(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016751
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】容器のクロージャを切断するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B26F 1/18 20060101AFI20230126BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20230126BHJP
B26D 1/02 20060101ALI20230126BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20230126BHJP
B26D 7/20 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
B26F1/18
B26D3/00 601A
B26D1/02 C
B26D7/06 A
B26D7/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022115806
(22)【出願日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】102021000019310
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102022000008678
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】507015435
【氏名又は名称】サクミ コオペラティヴァ メッカニチ イモラ ソシエタ コオペラティヴァ
【住所又は居所原語表記】Via Selice Provinciale,17/A,I-40026 IMOLA(Bologna),Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ペナッツィ,ダヴィデ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェントゥリーニ,マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】メンツォリーニ,ルッジェーロ
【テーマコード(参考)】
3C021
3C060
【Fターム(参考)】
3C021DB03
3C021GA01
3C021GA05
3C060AA04
3C060AB02
3C060BA04
3C060BB08
3C060BG07
3C060BG16
3C060BH01
(57)【要約】
【課題】既知のものに代わる容器用のクロージャを切断するための装置及び/又は方法を提供する。
【解決手段】「テザー」タイプのクロージャの切断方法及び装置が開示され、そこでは、クロージャを運ぶスピンドルが、1又は複数の水平ブレード及び少なくとも1つの垂直又は傾斜ブレードを有する切断機器に移動される。切断中、スピンドルが回転し、クロージャが切断機器において回転する。異なるクロージャを運ぶたびに切断機器に数回供給されるスピンドルは、切断中にブレードがクロージャの材料を貫通し、次にスピンドルのより柔らかい部分にめり込むように、ブレードよりも柔らかい材料で作製された部分を備える。クロージャを切断機器へ運ぶスピンドルの送込みは、スピンドルが切断機器に供給されるたびに、垂直又は傾斜ブレードが常にスピンドルのより柔らかい部分の同じゾーンに出会うように、スピンドルの回転と調整される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロージャの切断方法であって、以下のステップ、即ち、
少なくとも1つの垂直又は傾斜ブレード(5)を有する切断手段(3)へクロージャ(2)を持って行く、スピンドル(6)を送り込むステップと、
ここでスピンドル(6)は、毎回異なるクロージャを運びながら切断手段(3)へ数回送り込まれ、及び、垂直又は傾斜ブレード(5)よりも柔らかい材料で作製された柔軟部分(7)を含む、
垂直又は傾斜ブレード(5)がクロージャ(2)を貫通し、スピンドルの柔軟部分(7)にめり込むように、スピンドル軸(Y)の周りにスピンドル(6)を回転させて切断手段(3)においてクロージャ(2)を動かすステップと、
ここでスピンドルの回転は、スピンドル(6)が切断手段(3)に供給されるたびに、垂直又は傾斜ブレード(5)が柔軟部分(7)の同じ垂直又は傾斜領域に常に出会うように、スピンドルの送込みと調整される、
を備えた、クロージャの切断方法。
【請求項2】
スピンドルの柔軟部分(7)の垂直又は傾斜領域は、垂直又は傾斜ブレードの形状に対応した形状を有する線形領域である、請求項1に記載の切断方法。
【請求項3】
スピンドル(6)は、カルーセル軸(X)の周りに回転可能なカルーセル(8)によって運ばれ、ここで、カルーセル軸(X)とスピンドル軸(Y)との単位時間における回転数の比は、1:Nに等しく、Nは整数に等しい、請求項1又は2に記載の切断方法。
【請求項4】
カルーセル(8)は、各々がそれぞれ柔軟部分(7)を有する2つ以上のスピンドル(6)を運び、ここで、カルーセル(8)は、モーター手段によって回転駆動され、2つ以上のスピンドル(6)は、カルーセルのモーター手段とは別個で機械的トランスミッションによってスピンドル軸(Y)に接続された単一のモーターによって、それぞれのスピンドル軸(Y)の周りに回転駆動される、請求項1から3のいずれか1項に記載の切断方法。
【請求項5】
カルーセル(8)は、各々がそれぞれ柔軟部分(7)を有する2つ以上のスピンドル(6)を運び、ここで、機械的トランスミッションが、2つ以上のスピンドル(6)のスピンドル軸(Y)とカルーセル軸(X)とを接続する、請求項1から4のいずれか1項に記載の切断方法。
【請求項6】
