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特開2023-167736顔認証入退システム及び顔認証入退方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167736
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】顔認証入退システム及び顔認証入退方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20231116BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079147
(22)【出願日】2022-05-13
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大原 辰徳
(72)【発明者】
【氏名】茎田 和哉
(72)【発明者】
【氏名】青木 英郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】集合住宅の入居者が宅配者やガス機器等の点検者等に対して入場許可を与える際に、滞在許可時間、訪問回数及び/又は訪問エリアを設定することにより、入室範囲や機会を限定してセキュリティを担保する顔認証入退システム及び方法を提供する。
【解決手段】顔認証入退システムは集合住宅の入居者の第一の端末装置70と、店舗又は営業所の第二の端末装置80と、店舗又は営業所からの要請を受けて集合住宅の入居者を訪問する訪問者の第三の端末装置90と、第一の端末装置からの訪問要求を受け付けて、第三の端末装置に通知する外部システム(オーダー受付システム60)と、集合住宅に設置されたカメラと、集合住宅において、入居者の居室に至るまでの間に設置されたゲートを開閉するための電気錠と、を備え、第二の端末装置から受け取った認証情報とカメラで撮影された訪問者の画像情報から得られた認証情報を比較し、ゲートの電気錠を開閉制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅の訪問者に対して入場許可条件の設定を行う顔認証入退システムであって、
集合住宅の入居者の第一の端末装置と、
店舗または営業所の第二の端末装置と、
前記店舗または営業所からの要請を受けて前記集合住宅の入居者を訪問する訪問者の第三の端末装置と、
前記第一の端末装置からの訪問要求を受け付けて、前記第三の端末装置に通知する外部システムと、
前記集合住宅に設置されたカメラと、
前記集合住宅において、前記入居者の居室に至るまでの間に設置されたゲートを開閉するための電気錠と、
第二の端末装置から受け取った認証情報と前記カメラで撮影された訪問者の画像情報から得られた認証情報を比較し、前記ゲートの電気錠を開閉制御する入退出制御装置と、を備える
顔認証入退システム。
【請求項2】
前記入退出制御装置は、
前記集合住宅の複数の入居者が同一の訪問者に対して、個別に前記入場許可条件を設定した場合には、前記訪問者の滞在許可時間と前記ゲートに設置された電気錠の開錠可能回数を合算する
請求項1に記載の顔認証入退システム。
【請求項3】
前記入退出制御装置は、
前記カメラからの映像から得られた認証情報と、予め登録された前記訪問者の認証情報の一致度から前記訪問者の認証を行う顔認証部と、
前記顔認証部で特定された前記訪問者の入場の可否を判断する通行許可部と、を備える
請求項1に記載の顔認証入退システム。
【請求項4】
前記入退出制御装置は、
前記外部システムが前記第一の端末装置からのアクセスを受け付けて、前記訪問者が許可された訪問者であることを認証するユーザ認証部と、
前記訪問者に前記訪問者が訪問要求を受け付けられた本人であることを示す一時的な認証データを送付し、送付した前記認証データの期限管理を行うトークン管理部と、を備える
請求項1に記載の顔認証入退システム。
【請求項5】
前記入退出制御装置は、
前記カメラからの情報に基づいて、前記ユーザ認証部で認証された訪問者が通過するゲートの電気錠を開錠する扉制御部と、
前記訪問者が向かうエレベーターの行先階を登録するエレベーター制御部と、を備える
請求項4に記載の顔認証入退システム。
【請求項6】
前記入退出制御装置は、
前記第一の端末装置からの前記訪問者の入退許可の依頼を受け付ける入退設定受付部と、
前記外部システムからの一時的な入退許可設定を受け付ける配達要求受付部と、を備える
請求項1に記載の顔認証入退システム。
【請求項7】
集合住宅内の入居者が訪問者に対して個別に入場許可条件の設定を行う顔認証入退方法であって、
集合住宅の入居者の第一の端末装置から集合住宅内の入退出制御装置へのアクセスを受け付けるステップと、
店舗または営業所の第二の端末装置からの要請を受けて前記集合住宅の入居者を訪問する訪問者の第三の端末装置を備え、外部システムが前記第一の端末装置からの訪問要求を受け付けて、前記第三の端末装置に入居者への訪問を通知するステップと、
第二の端末装置から受け取った認証情報と集合住宅に設置されたカメラで撮影された訪問者の画像情報から得られた認証情報を比較し、前記入居者の居室に至るまでの間に設置された前記集合住宅のゲートを開閉するための電気錠を入退制御装置により開くステップと、を含む
顔認証入退方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔認証入退システム及び顔認証入退方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、集合住宅やオフィスなどの建物、フロア、居室への入退出にセキュリティを考慮して、許可済みの人物のみを入場させるシステムが知られている。
このような入退システムにおいて、利便性向上や感染症に考慮した非接触の入退システムとして、顔認証による個人認証を利用した入退システムが利用されている。
