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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167499
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】キャリア、及び、テストトレイ
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20231116BHJP
   G01R 31/27 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
G01R31/26 Z
G01R31/27
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078740
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今泉 直人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 雅一
【テーマコード(参考)】
2G003
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AG11
2G003AG14
2G003AH00
(57)【要約】
【課題】サイズの大きいDUTに対応可能としつつ、接触面積の増大を図ることができるキャリアを提供する。
【解決手段】インサート710は、DUTが挿入される開口725を有するボディ720と、開口720の内部に配置されていると共にボディ720に回転可能に支持され、DUTに接近可能な一対のラッチ部材740と、を備えている。ボディ720は、開口725の内側に向かって突出しているカバー部724を有しており、カバー部724は、一対のラッチ部材740が開位置に位置している時に、一対のラッチ部材740を覆っている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品ハンドリング装置内で搬送されるテストトレイのフレームに装着され、DUTを保持するキャリアであって、
前記DUTが挿入される貫通孔を有するキャリア本体と、
前記貫通孔の内部に配置されていると共に前記キャリア本体に回転可能に支持され、前記DUTに接近可能なラッチ部材と、を備え、
前記ラッチ部材は、
前記貫通孔の内壁に回転軸を中心として回転可能に支持されている回転部と、
前記回転軸と離隔した位置において前記回転部に接続されているアーム部と、
前記アーム部を介して前記回転部と連動して、前記DUTの主面に接近する閉位置と、前記DUTの主面から退避する開位置と、の間を回転移動するラッチ部と、を有しており、
前記キャリア本体は、前記貫通孔の内側に向かって突出しているカバー部を有しており、
前記カバー部は、前記ラッチ部が前記開位置に位置している時に、前記ラッチ部材を覆っているキャリア。
【請求項2】
請求項1に記載のキャリアであって、
前記ラッチ部材は、相互に対向している一対の前記回転部を有し、
前記アーム部は、前記一対の回転部の間に介在し、前記一対の回転部を連結しており、
前記カバー部は、前記ラッチ部が前記開位置に位置している時に、前記アーム部を覆っているキャリア。
【請求項3】
請求項1に記載のキャリアであって、
前記ラッチ部を前記アーム部の延在方向に投影した場合において、前記ラッチ部と前記回転部とのなす角は90°以上であるキャリア。
【請求項4】
請求項1に記載のキャリアであって、
前記キャリアは、相互に対向するように前記貫通孔の内部に設けられた一対の前記ラッチ部材を備え、
前記キャリア本体は、前記一対のラッチ部材に対応する位置に配置された一対の前記カバー部を有しているキャリア。
【請求項5】
請求項4に記載のキャリアであって、
前記カバー部は、前記ラッチ部が前記開位置に位置している時に、一対の前記アーム部を覆っているキャリア。
【請求項6】
請求項1に記載のキャリアであって、
前記カバー部は、前記ラッチ部が前記開位置に位置している時に、前記ラッチ部を覆っているキャリア。
【請求項7】
請求項1に記載のキャリアであって、
前記キャリア本体は、前記カバー部が接続されているメインボディを有しており、
前記メインボディは、前記カバー部と接続する第1の主面を含み、
前記カバー部は、前記第1の主面と接続する第2の主面を含み、
前記第1及び第2の主面は同一平面上に存在しているキャリア。
【請求項8】
請求項1に記載のキャリアであって、
前記キャリアは、前記キャリア本体に着脱可能に装着され、前記貫通孔に挿入された前記DUTを保持するデバイス保持部をさらに備えるキャリア。
【請求項9】
請求項1に記載のキャリアであって、
前記ラッチ部材を押圧することにより、前記ラッチ部材を前記回転軸を中心として回転させる押圧機構をさらに備えるキャリア。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のキャリアと、
前記キャリアを保持する前記フレームと、を備えたテストトレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路素子等の被試験電子部品(DUT:Device Under Test)を保持するキャリア、及び、当該キャリアを備えるテストトレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
被試験ICデバイスは、テストトレイに装着されたインサートに収納されてテストヘッドまで搬送され、インサートに収納された状態でテストヘッドに押し付けられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このインサートは、ガイドコアと、インサート本体と、レバープレートと、を備えている(引用文献1(図7図11、及び、図12))。ガイドコアは、開口部を含む底板部を有しており、底板部によって被試験ICデバイスを支持する。このガイドコアは、インサート本体に装着される。
