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特開2023-167735燃料電池用セパレータ部材及び燃料電池スタック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167735
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】燃料電池用セパレータ部材及び燃料電池スタック
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0247 20160101AFI20231116BHJP
   H01M 8/0206 20160101ALI20231116BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20231116BHJP
【FI】
H01M8/0247
H01M8/0206
H01M8/10 101
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079144
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】大森 優
(72)【発明者】
【氏名】永井 泰大
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA12
5H126BB06
5H126DD05
5H126EE11
5H126EE22
5H126GG02
(57)【要約】
【解決手段】燃料電池スタック10を形成する燃料電池用セパレータ部材であるセパレータ部材26の第1位置決め部62には、第1位置決め孔66が形成されている。第1位置決め部62は、補強リブ68と接合部70とを有する。補強リブ68は、第1位置決め孔66の外側に線状に延在するとともに第1金属セパレータ30及び第2金属セパレータ32の各々から突出する。接合部70は、補強リブ68と第1位置決め孔66との間に位置して第1金属セパレータ30と第2金属セパレータ32とを互いに接合する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一組の金属セパレータが互いに接合されて形成された接合セパレータを備え、前記接合セパレータの外周部には、前記接合セパレータとMEA部材とを含む複数の積層単位を互いに積層する時にセパレータ厚さ方向と直交する方向に位置決めするための位置決め部が設けられている燃料電池用セパレータ部材であって、
前記位置決め部には、前記接合セパレータの外方に向かって開口するように前記接合セパレータの外周部を切り欠いた位置決め孔が形成され、
前記位置決め部は、
前記位置決め孔の外側に線状に延在するとともに前記一組の金属セパレータの少なくとも一方から前記セパレータ厚さ方向に突出した補強リブと、
前記補強リブと前記位置決め孔との間に位置して前記一組の金属セパレータを互いに接合する接合部と、を有する、燃料電池用セパレータ部材。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池用セパレータ部材であって、
前記接合部は、前記位置決め孔の外形に沿って線状に延在している、燃料電池用セパレータ部材。
【請求項3】
請求項2記載の燃料電池用セパレータ部材であって
前記接合部は、直線状又は波状に延在している、燃料電池用セパレータ部材。
【請求項4】
請求項3記載の燃料電池用セパレータ部材であって、
前記接合部は、前記補強リブと前記位置決め孔との間に複数設けられている、燃料電池用セパレータ部材。
【請求項5】
請求項1記載の燃料電池用セパレータ部材であって、
前記位置決め部は、前記位置決め孔と前記補強リブとの間に位置して前記一組の金属セパレータのいずれかから前記セパレータ厚さ方向に突出した追加リブを有する、燃料電池用セパレータ部材。
【請求項6】
請求項1記載の燃料電池用セパレータ部材であって、
前記補強リブは、
前記位置決め孔の外形に対応した形状に延在したリブ本体と、
前記リブ本体から前記位置決め孔に向かって延出した延出リブと、を含む、燃料電池用セパレータ部材。
【請求項7】
請求項6記載の燃料電池用セパレータ部材であって、
前記延出リブは、前記リブ本体に複数設けられ、
前記接合部は、互いに隣り合う前記延出リブの間に位置している、燃料電池用セパレータ部材。
【請求項8】
MEA部材とセパレータ部材とを含む複数の積層単位が互いに積層されて形成された積層体を備える燃料電池スタックであって、
前記セパレータ部材は、請求項1~7のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ部材である、燃料電池スタック。
【請求項9】
第1MEA部材、第1セパレータ部材、第2MEA部材及び第2セパレータ部材がこの順に積層されて形成された積層体を備える燃料電池スタックであって、
前記第1セパレータ部材及び前記第2セパレータ部材の各々は、請求項1~7のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ部材であり、
前記接合セパレータの外周部には、前記位置決め部に隣接する位置に当該接合セパレータの外方に開口するように切欠き部が形成され、
前記切欠き部は、前記位置決め孔よりも大きく、
前記第1MEA部材、前記第1セパレータ部材、前記第2MEA部材及び前記第2セパレータ部材の積層方向から見て、前記第1セパレータ部材の前記位置決め孔の外形は、前記第2セパレータ部材の前記切欠き部の外形よりも内側に位置し、前記第2セパレータ部材の前記位置決め孔の外形は、前記第1セパレータ部材の前記切欠き部の外形よりも内側に位置する、燃料電池スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用セパレータ部材及び燃料電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能且つ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する燃料電池に関する研究開発が行われている。燃料電池スタックは、燃料電池用のセパレータ部材とMEA部材(MEA:Membrane Electrode Assembly)とが交互に積層された積層体を備える。
