(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167593
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】無線通信システム及びポリシーの更新方法
(51)【国際特許分類】
H04W 36/08 20090101AFI20231116BHJP
H04W 92/24 20090101ALI20231116BHJP
【FI】
H04W36/08
H04W92/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078887
(22)【出願日】2022-05-12
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141519
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 邦之
(72)【発明者】
【氏名】中山 貴照
(72)【発明者】
【氏名】伊賀 祥悟
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD11
5K067EE04
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE24
5K067JJ39
(57)【要約】
【課題】端末移動に伴うポリシー変更におけるNF間の連携を改善すること。
【解決手段】無線通信システムは、端末装置と、第1の基地局及び第2の基地局を少なくとも含む複数の基地局と、Session Management Function(SMF)及びPolicy Control Function(PCF)を少なくとも含む複数のコアネットワークノードと、を備え、前記端末装置が前記第1の基地局から前記第2の基地局へのハンドオーバの手続きを開始した場合に、前記SMFは、ポリシーの更新の要求を含む第1のメッセージを前記PCFに送信し、前記PCFは、前記第1のメッセージに応じて、更新されたポリシーの情報を含む第2のメッセージを前記SMFに送信する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と、
第1の基地局及び第2の基地局を少なくとも含む複数の基地局と、
Session Management Function(SMF)及びPolicy Control Function(PCF)を少なくとも含む複数のコアネットワークノードと、
を備え、
前記端末装置が前記第1の基地局から前記第2の基地局へのハンドオーバの手続きを開始した場合に、前記SMFは、ポリシーの更新の要求を含む第1のメッセージを前記PCFに送信し、
前記PCFは、前記第1のメッセージに応じて、更新されたポリシーの情報を含む第2のメッセージを前記SMFに送信する、
無線通信システム。
【請求項2】
前記第1のメッセージが、前記端末装置の位置を示す第1の情報を含み、
前記PCFが、前記第1の情報を用いて前記ポリシーの更新を判定する、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第1のメッセージが、第2の情報を更に含み、
前記第2の情報は、Public Land Mobile Network ID(PLMN ID)、Single-Network Slice Selection Assistance Information(S-NSSAI)及びData Network Name(DNN)の少なくとも1つを含み、
前記PCFは、前記第1の情報および前記第2の情報を用いて前記ポリシーの更新を判定する、
請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第2のメッセージは、Data Network Access Identifier(DNAI)を更に含む、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記複数のコアネットワークノードが、Access and Mobility management Function(AMF)を更に含み、
前記AMFが、PDUセッションの更新の要求を含む第3のメッセージを前記SMFに送信し、
前記SMFが、前記第3のメッセージに応じて、前記第1のメッセージを前記PCFに送信する、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記第3のメッセージが、前記端末装置の位置を示す第1の情報を含み、
前記第1のメッセージが、前記第1の情報を含む、
請求項5に記載の無線通信システム。
【請求項7】
ポリシーの更新方法であって、
第1の基地局から第2の基地局へのハンドオーバの手続きを端末装置が開始した場合に、
ポリシーの更新の要求を含む第1のメッセージを、Session Management Function(SMF)からPolicy Control Function(PCF)に送信することと、
前記第1のメッセージに応じて、更新されたポリシーの情報を含む第2のメッセージを前記PCFから前記SMFに送信することと、
を含む、ポリシーの更新方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信システム及びポリシーの更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
