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特開2023-167729電力変換装置、電力供給システム及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167729
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】電力変換装置、電力供給システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20231116BHJP
【FI】
H02M7/48 R
H02M7/48 E
H02M7/48 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079129
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099933
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100124028
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 公雄
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(72)【発明者】
【氏名】奥村 俊明
(72)【発明者】
【氏名】江頭 大也
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA11
5H770CA01
5H770CA04
5H770CA06
5H770FA06
5H770HA02Y
5H770HA03W
5H770HA03Z
5H770HA09Z
5H770HA14W
5H770LA03Z
(57)【要約】
【課題】コストの上昇及びサイズの増大を抑制しつつ、系統の瞬低及び瞬低からの復帰に速やかに応答し、かつ、DCバス電圧を安定に維持できる電力変換装置、電力供給システム及び制御方法を提供する。
【解決手段】電力変換装置は、直流電源に接続された第1端部と第2端部とを有する第1DC/DCコンバータと、第2端部を介して第1DC/DCコンバータに並列に接続されたキャパシタと、キャパシタの両端子間の直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、第1DC/DCコンバータ及びインバータを制御する制御部と、系統の電力供給状態を検出する検出部とを含み、制御部は、検出部により系統における瞬低の発生及び瞬低からの復帰のいずれが検出された場合にも、第1DC/DCコンバータの出力電力を制御する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源に接続された第1端部と、第2端部とを有する第1DC/DCコンバータと、
前記第2端部を介して前記第1DC/DCコンバータに並列に接続されたキャパシタと、
前記キャパシタの両端子間の直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、
前記第1DC/DCコンバータ及び前記インバータを制御する制御部と、
系統の電力供給状態を検出する検出部とを含み、
前記制御部は、前記検出部により前記系統における瞬低の発生及び前記瞬低からの復帰のいずれが検出された場合にも、前記第1DC/DCコンバータの出力電力を制御する、電力変換装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記検出部により前記瞬低の発生又は前記復帰が検出されたことを受けて、前記キャパシタの前記直流電圧が一定になるように、前記第1DC/DCコンバータの前記第2端部の出力電力を制御する、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記検出部により前記瞬低が検出されていない定常状態において、前記インバータ及び前記第1DC/DCコンバータのいずれか一方を動作主体として、前記キャパシタの前記直流電圧が一定になるように前記動作主体を動作させ、
前記検出部により前記瞬低の発生が検出されたことを受けて、前記インバータ及び前記第1DC/DCコンバータの中で前記動作主体を切替える、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記検出部により前記瞬低が検出されたことを受けて前記第1DC/DCコンバータが前記動作主体になっている状態において、前記検出部により前記復帰が検出されたことを受けて、前記インバータを前記動作主体にする、請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
太陽光発電パネルに接続された第3端部と第4端部とを有する第2DC/DCコンバータをさらに含み、
前記直流電源は、蓄電池であり、
前記第2DC/DCコンバータは、前記第4端部を介して前記キャパシタに並列接続され、
前記制御部は、
前記定常状態において、前記インバータを前記動作主体とし、
前記検出部により前記瞬低の発生が検出されたことを受けて、前記蓄電池が充電可能か否かに応じて、前記第1DC/DCコンバータ及び前記第2DC/DCコンバータのいずれかを前記動作主体とする、請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記検出部により前記瞬低の発生が検出されたことを受けて、
前記蓄電池が充電可能であれば、前記第1DC/DCコンバータを前記動作主体とし、
前記蓄電池が充電不可能であれば、前記第2DC/DCコンバータを前記動作主体とする、請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
直流電源と、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電力変換装置とを含み、
前記第1DC/DCコンバータは、前記直流電源と前記キャパシタとの間で電力を変換する、電力供給システム。
【請求項8】
蓄電池と、
太陽光発電パネルと、
請求項5又は請求項6に記載の電力変換装置とを含み、
前記第1DC/DCコンバータは、前記蓄電池と前記キャパシタとの間で電力を変換し、
