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特開2023-167737プリント配線板及びプリント配線板の製造方法
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  • 特開-プリント配線板及びプリント配線板の製造方法 図1A
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  • 特開-プリント配線板及びプリント配線板の製造方法 図2
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  • 特開-プリント配線板及びプリント配線板の製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167737
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】プリント配線板及びプリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
H05K1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079148
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 哲
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB02
5E338BB25
5E338BB75
5E338CC01
5E338CD12
5E338EE11
(57)【要約】
【課題】プリント配線基板を構成する第1配線の配線長と第2配線の配線長との差を小さくして、配線長調整用配線を短くすることにより、挿入損失が低減されたプリント配線基板を提供すること。
【解決手段】基板と電子部品と複数の配線と、を備えたプリント配線板であって、複数の配線として第1配線と第2配線とを有し、第2配線は、電子部品第2頂点と当該電子部品第2頂点に最も近接して対向している基板外縁部との間に第1配線の長さと第2配線の長さとを略同一にするための配線長調整用配線を有している。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、電子部品と、複数の配線と、を備えたプリント配線板であって、
前記電子部品は、前記基板の電子部品搭載面の中心に実装され、当該電子部品の電子部品外縁部に電子部品第1頂点と電子部品第2頂点とを有し、
前記複数の配線が、
前記電子部品第1頂点と前記電子部品第2頂点との間に位置する前記電子部品外縁中央部と、前記電子部品第2頂点に最も近接して対向している前記基板の基板外縁部との間を接続する第1配線と、
前記電子部品第2頂点と、その電子部品第2頂点に最も近接して対向している前記基板の基板外縁中央部との間を接続する第2配線とを有し、
前記第1配線は、前記電子部品外縁中央部と当該電子部品外縁中央部に最も近接して対向している前記基板の基板第1頂点とを結ぶ第1直線と、前記電子部品第2頂点に最も近接して対向している前記基板外縁部を構成する前記基板第1頂点と基板第2頂点とを結ぶ第2直線に平行な直線であって前記電子部品第2頂点を通過する第3直線と、が交差する点を折曲点として前記電子部品第2頂点に最も近接して対向している前記基板外縁部の方向に折れ曲がり、
前記第2配線は、前記電子部品第2頂点と当該電子部品第2頂点に最も近接して対向している前記基板外縁部との間に前記第1配線の長さと前記第2配線の長さを略同一にするための配線長調整用配線を有している、プリント配線板。
【請求項2】
前記電子部品第1頂点と前記電子部品第2頂点との間に位置する前記電子部品外縁部と、前記基板第1頂点と基板第2頂点との間に位置する基板外縁部と、が平行に位置している状態を基準として、
前記電子部品第1頂点及び前記電子部品第2頂点が前記電子部品の中心を固定軸として40~50°回転移動することによって位置している、請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記電子部品の形状が略正方形である、請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項4】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記電子部品を基板の電子部品搭載面の中心に実装することと、
前記電子部品外縁中央部と、前記電子部品第2頂点に最も近接して対向している前記基板の基板外縁部との間に第1配線を形成することと、
前記電子部品第2頂点と、その電子部品第2頂点に最も近接して対向している前記基板外縁中央部との間に第2配線を形成することと、