5GC(5th Generation Core network)の無線通信システムにおいて、端末移動に伴うハンドオーバ手続きが行われる場合、NF(Network Function)の1つであるPCF(Policy Control Function)が、ポリシーの更新を行う(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TS 23.502 v16.11.0(2021-12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記非特許文献1に係る技術では、端末移動に伴うポリシー変更は、AMF(Access and Mobility management Function)、NEF(Network Exposure Function)、AF(Application Function)、PCF及びSMF(Session Management Function)間で実現される。このようなポリシー変更は、NF間の連携が複雑であり、改善の余地があった。
【0006】
本開示は、端末移動に伴うポリシー変更におけるNF間の連携を改善することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある観点によれば、無線通信システムが提供される。当該無線通信システムは、端末装置と、第1の基地局及び第2の基地局を少なくとも含む複数の基地局と、Session Management Function(SMF)及びPolicy Control Function(PCF)を少なくとも含む複数のコアネットワークノードと、を備え、前記端末装置が前記第1の基地局から前記第2の基地局へのハンドオーバの手続きを開始した場合に、前記SMFは、ポリシーの更新の要求を含む第1のメッセージを前記PCFに送信し、前記PCFは、前記第1のメッセージに応じて、更新されたポリシーの情報を含む第2のメッセージを前記SMFに送信する。
【0008】
別の観点によれば、ポリシーの更新方法が提供される。当該方法は、第1の基地局から第2の基地局へのハンドオーバの手続きを端末装置が開始した場合に、ポリシーの更新の要求を含む第1のメッセージを、Session Management Function(SMF)からPolicy Control Function(PCF)に送信することと、前記第1のメッセージに応じて、更新されたポリシーの情報を含む第2のメッセージを前記PCFから前記SMFに送信することと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によれば、端末移動に伴うポリシー変更におけるNF間の連携を改善することが可能になる。上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る無線通信システムの概略的な構成を例示する説明図である。
【
図2】第1実施形態に係る端末装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る基地局の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係るコアネットワークノードの構成の一例を示すテーブルである。
【
図5】第1実施形態に係る端末装置がハンドオーバの手続きを開始した場合の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図6】PCFが有する、TACとポリシーとの対応を示すテーブルである。
【
図7】第2実施形態に係る無線通信システムの概略的な構成を例示する説明図である。
【
図8】第2実施形態に係る端末装置が位置登録要求を送信した場合の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して1以上の実施形態を説明する。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一の符号を付することにより重複説明が省略される。
【0012】
以下に説明される各実施形態は、本発明を実現可能な構成の一例に過ぎない。以下の各実施形態は、本発明が適用される装置の構成や各種の条件に応じて適宜に修正又は変更することが可能である。以下の各実施形態に含まれる要素の組合せの全てが本発明を実現するに必須であるとは限られず、要素の一部を適宜に省略することが可能である。したがって、本発明の範囲は、以下の各実施形態に記載される構成によって限定されるものではない。相互に矛盾のない限りにおいて、実施形態内に記載された複数の構成を組み合わせた構成も採用可能である。
【0013】
説明は、以下の順序で行われる。
1.実施形態の概要
2.第1実施形態
2-1.システムの構成
2-2.端末装置の構成
2-3.基地局の構成
2-4.コアネットワークノードの構成
2-5.処理の流れ
2-6.利点
2-7.変形例
3.第2実施形態
3-1.システムの構成
3-2.処理の流れ
【0014】
<<1.実施形態の概要>>
まず、以下で説明する1以上の実施形態の概要を説明する。
【0015】
