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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167709
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】包装袋及び物品入り包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/06 20060101AFI20231116BHJP
   B65D 33/04 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B65D77/06 A
B65D33/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079087
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大竹 洋平
(72)【発明者】
【氏名】藤田 実智昭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅安
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AA11
3E064AB13
3E064AB14
3E064BA05
3E064BB03
3E064EA02
3E064HH01
3E064HM03
3E067AA03
3E067AA04
3E067AB99
3E067BA06C
3E067BA09C
3E067BA12B
3E067BB01C
3E067BB14B
3E067BB15C
3E067BB16C
3E067BB25C
3E067BB26C
3E067CA04
3E067CA07
3E067CA24
3E067EA06
3E067ED03
3E067EE02
3E067FA04
3E067FB07
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】物品の集積安定性、リサイクル性及びリデュース性の全てを同時に満足することが可能な包装袋及び物品入り包装袋を提供すること。
【解決手段】本発明に係る包装袋1は、紙基材を含むシート材Sからなり、可撓性を有する物品Gを収容空間SSに収容した状態で、胴部20と、底面部10と、天面部30とが形成されるように構成されている。胴部20は、正面部21と、正面部21に対向する背面部と、正面部21及び背面部の各両端部をそれぞれ連結する一対の側面部23,23とを有する。底面部10は、胴部20の下端部に連接される。天面部30は、胴部20の上端開口部を開放又は閉塞する。一対の側面部23,23の少なくとも一方と底面部10との間には、収容空間SSに収容された物品Gの一部が露出する切込み部40が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材を含むシート材からなり、可撓性を有する物品を収容可能な収容空間が形成される包装袋であって、
前記収容空間に前記物品を収容した状態で、正面部と該正面部に対向する背面部と前記正面部及び前記背面部の各両端部をそれぞれ連結する一対の側面部とを有する胴部と、該胴部の下端部に連接される底面部と、前記胴部の上端開口部を開放又は閉塞する天面部とが形成されるように構成され、
一対の前記側面部の少なくとも一方と前記底面部との間に、前記収容空間に収容された前記物品の一部が露出する切込み部が形成されている、包装袋。
【請求項2】
一対の前記側面部の少なくとも一方と前記天面部との間に、該天面部によって前記上端開口部が閉塞された状態で、前記収容空間に収容された前記物品の一部が露出する第2切込み部が形成されている、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記正面部及び前記背面部の少なくとも何れか一方に、複数の孔部が形成されている、請求項1又は2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記物品の外面に、該物品に関する情報又は該物品の提供者を表す情報を含む表示情報が付されており、
前記表示情報は、前記収容空間に前記物品が収容されている状態で、複数の前記孔部を介して外部から視認することにより識別可能である、請求項3に記載の包装袋。
【請求項5】
前記シート材の坪量は、40g/m以上である、請求項1~4の何れか1項に記載の包装袋。
【請求項6】
前記底面部は、矩形形状を有し、
前記物品は、前記収容空間に収容する収容方向と交差する方向に重ね合わせた状態で、前記収容空間に複数収容される、請求項1~5の何れか1項に記載の包装袋。
