2023-167746 正座補助衣類

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023167746

(43)【公開日】2023-11-24

(54)【発明の名称】正座補助衣類

(51)【国際特許分類】

   A41B 9/02 20060101AFI20231116BHJP

   A41B 9/06 20060101ALI20231116BHJP

   A47C 9/00 20060101ALI20231116BHJP

【ＦＩ】

A41B9/02 P

A41B9/06 E

A47C9/00 A

【審査請求】未請求

【請求項の数】7

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022079163

(22)【出願日】2022-05-13

(71)【出願人】

【識別番号】522189757

【氏名又は名称】白河 学

(74)【代理人】

【識別番号】100122622

【弁理士】

【氏名又は名称】森 徳久

(72)【発明者】

【氏名】白河 学

【テーマコード（参考）】

3B095

3B128

【Ｆターム（参考）】

3B095BA02

3B128EA03

3B128EC00

(57)【要約】

【課題】ユーザが長時間正座をする場合であっても足前面部への負担を軽減し、足部の痺れの発生を抑制し得る正座補助衣類を提供する。
【解決手段】本明細書で開示される正座補助衣類は、ユーザの脚を片方ずつ包む二本の筒部を有する略ズボン状の衣類と、前記衣類のうち、前記衣類を着用する前記ユーザの下腿と足首との少なくとも一方を含む下腿周辺部を包む範囲に取り付けられている補助具と、第１クッション部材と、を備える。前記補助具は、剛性材によって筒状に形成されており、周壁のうち前記衣類を着用する前記ユーザの向う脛に対向する部分が切り欠かれた開放部を有している。前記第１クッション部材は、前記衣類を着用する前記ユーザの足首の前面と足の甲との少なくとも一方を含む足前面部に対向する範囲に備えられている。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

ユーザの脚を片方ずつ包む二本の筒部を有する略ズボン状の衣類と、
前記衣類のうち、前記衣類を着用する前記ユーザの下腿と足首との少なくとも一方を含む下腿周辺部を包む範囲に取り付けられている補助具と、
第１クッション部材と、を備え、
前記補助具は、剛性材によって筒状に形成されており、周壁のうち前記衣類を着用する前記ユーザの向う脛に対向する部分が切り欠かれた開放部を有しており、
前記第１クッション部材は、前記衣類を着用する前記ユーザの足首の前面と足の甲との少なくとも一方を含む足前面部に対向する範囲に備えられている、
正座補助衣類。

【請求項2】

前記本体は、前記衣類を着用する前記ユーザの前記下腿が延びる方向に沿って波型に形成されている、請求項１に記載の正座補助衣類。

【請求項3】

前記補助具は、前記本体の背面部の外側に備えられている第２クッション部材をさらに備える、請求項１に記載の正座補助衣類。

【請求項4】

前記補助具は、前記衣類の内側のうち、前記衣類を着用する前記ユーザの前記下腿周辺部を包む範囲に取り付けられており、
前記第１クッション部材は、前記衣類の内側のうち、前記衣類を着用する前記ユーザの前記足前面部に対向する範囲に備えられている、請求項１に記載の正座補助衣類。

【請求項5】

前記本体の内周面が布材で被覆されている、請求項１に記載の正座補助衣類。

【請求項6】

前記布材は、前記衣類を構成する布地の一部である、請求項５に記載の正座補助衣類。

【請求項7】

前記衣類は、下半身用の下着である、請求項１に記載の正座補助衣類。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本明細書で開示される技術は、ユーザの正座を補助する正座補助衣類に関する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１は、脚の下方部に装着可能であって、体重を略大腿部の下で受けることができる左右一対の座台からなる正座用の痺れ防止装置を開示する。座台は断面馬蹄形の略筒状に形成されている。使用時には、使用者の脚の下方部に座台を取り付ける。この状態で使用者が正座をすると、体重の大部分が両方の座台によって受けられる。これによって足への負担の軽減および足の痺れの防止を図っている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】実開平３－１１８０４４号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

特許文献１の技術では、使用者が正座する場合、使用者の足首の前面及び足の甲が着座面（床など）に直接接する。そのため、長時間正座する場合に、使用者の足首の前面及び足の甲への負担が大きくなり、足（足首より下の部分）の痺れが発生するおそれがある。