特許文献1には、不特定多数の人物の入場を考慮して、定期的に入場する業者に対して予めきめられた日時のみ通行を許可する開錠制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6870802号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、開錠が許可された人の生体情報と所属を識別する所属識別情報を取得して、これを開錠許可データベースに記憶する。そして、開錠を許可するか否かの判定対象者の生体情報を取得し、開錠許可データベースに記憶されている開錠許可者の生体情報と照合して開錠判定を行う。なお、特許文献1に記載の開錠制御装置に用いられる生体情報には、顔写真情報も含まれるとされている。
【0005】
特許文献1に記載の技術は、開錠が許可された清掃業者等の作業者の所属と識別情報に応じて、曜日や日時等の所属ごとの許可時間を設定して、作業者を一時的に入場させることが可能である。すなわち、特許文献1に記載の技術は、定期的な時刻に入場する対象者に対して効果的であるが、特許文献1には、集合住宅の入居者が個々に注文して、宅配者が荷物を自宅前に置くような場合の入場許可については、言及されていない。
【0006】
つまり、特許文献1には、宅配の配達をするケースにおいて、入場許可条件をいつまで、または何回の入場まで許可するかということについては、開示されておらず、配達を希望する入居者のニーズにあった設定をすることが困難であった。
【0007】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、集合住宅の入居者が宅配者やガス機器等の点検者等に対して入場許可を与える際に、滞在許可時間、訪問回数及び/または訪問エリアを設定することにより、入室範囲や機会を限定してセキュリティを担保した顔認証入退システム及び顔認証入退方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、本発明の顔認証入退システムは、集合住宅の訪問者に対して入場許可条件の設定を行う顔認証入退システムであって、集合住宅の入居者の第一の端末装置と、店舗または営業所の第二の端末装置と、店舗または営業所からの要請を受けて集合住宅の入居者を訪問する訪問者の第三の端末装置と、第一の端末装置からの訪問要求を受け付けて第三の端末装置に通知する外部システムと、を備える。
また、本発明の顔認証入退システムは、集合住宅に設置されたカメラと、集合住宅において、入居者の居室に至るまでの間に設置されたゲートを開閉するための電気錠と、第二の端末装置から受け取った認証情報とカメラで撮影された訪問者の画像情報から得られた認証情報を比較し、ゲートの電気錠を開閉制御する入退出制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、集合住宅の入居者が宅配者等に滞在許可時間、訪問回数、訪問エリアを設定することで、入室範囲や機会を限定しセキュリティを担保することができる。
また、宅配者が複数の荷物を配達するときは、滞在許可時間や訪問回数を合算することで、宅配者は一回の訪問時に複数入居者への配達が可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態例の顔認証入退システムの全体構成の例を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態例の顔認証入退システムにおいて用いられる入退出制御装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態例の顔認証入退システムにおいて用いられるオーダー受付システムのハードウェア構成例を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態例の顔認証入退システムにおいて用いられる端末装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図5】本発明の実施の形態例の顔認証入退システムにおいて用いられる入退出制御装置内のユーザ情報データベースのデータ構造を示す図である。
図6】本発明の実施の形態例の顔認証入退システムにおいて用いられる入退出制御装置内の入退許可設定データベースのデータ構造を示す図である。
図7】本発明の実施の形態例の顔認証入退システムにおいて用いられる入退出制御装置内の保持トークンデータベースのデータ構造を示す図である。
図8】本発明の実施の形態例の顔認証入退システムにおいて用いられる入退出制御装置内の入退許可情報データベースのデータ構造を示す図である。
図9】本発明の実施の形態例の顔認証入退システムにおいて用いられる本発明の一実施形態における入退出制御装置内の提携先情報データベースのデータ構造を示す図である。
図10】本発明の実施の形態例の顔認証入退システムにおいて用いられる宅配オーダー先を選択するためのGUIの例を示す図である。
図11】本発明の実施の形態例の配達に特化した顔認証入退システムにおけるオーダー受付の流れの例を示すシーケンス図である。
図12】本発明の実施形態の配達に特化した顔認証入退システムにおける開錠の流れの例を示すシーケンス図である。
図13】本発明の実施の形態例のガス点検等の点検者に特化した顔認証入退システムにおけるオーダー受付の流れの例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の顔認証入退システムの実施の形態例(以下、「本例」と称する)を詳細に説明する。
なお、本例において、説明の便宜上必要があるときは、複数のセクションに分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細な説明、補足説明などの関係にある。
【0012】
また、本例において、個数、数値、量、範囲などを含む要素の数に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよいものとする。
【0013】
さらに、本例において、要素、手順(ステップ)などを含む構成要素は、特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合などを除き、必ずしも必須のものではない。
【0014】
<顔認証入退システムの全体構成>
