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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167584
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】美容器及び美容器の制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078874
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】干場 太一
(72)【発明者】
【氏名】飯村 瑠里子
(72)【発明者】
【氏名】金子 翔太
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB23
4C053JJ02
4C053JJ04
4C053JJ13
4C053JJ24
4C053JJ40
(57)【要約】
【課題】使用者の肌に対してより使用感の得られる刺激を与える美容器を提供する。
【解決手段】美容器1Aは、使用者の肌に電流を流す3つ以上の電極23を有する電極群22と、電極群22に含まれる電極23から2つ以上のプラス極と1つ以上のマイナス極とを設定しつつ、当該設定を所定の時間ごとに変化させる制御部13aを備える。制御部13aは、2つ以上のプラス極から選択された第1プラス極と第2プラス極との各々が印加する電流の特性を互いに異ならせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の肌に電流を流す3つ以上の電極を有する電極群と、
前記電極群に含まれる前記電極に、2つ以上のプラス極と1つ以上のマイナス極とを設定しつつ、当該設定を所定の時間ごとに変化させる制御部と、を備え、
前記制御部は、2つ以上の前記プラス極から選択された第1プラス極と第2プラス極との各々が印加する前記電流の特性を互いに異ならせる、美容器。
【請求項2】
前記電極が印加する前記電流の周波数は、1Hz以上、10kHz未満の範囲にある、請求項1に記載の美容器。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1プラス極と前記第2プラス極とでは、前記電流の前記周波数の大きさを互いに異ならせる、請求項2に記載の美容器。
【請求項4】
前記第1プラス極と前記第2プラス極とでの前記電流の前記周波数の差は、0.1Hz以上、100kHz未満の範囲にある、請求項3に記載の美容器。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1プラス極又は前記第2プラス極では、前記電流の前記周波数を経時的に変化させる、請求項2に記載の美容器。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1プラス極と、1つ以上の前記マイナス極から選択された第1マイナス極との組み合わせからなる第1チャンネルと、前記第2プラス極と、1つ以上の前記マイナス極から選択された第2マイナス極との組み合わせからなる第2チャンネルとを、前記第1チャンネルでの前記電流の流れ範囲と前記第2チャンネルでの前記電流の流れ範囲とが少なくとも一部で交差するように設定する、請求項1又は2に記載の美容器。
【請求項7】
前記電極群に含まれる前記電極から選択される2つの前記電極についての電極間距離は、選択される前記電極ごとに異なる、請求項1又は2に記載の美容器。
【請求項8】
3つ以上の前記電極を並列配置するヘッド部と、
前記ヘッド部を保持する本体部と、を備え、
3つ以上の前記電極は、少なくとも、
前記本体部の底部から最も離間して配置される上部電極、
前記本体部の底部に最も近接して配置される下部電極、及び、
前記上部電極と前記下部電極との間に各々配置される複数の中間電極である、請求項1に記載の美容器。
【請求項9】
前記上部電極と、当該上部電極に対して最も近い位置にある前記中間電極との間の距離を第1距離とし、
前記下部電極と、当該下部電極に対して最も近い位置にある前記中間電極との間の距離を第2距離とし、
互いに隣り合う2つの前記中間電極の間の距離を第3距離とすると、
前記第3距離の値は、前記第1距離及び前記第2距離の各々の値と異なる、請求項8に記載の美容器。
【請求項10】
前記使用者の顔面に装着されるマスク本体を備え、
前記電極群は、前記使用者の左右の頬の位置に合わせて前記マスク本体に設けられる、請求項1に記載の美容器。
【請求項11】
3つ以上の前記電極は、眼輪筋、大小頬骨筋及び上唇挙筋から選択された少なくとも1つの筋肉にまたがる位置に配置される、請求項10に記載の美容器。
【請求項12】
3つ以上の前記電極の各々の表面の重心を頂点とする多角形を想定したとき、
前記多角形の各々の辺の長さは、互いに異なる、請求項11に記載の美容器。
【請求項13】
使用者の肌に電流を流す3つ以上の電極を有する電極群を備える美容器の制御方法であって、
前記電極群に含まれる前記電極に、2つ以上のプラス極と1つ以上のマイナス極とを設定しつつ、当該設定を所定の時間ごとに変化させる工程を有し、
当該工程では、前記2つ以上の前記プラス極から選択された第1プラス極と第2プラス極との各々が印加する電流の特性が互いに異なる、美容器の制御方法。
【請求項14】
使用者の肌に特性の異なる電流を流す3つ以上の電極を有する電極群部と、
前記電極群部に含まれる前記電極に、2つ以上のプラス極と1つ以上のマイナス極とを設定しかつ当該設定を所定の時間ごとに変化させる電極設定制御部と、を備え、
前記電極設定制御部は、2つ以上の前記プラス極の前記電極を選択し、選択した前記電極の各々が印加する電流の特性を経時的に変化させるように制御する美容器。
【請求項15】
前記電流の特性は、周波数である請求項14に記載の美容器。
【請求項16】
前記3つ以上の電極群部において、各々の前記電極の電極間距離を互いに異なる請求項14又は15に記載の美容器。
【請求項17】
前記電極設定制御部は、前記3つ以上の電極群部において、各々の前記電極の電極間距離が近接している電極同士では強く浅い刺激を行い、各々の前記電極の電極間距離が遠接している電極同士では弱く深い刺激を行う請求項14又は15に記載の美容器。
【請求項18】
前記美容器は、手持ち式の美容器又は顔面に装着可能なマスク型美容器である請求項14又は15に記載の美容器。
【請求項19】
前記電流は、低周波電流、中周波電流又は干渉低周波電流である請求項14又は15に記載の美容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、美容器及び美容器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者の肌面に電極を接触させた状態で通電することで、肌に対して美容効果を与える美容器がある。特許文献1は、周方向に沿って配置された複数の電極を備え、所定の組み合わせの電極間に通電する美容器に関する技術を開示している。この美容器では、電極の組み合わせを変化させることで、通電される肌上の部位が経時的に変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-185207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている美容器は、所定の組み合わせに係る電極間のみでしか肌に刺激を与えることができないため、肌への使用感が乏しい。
【0005】
本開示は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本開示の目的は、使用者の肌に対してより使用感の得られる刺激を与える美容器及び美容器の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様に係る美容器は、使用者の肌に電流を流す3つ以上の電極を有する電極群と、電極群に含まれる電極から2つ以上のプラス極と1つ以上のマイナス極とを設定しつつ、当該設定を所定の時間ごとに変化させる制御部と、を備え、制御部は、2つ以上のプラス極から選択された第1プラス極と第2プラス極との各々が印加する電流の特性を互いに異ならせる。
【0007】
また、本開示の第2の態様は、使用者の肌に電流を流す3つ以上の電極を有する電極群を備える美容器の制御方法であって、電極群に含まれる電極から2つ以上のプラス極と1つ以上のマイナス極とを設定しつつ、当該設定を所定の時間ごとに変化させる工程を有し、当該工程では、2つ以上のプラス極から選択された第1プラス極と第2プラス極との各々が印加する電流の特性が互いに異なる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、使用者の肌に対してより使用感の得られる刺激を与える美容器及び美容器の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る美容器の斜視図である。
図2】第1実施形態に係る美容器に備わるヘッド部の拡大図である。
図3A】第1実施形態での第1の使用モードの第1段階を示す図である。
図3B】第1実施形態での第1の使用モードの第2段階を示す図である。
図3C】第1実施形態での第1の使用モードの第3段階を示す図である。
図3D】第1実施形態での第1の使用モードの第4段階を示す図である。
図4】拡張構造体が接続された美容器を示す斜視図である。
図5】拡張構造体の一部拡大図である。
図6】第2実施形態に係る美容器の斜視図である。
図7】第2実施形態に係る美容器の平面図である。
図8】第2実施形態に係る美容器の分解図である。
図9図7中のIX-IX断面に対応したマスク本体の断面図である。
図10A】第2実施形態での第1の使用モードの第1段階を示す図である。
図10B】第2実施形態での第1の使用モードの第2段階を示す図である。
図10C】第2実施形態での第1の使用モードの第3段階を示す図である。
図10D】第2実施形態での第1の使用モードの第4段階を示す図である。
図11A】第2実施形態での第2の使用モードの第1段階を示す図である。
図11B】第2実施形態での第2の使用モードの第2段階を示す図である。
図11C】第2実施形態での第2の使用モードの第3段階を示す図である。