【請求項7】
前記物品は、軟包装容器である、請求項6に記載の包装袋。
【請求項8】
前記物品の前記収容空間に占める占有率は、70%以上である、請求項6又は7に記載の包装袋。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の前記包装袋と、
前記包装袋に積層させた状態で収容されている複数の前記物品と、
を有する、物品入り包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋及び物品入り包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、柔軟材等の内用液を収容する軟包装容器等の物品を包装する包装体が知られている。このような包装体として、例えば、特許文献1や特許文献2に記載のものがある。
【0003】
特許文献1に記載の包装体は、角筒状に形成された紙製の包装袋であって、4つの側面の長手方向の大部分にそれぞれ窓孔を有したものである。このような包装体によれば、包装体に収容された物品を当該包装体の外部から確認することができ、使用後は古紙としてリサイクルすることが可能である。
【0004】
特許文献2に記載の包装体は、板紙により形成された包装箱の底面部に、収容された物品を支持する支持片が形成されたものである。このような包装体によれば、支持片によって、収容された物品の移動を防止することが可能なため、当該物品の破損・損傷を防ぐことができ、使用後は、特許文献1と同様にリサイクルすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭58-034341号公報
【特許文献2】登録実用新案第3004416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の包装体は、角筒状に形成されているため、新聞紙等の平面状の物品を収容する場合、内部の収容空間に物品を密に集積することができるが、軟包装容器等の他の形状の物品を収容する場合、収容空間に無駄な空きスペースが生じるため、物品を効率良く集積することができないといった問題が生じる。斯かる場合、収容空間内で物品が移動し易くなるため、当該物品が破損・損傷するおそれが生じる。しかも、収容される物品の収容空間に占める割合が小さいため、包装体を廃棄する際、その廃棄量が必然的に多くなってしまい、近年のリデュース性の要求に反する結果を招く。
【0007】
また、特許文献2に記載の包装体は、支持片によって収容された物品を個別に支持するように構成されているため、収容空間に無駄な空きスペースが生じ易いものである。このため、特許文献2に記載の包装体は、収容空間に収容された物品の破損・損傷を防止することができるが、物品の集積性及びリデュース性に欠けるといった問題があった。
【0008】
このように、特許文献1及び特許文献2に記載の包装体は、物品の集積性やリデュース性を考慮したものとはいい難く、未だ改善の余地があるものといえる。
【0009】
本発明は、上述した従来技術が有する欠点を解消し得る、包装袋及び物品入り包装袋を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、紙基材を含むシート材からなり、可撓性を有する物品を収容可能な収容空間が形成される包装袋に関する。
前記包装袋は、前記収容空間に前記物品を収容した状態で、正面部と該正面部に対向する背面部と前記正面部及び前記背面部の各両端部をそれぞれ連結する一対の側面部とを有する胴部と、該胴部の下端部に連接される底面部と、前記胴部の上端開口部を開放又は閉塞する天面部とが形成されるように構成されていることが好ましい。
一対の前記側面部の少なくとも一方と前記底面部との間に、前記収容空間に収容された前記物品の一部が露出する切込み部が形成されていることが好ましい。
【0011】
本発明は、物品入り包装袋に関する。
前記物品入り包装袋は、前記包装袋と、該包装袋に積層させた状態で収容されている複数の前記物品と、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の包装袋によれば、簡易な構成でありながらも、物品の集積安定性、リサイクル性及びリデュース性の全てを同時に満足することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係る包装袋に物品を収容した状態を示す正面模式図である。
図2図2は、図1の包装体の展開模式図である。
図3図3は、包装袋に収容された物品の状態を説明するための正面模式図である。
図4図4は、図1の包装袋の斜視模式図である。
図5図5は、図4の包装体を別の角度から視たときの斜視模式図である。
図6図6は、図1の包装体の背面模式図である。
