(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167611
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/72 20060101AFI20231116BHJP
B60N 2/68 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B60N2/72
B60N2/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078922
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 利春
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DB03
3B087DB09
(57)【要約】
【課題】座り心地を向上できるとともにリサイクル性を向上できる車両用シートを得る。
【解決手段】略「U」字状に屈曲されてシート幅方向外側上方へ向けて傾斜する翼部22A、24Aと翼部22A、24Aのシート幅方向内側端部から連続して略「L」字状に屈曲された折返部22B、24Bとを有する外側バネ材22、24を含んで構成され、シートクッション12の前部と後部との間に架設された金属製のクッションバネ20と、本体部32と本体部32のシート幅方向外側端部からシート幅方向外側上方へ向けて傾斜する傾斜部34とを有するとともに、傾斜部34に形成された第1嵌合部34Aが翼部22A、24Aの前後方向に延在する部分に嵌合され、本体部32に形成された第2嵌合部32Aが折返部22B、24Bのシート幅方向に延在する部分に嵌合されることでクッションバネ20に取り付けられた樹脂製の支持部材30と、を備えた車両用シート10とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視又は底面視で略「U」字状に屈曲されるとともにシート幅方向外側上方へ向けて傾斜する翼部と、該翼部のシート幅方向内側端部から連続して略「L」字状に屈曲された折返部と、を有する左右一対の外側バネ材を含んで構成され、シートクッションの前部と後部との間に架設された金属製のクッションバネと、
平板状の本体部と、該本体部のシート幅方向外側端部からシート幅方向外側上方へ向けて傾斜する傾斜部と、を有するとともに、少なくとも前記傾斜部に形成された第1嵌合部が前記翼部のシート前後方向に延在する部分に嵌合され、前記本体部に形成された第2嵌合部が前記折返部のシート幅方向に延在する部分に嵌合されることで、前記クッションバネに取り付けられた樹脂製の支持部材と、
を備えた車両用シート。
【請求項2】
前記クッションバネは、前記翼部とシート前後方向で略同一となる位置に平面視又は底面視で略「S」字状に屈曲された屈曲部を有する内側バネ材も含んで構成され、
前記本体部に形成された第3嵌合部が前記屈曲部のシート前後方向に延在する部分に嵌合されている請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記本体部と前記傾斜部との境界部分に補強用のリブが形成されている請求項1又は請求項2に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
金属製のシートフレームの中央開口部に弾性を有する合成樹脂製のクッションパンを配置し、シートクッションのシートパッドの下面をクッションパンで支持する車両シートは、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。このクッションパンは、シートクッションの前端から後端に延びる前後支持部に前後方向に延びるバネ材が一体成形されており、前後支持部の左右両側縁から斜め上方に延びる側部支持部に左右方向に延びるバネ材が一体成形されている。したがって、バネ材の曲げ剛性及び捩り剛性が向上されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成とされたクッションパンでは、バネ材の曲げ剛性及び捩り剛性が必要以上に高くなり過ぎる。具体的に言えば、このクッションパンは、バネ材が樹脂材に埋設されて一体化された構成とされているため、バネ材が撓み変形して荷重を受けようとしても、樹脂材が引張力で荷重を受けてしまい、バネ材が撓み変形し難い。つまり、このようなクッションパンでは、バネ材の撓み変形(クッション性)が必要以上に阻害され、座り心地が必ずしも良好であるとは言えない。また、樹脂材とバネ材とを分離し難いため、リサイクル性に劣る。
【0005】