図11D】第2実施形態での第2の使用モードの第4段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る美容器1Aを示す斜視図である。図2は、美容器1Aに備わるヘッド部20の拡大図である。
【0012】
美容器1Aは、美容器1A自体を使用者が把持した状態で施術する方式を採用し、電気刺激として使用者の肌に対して電流を流すことで美容効果を与える装置である。美容器1Aは、本体部10と、ヘッド部20とを備える。
【0013】
本体部10は、筐体11と、電源供給部としての電池12と、制御部13aを実装する制御基板13と、操作部としてのスイッチボタンとを備える。
【0014】
筐体11は、一部でヘッド部20を支持するとともに、電池12及び制御基板13等の構成要素を収容する。筐体11は、全体として、一方の端部を頂部11aとし、他方の端部を底部11bとする柱状である。施術時には、筐体11の側面部が使用者によって把持される。以下、筐体11における側面部の一部で、かつ、施術時に使用者が筐体11を把持したときに使用者側に相対する部分を、正面部11cと規定する。一方、筐体11における側面部の一部で、かつ、正面部11cの反対側の部分を、背面部11dと規定する。筐体11がこのような柱状であることによって、使用者が筐体11を把持するとき、使用者の掌及び親指以外の指が背面部11dに接触し、使用者の親指が正面部11cに接触しやすい。
【0015】
頂部11aは、ヘッド部20を支持する。頂部11aとなる表面は、正面部11c側の高さが背面部11d側の高さよりも低くなるように、筐体11の軸方向とは垂直となる平面に対して傾斜している。これにより、使用者は、施術時に筐体11を把持したとき、ヘッド部20を自身の肌に当接させやすい。
【0016】
電池12は、制御基板13に電気的に接続されている。制御基板13は、一部がヘッド部20にある電極群22に電気的に接続されている。
【0017】
スイッチボタンは、筐体11の正面部11cから外部に露出して、使用者により操作される。スイッチボタンは、例えば、電源/モードスイッチ14a、及び、レベルスイッチ14bである。電源/モードスイッチ14aは、電源のオン/オフ、及び、使用モードの切り替え等を行う際に操作される。レベルスイッチ14bは、通電レベルを調整する際に操作される。
【0018】
ヘッド部20は、電力が供給されることで動作し、使用者の肌に対して施術を行う。ヘッド部20は、ヘッド本体21と、電極群22とを備える。
【0019】
ヘッド本体21は、施術時に使用者の施術対象としての肌と対向するヘッド面21aを有する。また、ヘッド本体21は、施術時に使用者の肌に接触する電極群22を配置するヘッド面21aを有する。
【0020】
電極群22は、上部電極23aと、下部電極23bと、中間電極との3つ以上の電極23の集合体である。中間電極とは、上部電極23aと下部電極23bとの間に配置される電極である。本実施形態では、電極群22は、第1中間電極23cと、第2中間電極23dとの2つの中間電極を含む。つまり、電極群22は、上部電極23aと、下部電極23bと、第1中間電極23cと、第2中間電極23dとの4つの電極23を含む。電極23は、例えばチタン合金で構成される。
【0021】
上部電極23aは、ヘッド面21aにおいて本体部10の底部11bから最も離間した位置に配置される電極である。下部電極23bは、ヘッド面21aにおいて底部11bから最も近接した位置に配置される電極である。第1中間電極23cは、ヘッド面21aにおいて上部電極23aと隣り合う位置に配置される電極である。第2中間電極23dは、ヘッド面21aにおいて下部電極23bと隣り合う位置に配置される電極である。つまり、ヘッド面21aでは、4つの電極は、上部電極23aと下部電極23bとが対向する方向で並列配置される。
【0022】
また、電極群22に含まれる各電極23の平面形状は、例えば、以下のように設定される。上部電極23aの平面形状は、下部電極23bに向かう側が凸となる曲線部を含む形状であってもよい。第1中間電極23c及び第2中間電極23dの平面形状は、ともに、上部電極23aに向かう側が凹となる曲線部と、下部電極23bに向かう側が凸となる曲線部とを含む、いわゆる弓形であってもよい。また、下部電極23bの平面形状は、上部電極23aに向かう側が凹となる曲線部を含む形状であってもよい。ここで、各電極23に含まれる曲線部の曲率は、互いに、おおよそ同等に設定される。つまり、互いに隣り合う電極23同士の距離は、曲線部全体として、おおよそ一定である。各電極23の平面形状がこのような形状に設定されることで、各電極23は、肌の曲面に沿って効率的に電流を流すことができる。
【0023】
更に、電極群22に含まれる各電極23間の距離は、例えば、以下のように設定される。図2に示すように、上部電極23aと第1中間電極23cとの間の距離を第1距離L1と規定し、下部電極23bと第2中間電極23dとの間の距離を第2距離L2と規定する。また、中間電極同士、すなわち、本実施形態における第1中間電極23cと第2中間電極23dとの間の距離を第3距離L3と規定する。この場合、第1距離L1、第2距離L2及び第3距離L3の各値は、互いに異なっていてもよい。例えば、本実施形態では、第3距離L3は、第1距離L1及び第2距離L2よりも長い。
【0024】
次に、美容器1Aの作用について説明する。
【0025】
まず、使用者は、電源/モードスイッチ14aを操作することにより、電源をオンとし、引き続き、美容器1Aを用いて施術する際の使用モードを選択する。本実施形態では、制御部13aは、例えば第1の使用モードとして、以下のような工程からなる施術を実行し得る。
【0026】
図3A図3Dは、第1の使用モードによる施術時の各電極23の制御例を時系列で示す図である。図3A図3Dでは、ヘッド部20のヘッド面21aと対峙して見たときの各電極23が示されている。
【0027】
ここで、電極群22に含まれる各電極23のうち、第1プラス極として設定された電極23と第1マイナス極として設定された電極23との組み合わせからなるチャンネルを「第1チャンネル」と規定する。そして、図3A図3Dでは、第1チャンネルにおいて、第1プラス極と設定された電極23上に「CH1+」と表記し、第1マイナス極と設定された電極23上に「CH1-」と表記する。
【0028】
同様に、電極群22に含まれる各電極23のうち、第2プラス極として設定された電極23と第2マイナス極として設定された電極23との組み合わせからなるチャンネルを「第2チャンネル」と規定する。そして、図3A図3Dでは、第2チャンネルにおいて、第2プラス極と設定された電極23上に「CH2+」と表記し、第2マイナス極と設定された電極23上に「CH2-」と表記する。
【0029】
また、図3A図3Dでは、第1チャンネルに通電されたときの使用者の肌内での電流の流れ範囲が実線の矢印で概略的に表記され、第2チャンネルに通電されたときの使用者の肌内での電流の流れ範囲が破線の矢印で概略的に表記されている。更に、第1チャンネルと第2チャンネルとの双方に通電されたときに干渉電流の生じる範囲が白抜きの矢印で概略的に表記されている。
【0030】
第1の使用モードでは、制御部13aは、電極群22に含まれる電極23から2つ以上のプラス極と1つ以上のマイナス極とを設定しつつ、当該設定を所定の時間ごとに変化させる工程を実行する。図3A図3Dに示す例では、制御部13aは、4つの電極23から各々2つのプラス極とマイナス極とを選択する。そして、制御部13aは、第1プラス極と第1マイナス極との組み合わせを第1チャンネルと設定し、第2プラス極と第2マイナス極との組み合わせを第2チャンネルと設定する。更に、制御部13aは、第1プラス極と第2プラス極との各々が印加する電流の特性を所定の時間ごとに互いに異ならせる。
【0031】
また、第1の使用モードでは、設定されたチャンネルごとのプラス極には、一定の周期で互いに極性を反転させる矩形パルス波としての電流(矩形交流電圧)が印加されるものとする。このとき、第1プラス極と第2プラス極とで所定の時間ごとに異ならせる電流の特性は、周波数の大きさである。ここで、電極23が印加し得る電流の周波数は、1Hz以上、10kHz未満の範囲にあるものとする。また、第1プラス極と第2プラス極とでの電流の周波数の差は、0.1Hz以上、100kHz未満の範囲にあるものとする。当該条件のもと、電流の周波数は、使用者の肌面の状態又は使用部位等によって、使用者にとって快適となるものに設定される。本実施形態における例では、第1チャンネルの第1プラス極からは、1000Hzの電流が印加され、第2チャンネルの第2プラス極からは、1010Hzの電流が印加されるものとする。一方、第1チャンネルの第1マイナス極、及び、第2チャンネルの第2マイナス極は、それぞれGNDに設定される。
【0032】
更に、第1の使用モードでは、制御部13aは、第1チャンネルと第2チャンネルとを、第1チャンネルでの電流の流れ範囲と第2チャンネルでの電流の流れ範囲とが交差するように設定する。ここで、本実施形態において、各々のチャンネルでの電流の流れ範囲が交差するとは、一方のチャンネルを構成する電極23間に、他方のチャンネルを構成する電極23から選択された少なくとも1つの電極23が配置されることをいう。
【0033】
以下、第1の使用モードに関する上記の条件を満たすように制御部13aが実行し得る工程について、図3A図3Dを参照しつつ時系列で説明する。
【0034】
図3Aは、第1の使用モードの第1段階における電極23の設定状態を示す図である。まず、制御部13aは、電極群22に含まれる4つの電極23のうち、上部電極23aと第2中間電極23dとの組み合わせを第1チャンネルと設定し、下部電極23bと第1中間電極23cとの組み合わせを第2チャンネルと設定する。これにより、各チャンネルで電流が印加された際、各々のチャンネルでの電流の流れ範囲が交差するという条件を満たす。その上で、制御部13aは、第1チャンネルにおいて、上部電極23aを第1プラス極と設定し、第2中間電極23dを第1マイナス極と設定する。また、制御部13aは、第2チャンネルにおいて、第1中間電極23cを第2プラス極と設定し、下部電極23bを第2マイナス極と設定する。
【0035】