前記第2DC/DCコンバータは、前記太陽光発電パネルの出力電力を変換して前記キャパシタに供給する、電力供給システム。
【請求項9】
直流電源に接続されたDC/DCコンバータと、前記DC/DCコンバータに並列に接続されたキャパシタと、前記キャパシタの両端子間の直流電圧を交流電圧に変換するインバータとを含む電力変換装置の制御方法であって、
系統の電力供給状態を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより、前記系統における瞬低の発生及び前記瞬低からの復帰のいずれが検出された場合にも、前記DC/DCコンバータの出力電力を制御する制御ステップとを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置、電力供給システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商用の電力系統(以下、系統という)に接続され、系統の停電時に自立運転を行い、蓄電池に蓄えた電力を、電力変換装置を介して特定の負荷に供給する蓄電システムが知られている。また、太陽光発電システムに接続され、負荷に供給される電力を超えた発電電力(即ち余剰電力)を蓄電池に蓄える蓄電システムも知られている。太陽光発電システムに接続された蓄電システムは、太陽光発電システムの発電状態に応じて、発電された電力を系統に供給する等、系統連系が可能である。
【0003】
系統に接続される上記のような分散型電源には、系統における擾乱発生時にも運転を継続することを要求するFRT(Fault Ride Through)要件が課される。即ち、系統の擾乱時に分散電源が一斉に解列すると、電力品質に大きな影響を与えので、一斉解列等による問題を防止すために、分散電源に運転継続性能が要求される。FRT要件とは、「電力品質を確保するために必要となる系統擾乱時の分散型電源の運転継続性能の要件」を意味し、「系統連系規程(JEAC9701)」により定められている。
【0004】
FRT要件には、電圧変動に関する要件と周波数変動に関する要件が含まれる。電圧変動に関する要件として、電圧が瞬間的に(例えば1秒以下)低下する瞬時電圧低下(以下、瞬低という)時に、運転継続することが要求される。但し、数ms間、電力変換装置を構成する半導体スイッチング素子等のゲート信号を停止すること(いわゆるゲートパルス抜き)は許される。また、短時間(例えば1分以下)電圧が0になる瞬時停電(以下、瞬停という)時には、電力変換装置を構成する半導体スイッチング素子等のゲート信号を停止すること(いわゆるゲートブロック)が許される。また、瞬低又は瞬停からの復帰時には、迅速に元の出力電力に戻す必要がある。瞬低又は瞬停からの復帰時には、それぞれ0.1秒以内又は0.2秒以内に出力電力が有効電力の80%に復帰することが要求される。
【0005】
下記特許文献1には、電力系統が瞬低から復帰する際の出力電力の品質の低下を低減できる電力変換装置が開示されている。この電力変換装置は、分散型電源から入力される直流電力を変圧するDC/DCコンバータと、DC/DCコンバータから供給される直流電力を保持するコンデンサとを含み、瞬時電圧低下時における電圧低下量が大きいほどコンデンサの電圧を高くする。下記特許文献2には、瞬低及び瞬停時に出力電力を絞った状態からの復帰において、元の電力へと高速に復帰できる電力変換装置を開示している。この電力変換装置は、直流電源からの入力電圧を昇圧して出力するコンバータと、コンバータから出力される電力を保持するキャパシタとを含み、キャパシタの電圧を、電圧低下が発生する直前の電圧よりも高い電圧に設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-195710号公報
【特許文献2】特開2015-223038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図1に、従来のハイブリッド型の電力供給システムを示す。図1を参照して、電力変換装置900は、PV(Photovoltaic)パネル902に接続されたPV用コンバータ904と、蓄電池906に接続された蓄電用コンバータ908と、PV用コンバータ904及び蓄電用コンバータ908に接続されたキャパシタ910とを含む。電力変換装置900はさらに、キャパシタ910に接続されたインバータ912を含む。図1においては、正負の2本の配線を1本の実線により表している。例えば、PV用コンバータ904の2つの端子はキャパシタ910の両端子に1対1に接続されており、蓄電用コンバータ908の2つの端子はキャパシタ110の両端子に1対1に接続されている。即ち、PV用コンバータ904及び蓄電用コンバータ908は、キャパシタ910に並列接続されている。キャパシタ910の両端子が接続されている2本の配線をDCバスといい、2本の配線間の電圧をDCバス電圧という。
【0008】
PV用コンバータ904はPVパネル902から出力される直流電圧を昇圧してキャパシタ910に出力する。蓄電用コンバータ908は、蓄電池906から出力される直流電圧を昇圧してキャパシタ910に出力する。キャパシタ910は、PV用コンバータ904及び蓄電用コンバータ908から供給される電力を保持する。また、蓄電用コンバータ908は双方向に電力変換可能であり、PV用コンバータ904から出力される電力の余剰分(即ち余剰電力)を変換し、蓄電用コンバータ908を充電する。インバータ912は、キャパシタ910の直流電圧を交流電圧に変換して、リレー916に出力する。リレー916がオン(短絡)されることにより、電力変換装置900は、分電盤928を介して負荷930に電力を供給する。また、インバータ912は双方向に電力変換可能であり、電流センサ918により電流値を監視し、主幹922及び電力量計924を介して、系統926との系統連系を可能にする。
【0009】
