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特開2023-167680PETフィルムリサイクル方法およびそれに用いられる剥離機
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  • 特開-PETフィルムリサイクル方法およびそれに用いられる剥離機 図1
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  • 特開-PETフィルムリサイクル方法およびそれに用いられる剥離機 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167680
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】PETフィルムリサイクル方法およびそれに用いられる剥離機
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/02 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
B29B17/02 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079033
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】515264403
【氏名又は名称】株式会社パンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】黒木 正明
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA22
4F401AD01
4F401AD07
4F401BA13
4F401CA22
4F401CA39
4F401CB33
(57)【要約】
【課題】
PETフィルムの高度化リサイクルを可能とし、その普及によって資源の有効活用を促進して、CO増加をはじめとする種々の環境問題の解決に貢献する。
【解決手段】
PETフィルムリサイクルにあたって、PETフィルム1に夾雑物2が付着した付着PETフィルム3を、種類ごとに分別して回収する分別回収ステップと、前記付着PETフィルム3の種類に応じて動作パラメータが調整された剥離機4を用いて、付着PETフィルム3から夾雑物2を除去する除去ステップと、夾雑物が除去されたPETフィルム1から、そのIV値以上のIV値を有したPETペレット5を生成するPETペレット生成ステップと、前記PETペレット5を複数の需要者に供与する供与ステップとを行うようにした。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PETフィルムに夾雑物が付着した付着PETフィルムを、種類ごとに分別して回収する分別回収ステップと、
前記付着PETフィルムの種類に応じて動作パラメータが調整された剥離機を用いて、付着PETフィルムから夾雑物を除去する除去ステップと、
夾雑物が除去されたPETフィルムから、そのIV値以上のIV値を有したPETペレットを生成するPETペレット生成ステップと、
前記PETペレットを複数の需要者に供与する供与ステップと、を行うことを特徴とするPETフィルムリサイクル方法。
【請求項2】
前記分別回収ステップにおいて、付着PETフィルムに、その種類ごとに定められたIDを付す請求項1記載のPETフィルムリサイクル方法。
【請求項3】
前記除去ステップにおいて、前記付着PETフィルムを、そこに付されたIDを参照して、対応する剥離機に設置する請求項2記載のPETフィルムリサイクル方法。
【請求項4】
前記付着PETフィルムが帯状をなすものであり、
前記剥離機が、前記付着PETフィルムを張設状態でその長手方向に走行させ、その走行中の付着PETフィルムの夾雑物付着面に、回転する複数のブレードを押し当てて夾雑物を剥ぎ取るものであって、
前記動作パラメータが、付着PETフィルムの走行速度、付着PETフィルムに対するブレードの押し当て力、1枚のブレードが1回転する間に付着PETフィルム上を摺動する長さおよび付着PETフィルムの張力、またはこれらを間接的に変化させ得る間接パラメータである請求項1記載のPETフィルムリサイクル方法。
【請求項5】
前記付着PETフィルムがロール状に巻き回された状態で回収されるものであって、
前記剥離機が、ロール状の付着PETフィルムを回転可能に保持する保持機と、この保持機から所定距離離れて配置され、ロール状の付着PETフィルムから引き出された帯状の付着ペットフィルムを表裏から挟み込んで一定速度で走行させる引っ張りローラ対と、前記保持機および引っ張りローラ対との間で走行する付着ペットフィルムに押し当てられて夾雑物を剥離する複数のブレードとを備えたものである請求項1記載のPETフィルムリサイクル方法。