そこで、本発明は、座り心地を向上できるとともにリサイクル性を向上できる車両用シートを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の車両用シートは、平面視又は底面視で略「U」字状に屈曲されるとともにシート幅方向外側上方へ向けて傾斜する翼部と、該翼部のシート幅方向内側端部から連続して略「L」字状に屈曲された折返部と、を有する左右一対の外側バネ材を含んで構成され、シートクッションの前部と後部との間に架設された金属製のクッションバネと、平板状の本体部と、該本体部のシート幅方向外側端部からシート幅方向外側上方へ向けて傾斜する傾斜部と、を有するとともに、少なくとも前記傾斜部に形成された第1嵌合部が前記翼部のシート前後方向に延在する部分に嵌合され、前記本体部に形成された第2嵌合部が前記折返部のシート幅方向に延在する部分に嵌合されることで、前記クッションバネに取り付けられた樹脂製の支持部材と、を備えている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、シートクッションの前部と後部との間に架設された金属製のクッションバネが、平面視又は底面視で略「U」字状に屈曲されるとともにシート幅方向外側上方へ向けて傾斜する翼部と、翼部のシート幅方向内側端部から連続して略「L」字状に屈曲された折返部と、を有する左右一対の外側バネ材を含んで構成されている。そして、平板状の本体部と、本体部のシート幅方向外側端部からシート幅方向外側上方へ向けて傾斜する傾斜部と、を有する樹脂製の支持部材が、少なくとも傾斜部に形成された第1嵌合部を翼部のシート前後方向に延在する部分に嵌合し、本体部に形成された第2嵌合部を折返部のシート幅方向に延在する部分に嵌合することで、クッションバネに取り付けられている。
【0008】
したがって、バネ材が樹脂材に埋設されて一体化されたものに比べて、クッションバネの撓み変形が必要以上に阻害されることが抑制される。これにより、シートクッションのクッション性が向上され、座り心地が向上される。また、乗員がシートクッションに着座することにより翼部が撓み変形しても、支持部材のクッションバネに対する滑り(シート前後方向及びシート幅方向のズレ)が抑制されるとともに、その支持部材によりクッションバネの曲げ剛性及び捩り剛性が効果的に向上される。よって、乗員に対する支持力(ホールド性)も向上される。また、支持部材は、嵌合によってクッションバネに取り付けられているため、クッションバネから分離し易く、リサイクル性が向上される。
【0009】
また、請求項2に記載の車両用シートは、請求項1に記載の車両用シートであって、前記クッションバネは、前記翼部とシート前後方向で略同一となる位置に平面視又は底面視で略「S」字状に屈曲された屈曲部を有する内側バネ材も含んで構成され、前記本体部に形成された第3嵌合部が前記屈曲部のシート前後方向に延在する部分に嵌合されている。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、クッションバネが、翼部とシート前後方向で略同一となる位置に平面視又は底面視で略「S」字状に屈曲された屈曲部を有する内側バネ材も含んで構成され、本体部に形成された第3嵌合部が屈曲部のシート前後方向に延在する部分に嵌合されている。したがって、乗員がシートクッションに着座することにより翼部が撓み変形しても、支持部材のクッションバネに対する滑り(シート前後方向及びシート幅方向のズレ)がより効果的に抑制されるとともに、その支持部材によりクッションバネの曲げ剛性及び捩り剛性がより効果的に向上される。よって、乗員に対する支持力(ホールド性)がより効果的に向上される。
【0011】
また、請求項3に記載の車両用シートは、請求項1又は請求項2に記載の車両用シートであって、前記本体部と前記傾斜部との境界部分に補強用のリブが形成されている。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、支持部材の本体部と傾斜部との境界部分に、補強用のリブが形成されている。したがって、支持部材の剛性を増加させることができるため、乗員に対する支持力(ホールド性)が効果的に向上される。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、車両用シートにおいて、座り心地を向上させることができるとともにリサイクル性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る車両用シートのシートクッションの内部構造を示す概略側面図である。
【
図2】本実施形態に係るクッションバネ及び支持部材を拡大して示す概略平面図である。
【
図3】本実施形態に係るクッションバネ及び支持部材を拡大して示す概略側面図である。
【