カルーセル(8)は、各々がそれぞれ柔軟部分(7)を有する2つ以上のスピンドル(6)を運び、ここで、各スピンドルの回転及び送込みは、電子制御手段によって同調して制御された、カルーセル軸(X)と2つ以上のスピンドル(6)のスピンドル軸(Y)との調整された動作によって調整され、ここで、カルーセル(8)は、モーター手段によって回転され、各スピンドル軸(Y)は、他のスピンドル軸(Y)の駆動モーターとは異なり、かつカルーセル(8)のモーター手段とは異なる、自身の駆動モーターによって回転される、請求項1から5のいずれか1項に記載の切断方法。
【請求項7】
スピンドル(6)の残りの部分に対する柔軟部分(7)の回転を防止するための手段を配置するステップを備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の切断方法。
【請求項8】
クロージャ(2)を運ばずに、スピンドル(6)が切断手段(3)に数回送り込まれる予備ステップを備え、ここで、予備ステップにおける送込み中に、少なくとも1つの垂直又は傾斜ブレード(5)は、柔軟部分(7)にめり込む深さを徐々に増加させるような方法で、特に、名目上の作業位置から離れた初期位置から開始し、柔軟部分(7)へ所望の深さにてめり込む名目上の作業位置に達するまで、移動される、請求項1から7のいずれか1項に記載の切断方法。
【請求項9】
クロージャ用の切断装置であって、
クロージャ用の容易な開封機器を作製するための切断手段であって、少なくとも1つの垂直又は傾斜ブレード(5)を備えた切断手段と、
クロージャ(2)を切断手段へ送り込むための送込み手段であって、該送込み手段は、垂直又は傾斜ブレードよりも柔らかい材料で作製された柔軟部分(7)を有する少なくとも1つのスピンドル(6)を備え、及び、スピンドル(6)が切断手段の前を数回通過し、毎回異なるクロージャを運ぶように構成されており、ここでスピンドル(6)は、垂直又は傾斜ブレード(5)が貫通カットと共にクロージャ(2)に貫通しスピンドルの柔軟部分(7)にめり込むように、スピンドル軸(Y)の周りに回転可能であり、切断手段においてクロージャ(2)を移動させる、送込み手段と、
スピンドルが切断手段の前を通過するときはいつでも、垂直又は傾斜ブレード(5)が常に柔軟部分(7)の同じ垂直又は傾斜領域に出会うように、スピンドルの回転とスピンドルの送込みとを調整するように構成されている制御手段と、
を備えた切断装置。
【請求項10】
少なくとも1つのスピンドル(6)を運び、かつカルーセル軸(X)の周りに回転可能であるカルーセル(8)を備え、カルーセル軸(X)とスピンドル軸(Y)との単位時間における回転数の比が1:Nに等しく、Nは整数に等しい、請求項9に記載の切断装置。
【請求項11】
それぞれが柔軟部分(7)を有する2つ以上のスピンドル(6)を運ぶカルーセル(8)を備え、当該切断装置は、カルーセル(8)を回転させるためのモーター手段を備え、さらに、カルーセルのモーター手段とは別個で、機械的トランスミッションによって2つ以上のスピンドル(6)のスピンドル軸(Y)に接続された単一のモーターを備える、請求項9又は10に記載の切断装置。
【請求項12】
それぞれが柔軟部分(7)を有する2つ以上のスピンドル(6)を運ぶカルーセル(8)を備え、当該切断装置は、特に可撓性の伝達部材(9)を有するタイプの機械的トランスミッションで、カルーセル軸(X)と2つ以上のスピンドル(6)のスピンドル軸(Y)とを接続する機械的トランスミッションを備える、請求項9から11のいずれか1項に記載の切断装置。
【請求項13】
それぞれが柔軟部分(7)を有する2つ以上のスピンドル(6)を運ぶカルーセル(8)を備え、当該切断装置は、同期方法においてカルーセル軸(X)と2つ以上のスピンドル(6)のスピンドル軸(Y)との調整された動作を制御するための電子制御手段を備え、かつ、カルーセル(8)を回転させるためのモーター手段を備え、各スピンドル軸(Y)は、他のスピンドル軸(Y)の駆動モーターとは異なり、かつカルーセル(8)のモーター手段とは異なる、自身の駆動モーターを備える、請求項9から12のいずれか1項に記載の切断装置。
【請求項14】
切断手段(3)は、切断手段に送り込まれたクロージャ(2)をブレードが切断できる作業位置と、切断手段に送り込まれたクロージャと干渉しないように作業位置に対してブレードが後退された後退位置とを選択的にとるように構成されている、請求項9から13のいずれか1項に記載の切断装置。
【請求項15】
少なくとも1つのスピンドル(6)は、片側において開いた環状座を有する支持体(10)を備え、スピンドルの柔軟部分(7)は、上記片側を通して軸方向に環状座に挿入可能である環状インサートを備え、少なくとも1つのスピンドル(6)は、環状座の片側を閉じて既定位置にロックされた環状インサートを維持するため、支持体(10)に取り外し可能に留めることのできる環状ロック要素(11)を備える、請求項9から14のいずれか1項に記載の切断装置。
【請求項16】
クロージャ用の切断装置であって、
クロージャ(2)用の容易な開封機器を作製するように構成された切断手段(3)と、
クロージャ(2)を切断手段(3)に送り込むための送込み手段であって、切断手段(3)の少なくとも1つのブレード(5)が貫通カットと共にクロージャ(2)に貫通し、スピンドルの柔軟部分(7)にめり込むように構成されている柔軟部分(7)を有する少なくとも1つのスピンドル(6)を備えた、送込み手段と、
スピンドル(6)の残りの部分に対する柔軟部分(7)の回転を防止するように構成された回転防止手段(12)と、
を備えた切断装置。
【請求項17】
回転防止手段(12)は、スピンドル(6)の残りの部分に対してスピンドルの軸(Y)周りに柔軟部分(7)が回転するのを防止するように構成されている、請求項16に記載の切断装置。
【請求項18】
回転防止手段(12)は、スピンドル(6)の一部が柔軟部分(7)において得られる開口部に挿入される形状カップリングを備え、該形状カップリングは、非円形、又はスピンドルの軸(Y)に非同軸の形状を含む、請求項16又は17に記載の切断装置。
【請求項19】
回転防止手段(12)は、柔軟部分(7)とスピンドル(6)の一部との間にねじカップリングを備える、請求項16から18のいずれか1項に記載の切断装置。
【請求項20】
