(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167637
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】表示装置および表示制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/04 20060101AFI20231116BHJP
H04N 21/431 20110101ALI20231116BHJP
H04N 21/44 20110101ALI20231116BHJP
【FI】
H04N5/04 Z
H04N21/431
H04N21/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078960
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 広樹
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164UB04P
5C164UB88P
(57)【要約】
【課題】OSD映像を表示した後に外部映像を重畳して表示する際に、映像の乱れやちらつきが生じない「表示装置および表示制御方法」を提供する。
【解決手段】表示装置の外部から入力される映像である外部映像と、表示装置の内部で生成したOSD映像とを重畳して表示する際に、OSD映像の出力を行いながらOSD映像を外部映像の同期信号に同期させる同期処理を実行するOSD映像生成部12と、同期処理の実行中は外部映像の出力を行わず、同期処理の完了後に外部映像を出力する外部映像処理部11とを備え、OSD映像と外部映像との同期処理が完了するまではOSD映像のみが表示されて外部映像が表示されないようにすることで、映像の乱れを防止するとともに、OSD映像を表示し続けて映像の切り替わりの際に非表示の黒画面が一瞬挿入されないようにすることで、映像のちらつきを防止する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力される映像である外部映像の処理を行う外部映像処理部と、
内部でOSD映像を生成するOSD映像生成部と、
上記外部映像処理部により処理された上記外部映像および上記OSD映像生成部により生成された上記OSD映像を重畳して表示させる重畳表示部とを備え、
上記外部映像および上記OSD映像を重畳して表示する際に、上記OSD映像生成部は、上記重畳表示部に対する上記OSD映像の出力を行いながら上記OSD映像を上記外部映像の同期信号に同期させる同期処理を実行し、上記外部映像処理部は、上記同期処理の実行中は上記重畳表示部に対する上記外部映像の出力を行わず、上記同期処理の完了後に上記重畳表示部に対する上記外部映像の出力を行う
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記OSD映像生成部は、ブランキング期間として設定可能な許容時間の範囲内で、上記ブランキング期間の長さを調整することによって上記同期処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記外部映像処理部の処理により生成される上記外部映像と、上記OSD映像生成部により生成される上記OSD映像との位相差を検出する位相差検出部を更に備え、
上記OSD映像生成部は、上記ブランキング期間として設定可能な上記許容時間と、上記位相差検出部により検出された位相差に対応する差分時間とに基づいて、1フレーム当たりのブランキング期間の長さの調整量および調整に使用するフレームの数を決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
上記OSD映像生成部は、上記許容時間の範囲内で、上記同期処理に使用するフレームの数が最小化するように上記調整量を決定することを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
上記位相差検出部は、水平方向および垂直方向のそれぞれについて上記外部映像と上記OSD映像との位相差を検出し、
上記OSD映像生成部は、水平ブランキング期間として設定可能な許容時間の範囲内で最大値を上記水平ブランキング期間の長さの調整量として決定するとともに、垂直ブランキング期間として設定可能な許容時間の範囲内で上記垂直ブランキング期間の長さの調整量を決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