第1段階における電極23の設定状態によれば、まず、上部電極23aと第2中間電極23dとの間には、1000Hzの中周波の電流が作用する。ただし、下部電極23bもマイナス極に設定されているので、上部電極23aと下部電極23bとの間にも、1000Hzの中周波の電流が作用する。一方、第1中間電極23cと下部電極23bとの間には、1010Hzの中周波の電流が作用する。ただし、第2中間電極23dもマイナス極に設定されているので、第1中間電極23cと第2中間電極23dとの間にも、1010Hzの中周波の電流が作用する。つまり、使用者の肌におけるこれらの電極間での電流の流れ範囲に対応した部位では、中周波の刺激が与えられることになる。
【0036】
更に、第1段階では、図3A中に白抜きの矢印で示されるように、上部電極23aと第1中間電極23cとの間には、それぞれの電極から出力された電圧の周波数差分の電位差が生じて、干渉電流として10Hzの低周波電流が作用する。このとき、上部電極23aと第1中間電極23cとの間の第1距離L1は、上部電極23aと第2中間電極23dとの間の距離よりも短い。つまり、使用者の肌における上部電極23aと第1中間電極23cとの間での電流の流れ範囲に対応した部位では、低周波の刺激が最も感じられることになる。
【0037】
図3Bは、第1の使用モードの第2段階における電極23の設定状態を示す図である。制御部13aは、第1段階に続く第2段階の制御として、第1チャンネルにおける電極23の設定を維持したまま、第2チャンネルにおいて、各電極23でそれぞれ極性を切り替える。つまり、第2チャンネルでは、第1中間電極23cが第2マイナス極と設定され、下部電極23bが第2プラス極と設定される。
【0038】
第2段階における電極23の設定状態によれば、まず、上部電極23aと第2中間電極23dとの間には、1000Hzの中周波の電流が作用する。ただし、第2段階では、新たに第1中間電極23cがマイナス極に設定されるので、上部電極23aと第1中間電極23cとの間にも、1000Hzの中周波の電流が作用する。一方、下部電極23bと第1中間電極23cとの間には、1010Hzの中周波の電流が作用する。ただし、第2段落では、新たに下部電極23bがプラス極に設定されるので、下部電極23bと第2中間電極23dとの間にも、1010Hzの中周波の電流が作用する。つまり、使用者の肌におけるこれらの電極間での電流の流れ範囲に対応した部位では、中周波の刺激が与えられることになる。
【0039】
更に、第2段階では、図3B中に白抜きの矢印で示されるように、上部電極23aと下部電極23bとの間には、それぞれの電極から出力された電圧の周波数差分の電位差が生じて、干渉電流として10Hzの低周波電流が作用する。つまり、使用者の肌では、一部に中周波の刺激が与えられているものの、上部電極23aと下部電極23bとの間での電流の流れ範囲、すなわち、電極群22全体の範囲に対応した部位では、低周波の刺激が感じられることになる。
【0040】
図3Cは、第1の使用モードの第3段階における電極23の設定状態を示す図である。制御部13aは、第2段階に続く第3段階の制御として、第2チャンネルにおける電極23の設定を維持したまま、第1チャンネルにおいて、各電極23でそれぞれ極性を切り替える。つまり、第1チャンネルでは、上部電極23aが第1マイナス極と設定され、第2中間電極23dが第1プラス極と設定される。
【0041】
第3段階における電極23の設定状態によれば、まず、上部電極23aと第2中間電極23dとの間には、1000Hzの中周波の電流が作用する。ただし、第3段階では、新たに第2中間電極23dがプラス極に設定されるので、第2中間電極23dと第1中間電極23cとの間にも、1000Hzの中周波の電流が作用する。一方、下部電極23bと第1中間電極23cとの間には、1010Hzの中周波の電流が作用する。ただし、第2段落では、新たに上部電極23aがマイナス極に設定されるので、下部電極23bと上部電極23aとの間にも、1010Hzの中周波の電流が作用する。つまり、使用者の肌におけるこれらの電極間での電流の流れ範囲に対応した部位では、中周波の刺激が与えられることになる。
【0042】
更に、第3段階では、図3C中に白抜きの矢印で示されるように、第2中間電極23dと下部電極23bとの間には、それぞれの電極から出力された電圧の周波数差分の電位差が生じて、干渉電流として10Hzの低周波電流が作用する。このとき、第2中間電極23dと下部電極23bとの間の第2距離L2は、下部電極23bと第1中間電極23cとの間の距離よりも短い。つまり、使用者の肌における第2中間電極23dと下部電極23bとの間での電流の流れ範囲に対応した部位では、低周波の刺激が最も感じられることになる。
【0043】
図3Dは、第1の使用モードの第4段階における電極23の設定状態を示す図である。制御部13aは、第3段階に続く第4段階の制御として、第1チャンネルにおける電極23の設定を維持したまま、第2チャンネルにおいて、各電極23でそれぞれ極性を切り替える。つまり、第2チャンネルでは、下部電極23bが第2マイナス極と設定され、第1中間電極23cが第2プラス極と設定される。
【0044】
第4段階における電極23の設定状態によれば、まず、上部電極23aと第2中間電極23dとの間には、1000Hzの中周波の電流が作用する。ただし、第4段階では、新たに下部電極23bがプラス極に設定されるので、第2中間電極23dと下部電極23bとの間にも、1000Hzの中周波の電流が作用する。一方、下部電極23bと第1中間電極23cとの間には、1010Hzの中周波の電流が作用する。ただし、第4段落では、新たに第1中間電極23cがプラス極に設定されるので、第1中間電極23cと上部電極23aとの間にも、1010Hzの中周波の電流が作用する。つまり、使用者の肌におけるこれらの電極間での電流の流れ範囲に対応した部位では、中周波の刺激が与えられることになる。
【0045】
更に、第4段階では、図3D中に白抜きの矢印で示されるように、第2中間電極23dと第1中間電極23cとの間には、それぞれの電極から出力された電圧の周波数差分の電位差が生じて、干渉電流として10Hzの低周波電流が作用する。このとき、第1中間電極23cと第2中間電極23dとの間の第3距離L3は、第2中間電極23dと上部電極23aとの間、及び、第1中間電極23cと下部電極23bとの間のいずれの距離よりも短い。つまり、使用者の肌における第2中間電極23dと第1中間電極23cとの間での電流の流れ範囲に対応した部位では、低周波の刺激が最も感じられることになる。
【0046】
そして、制御部13aは、第4段階の制御が終了した後、引き続き、第1段階の制御に戻り、第1段階から第4段階までの一連の工程を繰り返してもよい。
【0047】
制御部13aは、第1段階から第4段階までの各々の工程を、所定の時間ごとに変化させるように各電極23を制御する。上記のとおり、第1段階から第4段階までの各々の工程では、使用者の肌に対して、中周波電流による刺激と、周波数の差に起因した干渉電流による干渉刺激とが与えられる。そして、第1段階から第4段階まで工程ごとに、使用者の肌に干渉電流が通電される範囲が変化する。
【0048】
ここで、使用者は、中周波電流による刺激よりも、低周波電流である干渉電流による刺激の方を強く感じやすい。これに対して、第1の使用モードでは、施術中、干渉電流が印加される範囲が所定の時間ごとに入れ替わるため、使用者の肌には、経時的に異なる刺激が与えられ、結果として高い刺激効果が得られやすい。
【0049】
また、第1の使用モードでは、第1段階から第4段階までの各工程のうち、少なくとも1つの工程では、干渉電流が印加される範囲の大きさ又は深さも変化する。本実施形態では、第1段階及び第3段階では、第1距離L1と第2距離L2との値が互いに同等であるので、干渉電流が印加される範囲の大きさ又は深さも、互いに同等となる。一方、第4段階では、第3距離L3は、第1距離L1及び第2距離L2よりも長いので、干渉電流が印加される範囲は、第1段階及び第3段階の場合よりも大きく又は深くなる。更に、第2段階では、互いに最も離間した電極23同士である上部電極23aと下部電極23bとの間に干渉電流が印加されるため、各工程の中で、干渉電流が印加される範囲が最も大きく又は深くなる。
【0050】
したがって、比較的大きく離間した電極23間に干渉電流が印加される第2段階では、広い範囲で深く均一に表情筋を電気刺激で振動させる。一方、比較的近接した電極23間に干渉電流が印加される第1段階及び第3段階並びに第4段階では、干渉電流が肌に局所的に作用するので、より大きく浅い刺激を与え得る。
【0051】
なお、このような第1の使用モードは、例えば、使用者の肌に対して筋肉運動を促進させる施術モードとして好適である。ここで、本実施形態において適用し得る筋肉運動を促進させる施術は、電流で神経を興奮させて筋収縮を生じさせるEMS(Electrical Muscle Stimulation)であってもよい。EMSによれば、微弱電流を用いることで、顔の各部の筋肉に刺激を与えて、引き締め効果等を得ることができる。
【0052】
そして、使用者は、電源/モードスイッチ14aを操作することにより、第1の使用モードを選択した後、電極群22を自身の肌に接触させ、施術を開始する。なお、第1の使用モードによる施術に先立ち、使用者は、レベルスイッチ14bを操作することにより、通電レベルとして、例えば、電極23から印加させる電圧の大きさを適宜変更し、自身にとって好適な刺激の強さに調整してもよい。
【0053】
ここまで、使用者が第1の使用モードを選択して、制御部13aが第1の使用モードに基づく施術を実施させる場合を例示したが、美容器1Aでは、それ以外の以下の使用モードに基づく施術を実施することもできる。
【0054】
例えば、第1の使用モードでは、第1チャンネルの第1プラス極から印加される電流の周波数を1000Hzと、一方、第2チャンネルの第2プラス極から印加される電流の周波数を1010Hzと、それぞれ一定値とした。これに対して、第1の使用モードに代わる第2の使用モードでは、第1プラス極又は第2プラス極のいずれかから印加される電流の周波数を経時的に変化させる。具体的には、第1プラス極から印加される電流の周波数は、第1の使用モードと同様に、1000Hzで一定値とする。一方、第2プラス極から印加される電流の周波数は、例えば、1000Hzから1010Hzまでの間で変化させてもよい。この場合、第1の使用モードでは、干渉電流の周波数がおおよそ10Hzで一定であったのに対して、第2の使用モードでは、干渉電流の周波数は、所定の時間ごとに、おおよそ1Hzから10Hzまでの間で変動する。したがって、第2の使用モードによれば、使用者の肌には、時間ごとに異なる刺激感が与えられることになる。例えば、干渉電流の周波数が1Hz程度のときには、使用者の肌には1秒間隔で揉むような刺激が与えられる。一方、干渉電流の周波数が10Hz程度のときには、使用者の肌には1秒間に10回のタッピングをするような刺激が与えられる。
