IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラピステクノロジー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-レギュレータ回路 図1
  • 特開-レギュレータ回路 図2
  • 特開-レギュレータ回路 図3
  • 特開-レギュレータ回路 図4
  • 特開-レギュレータ回路 図5
  • 特開-レギュレータ回路 図6
  • 特開-レギュレータ回路 図7
  • 特開-レギュレータ回路 図8
  • 特開-レギュレータ回路 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167711
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】レギュレータ回路
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
G05F1/56 320S
G05F1/56 310F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079097
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤野 隆良
【テーマコード(参考)】
5H430
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430BB09
5H430BB11
5H430CC07
5H430EE04
5H430EE18
5H430FF02
5H430FF13
5H430GG08
5H430HH03
5H430HH05
5H430LA07
5H430LA13
5H430LA15
5H430LB06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】消費電力及び回路規模の増大を抑えて、過電流保護を行うレギュレータ回路を提供する。
【解決手段】レギュレータ回路200は、出力電圧VOUTを分圧した帰還電圧VFと基準電圧VREFとの差分を表す差分電圧VQを生成するオペアンプOP1と、差分電圧に対応した第1の電流I1を流す第1の電流路HV_MN0、MN3と、第1の電流路に接続されており、第1の電流をコピーした電流を出力電流Ioutとして出力端子t3に送出するカレントミラー回路と、出力電流の電流値を所定の所定値以下に制限する過電流保護回路202と、を含む。過電流保護回路は、第1の電流路に接続されており、所定値に対応した電流Ilimitを上限電流として自身のゲートで受けると共に第1の電流を自身のソースドレイン間に流す第1のトランジスタMN1を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧に基づき基準電圧に対応した電圧値を有する出力電圧を生成し出力端子から出力するレギュレータ回路であって、
前記電源電圧に基づき前記電源電圧より低い電圧値を有する低電源電圧を生成する電源回路と、
前記低電源電圧を受けて動作し、前記出力電圧を分圧した電圧と前記基準電圧との差分を表す差分電圧を生成するオペアンプと、
前記差分電圧に対応した第1の電流を流す第1の電流路と、
前記第1の電流をコピーした電流を出力電流として前記出力端子に送出するカレントミラー回路と、
前記出力電流の電流値を所定値以下に制限する過電流保護回路と、を含み、
前記過電流保護回路は、
前記第1の電流路に接続されており、前記所定値に対応した電流を上限電流として自身のゲートで受けると共に前記第1の電流を自身のソースドレイン間に流す第1のトランジスタを含むことを特徴とするレギュレータ回路。
【請求項2】
前記過電流保護回路は、
自身のゲート及びドレインが第1のノードを介して前記第1のトランジスタのゲートに接続されており、自身のソースが前記第1のトランジスタのソースに接続されている第2のトランジスタと、
前記低電源電圧に基づき前記上限電流を生成して前記第2のトランジスタのゲート及びドレインに流す第1の電流源と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のレギュレータ回路。
【請求項3】
前記出力端子は、前記出力電流が出力される第1の端子と、前記電源電圧が出力される第2の端子と、からなり、
前記第1の端子は、バイポーラトランジスタのベース端子を外付けする為の端子であり、
前記第2の端子は、前記出力電圧の供給を受ける負荷と共に前記バイポーラトランジスタのエミッタ端子を外付けする為の端子であることを特徴とする請求項1又は2に記載のレギュレータ回路。
【請求項4】
前記過電流保護回路は、
自身のゲート及びドレインが第1のノードを介して前記第1のトランジスタのゲートに接続されており、自身のソースが前記第1のトランジスタのソースに接続されている第2のトランジスタと、