【0004】
インサート本体は一対のラッチを含むラッチ機構を有しており、一対のラッチはシャフトを介してインサート本体の開口部に回転可能に支持されている。一対のラッチは、被試験ICデバイスの上面に被るラッチ部を有しており、このラッチ部が被試験ICデバイスのインサート外への飛び出しを防止する。
【0005】
X-Y搬送装置により被試験ICデバイスをガイドコアに搬入する際に、レバープレートはX-Y搬送装置の吸着ヘッドによりインサート本体に向かって押圧される。これにより、レバープレートは、ラッチのレバープレート作用部を下方に向かって押圧してラッチ部を上方に回転移動させ、一対のラッチを開状態とする(引用文献1(図12(b)))。この状態で、被試験ICデバイスはガイドコアに搬入される。一方で、レバープレート作用部への押圧力が取り除かれるとラッチ部が下方に回転移動し、一対のラッチは閉状態となる(引用文献1(図12(a)))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2003/075024号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の技術におけるラッチでは、開状態において、ラッチ部がインサートボディの開口部の内側面に沿って配置されているので(引用文献1(図12(b)))、サイズの大きいDUTに対応することが可能となっている。
【0008】
しかしながら、インサートボディの開口部の内側面の近傍において、開状態のラッチが開口部から飛び出すため(引用文献1(図12(b)))、開口部の面積を大きく取る必要が生じている。
【0009】
被試験ICデバイスをテストする際には、インサートに収納された被試験ICデバイスは、プッシャによりテストヘッドに押し付けられるが、インサートボディはプッシャが設けられているマッチプレートと接触するように構成される場合がある。このとき、上記のインサートでは、インサートボディとマッチプレートとの接触面積が小さくなるので、インサートボディがマッチプレートから受ける圧力が大きくなり、インサートが破損したり、インサートの寿命が短くなってしまうことがある、という問題がある。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、サイズの大きいDUTに対応可能としつつ、接触面積の増大を図ることができるキャリア、及び、当該キャリアを備えるテストトレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1]本発明の態様1は、電子部品ハンドリング装置内で搬送されるテストトレイのフレームに装着され、DUTを保持するキャリアであって、前記DUTが挿入される貫通孔を有するキャリア本体と、前記貫通孔の内部に配置されていると共に前記キャリア本体に回転可能に支持され、前記DUTに接近可能なラッチ部材と、を備え、前記ラッチ部材は、前記貫通孔の内壁に回転軸を中心として回転可能にされている回転部と、前記回転軸と離隔した位置において前記回転部に接続されているアーム部と、前記アーム部を介して前記回転部と連動して、前記DUTの主面に接近する閉位置と、前記DUTの主面から退避する開位置と、の間を回転移動するラッチ部と、を有しており、前記キャリア本体は、前記貫通孔の内側に向かって突出しているカバー部を有しており、前記カバー部は、前記ラッチ部が前記開位置に位置している時に、前記ラッチ部材を覆っているキャリアである。
【0012】
[2]本発明の態様2は、態様1のキャリアにおいて、前記ラッチは、相互に対向している一対の前記回転部を有し、前記アーム部は、前記一対の回転部の間に介在し、前記一対の回転部を連結しており、前記カバー部は、前記ラッチ部が前記開位置に位置している時に前記アーム部を覆っているキャリアであってもよい。
【0013】
[3]本発明の態様3は、態様1又は態様2に記載のキャリアにおいて、前記ラッチ部を前記アーム部の延在方向に投影した場合において、前記ラッチ部と前記回転部とのなす角は90°以上であるキャリアであってもよい。
【0014】
[4]本発明の態様4は、態様1~3のいずれか一つのキャリアにおいて、前記キャリアは、相互に対向するように前記貫通孔の内部に設けられた一対の前記ラッチ部材を備え、
前記キャリア本体は、前記一対のラッチ部材に対応する位置に配置された一対の前記カバー部を有しているキャリアであってもよい。
【0015】
[5]本発明の態様5は、態様4のキャリアにおいて、前記カバー部は、前記ラッチ部が前記開位置に位置している時に、一対の前記アーム部を覆っているキャリアであってもよい。
【0016】
[6]本発明の態様6は、態様1~5のいずれか一つのキャリアにおいて、前記カバー部は、前記ラッチ部が前記開位置に位置している時に、前記ラッチ部を覆っているキャリアであってもよい。
【0017】
[7]本発明の態様7は、態様1~6のいずれか一つのキャリアにおいて、前記キャリア本体は、前記カバー部が接続されているメインボディを有しており、前記メインボディは、前記カバー部と接続する第1の主面を含み、前記カバー部は、前記第1の主面と接続する第2の主面を含み、前記第1及び第2の主面は同一平面上に存在しているキャリアであってもよい。
【0018】
[8]本発明の態様8は、態様1~7のいずれか一つのキャリアにおいて、前記キャリアは、前記キャリア本体に着脱可能に装着され、前記DUTを保持した状態で前記貫通孔に挿入されるデバイス保持部をさらに備えるキャリアであってもよい。