1以上の実施形態において、無線通信システムが提供される。無線通信システムは、例えば、3GPP(3rd Generation Partnership Project)に準拠したシステムである。無線通信システムは、端末装置と、複数の基地局と、複数のコアネットワークノードとを含む。端末装置は、例えば、スマートフォン、携帯電話機又はタブレット等の携帯端末である。基地局は、例えば、端末装置と電波により通信する無線局である。複数の基地局は、第1の基地局及び第2の基地局を少なくとも含む。SMFは、複数のコアネットワークノードのひとつであり、例えば、トラフィック管理及びセッション管理を行う。PCFは、複数のコアネットワークノードのひとつであり、例えば、ユーザデータ転送におけるQoS(Quality of Service)管理及び課金制御を行う。端末装置が第1の基地局から第2の基地局へのハンドオーバの手続きを開始した場合に、SMFは、ポリシーの更新の要求を含む第1のメッセージをPCFに送信する。PCFは、SMFから受信した第1のメッセージに応じて、更新されたポリシーの情報を含む第2のメッセージをSMFに送信する。
【0016】
上記構成によれば、無線通信システムは、端末装置がハンドオーバの手続きを開始した場合に、NEF及びAFとの連携を省略しつつポリシー変更を行うことができる。
【0017】
<<2.第1実施形態>>
続いて、
図1~
図5を参照して、第1実施形態を説明する。
【0018】
<2-1.システムの構成>
図1は、無線通信システム1の構成の一例を示す図である。例えば、無線通信システム1は、3GPPに準拠したシステムである。具体的には、無線通信システム1は、5Gの規格に準拠したシステムであってもよい。当然ながら、無線通信システム1は、この例に限定されない。
【0019】
無線通信システム1は、端末装置100と、基地局200と、コアネットワークノード300と、DN(Data network)400とを含む。
【0020】
端末装置100は、ユーザ装置(UE:User Equipment)又は移動局等と称呼される場合がある。端末装置100は、スマートフォン、携帯電話機又はタブレット等の携帯端末である。
【0021】
基地局200は、端末装置100と無線通信を行うノードであって、すなわち、無線アクセスネットワーク(RAN:Radio Access Network)のノードである。
【0022】
コアネットワークノード300は、コアネットワークにおける特定のネットワーク機能(サービス)を提供する機能的な要素である。コアネットワークノード300は、AMF310、SMF320、PCF330及びUPF(User Plane Function)340を含む。なお、NFは、「コアネットワーク内の通信制御装置」又は「コアネットワーク内の制御ノード」と称呼される場合がある。
【0023】
DN400は、端末装置100が接続してデータを通信するネットワークである。端末装置100は、DNAI(Data Network Access Identifier)によって接続すべきDN400を特定する。
【0024】
<2-2.端末装置の構成>
端末装置100は、他の端末装置100及び基地局200と無線通信を行うノードである。端末装置100は、例えば、監視カメラやロボット等のIoTデバイスであってもよいし、スマートフォン等の携帯電話端末であってもよいし、自動運転車に搭載される通信モジュールであってもよい。すなわち、端末装置100は、高度化モバイルブロードバンド(eMBB:enhanced Mobile Broadband)向けのノードであってもよく、超高信頼性・低遅延通信(URLLC:Ultra-Reliable and Low Latency Communications)向けのノードであってもよく、大規模マシンタイプ通信(mMTC:massive Machine Type Communications)向けのノードであってもよく、車両通信(V2X:Vehicle to X)向けのノードであってもよい。
【0025】
図2は、本実施形態に係る端末装置100の概略的な構成を例示するブロック図である。
図2に示すように、端末装置100は、無線通信部110と記憶部120と処理部130とを有する。
【0026】
無線通信部110は、他の端末装置及び基地局200と無線通信を行う要素である。無線通信部110は、他の端末装置及び基地局200に対して無線信号を送信し、他の端末装置及び基地局200から無線信号を受信する。無線通信部110は、例えば、アンテナ及び高周波(RF:Radio Frequency)回路によって実装され得る。
【0027】
記憶部120は、端末装置100における種々の処理を実行するのに用いられるプログラム(命令)及びデータを一時的又は恒久的に格納する要素である。上記プログラムは、端末装置100の動作のための1つ以上の命令を含む。記憶部120は、例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、若しくは磁気ディスク等の記憶媒体又はこれらの2種以上の組合せによって実装され得る。また、記憶部120が処理部130を構成する1以上のプロセッサと一体的に構成されてもよい。
【0028】
処理部130は、端末装置100の種々の機能を提供する要素であって、制御部131と通信処理部132とを機能ブロックとして有する。概略的には、制御部131が端末装置100の処理を制御し、通信処理部132が基地局200等の他のノードとの通信処理を実行する。なお、処理部130は、以上の機能ブロック以外の構成要素を更に含んでよい。即ち、処理部130は、以上の機能ブロックによる動作以外の動作を実行できる。
