(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167525
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】積層セラミック電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20231116BHJP
H01G 4/35 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H01G4/30 201G
H01G4/30 201F
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G4/35 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078783
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】福田 吉宏
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF03
5E001AF06
5E001AH07
5E001AJ03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC32
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082JJ03
5E082JJ06
5E082JJ12
(57)【要約】
【課題】外部電極と積層体との間の固着力を向上することができる積層セラミック電子部品を提供することである。
【解決手段】積層セラミック電子部品10では、第1の外部電極30aは、第1のCuめっき層34a及び第3のCuめっき層35aを有し、第2の外部電極30bは、第2のCuめっき層34b及び第4のCuめっき層35bを有し、第1のCuめっき層34aの端面の任意の2以上の第1正方形領域40a及び第2のCuめっき層34bの端面の任意の2以上の第2正方形領域40bそれぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個以下であり、第3のCuめっき層35aの端面の任意の2以上の第3正方形領域41a及び第4のCuめっき層35bの端面の任意の2以上の第4正方形領域41bそれぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個よりも多く、第1ないし第4正方形領域40a、40b、41a、41bはそれぞれ1辺が2μmの正方形の領域である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の積層されたセラミック層を有し、高さ方向に相対する第1の主面および第2の主面と、前記高さ方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、前記高さ方向および前記長さ方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面とを有する積層体と、
前記複数のセラミック層上に配置され、前記第1の端面に引き出された複数の第1の内部電極層と、
前記複数のセラミック層上に配置され、前記第2の端面に引き出された複数の第2の内部電極層と、
前記第1の端面上に配置されており、前記第1の内部電極層に接続される第1の外部電極と、
前記第2の端面上に配置されており、前記第2の内部電極層に接続される第2の外部電極と、を備え、
前記第1の外部電極は、第1のCuめっき層と、前記第1のCuめっき層上に配置される第3のCuめっき層と、を有し、
前記第2の外部電極は、第2のCuめっき層と、前記第2のCuめっき層上に配置される第4のCuめっき層と、を有し、
前記第1のCuめっき層のうちの前記第1の端面側の任意の2以上の第1正方形領域及び前記第2のCuめっき層のうちの前記第2の端面側の任意の2以上の第2正方形領域それぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個以下であり、
前記第3のCuめっき層のうちの前記第1の端面側の任意の2以上の第3正方形領域及び前記第4のCuめっき層のうちの前記第2の端面側の任意の2以上の第4正方形領域それぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個よりも多く、
前記第1ないし第4正方形領域はそれぞれ1辺が2μmの正方形の領域である、積層セラミック電子部品。
【請求項2】
前記第3のCuめっき層及び前記第4のCuめっき層中のCuの含有率は95%以上である、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項3】
前記第1のCuめっき層及び第2のCuめっき層中のCuの含有率は60%以上である、請求項1又は2に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項4】
前記第1のCuめっき層の前記第1の端面に隣接してNiが拡散している第1Ni拡散領域は、前記第1のCuめっき層の前記第1の端面からの前記長さ方向の厚みである第1長さの2/5以下の長さを有し、
前記第2のCuめっき層の前記第2の端面に隣接してNiが拡散している第2Ni拡散領域は、前記第2のCuめっき層の前記第2の端面からの前記長さ方向の厚みである第2長さの2/5以下の長さを有する、請求項1又は2に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項5】
複数の積層されたセラミック層を有し、高さ方向に相対する第1の主面および第2の主面と、前記高さ方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、前記高さ方向および前記長さ方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面とを有する積層体と、
前記複数のセラミック層上に配置され、前記第1の端面および前記第2の端面に引き出された複数の第1の内部電極層と、
前記複数のセラミック層上に配置され、前記第1の側面および前記第2の側面に引き出された複数の第2の内部電極層と、
前記第1の端面上に配置されており、前記第1の内部電極層に接続される第1の外部電極と、
前記第2の端面上に配置されており、前記第1の内部電極層に接続される第2の外部電極と、
前記第1の側面上に配置され、前記第1の側面から延伸して前記第1の主面の一部および前記第2の主面の一部に配置されており、前記第2の内部電極層に接続される第3の外部電極と、
前記第2の側面上に配置され、前記第2の側面から延伸して前記第1の主面の一部および前記第2の主面の一部に配置されており、前記第2の内部電極層に接続される第4の外部電極と、を備え、
前記第1の外部電極は、第1のCuめっき層と、前記第1のCuめっき層上に配置される第3のCuめっき層と、を有し、
前記第2の外部電極は、第2のCuめっき層と、前記第2のCuめっき層上に配置される第4のCuめっき層と、を有し、
前記第1のCuめっき層のうちの前記第1の端面側の任意の2以上の第1正方形領域及び前記第2のCuめっき層のうちの前記第2の端面側の任意の2以上の第2正方形領域それぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個以下であり、
前記第3のCuめっき層のうちの前記第1の端面側の任意の2以上の第3正方形領域及び前記第4のCuめっき層のうちの前記第2の端面側の任意の2以上の第4正方形領域それぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個よりも多く、
前記第3の外部電極は、第5のCuめっき層と、前記第5のCuめっき層上に配置される第7のCuめっき層と、を有し、
前記第4の外部電極は、第6のCuめっき層と、前記第6のCuめっき層上に配置される第8のCuめっき層と、を有し、
前記第5のCuめっき層のうちの前記第1の端面側の任意の2以上の第5正方形領域及び前記第6のCuめっき層のうちの前記第2の端面側の任意の2以上の第6正方形領域それぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個以下であり、
前記第7のCuめっき層のうちの前記第1の端面側の任意の2以上の第7正方形領域及び前記第8のCuめっき層のうちの前記第2の端面側の任意の2以上の第8正方形領域それぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個よりも多く、
前記第1ないし第8正方形領域はそれぞれ1辺が2μmの正方形の領域である、積層セラミック電子部品。
【請求項6】
前記第3のCuめっき層及び前記第4のCuめっき層中のCuの含有率は95%以上である、請求項5に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項7】
前記第1のCuめっき層及び第2のCuめっき層中のCuの含有率は60%以上である、請求項5又は6に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項8】
前記第1のCuめっき層の前記第1の端面に隣接してNiが拡散している第1Ni拡散領域は、前記第1のCuめっき層の前記第1の端面からの前記長さ方向の厚みである第1長さの2/5以下の長さを有し、
前記第2のCuめっき層の前記第2の端面に隣接してNiが拡散している第2Ni拡散領域は、前記第2のCuめっき層の前記第2の端面からの前記長さ方向の厚みである第2長さの2/5以下の長さを有する、請求項5又は6に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項9】
前記第7のCuめっき層及び前記第8のCuめっき層中のCuの含有率は95%以上である、請求項5に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項10】
前記第5のCuめっき層及び第6のCuめっき層中のCuの含有率は60%以上である、請求項5又は9に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項11】
前記第5のCuめっき層の前記第1の側面に隣接してNiが拡散している第5Ni拡散領域は、前記第5のCuめっき層の前記第1の側面からの前記幅方向の厚みである第5長さの2/5以下の長さを有し、
前記第6のCuめっき層の前記第2の側面に隣接してNiが拡散している第6Ni拡散領域は、前記第6のCuめっき層の前記第2の側面からの前記幅方向の厚みである第6長さの2/5以下の長さを有する、請求項5又は9に記載の積層セラミック電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、積層セラミック電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ等の電子機器の高性能化に伴い、電子機器に用いられる積層セラミック電子部品は小型化が要求されている。一般的に、積層セラミック電子部品は、積層体と外部電極とを含む。積層体は内層部と外層部とを含む。内層部は、複数のセラミック層と複数の内部電極層とが所定の積層方向に交互に積層されることにより形成されている。外層部は、内層部を積層方向に挟み込むように内層部の表面にセラミック層が配置されることにより形成されている。複数の内部電極層は積層方向に直交する幅方向の積層体の両端面において露出している。特許文献1の積層セラミック電子部品では、外部電極は、積層体の端面から露出する内部電極層と電気的に接続されるように端面上に直接にめっきにより形成されている。外部電極を積層体の端面上に直接にめっきにより形成することにより、外部電極の平坦化及び薄膜化を達成することができる。よって、積層セラミック電子部品を小型化することができるため、基板への実装の自由度も向上し、電子機器の小型化を達成することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように積層体の端面に直接にめっきにより外部電極を形成する場合、積層体と外部電極であるめっき層との固着力が弱くなる。そのため、めっき層の積層体からの剥がれが生じ、積層セラミック電子部品の信頼性が低下する。
【0005】
そこで、積層体に直接にめっきにより外部電極を形成した後に熱処理を行う。これにより、内部電極層の金属とめっき層の金属とを相互拡散させることにより、内部電極層とめっき層との固着力を向上させ、積層体と外部電極との固着力を向上させる。しかし、前記熱処理を行うことによりめっき層中の金属成分が粒成長するため、めっき層の機械的強度が低下してしまう。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、積層体に直接にめっきにより外部電極を形成した場合でも外部電極と積層体との間の固着力を向上することができる積層セラミック電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる積層セラミック電子部品は、複数の積層されたセラミック層を有し、高さ方向に相対する第1の主面および第2の主面と、高さ方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、高さ方向および長さ方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面とを有する積層体と、複数のセラミック層上に配置され、第1の端面に引き出された複数の第1の内部電極層と、複数のセラミック層上に配置され、第2の端面に引き出された複数の第2の内部電極層と、第1の端面上に配置されており、第1の内部電極層に接続される第1の外部電極と、第2の端面上に配置されており、第2の内部電極層に接続される第2の外部電極と、を備え、第1の外部電極は、第1のCuめっき層と、第1のCuめっき層上に配置される第3のCuめっき層と、を有し、第2の外部電極は、第2のCuめっき層と、第2のCuめっき層上に配置される第4のCuめっき層と、を有し、第1のCuめっき層のうちの第1の端面側の任意の2以上の第1正方形領域及び第2のCuめっき層のうちの第2の端面側の任意の2以上の第2正方形領域それぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個以下であり、第3のCuめっき層のうちの第1の端面側の任意の2以上の第3正方形領域及び第4のCuめっき層のうちの第2の端面側の任意の2以上の第4正方形領域それぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個よりも多く、第1ないし第4正方形領域はそれぞれ1辺が2μmの正方形の領域であることを特徴とする、積層セラミック電子部品である。
【0008】
この発明にかかる積層セラミック電子部品では、第1のCuめっき層の第1正方形領域及び第2のCuめっき層の第2正方形領域でのCu粒の平均個数が1.5個以下であるため、第1のCuめっき層と第1の内部電極層との固着力及び第2のCuめっき層と第2の内部電極層との固着力を向上することができるとともに、当該固着部分を含む領域でのESR(Equivalent Series Resistance:等価直列抵抗)を低くすることができる。結果として、第1のCuめっき層を含む第1の外部電極と第1の内部電極層との固着力及び第2のCuめっき層を含む第2の外部電極と第2の内部電極層との固着力の向上を達成できるとともに、ESRの低下を達成することができる。