【請求項6】
PETフィルムに夾雑物が付着した帯状の付着PETフィルムから夾雑物を剥離除去する剥離機であって、
ロール状に巻き回された付着PETフィルムを回転可能に保持する保持機と、
この保持機から所定距離離れて配置され、ロール状の付着PETフィルムから引き出された帯状の付着ペットフィルムを表裏から挟み込んで一定速度で走行させる引っ張りローラ対と、
前記保持機および引っ張りローラ対との間で走行する付着ペットフィルムに押し当てられて夾雑物を剥離する複数のブレードとを備えていることを特徴とする剥離機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PET樹脂のリサイクル方法等に関し、特に使用済みのPETフィルムからPETフィルムないしPETシートを再生するPETフィルムリサイクル方法等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PET(ポリエチレンテレフタレート)は、耐熱性、保香性等に優れ、種々の用途に多く用いられていることから、再利用することも試みられている。例えば、使用済みのPETボトルからPETシート、PET繊維などを再生しリサイクルすることは広く知られているところである。
【0003】
他方、PET樹脂は、ボトルに限られず、フィルムとしても多くが用いられている。たとえば、電子部品等の製造分野においては、キャリアフィルムやプレスフィルムとして、PET樹脂が用いられている。
しかしながら、PETフィルムの再生利用については、PETボトルほど普及していない。
その理由の一つとして挙げられるのが、PETフィルムに付着している付着物である。
【0004】
例えばキャリアフィルムとして用いられたPETフィルムには、PETボトルとは異なり、誘電体(例えばセラミック)などの夾雑物が強く貼りついており、これを取り除かなければ、再利用することができない。
【0005】
特許文献1には、このようなPETフィルムから付着物を剥離する剥離装置が開示されているが、使用済みPETフィルムの形態は、各排出者によって異なるうえ、同一の排出者でもその形態が数種類に及ぶ場合があり、このような様々な形態の使用済みPETフィルムから付着物を効率よく除去することは難しい。このことがPETフィルムの再生利用の普及を阻んでいる一因である。
もう一つの理由は、カスケードリサイクルの問題である。
【0006】
PET樹脂は、熱を加えるたびにIV値が下がる。IV値は粘度を表し、この値が高いほど、樹脂の粘りが強くなって成形品における強度等が増す。最も高いIV値が要求されるのがPETボトルであり、その値は0.80である。卵パックなどのPETシートに要求されるIV値は0.68~0.72と下がり、衣料などに使用される短繊維になるとIV値は0.58程度でかまわない。PETは再生時の溶融工程において熱が加えられるために、IV値の低い製品に再生できてもIV値の高い製品に再生することが難しい。このように再生とはいいながら、IV値の低い製品に再生されることをカスケードリサイクルという。
【0007】
そのため、もともとIV値がPETシートより低いPETフィルムは、再生用途がほぼ短繊維に限られ、利用価値が低い。このこともPETフィルムの再生利用の普及を阻害している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2017-056675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、PETフィルムの高度化リサイクルを可能とし、その普及によって資源の有効活用を促進して、CO増加をはじめとする種々の環境問題の解決に貢献すべく図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明に係るPETフィルムリサイクル方法は、PETフィルムに夾雑物が付着した付着PETフィルムを、種類ごとに分別して回収する分別回収ステップと、前記付着PETフィルムの種類に応じて動作パラメータが調整された剥離機を用いて、付着PETフィルムから夾雑物を除去する除去ステップと、夾雑物が除去されたPETフィルムから、そのIV値以上のIV値を有したPETペレットを生成するPETペレット生成ステップと、前記PETペレットを複数の需要者に供与する供与ステップと、を有することを特徴とする。
前記分別回収ステップにおいて、付着PETフィルムに、その種類ごとに定められたIDを付せば、分別の間違いをより確実に避けることができる。
【0011】