【0003】
例えば、特許文献1には、MEA部材及びセパレータ部材を積層する時に、ノックピンをセパレータ部材の外周部に形成された位置決め孔に通すことによりセパレータ部材をセパレータ厚さ方向と直交する方向に位置決めすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-196849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来技術では、ノックピン(位置決めガイド)が位置決め孔の内周面に当たることによって、セパレータ部材の外周部が変形するおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、一組の金属セパレータが互いに接合されて形成された接合セパレータを備え、前記接合セパレータの外周部には、前記接合セパレータとMEA部材とを含む複数の積層単位を互いに積層する時にセパレータ厚さ方向と直交する方向に位置決めするための位置決め部が設けられている燃料電池用セパレータ部材であって、前記位置決め部には、前記接合セパレータの外方に向かって開口するように前記接合セパレータの外周部を切り欠いた位置決め孔が形成され、前記位置決め部は、前記位置決め孔の外側に線状に延在するとともに前記一組の金属セパレータの少なくとも一方から前記セパレータ厚さ方向に突出した補強リブと、前記補強リブと前記位置決め孔との間に位置して前記一組の金属セパレータを互いに接合する接合部と、を有する、燃料電池用セパレータ部材である。
【0008】
本発明の第2の態様は、MEA部材とセパレータ部材とを含む複数の積層単位が互いに積層されて形成された積層体を備える燃料電池スタックであって、前記セパレータ部材は、上述した燃料電池用セパレータ部材である、燃料電池スタックである。
【0009】
本発明の第3の態様は、第1MEA部材、第1セパレータ部材、第2MEA部材及び第2セパレータ部材がこの順に積層されて形成された積層体を備える燃料電池スタックであって、前記第1セパレータ部材及び前記第2セパレータ部材の各々は、上述した燃料電池用セパレータ部材であり、前記接合セパレータの外周部には、前記位置決め部に隣接する位置に当該接合セパレータの外方に開口するように切欠き部が形成され、前記切欠き部は、前記位置決め孔よりも大きく、前記第1MEA部材、前記第1セパレータ部材、前記第2MEA部材及び前記第2セパレータ部材の積層方向から見て、前記第1セパレータ部材の前記位置決め孔の外形は、前記第2セパレータ部材の前記切欠き部の外形よりも内側に位置し、前記第2セパレータ部材の前記位置決め孔の外形は、前記第1セパレータ部材の前記切欠き部の外形よりも内側に位置する、燃料電池スタックである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の積層単位を互いに積層する時に、位置決めガイドを位置決め孔に挿通させることによりセパレータ部材をセパレータ厚さ方向と直交する方向に精度よく位置決めすることができる。また、位置決め部が補強リブと接合部を有するため、位置決め部の剛性を高めることができる。これにより、位置決めガイドが位置決め孔を形成する孔壁部に接触した場合であっても、位置決め部(セパレータ部材の外周部)が変形することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池スタックの斜視図である。
図2図2は、図1の燃料電池スタックの第1の一部分解斜視図である。
図3図3は、図1の燃料電池スタックの第2の一部分解斜視図である。
図4図4は、第1セパレータ部材の平面図である。
図5図5は、図4の第1セパレータ部材の第1位置決め部の平面説明図である。
図6図6は、第2セパレータ部材の平面図である。
図7図7は、図6の第2セパレータ部材の第1位置決め部の平面説明図である。
図8図8は、第1セパレータ部材と第2セパレータ部材とが重ねられた状態における第1位置決め部の平面説明図である。
図9図9は、図8のIX-IX線に沿った断面図である。
図10図10は、積層装置の載置台に第2セパレータ部材を配置した状態を示す平面説明図である。
図11図11は、第1変形例に係る第1位置決め部の平面説明図である。
図12図12は、第2変形例に係る第1位置決め部の平面説明図である。
図13図13は、第3変形例に係る第1位置決め部の平面説明図である。
図14図14は、第4変形例に係る第1位置決め部の平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る燃料電池スタック10は、積層体12を備える。積層体12は、水平方向(矢印A方向)に積層された複数の発電セル14を有する。各発電セル14は、単位燃料電池を構成する。燃料電池スタック10は、例えば、図示しない燃料電池電気自動車等の燃料電池車両に搭載される。
【0013】
積層体12の積層方向一端(矢印A1方向の端)には、ターミナルプレート16a、インシュレータ18a及びエンドプレート20aが外方に向かって、順次、配設される。積層体12の積層方向他端(矢印A2方向の端)には、ターミナルプレート16b、インシュレータ18b及びエンドプレート20bが外方に向かって、順次、配設される。エンドプレート20a及びエンドプレート20bの各辺間には、連結バー22が配置される。各ターミナルプレート16a、16bは、電気導電性を有する材料から構成される。
【0014】
エンドプレート20a、20bは、横長の長方形状を有する。各連結バー22は、両端をエンドプレート20a、20bの内面にボルト24を介して固定される。これにより、積層体12には、積層方向(矢印A方向)の圧縮荷重が付与される。なお、燃料電池スタック10は、2つのエンドプレート20a、20bを端板とする筐体を備えてもよい。この場合、当該筐体内には、積層体12が収容される。
【0015】
図2及び図3に示すように、積層体12は、第1セパレータ部材26a、第1MEA部材28a、第2セパレータ部材26b及び第2MEA部材28bが矢印A方向に積層されて形成されている。