【0005】

本明細書では、ユーザが長時間正座をする場合であっても足前面部への負担を軽減し、足の痺れの発生を抑制し得る正座補助衣類を提供する。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本明細書で開示される正座補助衣類は、ユーザの脚を片方ずつ包む二本の筒部を有する略ズボン状の衣類と、前記衣類のうち、前記衣類を着用する前記ユーザの下腿と足首との少なくとも一方を含む下腿周辺部を包む範囲に取り付けられている補助具と、第１クッション部材と、を備える。前記補助具は、剛性材によって筒状に形成されており、周壁のうち前記衣類を着用する前記ユーザの向う脛に対向する部分が切り欠かれた開放部を有している。前記第１クッション部材は、前記衣類を着用する前記ユーザの足首の前面と足の甲との少なくとも一方を含む足前面部に対向する範囲に備えられている。

【0007】

ユーザが上記の正座補助衣類を着用した状態で正座をすると、ユーザの臀部から大腿部は補助具の背面部（即ち、下腿周辺部の背面側を囲む部分）上に載る。このため、ユーザの体重の大部分は補助具によって支持される。正座時の下腿周辺部（下腿と足首とのうちの一部）への負担が大幅に軽減される。さらに、足前面部に第１クッション部材が当接し、足前面部が着座面である床などと直接接触しない。そのため、ユーザが長時間正座をする場合であっても足前面部への負担が軽減し、足の痺れの発生が抑制される。

【0008】

前記本体は、前記衣類を着用する前記ユーザの前記下腿が延びる方向に沿って波型に形成されていてもよい。

【0009】

この構成によると、本体はユーザの下腿が延びる方向に沿って波型に形成された筒状に形成される。本体が波型筒状に形成されることで、本体が波型でない場合と比べて本体の剛性が向上する。その分本体を軽量化させ得る。上記の構成によると、本体を軽量かつ高剛性に形成することができる。

【0010】

前記補助具は、前記本体の背面部の外側に備えられている第２クッション部材をさらに備えていてもよい。

【0011】

この構成によると、ユーザが正座補助衣類を着用した状態で正座した際に、ユーザの臀部から大腿部は、第２クッション部材を介して補助具の背面部上に載る。ユーザの臀部から大腿部と補助具の背面部との間に第２クッション部材が存在することで、正座の際の臀部から大腿部への不快感が抑制される。快適な着座感を実現することができる。

【0012】

前記補助具は、前記衣類の内側のうち、前記衣類を着用する前記ユーザの前記下腿周辺部を包む範囲に取り付けられていてもよい。前記第１クッション部材は、前記衣類の内側のうち、前記衣類を着用する前記ユーザの前記足前面部に対向する範囲に備えられていてもよい。

【0013】

この構成によると、補助具および第１クッション部材が衣類の内側に隠れる。そのため、使用時に補助具および第１クッション部材が外部から見えることがない。正座補助衣類を使用していることが外部から容易に視認できないため、ユーザが自然に振る舞うことができる。

【0014】

前記本体の内周面が布材で被覆されていてもよい。

【0015】

この構成によると、補助具の本体の内周面が布材で被覆されているため、脚の下腿周辺部と、剛性体である補助具とが直接接触することがない。そのため、使用時のユーザの不快感が抑制される。

【0016】

前記布材は、前記衣類を構成する布地の一部であってもよい。

【0017】

この構成によると、例えば、衣類内に補助具を内包する（もしくは縫い込む）ように配置する等、補助具を衣類の一部として自然に配置することができる。さらに、衣類の製造時に補助具を取り付けることができるため、改めて補助具を後付けする必要がなく、使用前の作業を減らすこともできる。

【0018】

前記衣類は、下半身用の下着であってもよい。

【0019】

ここで、下半身用の下着は、例えば、股引、ステテコ、ズボン下、ぱっち、タイツ、レギンス、スパッツ等を含む。この構成によると、外側から補助具がより目立たなくなる。ユーザが正座補助衣類を着用した状態で公の場でも自然に振る舞うことができる。

