(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167582
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】電力保護制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20231116BHJP
H02H 3/05 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H02J13/00 311N
H02J13/00 M
H02H3/05 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078870
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣川 歩己
(72)【発明者】
【氏名】三浦 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】岡田 和也
【テーマコード(参考)】
5G064
5G142
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC05
5G064CA07
5G064CB10
5G064DA03
5G142EE03
(57)【要約】
【課題】プロセスバスが適用され、電力設備の制御をより好適に行うことができる電力保護制御システムを提供することである。
【解決手段】実施形態の電力保護制御システムは、プロセスバスにより接続されているインテリジェント電子デバイス盤とプロセスインターフェースユニット盤とを持つ。インテリジェント電子デバイス盤は、操作部とインテリジェント電子デバイスユニットとを持つ。操作部は、プロセスインターフェースユニット盤の制御回路を操作する。インテリジェント電子デバイスユニットは、操作部に対する操作状態を表す情報データを伝送する第1の制御部を有する。プロセスインターフェースユニット盤は、制御回路とプロセスインターフェースユニットとを持つ。制御回路は、電力施設の電力設備を制御する。プロセスインターフェースユニットは、伝送された情報データが表す操作状態を復元して制御回路の動作を制御する第2の制御部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インテリジェント電子デバイス盤とプロセスインターフェースユニット盤とがプロセスバスにより接続された電力保護制御システムであって、
前記インテリジェント電子デバイス盤は、
前記プロセスインターフェースユニット盤が備える制御回路を操作するための操作部と、
前記操作部に対する操作状態を取得し、取得した前記操作状態を表す情報データを前記プロセスバスを介して前記プロセスインターフェースユニット盤に伝送する第1の制御部を有するインテリジェント電子デバイスユニットと、
を備え、
前記プロセスインターフェースユニット盤は、
電力施設に設置された電力設備を制御する前記制御回路と、
前記プロセスバスを介して伝送された前記情報データが表す操作状態を復元し、前記復元した操作状態に応じて前記制御回路の動作を制御する第2の制御部を有するプロセスインターフェースユニットと、
を備える、
電力保護制御システム。
【請求項2】
前記インテリジェント電子デバイス盤は、前記電力施設における任意の場所に配置され、
前記プロセスインターフェースユニット盤は、前記電力設備の近傍に配置され、
前記制御回路と前記電力設備が備える機器とは、アナログ信号線によって接続される、
請求項1に記載の電力保護制御システム。
【請求項3】
前記制御回路は、運用スイッチと、リレースイッチと、トリップロック端子とを含む、
請求項2に記載の電力保護制御システム。
【請求項4】
前記第2の制御部は、前記復元した操作状態に応じて制御した前記制御回路の動作状態を取得し、取得した前記動作状態を表す結果データを前記プロセスバスを介して前記インテリジェント電子デバイス盤に伝送し、
前記インテリジェント電子デバイス盤は、前記プロセスバスを介して伝送された前記結果データが表す動作状態を提示するための表示部、をさらに備え、
前記第1の制御部は、前記結果データが表す動作状態を前記表示部に表示させる、
請求項3に記載の電力保護制御システム。
【請求項5】
前記プロセスインターフェースユニット盤は、前記トリップロック端子の両端の電圧を計測する二つの電圧計測部、をさらに備え、
前記第2の制御部は、それぞれの前記電圧計測部が計測した電圧値を取得し、取得した前記電圧値を含む前記結果データを、前記プロセスバスを介して前記インテリジェント電子デバイス盤に伝送し、
前記第1の制御部は、前記プロセスバスを介して伝送された前記結果データが表す前記電圧値を前記表示部に表示させる、
請求項4に記載の電力保護制御システム。
【請求項6】
前記インテリジェント電子デバイス盤は、複数の前記インテリジェント電子デバイスユニットを備え、
前記第2の制御部は、それぞれの前記インテリジェント電子デバイスユニットから前記プロセスバスを介して伝送されたそれぞれの前記情報データが表すそれぞれの操作状態を復元し、前記復元したそれぞれの操作状態の論理和した操作状態に応じて前記制御回路の動作を制御する、
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の電力保護制御システム。
【請求項7】
前記第2の制御部は、いずれかの前記インテリジェント電子デバイスユニットからの前記プロセスバスを介した前記情報データの伝送が途絶えた場合、前記情報データの伝送が途絶えた前記インテリジェント電子デバイスユニットから伝送された前記情報データが表す操作状態に応じた前記制御回路の動作の制御を受け付けないようにする、
請求項6に記載の電力保護制御システム。
【請求項8】
前記第2の制御部は、いずれかの前記インテリジェント電子デバイスユニットから前記プロセスバスを介して伝送された前記情報データが動作不良であることを表す場合、前記動作不良である前記インテリジェント電子デバイスユニットから伝送された前記情報データが表す操作状態に応じた前記制御回路の動作の制御を受け付けないようにする、
請求項6に記載の電力保護制御システム。
【請求項9】
前記インテリジェント電子デバイス盤は、複数の前記インテリジェント電子デバイスユニットを備え、
前記プロセスインターフェースユニット盤は、それぞれの前記インテリジェント電子デバイスユニットに対応する複数の前記制御回路を備え、
前記第2の制御部は、それぞれの前記インテリジェント電子デバイスユニットから前記プロセスバスを介して伝送されたそれぞれの前記情報データが表すそれぞれの操作状態を復元し、前記復元したそれぞれの操作状態に応じて、対応する前記制御回路の動作を制御する、
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の電力保護制御システム。
【請求項10】
前記第2の制御部は、いずれかの前記インテリジェント電子デバイスユニットからの前記プロセスバスを介した前記情報データの伝送が途絶えた場合、前記情報データの伝送が途絶えた前記インテリジェント電子デバイスユニットに対応する前記制御回路の動作の制御を受け付けないようにする、
請求項9に記載の電力保護制御システム。
【請求項11】
前記第2の制御部は、いずれかの前記インテリジェント電子デバイスユニットから前記プロセスバスを介して伝送された前記情報データが動作不良であることを表す場合、前記動作不良である前記インテリジェント電子デバイスユニットに対応する前記制御回路の動作の制御を受け付けないようにする、
請求項9に記載の電力保護制御システム。
【請求項12】
前記インテリジェント電子デバイス盤は、前記制御回路のテストを行うためのテストボタンを備え、
前記第2の制御部は、前記プロセスバスを介して前記テストボタンが押下されたことを表す前記情報データが伝送された場合、前記制御回路の動作をロックするとともに、前記プロセスバスを介して前記インテリジェント電子デバイス盤にテストデータを伝送し、
前記第1の制御部は、前記テストデータに基づく動作情報データを前記プロセスバスを介して前記プロセスインターフェースユニット盤に伝送し、
前記第2の制御部は、前記動作情報データに応じて前記制御回路の動作を制御するとともに、前記制御回路の動作状態を表す結果データを前記プロセスバスを介して前記インテリジェント電子デバイス盤に伝送し、
前記第1の制御部は、前記結果データが表す前記動作状態を検証する、
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の電力保護制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力保護制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、変電所や発電所などの電力施設において、電力系統の保護や制御を行う電力保護制御装置が使用されている。電力保護制御装置は、例えば、電力施設の運用を開始する前などにおいて、電力設備の動作を確認するための試験を単体で行うことができる。電力施設では、例えば、電力保護制御装置を配置したリレー盤室とそれぞれの電力設備との間に制御ケーブルを敷設し、電力設備の動作を制御するためのアナログの制御信号を、敷設した制御ケーブルによって伝送している。このため、電力施設の構内には、多くの制御ケーブルが張り巡らされており、例えば、新たな電力設備を導入する際には、制御ケーブルの施設工事に多くの労力が必要である。
【0003】
近年、ネットワークに接続されたモノが収集したデータを連係させる仕組みとして、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の技術が進展している。このため、電力施設においても、構内の情報を使用して新たな機能の創出が求められており、電力施設の全体のディジタル化に向けた検討が始まっている。そして、電力施設において使用される電力保護制御装置に対して、国際標準規格であるIEC61850(プロセスバス)を適用したプロセスバスシステムの採用が検討されている。
【0004】
プロセスバスが適用された電力保護制御装置では、従来の電力保護制御装置においては一体であった演算部と入出力部とが、リレー盤室内に配置されるインテリジェント電子デバイス(Intelligent Electrical Device:IED)盤と、電力設備の近傍に配置されるプロセスインターフェースユニット(Process Interface Unit:PIU)盤とに分離し、それぞれの盤の間をディジタル信号のプロセスバスネットワークによって接続するシステム構成となることが想定される。さらに、プロセスバスが適用された電力保護制御装置のシステムでは、一つのプロセスインターフェースユニット盤が複数のインテリジェント電子デバイス盤と接続する構成となることが想定される。このため、プロセスバスが適用された電力保護制御装置のシステムが適用された電力施設では、リレー盤室においてインテリジェント電子デバイス盤によって行った制御が、離れた場所の電力設備に配置されたプロセスインターフェースユニット盤に伝送されて、制御に応じた動作が正しく行われているのかの確認を、容易に行うことができなくなることが懸念される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】保護リレーの新しい機能・性能調査専門委員会、“保護リレーの新しい機能・性能”、電気協同研究 第65巻 第2号、社団法人 電気協同研究会、p.53~55、2009年10月26日発行
【非特許文献2】保護リレーにおける通信利用技術の現状と高度化調査専門委員会、“保護リレーにおける通信利用技術の現状と高度化”、電気学会技術報告 第1276号、p.112~113、電気学会、2013年2月5日発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、プロセスバスが適用された電力保護制御システムにおいて、電力設備の制御をより好適に行うことができる電力保護制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の電力保護制御システムは、インテリジェント電子デバイス盤とプロセスインターフェースユニット盤と、を持つ。インテリジェント電子デバイス盤とプロセスインターフェースユニット盤とは、プロセスバスにより接続されている。前記インテリジェント電子デバイス盤は、操作部と、インテリジェント電子デバイスユニットと、を持つ。操作部は、前記プロセスインターフェースユニット盤が備える制御回路を操作する。インテリジェント電子デバイスユニットは、前記操作部に対する操作状態を取得し、取得した前記操作状態を表す情報データを前記プロセスバスを介して前記プロセスインターフェースユニット盤に伝送する第1の制御部を有する。前記プロセスインターフェースユニット盤は、前記制御回路と、プロセスインターフェースユニットと、を持つ。前記制御回路は、電力施設に設置された電力設備を制御する。プロセスインターフェースユニットは、前記プロセスバスを介して伝送された前記情報データが表す操作状態を復元し、前記復元した操作状態に応じて前記制御回路の動作を制御する第2の制御部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る電力保護制御システムの構成の一例を示す図。
【
図2】第1の実施形態の電力保護制御システムにおいて電力設備を制御する動作の流れの一例を示すシーケンス図。
【
図3】第2の実施形態に係る電力保護制御システムの構成の一例を示す図。
【
図4】第2の実施形態の電力保護制御システムにおいて電力設備を制御する動作の流れの一例を示すシーケンス図。
【
図5】第2の実施形態の電力保護制御システムにおいて電力設備を制御する動作の流れの別の一例を示すシーケンス図。
【
図6】第3の実施形態に係る電力保護制御システムの構成の一例を示す図。
【
図7】第3の実施形態の電力保護制御システムにおいてPIU盤の健全性を確認する動作の流れの一例を示すシーケンス図。
【
図8】第4の実施形態に係る電力保護制御システムの構成の一例を示す図。
【
図9】第4の実施形態の電力保護制御システムにおいて電力設備を制御する動作の流れの一例を示すシーケンス図。
【
図10】第5の実施形態に係る電力保護制御システムの構成の一例を示す図。
【
図11】第5の実施形態の電力保護制御システムにおいて電力設備を制御する動作の流れの一例を示すシーケンス図。
【
図12】第6の実施形態に係る電力保護制御システムの構成の一例を示す図。
【
