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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167490
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】樹脂封止金型
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20231116BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H01L21/56 T
B29C45/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078726
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 卓也
【テーマコード(参考)】
4F202
5F061
【Fターム(参考)】
4F202AD03
4F202AD05
4F202AD19
4F202AG03
4F202AH33
4F202AH37
4F202CA12
4F202CB01
4F202CB12
4F202CB17
4F202CK06
4F202CK12
4F202CK86
4F202CQ01
5F061AA01
5F061BA01
5F061BA03
5F061CA21
5F061DA03
5F061DA04
5F061DA06
5F061DA07
5F061EA02
(57)【要約】
【課題】第2金型におけるキャビティブロックとカルブロックとの間に隙間が生じた場合において基体の端面と第2金型の壁面との間の隙間のうちの少なくとも一部の広がりを抑制すること。
【解決手段】樹脂封止金型は、第1金型と第2金型とが型締されて形成される空間であるキャビティ内に、基体に搭載された電子部品が配置される。第2金型は、キャビティブロックと、カルブロックと、1以上の樹脂漏れ抑制ブロックとを備える。キャビティブロックは、第1金型とともにキャビティを形成し、基体が載置される。カルブロックは、キャビティブロックと別体で形成されて第1金型とともにカルを形成し、キャビティブロックに配置される基体の端面と対向する壁面を有する。1以上の樹脂漏れ抑制ブロックは、キャビティブロックとカルブロックとの間に配置され、基体の端面と対向する壁面の一部であってキャビティブロックの壁面に隣接する壁面を含む。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金型と第2金型とが型締されることによって形成される空間であるキャビティ内に、基体に搭載された電子部品が配置されるとともに、前記基体が前記第1金型と前記第2金型によって挟持された状態で、カルおよびランナーを含む樹脂の供給通路を通じて前記キャビティ内に封止用樹脂を注入して、前記電子部品を封止する樹脂封止金型において、
前記第2金型は、
前記第1金型とともに前記キャビティを形成し、前記基体が載置されるキャビティブロックと、
前記キャビティブロックと別体で形成されて前記第1金型とともに前記カルを形成し、前記キャビティブロックに配置される前記基体の端面と対向する壁面の一部を有するカルブロックと、
前記キャビティブロックと前記カルブロックとの間に配置され、前記基体の前記端面と対向する前記壁面の一部であって前記キャビティブロックの前記壁面に隣接する壁面を含む1以上の樹脂漏れ抑制ブロックと、を備え、
前記キャビティブロックは、
係止可能に構成された係止部を備え、
前記1以上の樹脂漏れ抑制ブロックは、
前記係止部に係止される被係止部を備える
ことを特徴とする樹脂封止金型。
【請求項2】
第1金型と第2金型とが型締されることによって形成される空間であるキャビティ内に、基体に搭載された電子部品が配置されるとともに、前記基体が前記第1金型と前記第2金型によって挟持された状態で、カルおよびランナーを含む樹脂の供給通路を通じて前記キャビティ内に封止用樹脂を注入して、前記電子部品を封止する樹脂封止金型において、
前記第2金型は、
前記第1金型とともに前記キャビティを形成し、前記基体が載置されるキャビティブロックと、
前記キャビティブロックと別体で形成されて前記第1金型とともに前記カルを形成し、前記キャビティブロックに配置される前記基体の端面と対向する壁面の一部を有するカルブロックと、
前記キャビティブロックと前記カルブロックとの間に配置され、前記基体の前記端面と対向する前記壁面の一部であって前記キャビティブロックの前記壁面に隣接する壁面を含む1以上の樹脂漏れ抑制ブロックと、を備え、
前記1以上の樹脂漏れ抑制ブロックは、
前記キャビティブロックと一体に形成される
ことを特徴とする樹脂封止金型。
【請求項3】
前記1以上の樹脂漏れ抑制ブロックの少なくとも1つは、
前記ランナーの一部を形成する領域を含む領域に配置される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂封止金型。
【請求項4】
前記1以上の樹脂漏れ抑制ブロックの少なくとも1つは、
前記ランナーを形成する領域が含まれない領域に配置される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂封止金型。
【請求項5】
前記1以上の樹脂漏れ抑制ブロックの少なくとも1つは、
前記端面の端部を含む領域に配置される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂封止金型。
【請求項6】
前記第1金型は、
前記第1金型と前記第2金型との型締時に前記基体を押圧することで、前記基体の前記端面を押し出して、前記基体の前記端面と前記壁面との間の前記供給通路に通じる隙間を閉鎖または狭める押圧部を備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂封止金型。