図1は、入退出制御装置を集合住宅に配置し、顔認証による入退出を提供する顔認証入退システムの構成例を示す図である。
本例の顔認証入退システムは、集合住宅10内に、入退出を制御する入退出制御装置20と、入退出用の扉を映すカメラ40と、扉の開錠を制御する電気錠41と、集合住宅10内の昇降に利用されるエレベーター42を備える。
【0015】
また、本例の顔認証入退システムでは、オーダー受付システム60と、それぞれ機能の異なる端末装置70、80、90が用いられる。
オーダー受付システム60は、店舗が入居者からの宅配の要求を受け取り、宅配サービスを提供するためのシステムである。なお、オーダー受付システム60は、入居者からオーダーを受け付ける各店舗がそれぞれ独自に管理運営することも可能であるが、複数の加盟店を集約した組織において、オーダー受付システム60を管理運営することもできる。以降、個々の店舗と各店舗が加盟した集約した組織を含み、「店舗等」と呼ぶことにする。
【0016】
端末装置70は、入居者が宅配のオーダーやガス点検等のオーダーに利用する端末である。また、端末装置80は、オーダー受付システム60を介して店舗等が入居者から宅配のオーダーを受領する端末である。
端末装置90は、宅配者がオーダー受付システム60からの配達依頼を受け付ける端末である。端末装置90は、宅配者以外にも、例えば後述するようにガス点検事業者など、入居者から屋内のガスなどの点検を依頼された点検業者が持つ端末も含む。そこで、宅配者以外の点検作業員を含めて、以降「宅配者等」という言葉を用いることとする。
【0017】
端末装置70、80、90としては、通常スマートフォン等の携帯端末が用いられるが、各入居者の家庭や店舗等に設置された固定端末でもよい。したがって、ここでは携帯端末及び固定端末の双方を含む端末装置という言葉を用いることとする。
【0018】
集合住宅10内に配置される入退出制御装置20は、通信処理部31、外部入出力部32、処理部21及び記憶部33により構成されている。
通信処理部31は、インターネット等のネットワーク回線50を経由して、上述したオーダー受付システム60及び端末装置70~90と接続される。
外部入出力部32は、集合住宅10内に設けられているカメラ40、電気錠41及びエレベーター42との情報を送受信するためのインターフェースである。
【0019】
入退出制御装置20の処理部21は、通信処理部31及び外部入出力部32から受信した情報に基づいて、宅配者等の入退許可の設定または変更を含む入退の制御を実施する。
また、記憶部33は、通信処理部31及び外部入出力部32を介して受信した情報及び入退出制御装置20の処理部21で処理された情報を記憶する各種データベースを含む。
【0020】
入退出制御装置20の処理部21は、ユーザ認証部22、トークン管理部23、メール送信部24、入退設定受付部25、配達要求受付部26、顔認証部27、通行許可部28、扉制御部29及びエレベーター制御部30から構成されている。
【0021】
ユーザ認証部22は、入居者の端末装置70と店舗等が管理するオーダー受付システム60からのログイン処理を受け付けてアクセスが許可されたユーザ(以下、「認証ユーザ」と称する)であることを認証する。
トークン管理部23は、認証ユーザに対して設定要求を受け付けたことを保証するための認証データとしての一時トークンを発行し、発行したトークンの期限管理を行う。
【0022】
メール送信部24は、オーダー受付システム60からの訪問要求の処理結果を集合住宅10の入居者の端末装置70に通知する。
入退設定受付部25は、入居者の端末装置70からの入退許可の申し出を受け付け、配達要求受付部26は、オーダー受付システム60からの一時的な入退許可設定を受け付ける。
【0023】
顔認証部27は、カメラ40からの映像を受信し、予め登録された宅配者等の顔との一致度から宅配者等の認証を行う。通行許可部28は、顔認証部27で特定された宅配者等の人物の入退許可の有無を確認する。
そして、扉制御部29は、カメラ40の設置個所が扉前の場合、カメラ40からの情報に基づいて扉を開錠する制御を行う。また、エレベーター制御部30は、カメラ40の設置個所がエレベーター42の前の場合に、カメラ40からの情報に基づいて当該エレベーター42の行先許可階を設定する制御を行う。
【0024】
記憶部33は、ユーザ情報データベース(以下、「DB」と略記)34、入退許可設定DB35、保持トークンDB36、入退許可情報DB37、提携先情報DB38を含む。なお、入退許可情報DB37には顔写真37a(図8参照)が含まれる。
【0025】
ユーザ情報DB34には、入居者の入退出制御装置20へのログインを可能とするユーザ情報が記憶される。入退許可設定DB35には、入居者の端末装置70により設定され、入退設定受付部25を介して受け付けた宅配者等の入退許可者が記憶される。
保持トークンDB36には、図7で後述するように、トークン管理部23により発行され、管理されるトークン、入居者が設定した一時許可ID、トークンの有効期限等が記憶される。
【0026】
また、入退許可情報DB37には、現在の入退許可者である宅配者等の情報が記憶される。具体的には、入退設定受付部25と配達要求受付部26により受け付けた宅配者等の顔写真37aが記憶される。さらに、提携先情報DB38には、店舗等が備えるオーダー受付システム60へのアクセスURLが記憶される。
【0027】
集合住宅10の入居者が宅配等のオーダーに利用する端末装置70は、Webブラウザ71、通信処理部72、記憶部73、及びメール受信部74によって構成される。
端末装置70は、Webブラウザ71にてオーダー受付システム60へのオーダー画面にアクセスして、自宅への配送を要求する。通信処理部72は、オーダー受付システム60を含む各サーバへのアクセス機能を提供する。
記憶部73には、Webブラウザ71のアプリケーションが格納される。メール受信部74は、オーダー受付システム60からの配達通知や入退出制御装置20からの顔登録通知を受信する。
【0028】
オーダー受付システム60は、オーダー受付部61、訪問要求部62、通信処理部63、メール送信部64、及び記憶部65にて構成される。
