IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ホームテクノ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-加熱調理器 図1
  • 特開-加熱調理器 図2
  • 特開-加熱調理器 図3
  • 特開-加熱調理器 図4
  • 特開-加熱調理器 図5
  • 特開-加熱調理器 図6
  • 特開-加熱調理器 図7
  • 特開-加熱調理器 図8
  • 特開-加熱調理器 図9
  • 特開-加熱調理器 図10
  • 特開-加熱調理器 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023167745
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/08 20060101AFI20231116BHJP
   A47J 27/21 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
A47J27/08 G
A47J27/21 101R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079162
(22)【出願日】2022-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下峰 実
(72)【発明者】
【氏名】加藤 善光
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055BA28
4B055CA21
4B055CA69
4B055CC28
(57)【要約】
【課題】通路開閉手段が単純な構成の加熱調理器を提供する。
【解決手段】本発明の炊飯器は、被調理物を収容する鍋4と、鍋4の開口部を密閉可能に覆う内蓋24と、鍋4の内部を減圧する減圧ポンプ39と、鍋4の内外を連通する蒸気排出経路33と、蒸気排出経路33を開閉する調圧部26と、を備え、調圧部26は、蒸気排出経路33を閉塞するための駆動部として動作するエアバック58を有し、エアバック58が減圧ポンプ39と接続され、減圧ポンプ39が駆動したときにエアバック58により調圧弁57が蒸気孔56を閉塞して蒸気排出経路33が閉塞される構成としている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を収容する容器と、
前記容器の開口部を密閉可能に覆う蓋体と、
前記容器の内部を減圧する減圧ポンプと、
前記容器の内外を連通する通路と、
前記通路を開閉する通路開閉手段と、を備え、
前記通路開閉手段は、前記通路を閉塞するための駆動部として動作する閉塞手段を有し、
前記閉塞手段が前記減圧ポンプと接続され、前記減圧ポンプが駆動したときに前記閉塞手段により前記通路が閉塞される構成とすることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記通路開閉手段は、前記容器内部と連通する孔部と、当該孔部を開閉する弁と、をさらに有し、
前記閉塞手段が収縮することにより、前記弁が前記孔部を閉塞することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記閉塞手段は、前記加熱調理器の上下方向に収縮するものであり、
前記弁が前記孔部の上方に配置され、
前記通路開閉手段は、前記閉塞手段の上端に取付けられる板状部をさらに有し、
前記板状部の下面に前記弁の上端が接していることを特徴とする請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記閉塞手段は前記加熱調理器の横方向に収縮するものであり、
前記弁は前記横方向に移動することで前記孔部を開閉するものであり、
前記閉塞手段の動作側の端部に前記弁を接続したことを特徴とする請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記閉塞手段は前記加熱調理器の上下方向に収縮するものであり、
前記弁が前記孔部の上方に配置され、
前記通路開閉手段は、一端が前記閉塞手段の下端に取付けられて他端に前記弁の上端が接する揺動部と、前記揺動部を支持する支持部とをさらに有し、
前記蓋体が前記揺動部を支持する支持部を有し、当該支持部を支点として、前記揺動部が前記蓋体に対してシーソー状に揺動することを特徴とする請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記閉塞手段がエアバックであることを特徴とする請求項3~5のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の内部を減圧する減圧手段と、容器の内外を連通する通路を開閉する通路開閉手段とを備え、通路を閉塞して容器内を減圧状態にする加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の加熱調理器として、例えば特許文献1には、上部が開放された調理キャビティと、この調理キャビティを密閉可能に覆う蓋体と、調理キャビティに対して抽気可能な真空装置と、調理キャビティの内部と連通する圧力開放孔と、圧力開放孔を閉塞させる密封アセンブリと、密封アセンブリによる圧力開放孔の開閉をさせる駆動アセンブリとを備えたものが開示されている。駆動アセンブリは電磁石と電磁石プッシュロッドとを含み、電磁石のオンオフ制御により電磁石プッシュロッドの移動を制御し、密閉アセンブリを駆動させて移動させることにより圧力開放孔を開放または閉塞させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2021-508569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、電磁石や電磁石プッシュロッドを含む駆動アセンブリを駆動させ、密閉アセンブリを駆動させて移動させることで圧力開放孔を開閉させているため、構造が複雑化してしまうという問題があった。また駆動アセンブリを駆動させるために電磁石を必要とし、費用が嵩んでしまう懸念があった。
【0005】
