(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167535
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 15/06 20060101AFI20231116BHJP
B60C 3/04 20060101ALI20231116BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20231116BHJP
B60C 11/00 20060101ALI20231116BHJP
B60C 11/03 20060101ALI20231116BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20231116BHJP
C08L 9/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B60C15/06 C
B60C3/04 B
B60C1/00 Z
B60C11/00 D
B60C11/03 100B
B60C11/00 G
C08K3/013
C08L9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078802
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼村 健二
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA12
3D131BA02
3D131BA03
3D131BA05
3D131BA20
3D131BB01
3D131BB11
3D131BC47
3D131CA03
3D131EB11V
3D131EB11X
3D131EB31X
3D131EB72V
3D131EB72X
3D131HA33
3D131LA28
4J002AC01X
4J002AC03W
4J002AC06X
4J002AC08Y
4J002BC04Y
4J002DA036
4J002FD016
4J002GN01
(57)【要約】
【課題】高速走行後の美観性能を向上させたタイヤを提供すること。
【解決手段】トレッド部およびクリンチ部を備えたタイヤであって、前記タイヤの最大負荷能力WL(kg)に対するタイヤ重量G(kg)の比(G/WL)が0.0150以下であり、前記クリンチ部が、ゴム成分およびフィラーを含有するゴム組成物により構成され、前記クリンチ部を構成するゴム組成物の70℃におけるtanδ(70℃tanδC)が0.11以下であり、前記クリンチ部を構成するゴム組成物の70℃における複素弾性率(MPa)(70℃E*C)とG/WLとの積(70℃E*C×G/WL)が0.075以上であるタイヤ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部およびクリンチ部を備えたタイヤであって、
前記タイヤの最大負荷能力WL(kg)に対するタイヤ重量G(kg)の比(G/WL)が0.0150以下であり、
前記クリンチ部が、ゴム成分およびフィラーを含有するゴム組成物により構成され、
前記クリンチ部を構成するゴム組成物の70℃におけるtanδ(70℃tanδC)が0.11以下であり、
前記クリンチ部を構成するゴム組成物の70℃における複素弾性率(MPa)(70℃E*C)とG/WLとの積(70℃E*C×G/WL)が0.075以上であるタイヤ。
【請求項2】
前記G/WLが0.0140以下である、請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
前記G/WLが0.0135以下である、請求項1記載のタイヤ。
【請求項4】
70℃E*Cが10.0MPa以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記クリンチ部を構成するゴム組成物の23℃における100%延伸時のモジュラス(M100C)が5.0MPa以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項6】
70℃tanδCが0.065以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記タイヤの断面幅をWt(mm)、外径をDt(mm)としたとき、WtおよびDtが、下記式(1)を満たす、請求項1~6のいずれか一項に記載のタイヤ。
1800≦(Dt2×π/4)/Wt≦2827.4 ・・・(1)
【請求項8】
前記タイヤが占める空間の仮想体積をV(mm3)としたとき、VおよびWtが、下記式(2)を満たす、請求項1~7のいずれか一項に記載のタイヤ。
[(V+1.5×107)/Wt]≦2.88×105 ・・・(2)
【請求項9】
前記クリンチ部を構成するゴム成分中のイソプレン系ゴムおよびブタジエンゴムの合計含有量が80質量%超である、請求項1~8のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項10】
前記クリンチ部を構成するゴム組成物中のゴム成分100質量部に対するフィラーの総含有量が65質量部未満である。含有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項11】
前記クリンチ部を構成するゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対して、平均一次粒子径が40nm以上のカーボンブラックを35質量部以上含有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項12】
70℃E*C(MPa)に対する70℃tanδCの比(70℃tanδC/70℃E*C)が0.004以上0.008以下である、請求項1~11のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項13】
前記クリンチ部の最大厚みをT(mm)としたとき、Tと70℃tanδCとの積(T×70℃tanδC)が0.50未満である、請求項1~12のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項14】
前記クリンチ部の最大厚みをT(mm)としたとき、TとM100C(MPa)との積(T×M100C)が15.0超である、請求項1~13のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項15】
前記トレッド部を構成するゴム組成物の30℃におけるtanδ(30℃tanδT)が0.18以下である、請求項1~14のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項16】
タイヤ重量G(kg)に対する30℃tanδTの比(30℃tanδT/G)が0.010超である、請求項1~15のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項17】
前記トレッド部が、タイヤ幅方向最外端に位置する一対の最外周方向溝によって仕切られた一対のショルダー陸部および前記一対のショルダー陸部の間に位置する1以上のセンター陸部を有し、
前記陸部全体の面積をSr、前記センター陸部の合計面積をSceとしたとき、Sce/Srが0.35以上0.80以下である、請求項1~16のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項18】
前記トレッド部が、タイヤ幅方向最外端に位置する一対の最外周方向溝によって仕切られた一対のショルダー陸部および前記一対のショルダー陸部の間に位置する1以上のセンター陸部を有し、
少なくとも1つの前記陸部において、トレッド面への開口面積が0.1mm2以上15mm2以下の小穴を1個以上有する、請求項1~17のいずれか一項に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のタイヤではトレッドゴムの進歩が目覚ましく、トレッドゴムの低発熱性の向上とともに、それ以外のタイヤ部材の発熱性への寄与も盛んに検討されている。特許文献1には、特定のゴム組成物により形成されたゴムチェーファ部(クリンチ部)を備えることで、タイヤの転がり抵抗を低減させ得ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、高速道の整備なども進んできた昨今において、ドライバーが高速走行を行うことも珍しくはない状況下にあり、また、タイヤの美観についても重視されつつある。そのような中、車検等の整備の際、タイヤの美観が損なわれていると、品質上の性能が担保されているにも関わらずタイヤの交換が行われることも懸念されることから、高速走行を重ねた後の美観性能について向上の余地があると考えられる。
【0005】
本発明は、高速走行後の美観性能の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、トレッド部およびクリンチ部を備えたタイヤであって、前記タイヤの最大負荷能力WL(kg)に対するタイヤ重量G(kg)の比(G/WL)が0.0150以下であり、前記クリンチ部が、ゴム成分およびフィラーを含有するゴム組成物により構成され、前記クリンチ部を構成するゴム組成物の70℃におけるtanδ(70℃tanδC)が0.11以下であり、前記クリンチ部を構成するゴム組成物の70℃における複素弾性率(MPa)(70℃E*C)とG/WLとの積(70℃E*C×G/WL)が0.075以上であるタイヤに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高速走行後の美観性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】トレッドを平面に押し付けたときのタイヤの接地面の模式図である。
【
図2】本発明の一実施態様に係るタイヤの概略部分断面図である。
【