系統の通常状態には、PVパネル902による発電電力、蓄電用コンバータ908による充放電電力、並びに、インバータ912による逆変換電力及び順変換電力に関して、DCバスの電圧を調整して電力受給のバランスを取る(以下、DCバス電圧制御という)。インバータ912の逆変換はキャパシタ910側への出力を意味し、順変換はリレー916側への出力を意味する。このとき、PV用コンバータ904は、出力電力が最大になるようにMPPT(Maximum Power Point Tracking:最大電力点追従)制御を行う。また、蓄電用コンバータ908は負荷追従制御、即ち、発電電力と消費電力に従って最適な蓄電池運用を行う。したがって、DCバス電圧制御は、インバータ912が行う。即ち、逆変換電力及び順変換電力の大きさは、DCバス電圧(即ちキャパシタ910の両端子の電圧)が一定になるように調整される。インバータ912、PV用コンバータ904及び蓄電用コンバータ908は、それぞれ図2図3及び図4に示すように動作する。なお、以下においては、瞬低と瞬停とを明確に区別する場合を除き、便宜上、両者を含む用語として「瞬低」を用いる。
【0010】
図2を参照して、ステップ940において、インバータ912は、系統の電圧を検出し、系統に瞬低が発生したか否かを判定する。瞬低が発生していなければ、ステップ942において、インバータ912は、定常動作としてDCバス電圧制御を実行する。瞬低が発生すれば、ステップ944において、インバータ912は、出力を絞る又はゲートブロックを実行する。その後、ステップ946において、インバータ912は、終了するか否かを判定し、終了する場合、ステップ948において、インバータ912は停止する。終了しない場合、制御はステップ940に戻る。したがって、瞬低から復帰すれば、ステップ942が実行される。
【0011】
図3を参照して、ステップ960において、PV用コンバータ904は、DCバス電圧を検出し、DCバス電圧が所定値よりも高いか否かを判定する。高い場合、ステップ962において、PV用コンバータ904は発電を抑制する。高くない場合、ステップ964において、PV用コンバータ904は定常動作としてMPPT制御を実行する。その後、ステップ966において、PV用コンバータ904は、終了するか否かを判定し、終了する場合、ステップ968において、PV用コンバータ904は停止する。終了しない場合、制御はステップ960に戻る。
【0012】
図4を参照して、ステップ980において、蓄電用コンバータ908は、DCバス電圧を検出し、DCバス電圧が所定の上限値よりも高いか否かを判定する。高い場合、ステップ982において、蓄電用コンバータ908は、蓄電池906の放電を抑制する。高くない場合、ステップ984において、蓄電用コンバータ908は、DCバス電圧が所定の下限値よりも低いか否かを判定する。低い場合、ステップ986において、蓄電用コンバータ908は、蓄電池906の充電を抑制する。低くない場合、ステップ988において、蓄電用コンバータ908は、定常時の制御を実行する。即ち、負荷930の消費電力に応じて蓄電池906を放電させ、PV用コンバータからの余剰電力により蓄電池906を充電する。その後、ステップ990において、蓄電用コンバータ908は、終了するか否かを判定し、終了する場合、ステップ992において、蓄電用コンバータ908は停止する。終了しない場合、制御はステップ980に戻る。
【0013】
上記したように、瞬低又は瞬停時には、インバータ912は、FRTの要件を満たすために、出力電流を絞りながら動作を継続する、又は、ゲートブロックを実行する。そのため、インバータ912はDCバス電圧制御を実行できなくなる。インバータ912がDCバス制御を実行できない間は、PV用コンバータ904又は蓄電用コンバータ908がDCバス制御を実行することが考えられる。しかし、上記したように、電力変換の最小単位毎に分けて制御し、インバータ912、PV用コンバータ904及び蓄電用コンバータ908が独立に動作するため、この場合、応答性に問題がある。即ち、PV用コンバータ904及び蓄電用コンバータ908の各々は、DCバス電圧を監視して動作しているため、インバータ912がDCバス電圧制御を停止していることは分からない。そのため、瞬低又は瞬停の発生に迅速に応答できない。PVパネル902の発電中又はPV用コンバータ904の放電中であれば、DCバス電圧を適切な値に制御できない。PV用コンバータ904及び蓄電用コンバータ908は、系統が瞬低又は瞬停から復帰し、インバータ912がDCバス電圧制御を再開したことも分からない。そのため、FRT要件に適合して迅速に出力を復帰させることもできない。
【0014】
特許文献1及び特許文献2においては、上記した問題を、DCバス電圧を通常よりも高く設定することにより解決している。例えば、特許文献2においては、DCバス電圧は、定常状態よりも約50V高く設定される。しかし、DCバス電圧を高く設定するには、キャパシタ及びその周囲の回路部品に、耐圧が高いものを使用する必要がある。そのため、コストの上昇及び装置サイズの増大を招くという問題がある。
【0015】
したがって、本開示は、コストの上昇及びサイズの増大を抑制しつつ、系統の瞬低及び瞬低からの復帰に迅速に応答し、かつ、DCバス電圧を安定に維持できる電力変換装置、電力供給システム及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本開示のある局面に係る電力変換装置は、直流電源に接続された第1端部と、第2端部とを有する第1DC/DCコンバータと、第2端部を介して第1DC/DCコンバータに並列に接続されたキャパシタと、キャパシタの両端子間の直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、第1DC/DCコンバータ及びインバータを制御する制御部と、系統の電力供給状態を検出する検出部とを含み、制御部は、検出部により系統における瞬低の発生及び瞬低からの復帰のいずれが検出された場合にも、第1DC/DCコンバータの出力電力を制御する。
【0017】
本開示の別の局面に係る電力供給システムは、蓄電池又は太陽光発電パネルを含む電源と、上記の電力変換装置とを含み、第1DC/DCコンバータは、電源とキャパシタとの間で電力を変換する。
【0018】
本開示のさらに別の局面に係る電力供給システムは、蓄電池と、太陽光発電パネルと、上記の電力変換装置とを含み、第1DC/DCコンバータは、蓄電池とキャパシタとの間で電力を変換し、第2DC/DCコンバータは、太陽光発電パネルの出力電力を変換してキャパシタに供給する。