【0016】
第1セパレータ部材26aと第2セパレータ部材26bとは、基本的な構成は互いに同じであり、後述する第1位置決め孔66及び第1切欠き部64の配置が互いに異なる。第1MEA部材28aと第2MEA部材28bとは、基本的な構成は互いに同じであり、第2位置決め孔84及び第2切欠き部86の配置が互いに異なる。
【0017】
以下の説明では、便宜上、第1セパレータ部材26aと第2セパレータ部材26bとを特に区別しない場合に単に「セパレータ部材26」と呼び、第1MEA部材28aと第2MEA部材28bとを特に区別しない場合に単に「MEA部材28」と呼ぶことがある。積層体12は、セパレータ部材26とMEA部材28とが交互に積層されて形成される。セパレータ部材26は、燃料電池用セパレータ部材である。
【0018】
また、第1セパレータ部材26aと第1MEA部材28aとは、互いに接合されて第1の積層単位29aを構成し、第2セパレータ部材26bと第2MEA部材28bとは、互いに接合されて第2の積層単位29bを構成する。第1の積層単位29aと第2の積層単位29bとを特に区別しない場合に単に「積層単位29」と呼ぶことがある。
【0019】
図3において、発電セル14は、横長に延びている。発電セル14は、MEA部材28、第1金属セパレータ30及び第2金属セパレータ32を有する。MEA部材28は、MEA34(電解質膜・電極構造体)と樹脂フィルム36とを有する。
【0020】
第1金属セパレータ30は、MEA部材28に対して矢印A2方向に隣接している。第2金属セパレータ32は、MEA部材28に対して矢印A1方向に隣接している。第1金属セパレータ30及び第2金属セパレータ32は、矢印A方向からMEA部材28を挟持する。
【0021】
第1金属セパレータ30及び第2金属セパレータ32は、互いに接合されて接合セパレータ33を形成する。接合セパレータ33は、第1金属セパレータ30の外周部と第2金属セパレータ32の外周部とを互いに重ねて接合する外周接合ライン38を有する(図2参照)。外周接合ライン38は、溶接、ろう付け、かしめ等によって形成される。なお、接合セパレータ33は、外周接合ライン38以外の接合ラインを有してもよい。
【0022】
MEA34は、電解質膜40、カソード電極42及びアノード電極44を含む。電解質膜40は、例えば、固体高分子電解質膜(陽イオン交換膜)である。固体高分子電解質膜は、例えば、水分を含んだパーフルオロスルホン酸の薄膜である。電解質膜40は、フッ素系電解質の他、HC(炭化水素)系電解質を使用することができる。電解質膜40は、カソード電極42及びアノード電極44に挟持される。
【0023】
樹脂フィルム36は、MEA34の外周部を囲む。樹脂フィルム36は、電気的絶縁性を有する。樹脂フィルム36の構成材料としては、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPA(ポリフタルアミド)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルフォン)、LCP(リキッドクリスタルポリマー)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、m-PPE(変性ポリフェニレンエーテル樹脂)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)又は変性ポリオレフィン等が挙げられる。
【0024】
発電セル14の長辺方向の一端縁部(矢印B1方向の端縁部)には、酸化剤ガス供給連通孔46a、冷却媒体供給連通孔48a及び燃料ガス排出連通孔50bが設けられている。酸化剤ガス供給連通孔46a、冷却媒体供給連通孔48a及び燃料ガス排出連通孔50bは、発電セル14の短辺方向(矢印C方向)に配列して設けられている。
【0025】
酸化剤ガス供給連通孔46aには、酸化剤ガス(例えば、酸素含有ガス)が矢印A2方向に向かって流通する。冷却媒体供給連通孔48aには、冷却媒体(例えば、純水、エチレングリコール、オイル等)が矢印A2方向に向かって流通する。燃料ガス排出連通孔50bには、燃料ガス(例えば、水素含有ガス)が矢印A1方向に向かって流通する。
【0026】
発電セル14の長辺方向の他端縁部(矢印B2方向の端縁部)には、燃料ガス供給連通孔50a、冷却媒体排出連通孔48b及び酸化剤ガス排出連通孔46bが設けられている。燃料ガス供給連通孔50a、冷却媒体排出連通孔48b、酸化剤ガス排出連通孔46bは、発電セル14の短辺方向(矢印C方向)に配列して設けられている。
【0027】
燃料ガス供給連通孔50aには、燃料ガスが矢印A2方向に向かって流通する。冷却媒体排出連通孔48bには、冷却媒体(冷媒)が矢印A1方向に向かって流通する。酸化剤ガス排出連通孔46bには、酸化剤ガスが矢印A1方向に向かって流通する。
【0028】
酸化剤ガス供給連通孔46a、酸化剤ガス排出連通孔46b、冷却媒体供給連通孔48a、冷却媒体排出連通孔48b、燃料ガス供給連通孔50a及び燃料ガス排出連通孔50bは、ターミナルプレート16a、インシュレータ18a及びエンドプレート20aの各々にも形成されている(図1参照)。これら連通孔(酸化剤ガス供給連通孔46a等)の配置、形状及び大きさは、本実施形態に限定されるものではなく、要求される仕様に応じて、適宜設定すればよい。
【0029】
図4に示すように、第1金属セパレータ30は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板又はアルミニウム板等の金属薄板である。第1金属セパレータ30は、表面に防食用の表面処理が施されてもよい。第1金属セパレータ30は、長方形状に形成されている。
【0030】
第1金属セパレータ30のMEA部材28に向かう面(以下、「表面30a」という)には、発電セル14の長辺方向(矢印B方向)に延在する燃料ガス流路52が設けられている。燃料ガス流路52は、燃料ガス供給連通孔50aと燃料ガス排出連通孔50bとに流体的に連通する。燃料ガス流路52は、アノード電極44に燃料ガスを供給する。
【0031】