図7図7は、包装袋に形成された孔部を説明するための平面模式図であり、(a)は図1の包装袋に形成される孔部を示す図、(b)は変形例に係る孔部を示す図である。
図8図8は、包装袋に形成された孔部を説明するための要部拡大平面模式図であり、(a)は孔部の好ましい一例を示す図、(b)及び(c)は孔部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の包装袋1の正面模式図、図2は、包装袋1の展開模式図である。
図1及び図2に示すように、包装袋1は、紙基材を含むシート材Sからなり、内部(以下、「収容空間SS」という)に物品Gを収容することによって、底面部10と、胴部20と、天面部30とが形成されるものである。包装袋1に形成される底面部10、胴部20及び天面部30については後述する。なお、紙基材を含むシート材Sは、高分子基材を積層したシートであってもよい。
【0015】
シート材Sは、例えば、晒クラフト紙、片艶晒クラフト紙などのクラフト紙、クラフト紙に塗料を塗工した塗工紙、箔用原紙、上質紙、レーヨン紙、純白ロール紙等の紙基材を用いることができる。
また、シート材Sは、前述した紙基材に、クレープ加工等を施したものであってもよく、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリカーボネート系、ポリアセタール系の樹脂フィルムや、セルロース系フィルムを積層させることも可能である。例えば、ポリエステル系の樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、非晶性ポリエチレンテレフタレート(非晶性PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)などを用いてもよく、ポリアミド系の樹脂フィルムとしては、延伸ナイロン(ONy)、未延伸ナイロン(CNy)、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、MXD6などを用いることができる。また、ポリプロピレン系の樹脂フィルムとしては、延伸ポリプロピレン(OPP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、アイソタクチックPP、シンジオタクチックPP、アタクチックPP、ランダムPP、ブロックPPなどのポリプロピレン系材料などを用いてもよく、ポリエチレン系の樹脂フィルムとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)などを用いることが可能である。
このように、シート材Sは、少なくとも紙基材が含まれていればよく、紙基材のみならず、当該紙基材に樹脂フィルムが積層されたものなどを広く含むものである。したがって、本実施形態における包装袋1は、紙基材を含むシート材Sにより形成されているため、原料として再利用する等、リサイクル性の高いものとすることができ、また樹脂材料の使用量の削減等のリデュース性の観点でも有利である。
シート材Sは、パルプ繊維等のセルロース系繊維の含有率が、好ましくは50%質量以上、より好ましくは70%質量以上、更に好ましくは90%質量以上である。
【0016】
シート材Sの坪量は、包装袋1の強度を確保しつつ、収容空間SSに物品Gを収容した状態で皺の発生を極力抑える等の観点から、好ましくは、40g/m以上である。この場合、シート材Sとして、坪量が、例えば、100g/m以上のものを用いた場合、包装袋1の天面部30等に取手を取り付けることもできる。
なお、前述したシート材Sの坪量は、紙基材に樹脂フィルム等の他の部材が積層されている場合、紙基材の坪量と他の部材の坪量の合計値であることを意味している。例えば、坪量20g/mの紙基材に、坪量20g/mの樹脂フィルムが積層されている場合、シート材S全体の坪量は、40g/mとなる。
【0017】
包装袋1は、図2に示すように、予め定めたサイズ、例えば、縦幅Hが400mm、横幅Wが730mmのサイズにカットされた矩形状のシート材Sを用いることにより作成されるようになっている。
以下、このようなシート材Sを用いた包装袋1の作成手順について図2を参照しつつ説明する。
以下において、説明の便宜上、図2に示すシート材Sにおける紙面上側の辺を上辺Su、紙面下側の辺を下辺Sb、紙面左側の辺を左片Sl、紙面左側の辺を右片Srということとする。また、以下の説明における左右方向は、図2における紙面上の左右方向を意味する。
【0018】
包装袋1の作成は、先ず、矩形状にカットされたシートSに、切込み部40及び第2切込み部50を形成する作業を行うことから始まる。
本実施形態において、切込み部40及び第2切込み部50は、何れも、左右一対ずつ設けられ、シート材Sを三角状にカットすることにより形成される。