図13】第6の実施形態の電力保護制御システムにおいて電力設備をテストする動作の流れの一例を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態の電力保護制御システムを、図面を参照して説明する。電力保護制御システムは、例えば、変電所や発電所などの高電圧を扱う電力施設に設置される。電力保護制御システムは、電力施設に設置された電力設備の動作を制御する。電力設備は、例えば、ガス絶縁開閉装置(Gas Insulated Switchgear:GIS)など、母線を流れる電流の開閉を行う保護装置である。この場合、電力保護制御システムは、ガス絶縁開閉装置における母線の保護動作を制御する。電力設備は、例えば、サーキットブレーカーなど、電力設備に流れる大きな電流を遮断する遮断器であってもよい。この場合、電力保護制御システムは、サーキットブレーカーにおける遮断動作を制御する。
【0010】
(第1の実施形態)
[電力保護制御システムの構成]
図1は、第1の実施形態に係る電力保護制御システムの構成の一例を示す図である。
図1には、トリップコイル(
図1では「TC」)32を備えるサーキットブレーカー(
図1では「CB」)30に流れる電流を制御する電力保護制御システムの一例を示している。電力保護制御システム1は、例えば、インテリジェント電子デバイス(Intelligent Electrical Device:以下、「IED」という)盤10と、プロセスインターフェースユニット(Process Interface Unit:以下、「PIU」という)盤20と、を備える。IED盤10は、例えば、IEDユニット11と、運用スイッチ操作部12と、リレースイッチ操作部13と、トリップロック端子操作部14と、を備える。PIU盤20は、例えば、PIUユニット21と、運用スイッチ制御回路22と、リレースイッチ制御回路23と、トリップロック端子制御回路24と、を備える。
【0011】
電力保護制御システム1が採用された電力設備において、IED盤10は、例えば、リレー盤室や中央管理室など、電力設備の運用を管理するための任意の場所に配置される。IED盤10は、演算部と入出力部とが一体であった従来の電力保護制御装置において、演算部に相当するものである。電力保護制御システム1が採用された電力設備において、PIU盤20は、電力施設に設置された電力設備の近傍に配置される。PIU盤20は、演算部と入出力部とが一体であった従来の電力保護制御装置において、入出力部に相当するものである。PIU盤20が備える運用スイッチ制御回路22と、リレースイッチ制御回路23と、トリップロック端子制御回路24とのそれぞれは、電力設備が備える、例えば、遮断器や断路器などの対応する機器と、例えば、メタルケーブルといわれるようなアナログ信号線によって接続される。
図1には、電力設備がサーキットブレーカー30である場合の一例を示している。
図1では、運用スイッチ制御回路22と、リレースイッチ制御回路23と、トリップロック端子制御回路24とが、この順番で直列に接続され、トリップロック端子制御回路24が、メタルケーブルMCによって、サーキットブレーカー30が備えるトリップコイル32に接続されている。
【0012】
電力保護制御システム1において、IED盤10が備えるIEDユニット11と、PIU盤20が備えるPIUユニット21とは、プロセスバスPBによって接続されている。プロセスバスPBは、例えば、国際標準規格であるIEC61850に準拠した通信プロトコルによってディジタル通信を行うプロセスバスネットワークの信号線である。プロセスバスPBは、例えば、光通信によってディジタルデータをやり取りするための光ケーブルである。電力保護制御システム1において、IEDユニット11とPIUユニット21とは、プロセスバスPBを介して常時通信を行っている。
図1には、IED盤10に一つのIEDユニット11を備え、IEDユニット11とPIUユニット21とが1対1で通信を行う構成の一例を示している。
【0013】
IEDユニット11は、例えば、電力設備の管理者や保守作業者などによって操作された、運用スイッチ操作部12、リレースイッチ操作部13、およびトリップロック端子操作部14の操作状態を取得し、取得した操作状態を表す情報データを、プロセスバスPBを介してPIU盤20に伝送する。運用スイッチ操作部12は、PIU盤20が備える運用スイッチ制御回路22の動作を操作(制御)するためのスイッチである。リレースイッチ操作部13は、PIU盤20が備えるリレースイッチ制御回路23の動作を操作(制御)するためのスイッチである。トリップロック端子操作部14は、PIU盤20が備えるトリップロック端子制御回路24の動作を操作(制御)するためのスイッチである。IEDユニット11は、例えば、制御部112を備える。
【0014】
制御部112は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することで電力保護制御システム1を構成するIED盤10が備えるIEDユニット11の動作を制御する。制御部112は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。制御部112は、専用のLSIによって実現されてもよい。プログラムは、予めIEDユニット11あるいはIED盤10が備えるHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がIEDユニット11あるいはIED盤10が備えるドライブ装置に装着されることでIEDユニット11あるいはIED盤10が備えるHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0015】
制御部112は、運用スイッチ操作部12、リレースイッチ操作部13、およびトリップロック端子操作部14の操作状態を、ディジタルデータとして取得する。より具体的には、制御部112は、運用スイッチ操作部12と、リレースイッチ操作部13と、トリップロック端子操作部14とのそれぞれの接点情報(それぞれの接点が開状態であるか、閉状態であるか)を表すディジタルデータを取得する。制御部112は、取得した接点情報のディジタルデータをプロセスバスPBの通信プロトコルに適合した光通信データ(情報データ)に変換し、プロセスバスPBを介してPIU盤20が備えるPIUユニット21に伝送する。
【0016】
運用スイッチ操作部12、リレースイッチ操作部13、およびトリップロック端子操作部14は、「操作部」の一例である。制御部112は、「第1の制御部」の一例である。
【0017】
PIUユニット21は、IED盤10が備えるIEDユニット11によりプロセスバスPBを介して伝送された情報データを受信し、受信した情報データが表す操作状態に応じて、対応する運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作を制御する。運用スイッチ制御回路22は、電力設備における電力供給の運用を制御するための制御回路である。
図1には、運用スイッチ制御回路22が、サーキットブレーカー30が備えるトリップコイル32に対する電力供給の運用を制御する制御回路である場合の一例を示している。リレースイッチ制御回路23は、電力設備に繋がる電力系統において異常や事故を検出した場合に動作するリレースイッチを制御するための制御回路である。リレースイッチ制御回路23は、例えば、電力設備の保護装置において異常を検出した場合に動作するリレースイッチや、電力設備に繋がる他の電力設備との間の経路において事故(系統事故)が発生した場合に動作するリレースイッチなどを制御するものであってもよい。
図1には、リレースイッチ制御回路23が、サーキットブレーカー30が備えるトリップコイル32に繋がる経路において異常を検出した場合に動作するリレースイッチを制御する制御回路である場合の一例を示している。トリップロック端子制御回路24は、電力設備に繋がる電力系統において異常や事故を検出した場合において、上位の遮断器の動作(開極)によって事故電力が無効となったときに、事故が発生した経路(事故回線)を遮断させる端子を制御するための制御回路である。
図1には、トリップロック端子制御回路24が、サーキットブレーカー30が備えるトリップコイル32に繋がる経路において異常(事故)を検出した場合に、この経路を遮断させる端子を制御する制御回路である場合の一例を示している。PIUユニット21は、例えば、制御部212を備える。
【0018】
制御部212は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することで電力保護制御システム1を構成するPIU盤20が備えるPIUユニット21の動作を制御する。制御部212は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。制御部212は、専用のLSIによって実現されてもよい。プログラムは、予めPIUユニット21あるいはPIU盤20が備えるHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がPIUユニット21あるいはPIU盤20が備えるドライブ装置に装着されることでPIUユニット21あるいはPIU盤20が備えるHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0019】
制御部212は、IEDユニット11によりプロセスバスPBを介して伝送された情報データを受信し、受信した情報データが表す運用スイッチ操作部12、リレースイッチ操作部13、およびトリップロック端子操作部14の操作状態を復元する。より具体的には、制御部212は、受信した情報データ(光通信データ)を、プロセスバスPBの通信プロトコルに従って変換して、運用スイッチ操作部12と、リレースイッチ操作部13と、トリップロック端子操作部14とのそれぞれの接点情報(それぞれの接点が開状態であるか、閉状態であるか)を表すディジタルデータに復元する。つまり、制御部212は、受信した情報データから、制御部112が運用スイッチ操作部12、リレースイッチ操作部13、およびトリップロック端子操作部14の操作状態として取得した接点情報のディジタルデータを復元する。制御部212は、復元した接点情報のディジタルデータに応じて、運用スイッチ操作部12に対応する運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ操作部13に対応するリレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子操作部14に対応するトリップロック端子制御回路24のそれぞれの動作を制御する。
【0020】
運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24は、「制御回路」の一例である。制御部212は、「第2の制御部」の一例である。
【0021】
このような構成によって、電力保護制御システム1は、電力施設に設置された電力設備の動作を制御する。
【0022】
[電力保護制御システムの動作]
図2は、第1の実施形態の電力保護制御システム1において電力設備を制御する動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
図2は、例えば、電力設備のリレー盤室に存在する管理者が、IED盤10が備える運用スイッチ操作部12、およびトリップロック端子操作部14を操作した場合における電力保護制御システム1の動作の一例である。
図2には、IED盤10およびPIU盤20が備えるそれぞれの構成要素の動作(処理)、およびそれぞれの構成要素の間での情報(データ)のやり取りの一例を示している。以下の説明においては、IEDユニット11が備える制御部112の動作(処理)や情報(データ)のやり取りは、IEDユニット11が行うものとし、PIUユニット21が備える制御部212の動作(処理)や情報(データ)のやり取りは、PIUユニット21が行うものとする。
【0023】
管理者によって運用スイッチ操作部12が閉状態から開状態に操作される(ステップS100)と、IEDユニット11は、操作された運用スイッチ操作部12の接点情報(開状態)を取得する(ステップS102)。IEDユニット11は、取得した運用スイッチ操作部12の接点情報を表す情報データを、PIUユニット21に伝送する(ステップS104)。
【0024】
PIUユニット21は、IEDユニット11により伝送された情報データを受信し、受信した情報データが表す接点情報(開状態)を復元する(ステップS106)。PIUユニット21は、復元した接点情報に応じて、接点情報に対応する運用スイッチ制御回路22が閉状態であれば、閉状態から開状態に制御する(ステップS108)。これにより、メタルケーブルMCによって運用スイッチ制御回路22に接続された電力設備の機器は、制御された運用スイッチ制御回路22の動作状態(開状態)に応じた動作をする。言い換えれば、電力設備の機器は、管理者による閉状態から開状態への操作に応じた動作をする。
【0025】
その後、管理者によってトリップロック端子操作部14が閉状態から開状態に操作される(ステップS200)と、IEDユニット11は、操作されたトリップロック端子操作部14の接点情報(開状態)を取得する(ステップS202)。IEDユニット11は、取得したトリップロック端子操作部14の接点情報を表す情報データを、PIUユニット21に伝送する(ステップS204)。
【0026】
PIUユニット21は、IEDユニット11により伝送された情報データを受信し、受信した情報データが表す接点情報(開状態)を復元する(ステップS206)。PIUユニット21は、復元した接点情報に応じて、接点情報に対応するトリップロック端子制御回路24が閉状態であれば、閉状態から開状態に制御する(ステップS208)。これにより、メタルケーブルMCによってトリップロック端子制御回路24に接続された電力設備の機器は、制御されたトリップロック端子制御回路24の動作状態(開状態)に応じた動作(言い換えれば、管理者による閉状態から開状態への操作に応じた動作)をする。
【0027】
このような電力保護制御システム1の動作(処理)によって、電力保護制御システム1が採用された電力施設では、電力設備から離れた場所のリレー盤室に配置されているIED盤10を管理者が操作することによって、電力設備の動作を制御することができる。言い換えれば、電力保護制御システム1が採用された電力施設では、管理者が、リレー盤室から離れた場所に設置された電力設備のところに出向くことなく、電力設備の動作を制御することができる。これは、例えば、電力設備の点検や試験などを行う際に、有効である。
【0028】
図2に示したシーケンス図では、管理者が、運用スイッチ操作部12、およびトリップロック端子操作部14を操作した場合における電力保護制御システム1の動作の一例を示したが、管理者が、リレースイッチ操作部13を操作する場合においても同様である。この場合において電力保護制御システム1が備えるそれぞれの構成要素の動作(処理)や情報(データ)のやり取りは、
図2に示したシーケンス図におけるそれぞれの構成要素の動作(処理)や情報(データ)のやり取りと等価なものになるようにすればよい。
【0029】
