(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167648
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】商品見本保持具
(51)【国際特許分類】
G07F 9/02 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
G07F9/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078981
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】391034765
【氏名又は名称】中井銘鈑株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】中井 誠治
【テーマコード(参考)】
3E044
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044EA12
(57)【要約】
【課題】構造の異なる取り付け穴にも取り付け可能にするとともに、形態のコンパクト化をはかる。
【解決手段】取り付け穴を有する展示台の上に起立状態で着脱可能に取り付けられて、左右両側縁に形成された係止縁部にシート状をなすシート型商品見本の縁部を係止する商品見本保持具11において、下端部の左右両側に、展示台の上面に接する底面部61を離間配設し、これら底面部61同士の間に、取り付け穴の縁部を厚み方向で挟む挟持構造部62と、取り付け穴内で前方に延びる取り付け片に嵌める嵌合構造部63を形成する。挟持構造部62は底面部61と同じ高さで前方に延びる上片64と、底面部61よりも低い高さにおいて前方に延びる下片65で構成し、嵌合構造部63は下端部の後方において取り付け片の下面が接して上方への移動が規制される被拘束片66で構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付け穴を有する展示台の上に起立状態で着脱可能に取り付けられて、左右両側縁に形成された係止縁部にシート状をなすシート型商品見本の縁部を係止する商品見本保持具であって、
下端部の左右両側に、展示台の上面に接する底面部が離間配設され、
前記底面部間に、前記底面部が展示台の上面に接した状態で取り付け穴の縁部を厚み方向で挟む挟持構造部と取り付け穴内で前方に延びる取り付け片に嵌める嵌合構造部が形成され、
前記挟持構造部が、前記底面部と同じ高さで前方に延びる上片と、前記底面部よりも低い高さにおいて前方に延びる下片を有し、
前記嵌合構造部が、前記下端部の後方において前記取り付け片の下面が接して上方への移動が規制される被拘束片を有している
商品見本保持具。
【請求項2】
前記上片が前記底面部間の中間位置に形成されるとともに、前記下片が前記上片の左右両側に形成され、
前記下端部の後端から前方に延びて先端に前記下片を有する支持板部の後方に、前記被拘束片が左右一対の垂下片を介して形成された
請求項1に記載の商品見本保持具。
【請求項3】
前記上片の先端に、シート状をなすシート部材の縁部を挟む挟持片部が立設された
請求項1または請求項2に記載の商品見本保持具。
【請求項4】
前記係止縁部に、シート状をなすシート部材の左右両側縁の凸部を係止する凹部が形成された
請求項1または請求項2に記載の商品見本保持具。
【請求項5】
背面の上端部に、シート状をなすシート部材の縁部を挟む挟持片部が形成された
請求項1または請求項2に記載の商品見本保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動販売機に展示される商品見本を取り付けるための商品見本保持具に関し、より詳しくはシート状をなすシート型商品見本を保持する商品見本保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
シート型商品見本の保持具として下記特許文献1に開示の取付補助具がある。これは展示台の装着孔に取り付ける装着孔取付部材と、シート状商品見本を保持する商品見本保持部材とから構成されている。
【0003】
商品見本保持具(取付補助具)が取り付けられる展示台は鋼板製であり、装着孔は厚み方向に貫通しており、その平面視形状は円形である。
【0004】
このような装着孔に取り付けられる装着孔取付部材は、装着孔の対向位置する縁部にそれぞれ係脱可能に係止する一対の係止部を備えたものであり、一対の係止部間には弾性部材が備えられている。つまり、一対の係止部を装着孔内で突っ張ることによって一対の係止部の係止状態を維持しようとするものである。
【0005】