【0019】
本開示のさらに別の局面に係る制御方法は、直流電源に接続された第1DC/DCコンバータと、DC/DCコンバータに並列に接続されたキャパシタと、キャパシタの両端子間の直流電圧を交流電圧に変換するインバータとを含む電力変換装置の制御方法であって、系統の電力供給状態を検出する検出ステップと、検出ステップにより、系統における瞬低の発生及び瞬低からの復帰のいずれが検出された場合にも、DC/DCコンバータの出力電力を制御する制御ステップとを含む。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、コストの上昇及びサイズの増大を抑制しつつ、系統の瞬低及び瞬低からの復帰に迅速に応答し、かつ、DCバス電圧を安定に維持できる電力変換装置、電力供給システム及び制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、従来の電力変換装置を含むハイブリッドシステムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示したインバータが行う処理を示すフローチャートである。
図3図3は、図1に示したPV用コンバータが行う処理を示すフローチャートである。
図4図4は、図1に示した蓄電用コンバータが行う処理を示すフローチャートである。
図5図5は、本開示の実施形態に係る電力変換装置を含むハイブリッドシステムの構成を示すブロック図である。
図6図6は、図5に示した制御部が行う処理を示すフローチャートである。
図7図7は、瞬低又は瞬停の発生及びそれからの復帰に伴うインバータ、蓄電用コンバータ及びPV用コンバータの状態変化を示すブロック図である。
図8図8は、複数のPVパネルを含むハイブリッドシステムの構成を示すブロックである。
図9図9は、蓄電システムの構成を示すブロック図である。
図10図10は、太陽光発電システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[本開示の実施形態の説明]
本開示の実施形態の内容を列記して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組合せてもよい。なお、上記したように、瞬低と瞬停とを明確に区別する場合を除き、便宜上、両者を含む用語として「瞬低」を用いる。
【0023】
(1)本開示の第1の局面に係る電力変換装置は、直流電源に接続された第1端部と、第2端部とを有する第1DC/DCコンバータと、第2端部を介して第1DC/DCコンバータに並列に接続されたキャパシタと、キャパシタの両端子間の直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、第1DC/DCコンバータ及びインバータを制御する制御部と、系統の電力供給状態を検出する検出部とを含み、制御部は、検出部により系統における瞬低の発生及び瞬低からの復帰のいずれが検出された場合にも、第1DC/DCコンバータの出力電力を制御する。これにより、電力変換装置は、瞬低の発生及び瞬低からの復帰に迅速に対応できる。また、キャパシタの電圧を高く設定する必要がないので、耐圧が高い部品を使用する必要もない。そのため、コストの上昇及びサイズの増大を抑制できる。ここでの「瞬低」は「瞬時電圧低下」に限定されるものではなく、「瞬時電圧低下」及び「瞬時停電」の少なくとも一方を含むものとする。
【0024】
(2)上記(1)において、制御部は、検出部により瞬低の発生又は復帰が検出されたことを受けて、キャパシタの直流電圧が一定になるように、第1DC/DCコンバータの第2端部の出力電力を制御することができる。これにより、電力変換装置は、瞬低時及び瞬低からの復帰時に、キャパシタ電圧(即ちDCバス電圧)を安定に維持できる。
【0025】
(3)上記(2)において、制御部は、検出部により瞬低が検出されていない定常状態において、インバータ及び第1DC/DCコンバータのいずれか一方を動作主体として、キャパシタの直流電圧が一定になるように動作主体を動作させ、検出部により瞬低の発生が検出されたことを受けて、インバータ及び第1DC/DCコンバータの中で動作主体を切替えてもよい。これにより、電力変換装置は、瞬低の発生に、より迅速に対応できる。
【0026】
(4)上記(3)において、制御部は、検出部により瞬低が検出されたことを受けて第1DC/DCコンバータが動作主体になっている状態において、検出部により復帰が検出されたことを受けて、インバータを動作主体にしてもよい。これにより、電力変換装置は、瞬低からの復帰に、より迅速に対応できる。
【0027】
(5)上記(3)において、電力変換装置は、太陽光発電パネルに接続された第3端部と第4端部とを有する第2DC/DCコンバータをさらに含んでいてもよく、直流電源は、蓄電池であってもよく、第2DC/DCコンバータは、第4端部を介してキャパシタに並列接続されていてもよく、制御部は、定常状態において、インバータを動作主体とし、検出部により瞬低の発生が検出されたことを受けて、蓄電池が充電可能か否かに応じて、第1DC/DCコンバータ及び第2DC/DCコンバータのいずれかを動作主体としてもよい。これにより、瞬低の発生及び瞬低からの復帰に迅速に対応できる電力供給システムを実現できる。
【0028】
(6)上記(5)において、制御部は、検出部により瞬低の発生が検出されたことを受けて、蓄電池が充電可能であれば、第1DC/DCコンバータを動作主体とし、蓄電池が充電不可能であれば、第2DC/DCコンバータを動作主体としてもよい。これにより、瞬低の発生に、確実に対応できる電力供給システムを実現できる。
【0029】
(7)本開示の第2の局面に係る電力供給システムは、直流電源と、上記(1)から(4)のいずれか1つの電力変換装置とを含み、第1DC/DCコンバータは、直流電源とキャパシタとの間で電力を変換する。これにより、電力供給システムは、瞬低の発生及び瞬低からの復帰に迅速に対応できる。また、キャパシタの電圧を高く設定する必要がないので、耐圧が高い部品を使用する必要もない。そのため、コストの上昇及びサイズの増大を抑制できる。
【0030】