【請求項7】
前記1以上の樹脂漏れ抑制ブロックは、
前記第1金型と前記第2金型との型締方向から見た場合に、前記押圧部を含む領域に配置される
ことを特徴とする請求項6に記載の樹脂封止金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、樹脂封止金型に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子、抵抗素子、およびコンデンサなどの電子部品は、リードフレームまたは基板などの基体に搭載され、保護を目的として封止用樹脂により封止される。例えば、DIP(Dual Inline Package)、QFP(Quad Flat Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)などのリードフレームに半導体素子を搭載した半導体装置、BGA(Ball Grid Array)、LGA(Land Grid Array)などの樹脂製基板に半導体素子を搭載した半導体装置は、封止用樹脂により封止される。
【0003】
基体に搭載された電子部品を封止用樹脂にて封止するときには、基体を第1金型と第2金型とで挟み込んだ状態で、電子部品が位置するキャビティに封止用樹脂を注入する。
【0004】
リードフレームなどの基体を第1金型と第2金型とで挟み込んで、キャビティに封止用樹脂を注入すると、基体の端面と、この端面に対向する第2金型の壁面との間の隙間がある場合、かかる隙間に樹脂の供給通路から封止用樹脂が浸入する場合がある。この場合、基体の端面と第2金型の壁面との間の隙間に浸入した封止用樹脂が、かかる隙間から基体の外部、すなわち基体の端面と第2金型の壁面との間の隙間の外部に漏れ出す可能性がある。
【0005】
特許文献1には、第1金型と第2金型との型締時に基体を押圧することで、基体の端面を押し出して、基体の端面と第2金型の壁面との間の隙間を閉鎖する凸部を第1金型に備える技術が開示されている。特許文献1に記載の技術によって、基体の端面と第2金型の壁面との間の隙間が閉鎖されるため、封止用樹脂が基体の外部に漏れ出すことを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-086128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
樹脂封止金型では、第2金型において電子部品を搭載した基体が配置されるキャビティブロックと樹脂の供給通路を含み且つ上述した壁面を有するカルブロックとが別体で構成される場合がある。この場合、第1金型と第2金型との型締時において、第2金型におけるキャビティブロックとカルブロックとの間に隙間が生じ、基体の端面と第2金型の壁面との間の隙間が全体に亘って広がり、かかる隙間に封止用樹脂が浸入して外部に漏れ出す可能性がある。
【0008】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、第2金型におけるキャビティブロックとカルブロックとの間に隙間が生じた場合において基体の端面と第2金型の壁面との間の隙間のうちの少なくとも一部の広がりを抑制することができる樹脂封止金型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の一態様に係る樹脂封止金型は、第1金型と第2金型とが型締されることによって形成される空間であるキャビティ内に、基体に搭載された電子部品が配置されるとともに、基体が第1金型と第2金型によって挟持された状態で、カルおよびランナーを含む樹脂の供給通路を通じてキャビティ内に封止用樹脂を注入して、電子部品を封止する樹脂封止金型である。第2金型は、キャビティブロックと、カルブロックと、1以上の樹脂漏れ抑制ブロックとを備える。キャビティブロックは、第1金型とともにキャビティを形成し、基体が載置される。カルブロックは、キャビティブロックと別体で形成されて第1金型とともにカルを形成し、キャビティブロックに配置される基体の端面と対向する壁面を有する。1以上の樹脂漏れ抑制ブロックは、キャビティブロックとカルブロックとの間に配置され、基体の端面と対向する壁面の一部であってキャビティブロックの壁面に隣接する壁面を含む。キャビティブロックは、係止可能に構成された係止部を備える。1以上の樹脂漏れ抑制ブロックは、係止部に係止される被係止部を備える。
【0010】
また、実施形態の一態様に係る樹脂封止金型は、第1金型と第2金型とが型締されることによって形成される空間であるキャビティ内に、基体に搭載された電子部品が配置されるとともに、基体が第1金型と第2金型によって挟持された状態で、カルおよびランナーを含む樹脂の供給通路を通じてキャビティ内に封止用樹脂を注入して、電子部品を封止する樹脂封止金型である。第2金型は、キャビティブロックと、カルブロックと、1以上の樹脂漏れ抑制ブロックと、を備える。キャビティブロックは、第1金型とともにキャビティを形成し、基体が載置される。カルブロックは、キャビティブロックと別体で形成されて第1金型とともにカルを形成し、キャビティブロックに配置される基体の端面と対向する壁面の一部を有する。1以上の樹脂漏れ抑制ブロックは、キャビティブロックとカルブロックとの間に配置され、基体の端面と対向する壁面の一部であってキャビティブロックの壁面に隣接する壁面を含む。1以上の樹脂漏れ抑制ブロックは、キャビティブロックと一体に形成される。
【発明の効果】
【0011】
実施形態の一態様によれば、第2金型におけるキャビティブロックとカルブロックとの間に隙間が生じた場合において基体の端面と第2金型の壁面との間の隙間のうちの少なくとも一部の広がりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る樹脂封止装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る被成形品の構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る樹脂封止装置の上金型の平面図である。