商品見本保持部材は、湾曲された状態のシート状商品見本の左右両側端をそれぞれ係脱可能に弾接保持する一対の側部保持部を有している。
【0006】
特許文献1の取付補助具では、装着孔取付部材が一対の係止部を有し、これらの間に弾性部材が形成されているので、安定した状態で取り付けられるとともに着脱動作が容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、このような取付補助具は一定厚の薄い鋼板からなる展示台であって、貫通した円形の装着孔を有する展示台にしか取り付けできない。また、装着孔取付部材は装着孔内で突っ張る構造であるので、どうしても取付補助具の前後方向(奥行方向)の長さが長くなってしまう。特に後方への突出量が大きく、製造が容易でないばかりか取り扱い性もよくない。このため、特許文献1には装着孔取付部材と商品見本保持部材を別々の部材で形成して、これらを互いに組み合わせて使用することが開示されている。
【0009】
そこで、この発明は、構造の異なる取り付け穴にも取り付け可能にするとともに、形態のコンパクト化をはかることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのための手段は、取り付け穴を有する展示台の上に起立状態で着脱可能に取り付けられて、左右両側縁に形成された係止縁部にシート状をなすシート型商品見本の縁部を係止する商品見本保持具であって、下端部の左右両側に、展示台の上面に接する底面部が離間配設され、前記底面部間に、前記底面部が展示台の上面に接した状態で取り付け穴の縁部を厚み方向で挟む挟持構造部と取り付け穴内で前方に延びる取り付け片に嵌める嵌合構造部が形成され、前記挟持構造部が、前記底面部と同じ高さで前方に延びる上片と、前記底面部よりも低い高さにおいて前方に延びる下片を有し、前記嵌合構造部が、前記下端部の後方において前記取り付け片の下面が接して上方への移動が規制される被拘束片を有している商品見本保持具である。
【0011】
この構成では、挟持構造部と嵌合構造部がそれぞれ取り付け穴の一部と関わり合って商品見本保持具が取り付けられる。展示台の取り付け穴が前側部分に挟持し得る縁部を有している場合には上片と下片を有する挟持構造部を用いて、そのような縁部がなく取り付け片を有する場合には被拘束片を有する嵌合構造を用いて、取り付けがなされる。いずれの場合も左右両側の底面部が展示台の上面に接した状態を挟持構造部又は嵌合構造部が保持し、係止縁部に係止したシート型商品本を正面に向けて表示する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、取り付け穴に対する取り付け構造は取り付け穴内で突っ張る構造ではなく、取り付け穴の縁部の一部を挟持する挟持構造と、取り付け穴内の取り付け片に規制される嵌合構造である。このため、複数種類の取り付け穴に対する取付けが可能であって、適用範囲を広げられる。そのうえ、円形の取り付け穴に対する取り付け構造が縁部を厚み方向で挟む構造であるので、下端部の前後方向の大きさを取り付け穴内で突っ張る従来の構造に比べて小さくできる。このため、製造が容易であるうえに、取り扱いにおいて嵩張ることもなく、大きさが大きい場合や複数の部材に分割して構成する構成の場合と比較して、取り扱いが便利である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図7】商品見本保持具を一の取り付け穴に取り付けた状態を示す平面図と断面図。
【
図8】商品見本保持具を別の取り付け穴に取り付けた状態を示す平面図と断面図。
【
図9】シート型商品見本の取り付け態様を示す断面図。
【
図10】POP用のシート部材の取り付け例を示す斜視図。
【
図11】POP用のシート部材の取り付け例を示す斜視図。
【
図12】POP用のシート部材の取り付け例を示す斜視図。
【
図13】POP用のシート部材の取り付け例を示す斜視図。
【
図15】POP用のシート部材の取り付け例を示す斜視図。
【
図17】POP用のシート部材の取り付け例を示す斜視図。
【
図18】POP用のシート部材の取り付け例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0015】
図1に商品見本保持具11(以下、「保持具」という)11の正面、左側面及び平面を表す斜視図を、
図2に保持具11の背面、右側面及び底面を表す斜視図を示す。保持具11は
図3に示したように展示台12の上に起立状態で着脱可能に取り付けられて、前面にシート状をなすシート型商品見本13を着脱可能に保持するものである。展示台12には保持具11の取り付けのために取り付け穴21が形成されている。図示した取り付け穴21は一例であって、取り付け穴21の態様は、例えば全体が上下方向に貫通したものであっても、そうでないものであってもよい。