オーダー受付部61は、インターネット等のネットワーク回線50を介して、入居者の端末装置70からのオーダーを受け付ける。
【0029】
訪問要求部62は、集合住宅10の入退出制御装置20に対して、訪問時間の通知と配達者の顔登録を行う。通信処理部63は、端末装置70~90との通信の役割を担う。メール送信部64は、配達通知を入居者の端末装置70に送信する。記憶部65には、オーダー受付システム60で用いられる各種プログラムが格納される。
【0030】
店舗が所有する端末装置80は、店舗配達受付部81、通信処理部82、及び記憶部83にて構成される。店舗配達受付部81は、オーダー受付システム60からのオーダー要求を受け取る。通信処理部82は、端末装置70、90及び集合住宅10の入退出制御装置20との通信を担保する。記憶部83には、端末装置80内で利用される各種プログラムが格納される。
【0031】
宅配者等が所有する端末装置90は、宅配者配達受付部91、通信処理部92及び記憶部93により構成される。宅配者配達受付部91は、オーダー受付システム60からの配達要求を受け取る。通信処理部92は、端末装置70、80及び集合住宅10の入退出制御装置20との通信を行う。
記憶部93には、端末装置90内で利用される各種プログラムが格納されるとともに、宅配者等の顔写真94が記憶される。
【0032】
なお、記憶部93に記憶された宅配者等の顔写真94は、オーダー受付システム60に宅配者等の配達開始登録を行う際に、端末装置90からオーダー受付システム60に送信される。なお、顔写真94は、端末装置90で記憶せずに、予めオーダー受付システム60の記憶部65に登録しておくようにしてもよい。
【0033】
<顔認証入退システムのハードウェア構成>
[入退出制御装置20のハードウェア構成]
図2は、図1に示した入退出制御装置20のハードウェア構成例を示すブロック図である。入退出制御装置20は、システムバスに接続されたCPU(Central Processing Unit)210、ROM(Read Only Memory)220、RAM(Random Access Memory)230、及び不揮発性ストレージ240を備える。また、外部装置との通信を行うためのネットワークインターフェース(図中「ネットワークIF」と表記)250を備える。
【0034】
CPU210は、入退出制御装置20の各部の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM220から読み出して実行する。RAM230には、入退出制御装置20内で行われる演算処理の途中で発生した変数等が一時的に書き込まれる。CPU210がROM220に記録されているプログラムコードを実行することにより、入退出制御装置20の各種機能が実現される。
【0035】
ネットワークインターフェース(図中「ネットワークI/F」と略記)250としては、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、NICの端子に接続されたLAN(Local Area Network)、専用線等を介して各種のデータを装置間で送受信することが可能である。図1の通信処理部31の機能は、ネットワークI/F250によって実現される。
【0036】
不揮発性ストレージ240は、ハードディスクやSSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記憶装置で構成され、CPU210が動作するために必要なプログラムやデータ等が、半永久的に記憶され格納される。なお、不揮発性ストレージ240は、図1の記憶部33を構成する。
【0037】
入退出制御装置20には、必要に応じて入力部260と出力部270が設けられる。入力部260の各々には、各カメラ40の撮影画像、各電気錠41の開閉状態を表すセンサ信号、エレベーター42の稼働状態の情報などが入力される。また、出力部270の各々は、各カメラ40、各電気錠41、エレベーター42に対する制御信号を出力する。
カメラ40は、LANによってネットワークインターフェース250と接続される構成にしてもよい。
【0038】
[オーダー受付システム60のハードウェア構成]
図3は、図1に示したオーダー受付システム60のハードウェア構成例を示すブロック図である。
オーダー受付システム60も、システムバスに接続されたCPU310、ROM320、RAM330、及び不揮発性ストレージ340(図1の記憶部65に相当)を備える。また、オーダー受付システム60は、外部装置との通信を行うためのネットワークI/F350を備える。これらの構成及び機能は、図2で説明した入退出制御装置20のハードウェア構成及び機能と同じなので、説明は省略する。ただし、オーダー受付システム60は、図2に示す入力部260及び出力部270に相当する構成は有しない。
【0039】
[端末装置70~90のハードウェア構成]
図4は、図1に示した端末装置70、端末装置80、端末装置90のハードウェア構成例を示すブロック図である。
端末装置70も、システムバスに接続されたCPU410、ROM420、RAM43
0、及び不揮発性ストレージ460(図1の記憶部73に相当)を備える。CPU410
がROM420に記録されているWebブラウザ71のプログラムコードを実行することにより、端末装置70の各種機能が実現される。
また、端末装置70は、外部装置との通信を行うためのネットワークI/F470を備える。これらの構成及び機能は、図2で説明した入退出制御装置20のハードウェア構成及び機能と同じなので、説明は省略する。
【0040】
さらに、端末装置70、端末装置80、端末装置90は、表示装置440及び入力装置450を備えている。表示装置440は、液晶ディスプレイなどの表示パネルであり、GUI(Graphical User Interface)画面やCPU410で行われた処理の結果等を表示する。入力装置450には、タッチパネルやマウス等のポインティングデバイス、あるいはキーボードなどが用いられ、ユーザは入力装置450を操作して情報や指示を入力することができる。入力装置450は、ユーザの操作に応じた入力信号を生成してCPU410へ供給する。なお、入退出制御装置20及びオーダー受付システム60が、表示装置440及び入力装置450を備えるようにしてもよい。