【0019】
[9]本発明の態様9は、態様1~8のいずれか一つのキャリアにおいて、前記ラッチ部材を押圧することにより、前記ラッチ部材を前記回転軸を中心として回転させる押圧機構をさらに備えるキャリアであってもよい。
【0020】
[10]本発明の態様10は、態様1~9のいずれか一つのキャリアと、前記キャリアを保持する前記フレームと、を備えたテストトレイである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、カバー部は、ラッチ部が開位置に位置している時に、ラッチ部材を覆っているため、サイズの大きいDUTに対応可能としつつ、接触面積の増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の実施形態におけるキャリアを使用する電子部品試験装置の一例を示す概略断面図である。
図2図2は、図1の電子部品試験装置を示す斜視図である。
図3図3は、図1及び図2の電子部品試験装置でのトレイの移送について説明するための概念図である。
図4図4は、上記の電子部品試験装置において用いられるICストッカの一例を示す分解斜視図である。
図5図5は、上記の電子部品試験装置において用いられるカスタマトレイの一例を示す斜視図である。
図6図6は、本発明の実施形態におけるテストトレイの一例を示す斜視図である。
図7図7は、本発明の実施形態におけるインサート(キャリア)の一例を示す分解斜視図である。
図8図8は、本発明の実施形態におけるインサートのボディにラッチ部材を取り付けた状態を示す拡大斜視図である。
図9図9は、本発明の実施形態におけるインサートのコアの一例を示す分解斜視図である。
図10図10は、本発明の実施形態におけるインサートのコアの一例を示す底面図である。
図11図11(A)は、図8のXIA-XIA線に沿った断面図であると共に、本発明の実施形態におけるラッチ部が開位置に位置している状態を示す断面図であり、図11(B)は、当該ラッチ部が閉位置に位置している状態を示す断面図である。
図12図12(A)は、本発明の実施形態におけるラッチ部が開位置に位置している状態を示す拡大平面図であり、図12(B)は、当該ラッチ部が閉位置に位置している状態を示す拡大平面図である。
図13図13は、本発明の実施形態におけるインサートに保持されたDUTをテストする方法を示す断面図である。
図14図14は、図7のXIV-XIV線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態におけるキャリア710を使用する電子部品試験装置1000を示す概略断面図であり、図2図1の電子部品試験装置1000を示す斜視図であり、図3図1及び図2の電子部品試験装置1000でのトレイTSTの移送について説明するための概念図である。
【0024】
図1に示す電子部品試験装置1000は、DUT90に高温又は低温の熱ストレスを印加し、この状態でDUT90が適切に動作するか否かを、テストヘッド5及びテスタ6を用いて試験(検査)する。そして、この電子部品試験装置1000は、試験結果に基づいてDUT90を分類する。DUT90の具体例としては、例えば、メモリ系のデバイスを例示することができる。
【0025】
電子部品試験装置1000では、試験対象となる多数のDUT90がカスタマトレイKST(図5参照)に搭載される。また、電子部品試験装置1000のハンドラ1内では、テストトレイTST(図6参照)が循環される。DUT90は、カスタマトレイKSTからテストトレイTSTに載せ替えられて試験される。本実施形態におけるハンドラ1が、本発明の態様における「電子部品ハンドリング装置」の一例に相当する。
【0026】
図1に示すように、ハンドラ1の下部には空間8が設けられており、この空間8にテストヘッド5が配置されている。テストヘッド5上にはソケット50が設けられており、このソケット50はケーブル7を通じてテスタ6に接続されている。
【0027】
この電子部品試験装置1000では、テストトレイTSTに載せられたDUT90と、テストヘッド5上のソケット50とが、接触して電気的に接続され、かかる状態のDUT90に電気信号などが与えられ、テスタ6から出力される信号に基づいてDUT90が試験(検査)される。なお、DUT90の品種交換の際には、ソケット50および後述のコア730が、DUT90の形状やピン数などに適合するものに交換される。
【0028】
図2及び図3に示すように、ハンドラ1は、格納部200と、ローダ部300と、テスト部100と、アンローダ部400とを備える。格納部200は、試験前や試験済みのDUT90を格納する。ローダ部300は、格納部200から移送されるDUT90をテスト部100に移送する。テスト部100は、テストヘッド5のソケット50が内部に臨むように構成されている。アンローダ部400は、テスト部100で試験が行われた試験済みのDUT90を分類する。
【0029】
図4は上記の電子部品試験装置1000において用いられるICストッカを示す分解斜視図であり、図5は上記の電子部品試験装置1000において用いられるカスタマトレイを示す斜視図である。
【0030】
格納部200は、図4に示すように、試験前ストッカ201と、試験済ストッカ202とを備える。試験前ストッカ201は、試験前のDUT90を収容したカスタマトレイKSTを格納する。試験済ストッカ202は、試験結果に応じて分類されたDUT90を収容したカスタマトレイKSTを格納する。試験前ストッカ201および試験済ストッカ202は、枠状のトレイ支持枠203と、このトレイ支持枠203の下部から進入して上部に向かって昇降するエレベータ204とを備える。トレイ支持枠203には、カスタマトレイKSTが複数積み重ねられている。この積み重ねられたカスタマトレイKSTは、エレベータ204によって上下に移動される。