また、付着PETフィルムの剥離機への設置間違いを防止するためには、前記除去ステップにおいて、前記付着PETフィルムを、そこに付されたIDを参照して、対応する剥離機に設置すればよい。
【0012】
具体的な実施態様としては、前記付着PETフィルムが帯状をなすものであり、前記剥離機が、前記付着PETフィルムを張設状態でその長手方向に走行させ、その走行中の付着PETフィルムの夾雑物付着面に、回転する複数のブレードを押し当てて夾雑物を剥ぎ取るものであって、前記動作パラメータが、付着PETフィルムの走行速度、付着PETフィルムに対するブレードの押し当て力、1枚のブレードが1回転する間に付着PETフィルム上を摺動する長さおよび付着PETフィルムの張力、またはこれらを間接的に変化させ得る間接パラメータであるものを挙げることができる。
【0013】
前記付着PETフィルムがロール状に巻き回された状態で回収されるものにおいて、前記剥離機が、ロール状の付着PETフィルムを回転可能に保持する保持機と、この保持機から所定距離離れて配置され、ロール状の付着PETフィルムから引き出された帯状の付着ペットフィルムを表裏から挟み込んで一定速度で走行させる引っ張りローラ対と、前記保持機および引っ張りローラ対との間で走行する付着ペットフィルムに押し当てられて夾雑物を剥離する複数のブレードとを備えたものであれば、夾雑物の除去中に付着PETフィルムが切れたりすることを防止して、安定的に夾雑物の除去を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
以上の構成によれば、PETフィルムの種類に応じて動作パラメータが調整された剥離機を用いるので、使用済みPETフィルムから効率的かつ確実に夾雑物を除去できるうえ、夾雑物が除去されたPETフィルムから、そのIV値以上のIV値を有し、短繊維のみならずフィルムやシートなどに加工可能なPETペレットが生成されるので、用途が広がり、PETフィルムの再生利用を促進できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態におけるPETフィルムリサイクル方法およびPETフィルムリサイクルシステムを示す全体概要図である。
図2】同実施形態における付着PETフィルムを示す斜視図である。
図3】同実施形態における剥離機の模式的全体構成図である。
図4】同実施形態において帯状PETフィルムから夾雑物を剥離する過程を示す部分的斜視図である。
図5】同実施形態におけるペレット製造機の模式的全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
<概要>
本実施形態に係るPETフィルムリサイクル方法およびこれを実施するためのPETフィルムリサイクルシステムの全体概要を図1に示す。
このPETフィルムリサイクル方法においては、PETフィルム1に夾雑物2が付着している付着PETフィルム3を各企業から分別回収する分別回収ステップと、回収された付着PETフィルム3から夾雑物2を除去する除去ステップと、夾雑物2が除去されたPETフィルム1から、そのIV値以上のIV値を有したPETペレット5を生成するPETペレット生成ステップと、このPETペレット5を複数の需要者に供与する供与ステップとか実施される。以下に各ステップを詳述する。
【0017】
<<分別回収ステップ>>
この回収ステップでは、各企業の工場から排出された付着PETフィルム3が分別回収される。付着PETフィルム3とは、例えば図2に示すように、帯状をなすPETフィルム1上に、夾雑物2である誘電体(例えばセラミック)の膜が付着したものであり、半導体製造においてキャリアフィルムとして用いられた後の排出物である。この付着PETフィルム3は、同図に示すように、ロール状に巻き回されて排出される。
【0018】
なお、以下では、ロール状の付着PETフィルム3と、そこから引き出されて帯状になった付着PETフィルム3とを区別する必要がある場合には、前者をロール状付着PETフィルム3(1)、後者を帯状付着PETフィルム3(2)と称する。
【0019】
回収者は、付着PETフィルム3の種類ごと、すなわち、PETフィルム1の厚み、PETフィルム1の幅、夾雑物2の厚み、夾雑物2の面積、夾雑物2の付着箇所、夾雑物2の材料等ごとに分別し、種類ごとのIDが記載されたシート7を付着PETフィルム3に付す。
【0020】
実際には、企業ごとに付着PETフィルム3の種類は異なり、かつ、同一企業から排出される付着PETフィルム3の種類は1種類~数種類であるから、回収者は、前記IDとして、例えば、「AA-1」などのように、企業を示す識別子「AA」に加え、必要に応じてその企業から排出される付着PETフィルム3の種類を例えば数字の枝番「1」で付したものを用いる。
このようにして分別された付着PETフィルム3は、トラックなどの輸送機器によって後述する剥離機4が設置された工場に搬送される。