【0029】
処理部130は、例えば、ベースバンドプロセッサ等の1以上のプロセッサによって実装され得る。処理部130は、記憶部120に記憶されたプログラムを記憶部120及び/又は不図示のシステムメモリに展開し実行することによって、後述される本実施形態の処理を実現してよい。なお、各機能ブロック(制御部131及び通信処理部132)が、処理部130とは別の1以上のプロセッサによって実現されてもよい。処理部130がSoC(System on Chip)内で実装されてもよい。
【0030】
<2-3.基地局の構成>
基地局200は、端末装置100と無線通信を行うノードであって、すなわち、RANのノードである。基地局200は、例えば、eNB(evolved Node B)であってもよいし、5GにおけるgNB(generation Node B)であってもよい。
【0031】
基地局200は、複数のユニット(又はノード、以下同じ)を含んでもよい。当該複数のユニットは、上位のプロトコルレイヤの処理を行う第1ユニットと、下位のプロトコルレイヤの処理を行う第2ユニットとを含んでもよい。一例として、上記第1ユニットは、中央ユニット(CU:Center/Central Unit)と呼ばれてもよく、上記第2のユニットは、分散ユニット(DU:Distributed Unit)又はアクセスユニット(AU:Access Unit)と呼ばれてもよい。別の例として、上記第1ユニットは、デジタルユニット(DU:Digital Unit)と呼ばれてもよく、上記第2ユニットは、無線ユニット(RU:Radio Unit)又はリモートユニット(RU:Remote Unit)と呼ばれてもよい。上記DU(Digital Unit)は、BBU(Base Band Unit)であってもよく、上記RUは、RRH(Remote Radio Head)又はRRU(Remote Radio Unit)であってもよい。当然ながら、上記第1ユニット及び上記第2ユニットの呼称は、この例に限定されない。あるいは、基地局200は、単一のユニットであってもよい。この場合に、基地局200は、上記複数のユニットのうちの1つ(例えば、上記第1ユニット及び上記第2ユニットの一方)であってもよく、上記複数のユニットのうちの他のユニット(例えば、上記第1ユニット及び上記第2ユニットの他方)と接続されていてもよい。
【0032】
図3は、本実施形態に係る基地局200の概略的な構成を例示するブロック図である。
図3に示すように、基地局200は、無線通信部210と、ネットワーク通信部220と、記憶部230と、処理部240とを有する。
【0033】
無線通信部210は、端末装置100と無線通信を行う要素である。無線通信部210は、端末装置100に対して無線信号を送信し、端末装置100から無線信号を受信する。無線通信部210は、例えば、アンテナ及び高周波(RF:Radio Frequency)回路によって実装され得る。
【0034】
ネットワーク通信部220は、AMF310、UPF340等のコアネットワークノード300(すなわち、コアネットワーク)と通信する要素である。ネットワーク通信部220は、コアネットワークノード300に対して信号を送信し、コアネットワークノード300から信号を受信する。ネットワーク通信部220は、例えば、ネットワークアダプタ及び/又はネットワークインターフェースカードによって実装され得る。
【0035】
記憶部230は、基地局200における種々の処理を実行するのに用いられるプログラム(命令)及びデータを一時的又は恒久的に格納する要素である。上記プログラムは、基地局200の動作のための1つ以上の命令を含む。記憶部230は、例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、若しくは磁気ディスク等の記憶媒体又はこれらの2種以上の組合せによって実装され得る。また、記憶部230が処理部240を構成する1以上のプロセッサと一体的に構成されてもよい。
【0036】
処理部240は、基地局200の種々の機能を提供する要素であって、制御部241と通信処理部242とを機能ブロックとして有する。概略的には、制御部241が基地局200の処理を制御し、通信処理部242が端末装置100やコアネットワークノード300等の他のノードとの通信処理を実行する。なお、処理部240は、以上の機能ブロック以外の構成要素を更に含んでよい。即ち、処理部240は、以上の機能ブロックによる動作以外の動作を実行できる。
【0037】
処理部240は、例えば、ベースバンドプロセッサ等の1以上のプロセッサによって実装され得る。処理部240は、記憶部230に記憶されたプログラムを記憶部230及び/又は不図示のシステムメモリに展開し実行することによって、後述される本実施形態の処理を実現してよい。なお、各機能ブロック(制御部241及び通信処理部242)が、処理部240とは別の1以上のプロセッサによって実現されてもよい。
【0038】
なお、基地局200が仮想化されていてもよい。すなわち、基地局200が仮想マシンとして実装されてもよい。以上の場合、基地局200(仮想マシン)は、プロセッサ及びメモリ等を含む物理マシン(ハードウェア)及びハイパーバイザ上で仮想マシンとして動作してよい。