第1金属セパレータ30の表面30aには、反応ガス(酸化剤ガス若しくは燃料ガス)又は冷却媒体である燃料電池用の流体の漏出を防止するための第1シール部54が設けられている。第1シール部54は、セパレータ厚さ方向(矢印A方向)から見て、直線状に延在している。ただし、第1シール部54は、セパレータ厚さ方向から見て、波状に延在してもよい。
【0032】
第1シール部54は、第1金属セパレータ30をプレス成形することにより横断面が台形状又は矩形状に形成されている。第1シール部54は、第1金属セパレータ30から樹脂フィルム36に向かって突出している。第1シール部54は、樹脂フィルム36に対して気密且つ液密に接触する。第1シール部54の突出端面には、樹脂材が塗布されてもよい。また、第1シール部54は、いわゆる金属製のビードシールに限定されず、ゴムシールであってもよい。第1シール部54は、複数の連通孔(酸化剤ガス供給連通孔46a等)を個別に囲む。また、第1シール部54は、燃料ガス流路52を囲む。
【0033】
図3に示すように、第2金属セパレータ32は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板又はアルミニウム板等の金属薄板である。第2金属セパレータ32は、表面に防食用の表面処理が施されてもよい。第2金属セパレータ32は、長方形状に形成されている。
【0034】
第2金属セパレータ32のMEA部材28に向かう面(以下、「表面32a」という)には、発電セル14の長辺方向(矢印B方向)に延在する酸化剤ガス流路56が設けられている。酸化剤ガス流路56は、酸化剤ガス供給連通孔46aと酸化剤ガス排出連通孔46bとに流体的に連通する。酸化剤ガス流路56は、カソード電極42に酸化剤ガスを供給する。
【0035】
第2金属セパレータ32の表面32aには、反応ガス(酸化剤ガス若しくは燃料ガス)又は冷却媒体である燃料電池用の流体の漏出を防止するための第2シール部58が設けられている。第2シール部58は、セパレータ厚さ方向(矢印A方向)から見て、直線状に延在している。ただし、第2シール部58は、セパレータ厚さ方向から見て、波状に延在してもよい。
【0036】
第2シール部58は、第2金属セパレータ32をプレス成形することにより横断面が台形状又は矩形状に形成されている。第2シール部58は、第2金属セパレータ32から樹脂フィルム36に向かって突出している。第2シール部58は、樹脂フィルム36に対して気密且つ液密に接触する。第2シール部58の突出端面には、樹脂材が塗布されてもよい。また、第2シール部58は、いわゆる金属製のビードシールに限定されず、ゴムシールであってもよい。第2シール部58は、複数の連通孔(酸化剤ガス供給連通孔46a等)を個別に囲む。また、第2シール部58は、酸化剤ガス流路56を囲む。
【0037】
互いに接合される第1金属セパレータ30の面30bと第2金属セパレータ32の面32bとの間には、冷却媒体供給連通孔48aと冷却媒体排出連通孔48bとに流体的に連通する冷却媒体流路60が形成される。
【0038】
図4に示すように、第1セパレータ部材26aは、複数の第1位置決め部62と、複数の第1切欠き部64とを有する。本実施形態において、第1セパレータ部材26aは、3つの第1位置決め部62と、3つの第1切欠き部64とを有する。第1位置決め部62は、第1セパレータ部材26aの外周部に位置する。具体的に、3つの第1位置決め部62は、第1セパレータ部材26aの矢印C方向の端部(矢印C2方向の端部)と、第1セパレータ部材26aの矢印B方向の両端部の各々とに設けられている。つまり、第1セパレータ部材26aの矢印C1方向の端部には、第1位置決め部62が設けられていない。
【0039】
図5に示すように、第1位置決め部62には、第1位置決め孔66が形成されている。第1位置決め孔66は、接合セパレータ33の外方に向かって開口するように接合セパレータ33の外周部を切り欠いている。第1位置決め孔66は、四角形状に形成されている。第1位置決め孔66の幅W1は、第1切欠き部64の幅W2よりも狭い。第1位置決め孔66における接合セパレータ33の内方に向かう長さL1は、第1切欠き部64における接合セパレータ33の内方に向かう長さL2よりも短い。
【0040】
第1位置決め部62は、補強リブ68及び接合部70を有する。補強リブ68は、第1位置決め孔66の外側に線状に延在している。図9に示すように、補強リブ68は、第1リブ72と第2リブ74とを含む。第1リブ72は、第1金属セパレータ30から第1MEA部材28aに向かって(矢印A1方向)に突出している。第1リブ72は、プレス成形により第1金属セパレータ30に一体成形される。
【0041】
第1セパレータ部材26aの第1リブ72の突出端面は、積層体12に締付荷重が付与された状態でMEA部材28の樹脂フィルム36の一方の面に接触する。第2リブ74の突出端面は、積層体12に締付荷重が付与された状態でMEA部材28の樹脂フィルム36の他方の面に接触する。本実施形態では、第1セパレータ部材26aの第1リブ72と第2セパレータ部材26bの第2リブ74とによってMEA部材28の樹脂フィルム36が挟持される。ただし、第1リブ72及び第2リブ74は、樹脂フィルム36から離間してもよい。
【0042】
図5に示すように、第1リブ72は、第1線状リブ76と、3つの第2線状リブ78、80、82とを含む。第1線状リブ76は、外周接合ライン38に沿って直線状に延在している。各第2線状リブ78、80、82は、第1線状リブ76から接合セパレータ33の外方に向かって直線状に延出している。各第2線状リブ78、80、82の先端部は、矢印A方向から見て円弧状に形成されている。
【0043】
3つの第2線状リブ78、80、82は、第1線状リブ76の延在方向に互いに間隔を空けて配置されている。第2線状リブ78は、第1線状リブ76の延在方向の一端と中央との間の部分から延出している。第2線状リブ80は、第1線状リブ76の延在方向の中央から延出している。第2線状リブ82は、第1線状リブ76の延在方向の他端と中央との間の部分から延出している。第2線状リブ78、80、82の延出端は、接合セパレータ33の外周よりも内側に位置している。第1位置決め孔66は、互いに隣り合う第2線状リブ78、80の間に位置する。第1リブ72は、第1位置決め孔66から離間している。
【0044】