そこで本発明は、通路開閉手段が単純な構成の加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の炊飯器は、被調理物を収容する容器と、前記容器の開口部を密閉可能に覆う蓋体と、前記容器の内部を減圧する減圧ポンプと、前記容器の内外を連通する通路と、前記通路を開閉する通路開閉手段と、を備え、前記通路開閉手段は、前記通路を閉塞するための駆動部として動作する閉塞手段を有し、前記閉塞手段が前記減圧ポンプと接続され、前記減圧ポンプが駆動したときに前記閉塞手段により前記通路が閉塞される構成とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の炊飯器によれば、通路開閉手段を単純な構造にし、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態を示す炊飯器の上面図である。
図2】同上、炊飯器の縦断面図である。
図3】同上、外蓋を外した状態の蓋体の要部の斜視図である。
図4】同上、減圧ポンプおよび調圧部とその周辺の要部を示す説明図である。
図5】同上、蒸気孔開放時における調圧部とその周辺の要部を示す縦断面図である。
図6】同上、蒸気孔閉塞時における蓋体操作体および調圧部とその周辺の要部を示す縦断面図である。
図7】本発明の第2の実施形態を示す炊飯器の外蓋を外した状態の蓋体の要部の上面図である。
図8】同上、蒸気孔開放時における調圧部とその周辺の要部を示す斜視図である。
図9】第3の実施形態を示す炊飯器の外蓋を外した状態の蓋体の要部の斜視図である。
図10】同上、エアバックとその周辺の要部を示す説明図である。
図11】同上、エアバックとその周辺の要部の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明における好ましい炊飯器の実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、これらの全図面にわたり、共通する部分には共通する符号を付すものとする。
【実施例0010】
図1図6は、本発明における加熱調理器としての炊飯器の第1の実施形態を示している。先ず炊飯器全体の構成を図1および図2に基づいて説明すると、1は本体であり、上方から見て前面と後面、左側面と右側面が対向する略矩形状をなし、上面が開口されている。2は本体1の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体であり、本体1と同様に、上方から見て前面と後面、左側面と右側面が対向する略矩形状をなし、上面が略平坦に構成されている。本体1は上面を開口した鍋収容部3を有し、蓋体2を開けたときに、被炊飯物である水や米を収容する容器としての有底状の鍋4が、その鍋収容部3に着脱自在に収容される構成となっている。鍋収容部3は、椀状で樹脂製の内枠5などを組み合わせて構成され、全体が有底筒状に形成される。
【0011】
鍋4は、熱伝導性の良いアルミニウムを主材7とし、フェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体8が、主材7の外面の側部下部から底部にかけて接合してある。また、鍋4の側面下部から底面に対向する内枠5の外面には、鍋4の発熱体8を電磁誘導加熱する加熱手段として、加熱コイル11を備えている。そして加熱コイル11に高周波電流を供給すると、加熱コイル11から発生する交番磁界によって鍋4の発熱体8が発熱し、炊飯時と保温時に鍋4内の被炊飯物を加熱する構成となっている。また内枠5の底部中央部には、鍋温度検出手段としての鍋センサ12が、鍋4の外面底部と弾発的に接触するように配設される。
【0012】
蓋体2の外形は、外蓋9と、この外蓋9の下方開口部を覆うように取付けられる外蓋カバー10と、で概ね形成されている。蓋体2の後部には本体1との連結部となるヒンジ部13が設けられる。また蓋体2の前方上面には、蓋体操作体14が露出状態で配設されており、この蓋体操作体14を押すと、本体1と蓋体2との係合が解除され、本体1の上部後方に設けたヒンジバネ13bにより、ヒンジ13のヒンジ軸13aを回転中心として蓋体2が開く構成となっている。
【0013】
蓋体2の後方上面には、鍋4内の被炊飯物から発生する蒸気を炊飯器の外部に排出する蒸気口15が配設される。また蓋体2の上面には、この蒸気口15や蓋体操作体14の他に、炊飯器の表示操作ユニットとなる、ボタン名などを表示するための操作パネル22などが配設されている。この操作パネル22は、各種情報を表示する表示部として、時間や選択された炊飯コースなどを表示するLCD16が設けられ、操作部として、炊飯を開始、中止、炊飯コースの選択などを行なうスイッチ17が設けられている。LCD16やスイッチ17は、蓋体3の内部に配設された制御PC(Printed Circuit:印刷回路)板21に設けられる。したがって操作パネル22は、電子部品であるLCD16や、スイッチ17や、制御PC板21に埃や水が付着することも防止している。なお表示部として、LCD16の他にも現在の工程を表示するLED表示部を備える構成としてもよい。
【0014】
蓋体2の下側には、蓋体2の下部部材としての内蓋組立体23が配設される。内蓋組立体23は、鍋4の上方開口部と略同径の円盤状を有する金属材料からなり、鍋4の上方開口部を覆う内蓋24と、この内蓋24と鍋4との間をシールするために、内蓋24の外側全周に設けられる弾性部材としての蓋パッキン25と、鍋4の内圧力を調整する調圧部26とを備えている。環状に形成された蓋パッキン25は、図2に示されるように蓋体2を閉じた蓋閉時に、鍋4の開口部である上面に当接して、この鍋4と内蓋24との間の隙間を塞ぎ、鍋4から発生する蒸気を密閉するものである。なお調圧部26については、また蓋体2の内部には、鍋4内で発生した蒸気を外部へ放出する通路として、蒸気口15と調圧部26とを連通する蒸気排出経路33が形成される。また蓋体2の内部に圧力センサが調圧部26に臨んで設けられ、鍋4内部の圧力を検知するように構成されてもよい。調圧部26については、後程詳しく説明する。
【0015】
38は、蓋体2を本体1に閉じた状態で、鍋4の内部を通常の大気圧よりも低くするための減圧手段である。減圧手段38は、鍋4を鍋収容体3に収容し、蓋体2を閉じた後に調圧部26により蒸気排出経路33が閉塞された状態で、密閉した鍋4の内部圧力を低下させるものである。また、鍋4内部の圧力が大気圧よりも一定値下がった場合には、減圧手段38の動作源となる減圧ポンプ39の動作を停止し、鍋4内部を減圧状態に保っている。さらに鍋4内部を減圧状態から外気と同じ圧力に戻す場合には、減圧ポンプ39の動作を停止し、蒸気排出経路33を開放する。