前記第2配線に前記第1配線の長さと前記第2配線の長さとを略同一にするための配線長調整用配線を形成することと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板及びプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電子部品搭載用基板を開示する。特許文献1によれば、電子部品搭載用基板の表面側には、信号線が形成されており、信号線の大部分は、基板外周部に向かって放射状に延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-18097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のプリント配線板は、パッケージ(PKG)基板の電子部品搭載面の中心に電子部品(IC)が実装されることによって形成されている。電子部品は、当該電子部品の外縁を構成する各辺がパッケージ(PKG)基板の外縁を構成する各辺と平行となるように当該パッケージ(PKG)基板の電子部品搭載面に実装されている。
【0005】
図4は、従来のプリント配線板を説明するための図である。プリント配線板7には、電子部品(IC)9からパッケージ(PKG)基板8の外縁部に向かって、放射状に複数の配線が形成されている。複数の配線は、第1配線の配線10と第2配線の配線11からなる。配線10は電子部品のコーナーからパッケージ(PKG)基板8のコーナーに向かって形成されている。配線11は電子部品9の外縁部の略中央からパッケージ(PKG)基板8の外縁部の略中央に向かって形成されている。このため、配線11は、配線10よりも短くなる。すなわち、配線10の配線長と配線11の配線長は同じ長さではないため、配線10のインピーダンスは、配線11のインピーダンスと整合しない。
【0006】
そこで、配線10のインピーダンスと配線11のインピーダンスとを整合させるために、配線11に長さ調整用配線12を追加して、配線11の配線長と配線10の配線長とを同じ長さとしている。しかしながら、配線11に長さ調整用配線12が追加されることによって、配線11の抵抗が大きくなる。その結果、プリント配線板7の挿入損失が大きくなる。
【0007】
本発明は、このような技術的事情に鑑みなされたものであって、プリント配線板を構成する第1配線の配線長と第2配線の配線長との差を小さくして、配線長調整用配線を短くすることにより、挿入損失が低減されたプリント配線板を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るプリント配線板は、基板と、電子部品と、複数の配線と、を備えたプリント配線板であって、
前記電子部品は、前記基板の電子部品搭載面の中心に実装され、当該電子部品の電子部品外縁部に電子部品第1頂点と電子部品第2頂点とを有し、
前記複数の配線が、
前記電子部品第1頂点と前記電子部品第2頂点との間に位置する前記電子部品外縁中央部と、前記電子部品第2頂点に最も近接して対向している前記基板の基板外縁部との間を接続する第1配線と、
前記電子部品第2頂点と、その電子部品第2頂点に最も近接して対向している前記基板の基板外縁中央部との間を接続する第2配線とを有し、
前記第1配線は、前記電子部品外縁中央部と当該電子部品外縁中央部に最も近接して対向している前記基板の基板第1頂点とを結ぶ第1直線と、前記電子部品第2頂点に最も近接して対向している前記基板外縁部を構成する前記基板第1頂点と基板第2頂点とを結ぶ第2直線に平行な直線であって前記電子部品第2頂点を通過する第3直線と、が交差する点を折曲点として前記電子部品第2頂点に最も近接して対向している前記基板外縁部の方向に折れ曲がり、
前記第2配線は、前記電子部品第2頂点と当該電子部品第2頂点に最も近接して対向している前記基板外縁部との間に前記第1配線の長さと前記第2配線の長さとを略同一にするための配線長調整用配線を有している。
【0009】
本発明に係るプリント配線板の製造方法は、上記に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記電子部品を基板の電子部品搭載面の中心に実装することと、
前記電子部品外縁中央部と、前記電子部品第2頂点に最も近接して対向している前記基板の基板外縁部との間に第1配線を形成することと、
前記電子部品第2頂点と、その電子部品第2頂点に最も近接して対向している前記基板外縁中央部との間に第2配線を形成することと、
前記第2配線に前記第1配線の長さと前記第2配線の長さとを略同一にするための配線長調整用配線を形成することと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プリント配線板を構成する第1配線の配線長と第2配線の配線長との差を小さくして、配線長調整用配線を短くすることにより、挿入損失が低減されたプリント配線板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本発明の一実施形態に係るプリント配線板を説明するための上面図である。