【0055】
次に、美容器1A、及び、美容器1Aの制御方法の効果について説明する。
【0056】
まず、美容器1Aは、使用者の肌に電流を流す3つ以上の電極23を有する電極群22を備える。また、美容器1Aは、電極群22に含まれる電極23から2つ以上のプラス極と1つ以上のマイナス極とを設定しつつ、当該設定を所定の時間ごとに変化させる制御部13aを備える。制御部13aは、2つ以上のプラス極から選択された第1プラス極と第2プラス極との各々が印加する電流の特性を互いに異ならせる。
【0057】
また、美容器1Aの制御方法は、電極群22に含まれる電極23から2つ以上のプラス極と1つ以上のマイナス極とを設定しつつ、当該設定を所定の時間ごとに変化させる工程を有する。当該工程では、2つ以上のプラス極から選択された第1プラス極と第2プラス極との各々が印加する電流の特性が互いに異なる。
【0058】
このような美容器1A及び美容器1Aの制御方法によれば、図3Aから図3Dまでの一連の工程を参照して例示したとおり、使用者の肌には、まず、所定の組み合わせに係る電極23間で、例えば中周波電流による刺激を与えることができる。更に、使用者の肌には、中周波電流による刺激のみならず、印加される範囲が所定の時間ごとに変化する、周波数の差に起因した干渉電流による干渉刺激を与えることができる。これにより、美容器1Aは、刺激の強さ又は刺激を与える範囲を自動で変化させることができるので、使用者の肌に対してより満足感の高い刺激を与えることができる。
【0059】
以上のように、本実施形態によれば、使用者の肌に対してより使用感の得られる刺激を与える美容器1A及び美容器1Aの制御方法を提供することができる。
【0060】
また、美容器1Aでは、電極23が印加する電流の周波数は、1Hz以上、10kHz未満の範囲にあってもよい。
【0061】
この美容器1Aによれば、例えば、使用者の顔肌に対して施術する場合に、表情筋の各所に対する引き締め効果を得るのに好適な刺激を与えることができる。
【0062】
また、美容器1Aでは、制御部13aは、第1プラス極と第2プラス極とでは、電流の周波数の大きさを互いに異ならせてもよい。
【0063】
この美容器1Aによれば、制御部13aは、第1プラス極に基づく電流の周波数と、第2プラス極に基づく電流の周波数との差に起因させて、干渉電流を所望の大きさに又は所望の範囲に生じさせることができる。
【0064】
また、美容器1Aでは、第1プラス極と第2プラス極とでの電流の周波数の差は、0.1Hz以上、100kHz未満の範囲にあってもよい。
【0065】
この美容器1Aによれば、制御部13aは、干渉電流を、使用者の肌に与える刺激が比較的強くなる低周波電流とすることができる。例えば、所定の組み合わせに係る電極23間で与えられる電流が中周波電流である場合には、当該中周波電流に対して低周波電流である干渉電流が明確に区別されるため、使用者の肌に対して、より変化に富んだ刺激を与えるのに有利となり得る。
【0066】
また、美容器1Aでは、制御部13aは、第1プラス極又は第2プラス極では、電流の周波数を経時的に変化させてもよい。
【0067】
この美容器1Aによれば、施術中、干渉電流の周波数が所定の時間ごとに変動することになるため、使用者の肌に、時間ごとに異なる刺激感を与えるのに有利となり得る。
【0068】
また、美容器1Aでは、第1プラス極と第1マイナス極との組み合わせからなる第1チャンネルと、第2プラス極と第2マイナス極との組み合わせからなる第2チャンネルとを規定する。この場合、制御部13aは、第1チャンネルと第2チャンネルとを、第1チャンネルでの電流の流れ範囲と第2チャンネルでの電流の流れ範囲とが交差するように設定してもよい。
【0069】
この美容器1Aによれば、第1プラス極に基づく電流の周波数と、第2プラス極に基づく電流の周波数との差に起因させて、干渉電流をより確実に生じさせることができる。また、干渉電流の大きさ、又は、干渉電流が印加される範囲について、設定され得るパターンの幅を広げることができる。
【0070】
また、美容器1Aでは、電極群22に含まれる電極23から選択される2つの電極23についての電極間距離は、選択される電極23ごとに異なってもよい。
【0071】
電極群22から選択される2つの電極23間の距離が比較的短い場合、それらの電極23間に通電された電流は、使用者の肌に対して局所的に作用するため、大きな刺激が得られやすい。一方、電極群22から選択される2つの電極23間の距離が比較的長い場合、それらの電極23間に通電された電流は、使用者の肌の広い範囲に作用しやすい。したがって、この美容器1Aによれば、電極23間ごとに電極間距離を異ならせることで、使用者の肌への刺激を様々に異ならせることができる。
【0072】
また、美容器1Aは、3つ以上の電極23を並列配置するヘッド部20と、ヘッド部20を保持する本体部10とを備えてもよい。3つ以上の電極23は、少なくとも、上部電極23a、下部電極23b、及び、上部電極23aと下部電極23bとの間に各々配置される複数の中間電極であってもよい。ここで、上部電極23aは、本体部10の底部11bから最も離間して配置される電極23である。下部電極23bは、本体部10の底部11bに最も近接して配置される電極23である。
【0073】
この美容器1Aによれば、美容器1A自体を使用者が把持した状態で施術する方式を採用して、使用者の肌に対してより使用感の得られる刺激を与えることができる。
【0074】
また、上部電極23aと、上部電極23aに対して最も近い位置にある中間電極との間の距離を第1距離L1とする。下部電極23bと、下部電極23bに対して最も近い位置にある中間電極との間の距離を第2距離L2とする。また、互いに隣り合う2つの中間電極の間の距離を第3距離L3とする。この場合、美容器1Aでは、第3距離L3の値は、第1距離L1及び第2距離L2の各々の値と異なってもよい。
【0075】
この美容器1Aによれば、美容器1A自体を使用者が把持した状態で施術する方式を採用する場合に、電極23間ごとに電極間距離を異ならせることができるので、使用者の肌への刺激を様々に異ならせることができる。
【0076】
ここで、美容器1Aは、更に、以下のように機能を拡張することもできる。
【0077】
図4は、拡張構造体30が接続された美容器1Aを示す斜視図である。図5は、本体部10における筐体11の正面部11cを真正面から見る場合と同じ方向から見た拡張構造体30の一部拡大図である。
【0078】
拡張構造体30は、美容器1A自体に備わる電極群22とは別の電極群である拡張電極群37を有する。拡張構造体30は、美容器1Aにおける筐体11の頂部11a側の先端部に対して脱着自在な形状を有する。拡張構造体30は、例えば、構造体本体31と、第1アーム32と、第2アーム33と、第3アーム34と、第4アーム35と、接続部36とを有する。また、拡張構造体30は、これらの構成部分がすべて一体的に成形された樹脂部材であってもよい。
【0079】
構造体本体31は、第1アーム32から第4アーム35までの4つのアームを一方の先端側で支持し、接続部36を他方の先端側で支持する。
【0080】
第1アーム32、第2アーム33、第3アーム34及び第4アーム35は、それぞれ、構造体本体31に支持される側とは反対側の先端に電極38を保持する。第1アーム32と第2アーム33とは、互いに一定の間隔で離間しつつ同方向に延伸するアームである。第3アーム34は、第1アーム32に対して第2アーム33がある側とは反対側に位置する。具体的には、第3アーム34は、構造体本体31に支持される部位を第1アーム32での部位と同位置としつつ、構造体本体31に支持される側から反対側の先端に向かうにつれて、第1アーム32から離れるように傾斜する。第4アーム35は、第2アーム33に対して第1アーム32がある側とは反対側に位置する。具体的には、第4アーム35は、構造体本体31に支持される部位を第2アーム33での部位と同位置としつつ、構造体本体31に支持される側から反対側の先端に向かうにつれて、第2アーム33から離れるように傾斜する。また、第1アーム32、第2アーム33、第3アーム34及び第4アーム35は、それぞれ、自身の先端部が美容器1Aの正面に向かうように曲がっている。
【0081】
また、第1アーム32は、第1先端部32aに第1電極38aを有する。第2アーム33は、第2先端部33aに第2電極38bを有する。第3アーム34は、第3先端部34aに第3電極38cを有する。また、第4アーム35は、第4先端部35aに第4電極38dを有する。第1電極38aから第4電極38dまでの4つの電極38は、拡張電極群37を構成し、各々、各アーム内を通じつつ接続部36を介して、美容器1Aの背面部11dに設けられている不図示のコネクタと接続される。
【0082】
接続部36は、筐体11の先端部に対して脱着自在に接続される。接続部36が筐体11に接続されることで、不図示のコネクタ類を介して、本体部10内の制御部13aと、拡張電極群37に含まれる各電極38とが電気的に接続される。
【0083】
このような構成のもと、使用者は、拡張構造体30を美容器1Aの本体部10に取り付けることによって、拡張構造体30に備わる拡張電極群37を、ヘッド部20に備わる電極群22と同等に機能させることができる。
【0084】
すなわち、美容器1Aは、使用者の肌に電流を流す3つ以上の電極38を有する拡張電極群37を備える。また、美容器1Aは、拡張電極群37に含まれる電極38から2つ以上のプラス極と1つ以上のマイナス極とを設定しつつ、当該設定を所定の時間ごとに変化させる制御部13aを備える。制御部13aは、第1プラス極と第2プラス極とで各々が印加する電流の特性を互いに異ならせる。
【0085】
このような拡張構造体30を用いた美容器1Aによれば、使用者は、上記例示した電極群22による施術と同様の施術を、拡張電極群37を用いて実施することができる。特に、各々アームの先端部に設けられた第1電極38aから第4電極38dまでの4つの電極38の配置によれば、例えば、髪の毛の生え際の近傍等、使用者の額に各電極38を接触させて電流を印加するような施術を実施するのに好適となり得る。
【0086】
(第2実施形態)