また、第3のCuめっき層の第3正方形領域及び第4のCuめっき層の第4正方形領域のCu粒の個数が1.5個よりも多いため、第3のCuめっき層及び第4のCuめっき層の機械的強度を向上することができる。よって、第3のCuめっき層を含む第1の外部電極の機械的強度及び第4のCuめっき層を含む第2の外部電極の機械的強度を向上することができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、積層体に直接にめっきにより外部電極を形成した積層セラミック電子部品において、外部電極と積層体との間の固着力を向上することができる。
【0010】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の第1の実施の形態に係る積層セラミック電子部品としての2端子型積層セラミックコンデンサの一例を示す外観斜視図である。
【
図3】
図1の線III-IIIにおける断面図である。
【
図8】この発明の第2の実施の形態に係る3端子型積層セラミックコンデンサの一例を示す外観斜視図である。
【
図9】この発明の第2の実施の形態に係る3端子型積層セラミックコンデンサの一例を示す上面図である。
【
図10】この発明の第2の実施の形態に係る3端子型積層セラミックコンデンサの一例を示す正面図である。
【
図11】
図8の線XI-XIにおける断面図である。
【
図12】
図8の線XII-XIIにおける断面図である。
【
図13】
図11の線XIII-XIIIにおける断面図である。
【
図16】第1ないし第4正方形領域を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施の形態>
1. 2端子型積層セラミックコンデンサ
この発明の第1の実施の形態にかかる積層セラミック電子部品の例として、2端子型積層セラミックコンデンサについて説明する。
【0013】
図1は、この発明の第1の実施の形態に係る積層セラミック電子部品としての2端子型積層セラミックコンデンサの一例を示す外観斜視図である。
図2は、
図1の線II-IIにおける断面図である。
図3は、
図1の線III-IIIにおける断面図である。
図4は、
図2の線IV-IVにおける断面図である。
図5は、
図2の線V-Vにおける断面図である。
図6は、
図2の線VI-VIにおける断面図である。
図7は、第1、第2正方形領域を示す断面図である。
【0014】
図1ないし
図3に示すように、2端子型積層セラミックコンデンサ10は、直方体状の積層体12と、積層体12の両端部に配置される外部電極30を含む。
【0015】
(1)積層体
積層体12は、高さ方向x(積層方向)に相対する第1の主面12aおよび第2の主面12bと、高さ方向xに直交する幅方向yに相対する第1の側面12cおよび第2の側面12dと、高さ方向xおよび幅方向yに直交する長さ方向zに相対する第1の端面12eおよび第2の端面12fとを有する。本実施の形態の積層体12には、角部および稜線部に丸みがつけられている。なお、角部とは、積層体12の隣接する3面が交わる部分のことであり、稜線部とは、積層体12の隣接する2面が交わる部分のことである。また、第1の主面12aおよび第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12d、ならびに第1の端面12eおよび第2の端面12fの一部または全部に凹凸などが形成されていてもよい。
【0016】
積層体12は、複数枚のセラミック層14とそれらの上に配置される複数枚の補助電極層29から構成される外層部14aと、単数もしくは複数枚のセラミック層14とそれらの上に配置される複数枚の内部電極層16及び複数枚の補助電極層29から構成される内層部14bと、を含む。外層部14aは、積層体12の第1の主面12a側に位置する第1の外層部および第2の主面12b側に位置する第2の外層部を含む。第1の外層部は、第1の主面12aと最も第1の主面12aに近い内部電極層16との間に位置する複数枚のセラミック層14及びそれらの上に配置される複数枚の補助電極層29の集合体である。第2の外層部は、第2の主面12bと最も第2の主面12bに近い内部電極層16との間に位置する複数枚のセラミック層14及びそれらの上に配置される複数枚の補助電極層29の集合体である。そして、両外層部14aに挟まれた領域が内層部14bである。内層部14bでは、セラミック層14と内部電極層16及び補助電極層29とが高さ方向xに交互に積層されている。
【0017】
なお、積層体12のうち後述の第1の内部電極層16aと後述の第2の内部電極層16bとが対向する部分を対向部という。また、対向部と第1の側面12cとの間の部分、及び、対向部と第2の側面12dとの間の部分はWギャップまたはサイドギャップともいう。また、対向部と第1の端面12eとの間の部分、及び、対向部と第2の端面12fとの間の部分であり、第1の内部電極層16a及び第2の内部電極層16bのいずれか一方の引出電極部を含む部分をLギャップまたはエンドギャップともいう。
【0018】
積層体12の寸法は、特に限定されないが、長さ方向zのL寸法が0.18mm以上9.95mm以下、幅方向yのW寸法が0.08mm以上9.95mm以下、高さ方向xのT寸法が0.08mm以上4.95以下であることが好ましい。
【0019】
セラミック層14を形成する誘電体材料としては、たとえば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、またはCaZrO3などの成分を含む誘電体セラミックを用いることができる。上記のセラミック材料を主成分として含む場合、所望する積層体12の特性に応じて、たとえば、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの主成分よりも含有量の少ない副成分を添加したものを用いてもよい。
【0020】
なお、セラミック層14に、圧電体セラミック材料を用いた場合、積層セラミック電子部品は圧電部品として機能する。圧電体セラミック材料の具体例としては、たとえば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系セラミック材料などが挙げられる。
また、セラミック層14に、半導体セラミック材料を用いた場合、積層セラミック電子部品は、サーミスタとして機能する。半導体セラミック材料の具体例としては、たとえば、スピネル系セラミック材料などが挙げられる。
また、セラミック層14に、磁性体セラミック材料を用いた場合、積層セラミック電子部品は、インダクタとして機能する。また、インダクタとして機能する場合は、内部電極層16は、コイル状の導体となる。磁性体セラミック材料の具体例としては、たとえば、フェライトセラミック材料などが挙げられる。
【0021】
焼成後のセラミック層14の厚みは、0.3μm以上50μm以下であることが好ましい。積層されるセラミック層14の枚数は、15枚以上1200枚以下であることが好ましい。なお、このセラミック層14の枚数は、内層部14bのセラミック層14の枚数と、第1の主面12a側の外層部14aおよび第2の主面12b側の外層部14aのセラミック層14の枚数との総数である。
【0022】
積層体12は、複数の内部電極層16として、第1の端面12eに引き出される複数の第1の内部電極層16aおよび第2の端面12fに引き出される複数の第2の内部電極層16bを有する。複数の第1の内部電極層16aおよび複数の第2の内部電極層16bは、内層部14bにおいて積層体12の高さ方向xに沿ってセラミック層14を挟んで等間隔に交互に配置されるように埋設されている。複数の第1の内部電極層16aの表面および複数の第2の内部電極層16bの表面は、第1の主面12aおよび第2の主面12bと概ね平行であり、平面視においてたとえば略矩形状である。
【0023】
図4に示すように、第1の内部電極層16aは、複数のセラミック層14上に配置され、積層体12の内部に位置している。第1の内部電極層16aは、第2の内部電極層16bと対向する第1の対向電極部26aと、第1の内部電極層16aの一端側に位置し、第1の対向電極部26aから積層体12の第1の端面12e、第1の側面12c及び第2の側面12dまでの第1の引出電極部28aとを有する。第1の対向電極部26aは、
図4に示すように、平面視において、第1の引出電極部28aと接続される端部以外は積層体12から露出していない。第1の引出電極部28aは、その端部が第1の端面12e、第1の側面12c及び第2の側面12dの表面に引き出され、積層体12から露出している。第1の対向電極部26aの先端部は、第2の端面12fの表面から長さ方向Zに後退して位置している。
【0024】
第1の内部電極層16aの第1の対向電極部26aの形状は、特に限定されないが平面視矩形状であることが好ましい。
【0025】
第1の内部電極層16aの第1の引出電極部28aの形状は、特に限定されないが平面視矩形状であることが好ましい。
【0026】
図5に示すように、第2の内部電極層16bは、複数のセラミック層14上に配置され、積層体12の内部に位置している。第2の内部電極層16bは、第1の内部電極層16aと対向する第2の対向電極部26bと、第2の内部電極層16bの一端側に位置し、第2の対向電極部26bから積層体12の第2の端面12f、第1の側面12c及び第2の側面12dまでの第2の引出電極部28bを有する。第2の対向電極部26bは、
図5に示すように、平面視において、第2の引出電極部28bと接続される端部以外は積層体12から露出していない。第2の引出電極部28bは、その端部が第2の端面12f、第1の側面12c及び第2の側面12dの表面に引き出され、積層体12から露出している。第2の対向電極部26bの先端部は、第1の端面12eの表面から長さ方向Zに後退して位置している。
【0027】
第2の内部電極層16bの第2の対向電極部26bの形状は、特に限定されないが平面視矩形状であることが好ましい。もっとも、平面視コーナー部を丸められていたり、コーナー部を平面視斜めに形成したりしてよい(テーパー状)。また、どちらかに向かうにつれて傾斜がついている平面視テーパー状であってもよい。
【0028】
第2の内部電極層16bの第2の引出電極部28bの形状は、特に限定されないが平面視矩形状であることが好ましい。
【0029】
第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bは、たとえば、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、Ag-Pd合金等の、それらの金属の少なくとも一種を含む合金などの適宜の導電材料により構成することができる。また、内部電極層16を含む積層体12及び積層体12の表面の外部電極30を含む一体物を同時に焼成する場合、内部電極層16を構成する金属は、外部電極30に含まれる金属と化合物を構成する。
【0030】
内部電極層16、すなわち第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bのそれぞれの厚みは、0.2μm以上3.0μm以下であることが好ましい。
また、第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bの枚数は、合わせて10枚以上1000枚以下であることが好ましい。
【0031】
積層体12は、複数の補助電極層29として、第1の補助電極層29aと第2の補助電極層29bとを有する。
【0032】
内層部14bにおいて、第1の補助電極層29aは、第2の内部電極層16bが配置されるセラミック層14と同一の平面上に、第2の内部電極層16bとは離れて配置されかつ第1の端面12e、第1の側面12c及び第2の側面12dに露出する。また、内層部14bの第1の補助電極層29aは、第1の内部電極層16aの第1の引出電極部28aとセラミック層14を介して対向している。
【0033】
本実施の形態では、第1の補助電極層29aは外層部14aにも配置されている。外層部14aの第1の主面12a表面の第1の補助電極層29aは、例えば
図2、
図6に示すように第1の主面12a、第1の端面12e、第1の側面12c及び第2の側面12dに露出するようにセラミック層14上に配置されている。外層部14aの第2の主面12b表面の第1の補助電極層29aは、第2の主面12b、第1の端面12e、第1の側面12c及び第2の側面12dに露出するようにセラミック層14上に配置されている。外層部14a内のその他の第1の補助電極層29aは、第1の端面12e、第1の側面12c及び第2の側面12dに露出するようにセラミック層14上に配置されている。なお、外層部14aにおいては第1の補助電極層29aを省略することもできる。
【0034】
このように第1の補助電極層29aが内層部14bに配置されていることにより、後述の第1のCuめっき層34aが第1の端面12e、第1の側面12c及び第2の側面12dに形成されやすい。つまり、第1の端面12e、第1の側面12c及び第2の側面12dにおいては、第1の内部電極層16aの第1の引出電極部28aだけでなく内層部14bの第1の補助電極層29aが露出している。よって、めっき処理により第1の端面12e、第1の側面12c及び第2の側面12dにわたる第1のCuめっき層34aを形成しやすい。また、本実施の形態では、外層部14aには第1の主面12aに露出する第1の補助電極層29a及び第2の主面12bに露出する第1の補助電極層29aが設けられているため、めっき処理により第1の主面12a及び第2の主面12bに第1のCuめっき層34aを形成しやすい。
【0035】
また、第1の補助電極層29aが設けられることにより、2端子型積層セラミックコンデンサ10内において、積層体12のセラミック層14よりも靭性が高い金属割合を高めることができる。その結果、2端子型積層セラミックコンデンサ10の機械的強度を向上させることができ、2端子型積層セラミックコンデンサ10にクラックや割れが入ることを抑制することができる。
【0036】
なお、第1の補助電極層29aは、第1の端面12eのみに露出するように形成されていてもよい。また、第1の引出電極部28aもまた第1の端面12eのみに露出するように形成されていてもよい。この場合、第1の端面12eにおいては、第1の引出電極部28aだけでなく第1の補助電極層29aが露出している。よって、めっき処理により第1の端面12eのみに第1のCuめっき層34aを形成しやすい。
また、第1の端面12eから第1の主面12a及び第2の主面12bに回り込むように第1のCuめっき層34aを形成する場合には、第1の補助電極層29aは、第1の主面12a及び第2の主面12bのみに露出するように形成されていてもよい。つまり、外層部14aにおいて第1の主面12aに露出する第1の補助電極層29a及び第2の主面12bに露出する第1の補助電極層29aが設けられていればよい。
さらには、第1の補助電極層29aは、第1の側面12c及び第2の側面12dにおいては露出されていないが、第1の端面12e、第1の主面12a及び第2の主面12bのみに露出するように形成されていてもよい。この場合、第1の端面12eから第1の主面12a及び第2の主面12bに回り込む第1のCuめっき層34aを形成しやすい。
【0037】
第1の補助電極層29aの形状は、特に限定されないが平面視矩形状であることが好ましい。
【0038】
また、内層部14bにおいて、第2の補助電極層29bは、第1の内部電極層16aが配置されるセラミック層14と同一の平面上に、第1の内部電極層16aとは離れて配置されかつ第2の端面12f、第1の側面12c及び第2の側面12dに露出する。また、内層部14bの第2の補助電極層29bは、第2の内部電極層16bの第2の引出電極部28bとセラミック層14を介して対向している。
【0039】
本実施の形態では、第2の内部電極層16bは外層部14aにも配置されている。外層部14aの第1の主面12a表面の第2の補助電極層29bは、例えば
図2、
