(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167504
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
G09F 13/18 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
G09F13/18 N
G09F13/18 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078748
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】513221732
【氏名又は名称】AIZ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】久永 満勝
【テーマコード(参考)】
5C096
【Fターム(参考)】
5C096AA01
5C096BA04
5C096BB02
5C096BB08
5C096CA06
5C096CA15
5C096CA22
5C096CB02
5C096CC06
5C096CD05
5C096CD10
5C096CD12
5C096CD22
5C096CD28
5C096CD32
5C096FA02
5C096FA05
5C096FA08
5C096FA09
(57)【要約】
【課題】ランダムに出力される光により文字または図形などの輪郭に沿った照明を行う照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置1は、文字または図形を含む表示対象の輪郭29に沿った第1の外周縁21を有する導光板10と、導光板を裏面から照明する照明ユニット30とを有する。導光板10は、表面中央に設けられた、第1の外周縁に対し一回り小さいサイズの表示対象の輪郭に沿った第2の外周縁22を含む平坦な第1の領域11と、第2の外周縁の外側に設けられた第2の領域12であって、第2の外周縁において第1の領域に対して鋭角に傾き、ランダムに配置された複数種類の目視可能なサイズの複数の凹凸51により、光がランダムな方向に出射される第2の領域12とを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示対象の輪郭に沿った第1の外周縁を有する導光板と、
前記導光板を裏面から照明する照明ユニットとを有し、
前記導光板は、前記第1の外周縁に対し平行するように前記表示対象の輪郭に沿った第2の外周縁を含む平坦な第1の領域と、
前記第2の外周縁の外側に設けられた第2の領域であって、前記第2の外周縁において前記第1の領域に対して鋭角に傾き、ランダムに配置された複数種類の目視可能なサイズの複数の凹凸により、光がランダムな方向に出射される第2の領域とを含む、照明装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記表示対象は文字または図形を含み、
前記導光板は、表面中央に設けられた前記第1の領域であって、前記第1の外周縁に対し一回り小さいサイズの前記表示対象の輪郭に沿った前記第2の外周縁を含む前記第1の領域と、
前記第1の領域の両側に設けられた前記第2の領域とを含む、照明装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記第1の領域と前記第2の領域とは透過率が異なる、照明装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1の領域の透過率が前記第2の領域の透過率より低い、照明装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1の領域は遮光性の領域である、照明装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1の領域は反射性の領域である、照明装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記第1の領域に対する前記第2の領域の角度は10~80度である、照明装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記導光板は、前記輪郭に沿って水平な方向に光を出射する第3の領域を含む、照明装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記導光板は、前記輪郭に沿って裏側に光を出射する第4の領域を含む、照明装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記第3の領域および/または前記第4の領域は、ランダムに配置された複数種類の目視可能なサイズの複数の凹凸により、光がランダムな方向に出射される領域である、照明装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかにおいて、