【0031】
このカスタマトレイKSTは、図5に示すように、DUT90を収容する凹状の複数の収容部を備える。この複数の収容部は、複数行複数列(例えば14行13列)に配列されている。なお、試験前ストッカ201と試験済ストッカ202とは同一の構造である。
【0032】
図2および図3に示すように、試験前ストッカ201には、2個のストッカSTK-Bと2個の空トレイストッカSTK-Eとが設けられている。2個のストッカSTK-Bは、相互に隣り合い、これらの2個のストッカSTK-Bの隣において、2個の空トレイストッカSTK-Eが相互に隣り合っている。空トレイストッカSTK-Eは、アンローダ部400に移送される空のカスタマトレイKSTが積み重ねられている。
【0033】
試験前ストッカ201の隣には、試験済ストッカ202が設けられている。この試験済ストッカ202には、8個のストッカSTK-1,STK-2,…,STK-8が設けられている。試験済ストッカ202は、試験済のDUT90を試験結果に応じて最大で8分類に仕分けて格納できるように構成されている。例えば、試験済のDUT90は、試験済ストッカ202において、良品と不良品とに仕分けできる他に、動作速度が高速な良品と、動作速度が中速な良品と、動作速度が低速な良品とに仕分けでき、或いは、再試験が必要な不良品と再試験が不要な不良品とに仕分けできる。
【0034】
格納部200は、図2に示すように、トレイ移送アーム205をさらに備える。トレイ移送アーム205は、格納部200と装置基台101との間に設けられている。このトレイ移送アーム205は、カスタマトレイKSTを、装置基台101の下側からローダ部300に移送する。装置基第101においてローダ部300に対応する位置には、一対の窓部370が形成されている。
【0035】
ローダ部300は、デバイス搬送装置310を備える。このデバイス搬送装置310は、2本のレール311と、可動アーム312と、可動ヘッド320とを備える。2本のレール311は、装置基台101上に架設されている。可動アーム312は、2本のレール311に沿ってテストトレイTSTとカスタマトレイKSTとの間を往復移動する。なお、可動アーム312の移動方向をY方向と称する。可動ヘッド320は、可動アーム312によって支持され、X方向に移動する。可動ヘッド320には、不図示の複数の吸着パッドが下向きに装着されている。
【0036】
デバイス搬送装置310は、複数の吸着パッドで複数のDUT90を吸着した可動ヘッド320をカスタマトレイKSTからプリサイサ(preciser)360に移動させる。これにより、DUT90が、カスタマトレイKSTからプリサイサ360に移送される。そして、デバイス搬送装置310は、プリサイサ360において、可動アーム312および可動ヘッド320により、DUT90の相互の位置関係を修正する。その後、デバイス搬送装置310は、DUT90を、ローダ部300で停止しているテストトレイTSTに移送する。これにより、DUT90が、カスタマトレイKSTからテストトレイTSTに積み替えられる。
【0037】
テスト部100は、図2及び図3に示すように、ソークチャンバ110と、テストチャンバ120と、アンソークチャンバ130とを備える。ソークチャンバ110は、テストトレイTSTに搭載されたDUT90に、目的とする高温又は低温の熱ストレスを印加する。テストチャンバ120は、ソークチャンバ110において熱ストレスが印加されたDUT90をテストヘッド5に押し付ける。アンソークチャンバ130は、テストチャンバ120で試験されたDUT90から熱ストレスを除去する。
【0038】
ソークチャンバ110においてDUT90に高温を印加する場合には、アンソークチャンバ130においてDUT90を送風により室温まで冷却する。一方、ソークチャンバ110においてDUT90に低温を印加する場合は、アンソークチャンバ130においてDUT90を温風又はヒータ等により結露が生じない程度の温度まで加熱する。
【0039】
図2に示すように、ソークチャンバ110及びアンソークチャンバ130は、テストチャンバ120よりも上方に突出している。また、図3に示すように、ソークチャンバ110には、垂直搬送装置が設けられており、先行のテストトレイTSTがテストチャンバ120内に存在する間、後行の複数のテストトレイTSTが垂直搬送装置に支持された状態で待機する。後行の複数のテストトレイTSTに搭載されたDUT90は、待機中に高温または低温の熱ストレスを印加される。
【0040】
テストチャンバ120の中央には、テストヘッド5が配置されている。そのテストヘッド5の上にテストトレイTSTが移送される。テストチャンバ120の中央では、テストトレイTSTに搭載されたDUT90の端子と、テストヘッド5上のソケット50の接触子が接触され、DUT90の試験が行われる。試験が終了したDUT90が搭載されたテストトレイTSTは、アンソークチャンバ130に移送される。アンソークチャンバ130では、試験が終了したDUT90が室温まで除熱される。除熱されたDUT90が搭載されたテストトレイTSTは、アンローダ部400に搬出される。
【0041】
ソークチャンバ110の上部には、テストトレイTSTを装置基台101からソークチャンバ110に搬入するための入口が形成されている。一方、アンソークチャンバ130の上部には、テストトレイTSTをアンソークチャンバ130から装置基台101に搬出するための出口が形成されている。
【0042】
図2に示すように、装置基台101には、トレイ搬送装置102が設けられている。このトレイ搬送装置102は、テストトレイTSTを装置基台101からソークチャンバ110に搬入し、テストトレイTSTをアンソークチャンバ130から装置基台101に搬出する。このトレイ搬送装置102は、例えば、回転ローラ等で構成されている。