図6に示すように第1の主面12a、第2の端面12f、第1の側面12c及び第2の側面12dに露出するようにセラミック層14上に配置されている。外層部14aの第2の主面12b表面の第2の補助電極層29bは、第2の主面12b、第2の端面12f、第1の側面12c及び第2の側面12dに露出するようにセラミック層14上に配置されている。外層部14a内のその他の第2の補助電極層29bは、第2の端面12f、第1の側面12c及び第2の側面12dに露出するようにセラミック層14上に配置されている。なお、外層部14aにおいては第2の内部電極層16bを省略することもできる。
【0040】
このように第2の補助電極層29bが内層部14bに配置されていることにより、後述の第2のCuめっき層34bが第2の端面12f、第1の側面12c及び第2の側面12dに形成されやすい。つまり、第2の端面12f、第1の側面12c及び第2の側面12dにおいては、第2の内部電極層16bの第2の引出電極部28bだけでなく内層部14bの第2の補助電極層29bが露出している。よって、めっき処理により第2の端面12f、第1の側面12c及び第2の側面12dにわたる第2のCuめっき層34bを形成しやすい。また、本実施の形態では、外層部14aには第1の主面12aに露出する第2の補助電極層29b及び第2の主面12bに露出する第2の補助電極層29bが設けられているため、めっき処理により第1の主面12a及び第2の主面12bに第2のCuめっき層34bを形成しやすい。
【0041】
また、第2の補助電極層29bが設けられることにより、2端子型積層セラミックコンデンサ10内において、積層体12のセラミック層14よりも靭性が高い金属割合を高めることができる。その結果、2端子型積層セラミックコンデンサ10の機械的強度を向上させることができ、2端子型積層セラミックコンデンサ10にクラックや割れが入ることを抑制することができる。
【0042】
なお、第2の補助電極層29bは、第2の端面12fのみに露出するように形成されていてもよい。また、第2の引出電極部28bもまた第2の端面12fのみに露出するように形成されていてもよい。この場合、第2の端面12fにおいては、第2の引出電極部28bだけでなく第2の補助電極層29bが露出している。よって、めっき処理により第2の端面12fのみに第2のCuめっき層34bを形成しやすい。
また、第2の端面12fから第1の主面12a及び第2の主面12bに回り込むように第2のCuめっき層34bが形成する場合には、第2の補助電極層29bは、第1の主面12a及び第2の主面12bのみに露出するように形成されていてもよい。つまり、外層部14aにおいて第1の主面12aに露出する第2の補助電極層29b及び第2の主面12bに露出する第2の補助電極層29bが設けられていればよい。
さらには、第2の補助電極層29bは、第1の側面12c及び第2の側面12dにおいては露出されていないが、第2の端面12f、第1の主面12a及び第2の主面12bのみに露出するように形成されていてもよい。この場合、第2の端面12fから第1の主面12a及び第2の主面12bに回り込む第2のCuめっき層34bを形成しやすい。
【0043】
第2の補助電極層29bの形状は、特に限定されないが平面視矩形状であることが好ましい。
【0044】
第1の補助電極層29aおよび第2の補助電極層29bは、例えば、内部電極層16と同様に、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、Ag-Pd合金等の、それらの金属の少なくとも一種を含む合金などの適宜の導電材料により構成することができる。
【0045】
第1の補助電極層29aおよび第2の補助電極層29bのそれぞれの厚みは、例えば、0.2μm以上3.0μm以下であることが好ましい。
第2の内部電極層16bと第1の補助電極層29aとの間隔の長さ方向zのL寸法が0.04mm以上であることが好ましい。同様に、第1の内部電極層16aと第2の補助電極層29bとの間隔の長さ方向zのL寸法が0.04mm以上であることが好ましい。
【0046】
(2)外部電極
積層体12の第1の端面12e側および第2の端面12f側には、
図1ないし
図3に示されるように、外部電極30が配置される。
【0047】
外部電極30は、第1の外部電極30aおよび第2の外部電極30bを有する。
【0048】
第1の外部電極30aは、第1の内部電極層16aに接続され、少なくとも第1の端面12eの表面に配置されている。この場合、第1の外部電極30aは、第1の内部電極層16aの第1の引出電極部28a及び第1の補助電極層29aと電気的に接続される。これに限定されないが、本実施の形態では、第1の外部電極30aは、積層体12の第1の端面12eから延伸して第1の主面12aの一部および第2の主面12bの一部、ならびに第1の側面12cの一部および第2の側面12dの一部にも配置される。
【0049】
第2の外部電極30bは、第2の内部電極層16bに接続され、少なくとも第2の端面12fの表面に配置されている。この場合、第2の外部電極30bは、第2の内部電極層16bの第2の引出電極部28b及び第2の補助電極層29bと電気的に接続される。これに限定されないが、本実施の形態では、第2の外部電極30bは、第2の端面12fから延伸して第1の主面12aの一部および第2の主面12bの一部、ならびに第1の側面12cの一部および第2の側面12dの一部にも配置される。
【0050】
積層体12内においては、第1の内部電極層16aの第1の対向電極部26aと第2の内部電極層16bの第2の対向電極部26bとがセラミック層14を介して対向することにより、静電容量が形成されている。そのため、第1の内部電極層16aが接続された第1の外部電極30aと第2の内部電極層16bが接続された第2の外部電極30bとの間に、静電容量を得ることができ、コンデンサの特性が発現する。
【0051】
第1の外部電極30a及び第2の外部電極30bの厚みは、例えば、6.0μm以上60.0μm以下であることが好ましい。
【0052】
外部電極30は、めっき層から構成されている。本実施の形態では、外部電極30は、下層のCuめっき層34と、上層のCuめっき層35と、外側めっき層36とを含む。なお、外側めっき層36は省略されてもよい。
第1の外部電極30aは、第1のCuめっき層34aと、第1のCuめっき層34aの上に配置される第3のCuめっき層35aと、第3のCuめっき層35aの上に配置される第1の外側めっき層36aとを含む。第1の外部電極30aは下地電極層を含まず、第1のCuめっき層34aは積層体12上に直接に形成される。
第2の外部電極30bは、第2のCuめっき層34bと、第2のCuめっき層34bの上に配置される第4のCuめっき層35bと、第4のCuめっき層35bの上に配置される第2の外側めっき層36bとを含む。第2の外部電極30bは下地電極層を含まず、第2のCuめっき層34bは積層体12上に直接に形成される。
【0053】
(2-1)第1のCuめっき層及び第2のCuめっき層
第1のCuめっき層34aは、積層体12の第1の端面12eの表面に配置され、第1の端面12eから延伸して第1の主面12aの一部、第2の主面12bの一部、第1の側面12cの一部および第2の側面12dの一部を覆うように形成される。この場合、第1のCuめっき層34aは、第1の内部電極層16aの第1の引出電極部28a及び第1の補助電極層29aと電気的に接続される。
第2のCuめっき層34bは、積層体12の第2の端面12fの表面に配置され、第2の端面12fから延伸して第1の主面12aの一部、第2の主面12bの一部、第1の側面12cの一部および第2の側面12dの一部を覆うように形成される。この場合、第2のCuめっき層34bは、第1の内部電極層16aの第2の引出電極部28b及び第2の補助電極層29bと電気的に接続される。
なお、第1のCuめっき層34aは、積層体12の第1の端面12eの表面のみに配置されてもよいし、第2のCuめっき層34bは、積層体12の第2の端面12fの表面にのみ配置されてもよい。
【0054】
第1のCuめっき層34aのうちの第1の端面12e側の任意の2以上の第1正方形領域40a(
図7)及び第2のCuめっき層34bのうちの第2の端面12f側の任意の2以上の第2正方形領域40b(
図7)それぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個以下である。第1正方形領域40a及び第2正方形領域40bはそれぞれ1辺が2μmの正方形の領域である。
【0055】
第1正方形領域40aにおけるCu粒子の平均個数の算出方法は以下の通りである。
2端子型積層セラミックコンデンサ10の第1の側面12cおよび第2の側面12dに平行な面方向に沿って、2端子型積層セラミックコンデンサ10の幅方向yのW寸法の例えば1/2寸法まで断面研磨を行う。次に、断面研磨された研磨面においてCu粒を計数する任意の位置の周辺をFIB(Focused Ion Beam、収束イオンビーム)で加工を行う。その後、当該研磨面をSIM(Scanning Ion Microscope、走査イオン顕微鏡)により観察する。SIMによる観察倍率は10000倍である。前記研磨面のSIM像において第1のCuめっき層34aの2以上の箇所、本実施の形態では4箇所の第1正方形領域40aを選定する。各第1正方形領域40a内において全部又は一部が観察されるCu粒の個数を計数する。4箇所の第1正方形領域40aにおけるCu粒の個数の平均値をCu粒の平均個数とする。なお、計数対象のCu粒の直径は0.02μm以上とする。
また、第1の主面12a及び第2の主面12bに平行な面に沿って2端子型積層セラミックコンデンサ10の断面研磨を行い、露出した面を前記研磨面としてもよい。また、第1の側面12c及び第2の側面12dに平行な面に沿って2端子型積層セラミックコンデンサ10の断面研磨を行い、露出した面を前記研磨面としてもよい。
【0056】
第2正方形領域40bとしては、前記研磨面において第2のCuめっき層34bの4箇所が選定される。第2正方形領域40bにおけるCu粒子の平均個数の算出方法は、前記と同様である。
【0057】
第1のCuめっき層34aの第1正方形領域40a及び第2のCuめっき層34bの第2正方形領域40bでのCu粒の平均個数が1.5個以下であるため、第1のCuめっき層34aと第1の内部電極層16aとの固着面積及び第2のCuめっき層34bと第2の内部電極層16bとの固着面積が増える。そのため、第1のCuめっき層34aと第1の内部電極層16aとの固着力及び第2のCuめっき層34bと第2の内部電極層16bとの固着力を向上することができ、結果として、第1のCuめっき層34aを含む第1の外部電極30aと第1の内部電極層16aとの固着力及び第2のCuめっき層34bを含む第2の外部電極30bと第2の内部電極層16bとの固着力の向上を達成できる。さらに、当該固着部分を含む領域でのESR(Equivalent Series Resistance:等価直列抵抗)を低くすることができる。
【0058】
第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bそれぞれのCuの含有率は60%以上であることが好ましい。Cuの含有率が60%以上であることにより、第1のCuめっき層34aから第1の内部電極層16aへ、さらに第2のCuめっき層34bから第2の内部電極層16bへCuが十分に拡散しており、第1のCuめっき層34aと第1の内部電極層16aとの固着力及び第2のCuめっき層34bと第2の内部電極層16bとの固着力を向上することができる。
【0059】
第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bそれぞれにおけるCu含有率の算出方法は以下の通りである。
2端子型積層セラミックコンデンサ10の第1の側面12cおよび第2の側面12dに平行な面方向に沿って、2端子型積層セラミックコンデンサ10の幅方向yのW寸法の例えば1/2寸法まで断面研磨を行う。次に、断面研磨された研磨面の任意の位置において、Cuめっき層厚み方向(長さ方向z)で、第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bそれぞれにおけるNi金属部の厚みd1を測定する。Ni金属部は、第1の内部電極層16a及び第2の内部電極層16bそれぞれからのNiの拡散により形成されている。第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bそれぞれのCuめっき層の全体の厚みをd2として、(d2-d1)/d2をCuの含有率とする。任意の2点で測定した平均値をCuの含有率と定義する。
【0060】
ここで、第1のCuめっき層34aにおいて、第1の端面12eに隣接してNiが拡散している領域を第1Ni拡散領域とする。第1Ni拡散領域は、長さ方向zにおいて前記第1長さの2/5以下の長さを有することが好ましい。また、第2のCuめっき層34bにおいて、第2の端面12fに隣接してNiが拡散している領域を第2Ni拡散領域とする。第2Ni拡散領域は、長さ方向zにおいて前記第2長さの2/5以下の長さを有することが好ましい。
これにより、第1のCuめっき層34aと第3のCuめっき層35aとの界面及び第2のCuめっき層34bと第4のCuめっき層35bとの界面付近においてCu含有率を高めることができるため、第1のCuめっき層34aと第3のCuめっき層35aとの固着力及び第2のCuめっき層34bと第4のCuめっき層35bとの固着力を向上することができる。
【0061】
第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bそれぞれの厚みは、例えば2μm以上15μm以下である。
第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bそれぞれは、ガラス成分を含まないことが好ましい。
第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bそれぞれの単位面積当たりの金属割合は、99体積%であることが好ましい。
【0062】
(2-2)第3のCuめっき層及び第4のCuめっき層
第3のCuめっき層35aは第1のCuめっき層34aを覆うように第1のCuめっき層34aの上に配置される。第4のCuめっき層35bは第2のCuめっき層34bを覆うように第2のCuめっき層34bの上に配置される。
【0063】
第3のCuめっき層35aのうちの第1の端面12e側の任意の2以上の第3正方形領域41a及び第4のCuめっき層35bのうちの第2の端面12f側の任意の2以上の第4正方形領域41bそれぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個よりも多い。第3正方形領域41a及び第4正方形領域41bはそれぞれ1辺が2μmの正方形の領域である。
【0064】
第3正方形領域41a及び第4正方形領域41bそれぞれにおけるCu粒子の平均個数の算出方法は第1正方形領域40aの場合と同様である。
【0065】
第3のCuめっき層35aの第3正方形領域41a及び第4のCuめっき層35bの第4正方形領域41bのCu粒の個数が1.5個よりも多いため、第3のCuめっき層35a及び第4のCuめっき層35bの機械的強度を向上することができる。よって、第3のCuめっき層35aを含む第1の外部電極30aの機械的強度及び第4のCuめっき層35bを含む第2の外部電極30bの機械的強度を向上することができる。
【0066】
このように第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bのCu粒の数を抑制する一方、第3のCuめっき層35aのCu粒の数及び第4のCuめっき層35bのCu粒の数を第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bよりも多くすることにより、第1の外部電極30a及び第2の外部電極30b全体として第1の内部電極層16a及び第2の内部電極層16bとの固着力の向上及びESRの低下を達成することができるとともに、機械的強度を高めることができる。