前記上限電流を生成する第1の電流源と、
前記第1の電流が前記上限電流以下である場合には前記第1の電流に対応した電流を前記第2のトランジスタのゲート及びドレインに流す一方、前記第1の電流が前記上限電流より大きい場合には前記上限電流に対応した電流を前記第2のトランジスタのゲート及びドレインに流す上限制御回路と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のレギュレータ回路。
【請求項5】
前記上限制御回路は、
前記第1の電流をコピーした電流を帰還出力電流として送出する第1のカレントミラー回路と、
夫々のゲート同士が接続されており且つ夫々のソースで前記帰還出力電流を受ける一次側トランジスタ及び二次側トランジスタを有する第2のカレントミラー回路と、を含み、
前記一次側トランジスタのゲート及びドレインに前記第1の電流源が接続されており、
前記二次側トランジスタのドレインに前記第2のトランジスタのゲート及びドレインが接続されていることを特徴とする請求項4に記載のレギュレータ回路。
【請求項6】
小電流出力時の動作を安定化させる電流を生成し、前記第1のノードに流す第2の電流源を含むことを特徴とする請求項5に記載のレギュレータ回路。
【請求項7】
前記電源回路は、
前記電源電圧に基づき所定の定電流を生成しこれを第2のノードに送出する電流源と、
カソードが前記第2のノードに接続されており、アノードが接地ラインに接続されているツェナーダイオードと、
ゲートが前記第2のノードに接続されており、ドレインで前記電源電圧を受けることでソースから前記低電源電圧を出力するNチャネルトランジスタと、を有することを特徴とする請求項1、2又は4のいずれか1に記載のレギュレータ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レギュレータ回路、特に過電流保護機能を有するレギュレータ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧値一定の電源電圧を生成し、これを電子機器等の負荷に供給するレギュレータとして、過電流に伴う素子破壊等から内部回路を保護する保護機能を備えたレギュレータ回路が提案されている(例えば特許文献1の図10参照)。
【0003】
図1は、特許文献1に記載のレギュレータ回路800の一例を示す回路図である。
【0004】
図1に示すレギュレータ回路800は、電源電圧VDD1を受け、当該電源電圧VDD1を降圧した出力電圧VOUTを生成し、これを負荷14に供給する。レギュレータ回路800は、安定化電源回路1、参照電圧生成回路2、オペアンプ3、Pチャネル型のトランジスタ6、16、Nチャネル型のトランジスタ15、830、抵抗17及び18を含む。 更に、レギュレータ回路800は、Nチャネル型のトランジスタ19、20、電流源21及びNOTゲート22からなる過電流保護回路を含んでいる。
【0005】
安定化電源回路1は、参照電圧生成回路2、オペアンプ3及び上記した過電流保護回路を、電源電圧VDD1より低い低耐圧の素子で実現すべく設けられたものである。安定化電源回路1は、電源電圧VDD1を降圧した電源電圧VDD2を生成し、これを参照電圧生成回路2、オペアンプ3、電流源21、NOTゲート22及びトランジスタ830に供給する。
【0006】
参照電圧生成回路2は、電源電圧VDD2に基づき参照電圧VREFを生成し、これをオペアンプ3に供給する。オペアンプ3は、出力電圧VOUTを分圧した帰還電圧Vfbと、参照電圧VREFとの差分に対応した差分電圧をトランジスタ15及び19各々のゲートに供給する。
【0007】
トランジスタ15は、上記差分電圧に対応した電流を耐圧保護用のトランジスタ830を介して、トランジスタ16及び6から構成されるカレントミラー回路の一次側(トランジスタ16)に流す。これにより、当該カレントミラー回路の二次側(トランジスタ6)から上記した差分電圧に対応した電流を出力電流として出力する。この際、直列接続されている抵抗17及び18が出力端子を介して上記出力電流を受けることで、当該出力電流に対応した出力電圧VOUTが、当該出力端子を介して位相補償用のコンデンサ13及び負荷14の一端に印加される。更に、抵抗17及び18によって出力電圧VOUTを分圧した電圧が、上記した帰還電圧Vfbとしてオペアンプ3に供給される。
【0008】
電流源21は、電源電圧VDD2に基づき、出力電流として許容し得る上限値、つまり過電流であるか否かの閾値に対応した電流値を有する上限電流を生成し、これをノードN5に送出する。当該上限電流によってNOTゲート22の入力容量が充電される。トランジスタ19は、オペアンプ3から出力された差分電圧に応じた電流をノードN5から引き抜くことでNOTゲート22の入力容量を放電させる。
【0009】