上記説明したように、第1の実施形態の電力保護制御システム1では、IEDユニット11(制御部112)が、運用スイッチ操作部12、リレースイッチ操作部13、およびトリップロック端子操作部14に対する操作状態を表す情報データ(接点情報のディジタルデータ)を、プロセスバスPBを介してPIU盤20に伝送する。そして、第1の実施形態の電力保護制御システム1では、PIUユニット21(制御部212)が、プロセスバスPBを介して伝送された情報データを復元し、復元した情報データが表す操作状態に応じて、運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作を制御する。これにより、第1の実施形態の電力保護制御システム1では、離れた場所に配置されているIED盤10の操作によって、PIU盤20が備える運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24に接続されている電力設備の機器の動作を制御することができる。このことにより、第1の実施形態の電力保護制御システム1が採用された電力施設では、例えば、電力設備の点検や試験などを容易に行うことができる電力設備を実現することができる。
【0030】
しかも、第1の実施形態の電力保護制御システム1では、IED盤10とPIU盤20との間でプロセスバスPBを介してやり取りする情報データはディジタルデータであり、電力設備が備える機器とメタルケーブルMC(アナログ信号線)によって接続されるPIU盤20は電力設備の近傍に配置される。このため、第1の実施形態の電力保護制御システム1では、例えば、ノイズに対する耐性が高い通信を行うことができる。さらに、プロセスバスPBが光ケーブルである場合、光ケーブルは比較的細いケーブルであるため、IED盤10とPIU盤20との間にプロセスバスPBを敷設する際の労力と低減させることができる。
【0031】
(第2の実施形態)
[電力保護制御システムの構成]
図3は、第2の実施形態に係る電力保護制御システムの構成の一例を示す図である。
図3にも、第1の実施形態の電力保護制御システム1と同様に、トリップコイル32を備えるサーキットブレーカー30に流れる電流を制御する電力保護制御システムの一例を示している。電力保護制御システム2は、例えば、IED盤10aと、PIU盤20aと、を備える。IED盤10aは、例えば、IEDユニット11aと、運用スイッチ操作部12と、リレースイッチ操作部13と、トリップロック端子操作部14と、表示部15と、を備える。PIU盤20aは、例えば、PIUユニット21aと、運用スイッチ制御回路22と、リレースイッチ制御回路23と、トリップロック端子制御回路24と、を備える。
図3においては、第1の実施形態の電力保護制御システム1と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。電力保護制御システム2が備えるそれぞれの構成要素における電力設備内の配置や接続は、第1の実施形態の電力保護制御システム1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0032】
電力保護制御システム2では、例えば、電力設備の管理者がIED盤10aを操作してPIU盤20aの動作を制御した結果(つまり、電力設備の動作状態)を、IED盤10aで確認することができる。このため、電力保護制御システム2では、電力保護制御システム1のIED盤10に相当するIED盤10aに表示部15が追加され、電力保護制御システム1のIEDユニット11がIEDユニット11aに代わり、PIUユニット21がPIUユニット21aに代わっている。
【0033】
IEDユニット11aは、電力保護制御システム1のIEDユニット11と同様に、例えば、電力設備の管理者や保守作業者などによって操作された、運用スイッチ操作部12、リレースイッチ操作部13、およびトリップロック端子操作部14の操作状態を取得し、取得した操作状態を表す情報データを、プロセスバスPBを介してPIU盤20aに伝送する。さらに、IEDユニット11aは、PIU盤20aが備えるPIUユニット21aによりプロセスバスPBを介して伝送された結果データ(後述)を受信し、受信した結果データが表す運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作状態を、表示部15に表示させる。IEDユニット11aは、例えば、制御部112aを備える。
【0034】
制御部112aは、電力保護制御システム1の制御部112と同様に、運用スイッチ操作部12、リレースイッチ操作部13、およびトリップロック端子操作部14の操作状態(接点情報)を表すディジタルデータを取得し、取得した接点情報のディジタルデータを情報データに変換してPIU盤20aが備えるPIUユニット21aに伝送する。さらに、制御部112aは、PIUユニット21aによりプロセスバスPBを介して伝送された結果データを受信し、受信した結果データが表す運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作状態を復元する。つまり、制御部112aは、受信した結果データから、PIU盤20aに伝送した情報データが表す操作状態に応じて制御された運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の制御結果(それぞれの接点が開状態に制御されているか、閉状態に制御されているか)を表すディジタルデータを復元する。制御部112aは、復元した制御結果のディジタルデータが表す運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24のそれぞれの動作状態を、表示部15に表示させる。
【0035】
制御部112aは、「第1の制御部」の一例である。
【0036】
表示部15は、制御部112aからの制御に応じて、PIU盤20aが備える運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作状態を提示する。表示部15は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)や、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)、ランプなどの表示装置である。表示部15がディスプレイである場合、制御部112aにより出力された動作状態を表す画像を表示することにより、運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作状態を提示する。表示部15がLEDやランプである場合、制御部112aにより出力された動作状態を表す信号に応じて、点灯/消灯や、点灯する色の変化などによって、運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作状態を提示する。これにより、例えば、電力設備の管理者や保守作業者などは、運用スイッチ操作部12、リレースイッチ操作部13、およびトリップロック端子操作部14を操作して行った運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作の制御が、PIU盤20aにおいて正しく行われているか否かを確認することができる。
【0037】
PIUユニット21aは、電力保護制御システム1のPIUユニット21と同様に、IED盤10aが備えるIEDユニット11aによりプロセスバスPBを介して伝送された情報データを受信し、受信した情報データが表す操作状態に応じて、対応する運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作を制御する。さらに、PIUユニット21aは、制御した運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作状態を取得し、取得した動作状態を表す結果データを、プロセスバスPBを介してIED盤10aに伝送する。PIUユニット21aは、例えば、制御部212aを備える。
【0038】
制御部212aは、電力保護制御システム1の制御部212と同様に、IEDユニット11aによりプロセスバスPBを介して伝送された情報データを受信し、受信した情報データが表す操作状態を復元して、対応する運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24のそれぞれの動作を制御する。さらに、制御部212aは、復元した操作状態に応じて制御した運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24のそれぞれの動作状態を、ディジタルデータとして取得する。より具体的には、制御部212aは、運用スイッチ制御回路22と、リレースイッチ制御回路23と、トリップロック端子制御回路24とのそれぞれの動作を制御した結果(制御結果)を表すディジタルデータを取得する。ここで、制御部212aは、例えば、運用スイッチ制御回路22と、リレースイッチ制御回路23と、トリップロック端子制御回路24とのそれぞれに取り付けられ、それぞれの動作状態を検出するセンサーの検出結果(それぞれの接点が開状態であるか、閉状態であるか)を、制御結果のディジタルデータとして取得してもよい。制御部212aは、例えば、運用スイッチ制御回路22と、リレースイッチ制御回路23と、トリップロック端子制御回路24とのそれぞれを模して同じ動作をするダミーの制御回路の動作状態を、制御結果のディジタルデータとして取得してもよい。この構成の場合、運用スイッチ制御回路22と、リレースイッチ制御回路23と、トリップロック端子制御回路24とのそれぞれは、例えば、ソフトウェアによるロック制御によって動作状態が実際には変更されず、ダミーの制御回路の動作状態のみが変更されるような制御がされてもよい。制御部112は、取得した制御結果のディジタルデータをプロセスバスPBの通信プロトコルに適合した光通信データ(結果データ)に変換し、プロセスバスPBを介してIED盤10aが備えるIEDユニット11aに伝送する。これにより、伝送した結果データが表す運用スイッチ制御回路22と、リレースイッチ制御回路23と、トリップロック端子制御回路24の動作状態が、運用スイッチ操作部12、リレースイッチ操作部13、およびトリップロック端子操作部14を操作して行った制御の制御結果として、IED盤10aが備える表示部15によって提示される。
【0039】
制御部212aは、「第2の制御部」の一例である。
【0040】
このような構成によって、電力保護制御システム2は、電力施設に設置された電力設備の動作をPIU盤20aによって制御した結果(電力設備の動作状態)を、IED盤10aにおいて確認することができる。
【0041】
[電力保護制御システムの動作]
図4は、第2の実施形態の電力保護制御システム2において電力設備を制御する動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
図4は、例えば、電力設備のリレー盤室に存在する管理者が、IED盤10aが備える運用スイッチ操作部12を操作したことによって動作が制御された、PIU盤20aが備える運用スイッチ制御回路22の動作状態をIED盤10aによって提示する場合における電力保護制御システム2の動作の一例である。
図4にも、IED盤10aおよびPIU盤20aが備えるそれぞれの構成要素の動作(処理)、およびそれぞれの構成要素の間での情報(データ)のやり取りの一例を示している。以下の説明においても、IEDユニット11aが備える制御部112aの動作(処理)や情報(データ)のやり取りは、IEDユニット11aが行うものとし、PIUユニット21aが備える制御部212aの動作(処理)や情報(データ)のやり取りは、PIUユニット21aが行うものとする。
図4に示したシーケンス図においては、第1の実施形態の電力保護制御システム1と同様の動作(処理)や情報(データ)のやり取りについては同一のステップ番号を付して、詳細な説明は省略する。
【0042】
管理者によって運用スイッチ操作部12が閉状態から開状態に操作されると、IEDユニット11aは、操作された運用スイッチ操作部12の接点情報(開状態)を取得して、取得した接点情報を表す情報データを、PIUユニット21aに伝送する(ステップS100~ステップS104)。
【0043】
PIUユニット21aは、IEDユニット11aにより伝送された情報データを受信して接点情報(開状態)を復元し、復元した接点情報に応じて運用スイッチ制御回路22を閉状態から開状態に制御する(ステップS106~ステップS108)。これにより、メタルケーブルMCによって運用スイッチ制御回路22に接続された電力設備の機器は、制御された運用スイッチ制御回路22の動作状態(開状態)に応じた動作(言い換えれば、管理者による閉状態から開状態への操作に応じた動作)をする。
【0044】
その後、PIUユニット21aは、制御した運用スイッチ制御回路22の動作状態を取得する(ステップS302)。PIUユニット21aは、取得した運用スイッチ制御回路22の動作状態を表す結果データを、IEDユニット11aに伝送する(ステップS304)。
【0045】
IEDユニット11aは、PIUユニット21aにより伝送された結果データを受信し、受信した結果データが表す運用スイッチ制御回路22の動作状態(開状態)を復元する。そして、IEDユニット11aは、復元した動作状態(制御結果)が表す運用スイッチ制御回路22の動作状態を表示部15に表示させて、IED盤10aを操作している管理者に提示させる(ステップS306)。
【0046】
このような電力保護制御システム2の動作(処理)によって、電力保護制御システム2が採用された電力施設では、電力保護制御システム1が採用された電力施設と同様に、電力設備から離れた場所のリレー盤室に配置されているIED盤10aを管理者が操作することによって、電力設備の動作を制御することができる。さらに、電力保護制御システム2が採用された電力施設では、電力設備の動作を制御した結果(電力設備の動作状態)を、IED盤10aにおいて確認することができる。言い換えれば、電力保護制御システム2が採用された電力施設では、管理者が、リレー盤室から離れた場所に設置された電力設備のところに出向くことなく、電力設備の動作の制御と、その制御結果の確認をすることができる。これも、例えば、電力設備の点検や試験などを行う際に、有効である。
【0047】
[電力保護制御システムの別の動作]
図5は、第2の実施形態の電力保護制御システム2において電力設備を制御する動作の流れの別の一例を示すシーケンス図である。
図5は、例えば、電力設備のリレー盤室に存在する管理者が、IED盤10aが備えるリレースイッチ操作部13を操作したことによって動作が制御された、PIU盤20aが備えるリレースイッチ制御回路23の動作状態をIED盤10aによって提示する場合における電力保護制御システム2の動作の一例である。
図5にも、IED盤10aおよびPIU盤20aが備えるそれぞれの構成要素の動作(処理)、およびそれぞれの構成要素の間での情報(データ)のやり取りの一例を示している。
【0048】
管理者によってリレースイッチ操作部13が開状態から閉状態に操作される(ステップS400)と、IEDユニット11aは、操作されたリレースイッチ操作部13の接点情報(閉状態)を取得する(ステップS402)。IEDユニット11aは、取得したリレースイッチ操作部13の接点情報を表す情報データを、PIUユニット21aに伝送する(ステップS404)。