(8)本開示の第3の局面に係る電力供給システムは、蓄電池と、太陽光発電パネルと、上記(5)又は(6)の電力変換装置とを含み、第1DC/DCコンバータは、蓄電池とキャパシタとの間で電力を変換し、第2DC/DCコンバータは、太陽光発電パネルの出力電力を変換してキャパシタに供給する。これにより、電力供給システムは、瞬低の発生及び瞬低からの復帰に迅速に対応できる。また、キャパシタの電圧を高く設定する必要がないので、耐圧が高い部品を使用する必要もない。そのため、コストの上昇及びサイズの増大を抑制できる。
【0031】
(9)本開示の第4の局面に係る制御方法は、直流電源に接続されたDC/DCコンバータと、DC/DCコンバータに並列に接続されたキャパシタと、キャパシタの両端子間の直流電圧を交流電圧に変換するインバータとを含む電力変換装置の制御方法であって、系統の電力供給状態を検出する検出ステップと、検出ステップにより、系統における瞬低の発生及び瞬低からの復帰のいずれが検出された場合にも、DC/DCコンバータの出力電力を制御する制御ステップとを含む。これにより、瞬低の発生及び瞬低からの復帰に迅速に対応できる。また、キャパシタの電圧を高く設定する必要がないので、耐圧が高い部品を使用する必要もない。そのため、コストの上昇及びサイズの増大を抑制できる。
【0032】
[本開示の実施形態の詳細]
以下の実施形態においては、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0033】
(システム構成)
図5を参照して、本開示の実施形態に係る電力変換装置100は、PVパネル102に接続されたPV用コンバータ104と、蓄電池106に接続された蓄電用コンバータ108と、PV用コンバータ104及び蓄電用コンバータ108に接続されたキャパシタ110とを含む。電力変換装置100はさらに、キャパシタ110に接続されたインバータ112と、PV用コンバータ104、蓄電用コンバータ108及びインバータ112を制御する制御部114とを含む。電力変換装置100、PVパネル102、蓄電池106及びリレー116は、ハイブリッド型の電力供給システムを構成する。図5において、正負の2本の配線を1本の実線により表している。例えば、PV用コンバータ104の2つの端子はキャパシタ110の両端子に1対1に接続されており、蓄電用コンバータ108の2つの端子はキャパシタ110の両端子に1対1に接続されている。即ち、PV用コンバータ104及び蓄電用コンバータ108はキャパシタ110に並列接続されている。
【0034】
PVパネル102は、直列接続された複数の太陽電池セルが平面に配置され、強化ガラス等が用いられて封止されたものである。PVパネル102は、直流電源として機能する。PV用コンバータ104は、制御部114による制御を受けて、PVパネル102から出力される直流電圧を昇圧してキャパシタ110に出力する。蓄電池106は、リチウムイオン二次電池等の充放電可能な蓄電池である。蓄電池106は、直流電源として機能する。蓄電用コンバータ108は、制御部114による制御を受けて、蓄電池106から出力される直流電圧を昇圧してキャパシタ110に出力する。キャパシタ110は、PV用コンバータ104及び蓄電用コンバータ108から供給される電力を保持する。また、蓄電用コンバータ108は、双方向に電力変換可能であり、PV用コンバータ104から出力される余剰電力を変換し、蓄電池106を充電する。インバータ112は、制御部114による制御を受けて、キャパシタ110の直流電圧を交流電圧に変換して、リレー116に出力する。リレー116がオン(短絡)されることにより、電力変換装置100は、分電盤128を介して負荷130に電力を供給する。また、インバータ112は双方向に電力変換可能であり、電流センサ118により電流値を監視し、主幹122及び電力量計124を介して、系統126との系統連系を可能にする。
【0035】
PV用コンバータ104及び蓄電用コンバータ108は、DC/DCコンバータであり、例えば、半導体スイッチング素子(FET(Field Effect Transistor)等)を用いたブリッジ回路等により実現されている。インバータ112は、DC/ACコンバータであり、例えば半導体スイッチング素子を用いたブリッジ回路等により実現されている。
【0036】
制御部114は、PV用コンバータ104、蓄電用コンバータ108及びインバータ112の各々を構成するスイッチング素子(例えばFET)の制御信号(例えばゲート信号)を出力することにより、各々の電力変換機能、即ち入出力の電圧及び電流を制御する。制御部114は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを含む。制御部114の機能は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することにより実現される。電力変換装置100は、各部の電圧及び電流を測定するセンサ(図示せず)を有しており、制御部114は、センサにより検出された電流及び電圧に基づき、PV用コンバータ104、蓄電用コンバータ108及びインバータ112を制御する。
【0037】
電圧センサ120は、電圧を検出し、検出された電圧を制御部114に出力する。制御部114は、電圧センサ120を介して系統の電圧を監視することにより、系統に瞬低が発生したこと、及び、瞬低から復帰したことを直接検知できる。制御部114は、電圧センサ120により、瞬低の発生又は瞬低からの復帰が検知されると、それに応じて、DCバス電圧、即ちキャパシタ110の両端子間の電圧を一定に維持するように、PV用コンバータ104、蓄電用コンバータ108及びインバータ112の各々を制御する。
【0038】
(制御部の動作)
図6を参照して、制御部114の動作に関して説明する。ステップ300において、制御部114は、電圧センサ120から入力される電圧から、系統126に瞬低が発生したか否かを判定する。瞬低が発生したと判定された場合、制御はステップ308に移行する。そうでなければ、制御はステップ302に移行する。
【0039】
ステップ302において、制御部114は、インバータ112にDCバス電圧制御を実行させる。その後、制御はステップ304に移行する。なお、PV用コンバータ104及び蓄電用コンバータ108には定常時の動作を実行させる。
【0040】