【0016】
なおシート型商品見本13について付言すると、シート型商品見本13は可撓性を有する合成樹脂製シートで構成されており、商品を表示するための適宜の図柄や文字等が印刷されている。シート型商品見本13は全体が有色であるほか、部分的に透明な部分を有する場合もある。シート型商品見本13の形状は長方形である。
【0017】
図1、
図2に示したように、保持具11は合成樹脂製の1つの部材で構成されている。保持具11は全体として正面視縦長の長方形に形成されており、長方形枠形状の本体枠部14と、本体枠部14の左右両側縁の前面に形成された係止縁部15と、本体枠部14の下端に形成されて展示台12に取り付けられる下端部16を有している。保持具11を形成する合成樹脂は透明又は乳白色である。
【0018】
本体枠部14は、左辺部41、右辺部42、上辺部43及び下辺部44で囲まれた枠状であり、内側に略長方形の窓部45を有している。上辺部43及び下辺部44は、後面側に僅かに張り出すように大きく湾曲している。本体枠部14の高さは保持するシート型商品見本13の高さに応じて設定される。具体的には保持するシート型商品見本13のうち高さの低い飲料容器用のシート型商品見本13に合わせて形成しておけば、
図3に仮想線で示したように高さの高い飲料容器用のシート型商品見本13も保持できる。本体枠部14の幅(左右方向長さ)は展示台12に形成される取り付け穴21の直径又は横幅よりも長く設定されている。
【0019】
係止縁部15は、シート型商品見本13の左右の縁部13aを係止する部分であり、本体枠部14における左辺部41と右辺部42の端である左右両側縁から鋭角の角度で斜め前方に向けて延びる延設片51を形成して構成される。延設片51は本体枠部14の上端から下端まで全体に形成されている。延設片51の斜め前方に向けての長さは、前面に向けて膨出するように湾曲させて撓ませたシート型商品見本13を保持するのに必要な長さに形成され、上下方向の全体にわたって同じ長さである。展示に際して目立たないようにするためには、延設片51の斜め前方に向けての長さは短い方が好ましい。
【0020】
下端部16は、本体枠部14と係止縁部15の下端を一体に連結しており、左右両側、つまり係止縁部15に近い位置に、展示台12の上面に接する底面部61が離間配設されている。左右の底面部61同士の間には、底面部61を展示台12の上面に接した状態で保持具11を取り付けるための取り付け構造が形成されている。
【0021】
取り付け構造は、挟持構造部62と嵌合構造部63の2つであり、挟持構造部62は取り付け穴21の前側の縁部22を厚み方向で挟むものである。嵌合構造部63は取り付け穴21内で前方に延びる取り付け片23に嵌めるものである(
図8(b)参照)。挟持構造部62は底面部61と同じ高さで前方に延びる上片64と、底面部61よりも低い高さにおいて前方に延びる下片65を有している。嵌合構造部63は下端部16の後方において取り付け片23の下面が接して上方への移動が規制される被拘束片66を有している。
【0022】
挟持構造部62と嵌合構造部63は、保持具11の右側面図である
図4、正面図中央縦断面図である
図5、
図5のA-A断面図である
図6にも示したように、互いに一体に結合して構成されている。
【0023】
具体的には、左右の底面部61における相対向する内側縁に、本体枠部14の下端から前方に延びる支持板部67が形成されている。支持板部67の上下方向の位置は底面部61よりも低く、底面部61の下面の上下方向の位置と支持板部67の上面の上下方向の位置との差が取り付け穴21の縁部22の厚さtに嵌合対応することになるように設定されている(
図7(b)参照)。
【0024】
支持板部67の左右方向の中間部には後端から前方にかけて空間部67aが形成されており、支持板部67の左右両側部の先端部が前述の下片65である。支持板部67の先端部における左右方向の中間部、つまり下片65同士の間には、下片65よりも形成位置が高く上下方向での位置が底面部61と同じ前述の上片64が形成されている。
【0025】
上片64の基部は取り付け穴21に対応する平面視円弧状であり、下片65同士の間を連結する円弧壁部68で構成されている。上片64と下片65の円弧壁部68からの前方への突出長さは、取り付け穴21の前側の縁部22を挟んで保持できる長さであって、嵌合構造部63で取り付けを行ったときに取り付け穴21の内側に収まる大きさである。また上片64と下片65の突出長さはシート型商品見本13を保持したときに、
図3に示したように前側に膨らむように湾曲したシート型商品見本13よりもわずかに突出する程度に設定される。
【0026】