【0016】
42は、本体1の内部に配設されている、ユニット化された加熱基板組立である。この加熱基板組立は、制御用ICや、各種の情報やデータを記憶する読み出しおよび書き込みが可能なメモリや、炊飯に関する時間を計測可能なタイマなどと共に制御手段(図示せず)としてのマイクロコンピュータを構成して、炊飯器の各部を電気的に制御する。具体的には、制御手段は、鍋センサ12からの温度検知信号と、スイッチ17からの操作信号とを受けて、LCD16に表示制御信号を出力し、また加熱コイル11に加熱制御信号を出力して、減圧手段38に駆動制御信号を出力するものである。
【0017】
図3は、外蓋9を外した状態の蓋体2の要部の斜視図であり、図4は、調圧部26および減圧ポンプ36とその周辺の要部を示す説明図である。本実施形態の減圧ポンプ39はロータリー式やダイヤフラム式の真空ポンプであり、減圧ポンプ39に気体を吸入する吸気部としての吸気口39aと、減圧ポンプ39内の気体を排出する排気部としての排気口39bとを有している。鍋4の内部と吸気口39aとの間には、鍋4内の気体を減圧ポンプ39が吸気する経路であるシリコンゴム製の吸気管51が配設され、吸気管51の鍋4側の端部に、吸気管51を開閉する真空弁52が設けられる。また吸気管51は、真空弁52側の第1の吸気管51-1と、減圧ポンプ39側の第2の吸気管51-2とに分割されており、第1および第2の吸気管51-1,51-2の間に三方継手53が接続されている。
【0018】
本実施形態の真空弁52は、吸気管51内が所定の圧力の負圧まで低下すると開放し、吸気管51内が当該所定の圧力以上に上昇すると閉塞するように構成される。そのため減圧ポンプ39を動作させて吸気管51内が所定の圧力まで低下すると真空弁52が開放されて吸気管51を開放し、減圧ポンプ39と鍋4内とが連通する。また減圧ポンプ39の動作を停止させ、鍋4内の圧力が上昇して所定の圧力以上になると、真空弁52経由で吸気管51内も所定の圧力以上になり、真空弁52が閉塞される。
【0019】
三方継手53は、3方向に管を接続可能であり、接続した3つの管を流体的に接続するものであり、本実施形態ではT字状の三方継手53が採用されている。三方継手53は3つの筒状の端部と、これら3つの端部が連結している中空の連結部からなる。これら3つの端部のうち、対向する2つの端部には第1および第2の吸気管51-1,51-2が接続される。そして三方継手53の、他の2つの端部に対して角度を付けて設けられた端部には、後述するエアバック58から減圧ポンプ39が空気を排出する経路であるシリコンゴム製のエアバック排気管55が接続される。
【0020】
図5を参照して調圧部26の説明をすると、調圧部26は、鍋4内部と連通する孔部としての蒸気孔56と、この蒸気孔56の上方に配置されて蒸気孔56を開閉する弁としての調圧弁57と、空気の排出により収縮し、調圧弁57が蒸気排出経路33を閉塞するための駆動部として動作する閉塞手段としてのエアバック58と、エアバック58の上端に形成されるアーム保持部58-3に取付けられる板状部としてのアーム部59と、蒸気孔56を開放させるための開放部60と、調圧弁57、エアバック58およびアーム部59が配設される調圧部本体61と、で主に構成される。
【0021】
調圧部本体61は、蒸気孔56の上方に調圧弁ガイド孔61-1が穿設され、当該調圧弁ガイド孔61-1の近傍にエアバック取付部61-2が設けられている。また61-3は円筒形状の排気管取付部であり、この排気管取付部61-3がエアバック取付部61-2の下部に配設されて、当該排気管取付部61-3とエアバック取付部61-2とが連通するように構成されている。そして61-4はアーム支持部であり、調圧弁ガイド孔61-1とエアバック取付部61-2とを結ぶ直線状に形成される。本実施形態では、調圧部本体61のエアバック取付部61-2側の端部において壁部61-5が上方向に延びており、その壁部61-5の上端にアーム支持部61-4が設けられている。
【0022】
調圧弁ガイド孔61-1は、調圧弁57が移動する方向を上下方向に導くものであり、調圧弁ガイド孔61-1を貫通して調圧弁57が配設される。本実施形態では、調圧弁57が調圧弁ガイド孔61-1の内壁に沿って動作する構成であり、調圧弁ガイド孔61-1の形状および大きさが、調圧弁57の断面形状と略同一の形状である円形および略同一の大きさに形成されるが、これは一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0023】
エアバック取付部61-2は、エアバック58の開口部58-2が取付けられるものであり、有底筒状に形成される。そのため本実施形態ではエアバック取付部61-2の断面形状の外形が開口部58-2の内形と略同一に形成されているが、これは一例であり、本発明はこれに限定されない。また排気管取付部61-3は、エアバック排気管55が取付けられるものであり、本実施形態では、第2の吸気管51-2、三方継手53、エアバック排気管55、排気管取付部61-3およびエアバック取付部61-2を介して、エアバック58と減圧ポンプ39の吸気口39aとが連通する構成となっている。
【0024】
アーム支持部61-4はアーム部59を支持するものである。本実施形態ではアーム支持部61-4は一対の軸受であり、アーム部59の一端に設けられたアーム軸部59-3,59-3を回転自在に軸支している。そして、このアーム軸部59-3,59-3を中心にして、アーム部59が上下に回動する構成となっている。なお、この構成は一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0025】
エアバック58は略全体がシリコン製、またはPE(ポリエチレン)ブロー成型であり、一端が開口し他端が密閉された蛇腹形状で、内部が中空で内部空間Sを有している。またエアバック58は、蛇腹形状を有して膨張/収縮が可能なエアバック本体58-1と、エアバック本体58-1の一端に形成される開口部58-2と、エアバック本体58-1の他端に形成されるアーム保持部58-3と、で主に構成されている。
【0026】