【0019】
一対の切込み部40,40は、シートSの下辺Sb側において、左右方向に所定間隔を空けて形成される。例えば、シート材Sが、前述した縦幅Hが400mm、横幅Wが730mmのサイズであれば、切込み部40は、底辺が180mm(図2の「横幅W1」)、高さ120mm(図2の「縦幅H1」)の二等辺三角形の形状に形成することができる。この場合、一方の切込み部40は、左辺Slから95mm(図2の「横幅W2」)離れた位置を始点として右方向に形成することができ、他方の切込み部40は、右辺Srから95mm(図2の「横幅W3」)離れた位置を始点として左方向に形成することが可能である。
【0020】
一方、一対の第2切込み部50,50は、シートSの上辺Su側に、左右方向に所定間隔を空けて形成される。例えば、シート材Sが、前述した縦幅Hが400mm、横幅Wが730mmのサイズであれば、第2切込み部50は、底辺が180mm(図2の「横幅W1」)、高さ140mm(図2の「縦幅H2」)の二等辺三角形の形状に形成することができる。この場合、第2切込み部50,50は、切込み部40,40と線対称となる位置に形成することが可能である。すなわち、一方の第2切込み部50は、左辺Slから95mm(図2の「横幅W2」)離れた位置を始点として右方向に形成することができ、他方の第2切込み部50は、右辺Srから95mm(図2の「横幅W3」)離れた位置を始点として左方向に形成することが可能である。
【0021】
なお、前述した例では、切込み部40及び第2切込み部50を互いに略線対称となる位置に形成したが、それ以外の位置に形成することも可能である。また、前述した例では、切込み部40及び第2切込み部50を二等辺三角形の形状に形成したが、他の形状、例えば、正三角形、辺の長さが異なる三角形、四角形等の三角形以外の多角形、円形、楕円形等の形状に形成することができる。
【0022】
包装袋1は、前述した切込み部40及び第2切込み部50を形成した後、(1)シート材Sの右辺Sr及び左辺Slを互いに重ね合わせた状態で、糊やテープ等の貼着部材を用いて貼り合わせる、(2)下辺Sbを構成する一対の下端部Sb1,Sb2同士を、前述した貼着部材を用いて連結する、といった作業を行うことにより袋状に形成されるようになっている。
前述したように、シート材Sのサイズが、縦幅Hが400mm、横幅Wが730mmであれば、右辺Sr及び左辺Slを貼り合わせる、各貼り合わせ部Sp,Spの横幅を、例えば、15mmとすることができる。
【0023】
なお、包装袋1は、前述した手順で作成した後、図2に示す一対の折り込み線L,Lの位置で折り曲げて、平面状にすることができる。このようにすれば、包装袋1を複数作成等した場合、積み重ねることにより、コンパクトに収納することが可能になる。
なお、前述した包装袋1の作成例では、切込み部40及び第2切込み部50を形成した後、右辺Sr及び左辺Sl、下端部Se1,Se2を貼り合わせて袋状に形成したが、これとは逆の手順、すなわち、袋状に形成した後、切込み部40及び第2切込み部50を形成することも可能である。
【0024】
ここで、包装袋1に収容される物品Gの一例について図3を参照しつつ説明する。
図3に示すように、本実施形態に係る物品Gは、正面シート、背面シート及び底部シートの各部を接合することによって、内部に内容液を収容可能な収容部が形成される軟包装容器である。
【0025】
物品Gは、正面シート、背面シート及び底部シートが、樹脂フィルムからなり、底部にマチ部が形成されたスタンディングパウチ形状を有している。このように構成された物品Gは、外力が作用した際に、その外形が比較的容易に変形するようになっている。なお、物品Gには、内用液として、例えば、シャンプー、リンスヘアコンディショナー、液体洗剤、柔軟剤などの詰め替え用の液体等を収容することが可能である。
【0026】
物品Gの上端部には、肩部Gsが形成され、当該肩部Gsには、切断線等に沿って切断することによって注出口を生じさせる注出口形成部Gsが突設されている。また、物品Gの正面シートには、当該物品Gを識別することが可能な「商品名」等の文字からなる表示情報GIが印刷される。なお、ここでいう表示情報GIとは、ユーザ等が物品Gの「商品名」等の商品情報や、当該物品Gの販売元や製造元等の提供者情報を認識することが可能な情報であって、文字以外にも、図形、記号、又はこれらの結合により構成されたものを広く含む意味である。
【0027】
図1図3に示すように、本実施形態では、3つの物品Gが一部を互いに重ね合わせた状態(図3の状態)で、収容空間SSに収容されるようになっている。