図3】タイヤの断面における、タイヤ断面幅Wt、タイヤ断面高さHt、およびタイヤ外径Dtを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態であるタイヤは、トレッド部およびクリンチ部を備えたタイヤであって、前記タイヤの最大負荷能力WL(kg)に対するタイヤ重量G(kg)の比(G/WL)が0.0150以下であり、前記クリンチ部が、ゴム成分およびフィラーを含有するゴム組成物により構成され、前記クリンチ部を構成するゴム組成物の70℃におけるtanδ(70℃tanδC)が0.11以下であり、前記クリンチ部を構成するゴム組成物の70℃における複素弾性率(MPa)(70℃E*C)とG/WLとの積(70℃E*C×G/WL)が0.075以上であるタイヤである。
【0010】
タイヤの最大負荷能力に対するタイヤ重量と、クリンチ部を構成するゴム組成物の粘弾性物性が上記の要件を満たすことで、得られたタイヤは、高速走行後の美観性能が顕著に改善される。その理由については、理論に拘束されることは意図しないが、以下のように考えられる。
【0011】
本発明のタイヤの最大負荷能力に対する重量の比が0.015以下であり、従来のタイヤに比べ軽量化されることとなる。このことから、(1)軽量化に伴い、各部材が薄くなるため、高速走行時に生じた熱を外部へ逃がしやすくなり、過度な温度上昇を招きにくくなり、クリンチ部などのゴム組成物中に含まれるワックス成分の、熱拡散による移行および析出を抑制しやすくなると考えられる。また、(2)クリンチ部の高温における損失正接tanδを小さくし、クリンチ部の発熱を抑制することで、ゴム内部のワックスが移行しやすくすることを抑制している。一方、最大負荷能力に対するタイヤ重量の比が小さくなると、クリンチ部での変形量が大きくなり、クラックが発生することも懸念されるが、(3)タイヤの最大負荷能力に対するタイヤ重量の比に対して、高温におけるクリンチ部の剛性(複素弾性率E*)を大きくすることで、クリンチ部の転動時の変形が抑制され、表面にクラックが生じること、および、変形に伴う内部発熱を抑制することができると考えられる。以上のことから、クリンチ部が熱を逃がしやすくし、かつ、発熱が生じにくい状態となり、その変形量も小さく抑えられることから、ゴム内部のワックスの移行および析出を抑制し、変形によるクラックの発生も抑制することができるため、高速走行後においても美観性能が顕著に改善するという、特筆すべき効果が達成されると考えられる。
【0012】
G/WLは、0.0140以下であることが好ましく、0.0135以下であることがさらに好ましい。
【0013】
G/WLを前記の範囲とし、タイヤの最大負荷能力に対してタイヤ重量を軽くすることにより、タイヤ内の熱を逃がしやすくなり、高速走行後の美観性能をより向上できると考えられる。
【0014】
70℃E*Cは、10.0MPa以上であることが好ましい。
【0015】
70℃E*Cを前記の範囲とすることにより、クリンチ部の変形量を小さくし、クラックの発生を抑制しやすくすることができると考えられる。
【0016】
クリンチ部を構成するゴム組成物の23℃における100%延伸時のモジュラス(M100C)は、5.0MPa以上であることが好ましい。
【0017】
クリンチ部の低歪の剛性(E*)だけでなく、高歪の剛性(M100)も高くすることで、幅広い路面からの入力に対して発熱を抑えることができ、高速走行後の美観性能をより向上できると考えられる。
【0018】
70℃tanδCは、0.065以下であることが好ましい。
【0019】
クリンチ部のゴムを低発熱化することで、高速走行時の発熱を抑制し、ワックスなどによる熱拡散を抑制しやすくすることができると考えられる。
【0020】
タイヤの断面幅をWt(mm)、外径をDt(mm)としたとき、WtおよびDtは、下記式(1)を満たすことが好ましい。
1800≦(Dt2×π/4)/Wt≦2827.4 ・・・(1)
【0021】
タイヤの断面幅Wtに対して、タイヤを横方向から見た際の面積[すなわち(Dt/2)2×π=Dt2×π/4]を大きくすることにより、サイド部の熱放出性が向上し、高速走行後の美観性能がより向上すると考えられる。
【0022】
タイヤが占める空間の仮想体積をV(mm3)としたとき、VおよびWtは、下記式(2)を満たすことが好ましい。
[(V+1.5×107)/Wt]≦2.88×105 ・・・(2)
【0023】
タイヤの断面幅Wtの減少に合わせてタイヤが占める空間の仮想体積Vを減少させ、タイヤそのものの体積を減らすことにより、遠心力による外径成長率を低減させることができるため、サイド部の変形量を小さくすることができると考えられる。
【0024】
クリンチ部を構成するゴム成分中のイソプレン系ゴムおよびブタジエンゴムの合計含有量は、80質量%超であることが好ましい。
【0025】
該ゴム成分中のイソプレン系ゴムおよびブタジエンゴムの合計含有量を前記の範囲とすることにより、ゴム内部に相分離構造を形成させ、その相間の界面で、変形による力を分散し、クラックを抑制しやすくすることができると考えられる。
【0026】
クリンチ部を構成するゴム組成物中のゴム成分100質量部に対するフィラーの総含有量は、65質量部未満であることが好ましい。
【0027】
該ゴム組成物中のフィラーの総含有量を前記の範囲とすることにより、ゴム成分とフィラーとの間での摩擦による発熱を抑制しやすくなり、高速走行後における美観性能を向上させやすくすることができると考えられる。
【0028】
クリンチ部を構成するゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、平均一次粒子径が40nm以上のカーボンブラックを35質量部以上含有することが好ましい。
【0029】
所定の平均一次粒子径を有するカーボンブラックを含有することにより、カーボンブラックにより束縛されるゴム分子が最小限に抑えられ、柔軟に動きやすくなるため、入力に対してポリマー分子鎖でも応力が緩和され、高速走行後における美観性能がより向上すると考えられる。
【0030】
70℃E*C(MPa)に対する70℃tanδCの比(70℃tanδC/70℃E*C)は、0.004以上0.020以下であることが好ましい。
【0031】
70℃tanδC/70℃E*Cを前記の範囲とすることにより、タイヤが転動する際の発熱を抑制することができ、その結果、ワックスなどの析出を抑制しやすくなること、また、高温になり、クリンチ部の強度が低下し、クラックが発生することを抑制しやすくなると考えられる。
【0032】
クリンチ部の最大厚みをT(mm)としたとき、Tと70℃tanδCとの積(T×70℃tanδC)は、0.50未満であることが好ましい。
【0033】
T×70℃tanδCを前記の範囲とすることにより、クリンチ部での発熱の抑制と放熱性の向上効果を得ることができ、高速走行後における美観性能を向上させやすくすることができると考えられる。
【0034】
TとM100C(MPa)との積(T×M100C)は、15.0超であるであることが好ましい。
【0035】
T×M100Cを前記の範囲とすることにより、クリンチ部での変形を抑制しやすくすることができると考えられる。
【0036】
トレッド部を構成するゴム組成物の30℃におけるtanδ(30℃tanδT)は、0.18以下であることが好ましい。
【0037】
トレッド部の発熱を抑えることで、高速走行時でのタイヤの温度上昇を抑制できる。その結果、クリンチ部の変形を抑制し、高速走行後の美観性能を向上させやすくすることができると考えられる。
【0038】
タイヤ重量G(kg)に対する30℃tanδTの比(30℃tanδT/G)は、0.010超であることが好ましい。
【0039】
タイヤ重量が軽くなるにつれて、路面凹凸による衝撃が緩和されにくくなり、衝撃が加わる際は、転動時よりも変形が大きくなる傾向がある。30℃tanδT/Gを前記の範囲とすることにより、タイヤ重量に応じてトレッドゴムの発熱性を高めることとなる。その結果、トレッドゴムによりエネルギーを吸収しやすくし、クリンチ部における変形を小さくすることができ、高速走行後の美観性能が向上しやすくなると考えられる。
【0040】
本発明のトレッド部において、陸部全体の面積をSr、センター陸部の合計面積をSceとしたとき、Sce/Srは、0.35以上0.80以下であることが好ましい。
【0041】
Sce/Srを前記記の範囲とすることにより、トレッド部のセンター領域での剛性が最適化され、衝撃が伝わった際にトレッド部においても衝撃が吸収できるようになり、クリンチ部での過度な変形が抑制されると考えられる。
【0042】
少なくとも1つの陸部において、トレッド面への開口面積が0.1mm2以上15mm2以下の小穴を1個以上有することが好ましい。
【0043】
前記開口面積の小穴を設けることにより、他性能に悪影響を与えず、トレッド部の表面積を大きくすることが可能となるため、トレッド部での放熱性が良化し、サイド部およびクリンチ部での温度上昇を抑制することが可能になると考えられる。
【0044】
<定義>
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、JATMAであれば“標準リム”、TRAであれば“Design Rim”、ETRTOであれば“Measuring Rim”である。なお、前記の規格体系において定めを持たないサイズのタイヤの場合は、そのタイヤにリム組可能であり、リム/タイヤの間でエア漏れを発生させない最小径のリムのうち、最も幅の狭いものを指すものとする。
【0045】
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば“最高空気圧”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”である。なお、前記の規格体系において定めを持たないサイズのタイヤの場合は、正規内圧を250kPaとする。
【0046】
「正規状態」は、タイヤが正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも、無負荷の状態である。なお、前記の規格体系において定めを持たないサイズのタイヤの場合は、そのタイヤが前記の最小リムにリム組みされかつ250kPaが充填され、しかも、無負荷の状態をいうものとする。
【0047】