【0049】
PIUユニット21aは、IEDユニット11aにより伝送された情報データを受信し、受信した情報データが表す接点情報(閉状態)を復元する(ステップS406)。PIUユニット21aは、復元した接点情報に応じて、接点情報に対応するリレースイッチ制御回路23を開状態から閉状態に制御する(ステップS408)。これにより、メタルケーブルMCによってリレースイッチ制御回路23に接続された電力設備の機器は、制御されたリレースイッチ制御回路23の動作状態(閉状態)に応じた動作(言い換えれば、電力設備の機器は、管理者による開状態から閉状態への操作に応じた動作)をする。
【0050】
その後、PIUユニット21aは、制御したリレースイッチ制御回路23の動作状態を取得する(ステップS410)。PIUユニット21aは、取得したリレースイッチ制御回路23の動作状態を表す結果データを、IEDユニット11aに伝送する(ステップS412)。
【0051】
IEDユニット11aは、PIUユニット21aにより伝送された結果データを受信し、受信した結果データが表すリレースイッチ制御回路23の動作状態(閉状態)を復元し、復元した動作状態(制御結果)が表す閉状態の動作状態を表示部15に表示させて、IED盤10aを操作している管理者に提示させる(ステップS414)。
【0052】
このような電力保護制御システム2の動作(処理)によって、電力保護制御システム2が採用された電力施設では、IED盤10aが備える運用スイッチ操作部12、リレースイッチ操作部13、およびトリップロック端子操作部14のいずれを操作した場合でも、PIU盤20aが備える運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24に対応する電力設備の動作の制御と、その制御結果の確認をすることができる。
【0053】
図4に示したシーケンス図では、管理者が運用スイッチ操作部12を操作し、
図5に示したシーケンス図では、管理者がリレースイッチ操作部13を操作した場合における電力保護制御システム2の動作の一例を示したが、管理者が、トリップロック端子操作部14を操作する場合においても同様である。この場合において電力保護制御システム2が備えるそれぞれの構成要素の動作(処理)や情報(データ)のやり取りは、
図4または
図5に示したシーケンス図におけるそれぞれの構成要素の動作(処理)や情報(データ)のやり取りと等価なものになるようにすればよい。
【0054】
ところで、電力施設では、電力設備において、例えば、運用スイッチ制御回路22または/およびトリップロック端子制御回路24を開状態にした状態でリレースイッチ制御回路23の動作を試験することも考えられる。このとき、制御部212aが動作状態を取得する構成が、運用スイッチ制御回路22と、リレースイッチ制御回路23と、トリップロック端子制御回路24とのそれぞれに取り付けられたセンサーの検出結果を取得する構成である場合には、管理者が、IED盤10aが備えるリレースイッチ操作部13を操作するのみでは、その操作に応じたリレースイッチ制御回路23の動作状態を確認することができない。これは、試験をする対象のリレースイッチ制御回路23の経路に存在する運用スイッチ制御回路22または/およびトリップロック端子制御回路24がすでに開状態となっているため、リレースイッチ制御回路23に電力が供給されていないからである。一方、制御部212aが動作状態を取得する構成が、運用スイッチ制御回路22と、リレースイッチ制御回路23と、トリップロック端子制御回路24とのそれぞれに対応するダミーの制御回路の動作状態を取得する構成である場合には、管理者が、IED盤10aが備えるリレースイッチ操作部13を操作するのみでも、その操作に応じたリレースイッチ制御回路23の動作状態を確認することができる。これは、例えば、ソフトウェアによるロック制御によって、試験をする対象のリレースイッチ制御回路23の動作状態は実際には変更されていないとしても、リレースイッチ制御回路23に対応するダミーの制御回路は、ソフトウェアによるロック制御に関わらず、IEDユニット11a(制御部112a)により伝送された情報データが表す操作状態に応じた動作に制御することができ、その動作状態をPIUユニット21aが取得することができるからである。言い換えれば、制御部212aがダミーの制御回路の動作状態を取得する構成である場合には、運用スイッチ制御回路22と、リレースイッチ制御回路23と、トリップロック端子制御回路24とのそれぞれがどのような動作状態であったとしても、対象のスイッチや端子の動作状態を取得することができるからである。このため、制御部212aが動作状態を取得する構成としては、運用スイッチ制御回路22と、リレースイッチ制御回路23と、トリップロック端子制御回路24とのそれぞれに対応するダミーの制御回路の動作状態を取得する構成の方が、好適であると考えられる。
【0055】
上記説明したように、第2の実施形態の電力保護制御システム2でも、第1の実施形態の電力保護制御システム1と同様に、IEDユニット11a(制御部112a)が、運用スイッチ操作部12、リレースイッチ操作部13、およびトリップロック端子操作部14に対する操作状態を表す情報データ(接点情報のディジタルデータ)を、プロセスバスPBを介してPIU盤20aに伝送する。そして、第2の実施形態の電力保護制御システム2でも、PIUユニット21a(制御部212a)が、プロセスバスPBを介して伝送された情報データを復元し、復元した情報データが表す操作状態に応じて、運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作を制御する。これにより、第2の実施形態の電力保護制御システム2でも、第1の実施形態の電力保護制御システム1と同様に、離れた場所に配置されているIED盤10aの操作によって、PIU盤20aが備える運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24に接続されている電力設備の機器の動作を制御することができる。さらに、第2の実施形態の電力保護制御システム2では、PIUユニット21a(制御部212a)が、運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の制御結果(動作状態のディジタルデータ)の結果データを、プロセスバスPBを介してIED盤10aに伝送する。そして、第2の実施形態の電力保護制御システム2では、IEDユニット11a(制御部112a)が、プロセスバスPBを介して伝送された結果データを復元し、復元した動作状態を表示部15に表示させて、運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作状態を提示する。これにより、例えば、電力設備の管理者や保守作業者などは、運用スイッチ操作部12、リレースイッチ操作部13、およびトリップロック端子操作部14の操作による運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作の制御が、PIU盤20aにおいて正しく行われているか否かを確認することができる。これらのことにより、第2の実施形態の電力保護制御システム2が採用された電力施設では、例えば、リレー盤室に存在する管理者のみで電力設備の点検や試験などを容易に行うことができ、より効率的に電力設備の点検や試験などを行うことができる。これにより、第2の実施形態の電力保護制御システム2が採用された電力施設では、より保守性の高い電力設備を実現することができる。
【0056】
(第3の実施形態)
[電力保護制御システムの構成]
図6は、第3の実施形態に係る電力保護制御システムの構成の一例を示す図である。
図6にも、第1の実施形態の電力保護制御システム1や第2の実施形態の電力保護制御システム2と同様に、トリップコイル32を備えるサーキットブレーカー30に流れる電流を制御する電力保護制御システムの一例を示している。電力保護制御システム3は、例えば、IED盤10aと、PIU盤20bと、を備える。IED盤10aは、例えば、IEDユニット11aと、運用スイッチ操作部12と、リレースイッチ操作部13と、トリップロック端子操作部14と、表示部15と、を備える。PIU盤20bは、例えば、PIUユニット21aと、運用スイッチ制御回路22と、リレースイッチ制御回路23と、トリップロック端子制御回路24と、検圧リレー251と、検圧リレー252と、を備える。
図6においては、第1の実施形態の電力保護制御システム1や第2の実施形態の電力保護制御システム2と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。電力保護制御システム3が備えるそれぞれの構成要素における電力設備内の配置や接続は、第1の実施形態の電力保護制御システム1や第2の実施形態の電力保護制御システム2と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0057】
電力保護制御システム3では、PIU盤20bにおいて直列に接続された運用スイッチ制御回路22と、リレースイッチ制御回路23と、トリップロック端子制御回路24との直列回路の健全性を確認することができる。このため、電力保護制御システム3では、電力保護制御システム2のPIU盤20aに相当するPIU盤20bに、検圧リレー251と検圧リレー252とが追加されている。
【0058】
検圧リレー251は、リレースイッチ制御回路23において、トリップロック端子制御回路24に接続されている端子側(以下、「リレースイッチ制御回路23の上部」という)の電圧を検出(計測)する。検圧リレー251は、検出(計測)した電圧値(検出(計測)した電圧値を表す情報であってもよい)を、制御部212aに出力する。
【0059】
検圧リレー252は、リレースイッチ制御回路23において、サーキットブレーカー30(つまり、メタルケーブルMC)に接続されている端子側(以下、「リレースイッチ制御回路23の下部」という)の電圧を検出(計測)する。検圧リレー252は、検出(計測)した電圧値(検出(計測)した電圧値を表す情報であってもよい)を、制御部212aに出力する。
【0060】
検圧リレー251、および検圧リレー252は、「電圧計測部」の一例である。
【0061】
電力保護制御システム3では、検圧リレー251が検出(計測)したリレースイッチ制御回路23の上部の電圧値と、検圧リレー252が検出(計測)したリレースイッチ制御回路23の下部の電圧値とに基づいて、PIU盤20bが備える直列回路の健全性を確認することができる。より具体的には、運用スイッチ制御回路22あるいはトリップロック端子制御回路24を閉状態から開状態に制御する前後におけるそれぞれの電圧値に基づいて、PIU盤20bが備える直列回路の健全性を確認することができる。例えば、運用スイッチ制御回路22が開状態であり、サーキットブレーカー30が開状態である場合、検圧リレー251が検出(計測)した電圧値が「0V」であり、検圧リレー252が検出(計測)した電圧値が「0V」であれば、直列回路は健全であると判定することができる。例えば、運用スイッチ制御回路22が開状態であり、サーキットブレーカー30が閉状態である場合、検圧リレー251が検出(計測)した電圧値が「0V」であり、検圧リレー252が検出(計測)した電圧値が「-55V」であれば、直列回路は健全であると判定することができる。
【0062】
PIUユニット21aは、電力保護制御システム2のPIUユニット21と同様に、検圧リレー251が検出(計測)したリレースイッチ制御回路23の上部の電圧値と、検圧リレー252が検出(計測)したリレースイッチ制御回路23の下部の電圧値とを取得し、取得したそれぞれの電圧値を表す結果データを、プロセスバスPBを介してIED盤10aに伝送する。つまり、制御部212aが、それぞれの電圧値を、ディジタルデータとして取得し、取得したそれぞれの電圧値のディジタルデータを、結果データに含めて、IEDユニット11aに伝送する。これにより、IED盤10aにおいて、伝送されたそれぞれの電圧値が、制御結果として表示部15によって提示される。
【0063】
このような構成によって、電力保護制御システム3は、電力施設に設置された電力設備の動作を制御するPIU盤20bの健全性(それぞれの電圧値)を、IED盤10aにおいて確認することができる。
【0064】
[電力保護制御システムの動作]
図7は、第3の実施形態の電力保護制御システム3においてPIU盤20bの健全性を確認する動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
図7は、例えば、電力設備のリレー盤室に存在する管理者が、IED盤10aが備える運用スイッチ操作部12を操作することによって、PIU盤20bが備える運用スイッチ制御回路22の健全性を確認する場合における電力保護制御システム3の動作の一例である。
図7にも、IED盤10aおよびPIU盤20bが備えるそれぞれの構成要素の動作(処理)、およびそれぞれの構成要素の間での情報(データ)のやり取りの一例を示している。以下の説明においても、IEDユニット11aが備える制御部112aの動作(処理)や情報(データ)のやり取りは、IEDユニット11aが行うものとし、PIU盤20bを構成するPIUユニット21aが備える制御部212aの動作(処理)や情報(データ)のやり取りは、PIUユニット21aが行うものとする。
図7に示したシーケンス図においては、第1の実施形態の電力保護制御システム1や第2の実施形態の電力保護制御システム2と同様の動作(処理)や情報(データ)のやり取りについては同一のステップ番号を付して、詳細な説明は省略する。
【0065】
管理者によって運用スイッチ操作部12が閉状態から開状態に操作されると、IEDユニット11aは、操作された運用スイッチ操作部12の接点情報(開状態)を取得して、取得した接点情報を表す情報データを、PIUユニット21aに伝送する(ステップS100~ステップS104)。
【0066】
PIUユニット21aは、IEDユニット11aにより伝送された情報データを受信すると、検圧リレー251が検出(計測)したリレースイッチ制御回路23の上部の電圧値と、検圧リレー252が検出(計測)したリレースイッチ制御回路23の下部の電圧値とのそれぞれの電圧値を取得する(ステップS500)。その後、PIUユニット21aは、受信した情報データが表す接点情報(開状態)を復元し、復元した接点情報に応じて運用スイッチ制御回路22を閉状態から開状態に制御する(ステップS106~ステップS108)。これにより、メタルケーブルMCによって運用スイッチ制御回路22に接続された電力設備の機器は、制御された運用スイッチ制御回路22の動作状態(開状態)に応じた動作をする。
【0067】
