部の概略的な構成図である。
図10には、第2の実施形態に係る紫外線照射部50(以下、第2紫外線照射部50Bとも称する)を示している。空気調和装置10では、紫外線照射部50として、
図10に示す第2紫外線照射部50Bを採用してもよい。
【0058】
図10に示すように、第2紫外線照射部50Bが有する第2支持手段52Bは、2つの棒状部材70a,70bを関節部70cによって連結した支持部材70を備えている。第2紫外線照射部50Bでは、支持部材70の一端部71に光源51が設けられるとともに、支持部材70の他端部72が第1駆動源74によって支持されている。回転軸73及び第1駆動源74は、先に説明した回転軸63を有する駆動源64と同様の構成を有する。関節部70cは、第1駆動源74の動作に連動して、2つの棒状部材70a,70bの相対角度を変更する第2駆動源75が内蔵されている。第1駆動源74及び第2駆動源75は、第2実施形態における第2変位手段53Bを構成する。第2変位手段53Bでは、各駆動源74,75をONとした場合に、支持部材70が回動されると共に光源51が第1位置P1に配置され、各駆動源74,75をOFFとした場合に、支持部材70が回動されると共に光源51が第2位置P2に配置される。第2紫外線照射部50Bでは、光源51が第2位置P2に配置されるときに、第2駆動源75によって、2つの棒状部材70a,70bの相対角度を調整して、支持部材70を折りたたむことができる。この場合、第2位置P2の支持部材70をよりコンパクトにすることができ、これにより、第2位置P2のスペース(空間A)が限られていても、支持部材70が収容しやすくなる。
【0059】
(第3紫外線照射部について)
図11は、第3実施形態に係る紫外線照射部の概略的な構成図である。
図11には、第3の実施形態に係る紫外線照射部50(以下、第3紫外線照射部50Cとも称する)を示している。空気調和装置10では、紫外線照射部50として、
図11に示す第3紫外線照射部50Cを採用してもよい。
【0060】
図11に示すように、第3紫外線照射部50Cが有する第3支持手段52Cは、外径が異なる複数の管状部材で構成された支持部材80を備えている。支持部材80は、複数の管状部材が入れ子構造を有し、長さ方向に伸縮可能である。支持部材80は、一端部81に光源51が設けられるとともに、他端部82が第2位置P2においてケーシング20(
図4参照)に固定されている。第3変位手段53Cは、支持部材80を長さ方向に伸縮させる駆動源(アクチュエータ)85を備えている。支持部材80は、駆動源85をONにすることで長さ方向に伸長され、駆動源85をOFFにすることで長さ方向に短縮される。第3紫外線照射部50Cでは、駆動源85をONとした場合に、支持部材80が伸長されると共に光源51が第1位置P1に配置され、駆動源85をOFFとした場合に、支持部材80が短縮されると共に光源51及び支持部材80が第2位置P2に配置される。
【0061】
(第4紫外線照射部について)
図12は、第4実施形態に係る紫外線照射部の概略的な構成図である。
図12には、第4の実施形態に係る紫外線照射部50(以下、第4紫外線照射部50Dとも称する)を示している。空気調和装置10では、紫外線照射部50として、
図12に示す第4紫外線照射部50Dを採用してもよい。
【0062】
図12に示すように、第4紫外線照射部50Dが有する第4支持手段52Dは、パンタグラフ機構を有する支持部材90により構成されている。支持部材90の一端部91に光源51が設けられるとともに、他端部92が第2位置P2においてケーシング20(
図4参照)に連結されている。第4変位手段53Dは、支持部材90が有する一対のジョイント部分93,94を近接及び離間させることが可能な駆動源95を有している。第4変位手段53Dでは、駆動源95をONとした場合に、ジョイント部分93,94の離間距離が小さくなり、これにより、支持部材90を伸長させることができる。第4変位手段53Dでは、駆動源95をOFFとした場合に、ジョイント部分93,94の離間距離が大きくなり、これにより、支持部材90を短縮させることができる。このため支持部材90は、駆動源95をONにした場合には伸長され、駆動源95をOFFにした場合には短縮される。第4紫外線照射部50Dでは、駆動源95をONとした場合に、支持部材90が伸長されると共に光源51が第1位置P1に配置され、駆動源95をOFFとした場合に、支持部材90が短縮されると共に光源51及び支持部材90が第2位置P2に配置される。