図1B】本発明の一実施形態に係るプリント配線板のXとYとの間の断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るプリント配線板を詳細に説明するための図である。
図3A】本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法の一工程を説明するための図である。
図3B】本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法の一工程を説明するための図である。
図3C】本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法の一工程を説明するための図である。
図4】従来のプリント配線板の一実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係るプリント配線板を説明するための概略図である。図1Aは上面図であり、図1B図1A中のXとYとの間の断面図である。図1Aに示すように、本実施形態に係るプリント配線板1は、パッケージ(PKG)基板2(以下、単に「基板2」とも呼ぶ。)と電子部品(IC)3と複数の配線とを備えている。複数の配線は、第1配線の配線4と第2配線の配線5とからなる。電子部品3は、基板2の実装面21の中心に実装されている。実装面21の内、電子部品3の直下の領域は実装領域Aと称される。第2配線の配線5は、その長さを第1配線の配線4の長さと略同一にするための配線長調整用配線6を有している。第1配線の配線4は、その長さが第2配線の配線5の長さと略同一であれば、複数の配線から構成されていてもよい。第1配線の配線4及び第2配線の配線5は、サブトラクティブ法、アディティブ法等の公知の方法によって形成される。
【0013】
図1Bに示されるように、基板2は実装面21と反対側の裏面Sを有する。図1Bに示されるように、基板2は複数の導体層Dと隣接する導体層D間の絶縁層Iを有する。隣接する導体層Dは絶縁層Iを貫通するビア導体Vで接続されている。図1Bに示されるように、配線4は実装領域Aから裏面Sの外周に向かっている。図1Bでは、配線長調整用配線6は一つの導体層内に形成されている。しかしながら、配線長調整用配線6は2つ以上の導体層にわたって形成されてもよい。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態に係るプリント配線板を詳細に説明するための図である。図2に示すように、基板2の実装面21の中心に実装された電子部品3は、その電子部品外縁部31に電子部品第1頂点32と電子部品第2頂点33とを有している。電子部品外縁部31は、電子部品第1頂点32と電子部品第2頂点33との中央に電子部品外縁中央部3Mを有している。なお、電子部品3の形状は、第1頂点と第1頂点に隣接する第2頂点を有している形状であれば特に限定されない。電子部品3の形状としては、例えば、正方形や長方形を挙げることができる。
【0015】
第1配線の配線4は、電子部品外縁中央部3Mから電子部品第2頂点33に最も近接して対向している基板2の基板外縁部22に向かって延びている。第1配線の配線4は、折曲点Pを基準点として電子部品第2頂点33に最も近接して対向している基板外縁部22の方向に折れ曲がっている。
【0016】
第1配線の配線4は、折曲点Pを基準点として、基板内側配線41と基板外側配線42とから構成される。ここで、折曲点Pは、電子部品外縁中央部3Mと、その電子部品外縁中央部3Mに最も近接して対向している基板2の基板第1頂点23とを結ぶ第1直線L1と、電子部品第2頂点32に最も近接して対向している基板外縁部22を構成する基板第1頂点23と基板第2頂点24とを結ぶ第2直線L2に平行な直線であって、電子部品第2頂点33を通過する第3直線L3と、が交差する点である。
【0017】
第1配線の配線4は、第1直線L1に対して電子部品第2頂点33に方向に40~50°の範囲で傾いて、電子部品外縁部31との間で形成される角度が略135°となるように折れ曲がって基板2の基板外縁部22に向かっている。なお、基板2の外縁形状と、電子部品3の外縁形状とは相似関係であることが必要である。その理由は、基板2の外縁形状と電子部品3の外縁形状とが相似関係でない場合には、上記折曲Pは第1直線L1の直線上に存在しないからである。
【0018】
第2配線の配線5は、電子部品第2頂点33と、その電子部品第2頂点33に最も近接して対向している基板2の基板外縁中央部2Mとの間に形成されている。ここで、電子部品3は、基板2の真ん中に実装されることが必要である。その理由は、電子部品3が基板2の真ん中に実装されない場合には、第2配線の配線5は基板外縁中央部2Mに到達することができないからである。第2配線の配線5は、電子部品外縁部31との間で形成される角度が略135°となるように折れ曲がって基板2の基板外縁中央部2Mに向かっている。