【0039】
<2-4.コアネットワークノードの構成>
コアネットワークノード300(AMF310、SMF320、PCF330及びUPF340)の各々は、コアネットワークにおける特定のネットワーク機能(サービス)を提供する機能的な要素である。
【0040】
AMF310は、端末装置100の登録管理、モビリティ管理及び端末装置100が属するネットワークスライスの切替えを制御する要素である。SMF320は、トラフィック管理及びセッション管理を行う要素である。PCF330は、ポリシーの情報を保持し、ユーザデータ転送におけるQoS制御及び課金制御を行う要素である。UPF340は、パケット転送及びIPアドレス転送を行う要素である。
【0041】
図4は、本実施形態に係るコアネットワークノード300の概略的な構成を例示するブロック図である。
図4に示すように、コアネットワークノード300は、ネットワーク通信部301と、記憶部302と、処理部303とを有する。
【0042】
ネットワーク通信部301は、コアネットワーク内外の他ノードと通信する要素である。ネットワーク通信部301は、他ノードに対して信号を送信し、他ノードから信号を受信する。ネットワーク通信部301は、前述のように、NFV(Network Function Virtualization)技術を用いて仮想化されたコアネットワークのリソースによって実装され得る。
【0043】
記憶部302は、コアネットワークノードにおける種々の処理を実行するのに用いられるプログラム(命令)及びデータを一時的又は恒久的に格納する要素である。上記プログラムは、コアネットワークノード300の動作のための1つ以上の命令を含む。記憶部302は、前述のように、NFV技術を用いて仮想化されたコアネットワークのリソースによって実装され得る。
【0044】
処理部303は、コアネットワークノード300の種々の機能を提供する要素であって、制御部304と通信処理部305とを機能ブロックとして有する。概略的には、制御部304がコアネットワークノード300の処理を制御し、通信処理部305が他のノードとの通信処理を実行する。なお、処理部303は、以上の機能ブロック以外の構成要素を更に含んでよい。即ち、処理部303は、以上の機能ブロックによる動作以外の動作を実行できる。処理部303は、前述のように、NFV技術を用いて仮想化されたコアネットワークのリソースによって実装され得る。
【0045】
<2-5.処理の流れ>
次に、
図5を参照して、無線通信システム1における各構成要素の動作を説明する。
図5は、端末装置100がハンドオーバの手続きを開始した場合の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0046】
端末装置100は、基地局200のうちのソース基地局(第1の基地局)のセルからターゲット基地局(第2の基地局)のセルに移動するような場合、ソース基地局及びターゲット基地局と通信し、ハンドオーバの準備及び実行手続き(Handover preparation and Handover Execution)を開始する。
【0047】
ハンドオーバの準備及び実行手続の開始後、基地局200のうち、例えばターゲット基地局は、N2パス切替要求(N2 Path Switch Request)をコアネットワークノード300のAMF310に送信する(ステップS1)。N2パス切替要求は、N2インタフェースの経路(パス)の切替に関する要求である。N2パス切替要求は、端末装置100の位置情報を含んでもよい。
【0048】
AMF310は、N2パス切替要求を受信したあと、SMF320にPDUセッション更新SMコンテキスト要求(Nsmf_PDUSession UpdateSMContext Request、第3のメッセージ)を送信する(ステップS2)。PDUセッション更新SMコンテキスト要求は、PDUセッションの更新の要求、ターゲット基地局のN2SM情報、ソース基地局のN2SM情報、端末装置100の位置情報、及び、LADNサービスエリアでの端末装置100の位置情報を含む。例えば、端末装置100の位置情報は、TAC(Tracking Area Code)である。TACは、端末装置100が存在するTA(Tracking Area)を示すコードである。
【0049】
SMF320は、PDUセッション更新SMコンテキスト要求を受信したあと、PCF330にSMポリシーコントロール更新要求(Npcf_SMpolicyControl_Updata Request、第1のメッセージ)を送信する(ステップS3)。SMポリシーコントロール更新要求は、ポリシーの更新の要求並びにTACを含む。
【0050】
PCF330は、受信したSMポリシーコントロール更新要求に含まれる端末装置100の位置情報(TAC)を用いて対応するポリシーを検索する(ステップS4)。
図6は、PCF330が有する、TACとポリシーとの対応を示すテーブルである。具体的には、
図6によると、PCF330は、例えば当該テーブルを参照して、SMポリシーコントロール更新要求に含まれるTACを元に、保持するポリシーのうち当該TACに対応するポリシーを検索する。
【0051】