【0043】
テストトレイTSTが、トレイ搬送装置102によってアンソークチャンバ130から装置基台101に搬出された後、そのテストトレイTSTに搭載されている全てのDUT90が、デバイス搬送装置410(後述)により試験結果に応じたカスタマトレイKSTに積み替えられる。その後、テストトレイTSTは、アンローダ部400およびローダ部300を経由してソークチャンバ110に移送される。
【0044】
図2に示すように、アンローダ部400には、2台のデバイス搬送装置410が設けられている。このデバイス搬送装置410は、ローダ部300に設けられたデバイス搬送装置310と同一構造である。2台のデバイス搬送装置410は、試験済みのDUT90を、装置基台101に存在するテストトレイTSTから、試験結果に応じたカスタマトレイKSTに積み替える。
【0045】
装置基台101には、二対の窓部470が形成されている。この二対の窓部470は、アンローダ部400に移送されたカスタマトレイKSTが装置基台101の上面に臨むように配置されている。この二対の窓部470と上述の窓部370との下側には、不図示の昇降テーブルが設けられている。この昇降テーブルは、試験済のDUT90が搭載されたカスタマトレイKSTを下降させてトレイ移送アーム205に受け渡す。
【0046】
以下、DUT90を保持することが可能なインサートを備えたテストトレイTSTの構成について説明する。
【0047】
図6はテストトレイTSTを示す斜視図であり、図7は本実施形態におけるインサート710を示す分解斜視図である。図6に示すように、テストトレイTSTは、フレーム700と、複数のインサート(キャリア)710とを備えている。フレーム700は、矩形状の外枠701と、外枠701内に設けられた格子形状の内枠702とを備えている。フレーム700には、外枠701と内枠702により区画された複数の矩形状の開口703が形成されている。フレーム700には、外枠701と内枠702の交差部、及び、内枠702の各交差部に、複数の貫通孔704が形成されている。図7に示すように、貫通孔704には、ファスナ705が挿入される。本実施形態におけるインサート710が、本発明の態様における「キャリア」の一例に相当する。
【0048】
それぞれのインサート710は、1つの開口703に対応して設けられている。言い換えれば、複数のインサート710は、テストトレイTSTのフレーム700内に、複数行複数列のマトリクスを形成するように配列されている。
【0049】
図7は本実施形態におけるインサート710を示す分解斜視図である。インサート710は、図7に示すように、ボディ720と、複数(本例では4個)のコア730と、複数(本例では4対)のラッチ部材740(740a,740b)と、押圧機構750と、を備えている。本実施形態におけるボディ720が本発明の態様における「キャリア本体」の一例に相当し、本実施形態におけるコア730が本発明の態様における「デバイス保持部」の一例に相当する。
【0050】
ボディ720は、フレーム700に対してインサート710を微動可能に保持するための部材である。複数のボディ720のうち、フレーム700の最外周に位置する開口703に対応するボディ720は、ボディ720の外周部720aの一部が外枠701と重なり、外周部720aの他の部分が内枠702と重なるように配置される。その他のボディ720は、外周部720aが内枠702と重なるように配置される。ボディ720の外周部720aの一部が、外枠701又は内枠702と、ファスナ705と、の間に保持されることによって、ボディ720はフレーム700に対しXY平面方向に微動可能な状態で保持される。
【0051】
ボディ720は、コア730が装着される部材であり、コア730を保持する。本実施形態におけるボディ720は、矩形枠状の樹脂成形体であり、フレーム700の開口703に対応した形状を有している。このボディ720は、メインボディ721と、複数のカバー部724と、複数の開口725と、複数のフック受け部726と、複数の軸受け部727と、複数の押圧部材受け部728と、を有している。なお、本実施形態における開口725が本発明の態様における「貫通孔」の一例に相当する。
【0052】
本実施形態におけるメインボディ721は、外周部722と、内枠723と、を有している。外周部722は、矩形枠状を有している。この外周部722の内側に十字形状の内枠723が設けられている。
【0053】
図8は、本実施形態におけるインサート710のボディ720にラッチ部材740を取り付けた状態を示す拡大斜視図である。図8に示すように、カバー部724は、メインボディ721の内側に設けられており、メインボディ721から開口725の内側に向かって突出する平板状の部分である(図11(A)及び図11(B)参照)。本実施形態におけるカバー部724は、開口725においてメインボディ721に対して略垂直に立設しており、メインボディ721と一体的に形成されている。
【0054】
カバー部724は、ラッチ部材740の個数と同数設けられている。本実施形態では、相互に対向する一対のラッチ部材740に対応する位置に、相互に対向する一対のカバー部724が配置されている。一対のカバー部724は、ラッチ部材740a,740bのラッチ部745が開位置(後述)に位置している時にラッチ部材740a,740bの一部を覆っている。具体的には、本実施形態のカバー部724は、ラッチ部材740のアーム部744及びラッチ部745を覆っている。
【0055】
また、本実施形態では、カバー部724が開口725の上端部に位置している。このため、メインボディ721の第1の主面(上面)721aは、カバー部724の第2の主面(上面)724aと直接的に接続しており、第1及び第2の主面721a,724aは同一平面上に存在している。これにより、後述の押圧装置60(図12参照)のマッチプレート61と、インサート710の上面(第1及び第2の主面721a,724a)と、の接触面積の増大を図ることができる。