前記導光板は、前記照明ユニットに面した側に、ランダムに配置された複数種類の目視可能なサイズの複数の凹凸により、光がランダムな方向に出射される領域を含む、照明装置。
【請求項12】
請求項1ないし10のいずれかにおいて、
前記導光板と前記照明ユニットとの間に配置された拡散板を有する、照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字または図形、その他の形状の輪郭に沿った照明を行う装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光源の光を有効に用いて高輝度で均等に所定の情報を報知することができる表示装置及びチャンネル文字装置を提供することが記載されている。この表示装置は、所定の面内に配設される光源を設けた光源部と、光源からの光が一端面から入射され該一端面に対向する他端面から出射される板状の導光板を光源部の所定の面内から起立させて設けた発光部と、光源部及び発光部を保持する筐体を設けた筐体部とを有し、導光板の他端面は、文字、図形、記号、又はこれらを組み合わせた所定の情報の少なくとも外郭を縁取りした形状から形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LEDなどの光源からの光により文字等を輪郭に沿って光らせて表示したり、その他の形状を輪郭に沿って表示して照明する装置において、文字などの輪郭を単に平面的に表示する代わりに、異なる趣きで表示することが求められている。例えば、ランダムに出力される光により柔らかく光る表示装置が提案されている。その一方、表示対象の文字あるいは図形の輪郭が明瞭に把握できる照明が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、文字または図形、その他の形状を含む表示対象の輪郭に沿った第1の外周縁を有する導光板と、導光板を裏面から照明する照明ユニットとを有する照明装置である。導光板は、第1の外周縁に対し平行するように表示対象の輪郭に沿った第2の外周縁を含む平坦な第1の領域と、第2の外周縁の外側に設けられた第2の領域であって、第2の外周縁において第1の領域に対して鋭角に傾き、ランダムに配置された複数種類の目視可能なサイズの複数の凹凸により、光がランダムな方向に出射される第2の領域とを含む。典型的な表示対象は、文字または図形であるが、部屋の壁の縁に沿った輪郭や、窓枠の輪郭など、様々な形状を輪郭に沿って表示し、直接または間接的な照明効果が得られる照明装置を提供できる。
【0006】
導光板は、表面中央に設けられた、第1の外周縁に対し一回り小さいサイズの表示対象の輪郭に沿った第2の外周縁を含む平坦な第1の領域と、第2の外周縁の外側に設けられた第2の領域であって、第2の外周縁において第1の領域に対して鋭角に傾き、ランダムに配置された複数種類の目視可能なサイズの複数の凹凸により、光がランダムな方向に出射される第2の領域とを含んでもよい。
【0007】
この照明装置においては、第2の領域からは、ランダムに配置された複数種類の目視可能なサイズの複数の凹凸によりランダムな柔らかい光が出力される。一方、平坦な第1の領域に対し、第2の領域は第2の外周縁において鋭角、例えば、10から80度に傾いている。このため、第1の領域の輪郭となる第2の外周縁はエッジが強調される。したがって、この照明装置においては、エッジが強調された輪郭を有する第1の領域と、斜めの面であるが第1の領域と同じ方向(前方、正面)から認識される第2の領域であって柔らかな光を出力する第2の領域とが前方(正面)から認識される。このため、柔らかい光を周囲に纏い、それにより強調された輪郭を有する文字あるいは図形を表示する、独自のイメージを備えた照明装置を提供できる。
【0008】
第1の領域のコントラストを高めるために、第1の領域と第2の領域とは透過率が異なっていてもよい。典型的には、第1の領域の透過率が第2の領域の透過率より低くてもよい。さらに典型的には、第1の領域は遮光性の領域であってもよい。第1の領域を光らせるのではなく、遮光することにより、第2の領域から出力される柔らかな光であるが、第1の領域との間に、角度が異なる明確な第2の外周縁により、コントラストが高くエッジが強調された文字または図形を表示できる。さらに、第1の領域は、反射性の領域であってもよい。
【0009】
導光板は、輪郭に沿って水平な方向に光を出射する第3の領域を含んでもよい。導光板は、輪郭に沿って裏側に光を出射する第4の領域を含んでもよい。前方または斜め前方に向けて光が放出される第2の領域と異なる方向に、輪郭に沿って、外側または裏側に向けて光を放出することにより、さらに異なる趣きで文字または図形を表示できる。第3の領域および/または第4の領域は、ランダムに配置された複数種類の目視可能なサイズの複数の凹凸により、光がランダムな方向に出射される領域であってもよい。
【0010】
