(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167596
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】電気抵抗点検システム
(51)【国際特許分類】
G01R 27/02 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
G01R27/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078891
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 雅雄
【テーマコード(参考)】
2G028
【Fターム(参考)】
2G028AA02
2G028CG02
2G028HN09
2G028LR05
2G028LR07
2G028MS04
2G028MS05
(57)【要約】
【課題】容易に移動可能な電気抵抗点検システムを提供すること。
【解決手段】電気抵抗点検システム10は、電気抵抗測定器11と、コントローラ12と、ラベルプリンタ13と、コードリーダ14と、台車16とを有し、電気抵抗測定器11は、被測定対象物の電気抵抗を測定し、コントローラ12は、測定された電気抵抗が正常値であるか否かを電気抵抗の閾値に基づいて判定し、ラベルプリンタ13は、測定された電気抵抗が正常値であると判定されたときに、電気抵抗の閾値と、被測定対象物の管理番号を示すコードとを含むラベルを印刷し、コードリーダ14は、ラベルに含まれるコードを読み取り、台車16には、電気抵抗測定器11と、コントローラ12と、ラベルプリンタ13と、コードリーダ14とが載置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定対象物の電気抵抗を測定する測定器と、
測定された前記電気抵抗が正常値であるか否かを前記電気抵抗の閾値に基づいて判定するコントローラと、
測定された前記電気抵抗が正常値であると判定されたときに、前記閾値と、前記被測定対象物の管理番号を示すコードとを含むラベルを印刷するプリンタと、
前記コードを読み取るリーダと、
前記測定器と、前記コントローラと、前記プリンタと、前記リーダとが載置された台車と、
を具備する電気抵抗点検システム。
【請求項2】
前記測定器と、前記コントローラと、前記プリンタと、前記リーダとを駆動するバッテリ、をさらに具備し、
前記測定器と、前記コントローラと、前記プリンタと、前記リーダと、前記バッテリとが前記台車に載置される、
請求項1に記載の電気抵抗点検システム。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記リーダによって読み取られた前記コードが示す前記管理番号に基づいて前記閾値を取得し、
取得した前記閾値に基づいて、測定された前記電気抵抗が正常値であるか否かを判定する、
請求項1に記載の電気抵抗点検システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気抵抗点検システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品の組立は組立工程に従って工場内の様々な場所で行われている。また、静電気対策の観点から、測定器を用いて作業机や部品棚等の電気抵抗を定期的に点検することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気抵抗の測定の対象となる物(以下では「被測定対象物」と呼ぶことがある)は工場内の様々な場所に点在する。一方で、測定器を含む電気抵抗点検システム一式は重いため、被測定対象物が存在する場所まで電気抵抗点検システムを運搬するのには困難が伴う。
【0005】
そこで、本開示では、容易に移動可能な電気抵抗点検システムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電気抵抗点検システムは、測定器と、コントローラと、プリンタと、リーダと、台車とを有する。前記測定器は、被測定対象物の電気抵抗を測定する。前記コントローラは、測定された前記電気抵抗が正常値であるか否かを前記電気抵抗の閾値に基づいて判定する。前記プリンタは、測定された前記電気抵抗が正常値であると判定されたときに、前記閾値と、前記被測定対象物の管理番号を示すコードとを含むラベルを印刷する。前記リーダは、前記コードを読み取る。