上記OSD映像生成部は、上記位相差検出部により検出された位相差が180度未満である場合は、上記ブランキング期間を長くするように上記調整量を決定する一方、上記位相差検出部により検出された位相差が180度以上である場合は、上記ブランキング期間を短くするように上記調整量を決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項7】
表示装置の外部から入力される映像である外部映像と、上記表示装置の内部で生成したOSD映像とを重畳して表示する際に、上記OSD映像の表示を行いながら上記OSD映像を上記外部映像の同期信号に同期させる同期処理を実行し、上記同期処理の実行中は上記外部映像の表示を行わず、上記同期処理の完了後に上記外部映像と上記OSD映像とを重畳して表示するようにしたことを特徴とする表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および表示制御方法に関し、特に、外部映像とOSD映像とを重畳して表示する機能を有する表示装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外部装置から映像データとして入力される映像(以下、外部映像という)を表示する表示装置において、内部で生成した映像を外部映像に重ねて表示するOSD(On-Screen Display)機能を備えたものが知られている。このOSD機能に関して、特許文献1には、マイクロコンピュータに接続されているICに関する情報(名称や状態等)を指示に応じて一覧表示する技術が記載されている。特許文献2には、デジタルカメラの表示モニタに対し、再生画像選択画面等の各種画面をOSDとして表示する技術が記載されている。
【0003】
昨今、車載機のメータークラスターにおいてLCD化が進んでいる。このクラスターディスプレイには、運転に必要な各種メーターのほか、各種の警告灯が表示される。警告灯の表示は特に重要であり、一定の機能安全性を満たす必要がある。そのため、クラスターディスプレイに電源が投入されてからすぐに全ての警告灯の表示を行い、機能の喪失(異常)が無いことを示すことが望まれる。
【0004】
ところが、クラスターディスプレイに対してグラフィカルな表示を行う制御ユニットは、一般に大規模なソフトウェアを搭載していることから、外部より入力された映像を処理するのに時間がかかり、すぐに表示することができない。そこで、クラスターディスプレイにOSD機能を搭載し、各種メーター等の映像を外部装置から入力される映像データに基づき表示する一方で、警告灯の映像を内部のOSD機能により生成して表示することが行われている。
【0005】
しかしながら、ディスプレイ外部から入力される外部映像の表示と、ディスプレイ内部のOSD機能により生成される映像(以下、OSD映像という)の表示とは非同期で動作しているため、外部映像にOSD映像を重ねて表示したり、外部映像とOSD映像とをドット毎に切り替えて表示したりする際に、映像の乱れが生じてしまう。これを防ぐために、フレームバッファ(DRAM)にて外部映像をキャプチャし、OSD映像の同期信号に合わせてフレームバッファから外部映像を出力する手法が広く行われている。ただし、DRAMを用いるため装置のコストが増加してしまうという問題がある。
【0006】
また、OSD映像を表示した後、外部映像とOSD映像とが重なった映像に切り替えて表示する際に、OSD映像を表示した後に表示をいったん消す(黒画面にする)ことによって映像の乱れが見えないようにし、その間に、OSD映像の表示を外部映像の同期信号に同期させる手法が用いられることもある。しかしながら、この場合、
図5に示すように、各種警告灯のOSD映像の表示を行った後、一瞬黒い画面が挿入され、その後、各種メーターの外部映像が重なった状態で各種警告灯のOSD映像が再び表示されることとなるため、画面がちらついたように見え、映像品位が悪化してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-274424号公報
【特許文献2】特開2010-50690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、OSD映像を表示した後、外部映像とOSD映像とが重なった映像に切り替えて表示する際に、映像の乱れやちらつきが生じないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、表示装置の外部から入力される映像である外部映像と、表示装置の内部で生成したOSD映像とを重畳して表示する際に、OSD映像の表示を行いながらOSD映像を外部映像の同期信号に同期させる同期処理を実行し、同期処理の実行中は外部映像の表示を行わず、同期処理の完了後に外部映像とOSD映像とを重畳して表示するようにしている。