請求項9から15のいずれか1項に記載の、及び、請求項16から19のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばボトル等の容器を閉じるために使用可能なクロージャ(閉鎖具)又はカプセル、特にプラスチック製のクロージャ又はカプセル、を切断するための装置及び方法に関する。
【0002】
具体的には、しかしながらこれに限定されないが、本発明は、「テザー(つながれた)」と呼ばれるタイプのクロージャ又はカプセル、即ち、開封後、容器に接続されたままのクロージャ又はカプセルが提供される、容易な開封機器を作製するのに適した切断装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術は、カプセルに1つ又は複数の水平のカット及び少なくとも1つの垂直又は傾斜のカットを形成する「テザー(つながれた)」カプセルの容易な開封機器を作製する方法を含む。ここで、「水平」、「垂直」、及び「傾斜」は、幾何学的な軸を垂直に配置したカプセルを参照する。一般的に、既知の方法は、固定ブレードが効果的に切断可能なように、カプセルを支持しかつ当接要素として機能する回転スピンドルによって、固定ブレードを有する切断経路に沿ってカプセルを移動させる。
【0004】
特許公報WO 2020/247319 A1は、カプセルに1つ又は複数の水平カット及び少なくとも1つの垂直カットを形成するように構成された固定ブレードにカプセルを運ぶスピンドルにより、カプセルに貫通カットを作製する方法を示しており、ここでは、ブレードは、カプセルの材料を貫通し、ブレードが損傷せずより長く存続可能にする柔らかい材料で作られたスピンドルの環状部分へめり込む。
【0005】
特許公報WO 2021/063776 A1は、カプセルに1つ又は複数の水平カット及び少なくとも1つの垂直カットを形成するように構成された固定ブレードにカプセルを搬送するスピンドルにより、カプセルに貫通カットを作製する方法を示しており、ここでは、ブレードは、カプセルの材料を貫通し、次に、形成されるカットの形状に対応した形状を有するスピンドルに配置された溝に入り、また、同期装置は、固定ブレードへのカプセルの前進を、カプセルを運ぶスピンドルの回転と調整し、その結果、カット、特に垂直方向のカットは、ブレードの形状が溝の形状に対応する方法において行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開公報 WO 2020/247319 A1
【特許文献2】国際公開公報 WO 2021/063776 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目的は、既知のものに代わる容器用のクロージャを切断するための装置及び/又は方法を提供することである。
【0008】
1つの目的は、「テザー」として知られるタイプのクロージャを形成するのに適した装置及び/又は切断方法を利用できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態において、切断方法は、1つ又は複数の水平ブレード及び少なくとも1つの垂直又は傾斜ブレードを有する切断機器へ、クロージャを搬送するスピンドルを移動させるステップを備え、ここでは、切断中、スピンドルが回転し、クロージャが切断機器において移動し、ここでスピンドルは、切断機器へ周期的に数回送り込まれ、毎回異なるクロージャを運び、ここでスピンドルは、ブレードよりも柔らかい材料で作製された部分を備え、よって、切断中、ブレードは、貫通カットと共にクロージャの材料を貫通し、次にスピンドルのより柔らかい部分(柔軟部分)にめり込み、ここで、クロージャを切断機器へ送るスピンドルの送込みは、スピンドルが切断機器に送り込まれる毎に、垂直又は傾斜ブレードがスピンドルのより柔らかい部分における同じ線形の、垂直の、又は傾斜の線形ゾーンに常に出会うように、スピンドルの回転と調整(連係)される。
【0010】
本発明を実施するためのいくつかの具体的な解決策において、切断装置は、複数のスピンドルを支持し、かつ切断機器への各スピンドルの送り込み動作を供給する回転可能なカルーセルを備えることができる。これらの場合、クロージャを切断機器に運ぶスピンドルの送り込み動作と、切断機器におけるクロージャのローリング(回転)を促進するスピンドルの回転動作との間の、上述の調整は、さまざまな方法で達成することができる。
【0011】
一実施形態において、カルーセル軸周りのカルーセルの回転用の第1駆動モーター、及びスピンドル軸周りの各スピンドルの回転用の第2駆動モーター(第1駆動モーターとは異なる)を配置することが可能である。
【0012】
1つの特定の実施形態において、第2駆動モーターは、機械的トランスミッション(例えば、柔軟な部材を有する)によって様々なスピンドル軸に接続された単一のモーター(例えばブラシレスモーター)を備えることができる。この特定の実施形態では、各スピンドルにおける送り込み動作と回転動作との間の上述の調整(連係)は、特に、スピンドルの、及び種々のスピンドルの各々の、位置決め(それぞれの軸周りの角度)を検出するように構成されたセンサに接続され得る電子コントローラによって実行可能である。このセンサは、例えば、第1モーターに配置されたエンコーダと、第2モーターに配置されたエンコーダとを備えることができる。
【0013】
別の特定の実施形態では、第2モーターは、各スピンドルに1つずつ、複数のモーターを備えることができ、各モーターは、それぞれのスピンドル軸に接続されている。また、この他の特定の実施形態では、スピンドルの送り込み動作と回転動作との間の調整は、例えば、カルーセルの第1モーター、及び単一スピンドルのそれぞれの駆動モーターの両方が設けられてもよいエンコーダを備えたセンサを有する電子コントローラによって実行されてもよい。
【0014】
別の実施形態において、カルーセルの軸を様々なスピンドルの軸に接続する機械的トランスミッション(伝達)システムにより、カルーセル軸の周りにカルーセルを回転させるための駆動モーターを配置することができる。この他の実施形態では、スピンドルの送り込み動作(即ち、カルーセルの回転)と、単一スピンドルの回転動作との間の調整は、上述の機械的トランスミッション(伝達)のシステムの適切な設計に実質的に委ねられる。