ここで、比較的小さな出力電流がカレントミラー回路の二次側から出力されている間は、上記差分電圧も比較的小さな電圧となるので、トランジスタ19がノードN5から引き抜く電流も小さくなる。よって、この際、電流源21がノードN5に出力した定電流に対して、トランジスタ19がノード5から引き抜く電流が小さいと、ノードN5の電圧は上昇する。
【0010】
一方、大きな出力電流がカレントミラー回路の二次側から出力されている間は、上記差分電圧も大となるので、トランジスタ19がノードN5から引き抜く電流も大きくなる。よって、この際、電流源21がノードN5に出力した定電流に対して、トランジスタ19がノード5から引き抜く電流が大きいと、ノードN5の電圧は下降する。
【0011】
NOTゲート22は、電源電圧VDD2を受けて以下のように動作する。つまり、NOTゲート22は、ノードN5の電圧が閾値電圧以上となる場合には、低レベルの信号をトランジスタ20のゲートに供給する一方、ノードN5の電圧が当該閾値電圧より低い場合には、高レベルの信号をトランジスタ20のゲートに供給する。
【0012】
トランジスタ20は、高レベルの信号を受けた場合にはオフ状態となる。一方、低レベルの信号を受けた場合には、トランジスタ20はオン状態となってトランジスタ15のゲートを強制的に接地する。すると、カレントミラー回路(16、6)の一次側に流れる電流が低下し、それに追従して当該カレントミラー回路の二次側に流れる電流、つまり出力電流も低下する。
【0013】
このように、出力電流が過大となる場合には、過電流保護回路(19~21)がトランジスタ15のゲート電圧を強制的に低下させることで出力電流を低下させ、トランジスタ6を過大な電流から保護する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2017-62688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、特許文献1に記載の構成では、安定化電源回路1としてロードレギュレーション特性が低いものを採用すると、トランジスタ19に流れる電流によって電源電圧VDD2が変動する。それに伴いNOTゲート22を構成するトランジスタの閾値電圧が変動し、NOTゲート22の出力がバタつくことになる。これにより、出力電流に対する上記した低下処理が断続的に繰り返し実施されるので出力電流がバタついてしまう。
【0016】
よって、特許文献1に記載のレギュレータ回路では、安定化電源回路1として、例えば図2に示すような基準電圧生成回路102、オペアンプ103、Pチャネル型のトランジスタ104、コンデンサ130、抵抗170及び180等から構成される、ロードレギュレーション特性が高いものを採用する必要がある。
【0017】
しかしながら、ロードレギュレーション特性が良好な安定化電源回路は、一般的に消費電力が高く且つその回路面積が大きい。よって、図2に示すような安定化電源回路が必要となる特許文献1に記載のレギュレータ回路は、消費電力及び回路規模が大きくなるという問題があった。
【0018】
そこで、本発明は、消費電力及び回路規模の増大を抑えて、過電流保護を行うことが可能なレギュレータ回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係るレギュレータ回路は、電源電圧に基づき基準電圧に対応した電圧値を有する出力電圧を生成し出力端子から出力するレギュレータ回路であって、前記電源電圧に基づき前記電源電圧より低い電圧値を有する低電源電圧を生成する電源回路と、前記低電源電圧を受けて動作し、前記出力電圧を分圧した電圧と前記基準電圧との差分を表す差分電圧を生成するオペアンプと、前記差分電圧に対応した第1の電流を流す第1の電流路と、前記第1の電流をコピーした電流を出力電流として前記出力端子に送出するカレントミラー回路と、前記出力電流の電流値を所定値以下に制限する過電流保護回路と、を含み、前記過電流保護回路は、前記第1の電流路に接続されており、前記所定値に対応した電流を上限電流として自身のゲートで受けると共に前記第1の電流を自身のソースドレイン間に流す第1のトランジスタを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、出力電圧を分圧した電圧と基準電圧との差分電圧に対応した第1の電流をコピーした電流を出力電流として生成するにあたり、所定値以下の電流を流せるように制御されたトランジスタを第1の電流が流れる第1の電流路に接続し、当該トランジスタに第1の電流を流すことで、出力電流の電流値の上限を所定値に制限している。
【0021】
