(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167682
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス用固定具及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/30 20060101AFI20231116BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20231116BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20231116BHJP
F16B 19/00 20060101ALI20231116BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H02G3/30
H01B7/00 301
F16B2/08 A
F16B2/08 B
F16B19/00 Z
B60R16/02 623H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079035
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山口 裕司
【テーマコード(参考)】
3J022
3J036
5G309
5G363
【Fターム(参考)】
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC14
3J022EC22
3J022FB12
3J022FB22
3J022GB45
3J036AA04
3J036DA02
5G309AA10
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA13
5G363DA15
5G363DA16
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】電線部材の構成を容易に変更可能にしたワイヤハーネス用固定具及びワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス用固定具13は、第1電線部材11を保持する第1保持部材20と、第2電線部材12を保持する第2保持部材30と、を備えている。そして、第2保持部材30は、第1保持部材20に対して着脱可能に構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電線部材を保持する第1保持部材と、
第2電線部材を保持する第2保持部材と、を備え、
前記第2保持部材は、前記第1保持部材に対して着脱可能に構成されている、
ワイヤハーネス用固定具。
【請求項2】
前記第1保持部材は、取付対象に固定される固定部と、前記第1電線部材を保持する電線保持部と、を有している、
請求項1に記載のワイヤハーネス用固定具。
【請求項3】
前記電線保持部は、前記固定部に対して着脱不能に構成されている、
請求項2に記載のワイヤハーネス用固定具。
【請求項4】
前記第1保持部材及び前記第2保持部材の一方は、係合部を有し、
前記第1保持部材及び前記第2保持部材の他方は、前記係合部が係合される被係合部を有し、
前記第2保持部材は、前記係合部と前記被係合部との係合によって前記第1保持部材に固定される、
請求項1に記載のワイヤハーネス用固定具。
【請求項5】
前記被係合部は、挿入孔を有し、
前記係合部は、前記挿入孔に挿入される柱部と、前記柱部から突出して前記被係合部に対して反挿入方向に係止される突出部と、を有している、
請求項4に記載のワイヤハーネス用固定具。
【請求項6】
前記係合部及び前記挿入孔は、それぞれ複数設けられている、
請求項5に記載のワイヤハーネス用固定具。
【請求項7】
前記被係合部は、前記係合部が挿入される挿入孔を有し、
当該被係合部は、前記第1保持部材に設けられている、
請求項4に記載のワイヤハーネス用固定具。
【請求項8】
前記突出部は、前記挿入孔に対する挿入方向に沿った方向に弾性変形可能な板状をなしている、
請求項5に記載のワイヤハーネス用固定具。
【請求項9】
前記突出部は、球状または楕円体状をなしている、
請求項5に記載のワイヤハーネス用固定具。
【請求項10】
前記突出部は、前記柱部に一体形成されている、
請求項5に記載のワイヤハーネス用固定具。
【請求項11】
前記突出部は、前記柱部とは別体で構成されている、
請求項5に記載のワイヤハーネス用固定具。
【請求項12】