図4図4は、図3に示すIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、実施形態に係る樹脂封止装置の下金型の平面図である。
図6図6は、図5に示すVI-VI線に沿った断面図である。
図7図7は、図5に示すVII-VII線に沿った断面図である。
図8図8は、実施形態に係る樹脂封止装置の型締した状態における上金型と下金型との図3に示すIV-IV線および図5に示すVI-VI線に沿った断面図に相当する断面図である。
図9図9は、実施形態に係る樹脂封止装置の型締した状態における上金型と下金型との図3および図5に示す領域AR1の平面図である。
図10図10は、図8に示す状態からプランジャによって樹脂タブレットが押し上げられて被成形品が樹脂封止される状態を示す断面図である。
図11図11は、樹脂漏れ抑制ブロックが設けられていない場合における下型カルブロックと下型キャビティブロックとの間に隙間が生じた状態を示す断面図である。
図12図12は、下金型に被成形品が配置された状態の図5に示す領域AR2の平面図である。
図13図13は、図12に示す領域AR3の平面図である。
図14図14は、下型カルブロックと下型キャビティブロックとの間に隙間が生じた状態を示す図13に示すXIV-XIV線に沿った断面図に相当する図である。
図15図15は、実施形態に係る樹脂封止装置の型締した状態における図14に示す領域AR4と上型カルブロックおよび上型キャビティブロックとを含む断面図である。
図16図16は、下型カルブロックと下型キャビティブロックとの間に隙間が生じた状態を示す図12に示す領域AR3の平面図に相当する図である。
図17図17は、実施形態に係る樹脂封止装置における被成形品が載置された状態の下金型における樹脂漏れ抑制ブロックを含む領域の一部を示す斜視図(その1)である。
図18図18は、実施形態に係る樹脂封止装置における被成形品が載置された状態の下金型における樹脂漏れ抑制ブロックを含む領域の一部を示す斜視図(その2)である。
図19図19は、実施形態に係る樹脂封止装置における被成形品が載置された状態の下金型における樹脂漏れ抑制ブロックを含む領域の一部を示す斜視図(その3)である。
図20図20は、実施形態に係る樹脂封止装置における被成形品が載置された状態の下金型における樹脂漏れ抑制ブロックを含む領域の一部を示す斜視図(その4)である。
図21図21は、実施形態に係る樹脂封止装置における被成形品が載置された状態の下金型における樹脂漏れ抑制ブロックを含む領域の一部を示す平面図である。
図22図22は、実施形態に係る樹脂封止装置における他の例の樹脂漏れ抑制ブロックを含む領域の一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する樹脂封止金型の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
<1.樹脂封止金型の構成>
図1に示すように、実施形態に係る樹脂封止装置100は、樹脂封止金型1と、複数のダイバー4と、固定プラテン5と、可動プラテン6と、トランスファーユニット7とを備える。なお、位置関係の把握が容易になるように、図1を含む複数の図面には、互いに直交するX軸、Y軸、およびZ軸を含むXYZ座標系の各軸が示されており、Z軸は、上下方向である。
【0015】
複数のダイバー4は、互いに平行かつ上下方向に延在しており、不図示の基台に支持されている。固定プラテン5は、各ダイバー4の上端に固定され、可動プラテン6は、各ダイバー4に上下方向に移動可能に取り付けられている。
【0016】
樹脂封止金型1は、上金型2と、下金型3とを備える。上金型2は、第1金型の一例であり、下金型3は、第2金型の一例である。上金型2は、固定プラテン5に対して移動可能に取り付けられ、下金型3は、可動プラテン6に取り付けられている。可動プラテン6は、不図示の駆動機構によって駆動されて上下方向に移動する。上金型2は、上型チェス10と、上型チェス10を支持する上型ダイセット20とを備える。また、下金型3は、下型チェス30と、下型チェス30を支持する下型ダイセット40とを備える。
【0017】
樹脂封止装置100では、可動プラテン6が上方向に移動することによって、下金型3が上金型2に当接して上金型2と下金型3との型締が行われる。なお、樹脂封止装置100は、図1に示す例では、下金型3が上方向に移動する構成であるが、上金型2が下方向に移動する構成であってもよい。
【0018】
樹脂封止装置100では、上金型2と下金型3とが型締されることによって、上金型2と下金型3との間の空間に、図9に示すカル70、ランナー71、およびキャビティ72が形成され、被成形品80の樹脂封止が行われる。
【0019】
図2に示すように、被成形品80は、基体81と、基体81に搭載された電子部品82とを含む。基体81は、例えば、リードフレームまたはサブストレートなどの樹脂製基板である。電子部品82は、例えば、半導体素子、抵抗素子、およびコンデンサのうちの少なくとも1つを含む。
【0020】
図2に示す被成形品80では、基体81の上面81aと下面81bとに各々電子部品82が搭載されているが、被成形品80は、基体81における上面81aおよび下面81bの一方に電子部品82が搭載される構成であってもよい。
【0021】
図1に示す樹脂封止装置100では、10個の被成形品80を同時に樹脂封止することができるが、かかる例に限定されず、同時に樹脂封止することができる被成形品80の数は、9個以下であってもよく、11個以上であってもよい。また、図1に示す樹脂封止装置100では、10個の被成形品80を樹脂封止するために、5個の樹脂タブレット90が用いられるが、かかる例に限定されず、樹脂タブレット90の数は、4個以下であってもよく、6個以上であってもよい。