ステップ304において、制御部114は、終了するか否かを判定する。終了は、例えば電力変換装置100の各部を機能させるための電力を供給する電源(図示せず)がオフされることにより行われる。終了すると判定された場合、制御はステップ306に移行する。そうでなければ、制御はステップ300に戻る。
【0041】
ステップ306において、制御部114は電力変換装置100を停止させる。具体的には、PV用コンバータ104、蓄電用コンバータ108及びインバータ112への制御信号の出力を停止する。
【0042】
ステップ300における判定結果がYES(即ち瞬低の発生)であれば、ステップ308において、制御部114は、蓄電池106が充電可能(充放電可能な場合を含む)であるか否かを判定する。可能であると判定された場合、制御はステップ310に移行する。そうでなければ、制御はステップ312に移行する。
【0043】
ステップ310において、制御部114は、蓄電用コンバータ108にDCバス電圧制御を実行させる。制御部114は、PV用コンバータ104には定常時の動作を実行させ、インバータ112には、FRT要件を満たすために、電圧を絞る又はゲートブロックを実行させる。その後、制御はステップ304に移行する。
【0044】
ステップ312において、制御部114は、PV用コンバータ104にDCバス電圧制御を実行させる。制御部114は、蓄電用コンバータ108には定常時の動作を実行させ、インバータ112には、FRT要件を満たすために、電圧を絞る又はゲートブロックを実行させる。その後、制御はステップ304に移行する。
【0045】
図6に示した処理により、PV用コンバータ104、蓄電用コンバータ108及びインバータ112の各々の動作モード(即ち動作状態)がどのように変化するかを図7に示す。図7には、横軸を時間軸として、上段、中段及び下段にそれぞれインバータ112、蓄電用コンバータ108及びPV用コンバータ104の動作モードを示している。
【0046】
時刻t0において電力変換装置100の運転が開始する。その時点では、瞬低は発生していない。即ち、図6に示したステップ302が繰返し実行される。具体的には、制御部114は、インバータ112にDCバス電圧制御を実行させる。即ち、制御部114は、DCバス電圧が一定になるように、インバータ112を動作させる制御信号を出力する。制御部114は、蓄電用コンバータ108に定常時の動作として負荷追従制御を実行させる。即ち、制御部114は、電流センサ118により検出される出力電流値等を用いて、指令値(即ち充放電電流値)を決定し、蓄電用コンバータ108の電流が指令値になるようにフィードバック制御する。また、制御部114は、PV用コンバータ104に、定常時の動作としてMPPT制御を実行させる。即ち、制御部114は、PVパネル102による発電電力が最大になるように指令値(即ち電圧又は電流)を決定し、PV用コンバータ104の電流が指令値になるようにフィードバック制御する。
【0047】
その後、時刻t1において、瞬低が発生したとする(即ち、図6に示したステップ300の判定結果がYES)。制御部114は、系統に瞬低が発生したことを電圧センサ120により迅速に検知できる。このとき、蓄電池106は充電可能な状態にあるとする(即ち、ステップ308の判定結果がYES)。制御部114は、蓄電用コンバータ108にDCバス電圧制御を実行させる。即ち、制御部114は、DCバス電圧が一定になるように、蓄電用コンバータ108を動作させる制御信号を出力する。制御部114は、PV用コンバータ104に、定常時の動作としてMPPT制御を維持させる。制御部114は、インバータ112には、電圧を絞る又はゲートブロックを実行させる。
【0048】
その後、時刻t2(例えばt2-t1≦1(秒))において、瞬低が解消したとする(即ち、図6に示したステップ300の判定結果がNO)。制御部114は、系統が瞬低から復帰したことを電圧センサ120により迅速に検知できる。これにより、時刻t0から時刻t1までの期間と同様に、図6に示したステップ302が繰返し実行される状態に戻る。
【0049】
その後、時刻t3において、瞬低が発生したとする(即ち、図6に示したステップ300の判定結果がYES)。このとき、蓄電池106は充電不可能な状態にあるとする(即ち、ステップ308の判定結果がNO)。制御部114は、PV用コンバータ104にDCバス電圧制御を実行させる。即ち、制御部114は、DCバス電圧が一定になるように、PV用コンバータ104を動作させる制御信号を出力する。制御部114は、インバータ112には、電圧を絞る又はゲートブロックを実行させる。制御部114は、蓄電用コンバータ108には、定常時の動作として負荷追従制御を維持させる。
【0050】
その後、時刻t4(例えばt4-t3≦1(秒))において、瞬低が解消したとする(即ち、図6に示したステップ300の判定結果がNO)。これにより、時刻t2から時刻t3までの期間と同様に、図6に示したステップ302が繰返し実行される状態に戻る。
【0051】
以上により、制御部114は、瞬低の発生及び瞬低からの復帰を迅速に検知でき、瞬低の発生を検知した場合、インバータ112にFRT要件を見たすための動作を実行させ、蓄電池106が充電可能か否かに応じて、PV用コンバータ104又は蓄電用コンバータ108に迅速にDCバス電圧制御を実行させることができる。また、瞬低から復帰を検知した場合、迅速に、インバータ112にDCバス電圧制御を実行させ、PV用コンバータ104及び蓄電用コンバータ108に定常時の動作を実行させることができる。従来技術においては、DCバス電圧がある程度上昇又は低下せざるを得なかったが、常にDCバス電圧を適切な値に維持できる。したがって、キャパシタの電圧を高く設定することなく、電力変換装置100は、瞬低の発生及び瞬低からの復帰に迅速に対応できる。キャパシタの電圧を高く設定する必要がないので、耐圧が高い部品を使用する必要もない。そのため、コストの上昇及びサイズの増大を抑制できる。
【0052】
制御部114は、電圧センサ120により瞬低の発生又は復帰が検出されたことを受けて、キャパシタ110の直流電圧が一定になるように、蓄電用コンバータ108からキャパシタ110への出力電力を制御する。これにより、電力変換装置100は、瞬低時及び瞬低からの復帰時に、キャパシタ110の両端子間の電圧(即ちDCバス電圧)を安定に維持できる。