第1実施形態では、美容器1Aが、美容器1A自体を使用者が把持した状態で施術する方式を採用したものである場合を例示した。これに対して、本開示に係る美容器は、使用者の顔面に装着される方式を採用するものであってもよい。
【0087】
図6は、第2実施形態に係る美容器1Bの斜視図である。図7は、マスク本体40を使用者の顔面に装着される側から見た美容器1Bの平面図である。図8は、マスク本体40を使用者の顔面に装着される側から見た美容器1Bの分解図である。
【0088】
美容器1Bは、少なくとも一部が使用者の顔面に装着される方式を採用し、電気刺激として顔の肌に対して電流を流すことで美容効果を与える装置である。なお、美容器1Bのように使用者の顔面に装着される方式を採用する美容器は、装着型美顔器又は美容マスクなどと呼称される場合もある。
【0089】
美容器1Bは、マスク本体40と、施術構造体50と、コントローラ60とを備える。以下、美容器1Bの使用者が立ち姿勢又は座り姿勢にあるときに真正面を向いている状態を基準として、マスク本体40における上下は、鉛直方向での上側又は下側に対応するものとする。また、マスク本体40における左右は、使用者の顔面の左頬側又は右頬側に対応するものとする。
【0090】
マスク本体40は、使用者が美容器1Bを使用するに際して、使用者の顔面に装着される。マスク本体40の材質は、シリコンゴム等の弾性材である。これにより、マスク本体40は、全体として柔軟性を有する弾性体となり、顔面に装着されたときには、内面40aが顔面の形状に追従して変形することで顔面に密着する。内面40aは、マスク本体40において、使用時に顔面と対向する側の面である。また、本実施形態では、マスク本体40は、目、鼻孔、口を除く顔面のほぼすべての領域を被覆し得る形状を有する。
【0091】
まず、マスク本体40は、孔部として、左右一対の第1露出孔41と、第2露出孔42と、第3露出孔43とを有する。第1露出孔41は、マスク本体40の上部に形成され、マスク本体40が顔面に装着された際に使用者の目を外方に露出させる。第2露出孔42は、マスク本体40の第1露出孔41の下方に形成され、マスク本体40が顔面に装着された際に使用者の鼻孔を外方に露出させる。第3露出孔43は、マスク本体40の第2露出孔42の下方に形成され、マスク本体40が顔面に装着された際に使用者の口を外方に露出させる。
【0092】
また、マスク本体40は、顔面を被覆する被覆部として、頬被覆部44と、額被覆部45と、顎被覆部46と、鼻被覆部47とを有する。まず、額被覆部45は、マスク本体40における第1露出孔41よりも上部に位置し、マスク本体40が顔面に装着された際に使用者の額に接触する。顎被覆部46は、マスク本体40における第3露出孔43よりも下部に位置し、マスク本体40が顔面に装着された際に使用者の顎に接触する。鼻被覆部47は、マスク本体40において第2露出孔42が外方に向けて斜め下方に開口するように第2露出孔42の上部に位置し、マスク本体40が顔面に装着された際に使用者の鼻に接触する。そして、頬被覆部44は、第1露出孔41よりも下方、かつ、鼻被覆部47、第2露出孔42、第3露出孔43及び顎被覆部46の左右両側に1つずつ位置し、マスク本体40が顔面に装着された際に使用者の左右いずれかの頬に対向する。
【0093】
また、マスク本体40は、内面40aにおいて頬被覆部44となる部位に、施術構造体50を収容しつつ保持する収容部44aを有する。収容部44aは、マスク本体40の左右両側に1つずつある頬被覆部44にそれぞれ設けられる。マスク本体40には、収容部44aと連通する溝部44bが形成されていてもよい。溝部44bは、施術構造体50に接続されたケーブル63の一部を収容する。
【0094】
更に、マスク本体40は、顔面に装着されるに際して、装着位置を維持させるために頭部に巻き付けられるベルト48を有する。ベルト48は、マスク本体40の左右側方の一方に連設される第1帯状体48aと、マスク本体40の左右側方の他方に連設される第2帯状体48bとを含む。第1帯状体48aは、先端側に第1面ファスナ48cを有する。一方、第2帯状体48bは、先端側に第2面ファスナ48dを有する。使用者は、マスク本体40を顔面に装着させる際に、第1帯状体48a及び第2帯状体48bを側方から頭部に巻き付け、後頭部側で第1面ファスナ48cと第2面ファスナ48dとを係合させる。これにより、ベルト48は、マスク本体40に所望の引っ張り力を与えながらマスク本体40を顔面に装着させることができる。
【0095】
施術構造体50は、電力が供給されることで動作し、使用者の肌に対して施術を行う。本実施形態では、施術構造体50は、2つある。一方の第1施術構造体50aは、左側の頬被覆部44に設けられている収容部44aに取り付けられる。他方の第2施術構造体50bは、右側の頬被覆部44に設けられている収容部44aに取り付けられる。第1施術構造体50aと第2施術構造体50bとは、互いに同一構造で、かつ、互いに対称形である。
【0096】
また、施術構造体50は、マスク本体40に対して着脱自在である。使用者は、施術構造体50を収容部44aから取り外すことで、マスク本体40及び施術構造体50の手入れを個別に行うことができる。但し、施術構造体50は、マスク本体40に対して一体的に設置されるものであってもよい。
【0097】
施術構造体50は、3つ以上の電極51を有する電極群52と、シリコンパッド53と、ハウジング54とを備える。以下、第1施術構造体50aが備える電極群52を第1電極群52aと表記し、第2施術構造体50bが備える電極群52を第2電極群52bと表記する。
【0098】
電極群52は、一例として、第1電極51a、第2電極51b、第3電極51c及び第4電極51dの4つの電極51を含む。電極51は、例えばチタン合金で構成され、使用者の肌と接触する平面部を含む、いわゆるボタン型の形状を有する。なお、電極51の平面形状は、本実施形態では、一部が施術構造体50の外周形状に沿って位置する曲線部分を含む細長形である。但し、電極51の平面形状は、このような細長形に限らず、円形等、その他の形状であってもよい。
【0099】
各々の電極51は、それぞれ、プラス極にも設定され得るし、マイナス極すなわちGNDにも設定され得る。少なくとも1つの電極51がプラス極に設定され、それ以外の少なくとも1つの電極51がマイナス極に設定されたとき、これらの電極51間には電位差が生じる。そして、電極群52を肌に接触させた状態でこれらの電極51間に通電することで、特定の周波数を有する交流電流が肌に印加される。
【0100】
図9は、図7中のIX-IX断面に対応し、使用者の顔面に装着される側から見たマスク本体40及び第2施術構造体50bを示す図である。
【0101】
一つの施術構造体50において、複数の電極51は、それぞれ、マスク本体40が顔面に装着されたときに使用者のそれぞれ異なる表情筋に対してまたがるように配置される。本実施形態における4つの電極51は、使用者の眼輪筋、大小頬骨筋、上唇挙筋にまたがるようにそれぞれ配置される。例えば、第1電極51aは、目元から目じりの近傍に渡る位置に配置されてもよい。第2電極51bは、目頭の近傍に配置されてもよい。第3電極51cは、口角の近傍に配置されてもよい。また、第4電極51dは、頬奥に配置されてもよい。
【0102】
また、美容器1Bでは、3つ以上の電極51の各々の表面の重心を頂点とする多角形VPを想定したとき、多角形VPの各々の辺の長さは、互いに異なってもよい。つまり、第1電極51aと第2電極51bとの間の距離、第2電極51bと第3電極51cとの間の距離、第3電極51cと第4電極51dとの間の距離、及び、第4電極51dと第1電極51aとの間の距離のそれぞれの値は、互いに異なる。
【0103】
シリコンパッド53は、施術構造体50において、マスク本体40が顔面に装着されたときに顔面と直接的に対向する部位に設けられる。顔面と対向するシリコンパッド53の表面形状は、マスク本体40の内面40aに沿う略円板状である。シリコンパッド53は、柔軟性を有するため、顔面と接触しても使用者に対して不快感を与えづらい。また、シリコンパッド53は、各々の電極51の配置に合わせて、使用者の顔面と接触する電極51の一部を凸状に露出させる複数の貫通孔53aを有する。
【0104】
ハウジング54は、例えば樹脂製であり、電極群52及びシリコンパッド53を保持する。施術構造体50がマスク本体40の収容部44aに取り付けられるとき、ハウジング54の一部が収容部44aの一部と係合する。
【0105】
コントローラ60は、使用者の操作により、施術構造体50に設けられている電極群52に電力を供給しつつ、施術構造体50の動作を制御する。コントローラ60は、例えば、コントローラ本体61と、キャップ62と、ケーブル63とを備える。
【0106】
コントローラ本体61は、電源供給部としての電池64と、制御部65aを実装する制御基板65と、操作部としてのスイッチボタン66とを備える。電池64は、制御基板65に電気的に接続されている。制御基板65は、一部がコントローラ本体61から外部に露出するコネクタ67に電気的に接続されている。スイッチボタン66は、少なくとも、電源のオン/オフの切り替え、使用モードの切り替え、又は、通電レベルを調整する際に操作される。
【0107】
キャップ62は、コントローラ本体61に設けられているコネクタ67を覆いつつ、コントローラ本体61に着脱自在に装着される。キャップ62がコントローラ本体61に装着されているとき、キャップ62の内部に設けられている不図示のコネクタは、コントローラ本体61のコネクタ67に嵌合する。
【0108】
ケーブル63は、施術構造体50に設けられている電極群52とコントローラ60とを電気的に接続する。ケーブル63の一端は、電極群52に接続され、ケーブル63の他端は、キャップ62のコネクタに接続される。電極群52は、ケーブル63を介して、コントローラ本体61に内蔵された電池64及び制御基板65に電気的に接続される。
【0109】
なお、コントローラ60の上記の構成は、一例である。例えば、ケーブル63は、施術構造体50と着脱自在であってもよい。また、電源の切り替え等を行うスイッチ類は、施術構造体50自体に設けられていてもよい。
【0110】
次に、美容器1Bの作用について説明する。
【0111】
まず、使用者は、キャップ62のコネクタをコントローラ本体61のコネクタ67に嵌合させることで、ケーブル63を介して、コントローラ本体61側の電池64及び制御基板65と、施術構造体50側の各々の電極51とが電気的に接続される。そして、使用者が一対の施術構造体50をマスク本体40に取り付けることで、施術前の美容器1Bの準備が完了する。