【0056】
開口725は、一対のカバー部724と、メインボディ721の外周部722と、メインボディ721の内枠723と、の内側に設けられた矩形状の貫通孔である。図7に示すように、ボディ720は、コア730の個数と同数の開口725を有している。複数の開口725は、ボディ720において、複数行・複数列のマトリクス(本例では2行2列)を形成している。なお、本実施形態では、ボディ720に4つの開口725が形成されているが、開口725の個数は特にこれに限定されない。
【0057】
開口725は、図中Z方向にボディ720を貫通するように形成されている。開口725には、DUT90が挿通可能となっている。開口725は、コア730がボディ720に装着されることにより、コア730の開口734と連通する。
【0058】
複数のフック受け部726は、コア730のフック732と係合するための部分である。複数のフック受け部726は、それぞれの開口725の内部に形成されており、各々のコア730は、フック732がフック受け部726に係合することにより、ボディ720から吊り下がるようにボディ720に保持される。
【0059】
複数の軸受け部727は、ラッチ部材740の回転軸742(後述)を回転可能に保持する部分である。本実施形態において、ボディ720の外周部722に形成されている軸受け部727は丸穴であり、内枠723に形成されている軸受け部727はスリットである。なお、軸受け部727の形状はこれに限定されず、回転軸742が回転可能であればどのような形状であってもよい。
【0060】
複数の押圧部材受け部728は、押圧機構750の押圧ピン752を挿通させる部分である。詳細は後述するが、押圧部材受け部728は、押圧部材受け部728内において押圧ピン752がZ方向に移動可能となるようなスリットである。なお、押圧部材受け部728の形状はこれに限定されず、押圧ピン752がZ方向に移動可能であればどのような形状であってもよい。
【0061】
図9は、本実施形態におけるインサート710のコア730の一例を示す分解斜視図であり、図10は、本実施形態におけるインサート710のコア730の一例を示す底面図である。図9に示すように、コア730は、矩形枠状の樹脂成形体であり、コア本体731と、複数(本例では4個)のフック732と、フィルム733を備えている。コア本体731には、開口734が形成されている。コア730は、ボディ720と着脱可能であり、DUT90の品種に応じて交換可能となっている。コア本体731の形状や開口734の大きさは、DUT90の形状に応じて適宜設計することができる。
【0062】
開口734は、図中Z方向にコア本体731を貫通している。開口734は、コア730がフック732を介してボディ720に装着されることにより、ボディ720の開口725と連通する。これにより、ボディ720の上方から開口725を介してインサート710に挿入されたDUT90が、開口734を介してコア本体731に挿入され、コア730に保持されることが可能となっている。
【0063】
コア本体731の底部には、フィルム733が配置されている。フィルム733は、矩形状の樹脂製の薄膜である。図10に示すように、コア本体731の枠形状の底部に、複数(本例では12個)のカシメ部材735により取り付けられている。フィルム733は、コア本体731の1つの開口734を覆うように取り付けられており、フィルム733の上にDUT90が載置されることで、コア本体731がDUT90を保持することが可能となっている。
【0064】
フィルム733には、DUT90の底面に設けられた端子91(図13参照)に対応するように、複数の小孔733aが形成されている。フィルム733に載置されたDUT90の端子91がこれらの小孔733aを介してコア730の下方に突出し、DUT90のテストの際にテストヘッド5上のソケット50と接触することができる。
【0065】
フィルム733の中央には、大孔733bが形成されている。テストチャンバ120の所定の位置に取り付けられた光センサ(不図示)から発射した光をこの大孔733bに通過させることで、コア730にDUT90が保持されているか否かを検出することができる。
【0066】
なお、本実施形態では、フィルム733によってDUT90を保持する形態を説明したがこれに限定されない。例えば、フィルム733の代わりに、コア本体731の底部に、開口734の中心に向かって突出する複数の保持片が設けられていてもよい。DUT90は、これらの保持片に下方から支持されることにより、コア730に保持されていてもよい。
【0067】
図7及び図8に示すように、複数のラッチ部材740は、ボディ720の開口725の内部に配置されていると共に、ボディ720に回転可能に支持されている。本実施形態では、1つの開口725に対して一対のラッチ部材740a,740bが設けられており、1つのボディ720に対して4対のラッチ部材740a,740bが設けられている。ラッチ部材740は、コア730に保持されたDUT90に接近可能であり、DUT90に接近した状態でDUT90がコア730から飛び出ることを防止する。なお、本実施形態では1個の開口725に対して2個のラッチ部材740が設けられているが、1個の開口725に対して1個のラッチ部材740が設けられていてもよい。
【0068】
ラッチ部材740aとラッチ部材740bとは基本的に同じ構成を有しているため、ラッチ部材740aの構成を代表として説明する。図7に示すように、ラッチ部材740aは、一対の回転部741と、アーム部744と、ラッチ部745と、を備えている。
【0069】