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、OSD映像と外部映像との同期処理が完了するまではOSD映像のみが表示されて外部映像が表示されないので、映像の乱れが生じることはない。また、OSD映像だけが表示された状態から、外部映像とOSD映像とが重畳して表示された状態への切り替わりの際に非表示の黒画面が一瞬挿入されることもないので、映像のちらつきが生じることもない。このように、本発明によれば、OSD映像を表示した後、外部映像とOSD映像とが重なった映像に切り替えて表示する際に、映像の乱れやちらつきが生じないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態による表示装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態による同期処理の一例を説明するための模式図である。
【
図3】本実施形態による同期処理の一例を説明するための模式図である。
【
図4】本実施形態の表示装置に表示される映像の遷移の一例を示す図である。
【
図5】従来の表示装置に表示される映像の遷移の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態による表示装置10の機能構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の表示装置10は、機能構成として、外部映像処理部11、OSD映像生成部12、重畳表示部13および位相差検出部14を備えている。
【0013】
これらの機能ブロック11~14は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記機能ブロック11~14は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0014】
本実施形態の表示装置10は、一例として、OSD機能を搭載した車載のクラスターディスプレイとして実装されるものであり、各種メーター等の映像を外部装置から入力される映像データに基づき表示する一方で、警告灯の映像を内部のOSD機能により生成して表示するものである。
【0015】
外部映像処理部11は、表示装置10の外部から映像データとして入力される各種メーター等の映像(外部映像)について所定の処理を行い、1フレームごとにフレーム映像データとして重畳表示部13に順次出力する。外部映像処理部11が処理する外部映像のフレームレートは、例えば60fpsである。すなわち、1フレームの時間長は16.67msである。なお、外部映像処理部11は、OSD映像生成部12により後述する同期処理が行われている間、外部映像を重畳表示部13に出力しない。
【0016】
OSD映像生成部12は、OSD機能を用いて表示装置10の内部で各種警告灯の映像(OSD映像)を生成する。OSD映像生成部12は、生成した映像データを1フレームごとにフレーム映像データとして重畳表示部13に順次出力する。
【0017】
OSD映像生成部12が生成するOSD映像のフレームレートは外部映像のフレームレートと同じであり、例えば60fpsである。すなわち、1フレームの時間長は16.67msである。ただし、OSD映像生成部12は、生成したOSD映像の一部のフレームについて、OSD映像と外部映像との同期をとる際にフレーム時間長の調整を行う。この調整についての詳細は後述する。
【0018】
重畳表示部13は、外部映像処理部11により処理された外部映像およびOSD映像生成部12により生成されたOSD映像を重畳して表示させる。なお、重畳表示部13は、OSD映像生成部12からOSD映像が出力されていない場合、外部映像処理部11から出力される外部映像のみを表示させる。一方、外部映像処理部11から外部映像が出力されていない場合、重畳表示部13は、OSD映像生成部12から出力されるOSD映像のみを表示させる。
【0019】
外部映像およびOSD映像は、上述のようにフレームレートは互いに同じである。また、外部映像およびOSD映像は、同期信号の周期およびドットクロック周波数も互いに同じである。ただし、外部映像処理部11による処理とOSD映像生成部12による処理とが非同期で動作しているため、外部映像処理部11から外部映像が出力されるタイミングと、OSD映像生成部12からOSD映像が出力されるタイミングとの間にずれが生じることがある。重畳表示部13がこのように非同期で出力される外部映像とOSD映像とをそのまま重ねて表示すると、映像の乱れが生じてしまう。そこで、外部映像とOSD映像との同期をとるための処理を行う。
【0020】