エアバック本体58-1はバネを有しており、このバネによりエアバック本体58-1が膨張する方向に付勢されるように構成される。このため、エアバック本体58-1の収縮動作時におけるエアバック本体58-1内の圧力よりもエアバック本体58-1膨張動作時におけるエアバック本体58-1内の圧力の方を低くすることができる。ここで本実施形態では、エアバック本体58-1の収縮動作時におけるエアバック本体58-1内の圧力が、真空弁52が開閉する所定の圧力の負圧よりも高くなるよう、すなわち、エアバック本体58-1が、真空弁52より高い圧力の負圧で収縮動作するように構成され、またエアバック本体58-1膨張動作時におけるエアバック本体58-1内の圧力が、真空弁52が開閉する所定の圧力の負圧よりも低くなるよう、すなわちエアバック本体58-1が、真空弁52より低い圧力の負圧で膨張動作するように構成される。そして開口部58-2がエアバック取付部61-2に取付けられることにより、エアバック本体58-1が炊飯器の上下方向に膨張/収縮するように配設される。
【0027】
アーム保持部58-3はくびれを有しており、このくびれをアーム部59のエアバック取付孔59-2に貫通させてアーム保持部58-3によりアーム本体59-1を保持することで、エアバック58がアーム部59に取付けられる。
【0028】
調圧弁57は、略円柱形状の調圧弁本体57-1と、調圧弁本体57-1の下端に設けられる弁部57-2と、弁部57-2と一体に形成される膜部57-3と、調圧弁本体57-1の上端から上方に延びるように形成される延伸部57-4と、延伸部57-4の上端に設けられ、当該延伸部57-4の外側へと延びるように形成されるフランジ部57-5と、延伸部57-4の上端に設けられ、延伸部57-4からさらに上方に突出して形成される突出部57-6と、により主に構成されている。また図5に示されるように、調圧弁本体57-1と、延伸部57-4と、フランジ部57-5と、突出部57-6とが一体に形成されている。
【0029】
調圧弁本体57-1は、図5に示されるように調圧弁ガイド孔61-1を貫通して配設され、上下方向に移動可能に構成される。また弁部57-2は、調圧弁本体57-1が最も下方向の位置である閉位置にあるときに蒸気孔56を閉塞するものであり、本実施形態では可撓性材料で略吸盤状に形成されている。そのため調圧弁本体57-1が最下部に移動したときに、弁部57-2が内蓋24に吸着するように接触することで、確実に蒸気孔56を閉塞できるようにしている。そして膜部57-3は調圧弁本体57-1や弁部57-2を上方向に付勢するものであり、弾力性のある可撓性材料で形成される。また調圧弁57に外からの力が何も加わっていないときには、図5に示されるように、膜部57-3は調圧弁本体57-1が最も上方向の位置である開位置になるように、調圧弁本体57-1を上方向に移動させる。ここで、一体に形成されている弁部57-2および膜部57-3は、調圧部本体61の下方向から調圧弁ガイド孔61-1をすべて覆うように設けられており、蒸気孔56から流入した蒸気が調圧弁ガイド孔61-1内に入り込まないようにしている。なお、この構成は一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0030】
フランジ部57-5は、開放部60と連携して調圧弁本体57-1を上方向に移動させるものである。フランジ部57-5の下面には開放部60の掬い部60-3が配設されており、この掬い部60-3が上方向に移動すると、フランジ部57-5の下面が掬い部60-3と接触し、当該掬い部60-3と共にフランジ部57-5が上方向に移動することで調圧弁本体57-1が上方向に移動し、調圧弁本体57-1下端の弁部57-2も上方向に移動して、蒸気孔56が開放される構成となっている。
【0031】
突出部57-6は、アーム部59と連携して調圧弁本体57-1を下方向に移動させるものである。図5に示されるように、突出部57-6は、アーム部59の弁接触部59-4と接触しており、この弁接触部59-4が下方向に移動すると、当該弁接触部59-4と共に突出部57-6が下方向に移動することで調圧弁本体57-1が下方向に移動する。そして調圧弁本体57-1が閉位置に移動すると、弁部57-2が蒸気孔56を閉塞する。
【0032】
アーム部59は、板状のアーム本体59-1と、エアバック58のアーム保持部58-3が貫通するエアバック取付孔59-2と、アーム本体59-1の一端に設けられるアーム軸部59-3,59-3と、調圧弁57の突出部57-6と接触する弁接触部59-4と、を有している。本実施形態では、減圧ポンプ39によりエアバック本体58-1内の空気が吸引されてエアバック本体58-1が収縮し、内部空間Sの体積が最小になったときに調圧弁本体57-1が閉位置に移動しているように、アーム本体59-1の長さや、アーム軸部59-3,59-3、エアバック取付孔59-2および弁接触部59-4の配置が調整され、また調圧弁57およびエアバック58の形状や配置も調整されている。
【0033】
図6を参照して開放部60を説明すると、開放部60は、略板状に形成された開放部本体60-1と、開放部本体60-1の一端に形成された蓋体操作体接触部60-2と、開放部本体60-1の他端に形成された掬い部60-3と、開放部本体60-1の中央近傍に設けられる軸部60-4と、当該軸部60-4を軸支する開放部軸受60-5とで主に構成されている。本実施形態では、開放部本体60-1、蓋体操作体接触部60-2および掬い部60-3が金属製で一体に形成されているが、この構成は一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0034】
開放部本体60-1は、調圧弁57から蓋体操作体14の下方まで延びており、蓋体操作体14の下面部14-1の下方近傍に蓋体操作体接触部60-2が配設され、フランジ部57-5の下方近傍に掬い部60-3が配設されるように構成される。蓋体操作体接触部60-2は上面が平坦で幅方向に広く形成されており、蓋体操作体14が押動操作されたときに下面部14-1と蓋体操作体接触部60-2とが良好に接触できるようにしている。そして本実施形態の掬い部60-3は二又形状に形成されており、この二又形状が調圧弁57の延伸部57-4を挟むように位置している。そして開放部軸受60-5は外蓋カバー10に形成されており、開放部本体60-1が軸部60-4を中心として、外蓋カバー10に対してシーソー状に揺動する構成となっている。