「タイヤ重量G(kg)は、リムの重量を含まないタイヤ単体の重量である。また、タイヤ内腔部に制音材、シーラント、センサーなどを取り付けた場合には、Gはこれらの重量を含む値である。
【0048】
「最大負荷能力(WL)(kg)」は、正規状態で測定されたタイヤ断面幅をWt(mm)、タイヤ断面高さをHt(mm)、タイヤ外径をDt(mm)としたとき、下記式(3)および(4)により算出される値である。V(mm3)はタイヤが占める空間の仮想体積である。前記のタイヤ断面幅Wtは、前記の状態において、タイヤ側面に模様または文字などがある場合にはそれらを除いたものとしてのサイドウォール外面間の最大幅である。前記のタイヤ断面高さHtは、ビード部底面からトレッド最表面までの距離であり、タイヤの外径とリム径の呼びとの差の1/2である。
V={(Dt/2)2-(Dt/2-Ht)2}×π×Wt ・・・(3)
WL=0.000011×V+100 ・・・(4)
【0049】
「クリンチ部の最大厚み」は、クリンチ部4のタイヤ幅方向内側の界面に対する法線Lに沿って計測される、最大の厚みT(mm)である(
図2参照)。なお、「クリンチ部の最大厚み」は、タイヤを、タイヤ回転軸を含む面で切断し、ビード部の幅を正規リムの幅に合わせた状態で測定される。また、クリンチ部がタイヤ幅方向内側で他の部材と接し、当該他の部材の形状により段差を生じる場合には、当該段差の場所における長さは除かれるものとする。例えば、カーカス層の巻き返し部がクリンチ部と重なっている場合、カーカス層の巻き返しの端部における厚みは除かれる。
【0050】
周方向溝、幅方向溝を含め「溝」は、少なくとも2.0mmよりも大きい幅の凹みをいう。一方、「サイプ」は、幅が2.0mm以下、好ましくは0.5~1.5mmの細い切り込みをいう。
【0051】
「小穴」とは、トレッド内から延在しトレッド踏面へ開口するものをいう。
【0052】
「可塑剤の含有量」は、予めオイル、樹脂成分、液状ゴム等の可塑剤により伸展された伸展ゴム成分中に含まれる可塑剤の量も含む。また、オイルの含有量、樹脂成分の含有量、液状ゴムの含有量についても同様であり、例えば、伸展成分がオイルである場合には伸展オイルはオイルの含有量に含まれる。
【0053】
<測定方法>
「70℃tanδ」は、温度70℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定する損失正接である。70℃tanδ測定用サンプルは、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmの加硫ゴム組成物である。タイヤから切り出して作製する場合には、タイヤのクリンチ部4から、タイヤ周方向に対する接線方向が長辺、クリンチ部4のタイヤ幅方向内側の界面に対する法線方向が厚さ方向となるように切り出す。
【0054】
「70℃E*」は、温度70℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定する複素弾性率(MPa)である。70℃E*測定用サンプルは、70℃tanδの場合と同様にして作製される。
【0055】
「M100」は、各試験用タイヤのクリンチ部から、タイヤ周方向に対する接線方向が引張方向となる様に切り出した厚さ1mmの7号ダンベル形状の試験片を作製し、JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張試験特性の求め方」に準じて、23℃雰囲気下にて、引張速度3.3mm/秒の条件で引張試験を実施した際の100%伸張時応力(MPa)である。
【0056】
「30℃tanδ」は、温度30℃、初期歪5%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下で測定する損失正接である。30℃tanδ測定用サンプルは、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmの加硫ゴム組成物である。タイヤから切り出して作製する場合には、タイヤのトレッド部2(トレッド部が2以上のゴム層からなる場合は、トレッド面を構成するゴム層)から、タイヤ周方向に対する接線方向が長辺、タイヤ幅方向が厚さ方向となるように切り出す。
【0057】
小穴のトレッド面への開口面積、陸部全体の面積Sr、センター陸部の合計面積Sceは、タイヤの接地形状から計算される。接地形状は、正規リムに組み付け、正規内圧を加え、25℃で24時間静置した後、タイヤトレッド表面に墨を塗り、最大負荷能力の荷重を負荷して厚紙に押しつけ(キャンバー角は0°)、紙に転写させることで得られる。そして、タイヤを周方向に72°ずつ回転させて、5か所で転写させる。すなわち、5回、接地形状を得る。実接地面積は、墨部分の面積の5か所平均値により求められる。得られた接地形状から、ショルダー陸部を横断する横溝およびサイプ、さらに小穴を有する場合には小穴も含め、全てを埋めた状態でのショルダー陸部の面積の総和をショルダー陸部の合計面積とし、センター陸部を横断する横溝およびサイプ、さらに小穴を有する場合には小穴も含め、全てを埋めた状態でのセンター陸部の面積の総和をセンター陸部の合計面積とし、ショルダー陸部の合計面積とセンター陸部の合計面積の和を陸部全体の面積とする。
【0058】
「スチレン含量」は、1H-NMR測定により算出される値であり、例えば、SBR等のスチレンに由来する繰り返し単位を有するゴム成分に適用される。「シス含量(シス-1,4-結合ブタジエン単位量)」は、JIS K 6239-2:2017に従い、赤外吸収スペクトル分析により算出される値であり、例えば、BR等のブタジエンに由来する繰り返し単位を有するゴム成分に適用される。
【0059】
「カーボンブラックの平均一次粒子径」は、透過型または走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたカーボンブラックの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。「カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)」は、JIS K 6217-2:2017に準じて測定される。「シリカの平均一次粒子径」は、透過型または走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたシリカの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)」は、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される。
【0060】
本発明の一実施形態であるタイヤの作製手順について、以下に詳細に説明する。但し、以下の記載は本発明を説明するための例示であり、本発明の技術的範囲をこの記載範囲にのみ限定する趣旨ではない。
【0061】
<タイヤ>
本発明のタイヤは、最大負荷能力WL(kg)に対するタイヤ重量G(kg)の比(G/WL)は、本発明の効果の観点から、0.0150以下であり、0.0145以下が好ましく、0.0140以下がより好ましく、0.0135以下がさらに好ましく、0.0133以下が特に好ましい。一方、G/WLの下限値は特に限定されないが、例えば、0.0080以上、0.0090以上、0.0100以上、0.0110以上、0.0115以上、0.0120以上とすることができる。なお、タイヤ重量Gは常法により変動させることができ、すなわち、タイヤの比重を大きくする、あるいは、タイヤの各部材の厚さを大きくすることにより大きくすることができ、その逆により小さくすることもできる。
【0062】
最大負荷能力WL(kg)は、本発明の効果をより良好に発揮する観点から、300以上が好ましく、350以上がより好ましく、400以上がさらに好ましく、450以上が特に好ましい。また、最大負荷能力WL(kg)は、本発明の効果をより良好に発揮する観点から、例えば、1300以下、1200以下、1100以下、1000以下、900以下、800以下、700以下、650以下とすることができる。なお、最大負荷能力WLは、前記のタイヤが占める空間の仮想体積Vを大きくすることにより大きくすることができ、その逆により小さくすることもできる。
【0063】
本発明のタイヤは、正規状態で測定されたタイヤの断面幅をWt(mm)、外径をDt(mm)としたとき、WtおよびDtは、下記式(1)を満たすことが好ましい。
1800≦(Dt2×π/4)/Wt≦2827.4 ・・・(1)
【0064】
タイヤの断面幅Wtに対して、タイヤを横方向から見た際の面積[すなわち(Dt/2)2×π=Dt2×π/4]を大きくすることにより、サイド部の熱放出性が向上し、低燃費性能がより向上すると考えられる。
【0065】
ここで、Dtが大きくなると式(1)の値は大きくなり、逆に小さくなれば同値は小さくなる一方、Wtが大きくなると式(1)の値は小さくなり、逆に小さくなれば同値は大きくなる関係にあるから、この点に着目して、DtとWtを調節することで、DtとWtが式(1)を満たすように調節することができる。なお、式(1)の値は、1850以上が好ましく、1900以上がより好ましい。また、式(1)の値は、2800以下が好ましく、2700以下がより好ましく、2600以下がさらに好ましく、2500以下が特に好ましい。
【0066】
式(1)を満たすタイヤサイズとしては、具体的には、125/65R19、145/60R18、145/60R19、155/55R18、155/55R19、155/70R17、155/70R19、165/55R20、165/55R21、165/60R19、165/65R19、165/70R18、175/55R19、175/55R20、175/55R22、175/60R18、185/55R19、185/60R20、195/50R20、195/55R20等が挙げられる。
【0067】
タイヤの扁平率は、40%以上が好ましく、45%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましく、55%以上が特に好ましい。扁平率が前記の範囲であることにより、タイヤのサイド部の高さを大きくして、タイヤの局所的な変形を抑制することができるため、タイヤの耐久性をさらに高めることができる。なお、扁平率(%)は、正規内圧におけるタイヤの断面高さHt(mm)および断面幅Wt(mm)より、(Ht/Wt)×100により求められる。