図4】本実施形態に係るクッションバネ及び支持部材を拡大して示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各図において適宜示す矢印UPを車両用シートの上方向、矢印FRを車両用シートの前方向、矢印RHを車両用シートの右方向とする。そして、以下の説明で、特記することなく上下、前後、左右の方向を記載した場合は、車両用シートの上下方向の上下、車両用シートの前後方向の前後、車両用シートの左右方向(シート幅方向)の左右を示すものとする。
【0016】
図1に示されるように、本実施形態に係る車両用シート10は、乗員Pの臀部及び大腿部を支持するシートクッション12と、乗員Pの背部を支持するシートバック18と、乗員Pの頭部を支持するヘッドレスト(図示省略)と、を含んで構成されている。なお、本実施形態におけるシートクッション12は、電気自動車等の車両用シート10に用いられ、軽量化のために、図示しないシートパッドが薄肉化された薄型仕様とされている。
【0017】
シートクッション12(シートパッド)の下面側における前部には、シート幅方向(左右方向)が長手方向となる略平板状とされた金属製のフロントパネル14が設けられており、後部には、シート幅方向が軸方向となる円筒状のリアパイプ16が設けられている。そして、フロントパネル14とリアパイプ16との間には、複数本(例えば3本)のバネ材22、24、26(
図2参照)を含んで構成された金属製のクッションバネ20が架設されている。
【0018】
図2に示されるように、クッションバネ20は、断面円形状とされた細長い金属製のバネ材22、24、26が、平面視(又は底面視)で、左右方向及び前後方向に延在する部分を有するように所定の複数箇所を略直角に屈曲されて構成されている。そして、
図1に示されるように、各バネ材22、24、26の前端部及び後端部には、それぞれフック部21及びフック部28が一体に形成されている。
【0019】
各バネ材22、24、26の前端部に形成されたフック部21は、フロントパネル14の後端部に左右方向に並んで複数(例えば3個)形成された各係止孔(図示省略)にそれぞれ挿入されて係止されている。そして、各バネ材22、24、26の後端部に形成されたフック部28は、それぞれリアパイプ16に上方側から係止されている。
【0020】
なお、以下においては、シート幅方向の中央部(中心部)に配置されているバネ材26を「内側バネ材」と称する。そして、内側バネ材26の左右両側(シート幅方向外側)に所定の間隔を隔てて左右一対で、かつ左右対称に配置されているバネ材22、24をそれぞれ「外側バネ材」と称する。
【0021】
図2に示されるように、外側バネ材22は、乗員Pの臀部を支持する(乗員Pの臀部と上下方向で対向する)位置に、底面視で、略「U」字状に屈曲されるとともにシート幅方向外側上方へ向けて傾斜する翼部22Aと、翼部22Aのシート幅方向内側端部から連続して略「L」字状に屈曲された折返部22Bと、を有している。
【0022】
同様に、外側バネ材24は、乗員Pの臀部を支持する(乗員Pの臀部と上下方向で対向する)位置に、平面視で、略「U」字状に屈曲されるとともにシート幅方向外側上方へ向けて傾斜する翼部24Aと、翼部24Aのシート幅方向内側端部から連続して略「L」字状に屈曲された折返部24Bと、を有している。
【0023】
より具体的に説明すると、翼部22A、24Aは、それぞれ外側バネ材22、24の後部側からシート幅方向外側へ屈曲されてシート幅方向に延在する幅方向延在部22C、24Cと、その幅方向延在部22C、24Cのシート幅方向外側端部から前方側へ屈曲されて前後方向に延在する前後方向延在部22D、24Dと、その前後方向延在部22D、24Dの前端部からシート幅方向内側へ屈曲されてシート幅方向に延在する幅方向延在部22E、24Eと、を有している。
【0024】
そして、折返部22B、24Bは、幅方向延在部22E、24Eのシート幅方向内側端部から前方側へ屈曲されて前後方向に延在する前後方向延在部22F、24Fと、その前後方向延在部22F、24Fの前端部からシート幅方向外側へ屈曲されてシート幅方向に延在する幅方向延在部22G、24Gと、を有している。なお、幅方向延在部22G、24Gのシート幅方向外側端部から前方側へ屈曲されて延在する部分が外側バネ材22、24の前部側とされている。
【0025】
内側バネ材26は、翼部22A、24Aと前後方向で略同一となる位置に底面視(又は平面視でもよい)で略「S」字状に屈曲された屈曲部26Aを有している。より具体的に説明すると、屈曲部26Aは、内側バネ材26の後部側から一方のシート幅方向外側(図示のものは左側)へ屈曲されてシート幅方向に延在する幅方向延在部26Bと、その幅方向延在部26Bの一方のシート幅方向外側端部から前方側へ屈曲されて前後方向に延在する前後方向延在部26Cと、を有している。
【0026】