かかる構成によれば、各素子を低耐圧化すべく設けた電源回路としてロードレギュレーション特性が悪いものを採用しても、出力電流をバタつかせるような過電流保護回路の誤動作を防ぐことができる。よって、素子の低耐圧化を図るべく設けた電源回路として簡易な構成を有するものを用いることができるので、レギュレータ回路自体の面積及び消費電流を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来のレギュレータ回路の構成を示す回路図である。
図2】ロードレギュレーション特性が良好な安定化電源回路の構成の一例を示す回路図である。
図3】本発明に係る第1の実施例としてのレギュレータ回路200の構成を示す回路図である。
図4】レギュレータ回路200の変形例の一例としてのレギュレータ回路200Aの構成を示す回路図である。
図5】レギュレータ回路200の変形例の他の一例としてのレギュレータ回路200Bの構成を示す回路図である。
図6】本発明に係る第2の実施例としてのレギュレータ回路200Cの構成を示す回路図である。
図7】負荷電流と、出力電流Iout、電流I1及びI3との対応関係を示す図である。
図8】過電流保護回路の負荷電流に対する消費電流を、レギュレータ回路200、200A及び200Bと、レギュレータ回路200Cとで対比する図である。
図9】電源回路201の構成の他の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例0024】
図3は、本発明に係る第1の実施例としてのレギュレータ回路200の構成を示す回路図である。
【0025】
当該レギュレータ回路200は、高電源電圧HV_VDD及び接地電位VSSを電源端子t1及び接地端子t2で受け、当該高電源電圧HV_VDDを降圧した一定の電圧値を有する出力電圧VOUTを生成する。レギュレータ回路200は、生成した出力電圧VOUTを、出力端子t3及びt4に接続されている負荷LDに供給する。尚、出力端子t3及びt4間には、負荷LDと並列に位相補償用のコンデンサC0が接続されている。
【0026】
図3に示すように、レギュレータ回路200は、電源端子t1に接続されている電源ラインL1及び接地端子t2に接続されている接地ラインLgを介して高電源電圧HV_VDD及び接地電位VSSを受けて動作する以下の各種回路及び回路素子を含む。すなわち、レギュレータ回路200は、電源回路201、過電流保護回路202、基準電圧生成回路RV1、オペアンプOP1、Pチャネル型のトランジスタHV_MP0及びHV_MP1、Nチャネル型のトランジスタHV_MN0及びHV_MN3、抵抗R1及びR2を含む。
【0027】
電源回路201は、基準電圧生成回路RV1、オペアンプOP1及び過電流保護回路202を、高電源電圧HV_VDDより低い低耐圧の素子で実現すべく設けられたものであり、電流源CD0、Nチャネル型のトランジスタHV_MN1、及びツェナーダイオードDLZ1を含む。
【0028】
電流源CD0は、電源ラインL1を介して高電源電圧HV_VDDを受け、当該高電源電圧HV_VDDに基づき所定の定電流値を有する電流を生成し、これをバイアス電流Ibiasとして、ノードn1に送出する。当該ノードn1にはツェナーダイオードDLZ1のカソードが接続されている。ツェナーダイオードDLZ1のアノードは接地ラインLgに接続されている。
【0029】
トランジスタHV_MN1のドレインは電源ラインL1に接続されており、そのゲートがノードn1に接続されている。トランジスタHV_MN1のソースと自身のバックゲートが電源ラインL2に接続されている。トランジスタHV_MN1は、高電源電圧HV_VDDに基づき、ノードn1の電圧に対応した電流を自身のソースから電源ラインL2に送出する。
【0030】
かかる構成により、電源回路201は、高電源電圧HV_VDDを降圧した電圧を低電源電圧VDDとして電源ラインL2に生成する。
【0031】
基準電圧生成回路RV1は、低電源電圧VDDを受け、当該低電源電圧VDDに基づき、出力電圧VOUTの電圧値を決定する基準電圧VREFを生成し、これをオペアンプOP1の反転入力端子に供給する。
【0032】
抵抗R1は、その一端が出力端子t3に接続されており、他端が抵抗R2の一端に接続されている。抵抗R2の他端は接地ラインLgに接続されている。抵抗R1及びR2は、上記した出力電圧VOUTを分圧した電圧を帰還電圧VFとしてオペアンプOP1の非反転入力端子に供給する。
【0033】
オペアンプOP1は、低電源電圧VDDを受けて以下の動作を行う。つまりオペアンプOP1は、上記した基準電圧VREFと帰還電圧VFとの差分を表す差分電圧VQを生成し、これをトランジスタMN3のゲートに供給する。
【0034】
トランジスタHV_MP0及びHV_MP1は、夫々のゲートが互いに接続されており且つ夫々のソース及びバックゲートが共に電源ラインL1に接続されており、トランジスタHV_MP0のゲート及びドレインが互いに接続されてなるカレントミラー回路を構成している。当該カレントミラー回路の一次側のトランジスタHV_MP0のゲート及びドレインが耐圧保護用のトランジスタHV_MN0のドレインに接続されており、二次側のトランジスタHV_MP1のドレインがノードn2を介して抵抗R1の一端及び出力端子t3に接続されている。