【0022】
ここで、上金型2および下金型3の各々についてさらに具体的に説明する。まず、上金型2について図3および図4を参照して説明する。図4に示すように、上金型2は、上型チェス10と、上型ダイセット20と、駆動機構50とを備える。
【0023】
上型チェス10は、図3および図4に示すように、上型カルブロック11と、複数の上型キャビティブロック12とを備える。上型カルブロック11は、図3に示すように、下金型3との間でカル70(図8および図9参照)を各々形成する凹状の複数のカル形成部111と、下金型3と当接する当接面112とを有する。
【0024】
各上型キャビティブロック12は、図4に示すように、下金型3との間でキャビティ72(図8および図9参照)を各々形成する凹状の複数のキャビティ面121と、上金型2と下金型3との型締時に基体81(図2参照)に当接し下金型3との間で基体81を挟み込む当接面122とを備える。さらに、各上型キャビティブロック12は、上金型2と下金型3との型締時に基体81を押圧する押圧部123を備える。
【0025】
押圧部123は、下金型3に向けて突出する凸部であり、上金型2と下金型3との型締時に基体81を押圧することで、基体81の端面81c(図2参照)を後述する壁面34(図5参照)に向けて押し出す。これにより、基体81の端面81cと壁面34との間の樹脂の供給通路の一部を形成するランナー71(図9参照)に通じる隙間G(図13参照)を閉鎖または狭めることができる。
【0026】
上型カルブロック11と各上型キャビティブロック12とは別体で構成されており、図4に示すように、上型カルブロック11と各上型キャビティブロック12とは互いに接触した状態で上型ダイセット20に収納される。駆動機構50は、複数の可動部51を有しており、複数の可動部51を移動させることで、上型チェス10が収納された上型ダイセット20を移動させる。
【0027】
次に、下金型3について図5図7を参照して説明する。図5および図6に示すように、下金型3は、下型チェス30と、下型ダイセット40とを備える。また、下金型3は、図6に示すように、駆動機構60を備える。
【0028】
下型チェス30は、図6に示すように、樹脂タブレット90が挿入される下型カルブロック31と、被成形品80が載置される2つの下型キャビティブロック32とを備える。下型カルブロック31と各下型キャビティブロック32とは、互いに別体で構成される。
【0029】
さらに、下型チェス30は、図7に示すように、下型カルブロック31と下型キャビティブロック32との間に挟まれる空間に配置される樹脂漏れ抑制ブロック33a,33bを備える。これら複数の樹脂漏れ抑制ブロック33a,33bについては後で詳述する。
【0030】
下型カルブロック31は、図5に示すように、ポット8が各々配置される複数の貫通孔311と、カル70(図8および図9参照)を各々形成する複数のカル形成部312と、ランナー71(図9参照)の一部を各々形成する複数のランナー形成部313と、上型カルブロック11の当接面112と当接する当接面314とを有する。また、下型カルブロック31は、図6に示すように、被成形品80の基体81の端面81c(図2参照)と対向する壁面34(図5参照)のうちの一部の壁面315(図6参照)を有する。
【0031】
各下型キャビティブロック32は、図5に示すように、上型キャビティブロック12(図4参照)との間でキャビティ72(図9参照)を各々形成する凹状の複数のキャビティ面321と、上型キャビティブロック12(図4参照)との間でランナー71(図9参照)の一部を各々形成する複数のランナー形成部322と、被成形品80の基体81が載置される載置面323を有する。載置面323は、下型カルブロック31の当接面314よりも基体81の厚み分だけ低い位置に形成される。
【0032】
図6に示すように、下型カルブロック31と各下型キャビティブロック32とは別体で構成されており、下型カルブロック31と各下型キャビティブロック32とは互いに接触した状態で下型ダイセット40に収納される。駆動機構60は、複数の可動部61を有しており、複数の可動部61を移動させることで、下型チェス30が収納された下型ダイセット40を移動させる。
【0033】
<2.樹脂封止金型1による樹脂封止>
図8に示すように、上金型2と下金型3とを型締した状態において、被成形品80の基体81は、上金型2と下金型3とによって挟み込まれる。具体的には、被成形品80の基体81は、上金型2の上型キャビティブロック12と下金型3の下型キャビティブロック32とによって挟み込まれる。これにより、樹脂封止金型1において被成形品80の位置が固定される。
【0034】
上金型2と下金型3とが型締された状態において、上金型2と下金型3とが型締されることによって形成される空間として、図9に示すカル70、ランナー71、およびキャビティ72が形成される。カル70およびランナー71は、封止用樹脂91(図10参照)の流路である供給通路を構成する。上金型2と下金型3とを型締した状態において、被成形品80の基体81が上金型2と下金型3とによって挟持された状態であり、被成形品80の電子部品82はキャビティ72内に配置される。
【0035】
カル70は、2つの被成形品80毎に形成され、ランナー71およびキャビティ72は、被成形品80毎に形成される。図9に示すように、各ランナー71は、上型カルブロック11と下型キャビティブロック32とによって一部または全部が形成される上流ランナー711と、上型キャビティブロック12と下型キャビティブロック32とによって一部または全部が形成される下流ランナー712とを含む。
【0036】
図8に示すポット8には、樹脂タブレット90が配置されており、樹脂タブレット90は、ポット8内において、トランスファーユニット7(図1参照)に設けられたプランジャ9の上面に載置されている状態である。樹脂タブレット90は、不図示のヒータによって溶融される。
【0037】