包装袋1は、3つの物品Gをこの状態で収容空間SSに収容することによって、平面形状から、底面部10と、胴部20と、天面部30とが形成された略直方体形状に変形されるようになっている。なお、図2に示す一点鎖線は、本発明の理解を容易にするため、収容空間SSに、図3に示す複数の物品Gを収容した場合に形成される底面部10等の位置を示したものであり、他の形状等の物品を収容した場合には、その位置が変更され得るものである。
【0028】
底面部10は、図3に示す状態での3つの物品Gの底部側の奥行方向の幅と略同一寸法の奥行を有し、略矩形状に形成される。胴部20は、底面部10の奥行方向の正面側に連続する正面部21と、底面部10の奥行方向の背面側に連続し、正面部21と対向する背面部22と、正面部21及び背面部22の各両端部をそれぞれ連結する一対の側面部23,23とを有している。天面部30は、正面部21及び背面部22の上端部側からそれぞれ延在され、胴部20の上端開口部を開放又は閉塞する。
【0029】
シート材S(図2参照)に形成された切込み部40は、底面部10と側面部23との間に開口した状態で配置される。このため、本実施形態では、3つの物品Gのうちの両側に位置する各物品Gの底部側角部Gbeが、それぞれ、一対の切込み部40から突出して配置されるようになっている。
【0030】
例えば、切込み部40が形成されていない包装袋では、収容空間の下部における長手方向両側において、物品Gとの間に無駄な空きスペースが生じ易いため、皺が形成されたり、底面部の長手方向両端部が潰れるなどして、外観上の見栄えが悪くなりがちである。
これに対し、本実施形態に係る包装袋1では、底面部10と側面部23との間に切込み部40が形成されているため、このような事態が生じることがない。
【0031】
また、本実施形態では、物品Gの一部を切込み部40から突出させることで、当該物品Gを、収容空間SS内で保持することができる上、包装袋1の内面に密着させることが可能である。
このため、本実施形態では、収容空間SSに複数の物品Gを重ね合わせた状態(図3の状態)で収容した場合でも、物品Gの移動が、(1)切込み部40との篏合、及び(2)包装袋1の内面との間に生じる摩擦力によって規制されるため、その状態を安定して維持することが可能である。
したがって、本実施形態によれば、物品Gの破損・損傷といった事態が生じ難いのはもちろんのこと、物品Gの集積性の向上を図ることができる。
【0032】
また、本実施形態では、切込み部40を形成することによって、包装袋1に使用されるシートSの使用量を低減することが可能である。
したがって、本実施形態によれば、包装袋1を廃棄する際の廃棄量を確実に低減することが可能なため、リデュース性に富んだものとすることができる。これに加え、包装体1が、例えば、紙基材により形成されている場合、リサイクル性に優れたものとすることが可能である。
【0033】
前述したように、本実施形態に係る包装袋1は、紙基材を少なくとも含むシート材Sにより形成されているため、リサイクル性の高いものとすることが可能である。
【0034】
以上のように、本実施形態によれば、簡易な構成でありながらも、物品Gの集積安定性、リサイクル性及びリデュース性の全てを同時に満足することができる。
【0035】
さらに、本実施形態では、物品Gが、外力が作用した際に比較的容易に変形する軟包装容器である。
すなわち、本実施形態によれば、収容空間SSに複数の物品Gを重ね合わせた状態(図3の状態)で収容した場合、切込み部40に物品Gの一部を変形させた状態で篏合させることができる上、物品G同士を互いに密着させることが可能である。
このため、本実施形態では、物品G間に生じる摩擦力等によって、収容空間SS内での物品Gの移動を更に規制することができるため、物品Gの集積性をより向上させることが可能である。
【0036】
また、本実施形態では、物品Gが底部にマチ部が形成された軟包装容器であるため、当該マチ部を切込み部40に篏合させることによって、包装袋1の底面部10側に、これと同様なマチ部を形成することが可能である。
すなわち、本実施形態では、底面部10に載置された物品Gを直立した状態で収容することが可能なため、当該物品Gをより安定的に集積することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、収容空間SSに収容される物品Gとして、軟包装容器を用いたが、外力が作用した際に変形可能な物品、すなわち、可撓性を有する物品であれば、内用液を収容可能なペットボトル等の比較的硬質な容器、弾性変形可能なエラストマーにより形成された物品等の他の物品であってもよい。
【0038】
また、本実施形態では、スタンディングパウチ形状を有する物品Gを用いたが、収容空間SSに収容した際に切込み部40から突出させることが可能な物品であれば、収容空間SS内での物品の移動を規制等することができるため、他の形状であっても構わない。この点、本実施形態に係る包装袋1は、収納空間Sに収納される物品の形状の自由度が高いものといえる。