【0068】
タイヤ外径Dtは、515mm以上が好ましく、558mm以上がより好ましく、585mm以上がさらに好ましく、630mm以上が特に好ましい。また、タイヤの外径Dtは、843mm未満が好ましく、725mm未満がより好ましく、707mm未満がさらに好ましく、685mm未満がさらに好ましく、655mm未満が特に好ましい。
【0069】
タイヤ断面幅Wtは、115mm以上が好ましく、125mm以上がより好ましく、150mm以上がさらに好ましく、170mm以上が特に好ましい。また、タイヤの断面幅Wtは、305mm未満が好ましく、245mm未満がより好ましく、210mm未満がさらに好ましく、200mm未満が特に好ましい。
【0070】
タイヤ断面高さHtは、37mm以上が好ましく、60mm以上がより好ましく、80mm以上がさらに好ましい。また、タイヤの断面高さHtは、180mm未満が好ましく、152mm未満がより好ましく、130mm未満がさらに好ましく、115mm未満が特に好ましい。
【0071】
タイヤが占める空間の仮想体積Vは、1.2×107mm3以上が好ましく、1.6×107mm3以上がより好ましく、2.0×107mm3以上がさらに好ましい。一方、前記仮想体積Vは、8.8×107mm3未満が好ましく、6.6×107mm3未満がより好ましく、4.4×107mm3未満がさらに好ましく、3.9×107mm3未満が特に好ましい。
【0072】
タイヤが占める空間の仮想体積Vおよびタイヤの断面幅Wtは、下記式(2)を満たすことが好ましい。
[(V+1.5×107)/Wt]≦2.88×105 ・・・(2)
【0073】
タイヤの断面幅Wtの減少に合わせてタイヤが占める空間の仮想体積Vを減少させ、タイヤそのものの体積を減らすことにより、遠心力による外径成長率を低減させることができるため、サイド部の変形量を小さくすることができると考えられる。
【0074】
式(2)の値は、2.85×105以下が好ましく、2.80×105以下がより好ましく、2.75×105以下がさらに好ましい。また、式(2)の値は、2.00×105以上が好ましく、2.10×105以上がより好ましく、2.20×105以上がさらに好ましい。
【0075】
図1に、トレッドを平面に押し付けたときの接地面の模式図を示すが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。
図1では、トレッド部2は、タイヤ周方向Cに連続して延びる周方向溝9と、幅方向に延びる横溝21およびサイプ22、23とを有する。
【0076】
図1においては、周方向溝9は3本設けられているが、周方向溝の数は特に限定されず、例えば2本~5本であってもよい。また、周方向溝9は、本発明では、周方向に沿って直線状に延びているが、このような態様に限定されるものではなく、例えば、周方向に沿って波状や正弦波状やジクザク状に延びていてもよい。
【0077】
トレッド部2は、タイヤ幅方向Wで、複数の周方向溝9によって仕切られた陸部10を有している。ショルダー陸部11は、周方向溝9とトレッド端Teとの間に形成された一対の陸部である。センター陸部12は、一対のショルダー陸部11の間に形成された陸部である。
図1においては、センター陸部12は2つ設けられているが、センター陸部の数は特に限定されず、例えば1つ~5つであってもよい。
【0078】
陸部10には、横溝(幅方向溝)および/またはサイプが設けられていることが好ましい。
図1においては、ショルダー陸部11には、末端が周方向溝9に開口している複数のショルダー横溝21と、片端が周方向溝1に開口している複数のショルダーサイプ22とが設けられ、センター陸部12には、片端が周方向溝9に開口している複数のセンターサイプ23が設けられている。
【0079】
陸部10は、小穴を1個以上有することが好ましい。
図1では、センター陸部12において、小穴24が、センターサイプ23のタイヤ幅方向部分およびタイヤ周方向部分と、当該センターサイプ23とタイヤ周方向に隣り合うセンターサイプ23で囲まれる陸部分に2個配設されている。小穴のトレッド面への開口面積は、0.1mm
2以上が好ましく、0.5mm
2以上がより好ましく、1.0mm
2以上がさらに好ましく、1.5mm
2以上が特に好ましい。また、小穴のトレッド面への開口面積は、15mm
2以下が好ましく、10mm
2以下がより好ましく、7.0mm
2以下がさらに好ましく、5.0mm
2以下が特に好ましい。前記の開口面積を有する小穴を設けることにより、他性能に悪影響を与えず、トレッド部の表面積を大きくすることが可能となるため、トレッド部での放熱性が良化し、タイヤおよびサイド部での温度上昇を抑制することが可能となると考えられる。
【0080】
周方向溝9の最深部の深さは、3.0mm以上が好ましく、4.0mmが以上好ましく、5.0mm以上がさらに好ましい。また、周方向溝9の最深部の深さは、10.0mm以下が好ましく、9.0mm以下が好ましく、8.0mm以下がさらに好ましい。
【0081】
小穴24の最深部の深さは、周方向溝9の最深部の深さの3%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。また、小穴24の最深部の深さは、周方向溝9の最深部の深さの80%以下が好ましく、60%以下がより好ましく、40%以下がさらに好ましい。
【0082】
トレッド部2において、陸部全体の面積をSr、センター陸部の合計面積をSceとしたとき、Sce/Srは、0.35以上が好ましく、0.40以上がより好ましく、0.42以上がさらに好ましく、0.44以上が特に好ましい。また、Sce/Srは、0.80以下が好ましく、0.70以下がより好ましく、0.60以下がさらに好ましく、0.55以下が特に好ましい。Sce/Srを上記の範囲とすることにより、トレッド部のセンター領域での剛性が最適化され、衝撃が伝わった際にトレッド部においても衝撃が吸収できるようになり、サイド部での過度な変形が抑制されると考えられる。
【0083】
クリンチ部4の最大厚みT(mm)は、本発明の効果の観点から、2.0mm以上が好ましく、2.5mm以上がより好ましく、3.0mm以上がさらに好ましく、3.5以上が特に好ましい。また、クリンチ部4の最大厚みT(mm)は、本発明の効果の観点から、10.0mm以下が好ましく、8.0mm以下がより好ましく、7.0mm以下がさらに好ましく、6.0mm以下が特に好ましい。
【0084】
クリンチ部を構成するゴム組成物の70℃におけるtanδ(70℃tanδC)は、発熱性の観点から、0.11以下であり、0.10以下が好ましく、0.09以下がより好ましく、0.08以下がさらに好ましい。また、70℃tanδCは、0.02以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、0.04以上がさらに好ましい。なお、70℃tanδCは、前記測定方法により測定される。
【0085】
70℃tanδCは、フィラー、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤等の種類や配合量により適宜調整することができる。例えば、フィラー(特にカーボンブラック)の配合量を少なくすると、70℃tanδCは低下する傾向がある。
【0086】
クリンチ部を構成するゴム組成物の70℃における複素弾性率(70℃E*C)は、クリンチ部の変形を抑制する観点から、5.0MPa以上が好ましく、7.0MPa以上がより好ましく、8.0MPa以上がさらに好ましく、9.0MPa以上がさらに好ましく、10.0MPa以上が特に好ましい。また、70℃E*Cは、20.0MPa以下が好ましく、18.0MPa以下がより好ましく、16.0MPa以下がさらに好ましく、14.0MPa以下が特に好ましい。なお、70℃E*Cは、前記測定方法により測定される。
【0087】
70℃E*Cは、フィラー、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤等の種類や配合量により適宜調整することができる。例えば、加硫剤(特に硫黄)や加硫促進剤の配合量を多くすると、70℃E*Cは上昇する傾向がある。
【0088】
クリンチ部を構成するゴム組成物の23℃における100%延伸時のモジュラス(M100C)は、本発明の効果の観点から、4.0MPa以上が好ましく、4.2MPa以上がより好ましく、4.6MPa以上がさらに好ましく、5.0MPa以上が特に好ましい。なお、M100Cの上限値は特に制限されないが、通常10MPa未満である、なお、M100Cは、前記測定方法により測定される。
【0089】
M100Cは、例えば、フィラー、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤等の種類や配合量により適宜調整することができる。
【0090】
70℃E*CとG/WLとの積(70℃E*C×G/WL)は、本発明の効果の観点から、0.075以上であり、0.090以上が好ましく、0.100以上がより好ましく、0.110以上がさらに好ましく、0.120以上が特に好ましい。また、70℃E*C×G/WLは、0.350以下が好ましく、0.300以下がより好ましく、0.250以下がさらに好ましく、0.200以下が特に好ましい。
【0091】
70℃E*に対する70℃tanδCの比(70℃tanδC/70℃E*C)は、0.004以上が好ましく、0.005以上がより好ましく、0.006以上がさらに好ましい。また、70℃tanδC/70℃E*Cは、0.020以下が好ましく、0.018以下がより好ましく、0.016以下がさらに好ましく、0.014以下がさらに好ましく、0.012以下がさらに好ましく、0.010以下がさらに好ましく、0.008以下が特に好ましい。70℃tanδC/70℃E*C*を前記の範囲とすることにより、タイヤが転動する際の発熱を抑制することができ、その結果、本発明の効果を得やすくすることができると考えられる。
【0092】