導光板は、照明ユニットに面した側に、ランダムに配置された複数種類の目視可能なサイズの複数の凹凸により、光がランダムな方向に出射される領域を含んでもよい。また、導光板と照明ユニットとの間に配置された拡散板を有していてもよい。また、導光板は透明または半透明であってもよく、白色または乳白色であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】
図2に示した断面III-IIIで照明装置の概略構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に、文字を立体的に表示する照明装置(表示装置、発光装置、看板)1の全体を斜視図により示している。
図2に、この照明装置1の概略構成を、正面から見た平面図により示している。また、
図3に、照明装置1の一部の断面を拡大して示している。この照明装置1は、文字(記号を含む)、図形などを表示対象とした切り文字看板、チャンネル文字看板、チャンネル文字装置、文字照明装置とも称される装置であり、店舗サインなどとして用いられる。本例の照明装置1は、表示対象の文字の一例として文字「e」を表示する装置である。以降において、表示対象が文字の場合の照明装置の例を説明するが、表示対象は文字に限らず、図形であってもよく、さらに、家具、部屋、建物などの構造物、またはそれらの一部であってもよく、それらを輪郭に沿って照明することにより表示対象の形状を柔らかな照明により浮き出すとともに周囲を直接または間接的に照明することができる。
【0013】
この照明装置1は、文字などの表示対象、本例においては文字「e」の輪郭29に沿った外周縁(第1の外周縁、第1の周縁)21を有する導光板(発光板、照明板)10と、その導光板10を裏側16から照明する照明ユニット30とを含む。照明ユニット30は、基板とフレームとを兼ねた板状の金属フレーム31と、金属フレーム31に配置された複数のLED(光源、LEDテープ)32とを含む。照明装置1は、金属フレーム31を介してスタッドボルトなどにより建物の外壁9などに固定される。
【0014】
照明装置1は、さらに、導光板10の裏側16に配置された拡散板19を含む。拡散板19は、透光性および拡散性を備えた部材であり、LED32の光を分散する適当な模様、凹凸を含むものであってもよく、白色または乳白色で適当な透光性を備えた板であってもよい。導光板10の一例は透明なアクリル板またはポリカーボネート板であり、ある程度の透明性を確保した状態で特定の色に着色されていてもよい。導光板10は、拡散機能を備えた乳白色のアクリル板またはポリカーボネート板であってもよく、拡散板としての機能を備えていてもよい。導光板10は、デザインや仕様によっては透明性の高い素材であってもよく、乳白色以外に着色された素材であってもよい。また、照明ユニット30は、複数の発光素子(LED)がテープ状の部材に断続的に配置されたLEDテープ32の代わりに、LEDパネルなどの他の光源を備えていてもよい。LEDパネルの一例は、平板状で内部にレーザ加工された複数の溝を含む導光性の板の周囲にLEDテープにより発光素子である複数のLEDを取り付けたタイプのものである。
【0015】
導光板10は、文字または図形を含む表示対象、本例では文字「e」の輪郭29に沿った第1の外周縁21を有するアクリル板であり、断面は平たい台形状で、ほぼ平坦な裏側(下側)16が照明ユニット30と組み合わされている。
【0016】
導光板10は、第1の外周縁21に対し平行するように表示対象の輪郭29に沿った第2の外周縁22を含む平坦な第1の領域11と、第2の外周縁22の外側に設けられた第2の領域12であって、第2の外周縁22において第1の領域11に対して鋭角θに傾き、ランダムに配置された複数種類の目視可能なサイズの複数の凹凸により、光がランダムな方向に出射される第2の領域12とを含む。
【0017】
さらに具体的には、この導光板10は、表面15の中央に設けられた、第1の外周縁21に対し一回り小さいサイズで、表示対象の輪郭29に沿った第2の外周縁(第2の周縁)22を含む平坦な第1の領域11と、第2の外周縁22の外側(両側)に設けられた第2の領域12とを含む。第2の領域12は、第1の領域11を挟むように、第2の外周縁22と第1の外周縁21との間に設けられており、第2の外周縁22において第1の領域11に対して鋭角な角度θで傾いている。角度θは、第1の領域11に対して第2の領域12が傾いており、第2の領域12に対して第1の領域11が突出しているような印象を与え得る程度であればよく、例えば、角度θは10度から80度の範囲であってもよい。立体感を強調したり、傾いた第2の領域(第2の面)12から放出される光の角度により第1の領域(第1の面)11との境界の第2の外周縁22のエッジ効果およびコントラストを強調する場合は、角度θは20~70度であってもよく、30~60度であってもよい。また、第1の領域11に対する、その両側に位置する第2の領域12の角度θは同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0018】