その後、PIUユニット21aは、制御した運用スイッチ制御回路22の動作状態を取得する(ステップS302)。さらに、PIUユニット21aは、検圧リレー251が検出(計測)したリレースイッチ制御回路23の上部の電圧値と、検圧リレー252が検出(計測)したリレースイッチ制御回路23の下部の電圧値とのそれぞれの電圧値を取得する(ステップS510)。そして、PIUユニット21aは、取得した運用スイッチ制御回路22の動作状態を表す結果データに、ステップS500およびステップS510の処理において取得したそれぞれの電圧値を含めて、IEDユニット11aに伝送する(ステップS512)。
【0068】
IEDユニット11aは、PIUユニット21aにより伝送された結果データを受信し、受信した結果データが表す運用スイッチ制御回路22の動作状態(開状態)と、それぞれの電圧値とを復元する。そして、IEDユニット11aは、復元した動作状態(制御結果)が表す運用スイッチ制御回路22の動作状態と、それぞれの電圧値(つまり、運用スイッチ制御回路22の動作が閉状態から開状態に制御される前後におけるそれぞれの電圧値)とを表示部15に表示させて、IED盤10aを操作している管理者に提示させる(ステップS514)。
【0069】
このような電力保護制御システム3の動作(処理)によって、電力保護制御システム3が採用された電力施設では、電力設備から離れた場所のリレー盤室に配置されているIED盤10aを管理者が操作することによって、電力設備の動作を制御するPIU盤20bが備える運用スイッチ制御回路22の健全性を確認することができる。
【0070】
図7に示したシーケンス図では、管理者が運用スイッチ操作部12を操作して運用スイッチ制御回路22の健全性を確認する場合における電力保護制御システム3の動作の一例を示したが、管理者が、リレースイッチ制御回路23やトリップロック端子制御回路24の健全性を確認する場合においても同様である。より具体的には、管理者が、リレースイッチ操作部13を操作することによってリレースイッチ制御回路23の健全性を確認することができ、トリップロック端子操作部14を操作することによってトリップロック端子制御回路24の健全性を確認することができる。この場合において電力保護制御システム3が備えるそれぞれの構成要素の動作(処理)や情報(データ)のやり取りは、
図7に示したシーケンス図におけるそれぞれの構成要素の動作(処理)や情報(データ)のやり取りと等価なものになるようにすればよい。
【0071】
このようにして、電力保護制御システム3が採用された電力施設では、管理者が、リレー盤室から離れた場所に設置された電力設備のところに出向くことなく、電力設備の動作を制御するPIU盤20bが備える運用スイッチ制御回路22と、リレースイッチ制御回路23と、トリップロック端子制御回路24とのそれぞれの健全性を確認することができる。これも、例えば、電力設備の点検や試験などを行う際に、有効である。
【0072】
上記説明したように、第3の実施形態の電力保護制御システム3では、IEDユニット11a(制御部112a)が、運用スイッチ操作部12、リレースイッチ操作部13、およびトリップロック端子操作部14に対する操作状態を表す情報データ(接点情報のディジタルデータ)を、プロセスバスPBを介してPIU盤20bに伝送する。そして、第3の実施形態の電力保護制御システム3では、PIUユニット21a(制御部212a)が、プロセスバスPBを介して伝送された情報データを復元し、復元した情報データが表す操作状態に応じて、運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作を制御する前に、検圧リレー251と検圧リレー252とのそれぞれが検出(計測)したリレースイッチ制御回路23の両端の電圧値を取得する。さらに、第3の実施形態の電力保護制御システム3では、PIUユニット21a(制御部212a)が、復元した情報データが表す操作状態に応じて、運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作を制御した後に、検圧リレー251と検圧リレー252とのそれぞれが検出(計測)したリレースイッチ制御回路23の両端の電圧値を取得する。そして、第3の実施形態の電力保護制御システム3では、PIUユニット21a(制御部212a)が、運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の制御結果(動作状態のディジタルデータ)の結果データに含めて、取得したそれぞれの電圧値のディジタルデータを、プロセスバスPBを介してIED盤10aに伝送する。そして、第3の実施形態の電力保護制御システム3では、IEDユニット11a(制御部112a)が、プロセスバスPBを介して伝送された結果データを復元し、復元した動作状態と、それぞれの電圧値とを表示部15に表示させて、管理者に提示する。これにより、第3の実施形態の電力保護制御システム3では、離れた場所に配置されているIED盤10aの操作によって、PIU盤20bに接続されている電力設備の機器の動作を制御する、運用スイッチ制御回路22と、リレースイッチ制御回路23と、トリップロック端子制御回路24との直列回路の健全性を確認することができる。このことにより、第3の実施形態の電力保護制御システム3が採用された電力施設では、例えば、リレー盤室に存在する管理者が、離れた場所に設置された電力設備のところに出向くことなく、より効率的に電力設備の動作を制御するPIU盤20bの健全性を確認することができる。これにより、第3の実施形態の電力保護制御システム3が採用された電力施設では、より信頼性の高い電力設備を実現することができる。
【0073】
(第4の実施形態)
[電力保護制御システムの構成]
図8は、第4の実施形態に係る電力保護制御システムの構成の一例を示す図である。
図8にも、第1の実施形態の電力保護制御システム1と同様に、トリップコイル32を備えるサーキットブレーカー30に流れる電流を制御する電力保護制御システムの一例を示している。電力保護制御システム4は、例えば、IED盤10bと、PIU盤20と、を備える。IED盤10bは、例えば、二つのIEDユニット11(IEDユニット11-1および11-2)と、それぞれのIEDユニット11に対応する電源16(電源16-1および16-2)と、を備える。
図8においては省略しているが、IEDユニット11-1および11-2のそれぞれには、運用スイッチ操作部12と、リレースイッチ操作部13と、トリップロック端子操作部14とが接続されている。PIU盤20は、例えば、PIUユニット21と、運用スイッチ制御回路22と、リレースイッチ制御回路23と、トリップロック端子制御回路24と、を備える。
図8においては、第1の実施形態の電力保護制御システム1と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。電力保護制御システム4が備えるそれぞれの構成要素における電力設備内の配置や接続は、第1の実施形態の電力保護制御システム1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0074】
電力保護制御システム4は、IED盤10b内にIEDユニット11-1とIEDユニット11-2との複数のIEDユニット11を備える場合の一例である。例えば、IEDユニット11-1は、電力設備の送電線保護用のIEDユニット11であり、IEDユニット11-2は、電力設備の母線保護用のIEDユニット11である。電源16は、対応するIEDユニット11に電源を供給する。
図8に示した電力保護制御システム4では、電源16-1がIEDユニット11-1に電源を供給し、電源16-2がIEDユニット11-2に電源を供給している。それぞれのIEDユニット11が備える制御部112(
図8では不図示)は、接続された電源16の情報を情報データに含めて、プロセスバスPBを介してPIUユニット21に伝送してもよい。
【0075】
電力保護制御システム4では、PIU盤20が備える一つのPIUユニット21が、IEDユニット11-1とIEDユニット11-2とのそれぞれからプロセスバスPBを介して伝送された情報データを受信し、受信したそれぞれの情報データが表す操作状態に応じて、対応する運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作を制御する。このとき、制御部212は、それぞれの情報データが表す操作状態を論理和した状態、つまり、復元したそれぞれの接点情報のディジタルデータを論理和した状態に、対応する運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24のそれぞれの動作を制御する。
【0076】
ところで、IED盤10bのように複数のIEDユニット11を備える場合、いずれかのIEDユニット11において問題が発生することも考えられる。IEDユニット11に発生する問題の要因としては、例えば、IEDユニット11内のいずれかの機能に動作不良が発生したり、(管理者による意図的であるか否かに関わらずに)電源16が切られて(オフにされて)IEDユニット11に電源が供給されなくなったりするなどの要因が考えられる。この場合、IEDユニット11において発生した問題によっては、IEDユニット11とPIUユニット21との間のプロセスバスPBを介したディジタル通信が途絶えてしまう(遮断されてしまう)ことも考えられる。より具体的には、発生した問題が、電源が供給されなくなったことによる場合には、問題が発生したIEDユニット11は、情報データを伝送することができない。この場合、問題が発生したIEDユニット11とPIUユニット21との間のプロセスバスPBを介したディジタル通信は途絶えてしまう。一方、発生した問題がディジタル通信に関連しない機能の動作不良である場合には、問題が発生したIEDユニット11は、情報データを伝送することができる。この場合、問題が発生したIEDユニット11が備える制御部112は、動作不良が発生したことを表す不良情報を情報データに含めて、プロセスバスPBを介してPIUユニット21に伝送する。ただし、問題が発生したIEDユニット11により伝送された情報データが表す操作状態は、必ずしも管理者が操作した運用スイッチ操作部12、リレースイッチ操作部13、およびトリップロック端子操作部14の操作状態であるとは限らない。このため、PIUユニット21が備える制御部212は、IEDユニット11に問題が発生した場合、問題が発生したIEDユニット11により伝送された情報データを受け付けないようにする。言い換えれば、制御部212は、問題が発生したIEDユニット11による電力設備の動作の制御をロックする。
【0077】
より具体的には、問題が発生したIEDユニット11との間のディジタル通信が途絶えてしまった場合、制御部212は、ディジタル通信が途絶えたことによって、IEDユニット11において問題が発生したと判断する。一方、問題が発生したIEDユニット11から不良情報が含まれた情報データが伝送された場合、制御部212は、不良情報が含まれた情報データを伝送したIEDユニット11において動作不良などの問題が発生したと判断する。そして、制御部212は、問題が発生したIEDユニット11からの操作状態(接点情報)が、問題が発生していないIEDユニット11からの操作状態(接点情報)に影響を及ぼさないような状態で、運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作を制御する。
【0078】
このような構成によって、電力保護制御システム4は、問題が発生していないIEDユニット11により伝送された情報データのみ応じて、電力施設に設置された電力設備の動作を制御する。
【0079】
[電力保護制御システムの動作]
図9は、第4の実施形態の電力保護制御システム4において電力設備を制御する動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
図9は、例えば、IED盤10bが備えるIEDユニット11-1において問題が発生した場合における電力保護制御システム4の動作の一例である。
図9にも、IED盤10bおよびPIU盤20が備えるそれぞれの構成要素の動作(処理)、およびそれぞれの構成要素の間での情報(データ)のやり取りの一例を示している。以下の説明においても、それぞれのIEDユニット11が備える不図示の制御部112の動作(処理)や情報(データ)のやり取りは、IEDユニット11が行うものとし、PIUユニット21が備える制御部212の動作(処理)や情報(データ)のやり取りは、PIUユニット21が行うものとする。
【0080】
IEDユニット11-1において問題が発生する(ステップS600)と、IEDユニット11-1は、発生した問題が、PIUユニット21との間の通信が遮断されてしまっているか否かを確認する(ステップS602)。ステップS602において、PIUユニット21との間の通信が遮断されてしまっていることが確認された場合、IEDユニット11-1からPIUユニット21への情報データの伝送が停止する(ステップS604)。一方、IEDユニット11-2は、例えば、管理者によって操作された運用スイッチ操作部12、リレースイッチ操作部13、およびトリップロック端子操作部14の接点情報を表す情報データを、PIUユニット21に伝送する(ステップS606)。
【0081】
PIUユニット21は、それぞれのIEDユニット11からの情報データの受信状態に基づいて、問題が発生したIEDユニット11を検出する(ステップS608)。ステップS608において、問題が発生したIEDユニット11が検出しなかった場合、PIUユニット21は、処理をステップS630に進める。一方、ステップS608において、問題が発生したIEDユニット11が検出した場合、PIUユニット21は、処理をステップS620に進める。ここでは、PIUユニット21は、IEDユニット11-1からの情報データを受信せず、IEDユニット11-2により伝送された情報データのみを受信しているため、ステップS608の処理において、PIUユニット21は、問題が発生したIEDユニット11としてIEDユニット11-1を検出し、処理をステップS620に進める。
【0082】
一方、ステップS602において、PIUユニット21との間の通信が遮断されていないことが確認された場合、IEDユニット11-1は、不良情報を含めた情報データを、PIUユニット21に伝送する(ステップS614)。一方、IEDユニット11-2は、例えば、管理者によって操作された運用スイッチ操作部12、リレースイッチ操作部13、およびトリップロック端子操作部14の接点情報を表す情報データを、PIUユニット21に伝送する(ステップS616)。
【0083】
PIUユニット21は、それぞれのIEDユニット11により伝送された情報データに不良情報が含まれているか否かを確認することによって、動作不良が発生したIEDユニット11(問題が発生したIEDユニット11)があるか否かを判定する(ステップS618)。ステップS618において、動作不良が発生したIEDユニット11がないと判定した場合、PIUユニット21は、処理をステップS630に進める。一方、ステップS618において、動作不良が発生したIEDユニット11があると判定した場合、PIUユニット21は、処理をステップS620に進める。ここでは、PIUユニット21は、IEDユニット11-1により伝送された情報データに不良情報が含まれており、IEDユニット11-2により伝送された情報データに不良情報が含まれていないため、ステップS618の処理において、PIUユニット21は、IEDユニット11-1を動作不良の問題が発生したIEDユニット11として判定し、処理をステップS620に進める。