【0041】
<各種データベースのデータ構造>
[ユーザ情報DB34のデータ構造]
図5は、入退出制御装置20のユーザ情報DB34のデータ構造を示した図である。
図5に示すように、ユーザ情報DB34は、部屋番号34a、ログインID34b、ログインパスワード34c、及び通知先メールアドレス34dの各フィールドを有する。
【0042】
部屋番号34aには、集合住宅10の入居者の部屋番号が保存される。ログインID34bとログインパスワード34cには、入退出制御装置20のユーザ認証部22にアクセスするためのログインIDとログインパスワードが保存される。通知先メールアドレス34dには、入居者の端末装置70にメール送信するための通知先メールアドレスが保存される。
【0043】
オーダー受付システム60から集合住宅10の入退出制御装置20に、宅配者等の入退の要求があって、宅配者等の顔登録または顔削除が行われると、入退出制御装置20のメール送信部24は、通知先メールアドレス34dを用いて、端末装置70に対してメール送信を行う。
【0044】
[入退許可設定DB35のデータ構造]
図6は、入退出制御装置20の入退許可設定DB35のデータ構造を示す図である。集合住宅10の入居者は、入退出制御装置20にログインし、宅配者等の入退許可を制限する入退許可設定を、入退許可設定DB35に事前に登録する必要がある。
【0045】
入退許可設定DB35は、部屋番号35a、一時許可ID35b、対象者35c、訪問許可エリア35d、滞在許可時間35e、認証回数35f、及びトークン有効期間35gの各フィールドを有する。なお、トークン有効期間35gは、宅配者等のオーダーによって設定されたトークンの設定からの利用期限となる。
【0046】
ここで、部屋番号35aには、ユーザ情報DB34と同様に、集合住宅10の入居者の部屋番号が保存される。一時許可ID35bには、宅配者等に入退の許可を与える一時的な識別信号が保存される。対象者35cには、一時許可ID35bで識別された宅配業者等の対象者が保存される。図6では、宅配業者Aとガス点検者が対象者に相当する。
【0047】
訪問許可エリア35dには、入居者が対象者35cに対して訪問の許可をしたエリアが保存される。例えば、102号室の入居者は、宅配者等に対してエントランスと1階が訪問許可エリアに制限されることを示し、201号室の入居者は、宅配者等の訪問許可エリアがエントランスと2階のみであることが示されている。
【0048】
滞在許可時間35eには、入居者が訪問の許可をした対象者の滞在許可時間が保存される。例えば、図6に示す滞在許可時間35eは、宅配業者に対しては5分、ガス点検者に対しては30分になっている。これは、入居者は、宅配ならば5分以内で宅配者としての仕事が終わり、ガス点検者は、点検に30分程度の時間が必要であると考えて決定したものである。なお、滞在許可時間35eは、あくまでも目安の時間であり、入居者と宅配者等の関係で滞在許可時間を任意に設定することは可能である。また、必要に応じて、最初に設定した滞在許可時間の変更を可能とすることが望ましい。
【0049】
認証回数35fには、宅配者等の認証回数が保存される。ここで、認証回数とは、宅配者等に対して、ゲートを通過させる回数である。すなわち、入居者からの要求で宅配等を行う宅配者等は、集合住宅10内の入居者の部屋に到達するまでに、通常いくつかのゲートを通り抜けなければならない。例えば、宅配業者Aが102号室の入居者にたどり着くためには、エントランスのゲートと1階のゲートの2個のゲートを通過しなければならない。そこで宅配業者Aに対する認証回数35fは「2回」としている。
【0050】
一方、ガス点検者に対しては、認証回数35fが「4回」になっている。これは、102号室及び201号室の入居者がガス点検者の作業に配慮したものであり、少なくとも同じ2つのゲートを2回通り抜けることを想定している。例えば、点検に必要な機具や測定器などを1回で現場に持ち込めない場合などが考えられるため、入居者が余裕をもって認証回数34fを「4回」と設定したと考える。
【0051】
トークン有効期間35gには、入退出制御装置20のトークン管理部23で管理され、保持トークンDB36に保存される保持トークンの有効期間である。この保持トークンは、一種の認証データであり、宅配者等の登録のために必要なものである。ここで、トークン有効期間35gは、宅配業者Aに対しては1日で十分と考えて「1日」が設定され、ガス点検者に対しては、担当が決定するまでの期間を考慮して「7日」が設定されている。このトークン有効期間35gは、この期間内に訪問者登録が行われなければならないことを意味している。
【0052】
[保持トークンDB36のデータ構造]
図7は、入退出制御装置20の保持トークンDB36のデータ構造を示す図である。
図7に示すように、保持トークンDB36は、トークン36a、一時許可ID36b及びトークン期限36cの各フィールドを有する。
トークン36aは、図6のトークン有効期間34gで説明したように、入居者が宅配等を宅配者等に対して依頼する際に、入退出制御装置20のトークン管理部23により発行され、管理される認証データである。つまり、トークン36aのフィールドには、例えば「Oxaaaaaaaa」のような宅配者等を認証するためのデータが保存される。
【0053】
一時許可ID36bには、入退許可設定DB35の一時許可ID35bと同様に、入居者が各宅配者等に対して設定した一時的に入室の許可をする対象者の識別記号が保存される。図7では、それぞれのトークン36aに対して、「1」~「4」の一時許可ID36aが保存されている。トークン期限36cには、トークン36aに保存されるトークンの有効期限が保存される。
【0054】
図6のトークン有効期間35gは、「1日」あるいは「7日」のような有効期間で設定されているのに対し、図7のトークン期限36cでは、例えば、「22/3/26 11:30」のように、このトークン36aの有効期限が2022年3月26日の11時30分までであることが設定される。
【0055】
[入退許可情報DB37のデータ構造]