【図面の簡単な説明】

【0020】

【図1】第１実施例の正座補助衣類を示す斜視説明図。

【図2】図１の正座補助衣類をユーザが着用した状態を模式的に示す説明図。

【図3】補助具の概要を示す斜視説明図。

【図4】図３の矢印ＩＶ方向から見た補助具を示す説明図。

【図5】正座補助衣類を着用したユーザが正座する様子を模式的に示す説明図。

【図6】第２実施例の正座補助衣類をユーザが着用した状態を模式的に示す説明図。

【図7】図６のＶＩＩ部分の断面を示す断面説明図。

【発明を実施するための形態】

【0021】

（第１実施例）
図１～図５を参照して、第１実施例の正座補助衣類２について説明する。本実施例の正座補助衣類２は、ユーザＵが正座をする際に、ユーザＵの足への負担の軽減と足の痺れの抑制のために用いられる衣類である。図１は、正座補助衣類２の概要を示す。図２は、ユーザＵが正座補助衣類２を着用した様子を示す。図１に示されるように、正座補助衣類２は、衣類４と、２個の補助具１０と、２個の甲クッション部材４０とを備える。なお図１、図２では、理解の容易のために衣類４を仮想線で図示している。

【0022】

図１、図２に示されるように、衣類４は、ユーザＵの脚を片方ずつ包む２本の筒部６を有するズボン状の衣類である。本実施例では、衣類４は下半身用の下着である。図１、図２の例では衣類４は股引、ステテコ、ズボン下、ぱっち等、肌に密着しないタイプの下着である。具体的には、衣類４は、僧衣等のゆとりのある和服の中に履くタイプの下着などであってもよい。他の例では、衣類４は、タイツ、レギンス、スパッツ等、肌に密着するタイプの下着であってもよい。

【0023】

図１、図２に示されるように、２個の補助具１０は、衣類４の２本の筒部６の内側に取り付けられている。図２に示されるように、補助具１０は、衣類４を着用するユーザＵの下腿周辺部を包む範囲に取り付けられている。本実施例では「下腿周辺部」はユーザＵの下腿及び足首に亘る範囲を指す。ただし、他の例では「下腿周辺部」はユーザＵの下腿と足首の一方を指してもよい。補助具１０は、衣類４の内側に所定の固定具５０を介して取り付けられている。固定具５０は補助具１０を衣類４の内側に取り付け可能な任意の部材であればよく、例えばひも付きの留め具が用いられる。本実施例では、補助具１０は衣類４に脱着可能に取り付けられているが、変形例では、補助具１０は衣類４に完全に固定されていてもよい。

【0024】

図３は、補助具１０の概要を示す斜視図である。図４は、図３の矢印ＩＶ方向から補助具１０を見た図（正面図）である。理解の容易のため、図３、図４では補助具１０を覆っているカバー布１８（図１参照）を省略した様子を図示している。ただし、図４ではカバー布１８を仮想線で図示している。図３、図４に示されるように、補助具１０は、本体１２と、背面クッション部材２０とを備える。

【0025】

本体１２は、略角筒状に形成された部材である。図２に示されるように、本体１２は、衣類４を着用したユーザＵの下腿と足首の周辺（以下では「下腿周辺部」と呼ぶ）を囲む（包む）ことができる大きさに形成されている。図３、図４に示されるように、本体１２は、周壁のうち、ユーザＵの向う脛に対向する面が切り欠かれた開放部１４を有している。即ち本体１２は断面略コ字状に形成されている。また、本体１２は、ユーザＵの下腿が延びる方向（図１、図２の上下方向）に沿って凹凸する波型に形成されている。本体１２の周壁は波型に形成されている。即ち、本体１２は、波型の角筒部材の周壁の一部を切り欠いて開放部１４とした部材と言ってもよい。

【0026】

図１、図２、図４に示されるように、本体１２及び背面クッション部材２０の周囲はカバー布１８で被覆されている。カバー布１８は、ユーザＵの肌に本体１２の内壁面が直接触れないように保護する保護材の役割を果たす。そのため、カバー布１８は、肌触り、吸湿性に優れる素材製であることが好ましい。他の例では、本体１２のみがカバー布１８で被覆され、背面クッション部材２０はカバー布１８で被覆されていなくてもよい。さらに他の例では、本体１２の内周面のみがカバー布１８で被覆されていてもよい。