前記第1保持部材は、取付対象に固定される固定部と、前記第1電線部材を保持する電線保持部と、を有し、
前記電線保持部は、前記第1電線部材の外周を囲むバンド部と、前記バンド部が係止されるロック部と、を有し、
前記第1保持部材において、前記係合部または前記被係合部は、前記ロック部と前記固定部との間に設けられている、
請求項4に記載のワイヤハーネス用固定具。
【請求項13】
前記第1保持部材は、前記第1電線部材が有する電線束を結束する結束部材である、
請求項1に記載のワイヤハーネス用固定具。
【請求項14】
前記結束部材は、前記電線束の外周に巻回されている粘着テープである、
請求項13に記載のワイヤハーネス用固定具。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のワイヤハーネス用固定具と、
前記ワイヤハーネス用固定具の前記第1保持部材に保持される第1電線部材と、
前記ワイヤハーネス用固定具の前記第2保持部材に保持される第2電線部材と、
を備えている、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネス用固定具及びワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のワイヤハーネス用固定具は、車体パネルなどに固定される固定部と、電線部材を保持する保持部とを備える。この固定具により、電線部材が車体パネルに沿って配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に必要とされる電線部材の種類や数などの構成は、車両のグレードによる装備の差異や選択されるオプション品の有無などによって異なる。このため、本発明者は、電線部材の構成を如何にして容易に変更できるかを検討していた。
【0005】
本開示の目的は、電線部材の構成を容易に変更可能にしたワイヤハーネス用固定具及びワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のワイヤハーネス用固定具は、第1電線部材を保持する第1保持部材と、第2電線部材を保持する第2保持部材と、を備え、前記第2保持部材は、前記第1保持部材に対して着脱可能に構成されている。
【0007】
また、本開示のワイヤハーネスは、上記のワイヤハーネス用固定具と、前記ワイヤハーネス用固定具の前記第1保持部材に保持される第1電線部材と、前記ワイヤハーネス用固定具の前記第2保持部材に保持される第2電線部材と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本開示のワイヤハーネス用固定具及びワイヤハーネスは、電線部材の構成を容易に変更可能にする効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態におけるワイヤハーネスの斜視図である。
【
図2】
図2は、同形態におけるワイヤハーネスの模式図である。
【
図3】
図3は、同形態におけるワイヤハーネス用固定具の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、同形態における第2保持部材の模式斜視図である。
【
図5】
図5は、同形態における第2保持部材の模式斜視図である。
【
図6】
図6は、同形態におけるワイヤハーネスの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のワイヤハーネス用固定具は、
[1]第1電線部材を保持する第1保持部材と、第2電線部材を保持する第2保持部材と、を備え、前記第2保持部材は、前記第1保持部材に対して着脱可能に構成されている。
【0011】
この構成によれば、対象物に固定された第1保持部材から第2保持部材及び第2電線部材を取り外した後、例えば新たな第2電線部材を保持しつつ第2保持部材を第1保持部材に固定することが可能となる。また、例えば、第1電線部材を標準グレードの電線部材とし、第2電線部材をオプション機能に対応する電線部材とした場合、第2保持部材の着脱によってオプションの有無に対応可能となる。このように、上記のワイヤハーネス用固定具によれば、電線部材の構成を容易に変更することが可能となる。
【0012】
[2]上記[1]において、前記第1保持部材は、取付対象に固定される固定部と、前記第1電線部材を保持する電線保持部と、を有していてもよい。
この構成によれば、取付対象に固定されている第1保持部材に対して第2保持部材を着脱することが可能となる。
【0013】