図9において、第2リブ74は、第2金属セパレータ32から第1MEA部材28aに向かって(矢印A2方向)に突出している。第2リブ74は、プレス成形により第2金属セパレータ32に一体成形される。第2リブ74は、第1リブ72と同一の大きさ及び同一の形状に構成されている。第1リブ72と第2リブ74とは、セパレータ厚さ方向から見て互いに重なるように位置する。
【0045】
図5及び図9に示すように、接合部70は、補強リブ68と第1位置決め孔66との間に位置して第1金属セパレータ30と第2金属セパレータ32とを互いに接合する。接合部70は、溶接、ろう付け等によって形成される。接合部70は、レーザ溶接が好ましい。接合部70は、第1位置決め孔66の外形に沿うように直線状に延在している。接合部70は、第1位置決め孔66及び補強リブ68の各々に対して離間している。
【0046】
3つの第1切欠き部64は、3つの第1位置決め部62の各々に隣接するように設けられている(図4参照)。図5に示すように、第1切欠き部64は、四角形状に形成されている。第1切欠き部64は、第1位置決め孔66よりも大きい。すなわち、第1切欠き部64の幅W2は、第1位置決め孔66の幅W1よりも広く、第1切欠き部64の長さL2は、第1位置決め孔66の長さL2よりも長い。第1切欠き部64は、第2線状リブ80と第2線状リブ82との間に位置する。
【0047】
図6に示すように、第2セパレータ部材26bは、第1セパレータ部材26aと比較して、接合セパレータ33に対する第1位置決め孔66、接合部70及び第1切欠き部64の配置のみが異なる。なお、第2セパレータ部材26bは、第1セパレータ部材26aと同一の補強リブ68を有する。
【0048】
図6図9に示すように、第2セパレータ部材26bにおいて、第1位置決め孔66は、第2線状リブ80と第2線状リブ82との間に位置する。接合部70は、第1位置決め孔66と補強リブ68との間に位置する。第1切欠き部64は、第2線状リブ78と第2線状リブ80との間に位置する。すなわち、第2セパレータ部材26bでは、第1位置決め孔66及び第1切欠き部64の隣接する左右の位置関係が第1セパレータ部材26aの第1位置決め孔66及び第1切欠き部64と逆になっている。
【0049】
図2及び図9に示すように、第1MEA部材28aは、複数の第2位置決め孔84と、複数の第2切欠き部86とを有する。本実施形態において、第1MEA部材28aは、3つの第2位置決め孔84と、3つの第2切欠き部86とを有する。第2位置決め孔84及び第2切欠き部86は、樹脂フィルム36の外周部に設けられている。第2位置決め孔84は、第1位置決め孔66と同一の大きさ及び形状を有する。第2切欠き部86は、第1切欠き部64と同一の大きさ及び形状を有する。
【0050】
第1MEA部材28aの3つの第2位置決め孔84は、矢印A方向から見て、第1セパレータ部材26aの3つの第1位置決め孔66にそれぞれ重なるように位置している。第1MEA部材28aの3つの第2切欠き部86は、矢印A方向から見て、第1セパレータ部材26aの3つの第1切欠き部64にそれぞれ重なるように位置している。第1MEA部材28aと第1セパレータ部材26aとは、互いに重ねられた状態で接合されて第1の積層単位29aを形成する。
【0051】
第2MEA部材28bは、第1MEA部材28aと比較して、樹脂フィルム36に対する第2位置決め孔84及び第2切欠き部86の配置のみが異なる。第2MEA部材28bの3つの第2位置決め孔84は、矢印A方向から見て、第2セパレータ部材26bの3つの第1位置決め孔66にそれぞれ重なるように位置している。第2MEA部材28bの3つの第2切欠き部86は、矢印A方向から見て、第2セパレータ部材26bの3つの第1切欠き部64にそれぞれ重なるように位置している。第2MEA部材28bと第2セパレータ部材26bとは、互いに重ねられた状態で接合されて第2の積層単位29bを形成する。
【0052】
図8及び図9に示すように、矢印A方向から見て、第1セパレータ部材26aの第1位置決め孔66の外形は、第2セパレータ部材26bの第1切欠き部64の外形よりも内側に位置する。矢印A方向から見て、第2セパレータ部材26bの第1位置決め孔66の外形は、第1セパレータ部材26aの第1切欠き部64の外形よりも内側に位置する。
【0053】
このように構成される燃料電池スタック10は、以下のように動作する。
【0054】
まず、図1に示すように、燃料ガスは、エンドプレート20aの燃料ガス供給連通孔50aに供給される。酸化剤ガスは、エンドプレート20aの酸化剤ガス供給連通孔46aに供給される。冷却媒体は、エンドプレート20aの冷却媒体供給連通孔48aに供給される。
【0055】
図2に示すように、燃料ガスは、燃料ガス供給連通孔50aから第1金属セパレータ30の燃料ガス流路52に導入される。燃料ガスは、燃料ガス流路52を矢印B1方向に流れながらMEA34のアノード電極44に供給される。
【0056】
一方、図3に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給連通孔46aから第2金属セパレータ32の酸化剤ガス流路56に導入される。酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路56を矢印B2方向に流れながらMEA34のカソード電極42に供給される。
【0057】
MEA34では、アノード電極44に供給される燃料ガスと、カソード電極42に供給される酸化剤ガスとが、電気化学反応により消費される。この結果、発電が行われる。次いで、アノード電極44に供給されて消費された燃料ガスは、燃料オフガスとして、燃料ガス流路52から燃料ガス排出連通孔50bに排出される。カソード電極42で消費された酸化剤ガスは、酸化剤オフガスとして、酸化剤ガス流路56から酸化剤ガス排出連通孔46bに排出される。
【0058】
冷却媒体供給連通孔48aに供給された冷却媒体は、第1金属セパレータ30と第2金属セパレータ32との間に形成された冷却媒体流路60に導入される。冷却媒体は、冷却媒体流路60に導入された後、矢印B方向に流通する。この冷却媒体は、MEA34を冷却した後、冷却媒体排出連通孔48bから排出される。
【0059】