クリンチ部の最大厚みT(mm)と70℃tanδCの積(T×70℃tanδC)は、0.50未満が好ましく、0.45未満がより好ましく、0.40未満がさらに好ましい。T×70℃tanδを前記の範囲とすることにより、クリンチ部での発熱の抑制と放熱性の向上効果を得ることができ、高速走行後における美観性能を向上させやすくすることができると考えられる。。また、T×70℃tanδCは、0.10超が好ましく、0.15超がより好ましく、0.20超がさらに好ましい。
【0093】
クリンチ部の最大厚みT(mm)とM100C(MPa)との積(T×M100C)は、15.0超が好ましく、16.0超がより好ましく、17.0超がさらに好ましく、18.0超がさらに好ましく、19.0超がさらに好ましく、20.0超が特に好ましい。T×M100Cを前記の範囲とすることにより、走行時のクリンチ部の変形を抑え、耐久性能を向上できると考えられる。また、T×M100Cは、60.0未満が好ましく、50.0未満がより好ましく、40.0未満がさらに好ましい。
【0094】
トレッド部を構成するゴム組成物の30℃におけるtanδ(30℃tanδT)は、0.22以下が好ましく、0.20以下がより好ましく、0.18以下がさらに好ましい。トレッド部の発熱を抑えることで、高速走行時でのタイヤの温度上昇を抑制できる。その結果、クリンチ部の変形を抑制し、高速走行時の耐久性能を向上させやすくすることができると考えられる。また、30℃tanδTは、ウェットグリップ性能の観点から、0.08以上が好ましく、0.10以上がより好ましく、0.12以上がさらに好ましい。なお、30℃tanδTは、前記測定方法により測定される。
【0095】
タイヤ重量G(kg)に対する30℃tanδTの比(30℃tanδT/G)は、高速走行後の美観性能の観点から、0.010超が好ましく、0.014超がより好ましく、0.018超がさらに好ましく、0.022超が特に好ましい。また、30℃tanδT/Gは、0.050未満が好ましく、0.045未満がより好ましく、0.040未満がさらに好ましい。
【0096】
[ゴム組成物]
本発明のタイヤは、タイヤの最大負荷能力に対するタイヤ重量と、クリンチ部を構成するゴム組成物の粘弾性物性とが協働することにより、高速走行後の美観性能をより効果的に改善することができる。
【0097】
<ゴム成分>
本発明のクリンチ部を構成するゴム組成物(以下、特に断りのない限り、本発明のゴム組成物という)は、ゴム成分としてジエン系ゴムが好適に用いられる。ジエン系ゴムとしては、例えば、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。これらのゴム成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらのゴム成分は予め、オイル、樹脂、液状ゴム成分などにより伸展された伸展ゴムを用いてもよい。
【0098】
ゴム成分中のジエン系ゴムの含有量は、70質量%超が好ましく、80質量%超がより好ましく、90質量%超がさらに好ましく、95質量%超が特に好ましい。また、ジエン系ゴムのみからなるゴム成分としてもよい。
【0099】
本発明のゴム組成物は、ゴム成分としてイソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびブタジエンゴム(BR)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、イソプレン系ゴムを含むことがより好ましく、イソプレン系ゴムおよびBRを含むことがさらに好ましく、イソプレン系ゴムおよびBRのみからなるゴム成分としてもよい。
【0100】
(イソプレン系ゴム)
イソプレン系ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)および天然ゴム等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。天然ゴムには、非改質天然ゴム(NR)の他に、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム(HNR)、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴム等も含まれる。これらのイソプレン系ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0101】
NRとしては、特に限定されず、タイヤ業界において一般的なものを用いることができ、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20等が挙げられる。
【0102】
ゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量は、1質量%以上が好ましく、5質量%超がより好ましく、10質量%超がさらに好ましく、20質量%超がさらに好ましく、30質量%超が特に好ましい。一方、ゴム成分中のイソプレン系ゴムの含有量は、80質量%未満が好ましく、70質量%未満がより好ましく、65質量%未満がさらに好ましく、60質量%未満がさらに好ましく、55質量%未満がさらに好ましく、50質量%以下が特に好ましい。
【0103】
(BR)
BRとしては特に限定されるものではなく、例えば、シス含量が50モル%未満のBR(ローシスBR)、シス含量が90モル%以上のBR(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、変性BR(ハイシス変性BR、ローシス変性BR)等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。これらのBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0104】
ハイシスBRとしては、例えば、日本ゼオン(株)、宇部興産(株)、JSR(株)等より市販されているものを使用することができる。ハイシスBRを含有することで低温特性および耐摩耗性能を向上させることができる。ハイシスBRのシス含量は、95モル%以上が好ましく、96モル%以上がより好ましく、97モル%以上がさらに好ましい。なお、BRのシス含量は、前記測定方法により測定される。
【0105】
BRを含有する場合のゴム成分中の含有量は、本発明の効果の観点から、1質量%以上が好ましく、5質量%超がより好ましく、10質量%超がさらに好ましく、20質量%超がさらに好ましく、30質量%超がさらに好ましく、40質量%超が特に好ましい。一方、BRを含有する場合のゴム成分中の含有量は、85質量%未満が好ましく、80質量%未満がより好ましく、75質量%未満がさらに好ましく、70質量%未満がさらに好ましく、65質量%以下が特に好ましい。
【0106】
ゴム成分中のイソプレン系ゴムおよびBRの合計含有量は、60質量%超好ましく、70質量%超がより好ましく、80質量%超がさらに好ましく、85質量%以上がさらに好ましく、90質量%超がさらに好ましく、95質量%超がさらに好ましく。イソプレン系ゴムおよびBRのみからなるゴム成分としてもよい。
【0107】
(SBR)
SBRとしては特に限定はなく、未変性の溶液重合SBR(S-SBR)や乳化重合SBR(E-SBR)、これらの変性SBR(変性S-SBR、変性E-SBR)等が挙げられる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性されたSBR、スズ、ケイ素化合物等でカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するもの等)等が挙げられる。なかでもS-SBRおよび変性SBRが好ましい。さらに、これらSBRの水素添加物(水素添加されたSBR)等も使用することができる。これらのSBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0108】
SBRとしては油展SBRを用いてもよく、非油展SBRを用いてもよい。油展SBRを用いる場合、SBRの油展量、すなわち、SBRに含まれる油展オイルの含有量は、SBRのゴム固形分100質量部に対して、10~50質量部であることが好ましい。
【0109】
SBRのスチレン含量は、40質量%未満が好ましく、36質量%未満がより好ましく、32質量%未満がさらに好ましく、28質量%未満が特に好ましい。また、SBRのスチレン含量は、5質量%超が好ましく、7質量%超がより好ましく、10質量%超がさらに好ましく、13質量%超がさらに好ましく、16質量%超が特に好ましい。なお、SBRのスチレン含量は、前記測定方法により測定される。
【0110】
SBRを含有する場合のゴム成分中の含有量は、本発明の効果の観点から、20質量%未満が好ましく、15質量%未満がより好ましく、10質量%未満がさらに好ましい。一方、ゴム成分中のSBRの含有量の下限値は特に制限されず、0質量部であっても良く、0質量%超、1質量%超、3質量%超、5質量%超とすることができる。
【0111】
(その他のゴム成分)
ゴム成分は、本発明の効果に影響を与えない範囲で、ジエン系ゴム以外の他のゴム成分を含有してもよい。ジエン系ゴム以外の他のゴム成分としては、タイヤ工業で一般的に用いられる架橋可能なゴム成分を用いることができ、例えば、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、塩化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム(ACM)、ヒドリンゴム等の非ジエン系ゴムが挙げられる。これらその他のゴム成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、上記のゴム成分の他に、公知の熱可塑性エラストマーを含有してもよく、含有しなくてもよい。
【0112】
<フィラー>
本発明に係るゴム組成物は、フィラーとしてカーボンブラックを含有することが好ましく、さらにシリカを含有してもよい。また、フィラーは、カーボンブラックのみからなるフィラーとしてもよい。
【0113】
(カーボンブラック)