【0053】
制御部114は、電圧センサ120により瞬低が検出されていない定常状態において、インバータ112及び蓄電用コンバータ108のいずれか一方を動作主体として、キャパシタ110の両端子間の電圧(即ちDCバス電圧)が一定になるように動作主体を動作させる。電圧センサ120により瞬低の発生が検出されたことを受けて、制御部114は、インバータ112及び蓄電用コンバータ108の中で動作主体を切替える。これにより、電力変換装置は、瞬低の発生に、より迅速に対応できる。
【0054】
制御部114は、電圧センサ120により瞬低の発生が検出されたことを受けて、蓄電池106が充電可能であれば、蓄電用コンバータ108にDCバス電圧制御を実行させ、蓄電池106が充電不可能であれば、PV用コンバータ104にDCバス電圧制御を実行させる。これにより、電力変換装置100は、瞬低の発生に確実に対応できる。
【0055】
なお、制御部114を構成するCPUは、シングルコアのCPUに限定されない。デュアルコア等の複数のコアを有するCPUであってもよい。また、制御部114は、複数のCPUにより構成されていてもよい。複数のCPUは、電圧センサ120から入力される電圧による瞬低及び復帰の検出と、PV用コンバータ104、蓄電用コンバータ108及びインバータ112の各々の制御とを分担して実行する。したがって、瞬低時及び瞬低からの復帰時に迅速な応答を可能にするには、複数のCPU間の通信速度が非常に高速であることが好ましい。なお、非常に高速とは、電力変換装置の制御周期(例えば、周波数約10kHzから周波数約100kHzまでの範囲内の周波数の周期)に対して、例えば、1周期又は2周期遅延する程度の速度を意味する。
【0056】
(第1変形例)
上記においては、PVパネル及びPV用コンバータを1組含むシステムの例について説明した。しかし本開示は、これに限定されない。システムは、複数の組のPVパネル及びPV用コンバータを含んでもよい。図8を参照して、第1変形例に係る電力変換装置200は、複数のPVパネル102、…、及びPVパネル202に1対1に接続された複数のPV用コンバータ104、…、及びPV用コンバータ204と、蓄電池106に接続された蓄電用コンバータ108とを含む。電力変換装置200はさらに、PV用コンバータ104、…、及びPV用コンバータ204、並びに蓄電用コンバータ108に接続されたキャパシタ110と、キャパシタ110に接続されたインバータ112と、PV用コンバータ104、…、及びPV用コンバータ204、蓄電用コンバータ108、並びにインバータ112を制御する制御部206とを含む。電力変換装置200、PVパネル102、…、及びPVパネル202、蓄電池106、並びにリレー116は、ハイブリッド型の電力供給システムを構成する。電力変換装置200は、図5に示した電力変換装置100において、1組であったPVパネル102及びPV用コンバータ104を、複数組のPVパネル102、…、及びPVパネル202、並びにPV用コンバータ104、…、及びPV用コンバータ204により代替し、制御部114を制御部206により代替したものである。電力変換装置200のその他の構成は電力変換装置100と同じである。
【0057】
制御部206は、制御部114と同様に、PV用コンバータ104、…、及びPV用コンバータ204、蓄電用コンバータ108、並びにインバータ112の各々を制御する。制御部206は、図5に示した制御部114と同様に、電圧センサ120により、系統における瞬低の発生及び瞬低からの復帰を検出する。瞬低及び復帰時の制御部206の動作は、制御部114の動作(図6に示したフローチャート参照)と同様である。但し、瞬低が発生し、蓄電池106が充電不可能である場合(図6のステップ308の判定結果がNO)、制御部206は、PVパネル102、…、及びPVパネル206全体にDCバス電圧制御を実行させる。即ち、制御部206は、PVパネル102、…、及びPVパネル202による合計の出力電力によりDCバス電圧が一定になるように制御する。このとき、PVパネル102、…、及びPVパネル202の各々をどのように制御するかは任意である。例えば、DCバス電圧を一定にするために必要な電力を、PVパネル102、…、及びPVパネル202の各々の発電状態(即ち、そのときの発電電力)に応じて按分して、PVパネル102、…、及びPVパネル202の各々の出力電力を決定できる。また、PVパネル102、…、及びPVパネル202の各々の出力電力を均等に変化させてもよい。
【0058】
したがって、電力変換装置200は、電力変換装置100と同様に、瞬低の発生及び瞬低からの復帰を迅速に検知でき、瞬低の発生を検知した場合、インバータ112にFRT要件を見たすための制御を実行させ、蓄電池106が充電可能か否かに応じて、蓄電用コンバータ108又はPVパネル102、…、及びPVパネル202に迅速にDCバス電圧制御を実行させることができる。また、瞬低から復帰を検知した場合、迅速に、インバータ112にDCバス電圧制御を実行させ、蓄電用コンバータ108、並びにPVパネル102、…、及びPVパネル202に定常時の動作を実行させることができる。したがって、キャパシタの電圧を高く設定することなく、電力変換装置200は、瞬低の発生及び瞬低からの復帰に迅速に対応できる。キャパシタの電圧を高く設定する必要がないので、耐圧が高い部品を使用する必要もない。そのため、コストの上昇及びサイズの増大を抑制できる。
【0059】
(第2変形例)
上記においては、PVパネル及び蓄電池を含むハイブリッドシステムに関して説明したが、これに限定されない。PVパネルを含まない蓄電システムであってもよい。図9を参照して、第2変形例に係る電力変換装置220は、蓄電池106に接続された蓄電用コンバータ108と、蓄電用コンバータ108に接続されたキャパシタ110とを含む。電力変換装置220はさらに、キャパシタ110に接続されたインバータ112と、蓄電用コンバータ108及びインバータ112を制御する制御部222とを含む。蓄電池106、電力変換装置220及びリレー116は、蓄電システムを構成する。電力変換装置220は、図5に示した電力変換装置100において、PVパネル102及びPV用コンバータ104を除外し、制御部114を制御部222により代替したものである。電力変換装置220のその他の構成は電力変換装置100と同じである。