【0084】
PIUユニット21は、問題が発生したIEDユニット11からの制御をロックし、問題が発生していないIEDユニット11により伝送された情報データが表す接点情報を復元し、復元したそれぞれの接点情報を論理和した状態で、対応する運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24のそれぞれの動作を制御する(ステップS620)。ここでは、PIUユニット21は、問題が発生したIEDユニット11-1からの制御をロックし、問題が発生していないIEDユニット11-2により伝送された情報データが表す接点情報を復元して、対応する運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24のそれぞれの動作を制御する。
【0085】
いずれのIEDユニット11にも問題が発生していない場合、PIUユニット21は、それぞれのIEDユニット11により伝送された情報データが表す接点情報を復元し、復元したそれぞれの接点情報を論理和した状態で、対応する運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24のそれぞれの動作を制御する(ステップS630)。例えば、IEDユニット11-1およびIEDユニット11-2のいずれにも問題が発生していない場合、PIUユニット21は、IEDユニット11-1とIEDユニット11-2とのそれぞれにより伝送された情報データが表す接点情報を復元して、復元したそれぞれの接点情報を論理和した状態で、対応する運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24のそれぞれの動作を制御する。
【0086】
このような電力保護制御システム4の動作(処理)によって、電力保護制御システム4が採用された電力施設では、IED盤10bが備える複数のIEDユニット11の内、いずれかのIEDユニット11に問題が発生した場合、この問題が発生したIEDユニット11から誤った動作の制御がされてしまう可能性を防いで、電力設備の動作を制御することができる。
【0087】
上記説明したように、第4の実施形態の電力保護制御システム4では、IED盤10bが備えるいずれかのIEDユニット11に問題が発生した場合、このIEDユニット11からの運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作の制御を受け付けないようにする。これにより、第4の実施形態の電力保護制御システム4では、問題が発生したIEDユニット11から誤った動作の制御がされてしまう可能性を防ぐことができる。このことにより、第4の実施形態の電力保護制御システム4が採用された電力施設では、より信頼性が高い電力設備を実現することができる。
【0088】
第4の実施形態では、第1の実施形態の電力保護制御システム1の構成を基本とした構成の電力保護制御システム4について説明した。しかし、電力保護制御システム4の構成は、第2の実施形態の電力保護制御システム2や、第3の実施形態の電力保護制御システム3の構成を基本とした構成であってもよい。つまり、IED盤10bが、表示部15を備える構成に代わり、PIU盤20が、PIU盤20aやPIU盤20bに代わった構成であってもよい。この構成の場合、電力保護制御システム4でも、電力保護制御システム2や電力保護制御システム3が有する機能(つまり、電力設備の動作を制御した結果を表示部15を備えるIED盤10bにおいて確認することができる機能や、PIU盤20bの健全性を表示部15を備えるIED盤10bにおいて確認することができる機能)を同時に実現することができる。
【0089】
(第5の実施形態)
[電力保護制御システムの構成]
図10は、第5の実施形態に係る電力保護制御システムの構成の一例を示す図である。
図10にも、第4の実施形態の電力保護制御システム4と同様に、トリップコイル32を備えるサーキットブレーカー30に流れる電流を制御する電力保護制御システムの一例を示している。電力保護制御システム5は、例えば、IED盤10bと、PIU盤20cと、を備える。IED盤10bは、例えば、二つのIEDユニット11(IEDユニット11-1および11-2)と、それぞれのIEDユニット11に対応する電源16(電源16-1および16-2)と、を備える。
図10においても省略しているが、IEDユニット11-1および11-2のそれぞれには、運用スイッチ操作部12と、リレースイッチ操作部13と、トリップロック端子操作部14とが接続されている。PIU盤20cは、例えば、PIUユニット21cと、二つの運用スイッチ制御回路22(運用スイッチ制御回路22-1および22-2)と、二つのリレースイッチ制御回路23(リレースイッチ制御回路23-1および23-2)と、二つのトリップロック端子制御回路24(トリップロック端子制御回路24-1および24-2)と、を備える。
図10においては、第4の実施形態の電力保護制御システム4と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。電力保護制御システム5が備えるそれぞれの構成要素における電力設備内の配置や接続は、第4の実施形態の電力保護制御システム4と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0090】
電力保護制御システム5は、PIU盤20c内に、IED盤10bが備える二つのIEDユニット11のそれぞれに対応する運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24を備える場合の一例である。例えば、運用スイッチ制御回路22-1、リレースイッチ制御回路23-1、およびトリップロック端子制御回路24-1のそれぞれが、IEDユニット11-1に対応するものであり、運用スイッチ制御回路22-2、リレースイッチ制御回路23-2、およびトリップロック端子制御回路24-2のそれぞれが、IEDユニット11-2に対応するものである。
【0091】
電力保護制御システム5では、PIU盤20cが備える一つのPIUユニット21cが、IEDユニット11-1とIEDユニット11-2とのそれぞれからプロセスバスPBを介して伝送された情報データを受信し、受信したそれぞれの情報データが表す操作状態に応じて、対応する運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作を制御する。PIUユニット21cは、例えば、制御部212cを備える。
【0092】
制御部212cは、電力保護制御システム4の制御部212と同様に、それぞれのIEDユニット11によりプロセスバスPBを介して伝送された情報データを受信し、受信した情報データが表す操作状態を復元して、対応する運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24のそれぞれの動作を制御する。このとき、制御部212cは、IEDユニット11-1により伝送された情報データに応じて運用スイッチ制御回路22-1、リレースイッチ制御回路23-1、およびトリップロック端子制御回路24-1のそれぞれの動作を制御し、IEDユニット11-2により伝送された情報データに応じて運用スイッチ制御回路22-2、リレースイッチ制御回路23-2、およびトリップロック端子制御回路24-2のそれぞれの動作を制御する。
【0093】
制御部212cは、「第2の制御部」の一例である。
【0094】
電力保護制御システム5においても、IED盤10bでは、いずれかのIEDユニット11において問題が発生することも考えられる。この場合、電力保護制御システム4と同様に、IEDユニット11において発生した問題によっては、IEDユニット11とPIUユニット21cとの間のプロセスバスPBを介したディジタル通信が途絶えてしまう(遮断されてしまう)ことも考えられる。このため、電力保護制御システム5でも、PIUユニット21cが備える制御部212cは、IEDユニット11に問題が発生した場合、問題が発生したIEDユニット11により伝送された情報データを受け付けないようにする(問題が発生したIEDユニット11による電力設備の動作の制御をロックする)。ただし、電力保護制御システム5では、PIU盤20cに、それぞれのIEDユニット11に対応する運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24を備えている。このため、制御部212cは、問題が発生したIEDユニット11からの操作状態(接点情報)のみを受け付けないようにし、問題が発生していないIEDユニット11からの操作状態(接点情報)は受け付けるようにする。そして、制御部212cは、問題が発生していないIEDユニット11からの操作状態(接点情報)に応じて、対応する運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作を制御する。
【0095】
このような構成によって、電力保護制御システム5は、問題が発生していないIEDユニット11により伝送された情報データのみ応じて、電力施設に設置された電力設備の動作を制御する。
【0096】
[電力保護制御システムの動作]
図11は、第5の実施形態の電力保護制御システム5において電力設備を制御する動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
図11は、第4の実施形態の電力保護制御システム4と同様に、例えば、IED盤10bが備えるIEDユニット11-1において問題が発生した場合における電力保護制御システム5の動作の一例である。
図11にも、IED盤10bおよびPIU盤20cが備えるそれぞれの構成要素の動作(処理)、およびそれぞれの構成要素の間での情報(データ)のやり取りの一例を示している。以下の説明においても、それぞれのIEDユニット11が備える不図示の制御部112の動作(処理)や情報(データ)のやり取りは、IEDユニット11が行うものとし、PIUユニット21cが備える制御部212cの動作(処理)や情報(データ)のやり取りは、PIUユニット21cが行うものとする。
【0097】
IEDユニット11-1において問題が発生する(ステップS700)と、IEDユニット11-1は、発生した問題が、PIUユニット21cとの間の通信が遮断されてしまっているか否かを確認する(ステップS702)。ステップS702において、PIUユニット21cとの間の通信が遮断されてしまっていることが確認された場合、IEDユニット11-1からPIUユニット21cへの情報データの伝送が停止する(ステップS704)。一方、IEDユニット11-2は、例えば、管理者によって操作された運用スイッチ操作部12、リレースイッチ操作部13、およびトリップロック端子操作部14の接点情報を表す情報データを、PIUユニット21cに伝送する(ステップS706)。
【0098】
PIUユニット21cは、それぞれのIEDユニット11からの情報データの受信状態に基づいて、問題が発生したIEDユニット11を検出する(ステップS708)。ステップS708において、問題が発生したIEDユニット11が検出しなかった場合、PIUユニット21cは、処理をステップS730に進める。一方、ステップS708において、問題が発生したIEDユニット11が検出した場合、PIUユニット21cは、処理をステップS720に進める。ここでは、PIUユニット21cは、IEDユニット11-1からの情報データを受信せず、IEDユニット11-2により伝送された情報データのみを受信しているため、ステップS708の処理において、PIUユニット21cは、問題が発生したIEDユニット11としてIEDユニット11-1を検出し、処理をステップS720に進める。
【0099】
一方、ステップS702において、PIUユニット21cとの間の通信が遮断されていないことが確認された場合、IEDユニット11-1は、不良情報を含めた情報データを、PIUユニット21cに伝送する(ステップS714)。一方、IEDユニット11-2は、例えば、管理者によって操作された運用スイッチ操作部12、リレースイッチ操作部13、およびトリップロック端子操作部14の接点情報を表す情報データを、PIUユニット21cに伝送する(ステップS716)。
【0100】
PIUユニット21cは、それぞれのIEDユニット11により伝送された情報データに不良情報が含まれているか否かを確認することによって、動作不良が発生したIEDユニット11(問題が発生したIEDユニット11)があるか否かを判定する(ステップS718)。ステップS718において、動作不良が発生したIEDユニット11がないと判定した場合、PIUユニット21cは、処理をステップS730に進める。一方、ステップS718において、動作不良が発生したIEDユニット11があると判定した場合、PIUユニット21cは、処理をステップS720に進める。ここでは、PIUユニット21cは、IEDユニット11-1により伝送された情報データに不良情報が含まれており、IEDユニット11-2により伝送された情報データに不良情報が含まれていないため、ステップS718の処理において、PIUユニット21cは、IEDユニット11-1を動作不良の問題が発生したIEDユニット11として判定し、処理をステップS720に進める。
【0101】
PIUユニット21cは、問題が発生したIEDユニット11からの制御をロックし、問題が発生していないIEDユニット11により伝送された情報データが表す接点情報を復元し、復元した接点情報に対応する運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24のそれぞれの動作を制御する(ステップS720)。ここでは、PIUユニット21cは、問題が発生したIEDユニット11-1からの制御をロックし、問題が発生していないIEDユニット11-2により伝送された情報データが表す接点情報を復元して、対応する運用スイッチ制御回路22-2、リレースイッチ制御回路23-2、およびトリップロック端子制御回路24-2のそれぞれの動作を制御する。
【0102】
いずれのIEDユニット11にも問題が発生していない場合、PIUユニット21cは、それぞれのIEDユニット11により伝送された情報データが表す接点情報を復元し、復元したそれぞれの接点情報に対応する運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24のそれぞれの動作を制御する(ステップS730)。例えば、IEDユニット11-1およびIEDユニット11-2のいずれにも問題が発生していない場合、PIUユニット21cは、IEDユニット11-1により伝送された情報データが表す接点情報を復元して、対応する運用スイッチ制御回路22-1、リレースイッチ制御回路23-1、およびトリップロック端子制御回路24-1のそれぞれの動作を制御する。さらに、PIUユニット21cは、IEDユニット11-2により伝送された情報データが表す接点情報を復元して、対応する運用スイッチ制御回路22-2、リレースイッチ制御回路23-2、およびトリップロック端子制御回路24-2のそれぞれの動作を制御する。
