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▶ 衛藤 武志の特許一覧

特開2023-167719セパレーターを備えた連続繊維強化コンクリート
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  • 特開-セパレーターを備えた連続繊維強化コンクリート 図1
  • 特開-セパレーターを備えた連続繊維強化コンクリート 図2
  • 特開-セパレーターを備えた連続繊維強化コンクリート 図3
  • 特開-セパレーターを備えた連続繊維強化コンクリート 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167719
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】セパレーターを備えた連続繊維強化コンクリート
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/02 20060101AFI20231116BHJP
   C04B 20/00 20060101ALI20231116BHJP
   B28B 23/02 20060101ALI20231116BHJP
   B28B 7/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B20/00 A
B28B23/02 A
B28B23/02 Z
B28B7/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079112
(22)【出願日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】515179358
【氏名又は名称】衛藤 武志
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 武志
【テーマコード(参考)】
4G053
4G112
【Fターム(参考)】
4G053AA14
4G053CA26
4G112PA15
4G112PA24
4G112PE02
(57)【要約】
【課題】格納性に優れたセパレーターを備えた連続繊維強化コンクリートを編成する。
【解決手段】外殻膜と緊張材とセパレーターで編成されており、外殻膜は四方が封止された袋であり、緊張材は高ヤング率の繊維織物が短冊に等間隔に配設され、織物を交互に直行させて複層にして格子状に編成してある。その外殻膜と緊張材の交差部にはセパレーターが通してあり、固定節が配設されている。外殻膜の中に充填材を注入するとその充填圧力でセパレーターが緊張するから、セパレーターの固定節で挟持された緊張材は所定の隙間で展開され、その隙間に充填材が入り込み連続繊維強化コンクリートの複合材を編成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻膜と緊張材とセパレーターと注入ホースが一体に編成されたシートで、相対するシートとの層間に充填材を注入すると格納されたセパレーターが展開することを特徴とする、セパレーターを備えた連続繊維強化コンクリート。
【請求項2】
前記外殻膜は四方が封止された袋で繊維あるいは不織布あるいはシートあるいはその両方で形成してある、請求項1に記載のセパレーターを備えた連続繊維強化コンクリート。
【請求項3】
前記緊張材は高ヤング率の繊維材で短冊状に形成して等間隔に配設してある、請求項1に記載のセパレーターを備えた連続繊維強化コンクリート。
【請求項4】
前記セパレーターは高ヤング率の繊維材あるいは不織布あるいは樹脂あるいはその両方で形成された、請求項1に記載のセパレーターを備えた連続繊維強化コンクリート。
【請求項5】
前記注入ホースはプラスチックあるいはゴム製で形成してあり、前記注入ホースには吐出口が設けてあり袋の内部まで延伸して配設してある、請求項1に記載のセパレーターを備えた連続繊維強化コンクリート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する発明は、セパレーターを備えた連続繊維強化コンクリートに関する。
【背景技術】
【0002】
袋状及び布型枠状の連続繊維強化コンクリートには、繊維で形成された緊張材が内部に編成されており、その緊張材には流動性硬化材に定着させて隙間を保持するセパレーターが必要となる。セパレーターは金属で編成されるから格納性が阻害される。また、繊維で形成したセパレーターは緊張材を一定間隔で固定する挟持手段が必要となる。
【0003】
特許文献1には、充填材を注入して使用する布型枠であって、その内部に金属ボルトと管材でできたセパレーターで隙間を正確に固定する方法が開示されている。セパレーターは金属材であるから格納性や小容量化を阻害する。たとえばセパレーターを樹脂あるいは繊維にかえることによって屈曲性を与えれば格納性と小容量化ができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2018-044157