カーボンブラックとしては特に限定されず、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なお、一般的な鉱油を燃焼させて生成されるカーボンブラック以外に、リグニン等のバイオマス材料を用いたカーボンブラックを用いてもよい。これらのカーボンブラックは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0114】
カーボンブラックの平均一次粒子径は、耐久性能の観点から、20nm超が好ましく、25nm超がより好ましく、30nm超がさらに好ましく、35nm超がさらに好ましく、40nm以上が特に好ましい。一方、該平均一次粒子径は、補強性を得る観点から、90nm未満が好ましく、75nm未満がより好ましく、60nm未満がさらに好ましく、55nm以下が特に好ましい。なお、カーボンブラックの平均一次粒子径は、前記測定方法により測定される。
【0115】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、本発明の効果の観点から、90m2/g未満が好ましく、80m2/g未満がより好ましく、70m2/g未満がさらに好ましく、60m2/g未満が特に好ましい。一方、該N2SAは、10m2/g超が好ましく、20m2/g超がより好ましく、30m2/g超がさらに好ましい。なお、カーボンブラックのN2SAは、前記測定方法により測定される。
【0116】
カーボンブラックを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、本発明の効果の観点から、25質量部以上が好ましく、30質量部以上が好ましく、35質量部以上がより好ましく、40質量部以上がさらに好ましく、45質量部以上が特に好ましい。また、柔軟性を得て応力を緩和させる観点からは、90質量部未満が好ましく、80質量部未満がより好ましく、75質量部未満がさらに好ましく、70質量部未満がさらに好ましく、65質量部以下がさらに好ましく、65質量部未満がさらに好ましく、62質量部以下が特に好ましい。
【0117】
(シリカ)
シリカとしては、特に限定されず、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水シリカ)、湿式法により調製されたシリカ(含水シリカ)等、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なかでもシラノール基が多いという理由から、湿式法により調製された含水シリカが好ましい。なお、上記のシリカの他に、もみ殻などのバイオマス材料を原料としたシリカを適宜用いてもよい。これらのシリカは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0118】
シリカの平均一次粒子径は、本発明の効果の観点から、16nm以上が好ましく、17nm以上がより好ましく、18nm以上がさらに好ましい。一方、該平均一次粒子径は、30nm以下が好ましく、25nm以下がより好ましい。なお、シリカの平均一次粒子径は、前記測定方法により測定される。
【0119】
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、本発明の効果の観点から、220m2/g未満が好ましく、200m2/g未満がより好ましく、180m2/g未満がさらに好ましい。一方、該N2SAは、100m2/g超が好ましく、120m2/g超がより好ましく、140m2/g超がさらに好ましい。なお、シリカのN2SAは、前記測定方法により測定される。
【0120】
シリカを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、補強性を得る観点から、2質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、8質量部以上がさらに好ましい。また、柔軟性を得て応力を緩和させる観点から、35質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、25質量部以下がさらに好ましく、20質量部以下が特に好ましい。
【0121】
(その他のフィラー)
シリカおよびカーボンブラック以外のフィラーとしては、特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、タルク、クレー、バイオ炭(BIOCHAR)等、従来からタイヤ工業において一般的に用いられているものを配合することができる。これらその他のフィラーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0122】
ゴム成分100質量部に対するフィラーの合計含有量(好ましくはカーボンブラックとシリカの合計含有量)は、25質量部以上が好ましく、30質量部以上が好ましく、35質量部以上がより好ましく、40質量部以上がさらに好ましく、45質量部以上が特に好ましい。また、本発明の効果の観点から、、90質量部未満が好ましく、80質量部未満がより好ましく、75質量部未満がさらに好ましく、70質量部未満がさらに好ましく、65質量部以下がさらに好ましく、65質量部未満がさらに好ましく、62質量部以下が特に好ましい。
【0123】
(シランカップリング剤)
シリカは、シランカップリング剤と併用することが好ましい。シランカップリング剤としては特に限定されず、タイヤ工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができるが、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、モメンティブ社製のNXT-Z100、NXT-Z45、NXT等のメルカプト系シランカップリング剤;ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系シランカップリング剤;3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-ヘキサノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリメトキシシラン等のチオエステル系シランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤;γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系シランカップリング剤;3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系シランカップリング剤;3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系シランカップリング剤;等が挙げられる。なかでも、スルフィド系シランカップリング剤および/またはメルカプト系シランカップリング剤が好ましく、スルフィド系シランカップリング剤がより好ましい。これらのシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0124】
シランカップリング剤のシリカ100質量部に対する含有量は、シリカの分散性を高める観点から、1質量部超が好ましく、3質量部超がより好ましく、5質量部超がさらに好ましく、8質量部超が特に好ましい。また、コストおよび加工性の観点からは、20質量部未満が好ましく、18質量部未満がより好ましく、16質量部未満がさらに好ましい。
【0125】
<その他の配合剤>
本発明に係るゴム組成物には、前記成分以外にも、従来タイヤ工業で一般に使用される配合剤、例えば、可塑剤、ワックス、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤等を適宜含有することができる。
【0126】
可塑剤としては、例えば、樹脂成分、オイル、液状ゴム等が挙げられる。
【0127】
樹脂成分としては、特に限定されないが、タイヤ工業で慣用される石油樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0128】
樹脂成分を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部超が好ましく、3質量部超がより好ましく、5質量部超がさらに好ましい。また、発熱性抑制の観点からは、50質量部未満が好ましく、40質量部未満がより好ましく、30質量部未満がさらに好ましい。
【0129】
オイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル(ミネラルオイル)、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、植物油脂、動物油脂等が挙げられる。プロセスオイルの具体例としては、例えば、MES(Mild Extract Solvated)、DAE(Distillate Aromatic Extract)、TDAE(Treated Distillate Aromatic Extract)、TRAE(Treated Residual Aromatic Extract)、RAE(Residual Aromatic Extract)等が挙げられる。また、環境対策で多環式芳香族(polycyclic aromatic compound:PCA)化合物の含量の低いプロセスオイルを使用することもできる。前記低PCA含量プロセスオイルとしては、MES、TDAE、重ナフテン系オイル等が挙げられる。また、ライフサイクルアセスメントの観点から、ゴム混合機やエンジンに用いられた後の廃油や、調理店で使用された廃食用油を精製したものを用いてもよい。
【0130】
オイルを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、1質量部超が好ましく、3質量部超がより好ましく、5質量部超がさらに好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、90質量部未満が好ましく、70質量部未満がより好ましく、50質量部未満がさらに好ましく、30質量部未満が特に好ましい。
【0131】