【0021】
<<除去ステップ>>
この除去ステップでは、分別回収された前記付着PETフィルム3から夾雑物2を除去し、PETフィルム1を分離して取り出す剥離機4が用いられる。
まず、この剥離機4について説明する。
【0022】
剥離機4は、図3図4に示すように、ロール状付着PETフィルム3(1)を解いて帯状付着PETフィルム3(2)を引き出す引出機構41と、引出機構41から引き出されて走行する帯状付着PETフィルム3(2)から夾雑物2を除去する除去機構42と、夾雑物2が除去されて残った帯状PETフィルム1を巻き取る巻取機構43とを備えたものであり、この実施形態では所定の工場に設置されている。
【0023】
前記引出機構41は、ロール状付着PETフィルム3(1)を回転可能に保持する保持機411と、保持機411に支持されたロール状付着PETフィルム3(1)から引き出された帯状付着PETフィルム3(2)を案内する1または複数の案内用従動ローラ412とを備えたものである。この案内用従動ローラ412を通って引き出された帯状付着PETフィルム3(2)は、後述する引き込みローラ対431によって連続的に引っ張り出され、夾雑物2が付着している面(裏面)を下に向けて走行する。
【0024】
前記除去機構42は、走行する帯状付着PETフィルム3(2)の裏面に当接して夾雑物2を剥ぎ取るブレード部材421と、このブレード部材421に帯状付着PETフィルム3(2)の裏面を押し当てる押圧ローラ422と、前記ブレード部材421を支持する下ボディ423と、前記押圧ローラ422を支持する上ボディ424とを備えたものである。
【0025】
前記ブレード部材421は、帯状付着PETフィルム3(2)の走行方向とは直交する方向に延びるシャフト421aと、このシャフト421aから放射状に延出する帯状付着PETフィルム3(2)よりも幅広の複数枚の矩形ブレード421bとを備えたものであり、図示しないモータによって、各ブレード421bが帯状付着PETフィルム3(2)に対し、その進行方向とは逆向きに摺動するように回転する。この実施形態では、複数のブレード部材421が、帯状付着PETフィルム3(2)の走行方向に沿ってその下方に間欠的に配置されている。
【0026】
前記押圧ローラ422は、走行する帯状付着PETフィルム3(2)の上方で、かつ各ブレード部材421間にそれぞれ配置されている。これら押圧ローラ422は、上下動可能に構成されており、その上下位置によって、ブレード421bの帯状付着PETフィルム3(2)に対する押し当て力と押し当て長さを調整できる。
【0027】
具体的には、押圧ローラ422が下方へ移動すればするほど、ブレード部材421の帯状付着PETフィルム3(2)に対する押し当て力と押し当て長さが増加し、夾雑物2の剥ぎ取り力を増加させることができる。各押圧ローラ422を独立して上下動するように構成してもかまわないが、この実施形態では、上ボディ424が上下動することにより、すべての押圧ローラ422が一斉に上下動するように構成してある。
【0028】
また、上流側の押圧ローラ422を下流側の押圧ローラ422よりも下方に配置して、帯状付着PETフィルム3(2)に対して、上流側のブレード部材421が下流側のブレード部材421よりも強く長く押し当てられるようにしてある。これは、夾雑物2が多い上流側においては強い剥離力が必要である一方、夾雑物2が剥離されて減少した下流側においては、それよりも弱い剥離力で十分であり、下流側においてブレード部材421を帯状付着PETフィルム3(2)に不必要に強く押し当てることによる不測の破断などを防止できるためである。
なお、除去された夾雑物2は、前記下ボディ424の底面に設けられた孔から集塵機Pによって吸い出される。
【0029】
前記巻取機構43は、前記除去機構42で夾雑物2が除去された帯状PETフィルム1を表裏から挟んで引き込む引き込みローラ対431と、引き込みローラ対431から出た帯状PETフィルム1を巻き取る巻取ローラ432とを備えたものである。
【0030】
引き込みローラ対431は、PETフィルムを表裏から挟み込む一対または複数対のローラからなるもので、図示しないモータにより一定速で回転する。このことにより、ロール状付着PETフィルム3(1)から帯状付着PETフィルム3(2)を引っ張り出し、開始から終了まで一定速で走行させる。そのため、帯状付着PETフィルム3(2)に作用するテンションが動作開始から終了まで時間的に変動することなく安定し、不測の断裂が生じることを防止できる。
【0031】