【0035】
トランジスタHV_MN0のソース及びバックゲートはトランジスタMN3のドレインに接続されており、そのゲートには電源ラインL2を介して低電源電圧VDDが印加されている。
【0036】
トランジスタMN3のバックゲートは接地ラインLgに接続されており、ゲートには差分電圧VQが供給されている。
【0037】
過電流保護回路202は、電流源CD1、Nチャネル型のトランジスタMN0及びMN1を含む。
【0038】
電流源CD1は、電源ラインL2を介して受けた低電源電圧VDDに基づき、レギュレータ回路200が出力する出力電流として許容し得る所定の上限値、つまり過電流であるか否かの境界となる閾値を指定する電流を生成する。電流源CD1は、この生成した電流を上限電流Ilimitとして、トランジスタMN0のドレイン及びゲートに供給する。
【0039】
トランジスタMN0及びMN1は、夫々のゲートがノードn3を介して互いに接続されており且つ夫々のソース及びバックゲートが共に接地ラインLgに接続されており、トランジスタMN0のゲート及びドレインが接続されてなるカレントミラー回路を構成している。当該カレントミラー回路の二次側のトランジスタMN1のドレインがトランジスタMN3のソースに接続されている。
【0040】
以下に、図3に示すレギュレータ回路200の動作について説明する。
【0041】
まず、オペアンプOP1は、出力電圧VOUTに対応した電圧値を有する帰還電圧VFと、基準電圧VREFとの差分を表す差分電圧VQをトランジスタMN3のゲートに供給する。トランジスタMN3は、当該差分電圧VQに対応した電流I1を、カレントミラー回路の一次側のトランジスタHV_MP0から、トランジスタHV_MN0を介して過電流保護回路202のトランジスタMN1に送出する。これにより、電流I1に対応した電圧値を有する出力電流Ioutが、カレントミラー回路の二次側のトランジスタHV_MP1からノードn2を介して抵抗R1及び出力端子t3に送出される。この際、当該出力電流Ioutに対応した出力電圧VOUTが負荷LDに印加されると共に、当該出力電圧VOUTに対応した電圧値を有する帰還電圧VFがオペアンプOP1の非反転端子に供給される。
【0042】
よって、上記したオペアンプOP1、トランジスタMN3、カレントミラー回路(HV_MP0、HV_MP1)、抵抗R1及びR2による一連の処理により、基準電圧VREFに対応した電圧値を有する出力電圧VOUTが負荷LDに印加される。
【0043】
更に、レギュレータ回路200には、出力電流Ioutが上限電流Ilimitにて表される上限値を超える、いわゆる過大電流となることを回避させて、当該過大電流からトランジスタHV_MP1を保護する過電流保護回路202が設けられている。
【0044】
以下に、過電流保護回路202による過電流保護動作について詳細に説明する。
【0045】
まず、トランジスタMN3が流せる電流I1の最大の電流値I1maxは、
【0046】
【数1】

となる。
【0047】
ここで、LN0=LN1、LHV_P0=LHV_P1
HV_P0:トランジスタHV_MP0のゲート長
HV_P1:トランジスタHV_MP1のゲート長
とすると、
I1max=(WN1/WN0)・Ilimit
となる。
【0048】
次に、トランジスタHV_MP1が出力する出力電流Ioutの最大の電流値IOmaxは、
【数2】
となる。
【0049】
ここで、LHV_P0=LHV_P1
とすると、
【数3】

となる。
【0050】
つまり、レギュレータ回路200が出力する出力電流Ioutの最大の電流値IOmaxを、トランジスタHV_MP0、HV_MP10、MN0及びMN1のサイズ比と、上限電流Ilimitと、によって設定することができる。
【0051】
この際、過電流保護回路202では、オペアンプOP1が出力した差分電圧VQに応じた電流I1が流れる電流路に、所定値に対応した電流を上限電流Ilimitとして自身のゲートで受けると共に電流I1を自身のソースドレイン間に流すトランジスタMN1を接続することで、出力電流Ioutが過大になることを防いでいる。
【0052】
これにより、過電流保護回路202に供給する低電源電圧VDDに変動が生じていても、出力電流Ioutをバタつかせることなく、誤動作の無い過電流保護を行うことが可能となる。よって、レギュレータ回路200に設ける電源回路201として、ロードレギュレーション特性が悪いものの図3に示すような簡易な構成を有する電源回路(CD0、HV_MN1、DLZ1)を用いることができるので、回路面積及び消費電流を低減することが可能となる。
【0053】