【0015】
スピンドルが回転カルーセルによって運ばれるとき、後者は、切断機器でのクロージャ又はカプセルの円弧円周経路を形成する。この場合、カルーセルの各回転と同じ角度位置においてスピンドルが切断機器の前を再び通過するように条件を設定することが重要である。この条件は、カルーセルの回転軸の速度と、スピンドルの回転軸の速度との間に事前設定された比率(例えば、1:N、ここでN=整数、カルーセルの軸とスピンドルの軸との時間単位における回転数間に)があることを確認することによって達成可能である。
【発明の効果】
【0016】
比較的柔らかい材料で作製されたスピンドルの一部を使用することは、スピンドルの各通過で、スピンドルにおけるより柔らかい部分(柔軟部分)の同じ(線形)ゾーンに垂直又は傾斜ブレードを作用させるという決定と組み合わせて、従来技術の幾つかの限界及び欠点を解決可能にする。
【0017】
第1に、スピンドルのより柔らかい部分(柔軟部分)への大幅な摩耗の減少が得られる(例えば、WO 2020/247319 A1に記載されている解決策に対して)。これは、垂直又は傾斜ブレードがスピンドルのより柔らかい部分を常に同じ位置において侵入し、その結果、スピンドルの最初の通過において垂直又は傾斜ブレードは、スピンドルのより柔らかい部分の材料において一種の垂直又は傾斜スリット又は溝を削り、その後の通過において、スピンドルをさらに損傷することなく、以前に削り取られたスリット又は溝と、つまり同じ(線形)ゾーンにおいて、常に相互作用する、という事実のためである。
【0018】
実際には、垂直又は傾斜ブレードは、スピンドルの各通過時にスピンドルの柔軟部分における同じ垂直又は傾斜ゾーンに常に配置されることから、スピンドルのこの柔軟部分は、上述の垂直又は傾斜のゾーンにおいて、スピンドルの最初の通過中に、初期のステップにおいて擦れ、その後においてもはや擦れることはない。さらに、切断機器の上述の垂直又は傾斜ブレードは、スピンドルの他のゾーンに影響を与えることなく、スピンドルのより柔らかい部分における上述の垂直又は傾斜のゾーンにおいてのみ、非常に局部的な摩耗を生成し、したがってこのことは、スピンドルの全体を残し、長期間にわたり摩耗せず、切断作業中、クロージャに関して優れた機能を発揮する。
【0019】
第2に、切断方法が大幅に容易になる。これは、スピンドルによって発揮される当接機能が特に効果的であるので、正確には、切断機器の垂直又は傾斜ブレードが、スピンドルの非常に限定されたゾーンのみ、つまり、スピンドルの柔軟部分における垂直又は傾斜の線形ゾーンのみで干渉するからであり、この線形ゾーンでは、スピンドルの柔軟部分の残り部分を完全なままで全体を残しながら、摩耗しかつ切断が生じる場所である垂直又は傾斜の線形ゾーンの直ぐ近くに存在する全てのゾーンの上方に垂直又は傾斜ブレードがめり込むからである。したがって、そのようなゾーンは、摩耗せず、実際の切断ゾーンに当接しているため、可能な限り多くの機能を有する切断用の当接要素として機能できる。
【0020】
例えば、WO 2021/063776 A1に記載された方法で生じる別の状況を考えてみると、ここでは、スピンドルに配置された溝の形状は、必然的に、ブレードの形状よりも寛大に設計されねばならない。なぜならば、ブレードに深刻な損傷を与える可能性のある衝突のリスクを回避するため、種々の部品の製造誤差だけでなく、避けられないフィッティングの不確実性、及びシステムの順応性(クリアランス)も考慮しなければならず、よって、切断中に、クロージャと接触するスピンドルの当接面は、必然的に、ブレードから一定の距離にあり、その結果、当接能力の有効性が低下する、からである。
【0021】
一方、本発明の解決策は、上述の欠点を解決する。なぜならば、垂直又は傾斜ブレードによって磨耗されるスピンドルの柔軟部分のゾーンの形状は、ブレードの周期的な通過、及び各通過での同じゾーンでも柔軟材料におけるブレードのめり込みのおかげで、ブレードによって決定され、その結果、摩耗されたゾーンの形状は、最小サイズのブレードの形状、即ち、垂直又は傾斜の線形形状に、正確に又はほぼ正確に対応し、システムによって最適化され、実際には、システムの可能な順応性及びクリアランスは別として、スピンドルの柔軟部分の材料にめり込むブレードの刃先のサイズと同じである。それぞれの場合において、ブレードとスピンドルの柔軟部分との間の相互作用によって生成されるこのサイズは、システムの避けられない特性のために実際には低下させることができない、必要な最小サイズである。
【0022】
例えば、スピンドルが機械的トランスミッション(特にベルト)によって接続されている形態で解決策が考えられる場合には、システムの避けられない順応性により、垂直又は傾斜の切断位置が常に正確に同じになるとは限らないが、システムによって生成されるため、結果は、最小可能範囲を有する寸法の切り込みゾーンを生成する。
【0023】
結果として、磨耗していない部分、つまりスピンドルの柔軟部分の無傷で完全なままの部分がブレードに直接に隣接して配置され、最小限の遊び又は空きスペースを生じさせ、したがって、切断中、当接動作の最大効率が得られる。
【0024】
本発明の別の利点は、特に、スピンドルの送り込み及びスピンドルの回転が、トランスミッションによって接続され及び共通のモーターによって駆動される実施形態において発見可能であり、また、切断機器前のスピンドルの最初の通過での、正確な角度位置においてスピンドルの回転を可能にするために切断装置の初期位相整合を開始する(例えば、WO 2021/063776 A1に記載されている解決策のような)必要がもはやない、ということにある。
【0025】
実際、WO 2021/063776 A1に記載されている方法では、スピンドルの最初の通過から、スピンドルにおける溝の形状がブレードの形状に正確に重ねられるように、カプセルの供給機器を位相整合するために、非常に正確で骨の折れる初期の位相整合手順が要求される。この初期の位相整合手順は、実際には、各形態変化のたびに、つまりカットの形状の各変更のたびに、繰り返されなければならないことに留意されたい。
【0026】