上片64の先端下側角と下片65の先端上側角は、面取りがなされており傾斜面を有している。
【0027】
また上片64の基部、つまり円弧壁部68の左右両端には、支持板部67の内側縁に沿って本体枠部14まで延びる一対の起立壁69が形成されている。本体枠部14の下辺部44における起立壁69間は切り欠かれており、差し込み窓部71を有している。起立壁69同士の隔は取り付け片23を受け入れ可能に設定される。
【0028】
起立壁69のうちの後方部分には、起立壁69と面一で下方に延びる垂下片72が形成されており、この左右一対の垂下片72の下端に前述の被拘束片66が形成されている。垂下片72と被拘束片66の正面視形状は角張ったU字状である。垂下片72の上下方向の長さは、
図8(b)に示したように被拘束片66を取り付け片23の下に位置させて上方への移動を規制できる長さである。
【0029】
以上のような基本構造の保持具11は、シート型商品見本13とは別に、販売促進や訴求力向上のためのPOP用のシート部材18(
図11等参照)を特異な態様で保持するための構造を有している。
【0030】
その一つは、挟持構造部62を構成する上片64の先端に形成した挟持片部75である。すなわち、上片64の先端に、シート状をなすシート部材18の縁部を挟む挟持片部75が立設されている。挟持片部75は、左右方向中間位置の前側片75aとこれよりごくわずかに後方に位置する左右両側の後側片75bで構成されている。
【0031】
なお、シート部材18は、シート型商品見本13と同じように可撓性を有する合成樹脂シートで構成され、注意や興味を惹く文言や、キャンペーンの案内など必要な事項が表示されている。シート部材18は全体が有色であるほか、透明な部分を有するものであってもよい。
【0032】
シート部材18を保持する構造の他の一つは、係止縁部15に形成された凹部76である。つまり、シート部材18の左右両側縁に形成された凸部81(
図18参照)を係止する凹部76が左右両側に形成されている。この例の凹部76は貫通穴からなり、左右一対ずつ上下方向に複数形成される。凹部76は貫通しない凹みであってもよい。
【0033】
シート部材18を保持する構造としてほかには、本体枠部14の上辺部43の背面における上端部に挟持片部77を有している。挟持片部77は、下端部16の挟持片部75と同様にシート部材18の縁部を挟むことが可能な部分であり、上辺部43の背面との間にわずかな隙間を設けて位置する複数の起立片77a,77bを有している。図示例の起立片77a,77bは左右方向に3個並設されており、左右両側の2個の起立片77aは上辺部43の背面との隙間がごくわずかであるのに対して、中間部分の起立片77bはそれらよりも上辺部43の背面との隙間が僅かに広く設定されている。
【0034】
以上のように構成された保持具11は次のようにして使用される。
【0035】
展示台12の取り付け穴21が
図7に示したように貫通穴からなり前側の縁部22が厚み方向に挟める構造である場合には、保持具11を前に向けて下端部16を取り付け穴21の内側に収めてから下端部16を前方に移動させる。そして
図7(b)に示したように挟持構造部62で縁部22を挟む。この状態において、底面部61は展示台12の上面に接して、
図7(a)に示したように取り付け穴21の前側部分において保持具11が起立状態で保持される。
【0036】
挟持構造部62のうち下片65は左右両側に配設されているので、底面部61との挟持作用もあって、安定した取り付け状態が得られる。
【0037】
展示台12の取り付け穴21が
図8に示したように内部に取り付け片23を有する構造である場合には、保持具11を前に向けて上側を後方に傾けた姿勢にして嵌合構造部63の被拘束片66を取り付け片23の先からその下に滑り込ませる。すると
図8(b)に示したように被拘束片66は取り付け片23の基部に嵌まって、上方へ抜け止めされた状態に拘束される。この状態において、底面部61は展示台12の上面に接して、
図8(a)に示したように取り付け穴21の後側部分において保持具11が起立状態で保持される。このとき挟持構造部62は取り付け穴21の内部に収まり、取り付け穴21の前側の縁に対向するので前方への移動も規制される。
【0038】
シート型商品見本13の取り付けは、
図9に示したように、平らなシート型商品見本13をその可撓性を利用して前面が膨らむ方向に撓ませて、左右両側の縁部13aを係止縁部15に係止する。シート型商品見本13は係止縁部15間に上から差し込んで保持することもできる。元の平らな状態に戻ろうとするシート型商品見本13は係止縁部15間で安定する。
【0039】
図10はPOP用のシート部材18を取り付ける一例であり、シート型商品見本13の背面側にそのシート型商品見本13の見栄えを良くしたりアピールしたりするためのシート部材18を保持する例を示している。