次に、複数の積層単位29を互いに積層する積層装置100について説明する。
【0060】
図10に示すように、積層装置100は、載置台102と、3つの位置決めガイド104とを備える。載置台102は、上方からの平面視で長方形状に形成されている。載置台102の外形は、セパレータ部材26の外形よりも外側に位置する。
【0061】
位置決めガイド104は、載置台102から上方に向かって直線状に延在している。位置決めガイド104は、載置台102の外周部に固定されている。3つの位置決めガイド104は、載置台102の短辺に沿った方向の片方の端部と、載置台102の長辺に沿った両端部の各々とに設けられている。位置決めガイド104は、上方からの平面視で、U字状に形成されている。位置決めガイド104は、ガイド基部106、第1凸部108及び第2凸部110を有する。
【0062】
ガイド基部106は、載置台102の外形に沿って延在している。第1凸部108は、ガイド基部106の延在方向の一端部から載置台102の内側に向かって突出している。第2凸部110は、ガイド基部106の延在方向の他端部から載置台102の内側に向かって突出している。第1凸部108及び第2凸部110の各々は、第1位置決め孔66の形状と対応した形状を有する。換言すれば、第1凸部108及び第2凸部110の各々は、上方から見て、四角形状である。
【0063】
第1凸部108の幅W3(ガイド基部106の延在方向に沿った長さ)は、第2凸部110の幅W4(ガイド基部106の延在方向に沿った長さ)と同じである。幅W3、W4は、第1位置決め孔66の幅W1よりも若干狭い。ガイド基部106からの第1凸部108の突出長L3は、ガイド基部106からの第2凸部110の突出長L4と同じである。突出長L3、L4は、第1位置決め孔66の長さL1よりも若干短い。
【0064】
複数の積層単位29を互いに積層する場合、まず、載置台102の上に、例えば、第2の積層単位29bを配置する。
【0065】
第2の積層単位29bを載置台102に配置する場合、第2セパレータ部材26bの3つの第1位置決め孔66と第2MEA部材28bの3つの第2位置決め孔84とに3つの位置決めガイド104の第2凸部110をそれぞれ挿通させる。これにより、第2の積層単位29bは、載置台102に対して上下方向と直交する方向に精度よく位置決めされた状態で載置される。また、第2セパレータ部材26bの第1位置決め部62は、補強リブ68及び接合部70によって剛性が高くなっている。そのため、位置決めガイド104の第2凸部110が第1位置決め孔66を形成する孔壁部66aに接触した場合でも、第2セパレータ部材26bの第1位置決め部62が変形することを抑制できる。
【0066】
なお、第2の積層単位29bを載置台102に配置する時、第2セパレータ部材26bの3つの第1切欠き部64と第2MEA部材28bの3つの第2切欠き部86とに3つの位置決めガイド104の第1凸部108がそれぞれ挿通する。この時、第1切欠き部64及び第2切欠き部86は第1位置決め孔66及び第2位置決め孔84よりも大きいため、第1凸部108が第2セパレータ部材26bの第1切欠き部64を形成する切欠き壁部64aに接触することを抑制できる。
【0067】
続いて、第1の積層単位29aを第2の積層単位29bの上に配置する。すなわち、第1セパレータ部材26aの3つの第1位置決め孔66と第1MEA部材28aの3つの第2位置決め孔84とに3つの位置決めガイド104の第1凸部108をそれぞれ挿通させる。これにより、第1の積層単位29aは、第2の積層単位29bに対して精度よく位置決めされた状態で重ねられる。また、第1セパレータ部材26aの第1位置決め部62は、補強リブ68及び接合部70によって剛性が高くなっている。そのため、位置決めガイド104の第1凸部108が第1位置決め孔66を形成する孔壁部66aに接触した場合でも、第1セパレータ部材26aの第1位置決め部62が変形することを抑制できる。
【0068】
なお、第1の積層単位29aを第2の積層単位29bに積層する時、第1セパレータ部材26aの3つの第1切欠き部64と第1MEA部材28aの3つの第2切欠き部86とに3つの位置決めガイド104の第2凸部110がそれぞれ挿通する。この時、第1切欠き部64及び第2切欠き部86は第1位置決め孔66及び第2位置決め孔84よりも大きいため、第2凸部110が第1セパレータ部材26aの第1切欠き部64を形成する切欠き壁部64aに接触することを抑制できる。
【0069】
このようにして、第2の積層単位29bと第1の積層単位29aとが交互に積層されて積層体12が製造される。本実施形態において、3つの位置決めガイド104は、燃料電池スタック10の構成要素ではなく、積層装置100の構成要素として説明した。しかしながら、燃料電池スタック10は、3つの位置決めガイド104を備えてもよい。
【0070】
燃料電池スタック10が3つの位置決めガイド104を備える場合、これら位置決めガイド104は、例えば、2つのエンドプレート20a、20bの内面に固定される。また、第1セパレータ部材26aと第2セパレータ部材26bとの間の電気的な接触を防ぐために、位置決めガイド104及び第1位置決め部62の少なくともいずれかに絶縁被膜を施すのが好ましい。このような構成によれば、燃料電池スタック10に矢印B方向の衝突荷重が作用した場合に、第1セパレータ部材26aを第1凸部108に接触させるとともに第2セパレータ部材26bを第2凸部110に接触させることができる(図9参照)。そのため、複数のセパレータ部材26が矢印B方向に互いに位置ずれすることを抑制できる。
【0071】
本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0072】
本実施形態によれば、複数の積層単位29を互いに積層する時に、位置決めガイド104を第1位置決め孔66に挿通させることにより積層単位29をセパレータ厚さ方向と直交する方向に精度よく位置決めすることができる。また、第1位置決め部62が補強リブ68と接合部70を有するため、第1位置決め部62の剛性を高めることができる。これにより、位置決めガイド104が第1位置決め孔66を形成する孔壁部66aに接触した場合であっても、第1位置決め部62(セパレータ部材26の外周部)が変形することを抑制できる。