本発明の解決策のおかげで、特に、スピンドルの送り込み及びスピンドルの回転が、トランスミッション(例えば機械的な)によって接続され及び共通のモーターによって駆動される実施形態において、この初期の位相整合手順は、形態変更の場合においても省略することができ、切断装置を準備する作業が大幅に簡素化される。なぜならこれは、垂直又は傾斜ブレードによって影響を受けて摩耗するスピンドルの柔軟部分のゾーンが正確に何であるかは、もはや重要ではないからである。換言すると、切断機器の前のスピンドルの最初の通過は、ブレードの形態とは無関係に、垂直又は傾斜ブレードでのスピンドルの角度位置が何であっても、効果的に行うことができる。
【0027】
実際、重要なことは、最初の通過後のスピンドルの通過において、切断機器の前でスピンドルは、同じ角度位置にて通過することであるが、これは、切断装置の一般的な動作精度に依存する条件であり、初期準備操作ではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明により作製された切断装置の一実施形態の一部の、垂直立面図における断面図である。
【
図4】
図4は、本発明により作製された切断装置の別の実施形態における平面図である。
【
図5】
図5は、スピンドルの柔軟部分の回転を防止するためにスピンドルに配置された回転防止機器の実施形態を示す図である。
【
図6】
図6は、スピンドルの柔軟部分の回転を防止するためにスピンドルに配置された回転防止機器の実施形態を示す図である。
【
図7】
図7は、スピンドルの柔軟部分の回転を防止するためにスピンドルに配置された回転防止機器の実施形態を示す図である。
【
図8】
図8は、スピンドルの柔軟部分の回転を防止するためにスピンドルに配置された回転防止機器の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、その非限定的な実施形態を図示する添付の図面を参照して、よりよく理解され及び実施可能である。
【0030】
上述の複数の図を参照して、1を付した切断装置は、例えばボトルなどの容器を閉じるために使用可能なクロージャ(closures:閉鎖具)又はカプセル、特にプラスチック製のクロージャ又はカプセル、を切断するように一般的に示されている。切断装置1は、特に、「テザー(つながれた)」と呼ばれるタイプのクロージャ又はカプセル、即ち、開封後、容器に接続されたままのクロージャ又はカプセル、が設けられた、容易な開封機器を作製するのに適することができる。
【0031】
切断装置1は、特に、テザータイプのクロージャ2用の容易な開封機器を作製するように構成された切断機器を備えることができる。切断機器は、特に、1つ又は複数の水平ブレード4と、少なくとも1つの垂直又は傾斜ブレード5とを有する切断機器3を備えることができる。
図1及び
図2に見られる特定の実施形態において、切断機器3は、2つの水平ブレード4と、1つの垂直ブレード5とを備える。
【0032】
切断機器は、特に、異なる数の水平ブレード、例えば3つ又は4つ以上、及び異なる数の垂直又は傾斜ブレード、例えば2つ又は3つ以上を有する切断機器を備えることができる。
【0033】
切断機器3は、特に、作業位置、即ち切断機器3に供給されたクロージャに所望の貫通カットを行うのに適した位置と、休止又は後退位置とを選択的に採用するように構成可能であり、休止又は後退位置では、切断機器3に供給されたクロージャ、及び/又はクロージャを送り込むための供給機器と干渉しないように、切断機器3は、作業位置に対して後退する。
【0034】
作業位置と後退した休止位置との間の切断機器3の動作(例えば、直線移動、特にリニアガイド上での摺動)は、手動及び/又はモーターによって駆動され得る。
【0035】
切断装置1は、特に、クロージャ2を切断機器に送り込むように構成された供給機器を備えることができる。供給機器は、特に、ブレードよりも柔らかい材料で作製された柔軟部分7を有する少なくとも1つのスピンドル6を備えることができる。
【0036】
供給機器は、特に、スピンドル6が切断機器の前を数回通過し、毎回異なるクロージャ2を運ぶように構成されることができる。供給機器は、特に、上述のスピンドル6を運ぶ供給カルーセル8を備えることができる。カルーセル8は、特に、カルーセル軸Xの周りで回転可能(電動コマンドに応じて、例えばブラシレスモーター)であり得る。カルーセル8は、特に、2つ以上のスピンドル6を備えることができ、各スピンドルは、それぞれ柔軟部分7を備えることができる。
【0037】
カルーセル8は、特に、カルーセルの周囲において角度的に離間して配置された3つ以上のスピンドル6を備えることができる。
図3の特定の実施形態では、カルーセルは、等距離の12個のスピンドル6を備える。
図4の特定の実施形態では、カルーセルは、6つの等間隔のスピンドル6を備える。
【0038】
各スピンドル6は、特に、それぞれのスピンドル軸Yを中心に回転可能であり、クロージャ2は、ブレード4及びブレード5が貫通カットによりクロージャ2を貫通し、次にスピンドルの柔軟部分7にめり込むように、切断機器において移動(例えば、少なくとも部分的に回転する部分で)可能である。柔軟部分7は、切断作業中、クロージャ2の側壁の適切かつ効果的な実施形態として機能する。
【0039】
各スピンドル6は、特に、カルーセル8の回転を駆動するモーター駆動に対して別個のモーター駆動(及び独立して制御可能、例えば別のブラシレスモーター)のコマンドで、又はカルーセル8の回転を駆動するモーター駆動のコマンドで、スピンドル軸Yの周りに回転可能であり得る。
【0040】
スピンドル軸Yは、特に、クロージャ2の幾何学的軸Zに平行であってもよい。スピンドル軸Yは、特に、この特定の実施形態のように、クロージャの幾何学的軸Zから離れていてもよい。
【0041】
切断装置1は、特に、垂直ブレード5(及び/又は、可能性のある傾斜ブレード)が、スピンドル6が切断機器の前を通過するたびに、柔軟部分7の同じ垂直又は傾斜(線形)ゾーンに常に出会うように、スピンドル6(そのスピンドル軸Yの周りの)の回転と、スピンドル6の送込み(即ち、切断機器への前進動作、これは、これらの実施形態では、スピンドル6を運ぶカルーセル8の回転動作を備える)とを調整(連係)するためのコントローラを備えることができる。