【0035】
次に、上記構成の炊飯器についてその作用を説明する。例えば図2に示されるように、鍋4を鍋収容部3に収容して蓋体2を本体1に閉じた状態で鍋4内の減圧を行なう場合を説明すると、制御手段が減圧手段38に駆動制御信号を出力すると、減圧ポンプ39が駆動し、吸気口39aから空気を吸気して排気口39bから排気する。そして吸気口39aに連通している吸気回路内の空気、すなわち第1および第2の吸気管51-1,51-2、三方継手53、エアバック排気管55、排気管取付部61-3、エアバック取付部61-2およびエアバック本体58-1内の空気が減圧ポンプ39に吸気されて圧力が低下する。
【0036】
ここでエアバック本体58-1が、真空弁52より高い圧力の負圧で収縮動作するように構成されているため、真空弁52が開放される前にエアバック本体58-1が収縮していき、それに応じて内部空間Sの体積が減少していく。そしてエアバック本体58-1の収縮に伴い、アーム保持部58-3に保持されたアーム本体59-1が、アーム軸部59-3,59-3を中心にして下方向に回動し、弁接触部59-4に接触している突出部57-6ごと、調圧弁本体57-1が下方向に移動する。その後、エアバック58の内部空間Sの体積が最小になるまで収縮すると、調圧弁本体57-1が閉位置に移動し、弁部57-2が蒸気孔56を閉塞して、鍋4内が密閉空間になる。
【0037】
減圧ポンプ39の駆動時にエアバック58の内部空間Sの体積が最小になると、吸気回路内の圧力の低下がさらに加速される。そして吸気回路内の圧力が所定の圧力まで低下すると、真空弁52が開放されて、減圧ポンプ39が鍋4内の空気を吸気して、鍋4内を減圧する。このとき減圧ポンプ39の動作を停止させても、鍋4内が密閉空間であるため減圧状態に保たれ、また吸気回路内も減圧状態であるため真空弁52は開放されたまま維持される。このように減圧ポンプ39の駆動時に、減圧ポンプ39と連動させて、弁部57-2が蒸気孔56を閉塞して鍋4内が密閉空間になってから真空弁52を開放して鍋4内を減圧することができる。
【0038】
ここで例えば、炊飯工程中でひたし工程で鍋4内を減圧状態にした後で、沸騰加熱工程に移行して、制御手段が減圧ポンプ39の動作を停止させ、また加熱コイル11を駆動させて鍋4を加熱し、鍋4内の被炊飯物を沸騰させた場合について説明すると、被炊飯物の蒸気が鍋4内に充満して鍋4内の圧力が上昇する。そして真空弁52が開放されているため、吸気回路内の圧力も鍋4内と同様に上昇し、エアバック本体58-1内の圧力も上昇する。ここでエアバック本体58-1が真空弁52より低い圧力の負圧で膨張動作するように構成されているため、真空弁52が閉塞される前にエアバック本体58-1が膨張していき、それに応じて内部空間Sの体積が増大していく。そしてエアバック本体58-1の膨張に伴い、アーム保持部58-3に保持されたアーム本体59-1が、アーム軸部59-3,59-3を中心にして上方向に回動する。
【0039】
そして鍋4内の負圧に抗して、調圧弁57が膜部57-3により上方向に移動し、弁部57-2が上方向に移動して蒸気孔56が開放され、蒸気排出経路33が開放される。また吸気回路内の圧力が所定の圧力以上に上昇すると、真空弁52が閉塞される。
【0040】
また減圧ポンプ39の動作停止時で鍋4内が減圧状態の際に、蓋体操作体14が押動操作された場合について説明すると、蓋体操作体14の下面部14-1と開放部60の蓋体操作体接触部60-2とが接触して、蓋体操作体14ごと蓋体操作体接触部60-2が下方向に移動する。そのため開放部本体60-1が軸部60-4を中心として、外蓋カバー10に対してシーソー状に揺動し、掬い部60-3がフランジ部57-5の下面に接触してフランジ部57-5ごと調圧弁57を上方向に移動させる。そして弁部57-2が上方向に移動して蒸気孔56が開放され、蒸気排出経路33が開放されて、鍋4内の圧力が大気圧まで上昇する。
【0041】
鍋4内の圧力が大気圧まで上昇すると、真空弁52が開放されているため、吸気回路内の圧力も鍋4内と同様に上昇し、エアバック本体58-1内の圧力も上昇して、エアバック本体58-1が膨張していき、それに応じて内部空間Sの体積が増大していく。そして吸気回路内の圧力が所定の圧力以上に上昇すると、真空弁52が閉塞される。なお蓋体操作体14にスイッチを設けて、蓋体操作体14が操作されると減圧ポンプ39の動作が停止されるように構成してもよい。
【0042】
以上のように、本実施形態の加熱調理器としての炊飯器では、被調理物を収容する容器としての鍋4と、鍋4の開口部を密閉可能に覆う蓋体としての内蓋24と、鍋4の内部を減圧する減圧ポンプ39と、鍋4の内外を連通する通路としての蒸気排出経路33と、蒸気排出経路33を開閉する通路開閉手段としての調圧部26と、を備え、調圧部26は、蒸気排出経路33を閉塞するための駆動部として動作する閉塞手段としてのエアバック58を有し、エアバック58が減圧ポンプ39と接続され、減圧ポンプ39が駆動したときにエアバック58により調圧弁57が蒸気孔56を閉塞して蒸気排出経路33が閉塞される構成としている。
【0043】
このように構成することにより、鍋4の内部を減圧する減圧ポンプ39でエアバック58を動作させて蒸気排出経路33が閉塞させることができ、調圧部26を単純な構造にして部品点数を削減することができる。
【0044】
また本実施形態の調圧部26は、鍋4内部と連通する孔部としての蒸気孔56と、蒸気孔56の上方に配置されて当該蒸気孔56を開閉する弁としての調圧弁57と、をさらに有し、エアバック58が収縮することにより、調圧弁57が蒸気孔56を閉塞する構成としている。そのため、減圧ポンプ39でエアバック58を収縮させることにより蒸気孔56を閉塞させることができ、調圧部26を単純な構造にして部品点数を削減することができる。
【0045】
また本実施形態の調圧部26は、エアバック58が炊飯器の上下方向に収縮するものであり、調圧部26は、エアバック58の上端に取付けられる板状部としてのアーム部59をさらに有し、アーム部59の下面に調圧弁57の上端としての突出部57-6が接している構成としている。そのため、エアバック58を収縮させることにより調圧弁57を下方向に移動させて蒸気孔56を閉塞させることができ、調圧部26を単純な構造にして部品点数を削減することができる。
【0046】