【0027】

図３、図４に示されるように、背面クッション部材２０は、本体１２の背面部１６の外側に備えられている。背面部１６は、本体１２のうち、ユーザＵが衣類４を着用した際にユーザＵの下腿周辺部の背面側（ふくらはぎの裏側周辺）に配置される部分である。図３、図４に示されるように、本実施例では、背面クッション部材２０は本体１２の背面部１６から側部の一部に亘って備えられている。背面クッション部材２０は厚手の緩衝材によって形成される。緩衝材は布材で被覆されていてもよい。背面クッション部材２０に用いられる緩衝材は、例えば、ウレタン、スポンジ、綿、ゲル状部材などである。

【0028】

図１、図２に示されるように、本実施例では、甲クッション部材４０は衣類４の内側のうち、ユーザＵが衣類４を着用した際にユーザＵの足前面部に対向する範囲に取り付けられている。本実施例では「足前面部」はユーザＵの足首の前面と足の甲の周辺を指す。ただし、他の例では、「足前面部」はユーザＵの足首の前面と足の甲の一方を指してもよい。甲クッション部材４０は、緩衝材を布材で被覆した構成を有する。甲クッション部材４０に用いられる緩衝材は、例えば、ウレタン、スポンジ、綿、ゲル状部材などである。本実施例では、甲クッション部材４０は、筒部６の内側に着脱可能に取り付けられている。甲クッション部材４０は、筒部６の内側に縫い付ける等して固定されていてもよい。変形例では、甲クッション部材４０は、衣類４ではなく、本体１２側に取り付けられていてもよい。

【0029】

図２、図５を参照して、ユーザＵが正座補助衣類２を使用する場合の各部の作用及び正座補助衣類２の効果について説明する。ユーザＵは、下半身用の下着を履くように衣類４を着用することで、正座補助衣類２を着用することができる。補助具１０の本体１２に開放部１４が設けられているため、ユーザＵが衣類４を着用する際に足首が本体１２に引っ掛かりにくい。図２は、ユーザＵが正座補助衣類２を着用した状態を示す。この時点ではユーザＵは立っており正座していない。図２に示されるように、筒部６はユーザＵの脚を片方ずつ包む。補助具１０の本体１２がユーザＵの下腿周辺部を包むように配置される。開放部１４はユーザＵの向う脛と対向する。背面クッション部材２０は、ユーザＵの下腿周辺部の背面側（ふくらはぎの裏側周辺）に配置される。甲クッション部材４０は、ユーザＵの足前面部と対向する。

【0030】

図５は、正座補助衣類２を着用したユーザＵが正座する様子を模式的に示す。理解の容易のため、図５では衣類４の図示を省略している。図５に示されるように、正座補助衣類２を着用したユーザＵが正座をすると、ユーザの臀部から大腿部は背面クッション部材２０を介して補助具１０の背面部１６上に載せられる。これにより、ユーザＵの体重の大部分が補助具１０によって支持される。ユーザＵの下腿周辺部への負担が大幅に軽減される。ユーザＵの足が痺れにくくなる。

【0031】

さらに、ユーザＵの足前面部に甲クッション部材４０が当接する。これにより、足前面部が床などの着座面と直接接触しない。そのため、ユーザＵが長時間正座をする場合であっても足前面部への負担が軽減し、足の痺れの発生が抑制される。

【0032】

上記の通り、本実施例では、補助具１０は衣類４の内側の下腿周辺部を包む範囲に取り付けられているため、ユーザＵは、正座補助衣類２を通常の衣類と同様に着用するだけで、正座の際に臀部から大腿部を支持可能な位置に補助具１０を配置することができる（図２、図５参照）。別途補助具１０を持ち運んだり、使用直前に装着したりする必要がない。装着した補助具１０の位置合わせも必要ない。補助具１０を持ち運ぶ手間、脱着する手間、位置合わせをする手間が省かれる。さらに、歩行中等に脱落するおそれもないため、使用時にユーザＵが不安を感じることもない。ユーザＵが正座補助衣類２を着用した状態で公の場でも自然に振る舞うことができる。