[3]上記[2]において、前記電線保持部は、前記固定部に対して着脱不能に構成されていてもよい。
この構成によれば、電線保持部が固定部に対して着脱不能とされた第1保持部材に対して第2保持部材を着脱することが可能となる。
【0014】
[4]上記[1]から[3]のいずれかにおいて、前記第1保持部材及び前記第2保持部材の一方は、係合部を有し、前記第1保持部材及び前記第2保持部材の他方は、前記係合部が係合される被係合部を有し、前記第2保持部材は、前記係合部と前記被係合部との係合によって前記第1保持部材に固定されていてもよい。
【0015】
この構成によれば、係合部と被係合部との係合によって第2保持部材を第1保持部材に着脱可能に構成することが可能となる。
[5]上記[4]において、前記被係合部は、挿入孔を有し、前記係合部は、前記挿入孔に挿入される柱部と、前記柱部から突出して前記被係合部に対して反挿入方向に係止される突出部と、を有していてもよい。
【0016】
この構成によれば、被係合部に対して係合部を着脱可能に構成することが可能となる。
[6]上記[5]において、前記係合部及び前記挿入孔は、それぞれ複数設けられていてもよい。
【0017】
この構成によれば、複数組の係合部及び被係合部によって、第2保持部材を第1保持部材に強固に固定することが可能となる。
[7]上記[4]から[6]のいずれかにおいて、前記被係合部は、前記係合部が挿入される挿入孔を有し、当該被係合部は、前記第1保持部材に設けられていてもよい。
【0018】
この構成によれば、第2保持部材が取り付けられていない状態で第1保持部材を使用するときに、被係合部が周辺部品と干渉することを回避可能となる。
[8]上記[5]から[7]のいずれかにおいて、前記突出部は、前記挿入孔に対する挿入方向に沿った方向に弾性変形可能な板状をなしていてもよい。
【0019】
この構成によれば、突出部を含む係合部を被係合部に対して好適に着脱可能となる。
[9]上記[5]から[7]のいずれかにおいて、前記突出部は、球状または楕円体状をなしていてもよい。
【0020】
この構成によれば、突出部を含む係合部を被係合部に対して好適に着脱可能となる。
[10]上記[5]から[9]のいずれかにおいて、前記突出部は、前記柱部に一体形成されていてもよい。
【0021】
この構成によれば、被係合部に対する突出部の係止強度を向上させることが可能となる。
[11]上記[5]から[9]のいずれかにおいて、前記突出部は、前記柱部とは別体で構成されていてもよい。
【0022】
この構成によれば、突出部を含む係合部の成形性を向上させることが可能となる。
[12]上記[4]から[11]のいずれかにおいて、前記第1保持部材は、取付対象に固定される固定部と、前記第1電線部材を保持する電線保持部と、を有し、前記電線保持部は、前記第1電線部材の外周を囲むバンド部と、前記バンド部が係止されるロック部と、を有し、前記第1保持部材において、前記係合部または前記被係合部は、前記ロック部と前記固定部との間に設けられていてもよい。
【0023】
この構成によれば、第1保持部材において、係合部または被係合部を好適に構成することが可能となる。
[13]上記[1]において、前記第1保持部材は、前記第1電線部材が有する電線束を結束する結束部材であってもよい。
【0024】
この構成によれば、結束部材に対して第2保持部材を着脱することが可能となる。
[14]上記[13]において、前記結束部材は、前記電線束の外周に巻回されている粘着テープであってもよい。
【0025】
この構成によれば、粘着テープに対して第2保持部材を着脱することが可能となる。
[15]また、本開示のワイヤハーネスは、上記[1]から[14]のいずれかのワイヤハーネス用固定具と、前記ワイヤハーネス用固定具の前記第1保持部材に保持される第1電線部材と、前記ワイヤハーネス用固定具の前記第2保持部材に保持される第2電線部材と、を備えている。
【0026】
この構成によれば、上記[1]のワイヤハーネス用固定具と同様の効果を得ることができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネス用固定具及びワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における「平行」や「垂直」は、厳密に平行や垂直の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね平行や垂直の場合も含まれる。
【0027】