【0042】
特に、動作(スピンドルの回転動作及びスピンドルの前進動作)の上述の調整は、カルーセルの回転軸(X軸)の時間単位における回転数と、各スピンドルの回転軸(Y軸)の時間単位における回転数との比が1:Nに同じになることを確保することによって達成されるようにすることが可能である。ここで、Nは整数(例えば、8から18の間に含まれる数、特に1:12、又は1:13、又は1:14)。
【0043】
切断装置1は、特に、カルーセルの軸(X軸)を上述のそれぞれのスピンドルの軸(Y軸)に接続する機械的トランスミッション(伝達)を備えることができる。この機械的トランスミッションは、上述の動作の調整を達成するように、特に、1:N(Nは整数に等しい)に等しい上述の(伝達)比を達成するように、構成されることができる。
【0044】
この機械的トランスミッションは、特に、少なくとも1つの柔軟な伝達部材9(スピンドル6に接続されたプーリと結合されている)を備えるトランスミッションを備えることができる。しかしながら、例えばギアタイプの他のタイプの機械的トランスミッションを設けることも可能である。
【0045】
さらに、カルーセルの軸と、上述のスピンドルのそれぞれの軸との同期して調整された動作を制御するための、例えば、カルーセルの軸の駆動モーターとスピンドルの軸の駆動モーターとを調整するための1つ又は複数の電子カムのような、電子コントローラを備えた切断装置を設けることが可能である。特に、複数のモーター、特に各スピンドル軸に関するモーター、又は、機械的トランスミッション、例えば先に開示したようなトランスミッション、により複数のスピンドル軸に(例えば、カルーセルに配置された全てのスピンドル軸に)接続された単一のモーター、を備えたスピンドルの軸の駆動モーターを設けることが可能である。
【0046】
各スピンドル6は、特に、片側において開いた(オープンな)環状座を有する支持体10を備えることができる。スピンドルの柔軟部分7は、特に、上述の開いた側(オープン側)を介して上述の環状座へ(特に軸方向に)挿入可能な環状インサートを備えることができる(軸方向とはスピンドルの軸を基準とする)。
【0047】
各スピンドル6は、特に、環状座の上述の片側を閉じるために支持体10に取り外し可能な方法において(例えば、ねじ固定部材によって)固定可能な環状ロック要素11を備えることができ、その結果、環状インサートが既定位置にロックされた状態を維持する。
【0048】
切断装置1の働きは、特に、クロージャ2を切断機器3へ運ぶスピンドル6を送り込むステップを備えることができる切断方法を実施する。ここで切断機器3は、理解されているように、1つ又は複数の水平ブレード4と、少なくとも1つの垂直(又は傾斜)ブレード5を備えることができる。
【0049】
スピンドル6(例えば円形の前進経路に沿ってカルーセル8によって回転される)は、切断機器3に数回搬送されることができ、(例えば、既知の方法で、切断されるべきクロージャの入口ゾーン、及び切断されたクロージャの出口ゾーンを備えるカルーセル8を使用して)毎回異なるクロージャ2を運ぶ。
【0050】
上述のように、各スピンドル6は、ブレードよりも柔らかい材料で作製された(環状の形状で、スピンドル軸Yと同軸の)柔軟部分7を備えることができる。柔軟部分7は、例えば、PEEK、Delrin(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、アルミニウム、銅、スズ、青銅などで作製された様々な材料で作製されることができる。
【0051】
切断方法は、特に、スピンドル6をそのスピンドル軸Yの周りに回転させ、ブレード4、5がクロージャを貫通してスピンドル7の柔軟部分7へめり込むように切断機器3においてクロージャ2を動かすステップを備えることができる(
図1及び
図2を参照)。
【0052】
スピンドル6の回転動作は、特に、スピンドルが切断機器に搬送されるたびに、垂直又は傾斜ブレードがスピンドルの柔軟部分7において同じ垂直又は傾斜(線形)ゾーンに常に出会うように、スピンドル6の送込み動作と調整される。
【0053】
この目的のために、例えば、スピンドルがカルーセル軸Xの周りに回転可能なカルーセル8によって回転され、カルーセル軸Xの単位時間における回転数とスピンドル軸Yの単位時間における回転数との間の比率が1:N、Nは整数に等しい、に同じであることが可能である。
【0054】
そうすることによって、垂直(又は傾斜)ブレード5は、スピンドルの最初の通過におけるのと常に同じ位置又はゾーン(特に、その形状が垂直又は傾斜ブレード5の形状に実質的に対応する線形ゾーン)においてスピンドル6の柔軟部分7に侵入し、柔軟部分7の摩耗を大幅に減少させ、垂直(又は傾斜)ブレード5は、ブレードが毎回配置されるその位置又はゾーンにおいて、スピンドルのより柔らかい部分の材料に一種の(線形、垂直又は傾斜の)スリット又は溝を削り取る。
【0055】
最初の通過に続く通過では、垂直(又は傾斜)ブレード5は、スピンドルの柔軟部分を、他のゾーンにおいてさらに損傷することなく、先に削り取られた(線形、垂直又は傾斜の)スリット又は溝が形成された位置又はゾーンと常に相互作用する。したがって、スピンドルの柔軟部分7は、装置の動作の初期のステップで、スピンドルの最初の通過中に、上述の垂直又は傾斜のゾーンにおいて摩耗されることができ、即ち、柔軟部分7の周囲全体の比較的限定されたゾーンに摩耗を制限した状態で、その後、柔軟部分は、他の垂直又は傾斜のゾーンにおいて、もはや摩耗されない。
【0056】
柔軟部分における摩耗したゾーン(摩耗ゾーン)の形状は、システムにおける順応性及びクリアランスの可能性に起因する最小の寸法変化は別として、柔軟部分の材料の無傷で全体の残りの部分をそのままにして、垂直又は傾斜ブレードの形状に実質的に対応することができることが観察されており、したがってこのことは、切断操作の適切な実行に関して、最大の有効性を有して当接機能を果たすことが可能であり、その結果、「テザー」クロージャにおける容易な開封機器は、非常に正確で高品質な構造になる。柔軟部分の摩耗したゾーンの寸法と垂直又は傾斜ブレードの寸法との間の可能性のある差は、上述のように、摩耗したゾーンの形状及び寸法がブレードとスピンドルの柔軟部分との相互作用によって生じるので、可能性のある最小の差になる。