【0067】
第3のCuめっき層35a及び第4のCuめっき層35b中のCuの含有率は95%以上であることが好ましい。第3のCuめっき層35a及び第4のCuめっき層35b中のCuの含有率が95%以上であると、第1のCuめっき層34aと第3のCuめっき層35aとの固着力及び第2のCuめっき層34bと第4のCuめっき層35bとの固着力が向上する。これにより、第3のCuめっき層35aの第1のCuめっき層34aからの剥がれの抑制及び第4のCuめっき層35bの第2のCuめっき層34bからの剥がれの抑制を達成できるとともに、第1の外部電極30a及び第2の外部電極30bの絶縁抵抗の上昇の抑制を達成することができる。
【0068】
第3のCuめっき層35a及び第4のCuめっき層35bそれぞれの厚みは、例えば2μm以上15μm以下である。
第3のCuめっき層35a及び第4のCuめっき層35bそれぞれは、ガラス成分を含まないことが好ましい。
第3のCuめっき層35a及び第4のCuめっき層35bそれぞれの単位面積当たりの金属割合は、99体積%であることが好ましい。
【0069】
(2-3)第1の外側めっき層及び第2の外側めっき層
第1の外側めっき層36aは第3のCuめっき層35aの上に配置される。第2の外側めっき層36bは第4のCuめっき層35bの上に配置される。
【0070】
第1の外側めっき層36a及び第2の外側めっき層36bとしては、例えば、Cu、Ni、Sn、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0071】
第1の外側めっき層36a及び第2の外側めっき層36bは、複数層により形成されていてもよい。この場合、第1の外側めっき層36a及び第2の外側めっき層36b、Niめっきによる下層めっき層(Niめっき層)と、下層めっき層上に形成されるSnめっきによる上層めっき層(Snめっき層)の2層構造であることが好ましい。
すなわち、第1の外側めっき層36aは、第1の下層めっき層と、第1の下層めっき層の表面に位置する第1の上層めっき層とを有する。
また、第2の外側めっき層36bは、第2の下層めっき層と、第2の下層めっき層の表面に位置する第2の上層めっき層とを有する。
【0072】
Niめっきによる下層めっき層は、第1のCuめっき層34a(第2のCuめっき層34b)及び/又は第3のCuめっき層35a(第4のCuめっき層35b)が2端子型積層セラミックコンデンサ10を実装する際のはんだによって侵食されることを防止するために用いられる。また、Snめっきによる上層めっき層は、2端子型積層セラミックコンデンサ10を実装する際の半田の濡れ性を向上させて、容易に実装することができるようにするために用いられる。
Niめっきの厚みは1.0μm以上、15.0μm以下であることが好ましい。Snめっきの厚みは1.0μm以上、15.0μm以下であることが好ましい。
【0073】
なお、第1の外側めっき層36aは第1のCuめっき層34aのみを覆っていてもよいし、第2の外側めっき層36bは第2のCuめっき層34bのみを覆っていてもよい。また、第1の外側めっき層36aは第1のCuめっき層34a及び第3のCuめっき層35aの両方を覆っていてもよいし、第2の外側めっき層36bは第2のCuめっき層34b及び第4のCuめっき層35bの両方を覆っていてもよい。
【0074】
(3)2端子型積層セラミックコンデンサの寸法
積層体12、第1の外部電極30aおよび第2の外部電極30bを含む2端子型積層セラミックコンデンサ10の長さ方向zの寸法をL寸法とし、積層体12、第1の外部電極30aおよび第2の外部電極30bを含む2端子型積層セラミックコンデンサ10の高さ方向xの寸法をT寸法とし、積層体12、第1の外部電極30aおよび第2の外部電極30bを含む2端子型積層セラミックコンデンサ10の幅方向yの寸法をW寸法とする。
2端子型積層セラミックコンデンサ10の寸法は、長さ方向zのL寸法が0.2mm以上10.0mm以下、幅方向yのW寸法が0.1mm以上10.0mm以下、高さ方向xのT寸法が0.1mm以上5.0mm以下である。また、2端子型積層セラミックコンデンサ10の寸法は、マイクロスコープにより測定することができる。
【0075】
2.2端子型積層セラミックコンデンサの製造方法
次に、2端子型積層セラミックコンデンサ10の製造方法について説明する。
【0076】
まず、セラミック層用の誘電体シート、内部電極層用の導電性ペーストおよび補助電極層用の導電性ペーストが準備される。誘電体シート、内部電極層用の導電性ペーストおよび補助電極層用の導電性ペーストは、バインダおよび溶剤を含む。バインダおよび溶剤は、公知のものであってよい。
【0077】
そして、誘電体シート上に、内部電極層用の導電性ペーストおよび補助電極層用の導電性ペーストが、たとえば、スクリーン印刷やグラビア印刷などにより所定のパターンで印刷される。これにより、第1の内部電極層のパターンおよび第2の補助電極層のパターンが形成された誘電体シート、および第2の内部電極層のパターンおよび第1の補助電極層のパターンが形成された誘電体シートが準備される。
【0078】
また、誘電体シートに関しては、外層部に補助電極層を形成する場合には、補助電極層のパターンが印刷されており内部電極層のパターンが印刷されていない外層用の誘電体シートが準備される。また、外層部に補助電極層を形成しない場合には、内部電極層のパターン及び補助電極層のパターンが印刷されていない外層用の誘電体シートが準備される。
【0079】
続いて、外層用の誘電体シートが所定枚数積層されることにより、第2の主面側の第2の主面側外層部となる部分が形成される。そして、第2の主面側外層部となる部分の上に第1の内部電極層のパターン及び第2の補助電極層のパターンが印刷された誘電体シート、および第2の内部電極層のパターン及び第1の補助電極層のパターンが印刷された誘電体シートを本発明の構造となるように順次積層されることにより、内層部となる部分が形成される。この内層部となる部分の上に、外層用の誘電体シートが所定枚数積層されることにより、第1の主面側の第1の主面側外層部となる部分が形成される。これにより、積層シートが作製される。
【0080】
次に、積層シートが静水圧プレスなどの手段により積層方向にプレスされることにより、積層ブロックが作製される。
【0081】
そして、積層ブロックを所定のサイズにカットされることにより、積層チップが切り出される。このとき、バレル研磨などにより積層チップの角部および稜線部に丸みをつけてもよい。
【0082】
次に、積層チップが焼成されることにより、積層体12が作製される。焼成温度は、誘電体であるセラミック層や内部電極層の材料にもよるが、900℃以上1400℃以下であることが好ましい。
【0083】
積層体12の第1の主面12a、第2の主面12b、第1の端面12e、第2の端面12f、第1の側面12c、第2の側面12dの所定の部分にめっき処理を施し、第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bを形成する。具体的に、めっき処理により、第1の端面12e、第1の側面12c、第2の側面12dにおいて露出している第1の内部電極層16a及び第1の主面12a、第2の主面12b、第1の端面12e、第1の側面12c、第2の側面12dに露出している第1の補助電極層29a上に第1のCuめっき層34aを形成する。また、第2の端面12f、第1の側面12c、第2の側面12dにおいて露出している第2の内部電極層16b及び第1の主面12a、第2の主面12b、第2の端面12f、第1の側面12c、第2の側面12dに露出している第2の補助電極層29b上に第2のCuめっき層34bを形成する。めっき処理を行うにあたっては、電解めっき、無電解めっきのどちらを採用してもよい。但し、無電解めっきはめっき析出速度を向上させるために、触媒などによる前処理が必要となり、工程が複雑化するというデメリットがある。したがって、通常は、電解めっきを採用することが好ましい。めっき工法としては、バレルめっきを用いることが好ましい。
【0084】
第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bを形成した後、積層体12を600℃以上900℃以下で熱処理する。熱処理は、窒素雰囲気において、実測でのピーク温度が700℃以上800℃以下に維持された状態で1分以上5分以下で行われる。本実施の形態では、熱処理は連続式の熱処理炉を用いて行われる。
【0085】
熱処理を行うことにより、第1のCuめっき層34aの第1正方形領域40a及び第2のCuめっき層34bの第2正方形領域40bでのCu粒の平均個数を1.5個以下にすることができる。前記熱処理では、第1のCuめっき層34aの金属(Cu等)と第1の内部電極層16aの金属(Ni等)とが相互拡散され、第2のCuめっき層34bの金属(Cu等)と第2の内部電極層16bの金属(Ni等)とが相互拡散される。これにより、第1のCuめっき層34aと第1の内部電極層16aとの固着力及び第2のCuめっき層34bと第2の内部電極層16bとの固着力を向上することができるとともに、当該固着部分を含む領域でのESRを低くすることができる。
【0086】
熱処理の温度を600℃未満とすると、第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bと第1の内部電極層16a及び第2の内部電極層16bとの固着力が不十分となり、ESRが高くなる。また、熱処理の温度を900℃よりも高くすると、第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bから第1の内部電極層16a及び第2の内部電極層16bへのCu原子の拡散が過剰となる。これにより、第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34b中に空隙が生じ、当該空隙に水分が入り込み耐湿性が低下する。
【0087】
次に、第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bの表面に、めっき処理により第3のCuめっき層35a及び第4のCuめっき層35bを形成する。ここでのめっき処理は、第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bを形成する場合と同様である。ただし、めっき処理後に熱処理は行わない。
【0088】
さらに、第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bと第3のCuめっき層35a及び第4のCuめっき層35bとを覆うように、前述と同様のめっき処理により第1の外側めっき層36a及び第2の外側めっき層36bが形成される。本実施の形態では、Niめっきによる下層めっき層及びSnめっきによる上層めっき層が順に積層されることにより第1の外側めっき層36a及び第2の外側めっき層36bが形成される。
【0089】
上述のようにして、本実施の形態にかかる2端子型積層セラミックコンデンサ10が製造される。
【0090】
本実施の形態において、少なくとも第1の端面12eに露出する第1の引出電極部28aにより第1のCuめっき層34aと第1の内部電極層16aとの固着力を確保できるのであれば、第1の補助電極層29aを省略することができる。同様に、少なくとも第2の端面12fに露出する第2の引出電極部28bにより第2のCuめっき層34bと第1の内部電極層16aとの固着力を確保できるのであれば、第2の補助電極層29bを省略することができる。
【0091】
<第2の実施の形態>
1. 3端子型積層セラミックコンデンサ
この発明の第2の実施の形態にかかる積層セラミック電子部品の例として、3端子型積層セラミックコンデンサについて説明する。
【0092】
図8は、この発明の第2の実施の形態に係る3端子型積層セラミックコンデンサの一例を示す外観斜視図である。
図9は、この発明の第2の実施の形態に係る3端子型積層セラミックコンデンサの一例を示す上面図である。
図10は、この発明の第2の実施の形態に係る3端子型積層セラミックコンデンサの一例を示す正面図である。
図11は、
図8の線XI-XIにおける断面図である。
図12は、
図8の線XII-XIIにおける断面図である。
図13は、
図11の線XIII-XIIIにおける断面図である。
図14は、
図11の線XIV-XIVにおける断面図である。
図15は、
図11の線XV-XVにおける断面図である。
図16は、第1ないし第4正方形領域を示す断面図である。
【0093】
図8に示すように、3端子型積層セラミックコンデンサ100は、たとえば、略直方体状の積層体12と、外部電極30とを含む。
【0094】
積層体12は、積層された複数のセラミック層14と、セラミック層14上に積層された複数の内部電極層16と、複数の補助電極層29a1、29a2、29b1、29b2と、を有する。セラミック層14と内部電極層16は、高さ方向xに積層される。
【0095】
積層体12は、高さ方向xに相対する第1の主面12aおよび第2の主面12bと、高さ方向xに直交する幅方向yに相対する第1の側面12cおよび第2の側面12dと、高さ方向xおよび幅方向yに直交する長さ方向zに相対する第1の端面12eおよび第2の端面12fとを有する。この積層体12には、角部および稜線部に丸みがつけられている。なお、角部とは、積層体の隣接する3面が交わる部分のことであり、稜線部とは、積層体の隣接する2面が交わる部分のことである。また、第1の主面12aおよび第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12d、ならびに第1の端面12eおよび第2の端面12fの一部または全部に凹凸などが形成されていてもよい。
なお、積層体12の長さ方向zの寸法Lは、幅方向yの寸法Wよりも必ずしも長いとは限らない。
【0096】
積層体12は、内層部18と、積層方向において内層部18を挟み込むように配置された第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bと、を有する。
【0097】
内層部18は、複数のセラミック層14と複数の内部電極層16とを含む。内層部18は、積層方向において、最も第1の主面12a側に位置する内部電極層16から最も第2の主面12b側に位置する内部電極層16までを含む。内部電極層16は、第1の端面12eおよび第2の端面12fに引き出される第1の内部電極層16aと第1の側面12cおよび第2の側面12dに引き出される第2の内部電極層16bを有し、内層部18では、複数枚の第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bがセラミック層14を介して対向している。内層部18は、静電容量を発生させ、実質的にコンデンサとして機能する部分である。
【0098】
第1の主面側外層部20aは、第1の主面12a側に位置し、第1の主面12aと第1の主面12a側の内層部18の最表面とその最表面の一直線上との間に位置する複数のセラミック層14と、それらの上に配置される複数の第1の補助電極層29a
1、複数の第2の補助電極層29a
2(
図11)、複数の第3の補助電極層29b
1、複数の第4の補助電極層29b
2(
図12)と、から形成される。第1の主面側外層部20aは、第1の主面12aと第1の主面12aに最も近い内部電極層16との間に位置する複数のセラミック層14と、それらの上に配置される複数の第1の補助電極層29a
1、複数の第2の補助電極層29a2、複数の第3の補助電極層29b
1、複数の第4の補助電極層29b
2と、の集合体である。第1の主面側外層部20aで用いられるセラミック層14は、内層部18で用いられるセラミック層14と同じものであってもよい。
同様に、第2の主面側外層部20bは、第2の主面12b側に位置し、第2の主面12bと第2の主面12b側の内層部18の最表面とその最表面の一直線上との間に位置する複数のセラミック層14と、それらの上に配置される複数の第1の補助電極層29a