【0019】
第2配線の配線5は、電子部品第2頂点33と当該電子部品第2頂点33に最も近接して対向している基板外縁部22との間に第1配線の配線4の長さと第2配線の配線5の長さを略同一にするための配線長調整用配線6を有している。第2配線の配線5は、基板内側配線51と、配線長調整用配線6と、基板外側配線52とから構成される。配線長調整用配線6の形状は、特に限定されるものではなく、ミアンダ配線等の形状を採用することができる。
【0020】
第1配線の配線4は、折曲点Pを基準点として、電子部品第2頂点33に最も近接して対向している基板外縁部22の方向に折れ曲がって形成されている。このため、第1配線の配線4の長さと第2配線の配線5の長さとの差を小さくすることにより、配線長調整用配線6を短くすることができる。
【0021】
その結果、第2配線の配線5に配線長調整用配線6が追加されても、第2配線の配線5の抵抗が大きくなることを防止することができ、プリント配線板1の挿入損失を低減することができる。
【0022】
さらに、本発明の一実施形態に係るプリント配線板1は、第1配線の配線4の長さと第2配線の配線5の長さとの差を小さくすることにより配線長調整用配線6を短くするために、電子部品3と基板2との位置関係を以下のように設定することもできる。
【0023】
最初に、電子部品第1頂点32と電子部品第2頂点33とにより形成される電子部品外縁部31と、基板第1頂点23と基板第2頂点24とにより形成される基板外縁部22と、が平行に位置している状態を基準として設定する。次に、電子部品第1頂点32及び電子部品第2頂点33が電子部品3の中心を固定軸として、その固定軸周りに基準状態から40~50°回転移動して位置するように、電子部品3の位置を基板2に設定する。電子部品第1頂点32及び電子部品第2頂点33が電子部品3の中心を固定軸として回転移動する角度が上記範囲内であれば、第1配線の配線4の長さと第2配線の配線5の長さとの差を小さくすることができるため好ましい。
【0024】
また、本発明の一実施形態に係るプリント配線板1は、電子部品3の形状が略正方形であることが好ましい。電子部品3の形状が略正方形であれば、第1配線の配線4の長さと第2配線の配線5の長さを略同一に設計し易いため好ましい。本実施形態に係るプリント配線板1は、電子部品3の形状が略正方形であるので、CPU用パッケージ(PKG)基板等としても好適に用いることができる。
【0025】
図3A図3Cは、それぞれ、本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態における各工程を説明するための図である。なお、図3A図3Cに示す例において、各部材の寸法については、本発明の特徴をより良く理解できるようにするために、実施の寸法とは異なる寸法で記載している。以下、図3A図3Cを参照して、本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態を説明する。
【0026】
まず、図3Aに示すように、電子部品3の位置を基板2の実装面21の中心に設定する。次いで、後述の如くして基板2に第1配線の配線4と第2配線の配線5と配線長調整用配線6とを含む配線を形成し、その後、電子部品3を、その中心と基板2の実装面21の中心とが一致するように位置決めをして、電子部品3を基板2の実装面21に実装する。基板2の実装面21に対する電子部品3の位置決めは、電子部品第1頂点32と電子部品第2頂点33とにより形成される電子部品外縁部31と、基板第1頂点23と基板第2頂点24とにより形成される基板外縁部22とが平行に位置している状態を基準として、電子部品第1頂点32及び前記電子部品第2頂点33が電子部品3の中心を固定軸として、40~50°回転移動することによって行ってもよい。
【0027】
次に、図3Bに示すように、基板2の実装面21に第1配線の配線4を形成する。第1配線の配線4は、電子部品外縁中央部3Mと、電子部品第2頂点33に最も近接して対向している基板2の基板外縁部22との間に形成される。
【0028】
第1配線の配線4は、電子部品外縁中央部3Mと、当該電子部品外縁中央部3Mに最も近接して対向している基板2の基板第1頂点23とを結ぶ第1直線であるL1と、電子部品第2頂点33に最も近接して対向している基板外縁部22を構成する基板第1頂点23と基板第2頂点24とを結ぶ第2直線であるL2に平行な直線であって電子部品第2頂点33を通過する第3直線であるL3と、が交差する点を折曲点Pとして、電子部品第2頂点33に最も近接して対向している基板外縁部22の方向に折れ曲がって形成される。
【0029】