図1に示すように、本実施形態のワイヤハーネス10は、第1電線部材11と、第2電線部材12と、ワイヤハーネス用固定具13とを備えている。ワイヤハーネス用固定具13は、第1保持部材20と、第2保持部材30とを有している。第1電線部材11は、第1保持部材20に保持される。第2電線部材12は、第2保持部材30に保持される。第2保持部材30は、第1保持部材20に対して着脱可能に構成されている。
【0028】
第1電線部材11及び第2電線部材12の各々は、例えば、複数の電線の束である電線束を含んでいる。また、第1電線部材11及び第2電線部材12の各々は、前記電線束の外周を覆う筒状の外装部材を含む構成であってもよい。
【0029】
(第1保持部材20の構成)
図2に示すように、第1保持部材20は、取付対象としての車体パネルPに固定される固定部21と、第1電線部材11を保持する第1電線保持部22と、被係合部23と、を有している。第1保持部材20は、例えば合成樹脂にて形成されている。第1保持部材20は、例えば、固定部21、第1電線保持部22及び被係合部23が一体に形成された射出成形品である。すなわち、第1電線保持部22は、固定部21に対して着脱不能に構成されている。
【0030】
固定部21は、例えば、車体パネルPに貫通形成された取付孔Paに挿入されて固定される。固定部21は、例えば、一対の突片21aと鍔部21bとを備えている。鍔部21bは、例えば、吸盤状の部位である。固定部21は、各突片21aと鍔部21bとによって車体パネルPを挟んでいる。これにより、固定部21が車体パネルPに固定される。
【0031】
図1及び
図2に示すように、第1電線保持部22は、第1電線部材11の外周を囲むバンド部24と、バンド部24が係止されるロック部25とを有している。ロック部25は、バンド部24の長さ方向の一端に形成されている。バンド部24は、第1電線部材11の周囲に巻き付けられるとともに、バンド部24の先端がロック部25に挿入されて係止されている。このように、バンド部24とロック部25とによって第1電線部材11が保持される。
【0032】
(被係合部23の構成)
図2及び
図3に示すように、被係合部23は、ロック部25と固定部21との間に設けられている。被係合部23は、例えば、ロック部25及び鍔部21bにそれぞれ繋がっている。被係合部23は、挿入孔26を有する壁部27を備えている。挿入孔26は、壁部27に例えば2つ設けられている。なお、図面において、X軸は、第1電線部材11の長さ方向に沿った軸である。Y軸は、X軸に対して垂直、かつ、車体パネルPの表面に対して平行な軸である。また、Z軸は、第1保持部材20の高さ方向に沿った軸であって、X軸及びY軸のそれぞれに対して垂直な軸である。例えば、壁部27はY軸に対して垂直な壁であり、挿入孔26はY軸に沿って壁部27を貫通している。
【0033】
(第2保持部材30の構成)
第2保持部材30は、第2電線部材12を保持する第2電線保持部31と、被係合部23に係合される係合部32とを備えている。第2保持部材30は、例えば合成樹脂にて形成されている。第2保持部材30は、例えば、第2電線保持部31及び係合部32が一体に形成された射出成形品である。なお、係合部32は、例えば2つ設けられている。係合部32は、第1保持部材20の被係合部23に対して着脱可能に構成されている。
【0034】
図1及び
図2に示すように、第2電線保持部31は、第2電線部材12の外周を囲むバンド部33と、バンド部33が係止されるロック部34とを有している。ロック部34は、バンド部33の長さ方向の一端に形成されている。バンド部33は、第2電線部材12の周囲に巻き付けられるとともに、バンド部33の先端がロック部34に挿入されて係止されている。このように、バンド部33とロック部34とによって第2電線部材12が保持される。
【0035】
(係合部32の構成)
図2及び
図3に示すように、係合部32は、挿入孔26に挿入される柱部35と、柱部35から突出する突出部36とを有している。柱部35は、例えば、ロック部34に一体形成されたベース部37からY軸に沿って延出している。突出部36は、例えば、柱部35の軸直交方向に突出している。突出部36は、例えば2つ設けられている。また、突出部36は、例えば、柱部35に一体形成されている。
【0036】
突出部36は、例えば、挿入孔26に対する挿入方向Dに沿った方向に弾性変形可能な板状をなしている。なお、挿入孔26に対する挿入方向Dは、Y軸に沿った方向である。突出部36は、挿入方向Dに沿った方向に撓むように、挿入方向Dに対して垂直または交差する板状をなす。また、突出部36の挿入方向Dの板厚は、挿入方向Dに沿った方向に好適に撓むように薄く形成されている。