図8に示す状態から、プランジャ9が上金型2に向かう方向に移動する。これにより、図10に示すように、樹脂タブレット90が溶融した樹脂が封止用樹脂91としてカル70およびランナー71を経由してキャビティ72に押し出され、キャビティ72内に封止用樹脂91が注入されて充填される。
【0038】
下金型3では、上述したように、被成形品80が配置される下型キャビティブロック32と、壁面315(図6参照)を有する下型カルブロック31とが別体で構成される。そのため、上金型2と下金型3との型締時において、下金型3が反るなどによって下型キャビティブロック32と下型カルブロック31との間に隙間が生じる場合がある。
【0039】
下型キャビティブロック32と下型カルブロック31との間に隙間が生じると、被成形品80における基体81の端面81cと下型カルブロック31の壁面315との間の隙間Gが広がる。そこで、実施形態に係る樹脂封止金型1では、下型キャビティブロック32と下型カルブロック31との間に挟まれる空間に配置される樹脂漏れ抑制ブロック33a,33bを備える。
【0040】
樹脂漏れ抑制ブロック33a,33bによって、隙間Gに浸入した封止用樹脂91が基体81の外部に漏れ出すことが抑制される。以下、樹脂漏れ抑制ブロック33a,33bについて具体的に説明する。
【0041】
<3.樹脂漏れ抑制ブロック33a,33b>
図5に示すように、樹脂封止金型1の下金型3において、2つの下型キャビティブロック32の各々と下型カルブロック31との間におけるY軸方向の一端部と他端部とに樹脂漏れ抑制ブロック33a,33bが配置される。Y軸方向は、基体81の端面81cの延在方向である。樹脂漏れ抑制ブロック33a,33bは、例えば、炭素鋼、ステンレスなどの金属部材であるが、かかる例に限定されない。
【0042】
各樹脂漏れ抑制ブロック33a,33bは、図12に示すように、下型カルブロック31と下型キャビティブロック32との間に配置され、基体81の端面81cと対向する壁面34の一部であって下型カルブロック31の壁面315に隣接する壁面331cを含む。
【0043】
ここで、樹脂漏れ抑制ブロック33a,33bの機能について説明する。樹脂漏れ抑制ブロック33a,33bが設けられずに、下金型が互いに別体の下型カルブロックと下型キャビティブロックとで構成されるとする。この場合、図11に示すように、上金型と下金型との型締時において、下型カルブロックと下型キャビティブロックとの間に隙間を生じる可能性がある。下型カルブロックと下型キャビティブロックとの隙間は、下型ダイセット40によって下型カルブロックと下型キャビティブロックとが上方に押される際に、例えば、下型ダイセット40の反りなどによって生じる。
【0044】
図11に示すように、下型カルブロックと下型キャビティブロックとの間に隙間を生じると、下型カルブロックの壁面と被成形品の基体の端面との間の距離が、隙間が生じない場合の距離D1から距離D2(>D1)になる。そのため、基体の端面と下型キャビティブロックの壁面との間の隙間が全体に亘って広がり、かかる隙間を介して封止用樹脂が基体81の外部に漏れ出す可能性がある。
【0045】
そこで、実施形態に係る樹脂封止金型1では、下型カルブロック31の壁面315とともに基体81の端面81cと対向する壁面34を構成する壁面331cを含む樹脂漏れ抑制ブロック33a,33bが設けられる。
【0046】
樹脂漏れ抑制ブロック33aは、図14および図18に示すように、下型キャビティブロック32の下端に設けられた係止部325に係止される被係止部332cを備える。図14および図18に示す例では、係止部325は、凹状に形成され、被係止部332cは、凸状に形成されるが、かかる例に限定されない。例えば、係止部325が凸状に形成され、被係止部332cが凹状に形成されてもよい。
【0047】
このように、樹脂漏れ抑制ブロック33aは、下型キャビティブロック32に係止されることから、上金型2と下金型3との型締時において下型カルブロック31と下型キャビティブロック32との間に隙間が生じても、下型キャビティブロック32に追従して移動する。よって、樹脂漏れ抑制ブロック33aと下型キャビティブロック32との距離は一定に保たれる。これにより、下型キャビティブロック32と樹脂漏れ抑制ブロック33aとの間には隙間が生じない。
【0048】
これにより、図15および図16に示すように、下型カルブロック31と下型キャビティブロック32との間に隙間が生じた場合であっても、上述したように、樹脂漏れ抑制ブロック33aは、下型キャビティブロック32に係止されることから、下型キャビティブロック32に追従して移動する。これにより、樹脂漏れ抑制ブロック33aに形成された壁面331cと基体81の端面81cとの間の距離は長くならず、距離D1のままである。なお、図16に示す例では、下型カルブロック31と下型キャビティブロック32との間の距離が距離D3である隙間が下型カルブロック31と下型キャビティブロック32との間に生じている。
【0049】
そして、図16に示すように、基体81の端面81cと壁面34との間の距離は、樹脂漏れ抑制ブロック33a以外の領域では、距離D2となる。しかし、上述したように、樹脂漏れ抑制ブロック33aは、下型キャビティブロック32に係止されることから、下型キャビティブロック32に追従して移動するため、樹脂漏れ抑制ブロック33aの領域では、距離D1に維持される。すなわち、壁面34と基体81の端面81cとの隙間Gの一部である、壁面331cと基体81の端面81cとの間の隙間は、下型カルブロック31と下型キャビティブロック32との間に隙間が生じた場合であっても、大きくならない。そのため、実施形態に係る樹脂封止金型1では、下型キャビティブロック32と下型カルブロック31との間に隙間が生じた場合であっても、封止用樹脂91が基体81の外部に漏れ出すことを抑制することができる。
【0050】