すなわち、外部映像およびOSD映像を重畳して表示する際に、OSD映像生成部12は、重畳表示部13に対するOSD映像の出力を行いながら当該OSD映像を外部映像の同期信号に同期させる同期処理を実行する。このとき外部映像処理部11は、OSD映像生成部12による同期処理の実行中は重畳表示部13に対する外部映像の出力を行わず、同期処理の完了後に重畳表示部13に対する外部映像の出力を行う。
【0021】
ここで、OSD映像生成部12は、OSD映像の一部のフレームについてフレーム時間長を調整することによって同期処理を実行する。具体的には、OSD映像生成部12は、ブランキング期間として設定可能な許容時間の範囲内で、ブランキング期間の長さを調整することによって同期処理を実行する。ブランキング期間として設定可能な許容時間は、LCD等の表示装置10のスペックにより決まる値であり、あらかじめ設定して記憶しておく。同期処理に使用するフレームの数およびフレームごとのフレーム時間長の調整量(ブランキング期間の長さの調整量)は、同期処理を開始する時点で計算することが可能である。これについての詳細は後述する。
【0022】
図2は、この同期処理の一例を説明するための模式図である。
図2(a)はOSD映像生成部12により生成されるOSD映像を示し、
図2(b)は外部映像処理部11により処理される外部映像を示している。
図2において、各々の矩形は1フレームを表している。着色したフレームは、重畳表示部13に出力されることによって表示の対象とされるフレームを示し、着色していないフレームは、重畳表示部13に出力されず表示の対象とされないフレームを示す。
【0023】
図2に示すように、各種警告灯のOSD映像はOSD映像生成部12により短時間で生成されるのに対し、各種メーターの外部映像は外部映像処理部11による処理時間が比較的長くかかるため、OSD映像の第1フレームに対して外部映像の第1フレームが遅れて生成されている。
図2の例は、OSD映像に対する外部映像の遅れが0.5フレーム長未満、すなわち、OSD映像に対する外部映像の同期の位相差が180度未満の場合を示している。
【0024】
この場合、外部映像処理部11は、
図2(b)に示すように、外部映像のフレーム時間長の調整は行わず、第1フレームから、OSD映像生成部12による同期処理が完了するタイミングの第3フレームまでの間、重畳表示部13に対する外部映像の出力を行わない。そして、同期処理が完了した後の第4フレーム以降、重畳表示部13に対する外部映像の出力を行う。すなわち、外部映像処理部11は、第1フレームから通常のフレーム時間長でフレーム映像データを生成し続けるが、同期処理が完了するタイミングの第3フレームまでは外部映像を重畳表示部13に出力せず、第4フレーム以降で外部映像を重畳表示部13に出力する。
【0025】
一方、OSD映像生成部12は、
図2(a)に示すように、第1フレームから重畳表示部13に対するOSD映像の出力を継続している。OSD映像生成部12は、このようなOSD映像の出力を行いながら、当該OSD映像の第2フレームと第3フレームのブラキング期間を通常よりも長くすることにより、第3フレームの終了時において外部映像の同期信号に同期させるようにする。
図2の例では、OSD映像の第3フレームの終了時と、外部映像の第3フレームの終了時とで同期がとれている。これにより、OSD映像の第4フレーム以降および外部映像の第4フレーム以降は、何れも通常のフレーム時間長で、互いに同期がとれた状態で重畳表示部13への出力が行われる。
【0026】
図3は、OSD映像に対する外部映像の遅れが0.5フレーム長以上(OSD映像に対する外部映像の同期の位相差が180度以上)の場合における同期処理の例を説明するための模式図である。
図3(a)はOSD映像生成部12により生成されるOSD映像を示し、
図3(b)は外部映像処理部11により処理される外部映像を示している。
図3において、着色したフレームが表示対象のフレームを示し、着色していないフレームが表示対象とされないフレームを示すことは
図2と同様である。
【0027】
この場合、外部映像処理部11は、
図3(b)に示すように、外部映像のフレーム時間長の調整は行わず、第1フレームから、OSD映像生成部12による同期処理が完了するタイミングの第2フレームまでの間、重畳表示部13に対する外部映像の出力を行わない。そして、同期処理が完了した後の第3フレーム以降、重畳表示部13に対する外部映像の出力を行う。すなわち、外部映像処理部11は、第1フレームから通常のフレーム時間長でフレーム映像データを生成し続けるが、同期処理が完了するタイミングの第2フレームまでは外部映像を重畳表示部13に出力せず、第3フレーム以降で外部映像を重畳表示部13に出力する。
【0028】
一方、OSD映像生成部12は、