1、複数の第2の補助電極層29a
2(
図11)、複数の第3の補助電極層29b
1、複数の第4の補助電極層29b
2(
図12)と、から形成される。第2の主面側外層部20bは、第2の主面12bと第2の主面12bに最も近い内部電極層16との間に位置する複数のセラミック層14と、それらの上に配置される複数の第1の補助電極層29a
1、複数の第2の補助電極層29a2、複数の第3の補助電極層29b
1、複数の第4の補助電極層29b
2と、の集合体である。第2の主面側外層部20bで用いられるセラミック層14は、内層部18で用いられるセラミック層14と同じものであってもよい。
【0099】
また、積層体12は、第1の側面12c側に位置し、第1の側面12cと第1の側面12c側の内層部18の最表面との間に位置する複数のセラミック層14と、それらの上に配置される複数の第3の補助電極層29b
1(
図13)と、から形成される第1の側面側外層部22aを有する。
同様に、積層体12は、第2の側面12d側に位置し、第2の側面12dと第2の側面12d側の内層部18の最表面との間に位置する複数のセラミック層14と、それらの上に配置される複数の第4の補助電極層29b
2(
図13)と、から形成される第2の側面側外層部22bを有する。
なお、第1の側面側外層部22aおよび第2の側面側外層部22bは、Wギャップまたはサイドギャップともいう。
【0100】
さらに、積層体12は、第1の端面12e側に位置し、第1の端面12eと第1の端面12e側の内層部18の最表面との間に位置する複数のセラミック層14と、それらの上に配置される複数の第1の補助電極層29a
1(
図14)と、から形成される第1の端面側外層部24aを有する。
同様に、積層体12は、第2の端面12f側に位置し、第2の端面12fと第2の端面12f側の内層部18の最表面との間に位置する複数のセラミック層14と、それらの上に配置される複数の第2の補助電極層29a
2(
図14)と、から形成される第2の端面側外層部24bを有する。
また、第1の端面側外層部24aおよび第2の端面側外層部24bは、Lギャップまたはエンドギャップともいう。
【0101】
積層体12の寸法は、特に限定されないが、長さ方向zのL寸法が0.18mm以上9.95mm以下、幅方向yのW寸法が0.08mm以上9.95mm以下、高さ方向xのT寸法が0.08mm以上4.95mm以下であることが好ましい。
【0102】
セラミック層14は、たとえば、誘電体材料により形成することができる。このようなセラミック材料としては、たとえば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、またはCaZrO3などの成分を含む誘電体セラミックを用いることができる。上記のセラミック材料を主成分として含む場合、所望する積層体12の特性に応じて、たとえば、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの主成分よりも含有量の少ない副成分を添加したものを用いてもよい。
【0103】
セラミック層14の材料を異ならせることにより、第1の実施の形態と同様に積層セラミック電子部品は圧電部品、サーミスタ及びインダクタ等として機能する。
【0104】
焼成後のセラミック層14の厚みは、0.3μm以上3.0μm以下であることが好ましい。積層されるセラミック層14の枚数は、15枚以上1200枚以下であることが好ましい。なお、このセラミック層14の枚数は、内層部18のセラミック層14の枚数と、第1の主面側外層部20aおよび第2の主面側外層部20bのセラミック層14の枚数との総数である。
【0105】
積層体12は、前述の通り、複数の内部電極層16として、複数の第1の内部電極層16aおよび複数の第2の内部電極層16bを有する。
【0106】
図13に示すように、第1の内部電極層16aは、第2の内部電極層16bと対向する第1の対向電極部26a、第1の対向電極部26aから積層体12の第1の端面12e、第1の側面12c及び第2の側面12dの表面に引き出される第1の引出電極部28a
1および第1の対向電極部26aから積層体12の第2の端面12f、第1の側面12c及び第2の側面12dの表面に引き出される第2の引出電極部28a
2を備える。具体的には、第1の対向電極部26aは、
図13に示すように、平面視において、第1の引出電極部28a
1および第2の引出電極部28a
2と接続される端部以外は積層体12から露出していない。第1の引出電極部28a
1は、積層体12の第1の端面12e、第1の側面12c及び第2の側面12dの表面に露出し、第2の引出電極部28a
2は、積層体12の第2の端面12f、第1の側面12c及び第2の側面12dの表面に露出している。
【0107】
第1の対向電極部26aの形状ならびに第1の引出電極部28a1および第2の引出電極部28a2の形状は、特に限定されないが、矩形状であることが好ましい。もっとも、コーナー部を丸められていてもよい。
【0108】
図14に示すように、第2の内部電極層16bは、略十字形状であり、第1の内部電極層16aと対向する第2の対向電極部26b、第2の対向電極部26bから積層体12の第1の側面12cの表面に引き出される第3の引出電極部28b
1および第2の対向電極部26bから積層体12の第2の側面12dの表面に引き出される第4の引出電極部28b
2を備える。具体的には、第3の引出電極部28b
1は、積層体12の第1の側面12cの表面に露出し、第4の引出電極部28b
2は、積層体12の第2の側面12dの表面に露出している。したがって、第2の内部電極層16bは、積層体12の第1の端面12eの表面および第2の端面12fの表面には露出していない。
【0109】
第2の対向電極部26bの形状、ならびに第3の引出電極部28b1および第4の引出電極部28b2の形状は、矩形状であることが好ましい。もっとも、コーナー部を丸められていてもよい。
【0110】
図14に示すように、第2の対向電極部26bの第1の端面12e側の辺と第2の端面12f側の辺とを結ぶ長さ方向zの寸法Aと、第3の引出電極部28b
1および第4の引出電極部28b
2の第1の端面12e側の辺と第2の端面12f側の辺とを結ぶ長さ方向zの寸法Bとの関係は、A≧Bとなることが好ましい。
【0111】
第3の引出電極部28b1の形状は、第1の側面12cに向かって幅が狭くなるようなテーパ形状であってもよいし、第4の引出電極部28b2の形状は、第2の側面12dに向かって幅が狭くなるようなテーパ形状であってもよい。
【0112】
なお、複数の第1の内部電極層16aおよび複数の第2の内部電極層16bは、セラミック層14を介して、交互に積層されていてもよく、第1の内部電極層16aが配置されたセラミック層14が複数枚積層されたのち、第2の内部電極層16bが配置されたセラミック層14が積層されていてもよい。このように、実現したい容量値に応じて積層パターンを変更することができる。
【0113】
積層体12の対向電極部27は、第1の内部電極層16aの第1の対向電極部26aと第2の内部電極層16bの第2の対向電極部26bとが対向する部分である。対向電極部27は、内層部18の一部として構成されている。なお、対向電極部27は、コンデンサ有効部ともいう。
【0114】
第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bは、たとえば、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、Ag-Pd合金等の、それらの金属の少なくとも一種を含む合金などの適宜の導電材料により構成することができる。
【0115】
第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bの枚数は、特に限定されないが、合わせて10枚以上1000枚以下程度であることが好ましい。第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bそれぞれの枚数は、特に限定されないが、5枚以上500枚以下程度であることが好ましい。
【0116】
第1の内部電極層16aの厚みは、たとえば、0.2μm以上3.0μm以下程度であることが好ましい。
第2の内部電極層16bの厚みは、たとえば、0.2μm以上3.0μm以下程度であることが好ましい。
【0117】
積層体12は、複数の補助電極層として、第1の補助電極層29a1と、第2の補助電極層29a2と、第3の補助電極層29b1と、第4の補助電極層29b2と、を有する。
【0118】
第1の補助電極層29a
1は、
図14に示すように第1の端面12e側において、セラミック層14上に配置されている。
第1の端面側外層部24aの第1の補助電極層29a
1は、
図11、
図14に示すように、第2の内部電極層16bが配置されるセラミック層14と同一の平面上に、第2の内部電極層16bとは離れて配置され、かつ第1の端面12e、第1の側面12c及び第2の側面12dに露出する。第1の端面側外層部24aにおいて、第1の補助電極層29a
1は、第1の内部電極層16aの第1の引出電極部28a
1とセラミック層14を介して対向している。第1の端面側外層部24aの第1の補助電極層29a
1は、これに限定されないが、例えば平面視C字状である(
図14)。
【0119】
第1の主面側外層部20a及び第2の主面側外層部20bの第1の補助電極層29a
1は、
図15に示すように第1の端面12e側においてセラミック層14上に例えば平面視矩形状に配置され、かつ第1の端面12e、第1の側面12c及び第2の側面12dに露出する(
図15)。なお、第1の主面側外層部20aの第1の主面12a表面の第1の補助電極層29a
1は、
図11、
図15を参照すると、第1の主面12a、第1の端面12e、第1の側面12c及び第2の側面12dに露出する。第2の主面側外層部20bの第2の主面12b表面の第1の補助電極層29a
1は、
図11、
図15を参照すると、第2の主面12b、第1の端面12e、第1の側面12c及び第2の側面12dに露出する。なお、第1の主面側外層部20a及び第2の主面側外層部20bにおいては第1の補助電極層29a
1を省略することもできる。
【0120】
また、第2の補助電極層29a
2は、
図14に示すように第2の端面12f側において、セラミック層14上に配置されている。
第2の端面側外層部24bの第2の補助電極層29a
2は、
図11、
図14に示すように、第2の内部電極層16bが配置されるセラミック層14と同一の平面上に、第2の内部電極層16bとは離れて配置され、かつ第2の端面12f、第1の側面12c及び第2の側面12dに露出する。第2の端面側外層部24bにおいて、第2の補助電極層29a
2は、第1の内部電極層16aの第2の引出電極部28a
2とセラミック層14を介して対向している。第2の端面側外層部24bの第2の補助電極層29a
2は、これに限定されないが、例えば平面視C字状である(
図14)。
【0121】
第1の主面側外層部20a及び第2の主面側外層部20bの第2の補助電極層29a
2は、
図15に示すように第2の端面12f側においてセラミック層14上に例えば平面視矩形状に配置され、かつ第2の端面12f、第1の側面12c及び第2の側面12dに露出する(
図15)。なお、第1の主面側外層部20aの第1の主面12a表面の第2の補助電極層29a
2は、
図11、
図15を参照すると、第1の主面12a、第2の端面12f、第1の側面12c及び第2の側面12dに露出する。第2の主面側外層部20bの第2の主面12b表面の第2の補助電極層29a
2は、
図11、
図15を参照すると、第2の主面12b、第2の端面12f、第1の側面12c及び第2の側面12dに露出する。なお、第1の主面側外層部20a及び第2の主面側外層部20bにおいては第2の補助電極層29a
2を省略することもできる。
【0122】
また、第3の補助電極層29b
1は、
図13に示すように第1の側面12c側において、セラミック層14上に配置されている。
第1の側面側外層部22aの第3の補助電極層29b
1は、
図12、
図13に示すように、第1の内部電極層16aが配置されるセラミック層14と同一の平面上に、第1の内部電極層16aとは離れて配置され、かつ第1の側面12cに露出する。第1の側面側外層部22aにおいて、第3の補助電極層29b
1は、第2の内部電極層16bの第3の引出電極部28b
1とセラミック層14を介して対向している。第1の側面側外層部22aの第3の補助電極層29b
1は、これに限定されないが、例えば平面視矩形状である(
図13)。
【0123】
第1の主面側外層部20a及び第2の主面側外層部20bの第3の補助電極層29b
1は、第1の側面12c側においてセラミック層14上に配置される。ここでは、第1の主面側外層部20a及び第2の主面側外層部20bの第3の補助電極層29b
1は、第1の側面側外層部22aの第3の補助電極層29b
1よりも大きい面積を有する平面視矩形状である(
図13、
図15)。なお、第1の主面側外層部20aの第1の主面12a表面の第3の補助電極層29b
1は、
図12、
図15を参照すると、第1の主面12a及び第1の側面12cに露出する。第2の主面側外層部20bの第2の主面12b表面の第3の補助電極層29b
1は、
図12、
図15を参照すると、第2の主面12b及び第1の側面12cに露出する。なお、第1の主面側外層部20a及び第2の主面側外層部20bにおいては第3の補助電極層29b
1を省略することもできる。
【0124】
また、第4の補助電極層29b
2は、
図13に示すように第2の側面12d側において、セラミック層14上に配置されている。
第2の側面側外層部22bの第4の補助電極層29b
2は、
図12、
図13に示すように、第1の内部電極層16aが配置されるセラミック層14と同一の平面上に、第1の内部電極層16aとは離れて配置され、かつ第2の側面12dに露出する。第2の側面側外層部22bにおいて、第4の補助電極層29b
2は、第2の内部電極層16bの第4の引出電極部28b
2とセラミック層14を介して対向している。第2の側面側外層部22bの第4の補助電極層29b
2は、これに限定されないが、例えば平面視矩形状である(
図13)。
【0125】
第1の主面側外層部20a及び第2の主面側外層部20bの第4の補助電極層29b
2は、第2の側面12d側においてセラミック層14上に配置される。ここでは、第1の主面側外層部20a及び第2の主面側外層部20bの第4の補助電極層29b
2は、第2の側面側外層部22bの第4の補助電極層29b
2よりも大きい面積を有する平面視矩形状である(
図13、
図15)。なお、第1の主面側外層部20aの第1の主面12a表面の第4の補助電極層29b
2は、
図12、
図15を参照すると、第1の主面12a及び第2の側面12dに露出する。第2の主面側外層部20bの第2の主面12b表面の第4の補助電極層29b
2は、
図12、
図15を参照すると、第2の主面12b及び第2の側面12dに露出する。なお、第1の主面側外層部20a及び第2の主面側外層部20bにおいては第4の補助電極層29b
2を省略することもできる。
【0126】
以上のように第1の補助電極層29a1が配置されていることにより、後述の第1のCuめっき層34aが第1の端面12e、第1の側面12c及び第2の側面12dに形成されやすい。つまり、第1の端面12e、第1の側面12c及び第2の側面12dにおいては、第1の内部電極層16aの第1の引出電極部28a1だけでなく第1の補助電極層29a1が露出している。よって、めっき処理により第1の端面12e、第1の側面12c及び第2の側面12dにわたる第1のCuめっき層34aを形成しやすい。また、本実施の形態では、第1の主面12aに露出する第1の補助電極層29a1及び第2の主面12bに露出する第1の補助電極層29a1が設けられているため、めっき処理により第1の主面12a及び第2の主面12bに第1のCuめっき層34aを形成しやすい。