樹脂漏れ抑制ブロック33bは、図19および図20に示すように、ランナー71を形成する領域を有して点で、樹脂漏れ抑制ブロック33aと異なるが、それ以外の機能は、樹脂漏れ抑制ブロック33aと同じである。
【0051】
樹脂漏れ抑制ブロック33bは、樹脂漏れ抑制ブロック33aと同様に、下型キャビティブロック32の下端に設けられた係止部325に係止される被係止部332cを備える。したがって、下型キャビティブロック32と下型カルブロック31との間に隙間が生じた場合であっても、樹脂漏れ抑制ブロック33bは、下型キャビティブロック32に係止されることから、下型キャビティブロック32に追従するため、壁面34と基体81の端面81cとの隙間Gの一部を一定に保つことができる。これにより、上金型2と下金型3との型締時において下型キャビティブロック32と下型カルブロック31との間に隙間が生じた場合であっても、封止用樹脂91が基体81の外部に漏れ出すことを抑制することができる。
【0052】
樹脂漏れ抑制ブロック33a,33bは、上述したように、2つの下型キャビティブロック32と下型カルブロック31との間におけるY軸方向の一端部と他端部とに配置される。Y軸方向は、基体81の端面81cの延在方向である。そのため、樹脂漏れ抑制ブロック33a,33bによって、樹脂封止金型1におけるY軸方向の各端部から封止用樹脂91が基体81の外部に漏れ出すことを抑制することができる。
【0053】
以下において、樹脂漏れ抑制ブロック33a,33bの構成についてさらに詳細に説明する。なお、樹脂漏れ抑制ブロック33a,33bの各々を個別に区別せずに示す場合、樹脂漏れ抑制ブロック33と記載する場合がある。
【0054】
まず、樹脂漏れ抑制ブロック33aについて説明する。図13に示すように、樹脂漏れ抑制ブロック33aは、ランナー71(図9参照)の一部を形成するランナー形成部331a,332aを有しており、ランナー71の一部を形成する領域を含む領域に配置される。
【0055】
樹脂漏れ抑制ブロック33aは、カルブロック領域331と、キャビティブロック領域332とを備える。カルブロック領域331は、下型カルブロック31に形成されている凹部316内に配置される領域である。キャビティブロック領域332は、下型キャビティブロック32に形成されている凹部324内に配置される領域である。
【0056】
カルブロック領域331は、上流ランナー711(図9参照)の一部を形成するランナー形成部331aと、上金型2と下金型3との型締状態において上型カルブロック11と当接する当接面331bと、被成形品80における基体81の端面81cと対向する壁面34の一部を形成する壁面331cとを含む。
【0057】
図17に示すように、ランナー形成部331aは、主ランナー形成部331a1と、拡幅ランナー形成部331a2とを有する。主ランナー形成部331a1は、上流ランナー711(図9参照)のうち下流ランナー712(図9参照)に連続する主ランナー部711aを形成する。拡幅ランナー形成部331a2は、上流ランナー711(図9参照)のうち主ランナー部711aから壁面331cの延在方向に広がる拡幅部711bを形成する。
【0058】
凹部316内にカルブロック領域331が配置されることで、壁面331cは、下型カルブロック31に形成される壁面315の延在方向と延在方向が一致して、壁面315と連続する位置になる。
【0059】
キャビティブロック領域332は、下流ランナー712の一部を形成するランナー形成部332aと、被成形品80における基体81の下面81bが載置される載置面332bとを含む。載置面332bは、カルブロック領域331の当接面331bに対して、基体81の厚み分だけ低い位置に形成される。
【0060】
ここで、樹脂漏れ抑制ブロック33aと上型キャビティブロック12に設けられた押圧部123との関係について説明する。図13では、上金型2と下金型3とが型締状態である場合において上型キャビティブロック12に設けられた押圧部123の位置が破線で示されている。図13に示すように、上型キャビティブロック12において、押圧部123は、上金型2と下金型3との型締方向において、樹脂漏れ抑制ブロック33aに含まれる位置に配置されている。
【0061】
押圧部123は、上金型2と下金型3との型締時において、基体81の端部を押圧することで、基体81の端面81cを樹脂漏れ抑制ブロック33aの壁面331cに向かうように押し出し膨らませる。これにより、基体の81の端面81cと壁面331cの隙間Gを閉鎖または狭めることができる。
【0062】
特に、図13に示す例では、押圧部123は、一部が拡幅部711bと対向する位置にある。そのため、上金型2と下金型3との型締時において、押圧部123のうち拡幅部711bと対向する部分が、基体81の端面81cを拡幅部711bに向かうように押し出し膨らませる。これにより、拡幅部711bがない場合に比べて、基体の81の端面81cと壁面331cの端部との隙間Gをより確実に閉鎖または狭めることができる。
【0063】
そのため、実施形態に係る樹脂封止金型1では、下型キャビティブロック32と下型カルブロック31との間に隙間が生じた場合であっても、封止用樹脂91が基体81の外部に漏れ出すことをより抑制することができる。なお、押圧部123は、全体が壁面331cと対向し、拡幅部711bと対向しない位置に配置されても、基体の81の端面81cと壁面331cの端部との隙間Gを閉鎖または狭めることができる。そのため、この場合においても、封止用樹脂91が基体81の外部に漏れ出すことをより抑制することができる。
【0064】
次に、樹脂漏れ抑制ブロック33bについて説明する。樹脂漏れ抑制ブロック33bは、図19および図20に示すようにランナー71(図9参照)を形成するランナー形成部を含まない領域に配置される。
【0065】