前記台車には、前記測定器と、前記コントローラと、前記プリンタと、前記リーダとが載置される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、容易に移動可能な電気抵抗点検システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の電気抵抗点検システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の電気抵抗測定器の使用形態を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示のコントローラの構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の抵抗閾値テーブルの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の電気抵抗点検システムの動作例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の電気抵抗点検システムの動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施例を図面に基づいて説明する。図面において同一の構成には同一の符号を付す。
【0010】
[実施例]
<電気抵抗点検システムの構成>
図1は、本開示の電気抵抗点検システムの構成例を示す図である。
図1において、電気抵抗点検システム10は、電気抵抗測定器11と、コントローラ12と、ラベルプリンタ13と、コードリーダ14と、バッテリ15と、台車16とを有する。電気抵抗測定器11、ラベルプリンタ13及びコードリーダ14は、有線または無線によって、コントローラ12に接続されている。
【0011】
電気抵抗測定器11は、正極プローブ11a及び負極プローブ11bを有し、被測定対象物OBの電気抵抗を測定する。
【0012】
コントローラ12は、電気抵抗測定器11によって測定された電気抵抗(以下では「測定抵抗」と呼ぶことがある)が正常値であるか否かを電気抵抗の閾値(以下では「抵抗閾値」と呼ぶことがある)に基づいて判定する。コントローラ12は、LCD(Liquid Crystal Display)12aを有し、コントローラ12の一例としてラップトップ型のコンピュータが挙げられる。
【0013】
ラベルプリンタ13は、コントローラ12によって測定抵抗が正常値であると判定されたときに、被測定対象物OBの管理番号(以下では「対象物管理番号」と呼ぶことがある)と、抵抗閾値と、対象物管理番号を示すコード(以下では「管理番号コード」と呼ぶことがある)と、次回の点検期限(以下では「次回点検期限」と呼ぶことがある)とを含むラベル(以下では「管理ラベル」と呼ぶことがある)を印刷する。管理番号コードの一例として、QRコード(登録商標)、バーコードが挙げられる。
【0014】
コードリーダ14は、管理番号コードを読み取る。
【0015】
バッテリ15は、電気抵抗測定器11と、コントローラ12と、ラベルプリンタ13と、コードリーダ14とを駆動する。なお、電気抵抗測定器11を駆動するバッテリを電気抵抗測定器11が内蔵し、コントローラ12を駆動するバッテリをコントローラ12が内蔵し、ラベルプリンタ13を駆動するバッテリをラベルプリンタ13が内蔵し、コードリーダ14を駆動するバッテリをコードリーダ14が内蔵しても良い。
【0016】
台車16には、電気抵抗測定器11と、コントローラ12と、ラベルプリンタ13と、コードリーダ14と、バッテリ15とが載置される。
【0017】
<電気抵抗測定器の使用形態>
図2は、本開示の電気抵抗測定器の使用形態を示す図である。
図2に示すように、正極プローブ11aが被測定対象物OBに接触し、かつ、負極プローブ11bがアースEAに接触した状態で、電気抵抗測定器11によって、被測定対象物OBの電気抵抗が測定される。電気抵抗測定器11は、測定抵抗をコントローラ12へ出力する。
【0018】
<コントローラの構成>
図3は、本開示のコントローラの構成例を示す図である。
図3において、コントローラ12は、LCD12aと、CPU(Central Processing Unit)12bと、メモリ12cとを有する。メモリ12cには、
図4に示すような抵抗閾値テーブルTAが記憶されている。
図4は、本開示の抵抗閾値テーブルの一例を示す図である。抵抗閾値テーブルTAには、対象物管理番号と、抵抗閾値[MΩ]との対応付けが設定されている。抵抗閾値は、電気抵抗の下限値である第一閾値TH1と、電気抵抗の上限値である第二閾値TH2とを含む。抵抗閾値テーブルTAにおける対象物管理番号と抵抗閾値との対応付けは、コントローラ12を用いたオペレータからの入力によって設定される。