【0112】
次に、使用者は、マスク本体40の内面10aを顔面に接触させた状態で、第1帯状体18a及び第2帯状体18bを側方から後方に引っ張りながら頭部に巻き付け、後頭部側で第1面ファスナ18cと第2面ファスナ18dとを係合させる。これにより、ベルト18はマスク本体40に所望の引っ張り力を与えつつ、マスク本体40が顔面に装着される。
【0113】
次に、使用者は、スイッチボタン66を操作することにより、電源をオンとし、引き続き、美容器1Bを用いて施術する際の使用モードを選択する。本実施形態では、制御部65aは、施術構造体50ごとに、例えば第1の使用モードとして、以下のような工程からなる施術を実行し得る。
【0114】
図10A図10Dは、第1の使用モードによる施術時の各電極51の制御例を時系列で示す図である。図10A図10Dでは、一例として、図9に示す第2施術構造体50bにおける各電極51の位置関係が概略的に示されている。
【0115】
ここで、電極群52に含まれる各電極51のうち、第1プラス極として設定された電極51と第1マイナス極として設定された電極51との組み合わせからなるチャンネルを「第1チャンネル」と規定する。そして、図10A図10Dでは、第1チャンネルにおいて、第1プラス極と設定された電極51上に「CH1+」と表記し、第1マイナス極と設定された電極51上に「CH1-」と表記する。
【0116】
同様に、電極群52に含まれる各電極51のうち、第2プラス極として設定された電極51と第2マイナス極として設定された電極51との組み合わせからなるチャンネルを「第2チャンネル」と規定する。そして、図10A図10Dでは、第2チャンネルにおいて、第2プラス極と設定された電極51上に「CH2+」と表記し、第2マイナス極と設定された電極51上に「CH2-」と表記する。
【0117】
また、図10A図10Dでは、第1チャンネルに通電されたときの使用者の肌内での電流の流れ範囲が実線の矢印で概略的に表記され、第2チャンネルに通電されたときの使用者の肌内での電流の流れ範囲が破線の矢印で概略的に表記されている。更に、第1チャンネルと第2チャンネルとの双方に通電されたときに干渉電流の生じる範囲が白抜きの矢印で概略的に表記されている。
【0118】
第1の使用モードでは、制御部65aは、電極群52に含まれる電極51から2つ以上のプラス極と1つ以上のマイナス極とを設定しつつ、当該設定を所定の時間ごとに変化させる工程を実行する。図10A図10Dに示す例では、制御部65aは、4つの電極23から2つのプラス極と1つのマイナス極とを選択する。そして、制御部65aは、第1プラス極とマイナス極との組み合わせを第1チャンネルと設定し、第2プラス極とマイナス極との組み合わせを第2チャンネルと設定する。つまり、第1の使用モードでは、マイナス極に設定される1つの電極51は、第1チャンネルと第2チャンネルとで共用となる1つのGNDである。更に、制御部65aは、第1プラス極と第2プラス極との各々が印加する電流の特性を所定の時間ごとに互いに異ならせる。
【0119】
また、第1の使用モードでは、設定されたチャンネルごとのプラス極には、一定の周期で互いに極性を反転させる矩形パルス波としての電流(矩形交流電圧)が印加されるものとする。このとき、第1プラス極と第2プラス極とで所定の時間ごとに異ならせる電流の特性は、周波数の大きさである。ここで、電極51が印加し得る電流の周波数は、1Hz以上、10kHz未満の範囲にあるものとする。また、第1プラス極と第2プラス極とでの電流の周波数の差は、0.1Hz以上、100kHz未満の範囲にあるものとする。当該条件のもと、電流の周波数は、使用者の肌面の状態又は使用部位等によって、使用者にとって快適となるものに設定される。本実施形態における例では、第1チャンネルの第1プラス極からは、1000Hzの電流が印加され、第2チャンネルの第2プラス極からは、1010Hzの電流が印加されるものとする。
【0120】
以下、第1の使用モードに関する上記の条件を満たすように制御部65aが実行し得る工程について、図10A図10Dを参照しつつ時系列で説明する。
【0121】
図10Aは、第1の使用モードの第1段階における電極51の設定状態を示す図である。まず、制御部65aは、電極群52に含まれる4つの電極51のうち、第1電極51aと第4電極51dとの組み合わせを第1チャンネルと設定し、第2電極51bと第4電極51dとの組み合わせを第2チャンネルと設定する。その上で、制御部65aは、第1チャンネルの第1電極51aを第1プラス極と設定し、第2チャンネルの第2電極51bを第2プラス極と設定する。また、制御部13aは、第4電極51dを、第1チャンネル及び第2チャンネルで共用されるマイナス極に設定する。
【0122】
第1段階における電極51の設定状態によれば、まず、第1電極51aと第4電極51dとの間には、1000Hzの中周波の電流が作用する。一方、第2電極51bと第4電極51dとの間には、1010Hzの中周波の電流が作用する。つまり、使用者の肌におけるこれらの電極間での電流の流れ範囲に対応した部位では、中周波の刺激が与えられることになる。
【0123】
更に、第1段階では、図10A中に白抜きの矢印で示されるように、第1電極51aと第2電極51bとの間には、それぞれの電極から出力された電圧の周波数差分の電位差が生じて、干渉電流として10Hzの低周波電流が作用する。つまり、使用者の肌における第1電極51aと第2電極51bとの間での電流の流れ範囲に対応した部位では、低周波の刺激が与えられることになる。この場合、低周波の刺激が与えられることで、例えば、使用者の目元の筋肉が動く。
【0124】
図10Bは、第1の使用モードの第2段階における電極51の設定状態を示す図である。制御部65aは、第1段階に続く第2段階の制御として、電極群52に含まれる4つの電極51のうち、第1電極51aと第3電極51cとの組み合わせを第1チャンネルと設定し、第1電極51aと第2電極51bとの組み合わせを第2チャンネルと設定する。その上で、制御部65aは、第1チャンネルの第3電極51cを第1プラス極と設定し、第2チャンネルの第2電極51bを第2プラス極と設定する。つまり、第2チャンネルの第2プラス極は、第1段階での設定が維持される。また、制御部65aは、第1電極51aを、第1チャンネル及び第2チャンネルで共用されるマイナス極に設定する。
【0125】
第2段階における電極51の設定状態によれば、まず、第3電極51cと第1電極51aとの間には、1000Hzの中周波の電流が作用する。一方、第2電極51bと第1電極51aとの間には、1010Hzの中周波の電流が作用する。つまり、使用者の肌におけるこれらの電極間での電流の流れ範囲に対応した部位では、中周波の刺激が与えられることになる。
【0126】
更に、第2段階では、図10B中に白抜きの矢印で示されるように、第2電極51bと第3電極51cとの間には、それぞれの電極から出力された電圧の周波数差分の電位差が生じて、干渉電流として10Hzの低周波電流が作用する。つまり、使用者の肌における第2電極51bと第3電極51cとの間での電流の流れ範囲に対応した部位では、低周波の刺激が与えられることになる。この場合、低周波の刺激が与えられることで、例えば、使用者の鼻横溝の近傍、ほうれい線の近傍又は目の下の筋肉が動く。
【0127】
図10Cは、第1の使用モードの第3段階における電極51の設定状態を示す図である。制御部65aは、第2段階に続く第3段階の制御として、電極群52に含まれる4つの電極51のうち、第3電極51cと第2電極51bとの組み合わせを第1チャンネルと設定し、第2電極51bと第4電極51dとの組み合わせを第2チャンネルと設定する。その上で、制御部65aは、第1チャンネルの第3電極51cを第1プラス極と設定し、第2チャンネルの第4電極51dを第2プラス極と設定する。つまり、第1チャンネルの第1プラス極は、第2段階での設定が維持される。また、制御部65aは、第2電極51bを、第1チャンネル及び第2チャンネルで共用されるマイナス極に設定する。
【0128】
第3段階における電極51の設定状態によれば、まず、第3電極51cと第2電極51bとの間には、1000Hzの中周波の電流が作用する。一方、第4電極51dと第2電極51bとの間には、1010Hzの中周波の電流が作用する。つまり、使用者の肌におけるこれらの電極間での電流の流れ範囲に対応した部位では、中周波の刺激が与えられることになる。
【0129】
更に、第3段階では、図10C中に白抜きの矢印で示されるように、第3電極51cと第4電極51dとの間には、それぞれの電極から出力された電圧の周波数差分の電位差が生じて、干渉電流として10Hzの低周波電流が作用する。つまり、使用者の肌における第3電極51cと第4電極51dとの間での電流の流れ範囲に対応した部位では、低周波の刺激が与えられることになる。この場合、低周波の刺激が与えられることで、例えば、使用者の頬の筋肉が動く。
【0130】
図10Dは、第1の使用モードの第4段階における電極51の設定状態を示す図である。制御部65aは、第3段階に続く第4段階の制御として、電極群52に含まれる4つの電極51のうち、第1電極51aと第3電極51cとの組み合わせを第1チャンネルと設定し、第1電極51aと第4電極51dとの組み合わせを第2チャンネルと設定する。その上で、制御部65aは、第1チャンネルの第1電極51aを第1プラス極と設定し、第2チャンネルの第4電極51dを第2プラス極と設定する。つまり、第2チャンネルの第2プラス極は、第3段階での設定が維持される。また、制御部65aは、第3電極51cを、第1チャンネル及び第2チャンネルで共用されるマイナス極に設定する。
【0131】
第4段階における電極51の設定状態によれば、まず、第1電極51aと第3電極51cとの間には、1000Hzの中周波の電流が作用する。一方、第4電極51dと第3電極51cとの間には、1010Hzの中周波の電流が作用する。つまり、使用者の肌におけるこれらの電極間での電流の流れ範囲に対応した部位では、中周波の刺激が与えられることになる。
【0132】