図19および図20に示すように、樹脂漏れ抑制ブロック33bは、ランナー形成部331aが形成されないカルブロック領域331と、ランナー形成部332aが形成されないキャビティブロック領域332とを備える点で、樹脂漏れ抑制ブロック33aと異なる。すなわち、樹脂漏れ抑制ブロック33bは、ランナー71の一部を形成する領域を含まない点で、ランナー71の一部を形成する領域を含む樹脂漏れ抑制ブロック33aと異なる。
【0066】
したがって、樹脂漏れ抑制ブロック33bは、樹脂漏れ抑制ブロック33aと同様に、下型キャビティブロック32に係止されることから、下型キャビティブロック32と下型カルブロック31との間に隙間が生じた場合であっても、下型キャビティブロック32に追従して移動する。よって、樹脂漏れ抑制ブロック33bは、壁面34と基体81の端面81cとの隙間Gの一部を一定に保つことができる。これにより、封止用樹脂91が基体81の外部に漏れ出すことを抑制することができる。
【0067】
ここで、樹脂漏れ抑制ブロック33bと上型キャビティブロック12に設けられた押圧部123との関係について説明する。図21では、上金型2と下金型3とが型締状態である場合において上型キャビティブロック12に設けられた押圧部123の位置が破線で示されている。図21に示すように、上型キャビティブロック12において、押圧部123は、上金型2と下金型3との型締方向において、樹脂漏れ抑制ブロック33bに含まれる位置に配置されている。
【0068】
押圧部123は、上金型2と下金型3との型締時において、基体81の端部を押圧することで、基体81の端面81cを樹脂漏れ抑制ブロック33bの壁面331cに向かうように押し出し膨らませる。これにより、基体の81の端面81cと壁面331cの隙間Gを閉鎖または狭めることができる。
【0069】
上述した例では、下型キャビティブロック32と樹脂漏れ抑制ブロック33とを別体で構成しており、これにより、樹脂漏れ抑制ブロック33が劣化した場合などにおいて、樹脂漏れ抑制ブロック33を交換するだけでよく、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0070】
また、樹脂封止金型1において、下型キャビティブロック32と樹脂漏れ抑制ブロック33とが一体に形成されていてもよい。これにより、下型キャビティブロック32と樹脂漏れ抑制ブロック33との位置ずれを確実に防止することができ、封止用樹脂91が基体81の外部に漏れ出すことをより抑制することができる。
【0071】
また、上述した例では、樹脂漏れ抑制ブロック33aは、ランナー71(図9参照)の延在方向と直交する方向においてランナー71の半分の領域を含まない位置に配置されるが、ランナー71の延在方向と直交する方向におけるランナー71の全体を含む位置に配置されてもよい。
【0072】
図22では、樹脂漏れ抑制ブロック33aの他の例が示されている。図22に示す樹脂漏れ抑制ブロック33aは、ランナー71の延在方向と直交する方向においてランナー71を全体に亘って形成するランナー形成部331a,332aを有する。
【0073】
図22に示す樹脂漏れ抑制ブロック33aでは、ランナー形成部331aを介して2つの壁面331cが形成されており、樹脂漏れ抑制ブロック33aは、下型キャビティブロック32に係止されることから、下型カルブロック31と下型キャビティブロック32との間に隙間が生じた場合であっても、下型キャビティブロック32に追従して移動する。これにより、2つの壁面331cと基体81の端面81cとの間の隙間Gが一定に保たれる。したがって、下型キャビティブロック32と下型カルブロック31との間に隙間が生じた場合であっても、封止用樹脂91が基体81の外部に漏れ出すことを抑制することができる。
【0074】
また、図22に示すランナー形成部331aは、拡幅ランナー形成部331a2を2つ含み、2つの拡幅ランナー形成部331a2は、ランナー71の延在方向と直交する方向において主ランナー形成部331a1を挟む位置に配置される。
【0075】
図22では、上金型2と下金型3とが型締状態である場合において上型キャビティブロック12に設けられた押圧部123の位置が破線で示されている。図22に示すように、上型キャビティブロック12において、押圧部123は、上金型2と下金型3との型締方向において、樹脂漏れ抑制ブロック33aに含まれる位置に配置されている。
【0076】
そして、各押圧部123は、上述した拡幅部711bと同様の拡幅部を形成する拡幅ランナー形成部331a2と対向する位置にあることから、上金型2と下金型3との型締時において、基体81の端部を押圧することで、基体81の端面81cを樹脂漏れ抑制ブロック33aの壁面331cに向かうように押し出し膨らませる。これにより、基体の81の端面81cと各壁面331cの端部との隙間Gをより確実に閉鎖または狭めることができる。なお、図22に示す樹脂漏れ抑制ブロック33aは、ランナー71毎に設けられてもよく、この場合、樹脂漏れ抑制ブロック33bは設けられなくてもよい。また、図5に示す、樹脂漏れ抑制ブロック33a,33bの各々の位置に、図22に示す樹脂漏れ抑制ブロック33aを設けてもよい。なお、樹脂漏れ抑制ブロック33の数および位置は、上述した例に限定されず、適宜変更することができる。
【0077】
なお、上述した例では、樹脂漏れ抑制ブロック33の壁面331cは、壁面34のうち基体81の端面81cと対向する領域の一部であるが、壁面34のうち基体81の端面81cと対向する領域のすべてを含む構成であってもよい。この場合、樹脂漏れ抑制ブロック33は、下金型3における下型キャビティブロック32と下型カルブロック31との間に隙間が生じた場合において、基体81の端面81cと下金型3の壁面34との間の隙間の広がりを全体に亘って抑制することができる。
【0078】
また、上述した例では、基体81の端面81cと対向する壁面34は、下型カルブロック31に形成されたが、上型カルブロック11に形成されてもよい。この場合、樹脂漏れ抑制ブロック33は、上金型2に配置される。
【0079】