巻取ローラ432は、上限トルク調整可能な例えば空気圧駆動タイプのモータ433によって回転する。この実施形態では、このモータ433のトルク上限を、引き込みローラ対431から出てきた帯状PETフィルム1の破断限界以下に設定してあって、巻き取りの進行に従ってロール状となったPETフィルム1の径が大きくなり、テンションが大きくなりすぎると、その分、モータ433の回転速度が落ち、巻き取り速度が一定となるように構成してある。このことによって引き込みローラ対431から出て巻取ローラ432に至るまでの間での帯状PETフィルム1の不測の破断を防止している。
しかして、この実施形態では、付着PETフィルム3の種類に応じて動作パラメータがそれぞれ調整された複数の剥離機4が設けてある。
オペレータはロール状付着PETフィルム3(1)に付されたIDによって、それに対応する剥離機4に当該ロール状付着PETフィルム3(1)を装着する。
【0032】
動作パラメータとは、前記引き込みローラ対431の回転速度、前記ブレード部材421の回転速度、前記ブレード部材421の上下位置、前記保持機411によるロール状付着PETフィルム3(1)への回転抵抗等である。
【0033】
具体的には、引き込みローラ対431の回転速度によって、帯状付着PETフィルム3(2)の走行速度および除去所要時間が調整される。ブレード部材421の回転速度によって、ブレード421bの帯状付着PETフィルム3(2)に対する剥ぎ取り相対速度が調整される。ブレード部材421の上下位置によって、ブレード421bの帯状付着PETフィルム3(2)に対する押し当て力および押し当て長さが調整される。保持機411によるロール状付着PETフィルム3(1)への回転抵抗力の調整によって、走行する帯状付着PETフィルム3(2)のテンションが調整される。
【0034】
この調整によって、付着PETフィルム3の種類に応じた最適な動作パラメータを調整し、確実にかつ最短時間で種々の付着PETフィルム3から夾雑物2を除去できるようにしている。
【0035】
<<PETペレット生成ステップ>>
このPETペレット生成ステップでは、前記剥離機4によって夾雑物2が除去されたPETフィルム1からペレット製造機6を用いてPETペレット5を生成する。
【0036】
このペレット製造機6は、例えば、前記PETフィルム1を粉砕してフレーク状とする粉砕機61と、このフレーク状PETを溶融し、ダイから押し出してストランドを成形する押し出し機63と、このストランドを冷却してカットし、PETペレット5とするストランドカッター64とを備えたものである。
【0037】
この実施形態では、例えば押し出し機63内を所定の圧力、温度に保ち、さらに改質剤を添加することで、加熱に伴う加水分解反応よって通常は低下するIV値を、シートに再生可能な0.68~0.72にまで維持ないし向上させたPETペレット5が生成される。
【0038】
改質剤としては、アクリル酸グリシジル、メタアクリル酸グリシジル、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル-メタクリル酸グリシジル、エポキシ化大豆油等の鎖延長剤が用いられる。特に好ましいのは、少なくとも4個以上の多官能のエポキシ基を有するスチレン-(メタ)アクリル酸メチル-メタクリル酸グリシジルである。4個以上の多官能のエポキシ基を有する鎖延長剤としては、BASFジャパン(株)、東亜合成(株)等から販売されており、例えば、BASFジャパン(株)「JONCRYL」、東亜合成(株)「ARUFON」がある。その他、DIC株式会社の「ポリサイザー」も用いることができる。
【0039】
<<供与ステップ>>
この供与ステップでは、前述のようにして製造された再生PETペレット5を、袋や容器に詰めて各需要者(PETシート製造者等)に搬送し、供与する。
【0040】
<効果>
以上によれば、PETフィルム1の種類に応じて動作パラメータが調整された剥離機4を用いるので、使用済みPETフィルム1から効率的かつ確実に夾雑物2を除去できるうえ、夾雑物2が除去されたPETフィルム1から、そのIV値以上のIV値を有し、短繊維のみならずフィルムやシートなどに加工可能なPETペレット5が生成されるので、用途が広がり、PETフィルム1の再生利用を促進できる。
【0041】
<変形例>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、分別回収ステップにおいて用いられるIDは文字や数字のみならず、バーコードなどでもよい。
【0042】
除去ステップにおいては、異なる動作原理の剥離機を用いてもよい。PETペレット生成ステップにおけるペレット製造機も、前記実施形態に限定されるものではない。
その他、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1・・・PETフィルム
2・・・夾雑物
3・・・付着PETフィルム
4・・・剥離機
5・・・PETペレット
図1
図2
図3
図4
図5