【0057】
スピンドルのより柔らかい部分は、切断機器の水平ブレード4のために、水平(円周)ゾーンにおいても摩耗する。水平ブレード4は、スピンドルの各通過時(即ち、スピンドル保持カルーセルの回転動作の各回転時)に柔軟部分の同じ水平摩耗ゾーンに常に影響を与え相互作用する。
【0058】
スピンドルの送り込み動作及び回転動作の両方を駆動するために機械的トランスミッションを有する単一のモーター駆動を有する実施形態では、クロージャを切断するため、装置の始動前にカルーセルの軸とスピンドルの軸とを同調させるように、切断装置の準備の初期位相整合を実行する必要はないことに留意されたい。実際に、初期の角度位置が何であれ、2番目の通過から、最初の通過の同じ初期の角度位置で切断装置の前をスピンドルが通過することで十分であることから、スピンドルのより柔らかい部分の正確にどのゾーンが影響を受けて、垂直又は傾斜ブレードによって磨耗されるかは重要ではないように、回転するスピンドル6が最初の通過、つまり切断装置1の初期始動時に、切断機器3の前(特に、垂直又は傾斜ブレード5の前)を通過するときに、非常に正確な角度位置にある必要はない。
【0059】
別個のモーター駆動(1つはスピンドルの送り込み動作、つまりカルーセルの回転を駆動するためのもので、もう1つは各スピンドルの軸周りの回転動作を駆動するためのもの)を有する実施形態の場合では、切断装置1のスイッチを入れて再び始動するときはいつでも、センサ(例えば、エンコーダを備える)がカルーセルに対するさまざまなスピンドルの角度位置を認識し、同期を再確立するのに適した調整を実行できるように、例えば非常に簡単に、切断機器3(ブレードへの損傷を避けるために)を後退させて、一種の「空の」初期キャリブレーションへモーター駆動を開始することによって、初期位相整合を実行することが可能である。
【0060】
この短い初期位相整合ステップの後、切断機器3を再び作業位置へ前進させて、切断装置の通常の動作を開始することができる。切断機器3を後退させることは、厳密には必須ではないが、柔軟部分7の材料への摩耗又は損傷を回避するのに役立つ。
【0061】
しかしながら、位相調整の欠如、あるいは不正確な位相調整においても、以前に切り込みされていない、柔らかいスピンドル部分のゾーンとブレードが接触するだけであり、ブレードに損傷を与えることはない(及び柔軟部分への更なる摩耗と共に)。これは、例えばWO2021/063776A1の解決策において発生することの、ブレードがスピンドルの硬質ゾーンと接触しブレードを修復不可能な損傷を与えることがあることとは反対である。
【0062】
切断装置1は、特に(
図5から
図8を参照して)、スピンドルの残りの部分に対してスピンドルの柔軟部分7の回転を防止するように、特にスピンドル軸Y周りの回転を防止するように構成された回転防止機器12を備えることができる。回転防止機器12が設けられたこの特定の実施形態の解決策は、特に、以前に開示された任意の実施形態に適用することができる。
【0063】
回転防止機器12は、スピンドル6が切断機器3に送り込まれるたびに垂直又は傾斜ブレード5が柔軟部分7の同じ垂直又は傾斜のゾーンに常に出会うように、上述の動作(スピンドルの回転動作及びスピンドルの前進動作)の調整の良好な操作を保証するように動作する。実際には、この調整は、スピンドルの残り部分に対するスピンドルの柔軟部分7の(予測できない量の)回転の場合には不正確になるであろう。
【0064】
回転防止機器12は、ここに示される実施形態のように、スピンドル6の柔軟部分7と残りの部分との間に形状カップリングを備えることができる。特に、柔軟部分7(環状形状の)の中央開口部と、中央開口部に挿入される、スピンドル6の少なくとも1つの中央部分との間に形状カップリングを設けることが可能である。上述の中央部分は、特に、スピンドル軸Yと同軸である少なくとも1つの部分を備えることができる。
【0065】
回転防止機器12は、
図5の実施形態のように、スピンドル6の中央部分から(スピンドル軸Yに関して)半径方向外側に突出して、かつ柔軟部分7の内面に得られ中央開口部の境界を示す対応のキャビティ内に形状カップリングと共に挿入される、少なくとも1つの歯を備えることができる。
【0066】
図5の特定の実施形態では、回転防止機器12は、半径方向に突出し(特に、4つの歯、2つ、3つ、5つ、又はそれ以上の歯を使用することが可能である場合でも)、互いから角距離(例えば等しく)で配置された、各歯がそれぞれのキャビティに結合されている、複数の歯を備える。実際には、この実施形態では、回転防止機器12は、スピンドル6の一部と柔軟部分7との間に溝付きカップリングを備える。
【0067】
回転防止機器12は、
図6の実施形態のように、スピンドル6の一部と柔軟部分7との間にねじカップリングを備えてもよい。このねじカップリングは、特にリミットスイッチ(図示せず)を備えることができる。このねじカップリングは、特に、切断動作中のスピンドル6の回転に関連して決定される一方向(右又は左)に配向されたねじを備えることができ、その結果、柔軟部分7と切断機器との間の相互作用は、柔軟部分7の緩み回転を防止するように、上述のねじカップリングの緩みに反対の力を引き起こす。
【0068】
回転防止機器12は、
図7の実施形態のように、環状の柔軟部分7の中央開口部を有する形状カップリングと結合されるスピンドル6の中央部分を備えることができ、ここで上述の形状カップリングは、この実施形態では、スピンドル軸Yの周りに幾何学的に配置されたローブ(丸い突起部)のクラウン配置から作製され、鋭い角のない特に連続的な曲がりくねった円周経路を形成する。
【0069】
回転防止機器12は、
図8の実施形態のように、環状の柔軟部分7の中央開口部を有する形状カップリングと結合されるスピンドル6の一部を備えることができ、ここで上述の形状カップリングは、スピンドル軸Yの周りに幾何学的に配置された非円形形状(例えば、多角形、特に