【0073】
接合部70は、第1位置決め孔66の外形に沿って線状に延在している。
【0074】
このような構成によれば、第1位置決め部62のうち第1位置決め孔66の周囲の剛性を効率よく高めることができる。
【0075】
接合部70は、直線状に延在している。
【0076】
このような構成によれば、第1位置決め部62に接合部70を簡単に設けることができる。
【0077】
燃料電池スタック10において、接合セパレータ33の外周部には、第1位置決め部62に隣接する位置に当該接合セパレータ33の外方に開口するように第1切欠き部64が形成されている。第1切欠き部64は、第1位置決め孔66よりも大きい。第1MEA部材28a、第1セパレータ部材26a、第2MEA部材28b及び第2セパレータ部材26bの積層方向から見て、第1セパレータ部材26aの第1位置決め孔66の外形は、第2セパレータ部材26bの第1切欠き部64の外形よりも内側に位置し、第2セパレータ部材26bの第1位置決め孔66の外形は、第1セパレータ部材26aの第1切欠き部64の外形よりも内側に位置する。
【0078】
このような構成によれば、第1セパレータ部材26aの第1位置決め部62が位置決めガイド104に当たり変形した場合であっても、変形した第1位置決め部62が第2セパレータ部材26bに接触することを抑制できる。また、第2セパレータ部材26bの第1位置決め部62が位置決めガイド104に当たり変形した場合であっても、変形した第1位置決め部62が第1セパレータ部材26aに接触することを抑制できる。よって、発電セル14の両側に位置する第1セパレータ部材26aと第2セパレータ部材26bとを電気的に絶縁することができる。
【0079】
(第1変形例)
次に、第1変形例に係る第1位置決め部62aについて説明する。第1変形例に係る第1位置決め部62aにおいて、上述した第1位置決め部62と同一の構成については同一の参照符号を付し、その説明については省略する。後述する第2~第4変形例についても同様である。
【0080】
図11に示すように、第1位置決め部62aは、補強リブ68と接合部70aとを有する。接合部70aは、第1位置決め孔66と補強リブ68との間に位置している。接合部70aは、第1位置決め孔66の外形に沿って波状に延在している。
【0081】
本変形例において、接合部70aは、波状に延在している。このような構成によれば、接合部70aを直線状に延在させた場合と比較して、接合長さを長くできるため接合部70aによって第1位置決め部62aの剛性を一層高めることができる。
【0082】
(第2変形例)
図12に示すように、第2変形例に係る第1位置決め部62bは、補強リブ68と2つの接合部70b、70cとを有する。2つの接合部70b、70cは、第1位置決め孔66と補強リブ68との間に位置する。接合部70bは、第1位置決め孔66の外形に沿って線状(直線状)に延在している。接合部70cは、接合部70bと補強リブ68との間に位置しいている。接合部70cは、接合部70bに沿って線状(直線状)に延在している。接合部70cは、接合部70bから離間している。
【0083】
本変形例において、接合部70b、70cは、補強リブ68と第1位置決め孔66との間に複数(2つ)設けられている。
【0084】
このような構成によれば、第1位置決め部62bの剛性を複数の接合部70b、70cによって一層高めることができる。
【0085】
本変形例は、上記の構成に限定されない。2つの接合部70b、70cのうちの少なくともいずれかは、第1変形例に係る接合部70aのように波状に延在してもよい。第1位置決め部62bは、3つ以上の接合部を有してもよい。
【0086】
(第3変形例)
図13に示すように、第3変形例に係る第1位置決め部62cは、補強リブ68、接合部70及び追加リブ120を有する。追加リブ120は、第1位置決め孔66と接合部70との間に位置する。追加リブ120は、第1位置決め孔66の外形に沿って線状に延在している。
【0087】
追加リブ120は、第1リブ117と第2リブ119とを含む。第1リブ117は、上述した第1リブ72と同様に構成される。すなわち、第1リブ117は、第1金属セパレータ30から第1MEA部材28aに向かって突出している。第1リブ117は、プレス成形により第1金属セパレータ30に一体成形される。
【0088】
第2リブ119は、上述した第2リブ74と同様に構成される。すなわち、第2リブ119は、第2金属セパレータ32から第2MEA部材28bに向かって突出している。第2リブ119は、プレス成形により第2金属セパレータ32に一体成形される。
【0089】
追加リブ120は、第1部位122、第2部位124及び第3部位126を含む。第1部位122は、補強リブ68の第1線状リブ76と第1位置決め孔66との間に位置する。第1部位122は、第1線状リブ76に対して平行に延在している。
【0090】
第2部位124は、第1部位122の一端部から接合セパレータ33の外周に向かって延出している。第2部位124は、補強リブ68の第2線状リブ78と第1位置決め孔66のとの間に位置する。第2部位124は、第2線状リブ78に対して平行に延在している。第3部位126は、第1部位122の他端部から接合セパレータ33の外周に向かって延出している。第3部位126は、補強リブ68の第2線状リブ80と第1位置決め孔66との間に位置する。第3部位126は、第2線状リブ80に対して平行に延在している。
【0091】
本変形例において、第1位置決め部62cは、第1位置決め孔66と補強リブ68との間に位置して第1金属セパレータ30及び第2金属セパレータ32からセパレータ厚さ方向に突出した追加リブ120を有する。
【0092】
このような構成によれば、第1位置決め部62cの剛性を追加リブ120によって一層高めることができる。
【0093】
本変形例は、上記の構成に限定されない。第1位置決め部62cは、接合部70に代えて上述した接合部70a又は複数の接合部70b、70cを有してもよい。
【0094】
(第4変形例)