更に、第4段階では、図10D中に白抜きの矢印で示されるように、第1電極51aと第4電極51dとの間には、それぞれの電極から出力された電圧の周波数差分の電位差が生じて、干渉電流として10Hzの低周波電流が作用する。つまり、使用者の肌における第1電極51aと第4電極51dとの間での電流の流れ範囲に対応した部位では、低周波の刺激が与えられることになる。この場合、低周波の刺激が与えられることで、例えば、使用者の鼻横溝の近傍又は頬の筋肉が動く。
【0133】
そして、制御部65aは、第4段階の制御が終了した後、引き続き、第1段階の制御に戻り、第1段階から第4段階までの一連の工程を繰り返してもよい。
【0134】
制御部65aは、第1段階から第4段階までの各々の工程を、所定の時間ごとに変化させるように各電極51を制御する。上記のとおり、第1段階から第4段階までの各々の工程では、使用者の肌に対して、中周波電流による刺激と、周波数の差に起因した干渉電流による干渉刺激とが与えられる。そして、第1段階から第4段階まで工程ごとに、使用者の肌に干渉電流が通電される範囲が変化する。
【0135】
第1の使用モードでは、施術中、干渉電流が印加される範囲が所定の時間ごとに入れ替わるため、使用者の肌には、経時的に異なる刺激が与えられ、結果として高い刺激効果が得られやすい。
【0136】
また、本実施形態では、4つの電極51の各々の表面の重心を頂点とする多角形VPに関して、各々の辺の長さが互いに異なる。つまり、第1の使用モードでは、第1段階から第4段階までの工程ごとに、干渉電流が印加される範囲の大きさ・深さも変化する。したがって、例えば、比較的大きく離間した第3電極51cと第4電極51dとの間に干渉電流が印加される第3段階では、広い範囲で均一に表情筋を電気刺激で振動させる。一方、比較的近接した第1電極51aと第2電極51bとの間に干渉電流が印加される第1段階では、干渉電流が肌に局所的に作用するので、より大きい刺激を与え得る。
【0137】
なお、このような第1の使用モードは、第1実施形態に係る美容器1Aにおける第1のモードと同様に、使用者の肌に対して筋肉運動を促進させる施術モード、具体的にはEMSであってもよい。
【0138】
そして、使用者は、スイッチボタン66を操作して、使用モードとして第1の使用モードを選択する。これにより、第1電極群52a及び第2電極群52bでは、それぞれ、第1の使用モードによる施術が開始される。なお、第1の使用モードによる施術に先立ち、使用者は、スイッチボタン66を操作することにより、通電レベルとして、例えば、電極51から印加させる電圧の大きさを適宜変更し、自身にとって好適な刺激の強さに調整してもよい。
【0139】
ここまで、使用者が第1の使用モードを選択して、制御部65aが第1の使用モードに基づく施術を実施させる場合を例示したが、美容器1Bでは、それ以外の以下の使用モードに基づく施術を実施することもできる。
【0140】
例えば、第1の使用モードでは、第1チャンネルと第2チャンネルとで共用となる1つのマイナス極のみが設定される。これに対して、第1の使用モードに代わる第2の使用モードでは、第1チャンネルと第2チャンネルとで共用となる2つのマイナス極のみが設定される。
【0141】
図11A図11Dは、第2の使用モードによる施術時の各電極51の制御例を時系列で示す図である。図11A図11Dにおける描画は、第1の使用モードに関する図10A図10Dにおける描画に対応している。
【0142】
第2の使用モードにおいても、制御部65aは、電極群52に含まれる電極51から2つ以上のプラス極と1つ以上のマイナス極とを設定しつつ、当該設定を所定の時間ごとに変化させる工程を実行する。図11A図11Dに示す例では、制御部65aは、4つの電極51から各々2つのプラス極とマイナス極とを選択する。そして、制御部65aは、第1プラス極と第1マイナス極との組み合わせを第1チャンネルと設定し、第2プラス極と第2マイナス極との組み合わせを第2チャンネルと設定する。また、制御部65aは、第1プラス極と第2プラス極との各々が印加する電流の特性を所定の時間ごとに互いに異ならせる。なお、電極51から印加される電流の種類や周波数等の条件については、第1の使用モードの場合と同一であるものとする。更に、第2の使用モードでは、制御部65aは、第1チャンネルと第2チャンネルとを、第1チャンネルでの電流の流れ範囲と第2チャンネルでの電流の流れ範囲とが交差するように設定する。
【0143】
以下、第2の使用モードに関する上記の条件を満たすように制御部65aが実行し得る工程について、図11A図11Dを参照しつつ時系列で説明する。
【0144】
図11Aは、第2の使用モードの第1段階における電極51の設定状態を示す図である。まず、制御部65aは、電極群52に含まれる4つの電極51のうち、第1電極51aと第3電極51cとの組み合わせを第1チャンネルと設定し、第2電極51bと第4電極51dとの組み合わせを第2チャンネルと設定する。これにより、各チャンネルで電流が印加された際、各々のチャンネルでの電流の流れ範囲が交差するという条件を満たす。その上で、制御部65aは、第1チャンネルにおいて、第1電極51aを第1プラス極と設定し、第3電極51cを第1マイナス極と設定する。また、制御部65aは、第2チャンネルにおいて、第2電極51bを第2プラス極と設定し、第4電極51dを第2マイナス極と設定する。
【0145】
第1段階における電極51の設定状態によれば、まず、第1電極51aと第3電極51cとの間には、1000Hzの中周波の電流が作用する。ただし、第4電極51dもマイナス極に設定されているので、第1電極51aと第4電極51dとの間にも、1000Hzの中周波の電流が作用する。一方、第2電極51bと第4電極51dとの間には、1010Hzの中周波の電流が作用する。ただし、第3電極51cもマイナス極に設定されているので、第2電極51bと第3電極53cとの間にも、1010Hzの中周波の電流が作用する。つまり、使用者の肌におけるこれらの電極間での電流の流れ範囲に対応した部位では、中周波の刺激が与えられることになる。
【0146】
更に、第1段階では、図11A中に白抜きの矢印で示されるように、第1電極51aと第2電極51bとの間には、それぞれの電極から出力された電圧の周波数差分の電位差が生じて、干渉電流として10Hzの低周波電流が作用する。つまり、使用者の肌における第1電極51aと第2電極51bとの間での電流の流れ範囲に対応した部位では、低周波の刺激が与えられることになる。この場合、低周波の刺激が与えられることで、例えば、使用者の目元の筋肉が動く。
【0147】
図11Bは、第1の使用モードの第2段階における電極51の設定状態を示す図である。制御部65aは、第1段階に続く第2段階の制御として、第2チャンネルにおける電極51の設定を維持したまま、第1チャンネルにおいて、各電極51でそれぞれ極性を切り替える。つまり、第1チャンネルでは、第1電極51aが第1マイナス極と設定され、第3電極51cが第1プラス極と設定される。
【0148】
第2段階における電極51の設定状態によれば、まず、第3電極51cと第1電極51aとの間には、1000Hzの中周波の電流が作用する。ただし、第2段階では、新たに第3電極51cがプラス極に設定されるので、第3電極51cと第4電極51dとの間にも、1000Hzの中周波の電流が作用する。一方、第2電極51bと第4電極51dとの間には、1010Hzの中周波の電流が作用する。ただし、第2段落では、新たに第1電極51aがマイナス極に設定されるので、第2電極51bと第1電極51aとの間にも、1010Hzの中周波の電流が作用する。つまり、使用者の肌におけるこれらの電極間での電流の流れ範囲に対応した部位では、中周波の刺激が与えられることになる。
【0149】
更に、第2段階では、図11B中に白抜きの矢印で示されるように、第2電極51bと第3電極51cとの間には、それぞれの電極から出力された電圧の周波数差分の電位差が生じて、干渉電流として10Hzの低周波電流が作用する。つまり、使用者の肌における第2電極51bと第3電極51cとの間での電流の流れ範囲に対応した部位では、低周波の刺激が与えられることになる。この場合、低周波の刺激が与えられることで、例えば、使用者の鼻横溝の近傍、ほうれい線の近傍又は目の下の筋肉が動く。
【0150】
図11Cは、第1の使用モードの第3段階における電極51の設定状態を示す図である。制御部65aは、第2段階に続く第3段階の制御として、第1チャンネルにおける電極51の設定を維持したまま、第2チャンネルにおいて、各電極51でそれぞれ極性を切り替える。つまり、第2チャンネルでは、第2電極51bが第2マイナス極と設定され、第4電極51dが第2プラス極と設定される。
【0151】
第3段階における電極51の設定状態によれば、まず、第3電極51cと第1電極51aとの間には、1000Hzの中周波の電流が作用する。ただし、第3段階では、新たに第2電極51bがマイナス極に設定されるので、第3電極51cと第2電極51bとの間にも、1000Hzの中周波の電流が作用する。一方、第4電極51dと第2電極51bとの間には、1010Hzの中周波の電流が作用する。ただし、第3段落では、新たに第4電極51dがプラス極に設定されるので、第4電極51dと第1電極51aとの間にも、1010Hzの中周波の電流が作用する。つまり、使用者の肌におけるこれらの電極間での電流の流れ範囲に対応した部位では、中周波の刺激が与えられることになる。
【0152】
更に、第3段階では、図11C中に白抜きの矢印で示されるように、第3電極51cと第4電極51dとの間には、それぞれの電極から出力された電圧の周波数差分の電位差が生じて、干渉電流として10Hzの低周波電流が作用する。つまり、使用者の肌における第3電極51cと第4電極51dとの間での電流の流れ範囲に対応した部位では、低周波の刺激が与えられることになる。この場合、低周波の刺激が与えられることで、例えば、使用者の頬の筋肉が動く。
【0153】
図11Dは、第1の使用モードの第4段階における電極51の設定状態を示す図である。制御部65aは、第3段階に続く第4段階の制御として、第2チャンネルにおける電極51の設定を維持したまま、第1チャンネルにおいて、各電極51でそれぞれ極性を切り替える。つまり、第1チャンネルでは、第1電極51aが第1プラス極と設定され、第3電極51cが第1プラス極と設定される。
【0154】