尚、図3に示すレギュレータ回路200では、ユニポーラ型のトランジスタHV_MP1で負荷LDを駆動しているが、外付けしたバイポーラ型のトランジスタによって負荷LDを駆動するようにしても良い。
【0054】
図4は、かかる点に鑑みて為されたレギュレータ回路の変形例の一例としてのレギュレータ回路200Aの構成を示す回路図である。
【0055】
図4に示すレギュレータ回路200Aは、電源ラインL1に接続されている電源中継端子t5と、ベース接続端子t6とを新たに設け、トランジスタHV_MP1のドレインを抵抗R1及び出力端子t3ではなくベース接続端子t6のみに接続することでオープンドレイン構成とした点を除く他の構成は図3に示すものと同一である。
【0056】
当該レギュレータ回路200Aでは、図4に示すように、例えば高耐圧型のバイポーラトランジスタTRのコレクタを電源中継端子t5、ベースをベース接続端子t6に夫々外付けし、エミッタを負荷LDに接続する。
【0057】
図4に示す構成により、外付けされているバイポーラトランジスタTRのベースに流れる出力電流Ioutが過電流とはならないようにその電流値を制限しつつ、高負荷の負荷LDを駆動することが可能となる。
【0058】
また、図3及び図4に示す一例では、過電流保護回路202に含まれるカレントミラー回路として、Nチャネル型の一対のトランジスタMN0及びMN1を用いたものを示しているが、Pチャネル型の一対のトランジスタを用いたものを採用しても良い。
【0059】
図5は、かかる点に鑑みて為されたレギュレータ回路の変形例の他の一例としてのレギュレータ回路200Bの構成を示す回路図である。
【0060】
尚、図5に示す構成では、図3に示す過電流保護回路202に代えて過電流保護回路202aを採用した点を除く他の構成は、図3に示すものと同一である。
【0061】
図5に示す過電流保護回路202aは、電流源CD2、Pチャネル型のトランジスタHV_MP2及びHV_MP3を含む。
【0062】
トランジスタHV_MP2及びHV_MP3は、夫々のゲートがノードn4を介して互いに接続されており且つ夫々のソース及びバックゲートが共に電源ラインL1に接続されており、トランジスタHV_MP2のドレイン及びゲートが接続されてなる、カレントミラー回路を構成している。
【0063】
電流源CD2は、ノードn4及び接地ラインLg間に接続されており、レギュレータ回路200Bが出力する出力電流Ioutとして許容し得る上限値、つまり過電流であるか否かの閾値を表す上限電流Ilimitをノードn4から引き抜く。カレントミラー回路(HV_MP2、HV_MP3)の二次側のトランジスタHV_MP3のドレインは、トランジスタHV_MP0及びHV_MP1各々のバックゲート及びソースに接続されている。
【0064】
レギュレータ回路200Bでは、差分電圧VQに応じた電流I1が流れる電流路(HV_MP3、HV_MN0、MN3)中に、当該電流I1の電流値を上限電流Ilimitに対応した電流値に制限するトランジスタHV_MP3を含む過電流保護回路202aを設けることで、出力電流Ioutが過大になることを防いでいる。
【0065】
以上、詳述したように、本発明に係るレギュレータ回路は、以下の電源回路、オペアンプ、第1の電流路、カレントミラー回路、及び過電流保護回路を含む。
【0066】
電源回路(201)は、電源電圧(HV_VDD)に基づき、この電源電圧より低い電圧値を有する低電源電圧(VDD)を生成する。オペアンプ(OP1)は、低電源電圧(VDD)を受けて動作し、出力電圧(VOUT)を分圧した電圧(VF)と基準電圧(VREF)との差分を表す差分電圧(VQ)を生成する。第1の電流路(HV_MN0、MN3)には、差分電圧(VQ)に対応した第1の電流(I1)が流れる。カレントミラー回路(HV_MP0、HV_MP1)は、第1の電流をコピーした電流を出力電流(Iout)として出力端子(t3)に送出する。過電流保護回路(202、202a)は、第1の電流路に接続されており、所定値に対応した電流を上限電流(Ilimit)として自身のゲートで受けると共に第1の電流を自身のソースドレイン間に流す第1のトランジスタにより、出力電流(Iout)の電流値を所定値以下に制限する。
【0067】
これにより、当該過電流保護回路に供給する低電源電圧(VDD)に変動が生じていても、出力電流をバタつかせることなく、誤動作の無い過電流保護を行うことが可能となる。よって、本発明に係るレギュレータ回路によれば、低耐圧回路又は低耐圧素子に供給する電源電圧(VDD)を生成する電源回路(201)として、簡易な構成を有する電源回路を用いることができるので、回路面積及び消費電流を低減することが可能となる。
【実施例0068】
図6は、本発明に係る第2の実施例としてのレギュレータ回路200Cの構成を示す回路図である。
【0069】