図14に示すように、第4変形例に係る第1位置決め部62dは、補強リブ68aと、複数の接合部70dとを有する。補強リブ68aは、リブ本体130と、複数の延出リブ132を含む。リブ本体130は、上述した補強リブ68と同様の形状を有する。すなわち、リブ本体130は、第1線状リブ76と複数の第2線状リブ78、80、82とを含む。リブ本体130は、第1位置決め孔66の外形に対応した形状に延在している。
【0095】
複数の延出リブ132は、リブ本体130から第1位置決め孔66に向かって延出している。本実施形態では、第1位置決め部62dは、6つの延出リブ132を有する。2つの延出リブ132は、第1線状リブ76から第1位置決め孔66に向かって直線状に延出している。2つの延出リブ132は、第2線状リブ78から第2線状リブ80に向かって直線状に延出している。2つの延出リブ132は、第2線状リブ80から第2線状リブ78に向かって直線状に延出している。
【0096】
複数の接合部70dは、互いに隣り合う延出リブ132の間に位置する。本実施形態では、第1位置決め部62dは、5つの接合部70dを有する。各接合部70dは、延出リブ132から離間している。
【0097】
補強リブ68aは、リブ本体130と延出リブ132とを含む。リブ本体130は、第1位置決め孔66の外形に対応した形状に延在している。延出リブ132は、リブ本体130から第1位置決め孔66に向かって延出している。
【0098】
このような構成によれば、第1位置決め部62dの剛性を補強リブ68aによって効率よく高めることができる。
【0099】
延出リブ132は、リブ本体130に複数設けられている。接合部70dは、互いに隣り合う延出リブ132の間に位置している。
【0100】
このような構成によれば、第1位置決め部62dのうち互いに隣り合う延出リブ132の間の部分の剛性を接合部70dによって高めることができる。
【0101】
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
【0102】
本実施形態は、以下の内容を開示している。
【0103】
上記実施形態は、一組の金属セパレータ(30、32)が互いに接合されて形成された接合セパレータ(33)を備え、前記接合セパレータの外周部には、前記接合セパレータとMEA部材(28)とを含む複数の積層単位(29)を互いに積層する時にセパレータ厚さ方向と直交する方向に位置決めするための位置決め部(62、62a~62d)が設けられている燃料電池用セパレータ部材(26)であって、前記位置決め部には、前記接合セパレータの外方に向かって開口するように前記接合セパレータの外周部を切り欠いた位置決め孔(66)が形成され、前記位置決め部は、前記位置決め孔の外側に線状に延在するとともに前記一組の金属セパレータの少なくとも一方から前記セパレータ厚さ方向に突出した補強リブ(68、68a)と、前記補強リブと前記位置決め孔との間に位置して前記一組の金属セパレータを互いに接合する接合部(70、70a~70d)と、を有する、燃料電池用セパレータ部材を開示している。
【0104】
上記の燃料電池用セパレータ部材において、前記接合部は、前記位置決め孔の外形に沿って線状に延在してもよい。
【0105】
上記の燃料電池用セパレータ部材において、前記接合部は、直線状又は波状に延在してもよい。
【0106】
上記の燃料電池用セパレータ部材において、前記接合部は、前記補強リブと前記位置決め孔との間に複数設けられてもよい。
【0107】
上記の燃料電池用セパレータ部材において、前記位置決め部は、前記位置決め孔と前記補強リブとの間に位置して前記一組の金属セパレータのいずれかから前記セパレータ厚さ方向に突出した追加リブ(120)を有してもよい。
【0108】
上記の燃料電池用セパレータ部材において、前記補強リブは、前記位置決め孔の外形に対応した形状に延在したリブ本体(130)と、前記リブ本体から前記位置決め孔に向かって延出した延出リブ(132)と、を含んでもよい。
【0109】
上記の燃料電池用セパレータ部材において、前記延出リブは、前記リブ本体に複数設けられ、前記接合部は、互いに隣り合う前記延出リブの間に位置してもよい。
【0110】
上記実施形態は、MEA部材とセパレータ部材とを含む複数の積層単位が互いに積層されて形成された積層体(12)を備える燃料電池スタック(10)であって、前記セパレータ部材は、上述した燃料電池用セパレータ部材である、燃料電池スタックを開示している。
【0111】
上記実施形態は、第1MEA部材(28a)、第1セパレータ部材(26a)、第2MEA部材(28b)及び第2セパレータ部材(26b)がこの順に積層されて形成された積層体を備える燃料電池スタックであって、前記第1セパレータ部材及び前記第2セパレータ部材の各々は、上述した燃料電池用セパレータ部材であり、前記接合セパレータの外周部には、前記位置決め部に隣接する位置に当該接合セパレータの外方に開口するように切欠き部(64)が形成され、前記切欠き部は、前記位置決め孔よりも大きく、前記第1MEA部材、前記第1セパレータ部材、前記第2MEA部材及び前記第2セパレータ部材の積層方向から見て、前記第1セパレータ部材の前記位置決め孔の外形は、前記第2セパレータ部材の前記切欠き部の外形よりも内側に位置し、前記第2セパレータ部材の前記位置決め孔の外形は、前記第1セパレータ部材の前記切欠き部の外形よりも内側に位置する、燃料電池スタックを開示している。
【符号の説明】
【0112】
10…燃料電池スタック 12…積層体
26…セパレータ部材(燃料電池用セパレータ部材)
26a…第1セパレータ部材 26b…第2セパレータ部材
28…MEA部材 28a…第1MEA部材
28b…第2MEA部材 29…積層単位
30…第1金属セパレータ(金属セパレータ)
32…第2金属セパレータ(金属セパレータ)
33…接合セパレータ 34…MEA
40…電解質膜 42…カソード電極
44…アノード電極
62、62a~62d…第1位置決め部(位置決め部)
64…第1切欠き部(切欠き部) 66…第1位置決め孔(位置決め孔)
68、68a…補強リブ 70、70a~70d…接合部
84…第2位置決め孔 86…第2切欠き部
104…位置決めガイド 130…リブ本体
132…延出リブ
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