本例の導光板10に設けられた第1の領域11は遮光層を兼ねた反射領域であり、導光板10の表面15の第1の領域11に文字「e」の形をスチール塗装、例えば、ステンレスコート17が施されている。ステンレスコートの一例は、極薄で小サイズのステンレスピグメントがポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂などのバインダーに分散されたものであり、樹脂製の導光板10の表面に塗布することにより金属光沢を備えた遮光性の層(膜)を形成できる。塗布する厚みにより、半透過(半透光)性の層(膜)を形成することも可能である。スチール塗装は、金属粉体入りの塗料を塗布するものであってもよい。反射性の第1の領域11は、金属薄膜を塗布または接着などにより設けてもよい。
【0019】
第2の領域12は、第1の領域11に対して透過率が異なり、この例においては、第1の領域11は透過率が低い、または遮光性であるのに対し、第2の領域12は透過率が高く、照明ユニット30から入力された光が透過して出力しやすい面となっている。第2の領域12は、ランダムに配置された複数種類の目視可能なサイズの複数の凹凸51により、光58がランダムな方向に出射される構造(特殊加工)50を含む。この特殊加工50は、タペストリ加工またはエンボス加工と称されるものであってもよい。目視可能な構造で、光58をランダムな方向に出力する特殊加工(構造)50の一例は、5~6種類またはそれ以上の種類の、径、深さ、形状などが異なる目視可能な凹凸、例えば、代表するサイズが1~50mm程度、または1~30mm程度の凹凸が100mm四方の領域に100~10000個程度がランダムに配置されたものである。
【0020】
表面をサンドブラストした加工、例えば、スリガラスや、薬品処理したフロスト加工などは、表面に形成される凹凸が目視しにくく、光を細かく、ほぼ均等に乱反射する。このため、表面が真っ白に見えたり、中の形状が一様にぼやけて見えるような作用をもたらす。これに対し、目視可能な程度のサイズの無数の凹凸がランダムに設けられた特殊加工50により、光を不均一な方向に不均一な強度でランダムに放出(出射)または反射される。このため、この特殊加工50が施された第2の領域12においては、場所によっては出力される光の集合率が数倍、例えば3~5倍になったり、低下したり、方向が様々になり、見る方向によって様々に放出される光58の状態(模様)が変化する。
【0021】
したがって、この照明装置(表示装置)1においては、特殊加工50が施された第2の領域12からは柔らかい光58が出力され、中央の第1の領域11は暗く、それらの領域11および12の境界である第2の外周縁22は角度が異なるためにエッジとして強調される。したがって、それらのコントラストから独自のイメージが作りだされる。すなわち、照明装置1においては、特殊加工50が施された第2の領域12の細かな凹凸を通過した光58は様々な方向に反射しながら広がりを見せて独特の輝きを生みだして第1の領域11の文字を浮き立つように表示する。また、特殊加工50が施された第2の領域12は、第1の領域11に対して傾斜しているが、前方15を向いており、正面から見て、第1の領域11の文字が浮き立つように、第2の領域12から柔らかい光が出力される。
【0022】
さらに、本例の導光板10においては、第1の領域11が反射性であり、裏面16から入力された光が第1の領域11で反射されて導光板10の内部に蓄積され、それが様々な状態で、揺らぎながら特殊加工50が施された第2の領域12から出力される。したがって、高強度(高輝度)の光であるが、優しい光58により、目的とする図形または文字が浮き出るように表示される。
【0023】
第1の領域11は金属光沢を備えた白色、シルバーなどの乳白色に近い色であってもよく、乳白色とは対照的な色、例えば、赤、青などの有彩色であってもよい。また、第1の領域11は反射層であってもよく、金属光沢が現れる層であってもよい。第1の領域11は、ステンレスコートした後に、所望の反射率が得られるように鏡面仕上げをしてもよく、あるいは逆に鏡面とならないように面粗度が大きくなるように加工してもよい。また、第1の領域11は全体として平面であるが、適当な凹凸または模様が施された面であってもよく、透光性が場所により変化するような面であってもよい。
【0024】
本例の導光板10は、さらに、輪郭29、すなわち第1の外周縁21に沿って水平な方向に光を出射する第3の領域13を含む。導光板10の断面は平板の上方の約2/3を平坦な略台形とした形状であり、側面も透光性で裏面16から入射した光を側面に放出する第3の領域13となっている。本例においては、垂直方向に延びた第3の領域13にも特殊加工50が施されており、柔らかい光58が側方に出力され、さらに広い範囲が柔らかい光58で照らされ、その中に、第1の領域11で示される文字または図形がくっきりと浮き立つようになっている。
【0025】