尚、レギュレータ回路200Cは、図3に示す過電流保護回路202に代えて過電流保護回路202bを採用した点を除く他の構成は図3に示すものと同一である。よって、以下に、当該過電流保護回路202bの構成及び動作のみを説明する。
【0070】
過電流保護回路202bは、Pチャネル型のトランジスタMP0~MP3、Nチャネル型のトランジスタMN0、MN1、MN3及びMN4、電流源CD3及びCD4を含む。
【0071】
トランジスタMN0及びMN1は、夫々のゲートがノードn3を介して互いに接続されていると共に夫々のソース及びバックゲートが共に接地ラインLgに接続されており、且つトランジスタMN0のゲート及びドレインが接続されてなるカレントミラー回路を構成している。
【0072】
電流源CD3は、電源ラインL2を介して低電源電圧VDDを受け、当該低電源電圧VDDに基づき、小電流出力時の動作を安定化させるために付加する電流を生成し、これをバイアス電流Ibias2としてノードn3に送出する。
【0073】
トランジスタMP2及びMP3は、夫々のゲートが互いに接続されていると共に夫々のソース及びバックゲートが共に電源ラインL2に接続されており、且つトランジスタMP3のドレイン及びゲートが接続されてなるカレントミラー回路を構成している。このカレントミラー回路(MP2、MP3)は、基準電圧VREFと帰還電圧VFとの差分を表す差分電圧VQに対応した電流I3をコピーした電流を帰還出力電流IFBとしてトランジスタMP0及びMP1各々のソースに供給する。
【0074】
トランジスタMP0及びMP1は、夫々のゲートが互いに接続されていると共に夫々のソースがトランジスタMP2のドレインに接続されており、且つトランジスタMP0のドレイン及びゲートが接続されてなるカレントミラー回路を構成している。尚、トランジスタMP0及びMP1各々のバックゲートは電源ラインL2に接続されている。
【0075】
カレントミラー回路(MP0、MP1)の一次側のトランジスタMP0のドレインには電流源CD4が接続されおており、二次側のトランジスタMP1のドレインには、トランジスタMN0のドレインが接続されている。
【0076】
電流源CD4は、レギュレータ回路200Cが出力する出力電流Ioutとして許容し得る所定の上限値を示す上限電流IlimitをトランジスタMP0及びMP1各々のゲートに流す。
【0077】
カレントミラー回路(MP2、MP3)の一次側のトランジスタMP3のドレインにはトランジスタMN4のドレインが接続されている。
【0078】
トランジスタMN4のゲートには、オペアンプOP1が出力した差分電圧VQが供給されており、ソース及びバックゲートは、カレントミラー回路(MN0、MN1)の二次側のトランジスタMN1のドレインに接続されている。
【0079】
以下に、過電流保護回路202bの動作について詳細に説明する。
【0080】
まず、トランジスタMN1に流れる電流をI1、オペアンプOP1から出力された差分電圧VQに応じてトランジスタMN3が送出する電流をI2、当該差分電圧VQに応じてトランジスタMN4が送出する電流をI3とする。
【0081】
この際、電流I1は、
【数4】
となる。
【0082】
ここで、LN4=LN3とすると、
I1=[1+(WN4/WN3)]・I2
となる。
【0083】
また、トランジスタMN1が流せる電流I1の最大の電流値I1maxは、
【数5】

となる。
【0084】
ここで、LN0=LN1、LP0=LP1
とすると
【数6】

となる。
【0085】
次に、トランジスタHV_MP1が流せる出力電流Ioutの最大の電流値IOmaxは、
【数7】

となる。
【0086】
ここで、LHV_P0=LHV_P1
HV_P0:トランジスタHV_MP0のゲート長
HV_P1:トランジスタHV_MP1のゲート長
とすると、
IOmax=(WHV_P1/WHV_P0)・I2
となる。
【0087】
ここで、トランジスタMN3に流すことが可能な電流I2の最大の電流値I2maxは、
【数8】

である。
【0088】
よって、実際にトランジスタHV_MP1が流せる出力電流Ioutの最大の電流値IOmaxは、
【数9】

となる。
【0089】
したがって、レギュレータ回路200Cが出力する出力電流Ioutの最大の電流値IOmaxを、バイアス電流Ilimit及びIbais2と、トランジスタHV_MP0、HV_MP10、MN0、MN1、MN3及びMN4のサイズ比で設定できる。
【0090】
このように、レギュレータ回路200Cでは、出力電圧に対応した帰還電圧VFと基準電圧VREFとの差分を表す差分電圧VQに応じた電流I2(I3)が流れる電流路中に、当該電流I2(I3)の電流値を上限電流Ilimitに対応した電流値に制限するトランジスタMN1を含む過電流保護回路202bを設けることで出力電流Ioutが過大になることを防いでいる。
【0091】