また本実施形態の収縮部がエアバック58である構成としており、エアバック58を収縮部として炊飯器の上下方向に確実に収縮/膨張させることができる。
【実施例0047】
図7および図8は、本発明における加熱調理器としての炊飯器の第2の実施形態を示している。本実施形態では、アーム部59’の一端がエアバック58の下端に取付けられ、他端が調圧弁57の上端と接しており、アーム部59’のアーム本体59’-1がシーソー状に揺動する構成としている。
【0048】
図7および図8を参照して説明すると、本実施形態の調圧部26”では、調圧弁57側の側面が開口した箱状のエアバック収容部62の上壁の内面にエアバック取付部61’-2が設けられ、上壁の外面に排気管取付部61’-3が設けられる。そのため本実施形態ではエアバック58が、第1の実施形態とは逆に開口部58-2を上方向にしてエアバック取付部61’-2に取付けられ、エアバック58の下端がアーム本体59’-1の一端に取付けられる構成となっている。なお本実施形態では、エアバック58の下端面がアーム本体59’-1の一端の上面に接着剤などで直接結合されて取付けられているが、アーム本体59’-1にエアバック取付孔59-2を形成して、第1の実施形態と同様に取付けられる構成にしてもよい。
【0049】
本実施形態のアーム本体59’-1は金属製であり、アーム軸部59’-3がアーム本体59’-1の中央近傍に設けられて、外蓋カバー10に形成されたアーム軸受63がアーム軸部59’-3を軸支することで支持している。そしてアーム軸受63を支点として、アーム本体59’-1が外蓋カバー10に対してシーソー状に揺動し、そのため内蓋24に対してもシーソー状に揺動する構成としている。その他の構成は第1の実施形態と同様であり、アーム本体59’-1の他端の下面に調圧弁57の上端が接するように構成される。
【0050】
次に、上記構成の炊飯器についてその作用を説明する。例えば図2に示されるように、鍋4を鍋収容部3に収容して蓋体2を本体1に閉じた状態で鍋4内の減圧を行なう場合を説明すると、制御手段が減圧手段38に駆動制御信号を出力すると、減圧ポンプ39が駆動し、吸気回路内の空気が減圧ポンプ39に吸気されて圧力が低下する。
【0051】
ここでエアバック本体58-1が、真空弁52より高い圧力の負圧で収縮動作するように構成されているため、真空弁52が開放される前にエアバック本体58-1が収縮していき、それに応じて内部空間Sの体積が減少していく。そしてエアバック本体58-1の収縮に伴い、エアバック58の下端に取付けられたアーム本体59-1の一端が上方向に移動し、アーム本体59-1がアーム軸部59-3を中心にして揺動して、アーム本体59-1の他端が下方向に移動し、アーム本体59-1の他端に設けられた弁接触部59-4に接触している突出部57-6ごと、調圧弁本体57-1も下方向に移動する。その後、エアバック58の内部空間Sの体積が最小になるまで収縮すると、調圧弁本体57-1が閉位置に移動し、弁部57-2が蒸気孔56を閉塞して、鍋4内が密閉空間になる。
【0052】
減圧ポンプ39の駆動時にエアバック58の内部空間Sの体積が最小になると、吸気回路内の圧力の低下がさらに加速される。そして吸気回路内の圧力が所定の圧力まで低下すると、真空弁52が開放されて、減圧ポンプ39が鍋4内の空気を吸気して、鍋4内を減圧する。このように減圧ポンプ39の駆動時に、減圧ポンプ39と連動させて、弁部57-2が蒸気孔56を閉塞して鍋4内が密閉空間になってから真空弁52を開放して鍋4内を減圧することができる。
【0053】
以上のように、本実施形態の加熱調理器としての炊飯器では、被調理物を収容する容器としての鍋4と、鍋4の開口部を密閉可能に覆う蓋体としての内蓋24と、鍋4の内部を減圧する減圧ポンプ39と、鍋4の内外を連通する通路としての蒸気排出経路33と、蒸気排出経路33を開閉する通路開閉手段としての調圧部26”と、を備え、調圧部26は、空気の排出により収縮する収縮部としてのエアバック58を有し、エアバック58が減圧ポンプ39と接続され、調圧部26”の駆動部として動作する構成としている。
【0054】
このように構成することにより、鍋4の内部を減圧する減圧ポンプ39でエアバック58を動作させて蒸気排出経路33が閉塞させることができ、調圧部26”を単純な構造にして部品点数を削減することができる。
【0055】
また本実施形態の調圧部26”は、鍋4内部と連通する孔部としての蒸気孔56と、蒸気孔56の上方に配置されて当該蒸気孔56を開閉する弁としての調圧弁57と、をさらに有し、エアバック58が収縮することにより、調圧弁57が蒸気孔56を閉塞する構成としている。そのため、減圧ポンプ39でエアバック58を収縮させることにより蒸気孔56を閉塞させることができ、調圧部26”を単純な構造にして部品点数を削減することができる。
【0056】
また本実施形態の調圧部26”は、エアバック58が炊飯器の上下方向に収縮するものであり、調圧部26”は、一端がエアバック58下端に取付けられて他端に調圧弁57の上端が接する揺動部としてのアーム本体59’-1をさらに有し、内蓋24が取付けられる外蓋カバー10はアーム本体59’-1を支持する支持部としてのアーム軸受63が形成され、アーム軸受63を支点として、アーム本体59’-1が外蓋カバー10に対してシーソー状に揺動し、そのため内蓋24に対してもシーソー状に揺動する構成としている。
【0057】
このように構成することでも、エアバック58を収縮させることにより調圧弁57を下方向に移動させて蒸気孔56を閉塞させることができ、調圧部26”を単純な構造にして部品点数を削減することができる。
【実施例0058】
図9図11は、本発明における加熱調理器としての炊飯器の第3の実施形態を示している。本実施形態では、調圧部26’の駆動部として動作するエアバック58’が炊飯器の横方向に収縮するものであり、調圧弁57’のスライド部57’-2が横方向に移動することにより蒸気孔56を開閉する構成としている。
【0059】
図9を参照して説明すると、本実施形態では、吸気管51は、真空弁52側の第3の吸気管51-3と、減圧ポンプ39側の第4の吸気管51-4とに分割されており、第3および第4の吸気管51-3,51-4の間に調圧部26’のエアバック58’が接続されている。
【0060】