回転部741は、開口725の内壁に回転軸742を中心として回転可能に設けられる。本実施形態における回転部741は、開口725の内壁に略平行となるように配置された平板形状を有している。この回転部741は、回転軸742と、被押圧孔743と、を有している。
【0070】
回転軸742は、回転部741の主面に略垂直に立設されている柱状の部材である。この回転軸742は、ボディ720の軸受け部727に回転可能に保持される。
【0071】
被押圧孔743は、回転部741を貫通する貫通孔である。この被押圧孔743は、後述の押圧機構750の押圧ピン752(図7及び図13参照)を挿通され、押圧ピン752によって被押圧孔743の内壁を押圧される。この被押圧孔743の内壁が下方に押圧された場合、回転部741は回転軸742を中心として下方に向かって回転し、被押圧孔743の内壁が上方に押圧された場合、回転部741は回転軸742を中心として上方に回転する。
【0072】
アーム部744は、回転部741の主面に立設されており、かつ、開口725の内壁に略平行となるように配置された柱状の部材である。このアーム部744は、回転軸742と離隔した位置において回転部741に接続されている。よって、アーム部744は回転部741の回転(自転)に連動して、回転軸742を中心に回転(公転)することができる。本実施形態におけるアーム部744は、一対の回転部741の間に介在しており、一対の回転部741を連結している。また、アーム部744は、特に限定されないが、回転部741と一体的に形成されている。
【0073】
アーム部744の略中央にラッチ部745が接続されている。このラッチ部745は、下方に向かって延在する柱状の部材であり、DUT90がコア730から飛び出ることを防止する部分である。
【0074】
図11(A)は、図8のXIA-XIA線に沿った断面図であると共に、本実施形態におけるラッチ部745が開位置に位置している状態を示す断面図である。一方で、図11(B)は、ラッチ部745が閉位置に位置している状態を示す断面図である。図12(A)は、本実施形態におけるラッチ部745が開位置に位置している状態を示す平面図である。一方で、、図12(B)は、ラッチ部745が閉位置に位置している状態を示す平面図である。
【0075】
ラッチ部745は、アーム部744を介して回転部741の回転と連動して回転移動する。本実施形態におけるラッチ部745は、図11(A)に示すようなDUT90の主面から退避する開位置と、図11(B)に示すようなDUT90の主面に接近する閉位置と、の間を回転移動する。
【0076】
図11(A)に示すように、本実施形態における開位置とは、ラッチ部745がコア730に保持されたDUT90から最も離れている位置のことである。この開位置に一対のラッチ部745が位置している時、一対のラッチ部745は互いに最も離れている。例えば、上述の可動ヘッド320(図2参照)によりDUT90をコア730内に配置する時、DUT90は開口725を経由して開口734に挿入される。この時に、DUT90がラッチ部材740と接触しないように、ラッチ部745を退避させて開位置に位置させる。また、DUT90をインサート710から取り出す時も同様に、ラッチ部745を開位置に位置させる。
【0077】
本実施形態では、上述のように、ラッチ部745が開状態に位置している状態において、カバー部724は、ラッチ部材740のアーム部744及びラッチ部745を覆っている。具体的には、図12(A)に示すように、平面視において、カバー部材724がラッチ部材740のアーム部744に重なっていると共に、カバー部材724が当該ラッチ部材740のラッチ部745と重なっている。換言すれば、ラッチ部材740のアーム部744及びラッチ部745が、カバー部724の下方に位置している。なお、本実施形態ではアーム部744の全体とラッチ部745の全体とがカバー部724に覆われているがこれに限定されない。例えば、カバー部724が、アーム部744の一部のみを覆っていてもよいし、ラッチ部725の一部を覆っていてもよい。
【0078】
一方で、図11(B)に示すように、本実施形態における閉位置とは、ラッチ部745がコア730に保持されたDUT90に最も接近している位置のことである。この閉位置に一対のラッチ部745が位置している時、一対のラッチ部745は互いに最も接近している。例えば、DUT90をインサート710に挿入する時やインサート710から取り出す時以外には、ラッチ部745は閉位置に位置している。インサート710に保持されたDUT90をテストチャンバ120(図2参照)において試験する時にも、ラッチ部745は閉位置に位置している。
【0079】
この閉状態においては、開状態とは対照的に、カバー部724は、ラッチ部材740のアーム部744及びラッチ部745を覆っていない。具体的には、図12(B)に示すように、平面視において、カバー部材724がラッチ部材740のアーム部744及びラッチ部745と重なっていない。換言すれば、ラッチ部材740のアーム部744及びラッチ部745が、カバー部材724の下方に位置していない。
【0080】
図13は、本実施形態におけるインサートに保持されたDUTをテストする方法を示す断面図である。図13に示すように、DUT90の試験時にはテストトレイTST(図6参照)のフレーム700の開口703に対応する位置にDUT90を押圧する押圧装置60が配置される。
【0081】
押圧装置60は、マッチプレート61と、プッシャ62と、を有している。マッチプレート61は、プレート状の部材であり、本実施形態ではプッシャ62がDUT90を押圧する際にインサート710の上面と接触するように構成されている。
【0082】