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の背景に鑑みて本発明は、格納性に優れた、セパレーターを備えた連続繊維強化コンクリートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るセパレーターを備えた連続繊維強化コンクリートは、外殻膜と緊張材とセパレーターで編成されており、外殻膜は充填材が漏出しない四方が封止された袋であり、緊張材は高ヤング率の繊維織物が短冊に等間隔に配設された一方向織物であり、その一方向織物を交互に直行させて複層にして格子状に編成してある。その外殻膜と緊張材の交差部の貫通形成された穴にはセパレーターが連通してあり、セパレーターには各緊張材を挟持するための固定節が配設されている。外殻膜の中に充填材を注入するとその充填圧力で外殻膜と固定節で挟持されたセパレーターが緊張するから、固定節で挟持された緊張材は各層間で所定の隙間で展開され、その隙間に充填材が入り込み連続繊維強化コンクリートの複合材を編成することを特徴とする。
【0007】
本発明に係るセパレーターを備えた連続繊維強化コンクリートは、袋状の外殻膜の中に格子状に緊張材が複層に配設されており、緊張材は格子状シートなので充填材の流入抵抗が少ないから流動性を損なわないで充填材を充填できる。
【0008】
本発明に係るセパレーターを備えた連続繊維強化コンクリートは、当該外殻膜には流動性硬化材を封止して空気を通す繊維で編成してあるから、充填材の漏出がない。
【0009】
本発明に係るセパレーターを備えた連続繊維強化コンクリートは、高ヤング率の繊維あるいは不織布あるいは樹脂あるいはその両方で成形したセパレーターを編成しており、固定節は樹脂あるいは金属で形成されたものをセパレーターに係合あるいは接着あるいはその両方で配設してある。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るセパレーターを備えた連続繊維強化コンクリートは、格納性と施工性に優れた、複合体を編成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るセパレーターを備えた連続繊維強化コンクリートの平断面図(A)と横断面図(B)。
図2】実施形態に係るセパレーターを備えた連続繊維強化コンクリートの展開後の横断面図。
図3】実施形態に係るセパレーターを備えた連続繊維強化コンクリートの付設例1の横断面図(C)と展開図(D)。
図4】実施形態に係るセパレーターを備えた連続繊維強化コンクリートの付設例2の展開図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るセパレーターを備えた連続繊維強化コンクリートの実施形態について、図1に平断面図(A)と横断面図(B)で示している。セパレーターを備えた連続繊維強化コンクリートは、当該シート100となり、繊維あるいは不織布あるいはシートあるいはその両方で形成した外殻膜1と高ヤング率の繊維材で形成した緯糸方向緊張材2と経糸方向緊張材3と高ヤング率の繊維あるいは不織布あるいは樹脂あるいはその両方で成形されたセパレーター4が一体に形成されており、当該セパレーター4は各層間に隙間を設けるための固定節5で編成され、格納して配設されている。好ましくは緯糸方向緊張材2と経糸方向緊張材3は相対して直交方向に配設して応力に方向性をもたせるのがよいが、並列に配設してもよい。外殻膜1の4方縁部は接着又は縫製、あるいはその両方で接合され、そのノリ代にはハトメ10が係合されている。横断面図(B)ではセパレーター4は湾曲あるいは屈曲して格納されており、外殻膜1の4方縁部はマチ付きの形態で折り畳んで格納されているから展張して厚みが出るようにしてある。図2では流動性硬化材7を注入した形態を示しており、折り畳まれた外殻膜1は充填圧で展張して、同時にセパレーター4が展開して、固定節5が緯糸方向緊張材2と経糸方向緊張材3を挟持して可動させるので所定の隙間を設けることができ、緊張材の表面に流動性硬化材7がいきわたる。
【0013】
当該シート100の層間に無機あるいは樹脂系のマトリックスといった流動性硬化材7を注入するための注入ホース6が、図1(A)に設けられている。注入ホース6は、プラスチック又はゴム製のホースを接着材あるいはネジで外殻膜1に接合あるいは系合され、吐出孔を設けたホースが袋の内部に延伸して配設されている。
【0014】
当該シート100の外殻膜1の付設面と接合する面には、所定の塗布量の接着剤を塗布して使用できる。
【0015】
当該シート100は緯糸方向緊張材2と経糸方向緊張材3を避けた位置に固定ボルト12の貫通孔を現場で設けることができる。
【0016】
実施形態に係るセパレーターを備えた連続繊維強化コンクリートの付設例1を図3の(C)と(D)に示す。この例は、流動性硬化材7の充填範囲を区切る場合の形態aとなる。海中など人の手が届かない環境下で当該シート100の付設をする場合は、流動性硬化材7を広範囲に連続的に充填することができないので、隔壁9により充填の範囲を区切ることができる。隔壁9を連通する緊張材貫通部8により当該シート100同士は連続した構造体を生成する。また、隔壁9は機密性の繊維あるいはシートあるいはフィルムあるいはその両方で編成されている。
【0017】
実施形態に係るセパレーターを備えた連続繊維強化コンクリートの付設例2を図4に示す。この例は、柱状物11に当該シート100を付設する場合の形態bとなる。当該シート100に構造物を連通させる場合はスリットを設ける必要がある。スリットにはハトメ10が係合されており、ロープを通して両側のハトメを結合した後に流動性硬化材7を充填するとスリットが閉塞された構造体が生成される。
【符号の説明】
【0018】
100 シート
1 外殻膜
2 緯糸側緊張材
3 経糸側緊張材
4 セパレーター
5 固定節
6 注入ホース
7 流動性硬化材
8 緊張材貫通部
9 隔壁
10 ハトメ
11 柱状物
12 固定ボルト
a 貫通部
b 接手部
図1
図2
図3
図4