【0039】
図1図3及び図7(a)に示すように、本実施形態に係る包装袋1には、胴部20等の予め定められた領域(以下、「領域A」という)に、円状の孔部60が複数形成されている。
複数の孔部60は、収容空間SSに物品Gを収容した状態で、当該物品Gの外面に印刷された表示情報GIを、包装袋1の外部から視認できるようにするためのものである。
このため、領域Aは、収容空間SSに物品Gを収容した状態で、当該物品Gに印刷された表示情報GIと対応する位置に設定される。
例えば、物品Gが軟包装容器である場合(図3参照)で、且つシート材Sのサイズが、前述した縦幅Hが400mm、横幅Wが730mmのサイズであれば、領域Aは、シート材Sの正面部21に、縦幅80mm、横幅160mmの大きさに設定することができる。この場合、領域Aは、左辺Slから285mm(図2の「横幅W1」+「横幅W2」の長さ)離れた位置を始点として右方向に160mm、下辺Sbから120mm離れた位置(図2の「縦幅H1」の長さ)を始点として上方向に80mmの範囲に設定することが可能である。
【0040】
孔部60の径は、表示情報GIの視認性やシート材Sの強度を確保等する観点から、好ましくは、1mm以上20mm以下であり、より好ましくは4mm以上10mm以下である。なお、領域Aにおける孔部60の数や配置位置は、シート材Sに用いられる材質等に応じて適宜決定することが可能である。また、同様な観点から、領域Aに占める孔部60の開口面積率は、好ましくは、2%以上98%以下、より好ましくは、5%以上95%以下である。このように構成すれば、例えば、図8(a)に示すように、孔部60を介して、物品Gに印刷等される表示情報GIを確実に視認することが可能である。なお、図8(a)に示す例では、理解を容易にするため、物品Gに印刷等される表示情報GIを「1」、「2」、「3」としている。
【0041】
本実施形態では、孔部60を円状に形成したが、図7(b)に示すように、縦長のスリット状に形成することが可能である。この場合、スリット状の孔部160は、表示情報GIの視認性やシート材Sの強度を確保等する観点から、その幅が、好ましくは、1mm以上10以下、より好ましくは2mm以上4mm以下であり、各孔部160の間隔が、好ましくは、1mm以上20mm以下であり、より好ましくは、3mm以上10mm以下である。
【0042】
また、孔部は、例えば、図8(b)に示すように、「1」、「2」、「3」の表示情報GI全体を、ユーザ等が視認できる大きさに形成することもできる(「孔部260」参照)。
さらに、孔部は、表示情報GIに対応する形状に形成することも可能である。例えば、図8(c)に示すように、表示情報GIが「1」、「2」、「3」の数字であれば、孔部360の形状を、これを模した形状、すなわち、孔部361~孔部363のそれぞれを、「1」~「3」の数字を模した形状に形成することができる。この場合、シート材Sの強度を確保等する観点から、図8(c)に示す孔部362や孔部363のように、複数の孔部によって構成することも可能である。
【0043】
図1及び図4図6に示すように、本実施形態では、収容空間SSに物品Gが収容された後、一対の天面部30,30同士を接続等することで、胴部20の上端開口部が閉塞されるようになっている。
前述したように、包装袋1には、一対の第2切込み部50,50が形成されているため、一対の天面部30,30によって、胴部20の上端開口部が閉塞されると、物品Gの注出口形成部Gs及び上部側角部Gueが、第2切込み部50から突出するように配置されるようになっている。
【0044】
すなわち、本実施形態では、底面部10側と同様に、包装袋1の天面部30側においても、物品Gの一部を露出させることができるため、収容空間SS内で物品Gとの間に無駄な空きスペースが生じることを抑制することが可能である。
このため、本実施形態では、包装袋1の天面部30側において、皺が形成されたり、潰れるなどして、外観上の見栄えが悪くなるといった事態が生じることがない。
【0045】
また、本実施形態では、物品Gの注出口形成部Gs及び上部側角部Gueを、第2切込み部50に篏合させることができるため、収容空間SS内での物品Gの移動を更に規制することが可能である。その結果、本実施形態では、複数の物品Gをより安定的に集積等することができる。
【0046】
さらに、本実施形態では、第2切込み部50を形成することによって、包装袋1に使用されるシートSの使用量を更に低減することが可能である。
したがって、本実施形態によれば、包装袋1を廃棄する際の廃棄量を確実に低減することが可能なため、よりリデュース性の高いものとすることができる。
【0047】