【0127】
なお、第1の補助電極層29a1は、第1の端面12eのみに露出するように形成されていてもよい。また、第1の引出電極部28a1もまた第1の端面12eのみに露出するように形成されていてもよい。この場合、第1の端面12eにおいては、第1の引出電極部28a1だけでなく第1の補助電極層29a1が露出している。よって、めっき処理により第1の端面12eのみに第1のCuめっき層34aを形成しやすい。
また、第1の端面12eから第1の主面12a及び第2の主面12bに回り込むように第1のCuめっき層34aを形成する場合には、第1の補助電極層29a1は、第1の主面12a及び第2の主面12bのみに露出するように形成されていてもよい。つまり、第1の主面側外層部20aにおいて第1の主面12aに露出する第1の補助電極層29a1及び第2の主面側外層部20bにおいて第2の主面12bに露出する第1の補助電極層29a1が設けられていればよい。
さらには、第1の補助電極層29a1は、第1の側面12c及び第2の側面12dにおいては露出されていないが、第1の端面12e、第1の主面12a及び第2の主面12bのみに露出するように形成されていてもよい。この場合、第1の端面12eから第1の主面12a及び第2の主面12bに回り込む第1のCuめっき層34aを形成しやすい。
【0128】
同様に、第1の内部電極層16aの第2の引出電極部28a2だけでなく第2の補助電極層29a2が、第2の端面12f、第1の側面12c及び第2の側面12dにおいて露出している。よって、めっき処理により第2の端面12f、第1の側面12c及び第2の側面12dにわたる第2のCuめっき層34bを形成しやすい。また、本実施の形態では、第1の主面12aに露出する第2の補助電極層29a2及び第2の主面12bに露出する第2の補助電極層29a2が設けられているため、めっき処理により第1の主面12a及び第2の主面12bに第2のCuめっき層34bを形成しやすい。
【0129】
なお、第2の補助電極層29a2は、第2の端面12fのみに露出するように形成されていてもよい。また、第2の引出電極部28a2もまた第2の端面12fのみに露出するように形成されていてもよい。この場合、第2の端面12fにおいては、第2の引出電極部28a2だけでなく第2の補助電極層29a2が露出している。よって、めっき処理により第2の端面12fのみに第2のCuめっき層34bを形成しやすい。
また、第2の端面12fから第1の主面12a及び第2の主面12bに回り込むように第2のCuめっき層34bを形成する場合には、第2の補助電極層29a2は、第1の主面12a及び第2の主面12bのみに露出するように形成されていてもよい。つまり、第1の主面側外層部20aにおいて第1の主面12aに露出する第2の補助電極層29a2及び第2の主面側外層部20bにおいて第2の主面12bに露出する第2の補助電極層29a2が設けられていればよい。
さらには、第2の補助電極層29a2は、第1の側面12c及び第2の側面12dにおいては露出されていないが、第2の端面12f、第1の主面12a及び第2の主面12bのみに露出するように形成されていてもよい。この場合、第2の端面12fから第1の主面12a及び第2の主面12bに回り込む第2のCuめっき層34bを形成しやすい。
【0130】
同様に、第2の内部電極層16bの第3の引出電極部28b1だけでなく第3の補助電極層29b1が、第1の側面12cにおいて露出している。よって、めっき処理により第1の側面12cにわたる第5のCuめっき層34cを形成しやすい。また、本実施の形態では、第1の主面12a及び第2の主面12bに露出する第3の補助電極層29b1が設けられているため、めっき処理により第1の主面12a及び第2の主面12bに第5のCuめっき層34cを形成しやすい。
【0131】
なお、第3の補助電極層29b1は、第1の側面12cのみに露出するように形成されていてもよい。この場合、めっき処理により第1の側面12cに第5のCuめっき層34cを形成しやすい。
また、第1の側面12cから第1の主面12a及び第2の主面12bに回り込むように第5のCuめっき層34cを形成する場合には、第3の補助電極層29b1は、第1の主面12a及び第2の主面12bのみに露出するように形成されていてもよい。つまり、第1の主面側外層部20aにおいて第1の主面12aに露出する第3の補助電極層29b1及び第2の主面側外層部20bにおいて第2の主面12bに露出する第3の補助電極層29b1が設けられていればよい。
【0132】
同様に、第2の内部電極層16bの第4の引出電極部28b2だけでなく第4の補助電極層29b2が、第2の側面12dにおいて露出している。よって、めっき処理により第2の側面12dにわたる第6のCuめっき層34dを形成しやすい。また、本実施の形態では、第1の主面12a及び第2の主面12bに露出する第4の補助電極層29b2が設けられているため、めっき処理により第1の主面12a及び第2の主面12bに第6のCuめっき層34dを形成しやすい。
【0133】
なお、第4の補助電極層29b2は、第2の側面12dのみに露出するように形成されていてもよい。この場合、めっき処理により第2の側面12dに第6のCuめっき層34dを形成しやすい。
また、第2の側面12dから第1の主面12a及び第2の主面12bに回り込むように第6のCuめっき層34dを形成する場合には、第4の補助電極層29b2は、第1の主面12a及び第2の主面12bのみに露出するように形成されていてもよい。つまり、第1の主面側外層部20aにおいて第1の主面12aに露出する第4の補助電極層29b2及び第2の主面側外層部20bにおいて第2の主面12bに露出する第4の補助電極層29b2が設けられていればよい。
【0134】
また、補助電極層29a1、29a2、29b1、29b2が設けられることにより、3端子型積層セラミックコンデンサ100内において、積層体12のセラミック層14よりも靭性が高い金属割合を高めることができる。その結果、3端子型積層セラミックコンデンサ100の機械的強度を向上させることができ、3端子型積層セラミックコンデンサ100にクラックや割れが入ることを抑制することができる。
【0135】
補助電極層29a1、29a2、29b1、29b2は、例えば、内部電極層16と同様に、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、Ag-Pd合金等の、それらの金属の少なくとも一種を含む合金などの適宜の導電材料により構成することができる。
【0136】
補助電極層29a1、29a2、29b1、29b2のそれぞれの厚みは、例えば、0.2μm以上3.0μm以下であることが好ましい。
第2の内部電極層16bと第1の補助電極層29a1及び第2の補助電極層29a2それぞれとの間隔の長さ方向zのL寸法が0.04mm以上であることが好ましい。また、第1の内部電極層16aと第3の補助電極層29b1及び第4の補助電極層29b2それぞれとの間隔の幅方向yのL寸法が0.04mm以上であることが好ましい。
【0137】
積層体12の第1の端面12e側および第2の端面12f側、ならびに第1の側面12c側および第2の側面12d側には、外部電極30が配置される。外部電極30は、第1の外部電極30a、第2の外部電極30b、第3の外部電極30cおよび第4の外部電極30dを有する。
【0138】
積層体12の第1の端面12eには、第1の外部電極30aが配置される。第1の外部電極30aは、積層体12の第1の端面12eから延伸して第1の主面12a、第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12dのそれぞれの一部を覆うように配置される。また、第1の外部電極30aは、積層体12の第1の端面12eにおいて露出している第1の内部電極層16aの第1の引出電極部28a1及び第1の補助電極層29a1に電気的に接続されている。なお、第1の外部電極30aは、積層体12の第1の端面12e上のみに配置されてもよい。
【0139】
積層体12の第2の端面12fには、第2の外部電極30bが配置される。第2の外部電極30bは、積層体12の第2の端面12fから延伸して第1の主面12a、第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12dのそれぞれの一部を覆うように配置される。また、第2の外部電極30bは、積層体12の第2の端面12fにおいて露出している第1の内部電極層16aの第2の引出電極部28a2及び第2の補助電極層29a2に電気的に接続されている。なお、第2の外部電極30bは、積層体12の第2の端面12f上のみに配置されてもよい。
【0140】
積層体12の第1の側面12cには、第3の外部電極30cが配置される。第3の外部電極30cは、第1の側面12cから延伸して第1の主面12aおよび第2の主面12bの一部を覆うように配置される。第3の外部電極30cは、積層体12の第1の側面12cにおいて露出している第2の内部電極層16bの第3の引出電極部28b1及び第3の補助電極層29b1に電気的に接続されている。
【0141】
積層体12の第2の側面12dには、第4の外部電極30dが配置される。第4の外部電極30dは、第2の側面12dから延伸して第1の主面12aおよび第2の主面12bの一部を覆うように配置される。第4の外部電極30dは、積層体12の第2の側面12dにおいて露出している第2の内部電極層16bの第4の引出電極部28b2及び第4の補助電極層29b2に電気的に接続されている。
【0142】
具体的に、外部電極30は、めっき層から構成されている。本実施の形態では、外部電極30は、下層のCuめっき層34と、上層のCuめっき層35と、外側めっき層36とを含む。なお、外側めっき層36は省略されてもよい。
第1の外部電極30aは、第1のCuめっき層34aと、第1のCuめっき層34aの上に配置される第3のCuめっき層35aと、第3のCuめっき層35aの上に配置される第1の外側めっき層36aとを含む。第1の外部電極30aは下地電極層を含まず、第1のCuめっき層34aは積層体12上に直接に形成される。
第2の外部電極30bは、第2のCuめっき層34bと、第2のCuめっき層34bの上に配置される第4のCuめっき層35bと、第4のCuめっき層35bの上に配置される第2の外側めっき層36bとを含む。第2の外部電極30bは下地電極層を含まず、第2のCuめっき層34bは積層体12上に直接に形成される。
第3の外部電極30cは、第5のCuめっき層34cと、第5のCuめっき層34cの上に配置される第7のCuめっき層35cと、第7のCuめっき層35cの上に配置される第3の外側めっき層36cとを含む。第3の外部電極30cは下地電極層を含まず、第5のCuめっき層34cは積層体12上に直接に形成される。
第4の外部電極30dは、第6のCuめっき層34dと、第6のCuめっき層34dの上に配置される第8のCuめっき層35dと、第8のCuめっき層35dの上に配置される第4の外側めっき層36dとを含む。第4の外部電極30dは下地電極層を含まず、第6のCuめっき層34dは積層体12上に直接に形成される。
【0143】
(2-1)第1のCuめっき層及び第2のCuめっき層
第1のCuめっき層34aは、積層体12の第1の端面12eの表面に配置され、第1の端面12eから延伸して第1の主面12aの一部、第2の主面12bの一部、第1の側面12cの一部および第2の側面12dの一部を覆うように形成される。この場合、第1のCuめっき層34aは、第1の内部電極層16aの第1の引出電極部28a1及び第1の補助電極層29a1と電気的に接続される。
第2のCuめっき層34bは、積層体12の第2の端面12fの表面に配置され、第2の端面12fから延伸して第1の主面12aの一部、第2の主面12bの一部、第1の側面12cの一部および第2の側面12dの一部を覆うように形成される。この場合、第2のCuめっき層34bは、第1の内部電極層16aの第2の引出電極部28a2及び第2の補助電極層29a2と電気的に接続される。
なお、第1のCuめっき層34aは、積層体12の第1の端面12eの表面のみに配置されてもよいし、第2のCuめっき層34bは、積層体12の第2の端面12fの表面にのみ配置されてもよい。
【0144】
第1のCuめっき層34aのうちの第1の端面12e側の任意の2以上の第1正方形領域40a(
図16)及び第2のCuめっき層34bのうちの第2の端面12f側の任意の2以上の第2正方形領域40b(
図16)それぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個以下である。第1正方形領域40a及び第2正方形領域40bはそれぞれ1辺が2μmの正方形の領域である。
【0145】
第1正方形領域40a及び第2正方形領域40bにおけるCu粒子の平均個数の算出方法は第1の実施の形態と同様である。
【0146】
第1のCuめっき層34aの第1正方形領域40a及び第2のCuめっき層34bの第2正方形領域40bでのCu粒の平均個数が1.5個以下であるため、第1のCuめっき層34aと第1の内部電極層16aとの固着面積及び第2のCuめっき層34bと第1の内部電極層16aとの固着面積が増える。そのため、第1のCuめっき層34aと第1の内部電極層16aとの固着力及び第2のCuめっき層34bと第1の内部電極層16aとの固着力を向上することができ、結果として、第1のCuめっき層34aを含む第1の外部電極30aと第1の内部電極層16aとの固着力及び第2のCuめっき層34bを含む第2の外部電極30bと第1の内部電極層16aとの固着力の向上を達成できる。さらに、当該固着部分を含む領域でのESRを低くすることができる。
【0147】
第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bそれぞれのCuの含有率は60%以上であることが好ましい。Cuの含有率が60%以上であることにより、第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bから第1の内部電極層16aへCuが十分に拡散しており、第1のCuめっき層34aと第1の内部電極層16aとの固着力及び第2のCuめっき層34bと第1の内部電極層16aとの固着力を向上することができる。
【0148】
第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bそれぞれにおけるCu含有率の算出方法は第1の実施の形態で説明した通りである。
【0149】
ここで、第1のCuめっき層34aにおいて、第1の端面12eに隣接してNiが拡散している領域を第1Ni拡散領域とする。第1Ni拡散領域は、長さ方向zにおいて前記第1長さの2/5以下の長さを有することが好ましい。また、第2のCuめっき層34bにおいて、第2の端面12fに隣接してNiが拡散している領域を第2Ni拡散領域とする。第2Ni拡散領域は、長さ方向zにおいて前記第2長さの2/5以下の長さを有することが好ましい。
これにより、第1のCuめっき層34aと第3のCuめっき層35aとの界面及び第2のCuめっき層34bと第4のCuめっき層35bとの界面付近においてCu含有率を高めることができるため、第1のCuめっき層34aと第3のCuめっき層35aとの固着力及び第2のCuめっき層34bと第4のCuめっき層35bとの固着力を向上することができる。
【0150】
第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bそれぞれの厚みは、例えば2μm以上15μm以下である。
第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bそれぞれは、ガラス成分を含まないことが好ましい。
第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bそれぞれの単位面積当たりの金属割合は、99体積%であることが好ましい。