【0037】
係合部32は、挿入孔26に挿入される。係合部32を挿入孔26に挿入する際、突出部36は撓みながら挿入孔26を通る。そして、突出部36は、挿入孔26を通り抜けた後、弾性的に形状復帰する。これにより、突出部36は、被係合部23の壁部27に対して反挿入方向に係止される。なお、反挿入方向は、挿入方向Dの反対向きの方向であって、Y軸に沿った方向である。第2保持部材30は、係合部32と被係合部23の壁部27との係合によって第1保持部材20に固定される。
【0038】
本実施形態の作用について説明する。
第2電線部材12を保持する第2保持部材30は、第1電線部材11を保持する第1保持部材20に対して着脱可能である。したがって、第1保持部材20を車体パネルPから取り外すことなく、第2電線部材12を第1保持部材20から取り外すことが可能である。また、車体パネルPに固定されている第1保持部材20に対して第2保持部材30を装着可能であるため、第2電線部材12の交換を容易に行うことが可能である。
【0039】
本実施形態の効果について説明する。
(1)第2電線部材12を保持する第2保持部材30は、第1電線部材11を保持する第1保持部材20に対して着脱可能に構成されている。この構成によれば、例えば、車体パネルPに固定された第1保持部材20から第2保持部材30及び第2電線部材12を取り外した後、仕様が異なる別の第2電線部材12を保持する第2保持部材30を新たに第1保持部材20に固定することが可能となる。また、例えば、第1電線部材11を標準グレードの電線部材とし、第2電線部材12をオプション機能に対応する電線部材とした場合、第2保持部材30の着脱によってオプションの有無に対応可能となる。また、第1保持部材20から取り外した第2保持部材30及び第2電線部材12を、別の車両においてリユースすることが可能となる。このように、ワイヤハーネス用固定具13によれば、車両に搭載する電線部材の構成を容易に変更することが可能となる。
【0040】
(2)第1保持部材20は、取付対象としての車体パネルPに固定される固定部21と、第1電線部材11を保持する第1電線保持部22と、を有している。この構成によれば、車体パネルPに固定されている第1保持部材20に対して第2保持部材30を着脱することが可能となる。
【0041】
(3)第1電線保持部22は、固定部21に対して着脱不能に構成されている。この構成によれば、第1電線保持部22が固定部21に対して着脱不能とされた第1保持部材20に対して第2保持部材30を着脱することが可能となる。
【0042】
(4)第2保持部材30は、係合部32と被係合部23との係合によって第1保持部材20に固定される。この構成によれば、係合部32と被係合部23とによって第2保持部材30を第1保持部材20に着脱可能に構成することが可能となる。
【0043】
(5)被係合部23は、挿入孔26を有している。係合部32は、挿入孔26に挿入される柱部35と、柱部35から突出して被係合部23に対して反挿入方向に係止される突出部36と、を有している。この構成によれば、被係合部23に対して係合部32を着脱可能に構成することが可能となる。
【0044】
(6)係合部32及び挿入孔26は、それぞれ複数設けられている。この構成によれば、複数組の係合部32及び挿入孔26によって、第2保持部材30を第1保持部材20に強固に固定することが可能となる。
【0045】
(7)第2保持部材30は、係合部32を有している。そして、第1保持部材20は、係合部32が係合される被係合部23を有している。第1保持部材20に設けられた被係合部23が挿入孔26を有する構成であると、第2保持部材30が取り付けられていない状態で第1保持部材20を使用するときに、被係合部23が周辺部品と干渉することを回避可能となる。
【0046】
(8)突出部36は、挿入孔26に対する挿入方向Dに沿った方向に弾性変形可能な板状をなしている。この構成によれば、挿入孔26に係合部32を挿入する際または引き抜く際に、突出部36が壁部27に当たって弾性変形する。これにより、挿入孔26に対する係合部32の抜き差しに必要な力を小さくすることが可能となり、その結果、突出部36を含む係合部32を被係合部23に対して好適に着脱可能となる。
【0047】
(9)突出部36は、柱部35に一体形成されている。この構成によれば、被係合部23に対する突出部36の係止強度を向上させることが可能となる。
(10)1つの係合部32において複数の突出部36が設けられている。このため、被係合部23からの係合部32の脱落を抑制することが可能となる。