【0040】
すなわち、シート部材18はシート型商品見本13の背面側にシート型商品見本13と同様に保持する長方形または略長方形に形成されている。シート部材18の前面82には、シート型商品見本13の透明部分を透視して見える適宜の装飾が施されている。装飾には光沢や光輝性を有する色彩や図柄、文字等がある。シート型商品見本13を透視して見えるようにするだけではなく、シート部材18はその高さをシート型商品見本13よりも高くして、シート型商品見本13よりも上に出る部分に訴求力を高める表示を備えてもよい。
【0041】
図11は例えばキャンペーンを宣伝するためなどに用いられるシート部材18を取り付ける例を示している。この例のシート部材18は、シート型商品見本13と同じ幅の長方形の取り付け部83と、取り付け部83の上に左右方向中間部の連結部84を介して一体に設けられた表示部85を有している。取り付け部83は透明である。表示部85は適宜の形状に形成されて表示がなされている。
【0042】
このようなシート部材18は、(a)に示したように取り付け部83をシート型商品見本13の裏面に重ねるように差し込んで、左右両側の縁部83aを係止縁部15に係止する。
【0043】
このほか、シート部材18は(b)に示したように取り付け部83を除去して使用することもできる。取り付け部83の除去は連結部84で切り離せるので現場でも容易に行える。この場合には、下端部16に形成した挟持片部75や本体枠部14の上端に形成した挟持片部77に表示部85の縁を差し込んで保持する。
【0044】
図12は個々のシート型商品見本13に保持させるのではなく、並べられた複数の商品見本に跨って取り付けるシート部材18を示している。すなわちシート部材18は、
図11のシート部材18における取り付け部83に相当する取り付け部83を複数、この例では2個離間配置して、これらのうえに長尺の表示部85を、連結部84を介して有している。シート部材18の保持具11に対する取り付け方は前述と同様である。
【0045】
図13は、
図11に示したシート型商品見本13の裏面に沿わせて取り付ける態様と、下端部16に形成した挟持片部75に取り付ける態様とを組み合わせた例を示している。すなわちシート部材18は、上端部に取り付け部83を有し、取り付け部83の上に左右方向中間部の連結部84を介して一体に設けられた表示部85を有している。表示部85は下端部16に形成された挟持片部75に差し込む部分を有した形状であり、この例では上端と下端に位置する横長部分85a,85bと、これら横長部分85a,85bの一端を上下に連結する縦長部分85cを有する正面視コ字形である。表示部85は全体を有色にするほか、必要に応じて見せたくない部分は透明にする。
【0046】
図13の(a)と(b)は、縦長部分85cの形成位置を違えた例を示している。
【0047】
取り付け部83は
図11のシート部材18と同じ構成であってもよいが、この例では、表示部85が縦長部分85cを有する形状であるので、この縦長部分85cをシート型商品見本13に近づけられるように、取り付け部83は二つ折り構造にした。つまり、取り付け部83は連結部84を介して表示部85の内側に収まる重なり部83eと、この重なり部83eにおける縦長部分85cとは反対側の端に延設された折り重ね部83fを有している。重なり部83eと折り重ね部83fとの間には折り曲げ線83gが形成されている。折り重ね部83fは重なり部83eよりもの左右方向長さが長い。
【0048】
このような構成のシート部材18は、折り重ね部83fを折り曲げ線83gで折り返して重ね部83eに重ねて、シート型商品見本13と同じように撓ませてからシート型商品見本13の裏側に差し込む。折り重ね部83fの折り曲げ方向はいずれでもよいが、重ね部83eがシート型商品見本13に接することになるように折り曲げるほうが作業性がよい。
【0049】
取り付け部83は、
図14に示したように折り重ね部83fが係止縁部15間で押し縮められるような状態になって保持具11に安定して保持される。
図14は、
図13の(a)に示した形態のシート部材18の取り付け状態を示している。
【0050】
表示部85の下端の横長部分85bは、その長手方向の中間部分を下端部16の挟持片部75に差し込んで保持させる。
【0051】
図15のシート部材18は取り付け部83の構成を
図13の取り付け部83とは異なるものにした例を示している。すなわち、左右方向に突出する折り重ね部83fを形成するのではなく、いわば重ね部83e自体に取り付け部83を係止縁部15間で突っ張らせる構造を持たせている。そのための構成は正面視コ字型の切り溝86である。切り溝86は次のように形成される。すなわち、切り溝86に囲まれた部分である折り返し部83hを裏側に折り返したときに折り返し部83hの先端が取り付け部83よりも外側に突出し、その先端と取り付け部83の反対側の端との間の距離が係止縁部15間の距離よりも長くなるというものである。