PCF330は、TACに対応するポリシーを検出した場合、新しいポリシーとして検出したポリシーを決定する(ステップS5)。PCF330は、ステップS5で決定した新しいポリシーを含む応答(Npcf_SMpolicyControl_Updata Response、第2のメッセージ)をSMF320に送信する(ステップS6)。当該応答は、例えば、更新したPCC(Policy and Charging Control)rule及びDNAI(Data Network Access Identify)を含む。DNAIは、端末装置100が接続すべきDN400を特定する情報であって、より具体的には、DN400へアクセスするためのユーザプレーンを識別する情報である。
【0052】
したがって、PCF330は、SMF320から受信したSMポリシーコントロール更新要求に含まれる位置情報を用いて対応するポリシーを検索し(ステップS4)、ステップS4で検出したポリシーを新しいポリシーとして決定する(ステップS5)。これにより、PCF330は、ポリシーの更新を判定することができる。また、PCF330は、更新したポリシーの情報を含む応答をSMF320に送信する(ステップS6)。これにより、PCF330は、ステップS3でSMF320から受信したSMポリシーコントロール更新要求に対して応答することができる。
【0053】
一方、ステップS4で、TAC(仮に、TAC10とする)に対応するレコードがテーブルにない場合、PCF330は、ポリシー更新を行わない。すなわち、PCF330は、元のポリシーを使用する。この場合、PCF330は、ステップS6に代えて、ポリシーの更新の必要がないことをSMF320に通知するとよい。
【0054】
TACに対応するポリシーを検出した場合に戻り、SMF320は、例えば、PCF330から受け取ったDNAI及びAMF310から受け取ったTAC等の位置情報に基づき、ターゲットUPF(UPF340)の選択(Target UPF Selection)を行う(ステップS7)。
【0055】
SMF320は、ステップS7で選択したUPF340と接続するためのN4セッションの変更の手続き(N4 Session Modification)を行う(ステップS8)。具体的な手順は、非特許文献1の4.4.1.3節(N4 Session Modification procedure)と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0056】
その後の手続きも非特許文献1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0057】
<2-6.利点>
上記の構成は、以下の利点を有する。本実施形態の無線通信システム1は、SMF320とPCF330との間の連携によってポリシーの変更を行うことができる。すなわち、無線通信システム1は、コアネットワークにおいてNEF及びAFを省略することができる。これにより、無線通信システム1は、NF連携の単純化を図ることができ、ひいては、性能向上、設備投資のコスト削減を実現することができる。
【0058】
また、本実施形態の無線通信システム1は、端末装置100の移動に伴いポリシーの変更を行うことで、多彩なポリシー活用を実現することができる。例えば無線通信システム1は、位置情報と人口密度及び通信速度の上限を予めポリシーとして設定しておく。これにより、無線通信システム1は、端末装置100の移動時に、ポリシーの変更を行うため、通信資源配分の効率化を図ることができる。さらに、無線通信システム1は、通信用途に応じてアクセス先DNの振り分けを行うためのポリシーを端末装置100の位置情報と組み合わせて設定することができる。ゆえに、無線通信システム1は、移動先に応じたローカルDNへの切り替えを容易にし、かつ、好適な低遅延通信化を図ることができる。
【0059】
例えば自治体が主導するローカル5G事業において、特定エリアで使用する自治体独自のアプリケーションは、データ通信量を課金しないポリシー適用を行うことができる。これにより、無線通信システム1は、ユーザにストレスフリーな通信環境を提供することができる。
【0060】
例えば大規模イベント会場などでは、人口が密集し回線が混み合う。そこで、特定アプリケーション及びブラウザ等の通信の優先度を制御することで、無線通信システム1は、スムーズな通信環境を提供することができる。
【0061】
<2-7.変形例>
別の例において、SMポリシーコントロール更新要求は、PLMN(Public Land Mobile Network) ID、S-NSSAI(Single-Network Slice Selection Assistance Information)及びDNN(Data Network Name)の少なくとも1つを更に含んでもよい。PLMN IDは、モバイルカントリーコード(Mobile Country Code)と、モバイルカントリーネットワークコード(Mobile Country Network Code)とを合わせた情報である。S-NSSAIは、サービス及び機能についてNS(Network Slice)を特定するためのSST(Slice/Service Type)情報である。S-NSSAIは、特定のNSインスタンスの選択を補助するSD(Slice Differentiator:スライス区別因子)を含んでもよい。DNNは、端末装置100が接続すべきネットワークに関する情報である。DNNは、ネットワーク(例えば、コアネットワーク)を識別する情報、及び/又は、他の外部ネットワークを識別する情報を含んでよい。