そして、この屈曲部26Aは、その前後方向延在部26Cの前端部からシート幅方向内側、更にはシート幅方向の中央部(中心部)を越えて他方のシート幅方向外側(図示のものは右側)へ向けて屈曲されてシート幅方向に延在する幅方向延在部26Dと、その幅方向延在部26Dの他方のシート幅方向外側端部から前方側へ屈曲されて前後方向に延在する前後方向延在部26Eと、その前後方向延在部26Eの前端部からシート幅方向内側へ屈曲されてシート幅方向に延在する幅方向延在部26Fと、を有している。なお、幅方向延在部26Fのシート幅方向内側端部から前方側へ屈曲されて延在する部分が内側バネ材26の前部側とされている。
【0027】
また、このクッションバネ20の翼部22A、24A、折返部22B、24B、屈曲部26Aと前後方向で略同一となる位置(乗員Pの臀部と上下方向で対向して、その臀部を支持する位置)には、樹脂製の支持部材30が嵌合によって取り付けられている。具体的に説明すると、この支持部材30は、乗員Pの姿勢保持をサポートする部材であり、
図2~
図4に示されるように、シート幅方向を長手方向とする略矩形平板状の本体部32と、本体部32のシート幅方向外側端部(左右両端部)からシート幅方向外側上方へ向けて一体に傾斜する略矩形平板状の傾斜部34と、を有している。
【0028】
そして、少なくとも各傾斜部34の前後方向中央部における下面に一体に形成された第1嵌合部34Aが、翼部22A、24Aの前後方向に延在する部分である前後方向延在部22D、24Dにそれぞれ嵌合され、本体部32の前端部における下面に一体に形成された左右一対の第2嵌合部32Aが、折返部22B、24Bのシート幅方向に延在する部分である幅方向延在部22G、24Gにそれぞれ嵌合されている。更に、本体部32の前後方向中央部及び後端部における下面に一体に形成された2個1組の第3嵌合部32Bが、屈曲部26Aの前後方向に延在する部分である前後方向延在部26Cと前後方向延在部26Eとに嵌合されている。
【0029】
なお、第1嵌合部34A、第2嵌合部32A、第3嵌合部32Bは、それぞれ所定幅及び所定長さの一対の爪部で構成されており、一対の爪部は、互いに離隔する方向へ弾性変形可能になっている。したがって、第1嵌合部34A、第2嵌合部32A、第3嵌合部32Bは、それぞれ上方側から、前後方向延在部22D、24D、幅方向延在部22G、24G、前後方向延在部26C、前後方向延在部26Eに嵌められる。これにより、支持部材30がクッションバネ20に取り付けられるようになっている。
【0030】
また、
図3、
図4に示されるように、支持部材30の本体部32と傾斜部34との境界部分における下面には、補強用のリブ36が一体に形成されている。このリブ36は、前後方向を高さ方向として見た場合に、略直角三角柱状に形成されており、傾斜部34に上方側から荷重が加えられても、その傾斜部34が本体部32の左右両端部から割れないように補強するようになっている。なお、
図3に示されるように、このリブ36は、支持部材30の前後方向中央部に所定の長さで形成されているが、支持部材30の前後方向の全長に亘って形成されていてもよい。
【0031】
以上のような構成とされた本実施形態に係る車両用シート10において、次にその作用について説明する。
【0032】
上記したように、シートクッション12のフロントパネル14とリアパイプ16との間に架設された金属製のクッションバネ20が、平面視又は底面視で、略「U」字状に屈曲されるとともにシート幅方向外側上方へ向けて傾斜する翼部22A、24Aと、翼部22A、24Aのシート幅方向内側端部から連続して略「L」字状に屈曲された折返部22B、24Bと、を有する左右一対で、かつ左右対称の外側バネ材22、24を含んで構成されている。
【0033】
そして、略矩形平板状の本体部32と、本体部32のシート幅方向外側端部(左右両端部)からシート幅方向外側上方へ向けて一体に傾斜する略矩形平板状の傾斜部34と、を有する樹脂製の支持部材30が、少なくとも傾斜部34に形成された第1嵌合部34Aを翼部22A、24Aの前後方向延在部22D、24Dに嵌合し、本体部32に形成された第2嵌合部32Aを折返部22B、24Bの幅方向延在部22G、24Gに嵌合することで、クッションバネ20に取り付けられている。
【0034】
つまり、金属製のクッションバネ20とは別体とされた樹脂製の支持部材30が、そのクッションバネ20に取り付けられている。したがって、少なくとも支持部材30が取り付けられているクッションバネ20の一部の曲げ剛性及び捩り剛性を向上させることができ、そのクッションバネ20の一部及び支持部材30により(シートパッドを介して)乗員Pの姿勢保持をサポートすることができる。
【0035】
そして、その支持部材30が取り付けられている部分を除くクッションバネ20の残りの部分では、その撓み変形量を充分に確保することができるため、バネ材が樹脂材に埋設されて一体化されているものに比べて、クッションバネ20の撓み変形(ストローク感)が必要以上に阻害されることを抑制することができる。