なお、本実施形態では、第2切込み部50を2つ設けたが、収納空間Sに収納する物品の形状によっては、何れか一方を省略してもよく、また、第2切込み部50自体を省略することも可能である。
【0048】
胴部20の上端開口部の閉塞は、公知の手法、例えば、一対の天面部30,30を重ね合わせた状態で折り込み、その後、これをテープや糊等の貼着部材70を用いて背面部22に貼着することにより行うことが可能である(図6参照)。
この際、物品Gの上部側と包装袋1の内面との間に無駄な空きスペースが生じないようにするため、物品Gの上部側に近接した位置又は物品Gの上部と接触する位置で、胴部20の上端開口部を閉塞することが好ましい。これにより、物品Gの外面と包装袋1の内面とを更に密着させることができるので、物品Gをより安定的に集積等することが可能になる。
この際、物品Gの収容空間SSに占める占有率は、物品Gの集積安定性を図る観点等から、好ましくは70%以上である。
【0049】
なお、本実施形態では、包装袋1の底面部10側に、切込み部40を2つ形成したが、何れか一方を省略することが可能である。
また、本実施形態では、包装袋1に、孔部60又は孔部160を形成したが、これを省略することもできる。
さらに、本実施形態では、収容空間SSに物品Gを収容することによって、底面部10等が形成されるように構成したが、例えば、厚紙等を底面部10側に別途配置することにより、収容空間SSへの物品Gの収容前に底面部10等を形成することも可能である。
また、本実施形態では、一対の天面部30,30を設けたが、例えば、背面部22側の天面部30を省略することも可能である。
【0050】
以上、本発明を、その好ましい実施形態及び変形例等に基づき説明したが、本発明は、上述した実施態様及び変形例等に限定されるものではない。
【0051】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の装置及び方法を開示する。
<1>
紙基材を少なくとも含むシート材からなり、可撓性を有する物品を収容可能な収容空間が形成される包装袋であって、
前記収容空間に前記物品を収容した状態で、正面部と該正面部に対向する背面部と前記正面部及び前記背面部の各両端部をそれぞれ連結する一対の側面部とを有する胴部と、該胴部の下端部に連接される底面部と、前記胴部の上端開口部を開放又は閉塞する天面部とが形成されるように構成され、
一対の前記側面部の少なくとも一方と前記底面部との間に、前記収容空間に収容された前記物品の一部が露出する切込み部が形成されている、包装袋。
<2>
一対の前記側面部の少なくとも一方と前記天面部との間に、該天面部によって前記上端開口部が閉塞された状態で、前記収容空間に収容された前記物品の一部が露出する第2切込み部が形成されている、前記<1>に記載の包装袋。
<3>
前記正面部及び前記背面部の少なくとも何れか一方に、複数の孔部が形成されている、前記<1>又は<2>に記載の包装袋。
<4>
前記物品の外面には、該物品に関する情報又は該物品の提供者を表す情報を含む表示情報が付されており、
前記表示情報は、前記収容空間に前記物品が収容されている状態で、複数の前記孔部を介して外部から視認することにより識別可能である、前記<3>に記載の包装袋。
<5>
前記シート材の坪量は、40g/m以上である、前記<1>~<4>の何れか1に記載の包装袋。
<6>
前記底面部は、矩形形状を有し、
前記物品は、前記収容空間に収容する収容方向と交差する方向に重ね合わせた状態で、前記収容空間に複数収容される、前記<1>~<5>の何れか1に記載の包装袋。
<7>
前記物品は、軟包装容器である、前記<6>に記載の包装袋。
<8>
前記物品の前記収容空間に占める占有率は、70%以上である、前記<6>又は<7>に記載の包装袋。
<9>
前記<1>~<8>の何れか1に記載の前記包装袋と、
前記包装袋に積層させた状態で収容されている複数の前記物品と、
を有する、物品入り包装袋。
<10>
複数の前記物品が、前記収容空間に収容する収容方向と交差する方向に列をなして収納される、前記<9>に記載の物品入り包装袋。
【符号の説明】
【0052】
1 包装袋
10 底面部
20 胴部
21 正面部
22 背面部
23 側面部
30 天面部
40 切込み部
50 第2切込み部
60,160,260,360~363 孔部
70 貼着部材
SS 収容空間
S シート材
Su 上辺
Sb 下辺
Sb1,Sb2 下端部
Sl 左辺
Sr 右辺
Sp 貼り合わせ部
G 物品
Gr 肩部
Gs 注出口形成部
GI 表示情報
Gbe 底部側角部
Gue 上部側角部
A 領域
H,H1,H2 縦幅
W,W1~W3 横幅
L 折り込み線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8