上述してきたように、実施形態に係る樹脂封止金型1は、上金型2と下金型3とが型締されることによって形成される空間であるキャビティ72内に、基体81に搭載された電子部品82が配置されるとともに、基体81が上金型2と下金型3によって挟持された状態で、カル70およびランナー71を含む樹脂の供給通路を通じてキャビティ内に封止用樹脂91を注入して、電子部品82を封止する樹脂封止金型である。上金型2は、第1金型の一例であり、下金型3は、第2金型の一例である。下金型3は、下型キャビティブロック32と、下型カルブロック31と、1以上の樹脂漏れ抑制ブロック33と、を備える。下型キャビティブロック32は、キャビティブロックの一例であり、下型カルブロック31は、カルブロックの一例である。下型キャビティブロック32は、上金型2とともにキャビティ72を形成し、基体81が載置される。下型カルブロック31は、下型キャビティブロック32と別体で形成されて上金型2とともにカル70を形成し、下型キャビティブロック32に配置される基体81の端面81cと対向する壁面34の一部の壁面315を有する。1以上の樹脂漏れ抑制ブロック33は、下型キャビティブロック32と下型カルブロック31との間に配置され、基体81の端面81cと対向する壁面34の一部であって壁面315に隣接する壁面331cを含む。下型キャビティブロック32は、係止可能に構成された係止部325を備え、1以上の樹脂漏れ抑制ブロック33は、係止部325に係止される被係止部332cを備える。これにより、樹脂封止金型1は、下金型3における下型キャビティブロック32と下型カルブロック31との間に隙間が生じた場合においても、樹脂漏れ抑制ブロック33は下型キャビティブロック32に追従して移動するため、基体81の端面81cと壁面331cとの間の隙間が一定に保たれることから、基体81の端面81cと下金型3の壁面34との間の隙間のうちの少なくとも一部の広がりを抑制することができ、封止用樹脂91が基体81の外部に漏れ出すことを抑制することができる。
【0080】
また、1以上の樹脂漏れ抑制ブロック33は、下型キャビティブロック32と別体で形成される。これにより、樹脂封止金型1では、樹脂漏れ抑制ブロック33の交換を容易に行うことができ、メンテナンス性などを高めたり、樹脂漏れ抑制ブロック33の改良などを容易に行ったりすることができる。
【0081】
また、1以上の樹脂漏れ抑制ブロック33は、キャビティブロックと一体に形成される。これにより、樹脂封止金型1は、下型キャビティブロック32と樹脂漏れ抑制ブロック33との間に隙間が生じないことから、基体81の端面81cと壁面331cとの間の隙間を一定に保つことができ、基体81の端面81cと下金型3の壁面34との間の隙間のうちの少なくとも一部の広がりを抑制することができる。
【0082】
また、1以上の樹脂漏れ抑制ブロック33の少なくとも1つは、ランナー71の一部を形成する領域を含む領域に配置される。これにより、樹脂封止金型1は、基体81の端面81cと下金型3の壁面34との間の隙間から封止用樹脂91が基体81の外部に漏れ出すことを抑制することができる。
【0083】
また、1以上の樹脂漏れ抑制ブロック33の少なくとも1つは、ランナー71を形成する領域が含まれない領域に配置される。これにより、樹脂封止金型1は、基体81の端面81cと下金型3の壁面34との間の隙間から封止用樹脂91が基体81の外部に漏れ出すことを抑制することができる。
【0084】
また、1以上の樹脂漏れ抑制ブロック33の少なくとも1つは、端面81cの端部を含む領域に配置される。これにより、樹脂封止金型1は、基体81の端面81cと下金型3の壁面34との間の隙間から封止用樹脂91が基体81の外部に漏れ出すことを抑制することができる。
【0085】
上金型2は、上金型2と下金型3との型締時に基体81を押圧することで、基体81の端面81cを押し出して、基体81の端面81cと壁面34との間の供給通路に通じる隙間を閉鎖または狭める押圧部123を備える。これにより、樹脂封止金型1は、基体81の端面81cと下金型3の壁面34との間の隙間から封止用樹脂91が基体81の外部に漏れ出すことをより抑制することができる。
【0086】
また、1以上の樹脂漏れ抑制ブロック33は、上金型2と下金型3との型締方向から見た場合に、押圧部123を含む領域に配置される。これにより、樹脂封止金型1は、基体81の端面81cと下金型3の壁面34との間の隙間から封止用樹脂91が基体81の外部に漏れ出すことをより抑制することができる。
【0087】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 樹脂封止金型
2 上金型
3 下金型
4 ダイバー
5 固定プラテン
6 可動プラテン
7 トランスファーユニット
8 ポット
9 プランジャ
10 上型チェス
11 上型カルブロック
12 上型キャビティブロック
20 上型ダイセット
30 下型チェス
31 下型カルブロック
32 下型キャビティブロック
33,33a,33b 樹脂漏れ抑制ブロック
34,315,331c 壁面
40 下型ダイセット
50,60 駆動機構
51,61 可動部
70 カル
71 ランナー
72 キャビティ
80 被成形品
81 基体
81a 上面
81b 下面
81c 端面
82 電子部品
90 樹脂タブレット
91 封止用樹脂
100 樹脂封止装置
111,312 カル形成部
112,122,314,331b 当接面
121,321 キャビティ面
123 押圧部
311 貫通孔
313,322,331a,332a ランナー形成部
316,324 凹部
323,332b 載置面
325 係止部
331 カルブロック領域
331a1 主ランナー形成部
331a2 拡幅ランナー形成部
332 キャビティブロック領域
332c 被係止部
711 上流ランナー
711a 主ランナー部
711b 拡幅部
712 下流ランナー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22