【0151】
(2-2)第3のCuめっき層及び第4のCuめっき層
第3のCuめっき層35aは第1のCuめっき層34aを覆うように第1のCuめっき層34aの上に配置される。第4のCuめっき層35bは第2のCuめっき層34bを覆うように第2のCuめっき層34bの上に配置される。
【0152】
第3のCuめっき層35aのうちの第1の端面12e側の任意の2以上の第3正方形領域41a及び第4のCuめっき層35bのうちの第2の端面12f側の任意の2以上の第4正方形領域41bそれぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個よりも多い。第3正方形領域41a及び第4正方形領域41bはそれぞれ1辺が2μmの正方形の領域である。
【0153】
第3正方形領域41a及び第4正方形領域41bそれぞれにおけるCu粒子の平均個数の算出方法は第1正方形領域40aの場合と同様である。
【0154】
第3のCuめっき層35aの第3正方形領域41a及び第4のCuめっき層35bの第4正方形領域41bのCu粒の個数が1.5個よりも多いため、第3のCuめっき層35a及び第4のCuめっき層35bの機械的強度を向上することができる。よって、第3のCuめっき層35aを含む第1の外部電極30aの機械的強度及び第4のCuめっき層35bを含む第2の外部電極30bの機械的強度を向上することができる。
【0155】
このように第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bのCu粒の数を抑制する一方、第3のCuめっき層35aのCu粒の数及び第4のCuめっき層35bのCu粒の数を第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bよりも多くすることにより、第1の外部電極30a及び第2の外部電極30b全体として第1の内部電極層16aとの固着力の向上及びESRの低下を達成することができるとともに、機械的強度を高めることができる。
【0156】
第3のCuめっき層35a及び第4のCuめっき層35b中のCuの含有率は95%以上であることが好ましい。第3のCuめっき層35a及び第4のCuめっき層35b中のCuの含有率が95%以上であると、第1のCuめっき層34aと第3のCuめっき層35aとの固着力及び第2のCuめっき層34bと第4のCuめっき層35bとの固着力が向上する。これにより、第3のCuめっき層35aの第1のCuめっき層34aからの剥がれの抑制及び第4のCuめっき層35bの第2のCuめっき層34bからの剥がれの抑制を達成できるとともに、第1の外部電極30a及び第2の外部電極30bの絶縁抵抗の上昇の抑制を達成することができる。
【0157】
第3のCuめっき層35a及び第4のCuめっき層35bそれぞれの厚みは、例えば2μm以上15μm以下である。
第3のCuめっき層35a及び第4のCuめっき層35bそれぞれは、ガラス成分を含まないことが好ましい。
第3のCuめっき層35a及び第4のCuめっき層35bそれぞれの単位面積当たりの金属割合は、99体積%であることが好ましい。
【0158】
(2-3)第1の外側めっき層及び第2の外側めっき層
第1の外側めっき層36aは第3のCuめっき層35aの上に配置される。第2の外側めっき層36bは第4のCuめっき層35bの上に配置される。第1の外側めっき層36a及び第2の外側めっき層36bの構成は第1の実施の形態と同様である。
【0159】
(2-4)第5のCuめっき層及び第6のCuめっき層
第5のCuめっき層34cは、積層体12の第1の側面12cの表面に配置され、第1の側面12cから延伸して第1の主面12aの一部および第2の主面12bの一部を覆うように形成される。この場合、第5のCuめっき層34cは、第2の内部電極層16bの第3の引出電極部28b1及び第3の補助電極層29b1と電気的に接続される。
第6のCuめっき層34dは、積層体12の第2の側面12dの表面に配置され、第2の側面12dから延伸して第1の主面12aの一部および第2の主面12bの一部を覆うように形成される。この場合、第6のCuめっき層34dは、第2の内部電極層16bの第4の引出電極部28b2及び第4の補助電極層29b2と電気的に接続される。
以上のように第1ないし第4の引出電極部28a1、28a2、28b1、28b2を設けることにより、低ESL(等価直列インダクタンス)を実現することができる。
なお、第5のCuめっき層34cは、積層体12の第1の側面12cの表面のみに配置されてもよいし、第6のCuめっき層34dは、積層体12の第2の側面12dの表面にのみ配置されてもよい。
【0160】
第5のCuめっき層34cのうちの第1の側面12c側の任意の2以上の第5正方形領域40c(
図16)及び第6のCuめっき層34dのうちの第2の側面12d側の任意の2以上の第6正方形領域40d(
図16)それぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個以下である。第5正方形領域40c及び第6正方形領域40dはそれぞれ1辺が2μmの正方形の領域である。
【0161】
第5正方形領域40c及び第6正方形領域40dにおけるCu粒子の平均個数の算出方法は第1の実施の形態と同様の趣旨であるので説明を省略する。
【0162】
第5のCuめっき層34cの第5正方形領域40c及び第6のCuめっき層34dの第6正方形領域40dでのCu粒の平均個数が1.5個以下であるため、第5のCuめっき層34cと第2の内部電極層16bとの固着面積及び第6のCuめっき層34dと第2の内部電極層16bとの固着面積が増える。そのため、第5のCuめっき層34cと第2の内部電極層16bとの固着力及び第6のCuめっき層34dと第2の内部電極層16bとの固着力を向上することができ、結果として、第5のCuめっき層34cを含む第3の外部電極30cと第2の内部電極層16bとの固着力及び第6のCuめっき層34dを含む第4の外部電極30dと第2の内部電極層16bとの固着力の向上を達成できる。さらに、当該固着部分を含む領域でのESRを低くすることができる。
【0163】
第5のCuめっき層34c及び第6のCuめっき層34dそれぞれのCuの含有率は60%以上であることが好ましい。Cuの含有率が60%以上であることにより、第5のCuめっき層34c及び第6のCuめっき層34dから第2の内部電極層16bへCuが十分に拡散しており、第5のCuめっき層34cと第2の内部電極層16bとの固着力及び第6のCuめっき層34dと第2の内部電極層16bとの固着力を向上することができる。
【0164】
第5のCuめっき層34c及び第6のCuめっき層34dそれぞれにおけるCu含有率の算出方法は、第1の実施の形態で説明したものと同様の趣旨であるので説明を省略する。
【0165】
ここで、第5のCuめっき層34cにおいて、第1の側面12cに隣接してNiが拡散している領域を第5Ni拡散領域とする。第5Ni拡散領域は、幅方向yにおいて前記第5長さの2/5以下の長さを有することが好ましい。また、第6のCuめっき層34dにおいて、第2の側面12dに隣接してNiが拡散している領域を第6Ni拡散領域とする。第6Ni拡散領域は、幅方向yにおいて前記第6長さの2/5以下の長さを有することが好ましい。
これにより、第5のCuめっき層34cと第7のCuめっき層35cとの界面及び第6のCuめっき層34dと第8のCuめっき層35dとの界面付近においてCu含有率を高めることができるため、第5のCuめっき層34cと第7のCuめっき層35cとの固着力及び第6のCuめっき層34dと第8のCuめっき層35dとの固着力を向上することができる。
【0166】
第5のCuめっき層34c及び第6のCuめっき層34dそれぞれの厚みは、例えば2μm以上15μm以下である。
第5のCuめっき層34c及び第6のCuめっき層34dそれぞれは、ガラス成分を含まないことが好ましい。
第5のCuめっき層34c及び第6のCuめっき層34dそれぞれの単位面積当たりの金属割合は、99体積%であることが好ましい。
【0167】
(2-5)第7のCuめっき層及び第8のCuめっき層
第7のCuめっき層35cは第5のCuめっき層34cを覆うように第5のCuめっき層34cの上に配置される。第8のCuめっき層35dは第6のCuめっき層34dを覆うように第6のCuめっき層34dの上に配置される。
【0168】
第7のCuめっき層35cのうちの第1の側面12c側の任意の2以上の第7正方形領域41c及び第8のCuめっき層35dのうちの第2の側面12d側の任意の2以上の第8正方形領域41dそれぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個よりも多い。第7正方形領域41c及び第8正方形領域41dはそれぞれ1辺が2μmの正方形の領域である。
【0169】
第7正方形領域41c及び第8正方形領域41dそれぞれにおけるCu粒子の平均個数の算出方法は第1正方形領域40aの場合と同様である。
【0170】
第7のCuめっき層35cの第7正方形領域41c及び第8のCuめっき層35dの第8正方形領域41dのCu粒の個数が1.5個よりも多いため、第7のCuめっき層35c及び第8のCuめっき層35dの機械的強度を向上することができる。よって、第7のCuめっき層35cを含む第3の外部電極30cの機械的強度及び第8のCuめっき層35dを含む第4の外部電極30dの機械的強度を向上することができる。
【0171】
このように第7のCuめっき層35c及び第8のCuめっき層35dのCu粒の数を抑制する一方、第7のCuめっき層35cのCu粒の数及び第8のCuめっき層35dのCu粒の数を第5のCuめっき層34c及び第6のCuめっき層34dよりも多くすることにより、第3の外部電極30c及び第4の外部電極30d全体として第2の内部電極層16bとの固着力の向上及びESRの低下を達成することができるとともに、機械的強度を高めることができる。
【0172】
第7のCuめっき層35c及び第8のCuめっき層35d中のCuの含有率は95%以上であることが好ましい。第7のCuめっき層35c及び第8のCuめっき層35d中のCuの含有率が95%以上であると、第5のCuめっき層34cと第7のCuめっき層35cとの固着力及び第6のCuめっき層34dと第8のCuめっき層35dとの固着力が向上する。これにより、第7のCuめっき層35cの第5のCuめっき層34cからの剥がれの抑制及び第8のCuめっき層35dの第6のCuめっき層34dからの剥がれの抑制を達成できるとともに、第3の外部電極30c及び第4の外部電極30dの絶縁抵抗の上昇の抑制を達成することができる。
【0173】
第7のCuめっき層35c及び第8のCuめっき層35dそれぞれの厚みは、例えば2μm以上15μm以下である。
第7のCuめっき層35c及び第8のCuめっき層35dそれぞれは、ガラス成分を含まないことが好ましい。
第7のCuめっき層35c及び第8のCuめっき層35dそれぞれの単位面積当たりの金属割合は、99体積%であることが好ましい。
【0174】
(2-6)第3の外側めっき層及び第4の外側めっき層
第3の外側めっき層36cは第7のCuめっき層35cの上に配置される。第4の外側めっき層36dは第8のCuめっき層35dの上に配置される。第3の外側めっき層36c及び第8のCuめっき層35dの構成は第1の実施の形態と同様である。
【0175】
(3)3端子型積層セラミックコンデンサの寸法
積層体12、第1の外部電極30aないし第4の外部電極30dを含む3端子型積層セラミックコンデンサ100の長さ方向zの寸法をL寸法とし、積層体12、第1の外部電極30aないし第4の外部電極30dを含む3端子型積層セラミックコンデンサ100の高さ方向xの寸法をT寸法とし、積層体12、第1の外部電極30aないし第4の外部電極30dを含む3端子型積層セラミックコンデンサ100の幅方向yの寸法をW寸法とする。
3端子型積層セラミックコンデンサ100の寸法は、特に限定されないが、長さ方向zのL寸法が1.0mm以上3.2mm以下、幅方向yのW寸法が0.5mm以上2.5mm以下、高さ方向xのT寸法が0.3mm以上2.5mm以下である。なお、3端子型積層セラミックコンデンサ100の寸法は、マイクロスコープにより測定することができる。
【0176】
2. 3端子型積層セラミックコンデンサの製造方法
次に、3端子型積層セラミックコンデンサの製造方法の一例について説明する。
【0177】
まず、セラミック層用の誘電体シート、内部電極層用の導電性ペーストおよび補助電極層用の導電性ペーストが準備される。誘電体シート、内部電極層用の導電性ペーストおよび補助電極層用の導電性ペーストは、バインダおよび溶剤を含む。バインダおよび溶剤は、公知のものであってよい。
【0178】
そして、誘電体シート上に、内部電極層用の導電性ペーストおよび補助電極層用の導電性ペーストが、たとえば、スクリーン印刷やグラビア印刷などにより所定のパターンで印刷される。これにより、第1の内部電極層のパターン、第3の補助電極層及び第4の補助電極層のパターンが形成された誘電体シート、および第2の内部電極層のパターン、第1の補助電極層及び第2の補助電極層のパターンが形成された誘電体シートが準備される。より具体的には、第1の内部電極層を印刷するためのスクリーン版と、第2の内部電極層を印刷するためのスクリーン版を別々に準備し、2種類のスクリーン版をそれぞれ別々に印刷できる印刷機を使用して、各内部電極層のパターンを印刷することができる。
また、誘電体シートに関しては、外層部に補助電極層を形成する場合には、補助電極層のパターンが印刷されており内部電極層のパターンが印刷されていない外層用の誘電体シートが準備される。また、外層部に補助電極層を形成しない場合には、内部電極層のパターン及び補助電極層のパターンが印刷されていない外層用の誘電体シートが準備される。
【0179】
続いて、外層用の誘電体シートが所定枚数積層されることにより、第2の主面側の第2の主面側外層部となる部分が形成される。そして、第2の主面側外層部となる部分の上に第1の内部電極層のパターン、第3の補助電極層及び第4の補助電極層のパターンが印刷された誘電体シート、および第2の内部電極層のパターン、第3の補助電極層及び第4の補助電極層のパターンが印刷された誘電体シートを本発明の構造となるように順次積層されることにより、内層部となる部分が形成される。この内層部となる部分の上に、外層用の誘電体シートが所定枚数積層されることにより、第1の主面側の第1の主面側外層部となる部分が形成される。これにより、積層シートが作製される。
【0180】
次に、積層シートが静水圧プレスなどの手段により積層方向にプレスされることにより、積層ブロックが作製される。
【0181】
そして、積層ブロックを所定のサイズにカットされることにより、積層チップが切り出される。このとき、バレル研磨などにより積層チップの角部および稜線部に丸みをつけてもよい。
【0182】
続いて、切り出された積層チップが焼成されることにより、積層体が作製される。焼成温度は、セラミック層や内部電極層の材料にもよるが、900℃以上1400℃以下であることが好ましい。
【0183】
積層体12の第1の主面12a、第2の主面12b、第1の端面12e、第2の端面12f、第1の側面12c、第2の側面12dの所定の部分にめっき処理を施し、第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bを形成する。具体的に、めっき処理により、第1の端面12e、第1の側面12c、第2の側面12dにおいて露出している第1の内部電極層16a及び第1の主面12a、第2の主面12b、第1の端面12e、第1の側面12c、第2の側面12dに露出している第1の補助電極層29a1上に第1のCuめっき層34aを形成する。また、第2の端面12f、第1の側面12c、第2の側面12dにおいて露出している第2の内部電極層16b及び第1の主面12a、第2の主面12b、第2の端面12f、第1の側面12c、第2の側面12dに露出している第2の補助電極層29a2上に第2のCuめっき層34bを形成する。