図3(a)に示すように、第1フレームから重畳表示部13に対するOSD映像の出力を継続している。OSD映像生成部12は、このようなOSD映像の出力を行いながら、当該OSD映像の第2フレームと第3フレームのブラキング期間を通常よりも短くすることにより、第3フレームの終了時において外部映像の同期信号に同期させるようにする。
図3の例では、OSD映像の第3フレームの終了時と、外部映像の第2フレームの終了時とで同期がとれている。これにより、OSD映像の第4フレーム以降および外部映像の第3フレーム以降は、何れも通常のフレーム時間長で、互いに同期がとれた状態で重畳表示部13への出力が行われる。
【0029】
ここで、同期処理に使用するフレームの数およびフレームごとのフレーム時間長の調整量(ブランキング期間の長さの調整量)について説明する。この説明には位相差検出部14が関係する。
【0030】
位相差検出部14は、外部映像処理部11の処理により生成される外部映像と、OSD映像生成部12により生成されるOSD映像との位相差を検出する。例えば、位相差検出部14は、外部映像処理部11に入力された外部映像について第1フレームのフレーム映像データの生成が完了した時点と、OSD映像生成部12により生成されるOSD映像について第1フレームのフレーム映像データの生成が完了した時点との差分時間を計算することにより、外部映像とOSD映像との位相差を検出する。
【0031】
ここで、OSD映像生成部12は、位相差検出部14により検出された位相差が180度未満である場合は、
図2(a)のようにOSD映像のブランキング期間を長くするように調整量を決定する一方、位相差検出部14により検出された位相差が180度以上である場合は、
図3(a)のようにOSD映像のブランキング期間を短くするように調整量を決定する。調整量および調整に使用するフレームの数の決定方法は以下の通りである。
【0032】
すなわち、OSD映像生成部12は、ブランキング期間として設定可能な許容時間と、位相差検出部14により検出された位相差に対応する差分時間とに基づいて、1フレーム当たりのブランキング期間の長さの調整量および調整に使用するフレームの数を決定する。このときOSD映像生成部12は、許容時間の範囲内で、同期処理に使用するフレームの数が最小化するように調整量を決定するのが好ましい。
【0033】
例えば、
図2の例において、ブランキング期間(複数本分の水平ブラキング期間および垂直ブラキング期間の合計)として設定可能な許容時間の最大値(上限値)が3ms、位相差検出部14により検出された差分時間が6msであったと仮定する。この場合、差分時間が許容時間の3msより長いため、1フレームだけで同期処理を完了させることはできず、複数のフレームを必要とする。ここで、第2フレームおよび第3フレームにおいてそれぞれブランキング期間を3msずつ長くすれば、最小数の2フレームで同期処理が完了する。
【0034】
なお、第2フレームから第4フレームまでの3フレームにかけてそれぞれブランキング期間を2msずつ長くすることによっても同期をとることは可能である。また、第2フレームから第7フレームまでの6フレームにかけてそれぞれブランキング期間を1msずつ長くすることによっても同期をとることは可能である。しかしながら、これらの場合、調整に使用するフレーム数は最小ではない。これに対して、
図2(a)のように最小数の2フレームで同期処理が完了するように、調整に使用するフレームの数およびフレームごとの調整量を決定するのが好ましい。
【0035】
また、
図3の例において、ブランキング期間(複数本分の水平ブラキング期間および垂直ブラキング期間の合計)として設定可能な許容時間の最小値(下限値)が1ms、位相差検出部14により検出された差分時間が14.67msであったと仮定する。この場合、1フレーム時間長の16.67msと差分時間の14.67msとの差が許容時間の1msより長いため、1フレームだけで同期処理を完了させることはできず、複数のフレームを必要とする。ここで、第2フレームおよび第3フレームにおいてそれぞれブランキング期間を1msずつ短くすれば、最小数の2フレームで同期処理が完了する。よって、OSD映像生成部12は、
図3(a)のように最小数の2フレームで同期処理が完了するように、調整に使用するフレームの数およびフレームごとの調整量を決定する。
【0036】
OSD映像生成部12は、決定した調整対象フレーム数と、位相差検出部14により検出された位相差(または差分時間)とを外部映像処理部11に通知する。これにより、外部映像処理部11は、外部映像の何フレーム目でOSD映像生成部12による同期処理が完了するのかを計算することができ、何フレーム目から外部映像を重畳表示部13に出力すればよいかを決定することができる。すなわち、位相差が180度未満の場合は、調整対象フレーム数より1つ多いフレーム数だけ外部映像を非出力状態とし、位相差が180度以上の場合は、調整対象フレーム数と同数のフレーム数だけ外部映像を非出力状態とするように決定することができる。