図8のような八角形)における(又は円形であるが偏心している又はスピンドル軸Yと同軸でない)、スピンドル6の部分の周囲の輪郭で作製される。
【0070】
この周囲の輪郭は、環状の柔軟部分7の中央開口部の、対応する内側縁を有する形状カップリングと結合される。非円形の周囲輪郭は、特に、楕円形状、正多角形状又は非正多角形状、星形、又は、スピンドル6の残りの部分(特にスピンドル軸Yの周り)に対して柔軟部分7自身の回転を防止するのに適した他の形状であってもよい。
【0071】
回転防止機器12は、スピンドル6の残りの部分に対する柔軟部分7の回転を防止することによって、垂直又は傾斜ブレードによって影響を受け、よって摩耗する、スピンドルのより柔らかい部分のゾーンがカルーセルの各回転で常に上記ゾーンになることを確実にする。
【0072】
切断装置は、装置への、特に切断機器3のブレード4、5への損傷のリスクを低減するのに適した制御方法によって制御されることができる。この制御方法は、特に、ある期間、スピンドルが「空の状態で」、即ちカルーセルの回転及びスピンドルの回転を有するが、クロージャ2の送込みなしで稼働する、予備ステップ又は初期始動のステップを備えることができる。
【0073】
この予備ステップは、クロージャ2を取らずに(「空の状態で」)各スピンドル6を切断機器3に数回移動させ、この「空の状態で」の送込み中に、各ブレード(つまり、水平ブレード4、及び/又は、垂直又は傾斜ブレード5)は、ブレードが柔軟部分7にめり込む深さを徐々に増加させるように、特に、名目上の作業位置から離れた初期(格納)位置から開始して、ブレードが柔軟部分7に所望の深さまでめり込む名目上の作業位置に達するまで、(前方に)移動される。
【0074】
実際には、この予備又は初期の始動ステップ中に、切断機器3は、格納された構成、つまり一組のブレード(1つ又は複数の水平ブレード4、及び少なくとも1つの垂直又は傾斜ブレード5)が格納された構成に配置される構成、を採用するように初期に制御される。ここで、「格納された」は、クロージャ2の切断を実行するための適切な名目上の位置を参照して理解されねばならない。その後、すべてのブレードは、特に名目上の切断位置に到達するまで、特に制御された進行で、徐々に前方に移動される。
【0075】
この漸進的な前進中、カルーセルが回転し続け、スピンドルも回転し続ける間(クロージャ2を運ばずに)、切断機器3のブレードは、スピンドル6の柔軟材料への貫通深さが実質的に各スピンドルに関するカルーセルの各回転で徐々に増加する状態で、一度に少しずつ、スピンドルのより柔らかい部分7へますますめり込む。前進は、連続的又は不連続的又は混合的(部分的に連続的又は不連続的)であってもよい。
【0076】
この制御方法(スピンドル6の柔軟部分7の漸進的な切開サイクル)は、特に、ユーザインターフェースにおける特定のコマンドによって操作者によって制御されることができる。
【0077】
漸進的な切開サイクルの開始時に、コントローラは、(名目上作業位置における)ブレードユニットを、いくらかの距離まで(例えば、純粋に非限定的な例として、ブレードの通常の作業位置に対して約0.60mmまで)自動的に後退させることができる(カルーセルが静止した状態で)。その後、コントローラは、カルーセルの回転及びカルーセルによって運ばれるスピンドルの回転を自動的に開始し、種々のスピンドル6における柔軟部分7のわずかな切開の最初のステップを開始する。この最初の切開ステップは、予め設定されプログラムされた持続時間(例えば、約2分)を有することができる。
【0078】
その後、予め設定された量、例えば約0.05mmにてブレードを前進させることによって、柔軟部分7の切開の第2ステップ、これは前のステップよりもわずかにより深いものである、を提供することができ、その結果、ブレードの最初の前進は、例えば、クロージャ2の通常の切断状況においてブレードが採用しなければならない実際の又は名目上の作業位置を基準ゼロとして取り、位置-0.60mmから位置-0.55mmまでの通過である可能性がある。
【0079】
この第2の切開ステップは、特に、カルーセルの回転が中断され、よってブレードの制御された前進の中間ステップを備えることができる最初の中断ステップと、コントローラが、カルーセルの回転、及びカルーセルによって運ばれるスピンドルの回転を自動的に再始動し、柔軟部分7の適切な切開のステップを実際に開始する、後続の再始動ステップとを備えることができる。また、この適切な切開ステップは、予め設定されプログラムされた持続時間(例えば、約2分)を有することができる。
【0080】
上述の中断、前進サイクル(例えば、各サイクルで約0.05mmによる)、及び再開は、ブレードの実際の名目上作業位置、つまり、ブレードがクロージャ2を切断するところの、0.00mmに等しいブレード位置の値、が達成されるまで、自動的に繰り返すことができる。
【0081】
各サイクルに関する0.05mmの漸進的前進ステップの上述の値、及び、各サイクルに関する2分の切開時間の上述の値は、単なる例示の値であり、他の値をプログラムすることもできる(例えば、各サイクルに関する漸進的前進における、0.01mm、0.02mm、0.03mm、0.04mm、0.06mm、0.07mm、0.08mm、0.09mm、又は0.10mm、各サイクルに関する切開時間における、1分、1.5分、2.5分、又は3分、漸進的前進と切開時間との任意の組み合わせにおいて、また、1つのサイクル(中断、前進、再始動)と他のサイクルとの間で、漸進的前進及び/又は異なる切開時間をプログラミングすることによっても可能である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、例えばボトル等の容器を閉じるために使用可能なクロージャ又はカプセル、特にプラスチック製のクロージャ又はカプセル、を切断するための装置及び方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1…切断装置、2…クロージャ、3…切断機器、5…垂直又は傾斜ブレード、
6…スピンドル、7…柔軟部分、8…カルーセル。
【外国語明細書】