液状ゴムは、常温(25℃)で液体状態のポリマーであれば特に限定されないが、例えば、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、ミルセンやファルネセンを含む重合体等が挙げられる。これらの液状ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0132】
液状ゴムを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部超が好ましく、3質量部超がより好ましく、5質量部超がさらに好ましい。また、液状ポリマーの含有量は、50質量部未満が好ましく、40質量部未満がより好ましく、30質量部未満がさらに好ましい。
【0133】
ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量(複数の可塑剤を併用する場合は全ての合計量)は、1質量部超が好ましく、3質量部超がより好ましく、5質量部超がさらに好ましい。また、該含有量は、90質量部未満が好ましく、70質量部未満がより好ましく、50質量部未満がさらに好ましく、30質量部未満が特に好ましい。
【0134】
ワックスとしては特に限定されず、例えば、石油系ワックス、鉱物系ワックス、合成ワックス等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。石油系ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。これらのワックスは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0135】
ワックスを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐候性の観点から、0.5質量部超が好ましく、0.8質量部超がより好ましい。また、ブルームによるタイヤの白色化防止の観点からは、10質量部未満が好ましく、5.0質量部未満がより好ましい。
【0136】
老化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、アミン系、キノリン系、キノン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩等の老化防止剤が挙げられ、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系老化防止剤、および2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等のキノリン系老化防止剤が好ましい。これらの老化防止剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0137】
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐オゾンクラック性の観点から、0.5質量部超が好ましく、1.0質量部超がより好ましく、2.0質量部超がさらに好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、10質量部未満が好ましく、5.0質量部未満がより好ましい。
【0138】
ステアリン酸を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部超が好ましく、1.0質量部超がより好ましく、1.5質量部超がさらに好ましい。また、加硫速度の観点からは、10質量部未満が好ましく、5.0質量部未満がより好ましい。
【0139】
酸化亜鉛を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部超が好ましく、1.0質量部超がより好ましく、1.5質量部超がさらに好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、10質量部未満が好ましく、5.0質量部未満がより好ましい。
【0140】
加硫剤としては硫黄が好適に用いられる。硫黄としては、粉末硫黄、油処理硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を用いることができる。
【0141】
加硫剤として硫黄を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、十分な加硫反応を確保する観点から、0.1質量部超が好ましく、0.5質量部超がより好ましく、1.0質量部超がさらに好ましい。また、劣化防止の観点からは、5.0質量部未満が好ましく、4.0質量部未満がより好ましく、3.5質量部未満がさらに好ましい。なお、加硫剤として、オイル含有硫黄を使用する場合の加硫剤の含有量は、オイル含有硫黄に含まれる純硫黄分の合計含有量とする。
【0142】
硫黄以外の加硫剤としては、例えば、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、1,6-ヘキサメチレン-ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン等が挙げられる。これらの硫黄以外の加硫剤は、田岡化学工業(株)、ランクセス(株)、フレクシス社等より市販されているものを使用することができる。
【0143】
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤、カプロラクタムジスルフィド等が挙げられる。これら加硫促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、所望の効果がより好適に得られる点から、スルフェンアミド系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、およびグアニジン系加硫促進剤からなる群から選ばれる1以上の加硫促進剤が好ましく、スルフェンアミド系加硫促進剤がより好ましい。
【0144】
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)等が挙げられる。なかでも、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)およびN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)が好ましい。
【0145】
グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、1-o-トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ-o-トリルグアニジン塩、1,3-ジ-o-クメニルグアニジン、1,3-ジ-o-ビフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-クメニル-2-プロピオニルグアニジン等が挙げられる。なかでも、1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)が好ましい。
【0146】
チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等が挙げられる。なかでも、2-メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
【0147】
加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1.0質量部超が好ましく、1.5質量部超がより好ましく、2.0質量部超がさらに好ましい。また、加硫促進剤のゴム成分100質量部に対する含有量は、8.0質量部未満が好ましく、6.0質量部未満がより好ましく、4.0質量部未満がさらに好ましい。加硫促進剤の含有量を上記範囲内とすることにより、破壊強度および伸びが確保できる傾向がある。
【0148】
<製造>
本発明に係るゴム組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、前記の各成分をオープンロール、密閉式混練機(バンバリーミキサー、ニーダー等)等のゴム混練装置を用いて混練りすることにより製造できる。
【0149】
混練り工程は、例えば、加硫剤および加硫促進剤以外の配合剤および添加剤を混練りするベース練り工程と、ベース練り工程で得られた混練物に加硫剤および加硫促進剤を添加して混練りするファイナル練り(F練り)工程とを含んでなるものである。さらに、前記ベース練り工程は、所望により、複数の工程に分けることもできる。
【0150】
混練条件としては特に限定されるものではないが、例えば、ベース練り工程では、排出温度150~170℃で3~10分間混練りし、ファイナル練り工程では、70~110℃で1~5分間混練りする方法が挙げられる。加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150~200℃で10~30分間加硫する方法が挙げられる。
【0151】
前記ゴム組成物から構成されるクリンチ部を備えた本発明のタイヤは、通常の方法により製造することができる。すなわち、ゴム成分に対して上記各成分を必要に応じて配合した未加硫のゴム組成物を、クリンチ部の形状にあわせて押出し加工し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、通常の方法にて成型することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、タイヤを製造することができる。加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150~200℃で10~30分間加硫する方法が挙げられる。
【0152】
<用途>
本発明のタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤに好適に用いることができ、中でも乗用車用タイヤに用いることが好ましい。なお、乗用車用タイヤとは、四輪で走行する自動車に装着されることを前提としたタイヤであり、その最大負荷能力が1000kg以下のものを指す。また、本発明のタイヤは、全シーズン用タイヤ、夏用タイヤ、スタッドレスタイヤ等の冬用タイヤに使用可能である。