調圧部26’は、鍋4内部と連通する蒸気孔56(図2参照)と、この蒸気孔56の上に配置されて蒸気孔56を開閉する調圧弁57’と、収縮部としてのエアバック58’と、エアバック58’を収容するエアバックホルダ64と、開放部60と、で主に構成される。
【0061】
図9に示されるように、調圧弁57’は、蒸気孔56上に配設される台座57’-1と、台座57’-1の上で水平方向、すなわち炊飯器における横方向にスライド移動可能なスライド部57’-2と、台座57’-1上に設けられたスライド部ガイド57’-3と、スライド部57’-2の一端に設けられる接続部57’-4と、台座57’-1およびスライド部57’-2の上方に配設されるスライド操作部57’-5と、により主に構成されている。本実施形態では、スライド部57’-2の台座57’-1における位置により蒸気孔56が開閉される構成となっており、蒸気孔56が開放される開位置と、蒸気孔56が閉塞される閉位置とがある。なお、図9に示されているスライド部57’-2の位置が開位置である。したがってスライド部57’-2は、蒸気孔56を開閉する弁としての機能も有している。
【0062】
スライド部ガイド57’-3は、スライド部57’-2がスライド移動する方向を炊飯器における横方向、図9における左右方向に導くものであり、スライド部57’-2はスライド部ガイド57’-3に沿って、エアバックホルダ64から離れる方向または近づく方向へと移動する。また接続部57’-4はエアバック58’のエアバックシャフト58-2とスライド部57’-2とを接続するものである。本実施形態の接続部57’-4は、エアバックシャフト58-2の先端に設けられた円板部が嵌め込めるように形成されており、この円板部を接続部57’-4に嵌め込むことにより、エアバックシャフト58-2とスライド部57’-2とが接続される。そしてスライド操作部57’-5は、上方に移動させることでスライド機構(図示せず)がスライド部57’-2を横方向で、エアバックホルダ64から離れる方向にスライドさせるものであり、本実施形態では、このスライド操作部の57’-5の下方近傍に掬い部60-3が配設されるように構成している。
【0063】
図10を参照してエアバック58’の説明をすると、エアバック58’は、蛇腹形状を有して膨張/収縮が可能なエアバック本体58’-1と、エアバック本体58’-1の一端に設けられるエアバックシャフト58’-2と、エアバック本体58’-1の他端に設けられた有底筒状のベース部58’-3と、ベース部58’-3に設けられる2つの筒状の吸排気部58’-4,58’-4と、で主に構成されている。なお本実施形態では、エアバック本体58’-1、エアバックシャフト58’-2、ベース部58’-3および吸排気部58’-4,58’-4が一体に形成されているが、ベース部58’-3および吸排気部58’-4,58’-4を別体に形成し、エアバック本体58’-1を第1の実施形態のエアバック本体58-1のように開口部を設けて形成して、当該開口部にベース部58’-3を連結するように構成してもよい。
【0064】
エアバック本体58’-1は、略全体がシリコン製、またはPE(ポリエチレン)ブロー成型であり、第1の実施形態のエアバック本体58-1と同様に、エアバック本体58’-1が、真空弁52より高い圧力の負圧で収縮動作するように構成される。またエアバックシャフト58’-2は、調圧弁57’の接続部57’-4に嵌め込むことでエアバック58’とスライド部57’-2とを接続するものである。本実施形態のエアバックシャフト58’-2はPOM(ポリアセタール)製であり、棒状のシャフトと当該シャフトの先端に設けられる円板部とで構成される。またシャフトの長さは、エアバック本体58’-1の膨張/収縮する長さ、例えば8~10mmよりも長く形成される。なお、この構成は一例であり、本発明ではエアバックシャフト58’-2の材質や形状はこれに限定されない。
【0065】
ベース部58’-3は、エアバックホルダ64に固定されるものであり、エアバック本体58’-1の他端側のベース部58’-3がエアバックホルダ64に固定されることにより、エアバック本体58’-1の一端側の端部がエアバック58’の動作側の端部となり、エアバック本体58’-1が膨張/収縮することで当該端部がエアバックシャフト58’-2と共に炊飯器における横方向に移動する。
【0066】
吸排気部58’-4,58’-4は、第3および第4の吸気管51-3,51-4が取付けられるものであり、本実施形態では、第3の吸気管51-3、エアバック58’および第4の吸気管51-4を介して、真空弁52と減圧ポンプ39の吸気口39aとが連通する吸気回路が構成されている。
【0067】
エアバックホルダ64は、全体がPP(ポリプロピレン)製であり、上面が開口された箱状に形成されている。またエアバックホルダ64は、当該エアバックホルダ64から外側へと延びて形成される固定部64-1,64-1と、エアバックホルダ64の一側の側壁に形成される保持部64-2と、保持部64-2と対向する側壁に穿設される貫通孔64-3と、を有している。なお本実施形態では、固定部64-1,64-1と、保持部64-2と、貫通孔64-3とがすべて異なる側壁に形成されているが、この構成は一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0068】
固定部64-1は、エアバックホルダ64を外蓋カバー10に固定するときに使用されるものであり、本実施形態ではネジ貫通用の孔を有して、この孔にネジを通して外蓋カバー10に固定部64-1が共締めされることにより、エアバックホルダ64が外蓋カバー10に固定されている。なお、この構成は一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0069】
保持部64-2は、エアバックホルダ64に収容されたエアバック58’のベース部58’-3を保持するものであり、本実施形態では、例えば接着剤などで保持部64-2とベース部58’-3とを接合している。なお、この構成は一例であり、例えば保持部64-2やベース部58’-3が係合部を有し、この係合部により保持部64-2がベース部58’-3を保持するように構成してもよい。
【0070】