【0033】

また、本実施例では、補助具１０および甲クッション部材４０は衣類４の内側に取り付けられており、衣類４の内側に隠れている。そのため、使用時に補助具１０および甲クッション部材４０が外部から見えることがない。外部から見ると、ユーザＵは単に衣類４（下着等）を着用しているに過ぎないように見える。正座補助衣類２を使用していることが外部から容易に視認できないため、ユーザＵが自然に振る舞うことができる。

【0034】

特に、本実施例では、衣類４は下半身用の下着であるため、実際の使用時に外側が別の衣類（例えば、僧衣などの着物、ズボンなどの洋服など）で覆われる可能性が高い。そのため、正座補助衣類２を使用していることを外部からほぼ判別できない。ユーザＵは公の場でも自然に振る舞うことができる。

【0035】

また、補助具１０の本体１２がユーザＵの下腿が延びる方向に沿った波型の筒状に形成されているため（図３参照）、本体が波型でない場合と比べて高い剛性が確保される。その分、本体１２を軽量に形成することができる。本実施例の構成によると、本体１２を軽量かつ高剛性に形成することができる。ユーザＵが、衣類４に取り付けられた補助具１０のことを煩わしく感じることが抑制される。

【0036】

また、上記の通り、ユーザＵの臀部から大腿部は、背面クッション部材２０を介して補助具１０の背面部１６上に載る（図５参照）。ユーザＵの臀部から大腿部と背面部１６との間に背面クッション部材２０が存在することで、正座の際の臀部から大腿部への不快感が抑制される。快適な着座感を実現することができる。ユーザＵが長時間正座をする場合であってもユーザＵが不快に感じにくい。

【0037】

また、本体１２の周囲はカバー布１８で被覆されている。カバー布１８は、ユーザＵの肌に本体１２の内壁面が直接触れないように保護する役割を果たす。脚の下腿周辺部と、剛性体である補助具１０とが直接接触することがない。そのため、使用時のユーザＵの不快感が抑制される。

【0038】

以上、本実施例の正座補助衣類２の構成及び作用効果を説明した。本実施例と請求項の記載の対応関係を説明しておく。甲クッション部材４０が「第１クッション部材」の一例である。背面クッション部材２０が「第２クッション部材」の一例である。カバー布１８が「布材」の一例である。

【0039】

（第２実施例）
図６、図７を参照して、第２実施例の正座補助衣類１０２について説明する。本実施例の正座補助衣類１０２も、その基本的な構成は第１実施例の正座補助衣類１０２と共通する。図６、図７では、第１実施例と同様の構成は図１～図５と同じ符号を用いて示し、詳しい説明を省略する。

【0040】

本実施例でも、２個の補助具１０は、衣類４の２本の筒部６の内側のうち、ユーザＵの下腿周辺部を包む範囲に取り付けられている。ただし、本実施例では、補助具１０の固定方法が第１実施例とは異なる。本実施例では、補助具１０は、固定具５０（図１参照）ではなく、衣類４を構成する布地の一部で包まれることによって衣類４に取り付けられている。図６、図７に示すように、本実施例では、筒部６の下端の裾部分８を内側に折り返した折り返し部分９と裾部分８との間に補助具１０を収容し、折り返し部分９の上端を筒部６に固定している。これにより、本実施例でも、補助具１０は、衣類４を着用するユーザＵの下腿周辺部を包む範囲に取り付けられる。

【0041】

また、本実施例では、折り返し部分９の布によって補助具１０の本体１２の内周面がカバーされる。そのため、本実施例ではカバー布１８（図１参照）は省略されている。ただし変形例では、本体１２の少なくとも内周面がカバー布１８（図１参照）で覆われていてもよい。