【0052】
なお
図15の(a)と(b)も縦長部分85cの形成位置を違えた例を示している。
【0053】
このような構成のシート部材18は、折り返し部83hを折り返して取り付け部83に重ねて、シート型商品見本13と同じように撓ませてからシート型商品見本13の裏側に差し込む。取り付け部83は
図16に示したように全体として係止縁部15間で押し縮められるような状態になって保持具11に安定して保持される。
【0054】
この場合も表示部85の下端の横長部分85bは、その長手方向の中間部分を下端部16の挟持片部75に差し込んで保持させる。
【0055】
図17のシート部材18は取り付け部83の構成を
図13や
図15の取り付け部83とは異なるものにした例を示している。すなわち、係止縁部15間の長さと同等の長さに形成された取り付け部83に、シート型商品見本13の上端部に差し込む差し込み構造を形成している。差し込み構造は切り溝87で構成されている。この切り溝87は左右一対の縦溝87aと縦溝87a同士の下端を繋ぐ横溝87bからなる。取り付け部83は全体が透明である。
【0056】
図17の(a)と(b)も縦長部分85cの形成位置を違えた例を示している。
【0057】
このような構成のシート部材18は、切り溝87の内側の差し込み片83jと、これの外側の枠部83kとを互い違いにしてシート型商品見本13の上端部に差し込んで保持する。
【0058】
この場合も表示部85の下端の横長部分85bは、その長手方向の中間部分を下端部16の挟持片部75に差し込んで保持させる。
【0059】
図18は、係止縁部15に形成した凹部76を利用して取り付けられるシート部材18を示している。このシート部材18は、横長の長方形に形成された取り付け部83と、この一部に一部の連結部84を介して形成された表示部85で構成されている。取り付け部83の左右方向の長さはシート型商品見本13と同じであり、左右両端縁に凸部81が設けられている。凸部81は凹部76に嵌る大きさである。シート部材18の取り付け部83は全体が透明である。
【0060】
凸部81は、(a)に示したように左右両側縁の上下方向の中間部に形成するも、(b)に示したように下端または上端に形成するもいずれでもよい。凸部81の形成位置は、取り付け部83の大きさや表示部85の形態に応じて適宜設定される。
【0061】
このような構成のシート部材18は、左右一対の凸部81をシート型商品見本13が保持された保持具11の係止縁部15における凹部76に対して嵌める。シート部材18はシート型商品見本13の表側でも裏側でも取り付けられる。
【0062】
このシート部材18は、その形態によっては例えば本体枠部14の上端に形成した挟持片部77など、その他の挟持片部75に縁部を差し込んで取り付けることもできる。
【0063】
以上のように保持具11は、挟持構造部62と嵌合構造部63を有しており、展示台12に対してそれぞれを利用した取り付けができる。このため、少なくとも2種類の取り付け穴21に対する取付けが可能であって、取り付け対象を広げることができて便利に使用できる。
【0064】
そのうえ、挟持構造部62は取り付け穴21の縁部22を厚み方向に挟む構造であり、嵌合構造部63は下端部16の下に形成されるので、取り付けのため構造が前後方向に長くなることはなく、コンパクトにまとめることができる。このため、製造が容易であるうえに、取り扱いにおいて嵩張ることもなく、取り扱いが便利である。
【0065】
挟持構造部62と嵌合構造部63は互いにコンパクトに無駄なく一体に結合された状態で設けられており、特に挟持構造部62の左右の下片65から一対の垂下片72を介して嵌合構造部63の被拘束片66を形成しているので、各部の構造は強固である。このため、取り扱いが便利な反面、粗雑に扱われることもあるが、多少乱暴に扱われても損傷することのない堅牢な保持具11とすることができる。
【0066】
また保持具11は複数個所にシート部材18を取り付けるための構造を有しているので、他の部材を用いずとも所望の効果を有する展示が容易に行える。
【符号の説明】
【0067】
11…商品見本保持具
12…展示台
13…シート型商品見本
13a…縁部
15…係止縁部
16…下端部
18…シート部材
21…取り付け穴
22…縁部
23…取り付け片
61…底面部
62…挟持構造部
63…嵌合構造部
64…上片
65…下片
66…被拘束片
72…垂下片
75…挟持片部
76…凹部
77…挟持片部