【0063】
(実施形態の作用効果)
(1)上記実施形態で示した室内機(空気処理装置)11は、室内空間S1に向けて開口する下向きの吸込口(開口部)23が形成されているケーシング20と、ケーシング20内に収容された捕集部材40と、捕集部材40よりも吸込口23側でケーシング20内に収容され、捕集部材40に紫外線UVを照射する光源51と、光源51を、捕集部材40と対向する第1位置P1と、第1位置P1から外れた第2位置P2と、に変位可能に支持する支持手段52と、を備える。
【0064】
このような構成の室内機11では、第1位置P1及び第2位置P2に光源51を変位可能に構成することによって、光源51から捕集部材40に紫外線UVを照射するときには光源51を第1位置P1に移動させるとともに、捕集部材40をメンテナンスするときには光源51を第2位置P2に移動させることが可能となる。これにより、捕集部材40のメンテナンスを容易にすることができる。
【0065】
(2)上記実施形態で示した室内機11は、ケーシング20内に収容され、吸込口23から捕集部材40に流れる空気の流れを生じさせる室内ファン25と、第1位置P1及び第2位置P2に光源51を変位させる変位手段53と、をさらに備える。室内機11では、当該室内機11の運転時に、変位手段53が、光源51を第1位置P1に変位可能となる。
【0066】
このような構成の室内機11では、室内機11の運転時に光源51によって捕集部材40に紫外線UVを照射することができる。
【0067】
(3)上記実施形態で示した室内機11は、変位手段53が、光源51がオンのときに当該光源51を第1位置P1に変位させ、光源51がオフのときに当該光源51を第2位置P2に変位させる。
【0068】
このような構成の室内機11では、光源51がオンのときに当該光源51を第1位置P1に位置させることで、光源51から捕集部材40に対する紫外線UVの照射を効率よく行うことが可能となる。光源51がオフのときに当該光源51を第2位置P2に位置させることで、紫外線UVによる捕集部材40の殺菌を行わないときには、吸込口23から捕集部材40へ流れる空気の圧力損失の増大を抑制することができる。
【0069】
(4)上記実施形態で示した室内機11は、変位手段53が、室内ファン25が運転し、かつ、光源51がオンのときに当該光源51を第1位置P1に変位させる。
【0070】
このような構成の室内機11では、室内ファン25が運転し、かつ、光源51がオンのときに当該光源51を第1位置P1に位置させることで、捕集される塵埃が増えていく状態の捕集部材40に紫外線UVを照射することができる。これにより、光源51から捕集部材40に対する紫外線UVの照射をより効率よく行うことが可能となる。
【0071】
(5)上記実施形態で示した室内機11は、光源51がLEDであり、光源51が第1位置P1に位置するときに、当該光源51の光軸Xが捕集部材40と交差する。
【0072】
このような構成の室内機11では、第1位置P1に位置する光源51によって、捕集部材40に紫外線UVを確実に照射することができる。
【0073】
(6)上記実施形態で示した室内機11は、第2位置P2に位置する光源51から室内空間S1へ向かう紫外線UVを遮蔽する遮蔽部55aをさらに有する。
【0074】
このような構成の室内機11では、第2位置P2に光源51がある場合に、室内空間S1に紫外線UVが照射されるのを確実に抑止することができる。
【0075】
なお、本開示は、以上の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
10 :空気調和装置
11 :室内機(空気処理装置)
20 :ケーシング
23 :吸込口(開口部)
25 :室内ファン(ファン)
40 :捕集部材
51 :光源
52 :支持手段
53 :変位手段
55a :遮蔽部
P1 :第1位置
P2 :第2位置
S1 :室内空間
UV :紫外線
X :(光源の)光軸