同様に、積層体12の第1の主面12a、第2の主面12b、第1の側面12c及び第2の側面12dの所定の部分にめっき処理を施し、第5のCuめっき層34c及び第6のCuめっき層34dを形成する。具体的に、めっき処理により、第1の側面12cにおいて露出している第2の内部電極層16b及び第1の主面12a、第2の主面12b、第1の側面12cに露出している第3の補助電極層29b1上に第5のCuめっき層34cを形成し、第2の側面12dにおいて露出している第2の内部電極層16b及び第1の主面12a、第2の主面12b、第2の側面12dに露出している第4の補助電極層29b2上に第6のCuめっき層34dを形成する。
めっき処理を行うにあたっては、電解めっき、無電解めっきのどちらを採用してもよい。但し、無電解めっきはめっき析出速度を向上させるために、触媒などによる前処理が必要となり、工程が複雑化するというデメリットがある。したがって、通常は、電解めっきを採用することが好ましい。めっき工法としては、バレルめっきを用いることが好ましい。
【0184】
第1のCuめっき層34a、第2のCuめっき層34b、第5のCuめっき層34c及び第6のCuめっき層34dを形成した後、積層体12を600℃以上900℃以下で熱処理する。熱処理は、窒素雰囲気において、実測でのピーク温度が700℃以上800℃以下に維持された状態で1分以上5分以下で行われる。本実施の形態では、熱処理は連続式の熱処理炉を用いて行われる。
【0185】
熱処理を行うことにより、第1のCuめっき層34aの第1正方形領域40a、第2のCuめっき層34bの第2正方形領域40b、第5のCuめっき層34cの第5正方形領域40c及び第6のCuめっき層34dの第6正方形領域40dでのCu粒の平均個数を1.5個以下にすることができる。前記熱処理では、第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bの金属(Cu等)と第1の内部電極層16aの金属(Ni等)とが相互拡散され、第5のCuめっき層34c及び第6のCuめっき層34dの金属(Cu等)と第2の内部電極層16bの金属(Ni等)とが相互拡散される。これにより、第1のCuめっき層34aと第1の内部電極層16aとの固着力、第2のCuめっき層34bと第1の内部電極層16aとの固着力、第5のCuめっき層34cと第2の内部電極層16bとの固着力、第6のCuめっき層34dと第2の内部電極層16bとの固着力を向上することができるとともに、当該固着部分を含む領域でのESRを低くすることができる。
【0186】
熱処理の温度を600℃未満とすると、第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bと第1の内部電極層16aとの固着力、第5のCuめっき層34c及び第6のCuめっき層34dと第2の内部電極層16bとの固着力が不十分となり、ESRが高くなる。また、熱処理の温度を900℃より高くすると、第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bから第1の内部電極層16aへのCu原子の拡散、第5のCuめっき層34c及び第6のCuめっき層34dから第2の内部電極層16bへのCu原子の拡散が過剰となる。これにより、第1のCuめっき層34a、第2のCuめっき層34b、第5のCuめっき層34c及び第6のCuめっき層34d中に空隙が生じ、当該空隙に水分が入り込み耐湿性が低下する。
【0187】
次に、第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bの表面に、めっき処理により第3のCuめっき層35a及び第2のCuめっき層35bを形成する。同様に、第5のCuめっき層34c及び第6のCuめっき層34dの表面に、めっき処理により第7のCuめっき層35c及び第8のCuめっき層35dを形成する。ここでのめっき処理は、第1のCuめっき層34a、第2のCuめっき層34b、第5のCuめっき層34c及び第6のCuめっき層34dを形成する場合と同様である。ただし、めっき処理後に熱処理は行わない。
【0188】
さらに、第1のCuめっき層34a及び第2のCuめっき層34bと第3のCuめっき層35a及び第4のCuめっき層35bとを覆うように、前述と同様のめっき処理により第1の外側めっき層36a及び第2の外側めっき層36bが形成される。また、第5のCuめっき層34c及び第6のCuめっき層34dと第7のCuめっき層35c及び第8のCuめっき層35dとを覆うように、前述と同様のめっき処理により第3の外側めっき層36c及び第4の外側めっき層36dが形成される。本実施の形態では、Niめっきによる下層めっき層及びSnめっきによる上層めっき層が順に積層されることにより第1の外側めっき層36a、第2の外側めっき層36b、第3の外側めっき層36c及び第4の外側めっき層36dが形成される。
【0189】
上述のようにして、本実施の形態にかかる3端子型積層セラミックコンデンサ100が製造される。
【0190】
本実施の形態において、少なくとも第1の端面12eに露出する第1の引出電極部28a1により第1のCuめっき層34aと第1の内部電極層16aとの固着力を確保できるのであれば、第1の補助電極層29a1を省略することができる。同様に、少なくとも第2の端面12fに露出する第2の引出電極部28a2により第2のCuめっき層34bと第1の内部電極層16aとの固着力を確保できるのであれば、第2の補助電極層29a2を省略することができる。同様に、少なくとも第1の側面12cに露出する第3の引出電極部28b1により第5のCuめっき層34cと第2の内部電極層16bとの固着力を確保できるのであれば、第3の補助電極層29b1を省略することができる。同様に、少なくとも第2の側面12dに露出する第4の引出電極部28b2により第6のCuめっき層34dと第2の内部電極層16bとの固着力を確保できるのであれば、第4の補助電極層29b2を省略することができる。
【0191】
なお、以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【0192】
<1>
複数の積層されたセラミック層を有し、高さ方向に相対する第1の主面および第2の主面と、前記高さ方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、前記高さ方向および前記長さ方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面とを有する積層体と、
前記複数のセラミック層上に配置され、前記第1の端面に引き出された複数の第1の内部電極層と、
前記複数のセラミック層上に配置され、前記第2の端面に引き出された複数の第2の内部電極層と、
前記第1の端面上に配置されており、前記第1の内部電極層に接続される第1の外部電極と、
前記第2の端面上に配置されており、前記第2の内部電極層に接続される第2の外部電極と、を備え、
前記第1の外部電極は、第1のCuめっき層と、前記第1のCuめっき層上に配置される第3のCuめっき層と、を有し、
前記第2の外部電極は、第2のCuめっき層と、前記第2のCuめっき層上に配置される第4のCuめっき層と、を有し、
前記第1のCuめっき層のうちの前記第1の端面側の任意の2以上の第1正方形領域及び前記第2のCuめっき層のうちの前記第2の端面側の任意の2以上の第2正方形領域それぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個以下であり、
前記第3のCuめっき層のうちの前記第1の端面側の任意の2以上の第3正方形領域及び前記第4のCuめっき層のうちの前記第2の端面側の任意の2以上の第4正方形領域それぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個よりも多く、
前記第1ないし第4正方形領域はそれぞれ1辺が2μmの正方形の領域である、積層セラミック電子部品。
【0193】
<2>
前記第3のCuめっき層及び前記第4のCuめっき層中のCuの含有率は95%以上である、<1>に記載の積層セラミック電子部品。
【0194】
<3>
前記第1のCuめっき層及び第2のCuめっき層中のCuの含有率は60%以上である、<1>又は<2>に記載の積層セラミック電子部品。
【0195】
<4>
前記第1のCuめっき層の前記第1の端面に隣接してNiが拡散している第1Ni拡散領域は、前記第1のCuめっき層の前記第1の端面からの前記長さ方向の厚みである第1長さの2/5以下の長さを有し、
前記第2のCuめっき層の前記第2の端面に隣接してNiが拡散している第2Ni拡散領域は、前記第2のCuめっき層の前記第2の端面からの前記長さ方向の厚みである第2長さの2/5以下の長さを有する、<1>ないし<3>のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
【0196】
<5>
複数の積層されたセラミック層を有し、高さ方向に相対する第1の主面および第2の主面と、前記高さ方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、前記高さ方向および前記長さ方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面とを有する積層体と、
前記複数のセラミック層上に配置され、前記第1の端面および前記第2の端面に引き出された複数の第1の内部電極層と、
前記複数のセラミック層上に配置され、前記第1の側面および前記第2の側面に引き出された複数の第2の内部電極層と、
前記第1の端面上に配置されており、前記第1の内部電極層に接続される第1の外部電極と、
前記第2の端面上に配置されており、前記第1の内部電極層に接続される第2の外部電極と、
前記第1の側面上に配置され、前記第1の側面から延伸して前記第1の主面の一部および前記第2の主面の一部に配置されており、前記第2の内部電極層に接続される第3の外部電極と、
前記第2の側面上に配置され、前記第2の側面から延伸して前記第1の主面の一部および前記第2の主面の一部に配置されており、前記第2の内部電極層に接続される第4の外部電極と、を備え、
前記第1の外部電極は、第1のCuめっき層と、前記第1のCuめっき層上に配置される第3のCuめっき層と、を有し、
前記第2の外部電極は、第2のCuめっき層と、前記第2のCuめっき層上に配置される第4のCuめっき層と、を有し、
前記第1のCuめっき層のうちの前記第1の端面側の任意の2以上の第1正方形領域及び前記第2のCuめっき層のうちの前記第2の端面側の任意の2以上の第2正方形領域それぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個以下であり、
前記第3のCuめっき層のうちの前記第1の端面側の任意の2以上の第3正方形領域及び前記第4のCuめっき層のうちの前記第2の端面側の任意の2以上の第4正方形領域それぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個よりも多く、
前記第3の外部電極は、第5のCuめっき層と、前記第5のCuめっき層上に配置される第7のCuめっき層と、を有し、
前記第4の外部電極は、第6のCuめっき層と、前記第6のCuめっき層上に配置される第8のCuめっき層と、を有し、
前記第5のCuめっき層のうちの前記第1の端面側の任意の2以上の第5正方形領域及び前記第6のCuめっき層のうちの前記第2の端面側の任意の2以上の第6正方形領域それぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個以下であり、
前記第7のCuめっき層のうちの前記第1の端面側の任意の2以上の第7正方形領域及び前記第8のCuめっき層のうちの前記第2の端面側の任意の2以上の第8正方形領域それぞれにおけるCu粒子の平均個数が1.5個よりも多く、
前記第1ないし第8正方形領域はそれぞれ1辺が2μmの正方形の領域である、積層セラミック電子部品。
【0197】
<6>
前記第3のCuめっき層及び前記第4のCuめっき層中のCuの含有率は95%以上である、<5>に記載の積層セラミック電子部品。
【0198】
<7>
前記第1のCuめっき層及び第2のCuめっき層中のCuの含有率は60%以上である、<5>または<6>に記載の積層セラミック電子部品。
【0199】
<8>
前記第1のCuめっき層の前記第1の端面に隣接してNiが拡散している第1Ni拡散領域は、前記第1のCuめっき層の前記第1の端面からの前記長さ方向の厚みである第1長さの2/5以下の長さを有し、
前記第2のCuめっき層の前記第2の端面に隣接してNiが拡散している第2Ni拡散領域は、前記第2のCuめっき層の前記第2の端面からの前記長さ方向の厚みである第2長さの2/5以下の長さを有する、<5>ないし<7>のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
【0200】
<9>
前記第7のCuめっき層及び前記第8のCuめっき層中のCuの含有率は95%以上である、<5>ないし<8>のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
【0201】
<10>
前記第5のCuめっき層及び第6のCuめっき層中のCuの含有率は60%以上である、<5>ないし<9>のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
【0202】
<11>
前記第5のCuめっき層の前記第1の側面に隣接してNiが拡散している第5Ni拡散領域は、前記第5のCuめっき層の前記第1の側面からの前記幅方向の厚みである第5長さの2/5以下の長さを有し、
前記第6のCuめっき層の前記第2の側面に隣接してNiが拡散している第6Ni拡散領域は、前記第6のCuめっき層の前記第2の側面からの前記幅方向の厚みである第6長さの2/5以下の長さを有する、<5>ないし<10>のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
【符号の説明】
【0203】
10 :2端子型積層セラミックコンデンサ
12 :積層体
12a :第1の主面
12b :第2の主面
12c :第1の側面
12d :第2の側面
12e :第1の端面
12f :第2の端面
14 :セラミック層
14a :外層部
14b :内層部
16 :内部電極層
16a :第1の内部電極層
16b :第2の内部電極層
18 :内層部
20a :第1の主面側外層部
20b :第2の主面側外層部
22a :第1の側面側外層部
22b :第2の側面側外層部
24a :第1の端面側外層部
24b :第2の端面側外層部
26a :第1の対向電極部
26b :第2の対向電極部
27 :対向電極部
28a :第1の引出電極部
28b :第2の引出電極部
28a1 :第1の引出電極部
28a2 :第2の引出電極部
28b1 :第3の引出電極部
28b2 :第4の引出電極部
29 :補助電極層
29a :第1の補助電極層
29b :第2の補助電極層
29a1 :第1の補助電極層
29a2 :第2の補助電極層
29b1 :第3の補助電極層
29b2 :第4の補助電極層
30 :外部電極
30a :第1の外部電極
30b :第2の外部電極
30c :第3の外部電極
30d :第4の外部電極
34 :下層のCuめっき層
34a~34d:第1、第2、第5、第6のCuめっき層
35 :上層のCuめっき層
35a~35d:第3、第4、第7、第8のCuめっき層
36 :外側めっき層
36a~36d:第1~第4の外側めっき層
40a~40d:第1、第2、第5、第6正方形領域
41a~41d:第3、第4、第7、第8正方形領域
100 :3端子型積層セラミックコンデンサ
x :高さ方向
y :幅方向
z :長さ方向