【0103】
このような電力保護制御システム5の動作(処理)によって、電力保護制御システム5が採用された電力施設では、IED盤10bが備える複数のIEDユニット11の内、いずれかのIEDユニット11に問題が発生した場合、この問題が発生したIEDユニット11から誤った動作の制御がされてしまう可能性を防いで、電力設備の動作を制御することができる。
【0104】
上記説明したように、第5の実施形態の電力保護制御システム5でも、第4の実施形態の電力保護制御システム4と同様に、IED盤10bが備えるいずれかのIEDユニット11に問題が発生した場合、このIEDユニット11からの運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24の動作の制御を受け付けないようにする。これにより、第5の実施形態の電力保護制御システム5でも、第4の実施形態の電力保護制御システム4と同様に、問題が発生したIEDユニット11から誤った動作の制御がされてしまう可能性を防ぐことができる。このことにより、第5の実施形態の電力保護制御システム5が採用された電力施設でも、第4の実施形態の電力保護制御システム4が採用された電力施設と同様に、より信頼性が高い電力設備を実現することができる。
【0105】
第5の実施形態でも、第1の実施形態の電力保護制御システム1の構成を基本とした構成の電力保護制御システム5について説明した。しかし、電力保護制御システム5の構成も、第4の実施形態の電力保護制御システム4の構成と同様に、第2の実施形態の電力保護制御システム2や、第3の実施形態の電力保護制御システム3の構成を基本とした構成であってもよい。つまり、IED盤10bが、表示部15を備える構成に代わり、PIU盤20cが、PIU盤20aやPIU盤20bが有する機能を実現する構成のものに代わった構成であってもよい。この構成の場合、電力保護制御システム5でも、第4の実施形態の電力保護制御システム4と同様に、電力保護制御システム2や電力保護制御システム3が有する機能(つまり、電力設備の動作を制御した結果を、表示部15を備えるIED盤10bにおいて確認することができる機能や、PIU盤20bの健全性を、表示部15を備えるIED盤10bにおいて確認することができる機能)を同時に実現することができる。
【0106】
(第6の実施形態)
[電力保護制御システムの構成]
図12は、第6の実施形態に係る電力保護制御システムの構成の一例を示す図である。
図12にも、第2の実施形態の電力保護制御システム2と同様に、トリップコイル32を備えるサーキットブレーカー30に流れる電流を制御する電力保護制御システムの一例を示している。電力保護制御システム6は、例えば、IED盤10cと、PIU盤20dと、を備える。IED盤10cは、例えば、IEDユニット11cと、表示部15と、テストボタン17と、を備える。
図12においては省略しているが、IEDユニット11cには、運用スイッチ操作部12と、リレースイッチ操作部13と、トリップロック端子操作部14とが接続されている。PIU盤20dは、例えば、PIUユニット21dと、運用スイッチ制御回路22と、リレースイッチ制御回路23と、トリップロック端子制御回路24と、を備える。
図12においては、第2の実施形態の電力保護制御システム2と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。電力保護制御システム6が備えるそれぞれの構成要素における電力設備内の配置や接続は、第2の実施形態の電力保護制御システム2と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0107】
電力保護制御システム6では、例えば、電力設備の管理者が、IED盤10cが備えるテストボタン17を操作(押下)することにより、PIU盤20dが備える運用スイッチ制御回路22、リレースイッチ制御回路23、およびトリップロック端子制御回路24が制御する電力設備の機器の動作の健全性を確認するための一連のテスト(試験)することができる。このため、電力保護制御システム6では、電力保護制御システム2のIED盤10aに相当するIED盤10cにテストボタン17が追加され、電力保護制御システム2のIEDユニット11aがIEDユニット11cに代わり、PIUユニット21aがPIUユニット21dに代わっている。
【0108】
テストボタン17は、電力保護制御システム6におけるテストの開始を指示するために、例えば、管理者が操作(押下)するボタンである。以下の説明においては、リレースイッチ制御回路23が制御する電力設備のリレースイッチの動作の健全性を確認するテストを行う場合を一例として説明する。
【0109】
IEDユニット11cは、テストボタン17が押下されると、電力保護制御システム6におけるテストのシーケンスを実行する。IEDユニット11cは、例えば、制御部112cを備える。
【0110】
制御部112cは、電力保護制御システム6におけるテストを開始する。制御部112cは、テストを開始すると、このことを表す情報データを、プロセスバスPBを介してPIU盤20dに伝送する。その後、制御部112cは、PIU盤20dにより伝送されたテストデータ(後述)を受信すると、受信したテストデータに基づいた演算を行って、リレースイッチ制御回路23が制御する電力設備のリレースイッチを動作させるための動作情報を表す情報データ(以下、「動作情報データ」という)を生成し、PIU盤20dに伝送する。制御部112cは、伝送した動作情報データに応じて動作が制御されたリレースイッチ制御回路23の動作状態を表す結果データをPIU盤20dから受信すると、受信した結果データに表されたリレースイッチ制御回路23が制御する電力設備のリレースイッチの動作状態を検証し、その検証結果を表示部15に表示させる。そして、制御部112cは、検証結果に問題がない(リレースイッチの動作状態が正常な動作である)場合、テストを終了することを表す情報データをPIU盤20dに伝送し、電力保護制御システム6におけるテストを終了する。
【0111】
制御部112cは、「第1の制御部」の一例である。
【0112】
PIUユニット21dは、IED盤10cが備えるIEDユニット11cによりプロセスバスPBを介して伝送された、テストを開始することを表す情報データに応じて、電力保護制御システム6におけるテストのシーケンスを実行する。PIUユニット21dは、例えば、制御部212dを備える。
【0113】
制御部212dは、IEDユニット11cから伝送された、テストを開始することを表す情報データを受信すると、電力保護制御システム6におけるテストを開始する。制御部212dは、テストを開始すると、運用スイッチ制御回路22およびトリップロック端子制御回路24の動作を制御し、電力設備が備える運用スイッチ制御回路22およびトリップロック端子制御回路24に対応する機器の動作をロックする。そして、制御部212dは、リレースイッチ制御回路23が制御する電力設備のリレースイッチの動作の健全性を確認するためのテストデータを、プロセスバスPBを介してIEDユニット11cに伝送する。テストデータは、例えば、電力設備のリレースイッチが実際に動作する(リレースイッチが閉状態、つまり、経路を遮断した状態にする)電流値や電圧値を模擬したものである。その後、制御部212dは、IEDユニット11cから伝送された、リレースイッチ制御回路23を動作させるための動作情報データを受信すると、受信した動作情報データに応じて、リレースイッチ制御回路23の動作を制御し、電力設備が備えるリレースイッチを動作させる。そして、制御部212dは、リレースイッチ制御回路23が制御する電力設備のリレースイッチの動作状態を取得し、取得した動作状態を表す結果データをIEDユニット11cに伝送する。その後、制御部212dは、IEDユニット11cから伝送された、テストを終了することを表す情報データを受信すると、運用スイッチ制御回路22およびトリップロック端子制御回路24の動作を制御して、電力設備が備える運用スイッチ制御回路22およびトリップロック端子制御回路24に対応する機器のロックを解除し、電力保護制御システム6におけるテストを終了する。
【0114】
制御部212dは、「第2の制御部」の一例である。
【0115】
このような構成によって、電力保護制御システム6では、管理者がテストボタン17を押下することによって、IED盤10cが備えるIEDユニット11cとPIU盤20dが備えるPIU盤20dとが協働して、電力施設に設置された電力設備の動作の健全性を確認するための一連のテスト(試験)することができる。
【0116】
[電力保護制御システムの動作]
図13は、第6の実施形態の電力保護制御システム6において電力設備をテストする動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
図13は、例えば、電力設備のリレー盤室に存在する管理者が、IED盤10cが備えるテストボタン17を押下することによって、PIU盤20dが備えるリレースイッチ制御回路23が制御する電力設備のリレースイッチの動作の健全性を確認するテストを行う場合における電力保護制御システム6の動作の一例である。
図13にも、IED盤10cおよびPIU盤20dが備えるそれぞれの構成要素の動作(処理)、およびそれぞれの構成要素の間での情報(データ)のやり取りの一例を示している。以下の説明においても、IEDユニット11cが備える制御部112cの動作(処理)や情報(データ)のやり取りは、IEDユニット11cが行うものとし、PIUユニット21dが備える制御部212dの動作(処理)や情報(データ)のやり取りは、PIUユニット21dが行うものとする。
【0117】
管理者によってテストボタン17が押下される(ステップS800)と、IEDユニット11cは、テストボタン17の押下態を取得する(ステップS802)。これにより、IEDユニット11cは、電力保護制御システム6におけるテストを開始する。そして、IEDユニット11cは、テスト開始を表す情報データを、PIUユニット21dに伝送する(ステップS804)。
【0118】
PIUユニット21dは、IEDユニット11cにより伝送された情報データを受信する。これにより、PIUユニット21dは、電力保護制御システム6におけるテストを開始する。そして、PIUユニット21dは、受信した情報データが表すテスト開始の情報に応じて、運用スイッチ制御回路22およびトリップロック端子制御回路24の動作をロックするように制御する(ステップS806)。これにより、メタルケーブルMCによって運用スイッチ制御回路22およびトリップロック端子制御回路24のそれぞれに接続された電力設備の機器は、制御された運用スイッチ制御回路22およびトリップロック端子制御回路24のそれぞれに応じて動作がロックされる。そして、PIUユニット21dは、リレースイッチ制御回路23が制御する電力設備のリレースイッチの動作の健全性を確認するためのテストデータを、IEDユニット11cに伝送する(ステップS808)。
【0119】
IEDユニット11cは、PIUユニット21dにより伝送されたテストデータを受信し、受信したテストデータに基づいた演算を行って、リレースイッチ制御回路23が制御する電力設備のリレースイッチを動作させるための動作情報を表す動作情報データを生成する(ステップS810)。IEDユニット11cは、生成した動作情報データを、PIUユニット21dに伝送する(ステップS812)。
【0120】
PIUユニット21dは、IEDユニット11cにより伝送された動作情報データを受信し、受信した動作情報データが表す動作情報を復元する(ステップS814)。PIUユニット21dは、復元した動作情報に応じてリレースイッチ制御回路23の動作を制御して(ステップS816)、電力設備が備えるリレースイッチを動作させる。これにより、メタルケーブルMCによってリレースイッチ制御回路23に接続された電力設備のリレースイッチは、制御されたリレースイッチ制御回路23に応じた動作をする。
【0121】
その後、PIUユニット21dは、リレースイッチ制御回路23によって制御した電力設備のリレースイッチの動作状態を取得する(ステップS818)。PIUユニット21dは、取得した電力設備のリレースイッチの動作状態を表す結果データを、IEDユニット11cに伝送する(ステップS820)。
【0122】
IEDユニット11cは、PIUユニット21dにより伝送された結果データを受信し、受信した結果データが表す電力設備のリレースイッチの動作状態を検証する(ステップS822)。そして、IEDユニット11cは、検証結果に問題があるか否か、つまり、電力設備のリレースイッチが伝送した動作情報データに対応する正常な動作状態であるか否かを判定する(ステップS824)。
【0123】
ステップS824において、電力設備のリレースイッチの動作状態が正常な動作状態であると判定した場合、IEDユニット11cは、テスト終了を表す情報データを、PIUユニット21dに伝送する(ステップS826)。
【0124】
PIUユニット21dは、IEDユニット11cにより伝送された情報データを受信し、受信した情報データが表すテスト終了の情報に応じて、運用スイッチ制御回路22およびトリップロック端子制御回路24の動作のロックを解除するように制御する(ステップS828)。これにより、メタルケーブルMCによって運用スイッチ制御回路22およびトリップロック端子制御回路24のそれぞれに接続された電力設備の機器は、制御された運用スイッチ制御回路22およびトリップロック端子制御回路24のそれぞれに応じて動作のロックが解除される。その後、PIUユニット21dは、運用スイッチ制御回路22およびトリップロック端子制御回路24のそれぞれに対応する電力設備の機器の動作のロックを解除したことを表すロック解除データを、IEDユニット11cに伝送する(ステップS830)。そして、PIUユニット21dは、電力保護制御システム6におけるテストを終了する。
【0125】
IEDユニット11cは、PIUユニット21dにより伝送されたロック解除データを受信すると、検証結果を表示部15に表示させて、IED盤10cを操作している管理者に提示させる(ステップS832)。この場合、IEDユニット11cは、検証結果に問題がなかった、つまり、ステップS824において、電力設備のリレースイッチの動作状態が正常な動作状態であると判定したことを表す検証結果を表示部15に表示させる。そして、IEDユニット11cは、電力保護制御システム6におけるテストを終了する。
【0126】