本例の導光板10は、さらに、輪郭29、すなわち第1の外周縁21に沿って裏側(後方)に光を出射する第4の領域14を含む。本例では、第4の領域14は平面であり、後方に出力された光59が後方の壁面9などにより反射され、側方に出力された柔らかい光58とともに、第1の領域11で示される文字または図形の周辺を、柔らかい光で明るく示すようになっている。
【0026】
導光板10の全体の厚みは、例えば10~30mmであり、斜面で前方を向いた第2の領域12の厚み(高さ)の一例は10~20mmであり、側方を向いた第3の領域13の厚み(高さ)の一例は2~10mmである。照明ユニット30の厚みの一例は8~100mmであり、全体として30~130mm程度の厚みを備えた照明装置1を提供できる。照明装置1の表面15を構成する第1の領域11、および傾斜した第2の領域(面)12は、それぞれの面の特性が認識されるようにするために、ある程度の面積を備えていてもよい。例えば、第1の領域11は、表面15の面積の少なくとも10%を占め、傾斜した第2の領域12は表面15の面積の少なくとも10%を占めていてもよい。第1の領域11の幅W1と、傾斜した第2の領域12の幅W2(両側の第2の領域12の合計の幅)とが以下の条件(1)を満足してもよい。
0.1 < W1/(W1+W2) < 0.9 ・・・(1)
【0027】
条件(1)の下限は0.2であってもよく、0.3であってもよく、0.4であってもよい。また、条件(1)の上限は、0.8であってもよく、0.7であってもよく、0.6であってもよい。また、傾斜した面12の幅は両側で同じであってもよく、異なっていてもよい。また、第1の領域11の幅W1と、第2の領域12の幅W2とは、導光板10の様々な場所において同じであってもよく、異なっていてもよく、幅の比を変えることにより、文字または図形を様々なデザインで表示できる。
【0028】
図4に、照明装置1の異なる例を断面図により示している。この照明装置1は、
図3に示した装置とほぼ構成は共通し、中心の第1の領域11が遮光性および吸光性の高い材質または色、例えば、黒色または彩度の低い色の層18により構成されている。このため、第2の領域12に対して、第1の領域11が、さらに高いコントラストで表示され、第1の領域11の文字または図形が浮き立つようになっている。さらに、裏面(後方)に光を出力する第4の領域14にも特殊加工50が施されており、柔らかい光58が後方の壁9に反射されて、照明装置1の全体を後方から浮き立たせるようになっている。
【0029】
また、導光板10の照明ユニット30に面した側(内面)16にも特殊加工50が施されており、導光板10の内側にランダムに配置された複数種類の目視可能なサイズの複数の凹凸により、光がランダムな方向に出射される領域を含む。したがって、照明ユニット(照明装置)30から出力された光は、導光板10の内側(入力側)で、視認できるようなランダムな揺らぎを備えた状態で、ランダムな方向にランダムな強度で入力され、さらに、出力する際に、第2の領域12、第3の領域13および第4の領域14で、同様に、視覚で認識できるようなランダムな揺らぎを備えた状態で、ランダムな方向にランダムな強度で出力される。このため、照明ユニット30の内部の光源であるLED32を直視するような光が出力されることはなく、拡散板が無くても、導光板10から柔らかな光58が出力される。
図3に示した装置と同様に、拡散板を設けてもよい。
【0030】
以上に説明したように、照明装置1においては、第1の領域11の周辺の第2の領域12からは、目に見えるような特殊加工されたランダムな模様による柔らかい光58が出力され、第1の領域11に対して傾斜した第2の領域12との境界(第2の外周縁)22によるエッジ強調効果も相まって、第1の領域11により表現された文字または図形が、同じような形状で周囲に広がる柔らかい光58により、明確に表示される。したがって、照明装置1においては、柔らかな光58と、コントラストの高いエッジがはっきりとした第1の領域11の形状とが相まって表示され、独自のイメージで所望の文字または図形を表示できる。特に、特殊加工された第2の領域12は、斜めの面であるが第1の領域11と同じ方向(前方、正面)から認識されるため、柔らかい光を周囲に纏い、それにより強調された輪郭を有する文字あるいは図形が表示され、独自のイメージで文字または図形を表示できる照明装置1を提供できる。
【0031】
なお、照明装置1は、外壁などに取り付けられる店舗サイン、照明装置に限らず、エレベータの停止階照明装置や、屋内に設置される小型の照明装置であってもよい。また、上記では文字「e」を表示対象(表示対象物)として表示する装置1を例に説明したが、表示対象は「e」以外の文字であってもよく、記号、絵などを含む図形であってもよい。また、上記では、LED光源を用いた照明装置1を例に説明したが、照明ユニット30は半導体レーザ、有機ELなどを光源としたものであってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 照明装置、 10 導光板