【0019】
<電気抵抗点検システムの動作>
図5及び
図6は、本開示の電気抵抗点検システムの動作例を示す図である。
図5には、管理ラベルの一例を示し、
図6には、LCD12aにおける画面表示例を示す。以下では、当日日付が2015年3月6日である場合を一例に挙げて説明する。また以下では、電気抵抗の定期点検が1ヶ月毎に行われる場合を一例に挙げて説明する。
【0020】
被測定対象物OBに貼り付けられている管理ラベルMLに記載された管理番号コードMCがコードリーダ14によって読み取られると、CPU12bは、管理番号コードMCが示す対象物管理番号に基づいて抵抗閾値テーブルTAを参照し、管理番号コードMCが示す対象物管理番号に対応する第一閾値TH1及び第二閾値TH2を抵抗閾値テーブルTAから取得する。ここでは、管理番号コードMCが示す対象物管理番号が「PT005」であるものとする。よって、CPU12bは、「0.1」の第一閾値TH1と、「100」の第二閾値TH2とを抵抗閾値テーブルTAから取得する。
【0021】
次いで、電気抵抗測定器11は、被測定対象物OBの電気抵抗を測定する。
【0022】
次いで、CPU12bは、測定抵抗が正常値であるか否かを判定する。CPU12bは、測定抵抗が第一閾値TH1以上で、かつ、第二閾値TH2以下であるときに、測定抵抗が正常値であると判定する。一方で、CPU12bは、測定抵抗が第一閾値TH1未満か、または、第二閾値TH2より大きいときに、測定抵抗が異常値であると判定する。
【0023】
ラベルプリンタ13は、測定抵抗が正常値であると判定されたときに、
図5に示す管理ラベルMLを印刷する。管理ラベルMLには、「PT005」の対象物管理番号CNと、「0.1」の第一閾値TH1と、「100」の第二第一閾値TH2と、「2015年4月」の次回点検期限CDと、管理番号コードMCとが含まれる。オペレータは、被測定対象物OBに貼り付けられている管理ラベルMLを、ラベルプリンタ13によって印刷された管理ラベルMLに貼り替える。一方で、ラベルプリンタ13は、測定抵抗が異常値であると判定されたときは、管理ラベルMLを印刷しない。
【0024】
また、CPU12bは、被測定対象物OBの電気抵抗の測定が行われる際に、
図6に示すように、管理番号コードMCが示す対象物管理番号と、抵抗閾値テーブルTAから取得した第一閾値TH1及び第二閾値TH2と、今回の判定結果と、過去の判定結果とをLCD12aに表示させる。
【0025】
以上、実施例について説明した。
【0026】
以上のように、本開示の電気抵抗点検システム(実施例の電気抵抗点検システム10)は、測定器(実施例の電気抵抗測定器11)と、コントローラ(実施例のコントローラ12)と、プリンタ(実施例のラベルプリンタ13)と、リーダ(実施例のコードリーダ14)と、台車(実施例の台車16)とを有する。測定器は、被測定対象物の電気抵抗を測定する。コントローラは、測定された電気抵抗が正常値であるか否かを電気抵抗の閾値に基づいて判定する。プリンタは、測定された電気抵抗が正常値であると判定されたときに、電気抵抗の閾値と、被測定対象物の管理番号を示すコードとを含むラベルを印刷する。リーダは、ラベルに含まれるコードを読み取る。台車には、測定器と、コントローラと、プリンタと、リーダとが載置される。
【0027】
このように、測定器と、コントローラと、プリンタと、リーダとが1セットされて台車に載置されることで、容易に移動可能な電気抵抗点検システムを実現できる。これにより、被測定対象物が存在する場所まで電気抵抗点検システムを運搬するのが容易になる。
【0028】
また、本開示の電気抵抗点検システムは、測定器と、コントローラと、プリンタと、リーダとを駆動するバッテリ(実施例のバッテリ15)をさらに有し、台車には、測定器と、コントローラと、プリンタと、リーダと、バッテリとが載置される。
【0029】
このようにバッテリも台車に載置されることで、固定電源が無い場所でも電気抵抗の点検を行うことができる。
【0030】
また、コントローラは、リーダによって読み取られたコードが示す管理番号に基づいて閾値を取得し、取得した閾値に基づいて、測定された電気抵抗が正常値であるか否かを判定する。
【0031】
こうすることで、オペレータは電気抵抗の点検の度に閾値を入力する必要がなくなるため、電気抵抗の点検を効率的に行うことができる。
【符号の説明】
【0032】
10 電気抵抗点検システム
11 電気抵抗測定器
12 コントローラ
12a LCD
13 ラベルプリンタ
14 コードリーダ
15 バッテリ
16 台車