【0060】
制御部222は、図5に示した制御部114と同様に、蓄電用コンバータ108及びインバータ112の各々を制御する。制御部222は、制御部114と同様に、電圧センサ120により、系統における瞬低の発生及び瞬低からの復帰を検出する。瞬低及び復帰時の制御部222の動作は、図6に示したフローチャートにおいてステップ308及びステップ312を除外したものである。即ち、瞬低が発生した場合(即ち、ステップ300の判定結果がYES)、蓄電池106が充電可能か否かを判定せずに、制御部222は蓄電用コンバータ108にDCバス電圧制御を実行させる(ステップ310参照)。
【0061】
したがって、電力変換装置220は、電力変換装置100と同様に、瞬低の発生及び瞬低からの復帰を迅速に検知でき、瞬低の発生を検知した場合、インバータ112にFRT要件を見たすための制御を実行させ、蓄電用コンバータ108に迅速にDCバス電圧制御を実行させることができる。また、瞬低から復帰を検知した場合、迅速に、インバータ112にDCバス電圧制御を実行させ、蓄電用コンバータ108に定常時の動作を実行させることができる。したがって、キャパシタの電圧を高く設定することなく、電力変換装置220は、瞬低の発生及び瞬低からの復帰に迅速に対応できる。キャパシタの電圧を高く設定する必要がないので、耐圧が高い部品を使用する必要もない。そのため、コストの上昇及びサイズの増大を抑制できる。
【0062】
上記したように、制御部222は、電圧センサ120により瞬低が検出されたことを受けて蓄電用コンバータ108がDCバス電圧制御を実行している状態において、電圧センサ120により復帰が検出されたことを受けて、インバータ112にDCバス電圧制御を実行させる。これにより、電力変換装置220は、瞬低からの復帰に、より迅速に対応できる。
【0063】
(第3変形例)
上記においては、蓄電池を含むシステムに関して説明したが、これに限定されない。蓄電池を含まない太陽光発電システムであってもよい。図10を参照して、第3変形例に係る電力変換装置240は、PVパネル102に接続されたPV用コンバータ104と、PV用コンバータ104に接続されたキャパシタ110とを含む。電力変換装置240はさらに、キャパシタ110に接続されたインバータ112と、PV用コンバータ104及びインバータ112を制御する制御部242とを含む。PVパネル102、電力変換装置240及びリレー116は、太陽光発電システムを構成する。電力変換装置240は、図5に示した電力変換装置100において、蓄電池106及び蓄電用コンバータ108を除外し、制御部114を制御部242により代替したものである。電力変換装置240のその他の構成は電力変換装置100と同じである。
【0064】
制御部242は、図5に示した制御部114と同様に、PV用コンバータ104及びインバータ112の各々を制御する。制御部242は、制御部114と同様に、電圧センサ120により、系統における瞬低の発生及び瞬低からの復帰を検出する。瞬低及び復帰時の制御部242の動作は、図6に示したフローチャートからステップ308及びステップ310を除外したものである。即ち、瞬低が発生した場合(即ち、ステップ300の判定結果がYES)、制御部242は、PV用コンバータ104にDCバス電圧制御を実行させる(ステップ312参照)。
【0065】
したがって、電力変換装置240は、電力変換装置100と同様に、瞬低の発生及び瞬低からの復帰を迅速に検知でき、瞬低の発生を検知した場合、インバータ112にFRT要件を見たすための制御を実行させ、PV用コンバータ104に迅速にDCバス電圧制御を実行させることができる。また、瞬低から復帰を検知した場合、迅速に、インバータ112にDCバス電圧制御を実行させ、PV用コンバータ104に定常時の動作を実行させることができる。したがって、キャパシタの電圧を高く設定することなく、電力変換装置240は、瞬低の発生及び瞬低からの復帰に迅速に対応できる。キャパシタの電圧を高く設定する必要がないので、耐圧が高い部品を使用する必要もない。そのため、コストの上昇及びサイズの増大を抑制できる。
【0066】
上記したように、制御部242は、電圧センサ120により瞬低が検出されたことを受けてPV用コンバータ104がDCバス電圧制御を実行している状態において、電圧センサ120により復帰が検出されたことを受けて、インバータ112にDCバス電圧制御を実行させる。これにより、電力変換装置240は、瞬低からの復帰に、より迅速に対応できる。
【0067】
上記においては、電力供給システムが、直流電源として少なくともPVパネル又は蓄電池を含む場合を説明したが、これに限定されない。電力供給システムは、PVパネル及び蓄電池のいずれとも異なる直流電源を含んでいてもよい。
【0068】
以上、実施の形態を説明することにより本開示を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本開示は上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本開示の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0069】
100、200、220、240、900 電力変換装置
102、202、902 PVパネル
104、204、904 PV用コンバータ
106、906 蓄電池
108、908 蓄電用コンバータ
110、910 キャパシタ
112、912 インバータ
114、206、222、242 制御部
116、916 リレー
118、918 電流センサ
120 電圧センサ
122、922 主幹
124、924 電力量計
126、926 系統
128、928 分電盤
130、930 負荷
300、302、304、306、308、310、312、940、942、944、946、948、960、962、964、966、968、980、982、984、986、988、990、992 ステップ
t0、t1、t2、t3、t4 時刻
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10