図8は、入退出制御装置20の入退許可情報DB37のデータ構造を示す図である。
図8に示すように、入退許可情報DB37は、顔写真37a、許可居室37b、訪問許可エリア37c、滞在許可時間37d及び認証可能回数37eの各フィールドを有する。
この入退許可情報DB37のそれぞれのフィールドには、入退出制御装置20の配達要求受付部26がオーダー受付システム60より訪問者登録要求を受け付けた際に受信するデータが保存される。
【0056】
すなわち、入退許可情報DB37の顔写真37aには、例えば、顔写真「001.Jpg」や「002.Jpg」のように訪問が許可された宅配者等の顔写真が保存される。また、許可居室37bには、「102号室」あるいは複数の居室「102・201号室」が保存され、訪問許可エリア37cには、それぞれ「エントランスと1階」、「エントランスと1階・2階」が保存される。
さらに、滞在許可時間37dには、例えば「5分」ないし「60分」などの滞在許可時間が保存され、認証可能回数37eには、「2回」ないし「8回」が保存される。
ここで、認証可能回数37eは、図6で説明した認証回数35fと同じものであり、宅配者等が2つのゲートで認証を受けて入居者の居室に到達できること可能な認証回数が保存される。
【0057】
なお、オーダー受付システム60からの訪問者登録要求には、顔写真の他にオーダー時に発行されたトークンが含まれる。このため、入退出制御装置20のトークン管理部23は、認証データであるトークンに該当する一時許可IDを保持トークンDB36より検索する。そして、入退出制御装置20の入退設定受付部25は、該当する入退許可設定DB35より入退許可情報DB37の許可居室37bと、訪問許可エリア37cと、滞在許可時間37dと、認証可能回数37eを生成し、入退許可情報DB37に保存する。
【0058】
また、入退出制御装置20の顔認証部27は、オーダー受付システム60からの訪問者登録要求の受信時に、入退許可情報DB37の顔写真37aに格納されている顔写真とカメラ40で撮影された入室対象者の顔写真とのマッチングを実施する。このとき、顔認証部27が同一配達者であると判断した場合には、入退設定受付部25は、既に登録済みの許可情報に新規受付要求の内容を加算する。
【0059】
例えば、図8の顔写真37aが「001.Jpg」の人物は宅配業者、「002.Jpg」の人物は、ガス点検者と考え、以下説明する。顔写真37aが「001.Jpg」の宅配業者は、102号室の入居者によるオーダー受付システム60からの依頼で、許可居室37bは102号室のみとなる。また、訪問許可エリア37cはエントランスと1階、滞在許可時間は5分、認証可能回数37eは2回に設定される。これは、既に説明したように入居者の居室である102号室までに、2つのゲートを通過しなければならないことを意味している。宅配業者は商品を届けるだけなので滞在許可時間37dは、5分という短い時間が設定されている。
【0060】
これに対して、顔写真37aが「002.Jpg」の人物(ここでは、ガス点検者とする)は、102号室の入居者と201号室の入居者からガスの点検の依頼があったものと想定される。すなわち、顔写真「002.Jpg」の人物の訪問許可エリア37cは、エントランス・1階・2階となる。例えば、102号室の入居者は、ガス点検者である顔写真37aが「002.Jpg」の人物に対して、滞在許可時間37dを40分、認証可能回数4回を設定したとする。そして、201号室の入居者は、同じ顔写真「002.Jpg」の人物に対して。訪問許可エリア37cをエントランス・2階で、滞在許可時間20分、認証可能回数4回を設定したとする。
【0061】
このような場合には、図8の2行目に示すように、ガス点検者である顔写真37aが「002.Jpg」の人物は、訪問許可エリア37cがエントランス・1階・2階で、滞在許可時間が合計で60分、認証可能回数が8回と加算された入館許可が与えられる。したがって、顔写真「002.Jpg」の人物は、1階と2階に亘って、102号室と201号室の複数の入居者からのオーダーに対して、ガスの点検が可能となる。
このように、ガス点検者を含む宅配者等が複数の荷物を配達したり、複数の居室のガス点検をしたりする場合には、滞在許可時間や訪問回数を合算することで、宅配者等は一回の訪問時に複数入居者への配達や点検が可能となる。
【0062】
[提携先情報DB38のデータ構造]
図9は、入退出制御装置20の提携先情報DB38のデータ構造を示す図である。システム管理者は、事前に提携先情報を提携先情報DB38に登録する。
図9に示すように、提携先情報DB38は、業者名38a、アクセス先38b、ユーザ名38c、及びパスワード38dの各フィールドを有する。
【0063】
業者名38aには、宅配業者やガス点検者などの業者名が保存される。
アクセス先38bには、それぞれの業者のホームページにアクセスするためのURLが保存される。
ユーザ名38cには、例えば、「aaaaaa」や「cccccc」のように、居室者の名前が保存される。
パスワード38dには、例えば、「Bbbbbb」や「Dddddd」のような、宅配業者やガス点検者等を入居者の居室に案内させるためのパスワードが保存される。
【0064】
図10は、集合住宅10の入居者が宅配等のオーダー時に、入退出制御装置20の配達要求受付部26にアクセスする際のGUIを示した図である。
以下、図10を参照して、入退出制御装置20とオーダー受付システム60の紐づけについて説明する。
【0065】
例えば、102号室の入居者は、図10に示されるGUIにて提携先情報DB38の業者名38aから、例えば宅配業者Aを選択する、
また、102号室の入居者は、入退許可設定DB35の対象者34cから宅配業者A・102号室を選択して、リダイレクトボタンを押す。
すると、図10に表示されるように、宅配業者Aには、訪問許可エリアがエントランス・1階、滞在許可時間が5分、認証回数が2回、トークン有効期間が1日であることが通知される。これにより、宅配業者Aは、102号室の入居者がオーダーした商品を1日以内に入居者に宅配することが求められる。
【0066】
<オーダー受付の流れを示すシーケンス>