【0042】

本実施例でも、甲クッション部材４０は衣類４の内側のうち、ユーザＵが衣類４を着用した際にユーザＵの足前面部に対向する範囲に取り付けられている。

【0043】

本実施例の正座補助衣類１０２も、第１実施例の正座補助衣類２とほぼ同様の作用効果を発揮することができる。さらに本実施例では、折り返し部分９の布によって補助具１０の本体１２の内周面がカバーされている。即ち、本実施例では、衣類４内に補助具１０を内包するように配置することができる。補助具１０を衣類４の一部として自然に配置することができる。さらに、衣類４の製造時に補助具１０を同時に取り付けることができるため、改めて補助具１０を後付けする必要がなく、使用前の作業を減らすこともできる。本実施例の裾部分８と折り返し部分９が「衣類を構成する布地の一部」の一例である。

【0044】

以上、本明細書で開示する技術の実施例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を含んでもよい。

【0045】

（変形例１）上記の各実施例では、甲クッション部材４０は衣類４側に取り付けられている。これに限られず、甲クッション部材４０は、ユーザＵが衣類４を着用した際にユーザＵの足前面部に対向する範囲に配置されていれば、補助具１０（本体１２）側に取り付けられていてもよい。その場合、例えば、甲クッション部材４０は、カバー布１８に縫い付け又は脱着可能な態様で取り付けられていてもよい。

【0046】

（変形例２）補助具１０および甲クッション部材４０は、衣類４の筒部６の内側ではなく、筒部６の外側に備えられていてもよい。即ち、補助具１０は筒部６の外側のうちユーザＵの下腿周辺部を包む範囲に取り付けられていてもよい。甲クッション部材４０も、筒部６の外側のうちユーザＵの足前面部に対向する範囲に備えられていてもよい。この場合も、甲クッション部材４０は、衣類４側に取り付けられていてもよいし、補助具１０（本体１２）に取り付けられていてもよい。

【0047】

（変形例３）衣類４は、ユーザＵの脚を片方ずつ包む２本の筒部を有するズボン状の衣類であれば、下着に限らず、任意の下半身用の衣類であってもよい。例えば、衣類４は、ズボンや袴などであってもよい。

【0048】

（変形例４）本体１２は、ユーザＵの下腿周辺部を囲むことができる形状を有していれば、略角筒状に限られず、円筒状、楕円筒状、多角筒状など任意の形状に形成されていてもよい。

【0049】

（変形例５）本体１２の形状は、正座時のユーザの臀部及び大腿部による加重に耐えうる剛性を確保できていれば波型に限られない。例えば、本体１２は波型ではない平坦な筒状であってもよい。

【0050】

（変形例６）変形例では、背面クッション部材２０が省略されてもよい。また、他の例では、背面クッション部材が２枚以上重ねて設けられていてもよい。

【0051】

（変形例７）上記の第２実施例では、筒部６の下端の裾部分８を内側に折り返した折り返し部分９と裾部分８との間に補助具１０を収容し、折り返し部分９の上端を筒部６に固定している（図７参照）。これに限られず、変形例では、筒部６の下端の裾部分８を反対側の外側に折り返し、折り返し部分と裾部分８との間に補助具１０を収容し、折り返し部分９の上端を筒部６に固定してもよい。その場合、補助具１０は、衣類４の筒部６の外側のうちユーザＵの下腿周辺部を包む範囲に取り付けられてもよい。甲クッション部材４０も、衣類４の筒部６の外側に取り付けられてもよい。

【0052】

（変形例８）上記の第２実施例では、筒部６の下端の裾部分８を内側に折り返した折り返し部分９と裾部分８との間に補助具１０を収容し、折り返し部分９の上端を筒部６に固定している（図７参照）。これに限られず、衣類４を構成する布の一部によって補助具１０の本体１２の少なくとも内周面が被覆されるのであれば、本体１２の内周面は任意の態様で被覆されていてもよい。例えば、衣類４の筒部６とは別の布材を用いて本体１２の内周面を被覆し、被覆した布材を筒部６の内側に縫い付けるなどの態様を採用してもよい。

【0053】

また、本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。

【符号の説明】

【0054】

２：正座補助衣類
４：衣類
６：筒部
８：裾部分
９：折り返し部分
１０：補助具
１２：本体
１４：開放部
１６：背面部
１８：カバー布
２０：背面クッション部材
４０：甲クッション部材
５０：固定具
１０２：正座補助衣類
Ｕ：ユーザ

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】