【0048】
(11)第1電線保持部22は、第1電線部材11の外周を囲むバンド部24と、バンド部24が係止されるロック部25と、を有している。そして、第1保持部材20において、被係合部23は、ロック部25と固定部21との間に設けられている。この構成によれば、第1保持部材20において、係合部32を好適に構成することが可能となる。
【0049】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態の係合部32において、突出部36を例えば
図4に示す突出部41や
図5に示す突出部42に変更可能である。各突出部41,42は、球状または楕円体状をなしている。すなわち、各突出部41,42の表面は球面をなしている。このような構成によれば、突出部41または突出部42を含む係合部32を被係合部23に対して好適に着脱可能となる。なお、
図4に示すように、突出部41は、柱部35に一体形成されている。このため、被係合部23に対する突出部41の係止強度を向上させることが可能となる。
【0050】
図5に示すように、突出部42は、柱部35とは別体で構成されている。詳しくは、係合部32において、ベース部37に一体形成されるのは柱部35のみである。そして、柱部35とは別に成形した突出部42を柱部35に装着することで、
図5に示す係合部32が形成される。この構成によれば、係合部32の成形性を向上させることが可能となる。
【0051】
・被係合部23において、例えば、壁部27がZ軸に対して垂直な壁であり、挿入孔26がZ軸に沿って壁部27を貫通する構成であってもよい。また、例えば、壁部27がX軸に対して垂直な壁であり、挿入孔26がX軸に沿って壁部27を貫通する構成であってもよい。また、例えば、壁部27がZ軸に対して傾斜する壁であり、挿入孔26がZ軸に対して斜め方向に開口する構成であってもよい。
【0052】
・挿入孔26の数は上記実施形態に限らず、1つまたは3つ以上であってもよい。
・係合部32の数は上記実施形態に限らず、1つまたは3つ以上であってもよい。
・1つの係合部32において設けられる突出部36の数は上記実施形態に限らず、1つまたは3つ以上であってもよい。
【0053】
・第1保持部材20が係合部32を有し、第2保持部材30が被係合部23を有する構成であってもよい。
・第1電線保持部22及び第2電線保持部31の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、構成に応じて適宜変更してもよい。また、固定部21の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、構成に応じて適宜変更してもよい。
【0054】
・第1保持部材20を
図6に示す結束部材51に変更可能である。結束部材51は、第1電線部材11が有する電線束11aを結束する部材である。結束部材51は、例えば、電線束11aの外周に巻回されている粘着テープである。結束部材51の形成材料としては、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂材料を用いることができる。
【0055】
第2保持部材30の柱部35は、結束部材51に形成された貫通孔52を通っている。貫通孔52は、例えば、結束部材51を柱部35で突き破ることにより形成されている。係合部32の突出部36は、貫通孔52を通り抜けた後、弾性的に形状復帰する。これにより、突出部36が結束部材51の内周面に係止される。第2保持部材30は、突出部36が結束部材51に係止されることにより結束部材51に保持される。この構成によれば、電線束11aを結束する結束部材51に対して第2保持部材30を着脱することが可能となる。
【0056】
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0057】
10 ワイヤハーネス
11 第1電線部材
11a 電線束
12 第2電線部材
13 ワイヤハーネス用固定具
20 第1保持部材
21 固定部
21a 突片
21b 鍔部
22 第1電線保持部(電線保持部)
23 被係合部
24 バンド部
25 ロック部
26 挿入孔
27 壁部
30 第2保持部材
31 第2電線保持部
32 係合部
33 バンド部
34 ロック部
35 柱部
36 突出部
37 ベース部
41,42 突出部
51 結束部材(第1保持部材、粘着テープ)
52 貫通孔
D 挿入方向
P 車体パネル(取付対象)
Pa 取付孔