図11は、集合住宅10の入居者の端末装置70にてオーダーを実施してから、入退出制御装置20に宅配者の登録(訪問者登録)を実施するまでのシーケンス図である。
まず、入居者は、端末装置70より入退出制御装置20にアクセスしてログインする(S10)。すると、入退出制御装置20は、ログイン処理を実行し(S11)、ログインした入居者の部屋番号がユーザ情報DB34の入居者の部屋番号34aの内容と一致する場合に、トークン発行とリダイレクト処理を実行する(S12)。
【0067】
ステップS12で発行されるトークン情報は、入居者によって承認が得られた認証データ扱いとなる。そして、このトークン情報をオーダー受付システム60に渡すことで、オーダー受付システム60はトークンを使用して、宅配者に対して顔認証の許可(入室許可)を与える。すなわち、ステップS12のリダイレクト処理では、入退出制御装置20は、オーダー受付システム60へのログインID、パスワード、宅配者のメールアドレスを含んでオーダー受付システム60への引継ぎを行う。
【0068】
次に、入居者の端末装置70は、入退出制御装置20によるリダイレクト処理を受けて、端末装置70のWebブラウザを、トークンを持った状態でオーダー受付システムにリダイレクトさせる画面遷移処理を行う(S13)。なお、この端末装置70の処理は、Webブラウザが読み込んだ画面、例えばjavascriptで記載され処理された画面上で行われる。
そして、端末装置70は、オーダー受付システム60に対して画面遷移したことを送信する。すると、オーダー受付システム60は、端末装置70が画面遷移したことを受けてログイン処理を行う(S14)。
【0069】
また、入居者は端末装置70により、ステップS13の画面遷移後に、トークンを使用したオーダー選択を行い(S15)、オーダー情報をオーダー受付システム60に送信する。 すると、オーダー受付システム60は、端末装置70からのオーダー情報を受けて、このオーダー情報を記憶部65に格納する(S16)。そして、オーダー受付システム60は、受付が完了したことを端末装置70にメールで通知する(S17)。
【0070】
次に、オーダー受付システム60は、店舗の端末装置80に対して、入居者のオーダーに関する配達要求を行い(S18)、店舗の端末装置80は、これを受けて配達受付を選択する(S19)。さらに、オーダー受付システム60は、宅配者の端末装置90に配達要求を行い(S20)、これを受けた宅配者の端末装置90は配達受付を選択する(S21)。なお、オーダー受付システム60は、ステップS18の処理とステップS20の処理はどちらを先に行ってもかまわない。
【0071】
ステップS18の処理とステップS20の処理が済んで、宅配者の端末装置90と店舗の端末装置80との間で商品の引き渡しが実施されると、店舗の端末装置80は、引き渡し登録を行い、オーダー受付システム60に送信する(S22)。また、宅配者の端末装置90は、配達開始登録を行い、オーダー受付システム60送信する(S23)。
【0072】
オーダー受付システム60は、端末装置80からの引き渡し登録と、端末装置90からの配達開始登録を受けて訪問者登録を行い、訪問者登録が行われたことを集合住宅10の入退出制御装置20に送信する(S24)。
入退出制御装置20は、これを受けてステップS12で発行したトークンを削除し(S25)、続いて入退登録及び顔登録を行う(S26)。
そして、入退出制御装置20は、入退許可情報を更新して(S27)、入居者の端末装置70に情報登録の結果をメール送信する(S28)。以上のステップS10~S28の処理を行うことにより、集合住宅10の入居者からのオーダーを実施してから、入退出制御装置20による訪問者(宅配者)の登録を実施するまでの一連の処理シーケンスは終了する。
【0073】
なお、図11に示したオーダー受付のシーケンスは、入退出制御装置20を経由してオーダー受付システム60にログインする構成としたが、オーダー受付システム60から入退出制御装置20へのログインアカウントを事前に登録しておき、入居者からのオーダーをオーダー受付システム60が直接受領し、受領後に入退出制御装置20に対して、訪問先を含む訪問者登録を実施するようにしてもよい。
【0074】
<顔認証による開錠の流れの例を示すシーケンス>
図12は、宅配者等が集合住宅10を訪問してから、顔認証にて入退出の管理がなされ、退出後に入退許可情報を削除するまでのシーケンス図である。なお、ここで宅配者等としているのは、宅配者以外にガスの点検業者等も含めているからである。
宅配者等が集合住宅10に到着して、集合住宅10に設置されているカメラ40の前に立つと、受信したカメラ映像が入退出制御装置20の外部入出力部32から、処理部21の顔認証部27に供給される。
すると、顔認証部27は、カメラ40で撮影された顔写真を受取り、入退許可情報DB37内の顔写真37a(図8参照)に保存されている顔写真37a(図1参照)とのマッチング処理を行う(S31)。
【0075】
ステップS31の処理で顔認証のマッチングが取れると、入退出制御装置20の通行許可部28は、入退許可情報DB37の顔写真37aにより宅配者等の入退許可が可能か否かを判断する。そして、宅配者等の入退許可が可能であると判断した場合には、入退出制御装置20の扉制御部29が電気錠41によりドアを開錠する(S32)。
なお、図12には示されていないが、カメラ40がエレベーター42の前に設置されている場合には、入退出制御装置20のエレベーター制御部30は、エレベーター42に対して行先可能階の制御を実施することもできる。
【0076】
入退出制御装置20の通行許可部28は、宅配者等に対する訪問許可が初回の場合には、入退許可情報DB37の滞在許可時間37dのカウントを開始する(S33)。例えば、ステップS33では、宅配者等の登録時に設定した時間(例えば5分)のデクリメントを行う。さらに、宅配者等が入居者の居室に到達するまでにゲートを通過するごとに、入退出制御装置20の通行許可部28は、入退許可情報DB37の認証可能回数37eの数値をデクリメントする(S34)。
【0077】
そして、宅配者等が配達または点検を完了すると、宅配者等は端末装置90により宅配または点検の完了登録を行い(S35)、配達または点検が完了した旨の通知をオーダー受付システム60に送信する。