一方、ステップS824において、電力設備のリレースイッチの動作状態が正常な動作状態ではないと判定した場合、IEDユニット11cは、検証結果を表示部15に表示させて、IED盤10cを操作している管理者に提示させる(ステップS832)。この場合、IEDユニット11cは、検証結果に問題があったことを表す検証結果を表示部15に表示させる。この場合、IEDユニット11cは、テスト終了を表す情報データをPIUユニット21dに伝送していないため、電力保護制御システム6におけるテストは継続している状態である。
【0127】
このような電力保護制御システム6の動作(処理)によって、電力保護制御システム6が採用された電力施設では、管理者が、電力設備から離れた場所のリレー盤室に配置されているIED盤10cが備えるテストボタン17を操作(押下)することによって、IEDユニット11cとPIU盤20dとが協働して、電力設備の機器の動作の健全性を確認するための一連のテスト(試験)のシーケンスを実行することができる。これにより、電力保護制御システム6が採用された電力施設では、管理者が、リレー盤室から離れた場所に設置された電力設備のところに出向くことなく、電力設備の機器の動作の健全性を確認することができる。これも、例えば、電力設備の点検や試験などを行う際に、有効である。
【0128】
図13に示したシーケンス図では、テストボタン17の押下に応じて、リレースイッチ制御回路23が制御する電力設備のリレースイッチの動作の健全性を確認するテストを行う場合における電力保護制御システム6の動作の一例を示したが、テストボタン17の押下に応じて、運用スイッチ制御回路22やトリップロック端子制御回路24は制御する電力設備の機器の動作の健全性を確認するテストを行う場合においても同様である。この場合において電力保護制御システム6が備えるそれぞれの構成要素の動作(処理)や情報(データ)のやり取りは、
図13に示したシーケンス図におけるそれぞれの構成要素の動作(処理)や情報(データ)のやり取りと等価なものになるようにすればよい。
【0129】
上記説明したように、第6の実施形態の電力保護制御システム6では、テストボタン17は操作(押下)されると、IEDユニット11c(制御部112c)と、PIUユニット21d(制御部212d)とが協働して、電力設備が備える対応する機器の動作の健全性を確認するための一連のテスト(試験)のシーケンスを実行し、その結果を表示部15に表示させて、管理者に提示する。これにより、第6の実施形態の電力保護制御システム6では、例えば、リレー盤室に存在する管理者が、テストボタン17を操作(押下)するのみで、離れた場所に設置された電力設備のところに出向くことなく、より容易に電力設備の機器の健全性を確認することができる。これにより、第6の実施形態の電力保護制御システム6が採用された電力施設では、より効率的に電力設備の機器の点検や試験などを行うことができる。これにより、第6の実施形態の電力保護制御システム6が採用された電力施設では、より信頼性が高く、より保守性の高い電力設備を実現することができる。
【0130】
第6の実施形態では、IEDユニット11cにテストボタン17を備える構成の電力保護制御システム6について説明した。しかし、テストボタン17は、IEDユニット11cの代わりに、PIUユニット21dに備える構成であってもよい。この構成の場合でも、IED盤10cが備えるIEDユニット11cとPIU盤20dが備えるPIU盤20dとが協働して、電力設備が備える対応する機器の動作の健全性を確認するための一連のテスト(試験)のシーケンスを実行することができる。この構成の場合において電力保護制御システム6が備えるそれぞれの構成要素の動作(処理)や情報(データ)のやり取りは、
図13に示したシーケンス図におけるそれぞれの構成要素の動作(処理)や情報(データ)のやり取りと等価なものになるようにすればよい。
【0131】
上記に述べたとおり、各実施形態の電力保護制御システムでは、IED盤とPIU盤とがプロセスバスによって接続される。これにより、各実施形態の電力保護制御システムでは、それぞれの盤を離れた場所に配置することができる。そして、各実施形態の電力保護制御システムでは、IEDユニット(制御部)が、運用スイッチ操作部、リレースイッチ操作部、およびトリップロック端子操作部に対する操作状態を表す情報データを、プロセスバスを介してPIU盤に伝送し、PIUユニット(制御部)が、プロセスバスを介して伝送された情報データを復元して、運用スイッチ制御回路、リレースイッチ制御回路、およびトリップロック端子制御回路の動作を制御する。これにより、各実施形態の電力保護制御システムでは、離れた場所に配置されているIED盤の操作によって、PIU盤が備える運用スイッチ制御回路、リレースイッチ制御回路、およびトリップロック端子制御回路にメタルケーブルによって接続されている電力設備の機器の動作を制御することができる。このことにより、各実施形態の電力保護制御システムが採用された電力施設では、例えば、電力設備の点検や試験などを容易に行うことができる電力設備を実現することができる。
【0132】
各実施形態の電力保護制御システムでは、実際のスイッチや端子を、運用スイッチ操作部、リレースイッチ操作部、およびトリップロック端子操作部としてIED盤に備える構成について説明した。しかし、運用スイッチ操作部や、リレースイッチ操作部、トリップロック端子操作部は、実際のスイッチや端子であることに限定されない。例えば、IED盤の機能を、パーソナルコンピュータ(Personal Computer:PC)、サーバー装置などのコンピュータ装置や、タブレット端末、スマートフォンなどの端末装置など、表示装置と入力装置とが接続されるあるいは内蔵するディジタル機器において実行されるソフトウェア(アプリケーション)によって実現してもよい。この場合、模式的な運用スイッチ操作部や、リレースイッチ操作部、トリップロック端子操作部を表示装置に表示させ、これらの模式的なスイッチや端子を、マウスやキーボードなどの入力装置で操作することによって、実際のスイッチや端子を操作しているのと等価なものになるようにしてもよい。このとき、模式的な運用スイッチ操作部や、リレースイッチ操作部、トリップロック端子操作部を表示させる表示装置に入力装置が組み合わされた構成(いわゆる、タッチパネル)である場合には、表示装置の画面上で、表示された模式的なスイッチや端子に対して各種のタッチ(タップやフリックなど)操作をすることによって、実際のスイッチや端子を操作しているのと等価なものになるようにすることもできる。
【0133】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、インテリジェント電子デバイス盤(10)とプロセスインターフェースユニット盤(20)とがプロセスバス(PB)により接続された電力保護制御システムであって、インテリジェント電子デバイス盤は、プロセスインターフェースユニット盤が備える制御回路(22、23、24)を操作するための操作部(12、13、14)と、操作部に対する操作状態を取得し、取得した操作状態を表す情報データをプロセスバスを介してプロセスインターフェースユニット盤に伝送する第1の制御部(112)を有するインテリジェント電子デバイスユニット(11)と、を備え、プロセスインターフェースユニット盤は、電力施設に設置された電力設備を制御する制御回路(22、23、24)と、プロセスバスを介して伝送された情報データが表す操作状態を復元し、復元した操作状態に応じて制御回路の動作を制御する第2の制御部(212)を有するプロセスインターフェースユニット(21)と、を備えることにより、プロセスバスが適用された電力保護制御システムにおいて、電力設備の制御をより好適に行うことができる。
【0134】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0135】
以上の実施形態に関し、発明の一側面および選択的な特徴として以下の付記を開示する。
(付記1)
インテリジェント電子デバイス盤とプロセスインターフェースユニット盤とがプロセスバスにより接続された電力保護制御システムであって、
前記インテリジェント電子デバイス盤は、
前記プロセスインターフェースユニット盤が備える制御回路を操作するための操作部と、
前記操作部に対する操作状態を取得し、取得した前記操作状態を表す情報データを前記プロセスバスを介して前記プロセスインターフェースユニット盤に伝送する第1の制御部を有するインテリジェント電子デバイスユニットと、
を備え、
前記プロセスインターフェースユニット盤は、
電力施設に設置された電力設備を制御する前記制御回路と、
前記プロセスバスを介して伝送された前記情報データが表す操作状態を復元し、前記復元した操作状態に応じて前記制御回路の動作を制御する第2の制御部を有するプロセスインターフェースユニットと、
を備える、
電力保護制御システム。
【0136】
(付記2)
付記1に記載の電力保護制御システムにおいて、
前記インテリジェント電子デバイス盤は、前記電力施設における任意の場所に配置され、
前記プロセスインターフェースユニット盤は、前記電力設備の近傍に配置され、
前記制御回路と前記電力設備が備える機器とは、アナログ信号線によって接続されてもよい。
【0137】
(付記3)
付記2に記載の電力保護制御システムにおいて、
前記制御回路は、運用スイッチと、リレースイッチと、トリップロック端子とを含んでもよい。
【0138】
(付記4)
付記3に記載の電力保護制御システムにおいて、
前記第2の制御部は、前記復元した操作状態に応じて制御した前記制御回路の動作状態を取得し、取得した前記動作状態を表す結果データを前記プロセスバスを介して前記インテリジェント電子デバイス盤に伝送し、
前記インテリジェント電子デバイス盤は、前記プロセスバスを介して伝送された前記結果データが表す動作状態を提示するための表示部、をさらに備え、
前記第1の制御部は、前記結果データが表す動作状態を前記表示部に表示させてもよい。
【0139】
(付記5)
付記4に記載の電力保護制御システムにおいて、
前記プロセスインターフェースユニット盤は、前記トリップロック端子の両端の電圧を計測する二つの電圧計測部、をさらに備え、
前記第2の制御部は、それぞれの前記電圧計測部が計測した電圧値を取得し、取得した前記電圧値を含む前記結果データを、前記プロセスバスを介して前記インテリジェント電子デバイス盤に伝送し、
前記第1の制御部は、前記プロセスバスを介して伝送された前記結果データが表す前記電圧値を前記表示部に表示させもよい。
【0140】
(付記6)
付記1から付記5のうちいずれか一つに記載の電力保護制御システムにおいて、
前記インテリジェント電子デバイス盤は、複数の前記インテリジェント電子デバイスユニットを備え、
前記第2の制御部は、それぞれの前記インテリジェント電子デバイスユニットから前記プロセスバスを介して伝送されたそれぞれの前記情報データが表すそれぞれの操作状態を復元し、前記復元したそれぞれの操作状態の論理和した操作状態に応じて前記制御回路の動作を制御してもよい。
【0141】
(付記7)
付記6に記載の電力保護制御システムにおいて、
前記第2の制御部は、いずれかの前記インテリジェント電子デバイスユニットからの前記プロセスバスを介した前記情報データの伝送が途絶えた場合、前記情報データの伝送が途絶えた前記インテリジェント電子デバイスユニットから伝送された前記情報データが表す操作状態に応じた前記制御回路の動作の制御を受け付けないようにしてもよい。
【0142】
(付記8)
付記6または付記7に記載の電力保護制御システムにおいて、
前記第2の制御部は、いずれかの前記インテリジェント電子デバイスユニットから前記プロセスバスを介して伝送された前記情報データが動作不良であることを表す場合、前記動作不良である前記インテリジェント電子デバイスユニットから伝送された前記情報データが表す操作状態に応じた前記制御回路の動作の制御を受け付けないようにしてもよい。
【0143】
(付記9)
付記1から付記5のうちいずれか一つに記載の電力保護制御システムにおいて、
前記インテリジェント電子デバイス盤は、複数の前記インテリジェント電子デバイスユニットを備え、
前記プロセスインターフェースユニット盤は、それぞれの前記インテリジェント電子デバイスユニットに対応する複数の前記制御回路を備え、
前記第2の制御部は、それぞれの前記インテリジェント電子デバイスユニットから前記プロセスバスを介して伝送されたそれぞれの前記情報データが表すそれぞれの操作状態を復元し、前記復元したそれぞれの操作状態に応じて、対応する前記制御回路の動作を制御してもよい。
【0144】
(付記10)
付記9に記載の電力保護制御システムにおいて、
前記第2の制御部は、いずれかの前記インテリジェント電子デバイスユニットからの前記プロセスバスを介した前記情報データの伝送が途絶えた場合、前記情報データの伝送が途絶えた前記インテリジェント電子デバイスユニットに対応する前記制御回路の動作の制御を受け付けないようにしてもよい。
【0145】
(付記11)
付記9または付記10に記載の電力保護制御システムにおいて、
前記第2の制御部は、いずれかの前記インテリジェント電子デバイスユニットから前記プロセスバスを介して伝送された前記情報データが動作不良であることを表す場合、前記動作不良である前記インテリジェント電子デバイスユニットに対応する前記制御回路の動作の制御を受け付けないようにしてもよい。
【0146】
(付記12)
付記1から付記11のうちいずれか一つに記載の電力保護制御システムにおいて、
前記インテリジェント電子デバイス盤は、前記制御回路のテストを行うためのテストボタンを備え、
前記第2の制御部は、前記プロセスバスを介して前記テストボタンが押下されたことを表す前記情報データが伝送された場合、前記制御回路の動作をロックするとともに、前記プロセスバスを介して前記インテリジェント電子デバイス盤にテストデータを伝送し、
前記第1の制御部は、前記テストデータに基づく動作情報データを前記プロセスバスを介して前記プロセスインターフェースユニット盤に伝送し、
前記第2の制御部は、前記動作情報データに応じて前記制御回路の動作を制御するとともに、前記制御回路の動作状態を表す結果データを前記プロセスバスを介して前記インテリジェント電子デバイス盤に伝送し、
前記第1の制御部は、前記結果データが表す前記動作状態を検証してもよい。
【符号の説明】
【0147】
1,2,3,4,5,6・・・電力保護制御システム、10,10a,10b,10c・・・IED盤、11,11a,11-1,11-2,11c・・・IEDユニット、112,112a,112c・・・制御部、12・・・運用スイッチ操作部、13・・・リレースイッチ操作部、14・・・トリップロック端子操作部、15・・・表示部、16,16-1,16-2・・・電源、17・・・テストボタン、20,20a,20b,20c,20d・・・PIU盤、21,21a,21c,21d・・・PIUユニット、212,212a,212c,212d・・・制御部、22,22-1,22-2・・・運用スイッチ制御回路、23,23-1,23-2・・・リレースイッチ制御回路、24,24-1,24-2・・・トリップロック端子制御回路、251・・・検圧リレー、252・・・検圧リレー、30・・・サーキットブレーカー、32・・・トリップコイル、PB・・・プロセスバス、MC・・・メタルケーブル