【0036】
よって、軽量化のためにシートパッドが薄肉化され、シートクッション12が薄型化されても、そのシートクッション12のクッション性が損なわれるのを抑制することができ(クッション性を向上させることができ)、座り心地が損なわれるのを抑制することができる(座り心地を向上させることができる)。換言すれば、シートクッション12が薄型であっても、乗員Pにおける姿勢保持感の低下を抑制することができ、快適な乗り心地環境を提供することができる。
【0037】
また、第1嵌合部34Aが前後方向延在部22D、24Dに嵌合され、第2嵌合部32Aが幅方向延在部22G、24Gに嵌合されているため、乗員Pがシートクッション12に着座することにより翼部22A、24Aが撓み変形しても、支持部材30のクッションバネ20に対する滑り(前後方向及びシート幅方向のズレ)を抑制することができるとともに、その支持部材30によりクッションバネ20の曲げ剛性及び捩り剛性をより効果的に向上させることができる。よって、乗員Pに対する支持力(ホールド性)を向上させることができる。
【0038】
しかも、本体部32の左右両端部には、シート幅方向外側上方へ向けて傾斜する傾斜部34が形成されているため、シート幅方向外側上方へ向けて傾斜している翼部22A、24Aとの撓み変形量に差が生じるのを抑制することができ、乗員Pがシートクッション12に着座している最中に、支持部材30がクッションバネ20から外れるという不具合の発生を抑制又は防止することができる。
【0039】
また、このように翼部22A、24A及び傾斜部34が、共にシート幅方向外側上方へ向けて傾斜しているため、例えば翼部22A、24Aが、シート幅方向外側上方へ向けて傾斜していない場合に比べて、乗員Pから(上方側から)荷重が加えられたときに、その荷重を翼部22A、24A及び傾斜部34により効果的に受け止めることができる。換言すれば、傾斜部34の本体部32からの割れを防止できるとともに、傾斜部34におけるホールド性の低下を抑制することができる。よって、乗員Pに対する支持力(ホールド性)を向上させることができる。
【0040】
また、このクッションバネ20は、翼部22A、24A及び折返部22B、24Bと前後方向で略同一となる位置に、底面視(又は平面視)で略「S」字状に屈曲された屈曲部26Aを有する内側バネ材26も含んで構成されている。そして、本体部32に形成された2個1組の第3嵌合部32Bが屈曲部26Aの前後方向延在部26Cと前後方向延在部26Eとに嵌合されている。
【0041】
したがって、乗員Pがシートクッション12に着座することにより翼部22A、24Aが撓み変形しても、支持部材30のクッションバネ20に対する滑り(前後方向及びシート幅方向のズレ)をより効果的に抑制することができるとともに、その支持部材30によりクッションバネ20の曲げ剛性及び捩り剛性をより効果的に向上させることができる。よって、乗員Pに対する支持力(ホールド性)をより効果的に向上させることができる。
【0042】
また、支持部材30の本体部32と傾斜部34との境界部分には、補強用のリブ36が一体に形成されている。したがって、支持部材30の特に傾斜部34の剛性を増加させることができるため、乗員Pに対する支持力(ホールド性)を効果的に向上させることができる。
【0043】
また、支持部材30は、第1嵌合部34A、第2嵌合部32A、第3嵌合部32Bの嵌合によってクッションバネ20に取り付けられているため、そのクッションバネ20から分離し易い。したがって、バネ材が樹脂材に埋設されて一体化されているものに比べて、クッションバネ20及び支持部材30のリサイクル性を向上させることができる。
【0044】
以上、本実施形態に係る車両用シート10について、図面を基に説明したが、本実施形態に係る車両用シート10は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。例えば、傾斜部34は、本体部32の左右何れか一方の端部のみに形成されていてもよい。
【0045】
また、傾斜部34は、例えば本体部32の後端部にも形成される構成とされていてもよい。また、屈曲部26Aは、図示のように底面視で略「S」字状に形成されるものに限定されるものではなく、平面視で略「S」字状に形成されていてもよい。その場合、その屈曲部26Aの形状に合わせて2個1組の第3嵌合部32Bの形成位置も変更される。
【符号の説明】
【0046】
10 車両用シート
12 シートクッション
20 クッションバネ
22 外側バネ材
22A 翼部
22B 折返部
24 外側バネ材
24A 翼部
24B 折返部
26 内側バネ材
26A 屈曲部
30 支持部材
32 本体部
32A 第2嵌合部
32B 第3嵌合部
34 傾斜部
34A 第1嵌合部
36 リブ