【0078】
オーダー受付システム60は、宅配者等の端末装置90からの配達または点検の完了登録の通知を受けて、配達または点検の完了登録を行い(S36)、これを入退出制御装置20に送信する。すると、入退出制御装置20は、入退許可情報DB37において、配達または点検の完了登録がなされた宅配者等の入退許可情報を削除する(S37)。
また、オーダー受付システム60は、メールにて入居者の端末装置70に配達または点検の完了登録を送信する(S38)。最後に、入退出制御装置20は、入居者の端末装置70に、配達または点検の完了登録がなされた宅配者等に関する情報を削除した旨を通知するメールを送信する(S39)。
以上の処理をもって、顔認証による宅配者等の開錠の流れの例を示すシーケンスは終了する。
【0079】
<第2の実施形態例>
図13は、図11におけるオーダー受付システム60をガス点検予約システム60’に変えて、ガス点検者に限った顔認証入退システムを第2の実施形態例として説明したシーケンス図である。
そのため、端末装置80はガス点検者が所属する営業所の端末装置であり、端末装置90はガス点検者が保有する端末装置である。
図13において、入居者の端末装置70におけるログイン(S40)からガス点検予約システム60’のログイン処理(S44)までの処理は、図11のステップS10からステップS14までの処理と同じなので、重複する説明は省略する。
【0080】
ガス点検予約システム60’におけるステップS44のログイン処理が終わると、入居者は端末装置70により、ステップS43の画面遷移後に、入退出制御装置20からのトークンを使用した点検要求をガス点検予約システム60’に送信する(S45)。
すると、ガス点検予約システム60’は、端末装置70からのガス点検要求を記憶部65に格納する(S46)。そして、ガス点検予約システム60’は、受付が完了したことを入居者の端末装置70にメールで通知する(S47)。
【0081】
次に、ガス点検予約システム60’は、営業所の端末装置80に対して、入居者からの点検要求を送信する(S48)。営業所の端末装置80は、これを受けて点検受付を選択する(S49)。そして、ガス点検予約システム60’は、点検者の端末装置90に点検要求を行い(S50)、これを受けた点検者の端末装置90は、点検受付を選択する(S51)。
【0082】
ステップS50の点検要求とステップS51の点検受付の処理が済んで、点検者の端末装置90と営業所の端末装置80との間で担当の割当てが完了すると、営業所の端末装置80は、点検者登録を行って、ガス点検予約システム60’に送信する(S52)。
すると、ガス点検予約システム60’は、営業所の端末装置80からの点検者登録を受けて、訪問者登録(点検者登録)を行う(S53)。
【0083】
入退出制御装置20は、ガス点検予約システム60’からの訪問者登録を受けて、ステップS42で発行したトークンを削除し(S54)、続いて入退登録及び顔登録を行う(S55)。そして、入退出制御装置20は、入退許可情報を更新して(S56)、入居者の端末装置70に情報登録の結果をメール送信する(S57)。
以上のステップS40~SS57の処理を行うことにより、集合住宅10の入居者からのガス等の点検要求を受けてから、入退出制御装置20による点検者の顔写真登録を実施するまでの一連の処理シーケンスは終了する。
【0084】
点検者の顔認証に関する処理の手順については、図12で説明した手順がそのまま適用できるので、上述したように、図12の説明では、宅配者とガス等の点検者を含む意味で、「宅配者等」という言葉を用いて説明している。
以上説明したように、図13では図11のオーダー受付システム60の代わりに、ガス点検予約システム60’を用いた。これらの異なるシステムを含む共通する言葉として、特許請求の範囲では「外部システム」という用語を用いることにした。
【0085】
<変形例>
なお、本発明は、上述した実施の形態例に限定されるものではなく、様々な応用例と変形例が含まれる。また、上述した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。
さらに、上述した実施の形態例において、本発明の主旨を変えない範囲内で、装置またはシステム構成の変更や、一部の処理手順の省略や入れ替えを行ってもよい。
【0086】
さらに、図1に示すブロック図では、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものだけを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。また、図11及び図12に示すシーケンス図において、処理結果に影響を及ぼさない範囲で、複数の処理を同時に実行するか、あるいは処理順序を変更することも可能である。
【符号の説明】
【0087】
10…集合住宅、20…入退出制御装置、21…処理部、22…ユーザ認証部、23…トークン管理部、24…メール送信部、25…入退設定受付部、26…配達要求受付部、27…顔認証部、28…通行許可部、29…扉制御部、29…エレベーター制御部、31…通信処理部、32…外部入出力部、33…記憶部、34…ユーザ情報データベース(DB)、35…入退許可設定データベース(DB)、36…保持トークンデータベース(DB)、37…入退許可情報データベース(DB)、37a…顔写真、38…提携先情報データベース(DB)、40…カメラ、41…電気錠、42…エレベーター、
50…インターネット、
60…オーダー受付システム、61…オーダー受付部、62…訪問要求部、63…通信処理部、64…メール送信部、65…記憶部、
70…入居者の端末装置、71…Webブラウザ、72…通信処理部、73…記憶部、74…メール受信部、
80…店舗(または営業所)の端末装置、81…店舗配達受付部、82…通信処理部、83…記憶部、
90…宅配者(またはガス点検者)の端末装置、91…宅配者配達受付部、92…通信処理部、93…記憶部、94…顔写真
60’…ガス点検予約システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13