プッシャ62は、マッチプレート61に保持されており、インサート710に保持されているDUT90をソケット50に向かって押圧する。これにより、DUT90の端子91はソケット50の接触子51と接触し、DUT90とテストヘッド5が電気的に接続する。このように、試験時には、プッシャ62がDUT90を押圧するため、閉位置における一対のラッチ部745間の距離は、プッシャ62の幅より大きくなっている。
【0083】
図11(A)、図11(B)、及び、図13に示すように、本実施形態におけるラッチ部745をアーム部744の延在方向(図中X方向)に投影した場合において、ラッチ部745と回転部741とのなす角θは90°以上である(θ≧90°)。このように、角θを90°以上とすることにより、インサート710は、ラッチ部745とプッシャ62との間にクリアランスを保ちつつ、サイズの大きいDUTに対応可能となる。
【0084】
また、図13に示すように、マッチプレート61がインサート710の上面に接触するが、ボディ720がカバー部724を有しており、このカバー部724によって、マッチプレート61との接触面積が増加しているので、ボディ720がマッチプレート61から受ける圧力を小さくすることができる。これにより、インサート710が破損したり、インサート710の寿命が短くなってしまうことを抑制することができる。
【0085】
図7に示すように、押圧機構750は、被押圧孔743を介してラッチ部材740を押圧する。この押圧機構750は、可動部材751と、押圧ピン752と、スプリング753と、を有している。本実施形態における押圧ピン752は、本発明の態様における「押圧部材」の一例に相当する。
【0086】
図14は、図7のXIV-XIV線に沿った断面図であり、押圧機構750の動作を説明するための断面図である。図7及び図14に示すように、可動部材751は、ボディ720の内枠723とラッチ部材740との間に介在している略U字状の部材である。この可動部材751は、内側にスプリング753を収容している。
【0087】
この可動部材751は、一対のピン挿入孔751aを有している。図14に示すように、それぞれのピン挿入孔751aは、内枠723に形成された押圧部材受け部728と、ラッチ部材740に形成された被押圧孔743と、の間に介在している。
【0088】
押圧ピン752は、押圧部材受け部728と、一対のピン挿入孔751aと、一対の被押圧孔743と、に挿入されている。この押圧ピン752は、被押圧孔743の内壁を押圧することによって、ラッチ部材740の回転部741を回転させて、ラッチ部材740を開閉させる。また、この押圧ピン752は、ピン挿入孔751aにおいて可動部材751を支持していると共に、押圧部材受け部728において内枠723に支持されている。
【0089】
スプリング753は、弾性部材であれば特に限定されないが、例えば、弦巻ばねである。このスプリング753の上端は内枠723に固定されている。また、スプリング753の下端は可動部材751により上方に向かって押圧されており、これにより、スプリング753は可動部材751を下方に向かって付勢している。よって、押圧ピン752は可動部材751を介して下方に付勢されるため、ラッチ部材740は被押圧孔743の内壁を介して下方に向かって押圧される。この状態において、ラッチ部材740は下方に向かって回転し、ラッチ部745は閉位置に位置する。
【0090】
一方で、ラッチ部745を開位置に移動させるためには、可動部材751を上方に押し上げればよい。例えば、上述のようなDUT90をインサート710内に配置する時や、DUT90をインサート710から取り出す時には、可動部材751を上方に押し上げることにより、押圧ピン752が被押圧孔743の内壁を上方に向かって押圧する。このようにして、ラッチ部材740を上方に向かって回転させることによりラッチ部745を開状態とすれば、ラッチ部745が可動ヘッド320と接触することを防止できる。
【0091】
以上のような本実施形態では、ラッチ部745が開位置に位置している時にラッチ部材740がカバー部724に覆われるようにラッチ部745が配置されているため、サイズの大きいDUTに対応可能である。また、ボディ720がカバー部724を有しているため、インサート710とマッチプレート61との接触面積の増大を図ることができる。
【0092】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の態様の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明の態様を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0093】
1000…電子部品試験装置
1…ハンドラ
5…テストヘッド
6…テスタ
7…ケーブル
50…ソケット
51…接触子
100…テスト部
120…テストチャンバ
60…押圧装置
61…マッチプレート
62…プッシャ
200…格納部
300…ローダ部
400…アンローダ部
TST…テストトレイ
700…フレーム
701…外枠
702…内枠
703…開口
710…インサート
720…ボディ
721…メインボディ
721a…第1の主面
722…外周部
723…内枠
724…カバー部
724a…第2の主面
725…開口
726…フック受け部
727…軸受け部
728…押圧部材受け部
730…コア
731…コア本体
732…フック
733…フィルム
734…開口
735…カシメ部材
740…ラッチ部材
741…回転部
742…回転軸
743…被押圧孔
744…アーム部
745…ラッチ部
750…押圧機構
751…可動部材
751a…ピン挿入孔
752…押圧ピン
753…スプリング
90…DUT
91…端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14