第4段階における電極51の設定状態によれば、まず、第1電極51aと第3電極51cとの間には、1000Hzの中周波の電流が作用する。ただし、第4段階では、新たに第1電極51aがプラス極に設定されるので、第1電極51aと第2電極51bとの間にも、1000Hzの中周波の電流が作用する。一方、第4電極51dと第2電極51bとの間には、1010Hzの中周波の電流が作用する。ただし、第4段落では、新たに第3電極51cがプラス極に設定されるので、第4電極51dと第3電極51cとの間にも、1010Hzの中周波の電流が作用する。つまり、使用者の肌におけるこれらの電極間での電流の流れ範囲に対応した部位では、中周波の刺激が与えられることになる。
【0155】
更に、第4段階では、図11D中に白抜きの矢印で示されるように、第1電極51aと第4電極51dとの間には、それぞれの電極から出力された電圧の周波数差分の電位差が生じて、干渉電流として10Hzの低周波電流が作用する。つまり、使用者の肌における第1電極51aと第4電極51dとの間での電流の流れ範囲に対応した部位では、低周波の刺激が与えられることになる。この場合、低周波の刺激が与えられることで、例えば、使用者の鼻横溝の近傍又は頬の筋肉が動く。
【0156】
そして、制御部65aは、第4段階の制御が終了した後、引き続き、第1段階の制御に戻り、第1段階から第4段階までの一連の工程を繰り返してもよい。
【0157】
ここで、第1の使用モードと第2の使用モードとで比較すると、干渉電流が生じる範囲は、互いに同一である。しかし、第2の使用モードでは、第1の使用モードの場合よりもマイナス極すなわちGNDの設定数が多いため、中周波電流の分岐がより多くなる分、干渉電流による刺激は弱くなる。したがって、使用者は、施術中の刺激の強さをより抑えたいときには、第1の使用モードに代えて、第2の使用モードを選択すればよい。
【0158】
以上、第2の使用モードについて説明したが、その他、第1の使用モードの場合と同様に、第2の使用モードにおいても、第1プラス極又は第2プラス極のいずれかから印加される電流の周波数を経時的に変化させてもよい。
【0159】
次に、美容器1B、及び、美容器1Bの制御方法の効果について説明する。
【0160】
まず、美容器1Bは、使用者の肌に電流を流す3つ以上の電極51を有する電極群52を備える。また、美容器1Aは、電極群52に含まれる電極51から2つ以上のプラス極と1つ以上のマイナス極とを設定しつつ、当該設定を所定の時間ごとに変化させる制御部65aを備える。制御部65aは、2つ以上のプラス極から選択された第1プラス極と第2プラス極との各々が印加する電流の周波数の制御を互いに異ならせる。
【0161】
また、美容器1Bの制御方法は、電極群52に含まれる電極51から2つ以上のプラス極と1つ以上のマイナス極とを設定しつつ、当該設定を所定の時間ごとに変化させる工程を有する。当該工程では、2つ以上のプラス極から選択された第1プラス極と第2プラス極との各々が印加する電流の周波数の制御条件が互いに異なる。
【0162】
このような美容器1B及び美容器1Bの制御方法によれば、図10Aから図10Dまでの一連の工程等を参照して例示したとおり、使用者の肌には、まず、所定の組み合わせに係る電極51間で、例えば中周波電流による刺激を与えることができる。更に、使用者の肌には、中周波電流による刺激のみならず、印加される範囲が所定の時間ごとに変化する、周波数の差に起因した干渉電流による干渉刺激を与えることができる。これにより、美容器1Bは、刺激の強さ又は刺激を与える範囲を自動で変化させることができるので、使用者の肌に対してより満足感の高い刺激を与えることができる。
【0163】
以上のように、本実施形態によれば、使用者の肌に対してより使用感の得られる刺激を与える美容器1B及び美容器1Bの制御方法を提供することができる。
【0164】
また、美容器1Bでは、電極51が印加する電流の周波数は、1Hz以上、10kHz未満の範囲にあってもよい。
【0165】
この美容器1Bによれば、使用者の表情筋の各所に対する引き締め効果を得るのに好適な刺激を与えることができる。
【0166】
また、美容器1Bでは、制御部65aは、第1プラス極と第2プラス極とでは、電流の周波数の大きさを互いに異ならせてもよい。
【0167】
この美容器1Bによれば、制御部65aは、第1プラス極に基づく電流の周波数と、第2プラス極に基づく電流の周波数との差に起因させて、干渉電流を所望の大きさに又は所望の範囲に生じさせることができる。
【0168】
また、美容器1Bでは、第1プラス極と第2プラス極とでの電流の周波数の差は、0.1Hz以上、100kHz未満の範囲にあってもよい。
【0169】
この美容器1Bによれば、制御部65aは、干渉電流を、使用者の肌に与える刺激が比較的強くなる低周波電流とすることができる。例えば、所定の組み合わせに係る電極51間で与えられる電流が中周波電流である場合には、当該中周波電流に対して低周波電流である干渉電流が明確に区別されるため、使用者の肌に対して、より変化に富んだ刺激を与えるのに有利となり得る。
【0170】
また、美容器1Bでは、制御部65aは、第1プラス極又は第2プラス極では、電流の周波数を経時的に変化させてもよい。
【0171】
この美容器1Bによれば、施術中、干渉電流の周波数が所定の時間ごとに変動することになるため、使用者の肌に、より繊細に強さが変化する刺激を与えるのに有利となり得る。
【0172】
また、美容器1Bでは、第1プラス極と第1マイナス極との組み合わせからなる第1チャンネルと、第2プラス極と第2マイナス極との組み合わせからなる第2チャンネルとを規定する。この場合、制御部65aは、第1チャンネルと第2チャンネルとを、第1チャンネルでの電流の流れ範囲と第2チャンネルでの電流の流れ範囲とが交差するように設定してもよい。
【0173】
この美容器1Bによれば、第1プラス極に基づく電流の周波数と、第2プラス極に基づく電流の周波数との差に起因させて、干渉電流をより確実に生じさせることができる。また、干渉電流の大きさ、又は、干渉電流が印加される範囲について、設定され得るパターンの幅を広げることができる。
【0174】
また、美容器1Bでは、電極群52に含まれる電極51から選択される2つの電極51についての電極間距離は、選択される電極51ごとに異なってもよい。
【0175】
電極群52から選択される2つの電極51間の距離が比較的短い場合、それらの電極51間に通電された電流は、使用者の肌に対して局所的に作用するため、大きな刺激が得られやすい。一方、電極群52から選択される2つの電極51間の距離が比較的長い場合、それらの電極51間に通電された電流は、使用者の肌の広い範囲に作用しやすい。したがって、この美容器1Bによれば、電極51間ごとに電極間距離を異ならせることで、使用者の肌への刺激を様々に異ならせることができる。
【0176】
また、美容器1Bでは、使用者の顔面に装着されるマスク本体40を備え、電極群52は、使用者の左右の頬の位置に合わせてマスク本体40に設けられてもよい。
【0177】
この美容器1Bによれば、使用者の顔面に装着される方式を採用して、使用者の肌に対してより使用感の得られる刺激を与えることができる。
【0178】
また、美容器1Bでは、3つ以上の電極は、眼輪筋、大小頬骨筋及び上唇挙筋から選択された少なくとも1つの筋肉にまたがる位置に配置されてもよい。
【0179】
この美容器1Bによれば、制御部65aは、刺激を与えたい顔上の部位に電流の流れ範囲がより合うように、複数の電極51から適切な電極51を選択しやすくすることができる。
【0180】
更に、美容器1Bでは、3つ以上の電極51の各々の表面の重心を頂点とする多角形VPを想定したとき、多角形VPの各々の辺の長さは、互いに異なってもよい。
【0181】
この美容器1Bによれば、電極51間ごとに電極間距離が各々異なることになるため、特に、使用者の顔面に装着される方式を採用する場合に、使用者の肌への刺激を様々に異ならせるための条件として有効である。
【0182】
更に、各実施形態に係る美容器1A又は1Bは、以下のようにも規定され得る。
【0183】
美容器1A等は、使用者の肌に特性の異なる電流を流す3つ以上の電極を有する電極群部を備えてもよい。また、美容器1A等は、電極群部に含まれる電極に、2つ以上のプラス極と1つ以上のマイナス極とを設定しかつ当該設定を所定の時間ごとに変化させる電極設定制御部を備えてもよい。電極設定制御部は、2つ以上のプラス極の電極を選択し、選択した電極の各々が印加する電流の特性を経時的に変化させるように制御してもよい。
【0184】
また、美容器1A等では、電流の特性は、周波数であってもよい。
【0185】
また、美容器1A等では、3つ以上の電極群部において、各々の電極の電極間距離を互いに異なってもよい。
【0186】
また、美容器1A等では、電極設定制御部は、3つ以上の電極群部において、各々の電極の電極間距離が近接している電極同士では強く浅い刺激を行い、各々の電極の電極間距離が遠接している電極同士では弱く深い刺激を行ってもよい。
【0187】
また、美容器1A等は、手持ち式の美容器又は顔面に装着可能なマスク型美容器であってもよい。
【0188】
更に、美容器1A等では、電流は、低周波電流、中周波電流又は干渉低周波電流であってもよい。
【0189】
ここで、上記の電極群部は、3つ以上の電極23を有する電極群22、又は、3つ以上の電極51を有する電極群52に相当する構成要素である。また、上記の電極設定制御部は、制御部13a又は制御部65aに含まれ得る構成要素である。
【0190】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本開示は、使用者の肌に対してより使用感の得られる刺激を与える美容器に適用可能である。具体的には、家庭用又は業務用の各種の美容器に、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0192】
1A,1B 美容器
10 本体部
11b 底部
13a,65a 制御部
20 ヘッド部
22,52 電極群
23,51 電極
23a 上部電極
23b 下部電極
23c 第1中間電極
23d 第2中間電極
40 マスク本体
51a 第1電極
51b 第2電極
51c 第3電極
51d 第4電極
L1 第1距離
L2 第2距離
L3 第3距離
VP 多角形
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
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図10D
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