貫通孔64-3は、当該貫通孔64-3を貫通してエアバックシャフト58’-2が配設されるものである。そのためエアバックシャフト58’-2は貫通孔64-3を貫通した状態で横方向に移動する。なお本実施形態では、図9に示されるように、エアバック本体58’-1内の内部空間の体積が最大になるまで膨張し、エアバック本体58’-1が、貫通孔64-3が設けられた側壁と接したときのスライド部57’-2の位置が開位置になり、エアバック本体58’-1内の内部空間の体積が最小になるまで縮小したときのスライド部57’-2の位置が閉位置になるように構成されている。また図8に示されるように、この貫通孔64-3の孔径は、エアバック本体58’-1の一端側に設けられるシャフト取付部の外径と略同一に形成されており、エアバック58’をエアバックホルダ64に収容するときの位置合わせとしての機能も有している。
【0071】
次に、上記構成の炊飯器についてその作用を説明する。例えば図2に示されるように、鍋4を鍋収容部3に収容して蓋体2を本体1に閉じた状態で鍋4内の減圧を行なう場合を説明すると、制御手段が減圧手段38に駆動制御信号を出力すると、減圧ポンプ39が駆動し、吸気口39aから空気を吸気して排気口39bから排気する。そして吸気口39aに連通している吸気回路内の空気、すなわち第3の吸気管51-3、エアバック58’および第4の吸気管51-4内の空気が減圧ポンプ39に吸気されて圧力が低下する。
【0072】
ここでエアバック本体58’-1が、真空弁52より高い圧力の負圧で収縮動作するように構成されているため、真空弁52が開放される前にエアバック本体58’-1が収縮していく。そしてエアバック本体58’-1の収縮に伴い、エアバック本体58’-1の一端側に設けられたエアバックシャフト58’-2もエアバック本体58’-1の収縮方向、すなわち炊飯器における横方向に移動し、エアバック本体58’-1に接続されたスライド部57’-2もスライド部ガイド57’-3に沿って台座57’-1上を横方向に移動する。その後、エアバック本体58’-1内の内部空間の体積が最小になるまで収縮すると、スライド部57’-2が閉位置に移動し、蒸気孔56が閉塞されて鍋4内が密閉空間になる。
【0073】
減圧ポンプ39の駆動時にエアバック58の内部空間Sの体積が最小になると、吸気回路内の圧力の低下がさらに加速される。そして吸気回路内の圧力が所定の圧力まで低下すると、真空弁52が開放されて、減圧ポンプ39が鍋4内の空気を吸気して、鍋4内を減圧する。このように減圧ポンプ39の駆動時に、減圧ポンプ39と連動させて、スライド部57’-2が閉位置に移動して蒸気孔56を閉塞し、鍋4内が密閉空間になってから真空弁52を開放して鍋4内を減圧することができる。
【0074】
また減圧ポンプ39の動作停止時で鍋4内が減圧状態の際に、蓋体操作体14が押動操作された場合について説明すると、蓋体操作体14の下面部14-1と開放部60の蓋体操作体接触部60-2とが接触して、蓋体操作体14ごと蓋体操作体接触部60-2が下方向に移動する。そのため開放部本体60-1が軸部60-4を中心として、外蓋カバー10に対してシーソー状に揺動し、掬い部60-3がスライド操作部の57’-5に接触して、当該スライド操作部の57’-5を上方向に移動させる。そしてスライド機構により、スライド部57’-2をスライド部ガイド57’-3に沿ってエアバックホルダ64から離れる方向に移動させ、スライド部57’-2が開位置まで移動すると、蒸気孔56が開放され、蒸気排出経路33が開放されて、鍋4内の圧力が大気圧まで上昇する。
【0075】
鍋4内の圧力が大気圧まで上昇すると、真空弁52が開放されているため、吸気回路内の圧力も鍋4内と同様に上昇する。そして吸気回路内の圧力が所定の圧力以上に上昇すると、真空弁52が閉塞される。
【0076】
以上のように、本実施形態の加熱調理器としての炊飯器では、被調理物を収容する容器としての鍋4と、鍋4の開口部を密閉可能に覆う蓋体としての内蓋24と、鍋4の内部を減圧する減圧ポンプ39と、鍋4の内外を連通する通路としての蒸気排出経路33と、蒸気排出経路33を開閉する通路開閉手段としての調圧部26’と、を備え、調圧部26’は、蒸気排出経路33を閉塞するための駆動部として動作する閉塞手段としてのエアバック58’を有し、エアバック58’が減圧ポンプ39と接続され、減圧ポンプ39を駆動したときにエアバック58’により蒸気排出経路33が閉塞される構成としている。
【0077】
このように構成することでも、鍋4の内部を減圧する減圧ポンプ39で調圧部26’を動作させることができ、調圧部26’を単純な構造にして部品点数を削減することができる。
【0078】
また本実施形態の調圧部26’は、鍋4内部と連通する孔部としての蒸気孔56と、蒸気孔56を開閉する弁としてのスライド部57’-2と、をさらに有し、エアバック58’が収縮することにより、スライド部57’-2が蒸気孔56を閉塞する構成としている。そのため、減圧ポンプ39でエアバック58’を収縮させることにより蒸気孔56を閉塞させることができ、調圧部26’を単純な構造にして部品点数を削減することができる。
【0079】
また本実施形態の調圧部26は、エアバック58’が炊飯器の横方向に収縮するものであり、スライド部57’-2は炊飯器の横方向に移動することで蒸気孔56を開閉するものであり、エアバック58’の動作側の端部としての一端側に、エアバックシャフト58’-2および接続部57’-4を介してスライド部57’-2を接続した構成としている。そのため、エアバック58’を収縮させることによりスライド部57’-2を横方向に移動させて蒸気孔56を閉塞させることができ、調圧部26’を単純な構造にして部品点数を削減することができる。
【0080】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば第1~第3の実施形態の態様を組み合わせて実施してもよい。また本実施形態では炊飯器を実施例として説明したが、他の加熱調理器でもよい。そして実施形態中で例示した数値などはあくまでも一例にすぎず、加熱調理器の仕様などに応じて適宜変更してかまわない。
【符号の説明】
【0081】
4 鍋(容器)
24 内鍋(蓋体)
26,26’,26” 調圧部(通路開閉手段)
39 減圧ポンプ
33 蒸気排出経路(通路)
56 蒸気孔(孔部)
57 調圧弁(弁)
57-6 突出部(上端)
58,58’ エアバック(閉塞手段)
59 アーム部(板状部)
59’-1 アーム本体(揺動部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11