【0037】
なお、ここでは説明を分かりやすくするために、ブランキング期間として設定可能な許容時間と、位相差検出部14により検出された差分時間とが整数倍の関係となる場合について説明したが、実際にはそうでないこともある。よって、全ての調整対象フレームでブランキング期間の調整量を同じとすることを必須とするものではない。例えば、可能な限り多くの調整対象フレームに対して、ブランキング期間として設定可能な許容時間の最大値または最小値を設定し、残りの調整対象フレームに対して端数の調整量を設定するようにしてもよい。
【0038】
また、位相差検出部14において、水平方向および垂直方向のそれぞれについて外部映像とOSD映像との位相差を検出するようにし、OSD映像生成部2が、水平ブランキング期間として設定可能な許容時間の範囲内で最大値を水平ブランキング期間の長さの調整量として決定するとともに、垂直ブランキング期間として設定可能な許容時間の範囲内で垂直ブランキング期間の長さの調整量を決定するようにしてもよい。このようにすることで、同期処理が完了するまでの時間をできるだけ短くすることができる。
【0039】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、表示装置10の外部から入力される映像である外部映像と、表示装置10の内部で生成したOSD映像とを重畳して表示する際に、OSD映像の表示を行いながら当該OSD映像を外部映像の同期信号に同期させる同期処理を実行し、同期処理の実行中は外部映像の表示を行わず、同期処理の完了後に外部映像とOSD映像とを重畳して表示するようにしている。
【0040】
このように構成した本実施形態によれば、OSD映像と外部映像との同期処理が完了するまではOSD映像のみが表示されて外部映像が表示されないので、映像の乱れが生じることはない。また、本実施形態によれば、
図4に示すように、OSD映像(各種警告灯の映像)は一貫して表示され続け、OSD映像だけが表示された状態から、外部映像(各種メーターの映像)とOSD映像(各種警告灯の映像)とが重畳して表示された状態へ切り替わる際に、一瞬非表示となって黒画面が挿入されることもないので、映像のちらつきが生じることもない。このように、本実施形態によれば、OSD映像を表示した後、外部映像とOSD映像とが重なった映像に切り替えて表示する際に、映像の乱れやちらつきが生じないようにすることができる。また、本実施形態では、表示装置10の内部で生成されるOSD映像のフレーム時間長を調整することによって同期処理を行っているので、表示装置10の外部から入力する外部映像をOSD映像に同期させるために従来用いられていたフレームバッファ(DRAM)が不要である。
【0041】
なお、上記実施形態では、位相差検出部14により検出される位相差の大きさに応じて、ブランキング期間を長くするか短くするかを決定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、位相差検出部14により検出される位相差の大きさによらず、ブランキング期間を長くするように調整量を決定するようにしてもよい。ただし、上記実施形態のように場合分けをした方が、位相差が180度以上である場合に同期処理に要する時間を短くすることができる点で好ましい。
【0042】
また、上記実施形態では、ブランキング期間として設定可能な許容時間と、位相差検出部14により検出された位相差に対応する差分時間とに基づいて、1フレーム当たりのブランキング期間の長さの調整量を決定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ブランキング期間として設定可能な許容時間の範囲内で、ブランキング期間の長さの調整量をあらかじめ固定の値に設定しておくようにしてもよい。この場合、位相差検出部14は、外部映像とOSD映像との同期がとれたか否か(ズレが所定値未満となったか否か)をフレームごとに確認するためのものとして用いる。ただし、上記実施形態のように位相差に対応する差分時間に応じて調整量を決定するようにした方が、同期処理に要する時間を短くすることができる点で好ましい。
【0043】
また、上記実施形態では、表示装置10の一例として車載のクラスターディスプレイを挙げたが、これに限定されるものではない。外部映像とOSD映像とを重畳して表示する機能を有する表示装置であれば、何れにも本発明を適用することが可能である。
【0044】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0045】
10 表示装置
11 外部映像処理部
12 OSD映像生成部
13 重畳表示部
14 位相差検出部