また、過電流保護回路202bでは、カレントミラー回路(MP2、MP3)によって電流I3(=I2)に対応した電流、つまり出力電流Ioutの電流値に追従した電流をコピーした電流に基づき、電流源CD4が、上限電流Ilimitを生成する。更に、その上限電流Ilimitに応じてトランジスタMN1が流せる電流I1の最大の電流値I1maxが設定される。
【0092】
要するに、過電流保護回路202bは、第1の電流路(HV_MN0、MN3)に接続されており、所定値に対応した電流を上限電流(Ilimit)として自身のゲートで受け、第1の電流(I2、I3)を自身のソースドレイン間に流す第1のトランジスタ(MN1)と共に、以下の第2のトランジスタ、第1の電流源路及び上限制御回路を有する。
【0093】
第2のトランジスタ(MN0)は、自身のゲート及びドレインが第1のノードを介して第1のトランジスタ(MN1)のゲートに接続されており、自身のソースが第1のトランジスタのソースに接続されている。第1の電流源(CD4)は、所定値(上限値)に対応した上限電流(Ilimit)を生成する。
【0094】
上限制御回路(MP0~MP3)は、第1の電流(I2、I3)が上限電流以下である場合には当該第1の電流に対応した電流を第2のトランジスタのゲート及びドレインに流す。一方、第1の電流が上限電流より大きい場合には、上限制御回路は、上限電流に対応した電流を第2のトランジスタのゲート及びドレインに流す。
【0095】
尚、上限制御回路は、以下の第1及び第2のカレントミラー回路を含む。
【0096】
第1のカレントミラー回路(MP2、MP3)は、基準電圧(VREF)と帰還電圧(VF)との差分を示す差分電圧(VQ)に応じて第1の電流路(HV_MN0、MN3)に流れる第1の電流(I2、I3)をコピーした電流を帰還出力電流(IFB)として送出する。第2のカレントミラー回路は、夫々のゲート同士が接続されており且つ夫々のソースで帰還出力電流を受ける一次側トランジスタ(MP0)及び二次側トランジスタ(MP1)を有する。当該一次側トランジスタ(MP0)のゲート及びドレインには第1の電流源が接続されており、二次側トランジスタ(MP1)のドレインには第2のトランジスタのゲート及びドレインが接続されている。
【0097】
かかる構成により、過電流保護回路202bでは、出力電流Ioutが上限の電流値IOmax以下である場合には、図7に示すように、負荷LDに送出される負荷電流Iloadに追従して、トランジスタMN1に流れる電流I1、トランジスタMN4に流れる電流I3及び出力電流Ioutが変化する。
【0098】
よって、図3図5に示される過電流保護回路202及び202aでは、図8の一点鎖線にて示すように負荷電流Iloadの大きさに拘わらずその消費電流が一定であるが、過電流保護回路202bでは、負荷電流Iloadが上限の電流値IOmax以下である場合には負荷電流Iloadが小さいほど消費される消費電流が小さくなる。
【0099】
尚、図6に示すレギュレータ回路200Cにおいても図4に示すように、外付けのバイポーラトランジスタTRで負荷LDを駆動できるように、トランジスタHV_MP1をオープンドレインの形態に変形することが可能である。
【0100】
また、図6に示すレギュレータ回路200Cにおいて、トランジスタMN4で生成される電流I3を、オペアンプOP1の電流出力能力を決定するバイアス電流に反映させるようにしても良い。これにより、負荷電流に応じてオペアンプOP1の電流出力能力を調整することができ、無負荷時のオペアンプOP1の消費電流を削減することが可能となる。
【0101】
また、レギュレータ回路200、200A~200Cに含まれる電源回路201としては、図9に示すようなコンデンサC2、C3、コイルLC、トランジスタQT及び制御回路CNTからなるスイッチングレギュレータを採用しても良い。
【0102】
図9に示すように、コンデンサC2の一端には高電源電圧HV_VDDが印加されており、その他端は接地電位VSSにて接地されている。Nチャネル型のトランジスタQTのドレインには高電源電圧HV_VDDが印加されており、そのソース及びバックゲートがコイルLCの一端に接続されている。コイルLCの他端にはコンデンサC3の一端及び制御回路CNTが接続されている。制御回路CNTは、コイルLCの他端の電圧が高電源電圧HV_VDDよりも低い所定の電圧値になるように、トランジスタQTをオン及びオフの状態に交互に切り替える制御信号を生成し、これをトランジスタQTのゲートに供給する。これにより、コイルLCの他端には当該所定の電圧値を有する低電源電圧VDDが生成される。
【符号の説明】
【0103】
200 レギュレータ回路
201 電源回路
202 過電流保護回路
CD1 電流源
MN0~MN3、HV_MP0、HV_MP1 トランジスタ
OP1 オペアンプ
R1、R2 抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9