次に、図3Cに示すように、基板2の実装面21に第2配線の配線5を形成する。第2配線の配線5は、電子部品第2頂点33と、その電子部品第2頂点33に最も近接して対向している基板外縁中央部2Mとの間に形成される。第2配線の配線5には、第1配線の配線4の長さと第2配線の配線5の長さとを略同一にするための配線長調整用配線6が形成される。配線長調整用配線6は、第1配線の配線4の長さを計測した後、計測された第1配線の配線4の長さに基づいて、配線長調整用配線6の長さ、その形状を設定する。なお、配線長調整用配線6の形状は、ミアンダ配線等の形状とすることができる。
【0030】
このように、本発明のプリント配線板の製造方法によれば、第1配線の配線4の長さと第2配線の配線5の長さとの差が小さいプリント配線板1を得ることができる。本発明のプリント配線板の製造方法により得られたプリント配線板は、配線長調整用配線6を短くしているので、挿入損失の低減を図ることができる。
【0031】
(実施例1)
この発明の実施例のプリント配線板の製造方法では、基板2として正方形(50mm×50mm)のPKG基板、電子部品3として正方形(10mm×10mm)のICを用いた。このPGK基板の実装面に電子部品(IC)の外縁部がPKG基板の外縁部に対して約左45°傾斜するようにして当該電子部品(IC)を実装した。第1配線である配線Iを電子部品(IC)から一旦、電子部品(IC)の外周に対して直角に引き出し、電子部品(IC)の頂点を通り、PKG基板の外周に平行な直線にぶつかると、当該配線Iを約右45°に曲げ、PKG基板の外縁部に向かうように形成した。また、第2配線である配線IIを電子部品(IC)の外縁部とPKG基板の外縁部との間に形成した。配線IIには、配線長調整用配線として長さ調整用配線を設けた。配線Iの長さを計測し、測定された配線Iの長さに基づいて、配線IIを形成した。そして、実施例1において、配線Iの長さと配線IIの長さとの差を測定したところ、5.0mmであった。さらに、実施例1で得られたプリント配線板の挿入損失を評価した。結果を表1に示す。
【0032】
(比較例1)
この発明の比較例1のプリント配線板の製造方法では、PKG基板の外縁部と電子部品(IC)の外縁部とが平行になるようにしたこと、配線Iを電子部品(IC)からPGK基板の外周に向かって放射状に形成したこと以外は実施例1と同様にして、プリント配線板を製造した。そして、比較例1において、配線Iの長さと配線IIの長さとの差を測定したところ、8.3mmであった。さらに、比較例1で得られたプリント配線板の挿入損失を評価した。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
表1によれば、PGK基板の実装面に電子部品(IC)の外縁部がPKG基板の外縁部に対して約左45°傾斜するようにして電子部品を配置するとともに、PKG基板に配線I及び配線IIを形成することにより、配線Iの長さと配線IIの長さとの差を小さくできることが判明した。具体的には、比較例1で得られたプリント配線板1において、配線Iの長さと配線IIの長さとの差は8.3mmであるのに対して、実施例1で得られたプリント配線板1において、配線Iの長さと配線IIの長さとの差は5.0mmとなった。そして、実施例1で得られたプリント配線板1は、挿入損失の低減が可能であることが明らかとなった。
【0035】
このように、本発明に係るプリント配線板によれば、プリント配線基板を構成する第1配線の配線長と第2配線の配線長との差を小さくすることができる。その結果、本発明に係るプリント配線板は、挿入損失が低減されたプリント配線基板となる。
【0036】
以上、図示の実施形態に基づき説明したが、本発明に係るプリント配線板及びプリント配線板の製造方法は、上述の実施形態に限られず、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で適宜変更することができる。本発明に係るプリント配線板及びプリント配線板の製造方法は、ランドが下面に並んでいるLGA型の電子部品のみならず、例えば、リードが二側面から出ているSOP型の電子部品等を実装したプリント配線板にも適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 プリント配線板
2 基板(パッケージ(PKG)基板)
21 実装面
S 裏面
A 実装領域
D 導体層
V ビア導体
I 絶縁層
22 基板外縁部
23 基板第1頂点
24 基板第2頂点
25 基板外縁部の第1端部
26 基板外縁部の第2端部
2M 基板外縁中央部
L1 第1直線
L2 第2直線
L3 第3直線
P 折曲点
3 電子部品(IC)
31 電子部品外縁部
32 電子部品第1頂点
33 電子部品第2頂点
3M 電子部品外縁中央部
4 第1配線の配線
41 基板内側配線
42 基板外側配線
5 第2配線の配線
51 基板内側配線
52 基板外側配線
6 配線長調整用配線
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4