【0062】
PCF330は、TACと、PLMN ID、S-NSSAI及びDNNの少なくとも1つとの対応を示すテーブルを有してもよい。PCF330は、TACと、PLMN ID、S-NSSAI及びDNNの少なくとも1つとを用いて、ポリシーの更新を判定してもよい。
【0063】
<<3.第2実施形態>>
続いて、
図7及び
図8を参照して、第2実施形態を説明する。上述した第1実施形態は、具体的な実施形態であるが、第2実施形態は、より一般化された実施形態である。
【0064】
<3-1.システムの構成>
図7は、無線通信システム1001の構成の一例を示す図である。無線通信システム1001は、端末装置1100と、基地局1200と、コアネットワークノード1300とを含む。
【0065】
端末装置1100は、スマートフォン、携帯電話機又はタブレット等の携帯端末であってもよい。基地局1200は、例えば、eNBであってもよいし、5GにおけるgNBであってもよい。基地局1200は、少なくとも第1の基地局及び第2の基地局を含む。コアネットワークノード1300は、SMF1320及びPCF1330を含んでもよい。
【0066】
<3-2.処理の流れ>
図8は、端末装置1100が第1の基地局から第2の基地局へのハンドオーバの手続きを開始した場合の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。まず、端末装置1100が第1の基地局から第2の基地局へのハンドオーバの手続きを開始した場合、SMF1320は、ポリシーの更新の要求を含む第1のメッセージをPCF1330に送信する(ステップS13)。次に、PCF1330は、第1のメッセージに応じて、更新されたポリシーの情報を含む第2のメッセージをSMF1320に送信する(ステップS16)。
【0067】
上記構成によれば、端末移動に伴うポリシー変更におけるNF間の連携を改善することができる。なお、第1実施形態は、第2実施形態にも適用され得る。
【0068】
上記実施形態及び変形例の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0069】
(付記1)
端末装置と、
第1の基地局及び第2の基地局を少なくとも含む複数の基地局と、
Session Management Function(SMF)及びPolicy Control Function(PCF)を少なくとも含む複数のコアネットワークノードと、
を備え、
前記端末装置が前記第1の基地局から前記第2の基地局へのハンドオーバの手続きを開始した場合に、前記SMFは、ポリシーの更新の要求を含む第1のメッセージを前記PCFに送信し、
前記PCFは、前記第1のメッセージに応じて、更新されたポリシーの情報を含む第2のメッセージを前記SMFに送信する、
無線通信システム。
(付記2)
前記第1のメッセージが、前記端末装置の位置を示す第1の情報を含み、
前記PCFが、前記第1の情報を用いて前記ポリシーの更新を判定する、
付記1に記載の無線通信システム。
(付記3)
前記第1のメッセージが、第2の情報を更に含み、
前記第2の情報は、Public Land Mobile Network ID(PLMN ID)、Single-Network Slice Selection Assistance Information(S-NSSAI)及びData Network Name(DNN)の少なくとも1つを含み、
前記PCFは、前記第1の情報および前記第2の情報を用いて前記ポリシーの更新を判定する、
付記2に記載の無線通信システム。
(付記4)
前記第2のメッセージは、Data Network Access Identifier(DNAI)を更に含む、付記1に記載の無線通信システム。
(付記5)
前記複数のコアネットワークノードが、Access and Mobility management Function(AMF)を更に含み、
前記AMFが、PDUセッションの更新の要求を含む第3のメッセージを前記SMFに送信し、
前記SMFが、前記第3のメッセージに応じて、前記第1のメッセージを前記PCFに送信する、
付記1に記載の無線通信システム。
(付記6)
前記第3のメッセージが、前記端末装置の位置を示す第1の情報を含み、
前記第1のメッセージが、前記第1の情報を含む、
付記5に記載の無線通信システム。
(付記7)
ポリシーの更新方法であって、
第1の基地局から第2の基地局へのハンドオーバの手続きを端末装置が開始した場合に、
ポリシーの更新の要求を含む第1のメッセージを、Session Management Function(SMF)からPolicy Control Function(PCF)に送信することと、
前記第1のメッセージに応じて、更新されたポリシーの情報を含む第2のメッセージを前記PCFから前記SMFに送信することと、
を含む、ポリシーの更新方法。
【産業上の利用可能性】
【0070】
端末移動に伴うポリシー変更におけるNF間の連携を改善することができる。
【符号の説明】
【0071】
1、1001 無線通信システム
100、1100 端末装置
200、1200 基地局(第1の基地局、第2の基地局)
300、1300 コアネットワークノード
310 AMF
320、1320 SMF
330、1330 PCF