【実施例0153】
以下では、実施をする際に好ましいと考えられる例(実施例)を示すが、本発明の範囲は実施例に限られない。
【0154】
以下に示す各種薬品を用いて、表1に従って得られるゴム組成物からなるクリンチ部、表1に記載の30℃tanδを有するトレッド部を備えるタイヤを想定し、下記評価方法に基づいて算出した結果を表1~表4に示す。
【0155】
以下、実施例および比較例において用いる各種薬品をまとめて示す。
NR:TSR20
BR:宇部興産(株)製のUBEPOL BR(登録商標)150B(シス含量:97モル%)
SBR:JSR(株)製のSBR1502(E-SBR、スチレン含量:23.5質量%)
カーボンブラック:東海カーボン(株)製のシーストSO(FEF、N550、N2SA:42m2/g、平均一次粒子径:43nm)
シリカ:エボニックデグサ社製のULTRASIL VN3(N2SA:175m2/g、平均一次粒子径:18nm)
シランカップリング剤:エボニックデグサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
オイル:H&R(株)製のVivaTec500(TDAEオイル)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
老化防止剤1:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
老化防止剤2:大内新興化学工業(株)製のノクラックRD(ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン))
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:細井化学工業(株)製のHK-200-5(5%オイル含有粉末硫黄)
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS))
【0156】
(実施例および比較例)
表1~表4に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を排出温度170℃になるまで5分間混練りし、混練物を得る。次に、2軸オープンロールを用いて、得られた混練物に硫黄および加硫促進剤を添加し、4分間、105℃になるまで練り込み、未加硫ゴム組成物を得る。得られた未加硫ゴム組成物を、所定の形状の口金を備えた押し出し機でクリンチ部の形状に押し出し成形し、トレッドおよびその他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、各試験用タイヤを製造する。
【0157】
<70℃tanδおよび70℃E*の測定>
加硫後の各ゴム試験片を、各試験用タイヤのクリンチ部から、タイヤ周方向に対する接線方向が長辺、クリンチ部のタイヤ幅方向内側の界面に対する法線方向が厚さ方向となるように、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmで切り出して作製する。各ゴム試験片について、GABO社製のイプレクサーシリーズを用いて、温度70℃、初期歪10%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下でtanδおよび複素弾性率(E*)を測定する。
【0158】
<30℃tanδの測定>
加硫後の各ゴム試験片を、各試験用タイヤのトレッド部から、タイヤ周方向に対する接線方向が長辺、タイヤ幅方向が厚さ方向となるように、長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmで切り出して作製する。各ゴム試験片について、GABO社製のイプレクサーシリーズを用いて、温度30℃、初期歪5%、動歪1%、周波数10Hz、伸長モードの条件下でtanδを測定する。
【0159】
<M100の測定>
各試験用タイヤのクリンチ部から、タイヤ周方向に対する接線方向が引張方向となる様に切り出した厚さ1mmの7号ダンベル形状の試験片を作製し、JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張試験特性の求め方」に準じて、23℃雰囲気下にて、引張速度3.3mm/秒の条件で引張試験を実施し、100%伸張時応力(M100)(MPa)を求める。
【0160】
<高速走行後の美観性能>
国産乗用車の全輪に正規リムに組付け、正規内圧を充填した試作タイヤを装着し、時速100kmで10000km走行させた後、色味およびクラックの発生量の観点から、タイヤのクリンチ部の美観を評価する。評価は1点~5点の整数値で行い、評点が高いほど高速走行後の美観性能に優れる評価基準のもと、評価者20名の合計点を算出する。対照タイヤ(表1、表2では比較例4;表3、表4では比較例9)の合計点を基準値(100)に換算し、各試験用タイヤの評価結果を合計点に比例するように指数化して表示する。
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】
<実施形態>
本発明の実施形態の例を以下に示す。
【0166】
〔1〕トレッド部およびクリンチ部を備えたタイヤであって、前記タイヤの最大負荷能力WL(kg)に対するタイヤ重量G(kg)の比(G/WL)が0.0150以下であり、前記クリンチ部が、ゴム成分およびフィラーを含有するゴム組成物により構成され、前記クリンチ部を構成するゴム組成物の70℃におけるtanδ(70℃tanδC)が0.11以下であり、前記クリンチ部を構成するゴム組成物の70℃における複素弾性率(MPa)(70℃E*C)とG/WLとの積(70℃E*C×G/WL)が0.075以上であるタイヤ。
〔2〕G/WLが0.0140以下である、上記〔1〕記載のタイヤ。
〔3〕G/WLが0.0135以下である、上記〔1〕記載のタイヤ。
〔4〕70℃E*Cが10.0MPa以上である、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔5〕前記クリンチ部を構成するゴム組成物の23℃における100%延伸時のモジュラス(M100C)が5.0MPa以上である、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔6〕70℃tanδCが0.065以下である、上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔7〕前記タイヤの断面幅をWt(mm)、外径をDt(mm)としたとき、WtおよびDtが、下記式(1)を満たす、上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のタイヤ。
1800≦(Dt2×π/4)/Wt≦2827.4 ・・・(1)
〔8〕前記タイヤが占める空間の仮想体積をV(mm3)としたとき、VおよびWtが、下記式(2)を満たす、上記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のタイヤ。
[(V+1.5×107)/Wt]≦2.88×105 ・・・(2)
〔9〕前記クリンチ部を構成するゴム成分中のイソプレン系ゴムおよびブタジエンゴムの合計含有量が80質量%超である、上記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔10〕前記クリンチ部を構成するゴム組成物中のゴム成分100質量部に対するフィラーの総含有量が65質量部未満である。含有する、上記〔1〕~〔9〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔11〕前記クリンチ部を構成するゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対して、平均一次粒子径が40nm以上のカーボンブラックを35質量部以上含有する、上記〔1〕~〔10〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔12〕70℃E*C(MPa)に対する70℃tanδCの比(70℃tanδC/70℃E*C)が0.004以上0.008以下である、上記〔1〕~〔11〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔13〕前記クリンチ部の最大厚みをT(mm)としたとき、Tと70℃tanδCとの積(T×70℃tanδC)が0.50未満である、上記〔1〕~〔12〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔14〕前記クリンチ部の最大厚みをT(mm)としたとき、TとM100C(MPa)との積(T×M100C)が15.0超である、上記〔1〕~〔13〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔15〕前記トレッド部を構成するゴム組成物の30℃におけるtanδ(30℃tanδT)が0.18以下である、上記〔1〕~〔14〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔16〕タイヤ重量G(kg)に対する30℃tanδTの比(30℃tanδT/G)が0.010超である、上記〔1〕~〔15〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔17〕前記トレッド部が、タイヤ幅方向最外端に位置する一対の最外周方向溝によって仕切られた一対のショルダー陸部および前記一対のショルダー陸部の間に位置する1以上のセンター陸部を有し、
前記陸部全体の面積をSr、前記センター陸部の合計面積をSceとしたとき、Sce/Srが0.35以上0.80以下である、上記〔1〕~〔16〕のいずれかに記載のタイヤ。
〔18〕前記トレッド部が、タイヤ幅方向最外端に位置する一対の最外周方向溝によって仕切られた一対のショルダー陸部および前記一対のショルダー陸部の間に位置する1以上のセンター陸部を有し、少なくとも1つの前記陸部において、トレッド面への開口面積が0.1mm2以上15mm2以下の小穴を1個以上有する、上記〔1〕~〔17〕のいずれかに記載のタイヤ。